説明

電線送給装置

【課題】無端状ベルトによって電線を挟持する部分の長さを大きく取りつつその全体をコンパクトに構成できる電線送給装置を提供する。
【解決手段】左右一対の無端状ベルト21を巻回す駆動プーリ22および従動プーリ23はプーリ支持部材25に支持されて一体に左右方向にスライドする。駆動プーリ22を回転駆動する駆動モータ43は、前後方向にスライドするモータ支持部材40に取り付けられる。プーリ支持部材25とモータ支持部材40はリンク機構を介して接続され、左右一対の無端状ベルトは電線Wに対して常に左右対称に保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線端末処理装置と共に用いる電線送給装置に関し、より詳しくは、左右一対の無端状ベルトによって電線を挟持する部分の長さを大きく取りつつ、装置全体をコンパクトに構成できるように改良する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電線末端の絶縁被覆を除去して露出させた芯線に端子を圧着する電線端末処理を行う際には、所定の長さの電線を送給する必要がある。
そのため、前後方向に延びる電線を左右一対の駆動ローラで挟持することにより前方に送給する電線送給装置が用いられている(例えば、下記特許文献1を参照)。
【0003】
ところで、近年、環境に配慮した電線(エコ電線)が用いられるようになっている。
このエコ電線は、芯線の周囲をポリエチレン系の絶縁材料で被覆したものであるが、外傷を受けやすいため、電線送給装置の駆動ローラの外周面に設けられている滑り止めのセレーション等によって傷跡が残る場合があり問題となっていた。
そこで、駆動ローラに代えて、左右一対の無端状ベルトを用いて電線を挟持することにより電線を前方に送給する装置が採用されている(例えば、下記特許文献2を参照)。
【0004】
このような左右一対の無端状ベルトを用いる装置の構造について図7および図8を参照して概説すると、この電線送給装置1は左右一対の無端状ベルト2L,2Rを用いて電線Wを前方(図示左方向)に送給するためのものである。
無端状ベルト2L,2Rは、それぞれ駆動プーリ3L,3R、従動プーリ4L,4R、ガイドプーリ5a,5b、およびテンションプーリ6L,6Rに巻回されている。
そして、基台7上に固定された駆動モータ8と、互いに噛み合っている左右一対の駆動歯車9L,9Rとによって、左右一対の駆動プーリ3L,3Rを回転駆動することにより、左右一対の無端状ベルト2L,2Rを図示した矢印の方向に旋回させるようになっている。
【0005】
このとき、従動プーリ4L,4Rおよびガイドプーリ5a,5bを回転自在に支持している左右一対のスライドプレート10L,10Rは、基台7上に設けられたリニアガイド11,12により、左右方向(図示上下方向)にスライド自在に支持されている。
これにより、図示されないエアシリンダを伸縮させると、図7に示したように左右一対の無端状ベルト2L,2Rを互いに接近させて電線Wを挟持した状態と、図8に示したように左右一対の無端状ベルト2L,2Rを互いに離間させて電線Wを交換する状態とを取ることができる。
【0006】
なお、電線Wの送給長さを計測するための測長ローラおよび補助ローラ13L,13Rが、リニアガイド14L,14Rによって基台7に対し左右方向にスライド自在に支持されている。
また、補助ローラ13Rには一方の従動プーリ13Rの回転がベルト15によって伝達され、電線Wの前方への移動に伴って一体に回転するようになっている。
【0007】
【特許文献1】特開平10−236733号公報
【特許文献2】特開2002−8462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来の電線送給装置1においては、無端状ベルト2L,2Rのうち電線Wを挟持している部分は、図7に示したように従動プーリ4L,4Rからガイドプーリ5b,5bに至る長さがL1の部分であり、無端状ベルト2L,2Rの全長の約4分の1に過ぎない。
そのため、電線Wを確実に送給するべく電線Wを挟持する部分の長さL1の値を大きく取ろうとすると、駆動プーリ3L,3Rと従動プーリ4L,4Rとの間の前後方向の間隔を大きくせざるを得ず、この電線送給装置1の全体が大型化してしまう。
【0009】
また、上述した従来の電線送給装置1においては、駆動プーリ3L,3R、テンションプーリ6L,6Rが基台7上に支持され、従動プーリ4L,4R、ガイドプーリ5a,5bがスライドプレート10L,10R上に支持されている。
そして、左右一対の駆動プーリ3L,3Rは、左右一対の駆動歯車9L,9Rが互いに噛み合う構造に起因して、その芯間距離を拡げることができない。
これにより、図8に示したように、電線Wを交換するためにスライドプレート10L,10Rを左右方向に変位させて無端状ベルト2L,2Rを離間させると、これらの無端状ベルト2L,2Rに弛みが生じてガイドプーリ5a,5bやテンションプーリ6L,6Rから浮き上がり、最悪の場合には脱落するおそれもあった。
【0010】
そこで本発明の目的は、上述した従来技術が有する問題点を解消し、無端状ベルトによって電線を挟持する部分の長さを大きく取りつつその全体をコンパクトに構成することができるとともに、無端状ベルトを電線から離間させたときに無端状ベルトに弛みが生じることのない電線送給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するための請求項1に記載した手段は、
前後方向に延びる電線を左右一対の無端状ベルトで左右方向に挟持して送給する電線送給装置であって、
前記装置の基台上に前記電線を挟んで左右対称に、かつそれぞれ左右方向にスライド自在に支持された左右一対の第1の支持部材と、
前記左右一対の第1の支持部材の一方にその一端が接続されるとともに他方にその他端が接続された、前記左右一対の第1の支持部材を左右方向に接離させる接離手段と、
前記左右一対の第1の支持部材にそれぞれ回転自在に支持された、前記無端状ベルトが巻回される左右一対の駆動プーリおび従動プーリの組と、
前記装置の基台上に前後方向にスライド自在に支持された、前記駆動プーリを回転駆動するための駆動手段を支持する第2の支持部材と、
前記駆動手段の回転駆動力を前記左右一対の駆動プーリにそれぞれ伝達する回転駆動力伝達手段と、
前記左右一対の第1の支持部材にその一端がそれぞれ軸支されるとともに前記第2の支持部材にその他端がそれぞれ軸支された、前記電線を挟んで左右対称に配設された左右一対の接続リンクと、を備えることを特徴とする。
【0012】
すなわち、請求項1に記載した電線送給装置は、左右一対の無端状ベルトをそれぞれ巻回す左右一対の駆動プーリおよび従動プーリの組が、それぞれ第1の支持部材に支持されて一体に電線に接離する構造である。
これにより、無端状ベルトのうち駆動プーリと従動プーリとの間で直線状に延びる部分の全体を電線に接触させることができるから、電線を挟持する部分の長さを大きく取ることができる。
また、左右一対の無端状ベルトを電線に対して左右方向に接離させても無端状ベルトに弛みが生じることがないから、無端状ベルトがプーリから外れたり、歯付きベルトの場合にベルトの内周歯がプーリの外周歯に乗り上げたりすることがない。
さらに、左右一対の第1の支持部材がそれぞれ左右方向にスライド自在であり、第2の支持部材が前後方向にスライド自在であり、かつ電線に対して左右対称に配設された左右一対の接続リンクが左右一対の第1の支持部材と第2の支持部材とを接続している。
これにより、左右一対の第1の支持部材は電線に対して常に左右対称に位置決めされるから、左右一対の無端状ベルトは電線を左右方向に位置ずれさせることなく確実に挟持することができる。
【0013】
また、請求項2に記載した電線送給装置は、請求項1に記載した電線送給装置における前記回転駆動力伝達手段が、前記左右一対の駆動プーリとそれぞれ同軸にかつ一体に回転する左右一対の第1の歯車と、
前記第2の支持部材上に前記電線に対して左右対称にかつ回転自在に支持されて互いに噛み合うとともに、前記左右一対の第1の歯車とそれぞれ噛み合い、かつ前記駆動手段によって回転駆動される左右一対の第2の歯車と、を有することを特徴とする。
【0014】
すなわち、請求項2に記載した電線送給装置においては、第2の支持部材に支持されて前後方向に変位する駆動手段が出力する回転駆動力を、左右一対の第2の歯車および左右一対の第1の歯車を介して左右一対の駆動プーリへと確実に伝達することができる。
また、駆動手段および回転駆動力伝達手段を、駆動プーリと従動プーリとの間の前後方向のスペース内に集中させて配設することができるから、この電線送給装置の全体をコンパクトにまとめることができる。
【0015】
また、請求項3に記載した電線送給装置は、請求項1または2に記載した電線送給装置における前記左右一対の接続リンクが、
前記電線に対して左側にある前記第1の歯車の回転支軸にその一端が軸支されるとともに、前記電線に対して左側にある前記第2の歯車の回転支軸にその他端が軸支された右側の接続リンクと、
前記電線に対して左側にある前記第1の歯車の回転支軸にその一端が軸支されるとともに、前記電線に対して左側にある前記第2の歯車の回転支軸にその他端が軸支された左側の接続リンクであることを特徴とする。
【0016】
すなわち、請求項3に記載した電線送給装置は、左右一対の接続リンクの両端をそれぞれ第1および第2の歯車の支軸に軸支する構造であるから、第1の歯車と第2の歯車の芯間距離を常に一定に保持して回転駆動力を確実に伝達することができるばかりでなく、この電線送給装置の全体をコンパクトにまとめることができる。
【0017】
また、請求項4に記載した電線送給装置は、請求項1乃至3のいずれかに記載した電線送給装置に対し、前記電線を左右方向に挟持してその送給長さを計測する、前記左右一対の第1の支持部材にそれぞれ回転自在に支持された補助ローラおよび測長ローラを追加するとともに、
前記補助ローラは、その周速が前記駆動プーリの周速よりも速くなるように前記駆動プーリの回転が伝達されることを特徴とする。
【0018】
すなわち、請求項4に記載した電線送給装置においては、左右一対のベルトによって前方に送給された電線を補助ローラと測長ローラが左右方向に挟持すると、電線の前進に伴って測長ローラが回転するので電線の送給長さを計測することができる。
このとき、補助ローラには、例えばプーリとベルトの組み合わせによって駆動プーリの回転を伝達することができるが、補助ローラの周速が駆動プーリの周速よりも速くなるように補助ローラを回転させることにより、電線に対し送給方向の前方に向けて軽い張力を付加することができる。
これにより、電線に緩みが生じることはないから、左右一対のベルトから前方に送給された電線の送給長さを測長ローラによって正確に計測することができる。
【0019】
また、請求項5に記載した電線送給装置は、請求項1乃至4のいずれかに記載した電線送給装置における前記接離手段が、前記左右一対の第1の支持部材の一方にそのシリンダが固定されるとともに他方にそのピストンが接続されたエアシリンダであることを特徴とする。
【0020】
すなわち、請求項5に記載した電線送給装置においては、エアシリンダに供給する圧縮空気の圧力を制御することにより、左右一対の無端状ベルトが電線を挟持する力の大きさを常に一定に制御することができるから、電線を安定的に送給することができる。
【0021】
また、請求項6に記載した電線送給装置は、請求項5に記載した電線送給装置に対し、前記エアシリンダに供給する空気圧を前記電線の太さに応じて調整する空気圧調整手段を追加したものである。
【0022】
すなわち、請求項6に記載した電線送給装置においては、エアシリンダに供給する空気の圧力を空気圧調整手段によって制御し、太い電線を送給するときにはエア圧を高くし、細い電線を送給する場合にはエア圧を低くする。
これにより、太い電線を送給するときには左右一対のベルトが電線を挟持する力を強め、細い電線を送給するときには左右一対のベルトが電線を挟持する力を弱めることができるから、電線ドラムから引き出された電線の曲がり癖を矯正するストレーナ(上記特許文献1を参照)から電線を確実に引き出して前方に送給することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、無端状ベルトによって電線を挟持する部分の長さを大きく取りつつその全体をコンパクトに構成することができるとともに、無端状ベルトを電線から離間させたときに無端状ベルトに弛みが生じることのない電線送給装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図1〜図6を参照し、本発明に係る電線送給装置の一実施形態について詳細に説明する。
なお、以下の説明においては、電線が延びる方向を前後方向、電線を水平に挟む方向を左右方向と言い、かつ同一の部分には同一の符号を用いて重複した説明を省略する。
【0025】
まず最初に図1〜図4を参照し、本実施形態の電線送給装置の全体構造について概説すると、この電線送給装置100は、前後方向(図示左右方向)に水平に延びる電線Wを左右一対の無端状歯付きベルト21L,21Rで左右方向(図示上下方向)に挟持して前方(図示左方向)に送給するものである。
【0026】
左右一対のベルト21L,21Rは、左右一対の歯付き駆動プーリ22L,22R、左右一対の歯付き従動プーリ23L,23Rにそれぞれ巻回されるとともに、補助プーリ24a,24bによってその撓みが防止されて電線Wに密着するようになっている。
そして各プーリは、左右一対のプーリ支持部材(第1の支持部材)25L,25Rにそれぞれ軸受を介して回転自在に支持されている。
【0027】
左右一対のプーリ支持部材25L,25Rの端部には、電線Wの送給長さを計測するための補助ローラ26と測長ローラ27が、電線Wを左右方向に挟持するようにそれぞれ回転自在に支持されている。
そして、補助ローラ26と一体に回転する小径のプーリ26aと、駆動プーリ22Rと一体に回転する大径のプーリ22aとの間にはベルト28が巻回されている。
これにより、補助ローラ26にはベルト28によって右側の駆動プーリ22Rの回転が伝達され、その周速は右側の駆動プーリ22Rの周速よりもわずかに速くなっている。
また、左側の測長ローラ27は、左側のプーリ支持部材25L上に設けられて左右方向に水平に延びるリニアガイド28によって左右方向にスライド自在に支持されるとともに、右側の測長ローラ26Rに向けて図示されない付勢手段によって常に付勢され、さらには図示されないエンコーダに接続されて電線Wの送給長さを計測するようになっている。
これにより、左右一対のベルト21L,21Rから前方に送給される電線Wに対し、補助ローラ26により前方に向けて軽い張力を付加することができるから、電線Wに弛みが生じることはなく、測長ローラ27によって電線Wの送給長さを正確に計測することができる。
なお、左右一対の測長ローラ26,27は、いずれもその外周面が平滑に仕上げられ、電線Wの絶縁被覆の表面を傷つけないようになっている。
【0028】
左右一対のプーリ支持部材25L,25Rは、装置の基台30の上端部に設けられて左右方向に水平に延びる前後一対のリニアガイド31L,31R,32L,32Rにより、それぞれ左右方向にスライド自在に支持されている。
また、左側のプーリ支持部材25Lにはエアシリンダ(接離手段)のシリンダ本体33が固定され,右側のプーリ支持部材25Rにはエアシリンダのピストン34の先端部分が接続されている。
これにより、エアシリンダのピストン34をシリンダ本体33から出没させることによって、左右一対のプーリ支持部材25L,25Rを、図1に示したように電線Wを挟んで互いに接近させ、あるいは図2に示したように互いに離間させることができる。
【0029】
また、シリンダ本体33に供給する空気圧を制御することにより、左右一対のベルト21L,21Rが電線Wを挟持する力の大きさを適切なものとすることができる。
すなわち、上記特許文献1の図1にも描かれているように、電線の束から引き出された電線には曲がり癖が付いているため、複数のローラを用いたストレーナの間に通すことにょってこの曲がり癖を取り除く必要がある。
このとき、電線Wがより太くなるにつれ、ストレーナから電線を引き出すために必要な力がより大きくなる。
そこで、本実施形態の電線送給装置100においては、図示されない圧縮空気供給手段からシリンダ本体33に供給する圧縮空気の圧力の高低を、例えばレギュレータ等の空気圧調整手段を用いて調整する。
これにより、電線Wが太い場合には、シリンダ本体33に供給する圧縮空気の空気圧を高めて、左右一対のベルト21L,21Rが電線Wを挟持する力を大きし、電線Wをストレーナから確実に引き出して前方に送給することが可能となる。
【0030】
一方、図3および図4に示したように、装置の基台30のうち前後一対のリニアガイド31L,31R,32L,32Rが設けられている部分よりも下側の部分には、駆動モータ支持部材(第2の支持部材)40が、前後方向に延びる左右一対のリニアガイド41,42によって前後方向にスライド自在に支持されている。
この駆動モータ支持部材40の左端には、駆動モータ43が取り付けられてプーリ44を回転駆動するようになっている。
また、駆動モータ支持部材40には、互いに噛み合う左右一対の第2の歯車45,46が、電線Wの軸線Cに対して左右対称にかつ回転自在に支持されている。
そして、左側の第2の歯車45の下側には、同軸かつ一体に回転するプーリ47が取り付けられ、かつ上述したプーリ44との間にベルト48が巻回されている。
これにより、駆動モータ43によって左右一対の第2の歯車45,46を回転駆動することができるようになっている。
【0031】
また、左右一対のプーリ支持部材25L,25Rにそれぞれ回転自在に支持されている左右一対の駆動プーリ22L,22Rには、図4に示したように、左右一対の第1の歯車51,52がそれぞれ同軸にかつ一体に回転するように取り付けられている。
これらの第1の歯車51,52は、図5に示したように、左右一対の第2の歯車45,46とそれぞれ互いに噛み合っている。
これにより、図5に示したように、駆動モータ43を作動させてプーリ44を時計方向に回転させると、左側の第2の歯車45は時計方向に回転し、右側の第2の歯車46が反時計方向に回転するので、左側の第1の歯車51は反時計方向に回転し、右側の第1の歯車52が時計方向に回転する。
すると、図1に示したように、左側の駆動プーリ22Lが反時計方向に回転し、右側の駆動プーリ22Rが時計方向に回転するため、左右一対のベルト21L,21Rは図1中に矢印で示したように旋回して電線Wを前方に送給する。
【0032】
他方、図3〜図6に示したように、左右一対の第1の歯車51,52の支軸には、左右一対の接続リンク61,62の一端がそれぞれ揺動自在に軸支されている。
また、左右一対の第2の歯車45,46の支軸には、左右一対の接続リンク61,62の他端がそれぞれ揺動自在に軸支されている。
このとき、左右一対の接続リンク61,62はその長さが等しくて電線Wの軸線Cに対し左右対称に配設されるとともに、左右一対の第2の歯車45,46は電線Wの軸線Cに対して左右対称に配設され、かつ左右一対の第1の歯車51,52は左右方向にのみ変位可能である。
これにより、左右一対のプーリ支持部材25L,25Rは電線Wの軸線Cに対して左右対称に位置決めされることになる。
したがって、左右一対の無端状ベルト21L,21Rは、電線Wの軸線Cに対して左右対称に位置決めされながら、左右方向にスライド可能となることが保証される。
【0033】
さらに、左右一対の第1の歯車51,52と左右一対の第2の歯車45,46との間の芯間距離は左右一対の接続リンク61,62によってそれぞれ常に一定に保持される。
これにより、左右一対のプーリ支持部材25L,25Rの左右方向のスライド位置にかかわらず、駆動モータ43の回転駆動力を左右一対の駆動プーリ22L,22Rに常に確実に伝達することができる。
【0034】
さらにまた、駆動モータ43,左右一対の第2の歯車45,46、および左右一対の接続リンク61,62は、左右一対の駆動プーリ22L,22Rと左右一対の従動プーリ23L,23Rの前後方向のスペース内に収められている。
これにより、この電線送給装置100は、左右一対のベルト21L,21Rによって電線Wを左右方向に挟持する長さL2の値を大きく確保したものでありながら、その前後方向の大きさがコンパクトなものとなっている。
【0035】
加えて、左右一対の駆動プーリ22L,22Rおよび左右一対の従動プーリ23L,23Rは、それそれ左右一対のプーリ支持部材25L,25Rに支持されている。
これにより、左右一対のプーリ支持部材25L,25Rを左右方向に接離させても、左右一対のベルト21L,21Rに弛みが生じることがないから、これらのベルトが各プーリから脱落したり、それらの内周歯が各プーリの外周歯に乗り上げたりすることがない。
【0036】
以上、本発明に係る電線送給装置の一実施形態ついて詳しく説明したが、本発明は上述した実施形態によって限定されるものではなく、種々の変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、左右一対のプーリ支持部材25L,25R上にテンションプーリを設けることもできるし、あるいは左右一対の従動プーリ23L,23Rを左右一対の駆動プーリ22L,22Rに対して前後方向に位置調整自在として、左右一対のベルト21L,21Rの張力を適切に維持することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の電線送給装置の一実施形態を示す平面図。
【図2】図1に示した電線送給装置を開いた状態で示す平面図。
【図3】図1に示した電線送給装置の右側面図。
【図4】図1に示した電線送給装置を正面断面図。
【図5】回転駆動力の伝達経路を模式的に示す平面図。
【図6】図1に示した電線送給装置を開いた状態で示す平面図。
【図7】従来の電線送給装置を示す平面図。
【図8】従来の電線送給装置を開いた状態で示す平面図。
【符号の説明】
【0038】
1 従来の電線送給装置
2 無端状ベルト
3 駆動プーリ
4 従動プーリ
5 ガイドプーリ
6 テンションプーリ
7 基台
8 駆動モータ
9 駆動歯車
10 スライドプレート
11,12 リニアガイド
13 測長ローラ
14 リニアガイド
21 無端状ベルト
22 駆動プーリ
23 従動プーリ
24 補助プーリ
25 プーリ支持部材(第1の支持部材)
26 補助ローラ
27 測長ローラ
28 ベルト
29 リニアガイド
30 基台
31,32 リニアガイド
33 シリンダ本体
34 ピストン
40 モータ支持部材(第2の支持部材)
41,42 第2の支持部材
43 駆動モータ
44 プーリ
45,46 第2の歯車
47 プーリ
48 ベルト
51,52 第1の歯車
61,62 接続リンク
100 一実施形態の電線送給装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に延びる電線を左右一対の無端状ベルトで左右方向に挟持して送給する電線送給装置であって、
前記装置の基台上に前記電線を挟んで左右対称に、かつそれぞれ左右方向にスライド自在に支持された左右一対の第1の支持部材と、
前記左右一対の第1の支持部材の一方にその一端が接続されるとともに他方にその他端が接続された、前記左右一対の第1の支持部材を左右方向に接離させる接離手段と、
前記左右一対の第1の支持部材にそれぞれ回転自在に支持された、前記無端状ベルトが巻回される左右一対の駆動プーリおび従動プーリの組と、
前記装置の基台上に前後方向にスライド自在に支持された、前記駆動プーリを回転駆動するための駆動手段を支持する第2の支持部材と、
前記駆動手段の回転駆動力を前記左右一対の駆動プーリにそれぞれ伝達する回転駆動力伝達手段と、
前記左右一対の第1の支持部材にその一端がそれぞれ軸支されるとともに前記第2の支持部材にその他端がそれぞれ軸支された、前記電線を挟んで左右対称に配設された左右一対の接続リンクと、を備えることを特徴とする電線送給装置。
【請求項2】
前記回転駆動力伝達手段は、
前記左右一対の駆動プーリとそれぞれ同軸にかつ一体に回転する左右一対の第1の歯車と、
前記第2の支持部材上に前記電線に対して左右対称にかつ回転自在に支持されて互いに噛み合うとともに、前記左右一対の第1の歯車とそれぞれ噛み合い、かつ前記駆動手段によって回転駆動される左右一対の第2の歯車と、
を有することを特徴とする請求項1に記載した電線送給装置。
【請求項3】
前記左右一対の接続リンクは、
前記電線に対して右側にある前記第1の歯車の回転支軸にその一端が軸支されるとともに、前記電線に対して右側にある前記第2の歯車の回転支軸にその他端が軸支された右側の接続リンクと、
前記電線に対して左側にある前記第1の歯車の回転支軸にその一端が軸支されるとともに、前記電線に対して左側にある前記第2の歯車の回転支軸にその他端が軸支された左側の接続リンクであることを特徴とする請求項1または2に記載した電線送給装置。
【請求項4】
前記電線を左右方向に挟持してその送給長さを計測する、前記左右一対の第1の支持部材にそれぞれ回転自在に支持された補助ローラおよび測長ローラと、
前記補助ローラの周速が前記駆動プーリの周速よりも速くなるように前記補助ローラを回転駆動する補助ローラ回転駆動手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載した電線送給装置。
【請求項5】
前記接離手段は、前記左右一対の第1の支持部材の一方にそのシリンダが固定されるとともに他方にそのピストンが接続されたエアシリンダであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載した電線送給装置。
【請求項6】
前記エアシリンダに供給する空気圧を前記電線の太さに応じて調整する空気圧調整手段をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載した電線送給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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