露出面から物質を分離する方法
露出面を処理する方法である。処理装置は、長尺状支持体を備え、さらに当該長尺状支持体の先端領域に少なくとも一つの可撓性表面接触部材を備えて準備される。前記可撓性表面接触部材を被処理露出面に配するために、前記長尺状支持体を、前記長尺状支持体の基端領域から操作する。前記可撓性表面接触部材を繰り返し移動することにより、前記露出面における処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離可能な離散物質が付着した露出面に関するものであり、特に、そのような露出面から当該物質を分離し、場合によっては制御しながら取り除く方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
貨物船、特にドライバルク及び液体バルクの貨物船は、多岐にわたる製品や原料を輸送するために、世界中の水路において使用されている。公知のドライバルク貨物船の建造においては、大量の微粒子状原料を収容するために、複数の貨物倉が船殻に形成される。各貨物倉は、鉄製の壁構造により区切られ、原料の積み下ろし用の高架路を有する。代表的な貨物倉は縦横約100フィート(約30m)、高さ約60フィート(約18m)であり、露出した内面の表面積は220,000平方フィート(約20,000平方メートル)超となるものもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この業界を悩ませてきた問題点のいくつかを説明するために、ドライバルク貨物船における粉末セメント輸送について述べる。典型的な作業において、貨物倉は、積込港でセメントを詰め込まれる。セメントは、仕向け港で陸揚げされる。セメントの積込み及び陸揚げは、多くの異なる周知の技術や装置のいずれかを用いて行われる。こういった技術は、ばら積み貨物の大半を、しかしながら全てではないが、取り除くように設計されている。残留貨物の残りも、以前の貨物の残留物、他の残屑、剥がれたさび、剥片、剥がれた塗装、他の可能性のある汚染物質(染み等)同様、同一の又は異なる積込港で別の貨物を積む前に取り除かれなくてはならない。
【0004】
貨物倉にセメントを再び詰め込む場合は、再積み込みのための貨物倉の準備は最低限でよいであろう。しかし、次の積み荷が異なる場合、貨物倉の壁面を含む内面全体を完全に清掃し、壁面、頭上などの枠組、貨物倉内の付属品、ハッチカバーに付着したセメントの残留物が新しい製品を汚さないようにしなくてはいけない。
【0005】
従来、貨物倉内の壁面や他の面の清掃は時間・労働力集約型であり、さらに比較的高価な器具を必要とするものであった。貨物倉の下部を清掃するためには梯子が使用されることが多く、上部を清掃するためには昇降機構造が貨物倉ごとに導入されることが多い。昇降機は、清掃作業中に作業者が入るバケット(ゴンドラ)用の位置変更可能な支持体を備えた動力源内蔵式運搬具から成る。巧みにいろいろな場所に運搬具を移動させ、作業者が貨物倉の壁面の全域に手を伸ばすことができるようにしなければならない。
【0006】
海運業界は上記の技術を何十年も利用し、よりよい代替技術が得られていないという事実により、特に、ハッチカバー及び貨物倉の接近できない領域を清掃するために、上記技術に付随する多数の問題と戦ってきた。第一に、この種の清掃器具は、支台からの搬送時間やコストがかかるなど、多くの理由から比較的高価である。船の清掃は、昇降機に乗って一度に船を清掃できる作業者の数がわずかであるので、極めて遅い。はしごで作業する場合は、そのはしごの基部を支える労力が別途必要であり、さらに、通常は手の空いている労働要員を使用し、すべての清掃作業を遅らせてしまう。従って、船の積み替えや配置が遅れてしまい、収益の損失という結果を招く。
【0007】
第二に、これら従来の運搬具では、作業者を本来は危険な高さまで持ち上げる必要がある。これらの運搬具を受け持つ人員は、訓練を受けてその操作の免許をとらなければならず、従って、比較的高度な技術レベルを有する必要があり、負傷を避けるために細心の注意を払わなければならない。このような人員は一般に人件費が高く、需要のある清掃場所では得られないことも多い。梯子をこの高さで利用するのも作業者を危険と隣り合わせの状態にしてしまう。
【0008】
第三に、貨物倉の大きさや形状により、その中で同時に作業できる運搬具の数が限定される。一つの倉に一台の運搬具を使うのでは、清掃工程が何日も遅れ、その間、利益のないまま清掃及び係船費用を負担することになる。
【0009】
第四に、複数の運搬具を一つの倉で同時に作業させると、作業者の労働を効率よく安全に調整し、揺れる船の貨物倉に追加の昇降機をクレーンで据えるために、より高度な操作技術レベルが要求される。作業者への危険に加え、昇降器具はその操作の間に破損することも多い。安全性と効率は、さらに課題を抱えている。なぜならば、微粒子状のセメントを取り除く作業は、空気中に微粒子をまき込み、貨物倉内の空間全体に広がり、視界を妨げ、その上作業者をこの微粒子の吸入に伴う健康上のリスクにさらすことになる。
【0010】
第五に、これらの運搬具は、通常、燃料により作動するものであるから、貨物倉内にこもってしまう副生成物の排出を引き起こす。これにより、さらなる健康上のリスクを作業者にもたらし、船が清掃される回数を制限する。降雨中は、貨物倉が濡れないようにカバーをしている時に蓄積する危険な排出物のために、貨物倉を清掃することはできない。
【0011】
海運業界は競争が激しいので、この業界では効率性が最も重要である。停泊中の船は、費用を発生させるだけで、その所有者、経営者、用船者のために何もしていない。清掃工程に参加していない乗員は、ダウンタイムについて給料を支払われている。ドック入り、燃料、その他の費用は日数基準で生じる。チャーター時間は通常6分間隔で計算される。従って、迅速、安全、効率的に貨物倉を清掃し、詰め替え、船が清掃済みで貸し出しできる状態になった後は原料を輸送し、収入を生み出すようにすることが所有者又は経営者の利益にかなうことは明らかである。残念ながら、効率性を強調すると、清掃作業における安全性を危うくしかねない。しかしながら、いくら日程を詰めても、5〜9ヶの分離した貨物倉の準備には3〜5日、あるいはそれ以上の日数がかかる。
【0012】
清掃工程は個別の付着物に限定されるものではないが、染みやさび、及び、ブラシでこするぐらいでは容易には遊離できないほどに頑固に付着した剥片を取り除くことも含む。従って、汚染物質になりそうな類のものを取り除く別の手段を講じる必要がある。処理すべき表面積が220,000平方フィート(約20,000平方メートル)超にも及ぶ広大な空間では、このような清掃作業は、乗員が作業する際に膨大なダウンタイムに相当し、船を港に停泊させておくことを必要とする器具を使用する。
【0013】
一般的に行われる別の作業は、特定の型の原料の貯蔵の準備となる成分を塗布することである。理想的には、原料が接する各面に添加剤を塗布することであろう。これは、特に添加剤を塗布する面に作業者が近接する必要のある大きな空間において、労働集約的な工程となる。従来の塗布技術は、複雑な面や、狭い空間内の面や、容易には近づけない面に添加剤を塗布するには不十分なものである。
【0014】
海運業界は、大部分上記のような課題に取り組んでおり、中でも最も顕著なのは、重大なダウンタイム、費用のかかる清掃工程、船舶の貨物倉の効果の上がらなさそうな清掃である。業界にとっては依然として、このような表面から異物を取り除き、またこのような表面を処理する方法と装置の改善を必要としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
一形態において、本発明は、露出面を処理する方法を目的とする。当該処理方法は、長尺状支持体を有する処理装置を準備する処理装置準備工程を包含し、前記長尺状支持体は、基端領域及び先端領域を有し、さらに前記先端領域に少なくとも一つの可撓性表面接触部材を有しており、前記可撓性表面接触部材を被処理露出面に配するように、前記長尺状支持体を前記基端領域において操作する長尺状支持体操作工程と、前記露出面の処理を行うために前記可撓性表面接触部材を前記露出面において繰り返し移動させる表面接触部材移動工程とをさらに包含する。
【0016】
一形態において、前記露出面は、物質を貯蔵する空間を囲み、かつ/又は互いに離れた場所の間で物質を運ぶ装置に伴う。
【0017】
一形態において、前記長尺状支持体操作工程は、前記露出面に対し前記処理装置のガイド面を押し付ける工程と、前記ガイド面を前記露出面に押し付けながら誘導しつつ移動させて前記露出面に対して異なる位置に前記可撓性表面接触部材を選択的に配するようにするガイド面移動工程とを包含する。
【0018】
前記ガイド面は、前記露出面に押し付けられて回転する車輪上にあってもよい。
【0019】
前記露出面上を滑るように前記ガイド面を移動させて、前記可撓性表面接触部材の位置を変えてもよい。
【0020】
一形態において、前記表面接触部材移動工程は、前記可撓性表面接触部材をむち打ち状態で移動させる工程を包含する。
【0021】
一形態において、前記可撓性表面接触部材は管部材の形状である。
【0022】
一形態において、前記表面接触部材移動工程は、前記管部材を介して加圧流体を供給源から導く工程を包含する。
【0023】
前記流体は、液体及び/又は気体でもよい。
【0024】
前記ガイド面は、回転軸心を有する車輪により形成されており、当該処理方法は、前記長尺状支持体と前記車輪の前記回転軸心との関係を変える工程をさらに包含してもよい。
【0025】
一形態において、前記車輪は基体に取り付けられており、当該処理方法は、前記基体の一部を介して加圧流体を供給源から導く工程をさらに包含する。
【0026】
一形態において、前記基体は、前記長尺状部材に対して相対的に方向を変えてもよい。
【0027】
一形態において、前記可撓性表面接触部材は前記基体に取り付けられている。
【0028】
当該処理方法は、加圧流体を供給源から前記長尺状支持体の前記先端領域に導く加圧流体導入工程をさらに包含してもよい。
【0029】
前記加圧流体は、前記長尺状支持体を介して導いてもよいし、独立して供給してもよい。
【0030】
一形態において、前記処理装置は、複数の可撓性表面接触部材を備える。
【0031】
別の形態において、前記長尺状支持体の前記先端領域における互いに離れた第一及び第二の位置のいずれにも、複数の可撓性表面接触部材を準備する。
【0032】
別の形態において、前記長尺状支持体の前記先端領域に清掃部を備える。当該処理方法は、前記支持体を操作する際に前記清掃部を前記露出面上を滑らせる工程をさらに包含してもよい。
【0033】
本発明の別の形態において、前記長尺状支持体の前記先端領域にカーテンを備える。前記カーテンは、一形態では吊るされ、前記露出面から分離された物質を下方へ向かわせるようにするものである。
【0034】
前記カーテンは、管形状を有してもよい。
【0035】
一形態において、フレームを準備する。前記フレームに可撓性シート材を取り付け、前記カーテンを形成する。
【0036】
一形態において、前記処理装置は、さらにパッド(pad)部を備えている。当該処理方法は、前記パッド部を前記露出面に押し付ける工程と、繰り返し前記パッド部に衝撃を与えることにより、前記可撓性表面接触部材を間接的に前記露出面に接触させる工程とをさらに包含してもよい。
【0037】
前記処理装置準備工程は、少なくとも一本の流体導管を準備する工程を包含してもよい。当該処理方法は、前記流体導管を介して加圧流体を供給源から導き、前記露出面から分離された物質を制御して導くようにする工程をさらに包含してもよい。
【0038】
当該処理方法は、制御された加圧流体流を前記長尺状支持体の前記先端領域で発生させ、前記露出面から分離された物質の動きを制御する工程をさらに包含してもよい。
【0039】
一形態において、前記処理装置準備工程は、前記長尺状支持体の前記先端領域にフレームを備える工程を包含する。前記可撓性表面接触部材は、可撓性管部材の形状であり、当該処理方法は、前記可撓性管部材を前記フレームに接続し、前記可撓性管部材を介して導かれた加圧流体を前記フレームに対して概ね第一方向に導く工程をさらに包含にしてもよい。
【0040】
空気流の方向及び/又は位置を変えるために、前記長尺状支持体に対して前記フレームの方向を変えてもよい。
【0041】
当該処理方法は、少なくとももう一つの可撓性表面接触部材を前記露出面において繰り返し移動させて前記露出面の処理を行う工程をさらに包含してもよい。前記可撓性管部材を前記フレームに接続する工程は、前記もう一つの可撓性表面接触部材により分離された物質の動きを制御するために加圧流体を導くように、前記可撓性管部材を前記フレームに接続する工程を包含してもよい。
【0042】
前記表面接触部材移動工程は、前記露出面に対して直接的に、又は、前記露出面にほぼ平行に、前記可撓性表面接触部材を繰り返し移動させる工程を包含してもよい。
【0043】
前記可撓性表面接触部材を前記露出面において繰り返しランダム(無作為、不規則)に移動させてもよい。
【0044】
当該処理方法は、前記可撓性表面接触部材が前記露出面から離れてランダムに移動することを規制する工程をさらに包含してもよい。
【0045】
当該処理方法は、加圧流体を前記可撓性表面接触部材を介して導く工程と、前記可撓性表面接触部材からの加圧流体の放出を制御し、前記可撓性表面接触部材を前記露出面において繰り返し移動させることにより分離された物質の動きを制御する工程とをさらに包含してもよい。
【0046】
一形態において、前記処理装置準備工程が、歯状体部を準備する工程を包含し、前記歯状体部は、位置変更可能な第一歯状体(tine)を少なくとも有し、前記可撓性表面接触部材は、第一歯状体を伴う。当該処理方法は、前記可撓性表面接触部材が繰り返し移動することに伴い、第一歯状体を前記露出面に対して繰り返し相対移動させる工程をさらに包含してもよい。
【0047】
第一歯状体を、前記露出面に押し付けて、前記長尺状支持体に対して繰り返し相対移動させてもよい。
【0048】
一形態において、第一歯状体は自由端を有し、前記自由端の近く、若しくは前記自由端まで、又は前記自由端を超えて前記可撓性表面接触部材が延在する。
【0049】
一形態において、前記処理装置準備工程は、前記長尺状支持体に遮蔽部を設ける工程を包含する。当該処理方法は、前記可撓性表面接触部材を介して加圧流体を放出する工程と、前記可撓性表面接触部材から放出された流体の動きを前記遮蔽部により制御する工程とをさらに包含してもよい。
【0050】
一形態において、前記表面接触部材移動工程は、前記露出面上の物質を前記露出面から分離させるために、前記可撓性表面接触部材を繰り返し移動させる工程を包含する。当該処理方法は、前記露出面から分離された物質の種類と量を判定する工程及び、分離された物質の種類と量に少なくとも基づいて、前記露出面の状態と、特定の物質と接触し前記特定の物質を収容するための前記露出面の適合性とを分析する工程をさらに包含してもよい。
【0051】
本発明は露出面を処理する方法をさらに目的とし、当該処理方法は、処理装置を準備する処理装置準備工程を包含し、前記処理装置は基端領域及び先端領域を有する長尺状支持体を備え、さらに前記先端領域に出口を有する管部材を備えており、加圧流体を、前記出口で放出するために、前記管部材を介して導く工程と、前記基端領域において前記支持体を操作し、前記出口を前記被処理露出面に配し、前記露出面から分離された物質の動きを制御するために、使用者が前記出口における加圧流体を誘導する工程とをさらに包含する。
【0052】
当該処理方法は、前記長尺状支持体に対して相対的に、前記出口の方向を変える工程をさらに包含してもよい。
【0053】
当該処理方法は、前記管部材に加えてメカニズムを用いて、前記露出面に付着した物質を分離させる物質分離工程をさらに包含してもよい。
【0054】
前記物質分離工程は、前記露出面に衝撃を与えることにより物質を分離する工程を包含してもよい。
【0055】
前記処理装置準備工程は、前記長尺状支持体の前記先端領域にフレームを備える工程を包含してもよい。一形態における前記管部材は可撓部を有し、前記可撓部は、前記長尺状支持体に対して相対的に前記管部材の方向を固定するために前記フレームに取り付けられている。当該処理方法は、前記管部材を介して導かれた加圧流体により、前記管部材を、前記露出面に押し付けて、かつ/又は前記露出面の近傍で、ランダムに移動させるために、前記フレームから前記管部材を取り外す工程をさらに包含してもよい。
【0056】
当該処理方法は、前記可撓性表面接触部材を介して表面準備加圧流体を導き、前記可撓性表面接触部材をランダムに移動させ、前記表面準備流体を前記露出面に塗布する工程をさらに包含してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
図1に、本発明による処理装置10が示されている。当該処理装置10は、処理部12を有し、当該処理部12が表面14に対する処理を行うように設計されている。処理操作の種類は、本発明にとって重要ではない。清掃から再構成(reconfiguration)まで、実質的にいかなる処理方法も想定される。図1は、全ての種類の表面処理操作を包含するべく、図式的な形で示した。
【0058】
図5及び6に示されるように、前記処理装置10は、船舶及びばら積み貨物(ドライバルク及び液体バルク)業界において特に有効である。本明細書の背景技術の項で述べたように、貨物船の貨物倉の処理または清掃は、特に煩わしい問題であり、本発明は、特にその点に適したものである。図5において、貨物船28は、どのような航行可能な水域30でも使用できる型である。貨物船28は、内部に複数の貨物倉34が形成されている船殻32を有する。本特有構造では、このような貨物倉34が二か所図示されている。現在使用されている、より典型的な船体構造としては、二つ以上、通例五つの貨物倉34を有する。しかしながら、貨物倉34の数や形状は、本発明においては重要ではない。
【0059】
図6において、一つの貨物倉34の一部が図式的に示されている。貨物倉34は鉄製の表面14'によって囲まれている。表面14'は、床36、周壁構造38、甲板壁40を構成し、開口部42が形成されている。開口部42(図5)は、貨物倉34内の貯蔵スペース44と連通している。原料は、開口部42を通して貨物倉34に積み込まれ、貨物倉34から積み下ろされる。
【0060】
貨物倉34は、簡略化して図式的に示したものである。実際には、貯蔵スペース44には多数の凹凸があり、それが表面14'の清掃を困難にしている。加えて、スペース44には通常は階段や他の構造物が建設され、清掃の邪魔になっている。
【0061】
本明細書の背景技術の項で述べたように、貨物倉34は、約100フィート(約30m)の長さ及び幅を有し、これらは、それぞれ両方向矢印L,Wで表される。床36と天井46の間の高さHは、約60フィート(約18m)である。
【0062】
図6〜12に示される本発明の一形態において、処理装置10はキャリッジ(carriage、運搬部材)20からなり、その上に操作可能なように処理部12が取り付けられている。当該キャリッジ20は、長尺状棒状体48に接続され、処理装置10は、当該棒状体48によって方向転換や移動を行い、所望の領域をカバーする。
【0063】
棒状体48は、操作端50とキャリッジ取付端52の間で一定の長さLを有している。さらに好ましくは、棒状体48は、複数のはめ込み(テレスコープ)式長尺体54,56で構成される。2本の長尺体54,56が図示されているが、長尺体は何本使用してもよい。
【0064】
棒状体部品の種類は、本発明においては重要ではない。棒状体48が軽量で、制御操作が可能で、取り付けられた処理部12が使用者58によって床36から全表面14(全周壁構造38及び天井46を形成する表面部分を含む)に到達できることが望ましい。はめ込み式長尺体54,56は、軽金属、プラスチック、複合材などで製作されてもよい。同時に、棒状体48は、処理装置10の使用者58が制御して配置し、表面14'全体にわたり操作できるだけの十分な剛性を持たなければならない。
【0065】
棒状体48は、図示のように直線状でも、あるいは、障害物のある領域に達するような形状でもよい。一例として「グースネック(S字状部)」を棒状体48の端部に備えてもよい。
【0066】
この実施形態において、処理部材22は、回転ブラシの形態である。処理部材22は、中央シャフト116を有し、当該シャフトは、端壁102,104の間に延在し、それらの壁に対して軸心118周りに回転可能にジャーナル軸受けされ、軸心118は軸心90,92にほぼ平行である。シャフト116の円周方向及び長さ方向に沿って等間隔に、個々の毛状体(bristle)120が、軸心118に対して放射状に延在する。サブフレーム100は、開口124を有する一体型保護覆い(shroud)122を含み、当該開口124から毛状体120が露出している。
【0067】
処理部12の種類は、実施される個々の処理手順によって大幅に変更することができる。例えば、上記の実施形態において、毛状体120は、さまざまな形状で、さまざまな材質で作成できる。毛状体120は、例えば、プラスチックあるいは金属で製作してもよい。毛状体120は、図示されるような直線状でもよいし、あるいはヘリングボーン(herringbone)状やその他の形状で製作されてもよい。
【0068】
もう一つの変形としては、図14に示されるように、毛状体120”は、重り164をそれぞれその先端に付け、表面14'に繰り返し衝撃を与え、槌で打つような作用を起こすことにより、表面14'に付着しやすい遊離異物を破壊してもよい。図14の構造は使用できる衝撃部の一形態を表わす。図15に、キャリッジ20に取り付けて槌打作用を起こすための、より一般的な衝撃部166が示されている。異物を遊離させる痛烈な衝撃を発生させることのできる構造であれば、図14に示したもの以外の構造も考えられる。
【0069】
処理作業を補助するために、図16に示されるような熱源168をキャリッジ20に備えることができる。
【0070】
さらに別の選択肢として、図17に示されるような光源170をキャリッジ20に備えることができる。
【0071】
さらに別の変形としては、図18に示されるように、キャリッジ20に少なくとも一つの鏡172を備えることができる。鏡172は、使用者による、処理前後の被処理面の観察を容易にする。
【0072】
さらに別の変形としては、図19に示されるように、キャリッジ20にビデオカメラ174が取り付けられている。ビデオカメラ174は処理区域の遠隔観察を容易にする。
【0073】
本発明では、毛状体付き装置によるような研磨以外の機能でも、本発明の概念を使用して、達成することができると考える。図20には、キャリッジ20が、加圧流体供給源176とともに図示されている。流体供給源176は、キャリッジ20上に直接設けてもよいし、あるいは、離れた場所に備え、適当な導管を通すなどしてキャリッジ20に連通させてもよい。キャリッジ20は、少なくとも一本のノズル178を有し、当該ノズル178を通して流体が表面14に向けられる。供給源176内の流体の種類は、大きく変えることができ、気体、溶剤、蒸気、その他流動性のある物質などでもよく、場合によっては微粒子の形態でもよい。例えば、表面14をブラスト(blast)するために使用される砂の供給は、本明細書において「流体」であるとみなされる。
【0074】
さらに別の選択肢として、図21に示されるように、キャリッジ20は、当該キャリッジ20の開口182において吸引を行う真空源180を伴ってもよい。真空源180も、キャリッジ20上に直接設けられてもよいし、そこから離れていてもよい。
【0075】
上記のような、さまざまな構成部材を、ふさわしいと思われるいかなる組み合わせで使用してもよい。例えば、真空源180は、ブラシ若しくは毛状体を有する部材及び/又は流体供給源176と併せてキャリッジ20上で使用してもよく、毛状体120”が軸心118”周りに回動する際に、異物を表面14,14’から吸引して引き離すことができる。
【0076】
図21において、真空源180は、回収された異物を集積できる、適当な廃棄用の収容部184を伴ってもよい。
【0077】
図36に示されるように、人用昇降機230を使用することにより、接近を容易にしてもよい。昇降機230は、バケット(ゴンドラ)232を有し、その中に使用者58が入り、装置10を上昇位置から操作することができる。
【0078】
前記のように、多数のメカニズムや構成部品が、添付の図面に略式に示されている。それは、本発明の概念を使用し、最適設計を達成するために当該装置及び構成部品の形態を大きく変えてもよいからである。詳細に図示された描写構造は、実際の例とすることのみを目的としている。
【0079】
ばら積みセメント粉末から別のばら積み貨物への移行の間、清掃工程は、通常、ドライクリーニングとウェットクリーニングの二段階で行われる。ドライクリーニングの際には、昇降機やはしごが一般的には使用される。本発明の器具や方法は、両方の工程のスピード、有効性、安全性を大いに改善する可能性があり、通常は貨物の最初の荷降ろしの後の碇泊中に行われるドライクリーニング段階の必要性を完全になくすことができる場合が多いと思われる。その代わり、貨物を下ろした後、船が次の港へ向けて航行中に、ドライクリーニングを実施することができる。
【0080】
場合によっては、異物の遊離と露出面のすすぎを同時に行うために液体を使用し、別個のドライクリーニング工程を省く方法で、本発明を実施することもできる。また、表面は、ウェットクリーニング中に、現在可能な基準よりも高い基準まで清掃してもよい。これは、より高い基準の清掃度が要求される貨物に関する利益の増加にもつながるであろう。
【0081】
本発明の構造及び方法は、場合によっては比較的非熟練の労働者の能力を伸ばし、船の航行中には使用できない昇降機やはしごを使う以外に以前は到達できなかった領域から、残りの貨物だけでなく、剥がれた塗装、さび、剥片、他の汚染物質になりそうな物も取り除くのに必要な器具を提供することにより、次の貨物用に貨物倉を準備することができる。さらに、場合によっては、以前は酸やその他危険な汚染物質を使用して行っていた染み抜きの代替方法および安全な薬品塗布方法の大幅な改善を乗組員に提供する。
【0082】
本発明による、別の形態の処理装置300が図46に示されている。処理装置300は使用者が持つ基端領域、及び先端領域を備えた長尺状支持体302を有する。長尺状支持体302の先端領域に、少なくとも一つの位置変更可能部材304が備えられている。さらに好ましくは、前記部材304は複数個備えられている。位置変更可能部材304は、下記a)、b)のうち少なくとも一つを行うようにされている。a)当該部材304の位置する露出面306と繰り返し接触すること。b)供給源からの加圧流体が当該部材304を通じて導かれることに付随して、≡)露出面306に対し、及び/又は、≡)当該部材304の位置する露出面306で分離された物質308の動きを制御する形で、加圧流体を供給源から放出すること。
【0083】
位置変更可能部材304は、無限と言ってもいいくらい様々な形態をとることができ、さらに、無限と言ってもいいくらい様々なメカニズムにより、長尺状部材302が移動しても静止していても、長尺状部材302に対して相対移動することができる。一例としては、位置変更可能部材304は、管あるいは導管の形態をとることができ、それを通じて流体が加圧されながら通り、その結果として、「ランダムに」あるいは「繰り返し」といった動きが位置変更可能部材304に与えられる。さらに別の選択肢として、位置変更可能部材304は、加圧流体を連通させないようにすることもでき、それであれば、むち打ち(whipping)作用を発生させるために当該部材304を往復運動させたりランダムに動かしたりなどの所望の動きを、別のメカニズムにより与えることができる。一例として、制御された曲がりを容易にするためにヒンジ機構を内蔵してもよい。あるいは、所望の作用を起こすために、位置変更可能部材304に向けて外部から流体を導いてもよい。
【0084】
露出面306の種類は、他と同様、本発明では重要ではない。露出面306は、物質308が付着し、当該物質308を分離しなければならないという面であれば実際にはどのような面でも良い。本発明は、降り注ぐような形態の微粒子といった離散物質が扱われる環境に特に適している。例えば、上記のように、貨物船倉では、周壁、天井、底壁が、その中に物質が貯蔵される空間を囲んでいる。その全表面は、平面あるいは、凹凸や壁と壁の移行部、それに棚、はしご、階段、ハッチカバー、山形鋼保護面といった内部の付加構造などの起伏があり、物質308が付着しやすい。
【0085】
他の環境であって、露出面306を有し、物質を取り除かなければならないものには、貯蔵庫があり、これには固定されたものもあれば、移動可能なものもあり、後者は、一般的に車両によって動かされる。貯蔵庫は、長距離輸送トラック、鉄道、サイロ、ドライ又は液体タンク、発電所内にあるようなボイラーなどである。別の例としては、二つの場所の間の運送のために運搬面がこのような物質308を運ぶ、コンベヤーの領域内がある。実際の運搬面だけでなく、このような運搬面を支持し、移動させるために使用される関連構造が、漏出によって物質と接触する。本発明の構造及び方法は、このような、あるいは他の環境において使用するために意図されている。
【0086】
被分離物質308の種類も限定されない。物質308は、露出面306に置かれたために付着するものであってもよい。あるいは、物質308は、さび、腐食、あるいは化学相互作用により発生するものであってもよい。物質308は、衝突により発生、さもなければ露出面306が受けた損傷によるものであってもよい。
【0087】
図47に示されるように、本発明の別の形態において、処理装置300’は、出口312を有する少なくとも一本の管あるいは導管310を伴う。好ましくは複数の管(導管)310を使用する。加圧供給源314からの流体は、当該管(導管)310を通り、出口312から放出され、露出面306から分離された物質308の動きを、出口312からの流体によって、又は管(導管)310から独立したメカニズムによって、制御することができる。この分離された物質の動きを制御することを、業界では一般に「ブルーミング(blooming)」と呼ぶ。この語は、ほうきで掃くこと(brooming)つまり掃除(sweeping)と一吹きすること(blowing)の合成である。前記管(導管)310は、露出面306に対して選択された位置に計画的に配置される長尺状支持体302'に担持される。出口312は、長尺状支持体302'に対して方向を固定することができるが、あるいは、ブルーミング工程を容易にするために、当該支持体に対する方向を変更可能としてもよい。
【0088】
前記装置300,300'に使用される流体の種類は、いかように変えてもよい。流体は、液体でも気体でもよい。物質を遊離させ、分離した物質308を制御して誘導するために空気を用いてもよい。この目的にかなうように水や他の流体を使用してもよい。清掃を容易にするために、化学成分を有する液体あるいは気体を使用してもよい。別の形態において、貯蔵あるいは運搬される原料を露出面306に供給するための準備のために、露出面306に付着させる準備媒質として、液体あるいは気体を使用してもよい。本発明では、加圧流体及び気体を組み合わせてもよいとしている。例えば、加圧含気水を使用してもよい。
【0089】
処理装置300,300'の特定の形態の詳細を、図48〜79について以下に述べる。図48及び49において、処理装置300は、棒状の形態である長尺状支持体302とともに図示され、当該支持体302は、数フィートから50フィート(約15m)あるいはそれ以上の長さを有するものである。長尺状支持体302は、基端領域316及び先端領域318を有する。基端領域316は、使用者320が適当な把手322を介して持つ部分であり、当該把手322は、単に当該支持体(棒状体)302の外周上で握ることのできる部分、あるいはもう少し複雑な構造により形成されてもよい。
【0090】
先端領域318には、表面処理部324が備えられている。表面処理部324は、複数の位置変更可能部材304a,304b,304c,304d,304eから成る。位置変更可能部材の数は、わずか一つから、図示された五つを超えるまで、変えることができる。
【0091】
上記の通り、位置変更可能部材304a〜304eは、中実でも管状でも良い。当該部材304a〜304eは、剛性でも可撓性でも良い。本明細書における説明のために、後述の実施例では、304a〜304eとして特定されているものを含む位置変更可能部材は、可撓性の長尺状の管(導管)として記述されている。
【0092】
位置変更可能部材304a〜304eは、支持体あるいはマニホールド326上に、それにより囲まれる室328と流体連通するように取り付けられている。そして当該室328も同様に、供給ライン330を介して加圧流体供給源314と流体連通している。
【0093】
本実施例では、前記供給ライン330は、長尺状支持体あるいは棒状体302の外側に位置している。一連の帯状体332が、前記支持体(棒状体)302と供給ライン330を、前記支持体(棒状体)302の長さ方向に沿って間隔をあけて囲む。本配置によれば、使用者320は、基端領域316で処理装置300を握ることにより、表面処理部324の位置する先端領域318を制御して露出面306に対して所望の位置に指向させることができる。
【0094】
本実施例では、使用者320が表面処理部324を露出面306と所望の関係に操ることができ、位置変更可能部材304a〜304eは、a)露出面306を当該面306 とは離れた位置から処理、あるいは、b)処理を行うために露出面306と繰り返し接触、のいずれかを行う。
【0095】
露出面306に鉄製材料がある場合は、前記支持体(棒状体)302の先端領域318を当該面306に磁気的に引き付けるために、オプショナルのキャリッジ334を使用してもよい。そうでなければ、キャリッジ334を露出面306と相互作用させ、レール構造や別のメカニズムを介するなど所定の方法で当該面306に沿って誘導してもよい。あるいは、キャリッジ334の動きは、前記支持体(棒状体)302の基端領域316から使用者320が加える力によって全面的に指示される。
【0096】
本実施例では、個々の位置変更可能部材304は、ゴムやプラスチックのような可撓性の材料によって製作されている。一般に内径1/16〜1/8インチ(約1.6〜3.2mm)及び外径1/8〜3/4インチ(約3.2〜19mm)のプラスチック又はゴムの管状体を使用してもよい。位置変更可能部材304a〜304eの長さは、同一でも異なってもよい。位置変更可能部材304a〜304eの長さは、約10〜30インチ(約254〜762mm)でよい。それより長いものも短いものも考えられる。一実施形態では、14.5インチ(約368mm)及び27インチ(約686mm)の長さを使用している。位置変更可能部材304a〜304eの長さ、材質、内径及び外径は、個々の用途や、加圧流体供給源314から得られる容積及び圧力により、決定される。通常利用できる加圧流体供給源314は、90〜170ポンド/平方インチ(約6.2×105 〜1.17×106 Pa)の圧力の空気などの流体を供給できる。
【0097】
加圧流体をパルス供給すれば、位置変更可能部材304の望ましい作用にさらに影響を与えることができる。それを達成する手段は、当業者にはよく知られている。これは、場合によっては、位置変更可能部材304のさらに激しい動きを生み出す。
【0098】
図48に示される配置によれば、加圧供給源314からの流体は、供給ライン330及びマニホールド326を通り、各位置変更可能部材304a〜304eに連通し、そこから、その自由端の放出口336a,336b,336c,336d,336eを介して放出される。当該流体は、放出口336a〜336eから絶え間なく放出されるので、位置変更可能部材304a〜304eはランダムに繰り返しむち打ち(whip)を行う。表面処理部324が露出面306に十分に近接するので、位置変更可能部材304a〜304eは、露出面306に繰り返し衝撃を与える。繰り返し衝撃を与えることによって、当該面306に付着した異物308が遊離される。この現象は、異物308への位置変更可能部材304a〜304eの直接衝突により、及び/又は、衝突する位置変更可能部材304a〜304eと繰り返し接触することにより当該面306に引き起こされる局在振動により生じる。
【0099】
長尺状支持体(棒状体)302は、例えば、棒状体48について前述したのと同様に製作できる。前記支持体(棒状体)302は、一体の物として製作されてもよいし、あるいは長さを変えられるように、はめ込み(テレスコープ)式あるいは他の延長可能な部品により製作されてもよい。前記支持体(棒状体)302は、金属、プラスチック、あるいは複合材で製作されてもよい。アルミニウムのような金属は軽量なので望ましい。カーボンファイバーあるいはファイバーグラスを使用する素材である複合材も同様である。ファイバーグラス、竹、木材、および他の素材も同様に適している。一例としては、支持体(棒状体)302はポリ塩化ビニルのような半剛性のホース素材から製作してもよい。当該支持体(棒状体)302は、従って、軽量で、流体を連通する機能、及び後述のように一つまたは複数の処理部を支持する機能を果たす。
【0100】
図示された実施例では、前記支持体(棒状体)302は方形で、その両端の間に中空の空間338が延在している。方形形状または別の多角形形状は、その形状に伴う支持体(棒状体)302の曲がりがより予測しやすく、長尺状支持体/棒状体に加えられる力によって指示されるランダムに選択された態様で、表面処理部324を所望の位置に配置することと前記処理部324を移動させることとを容易にするので、望ましい。しかし、円形、あるいは楕円形など他の断面形状も考えられる。前記長尺状支持体(棒状体)302の外部に供給ライン330を使用することの代替案として、当該供給ライン330を前記空間388を通じて導くことができる。あるいは、前記長尺状支持体/棒状体を導管として使用し、加圧流体供給源314とマニホールド326との間で、前記空間388を流体が通るようにすることもできる。
【0101】
前記長尺状支持体(棒状体)302の長さを延長するものとしては、補足支持/ガイド構造340を使用することが望ましい。この補足ガイド構造340は、いかなる形態をとってもよく、処理装置300の作業高度よりも上から、又は使用者320のいる床面342に近い位置で、又は別の位置で、操作してもよい。
【0102】
前記長尺状支持体(棒状体)302は、図48,49では直線状の形状を有するように図示されているが、他の形状をとってもよい。例えば、前述のように、「グースネック(S字状部)」を先端領域318に備えてもよい。実際には、異なる表面に届くことを容易にするために、いかなる形状でも長尺状支持体(棒状体)302に先端領域318あるいはその他の場所で組み込むことができる。
【0103】
処理装置300の位置変更を容易にするために、図50に示されるように、長尺状支持体(棒状体)302にガイド面344を備えてもよい。図50において、前記支持体(棒状体)302は、延長部346を有し、この場合、当該延長部346は、その自由端に、曲面350を有する丸ノブ(rounded knob)348を有している。当該丸ノブ348は、a)表面処理部324を露出面306に対し所望の間隔に保ち、かつb)前記支持体(棒状体)302の先端領域318の動きを当該面306に沿って誘導することを容易にするために、露出面306に押し付けられる。ノブ348は、前記のように支持体(棒状体)302と一体的に形成することも、図示のような延長部346の形態で別個に取り付けることもできる。特定の用途に適した他の形態のガイド面を使用してもよい。前記面350が曲面である必要はなく、場合によってはブラシやスクレーパー(scraper)のような補足器具が棒状体の先端に取り付けられる。しかし、表面306に沿って動く際の長尺状支持体(棒状体)302の先端領域318の引っかかりを防ぐため、及び、表面306に対し相対的に当該支持体(棒状体)302の自在方向転換を容易にするためには、曲面であることが望ましい。
【0104】
図51では、長尺状支持体(棒状体)302の先端領域318に、前記丸ノブ348の代替として、車輪352を備えている。車輪352は、周辺ガイド面354を有し、当該ガイド面354は、露出面306に押し付けられて回転し、当該面306に沿って表面処理部324を処理が行われる所望の位置に誘導することができる。本実施例では、車輪352は、固定軸心356周りに前記支持体(棒状体)302に対して相対回転するように設計されている。
【0105】
図52では、前記長尺状支持体(棒状体)302への変更が図示されており、当該支持体(棒状体)302の先端領域318に基体358が、軸心360周りに回動可能に取り付けられている。基体358は、軸心360周りに一方の回動方向にバネ構造(図示せず)などによって、被処理面306に向けて、常時付勢されていてもよい。前述の車輪352は、少なくとも一本のアーム362を介して前記基体358に接続される。車輪352は、前記軸心360と平行な軸心364周りに、アーム362に対して相対的回転する。従って、アーム362と車輪352は、両方向矢印366によって示されるように、軸心360周りに円弧状に往復し、一緒に長尺状支持体(棒状体)302に対して相対回動することができる。車輪352の周辺ガイド面354は、図51に示されたのと同じ方法で、露出面306に押し付けられて動くことができる。
【0106】
さらなる代替案として、図53に示されるように、車輪352を、アーム368を介して長尺状支持体(棒状体)302に取り付けることができる。当該アーム368は、当該支持体(棒状体)302に対して相対的に、当該アーム368及び前記支持体(棒状体)302の長さ方向にほぼ平行に延びる軸心370周りに回動することができる。車輪352の周辺ガイド面354は、図51及び52について記載されたように、露出面306に対して押し付けられ、回転することができる。車輪を露出面に引き付けるために、車輪に磁石を装着することもできるし、あるいは磁石を車輪アッセンブリ又は車軸から吊り下げることもできる。
【0107】
図52及び53に示された構造は、長尺状支持体(棒状体)302に対する車輪352の相対回動が多次元となるように組み合わせることができる。図52及び53に示される構造の別の変形として、表面処理部324を長尺状支持体(棒状体)302の先端領域の固定位置ではなく、車輪取り付け構造の可動部上に設けてもよい。
【0108】
図51〜53に示される実施例のいずれにも複数の車輪を使用することができる。図54に、当該支持体(棒状体)302が、その先端領域318に表面処理部324の向こう側で間隔をあけて配置された二つのガイド車輪352a,352bとともに図示されている。車輪352a,352bを、当該支持体(棒状体)302の先端領域に近接させ、しかも間隔をあけて、使用時に表面処理部324と干渉を生じる可能性を低減することもできる。
【0109】
図55では、三つの車輪352a,352b,352cが、長尺状支持体(棒状体)302の先端領域に、表面処理部324に対し同様の関係で図示されている。
【0110】
図56では、長尺状支持体(棒状体)302の先端領域318に基体372が図示されている。基体372は、本実施例では四つの車輪352a,352b,352c,352dを支持する。基体372は、少なくとも一部は、管部材374により形成され、流体は、加圧供給源314から当該管部材374を介して、本実施例では基体372に沿って間隔をあけて配置された三つの表面処理部324へ供給される。本実施例では、表面処理部324の一つは先端にあり、他の二つの処理部324は、中心位置376のマニホールド326'から互いに反対方向に突き出ている。
【0111】
図56の配置によれば、間隔をあけて配置した三つの表面処理部324の同時使用により、累積的な処理効果が得られる。表面処理部324の数、間隔、位置が正確に図56に示されたとおりである必要はない。
【0112】
図57及び58に、長尺状支持体(棒状体)302の先端領域318にある、変形形態の車輪付き基体372'が図示されている。本実施例では、基体372はT字型部材378を有し、「T」の横棒380が支持体あるいは車軸を形成し、車輪352a,352bは、軸心382周りに当該車軸に対して相対回転する。基体372'は、加圧供給源314からの流体が供給ライン330を介して「T」の縦棒384に導入されるように形成されている。そこから流体は、矢印386で示されるように、分岐して流れ、横棒380を介して互いに逆方向に向かい、横棒380の両端388,390で表面処理部324に連通する。さらなる流体は、縦棒384から横棒(車軸)380の両端388,390のほぼ中間点の表面処理部324へ向けて、矢印392の方向に流れる。従って、加圧供給源314からの流体は、軸心382に対して相対的に互いに反対方向に流れて、両端388,390で表面処理部324を介して放出され、また、軸心382にほぼ垂直に流れて、横棒(車軸)380の両端388,390の中間点の表面処理部324を介して放出される。
【0113】
本発明では、複数の表面処理部324を、間隔をあけた他の配置にできると考えている。一例として、図59に示されるように、長尺状支持体(棒状体)302の先端392に一つの表面処理部324を有し、当該支持体(棒状体)302の先端からその基端領域316方向に間隔をあけて、当該支持体(棒状体)302から放射状に突出した別の表面処理部324を有する長尺状支持体(棒状体)302が図示されている。
【0114】
図60では、別々の二つの表面処理部324が、前記支持体(棒状体)302の先端392で当該支持体(棒状体)302から放射状に互いに反対方向に突出し、第三の表面処理部324が前記支持体(棒状体)302の先端392から基端領域316方向に間隔をあけて当該支持体(棒状体)302から放射状に突出する。
【0115】
図61では、長尺状支持体(棒状体)302の先端392に、第一マニホールド394を備え、当該マニホールド394は、球状壁398により囲まれた内部空間396を有する。三個の支持体あるいはマニホールド326a,326b,326cが、内部空間396と流体連通し、当該内部空間396は加圧供給源314から流体を供給される。本実施例では、流体は前記支持体(棒状体)302を通り、空間338を通って誘導される。マニホールド326a,326b,326cは間隔をあけて球状壁398に取り付けられている。一形態において、特定の用途に応じる場合は、マニホールド326a,326b,326cを第一マニホールド394上で戦略的に位置変更することもできる。
【0116】
球状壁398は、マニホールド326a,326b,326cを支持する働きをしてもよいし、場合によっては、被処理露出面306に押し付けられる周辺ガイド面400を備えてもよい。
【0117】
複数の表面処理部324を間隔をあけて、かつ/又は所望の方向に取り付けるための別の構造が、図62に示されている。図62では、複数の、この場合は5本のシャフト402a,402b,402c,402d,402eが、長尺状支持体(棒状体)302の先端392に取り付けられている。各シャフト402a,402b,402c,402d,402eは、マニホールド404と流体連通しており、加圧供給源314からの流体は、各シャフト402a,402b,402c,402d,402eを介して、自由端406a,406b,406c,406d,406eにおいて、表面処理部324に連通している。当該自由端406a,406b,406c,406d,406eにおいて、当該処理部324上のマニホールド326が取り付けられている。
【0118】
シャフト402a,402b,402c,402d,402eは、一定の形状、たとえば直線状や曲線状などに事前設定してもよい。あるいは、シャフト402a,402b,402c,402d,402eは、エンドユーザーにより事実上どのような所望の形状にでも成形でき、かつ維持できる材質で製作する。
【0119】
図63では、キャリッジ408が図示され、当該キャリッジ408は、長尺状支持体(棒状体)302の先端390に位置し、その形状は、ほぼ、露出面306の平面部に一致する直線状あるいは平面状の形状である。キャリッジ408は、当該支持体(棒状体)302の長さ方向と角度θ(シータ)を成し、当該角度θは、固定しても変えてもよい。複数の表面処理部324がキャリッジ408上に間隔をあけて設置されている。
【0120】
図64では、キャリッジ410が図示され、当該キャリッジ410は、長尺状支持体(棒状体)302に対し相対的に、軸心412周りに回転できる。本実施例では、キャリッジ410は多角形であり、さらに詳細には、軸心412方向からみると四角形で、複数の側面414a,414b,414c,414dを有し、それらの側面に少なくとも一か所以上の表面処理部324が設けられている。キャリッジ410は、前記支持体(棒状体)302に対して一つの相対方向に固定して保持することができるが、軸心412周りに前記支持体(棒状体)302に対して相対的に回動するなど、移動してもよい。
【0121】
図65には、長尺状支持体(棒状体)302の先端390に清掃部416を備えた処理装置が図示されている。清掃部416は、事実上無数の異なる形態をとってもよく、たとえば、露出面306を拭いたり、洗浄したり、研磨したりするなどのためのパッド(pad)や毛状部材(bristled component)などでもよい。
【0122】
長尺状支持体(棒状体)302は、その先端390と基端部316の間に表面処理部324を備えている。清掃部416及び表面処理部324は、その機能から見て相補的に設計してもよい。一例として、清掃部416は、表面処理部324によって表面306から分離できないような強固に付着した物質308を遊離させるために使用してもよい。
【0123】
図66及び67には、長尺状支持体(棒状体)302の先端390にパッド部420を備えた表面処理装置が図示されている。パッド部420は、多数の異なる形状のいずれをとってもよい。また、パッド部420は、露出面306と接する面422を有する。当該面422は、毛状体、面ファスナーの構成部分にあるようなフック、研磨剤、薬品などを備えていてもよい。パッド部420は、比較的薄いポリカーボネート・シートやカーボンファイバーシートで製作してもよい。
【0124】
長尺状支持体(棒状体)302の先端390に近接して、少なくとも一つ、この場合は複数の表面処理部324が備えられている。操作時には、各表面処理部324上の位置変更可能部材304a,304b,304c,304d が、前記面422の反対側に面するパッド部420の面424に繰り返し衝撃を与えるようになっている。これにより、衝撃力がパッド部420を介して、被処理面306の相当の領域に分配される。その領域は、前記面422の形状によって定められる。
【0125】
用途によっては、ブルーミングによる以外に、分離させた物質308を特定の露出面306から引き離して制御して導く必要があるかもしれない。一例として、図74に示されるように、露出面306は、貨物倉464内の、貨物船の外壁462の内面でもよい。補強シェル枠466が壁面462に形成され、典型的には、垂直に、次いで角度をもって船殻の基部近くで下方に延びる。シェル枠466はいずれもウェブ(web、I字状断面の縦棒の部分)468とフランジ470とを有し、これらは、個々の、ほぼ長方形の区画472の境をなす。当該区画472は、隣接するフランジ470同士の間に開口部474を形成し、その開口部474から区画472に達することができる。前記区画472は、貨物倉464に貯蔵された物質308を捕捉しやすい。本発明によれば、本明細書で記載された様々な処理装置を、前記開口部474から区画472に導入することができる。露出面306から分離された物質308は、もし移動されなければ、区画472の底に蓄積し、当該区画472内に捕捉されてしまいやすい。
【0126】
本発明によれば、図75にさらに示されるように、カーテン部476が長尺状支持体(棒状体)302の先端領域318に備えられている。カーテン部476は、フレーム478から成り、当該フレーム478に可撓性のシート材480が開口部474を封鎖するように吊下げられて取り付けられている。フレームの下には、チューブ状部位482が形成され、当該部位482は上部入口484を有する。
【0127】
表面処理部324は、フレーム478の向こう側で離れた位置にあり、区画472の中に導かれるようになっている。表面処理部324により分離された物質308は、開口部474から漏れることをシート材480により阻止され、入口484でシート材480によりチューブ状部位に導かれ、さらに当該部位を通って区画472の外へ、そして適当な集積または排出用の出口486へと、下方に導かれる。
【0128】
入口484と出口486の間のチューブ状部位482への、及び当該部位482を通じての物質308の流れを増進するために、付属の真空源488を使用してもよい。
【0129】
図76に、変形態様のカーテン部476'が図示されている。カーテン部476’は、長尺状支持体(棒状体)302の先端領域318に取り付けられたフレーム478'を有する。フレーム478’は、フレーム478同様、固定して取り付けてもよいし、あるいは、前記支持体(棒状体)302に対して相対的に、選択して方向を変えられるように取り付けてもよい。あるいは、空気ノズル(図示せず)を棒状体若しくはフレームに取り付けて、「エア・カーテン」を形成することもできる。
【0130】
フレーム478'は、前記支持体(棒状体)302の先端390に設けられた表面処理部324が位置する領域の近くで、少なくとも部分的な環状体あるいは保護覆い(shroud)を形成している。すなわち、フレーム478'は入口484'を形成し、当該入口484'の近く若しくは内部に、表面処理部324の少なくとも一部があり、露出面306から分離された物質308をより確実にとらえることができる。入口484'では、集積された物質308が可撓性のシート材480'で形成されたチューブ状部材482'を通じて下方に導かれる。
【0131】
本発明のさらなる変形が図77に示されている。図77では、ブロッキング部490がブルーミング部440"と長尺状支持体(棒状体)302の間で作用している状態を図示している。ブルーミング部440"は、長尺状支持体(棒状体)302の先端390に取り付けられ、両方向矢印494により示される方向に、当該支持体(棒状体)302に対して相対的に回動するように、当該支持体(棒状体)302に対して軸心492周りに相対的に動くことができる。ブルーミング部440"は、一本あるいは複数の管あるいは導管444を有し、当該管(導管)444は、加圧流体を被処理露出面306の面とほぼ平行な矢印496の方向に導くように配置されている。
【0132】
同種のブロッキング部490を、被処理露出面を横切って、あるいは当該面に平行に動く、歯状体(tine)432a〜432dの動きを限定するために、使用してもよい。
【0133】
本実施例では、前記管(導管)444'は可撓性であって、むち打ち(whipping)作用を発生させる。本発明によれば、ブロッキング部490は、管(導管)444'が図77に示された配置(それにより、流出流体は矢印496の方向に流される)から実質的に向きを変えないように、むち打ち作用を制限する。これが制御された槌打ち(hammering)作用を発生する。ブロッキング部490は、管(導管)444'に、又は、他の構造であって、管(導管)444'の方向をほぼ定めるために使用されるもの(総称して432で示す)に、作用してもよい。従って、槌打ち作用で露出面306に衝撃を与えるのと同じ管(導管)444'が、それに加えてブルーミング機能を発揮する範囲に動きを制限される。
【0134】
図78及び79に示されるように、別の変形例では、遮蔽部498を長尺状支持体(棒状体)302にその先端領域318で接続し、一個または複数の表面処理部324と組み合わせて使用する。
【0135】
遮蔽部498は、図74に示したような区画472を洗浄する際に特に有効である。区画472に送られた液体等の流体は、遮蔽部498により、開口部474から流れ出ることを阻止される。跳ね返った流体は、遮蔽部498の障壁500に当たり、底部の収容部502に集積され、そこから排水管504を介して流体を回収することができる。この配置により、遮蔽部498は、流体の放出を制御し、その回収を容易にする。
【0136】
障壁500は、軸心506周りに長尺状支持体(棒状体)302に対して相対回動可能にしてもよく、そのことによって、当該障壁をフランジ470にぴったりと押し付けてフランジ470間の開口部474を効果的に封鎖することが容易になる。障壁500により封鎖される開口を通過できるように、障壁の下部508を、障壁500の他の部分より狭くしてもよい。
【0137】
本発明による構造及び方法を使用して、無数の様々な環境で露出面から出た物質308を場合によっては遊離させ、また、その動きを制御することができる。それは、そのような面に、直接的にまたは間接的に衝撃を与えることや、振動を起こすこと、あるいはそのような面に向けて流体を流すことなどにより可能である。本発明の概念を使用して、上記で具体的に述べられなかった多数の物を含め、さまざまな手段を実行することができる。
【0138】
一例として、当該面306から物質を取り除くために処理流体を露出面306に流すための上記の構造は、同様の方法で、露出面306に表面準備成分を塗布するために使用することができる。露出面にそのような成分を塗布することは、貨物船倉などにある種の物質を導入し、そのような面に接触させる前になされることが望ましく、あるいは必要とされる。本発明の構造によれば、さもなければ従来の手段を使っては達するのが困難もしくは不可能な面への塗布を可能にする。
【0139】
さらなる例として、染み処理成分を塗布してもよい。石炭や石油コークスからの油性の染みは、加圧重曹溶液を塗布した後に当該面を叩いたり摩擦したりすることにより処理してもよい。研磨剤を、加圧した液体及び/又は気体と混合して塗布してもよい。
【0140】
もう一例として、微粒子状物質が大量に垂直方向に堆積したものを粉砕するために、本発明の構造を使用することができる。従来の方法で加圧した流体をこのような堆積に対して流しこむ一方、一つあるいは複数の位置変更可能部材304をその堆積の中に配置することにより、視界を遮り、作業者に吸入されると判明している軽い微粒子を舞いあがらせることなく、その堆積を分散させてもよい。
【0141】
さらに詳細には、セメントなどの物質は、シート状フレームの間、及び船の貨物倉の床から4〜14mのところにある移行領域に蓄積することがある。通常、梯子を登ったり、昇降機を使うことにより、シャベルなどで作業者が直接到達できるように、その堆積のすぐ近くに作業者を配置して、このような領域に達することができる。これは、作業者が巧みに操作することを要求される高さであるので、本質的に危険である。
【0142】
本発明によれば、前記棒状体は堆積物の中の底面/下部に「突き刺さ」れる。こうしてその堆積を制御して崩し、付近の表面に押し付けるように誘導したり、突き出た部分などから自由に、さらに低い堆積領域へと進めていく。挿入された棒状体の端部にある一つあるいは複数の位置変更可能部材により、この工程が容易になるであろう。位置変更可能部材を堆積の中に侵入させるので、ほこりの発生は抑制される。従って、堆積は、次第に崩され、制御可能に、安全に、かつ便利にこの状態を除去することができる。
【0143】
さらに、本発明を使用して、スラリーのような湿った混合物を攪拌することができる。一例として、まだ乾いていないセメント混合物を攪拌して、砂糖又は他の硬化遅延剤などの添加剤を導入することにより処理することもできる。
【0144】
すべての実施例において、位置変更可能部材304によるむち打ち作用の力や槌打ちを繰り返す頻度などは、構成要素の種類及び相互作用を変えることにより選択することができる。たとえば、位置変更可能部材304が管(導管)である場合は、「むち打ち」の性質は、管のサイズ、壁の厚さ、材質、長さ、加圧流体の流量及び圧力などにより決められる。上記の発明概念を掌握している当業者は、装置の構成要素を変更して、特定の環境や用途が求める、あるいは決定するかもしれない所望の目標を達成することができるであろう。振動などを起こすために、流れの圧力を変更したり、断続的に圧力を変えたりなど、加圧流を制御することにより、様々な表面相互作用を起こしてもよい。
【0145】
さらに、本明細書内の異なる実施例で述べられた様々な構成要素を、組み合わせてもよいと考えられる。一例として、重量を軽減するために、長尺状支持体(棒状体)302内の空間338を、加圧流体を連通させる手段の一部として使用して、外部供給ライン330を各実施例において部分的に取り除くこともできる。このようにすれば、場合によっては全体の装置を単純化し、その重量を軽減することができる。
【0146】
さらなる例として、位置変更可能部材304を、被覆を用いること等によって処理し、その性能を変更してもよい。被覆は、硬度を増しても、かつ/又は、ケイ砂やシリカ炭化物(silica carbide)などの研磨剤を組み込んでもよい。あるいは、各位置変更可能部材304を、異なる種類又は寸法の複数の管により形成し、それらを一体化してもよい。例えば、より硬い材質の長さの短いものを位置変更可能部材の自由端に備え、表面306での屈曲作用及び衝撃作用を増強してもよい。あるいは、各位置変更可能部材304は、一本または複数本の別々の処理アームに分岐することができる。ビーズなどの重りを当該部材304に、その自由端で、あるいは自由端の近くに取り付けてもよい。
【0147】
本発明の特筆すべき様相は、船舶が外海を航行中にハッチを開放あるいは閉鎖して、貨物船倉内などの表面処理を行うことが可能であるという点である。このようにすれば、場合によっては、碇泊中のドライクリーニングによる出費を避けることができる。堆積した残留物は、清掃工程中に、合法的に25海里沖合で従来のように排出できる。
【0148】
さらに、比較的軽量の棒状体あるいは支持体に相互作用的な器具を備えることにより、従来技術のブラシ等を使用するときに典型的である、被処理面に対する圧力のもとでブラシ等を保持し、かつ、繰り返し手作業で動かしてゴシゴシ磨く動作をしなければならないような方法で作業者を疲れさせることなく、表面処理を迅速に実行できる。
【0149】
本発明のシステムは、原料がそれに接して置かれるであろう表面の状態を検査する診断用装置及び基準としても使用できる。位置変更可能部材304により表面から分離された物質の種類及び量を観察することにより、検査者が、このような表面に接して原料を導入した結果起こりそうな「挫滅組織除去」(debriding)を簡単かつ迅速に予測できるようにする。つまり、貨物倉の状態の客観的な質的・量的分析がなされ、特に、次に積みこまれる貨物と接触し、かつそれを閉じ込める表面の適合性を判定することができる。
【0150】
さらに別の変形例として、本明細書内に記載されたすべての異なる構成要素(まとめて522で示す)を含む本発明の表面処理装置(総称して520で示す)を、被処理露出面により囲まれた空間全体において、移動メカニズム524により選択的に位置変更してもよい。移動メカニズム524、及び、場合によっては当該装置520の処理部材522を、制御機器526により選択的に操作してもよい。当該制御機器526を、表面処理部材522及び移動メカニズム524のそれぞれの受信機528,530と有線又は無線により接続してもよい。これにより、達するのが困難な、かつ場合によっては危険な高い位置での遠隔処理が容易となる。移動メカニズム524は、表面と相互作用させてもよく、あるいは他の方法で、例えば独立した支持体を介して、制御してもよい。
【0151】
前述の具体的な実施例の開示は、本発明により把握される広い概念を例証することを意図したものである。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】本発明による処理装置の一形態の略図であり、当該処理装置が引き付けられ、かつ本発明による当該処理装置の処理部により処理される表面と関連付けた図である。
【図2】本発明による前記処理装置の略図であり、前記処理装置が磁気部により引き付けられる鉄製表面に関連付けた図である。
【図3】鉄製あるいは非鉄製の被処理面に作用するキャリッジに取り付けられた前記処理部を有する前記処理装置の略図である。
【図4】被処理面に直接接触する処理部材を有する、図3の処理部の略図である。
【図5】前記装置を用いて、本発明による方法によって処理される貨物倉を有する貨物船の斜視図である。
【図6】図5の貨物船の貨物倉の一つの拡大部分斜視図であり、貨物倉によって形成される貯蔵スペースの境界となる壁を処理するために、使用者によって操作されている前記処理装置の一形態を示す。
【図7】図6に示される前記処理装置の拡大部分斜視図である。
【図8】図7の前記処理装置の拡大正面図である。
【図9】被処理面と関連付けた、図7及び8の前記処理装置の拡大側面図である。
【図10】図7〜9の前記処理装置のキャリッジの拡大斜視図である。
【図11】図10のキャリッジの拡大分解斜視図である。
【図12】図10及び11のキャリッジの正面図である。
【図13】前記処理部の処理部材の変形態様の略側面図である。
【図14】処理部材のさらなる変形態様の、図13と同様の図である。
【図15】図14に示される型の処理部材の一般態様の衝撃部を有する前記キャリッジの略図である。
【図16】本発明による、熱源を有するキャリッジの略図である。
【図17】キャリッジが照明光源を有する、図16と同様の図である。
【図18】キャリッジが少なくとも一つの鏡を有する、図16及び17と同様の図である。
【図19】キャリッジがビデオカメラを有する、図16〜18と同様の図である。
【図20】本発明による、液体あるいは気体の加圧流体を供給源から被処理面に導くための、少なくとも一つのノズルを有するキャリッジの略図である。
【図21】少なくとも一つの開口及び収容部を有する、本発明によるキャリッジの略図である。当該開口は、その開口で吸引を行うための真空源と連通しており、当該収容部は、前記開口から吸引された異物を集積するためのものである。
【図22】可撓性回収部材を内部に有する貨物倉の略図である。
【図23】内部に異物を集積した前記回収部材が変形し、ブームによって開口部から持ち上げられている状態を示す、図22と同様の図である。
【図24】前記回収部材がさらに持ち上げられ、変形し、前記開口部を通過する状態を示す、図22及び23と同様の図である。
【図25】前記処理部の一部あるいは全体に振動誘起部を有する、本発明によるキャリッジの略図である。
【図26】前記振動誘起部の代わりに往復部を備えた、図25と同様の図である。
【図27】駆動部により動作する処理部材を有する、本発明によるキャリッジの略図である。
【図28】少なくとも一つの車輪を有し、当該車輪を駆動することによって自走する、本発明によるキャリッジの略図である。
【図29】電気的に操作される可動部材又は機能を有する前記キャリッジの略図である。
【図30】前記可動部材又は機能が油圧あるいは空気圧により操作される、図29に対応する略図である。
【図31】本発明による、表面を処理する方法のフロー図である。
【図32】本発明による、表面を処理する別の方法のフロー図である。
【図33】本発明による、互換性のある複数の処理部材を有するキャリッジを含むキットの略図である。
【図34】互換性のある複数の処理部を備えた、図33と同様の図である。
【図35】本発明による、二面が直角に交差する面に達するための処理部材の平面図である。
【図36】人用昇降機のバケット(ゴンドラ)から前記装置を操作している使用者を示す略側面図である。
【図37】本発明による、表面を処理する準備用の、貨物船の一部に作用する衝撃又は振動誘起装置の略図である。
【図38】表面を処理するために用いられる、本発明によるパッドの正面図である。当該パッドは、鉄製の表面に磁気的に引き付けられる本体又はキャリッジを含み、当該本体には磁気部材が埋め込まれている。
【図39】磁気部材が前記本体又はキャリッジの露出面に取り付けられている状態を示す、図38と同様の図である。
【図40】所望の磁気吸引力を選択できるように、容器内に選択的に配された磁気部材と組み合わせた、図38及び39と同様の図である。
【図41】本発明による処理装置の変形態様であり、磁気部材を伴うパッドの形態であって、そのパッドを操作するための可撓性コードを含む。当該磁気部材は、パッドを鉄製の物質に引きつけるためのものである。
【図42】図41のパッドを使用した、本発明による表面を処理する別の方法のフロー図である。
【図43】長尺状の操作棒状体とキャリッジとをピボット接続している、本発明による装置の変形態様の略図である。
【図44】本発明による長尺状棒状体のさらなる変形態様の部分図であり、当該棒状体は、キャリッジに往復運動をさせるための往復部を有するキャリッジに接続されている。
【図45】空気圧で操作される回転式処理部材を包含する、本発明による処理装置のさらなる変形態様の部分正面図である。
【図46】長尺状支持体からなる、本発明による処理装置の一態様の略図である。当該支持体は、少なくとも一つの位置変更可能部材を有し、当該位置変更可能部材は、露出面上の物質と干渉して分離させ、場合によっては分離後に当該物質の動きを制御する。
【図47】管又は導管が長尺状支持体上に設けられている、本発明による処理装置の別の態様の略図である。当該管又は導管は、露出面から分離された物質を制御して導くために加圧流体を送るものである。
【図48】図46に示される処理装置の一態様の側面図である。
【図49】図48の49−49に沿って切り取られた、前記処理装置の長尺状支持体の拡大断面図である。
【図50】露出面に対し、長尺状支持体の誘導を容易にするために、当該長尺状支持体の先端にノブを備えた、図48と同様の図である。
【図51】露出面に対し長尺状支持体を誘導するため、ノブの代わりに車輪が使用されている、図50と同様の図である。
【図52】前記誘導車輪が、第一の方法で長尺状支持体に対し移動可能な、図51に対応する部分正面図である。
【図53】前記誘導車輪が、第二の方法で長尺状支持体に対し移動可能な、図52と同様の図である。
【図54】図1の一輪の代わりに、一対の車輪が使用される、図53と同様の図である。
【図55】図54に示される二輪の代わりに三つの誘導車輪が使用される、図54と同様の図である。
【図56】前記三輪の代わりに四輪のキャリッジが使用され、当該キャリッジが流体を加圧流体供給源からキャリッジの表面処理部に連通させる、図55と同様の図である。
【図57】前記長尺状支持体の先端領域に基体を備え、当該基体が複数の誘導車輪を支持し、加圧流体を基体上の複数の面処理部に連通させる、図56と同様の図である。
【図58】図57の前記基体及びそれに伴う部品の拡大部分正面図である。
【図59】前記長尺状支持体が、間隔をあけて複数の表面処理部を備えた、図48と同様の図である。
【図60】複数の表面処理部の配置間隔が異なる、図59と同様の図である。
【図61】複数の表面処理部を有する前記長尺状支持体の先端領域にマニホールドを備えた、図48と同様の図である。
【図62】前記長尺状支持体の先端領域に、それぞれが対応する表面処理部を有する複数のシャフトを備えた、図48と同様の図である。
【図63】可動式キャリッジを備え、表面処理部との間に、関係づけられた位置関係を有する、前記長尺状支持体の一部の部分正面図である。
【図64】前記長尺状支持体の先端領域にキャリッジを備えた、図48と同様の図である。当該キャリッジは、多角形の外形を有し、当該多角形の外形上に表面処理部を備え、その多角形の外形は前記支持体に対して相対的に向きを変更することができる。
【図65】前記長尺状支持体が、表面処理部に加えて清掃部を有する、図48と同様の図である。
【図66】パッド部を備え、当該パッド部が表面処理部によってその片面に衝撃を受けるようになっている、前記長尺状支持体の先端領域の部分斜視図である。
【図67】図66の長尺状支持体、パッド部、表面処理部の部分正面図である。
【図68】被清掃露出面に繰り返し衝撃を与える位置変更可能な歯状体を有する表面処理部を備えた、前記長尺状支持体の先端領域の部分正面図である。
【図69】図68の表面処理部を被処理露出面に配した、図48と同様の図である。
【図70】前記長尺状支持体の先端にブルーミング部を有する、図4と同様の図である。
【図71】前記ブルーミング部と連動して使用される複数の表面処理部を有する、図70と同様の図である。
【図72】前記ブルーミング部に加えて、露出面から物質を分離するオプショナル・メカニズムを備え、結合された複数の管又は導管が選択的に着脱できるフレームを有するブルーミング部の変形態様の、図48と同様の図である。
【図73】前記フレームから一部の管又は導管を取り外した、図72のブルーミング部を備えた長尺状支持体の先端領域の部分正面図である。
【図74】貨物船倉のシェル枠と、そのシェル枠の内部の区画の断面図である。
【図75】前記長尺状支持体が、その先端にカーテン部を有し、カーテンと集積チューブを形成する、図48と同様の図である。当該集積チューブは、図74のシェル枠区画内の露出面から分離された物質用のものである。
【図76】前記長尺状支持体の先端のカーテン部の変形態様の部分断面図である。
【図77】表面処理部の変形態様を示す、図48と同様の図であり、当該処理部において、ブロッキング部により制限される位置変更可能部材は、物質を分離しブルーミングする働きをする。
【図78】シェル枠の区画から流体の流出を制御するように、遮蔽部を設けた、図75と同様の図である。
【図79】処理流体を集積し、制御して放出するようになっている前記長尺状支持体の先端の遮蔽部の拡大部分側面図である。
【図80】本発明による、遠隔操作できる表面処理装置の略図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離可能な離散物質が付着した露出面に関するものであり、特に、そのような露出面から当該物質を分離し、場合によっては制御しながら取り除く方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
貨物船、特にドライバルク及び液体バルクの貨物船は、多岐にわたる製品や原料を輸送するために、世界中の水路において使用されている。公知のドライバルク貨物船の建造においては、大量の微粒子状原料を収容するために、複数の貨物倉が船殻に形成される。各貨物倉は、鉄製の壁構造により区切られ、原料の積み下ろし用の高架路を有する。代表的な貨物倉は縦横約100フィート(約30m)、高さ約60フィート(約18m)であり、露出した内面の表面積は220,000平方フィート(約20,000平方メートル)超となるものもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この業界を悩ませてきた問題点のいくつかを説明するために、ドライバルク貨物船における粉末セメント輸送について述べる。典型的な作業において、貨物倉は、積込港でセメントを詰め込まれる。セメントは、仕向け港で陸揚げされる。セメントの積込み及び陸揚げは、多くの異なる周知の技術や装置のいずれかを用いて行われる。こういった技術は、ばら積み貨物の大半を、しかしながら全てではないが、取り除くように設計されている。残留貨物の残りも、以前の貨物の残留物、他の残屑、剥がれたさび、剥片、剥がれた塗装、他の可能性のある汚染物質(染み等)同様、同一の又は異なる積込港で別の貨物を積む前に取り除かれなくてはならない。
【0004】
貨物倉にセメントを再び詰め込む場合は、再積み込みのための貨物倉の準備は最低限でよいであろう。しかし、次の積み荷が異なる場合、貨物倉の壁面を含む内面全体を完全に清掃し、壁面、頭上などの枠組、貨物倉内の付属品、ハッチカバーに付着したセメントの残留物が新しい製品を汚さないようにしなくてはいけない。
【0005】
従来、貨物倉内の壁面や他の面の清掃は時間・労働力集約型であり、さらに比較的高価な器具を必要とするものであった。貨物倉の下部を清掃するためには梯子が使用されることが多く、上部を清掃するためには昇降機構造が貨物倉ごとに導入されることが多い。昇降機は、清掃作業中に作業者が入るバケット(ゴンドラ)用の位置変更可能な支持体を備えた動力源内蔵式運搬具から成る。巧みにいろいろな場所に運搬具を移動させ、作業者が貨物倉の壁面の全域に手を伸ばすことができるようにしなければならない。
【0006】
海運業界は上記の技術を何十年も利用し、よりよい代替技術が得られていないという事実により、特に、ハッチカバー及び貨物倉の接近できない領域を清掃するために、上記技術に付随する多数の問題と戦ってきた。第一に、この種の清掃器具は、支台からの搬送時間やコストがかかるなど、多くの理由から比較的高価である。船の清掃は、昇降機に乗って一度に船を清掃できる作業者の数がわずかであるので、極めて遅い。はしごで作業する場合は、そのはしごの基部を支える労力が別途必要であり、さらに、通常は手の空いている労働要員を使用し、すべての清掃作業を遅らせてしまう。従って、船の積み替えや配置が遅れてしまい、収益の損失という結果を招く。
【0007】
第二に、これら従来の運搬具では、作業者を本来は危険な高さまで持ち上げる必要がある。これらの運搬具を受け持つ人員は、訓練を受けてその操作の免許をとらなければならず、従って、比較的高度な技術レベルを有する必要があり、負傷を避けるために細心の注意を払わなければならない。このような人員は一般に人件費が高く、需要のある清掃場所では得られないことも多い。梯子をこの高さで利用するのも作業者を危険と隣り合わせの状態にしてしまう。
【0008】
第三に、貨物倉の大きさや形状により、その中で同時に作業できる運搬具の数が限定される。一つの倉に一台の運搬具を使うのでは、清掃工程が何日も遅れ、その間、利益のないまま清掃及び係船費用を負担することになる。
【0009】
第四に、複数の運搬具を一つの倉で同時に作業させると、作業者の労働を効率よく安全に調整し、揺れる船の貨物倉に追加の昇降機をクレーンで据えるために、より高度な操作技術レベルが要求される。作業者への危険に加え、昇降器具はその操作の間に破損することも多い。安全性と効率は、さらに課題を抱えている。なぜならば、微粒子状のセメントを取り除く作業は、空気中に微粒子をまき込み、貨物倉内の空間全体に広がり、視界を妨げ、その上作業者をこの微粒子の吸入に伴う健康上のリスクにさらすことになる。
【0010】
第五に、これらの運搬具は、通常、燃料により作動するものであるから、貨物倉内にこもってしまう副生成物の排出を引き起こす。これにより、さらなる健康上のリスクを作業者にもたらし、船が清掃される回数を制限する。降雨中は、貨物倉が濡れないようにカバーをしている時に蓄積する危険な排出物のために、貨物倉を清掃することはできない。
【0011】
海運業界は競争が激しいので、この業界では効率性が最も重要である。停泊中の船は、費用を発生させるだけで、その所有者、経営者、用船者のために何もしていない。清掃工程に参加していない乗員は、ダウンタイムについて給料を支払われている。ドック入り、燃料、その他の費用は日数基準で生じる。チャーター時間は通常6分間隔で計算される。従って、迅速、安全、効率的に貨物倉を清掃し、詰め替え、船が清掃済みで貸し出しできる状態になった後は原料を輸送し、収入を生み出すようにすることが所有者又は経営者の利益にかなうことは明らかである。残念ながら、効率性を強調すると、清掃作業における安全性を危うくしかねない。しかしながら、いくら日程を詰めても、5〜9ヶの分離した貨物倉の準備には3〜5日、あるいはそれ以上の日数がかかる。
【0012】
清掃工程は個別の付着物に限定されるものではないが、染みやさび、及び、ブラシでこするぐらいでは容易には遊離できないほどに頑固に付着した剥片を取り除くことも含む。従って、汚染物質になりそうな類のものを取り除く別の手段を講じる必要がある。処理すべき表面積が220,000平方フィート(約20,000平方メートル)超にも及ぶ広大な空間では、このような清掃作業は、乗員が作業する際に膨大なダウンタイムに相当し、船を港に停泊させておくことを必要とする器具を使用する。
【0013】
一般的に行われる別の作業は、特定の型の原料の貯蔵の準備となる成分を塗布することである。理想的には、原料が接する各面に添加剤を塗布することであろう。これは、特に添加剤を塗布する面に作業者が近接する必要のある大きな空間において、労働集約的な工程となる。従来の塗布技術は、複雑な面や、狭い空間内の面や、容易には近づけない面に添加剤を塗布するには不十分なものである。
【0014】
海運業界は、大部分上記のような課題に取り組んでおり、中でも最も顕著なのは、重大なダウンタイム、費用のかかる清掃工程、船舶の貨物倉の効果の上がらなさそうな清掃である。業界にとっては依然として、このような表面から異物を取り除き、またこのような表面を処理する方法と装置の改善を必要としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
一形態において、本発明は、露出面を処理する方法を目的とする。当該処理方法は、長尺状支持体を有する処理装置を準備する処理装置準備工程を包含し、前記長尺状支持体は、基端領域及び先端領域を有し、さらに前記先端領域に少なくとも一つの可撓性表面接触部材を有しており、前記可撓性表面接触部材を被処理露出面に配するように、前記長尺状支持体を前記基端領域において操作する長尺状支持体操作工程と、前記露出面の処理を行うために前記可撓性表面接触部材を前記露出面において繰り返し移動させる表面接触部材移動工程とをさらに包含する。
【0016】
一形態において、前記露出面は、物質を貯蔵する空間を囲み、かつ/又は互いに離れた場所の間で物質を運ぶ装置に伴う。
【0017】
一形態において、前記長尺状支持体操作工程は、前記露出面に対し前記処理装置のガイド面を押し付ける工程と、前記ガイド面を前記露出面に押し付けながら誘導しつつ移動させて前記露出面に対して異なる位置に前記可撓性表面接触部材を選択的に配するようにするガイド面移動工程とを包含する。
【0018】
前記ガイド面は、前記露出面に押し付けられて回転する車輪上にあってもよい。
【0019】
前記露出面上を滑るように前記ガイド面を移動させて、前記可撓性表面接触部材の位置を変えてもよい。
【0020】
一形態において、前記表面接触部材移動工程は、前記可撓性表面接触部材をむち打ち状態で移動させる工程を包含する。
【0021】
一形態において、前記可撓性表面接触部材は管部材の形状である。
【0022】
一形態において、前記表面接触部材移動工程は、前記管部材を介して加圧流体を供給源から導く工程を包含する。
【0023】
前記流体は、液体及び/又は気体でもよい。
【0024】
前記ガイド面は、回転軸心を有する車輪により形成されており、当該処理方法は、前記長尺状支持体と前記車輪の前記回転軸心との関係を変える工程をさらに包含してもよい。
【0025】
一形態において、前記車輪は基体に取り付けられており、当該処理方法は、前記基体の一部を介して加圧流体を供給源から導く工程をさらに包含する。
【0026】
一形態において、前記基体は、前記長尺状部材に対して相対的に方向を変えてもよい。
【0027】
一形態において、前記可撓性表面接触部材は前記基体に取り付けられている。
【0028】
当該処理方法は、加圧流体を供給源から前記長尺状支持体の前記先端領域に導く加圧流体導入工程をさらに包含してもよい。
【0029】
前記加圧流体は、前記長尺状支持体を介して導いてもよいし、独立して供給してもよい。
【0030】
一形態において、前記処理装置は、複数の可撓性表面接触部材を備える。
【0031】
別の形態において、前記長尺状支持体の前記先端領域における互いに離れた第一及び第二の位置のいずれにも、複数の可撓性表面接触部材を準備する。
【0032】
別の形態において、前記長尺状支持体の前記先端領域に清掃部を備える。当該処理方法は、前記支持体を操作する際に前記清掃部を前記露出面上を滑らせる工程をさらに包含してもよい。
【0033】
本発明の別の形態において、前記長尺状支持体の前記先端領域にカーテンを備える。前記カーテンは、一形態では吊るされ、前記露出面から分離された物質を下方へ向かわせるようにするものである。
【0034】
前記カーテンは、管形状を有してもよい。
【0035】
一形態において、フレームを準備する。前記フレームに可撓性シート材を取り付け、前記カーテンを形成する。
【0036】
一形態において、前記処理装置は、さらにパッド(pad)部を備えている。当該処理方法は、前記パッド部を前記露出面に押し付ける工程と、繰り返し前記パッド部に衝撃を与えることにより、前記可撓性表面接触部材を間接的に前記露出面に接触させる工程とをさらに包含してもよい。
【0037】
前記処理装置準備工程は、少なくとも一本の流体導管を準備する工程を包含してもよい。当該処理方法は、前記流体導管を介して加圧流体を供給源から導き、前記露出面から分離された物質を制御して導くようにする工程をさらに包含してもよい。
【0038】
当該処理方法は、制御された加圧流体流を前記長尺状支持体の前記先端領域で発生させ、前記露出面から分離された物質の動きを制御する工程をさらに包含してもよい。
【0039】
一形態において、前記処理装置準備工程は、前記長尺状支持体の前記先端領域にフレームを備える工程を包含する。前記可撓性表面接触部材は、可撓性管部材の形状であり、当該処理方法は、前記可撓性管部材を前記フレームに接続し、前記可撓性管部材を介して導かれた加圧流体を前記フレームに対して概ね第一方向に導く工程をさらに包含にしてもよい。
【0040】
空気流の方向及び/又は位置を変えるために、前記長尺状支持体に対して前記フレームの方向を変えてもよい。
【0041】
当該処理方法は、少なくとももう一つの可撓性表面接触部材を前記露出面において繰り返し移動させて前記露出面の処理を行う工程をさらに包含してもよい。前記可撓性管部材を前記フレームに接続する工程は、前記もう一つの可撓性表面接触部材により分離された物質の動きを制御するために加圧流体を導くように、前記可撓性管部材を前記フレームに接続する工程を包含してもよい。
【0042】
前記表面接触部材移動工程は、前記露出面に対して直接的に、又は、前記露出面にほぼ平行に、前記可撓性表面接触部材を繰り返し移動させる工程を包含してもよい。
【0043】
前記可撓性表面接触部材を前記露出面において繰り返しランダム(無作為、不規則)に移動させてもよい。
【0044】
当該処理方法は、前記可撓性表面接触部材が前記露出面から離れてランダムに移動することを規制する工程をさらに包含してもよい。
【0045】
当該処理方法は、加圧流体を前記可撓性表面接触部材を介して導く工程と、前記可撓性表面接触部材からの加圧流体の放出を制御し、前記可撓性表面接触部材を前記露出面において繰り返し移動させることにより分離された物質の動きを制御する工程とをさらに包含してもよい。
【0046】
一形態において、前記処理装置準備工程が、歯状体部を準備する工程を包含し、前記歯状体部は、位置変更可能な第一歯状体(tine)を少なくとも有し、前記可撓性表面接触部材は、第一歯状体を伴う。当該処理方法は、前記可撓性表面接触部材が繰り返し移動することに伴い、第一歯状体を前記露出面に対して繰り返し相対移動させる工程をさらに包含してもよい。
【0047】
第一歯状体を、前記露出面に押し付けて、前記長尺状支持体に対して繰り返し相対移動させてもよい。
【0048】
一形態において、第一歯状体は自由端を有し、前記自由端の近く、若しくは前記自由端まで、又は前記自由端を超えて前記可撓性表面接触部材が延在する。
【0049】
一形態において、前記処理装置準備工程は、前記長尺状支持体に遮蔽部を設ける工程を包含する。当該処理方法は、前記可撓性表面接触部材を介して加圧流体を放出する工程と、前記可撓性表面接触部材から放出された流体の動きを前記遮蔽部により制御する工程とをさらに包含してもよい。
【0050】
一形態において、前記表面接触部材移動工程は、前記露出面上の物質を前記露出面から分離させるために、前記可撓性表面接触部材を繰り返し移動させる工程を包含する。当該処理方法は、前記露出面から分離された物質の種類と量を判定する工程及び、分離された物質の種類と量に少なくとも基づいて、前記露出面の状態と、特定の物質と接触し前記特定の物質を収容するための前記露出面の適合性とを分析する工程をさらに包含してもよい。
【0051】
本発明は露出面を処理する方法をさらに目的とし、当該処理方法は、処理装置を準備する処理装置準備工程を包含し、前記処理装置は基端領域及び先端領域を有する長尺状支持体を備え、さらに前記先端領域に出口を有する管部材を備えており、加圧流体を、前記出口で放出するために、前記管部材を介して導く工程と、前記基端領域において前記支持体を操作し、前記出口を前記被処理露出面に配し、前記露出面から分離された物質の動きを制御するために、使用者が前記出口における加圧流体を誘導する工程とをさらに包含する。
【0052】
当該処理方法は、前記長尺状支持体に対して相対的に、前記出口の方向を変える工程をさらに包含してもよい。
【0053】
当該処理方法は、前記管部材に加えてメカニズムを用いて、前記露出面に付着した物質を分離させる物質分離工程をさらに包含してもよい。
【0054】
前記物質分離工程は、前記露出面に衝撃を与えることにより物質を分離する工程を包含してもよい。
【0055】
前記処理装置準備工程は、前記長尺状支持体の前記先端領域にフレームを備える工程を包含してもよい。一形態における前記管部材は可撓部を有し、前記可撓部は、前記長尺状支持体に対して相対的に前記管部材の方向を固定するために前記フレームに取り付けられている。当該処理方法は、前記管部材を介して導かれた加圧流体により、前記管部材を、前記露出面に押し付けて、かつ/又は前記露出面の近傍で、ランダムに移動させるために、前記フレームから前記管部材を取り外す工程をさらに包含してもよい。
【0056】
当該処理方法は、前記可撓性表面接触部材を介して表面準備加圧流体を導き、前記可撓性表面接触部材をランダムに移動させ、前記表面準備流体を前記露出面に塗布する工程をさらに包含してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
図1に、本発明による処理装置10が示されている。当該処理装置10は、処理部12を有し、当該処理部12が表面14に対する処理を行うように設計されている。処理操作の種類は、本発明にとって重要ではない。清掃から再構成(reconfiguration)まで、実質的にいかなる処理方法も想定される。図1は、全ての種類の表面処理操作を包含するべく、図式的な形で示した。
【0058】
図5及び6に示されるように、前記処理装置10は、船舶及びばら積み貨物(ドライバルク及び液体バルク)業界において特に有効である。本明細書の背景技術の項で述べたように、貨物船の貨物倉の処理または清掃は、特に煩わしい問題であり、本発明は、特にその点に適したものである。図5において、貨物船28は、どのような航行可能な水域30でも使用できる型である。貨物船28は、内部に複数の貨物倉34が形成されている船殻32を有する。本特有構造では、このような貨物倉34が二か所図示されている。現在使用されている、より典型的な船体構造としては、二つ以上、通例五つの貨物倉34を有する。しかしながら、貨物倉34の数や形状は、本発明においては重要ではない。
【0059】
図6において、一つの貨物倉34の一部が図式的に示されている。貨物倉34は鉄製の表面14'によって囲まれている。表面14'は、床36、周壁構造38、甲板壁40を構成し、開口部42が形成されている。開口部42(図5)は、貨物倉34内の貯蔵スペース44と連通している。原料は、開口部42を通して貨物倉34に積み込まれ、貨物倉34から積み下ろされる。
【0060】
貨物倉34は、簡略化して図式的に示したものである。実際には、貯蔵スペース44には多数の凹凸があり、それが表面14'の清掃を困難にしている。加えて、スペース44には通常は階段や他の構造物が建設され、清掃の邪魔になっている。
【0061】
本明細書の背景技術の項で述べたように、貨物倉34は、約100フィート(約30m)の長さ及び幅を有し、これらは、それぞれ両方向矢印L,Wで表される。床36と天井46の間の高さHは、約60フィート(約18m)である。
【0062】
図6〜12に示される本発明の一形態において、処理装置10はキャリッジ(carriage、運搬部材)20からなり、その上に操作可能なように処理部12が取り付けられている。当該キャリッジ20は、長尺状棒状体48に接続され、処理装置10は、当該棒状体48によって方向転換や移動を行い、所望の領域をカバーする。
【0063】
棒状体48は、操作端50とキャリッジ取付端52の間で一定の長さLを有している。さらに好ましくは、棒状体48は、複数のはめ込み(テレスコープ)式長尺体54,56で構成される。2本の長尺体54,56が図示されているが、長尺体は何本使用してもよい。
【0064】
棒状体部品の種類は、本発明においては重要ではない。棒状体48が軽量で、制御操作が可能で、取り付けられた処理部12が使用者58によって床36から全表面14(全周壁構造38及び天井46を形成する表面部分を含む)に到達できることが望ましい。はめ込み式長尺体54,56は、軽金属、プラスチック、複合材などで製作されてもよい。同時に、棒状体48は、処理装置10の使用者58が制御して配置し、表面14'全体にわたり操作できるだけの十分な剛性を持たなければならない。
【0065】
棒状体48は、図示のように直線状でも、あるいは、障害物のある領域に達するような形状でもよい。一例として「グースネック(S字状部)」を棒状体48の端部に備えてもよい。
【0066】
この実施形態において、処理部材22は、回転ブラシの形態である。処理部材22は、中央シャフト116を有し、当該シャフトは、端壁102,104の間に延在し、それらの壁に対して軸心118周りに回転可能にジャーナル軸受けされ、軸心118は軸心90,92にほぼ平行である。シャフト116の円周方向及び長さ方向に沿って等間隔に、個々の毛状体(bristle)120が、軸心118に対して放射状に延在する。サブフレーム100は、開口124を有する一体型保護覆い(shroud)122を含み、当該開口124から毛状体120が露出している。
【0067】
処理部12の種類は、実施される個々の処理手順によって大幅に変更することができる。例えば、上記の実施形態において、毛状体120は、さまざまな形状で、さまざまな材質で作成できる。毛状体120は、例えば、プラスチックあるいは金属で製作してもよい。毛状体120は、図示されるような直線状でもよいし、あるいはヘリングボーン(herringbone)状やその他の形状で製作されてもよい。
【0068】
もう一つの変形としては、図14に示されるように、毛状体120”は、重り164をそれぞれその先端に付け、表面14'に繰り返し衝撃を与え、槌で打つような作用を起こすことにより、表面14'に付着しやすい遊離異物を破壊してもよい。図14の構造は使用できる衝撃部の一形態を表わす。図15に、キャリッジ20に取り付けて槌打作用を起こすための、より一般的な衝撃部166が示されている。異物を遊離させる痛烈な衝撃を発生させることのできる構造であれば、図14に示したもの以外の構造も考えられる。
【0069】
処理作業を補助するために、図16に示されるような熱源168をキャリッジ20に備えることができる。
【0070】
さらに別の選択肢として、図17に示されるような光源170をキャリッジ20に備えることができる。
【0071】
さらに別の変形としては、図18に示されるように、キャリッジ20に少なくとも一つの鏡172を備えることができる。鏡172は、使用者による、処理前後の被処理面の観察を容易にする。
【0072】
さらに別の変形としては、図19に示されるように、キャリッジ20にビデオカメラ174が取り付けられている。ビデオカメラ174は処理区域の遠隔観察を容易にする。
【0073】
本発明では、毛状体付き装置によるような研磨以外の機能でも、本発明の概念を使用して、達成することができると考える。図20には、キャリッジ20が、加圧流体供給源176とともに図示されている。流体供給源176は、キャリッジ20上に直接設けてもよいし、あるいは、離れた場所に備え、適当な導管を通すなどしてキャリッジ20に連通させてもよい。キャリッジ20は、少なくとも一本のノズル178を有し、当該ノズル178を通して流体が表面14に向けられる。供給源176内の流体の種類は、大きく変えることができ、気体、溶剤、蒸気、その他流動性のある物質などでもよく、場合によっては微粒子の形態でもよい。例えば、表面14をブラスト(blast)するために使用される砂の供給は、本明細書において「流体」であるとみなされる。
【0074】
さらに別の選択肢として、図21に示されるように、キャリッジ20は、当該キャリッジ20の開口182において吸引を行う真空源180を伴ってもよい。真空源180も、キャリッジ20上に直接設けられてもよいし、そこから離れていてもよい。
【0075】
上記のような、さまざまな構成部材を、ふさわしいと思われるいかなる組み合わせで使用してもよい。例えば、真空源180は、ブラシ若しくは毛状体を有する部材及び/又は流体供給源176と併せてキャリッジ20上で使用してもよく、毛状体120”が軸心118”周りに回動する際に、異物を表面14,14’から吸引して引き離すことができる。
【0076】
図21において、真空源180は、回収された異物を集積できる、適当な廃棄用の収容部184を伴ってもよい。
【0077】
図36に示されるように、人用昇降機230を使用することにより、接近を容易にしてもよい。昇降機230は、バケット(ゴンドラ)232を有し、その中に使用者58が入り、装置10を上昇位置から操作することができる。
【0078】
前記のように、多数のメカニズムや構成部品が、添付の図面に略式に示されている。それは、本発明の概念を使用し、最適設計を達成するために当該装置及び構成部品の形態を大きく変えてもよいからである。詳細に図示された描写構造は、実際の例とすることのみを目的としている。
【0079】
ばら積みセメント粉末から別のばら積み貨物への移行の間、清掃工程は、通常、ドライクリーニングとウェットクリーニングの二段階で行われる。ドライクリーニングの際には、昇降機やはしごが一般的には使用される。本発明の器具や方法は、両方の工程のスピード、有効性、安全性を大いに改善する可能性があり、通常は貨物の最初の荷降ろしの後の碇泊中に行われるドライクリーニング段階の必要性を完全になくすことができる場合が多いと思われる。その代わり、貨物を下ろした後、船が次の港へ向けて航行中に、ドライクリーニングを実施することができる。
【0080】
場合によっては、異物の遊離と露出面のすすぎを同時に行うために液体を使用し、別個のドライクリーニング工程を省く方法で、本発明を実施することもできる。また、表面は、ウェットクリーニング中に、現在可能な基準よりも高い基準まで清掃してもよい。これは、より高い基準の清掃度が要求される貨物に関する利益の増加にもつながるであろう。
【0081】
本発明の構造及び方法は、場合によっては比較的非熟練の労働者の能力を伸ばし、船の航行中には使用できない昇降機やはしごを使う以外に以前は到達できなかった領域から、残りの貨物だけでなく、剥がれた塗装、さび、剥片、他の汚染物質になりそうな物も取り除くのに必要な器具を提供することにより、次の貨物用に貨物倉を準備することができる。さらに、場合によっては、以前は酸やその他危険な汚染物質を使用して行っていた染み抜きの代替方法および安全な薬品塗布方法の大幅な改善を乗組員に提供する。
【0082】
本発明による、別の形態の処理装置300が図46に示されている。処理装置300は使用者が持つ基端領域、及び先端領域を備えた長尺状支持体302を有する。長尺状支持体302の先端領域に、少なくとも一つの位置変更可能部材304が備えられている。さらに好ましくは、前記部材304は複数個備えられている。位置変更可能部材304は、下記a)、b)のうち少なくとも一つを行うようにされている。a)当該部材304の位置する露出面306と繰り返し接触すること。b)供給源からの加圧流体が当該部材304を通じて導かれることに付随して、≡)露出面306に対し、及び/又は、≡)当該部材304の位置する露出面306で分離された物質308の動きを制御する形で、加圧流体を供給源から放出すること。
【0083】
位置変更可能部材304は、無限と言ってもいいくらい様々な形態をとることができ、さらに、無限と言ってもいいくらい様々なメカニズムにより、長尺状部材302が移動しても静止していても、長尺状部材302に対して相対移動することができる。一例としては、位置変更可能部材304は、管あるいは導管の形態をとることができ、それを通じて流体が加圧されながら通り、その結果として、「ランダムに」あるいは「繰り返し」といった動きが位置変更可能部材304に与えられる。さらに別の選択肢として、位置変更可能部材304は、加圧流体を連通させないようにすることもでき、それであれば、むち打ち(whipping)作用を発生させるために当該部材304を往復運動させたりランダムに動かしたりなどの所望の動きを、別のメカニズムにより与えることができる。一例として、制御された曲がりを容易にするためにヒンジ機構を内蔵してもよい。あるいは、所望の作用を起こすために、位置変更可能部材304に向けて外部から流体を導いてもよい。
【0084】
露出面306の種類は、他と同様、本発明では重要ではない。露出面306は、物質308が付着し、当該物質308を分離しなければならないという面であれば実際にはどのような面でも良い。本発明は、降り注ぐような形態の微粒子といった離散物質が扱われる環境に特に適している。例えば、上記のように、貨物船倉では、周壁、天井、底壁が、その中に物質が貯蔵される空間を囲んでいる。その全表面は、平面あるいは、凹凸や壁と壁の移行部、それに棚、はしご、階段、ハッチカバー、山形鋼保護面といった内部の付加構造などの起伏があり、物質308が付着しやすい。
【0085】
他の環境であって、露出面306を有し、物質を取り除かなければならないものには、貯蔵庫があり、これには固定されたものもあれば、移動可能なものもあり、後者は、一般的に車両によって動かされる。貯蔵庫は、長距離輸送トラック、鉄道、サイロ、ドライ又は液体タンク、発電所内にあるようなボイラーなどである。別の例としては、二つの場所の間の運送のために運搬面がこのような物質308を運ぶ、コンベヤーの領域内がある。実際の運搬面だけでなく、このような運搬面を支持し、移動させるために使用される関連構造が、漏出によって物質と接触する。本発明の構造及び方法は、このような、あるいは他の環境において使用するために意図されている。
【0086】
被分離物質308の種類も限定されない。物質308は、露出面306に置かれたために付着するものであってもよい。あるいは、物質308は、さび、腐食、あるいは化学相互作用により発生するものであってもよい。物質308は、衝突により発生、さもなければ露出面306が受けた損傷によるものであってもよい。
【0087】
図47に示されるように、本発明の別の形態において、処理装置300’は、出口312を有する少なくとも一本の管あるいは導管310を伴う。好ましくは複数の管(導管)310を使用する。加圧供給源314からの流体は、当該管(導管)310を通り、出口312から放出され、露出面306から分離された物質308の動きを、出口312からの流体によって、又は管(導管)310から独立したメカニズムによって、制御することができる。この分離された物質の動きを制御することを、業界では一般に「ブルーミング(blooming)」と呼ぶ。この語は、ほうきで掃くこと(brooming)つまり掃除(sweeping)と一吹きすること(blowing)の合成である。前記管(導管)310は、露出面306に対して選択された位置に計画的に配置される長尺状支持体302'に担持される。出口312は、長尺状支持体302'に対して方向を固定することができるが、あるいは、ブルーミング工程を容易にするために、当該支持体に対する方向を変更可能としてもよい。
【0088】
前記装置300,300'に使用される流体の種類は、いかように変えてもよい。流体は、液体でも気体でもよい。物質を遊離させ、分離した物質308を制御して誘導するために空気を用いてもよい。この目的にかなうように水や他の流体を使用してもよい。清掃を容易にするために、化学成分を有する液体あるいは気体を使用してもよい。別の形態において、貯蔵あるいは運搬される原料を露出面306に供給するための準備のために、露出面306に付着させる準備媒質として、液体あるいは気体を使用してもよい。本発明では、加圧流体及び気体を組み合わせてもよいとしている。例えば、加圧含気水を使用してもよい。
【0089】
処理装置300,300'の特定の形態の詳細を、図48〜79について以下に述べる。図48及び49において、処理装置300は、棒状の形態である長尺状支持体302とともに図示され、当該支持体302は、数フィートから50フィート(約15m)あるいはそれ以上の長さを有するものである。長尺状支持体302は、基端領域316及び先端領域318を有する。基端領域316は、使用者320が適当な把手322を介して持つ部分であり、当該把手322は、単に当該支持体(棒状体)302の外周上で握ることのできる部分、あるいはもう少し複雑な構造により形成されてもよい。
【0090】
先端領域318には、表面処理部324が備えられている。表面処理部324は、複数の位置変更可能部材304a,304b,304c,304d,304eから成る。位置変更可能部材の数は、わずか一つから、図示された五つを超えるまで、変えることができる。
【0091】
上記の通り、位置変更可能部材304a〜304eは、中実でも管状でも良い。当該部材304a〜304eは、剛性でも可撓性でも良い。本明細書における説明のために、後述の実施例では、304a〜304eとして特定されているものを含む位置変更可能部材は、可撓性の長尺状の管(導管)として記述されている。
【0092】
位置変更可能部材304a〜304eは、支持体あるいはマニホールド326上に、それにより囲まれる室328と流体連通するように取り付けられている。そして当該室328も同様に、供給ライン330を介して加圧流体供給源314と流体連通している。
【0093】
本実施例では、前記供給ライン330は、長尺状支持体あるいは棒状体302の外側に位置している。一連の帯状体332が、前記支持体(棒状体)302と供給ライン330を、前記支持体(棒状体)302の長さ方向に沿って間隔をあけて囲む。本配置によれば、使用者320は、基端領域316で処理装置300を握ることにより、表面処理部324の位置する先端領域318を制御して露出面306に対して所望の位置に指向させることができる。
【0094】
本実施例では、使用者320が表面処理部324を露出面306と所望の関係に操ることができ、位置変更可能部材304a〜304eは、a)露出面306を当該面306 とは離れた位置から処理、あるいは、b)処理を行うために露出面306と繰り返し接触、のいずれかを行う。
【0095】
露出面306に鉄製材料がある場合は、前記支持体(棒状体)302の先端領域318を当該面306に磁気的に引き付けるために、オプショナルのキャリッジ334を使用してもよい。そうでなければ、キャリッジ334を露出面306と相互作用させ、レール構造や別のメカニズムを介するなど所定の方法で当該面306に沿って誘導してもよい。あるいは、キャリッジ334の動きは、前記支持体(棒状体)302の基端領域316から使用者320が加える力によって全面的に指示される。
【0096】
本実施例では、個々の位置変更可能部材304は、ゴムやプラスチックのような可撓性の材料によって製作されている。一般に内径1/16〜1/8インチ(約1.6〜3.2mm)及び外径1/8〜3/4インチ(約3.2〜19mm)のプラスチック又はゴムの管状体を使用してもよい。位置変更可能部材304a〜304eの長さは、同一でも異なってもよい。位置変更可能部材304a〜304eの長さは、約10〜30インチ(約254〜762mm)でよい。それより長いものも短いものも考えられる。一実施形態では、14.5インチ(約368mm)及び27インチ(約686mm)の長さを使用している。位置変更可能部材304a〜304eの長さ、材質、内径及び外径は、個々の用途や、加圧流体供給源314から得られる容積及び圧力により、決定される。通常利用できる加圧流体供給源314は、90〜170ポンド/平方インチ(約6.2×105 〜1.17×106 Pa)の圧力の空気などの流体を供給できる。
【0097】
加圧流体をパルス供給すれば、位置変更可能部材304の望ましい作用にさらに影響を与えることができる。それを達成する手段は、当業者にはよく知られている。これは、場合によっては、位置変更可能部材304のさらに激しい動きを生み出す。
【0098】
図48に示される配置によれば、加圧供給源314からの流体は、供給ライン330及びマニホールド326を通り、各位置変更可能部材304a〜304eに連通し、そこから、その自由端の放出口336a,336b,336c,336d,336eを介して放出される。当該流体は、放出口336a〜336eから絶え間なく放出されるので、位置変更可能部材304a〜304eはランダムに繰り返しむち打ち(whip)を行う。表面処理部324が露出面306に十分に近接するので、位置変更可能部材304a〜304eは、露出面306に繰り返し衝撃を与える。繰り返し衝撃を与えることによって、当該面306に付着した異物308が遊離される。この現象は、異物308への位置変更可能部材304a〜304eの直接衝突により、及び/又は、衝突する位置変更可能部材304a〜304eと繰り返し接触することにより当該面306に引き起こされる局在振動により生じる。
【0099】
長尺状支持体(棒状体)302は、例えば、棒状体48について前述したのと同様に製作できる。前記支持体(棒状体)302は、一体の物として製作されてもよいし、あるいは長さを変えられるように、はめ込み(テレスコープ)式あるいは他の延長可能な部品により製作されてもよい。前記支持体(棒状体)302は、金属、プラスチック、あるいは複合材で製作されてもよい。アルミニウムのような金属は軽量なので望ましい。カーボンファイバーあるいはファイバーグラスを使用する素材である複合材も同様である。ファイバーグラス、竹、木材、および他の素材も同様に適している。一例としては、支持体(棒状体)302はポリ塩化ビニルのような半剛性のホース素材から製作してもよい。当該支持体(棒状体)302は、従って、軽量で、流体を連通する機能、及び後述のように一つまたは複数の処理部を支持する機能を果たす。
【0100】
図示された実施例では、前記支持体(棒状体)302は方形で、その両端の間に中空の空間338が延在している。方形形状または別の多角形形状は、その形状に伴う支持体(棒状体)302の曲がりがより予測しやすく、長尺状支持体/棒状体に加えられる力によって指示されるランダムに選択された態様で、表面処理部324を所望の位置に配置することと前記処理部324を移動させることとを容易にするので、望ましい。しかし、円形、あるいは楕円形など他の断面形状も考えられる。前記長尺状支持体(棒状体)302の外部に供給ライン330を使用することの代替案として、当該供給ライン330を前記空間388を通じて導くことができる。あるいは、前記長尺状支持体/棒状体を導管として使用し、加圧流体供給源314とマニホールド326との間で、前記空間388を流体が通るようにすることもできる。
【0101】
前記長尺状支持体(棒状体)302の長さを延長するものとしては、補足支持/ガイド構造340を使用することが望ましい。この補足ガイド構造340は、いかなる形態をとってもよく、処理装置300の作業高度よりも上から、又は使用者320のいる床面342に近い位置で、又は別の位置で、操作してもよい。
【0102】
前記長尺状支持体(棒状体)302は、図48,49では直線状の形状を有するように図示されているが、他の形状をとってもよい。例えば、前述のように、「グースネック(S字状部)」を先端領域318に備えてもよい。実際には、異なる表面に届くことを容易にするために、いかなる形状でも長尺状支持体(棒状体)302に先端領域318あるいはその他の場所で組み込むことができる。
【0103】
処理装置300の位置変更を容易にするために、図50に示されるように、長尺状支持体(棒状体)302にガイド面344を備えてもよい。図50において、前記支持体(棒状体)302は、延長部346を有し、この場合、当該延長部346は、その自由端に、曲面350を有する丸ノブ(rounded knob)348を有している。当該丸ノブ348は、a)表面処理部324を露出面306に対し所望の間隔に保ち、かつb)前記支持体(棒状体)302の先端領域318の動きを当該面306に沿って誘導することを容易にするために、露出面306に押し付けられる。ノブ348は、前記のように支持体(棒状体)302と一体的に形成することも、図示のような延長部346の形態で別個に取り付けることもできる。特定の用途に適した他の形態のガイド面を使用してもよい。前記面350が曲面である必要はなく、場合によってはブラシやスクレーパー(scraper)のような補足器具が棒状体の先端に取り付けられる。しかし、表面306に沿って動く際の長尺状支持体(棒状体)302の先端領域318の引っかかりを防ぐため、及び、表面306に対し相対的に当該支持体(棒状体)302の自在方向転換を容易にするためには、曲面であることが望ましい。
【0104】
図51では、長尺状支持体(棒状体)302の先端領域318に、前記丸ノブ348の代替として、車輪352を備えている。車輪352は、周辺ガイド面354を有し、当該ガイド面354は、露出面306に押し付けられて回転し、当該面306に沿って表面処理部324を処理が行われる所望の位置に誘導することができる。本実施例では、車輪352は、固定軸心356周りに前記支持体(棒状体)302に対して相対回転するように設計されている。
【0105】
図52では、前記長尺状支持体(棒状体)302への変更が図示されており、当該支持体(棒状体)302の先端領域318に基体358が、軸心360周りに回動可能に取り付けられている。基体358は、軸心360周りに一方の回動方向にバネ構造(図示せず)などによって、被処理面306に向けて、常時付勢されていてもよい。前述の車輪352は、少なくとも一本のアーム362を介して前記基体358に接続される。車輪352は、前記軸心360と平行な軸心364周りに、アーム362に対して相対的回転する。従って、アーム362と車輪352は、両方向矢印366によって示されるように、軸心360周りに円弧状に往復し、一緒に長尺状支持体(棒状体)302に対して相対回動することができる。車輪352の周辺ガイド面354は、図51に示されたのと同じ方法で、露出面306に押し付けられて動くことができる。
【0106】
さらなる代替案として、図53に示されるように、車輪352を、アーム368を介して長尺状支持体(棒状体)302に取り付けることができる。当該アーム368は、当該支持体(棒状体)302に対して相対的に、当該アーム368及び前記支持体(棒状体)302の長さ方向にほぼ平行に延びる軸心370周りに回動することができる。車輪352の周辺ガイド面354は、図51及び52について記載されたように、露出面306に対して押し付けられ、回転することができる。車輪を露出面に引き付けるために、車輪に磁石を装着することもできるし、あるいは磁石を車輪アッセンブリ又は車軸から吊り下げることもできる。
【0107】
図52及び53に示された構造は、長尺状支持体(棒状体)302に対する車輪352の相対回動が多次元となるように組み合わせることができる。図52及び53に示される構造の別の変形として、表面処理部324を長尺状支持体(棒状体)302の先端領域の固定位置ではなく、車輪取り付け構造の可動部上に設けてもよい。
【0108】
図51〜53に示される実施例のいずれにも複数の車輪を使用することができる。図54に、当該支持体(棒状体)302が、その先端領域318に表面処理部324の向こう側で間隔をあけて配置された二つのガイド車輪352a,352bとともに図示されている。車輪352a,352bを、当該支持体(棒状体)302の先端領域に近接させ、しかも間隔をあけて、使用時に表面処理部324と干渉を生じる可能性を低減することもできる。
【0109】
図55では、三つの車輪352a,352b,352cが、長尺状支持体(棒状体)302の先端領域に、表面処理部324に対し同様の関係で図示されている。
【0110】
図56では、長尺状支持体(棒状体)302の先端領域318に基体372が図示されている。基体372は、本実施例では四つの車輪352a,352b,352c,352dを支持する。基体372は、少なくとも一部は、管部材374により形成され、流体は、加圧供給源314から当該管部材374を介して、本実施例では基体372に沿って間隔をあけて配置された三つの表面処理部324へ供給される。本実施例では、表面処理部324の一つは先端にあり、他の二つの処理部324は、中心位置376のマニホールド326'から互いに反対方向に突き出ている。
【0111】
図56の配置によれば、間隔をあけて配置した三つの表面処理部324の同時使用により、累積的な処理効果が得られる。表面処理部324の数、間隔、位置が正確に図56に示されたとおりである必要はない。
【0112】
図57及び58に、長尺状支持体(棒状体)302の先端領域318にある、変形形態の車輪付き基体372'が図示されている。本実施例では、基体372はT字型部材378を有し、「T」の横棒380が支持体あるいは車軸を形成し、車輪352a,352bは、軸心382周りに当該車軸に対して相対回転する。基体372'は、加圧供給源314からの流体が供給ライン330を介して「T」の縦棒384に導入されるように形成されている。そこから流体は、矢印386で示されるように、分岐して流れ、横棒380を介して互いに逆方向に向かい、横棒380の両端388,390で表面処理部324に連通する。さらなる流体は、縦棒384から横棒(車軸)380の両端388,390のほぼ中間点の表面処理部324へ向けて、矢印392の方向に流れる。従って、加圧供給源314からの流体は、軸心382に対して相対的に互いに反対方向に流れて、両端388,390で表面処理部324を介して放出され、また、軸心382にほぼ垂直に流れて、横棒(車軸)380の両端388,390の中間点の表面処理部324を介して放出される。
【0113】
本発明では、複数の表面処理部324を、間隔をあけた他の配置にできると考えている。一例として、図59に示されるように、長尺状支持体(棒状体)302の先端392に一つの表面処理部324を有し、当該支持体(棒状体)302の先端からその基端領域316方向に間隔をあけて、当該支持体(棒状体)302から放射状に突出した別の表面処理部324を有する長尺状支持体(棒状体)302が図示されている。
【0114】
図60では、別々の二つの表面処理部324が、前記支持体(棒状体)302の先端392で当該支持体(棒状体)302から放射状に互いに反対方向に突出し、第三の表面処理部324が前記支持体(棒状体)302の先端392から基端領域316方向に間隔をあけて当該支持体(棒状体)302から放射状に突出する。
【0115】
図61では、長尺状支持体(棒状体)302の先端392に、第一マニホールド394を備え、当該マニホールド394は、球状壁398により囲まれた内部空間396を有する。三個の支持体あるいはマニホールド326a,326b,326cが、内部空間396と流体連通し、当該内部空間396は加圧供給源314から流体を供給される。本実施例では、流体は前記支持体(棒状体)302を通り、空間338を通って誘導される。マニホールド326a,326b,326cは間隔をあけて球状壁398に取り付けられている。一形態において、特定の用途に応じる場合は、マニホールド326a,326b,326cを第一マニホールド394上で戦略的に位置変更することもできる。
【0116】
球状壁398は、マニホールド326a,326b,326cを支持する働きをしてもよいし、場合によっては、被処理露出面306に押し付けられる周辺ガイド面400を備えてもよい。
【0117】
複数の表面処理部324を間隔をあけて、かつ/又は所望の方向に取り付けるための別の構造が、図62に示されている。図62では、複数の、この場合は5本のシャフト402a,402b,402c,402d,402eが、長尺状支持体(棒状体)302の先端392に取り付けられている。各シャフト402a,402b,402c,402d,402eは、マニホールド404と流体連通しており、加圧供給源314からの流体は、各シャフト402a,402b,402c,402d,402eを介して、自由端406a,406b,406c,406d,406eにおいて、表面処理部324に連通している。当該自由端406a,406b,406c,406d,406eにおいて、当該処理部324上のマニホールド326が取り付けられている。
【0118】
シャフト402a,402b,402c,402d,402eは、一定の形状、たとえば直線状や曲線状などに事前設定してもよい。あるいは、シャフト402a,402b,402c,402d,402eは、エンドユーザーにより事実上どのような所望の形状にでも成形でき、かつ維持できる材質で製作する。
【0119】
図63では、キャリッジ408が図示され、当該キャリッジ408は、長尺状支持体(棒状体)302の先端390に位置し、その形状は、ほぼ、露出面306の平面部に一致する直線状あるいは平面状の形状である。キャリッジ408は、当該支持体(棒状体)302の長さ方向と角度θ(シータ)を成し、当該角度θは、固定しても変えてもよい。複数の表面処理部324がキャリッジ408上に間隔をあけて設置されている。
【0120】
図64では、キャリッジ410が図示され、当該キャリッジ410は、長尺状支持体(棒状体)302に対し相対的に、軸心412周りに回転できる。本実施例では、キャリッジ410は多角形であり、さらに詳細には、軸心412方向からみると四角形で、複数の側面414a,414b,414c,414dを有し、それらの側面に少なくとも一か所以上の表面処理部324が設けられている。キャリッジ410は、前記支持体(棒状体)302に対して一つの相対方向に固定して保持することができるが、軸心412周りに前記支持体(棒状体)302に対して相対的に回動するなど、移動してもよい。
【0121】
図65には、長尺状支持体(棒状体)302の先端390に清掃部416を備えた処理装置が図示されている。清掃部416は、事実上無数の異なる形態をとってもよく、たとえば、露出面306を拭いたり、洗浄したり、研磨したりするなどのためのパッド(pad)や毛状部材(bristled component)などでもよい。
【0122】
長尺状支持体(棒状体)302は、その先端390と基端部316の間に表面処理部324を備えている。清掃部416及び表面処理部324は、その機能から見て相補的に設計してもよい。一例として、清掃部416は、表面処理部324によって表面306から分離できないような強固に付着した物質308を遊離させるために使用してもよい。
【0123】
図66及び67には、長尺状支持体(棒状体)302の先端390にパッド部420を備えた表面処理装置が図示されている。パッド部420は、多数の異なる形状のいずれをとってもよい。また、パッド部420は、露出面306と接する面422を有する。当該面422は、毛状体、面ファスナーの構成部分にあるようなフック、研磨剤、薬品などを備えていてもよい。パッド部420は、比較的薄いポリカーボネート・シートやカーボンファイバーシートで製作してもよい。
【0124】
長尺状支持体(棒状体)302の先端390に近接して、少なくとも一つ、この場合は複数の表面処理部324が備えられている。操作時には、各表面処理部324上の位置変更可能部材304a,304b,304c,304d が、前記面422の反対側に面するパッド部420の面424に繰り返し衝撃を与えるようになっている。これにより、衝撃力がパッド部420を介して、被処理面306の相当の領域に分配される。その領域は、前記面422の形状によって定められる。
【0125】
用途によっては、ブルーミングによる以外に、分離させた物質308を特定の露出面306から引き離して制御して導く必要があるかもしれない。一例として、図74に示されるように、露出面306は、貨物倉464内の、貨物船の外壁462の内面でもよい。補強シェル枠466が壁面462に形成され、典型的には、垂直に、次いで角度をもって船殻の基部近くで下方に延びる。シェル枠466はいずれもウェブ(web、I字状断面の縦棒の部分)468とフランジ470とを有し、これらは、個々の、ほぼ長方形の区画472の境をなす。当該区画472は、隣接するフランジ470同士の間に開口部474を形成し、その開口部474から区画472に達することができる。前記区画472は、貨物倉464に貯蔵された物質308を捕捉しやすい。本発明によれば、本明細書で記載された様々な処理装置を、前記開口部474から区画472に導入することができる。露出面306から分離された物質308は、もし移動されなければ、区画472の底に蓄積し、当該区画472内に捕捉されてしまいやすい。
【0126】
本発明によれば、図75にさらに示されるように、カーテン部476が長尺状支持体(棒状体)302の先端領域318に備えられている。カーテン部476は、フレーム478から成り、当該フレーム478に可撓性のシート材480が開口部474を封鎖するように吊下げられて取り付けられている。フレームの下には、チューブ状部位482が形成され、当該部位482は上部入口484を有する。
【0127】
表面処理部324は、フレーム478の向こう側で離れた位置にあり、区画472の中に導かれるようになっている。表面処理部324により分離された物質308は、開口部474から漏れることをシート材480により阻止され、入口484でシート材480によりチューブ状部位に導かれ、さらに当該部位を通って区画472の外へ、そして適当な集積または排出用の出口486へと、下方に導かれる。
【0128】
入口484と出口486の間のチューブ状部位482への、及び当該部位482を通じての物質308の流れを増進するために、付属の真空源488を使用してもよい。
【0129】
図76に、変形態様のカーテン部476'が図示されている。カーテン部476’は、長尺状支持体(棒状体)302の先端領域318に取り付けられたフレーム478'を有する。フレーム478’は、フレーム478同様、固定して取り付けてもよいし、あるいは、前記支持体(棒状体)302に対して相対的に、選択して方向を変えられるように取り付けてもよい。あるいは、空気ノズル(図示せず)を棒状体若しくはフレームに取り付けて、「エア・カーテン」を形成することもできる。
【0130】
フレーム478'は、前記支持体(棒状体)302の先端390に設けられた表面処理部324が位置する領域の近くで、少なくとも部分的な環状体あるいは保護覆い(shroud)を形成している。すなわち、フレーム478'は入口484'を形成し、当該入口484'の近く若しくは内部に、表面処理部324の少なくとも一部があり、露出面306から分離された物質308をより確実にとらえることができる。入口484'では、集積された物質308が可撓性のシート材480'で形成されたチューブ状部材482'を通じて下方に導かれる。
【0131】
本発明のさらなる変形が図77に示されている。図77では、ブロッキング部490がブルーミング部440"と長尺状支持体(棒状体)302の間で作用している状態を図示している。ブルーミング部440"は、長尺状支持体(棒状体)302の先端390に取り付けられ、両方向矢印494により示される方向に、当該支持体(棒状体)302に対して相対的に回動するように、当該支持体(棒状体)302に対して軸心492周りに相対的に動くことができる。ブルーミング部440"は、一本あるいは複数の管あるいは導管444を有し、当該管(導管)444は、加圧流体を被処理露出面306の面とほぼ平行な矢印496の方向に導くように配置されている。
【0132】
同種のブロッキング部490を、被処理露出面を横切って、あるいは当該面に平行に動く、歯状体(tine)432a〜432dの動きを限定するために、使用してもよい。
【0133】
本実施例では、前記管(導管)444'は可撓性であって、むち打ち(whipping)作用を発生させる。本発明によれば、ブロッキング部490は、管(導管)444'が図77に示された配置(それにより、流出流体は矢印496の方向に流される)から実質的に向きを変えないように、むち打ち作用を制限する。これが制御された槌打ち(hammering)作用を発生する。ブロッキング部490は、管(導管)444'に、又は、他の構造であって、管(導管)444'の方向をほぼ定めるために使用されるもの(総称して432で示す)に、作用してもよい。従って、槌打ち作用で露出面306に衝撃を与えるのと同じ管(導管)444'が、それに加えてブルーミング機能を発揮する範囲に動きを制限される。
【0134】
図78及び79に示されるように、別の変形例では、遮蔽部498を長尺状支持体(棒状体)302にその先端領域318で接続し、一個または複数の表面処理部324と組み合わせて使用する。
【0135】
遮蔽部498は、図74に示したような区画472を洗浄する際に特に有効である。区画472に送られた液体等の流体は、遮蔽部498により、開口部474から流れ出ることを阻止される。跳ね返った流体は、遮蔽部498の障壁500に当たり、底部の収容部502に集積され、そこから排水管504を介して流体を回収することができる。この配置により、遮蔽部498は、流体の放出を制御し、その回収を容易にする。
【0136】
障壁500は、軸心506周りに長尺状支持体(棒状体)302に対して相対回動可能にしてもよく、そのことによって、当該障壁をフランジ470にぴったりと押し付けてフランジ470間の開口部474を効果的に封鎖することが容易になる。障壁500により封鎖される開口を通過できるように、障壁の下部508を、障壁500の他の部分より狭くしてもよい。
【0137】
本発明による構造及び方法を使用して、無数の様々な環境で露出面から出た物質308を場合によっては遊離させ、また、その動きを制御することができる。それは、そのような面に、直接的にまたは間接的に衝撃を与えることや、振動を起こすこと、あるいはそのような面に向けて流体を流すことなどにより可能である。本発明の概念を使用して、上記で具体的に述べられなかった多数の物を含め、さまざまな手段を実行することができる。
【0138】
一例として、当該面306から物質を取り除くために処理流体を露出面306に流すための上記の構造は、同様の方法で、露出面306に表面準備成分を塗布するために使用することができる。露出面にそのような成分を塗布することは、貨物船倉などにある種の物質を導入し、そのような面に接触させる前になされることが望ましく、あるいは必要とされる。本発明の構造によれば、さもなければ従来の手段を使っては達するのが困難もしくは不可能な面への塗布を可能にする。
【0139】
さらなる例として、染み処理成分を塗布してもよい。石炭や石油コークスからの油性の染みは、加圧重曹溶液を塗布した後に当該面を叩いたり摩擦したりすることにより処理してもよい。研磨剤を、加圧した液体及び/又は気体と混合して塗布してもよい。
【0140】
もう一例として、微粒子状物質が大量に垂直方向に堆積したものを粉砕するために、本発明の構造を使用することができる。従来の方法で加圧した流体をこのような堆積に対して流しこむ一方、一つあるいは複数の位置変更可能部材304をその堆積の中に配置することにより、視界を遮り、作業者に吸入されると判明している軽い微粒子を舞いあがらせることなく、その堆積を分散させてもよい。
【0141】
さらに詳細には、セメントなどの物質は、シート状フレームの間、及び船の貨物倉の床から4〜14mのところにある移行領域に蓄積することがある。通常、梯子を登ったり、昇降機を使うことにより、シャベルなどで作業者が直接到達できるように、その堆積のすぐ近くに作業者を配置して、このような領域に達することができる。これは、作業者が巧みに操作することを要求される高さであるので、本質的に危険である。
【0142】
本発明によれば、前記棒状体は堆積物の中の底面/下部に「突き刺さ」れる。こうしてその堆積を制御して崩し、付近の表面に押し付けるように誘導したり、突き出た部分などから自由に、さらに低い堆積領域へと進めていく。挿入された棒状体の端部にある一つあるいは複数の位置変更可能部材により、この工程が容易になるであろう。位置変更可能部材を堆積の中に侵入させるので、ほこりの発生は抑制される。従って、堆積は、次第に崩され、制御可能に、安全に、かつ便利にこの状態を除去することができる。
【0143】
さらに、本発明を使用して、スラリーのような湿った混合物を攪拌することができる。一例として、まだ乾いていないセメント混合物を攪拌して、砂糖又は他の硬化遅延剤などの添加剤を導入することにより処理することもできる。
【0144】
すべての実施例において、位置変更可能部材304によるむち打ち作用の力や槌打ちを繰り返す頻度などは、構成要素の種類及び相互作用を変えることにより選択することができる。たとえば、位置変更可能部材304が管(導管)である場合は、「むち打ち」の性質は、管のサイズ、壁の厚さ、材質、長さ、加圧流体の流量及び圧力などにより決められる。上記の発明概念を掌握している当業者は、装置の構成要素を変更して、特定の環境や用途が求める、あるいは決定するかもしれない所望の目標を達成することができるであろう。振動などを起こすために、流れの圧力を変更したり、断続的に圧力を変えたりなど、加圧流を制御することにより、様々な表面相互作用を起こしてもよい。
【0145】
さらに、本明細書内の異なる実施例で述べられた様々な構成要素を、組み合わせてもよいと考えられる。一例として、重量を軽減するために、長尺状支持体(棒状体)302内の空間338を、加圧流体を連通させる手段の一部として使用して、外部供給ライン330を各実施例において部分的に取り除くこともできる。このようにすれば、場合によっては全体の装置を単純化し、その重量を軽減することができる。
【0146】
さらなる例として、位置変更可能部材304を、被覆を用いること等によって処理し、その性能を変更してもよい。被覆は、硬度を増しても、かつ/又は、ケイ砂やシリカ炭化物(silica carbide)などの研磨剤を組み込んでもよい。あるいは、各位置変更可能部材304を、異なる種類又は寸法の複数の管により形成し、それらを一体化してもよい。例えば、より硬い材質の長さの短いものを位置変更可能部材の自由端に備え、表面306での屈曲作用及び衝撃作用を増強してもよい。あるいは、各位置変更可能部材304は、一本または複数本の別々の処理アームに分岐することができる。ビーズなどの重りを当該部材304に、その自由端で、あるいは自由端の近くに取り付けてもよい。
【0147】
本発明の特筆すべき様相は、船舶が外海を航行中にハッチを開放あるいは閉鎖して、貨物船倉内などの表面処理を行うことが可能であるという点である。このようにすれば、場合によっては、碇泊中のドライクリーニングによる出費を避けることができる。堆積した残留物は、清掃工程中に、合法的に25海里沖合で従来のように排出できる。
【0148】
さらに、比較的軽量の棒状体あるいは支持体に相互作用的な器具を備えることにより、従来技術のブラシ等を使用するときに典型的である、被処理面に対する圧力のもとでブラシ等を保持し、かつ、繰り返し手作業で動かしてゴシゴシ磨く動作をしなければならないような方法で作業者を疲れさせることなく、表面処理を迅速に実行できる。
【0149】
本発明のシステムは、原料がそれに接して置かれるであろう表面の状態を検査する診断用装置及び基準としても使用できる。位置変更可能部材304により表面から分離された物質の種類及び量を観察することにより、検査者が、このような表面に接して原料を導入した結果起こりそうな「挫滅組織除去」(debriding)を簡単かつ迅速に予測できるようにする。つまり、貨物倉の状態の客観的な質的・量的分析がなされ、特に、次に積みこまれる貨物と接触し、かつそれを閉じ込める表面の適合性を判定することができる。
【0150】
さらに別の変形例として、本明細書内に記載されたすべての異なる構成要素(まとめて522で示す)を含む本発明の表面処理装置(総称して520で示す)を、被処理露出面により囲まれた空間全体において、移動メカニズム524により選択的に位置変更してもよい。移動メカニズム524、及び、場合によっては当該装置520の処理部材522を、制御機器526により選択的に操作してもよい。当該制御機器526を、表面処理部材522及び移動メカニズム524のそれぞれの受信機528,530と有線又は無線により接続してもよい。これにより、達するのが困難な、かつ場合によっては危険な高い位置での遠隔処理が容易となる。移動メカニズム524は、表面と相互作用させてもよく、あるいは他の方法で、例えば独立した支持体を介して、制御してもよい。
【0151】
前述の具体的な実施例の開示は、本発明により把握される広い概念を例証することを意図したものである。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】本発明による処理装置の一形態の略図であり、当該処理装置が引き付けられ、かつ本発明による当該処理装置の処理部により処理される表面と関連付けた図である。
【図2】本発明による前記処理装置の略図であり、前記処理装置が磁気部により引き付けられる鉄製表面に関連付けた図である。
【図3】鉄製あるいは非鉄製の被処理面に作用するキャリッジに取り付けられた前記処理部を有する前記処理装置の略図である。
【図4】被処理面に直接接触する処理部材を有する、図3の処理部の略図である。
【図5】前記装置を用いて、本発明による方法によって処理される貨物倉を有する貨物船の斜視図である。
【図6】図5の貨物船の貨物倉の一つの拡大部分斜視図であり、貨物倉によって形成される貯蔵スペースの境界となる壁を処理するために、使用者によって操作されている前記処理装置の一形態を示す。
【図7】図6に示される前記処理装置の拡大部分斜視図である。
【図8】図7の前記処理装置の拡大正面図である。
【図9】被処理面と関連付けた、図7及び8の前記処理装置の拡大側面図である。
【図10】図7〜9の前記処理装置のキャリッジの拡大斜視図である。
【図11】図10のキャリッジの拡大分解斜視図である。
【図12】図10及び11のキャリッジの正面図である。
【図13】前記処理部の処理部材の変形態様の略側面図である。
【図14】処理部材のさらなる変形態様の、図13と同様の図である。
【図15】図14に示される型の処理部材の一般態様の衝撃部を有する前記キャリッジの略図である。
【図16】本発明による、熱源を有するキャリッジの略図である。
【図17】キャリッジが照明光源を有する、図16と同様の図である。
【図18】キャリッジが少なくとも一つの鏡を有する、図16及び17と同様の図である。
【図19】キャリッジがビデオカメラを有する、図16〜18と同様の図である。
【図20】本発明による、液体あるいは気体の加圧流体を供給源から被処理面に導くための、少なくとも一つのノズルを有するキャリッジの略図である。
【図21】少なくとも一つの開口及び収容部を有する、本発明によるキャリッジの略図である。当該開口は、その開口で吸引を行うための真空源と連通しており、当該収容部は、前記開口から吸引された異物を集積するためのものである。
【図22】可撓性回収部材を内部に有する貨物倉の略図である。
【図23】内部に異物を集積した前記回収部材が変形し、ブームによって開口部から持ち上げられている状態を示す、図22と同様の図である。
【図24】前記回収部材がさらに持ち上げられ、変形し、前記開口部を通過する状態を示す、図22及び23と同様の図である。
【図25】前記処理部の一部あるいは全体に振動誘起部を有する、本発明によるキャリッジの略図である。
【図26】前記振動誘起部の代わりに往復部を備えた、図25と同様の図である。
【図27】駆動部により動作する処理部材を有する、本発明によるキャリッジの略図である。
【図28】少なくとも一つの車輪を有し、当該車輪を駆動することによって自走する、本発明によるキャリッジの略図である。
【図29】電気的に操作される可動部材又は機能を有する前記キャリッジの略図である。
【図30】前記可動部材又は機能が油圧あるいは空気圧により操作される、図29に対応する略図である。
【図31】本発明による、表面を処理する方法のフロー図である。
【図32】本発明による、表面を処理する別の方法のフロー図である。
【図33】本発明による、互換性のある複数の処理部材を有するキャリッジを含むキットの略図である。
【図34】互換性のある複数の処理部を備えた、図33と同様の図である。
【図35】本発明による、二面が直角に交差する面に達するための処理部材の平面図である。
【図36】人用昇降機のバケット(ゴンドラ)から前記装置を操作している使用者を示す略側面図である。
【図37】本発明による、表面を処理する準備用の、貨物船の一部に作用する衝撃又は振動誘起装置の略図である。
【図38】表面を処理するために用いられる、本発明によるパッドの正面図である。当該パッドは、鉄製の表面に磁気的に引き付けられる本体又はキャリッジを含み、当該本体には磁気部材が埋め込まれている。
【図39】磁気部材が前記本体又はキャリッジの露出面に取り付けられている状態を示す、図38と同様の図である。
【図40】所望の磁気吸引力を選択できるように、容器内に選択的に配された磁気部材と組み合わせた、図38及び39と同様の図である。
【図41】本発明による処理装置の変形態様であり、磁気部材を伴うパッドの形態であって、そのパッドを操作するための可撓性コードを含む。当該磁気部材は、パッドを鉄製の物質に引きつけるためのものである。
【図42】図41のパッドを使用した、本発明による表面を処理する別の方法のフロー図である。
【図43】長尺状の操作棒状体とキャリッジとをピボット接続している、本発明による装置の変形態様の略図である。
【図44】本発明による長尺状棒状体のさらなる変形態様の部分図であり、当該棒状体は、キャリッジに往復運動をさせるための往復部を有するキャリッジに接続されている。
【図45】空気圧で操作される回転式処理部材を包含する、本発明による処理装置のさらなる変形態様の部分正面図である。
【図46】長尺状支持体からなる、本発明による処理装置の一態様の略図である。当該支持体は、少なくとも一つの位置変更可能部材を有し、当該位置変更可能部材は、露出面上の物質と干渉して分離させ、場合によっては分離後に当該物質の動きを制御する。
【図47】管又は導管が長尺状支持体上に設けられている、本発明による処理装置の別の態様の略図である。当該管又は導管は、露出面から分離された物質を制御して導くために加圧流体を送るものである。
【図48】図46に示される処理装置の一態様の側面図である。
【図49】図48の49−49に沿って切り取られた、前記処理装置の長尺状支持体の拡大断面図である。
【図50】露出面に対し、長尺状支持体の誘導を容易にするために、当該長尺状支持体の先端にノブを備えた、図48と同様の図である。
【図51】露出面に対し長尺状支持体を誘導するため、ノブの代わりに車輪が使用されている、図50と同様の図である。
【図52】前記誘導車輪が、第一の方法で長尺状支持体に対し移動可能な、図51に対応する部分正面図である。
【図53】前記誘導車輪が、第二の方法で長尺状支持体に対し移動可能な、図52と同様の図である。
【図54】図1の一輪の代わりに、一対の車輪が使用される、図53と同様の図である。
【図55】図54に示される二輪の代わりに三つの誘導車輪が使用される、図54と同様の図である。
【図56】前記三輪の代わりに四輪のキャリッジが使用され、当該キャリッジが流体を加圧流体供給源からキャリッジの表面処理部に連通させる、図55と同様の図である。
【図57】前記長尺状支持体の先端領域に基体を備え、当該基体が複数の誘導車輪を支持し、加圧流体を基体上の複数の面処理部に連通させる、図56と同様の図である。
【図58】図57の前記基体及びそれに伴う部品の拡大部分正面図である。
【図59】前記長尺状支持体が、間隔をあけて複数の表面処理部を備えた、図48と同様の図である。
【図60】複数の表面処理部の配置間隔が異なる、図59と同様の図である。
【図61】複数の表面処理部を有する前記長尺状支持体の先端領域にマニホールドを備えた、図48と同様の図である。
【図62】前記長尺状支持体の先端領域に、それぞれが対応する表面処理部を有する複数のシャフトを備えた、図48と同様の図である。
【図63】可動式キャリッジを備え、表面処理部との間に、関係づけられた位置関係を有する、前記長尺状支持体の一部の部分正面図である。
【図64】前記長尺状支持体の先端領域にキャリッジを備えた、図48と同様の図である。当該キャリッジは、多角形の外形を有し、当該多角形の外形上に表面処理部を備え、その多角形の外形は前記支持体に対して相対的に向きを変更することができる。
【図65】前記長尺状支持体が、表面処理部に加えて清掃部を有する、図48と同様の図である。
【図66】パッド部を備え、当該パッド部が表面処理部によってその片面に衝撃を受けるようになっている、前記長尺状支持体の先端領域の部分斜視図である。
【図67】図66の長尺状支持体、パッド部、表面処理部の部分正面図である。
【図68】被清掃露出面に繰り返し衝撃を与える位置変更可能な歯状体を有する表面処理部を備えた、前記長尺状支持体の先端領域の部分正面図である。
【図69】図68の表面処理部を被処理露出面に配した、図48と同様の図である。
【図70】前記長尺状支持体の先端にブルーミング部を有する、図4と同様の図である。
【図71】前記ブルーミング部と連動して使用される複数の表面処理部を有する、図70と同様の図である。
【図72】前記ブルーミング部に加えて、露出面から物質を分離するオプショナル・メカニズムを備え、結合された複数の管又は導管が選択的に着脱できるフレームを有するブルーミング部の変形態様の、図48と同様の図である。
【図73】前記フレームから一部の管又は導管を取り外した、図72のブルーミング部を備えた長尺状支持体の先端領域の部分正面図である。
【図74】貨物船倉のシェル枠と、そのシェル枠の内部の区画の断面図である。
【図75】前記長尺状支持体が、その先端にカーテン部を有し、カーテンと集積チューブを形成する、図48と同様の図である。当該集積チューブは、図74のシェル枠区画内の露出面から分離された物質用のものである。
【図76】前記長尺状支持体の先端のカーテン部の変形態様の部分断面図である。
【図77】表面処理部の変形態様を示す、図48と同様の図であり、当該処理部において、ブロッキング部により制限される位置変更可能部材は、物質を分離しブルーミングする働きをする。
【図78】シェル枠の区画から流体の流出を制御するように、遮蔽部を設けた、図75と同様の図である。
【図79】処理流体を集積し、制御して放出するようになっている前記長尺状支持体の先端の遮蔽部の拡大部分側面図である。
【図80】本発明による、遠隔操作できる表面処理装置の略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
露出面の処理方法であって、
長尺状支持体を有する処理装置を準備する処理装置準備工程を包含し、前記長尺状支持体は、基端領域及び先端領域を有し、さらに前記先端領域に少なくとも一つの可撓性表面接触部材を有しており、
前記可撓性表面接触部材を被処理露出面に配するように、前記長尺状支持体を前記基端領域において操作する長尺状支持体操作工程と、
前記露出面の処理を行うために前記可撓性表面接触部材を前記露出面において繰り返し移動させる表面接触部材移動工程と、をさらに包含する露出面の処理方法。
【請求項2】
前記露出面が、下記(a)、(b)の少なくともいずれかである請求項1に記載の露出面の処理方法。
(a)物質を貯蔵する空間を囲む。
(b)互いに離れた場所の間で物質を運ぶ装置に伴う。
【請求項3】
前記長尺状支持体操作工程が、前記露出面に対し前記処理装置のガイド面を押し付ける工程と、前記ガイド面を前記露出面に押し付けながら誘導しつつ移動させて前記露出面に対して異なる位置に前記可撓性表面接触部材を選択的に配するようにするガイド面移動工程と、を包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項4】
前記ガイド面が、前記露出面に押し付けられて回転する車輪上の面を有する請求項3に記載の露出面の処理方法。
【請求項5】
前記ガイド面移動工程が、前記露出面上を滑るように前記ガイド面を移動させる工程を包含する請求項3に記載の露出面の処理方法。
【請求項6】
前記表面接触部材移動工程が、前記可撓性表面接触部材をむち打ち状態で移動させる工程を包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項7】
前記可撓性表面接触部材が管部材から成る請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項8】
前記表面接触部材移動工程が、前記管部材を介して加圧流体を供給源から導く工程を包含する請求項7に記載の露出面の処理方法。
【請求項9】
前記流体が、液体及び/又は気体を包含する請求項8に記載の露出面の処理方法。
【請求項10】
前記車輪が、回転軸心を有し、
当該処理方法は、前記長尺状支持体と前記回転軸心との関係を変える工程をさらに包含する請求項4に記載の露出面の処理方法。
【請求項11】
前記車輪が、基体に取り付けられており、
当該処理方法は、前記基体の一部を介して、加圧流体を供給源から導く工程をさらに包含する請求項4に記載の露出面の処理方法。
【請求項12】
前記長尺状部材に対して相対的に前記基体の方向を変える工程をさらに包含する請求項11に記載の露出面の処理方法。
【請求項13】
前記可撓性表面接触部材が前記基体に取り付けられている請求項12に記載の露出面の処理方法。
【請求項14】
加圧流体を供給源から前記長尺状支持体の前記先端領域に導く加圧流体導入工程をさらに包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項15】
前記加圧流体導入工程が、前記長尺状支持体を介して前記加圧流体を導く工程を包含する請求項14に記載の露出面の処理方法。
【請求項16】
前記処理装置準備工程が、複数の可撓性表面接触部材を備えた処理装置を準備する工程を包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項17】
前記処理装置準備工程が、前記長尺状支持体の前記先端領域における互いに離れた第一及び第二の位置のいずれにも、複数の可撓性表面接触部材を備えた処理装置を準備する工程を包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項18】
前記処理装置準備工程が、前記長尺状支持体の前記先端領域に清掃部を備える工程を包含し、
当該処理方法は、前記長尺状支持体を操作する際に、前記清掃部を前記露出面上を滑らせる工程をさらに包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項19】
前記長尺状支持体の前記先端領域にカーテンを備えるカーテン準備工程と、前記カーテンを吊るし、前記露出面から分離された物質を下方へ向かわせるカーテン吊下げ工程とをさらに包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項20】
前記カーテン吊下げ工程が、前記カーテンを管形状に吊るす工程を包含する請求項19に記載の露出面の処理方法。
【請求項21】
前記カーテン準備工程が、フレームと、前記フレームに取り付けられて前記カーテンを形成する可撓性シート材とを準備する工程を包含する請求項19に記載の露出面の処理方法。
【請求項22】
前記処理装置準備工程が、パッド部を準備する工程を包含し、
当該処理方法は、前記パッド部を前記露出面に押し付ける工程と、繰り返し前記パッド部に衝撃を与えることにより、前記可撓性表面接触部材を間接的に前記露出面に接触させる工程とをさらに包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項23】
前記処理装置準備工程が、少なくとも一本の流体導管を準備する工程を包含し、
当該処理方法は、前記流体導管を介して加圧流体を供給源から導き、前記可撓性表面接触部材を前記露出面において繰り返し移動させることにより分離された物質を制御して導くようにする工程をさらに包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項24】
制御された加圧流体流を前記長尺状支持体の前記先端領域で発生させ、前記可撓性表面接触部材を前記露出面において繰り返し移動させることにより分離された物質の動きを制御する工程をさらに包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項25】
前記処理装置準備工程が、前記長尺状支持体の前記先端領域にフレームを備える工程を包含し、
前記可撓性表面接触部材が、少なくとも一本の可撓性管部材を有し、
当該処理方法は、前記可撓性管部材を前記フレームに接続し、前記可撓性管部材を介して導かれた加圧流体を前記フレームに対して概ね第一方向に導く工程をさらに包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項26】
前記長尺状支持体に対して前記フレームの方向を変える工程をさらに包含する請求項25に記載の露出面の処理方法。
【請求項27】
少なくとももう一つの可撓性表面接触部材を前記露出面において繰り返し移動させて前記露出面の処理を行う工程をさらに包含し、
前記可撓性管部材を前記フレームに接続する工程が、前記もう一つの可撓性表面接触部材を前記露出面において繰り返し移動させることにより分離された物質の動きを制御するために加圧流体を導くように、前記可撓性管部材を前記フレームに接続する工程を包含する請求項25に記載の露出面の処理方法。
【請求項28】
前記表面接触部材移動工程が、前記露出面に対して直接的に、又は、前記露出面にほぼ平行に、前記可撓性表面接触部材を繰り返し移動させる工程を包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項29】
前記表面接触部材移動工程が、前記可撓性表面接触部材を前記露出面においてランダムに移動させる工程を包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項30】
前記可撓性表面接触部材が前記露出面から離れてランダムに移動することを規制する工程をさらに包含する請求項29に記載の露出面の処理方法。
【請求項31】
加圧流体を前記可撓性表面接触部材を介して導く工程と、前記可撓性表面接触部材からの加圧流体の放出を制御し、前記可撓性表面接触部材を前記露出面において繰り返し移動させることにより分離された物質の動きを制御する工程とをさらに包含する請求項28に記載の露出面の処理方法。
【請求項32】
前記処理装置準備工程が、歯状体部を準備する工程を包含し、前記歯状体部は、位置変更可能な第一歯状体を少なくとも有し、前記可撓性表面接触部材は、第一歯状体を伴い、
当該処理方法は、前記可撓性表面接触部材が繰り返し移動することに伴い、第一歯状体を前記露出面に対して繰り返し相対移動させる第一歯状体移動工程をさらに包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項33】
前記第一歯状体移動工程が、第一歯状体を、前記露出面に押し付けて、前記長尺状支持体に対して繰り返し相対移動させる工程を包含する請求項32に記載の露出面の処理方法。
【請求項34】
第一歯状体が自由端を有し、前記自由端の近く、若しくは前記自由端まで、又は前記自由端を超えて前記可撓性表面接触部材が延在する請求項32に記載の露出面の処理方法。
【請求項35】
前記処理装置準備工程が、前記長尺状支持体に遮蔽部を設ける工程を包含し、
当該処理方法は、前記可撓性表面接触部材を介して加圧流体を放出する工程と、前記可撓性表面接触部材から放出された流体の動きを前記遮蔽部により制御する工程とをさらに包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項36】
前記可撓性表面接触部材を介して表面準備流体を導き、前記可撓性表面接触部材をランダムに移動させ、前記表面準備流体を前記露出面に塗布する工程をさらに包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項37】
前記表面接触部材移動工程が、前記露出面上の物質を前記露出面から分離させるために前記可撓性表面接触部材を繰り返し移動させる工程を包含し、
当該処理方法は、前記露出面から分離された物質の種類と量を判定する工程及び、分離された物質の種類と量に少なくとも基づいて、前記露出面の状態と、特定の物質と接触し前記特定の物質を収容するための前記露出面の適合性とを分析する工程をさらに包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項38】
露出面を処理する方法であって、
処理装置を準備する処理装置準備工程を包含し、前記処理装置は基端領域及び先端領域を有する長尺状支持体を備え、さらに前記先端領域に出口を有する管部材を備えており、
加圧流体を、前記出口で放出させるために、前記管部材を介して導く工程と、
前記基端領域において前記支持体を操作し、前記出口を前記被処理露出面に配し、前記露出面から分離された物質の動きを制御するために、使用者が前記出口における加圧流体を誘導する工程とをさらに包含する露出面の処理方法。
【請求項39】
前記長尺状支持体に対して相対的に、前記出口の方向を変える工程をさらに包含する請求項38に記載の露出面の処理方法。
【請求項40】
前記管部材に加えてメカニズムを用いて、前記露出面に付着した物質を分離させる物質分離工程をさらに包含する請求項38に記載の露出面の処理方法。
【請求項41】
前記物質分離工程が、前記露出面に衝撃を与えることにより物質を分離する工程を包含する請求項40に記載の露出面の処理方法。
【請求項42】
前記処理装置準備工程が、前記長尺状支持体の前記先端領域にフレームを備える工程を包含し、
前記管部材が可撓部を有し、前記可撓部は、前記長尺状支持体に対して相対的に前記管部材の方向を固定するために前記フレームに取り付けられており、
当該処理方法は、前記管部材を介して導かれた加圧流体により、前記管部材を、前記露出面に押し付けて、かつ/又は前記露出面の近傍で、ランダムに移動させるために、前記フレームから前記管部材を取り外す工程をさらに包含する請求項38に記載の露出面の処理方法。
【請求項1】
露出面の処理方法であって、
長尺状支持体を有する処理装置を準備する処理装置準備工程を包含し、前記長尺状支持体は、基端領域及び先端領域を有し、さらに前記先端領域に少なくとも一つの可撓性表面接触部材を有しており、
前記可撓性表面接触部材を被処理露出面に配するように、前記長尺状支持体を前記基端領域において操作する長尺状支持体操作工程と、
前記露出面の処理を行うために前記可撓性表面接触部材を前記露出面において繰り返し移動させる表面接触部材移動工程と、をさらに包含する露出面の処理方法。
【請求項2】
前記露出面が、下記(a)、(b)の少なくともいずれかである請求項1に記載の露出面の処理方法。
(a)物質を貯蔵する空間を囲む。
(b)互いに離れた場所の間で物質を運ぶ装置に伴う。
【請求項3】
前記長尺状支持体操作工程が、前記露出面に対し前記処理装置のガイド面を押し付ける工程と、前記ガイド面を前記露出面に押し付けながら誘導しつつ移動させて前記露出面に対して異なる位置に前記可撓性表面接触部材を選択的に配するようにするガイド面移動工程と、を包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項4】
前記ガイド面が、前記露出面に押し付けられて回転する車輪上の面を有する請求項3に記載の露出面の処理方法。
【請求項5】
前記ガイド面移動工程が、前記露出面上を滑るように前記ガイド面を移動させる工程を包含する請求項3に記載の露出面の処理方法。
【請求項6】
前記表面接触部材移動工程が、前記可撓性表面接触部材をむち打ち状態で移動させる工程を包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項7】
前記可撓性表面接触部材が管部材から成る請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項8】
前記表面接触部材移動工程が、前記管部材を介して加圧流体を供給源から導く工程を包含する請求項7に記載の露出面の処理方法。
【請求項9】
前記流体が、液体及び/又は気体を包含する請求項8に記載の露出面の処理方法。
【請求項10】
前記車輪が、回転軸心を有し、
当該処理方法は、前記長尺状支持体と前記回転軸心との関係を変える工程をさらに包含する請求項4に記載の露出面の処理方法。
【請求項11】
前記車輪が、基体に取り付けられており、
当該処理方法は、前記基体の一部を介して、加圧流体を供給源から導く工程をさらに包含する請求項4に記載の露出面の処理方法。
【請求項12】
前記長尺状部材に対して相対的に前記基体の方向を変える工程をさらに包含する請求項11に記載の露出面の処理方法。
【請求項13】
前記可撓性表面接触部材が前記基体に取り付けられている請求項12に記載の露出面の処理方法。
【請求項14】
加圧流体を供給源から前記長尺状支持体の前記先端領域に導く加圧流体導入工程をさらに包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項15】
前記加圧流体導入工程が、前記長尺状支持体を介して前記加圧流体を導く工程を包含する請求項14に記載の露出面の処理方法。
【請求項16】
前記処理装置準備工程が、複数の可撓性表面接触部材を備えた処理装置を準備する工程を包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項17】
前記処理装置準備工程が、前記長尺状支持体の前記先端領域における互いに離れた第一及び第二の位置のいずれにも、複数の可撓性表面接触部材を備えた処理装置を準備する工程を包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項18】
前記処理装置準備工程が、前記長尺状支持体の前記先端領域に清掃部を備える工程を包含し、
当該処理方法は、前記長尺状支持体を操作する際に、前記清掃部を前記露出面上を滑らせる工程をさらに包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項19】
前記長尺状支持体の前記先端領域にカーテンを備えるカーテン準備工程と、前記カーテンを吊るし、前記露出面から分離された物質を下方へ向かわせるカーテン吊下げ工程とをさらに包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項20】
前記カーテン吊下げ工程が、前記カーテンを管形状に吊るす工程を包含する請求項19に記載の露出面の処理方法。
【請求項21】
前記カーテン準備工程が、フレームと、前記フレームに取り付けられて前記カーテンを形成する可撓性シート材とを準備する工程を包含する請求項19に記載の露出面の処理方法。
【請求項22】
前記処理装置準備工程が、パッド部を準備する工程を包含し、
当該処理方法は、前記パッド部を前記露出面に押し付ける工程と、繰り返し前記パッド部に衝撃を与えることにより、前記可撓性表面接触部材を間接的に前記露出面に接触させる工程とをさらに包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項23】
前記処理装置準備工程が、少なくとも一本の流体導管を準備する工程を包含し、
当該処理方法は、前記流体導管を介して加圧流体を供給源から導き、前記可撓性表面接触部材を前記露出面において繰り返し移動させることにより分離された物質を制御して導くようにする工程をさらに包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項24】
制御された加圧流体流を前記長尺状支持体の前記先端領域で発生させ、前記可撓性表面接触部材を前記露出面において繰り返し移動させることにより分離された物質の動きを制御する工程をさらに包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項25】
前記処理装置準備工程が、前記長尺状支持体の前記先端領域にフレームを備える工程を包含し、
前記可撓性表面接触部材が、少なくとも一本の可撓性管部材を有し、
当該処理方法は、前記可撓性管部材を前記フレームに接続し、前記可撓性管部材を介して導かれた加圧流体を前記フレームに対して概ね第一方向に導く工程をさらに包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項26】
前記長尺状支持体に対して前記フレームの方向を変える工程をさらに包含する請求項25に記載の露出面の処理方法。
【請求項27】
少なくとももう一つの可撓性表面接触部材を前記露出面において繰り返し移動させて前記露出面の処理を行う工程をさらに包含し、
前記可撓性管部材を前記フレームに接続する工程が、前記もう一つの可撓性表面接触部材を前記露出面において繰り返し移動させることにより分離された物質の動きを制御するために加圧流体を導くように、前記可撓性管部材を前記フレームに接続する工程を包含する請求項25に記載の露出面の処理方法。
【請求項28】
前記表面接触部材移動工程が、前記露出面に対して直接的に、又は、前記露出面にほぼ平行に、前記可撓性表面接触部材を繰り返し移動させる工程を包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項29】
前記表面接触部材移動工程が、前記可撓性表面接触部材を前記露出面においてランダムに移動させる工程を包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項30】
前記可撓性表面接触部材が前記露出面から離れてランダムに移動することを規制する工程をさらに包含する請求項29に記載の露出面の処理方法。
【請求項31】
加圧流体を前記可撓性表面接触部材を介して導く工程と、前記可撓性表面接触部材からの加圧流体の放出を制御し、前記可撓性表面接触部材を前記露出面において繰り返し移動させることにより分離された物質の動きを制御する工程とをさらに包含する請求項28に記載の露出面の処理方法。
【請求項32】
前記処理装置準備工程が、歯状体部を準備する工程を包含し、前記歯状体部は、位置変更可能な第一歯状体を少なくとも有し、前記可撓性表面接触部材は、第一歯状体を伴い、
当該処理方法は、前記可撓性表面接触部材が繰り返し移動することに伴い、第一歯状体を前記露出面に対して繰り返し相対移動させる第一歯状体移動工程をさらに包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項33】
前記第一歯状体移動工程が、第一歯状体を、前記露出面に押し付けて、前記長尺状支持体に対して繰り返し相対移動させる工程を包含する請求項32に記載の露出面の処理方法。
【請求項34】
第一歯状体が自由端を有し、前記自由端の近く、若しくは前記自由端まで、又は前記自由端を超えて前記可撓性表面接触部材が延在する請求項32に記載の露出面の処理方法。
【請求項35】
前記処理装置準備工程が、前記長尺状支持体に遮蔽部を設ける工程を包含し、
当該処理方法は、前記可撓性表面接触部材を介して加圧流体を放出する工程と、前記可撓性表面接触部材から放出された流体の動きを前記遮蔽部により制御する工程とをさらに包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項36】
前記可撓性表面接触部材を介して表面準備流体を導き、前記可撓性表面接触部材をランダムに移動させ、前記表面準備流体を前記露出面に塗布する工程をさらに包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項37】
前記表面接触部材移動工程が、前記露出面上の物質を前記露出面から分離させるために前記可撓性表面接触部材を繰り返し移動させる工程を包含し、
当該処理方法は、前記露出面から分離された物質の種類と量を判定する工程及び、分離された物質の種類と量に少なくとも基づいて、前記露出面の状態と、特定の物質と接触し前記特定の物質を収容するための前記露出面の適合性とを分析する工程をさらに包含する請求項1に記載の露出面の処理方法。
【請求項38】
露出面を処理する方法であって、
処理装置を準備する処理装置準備工程を包含し、前記処理装置は基端領域及び先端領域を有する長尺状支持体を備え、さらに前記先端領域に出口を有する管部材を備えており、
加圧流体を、前記出口で放出させるために、前記管部材を介して導く工程と、
前記基端領域において前記支持体を操作し、前記出口を前記被処理露出面に配し、前記露出面から分離された物質の動きを制御するために、使用者が前記出口における加圧流体を誘導する工程とをさらに包含する露出面の処理方法。
【請求項39】
前記長尺状支持体に対して相対的に、前記出口の方向を変える工程をさらに包含する請求項38に記載の露出面の処理方法。
【請求項40】
前記管部材に加えてメカニズムを用いて、前記露出面に付着した物質を分離させる物質分離工程をさらに包含する請求項38に記載の露出面の処理方法。
【請求項41】
前記物質分離工程が、前記露出面に衝撃を与えることにより物質を分離する工程を包含する請求項40に記載の露出面の処理方法。
【請求項42】
前記処理装置準備工程が、前記長尺状支持体の前記先端領域にフレームを備える工程を包含し、
前記管部材が可撓部を有し、前記可撓部は、前記長尺状支持体に対して相対的に前記管部材の方向を固定するために前記フレームに取り付けられており、
当該処理方法は、前記管部材を介して導かれた加圧流体により、前記管部材を、前記露出面に押し付けて、かつ/又は前記露出面の近傍で、ランダムに移動させるために、前記フレームから前記管部材を取り外す工程をさらに包含する請求項38に記載の露出面の処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
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【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
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【図26】
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【図28】
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【図39】
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【図41】
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【図45】
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【図51】
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【図56】
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【図50】
【図51】
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【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図72】
【図73】
【図74】
【図75】
【図76】
【図77】
【図78】
【図79】
【図80】
【公表番号】特表2009−505901(P2009−505901A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529031(P2008−529031)
【出願日】平成18年7月12日(2006.7.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/026953
【国際公開番号】WO2007/027298
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(508062122)
【氏名又は名称原語表記】Nick Griffith
【住所又は居所原語表記】29936 Knoll View Drive,Rancho Palos Verdes,CA 90275,USA
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月12日(2006.7.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/026953
【国際公開番号】WO2007/027298
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(508062122)
【氏名又は名称原語表記】Nick Griffith
【住所又は居所原語表記】29936 Knoll View Drive,Rancho Palos Verdes,CA 90275,USA
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