説明

電解コンデンサ用ソケット

【課題】電解コンデンサの内圧が上昇した場合でも保持力の低下等の不都合をなくして、回路のリユースを価値あるものとする。
【解決手段】本体部62の下端面にリード63,64を備えた電解コンデンサ61の下端面を受ける支持部12を有し、該支持部12に、前記リード63,64を回路基板51に対して電気的に接続させる接続端子31が設けられた電解コンデンサ用ソケット11であって、前記支持部12には、前記電解コンデンサ61の本体部62におけるリード63,64側部分を着脱可能に保持する保持部13が形成されるとともに、前記支持部12の上面に、前記電解コンデンサ61の本体部62における下端部の封口ゴム65の変形を許容する凹所14が形成された電解コンデンサ用ソケット11。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電解コンデンサ用ソケットに関し、より詳しくは、寿命の短い電解コンデンサを取り替えられるようにして、回路のリユースを可能にするような電解コンデンサ用ソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
電解コンデンサは、主に電源の平滑回路などに、他の回路部品とともに使用される。
【0003】
しかし、電解コンデンサは、ほかの回路部品が長期間にわたって使用できるのに対して、それよりも寿命が短い。そして、電解コンデンサの中でも、一般に、静電容量の小さい電解コンデンサは、静電容量の大きい電解コンデンサよりも寿命が短い。このような電解コンデンサを実装しているので、回路の寿命は、電荷コンデンサ、なかでも静電容量の小さい電解コンデンサの寿命によって決まっていた。
【0004】
回路をリユースするためには、寿命の尽きた電解コンデンサを取り替える必要があるが、電解コンデンサは、プレスフィット構造やはんだ付けによる取り付けが一般的であった。
【0005】
この点、下記特許文献1のような電解コンデンサ用ソケットが提案されている。これは、導電性足部を垂設した板状のソケットベースと、このソケットベースに装着された電解コンデンサを固定するように前記ソケットベースに係合されるソケット部カバーを有するものである。前記導電性足部には、電解コンデンサのリードが挿入される挿入穴が形成され、リードと一直線上に延びる前記導電性足部の先端部が回路基板にはんだ付けされることによって、前記ソケットベースが浮いた状態で固定される構造である。
【0006】
これによれば、電解コンデンサを抜き差しすることで電解コンデンサの着脱が可能であるので、劣化した電解コンデンサを取り替えることができ、回路のリユースが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平3−68386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、図15に示したように、電解コンデンサ101は、電解液を有する素子102をケース103で覆って、リード104,105が延びる下端の開口を封口ゴム106で封止した構造であり、周囲温度や、印加電圧、リプル電流等の影響により内圧が上昇することがある。内圧が上昇すると、図15に仮想線で示したように前記封口ゴム106が膨張変形する。このような変形が発生すると、電解コンデンサ101の下端面が前記ソケットベースに接しているので、電解コンデンサ101の本体部107が浮き上がり、電解コンデンサ101を保持する保持力が低下するおそれがある。
【0009】
保持力が低下してしまえば、回路をリユースできたとても、耐震性が低下して電解コンデンサの不測の脱落が起こるなど、回路の性能を劣化させることになるので、本末転倒のような結果を招来し、回路をリユースできる価値を減殺してしまう。
【0010】
そこで、この発明は、電解コンデンサの内圧が上昇した場合でも保持力の低下等の不都合をなくして、回路のリユースを価値あるものとすることを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そのための手段は、本体部の下端面にリードを備えた電解コンデンサの下端面を受ける支持部を有し、該支持部に、前記リードを回路基板に対して電気的に接続させる接続端子が設けられた電解コンデンサ用ソケットであって、前記支持部には、前記電解コンデンサの本体部におけるリード側部分を着脱可能に保持する保持部が形成されるとともに、前記支持部の上面に、前記電解コンデンサの本体部における下端部の封口ゴムの変形を許容する凹所が形成された電解コンデンサ用ソケットである。
【0012】
この構成では、保持部に保持された電解コンデンサは着脱可能である。また、保持部が電解コンデンサの本体部を安定させるとともに、支持部の凹所が電解コンデンサの封口ゴムの膨張を許容して、電解コンデンサに対する保持力を維持させる。
【0013】
前記支持部には、支持部の外周面から前記凹所に通じる連通溝が形成されるとよい。封口ゴムが膨張収縮したときに、連通溝を通して空気が移動可能で、膨張収縮を円滑にして、保持力の維持を図る。
【0014】
この場合、前記連通溝が、前記リードが接続される2個の前記接続端子を結ぶ直線上に形成されたものであるとよい。連通溝は、電解コンデンサのリードを挿入する位置と一致するので、電解コンデンサを保持部に保持させるときの目印としての機能を果たす。
【0015】
前記支持部の下面には、前記回路基板に接地する接地面が形成されるとよい。接地面が回路基板に接地することによって、電解コンデンサ用ソケットを実装したときの安定化を図り、接続端子で支えた場合に比して、振動に対する耐久性を向上する。
【0016】
前記保持部には、電解コンデンサの本体部における括れ部分を掴持する係止手段が形成されるとよい。係止手段が電解コンデンサを積極的に保持するので、強固な保持が可能で、電解コンデンサが振動によって不測に脱落することを防ぐ。
【0017】
この係止手段は、保持部の上部から垂設されて内外に弾性変位可能な係止ばね部で構成されたものであるとよい。垂設した構造であるので、係止ばね部の長さを長くすることができ、電解コンデンサが、大きさや括れ部分の位置・大きさにばらつきのある既製の汎用品であっても、良好な固定状態を得たり、電解コンデンサに掛かる負荷を軽減したりすることが容易である。
【0018】
前記接続端子は、前記リードが挿入される有底筒状の挿入孔を有し、該挿入孔の内周に、挿入された前記リードを弾力的に押えるばねを備えたものであるとよい。ばねが弾性力をもってリードに接触するので、確実に導電性を得られるとともに、リードの差込に際しての負荷を軽減できる。また、有底筒状の挿入孔が、電解コンデンサから万が一液漏れが発生したときでも、その液が回路基板等の他の部位へ達するのを防ぐ。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、この発明によれば、電解コンデンサが着脱可能であるので、回路のリユースが容易に行える。しかも、支持部の凹所が封口ゴムの変形を許容して保持部による電解コンデンサの保持を維持しようとするので、電解コンデンサの不測の脱落などの不都合をなくして、リユース可能にしたことによって弊害が生じるようなことはなく、回路としての機能を確実に果たさせるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】電解コンデンサ用ソケットの作用状態を示す断面図。
【図2】電解コンデンサ用ソケットの斜視図。
【図3】電解コンデンサ用ソケットの斜視図。
【図4】電解コンデンサ用ソケットの平面図。
【図5】図4のA−A断面図とB−B断面図。
【図6】電解コンデンサ用ソケットと電解コンデンサの関係を示す断面図。
【図7】電解コンデンサ用ソケットに対する電解コンデンサの差し込み方を示す側面図。
【図8】電解コンデンサ用ソケットの実装方法を示す説明図。
【図9】電解コンデンサの実装方法を示す説明図。
【図10】電解コンデンサ用ソケットの作用状態を示す説明図。
【図11】他の例に係る電解コンデンサ用ソケットの斜視図。
【図12】他の例に係る電解コンデンサ用表面実装ソケットの斜視図。
【図13】図12に示した電解コンデンサ用表面実装ソケットの断面図と底面図。
【図14】図12に示した電解コンデンサ用表面実装ソケットの作用状態を示す断面図。
【図15】電解コンデンサの内部構造を示す片側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
図1は、電解コンデンサ用ソケット11(以下、「ソケット」という。)の使用状態を示す断面図であり、この図に示すようにソケット11は、回路基板51に対してはんだ付けにより固定され、電解コンデンサ61を着脱可能に保持するものである。そして、その保持状態は、電解コンデンサ61の内圧が上昇して一部が膨張変形してもその変形を許容することで、確実に維持される構造を有している。前記電解コンデンサ61は、本体部62の下端面にプラス極とマイナス極の2本のリード63,64を備えた一般汎用タイプのものである。
【0022】
まず、この構造の概要について説明する。
図2は、ソケット11の上面側からの斜視図、図3は、下面側からの斜視図、図4は平面図、図5は、図4におけるA−A断面図とB−B断面図である。これらの図に示すように、ソケット11は、電解コンデンサ61の本体部62の下端面を受ける支持部12を有し、この支持部12に、前記電解コンデンサ61の本体部62から下に延びる前記リード63,64を回路基板51に対して電気的に接続させる接続端子31が設けられている。また、前記支持部12には、前記電解コンデンサ61の本体部62におけるリード63,64側部分を着脱可能に保持する保持部13が形成されるとともに、前記支持部12の上面に、前記電解コンデンサ61の本体部62における下端部の封口ゴム65(図1参照)の変形を許容する凹所14が形成されている。
【0023】
つぎに具体的に説明する。
前記支持部12と保持部13は合成樹脂で一体成形されている。支持部12は、前記リード63,64を下に向けて立てた姿勢の電解コンデンサ61を2個並べられる大きさの平面視略長方形状に形成されている。この支持部12の上面の外周部位に、前記保持部13が立設される。
【0024】
保持部13は、電解コンデンサ61の本体部62の全体を包む円筒状であってもよいが、図2、4等に示したごとく、部分的に切欠部16を有する形状をなしている。すなわち、保持される電解コンデンサ61の外周面が平面視において3箇所露出するように、支持部12の長手方向の中間部に位置する内側保持部13aと、長手方向の両端部に位置する2個で一対の外側保持部13bとが形成され、内側保持部13aと外側保持部13bの間と、外側保持部13b同士の間に、前記切欠部16を有する形状である。
【0025】
これら保持部13の高さは、電解コンデンサ61の本体部62を所望の保持力で保持するために必要な適宜高さに設定される。
【0026】
そして、前記二対の外側保持部13bには、電解コンデンサ61の本体部62に対する積極的な保持を行うため、保持した電解コンデンサ61の本体部62における括れ部分62aを掴持する係止手段が形成されている。
【0027】
この係止手段は、保持部13の内周面に一体形成された突条などであってもよいが、図5(b)に示したごとく、内外に弾性変位可能な係止ばね部17で構成されている。係止ばね部17は、前記外側保持部13bの上部における幅方向の中間部から下へ向けて延びるように垂設されている。そして、この係止ばね部17の先端部には、内方へ突出する突部17aが形成されている。この突部17aは、電解コンデンサ61の本体部62の括れ部分62aに係合するように形成位置や大きさが適宜設定されている。
【0028】
また、好ましくは、図6(a)に示したように、電解コンデンサ61の保持が不完全なうちは係止ばね部17の突部17aが括れ部分62aにカチッと節度をもって係止しないが、図6(b)に示したように電解コンデンサ61の保持が完全になると係止ばね部17の突部17aが括れ部分62aに節度をもって係止するように、前記突部17aの高さや大きさ、前記電解コンデンサ61のリード63,64の長さなどを設定すると、電解コンデンサ61の取り付けミスを防止できるのでよい。
【0029】
このように形成された保持部13の下端近傍、すなわち支持部12の上面における外周部位には、電解コンデンサ61の本体部62における下端面の外周部を受ける平坦な受け面18が形成されている(図1、図6参照)。
【0030】
そして、この受け面18の内側であって電解コンデンサ61の本体部62における下端部の封口ゴム65に対応する部位には、その変形を許容するために、前記凹所14が形成されている。この凹所14は、平面視円形に形成され、深さは、封口ゴム65の膨張変形を考慮して適宜深さに設定される。
【0031】
そしてこの凹所14の内底面には、下面に貫通するそれぞれ2個の貫通孔19が形成されており、この貫通孔19に前記接続端子31が備えられている。貫通孔19は、図5(a)に示したように上部が大径で下部がそれよりも小径となるように段部19aを有し、接続端子31を圧入することで、接続端子31が貫通孔19内に一体的に保持されるように構成されている。前記2個ずつの貫通孔19は、図4に示したように前記支持部12の長手方向に沿って並設されている。
【0032】
また、このような凹所14を有する支持部12には、図1、図2、図5(a)に示したように、支持部12の外周面から前記凹所14に通じる連通溝20が形成されている。この連通溝20は、適宜幅、適宜深さの直線状をなし、前記2個の貫通孔19を結ぶ直線上に形成されている。すなわち、図2、図4に示したように、前記受け面18における前記外側保持部13bの間の切欠部16に対応する部位に形成されている。この構成より、電解コンデンサ61を保持部13に保持しようとするときには、図7に示したように、前記連通溝20と電解コンデンサ61のリード63,64が一直線上に並ぶことになる。
【0033】
前記貫通孔19の並ぶ方向が前記と異なる場合には、それに合わせるとよい。
【0034】
さらに、支持部12の下面には、図1に示したように、ソケット11を固定する前記回路基板51に接地する接地面21が形成されている。この接地面21のうち、支持部12の長手方向の両端部には、下に向けて突出する嵌合突起22が設けられる(図5(a)参照)。この嵌合突起22は、回路基板51に形成された嵌合孔52に嵌合して位置決めをするものである。
【0035】
前記接続端子31は、導電性を有する金属で形成され、図5(a)に示したように、前記リード63,64が挿入される有底筒状の挿入孔32を有し、この挿入孔32の内周に、挿入された前記リード63,64を弾力的に押えるばね33を備えたものであって、ピン状の外観を有する。
【0036】
具体的には、前記貫通孔19に収まる大径部34を上部に有し、それよりも細い小径部35を下部に有する。そして、大径部34は、前記貫通孔19の段部19aに係止する鍔部34aと、その段部19aよりも下の小径の部分に食い込む爪部34bを有し、内側に前記挿入孔32を有する。そしてこの挿入孔32の内側に、略円筒状をなし、下部には、下に行くほどすぼまる複数枚の板ばね33aを有した前記ばね33が一体に固定されている。このばね33は、一旦挿入された前記リード63,64の引抜を許容しつつも、挿入したリード63,64に確実に接触し、保持する。
【0037】
なお、接続端子31における前記小径部35は、リード部品のように、前記支持部12の接地面21よりも下に、直線状に延びている。これは、ソケット11を、リード部品のようにスルーホール実装するように構成したためである(図1参照)。
【0038】
以上のように構成されたソケット11は、回路基板51の所定位置にはんだ付けにより搭載された後、電解コンデンサ61を保持する。
【0039】
すなわち、図8(a)に示したように、回路基板51には、ソケット11の接続端子31を挿入するスルーホール53と、ソケット11の接地面21の嵌合突起22を嵌合する前記嵌合孔52が形成されており、接続端子31と嵌合突起22がそれぞれスルーホール53と嵌合孔52に嵌まるようにソケット11を回路基板51に載せて、フロー方式によりはんだ付けをする(図8(b)参照)。このはんだ付けは、図示しないその他の回路部品とともに行う。
【0040】
ソケット11をはんだ付けにより回路基板51に実装すると、支持部12の接地面21が回路基板51の表面に面接触して、嵌合突起22による嵌合と相俟って、安定した実装状態が得られ、耐振性も高い。
【0041】
つぎに、図9(a)に示したように、ソケット11の貫通孔19、つまり接続端子31の挿入孔32と、電解コンデンサ61のリード63,64の向きを合わせて、リード63,64を挿入孔32に挿入し、本体部62を保持部13の内側に差し込む。このとき、リード63,64のプラス・マイナスと、接続端子31のプラス・マイナスを合わせる。接続端子31の長さを、例えばプラスよりもマイナスの方が長くなるようにしたり、前記凹所14の内底面に目印を付したりするなどしておけば、プラスとマイナスを間違いなく接続できる。電解コンデンサ61を機械によって自動装着する場合には、電解コンデンサ61のプラス・マイナスの向きを予め正しく設定できるので、前記の目印などは不要である。
【0042】
また、前記のように、支持部12に連通溝20が形成されているので、これを目印にすれば、正しい挿入が容易に行える(図7参照)。
【0043】
さらに、リード63,64の挿入孔32に対する挿入は、挿入孔32の内周にばね33が備えられているので、リード63,64に過大な負荷を掛けることなく容易に行える。
【0044】
電解コンデンサ61をソケット11に差し込むと、図9(b)に示したように、リード63,64が接続端子31の挿入孔32に入り、挿入孔32内のばね33によってリード63,64が接続端子31に確実に接触して、導通状態が得られる。また、電解コンデンサ61の本体部62は、保持部13の係止ばね部17によって掴持され、積極的に保持される。
【0045】
このとき、本体部62の下端面が支持部12の受け面18に面接触し、安定した保持状態が得られる。このため、耐振性が高く、振動が生じてもリード63,64に負荷がかかることを阻止できる。
【0046】
また、電解コンデンサ61の本体部62を保持部13の内側に差し込むと、保持部13の係止ばね部17が弾性変位させられて外方に変位したのち、先端の突部17aが括れ部分62aに対して節度をもってカチッと係止する。つまり、良好なクリック感が得られ、取り付けが完了する。このため、本体部62に過大な負荷をかけずに確実な取り付け状態が得られる。
【0047】
さらに、保持部13の係止ばね部17は、上から垂設されたものであるので、先端に前記突部17aを有する係止ばね部17の長さを、下から延ばした場合に比して長く形成することができて、十分な弾性変形を可能にすることが可能である。このため、本体部62の径や括れ部分62aの位置・大きさにばらつきのある既製の、一般汎用タイプの電解コンデンサ61に対しても、高い保持力で保持ができる。
【0048】
そして、作動することによって電解コンデンサ61の内圧が上昇して、封口ゴム65が膨張変形した場合でも、図1に示したように、支持部13の凹所14が封口ゴム65の変形を許容するので、本体部62が浮き上がってしまうような力が発生することはなく、保持部13による保持力を維持できる。また、万が一液漏れが発生したとしても、凹所14がその液を受けるので、液漏れ被害が他の部位に及ぶことを抑制できる。この効果は、前記接続端子31の挿入孔32が有底筒状であることによって高まる。
【0049】
そのうえ、前記連通溝20は、空気の流通を許容するので、封口ゴム65が膨張収縮するときの影響をなくせる。つまり、封口ゴム65が膨張したときに凹所14内の空気が圧縮された場合でも、反力によって本体部62が浮き上がることはない。このため、保持力の維持が確実なものとなる。
【0050】
回路の使用に伴って、図10に示したように、回路基板51に搭載した電解コンデンサ61が劣化した場合には、その劣化した電解コンデンサ61をソケット11から抜き取り、新しい電解コンデンサ61に取り替えれば、回路は引き続き使用可能となる。つまり、電解コンデンサ61の寿命が尽きたことを理由に回路基板51上の使用可能な回路部品を回路基板51ごと廃棄することはなく、回路のリユースが可能である。
【0051】
そして、前記のように、電解コンデンサ61の保持状態が、電解コンデンサ61に膨張が起こっても良好に維持でき、耐振性も高く、たとえ液漏れがあったとしてもその被害が他の部分に及ぶことを抑制できるので、回路をリユース可能にしたことの意義を十分に発揮できることとなる。
【0052】
以下、その他の例について説明する。この説明において、先の構成と同一または同等の部位については、同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0053】
図11は、4個の電解コンデンサを取り付け可能にしたソケット11を示す斜視図である。この図に示すように、必要な数の電解コンデンサを取り付けられるようにすべく、支持部12や保持部13の形状を適宜設定できる。
【0054】
図12は、スルーホール実装ではなく、表面実装をするためのソケット11を示す斜視図である。このソケット11では、支持部12の下面に、図13(a)の断面図に示したように接続端子31を横に引き出す引き出し溝15が形成され、接続端子31の小径部35は、適宜折曲されて横に引き出されている。この引き出し溝15は、図13(b)の底面図に示したように、1個の貫通孔19ごとに複数形成されている。具体的には、支持部12の長手方向に沿って延びる1本の引き出し溝15aと、支持部12の長手方向と直交する方向に延びる4本の引き出し溝15bとを有する。
【0055】
また、接地面21における支持部12の長手方向の両端部には、側面視L字型をなす固定金具22が固定されている。この固定金具22は、回路基板51に実装するときに固定に供される。固定金具22に設けられた切欠き22aは、前記引き出し溝15aを閉塞しないようにするためのものである。
【0056】
このように構成されたソケット11は、回路基板51の表面に対して、リフロー方式により表面実装された後、電解コンデンサ61を受け入れて保持をする。すると、図14に示したように、凹所14等が前記のような作用をして、前記と同様の作用効果が得られる。そのほか、大容量の電解コンデンサでも表面実装ができる、電解コンデンサをリフロー工程の熱から保護できるなどの利点も有する。
【0057】
この考案の構成と前記一形態の構成との対応において、
この発明の係止手段は、前記係止ばね部17に対応するも、
この発明は前記の構成のみに限定されるものではなく、その他の形態を採用することができる。
たとえば、ソケットに取り付ける電解コンデンサの大きさや個数などは適宜設定できる。
【0058】
また、前記のような構成の接続端子に代えて、単に板ばね等を有してリードを保持可能な適宜の構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0059】
11…電解コンデンサ用ソケット
12…支持部
13…保持部
14…凹所
17…係止ばね部
20…連通溝
21…接地面
31…接続端子
32…挿入孔
33…ばね
51…回路基板
61…電解コンデンサ
62…本体部
62a…括れ部分
63,64…リード
65…封口ゴム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部の下端面にリードを備えた電解コンデンサの下端面を受ける支持部を有し、該支持部に、前記リードを回路基板に対して電気的に接続させる接続端子が設けられた電解コンデンサ用ソケットであって、
前記支持部には、前記電解コンデンサの本体部におけるリード側部分を着脱可能に保持する保持部が形成されるとともに、
前記支持部の上面に、前記電解コンデンサの本体部における下端部の封口ゴムの変形を許容する凹所が形成された
電解コンデンサ用ソケット。
【請求項2】
前記支持部に、支持部の外周面から前記凹所に通じる連通溝が形成された
請求項1に記載の電解コンデンサ用ソケット。
【請求項3】
前記連通溝が、前記リードが接続される2個の前記接続端子を結ぶ直線上に形成された
請求項2に記載の電解コンデンサ用ソケット。
【請求項4】
前記支持部の下面に、前記回路基板に接地する接地面が形成された
請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載の電解コンデンサ用ソケット。
【請求項5】
前記保持部に、電解コンデンサの本体部における括れ部分を掴持する係止手段が形成された
請求項1から請求項4のうちのいずれか一項に記載の電解コンデンサ用ソケット。
【請求項6】
前記係止手段が、保持部の上部から垂設されて内外に弾性変位可能な係止ばね部で構成された
請求項5に記載の電解コンデンサ用ソケット。
【請求項7】
前記接続端子が、前記リードが挿入される有底筒状の挿入孔を有し、該挿入孔の内周に、挿入された前記リードを弾力的に押えるばねを備えたものである
請求項1から請求項6のうちのいずれか一項に記載の電解コンデンサ用ソケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−74561(P2012−74561A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218607(P2010−218607)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)