説明

電解加工用電極工具及びその製造方法

【課題】
絶縁材と電極基材との密着性が非常に高く、長時間使用しても、絶縁材と電極基材との界面に電解液が浸透しない、長期に亘って高い精度を維持することができる上、絶縁樹脂モールドのための絶縁材充填冶具などを必要とせず、製作が容易な電解加工用電極工具及びその製造方法を提供する。
【解決手段】
電極基材が露出している高さ5〜50μmの凸部によって形成される導電パターンと、導電パターン以外の電極基材の表面に設けられた5〜50μmの蒸着重合樹脂若しくは蒸着樹脂による絶縁薄膜とから成ることを特徴とする電解加工用電極工具及びその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解加工に使用される電解加工用電極工具及びその製造方法に関し、更に詳しくは、流体軸受における動圧溝の電解加工を、高精度且つ長期間に亘って行うことができる、精度の高い電解加工用電極工具及び製造工程の少ない該電極工具の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスク駆動装置等に用いられる流体動圧軸受の典型的な構造として、例えば、フランジ付き回転軸と、その回転軸が嵌合される内周面にラジアル動圧溝を形成し、フランジの一端面と対向する端面にスラスト動圧溝を形成した中空円筒状のスリーブと、フランジの他端面と対向する内側端面にスラスト動圧溝を形成し、スリーブの一方の開口部を閉塞する円板状のスラストプレートと、回転軸の外周面とスリーブの内周面とスラストプレートの内側端面との間の微小隙間に充填された潤滑油とで構成されたものが挙げられる。このような流体動圧軸受のスリーブにラジアル動圧溝とスラスト動圧溝を同時加工する従来の電解加工は、例えば、図1に示すような方法により行う。すなわち、一端側が拡径された内径を有するスリーブ1の他端側外周を、図示しないエアーチャック等で保持し、拡径された内径側からスリーブ1の内径に電解加工用電極工具2を挿入する。電極工具2は小径部2cと大径部2dを有し、ウレタン樹脂製のストッパー3と一体に上下する。小径部2cの外周面および、小径部2cと大径部2dの間の段部には、それぞれラジアル動圧溝に対応する導電パターン2aおよびスラスト動圧溝に対応する導電パターン2bが形成されている。ストッパー3の端面をスリーブ1の端面に緊密に押し当てることにより、スリーブ1に対する電極工具2の軸方向位置決めが行われ、電極工具2の外面、ストッパー3の内面およびスリーブ1の内面の間の隙間によって電解液4の流路5が形成される。電解液4はストッパー3の上部から供給され、流路5を通ってスリーブ1の下端面から排出される。電解液4を供給しながら、電解液4を介してスリーブ1の内面と電極工具2の導電パターン2a、2bの表面との間に直流パルス電流を所定時間流すと、スリーブ1の内面の、導電パターンの表面に対向する限られた表面だけが電気化学的に溶解され、スリーブ1の内面にはそれぞれ、ラジアル動圧溝1aと、スラスト動圧溝1bとが形成される。これら動圧溝の一般的な最小溝幅は40〜50μmである。
【0003】
なお、図2に示すように、流体動圧軸受のスラストプレート10にスラスト動圧溝10aを形成する電解加工も、ストッパー12をスラストプレート10に押し当てて、スラスト動圧溝10aに対応する導電パターン11aを有する電極工具11の位置決めを行った上で、同様にして行うことができる。いずれの場合においても、導電パターン以外の表面を非導電性樹脂などによって完全に絶縁する必要がある。局所的に絶縁が失われている場合はそこから迷走電流が発生し、絶縁膜が薄かったりして全体的に絶縁が充分でない場合は、広い範囲で透過電流が発生し、所望の領域以外の表面まで溶解され、電解加工される動圧溝の精度が悪化してしまう。
【0004】
上記の電解加工に用いられる従来の動圧溝加工用の電極工具は、図3の模式図で示すように、以下の方法で製作される。
1)まず最初に、電極基材30に対して刃径0.1〜1.0mmのマイクロエンドミルによる深彫り加工を行い、導電パターン面31を残して、幅40〜200μm程度、高さ0.1〜0.5mm程度の凸部32を形成する(パターン彫り加工)。
2)絶縁材充填冶具33内に電極基材30を入れて、絶縁材34(熱硬化性エポキシ系樹脂)を充填し、その後真空引きし、充填した絶縁材34内の気泡を除去し、熱硬化させる。
3)使い捨ての充填冶具33を除去し、余分の絶縁材34も粗加工して除去する。
4)仕上げ研削加工により、導電パターン面31とそれ以外の電極基材表面35が面一となるように仕上げ加工する。
【0005】
上記の製造方法は、工程数が多く、充填冶具も使い捨てであるため、電極工具の製造コストを引き上げる一因となっていた。また、上記の製造方法による電極工具は、電極基材と絶縁材との密着力が充分でないため、電極基材と絶縁材との界面が電解液により侵食されて弱くなり、絶縁材が電極基材から剥離して、長期に亘って高い精度を維持することができなかった。また、電極基材と絶縁材との間に充分な密着面積を確保するために、絶縁材を埋め込む凸部間の溝の深さはあまり浅くすることはできず、0.1〜0.5mm程度の深さにする必要があった。さらに、凸部を形成するパターン彫り加工においては、刃径0.1〜1.0mm程度のマイクロエンドミルを使用するのが一般的であるが、凸部間の溝幅や導電パターンの輪郭形状の内側円弧部の直径はマイクロエンドミルの刃径よりも大きく設定する必要があった。ところが、流体軸受の小型化に伴い、動圧溝を加工する電極工具の導電パターンは微細化する傾向にあり、凸部幅、凸部間の溝幅や輪郭の内側円弧部の直径を従来よりも小さくすることが求められている。しかしながら、従来の製造方法では、凸部間の溝幅や輪郭の内側円弧部の直径はマイクロエンドミルの刃径寸法によって制限されているため、導電パターンの微細化を実現することは困難である。さらに、極小刃径のマイクロエンドミルを用いたパターン彫り加工においては、切削抵抗によるエンドミルの折損が起き易くなるため、加工条件を上げることができず、加工時間が長くなる。また、微細化された凸部は非常に薄い立壁形状となるので、パターン彫り加工中の負荷によって凸部の変形や倒れが起き易くなり、電極基材に正確な導電パターンを作れない場合が生じる。また、一般的なマイクロエンドミルは、加工に必要な工具の剛性を確保するために、切刃部分の直径と軸方向長さが刃径値と等しく、切刃が無い部分(シャンク部)は刃径よりも太い形状となっているので、刃径値よりも深く切り込むことができない。従って、従来の製造方法では、マイクロエンドミルの刃径が小さくなると切削可能な切込み深さも小さくなり、必然的に凸部の高さが低くなり、電極基材と絶縁材との間の密着面積が減って、絶縁材の密着力がさらに弱くなってしまう、という問題もある。
【0006】
そこで、従来技術として、被加工物表面に電極工具の導電部の露出パターンに対応した形状の動圧溝を形成する動圧溝加工装置において、電極基材の表面に樹脂微粒子を付着させて、焼き付けてなる絶縁樹脂の層によって、上記所定パターン以外の領域を被覆した電解加工用電極工具を用いたものが知られている。さらに、電極基材の表面に、加工すべき動圧溝パターンの孔があらかじめ形成され、樹脂シートを固定してなる構造の電解加工用電極工具を用いたものが記載され、樹脂微粒子を基体表面に付着させて焼き付けてなる樹脂層を非導電性材料として用いること、あるいは、あらかじめ所要形状にパターニングした樹脂シートを用いることにより、従来のレジスト膜の形成や樹脂の埋め込みに比して、基体に対する密着力を大幅に向上させることができ、樹脂微粒子の材質としては、高い絶縁性を有するポリイミド樹脂等を好適に採用することができる旨記載されている(特許文献1)。
【0007】
しかしながら、微細な表面形状の電解加工に用いられる電解加工用電極工具においては、加工パターン以外の領域の絶縁被膜も微細になるため、これに用いられる非導電材料である絶縁樹脂の基体に対する密着力が弱くなり易く、電解加工中に流れる電解液の影響により、この絶縁被膜が剥離してしまうという問題がある。従来、このような絶縁被膜に用いられる非導電性材料樹脂は、紫外線あるいは熱等により硬化を行うものが多く、電極工具に用いられる導電性基体との密着性は一般的に低い。更にまた、このような微細な表面形状の電解加工は、電極工具と被加工物との加工間隙を狭く設定して行われることから、間隙の壁面に形成されている絶縁被膜が電解液の流動から受けるせん断方向の力も大きい。このような絶縁被膜の剥離が発生すると、正確な加工パターンを被加工物に転写することができなくなる上、絶縁被膜の剥離片が電極工具と被加工物との加工間隙を詰まらせてしまうという問題も発生する。この剥離片の詰まりは、電解液の流れを部分的に阻害し、その部分の加工形状の不良を引き起こして、この被加工物を部材として使用している最終製品、つまり動圧軸受等の歩留まりを左右することとなる。また、この剥離片の詰まりは、最悪の場合、何らかの形で電気的短絡を引き起こし、電極工具と被加工物の両者に損傷を生じさせ、これらの交換作業を余儀なくされることもある。
【0008】
これらの問題を解決するために、表面に凹部を形成すべき被加工物と、導電性基体の表面に所定パターンの導電部が形成されてなる電極とを、電解液中に対向させて浸漬するとともに、これら被加工物と電極とを加工用電源の正極および負極にそれぞれ接続して電流を流すことによって、被加工物表面に電極の導電部パターンに対応した形状の凹部を形成する電解加工用電極において、前記電極の表面における前記導電部パターン以外の領域には、絶縁被膜として電着塗装膜が形成されていることを特徴とする電解加工用電極工具が記載され、電着塗装に用いられる樹脂(電着塗料)としては、電解加工における耐電圧および電解液に対する耐食性を考慮して、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂あるいはポリイミド系樹脂が好適に採用されること、この発明の電解加工用電極によれば、電極(電極工具)表面の導電部以外の領域を覆う絶縁被膜として、電着塗装による被膜を用いることにより、基体と絶縁被膜との密着力を向上させることができ、また、これらの密着面は、電解液が浸透し難く、剥離等の損傷の発生が抑えられることから、電極工具表面の加工パターンを長期にわたり維持できることが記載されている(特許文献2)。
また、好ましくは、その後、電着塗装膜上面に、別の非導電性材料樹脂からなる被膜が形成される。この場合に使用される非導電性材料樹脂は特に限定されないが、その樹脂は、先に形成されている電着塗装膜との密着性(なじみ)を考慮して選択されることが望ましいこと、そして、表面に非導電性材料膜が形成された基体は、研磨加工等により、表面の導電部上の非導電性材料膜と電着塗装膜を取り去り、基体表面の加工パターンを露出させることで、導電部と絶縁被膜とからなる表面が面一となった電極工具を得ることができる旨記載されている(特許文献2)。
しかしながら、電着塗装では塗装膜厚さが電着塗装槽内の電着塗料の濃度分布と電流密度に左右されるため、塗装膜厚の管理が難しく、コーナー部や微細な導電パターンなどにおいて均一な厚さの塗装膜を形成するのが困難である。従って、電極工具の絶縁被膜が局所的に薄くなって、充分な絶縁性能が得られない虞がある。さらに、環境への負荷を軽減するために、電着塗装後の大掛かりな排水処理設備が必要とされ、工場への新規導入が難しい。
【0009】
電極工具の被加工物に対向する部分のうち、動圧溝に対応しない部分に凹部を形成し、被加工物と対向する全体部分に非導電性材料を被膜した後に、電極露出部の表面が露出して非導電性材料の表面と面一となるように加工を施すことによって形成された電解加工用電極工具に関して、代表的な従来技術がさらにある(特許文献3参照)。この電解加工用電極工具を用いた動圧溝の電解加工方法においては、電極露出部の表面が非導電性材料の表面に対して面一にされて電解加工が行われることから、転写精度を向上すべく加工間隙が狭くされても、加工により生じた電解生成物や温度上昇をした電解液の滞留がなされなくなって電解条件が所望に保たれると共に、非導電性材料に対する電解生成物の衝突に起因して発生する非導電性材料の剥離片による詰まりがなくされて電解液の流速低下が防止され、このように流速低下が防止されることによって電流密度の低下が防止されて被加工物の加工表面の面粗さが向上されるばかりではなく、電解加工速度も高められるようになるとしている。さらに、凹部をエッチング工法や切削工法によって形成し、エポキシ樹脂等の非導電性材料を印刷等によって被加工物に対向する面全体に被膜した後、研磨加工に従って電極部を露出させることによって、この露出した電極露出部と凹部に被膜されている非導電性材料の表面とが面一なる旨記載されている。しかしながら、エポキシ樹脂等を印刷等によって被膜する製造方法では、前述したように、電極基材とエポキシ樹脂等との密着力が充分でないため、電極基材と非導電性材料との界面が電解液により侵食されて弱くなり、非導電性材料が電極基材から剥離して、長期に亘って高い精度を維持することができない虞がある。
【0010】
【特許文献1】特開2002−79425号公報
【特許文献2】特開2003−340648号公報
【特許文献3】日本国特許3339792号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者は、絶縁材と電極基材との密着性が非常に高く、長時間使用しても絶縁材と電極基材との界面に電解液が浸透せず、長期に亘って高い精度を維持することができる上、絶縁樹脂モールドのための絶縁材充填冶具などを必要としない、製作が容易な電解加工用電極工具及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成する為に、本発明者は鋭意研究したところ、蒸着重合された樹脂若しくは、蒸着された樹脂を用いれば、電極基材との密着性が非常に高く、長期間に亘って電極基材との界面に電解液が浸透しない絶縁薄膜が形成できることを見出し、その結果、長期に亘って高い精度を維持することができる電解加工用電極工具及び効率的な電解加工用電極工具の製造方法を発明するに至った。
すなわち、本発明は、電極基材が露出している凸部の上面によって形成された導電パターンと、導電パターン以外の電極基材の表面に均一に設けられた蒸着重合樹脂若しくは蒸着樹脂による絶縁薄膜から成ることを特徴とする電解加工用電極工具である。
また、本発明は、導電パターンの表面と、導電パターン以外の電極基材の表面に均一に設けられた蒸着重合樹脂若しくは蒸着樹脂による絶縁薄膜の表面とを面一とすることができる。
また、本発明は、凸部の高さを、5〜50μmとすることができる。
また、本発明は、均一に設けられた絶縁薄膜の厚さを、5〜50μmとすることができる。
さらに、本発明は、絶縁薄膜が、蒸着重合されたポリイミド系樹脂、蒸着された四フッ化エチレン・パーフルオロビニルエーテル系共重合体、蒸着された四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体から選ばれる1種とすることができる。
また、本発明は、電解加工用電極工具の電極基材を、銅、真鍮、燐青銅、鉄−銅系合金若しくはオーステナイト系ステンレス鋼から選ばれる1種とすることができる。
【0013】
本発明は、電極基材を化学的除去法若しくは機械的除去法により、電極基材の表面の一部を除去して凸部を設け、凸部が設けられた電極基材の表面全体を覆うようにして、蒸着若しくは蒸着重合させることにより厚さ5〜50μmの絶縁薄膜を均一に形成し、絶縁薄膜で覆われた表面を研削またはエッチングすることにより、凸部の上面に電極基材を露出させて導電パターンを形成させることを特徴とする電解加工用電極工具の製造方法でもある。
また、絶縁薄膜で覆われた表面を研削またはエッチングした後の凸部の仕上げ高さを、5〜50μmとすることができる。
また、電極基材の表面の一部を除去して凸部を設ける際の化学的除去法がエッチングであり、機械的除去法がレーザ加工、精密ブラスト加工、または切削加工から選ばれる一つであるとすることができる。
さらに、本発明は、絶縁薄膜で覆われている表面を研削またはエッチングするに際して、導電パターンの表面と、それ以外の電極基材の表面に設けられた蒸着重合樹脂若しくは蒸着樹脂による絶縁薄膜の表面が面一となるように仕上げることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の電解加工用電極工具によれば、たとえ微細な導電パターンであっても、1本の工具で、導電パターンに対応する動圧溝パターンが再現性良く正確に加工された被加工物(ワーク)を30万個以上作れることがわかった。
また、本発明の電解加工用電極工具の製造方法によれば、使い捨ての樹脂充填冶具を必要とせず、製造工程も少なくなるため、大幅に製作時間を短縮することができ、電極工具のコストダウンのみならず、新製品や改良品のための導電パターンの設計変更に対して迅速に対応することができる。また、蒸着又は蒸着重合による絶縁薄膜は電極基材との密着力が強いので、凸部の高さは5〜50μm程度で充分となり、エッチング、レーザ加工、精密ブラストなどの除去法を用いれば、マイクロエンドミルの刃径寸法に制限されることなく導電パターンを微細化することができる。また、マイクロエンドミルでパターン彫り加工を行う場合でも、50μm以下程度の浅い切込み深さで充分なので、切削抵抗が少なくなり、凸部の塑性変形やマイクロエンドミルの折損が抑えられ、切削加工が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明において用いる絶縁樹脂は、NaNO3 (硝酸ナトリウム)に代表される電解液に対して耐薬品性が高い材料であり、体積抵抗率が高く、電極基材に対して密着力が良く、蒸着できるものであれば、どのようなものでも良いが、代表的には蒸着重合されたポリイミド系樹脂、蒸着された四フッ化エチレン・パーフルオロビニルエーテル系共重合体、蒸着された四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体から選ばれる1種であり、とくに蒸着重合されたポリイミド系樹脂が好ましく用いられる。
本発明で用いることができるポリイミド系樹脂は、原料であるカルボン酸系化合物としては、図4に示したようなテトラカルボン酸無水物、ポリイソシアネート化合物、カルボン酸ハロゲン化物を挙げることができ、とくに、テトラカルボン酸無水物を好適に用いることができる。また、もうひとつの原料であるアミン系化合物としては、図5に示したようなアミン化合物を挙げることができる。
【0016】
ポリイミド系樹脂の蒸着重合の典型的な例としては、図6の模式図に示すように、気相状態のカルボン酸無水物モノマー61とジアミンのモノマー62を、反応装置65のそれぞれ導入口66および導入口67から、電極基材60が静置された温度約200℃の真空反応装置65内に別々に導き、気相状態で重合反応を行わせ、電極基材60の表面にポリアミド酸の薄膜63を均一かつ所望の厚さで生成させるのである。未反応モノマー64は排気口68から反応装置外へ排気される。薄膜63の厚さは重合反応時間で決定されるので、膜厚管理が容易である。次いで、電極基材60を反応装置65から取り出し、この薄膜63をさらに約300℃程度に加熱し、脱水反応を促進してポリアミド酸をポリイミドに変換する。このようにして得られるポリイミド薄膜は、絶縁性に優れ、非常に強力に電極基材60に密着し、また、ナノ構造で薄膜状にポリマーが形成されるため、ポリイミド薄膜自体が強い強度を有し、ピンホールも発生しないことを確かめている。
【0017】
従来のように、ポリアミド酸溶液を電極基材に塗布し、加熱してポリイミドに変換する非蒸着重合の被膜生成法では、均一な厚さの絶縁膜が形成されず、図7aに示すように、凸部70の角部74で薄く、凸部70間の隅部75において厚い絶縁膜76が形成される。さらに、従来の電着塗装による被膜生成方法においても、電着成分が被膜として電極基材表面に析出する量は、溶液(水性電着塗料)の濃度分布や電流密度に依存するため、図7aと同様な不具合が起きる。そればかりではなく、図7bに示すように、凸部間の距離が数十μm程度に狭くされた微細な導電パターンの場合では、凸部側面77や凸部70以外の表面78に電着塗装膜79が正常に形成されない不具合も起き得る。このように、膜厚が局所的に薄かったり、正常に形成されていない場合、その後の仕上げ工程において絶縁不良が発生したり、局所的に不充分な絶縁によって電解加工中に迷走電流が発生し、所望の領域以外の表面が溶解され、動圧溝の加工精度が悪くなったりする。それに対して、本発明の蒸着重合により生成される絶縁薄膜71は、図7cで示すように、角部74や隅部75においても、また、微細化された導電パターンにおいても、所望の厚さで均一に形成されるので、電極基材60は充分に絶縁され、高精度な動圧溝が加工可能な電極工具を確実に実現できる。
【0018】
本発明の蒸着重合樹脂若しくは蒸着樹脂による絶縁薄膜に用いる代表的な樹脂を図8に示す。蒸着重合樹脂としてはポリイミドであり、蒸着樹脂としてはPFA系樹脂(4フッ化エチレン・パーフロロプロピルビニルエーテル)又はFEP系樹脂(4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合体)を挙げることができる。
【0019】
本発明の代表的な電極工具としては、図9aに示す形状のスリーブ用電極工具と図9bに示す形状のスラストプレート用電極工具が挙げられる。これら電極工具の製造方法を図10の模式図にて示す。ブランク加工した銅、真鍮、燐青銅、オーステナイト系ステンレス鋼などの電極基材60の所定の表面に、化学的除去法若しくは機械的除去法を用いて電極基材60の表面の一部を除去することで所定高さの凸部70を設け、導電パターンを形成した電極基材60の表面全体に、所定厚さの絶縁薄膜71を、蒸着重合樹脂若しくは蒸着樹脂により、均一に形成する。絶縁薄膜71の厚さは、5〜50μmであることが望ましい。絶縁薄膜71の厚さが5μmを下回ると、全体的に充分な絶縁がなされず、透過電流が発生して電解加工の加工精度が悪くなり、また、絶縁薄膜71の厚さが50μmを超えると、蒸着重合または蒸着による薄膜生成が難しくなり、絶縁薄膜71の生成時間も長くなって、コスト的に見合わなくなるためである。凸部70の高さは、絶縁薄膜71の厚さに比して徒に大きくする必要はなく、研削またはエッチングによる仕上げ後に電極面が平坦または略平坦であることが望ましいことから、仕上げ高さが5〜50μmになるように仕上げ代を考慮して設けるのが好適である。電極基材60の表面の一部を除去する方法としては、以下のようなものがある。
イ) マイクロエンドミルを使用した切削による除去加工
ロ) レーザ加工機による除去加工
ハ) エッチング加工による除去加工
ニ) 精密ブラスト加工による除去加工
絶縁薄膜71は、連続使用温度200℃に耐え、電解液に侵されず、加工中に透過電流が発生しない高い体積抵抗率を示す材料であることが好ましい。これを実現する樹脂材料なら何でも良いが、身近にあるものとしては、ポリイミド樹脂、PFA系樹脂、FEP系樹脂が適している。表1に、その特性値を示す。
【0020】
【表1】

【0021】
次いで、凸部70が設けられた表面を覆っている絶縁薄膜71の一部を仕上げ研削加工により除去して、凸部70の上面に電極基材を露出させ、導電パターンを形成する。電極基材が露出している導電パターンの表面72は、図10で示すように、導電パターン以外の部分を覆う絶縁薄膜71の表面73より高くしても、または図11で示すように、面一としても良い。面一とする場合は、凸部70の上面とともに絶縁薄膜71の表面73をわずかに研削して仕上げるようにすると平滑な仕上げ面が得られる。または、凸部70の高さと絶縁被膜71の厚さを等しくして、凸部70の上面を覆う絶縁薄膜71のみを研削またはエッチングして面一に仕上げるようにしてもよい。
【0022】
電解加工用電極工具製造プロセスの各工程を、本発明と従来例とについて示すと、図12のようになる。従来技術では、9工程必要であったが、本発明ではわずか5工程で製造できる。さらに、本発明において用いる電解加工用電極工具の電極基材は、銅系合金あるいは鉄系合金が挙げられるが、銅系合金としては銅、真鍮、燐青銅、鉄系合金としては鉄−銅系合金若しくはオーステナイト系ステンレス鋼(SUS303,304等)が挙げられる。
【0023】
また、本発明のもうひとつの特徴は、図9aに示すような、立体的な電極基材に対しても均一な絶縁薄膜を形成させることができ、次いで、研削またはエッチングにより所定部分の絶縁薄膜を除去するだけで容易に導電パターンが形成できることである。
【0024】
さらに、本発明においては図11に示すように、導電パターンの表面72と、導電パターン以外の電極基材の表面に設けられた5〜50μmの蒸着重合樹脂若しくは蒸着樹脂による絶縁薄膜の表面73が面一となるまで、仕上げ研磨加工することができる。
【0025】
また、本発明は次のような利点を有する。
イ)全体を薄い絶縁薄膜で覆うため、絶縁樹脂の充填工程が必要無くなり、従って絶縁樹脂を除去する粗加工が省略でき、充填治具も必要なくなる。
ロ)電極工具の製作が容易になるので、納期とコストが大幅に向上する。
ハ)蒸着または蒸着重合によって電極基材表面に絶縁薄膜を均一に形成する事により、絶縁樹脂の熱硬化時の気泡やピンホールの発生がなくなり、ひいては電解加工時の迷走電流の発生を押さえることができ、その電極工具で加工される動圧溝の品質向上につながる。
ニ)絶縁薄膜の密着性が向上するので、凸部高さが低くても絶縁薄膜の剥離が発生しにくく、電極工具の長寿命化を実現できる。
ホ)電極工具の凸部高さが50μm以下で済むので、さまざまな加工方法を用いて、微細な導電パターンが加工できるようになる。
【0026】
本発明の電解加工用電極工具は、図9aおよび図9bに示された形状に限定されるものではなく、凸部の上面に電極基材を露出させて形成した導電パターンと、それ以外の電極基材表面を覆う厚さ5〜50μmの蒸着重合樹脂若しくは蒸着樹脂による絶縁薄膜からなる構成のものであれば、どのような形状であっても良い。また、スリーブ用とスラストプレート用のみならず、回転軸の外周面や回転軸のフランジ部の端面など、いずれの流部材に動圧溝を加工する電解加工用電極工具に適用されても良いものである。
【実施例1】
【0027】
(電解加工用電極工具の作成例1)
第1の実施例として、図10に示す手順により、図9bに示す形状のスラストプレート用電極工具55を作製した。電極基材60として、銅を用いた。素材をブランク加工し、中空円筒状にした電極基材60の一方の端面56に、刃径0.04〜0.5mmのマイクロエンドミルを用いて高さ30μm、最小幅30μmの凸部70を中心孔の外周に沿って複数設け、ヘリングボーン状の導電パターンを形成した。導電パターンを形成した電極基材60を図6に示す真空反応装置65内に静置させる。モノマーとしてテトラカルボン酸無水物及び芳香族ジアミンの組み合わせを選択し、真空反応装置65内の温度を200℃にし、揮発させた各モノマーをそれぞれ導入口67、66から真空反応装置65内に供給する。モノマーは、気相中で重合してポリアミド酸ポリマー63を形成し、電極基材60の表面に均一に付着する。未反応モノマー64は、排気口68より排気される。所望の厚さのポリアミド酸ポリマー63が付着するまで反応を続ける。電極基材の表面に所望の厚さのポリアミド酸ポリマー63を形成させたのち、真空反応装置65内から電極基材60を取り出し、約300℃に加熱し、ポリアミド酸ポリマー63を脱水し、ポリイミドに変換させる。図10に模式的に示すような、ポリイミドからなる絶縁薄膜71が膜厚7μmで均一に生成されていた。図13は電極基材60の表面に生成された絶縁薄膜71の生成状態を示す断面拡大写真である。凸部の角部や隅部にも均一な厚さでポリイミドからなる絶縁薄膜71が生成されていることが判明した。次いで、平面研削盤により、絶縁薄膜71で覆われた凸部の上面を研削して20μm除去し、電極基材60を露出させて導電パターンを形成し、最終的に高さ17μmの凸部と、厚さ7μm絶縁薄膜からなるスラストプレート用電極工具55を得た。図14は、スラストプレート用電極工具55の上面写真である。図15は、同じ上面の一部を走査型電子顕微鏡で観察した拡大写真である。走査型電子顕微鏡による観察写真では、絶縁薄膜表面は黒く示され、金属表面のみ白く示される。図15より、導電パターンが鮮明に形成され、絶縁膜はピンホールも無く均一に形成されていることが確認できる。
【実施例2】
【0028】
(電解加工用電極工具の作成例2)
第2の実施例として、図9aに示す形状のスリーブ用電極工具50を作製した。電極基材60として、銅を用いた。製作を容易にするために、図9aの電極工具50の小径部51と大径部52を別々の部材としてブランク加工し、マイクロエンドミルを用いて、それぞれのブランクに所定の凸部を形成した後、お互いを組み合わせて一体化する方法を採用した。それ以外は、図10に示す手順と概略同じである。小径部用部材として円筒状のブランクを加工し、刃径0.2〜0.7mmのマイクロエンドミルを用いて、その外周面51aに高さ50μm、最小幅50μmの凸部53を複数設け、スリーブのラジアル動圧溝に対応したヘリングボーン状の導電パターンを形成した。同様にして、大径部用部材として片側端面に中心孔を有する円筒状のブランクを加工し、刃径0.04〜0.5mmのマイクロエンドミルを用いて、端面52bに高さ30μm、最小幅30μmの凸部54を中心孔の外周に沿って複数設け、スリーブのスラスト動圧溝に対応したヘリングボーン状の導電パターンを形成した。次に、小径部用部材を大径部用部材の中心孔に圧入固定して一体化させ、スリーブ用の電極基材60とした。導電パターンを形成した電極基材60を図6に示す真空反応装置63内に静置させる。モノマーとしてテトラカルボン酸無水物及び芳香族ジアミンの組み合わせを選択し、真空反応装置63内の温度を200℃にし、各モノマーを揮発させて、それぞれ導入口67、66から真空反応装置65内に供給する。モノマーは、気相中で重合してポリアミド酸ポリマー63を形成し、電極基材60の表面に均一に付着する。未反応モノマー64は、排気口68より排気される。所望の厚さのポリアミド酸ポリマー63が付着するまで反応を続ける。電極基材60の表面に所望の厚さのポリアミド酸ポリマー63を形成させたのち、真空反応装置65内から電極基材60を取り出し、約300℃に加熱し、ポリアミド酸ポリマー63を脱水し、ポリイミドに変換させる。図10に模式的に示すような、ポリイミドからなる絶縁薄膜71が膜厚10μmで均一に生成されていた。円筒研削盤による研削加工を行って、絶縁被膜71で覆われた小径部51の凸部53の上面を20μmおよび大径部52の凸部54の上面を10μm除去し、電極基材60を露出させて導電パターンを形成し、図9aに示すスリーブ用電極工具50を得た。小径部51は大径部52との同軸度要求を満足するように仕上げられていた。図16は、スリーブ用電極工具50の側面写真である。
【実施例3】
【0029】
(電解加工用電極工具の作成例3)
第3の実施例として、図11に示す手順と概略同様にして、図9aに示す形状のスリーブ用電極工具50を作製した。
電極基材60として、銅系合金である真鍮を用いた。実施例2と同様に、高さ20μmの複数の凸部53と凸部52をそれぞれ成形した小径部用部材と大径部用部材を一体に組み合わせた電極基材60を、図6に示す真空反応装置63内に静置させる。モノマーとしてテトラカルボン酸無水物及び芳香族ジアミンの組み合わせを選択し、真空反応装置63内の温度を200℃にし、各モノマーを揮発させて、それぞれ導入口67、66から真空反応装置65内に供給する。モノマーは、気相中で重合してポリアミド酸ポリマー63を形成し、電極基材60の表面に均一に付着する。未反応モノマー64は、排気口68より排気される。所望の厚さのポリアミド酸ポリマー63が付着するまで反応を続ける。電極基材60の表面に所望の厚さのポリアミド酸ポリマー63を形成させたのち、真空反応装置65内から電極基材60を取り出し、約300℃に加熱し、ポリアミド酸ポリマー63を脱水し、ポリイミドに変換させる。図11に模式的に示すような、ポリイミドからなる絶縁薄膜71が膜厚20μmで均一に生成されていた。凸部の上面を覆っている絶縁薄膜71のみエッチングにより除去して電極基材60を露出させ、凸部以外の表面を覆っている絶縁薄膜71の表面73と導電パターンの表面72が面一となるように導電パターンを形成した。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の電解加工用電極工具は、長時間使用しても、絶縁材と電極基材との界面に電解液が浸透しない、長期に亘って高い精度を維持することができる上、絶縁樹脂の充填工程が必要無くなり、充填治具も必要無くなるので、製作が容易な電解加工用電極工具であり、より精度の高い小型の流体軸受の迅速な開発に寄与することができる点において画期的なものであり、産業上の利用可能性は高いものがある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】電解加工方法の説明図(スリーブ加工)
【図2】電解加工方法の説明図(スラストプレート加工)
【図3】電解加工用電極の従来の製造方法
【図4】ポリイミド原料(ポリカルボン酸)の例
【図5】ポリイミド原料(ポリアミン)の例
【図6】真空反応装置の一例
【図7】絶縁被膜の生成状態説明図
【図8】本発明の典型例としての樹脂の説明図
【図9】動圧溝を加工するための電解加工用電極工具の説明図
【図10】本発明による一般的な電解加工用電極工具の製造方法
【図11】本発明による面一の電解加工用電極工具の製造方法
【図12】電極工具の従来の製造工程と本発明による製造工程の比較図
【図13】実施例1により得られた電解加工用電極工具の断面拡大写真
【図14】実施例1により得られた電解加工用電極工具の上面写真
【図15】実施例1により得られた電解加工用電極工具の上面を走査型電子顕微鏡により観察した写真
【図16】実施例により得られたスリーブ用の電解加工用電極工具の側面写真
【符号の説明】
【0032】
1スリーブ
2加工電極
2a導電パターン(ラジアル)
2b導電パターン(スラスト)
2c小径部
2d大径部
3ストッパー
30従来の製造技術説明図における電極材料
31従来の製造技術説明図における導電パターン面
32従来の製造技術説明図における凸部
33従来の製造技術説明図における絶縁材充填冶具
34従来の製造技術説明図における絶縁材
35従来の製造技術説明図における電極基材表面
4電解液
5流路
50スリーブ用電極工具
51スリーブ用電極工具の小径部
51aスリーブ用電極工具の小径部の外周面
52スリーブ用電極工具の大径部
52aスリーブ用電極工具の大径部の外周面
53スリーブ用電極工具の小径部の凸部
54スリーブ用電極工具の大径部端面の凸部
55スラストプレート
56スラストプレーの端面

6反応装置細部
60電極基材
61カルボン酸無水物モノマー
62ジアミンモノマー
63ポリアミド酸被膜
64未反応モノマー
65反応装置
66カルボン酸無水物モノマー導入口
67ジアミンモノマー導入口
68排気口
7電極工具細部
70凸部
71絶縁被膜
72導電パターン表面
73絶縁被膜表面
74凸部の隅部
75凸部間の隅部
76厚い絶縁膜
77凸部側面
78凸部以外の表面
79電着塗装膜
10従来の製造技術説明図における流体軸受スラストプレート
10a従来の製造技術説明図における流体軸受スラスト動圧溝
11従来の製造技術説明図における電極工具
11a従来の製造技術説明図における電極工具の導電パターン
12従来の製造技術説明図における流体軸受ストッパー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極基材が露出している凸部の上面によって形成された導電パターンと、導電パターン以外の電極基材の表面に均一に設けられた蒸着重合樹脂若しくは蒸着樹脂による絶縁薄膜から成ることを特徴とする電解加工用電極工具。

【請求項2】
導電パターンの表面と、導電パターン以外の電極基材の表面に均一に設けられた蒸着重合樹脂若しくは蒸着樹脂による絶縁薄膜の表面とが面一であることを特徴とする請求項1に記載の電解加工用電極工具。
【請求項3】
凸部の高さが、5〜50μmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電解加工用電極工具。
【請求項4】
均一に設けられた絶縁薄膜の厚さが、5〜50μmであることを特徴とする請求項1ないし請求項3に記載の電解加工用電極工具。
【請求項5】
絶縁薄膜が、蒸着重合されたポリイミド系樹脂、蒸着された四フッ化エチレン・パーフルオロビニルエーテル系共重合体、蒸着された四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体から選ばれる1種であることを特徴とする請求項1ないし請求項4に記載の電解加工用電極工具。
【請求項6】
電解加工用電極工具の電極基材が、銅、真鍮、燐青銅、鉄−銅系合金若しくはオーステナイト系ステンレス鋼から選ばれる1種であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載した電解加工用電極工具。
【請求項7】
化学的除去法若しくは機械的除去法により、電極基材の表面の一部を除去して凸部を設け、凸部が設けられた電極基材の表面全体を覆うようにして、絶縁樹脂を蒸着若しくは蒸着重合させることにより、厚さ5〜50μmの絶縁薄膜を均一に形成し、絶縁薄膜で覆われた表面を研削またはエッチングすることにより、凸部の上面に電極基材を露出させて導電パターンを形成することを特徴とする電解加工用電極工具の製造方法。
【請求項8】
凸部の仕上げ高さが、5〜50μmであることを特徴とする請求項7に記載の電解加工用電極工具の製造方法。
【請求項9】
化学的除去法がエッチングであり、機械的除去法が切削加工、レーザ加工、精密ブラスト加工から選ばれる一つであることを特徴とする請求項7または請求項8に記載した電解加工用電極工具の製造方法。
【請求項10】
絶縁薄膜で覆われている表面を研削またはエッチングするに際して、導電パターンの表面と、それ以外の電極基材の表面に設けられた蒸着重合樹脂若しくは蒸着樹脂による絶縁薄膜の表面が面一となるように仕上げることを特徴とする請求項7ないし請求項9に記載した電解加工用電極工具の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−239803(P2006−239803A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−57982(P2005−57982)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【出願人】(000114215)ミネベア株式会社 (846)
【Fターム(参考)】