電解金属箔製造装置における電極基体
【課題】通電接触抵抗が小さく電力のロスが防げる電解金属箔製造装置における電極基体を提供する。
【解決手段】電解金属箔製造装置の電着ドラムに対向する曲面状のアノード基材20を複数に分割し、かつ分割された各々のアノード基材に電流を供給する各々の縦ブスバー10の先端部に、アノード基材の曲率と同一曲率の湾曲面を構成し、この湾曲面を前記アノード基材に密着固定する。または縦ブスバーの先端部11をアノード基材表面に密着した導電性の横ブスバーに固定する。
【解決手段】電解金属箔製造装置の電着ドラムに対向する曲面状のアノード基材20を複数に分割し、かつ分割された各々のアノード基材に電流を供給する各々の縦ブスバー10の先端部に、アノード基材の曲率と同一曲率の湾曲面を構成し、この湾曲面を前記アノード基材に密着固定する。または縦ブスバーの先端部11をアノード基材表面に密着した導電性の横ブスバーに固定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解金属箔製造装置に使用する電極基体の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電解金属箔製造装置は、図1に示すように電着ドラム1を電解溶液3に浸して回転させて、陰極としたドラム面と電解溶液3中に配された陽極である電極基体2との間に直流電流を流して、電着ドラム1表面に電解金属箔層を形成させて電解金属箔を製造している。
【0003】
前記製造装置に使用される電極基体2は図10及び図11に示すものであり、電着ドラム1に対向して湾曲したアノード基材20の表側(電着ドラム1側)表面に電極板を構成したものである。そして、アノード基材20の裏側表面には電流を供給するために縦ブスバー40が取り付けられている。
【0004】
図10及び図11(A)、(B)に示す従来の縦ブスバー40は、その先端部41をアノード基材20の裏側表面に電極板50を介してボルト51,51を用いて締結固定していた。
【0005】
前記従来の縦ブスバー40の固定方法によると、縦ブスバー40と電極板50の間に接触抵抗R1が発生し、また電極板50の通電抵抗R2及び電極板50とアノード基材20の間に通電抵抗R3が発生したため、抵抗値が大きくなり電力のロスが生じるという問題点があった。
【0006】
また、大きな湾曲した電極基体20に対し、電極板50は通常1乃至2本であるため、湾曲方向の端部は電路長が長くなり、さらには電極基体20はチタンのような電気抵抗の大きな耐食性材料を用いているため、電気抵抗が大となる。すなわち、湾曲面の各部で、電極板50との距離が大きく異なってくる。その結果、全体では平均的な電気抵抗は大きくなり電力ロスとなると共に、湾曲面の各部で電流が不均一となるという問題があった。
【0007】
また、電極板50も、チタンのような電気抵抗の大きな耐食性材料を用いているため、縦ブスバーから伝わった電気が幅方向に流れて電極基体20に電気が伝わるまでの電路長が長くなるに従い、電気抵抗が大きくなる。その結果、縦ブスバー取付部周辺と、そこから離れた場所で電気抵抗の差が生じ、電流も不均一となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、電極基体を複数に分割して、分割した各々の電極基体に各々の縦ブスバーの先端部を固定し、また縦ブスバーの先端部を、電極基体にボルトで固定した横ブスバーに固定したことにより、通電接触抵抗が小さくなり電力のロスが防げる電解金属箔製造装置における電極基体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の要旨とするところは、電解金属箔製造装置の円筒型陰極に対向し、裏側表面に電極基体に電流を供給する縦ブスバーを固定した曲面状の電極基体において、前記電極基体を複数に分割して、前記分割した各々の電極基体に各々の縦ブスバーの先端部を固定した電解金属箔製造装置における電極基体である。
【0010】
また本発明の要旨とするところは、前記縦ブスバーの先端部を、電極基体の裏側表面に固定した導電性の横ブスバーに固定したことを特徴とする電解金属箔製造装置における電極基体である。
【0011】
また本発明の要旨とするところは、前記縦ブスバーの先端部の表面に、電極基体表面の曲率と同一曲率の湾曲面を構成し、この湾曲面を前記電極基体の表面に密着固定した電解金属箔製造装置における電極基体である。
【0012】
また本発明の要旨とするところは、前記縦ブスバーを電極基体にボルトで固定し、かつこのボルトと縦ブスバーの間に湾曲ワッシャーを介在させて締結固定した電解金属箔製造装置における電極基体である。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上記のように電極基体を複数に分割して、前記分割した各々の電極基体に各々の縦ブスバーの先端部を固定した構成であるため、電極基体の電流分布を均一にし、平均的な電気抵抗が小さくなり電力ロスが防げると共に、湾曲面の各部で電流が不均一となることも防止でき、効率の良い電力供給を行うことができると共に、装置の組み立てが容易になるという効果を奏する。
【0014】
前記縦ブスバーの先端部を、電極基体に固定した横ブスバーに固定した場合には、幅方向での導電性が良くなるため、縦ブスバー取付部周辺と、そこから離れた場所で電気抵抗の差が生ぜず、幅方向でのアノード基材と電着ドラムとの間の電流分布が均一になるという効果がある。
【0015】
前記縦ブスバーの先端部の表面に、電極基体表面の曲率と同一曲率の湾曲面を構成し、この湾曲面を前記電極基体の表面に密着固定した場合は、前記縦ブスバーから電極基体に送られる電流の抵抗を小さくして、電力のロスを防ぎ効率の良い電力供給を行うことができると共に、従来例のように縦ブスバーを電極板を用いて電極基体に固定しないため部品点数が少なくなるというメリットもあり、製造装置の製造コストや製造効率も向上するという効果を奏する。
【0016】
前記縦ブスバーを電極基体にボルトで固定し、かつこのボルトと縦ブスバーの間に湾曲ワッシャーを介在させて締結固定した場合には、縦ブスバーをさらに強力に固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を実施するための最良の形態は、電解金属箔製造装置の円筒型陰極(電着ドラム)に対向する曲面状の電極基体を複数に分割すると共に、各々の電極基体の表面に各々の縦ブスバーを固定し、これら縦ブスバーの先端部を、電極基体の裏側表面に固定した導電性の横ブスバーに固定したものである。
【0018】
以下、本発明の実施例を図に基づいて説明する。
図1は電解金属箔製造装置の構成を示す説明図、図2は本発明の第1実施例の一部切欠拡大正面図、図3は第1実施例の他例の一部切欠拡大正面図、図4は第1実施例の他例の一部切欠拡大正面図と一部拡大図、図5は第1実施例の電極基体への取り付け状態を示す正面図、図6は第2実施例の電極基体への取り付け状態を示す正面図、図7は同側面図、図8は図7の一部拡大正面図、図9は図7の一部切欠拡大斜視図である。
【0019】
本発明の第1実施例を説明する。
図1に示すように電解金属箔製造装置は電着ドラム1に対向して電極基体2が配置されている。そして図2に示すように前記電極基体2を構成するアノード基材20の裏側(電着ドラム1と反対側)表面には、製造装置に電流を供給するための複数の縦ブスバー10,10・・が取り付けられている。
【0020】
この縦ブスバー10は図2に示すように、縦ブスバー10の先端部11の表側表面、すなわちアノード基材20の裏側表面22に接触する面に湾曲面12を構成している。この湾曲面12はアノード基材20の裏側表面22と同一の曲率に構成されているため、縦ブスバー10の先端部11はアノード基材20の裏側表面22に密着して取り付けることができるのである。
なお、前記縦ブスバー10の先端部11に湾曲面12を構成せずに、前記従来例のようにアノード基材20の裏側表面22に取り付けることもできる。
【0021】
次に、縦ブスバー10の作用について説明する。
まず、縦ブスバー10の先端部11の湾曲面12をアノード基材20の裏側表面22に接触させてボルト15,15で密着固定する。
【0022】
その後、縦ブスバー10からアノード基材20へ電流を流す。このとき縦ブスバー10は、湾曲面12を介してアノード基材20に直接接触していてボルト15で固定されているから接触抵抗R1が小さく、縦ブスバー10からの電流は効率よくアノード基材20に供給されるのである。なお図5に示すように、縦ブスバー10はアノード基材20に10本並べて取り付けられている。
【0023】
図3は第1実施例の他例の一部切欠拡大正面図である。
本例は、縦ブスバー10をアノード基材20に固定する方法として、アノード基材20の表側よりボルト16,16を締結している。この方法によればアノード基材20の表側より縦ブスバー10の取り付け作業が行えるため、作業が容易であるという長所がある。
【0024】
図4は第1実施例の他例の一部切欠拡大正面図と一部拡大図である。
本例は、縦ブスバー10を湾曲ワッシャー15aを介してアノード基材20に固定したものである。この湾曲ワッシャー15aは表側表面に縦ブスバー10の先端部11の裏側表面13と同一の曲率の湾曲面15bが構成されているため、縦ブスバー10の裏側表面に間隙なく密着する。本例の湾曲ワッシャー15aによれば、縦ブスバー10をアノード基材20により強固に固定できるのである。
【0025】
図5は前記縦ブスバーの電極基体への取り付け状態を示す正面図である。
本実施例はアノード基材20を電着ドラム1の中心線に沿って一定間隔に分割して分割基材20a、20b、20c、20d、20eを構成し、前記分割基材20a〜20eの裏面に、各々の分割基材20a〜20eに対応する縦ブスバー10,10を固定してある。
【0026】
前記分割基材20a〜20eによれば、アノード基材20の電流分布を均一にでき、装置の組み立てが容易になると共に、金属箔製造装置の効果を最適となるように調節し得るという効果がある。
すなわち、陰極の電着ドラム1と陽極の電極基体2との間の湾曲した電解液部3a,3a(図1参照)における電解反応は、以下の作用により湾曲方向で一定ではない。
(1)電解反応により陽極面には酸素の気泡が発生し、その気泡の量は湾曲した電解液部3a,3aの上方ほど多く存在することになり、結果的に陽極と陰極間の通電(即ち電解反応)が阻害されるのである。
(2)電着ドラム1下部の電解液供給部3bの付近は、銅イオン濃度が高く電解反応が活発であり、電解液部3a,3aの上部に行くに従い濃度が低下、すなわち反応が低下してくる。
本実施例によれば、以上のように一定でない電解反応に対し、電極基体2に供給する電気の電圧及び電流を装置全体として最も効果が良くなるように、各分割基材20a〜20e毎に調節することが可能となる。
【0027】
図6乃至図9は本発明の第2実施例を示すものである。
本実施例は長尺の横ブスバー30,30・・の一側31,31・・を、一定間隔を有してアノード基材20の前記分割基材20a〜20eの裏側にボルト18で水平に固定し、かつ他側32,32・・に縦ブスバー10,10の先端部11,11をボルト17,17・・で固定したものである。
前記横ブスバーは、電気抵抗の小さな導電材を高耐食性材料で被覆したものであり、1本の横ブスバー30に1〜2本の縦ブスバー10を取り付けている。
【0028】
前記横ブスバー30は、長方形状であり本体内部の主要部分30aを銅または銅合金材で構成し、その全周表面をチタン等の耐食材料30bを用いて被覆してある。
そして、前記横ブスバー30の一側31の表側表面には前記第1実施例と同様に、アノード基材20の裏側表面22と同一曲率の湾曲面30cが構成されている。
【0029】
前記第2実施例によれば、前述の第1実施例の効果に加えて、横ブスバー30,30・・の主要部分30aが電気抵抗の小さな導電材で構成しているため、アノード基材20の幅方向での電流分布を均一にするという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】電解金属箔製造装置の構成を示す説明図
【図2】本発明の第1実施例の一部切欠拡大正面図
【図3】本発明の第1実施例の他例の一部切欠拡大正面図
【図4】本発明の第1実施例の他例の一部切欠拡大正面図と一部拡大図
【図5】本発明の第1実施例の電極基体への取り付け状態を示す正面図
【図6】本発明の第2実施例の電極基体への取り付け状態を示す正面図
【図7】本発明の第2実施例の電極基体への取り付け状態を示す側面図
【図8】図7の一部拡大正面図
【図9】図7の一部切欠拡大斜視図
【図10】従来例のアノード基材の電極基体への取り付け状態を示す正面図
【図11】(A)は図10の一部拡大正面図、(B)はその他例を示す一部拡大正面図
【符号の説明】
【0031】
1 電着ドラム
2 電極基体
3 電解溶液
10 縦ブスバー
11 縦ブスバーの先端部
12 縦ブスバーの先端部の表側湾曲面
15 ボルト
15a 湾曲ワッシャー
16 ボルト
17 ボルト
18 ボルト
20 アノード基材
22 アノード基材の裏側表面
30 横ブスバー
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解金属箔製造装置に使用する電極基体の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電解金属箔製造装置は、図1に示すように電着ドラム1を電解溶液3に浸して回転させて、陰極としたドラム面と電解溶液3中に配された陽極である電極基体2との間に直流電流を流して、電着ドラム1表面に電解金属箔層を形成させて電解金属箔を製造している。
【0003】
前記製造装置に使用される電極基体2は図10及び図11に示すものであり、電着ドラム1に対向して湾曲したアノード基材20の表側(電着ドラム1側)表面に電極板を構成したものである。そして、アノード基材20の裏側表面には電流を供給するために縦ブスバー40が取り付けられている。
【0004】
図10及び図11(A)、(B)に示す従来の縦ブスバー40は、その先端部41をアノード基材20の裏側表面に電極板50を介してボルト51,51を用いて締結固定していた。
【0005】
前記従来の縦ブスバー40の固定方法によると、縦ブスバー40と電極板50の間に接触抵抗R1が発生し、また電極板50の通電抵抗R2及び電極板50とアノード基材20の間に通電抵抗R3が発生したため、抵抗値が大きくなり電力のロスが生じるという問題点があった。
【0006】
また、大きな湾曲した電極基体20に対し、電極板50は通常1乃至2本であるため、湾曲方向の端部は電路長が長くなり、さらには電極基体20はチタンのような電気抵抗の大きな耐食性材料を用いているため、電気抵抗が大となる。すなわち、湾曲面の各部で、電極板50との距離が大きく異なってくる。その結果、全体では平均的な電気抵抗は大きくなり電力ロスとなると共に、湾曲面の各部で電流が不均一となるという問題があった。
【0007】
また、電極板50も、チタンのような電気抵抗の大きな耐食性材料を用いているため、縦ブスバーから伝わった電気が幅方向に流れて電極基体20に電気が伝わるまでの電路長が長くなるに従い、電気抵抗が大きくなる。その結果、縦ブスバー取付部周辺と、そこから離れた場所で電気抵抗の差が生じ、電流も不均一となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、電極基体を複数に分割して、分割した各々の電極基体に各々の縦ブスバーの先端部を固定し、また縦ブスバーの先端部を、電極基体にボルトで固定した横ブスバーに固定したことにより、通電接触抵抗が小さくなり電力のロスが防げる電解金属箔製造装置における電極基体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の要旨とするところは、電解金属箔製造装置の円筒型陰極に対向し、裏側表面に電極基体に電流を供給する縦ブスバーを固定した曲面状の電極基体において、前記電極基体を複数に分割して、前記分割した各々の電極基体に各々の縦ブスバーの先端部を固定した電解金属箔製造装置における電極基体である。
【0010】
また本発明の要旨とするところは、前記縦ブスバーの先端部を、電極基体の裏側表面に固定した導電性の横ブスバーに固定したことを特徴とする電解金属箔製造装置における電極基体である。
【0011】
また本発明の要旨とするところは、前記縦ブスバーの先端部の表面に、電極基体表面の曲率と同一曲率の湾曲面を構成し、この湾曲面を前記電極基体の表面に密着固定した電解金属箔製造装置における電極基体である。
【0012】
また本発明の要旨とするところは、前記縦ブスバーを電極基体にボルトで固定し、かつこのボルトと縦ブスバーの間に湾曲ワッシャーを介在させて締結固定した電解金属箔製造装置における電極基体である。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上記のように電極基体を複数に分割して、前記分割した各々の電極基体に各々の縦ブスバーの先端部を固定した構成であるため、電極基体の電流分布を均一にし、平均的な電気抵抗が小さくなり電力ロスが防げると共に、湾曲面の各部で電流が不均一となることも防止でき、効率の良い電力供給を行うことができると共に、装置の組み立てが容易になるという効果を奏する。
【0014】
前記縦ブスバーの先端部を、電極基体に固定した横ブスバーに固定した場合には、幅方向での導電性が良くなるため、縦ブスバー取付部周辺と、そこから離れた場所で電気抵抗の差が生ぜず、幅方向でのアノード基材と電着ドラムとの間の電流分布が均一になるという効果がある。
【0015】
前記縦ブスバーの先端部の表面に、電極基体表面の曲率と同一曲率の湾曲面を構成し、この湾曲面を前記電極基体の表面に密着固定した場合は、前記縦ブスバーから電極基体に送られる電流の抵抗を小さくして、電力のロスを防ぎ効率の良い電力供給を行うことができると共に、従来例のように縦ブスバーを電極板を用いて電極基体に固定しないため部品点数が少なくなるというメリットもあり、製造装置の製造コストや製造効率も向上するという効果を奏する。
【0016】
前記縦ブスバーを電極基体にボルトで固定し、かつこのボルトと縦ブスバーの間に湾曲ワッシャーを介在させて締結固定した場合には、縦ブスバーをさらに強力に固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を実施するための最良の形態は、電解金属箔製造装置の円筒型陰極(電着ドラム)に対向する曲面状の電極基体を複数に分割すると共に、各々の電極基体の表面に各々の縦ブスバーを固定し、これら縦ブスバーの先端部を、電極基体の裏側表面に固定した導電性の横ブスバーに固定したものである。
【0018】
以下、本発明の実施例を図に基づいて説明する。
図1は電解金属箔製造装置の構成を示す説明図、図2は本発明の第1実施例の一部切欠拡大正面図、図3は第1実施例の他例の一部切欠拡大正面図、図4は第1実施例の他例の一部切欠拡大正面図と一部拡大図、図5は第1実施例の電極基体への取り付け状態を示す正面図、図6は第2実施例の電極基体への取り付け状態を示す正面図、図7は同側面図、図8は図7の一部拡大正面図、図9は図7の一部切欠拡大斜視図である。
【0019】
本発明の第1実施例を説明する。
図1に示すように電解金属箔製造装置は電着ドラム1に対向して電極基体2が配置されている。そして図2に示すように前記電極基体2を構成するアノード基材20の裏側(電着ドラム1と反対側)表面には、製造装置に電流を供給するための複数の縦ブスバー10,10・・が取り付けられている。
【0020】
この縦ブスバー10は図2に示すように、縦ブスバー10の先端部11の表側表面、すなわちアノード基材20の裏側表面22に接触する面に湾曲面12を構成している。この湾曲面12はアノード基材20の裏側表面22と同一の曲率に構成されているため、縦ブスバー10の先端部11はアノード基材20の裏側表面22に密着して取り付けることができるのである。
なお、前記縦ブスバー10の先端部11に湾曲面12を構成せずに、前記従来例のようにアノード基材20の裏側表面22に取り付けることもできる。
【0021】
次に、縦ブスバー10の作用について説明する。
まず、縦ブスバー10の先端部11の湾曲面12をアノード基材20の裏側表面22に接触させてボルト15,15で密着固定する。
【0022】
その後、縦ブスバー10からアノード基材20へ電流を流す。このとき縦ブスバー10は、湾曲面12を介してアノード基材20に直接接触していてボルト15で固定されているから接触抵抗R1が小さく、縦ブスバー10からの電流は効率よくアノード基材20に供給されるのである。なお図5に示すように、縦ブスバー10はアノード基材20に10本並べて取り付けられている。
【0023】
図3は第1実施例の他例の一部切欠拡大正面図である。
本例は、縦ブスバー10をアノード基材20に固定する方法として、アノード基材20の表側よりボルト16,16を締結している。この方法によればアノード基材20の表側より縦ブスバー10の取り付け作業が行えるため、作業が容易であるという長所がある。
【0024】
図4は第1実施例の他例の一部切欠拡大正面図と一部拡大図である。
本例は、縦ブスバー10を湾曲ワッシャー15aを介してアノード基材20に固定したものである。この湾曲ワッシャー15aは表側表面に縦ブスバー10の先端部11の裏側表面13と同一の曲率の湾曲面15bが構成されているため、縦ブスバー10の裏側表面に間隙なく密着する。本例の湾曲ワッシャー15aによれば、縦ブスバー10をアノード基材20により強固に固定できるのである。
【0025】
図5は前記縦ブスバーの電極基体への取り付け状態を示す正面図である。
本実施例はアノード基材20を電着ドラム1の中心線に沿って一定間隔に分割して分割基材20a、20b、20c、20d、20eを構成し、前記分割基材20a〜20eの裏面に、各々の分割基材20a〜20eに対応する縦ブスバー10,10を固定してある。
【0026】
前記分割基材20a〜20eによれば、アノード基材20の電流分布を均一にでき、装置の組み立てが容易になると共に、金属箔製造装置の効果を最適となるように調節し得るという効果がある。
すなわち、陰極の電着ドラム1と陽極の電極基体2との間の湾曲した電解液部3a,3a(図1参照)における電解反応は、以下の作用により湾曲方向で一定ではない。
(1)電解反応により陽極面には酸素の気泡が発生し、その気泡の量は湾曲した電解液部3a,3aの上方ほど多く存在することになり、結果的に陽極と陰極間の通電(即ち電解反応)が阻害されるのである。
(2)電着ドラム1下部の電解液供給部3bの付近は、銅イオン濃度が高く電解反応が活発であり、電解液部3a,3aの上部に行くに従い濃度が低下、すなわち反応が低下してくる。
本実施例によれば、以上のように一定でない電解反応に対し、電極基体2に供給する電気の電圧及び電流を装置全体として最も効果が良くなるように、各分割基材20a〜20e毎に調節することが可能となる。
【0027】
図6乃至図9は本発明の第2実施例を示すものである。
本実施例は長尺の横ブスバー30,30・・の一側31,31・・を、一定間隔を有してアノード基材20の前記分割基材20a〜20eの裏側にボルト18で水平に固定し、かつ他側32,32・・に縦ブスバー10,10の先端部11,11をボルト17,17・・で固定したものである。
前記横ブスバーは、電気抵抗の小さな導電材を高耐食性材料で被覆したものであり、1本の横ブスバー30に1〜2本の縦ブスバー10を取り付けている。
【0028】
前記横ブスバー30は、長方形状であり本体内部の主要部分30aを銅または銅合金材で構成し、その全周表面をチタン等の耐食材料30bを用いて被覆してある。
そして、前記横ブスバー30の一側31の表側表面には前記第1実施例と同様に、アノード基材20の裏側表面22と同一曲率の湾曲面30cが構成されている。
【0029】
前記第2実施例によれば、前述の第1実施例の効果に加えて、横ブスバー30,30・・の主要部分30aが電気抵抗の小さな導電材で構成しているため、アノード基材20の幅方向での電流分布を均一にするという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】電解金属箔製造装置の構成を示す説明図
【図2】本発明の第1実施例の一部切欠拡大正面図
【図3】本発明の第1実施例の他例の一部切欠拡大正面図
【図4】本発明の第1実施例の他例の一部切欠拡大正面図と一部拡大図
【図5】本発明の第1実施例の電極基体への取り付け状態を示す正面図
【図6】本発明の第2実施例の電極基体への取り付け状態を示す正面図
【図7】本発明の第2実施例の電極基体への取り付け状態を示す側面図
【図8】図7の一部拡大正面図
【図9】図7の一部切欠拡大斜視図
【図10】従来例のアノード基材の電極基体への取り付け状態を示す正面図
【図11】(A)は図10の一部拡大正面図、(B)はその他例を示す一部拡大正面図
【符号の説明】
【0031】
1 電着ドラム
2 電極基体
3 電解溶液
10 縦ブスバー
11 縦ブスバーの先端部
12 縦ブスバーの先端部の表側湾曲面
15 ボルト
15a 湾曲ワッシャー
16 ボルト
17 ボルト
18 ボルト
20 アノード基材
22 アノード基材の裏側表面
30 横ブスバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解金属箔製造装置の円筒型陰極に対向し、裏側表面に電極基体に電流を供給する縦ブスバーを固定した曲面状の電極基体において、
前記電極基体を複数に分割して、前記分割した各々の電極基体に各々の縦ブスバーの先端部を固定した電解金属箔製造装置における電極基体。
【請求項2】
前記縦ブスバーの先端部を、電極基体の裏側表面に固定した導電性の横ブスバーに固定したことを特徴とする請求項1記載の電解金属箔製造装置における電極基体。
【請求項3】
前記縦ブスバーの先端部の表面に、電極基体表面の曲率と同一曲率の湾曲面を構成し、この湾曲面を前記電極基体の表面に密着固定した請求項1記載の電解金属箔製造装置における電極基体。
【請求項4】
前記縦ブスバーを電極基体にボルトで固定し、且つこのボルトと縦ブスバーの間に湾曲ワッシャーを介在させて締結固定したことを特徴とする請求項3記載の電解金属箔製造装置における電極基体。
【請求項1】
電解金属箔製造装置の円筒型陰極に対向し、裏側表面に電極基体に電流を供給する縦ブスバーを固定した曲面状の電極基体において、
前記電極基体を複数に分割して、前記分割した各々の電極基体に各々の縦ブスバーの先端部を固定した電解金属箔製造装置における電極基体。
【請求項2】
前記縦ブスバーの先端部を、電極基体の裏側表面に固定した導電性の横ブスバーに固定したことを特徴とする請求項1記載の電解金属箔製造装置における電極基体。
【請求項3】
前記縦ブスバーの先端部の表面に、電極基体表面の曲率と同一曲率の湾曲面を構成し、この湾曲面を前記電極基体の表面に密着固定した請求項1記載の電解金属箔製造装置における電極基体。
【請求項4】
前記縦ブスバーを電極基体にボルトで固定し、且つこのボルトと縦ブスバーの間に湾曲ワッシャーを介在させて締結固定したことを特徴とする請求項3記載の電解金属箔製造装置における電極基体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−256772(P2009−256772A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254450(P2008−254450)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(591114847)赤星工業株式会社 (6)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(591114847)赤星工業株式会社 (6)
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