説明

電解水生成装置、及び、除菌システム

【課題】水を電気分解して電解水を生成する装置において、電気分解のための電源を供給する電気回路部を、水や電解水の進入を防止することが可能で、メンテナンス性に優れ、かつ、配線の取り回しが容易になるように設置する。
【解決手段】ケース50内に、貯水タンク51と、貯水タンク51の水を電気分解して電解水を生成する電解ユニット52と、電解水を外部へ供給する送水ポンプ53と、電解ユニット52及び送水ポンプ53に電源を供給する電源回路部33を収容した電装ボックス30と、を収容し、電装ボックス30は、ケース50の底面50Dから浮かせた状態で固定され、電装ボックス30の下方に送水ポンプ53が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解水を生成する電解水生成装置、及び、この電解水生成装置を備えた除菌システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水道水を電気分解して次亜塩素酸を含む電解水を生成させ、この電解水を用いて空気中に浮遊するウィルス等の除去を図った除菌装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この除菌装置は、不織布等からなる加湿エレメントに電解水を供給して、加湿エレメント上で空気中のウィルス等を電解水に接触せしめ、ウィルス等を不活化することにより、空気を除菌しようとするものである。
【特許文献1】特開2002−181358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1記載の装置のように、水を電気分解して電解水を生成する装置は、電解ユニットへの電力供給等を行う電気回路部を必要とする。この電気回路部は、水や電解水が進入しないように設置することが望ましく、例えば電解ユニットが収められたケースとは分離して設置することが考えられる。しかしながら、電解ユニット等と電気回路部とがあまりに離れていると、配線の取り回しの効率が悪くなり、メンテナンス性の低下を招く可能性もある。
そこで、本発明は、水を電気分解して電解水を生成する装置において、電気分解のための電源を供給する電気回路部を、水や電解水の進入を防止することが可能で、メンテナンス性に優れ、かつ、配線の取り回しが容易になるように設置することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明は、ケース内に、水槽と、前記水槽に取り付けられ、前記水槽内の水を電気分解して電解水を生成する電解ユニットと、前記電解ユニットが生成した電解水を外部へ供給する電解水供給ポンプと、前記電解ユニット及び前記電解水供給ポンプに電源を供給する電気回路部を収容した電装ボックスと、を収容して構成され、前記電装ボックスは、前記ケースの底面から浮いた位置に固定され、前記電装ボックスの下方に前記電解水供給ポンプが配置されたこと、を特徴とする。
この構成によれば、電解ユニット及び電解水供給ポンプに電源を供給する電気回路部を収容した電装ボックスを、水槽と、電解ユニットと、電解水供給ポンプと、電気回路部を収容した電装ボックスとをケース内に収容しながら、電装ボックスをケースの底面から浮かせて固定することで、電気回路部への水や電解水の進入を防止し、電気回路部を確実に保護できる。これにより、電解水生成装置を構成する各部を一つのケース内に収めることができるので、優れたメンテナンス性を確保でき、さらに、電気回路部と電解ユニット及び電解水供給ポンプとの間の配線長が短くて済むので、配線を効率よく取り回すことができる。
【0005】
上記構成において、電解質水溶液を貯留する水溶液タンクと、この水溶液タンクから電解質水溶液を前記水槽に供給する水溶液供給ポンプとを備え、前記水溶液タンクは前記水槽とともに前記ケースの一方側に並べて配置され、前記電装ボックスの下方には、前記電解水供給ポンプと前記水溶液供給ポンプとが並べて配置され、前記電解水供給ポンプは前記水槽側に位置するものとしてもよい。
この場合、電解水生成装置に電解質水溶液を貯留する水溶液タンクと、水溶液供給ポンプとを設けた構成において、これら水溶液タンクと水溶液供給ポンプを電装ボックスと同一ケース内に配置しながら、電気回路部に対する水や電解水あるいは電解質水溶液の進入を防止できるので、優れたメンテナンス性を確保できる。そして、水溶液タンクと水槽とがケースの一方側に並び、電装ボックスの下方において電解水供給ポンプが水槽側に位置しているので、電解水供給ポンプと水槽との間の配管が短くて済み、効率よく配管を取り回すことができ、ポンプの動力ロスを抑えることもできる。
【0006】
また、前記ケースの側面のうち、前記水槽及び前記水溶液タンクから離れた側の側面には開放可能なサービス用パネルが設けられ、このサービス用パネルの開放状態においては前記電装ボックスのカバーが露出し、該カバーを開くことで前記電装ボックス内にアクセス可能に構成されたものとしてもよい。
この場合、水槽及び水溶液タンクから離れた側の側面にサービス用パネルを設け、このサービス用パネルを開くことで電装ボックスのカバーが露出し、このカバーを開くと電装ボックス内の電気回路部にアクセス可能となるので、電気回路部へのアクセスが容易になり、優れたメンテナンス性を確保できる。また、サービス用パネルが水槽及び水溶液タンクから離れた側にあるため、電気回路部へのアクセス時において水や電解水或いは電解質水溶液の進入を防止でき、電気回路部を確実に保護できる。
【0007】
さらに、前記ケースは、その上面及び各側面の上端を覆う蓋を有し、この蓋の開放時に前記サービス用パネルが開放可能となるものとしてもよい。
この場合、ケースの上面及び各側面の状態が蓋によって覆われているので、本発明の電解水生成装置を屋外に設置した場合等においても電気回路部への水等の進入を防止できる。そして、ケースの蓋を開放するとサービス用パネルを開いて電装ボックス内の電気回路部へアクセス可能となるので、屋外設置時等においても電気回路部を確実に保護しつつ、優れたメンテナンス性を確保できる。
【0008】
また、本発明は、電解水を生成する電解水生成装置と、この電解水生成装置により生成された電解水と空気とを接触させることにより空気を除菌する空気除菌部と、を備えた除菌システムにおいて、前記電解水生成装置は、ケース内に、水槽と、前記水槽に取り付けられ、前記水槽内の水を電気分解して電解水を生成する電解ユニットと、前記電解ユニットが生成した電解水を外部へ供給する電解水供給ポンプと、前記電解ユニット及び前記電解水供給ポンプに電源を供給する電気回路部を収容した電装ボックスと、を収容して構成され、前記電装ボックスは、前記ケースの底面から浮いた位置に固定され、前記電装ボックスの下方に前記電解水供給ポンプが配置されたこと、を特徴とする。
この構成によれば、電解水により空気を除菌する除菌システムが備える電解水生成装置において、電解ユニット及び電解水供給ポンプに電源を供給する電気回路部を収容した電装ボックスを、水槽と、電解ユニットと、電解水供給ポンプと、電気回路部を収容した電装ボックスと同一のケース内に収容して、電装ボックスをケースの底面から浮かせて固定することで、電気回路部への水や電解水の進入を防止し、電気回路部を確実に保護できる。これにより、電解水生成装置を構成する各部を一つのケース内に収めることができるので、優れたメンテナンス性を確保でき、さらに、電気回路部と電解ユニット及び電解水供給ポンプとの間の配線長が短くて済むので、配線を効率よく取り回すことができる。
【0009】
上記構成において、一つの大空間に開口した複数の吹出口に給気ダクトを介して接続されるチャンバを、上記大空間を有する建物の屋上に設け、このチャンバ内に前記空気除菌部を設けるとともに、前記チャンバ内の前記空気除菌部に電解水を供給する前記電解水生成装置を、前記チャンバとともに屋上に設置して構成されたものとしてもよい。
この構成によれば、大空間を有する建物の屋上に設けられたチャンバ内に空気除菌部を設けて、除菌した空気を、給気ダクトを介して大空間に供給することによって、大空間の空気を清浄化することが可能となる。そして、この構成で、屋上に設置される電解水生成装置が、電気回路部を収容した電装ボックスを、水槽と、電解ユニットと、電解水供給ポンプと、電気回路部を収容した電装ボックスと同一のケース内に収容することで、優れたメンテナンス性を確保するとともに、効率のよい配線の取り回しを実現することが可能で、さらに、電気回路部への水や電解水の進入を防止し、電気回路部を確実に保護できるので、大空間の空気を清浄化する除菌システムを容易に低コストで実現できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電気回路部への水や電解水の進入を防止しながら、電解水生成装置を構成する各部を一つのケース内に収めることができるので、優れたメンテナンス性を確保でき、さらに、電気回路部と電解ユニット及び電解水供給ポンプとの間の配線長が短くて済むので、配線を効率よく取り回すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
本実施の形態では、大空間施設の一例としての映画館100に、ルーフトップ型空気調和機(以下、空気調和機という)110を設置した場合について説明する。図1は、映画館100と空気調和機110の概略図である。
図1に示すように、映画館100には、前方にスクリーン101が配置され、スクリーン101の後方に階段状に客席部102が設けられている。一方、映画館100の天井部103には、空気調和機110から供給された調和空気を館内に吹き出す複数の吹出口104が設けられている。これら吹出口104は、給気ダクト105を介して、空気調和機110の供給口111に連結されている。
また、映画館100の床部106には、床部106付近の館内空気(内気)を吸い込む吸込口107が設けられている。吸込口107は、客席部102から見てスクリーン101の背面側に設けられ、スクリーン101の背後空間を上方に延びる吸気ダクト108を介して、空気調和機110の内気導入口112に連結されている。また、空気調和機110には、空気調和機110内に屋外の空気(外気)を導入する外気導入口113が形成されている。
映画館100内の空気(内気)は、矢印Xで示すように、吸込口107から吸い込まれ、吸気ダクト108及び内気導入口112を通じて、空気調和機110内に導かれる。ここで、空気調和機110内には、外気導入口113を通じて外気が導かれているため、この外気と上記内気とが当該空気調和機110内で混合される。この混合された空気は、空気調和機110が備える利用側熱交換器(後述する)で熱交換された後、供給口111及び給気ダクト105を通じて、吹出口104から調和空気として映画館100内に供給される。
【0012】
空気調和機110は、例えば、映画館、劇場、病院、または、ショッピングセンタ等、不特定多数の人が長時間滞在する大空間施設を有する構造物(ビル)200の屋上に設置され、その直下あるいは近傍の空間を空気調和する。
図2及び図3は空気調和機110の構成を示す図であり、図2は空気調和機110の概略構成を示す図、図3は空気調和機110における空気の出入りを示す模式図である。
【0013】
図2及び図3に示すように、空気調和機110は、1つの筐体114に熱源側ユニット1と利用側ユニット2とを一体に備えて構成される。
具体的には、筐体114内は、仕切板115によって区分けされており、一方の室(機械室)116に熱源側ユニット1が配置され、他方の室117に利用側ユニット2が配置されている。これら熱源側ユニット1及び利用側ユニット2は、冷媒配管10で連結されて冷媒回路を形成している。
熱源側ユニット1は、図2に示すように、冷媒配管10に設けられた圧縮機11を備え、圧縮機11の吸込側に、アキュムレータ12が接続され、その吐出側には四方弁13と熱源側熱交換器14と電動膨張弁15とが順に接続されている。また、熱源側ユニット1には、熱源側熱交換器14へ向かって送風する熱源側送風機16が配設されている。
一方、利用側ユニット2は、上記冷媒配管10を介して電動膨張弁15に接続される利用側熱交換器21と、利用側熱交換器21へ向かって送風する利用側送風機22とを備えて構成され、当該利用側熱交換器21は、上記冷媒配管10を介して上記四方弁13に接続されている。
【0014】
冷房運転時には、図2に示す実線矢印の方向に冷媒が流れるように、四方弁13が切り換えられる。圧縮機11から吐出された高圧の冷媒は、アキュムレータ12を経て熱源側熱交換器14に達し、熱源側熱交換器14において凝縮されて電動膨張弁15に送られる。この高圧の冷媒は電動膨張弁15で膨張して利用側熱交換器21に流入し、利用側熱交換器21において蒸発することにより、利用側ユニット2内に導入された空気を冷却する。利用側熱交換器21で蒸発した冷媒は圧縮機11の吸込側に戻る。
また、暖房運転時には、図2に示す破線矢印の方向に冷媒が流れるように、四方弁13が切り換えられる。圧縮機11から吐出された高圧の冷媒は、利用側熱交換器21に送られ、利用側熱交換器21において凝縮することにより、利用側ユニット2内に導入された空気を加温する。利用側熱交換器21で凝縮した冷媒は、電動膨張弁15で膨張して熱源側熱交換器14に流入し、熱源側熱交換器14で蒸発した後、四方弁13を介してアキュムレータ12に送られ、圧縮機11の吸込側に戻る。
【0015】
空気調和機110には、利用側送風機22の運転により、利用側熱交換器21で冷房または暖房された調和空気を除菌する除菌ユニット150が設けられている。本実施形態では、除菌ユニット150は除菌システムに相当する。
除菌ユニット150は、図2に示すように、利用側ユニット2に導入された空気に活性酸素種を含む電解水を接触させて空気の除菌を行う空気除菌部4と、所定のイオン種を含む水を電気分解して活性酸素種を含む当該電解水を生成し、この電解水を上記空気除菌部4に循環供給する電解水循環供給部5とを備えている。
【0016】
利用側ユニット2が設けられる他方の室117は、図3に示すように、仕切板118によって、さらに熱交換室119とチャンバとしての除菌室120とに区分けされている。
熱交換室119には、上記した内気導入口112及び外気導入口113が形成され、これら内気導入口112及び外気導入口113の下流側に利用側熱交換器21が筋交い状に配置されている。熱交換室119には内気導入口112から映画館100の館内空気が流入する一方、外気導入口113から外気が流入するので、利用側熱交換器21は、内気導入口112からの内気及び外気導入口113からの外気が全て利用側熱交換器21を通過するように配置されている。利用側熱交換器21は、図3に示すように上記2つの開口部と利用側送風機22との間に配置され、筋交いのように位置する。
また、仕切板118には、熱交換室119と除菌室120とを連通させる開口118Aが形成されている。開口118Aには利用側送風機22が取り付けられ、利用側送風機22の運転により、熱交換室119内の空気が開口118Aを通じて除菌室120に送風される。除菌室120には利用側送風機22の下流側に空気除菌部4が配置され、空気除菌部4の下流側には、供給口111を介して給気ダクト105(図1)に連通する後室121が形成されている。利用側ユニット2に導入された空気は、除菌室120を通過する際に空気除菌部4で電解水と接触することにより除菌され、除菌された空気が後室121、供給口111及び給気ダクト105を通じて、映画館100内に循環供給される。
【0017】
図4は、除菌ユニット150の概略構成を示す図である。
除菌ユニット150は、除菌室120内に配置される空気除菌部4と上記除菌室120に隣接して配置される電解水循環供給部5とを備える。電解水循環供給部5は、除菌能を有する電解水を生成して空気除菌部4に循環供給し、空気除菌部4は、電解水循環供給部5から供給される電解水と空気とを接触させて空気を除菌する。
空気除菌部4は、6つのエレメントユニット40A、40B、40C、40D、40E、40Fを備えている。エレメントユニット40A〜40Fは、それぞれ、2枚の気液接触部材を組み合わせて構成されており、本実施形態では合わせて12枚の気液接触部材41A1〜41F1、41A2〜41F2が用いられている。6つのエレメントユニット40A〜40Fは、後述するように、除菌室120内の送風路のほぼ全面を覆うように並べて配設され、除菌室120内を通る空気が漏れなく気液接触部材41A1〜41F2を通過する構成となっている。
【0018】
気液接触部材41A1〜41F2は、送風路120Aを通過する空気に電解水を接触させる部材であり、これら気液接触部材41A1〜41F2において送風路120Aを流れる空気が所定の活性酸素種を含む電解水に接触することにより、空気中に含まれるウィルス等が不活化されて空気の除菌が行われる。
気液接触部材41A1〜41F2は、ハニカム構造に似た3次元構造を持ったフィルタ部材であり、気体に接触するエレメント部をフレームにより支持する構造を有する。エレメント部は、図示を省略するが、波板状の波板部材と平板状の平板部材とが積層されて構成され、これら波板部材と平板部材との間に略三角状の多数の開口が形成されている。従って、エレメント部に空気を通過させる際の気体接触面積が広く確保され、電解水の滴下が可能で、目詰まりしにくい構造になっている。
エレメント部には、電解水による劣化が少ない素材、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等)、PET(ポリエチレン・テレフタレート)樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素系樹脂(PTFE、PFA、ETFE等)又はセラミックス系材料等の素材が使用され、本構成では、PET樹脂を用いるものとする。また、エレメント部には親水性処理が施され、電解水に対する親和性が高められており、これによって、気液接触部材41A1〜41F2の電解水の保水性(湿潤性)が保たれ、後述する活性酸素種(活性酸素物質)と空気との接触が長時間持続される。
【0019】
気液接触部材の数は、除菌室120を通過する空気量に応じて決定されるものであり、送風路120Aを通過する空気量と1枚あたりの気液接触部材の除菌能力(気体接触面積)とから好適な数を算出でき、当該空気を十分に除菌できる数の気液接触部材が除菌室120に配置される。本実施形態を例に挙げれば、12枚の気液接触部材41A1〜41F1、41A2〜41F2が用いられる。
【0020】
また、電解水生成装置としての電解水循環供給部5は、貯水タンク51と、貯水タンク51内の水を電気分解して電解水を生成する電解ユニット52と、貯水タンク51内の電解水を空気除菌部4の各気液接触部材41A1、A2〜41F1、F2にそれぞれ供給する電解水供給管56と、電解水供給管56上に設けられた送水ポンプ53と、送水ポンプ53の下流側で上記電解水供給管56から分岐して電解ユニット52に接続される分岐管54と、上記ドレンパン44に流下した水を貯水タンク51に導く循環水戻り管55と、上記電解ユニット52、送水ポンプ53等の動作を制御する制御部65と、を備える。
【0021】
貯水タンク51には、この貯水タンク51に市水(水道水)等を供給する給水管57と、給水弁58とが接続され、給水弁58は、貯水タンク51内に設けられるフロートスイッチFSの動作に基づき、制御部65によって開閉制御される。ここで、給水管57に接続されて、貯水タンク51に水を供給する給水源は、市水(水道水)或いは給水槽等に貯留された水等のいずれであってもよい。この給水槽等に貯留される水とは、水道水等のように塩化物イオン等のイオン種が予め含有されている水であってもよいし、井戸水等の塩化物イオンの濃度の希薄な水を使う場合には、この水に塩化物イオンを添加して水道水相当に調整された水であってもよい。本実施形態では、これらを総称して水という。
本構成では、貯水タンク51には、井戸水等の塩化物イオン濃度の希薄な水を使用した場合であっても、この水に塩化物イオンを添加するために、予め所定の濃度に調整された食塩水を貯留した食塩水タンク59が設けられ、この食塩水タンク59には食塩水供給管60を介して供給ポンプ61が接続されており、供給ポンプ61によって食塩水タンク59内の食塩水が貯水タンク51に供給される。貯水タンク51に接続される食塩水供給管60には逆止弁62が設けられている。供給ポンプ61は、例えば、電解ユニット52で検出される導電率に基づいて制御部65の制御によって動作するように構成されている。
なお、活性酸素種を効率よく発生させるために貯水タンク51内の水に添加される電解質は食塩に限らず、他の電解質を用いることも可能であり、例えば、塩化カルシウムや塩化マグネシウムを用いてもよいし、他のハロゲンを含む含ハロゲン塩や、塩素及び他のハロゲンの各種ハロゲン酸塩を用いることも可能であり、ハロゲンを含まない電解質を用いてもよい。これらの電解質は水溶性であることが好ましい。
【0022】
また、本実施形態では、貯水タンク51の接続口に接続される電解水供給管56は、6本の電解水供給管56A〜56Fにそれぞれ分岐され、送水ポンプ53から送られた電解水が各電解水供給管56A〜56Fに略均等に分流されるようになっている。電解水供給管56A〜56Fは、それぞれエレメントユニット40A〜40Fに対して電解水を供給する。電解水供給管56A〜56Fにより供給された電解水は、気液接触部材41A1〜41F2に浸潤され、これら気液接触部材41A1〜41F2から流下してドレンパン44に集められ、循環水戻り管55を介して貯水タンク51に戻る。
【0023】
電解ユニット52は、貯水タンク51の側面に固定配置されている。具体的には、電解ユニット52は、有底円筒形状の本体ケースと、本体ケース内に収納される少なくとも一対の電極板72、73とを備え、これら電極板72、73間に電圧を印加することにより、水を電気分解して活性酸素種を含む電解水を生成させる。
ここで、活性酸素種とは、通常の酸素よりも高い酸化活性を持つ酸素分子と、その関連物質のことであり、スーパーオキシドアニオン、一重項酸素、ヒドロキシルラジカル、或いは過酸化水素といった、いわゆる狭義の活性酸素に、オゾン、次亜ハロゲン酸等といった、いわゆる広義の活性酸素を含めたものとする。
【0024】
電極板72、73は、例えば、ベースがチタン(Ti)で構成された2枚の電極板であり、その表面には、それぞれ、イリジウム(Ir)を含む皮膜層、及び、白金(Pt)を含む皮膜層を有する。
上記電極板72、73間に電圧を印加すると、カソード電極(陰極)では、下記式(1)に示すように反応する。
2H2O+2e-→H2+2OH- ・・・(1)
アノード電極(陽極)では、下記式(2)に示すように反応する。
2H2O→O2+4H++4e- ・・・(2)
これらカソード電極及びアノード電極での反応を合わせると、下記式(3)に示すように水が電気分解される。
2H2O→2H2+O2 ・・・(3)
この反応とともに、アノード電極においては、水に含まれる塩素イオン(塩化物イオン:Cl-)が下記式(4)に示すように反応し、塩素(Cl2)が発生する。
2Cl-→Cl2+2e- ・・・(4)
さらに、この塩素は下記式(5)に示すように水と反応し、次亜塩素酸(HClO)と塩化水素(HCl)が発生する。
Cl2+H2O→HClO+HCl ・・・(5)
【0025】
アノード電極で発生した次亜塩素酸(広義の活性酸素種)は、強力な酸化作用や漂白作用を有する。次亜塩素酸が溶解した水溶液、すなわち電解ユニット52により生成される電解水は、ウィルス等の不活化、殺菌、有機化合物の分解等、種々の空気清浄効果を発揮する。このように、次亜塩素酸を含む電解水が電解水供給管56A〜56Fを流れ、散水ボックスを介して気液接触部材41A1〜41F2に滴下されると、利用側送風機22により吹き出された空気が気液接触部材41A1〜41F2において次亜塩素酸と接触する。これにより、空気中に浮遊するウィルス等が不活化されるとともに、当該空気に含まれる臭気物質が次亜塩素酸と反応して分解され、或いはイオン化して溶解する。従って、空気の除菌及び脱臭がなされ、清浄化された空気が気液接触部材41A1〜41F2から排出される。
【0026】
活性酸素種によるウィルス等の不活化の作用機序として、インフルエンザウイルスの例を挙げる。上述した活性酸素種は、インフルエンザウイルスの感染に必須とされるウィルスの表面蛋白(スパイク)を破壊、消失(除去)する作用を有する。この表面蛋白が破壊された場合、インフルエンザウイルスと、インフルエンザウイルスが感染するのに必要な受容体(レセプタ)とが結合しなくなり、感染が阻止される。このため、空気中に浮遊するインフルエンザウイルスは、気液接触部材41A1〜41F2において活性酸素種を含む電解水に接触することにより、感染力を失うこととなり、感染が阻止される。
【0027】
従って、ルーフトップ型空気調和機110の除菌室120に気液接触部材41A1〜41F2を備えたエレメントユニット40A〜40F配置することにより、この除菌室120を通過する空気が気液接触部材41A1〜41F2で除菌され、図1に示すように、この除菌された空気を映画館100内で広く行き渡らせることが可能となり、大空間施設内での空気除菌及び脱臭を容易に、効率良く行うことができる。
【0028】
ここで、電解ユニット52内の電極板72、73のうち任意の側に正電位を与えるための電極の切り替えは、電極の極性を反転させることで行うことができ、本実施形態では、制御部65によって電極板72、73に印加する電圧を変化(反転)させることにより、実行可能である。
また、電解水中の活性酸素種の濃度は、制御部65の制御下、除菌するウィルス等を不活化させる濃度となるように調整される。活性酸素種の濃度の調整は、電極板72、73間に印加する電圧を調整して、電極板72、73間に流す電流値を調整することにより行われる。例えば、電極板72に正の電位を与えて、電極板72、73間に流れる電流値を、電流密度で20mA(ミリアンペア)/cm2(平方センチメートル)とすると、所定の遊離残留塩素濃度(例えば1mg(ミリグラム)/l(リットル))を発生させる。また、電極板72、73間に印加する電圧を変更して、電流値を高くすることで、電解水中の次亜塩素酸の濃度を高い濃度に調整できる。
【0029】
また、貯水タンク51には、サイホン方式で貯水タンク51内の水を排水する排水管67が設けられている。排水管67は、貯水タンク51の底部から上方に延びる第1鉛直部67Aと、この第1鉛直部67Aに連なり略水平方向に延びる水平部67Bと、この水平部67Bに連なりタンク外で下方に延びる第2鉛直部67Cとを備える。この水平部67Bは、通常の貯水タンク51内の制御水位よりも若干高い位置に設けられており、給水弁58を開いてこの高さ位置まで給水することにより、サイホンの原理によって貯水タンク51内の水が排出される。
【0030】
続いて、空気調和機110のより具体的な実施態様を説明する。
図5は、本実施形態における電解水循環供給部5の構成及び設置状態を示す外観斜視図である。理解の便宜を図るため、図5には熱源側ユニット1及び利用側ユニット2と、電解水循環供給部5と熱源側ユニット1及び利用側ユニット2との間に敷設される配管類とを、併せて図示する。
【0031】
図5に示すように、電解水循環供給部5は、熱源側ユニット1及び利用側ユニット2とは別体として構成されるケース50を有し、このケース50に、貯水タンク51(水槽)、食塩水タンク59(水溶液タンク)、及び電装ボックス30を収容して構成される。電解水循環供給部5と除菌室120との間には、電解水循環供給部5から除菌室120に対して電解水を供給する電解水供給管56、及び、除菌室120から電解水が電解水循環供給部5へ環流する循環水戻り管55が接続されている。また、電解水循環供給部5には、市水を電解水循環供給部5へ供給する給水管57が、減圧弁57Aを介して接続されている。さらに、電解水循環供給部5には、貯水タンク51内の水位が所定水位を超えた場合に排水を行うオーバーフロー管68、及び、貯水タンク51内の電解水を排出する排水管67が取り付けられている。また、除菌室120には、除菌室120内に納められた除菌ユニット150から空気調和機110の外へ電解水を排水する排水管69が接続されている。
そして、電解水循環供給部5には、除菌室120に近い側に貯水タンク51が配置され、貯水タンク51の隣には食塩水タンク59が並べて配置され、除菌室120とは反対側に電装ボックス30が配置されている。
【0032】
図6は、電解水循環供給部5の構成を示す分解斜視図である。
図6に示すように、電解水循環供給部5のケース50は直方体であり、上面が着脱可能な蓋50Aとなっていて、他の側面のうち2面は取り外し可能な配管引出パネル50B、及び電装ボックス側パネル50Cとなっており、他の側面と底面50Dは一体に接合されている。
【0033】
配管引出パネル50Bは、貯水タンク51が設置された側の側面に相当し、電解水循環供給部5の外部と貯水タンク51とに繋がる各種配管を通すための複数の孔が開口している。また、電装ボックス側パネル50Cは除菌室120(図5)とは反対側に面する側面であり、配管引出パネル50B及び配管引出パネル50Bに対向する面に形成されたカバー取付部50Eにネジ止めされている。
蓋50Aは、図示しないネジ等により固定され、このネジを取り外すことによって開くことが可能である。蓋50Aの開放状態では、ケース50の内部に収容された電装ボックス30、貯水タンク51、送水ポンプ53、食塩水タンク59、供給ポンプ61等の各部へのアクセスが可能となる。
【0034】
蓋50Aは、屋外に設置される電解水循環供給部5への雨水及び塵埃の進入を防止するため、ケース50の上面および各側面の上端を覆っている。このため、配管引出パネル50B及び電装ボックス側パネル50Cを取り外す場合は、まず蓋50Aを取り外すことになる。蓋50Aを取り外すと、最初に電装ボックス側パネル50Cが取り外し可能な状態になり、電装ボックス側パネル50Cを取り外すと配管引出パネル50Bが取り外し可能な状態となる。
【0035】
電装ボックス側パネル50C(サービス用パネル)を取り外すと、ケース50の一側面が開放され、直方体の電装ボックス30の一側面を構成する電装ボックスカバー30A(カバー)が露出し、この電装ボックスカバー30Aを、電装ボックス側パネル50C側に取り外すことが可能になる。電装ボックス30には、制御部65(図4)を構成するマイコン等が実装された制御基板31や、電解ユニット52、送水ポンプ53、供給ポンプ61等に電源を供給する電源回路部(電気回路部)33等が収容されている。電装ボックスカバー30Aを取り外すと、電装ボックス30の一側面が開放され、電装ボックス30に収容された制御基板31、及び、電源回路部33等へのアクセスが可能になる。
このように、蓋50Aを外して電装ボックス側パネル50Cを取り外すと、電装ボックスカバー30Aが露出し、この電装ボックスカバー30Aを取り外すことで、電装ボックス30の内部にアクセスできる。これにより、電装ボックス30のメンテナンスを極めて容易に行うことができる。
【0036】
ケース50内においては、貯水タンク51と食塩水タンク59とが並べて配置され、この貯水タンク51と食塩水タンク59とが並ぶ方向に沿って、長手形状の箱である電装ボックス30が配置されている。
電装ボックス30は、その底面がケース50の底面50Dから浮くように、ケース50の側面にブラケット35を介して固定され、電装ボックス30の下方の空間には、供給ポンプ61(水溶液供給ポンプ)及び送水ポンプ53(電解水供給ポンプ)が並べて設置され、供給ポンプ61は食塩水タンク59側に、送水ポンプ53は貯水タンク51側に位置している。
ここで、電装ボックス30が底面50Dから浮いた位置で固定されているので、ケース50内の各部から漏れたり、あふれたりした水や電解水或いは食塩水が、電装ボックス30内部に進入することはなく、制御基板31や電源回路部33を確実に保護することができ、電源回路部33等を貯水タンク51や食塩水タンク59と同一のケース50に収める構成を可能となしている。
【0037】
供給ポンプ61は、食塩水供給管60を介して食塩水タンク59の内部に繋がる吸込口61Aと、貯水タンク51の食塩水投入部85に繋がる吐出口61Bとを有し、吸込口61Aから吸い込んだ食塩水を吐出口61Bから吐出する。供給ポンプ61の脚部61Cは底面50Dに固定されている。送水ポンプ53は、貯水タンク51内の電解水を吸い込む吸込口53Aと、吸込口53Aから吸い込んだ電解水を送水ポンプ53へ吐出する吐出口53Bとを有する。ここで、吐出口53Bから吐出された電解水の一部は分岐して、後述するように電解ユニット52へ供給される。送水ポンプ53の脚部53Cは底面50Dに固定されている。
貯水タンク51の電装ボックス30側の面には、電解ユニット52が取り付けられ、供給ポンプ61により送出された食塩水が投入される食塩水投入部85、貯水タンク51内の電解水を供給する電解水供給口88が配置されている。従って、電装ボックス30の下方において供給ポンプ61を食塩水タンク59側に設置し、送水ポンプ53を貯水タンク51側に設置することで、各タンク及びポンプの間に敷設される配管長が短くて済み、無駄のない取り回しができる。具体的には、図4に示した分岐管54、電解水供給管56、食塩水供給管60、及び排水管67の各配管は、いずれも、電装ボックス30の下方または電装ボックス30と貯水タンク51、食塩水タンク59との間に敷設される。このため、配管長を抑えることができ、各配管が集中していることからメンテナンスが容易になる。
【0038】
また、電装ボックス30の下方に設置された供給ポンプ61及び送水ポンプ53に対しては、電装ボックス30の底面に穿設された配線通し孔37を通って電源回路部33から延びる配線が接続される。このため、電源回路部33と供給ポンプ61及び送水ポンプ53との間の配線長が短くて済み、配線の取り回しが容易である。
さらに、電源回路部33は、電装ボックス30内において貯水タンク51に近い側に配置されて、貯水タンク51から離れた側には制御基板31が配置されている。制御基板31は、後述するフロートスイッチFS等の検出値に基づいて、電解ユニット52、送水ポンプ53、給水弁58、供給ポンプ61等を制御する制御部65(図4)を実装しているので、上記の各部やセンサに結線されている。これに対し、電源回路部33は、制御部65の制御に従って、電解ユニット52、送水ポンプ53及び供給ポンプ61を動作させる駆動電流を供給する。このため、電源回路部33が出力する電流は制御基板31よりも大きく、結線される配線も大電流に応じたものとなる。このため、制御基板31から各部に伸びる配線よりも、電源回路部33から各部に伸びる配線は太く、取り回しが難しく、一般に高価である。そこで、電源回路部33を貯水タンク51側に配置することで、電源回路部33から電解ユニット52や送水ポンプ53への配線長を短くすることができ、配線の取り回しの容易性が増し、低コスト化を図ることができる。
【0039】
図6に示すように、貯水タンク51には蓋が無く、ケース50の蓋50Aを開けると貯水タンク51の中が露出する。このため、蓋50Aを開放するだけで、貯水タンク51内に溜まったスケールの除去等のメンテナンスを簡単に行うことができる。
【0040】
また、貯水タンク51の配管引出パネル50B側の面には、オーバーフロー排出口81、水抜き口82、及び、循環水戻り口84が設けられている。オーバーフロー排出口81は、貯水タンク51内の電解水の水位が、オーバーフロー排出口81の高さを超えた場合に、電解水をオーバーフロー管68(図5)に排出させる開口部である。循環水戻り口84は、除菌室120からの循環水戻り管55が接続される開口部である。また、水抜き口82は、メンテナンス時に貯水タンク51内の電解水を強制的に全量排水するための開口部であり、手作業により開閉されるコックが取り付けられている。
【0041】
貯水タンク51の内部は仕切壁64によって区画され、仕切壁64には貫通孔が設けられており、この貫通孔にはスケールフィルタ66が取り付けられている。すなわち、貯水タンク51内は、スケールフィルタ66によって電解ユニット52側の室と、電解水供給口88側の室とに区画され、電解水は電解ユニット52側の室から他方の室へスケールフィルタ66を通って流れる。スケールフィルタ66の下流側の室には、異なる高さ位置に複数のフロートスイッチFSが取り付けられている。
【0042】
以上、本実施形態によれば、空気調和機110が備える電解水循環供給部5は、ケース50内に、貯水タンク51と、貯水タンク51に取り付けられ、貯水タンク51内の水を電気分解して電解水を生成する電解ユニット52と、電解ユニット52が生成した電解水を外部へ供給する送水ポンプ53と、電解ユニット52及び送水ポンプ53に電源を供給する電源回路部33を収容した電装ボックス30と、を収容して構成され、電装ボックス30は、ケース50の底面から浮いた位置に固定され、電装ボックス30の下方に送水ポンプ53が配置されている。これにより、電源回路部33を収容した電装ボックス30を、貯水タンク51と、電解ユニット52と、送水ポンプ53と、電源回路部33を収容した電装ボックス30とをケース50内に収容しながら、電装ボックス30をケース50の底面から浮かせて固定することで、電源回路部33への水や電解水の進入を防止し、電源回路部33を確実に保護できる。従って、電解水循環供給部5を構成する各部を一つのケース50内に収めることができるので、優れたメンテナンス性を確保でき、さらに、電源回路部33と電解ユニット52及び送水ポンプ53との間の配線長が短くて済むので、配線を効率よく取り回すことができる。
【0043】
また、電解水循環供給部5は、食塩水を貯留する食塩水タンク59と、この食塩水タンク59から食塩水を貯水タンク51に供給する供給ポンプ61とを備え、食塩水タンク59は貯水タンク51とともにケース50の一方側に並べて配置され、電装ボックス30の下方には、送水ポンプ53と供給ポンプ61とが並べて配置され、送水ポンプ53は貯水タンク51側に位置する。このため、食塩水タンク59と供給ポンプ61を電装ボックス30と同一のケース50内に配置しながら、電源回路部33に対する水や電解水あるいは食塩水の進入を防止できるので、優れたメンテナンス性を確保できる。そして、食塩水タンク59と貯水タンク51とがケース50の一方側に並び、電装ボックス30の下方において送水ポンプ53が貯水タンク51側に位置しているので、送水ポンプ53と貯水タンク51との間の配管が短くて済み、効率よく配管を取り回すことができ、ポンプの動力ロスを抑えることもできる。
【0044】
さらに、電解水循環供給部5においては、ケース50の側面のうち、貯水タンク51及び食塩水タンク59から離れた側の側面には開放可能な電装ボックス側パネル50Cが設けられ、この電装ボックス側パネル50Cの開放状態においては電装ボックス30のカバーが露出し、該カバーを開くことで電装ボックス30内にアクセス可能である。このため、電源回路部33へのアクセスが容易になり、優れたメンテナンス性を確保できる。また、電装ボックス側パネル50Cが貯水タンク51及び食塩水タンク59から離れた側にあるため、電源回路部33へのアクセス時において水や電解水或いは食塩水の進入を防止でき、電源回路部33を確実に保護できる。
【0045】
さらに、ケース50は、その上面及び各側面の上端を覆う蓋50Aを有し、この蓋50Aの開放時に電装ボックス側パネル50Cが開放可能となるので、本発明の電解水循環供給部5を屋外に設置した場合等においても電源回路部33への水等の進入を防止でき、屋外設置時等においても電源回路部33を確実に保護しつつ、優れたメンテナンス性を確保できる。
【0046】
そして、この電解水循環供給部5を備えた除菌ユニット150は、電解水循環供給部5を構成する各部を一つのケース50内に収めることができるので、優れたメンテナンス性を確保でき、さらに、電源回路部33と電解ユニット52及び送水ポンプ53との間の配線長が短くて済み、配線を効率よく取り回すことができるという利点がある。
また、一つの大空間としての映画館100に開口した複数の吹出口104に給気ダクト105を介して接続される除菌室120を、上記大空間を有するビル200の屋上に設け、この除菌室120内に空気除菌部4を設けるとともに、除菌室120内の空気除菌部4に電解水を供給する電解水循環供給部5を、除菌室120とともに屋上に設置したので、大空間の空気を清浄化することが可能となる。ここで、屋上に設置される電解水循環供給部5においては、優れたメンテナンス性を確保するとともに、効率のよい配線の取り回しを実現することが可能で、さらに、電源回路部33への水や電解水の進入を防止し、電源回路部33を確実に保護できるので、大空間の空気を清浄化する除菌ユニット150を容易に低コストで実現できる。
【0047】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本実施形態では、電解水循環供給部5のケース50において、電装ボックス30がケース50の側面に固定される構成としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、柱や脚により電装ボックス30を支持して、底面50Dから浮かせた位置で固定してもよい。また、ケース50の形状は直方体に限定されず、多角形としてもよいし、直方体の一部を除いた形状としてもよく、貯水タンク51、食塩水タンク59、電装ボックス30等の形状も同様であり、その他の配管構成や他の細部構成等についても任意に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本実施形態にかかるルーフトップ型空気調和機が建屋に設置された状態を示す断面図である。
【図2】空気調和機の概略構成を示す図である。
【図3】空気調和機の内部構成を上方から見た図である。
【図4】空気調和機に設けられた除菌ユニットの概略構成を示す図である。
【図5】電解水循環供給部の構成及び設置状態を示す図である。
【図6】電解水循環供給部の構成を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
1 熱源側ユニット
2 利用側ユニット
4 空気除菌部
5 電解水循環供給部(電解水生成装置)
30 電装ボックス
30A 電装ボックスカバー(カバー)
31 制御基板
33 電源回路部(電気回路部)
40A、40B、40C、40D、40E、40F エレメントユニット
41A1、41A2、41B1、41B2、41C1、41C2、41D1、41D2、41E1、41E2、41F1、41F2 気液接触部材
50 ケース
50A 蓋
50B 配管引出パネル
50C 電装ボックス側パネル(サービス用パネル)
51 貯水タンク(水槽)
52 電解ユニット
53 送水ポンプ(電解水供給ポンプ)
56 電解水供給管
59 食塩水タンク(水溶液タンク)
61 供給ポンプ(水溶液供給ポンプ)
67 排水管
72、73 電極板
100 映画館(大空間)
110 空気調和機
116 一方の室(機械室)
119 熱交換室
120 除菌室(チャンバ)
150 除菌ユニット(除菌システム)
200 ビル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内に、水槽と、前記水槽に取り付けられ、前記水槽内の水を電気分解して電解水を生成する電解ユニットと、前記電解ユニットが生成した電解水を外部へ供給する電解水供給ポンプと、前記電解ユニット及び前記電解水供給ポンプに電源を供給する電気回路部を収容した電装ボックスと、を収容して構成され、
前記電装ボックスは、前記ケースの底面から浮いた位置に固定され、前記電装ボックスの下方に前記電解水供給ポンプが配置されたこと、
を特徴とする電解水生成装置。
【請求項2】
電解質水溶液を貯留する水溶液タンクと、この水溶液タンクから電解質水溶液を前記水槽に供給する水溶液供給ポンプとを備え、
前記水溶液タンクは前記水槽とともに前記ケースの一方側に並べて配置され、
前記電装ボックスの下方には、前記電解水供給ポンプと前記水溶液供給ポンプとが並べて配置され、前記電解水供給ポンプは前記水槽側に位置すること、
を特徴とする請求項1記載の電解水生成装置。
【請求項3】
前記ケースの側面のうち、前記水槽及び前記水溶液タンクから離れた側の側面には開放可能なサービス用パネルが設けられ、このサービス用パネルの開放状態においては前記電装ボックスのカバーが露出し、該カバーを開くことで前記電装ボックス内にアクセス可能に構成されたこと、
を特徴とする請求項2記載の電解水生成装置。
【請求項4】
前記ケースは、その上面及び各側面の上端を覆う蓋を有し、この蓋の開放時に前記サービス用パネルが開放可能となること、
を特徴とする請求項3記載の電解水生成装置。
【請求項5】
電解水を生成する電解水生成装置と、この電解水生成装置により生成された電解水と空気とを接触させることにより空気を除菌する空気除菌部と、を備えた除菌システムにおいて、
前記電解水生成装置は、ケース内に、水槽と、前記水槽に取り付けられ、前記水槽内の水を電気分解して電解水を生成する電解ユニットと、前記電解ユニットが生成した電解水を外部へ供給する電解水供給ポンプと、前記電解ユニット及び前記電解水供給ポンプに電源を供給する電気回路部を収容した電装ボックスと、を収容して構成され、
前記電装ボックスは、前記ケースの底面から浮いた位置に固定され、前記電装ボックスの下方に前記電解水供給ポンプが配置されたこと、
を特徴とする除菌システム。
【請求項6】
一つの大空間に開口した複数の吹出口に給気ダクトを介して接続されるチャンバを、上記大空間を有する建物の屋上に設け、このチャンバ内に前記空気除菌部を設けるとともに、前記チャンバ内の前記空気除菌部に電解水を供給する前記電解水生成装置を、前記チャンバとともに屋上に設置して構成されたこと、
を特徴とする請求項5記載の除菌システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−69441(P2010−69441A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−241179(P2008−241179)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】