電線縦移線工法
【課題】 移線する電線の下側に線下横過物があっても、移線する電線と線下横過物との干渉を防止し、効率よく電線を移線することができる電線縦移線工法を提供する。
【解決手段】 鉄塔間に架設された複数本の電線のうち、いずれかの電線の一方又は他方の取り付け場所を、当該鉄塔よりも高い鉄塔への移線に適用される電線縦移線工法であって、電線Eが移線先の鉄塔に移線された場合に、直近の上側の電線となる電線Hに沿って移線用上金車4が展開され、操作ロープ用ローラ14には、操作ロープ6が通され、操作ロープ6に、吊上げロープ8の一端が固定され、吊上げロープ8の他端は、ガイドローラ12から垂下され、電線Eには、吊上げロープ8を介して吊架される移線用下金車5が備わり、操作ロープ6の一端を引っ張ることにより、各吊上げロープ8を介して移線用下金車5を上昇させるとともに電線Eを上昇させて、移線先の鉄塔の適宜の箇所に取り付ける。
【解決手段】 鉄塔間に架設された複数本の電線のうち、いずれかの電線の一方又は他方の取り付け場所を、当該鉄塔よりも高い鉄塔への移線に適用される電線縦移線工法であって、電線Eが移線先の鉄塔に移線された場合に、直近の上側の電線となる電線Hに沿って移線用上金車4が展開され、操作ロープ用ローラ14には、操作ロープ6が通され、操作ロープ6に、吊上げロープ8の一端が固定され、吊上げロープ8の他端は、ガイドローラ12から垂下され、電線Eには、吊上げロープ8を介して吊架される移線用下金車5が備わり、操作ロープ6の一端を引っ張ることにより、各吊上げロープ8を介して移線用下金車5を上昇させるとともに電線Eを上昇させて、移線先の鉄塔の適宜の箇所に取り付ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鉄塔間に架設された電線を、当該位置より高い位置に移線する際、電線の下側に交差する電線や建物等の重要な工作物たる線下横過物がある場合に、これらの線下横過物に悪影響を与えないで電線を移線する電線縦移線工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
変電所においては、複数の鉄塔が配設されるとともに、それぞれの鉄塔間に架設される電線が交差して形成されている。このような状況において、電線をより高い鉄塔、あるいは同一の鉄塔の上側に移線する場合、移線する電線を停電させて行われるが、これと交差する他の鉄塔間に架設された電線を停電することは電力供給上の理由からできない。したがって、このような交差電線は活線のまま作業を行うことが多い。交差電線と交差する上側の電線、すなわち鉄塔間に架設された電線を移線する際には、交差電線との干渉を避ける必要があり、作業には慎重を期し、これが迅速な移線作業の妨げとなっていた。なお、このような問題は変電所だけではなく、電線の下に建物、高速道路、鉄道、港湾等の重要な工作物たる線下横過物がある様々な箇所において同様におこっている。
【0003】
一方で、防護ネットを利用した電線張替工法が特許文献1に記載されている。この工法は、電線の下側に防護ネットを張り、地上構造物への落下物を防止するものである。これは電線の移線においても同様である。
【特許文献1】特開2007−37314号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の張替工法乃至は移線工法は、既設電線の下側に防護ネットを形成する。この工法では、交差電線等の線下横過物がある場合に、落下物が交差電線に干渉することを防止できるが、設置した防護ネット自体が交差電線に干渉するおそれがある。また、防護ネットを設置する際にも、交差電線に干渉するおそれがある。
【0005】
この発明は、上記従来技術を考慮したものであって、移線する電線の下側に線下横過物があっても、この線下横過物との十分な距離を確保して作業中にこれらが干渉することを防止し、したがって線下横過物が交差電線の場合には、交差電線が活線状態のままで効率よく電線を移線することができる電線移線工法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、請求項1の発明では、2つの鉄塔間に架設された複数の電線のうち、いずれかの電線の一方の又は両方の取り付け場所を、高い位置へ移す電線縦移線工法であって、
移線先の鉄塔との間にすでに架設されており、当該電線を移線すると、直近の上側に架設されることになる電線又はワイヤに沿って一定間隔をあけて複数の移線用上金車が展開され、
当該各移線用上金車は、前記上側の電線又はワイヤに一定間隔をあけて吊り下げられ、当該上側の電線又はワイヤに対してその位置を固定され、
当該各移線用上金車に備わる操作ロープ用ローラには、複数の当該各移線用上金車を通して一本の操作ロープが通され、
当該操作ロープに、間隔をあけて複数の吊上げロープの一端がそれぞれ固定され、
当該各吊上げロープの他端は、前記移線用上金車の下端に備わるガイドローラに通して垂下され、
当該各吊上げロープの他端に、前記移線する電線を、一定間隔をあけて支持する各移線用下金車が備わり、
前記上側の電線又はワイヤの一端に位置する前記操作ロープの一端を引っ張ることにより、前記各吊上げロープを介して前記各移線用下金車を上昇させ、
これにより前記各移線用下金車とともに前記移線する電線を上昇させて、当該移線する電線を移線先の位置まで引き寄せ、
当該電線の両端を移線先の鉄塔に固定することを特徴とする、電線縦移線工法を提供する。
【0007】
請求項2の発明では、前記吊上げロープの前記操作ロープに対する固定位置に対応してそれぞれ吊金車が配設され、当該各吊金車は、前記上側の電線又はワイヤに支持され、前記操作ロープに固定され、かつ前記吊上げロープの一端を固定することを特徴としている。
【0008】
請求項3の発明では、前記各移線用上金車の前記上側の電線又はワイヤに対する位置固定は、各移線用上金車相互を、一定間隔をあけて連結する展開ロープの両端を固定することにより行うことを特徴としている。
【0009】
請求項4の発明では、前記移線する電線の一端と、当該移線する電線の一端を支持していた鉄塔との間にセミ金車を取り付け、当該セミ金車のワイヤを伸縮させながら、前記操作ロープを引っ張って前記移線する電線を上昇させることを特徴としている。
【0010】
請求項5の発明では、前記ガイドローラは、前記移線用上金車の移動方向に回動可能に備わることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、移線する電線の移線作業は一本の操作ロープの一端を一方向に引っ張ることにより行うため、簡単かつ迅速に移線する電線を上昇させることができる。このとき、移線する電線は鉄塔間の全体にわたって各箇所で同時に上昇するため、移線する電線の一部がたるむことがなく、作業が迅速になるとともに、移線する電線の下側に位置する交差電線等の線下横過物との干渉を防止しながら移線作業を行うことができる。したがって、安全性に優れた作業を実現できる。また、操作ロープの展開は電線移線用の金車の展開と同時に行うことができるので、そのための工程を別途必要とすることなく、効率のよい作業が可能となる。
【0012】
請求項2の発明によれば、前記各吊上げロープの前記操作ロープに対する各固定位置に対応してそれぞれ吊金車が配設され、前記操作ロープに固定した当該吊金車は、移線する電線の直近の上側の電線又はワイヤに支持され、前記吊上げロープの一端を固定するため、当該上側の電線又はワイヤと操作ロープとの間隔を一定に保持することができ、操作ロープの操作性が向上する。また、操作ロープの荷重を当該吊金車で支えることができるので、移線用上金車のガイドローラの負担を軽減することができる。さらに、吊金車は移線する電線の直近の上側の電線又はワイヤに沿って展開することができるため、展開が容易である。
【0013】
請求項3の発明によれば、展開ロープを用いて、前記各移線用上金車を、前記上側の電線又はワイヤに連結するため、一定の間隔を保持しながら、前記各移線用上金車を容易に展開することができる。
【0014】
請求項4の発明によれば、セミ金車を用いた簡単な構造で、移線する電線の上昇の際に、電線の長さの過不足分をセミ金車に巻回されたワイヤで調整することができる。
【0015】
請求項5の発明によれば、操作ロープを移線する電線の直近の上側の電線又はワイヤに沿って移動させて吊上げロープにより張替用下金車を上昇させる際に、吊上げロープの引っ張りに追従してガイドローラが回動するので、吊上げロープを傷めることなく、円滑な作業が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この発明は、2つの鉄塔間に架設された複数の電線のうち、いずれかの電線の一方の又は両方の取り付け場所を、高い位置へ移す電線縦移線工法であって、移線先の鉄塔との間にすでに架設されており、当該電線を移線すると、直近の上側に架設されることになる電線又はワイヤに沿って一定間隔をあけて複数の移線用上金車が展開され、当該各移線用上金車は、前記上側の電線又はワイヤに一定間隔をあけて吊り下げられ、当該上側の電線又はワイヤに対してその位置を固定され、当該各移線用上金車に備わる操作ロープ用ローラには、複数の当該各移線用上金車を通して一本の操作ロープが通され、当該操作ロープに、間隔をあけて複数の吊上げロープの一端がそれぞれ固定され、当該各吊上げロープの他端は、前記移線用上金車の下端に備わるガイドローラに通して垂下され、当該各吊上げロープの他端に、前記移線する電線を、一定間隔をあけて支持する各移線用下金車が備わり、前記上側の電線又はワイヤの一端に位置する前記操作ロープの一端を引っ張ることにより、前記各吊上げロープを介して前記各移線用下金車を上昇させ、これにより前記各移線用下金車とともに前記移線する電線を上昇させて、当該移線する電線を移線先の位置まで引き寄せ、当該電線の両端を移線先の鉄塔に固定することにより、移線する電線の下側に位置する交差電線等の線下横過物との干渉を防止しながら移線作業を行うことができる。
【実施例】
【0017】
図1〜図6はこの発明に係る電線縦移線工法を順番に示す概略図である。また、図7は延縄式金車の概略図である。なお、以下では移線する電線の下側にある線下横過物として、鉄塔を例にして説明するが、この発明はこれに限られるものではなく、電線、建物、高速道路、鉄道、港湾等の種々の線下横過物がある場合においても、同様に適用することができる。また、本明細書及び特許請求の範囲で述べている「移線」とは、電線の一方又は両方の支持点を変更することを指す。
【0018】
図1に示すように、鉄塔A, B間には送電線等の複数本の電線E, F, Gが架設される。これらの電線は、両端においてがいし連(図示省略)を介して張架される。変電所等においては、複数の鉄塔が配設される。図1では、鉄塔Cの上方に電線E, F, Gが鉄塔A, B間に架設されている。すなわち、鉄塔C及び鉄塔Cに架設されている電線は、電線E,F, Gよりも下側に位置している。この電線E,F, Gを鉄塔Dに移線する工事をする場合、電線E, F, Gは電力が止められているが、鉄塔Cに架設されている電線は活線のままである。
【0019】
このような状況において、鉄塔A,B間に架設された複数の電線のうち電線E, F, Gを鉄塔A, D間に移線する場合、例えば電線Eの移線を行う際、鉄塔Aと鉄塔D間に既に架設されており、電線Eを鉄塔Dに移線した場合に、電線Eの直近の上側に配設されていることになる電線Hに、図2に示すように、まず複数の空打ち吊金車1を展開する。次に図3及び図4に示すように、展開した空打ち吊金車1の後方に延縄式金車2を一定間隔で連結し、空打ち吊金車1を回収しながら、電線Hに複数の延縄式吊金車2を展開する。
この延縄式吊金車2は、図7に示すように、吊金車3、移線用上金車4、移線用下金車5で構成される。移線用上金車4は、その上部のローラで電線Hに吊り下げられ、電線Hに沿って張られた展開ロープ7に固定される。また、操作ロープ6は、前記移線用上金車4の中部に上下に間隔をあけて設けた操作ロープ用ローラ14及びローラ17の間に通して設けられる。前記移線用上金車4の後方の電線Hに、吊金車3が吊り下げられ、前記操作ロープ6に固定される。当該吊金車3には、吊上げロープ8の一端が固定される。当該吊上げロープ8の他端は、移線用上金車4の下端に備わるガイドローラ12を介して移線用下金車5と接続される。当該移線用下金車5は、その下部ローラ25で電線Eを吊り下げている。
【0020】
操作ロープ6としては、14mmの特強ロープを利用でき、展開ロープ7としては、14mmの特強ロープを利用できる。また、吊上げロープ8としては、10mmのナイロンロープを利用できる。なお、使用するこれらのロープの径及び種類は施工条件により適宜変更する。
【0021】
空打ち吊金車1及び延縄式金車2の展開は、自走機や地上からのウインチ等によって展開ロープ7を電線Hに沿って移動させて行われる。また、延縄式金車2の展開の場合にはさらに、操作ロープ6も電線Hに沿って同時に移動させる。これに伴い、吊金車3及び移線用上金車4は電線Hに沿って移動し、移線用下金車5は移線する電線Eに沿って移動する。そして電線Eの一方の端部は鉄塔Aのがいし連(図示省略)から外され、カムアロング9が取り付けられ、ここにセミ金車10が接続される。
【0022】
以上までの工程が、図1〜4に示す延縄式吊金車2の展開工程である。
【0023】
次に、図5に示すように、延縄式吊金車2を展開させた状態で、展開ロープ7の両端を鉄塔A, Dに固定し、操作ロープ6のみをウインチ等にて鉄塔D側へ引っ張る(矢印I方向)。これにより、操作ロープ6に固定された吊金車3も鉄塔D側に移動する。これにより吊金車3に一端を固定された吊上げロープ8も各移線用上金車4のガイドローラ12を経由して鉄塔D側に引っ張られる。したがって、吊金車3と吊上げロープ8を介して接続された移線用下金車5は、移線用上金車4方向に上昇する(矢印J方向)。この上昇に伴い、セミ金車10からワイヤ11が伸びて(矢印K方向)、電線Eの実長過不足分を補うとともに、電線Eは鉄塔A, D間の全体にわたって、移線用上金車4の方向に引き上げられ(矢印J方向)、鉄塔Dの適宜の箇所に引き寄せられる。なお、図5に示すように、電線Eに延縄式吊金車2を引っ掛けておき、操作ロープ6を鉄塔D側へ引っ張るとともに、吊金車22を鉄塔D側に引き寄せれば、電線Eの鉄塔Dへの引き寄せが容易となる。電線Eを鉄塔Dに引き寄せた状態で、展開ロープ7の一端を鉄塔Aから取り外し、展開ロープ7の他端を鉄塔D側に引っ張って、複数の延縄式吊金車2を回収した後、図6に示すように鉄塔Dの適宜の箇所に、電線Eを取り付ける。
【0024】
上述したように、電線Eの上昇作業は操作ロープ6を電線Hに沿って移動させることにより行うため、簡単かつ迅速に電線Eを上昇させることができる。このとき、電線Eは間隔をあけて設けた複数の延縄式金車2に支持された状態で、鉄塔A,D間の全体にわたって同時に上昇するため、さらに作業が迅速になる。また、操作ロープ6の展開は移線用上金車4,及び移線用下金車5の展開と同時に行うことができるため、そのための工程を別途必要とすることなく、効率のよい作業が可能となる。さらに、電線Eを鉄塔A, D間の全体にわたって各箇所を同時に上昇させることにより、移線作業中に電線Eが鉄塔C及び鉄塔Cに架設されている電線等の線下横過物と干渉することを確実に防止することができる。また、電線Eの上昇の際の実長過不足分は、セミ金車10とカムアロング9との簡単な調整で補うことができる。
【0025】
以上までの工程が、図5〜6に示す電線引き上げ及び取り付け工程である。
【0026】
図8は移線用上金車の正面図であり、図9は側面図である。
【0027】
図示したように、移線用上金車4は、電線H上で回転可能なメインローラ13(図では2個のメインローラ)と、操作ロープ6上で回転可能な操作ロープ用ローラ14を備える。移線用上金車4の上部には、蝶ネジ15を締めることにより展開ロープ7を挟持することができる挟み込み部16が備わる。ここに展開ロープ7を挟持することにより、移線用上金車4は展開ロープ7に固定される。移線用上金車4の下部には、展開ロープ7や操作ロープ6の軸方向(延縄式金車2の移動方向)に軸17aを支点として回動可能(図8において点線で示した)に形成されたガイドローラ12が備わる。このようにガイドローラ12を回動可能に形成することにより、操作ロープ6を電線Hに沿って移動させて吊上げロープ8により移線用下金車5を上昇させる際に、吊上げロープ8の引っ張り方向に追従してガイドローラ12が回動するので、吊上げロープ8を傷めることなく、円滑な作業が実現できる。また、ガイドローラ12の回動支点となる軸17aにもローラ17を形成しておくことにより、さらに吊上げロープ8を傷めるおそれを抑制できる。また操作ロープ6がたるんだ場合には吊り上げロープ8は、ローラ17で支持される。
【0028】
図10は吊金車の正面図であり、図11は側面図である。
【0029】
図示したように、吊金車3には、電線H上で回転可能なメインローラ18が備わる。吊金車3の下部には、蝶ネジ19を締めることにより操作ロープ6を挟持することができる挟み込み部20が備わる。ここに操作ロープ6を挟持することにより、吊金車3は操作ロープ6に固定される。下部には、吊上げロープ8の一端を固定するためのリング穴21が形成される。
【0030】
なお上記実施例では、電線の移線先の一方は、新しい鉄塔Dであるが、同一鉄塔の高い位置に縦移線する場合もこの工法を適用することができる。また本実施例では、電線の片方の支持点を変更する移線を示したが、電線の両方の支持点を変更する移線を行うこともできる。その場合、移線する電線の両端を切り離し、両端を前記吊金車22に掛けて、前記各移線用下金車5の上昇に合わせて各吊金車22を吊り上げていくようにする。
【0031】
また上記実施例では、電線Eの移線を行う際に電線Hを用いたが、これは必ずしも電線である必要はなく、電線A, D間に架設されていて、電線Eを移線した場合に直近の上側に配設されているものであれば、アースとして用いるワイヤでも構わない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明に係る電線移線工法を順番に示す概略図である。
【図2】この発明に係る電線移線工法を順番に示す概略図である。
【図3】この発明に係る電線移線工法を順番に示す概略図である。
【図4】この発明に係る電線移線工法を順番に示す概略図である。
【図5】この発明に係る電線移線工法を順番に示す概略図である。
【図6】この発明に係る電線移線工法を順番に示す概略図である。
【図7】延縄式吊金車の概略図である。
【図8】移線用上金車の正面図である。
【図9】図8の側面図である。
【図10】吊金車の正面図である。
【図11】図10の側面図である。
【符号の説明】
【0033】
1:空打ち吊金車、2:延縄式吊金車、3:吊金車、4:移線用上金車、5:移線用下金車、6:操作ロープ、7:展開ロープ、8:吊上げロープ、9:カムアロング、10:セミ金車、11:ワイヤ、12:ガイドローラ、13:メインローラ、14:操作ロープ用ローラ、15:蝶ネジ、16:挟み込み部、17:ローラ、18:メインローラ、19:蝶ネジ、20:挟み込み部、21:リング穴、22:吊金車、A, B, C, D:鉄塔、E, F, G, H:電線
【技術分野】
【0001】
この発明は、鉄塔間に架設された電線を、当該位置より高い位置に移線する際、電線の下側に交差する電線や建物等の重要な工作物たる線下横過物がある場合に、これらの線下横過物に悪影響を与えないで電線を移線する電線縦移線工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
変電所においては、複数の鉄塔が配設されるとともに、それぞれの鉄塔間に架設される電線が交差して形成されている。このような状況において、電線をより高い鉄塔、あるいは同一の鉄塔の上側に移線する場合、移線する電線を停電させて行われるが、これと交差する他の鉄塔間に架設された電線を停電することは電力供給上の理由からできない。したがって、このような交差電線は活線のまま作業を行うことが多い。交差電線と交差する上側の電線、すなわち鉄塔間に架設された電線を移線する際には、交差電線との干渉を避ける必要があり、作業には慎重を期し、これが迅速な移線作業の妨げとなっていた。なお、このような問題は変電所だけではなく、電線の下に建物、高速道路、鉄道、港湾等の重要な工作物たる線下横過物がある様々な箇所において同様におこっている。
【0003】
一方で、防護ネットを利用した電線張替工法が特許文献1に記載されている。この工法は、電線の下側に防護ネットを張り、地上構造物への落下物を防止するものである。これは電線の移線においても同様である。
【特許文献1】特開2007−37314号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の張替工法乃至は移線工法は、既設電線の下側に防護ネットを形成する。この工法では、交差電線等の線下横過物がある場合に、落下物が交差電線に干渉することを防止できるが、設置した防護ネット自体が交差電線に干渉するおそれがある。また、防護ネットを設置する際にも、交差電線に干渉するおそれがある。
【0005】
この発明は、上記従来技術を考慮したものであって、移線する電線の下側に線下横過物があっても、この線下横過物との十分な距離を確保して作業中にこれらが干渉することを防止し、したがって線下横過物が交差電線の場合には、交差電線が活線状態のままで効率よく電線を移線することができる電線移線工法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、請求項1の発明では、2つの鉄塔間に架設された複数の電線のうち、いずれかの電線の一方の又は両方の取り付け場所を、高い位置へ移す電線縦移線工法であって、
移線先の鉄塔との間にすでに架設されており、当該電線を移線すると、直近の上側に架設されることになる電線又はワイヤに沿って一定間隔をあけて複数の移線用上金車が展開され、
当該各移線用上金車は、前記上側の電線又はワイヤに一定間隔をあけて吊り下げられ、当該上側の電線又はワイヤに対してその位置を固定され、
当該各移線用上金車に備わる操作ロープ用ローラには、複数の当該各移線用上金車を通して一本の操作ロープが通され、
当該操作ロープに、間隔をあけて複数の吊上げロープの一端がそれぞれ固定され、
当該各吊上げロープの他端は、前記移線用上金車の下端に備わるガイドローラに通して垂下され、
当該各吊上げロープの他端に、前記移線する電線を、一定間隔をあけて支持する各移線用下金車が備わり、
前記上側の電線又はワイヤの一端に位置する前記操作ロープの一端を引っ張ることにより、前記各吊上げロープを介して前記各移線用下金車を上昇させ、
これにより前記各移線用下金車とともに前記移線する電線を上昇させて、当該移線する電線を移線先の位置まで引き寄せ、
当該電線の両端を移線先の鉄塔に固定することを特徴とする、電線縦移線工法を提供する。
【0007】
請求項2の発明では、前記吊上げロープの前記操作ロープに対する固定位置に対応してそれぞれ吊金車が配設され、当該各吊金車は、前記上側の電線又はワイヤに支持され、前記操作ロープに固定され、かつ前記吊上げロープの一端を固定することを特徴としている。
【0008】
請求項3の発明では、前記各移線用上金車の前記上側の電線又はワイヤに対する位置固定は、各移線用上金車相互を、一定間隔をあけて連結する展開ロープの両端を固定することにより行うことを特徴としている。
【0009】
請求項4の発明では、前記移線する電線の一端と、当該移線する電線の一端を支持していた鉄塔との間にセミ金車を取り付け、当該セミ金車のワイヤを伸縮させながら、前記操作ロープを引っ張って前記移線する電線を上昇させることを特徴としている。
【0010】
請求項5の発明では、前記ガイドローラは、前記移線用上金車の移動方向に回動可能に備わることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、移線する電線の移線作業は一本の操作ロープの一端を一方向に引っ張ることにより行うため、簡単かつ迅速に移線する電線を上昇させることができる。このとき、移線する電線は鉄塔間の全体にわたって各箇所で同時に上昇するため、移線する電線の一部がたるむことがなく、作業が迅速になるとともに、移線する電線の下側に位置する交差電線等の線下横過物との干渉を防止しながら移線作業を行うことができる。したがって、安全性に優れた作業を実現できる。また、操作ロープの展開は電線移線用の金車の展開と同時に行うことができるので、そのための工程を別途必要とすることなく、効率のよい作業が可能となる。
【0012】
請求項2の発明によれば、前記各吊上げロープの前記操作ロープに対する各固定位置に対応してそれぞれ吊金車が配設され、前記操作ロープに固定した当該吊金車は、移線する電線の直近の上側の電線又はワイヤに支持され、前記吊上げロープの一端を固定するため、当該上側の電線又はワイヤと操作ロープとの間隔を一定に保持することができ、操作ロープの操作性が向上する。また、操作ロープの荷重を当該吊金車で支えることができるので、移線用上金車のガイドローラの負担を軽減することができる。さらに、吊金車は移線する電線の直近の上側の電線又はワイヤに沿って展開することができるため、展開が容易である。
【0013】
請求項3の発明によれば、展開ロープを用いて、前記各移線用上金車を、前記上側の電線又はワイヤに連結するため、一定の間隔を保持しながら、前記各移線用上金車を容易に展開することができる。
【0014】
請求項4の発明によれば、セミ金車を用いた簡単な構造で、移線する電線の上昇の際に、電線の長さの過不足分をセミ金車に巻回されたワイヤで調整することができる。
【0015】
請求項5の発明によれば、操作ロープを移線する電線の直近の上側の電線又はワイヤに沿って移動させて吊上げロープにより張替用下金車を上昇させる際に、吊上げロープの引っ張りに追従してガイドローラが回動するので、吊上げロープを傷めることなく、円滑な作業が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この発明は、2つの鉄塔間に架設された複数の電線のうち、いずれかの電線の一方の又は両方の取り付け場所を、高い位置へ移す電線縦移線工法であって、移線先の鉄塔との間にすでに架設されており、当該電線を移線すると、直近の上側に架設されることになる電線又はワイヤに沿って一定間隔をあけて複数の移線用上金車が展開され、当該各移線用上金車は、前記上側の電線又はワイヤに一定間隔をあけて吊り下げられ、当該上側の電線又はワイヤに対してその位置を固定され、当該各移線用上金車に備わる操作ロープ用ローラには、複数の当該各移線用上金車を通して一本の操作ロープが通され、当該操作ロープに、間隔をあけて複数の吊上げロープの一端がそれぞれ固定され、当該各吊上げロープの他端は、前記移線用上金車の下端に備わるガイドローラに通して垂下され、当該各吊上げロープの他端に、前記移線する電線を、一定間隔をあけて支持する各移線用下金車が備わり、前記上側の電線又はワイヤの一端に位置する前記操作ロープの一端を引っ張ることにより、前記各吊上げロープを介して前記各移線用下金車を上昇させ、これにより前記各移線用下金車とともに前記移線する電線を上昇させて、当該移線する電線を移線先の位置まで引き寄せ、当該電線の両端を移線先の鉄塔に固定することにより、移線する電線の下側に位置する交差電線等の線下横過物との干渉を防止しながら移線作業を行うことができる。
【実施例】
【0017】
図1〜図6はこの発明に係る電線縦移線工法を順番に示す概略図である。また、図7は延縄式金車の概略図である。なお、以下では移線する電線の下側にある線下横過物として、鉄塔を例にして説明するが、この発明はこれに限られるものではなく、電線、建物、高速道路、鉄道、港湾等の種々の線下横過物がある場合においても、同様に適用することができる。また、本明細書及び特許請求の範囲で述べている「移線」とは、電線の一方又は両方の支持点を変更することを指す。
【0018】
図1に示すように、鉄塔A, B間には送電線等の複数本の電線E, F, Gが架設される。これらの電線は、両端においてがいし連(図示省略)を介して張架される。変電所等においては、複数の鉄塔が配設される。図1では、鉄塔Cの上方に電線E, F, Gが鉄塔A, B間に架設されている。すなわち、鉄塔C及び鉄塔Cに架設されている電線は、電線E,F, Gよりも下側に位置している。この電線E,F, Gを鉄塔Dに移線する工事をする場合、電線E, F, Gは電力が止められているが、鉄塔Cに架設されている電線は活線のままである。
【0019】
このような状況において、鉄塔A,B間に架設された複数の電線のうち電線E, F, Gを鉄塔A, D間に移線する場合、例えば電線Eの移線を行う際、鉄塔Aと鉄塔D間に既に架設されており、電線Eを鉄塔Dに移線した場合に、電線Eの直近の上側に配設されていることになる電線Hに、図2に示すように、まず複数の空打ち吊金車1を展開する。次に図3及び図4に示すように、展開した空打ち吊金車1の後方に延縄式金車2を一定間隔で連結し、空打ち吊金車1を回収しながら、電線Hに複数の延縄式吊金車2を展開する。
この延縄式吊金車2は、図7に示すように、吊金車3、移線用上金車4、移線用下金車5で構成される。移線用上金車4は、その上部のローラで電線Hに吊り下げられ、電線Hに沿って張られた展開ロープ7に固定される。また、操作ロープ6は、前記移線用上金車4の中部に上下に間隔をあけて設けた操作ロープ用ローラ14及びローラ17の間に通して設けられる。前記移線用上金車4の後方の電線Hに、吊金車3が吊り下げられ、前記操作ロープ6に固定される。当該吊金車3には、吊上げロープ8の一端が固定される。当該吊上げロープ8の他端は、移線用上金車4の下端に備わるガイドローラ12を介して移線用下金車5と接続される。当該移線用下金車5は、その下部ローラ25で電線Eを吊り下げている。
【0020】
操作ロープ6としては、14mmの特強ロープを利用でき、展開ロープ7としては、14mmの特強ロープを利用できる。また、吊上げロープ8としては、10mmのナイロンロープを利用できる。なお、使用するこれらのロープの径及び種類は施工条件により適宜変更する。
【0021】
空打ち吊金車1及び延縄式金車2の展開は、自走機や地上からのウインチ等によって展開ロープ7を電線Hに沿って移動させて行われる。また、延縄式金車2の展開の場合にはさらに、操作ロープ6も電線Hに沿って同時に移動させる。これに伴い、吊金車3及び移線用上金車4は電線Hに沿って移動し、移線用下金車5は移線する電線Eに沿って移動する。そして電線Eの一方の端部は鉄塔Aのがいし連(図示省略)から外され、カムアロング9が取り付けられ、ここにセミ金車10が接続される。
【0022】
以上までの工程が、図1〜4に示す延縄式吊金車2の展開工程である。
【0023】
次に、図5に示すように、延縄式吊金車2を展開させた状態で、展開ロープ7の両端を鉄塔A, Dに固定し、操作ロープ6のみをウインチ等にて鉄塔D側へ引っ張る(矢印I方向)。これにより、操作ロープ6に固定された吊金車3も鉄塔D側に移動する。これにより吊金車3に一端を固定された吊上げロープ8も各移線用上金車4のガイドローラ12を経由して鉄塔D側に引っ張られる。したがって、吊金車3と吊上げロープ8を介して接続された移線用下金車5は、移線用上金車4方向に上昇する(矢印J方向)。この上昇に伴い、セミ金車10からワイヤ11が伸びて(矢印K方向)、電線Eの実長過不足分を補うとともに、電線Eは鉄塔A, D間の全体にわたって、移線用上金車4の方向に引き上げられ(矢印J方向)、鉄塔Dの適宜の箇所に引き寄せられる。なお、図5に示すように、電線Eに延縄式吊金車2を引っ掛けておき、操作ロープ6を鉄塔D側へ引っ張るとともに、吊金車22を鉄塔D側に引き寄せれば、電線Eの鉄塔Dへの引き寄せが容易となる。電線Eを鉄塔Dに引き寄せた状態で、展開ロープ7の一端を鉄塔Aから取り外し、展開ロープ7の他端を鉄塔D側に引っ張って、複数の延縄式吊金車2を回収した後、図6に示すように鉄塔Dの適宜の箇所に、電線Eを取り付ける。
【0024】
上述したように、電線Eの上昇作業は操作ロープ6を電線Hに沿って移動させることにより行うため、簡単かつ迅速に電線Eを上昇させることができる。このとき、電線Eは間隔をあけて設けた複数の延縄式金車2に支持された状態で、鉄塔A,D間の全体にわたって同時に上昇するため、さらに作業が迅速になる。また、操作ロープ6の展開は移線用上金車4,及び移線用下金車5の展開と同時に行うことができるため、そのための工程を別途必要とすることなく、効率のよい作業が可能となる。さらに、電線Eを鉄塔A, D間の全体にわたって各箇所を同時に上昇させることにより、移線作業中に電線Eが鉄塔C及び鉄塔Cに架設されている電線等の線下横過物と干渉することを確実に防止することができる。また、電線Eの上昇の際の実長過不足分は、セミ金車10とカムアロング9との簡単な調整で補うことができる。
【0025】
以上までの工程が、図5〜6に示す電線引き上げ及び取り付け工程である。
【0026】
図8は移線用上金車の正面図であり、図9は側面図である。
【0027】
図示したように、移線用上金車4は、電線H上で回転可能なメインローラ13(図では2個のメインローラ)と、操作ロープ6上で回転可能な操作ロープ用ローラ14を備える。移線用上金車4の上部には、蝶ネジ15を締めることにより展開ロープ7を挟持することができる挟み込み部16が備わる。ここに展開ロープ7を挟持することにより、移線用上金車4は展開ロープ7に固定される。移線用上金車4の下部には、展開ロープ7や操作ロープ6の軸方向(延縄式金車2の移動方向)に軸17aを支点として回動可能(図8において点線で示した)に形成されたガイドローラ12が備わる。このようにガイドローラ12を回動可能に形成することにより、操作ロープ6を電線Hに沿って移動させて吊上げロープ8により移線用下金車5を上昇させる際に、吊上げロープ8の引っ張り方向に追従してガイドローラ12が回動するので、吊上げロープ8を傷めることなく、円滑な作業が実現できる。また、ガイドローラ12の回動支点となる軸17aにもローラ17を形成しておくことにより、さらに吊上げロープ8を傷めるおそれを抑制できる。また操作ロープ6がたるんだ場合には吊り上げロープ8は、ローラ17で支持される。
【0028】
図10は吊金車の正面図であり、図11は側面図である。
【0029】
図示したように、吊金車3には、電線H上で回転可能なメインローラ18が備わる。吊金車3の下部には、蝶ネジ19を締めることにより操作ロープ6を挟持することができる挟み込み部20が備わる。ここに操作ロープ6を挟持することにより、吊金車3は操作ロープ6に固定される。下部には、吊上げロープ8の一端を固定するためのリング穴21が形成される。
【0030】
なお上記実施例では、電線の移線先の一方は、新しい鉄塔Dであるが、同一鉄塔の高い位置に縦移線する場合もこの工法を適用することができる。また本実施例では、電線の片方の支持点を変更する移線を示したが、電線の両方の支持点を変更する移線を行うこともできる。その場合、移線する電線の両端を切り離し、両端を前記吊金車22に掛けて、前記各移線用下金車5の上昇に合わせて各吊金車22を吊り上げていくようにする。
【0031】
また上記実施例では、電線Eの移線を行う際に電線Hを用いたが、これは必ずしも電線である必要はなく、電線A, D間に架設されていて、電線Eを移線した場合に直近の上側に配設されているものであれば、アースとして用いるワイヤでも構わない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明に係る電線移線工法を順番に示す概略図である。
【図2】この発明に係る電線移線工法を順番に示す概略図である。
【図3】この発明に係る電線移線工法を順番に示す概略図である。
【図4】この発明に係る電線移線工法を順番に示す概略図である。
【図5】この発明に係る電線移線工法を順番に示す概略図である。
【図6】この発明に係る電線移線工法を順番に示す概略図である。
【図7】延縄式吊金車の概略図である。
【図8】移線用上金車の正面図である。
【図9】図8の側面図である。
【図10】吊金車の正面図である。
【図11】図10の側面図である。
【符号の説明】
【0033】
1:空打ち吊金車、2:延縄式吊金車、3:吊金車、4:移線用上金車、5:移線用下金車、6:操作ロープ、7:展開ロープ、8:吊上げロープ、9:カムアロング、10:セミ金車、11:ワイヤ、12:ガイドローラ、13:メインローラ、14:操作ロープ用ローラ、15:蝶ネジ、16:挟み込み部、17:ローラ、18:メインローラ、19:蝶ネジ、20:挟み込み部、21:リング穴、22:吊金車、A, B, C, D:鉄塔、E, F, G, H:電線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの鉄塔間に架設された複数の電線のうち、いずれかの電線の一方の又は両方の取り付け場所を、高い位置へ移す電線縦移線工法であって、
移線先の鉄塔との間にすでに架設されており、当該電線を移線すると、直近の上側に架設されることになる電線又はワイヤに沿って一定間隔をあけて複数の移線用上金車が展開され、
当該各移線用上金車は、前記上側の電線又はワイヤに一定間隔をあけて吊り下げられ、当該上側の電線又はワイヤに対してその位置を固定され、
当該各移線用上金車に備わる操作ロープ用ローラには、複数の当該各移線用上金車を通して一本の操作ロープが通され、
当該操作ロープに、間隔をあけて複数の吊上げロープの一端がそれぞれ固定され、
当該各吊上げロープの他端は、前記移線用上金車の下端に備わるガイドローラに通して垂下され、
当該各吊上げロープの他端に、前記移線する電線を、一定間隔をあけて支持する各移線用下金車が備わり、
前記上側の電線又はワイヤの一端に位置する前記操作ロープの一端を引っ張ることにより、前記各吊上げロープを介して前記各移線用下金車を上昇させ、
これにより前記各移線用下金車とともに前記移線する電線を上昇させて、当該移線する電線を移線先の位置まで引き寄せ、
当該電線の両端を移線先の鉄塔に固定することを特徴とする、電線縦移線工法。
【請求項2】
前記吊上げロープの前記操作ロープに対する固定位置に対応してそれぞれ吊金車が配設され、当該各吊金車は、前記上側の電線又はワイヤに支持され、前記操作ロープに固定され、かつ前記吊上げロープの一端を固定することを特徴とする、請求項1に記載の電線縦移線工法。
【請求項3】
前記各移線用上金車の前記上側の電線又はワイヤに対する位置固定は、各移線用上金車相互を、一定間隔をあけて連結する展開ロープの両端を固定することにより行うことを特徴とする、請求項1及び2に記載の電線縦移線工法。
【請求項4】
前記移線する電線の一端と、当該移線する電線の一端を支持していた鉄塔との間にセミ金車を取り付け、当該セミ金車のワイヤを伸縮させながら、前記操作ロープを引っ張って前記移線する電線を上昇させることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の電線縦移線工法。
【請求項5】
前記ガイドローラは、前記移線用上金車の移動方向に回動可能に備わることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電線縦移線工法。
【請求項1】
2つの鉄塔間に架設された複数の電線のうち、いずれかの電線の一方の又は両方の取り付け場所を、高い位置へ移す電線縦移線工法であって、
移線先の鉄塔との間にすでに架設されており、当該電線を移線すると、直近の上側に架設されることになる電線又はワイヤに沿って一定間隔をあけて複数の移線用上金車が展開され、
当該各移線用上金車は、前記上側の電線又はワイヤに一定間隔をあけて吊り下げられ、当該上側の電線又はワイヤに対してその位置を固定され、
当該各移線用上金車に備わる操作ロープ用ローラには、複数の当該各移線用上金車を通して一本の操作ロープが通され、
当該操作ロープに、間隔をあけて複数の吊上げロープの一端がそれぞれ固定され、
当該各吊上げロープの他端は、前記移線用上金車の下端に備わるガイドローラに通して垂下され、
当該各吊上げロープの他端に、前記移線する電線を、一定間隔をあけて支持する各移線用下金車が備わり、
前記上側の電線又はワイヤの一端に位置する前記操作ロープの一端を引っ張ることにより、前記各吊上げロープを介して前記各移線用下金車を上昇させ、
これにより前記各移線用下金車とともに前記移線する電線を上昇させて、当該移線する電線を移線先の位置まで引き寄せ、
当該電線の両端を移線先の鉄塔に固定することを特徴とする、電線縦移線工法。
【請求項2】
前記吊上げロープの前記操作ロープに対する固定位置に対応してそれぞれ吊金車が配設され、当該各吊金車は、前記上側の電線又はワイヤに支持され、前記操作ロープに固定され、かつ前記吊上げロープの一端を固定することを特徴とする、請求項1に記載の電線縦移線工法。
【請求項3】
前記各移線用上金車の前記上側の電線又はワイヤに対する位置固定は、各移線用上金車相互を、一定間隔をあけて連結する展開ロープの両端を固定することにより行うことを特徴とする、請求項1及び2に記載の電線縦移線工法。
【請求項4】
前記移線する電線の一端と、当該移線する電線の一端を支持していた鉄塔との間にセミ金車を取り付け、当該セミ金車のワイヤを伸縮させながら、前記操作ロープを引っ張って前記移線する電線を上昇させることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の電線縦移線工法。
【請求項5】
前記ガイドローラは、前記移線用上金車の移動方向に回動可能に備わることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電線縦移線工法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−142005(P2010−142005A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315005(P2008−315005)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(505272618)株式会社TLC (18)
【出願人】(000139702)株式会社安田製作所 (16)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(505272618)株式会社TLC (18)
【出願人】(000139702)株式会社安田製作所 (16)
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