説明

静的流体混合器及び静的流体混合器を用いた装置

【課題】流体の流れ方向の濃度分布や温度分布をムラなく均一化して混合する。
【解決手段】互いに対向するように形成されたジグザグ状の第一ジグザグ流路5および第二ジグザグ流路6と、第一ジグザグ流路5と第二ジグザグ流路6を流れ方向の複数個所で連通する複数の連通流路7a〜7hと、第一ジグザグ流路5の端部に設けられた流体入口部1,2と、第二ジグザグ流路6の端部に設けられた流体出口部3,4とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学工場、半導体製造分野、食品分野、医療分野、バイオ分野などの各種産業における流体輸送配管に用いられる静的流体混合器に関するものであり、特に流体の流れ方向の濃度分布や温度分布をムラなく均一化して混合させることのできる静的流体混合器及び静的流体混合器を用いた装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、配管内に装着して管内を流れる流体を均一に混合する方法として、図21に示すように捻り羽根状のスタティックミキサーエレメント151を用いたものが一般的であった(例えば、特許文献1参照)。通常、スタティックミキサーエレメント151は、矩形板をその長手軸線周りに180度捻ったものを最小単位部材として、複数の最小単位部材を、捻り方向が交互に異なる方向になるように一体的に直列に結合した構造を有している。このスタティックミキサーエレメント151を管152内に配置し、管152の両端部にメールコネクター153を取り付け、フレアー155を装着して締付ナット154を締め付けることによりスタティックミキサーが形成される。このとき、スタティックミキサーエレメント151の外径が管152の内径にほぼ等しく設計されて、流体が効果的に撹拌されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−205062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のスタティックミキサーを用いた流体の混合方法は、流れてくる流体を流れに沿って撹拌する構成であるため図22(a)に示すように配管の径方向の濃度分布をムラなく均一化することはできるが、図22(b)に示すように軸方向(流れ方向)の濃度分布をムラなく均一化することはできない。そのため、例えばスタティックミキサーの上流側で水と薬液を混合させて流す時、薬液の混合比が一時的に増加した場合には流路内で部分的に濃度が濃くなった状態でスタティックミキサーを通過する。このとき、径方向で均一化されて水と薬液は撹拌されても、軸方向(流れ方向)においては流路内で部分的に濃度が濃くなった箇所はほとんど希釈されることなく濃くなった状態のまま下流側へ流れてしまう(図22(b)参照)。これにより、半導体洗浄装置、特に半導体ウェハの表面に直接薬液を塗布して各種の処理を行うような装置に接続された場合、濃度の異なる薬液が半導体ウエハの表面に塗布されて不良品の原因となる問題があった。
【0005】
この軸方向(流れ方向)の濃度分布のムラを回避する方法としては、流路の途中でタンクを設置してタンク内に流体を一旦貯めてタンク内の濃度を均一化させた後で流体を流す方法(図示せず)などが挙げられる。しかしながら、タンクを設置するには広いスペースが必要となり装置が大きくなる問題や、タンクから再び流体を輸送するにはポンプ、配管などが必要となるため、使用する部材の点数が多くなるという問題や、配管ラインを施工するためのコストが発生するという問題があった。また、この方法ではタンク内で流体が滞留する。流体が滞留するとバクテリアの発生原因となり、タンク内で発生したバクテリアが配管ラインに流れ込み、半導体製造ラインにおいては半導体ウエハに付着して不良品の原因となる問題があった。
【0006】
本発明の目的は、以上のような従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、流体の流れ方向の濃度分布や温度分布をムラなく均一化して混合でき、コンパクトな構成の静的流体混合器及び静的流体混合器を用いた装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による静的流体混合器は、互いに対向するように形成されたジグザグ状の第一ジグザグ流路および第二ジグザグ流路と、第一ジグザグ流路と第二ジグザグ流路を流れ方向の複数個所で連通する複数の連通流路と、第一ジグザグ流路の端部に設けられた流体入口部と、第二ジグザグ流路の端部に設けられた流体出口部とを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明による静的流体混合器を用いた装置は、上述の静的流体混合器と、この静的流体混合器に複数の異種流体を合流して導く流路を形成する流路形成手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば以下のような効果が得られる。
(1)流路内で一時的に流体の濃度が濃くなったり薄くなったりした状態でも、流体の流れ方向の濃度分布をムラなく均一化して混合でき、濃度の安定した流体の供給が可能である。
(2)流路内で一時的に流体の温度が高くなったり低くなったりした状態でも、流体の流れ方向の温度分布をムラなく均一化して混合でき、温度の安定した流体の供給が可能である。
(3)静的流体混合器を小型化することができ、その設置スペースも必要最小限にすることができる。
(4)小口径サイズにおいて加工し易い形状であり、設置スペースに応じてある程度静的流体混合器の形状を合わせて形成することが可能である。
(5)本体部のジグザグ流路は螺旋のように軸線に対して斜めにならずに垂直に交わる平面状に形成されるため、例えば本体部を射出成形する際の成形及び金型の製造が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る静的流体混合器の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1の静的流体混合器を用いて流体の濃度を測定する装置を示す図である。
【図3】図2の静的流体混合器の上流側の濃度を測定したグラフである。
【図4】図2の静的流体混合器の下流側の濃度を測定したグラフである。
【図5】第一の実施形態におけるジグザグ流路の異なる構造を示す縦断面図である。
【図6】本発明の第二の実施形態の静的流体混合器を示す分解斜視図である。
【図7】図6の静的流体混合器を示すA−A縦断面図である。
【図8】第二の実施形態にスタティックミキサーエレメントを設置した構造を示す縦断面図である。
【図9】本発明の第三の実施形態の静的流体混合器を示す分解斜視図である。
【図10】図9の静的流体混合器を示すB−B縦断面図である。
【図11】本発明の第四の実施形態の静的流体混合器を示す分解斜視図である。
【図12】図11の静的流体混合器を示すC−C縦断面図である。
【図13】本発明の第五の実施形態に係る静的流体混合器の概略構成を示す斜視図である。
【図14】本発明の第六の実施形態の静的型流体混合器を示す縦断面図である。
【図15】図14の本体部の正面図及び背面図である。
【図16】第六の実施形態におけるジグザグ流路の異なる構造を示す縦断面図である。
【図17】本発明の第七の実施形態の静的型流体混合器を示す縦断面図である。
【図18】本発明の第八の実施形態の静的型流体混合器を示す縦断面図である。
【図19】本発明の実施形態に係る静的流体混合器を用いた装置の構成を示す図である。
【図20】図19の変形例を示す図である。
【図21】従来のスタティックミキサーを示す縦断面図である。
【図22】図21のスタティックミキサーの流体の撹拌状態を示す模式図である。
【図23】本発明の比較例としての分岐希釈装置を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面に示す実施例を参照して説明するが、本発明が本実施例に限定されないことは言うまでもない。
【0012】
−第一の実施の形態−
以下、図1〜図5を参照して、本発明の第一の実施形態である静的流体混合器について説明する。図1は、第一の実施の形態に係る静的流体混合器の概略構成を示す斜視図である。この静的流体混合器は、異種流体を混合するための混合流路を有する。混合流路は、例えば例えばPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂)製のチューブにより形成される。なお、金属配管等、他の材質により混合流路を形成することもできる。
【0013】
静的流体混合器は、互いに対向するように形成された第一ジグザグ流路5および第二ジグザグ流路6と、第一ジグザグ流路5と第二ジグザグ流路6を流れ方向の複数個所で連通する連通流路としての複数の分岐流路7a〜7hと、第一ジグザグ流路5の端部に接続された第一流路2と、第二ジグザグ流路6の端部に接続された第二流路4とを有する。第一流路2の一端部には流体入口1が設けられ、第一流路2と流体入口1は流体入口部を構成する。第二流路4の一端部には流体出口3が設けられ、第二流路4と流体出口3は流体出口部を構成する。
【0014】
第一ジグザグ流路5と第二ジグザグ流路6は、互いに同一形状をなし、高さ方向(図のZ方向)に一定距離だけ離間して平行に配設されている。すなわち、第一ジグザグ流路5と第二ジグザグ流路6は、それぞれ曲がり部5a,6aを介して幅方向(図のX方向)一方から他方および幅方向他方から一方へと交互にジグザグ状に形成されて長手方向(図のY方向)、すなわちXY面内に延設され、長手方向同一位置にある第一ジグザグ流路5の曲がり部5aと第二ジグザグ流路6の曲がり部6aは、互いに同一向きに形成されている。分岐流路7a〜7hは、それぞれ第一ジグザグ流路5および第二ジグザグ流路6に対して略垂直にかつ略直線状に設けられ、ジグザグ流路5,6の流路長さにわたり等間隔に配置されている。第一ジグザグ流路5の他端部(流体入口1の反対側)と第二ジグザグ流路6の他端部(流体出口3の反対側)は、分岐流路7hを介して接続されている。
【0015】
次に、本発明の第一の実施形態である静的流体混合器の作用について説明する。
【0016】
静的流体混合器の上流側で水と薬液を混合させ、一時的に薬液の濃度が濃くなった状態で流すと、流路内で部分的に濃度が濃くなって流れる薬液は、流体入口1から第一流路2に流入して第一ジグザグ流路5に流れる。部分的に濃度が濃くなって流れる薬液が第一ジグザグ流路5の分岐流路7aの接続した箇所を流れた時点で、その一部が分岐流路7aを流れて第二ジグザグ流路6を通って第二流路4から流体出口3へと流れる。残りの薬液は第一ジグザグ流路5の下流側へ流れて行き、また、部分的に濃度が濃くなって流れる残りの薬液が分岐流路7bの接続した箇所を流れた時点で、その一部が分岐流路7bを流れて第二ジグザグ流路6を通って第二流路4から流体出口3へと流れる。残りの薬液は第一ジグザグ流路5の下流側へ流れ、さらに、部分的に濃度が濃くなって流れる残りの薬液は、分岐流路7bを流れた薬液と同様に分岐流路7cの接続した箇所を流れた時点で、その一部が分岐流路7cを流れて第二ジグザグ流路6を通って第二流路4から流体出口3へと流れる。以下、分岐流路7a、7b、7cと同様に部分的に濃度が濃くなって流れる残りの薬液は分岐流路7d〜7hを流れて第二ジグザグ流路6を通って第二流路4から流体出口3へと流れる。
【0017】
このとき、分岐流路7aを流れる部分的に濃度が濃くなった薬液は、他の部分的に濃度が濃くなって流れる薬液よりも早く流体出口3から流出し、時間差で分岐流路7b、7c、7d、7e、7f、7g、7hの順で部分的に濃度が濃くなって流れる薬液の一部ずつが流体出口3から流出する。つまり、流路内で部分的に濃度が濃くなって流れる薬液は静的流体混合器よって時間差で8に分割されて流れることとなり、濃度の濃くなっていない薬液と各々混ざり合うことで流体の流れ方向の濃度分布をムラなく均一化して混合することができる。このとき各々の分岐流路の内径が略同一であると、部分的に濃度が濃くなって流れる薬液はほぼ8等分に分割されるので、流体の流れ方向の濃度分布をムラなくより均一化して混合することができる。
【0018】
なお、図1では、分岐流路7a〜7hを第一、第二ジグザグ流路5、6の端部から等間隔の距離毎に設けたが、各々の分岐流路7a〜7hを流れる流体に付与する時間差を調節するため、分岐流路7a〜7hが設けられる位置を自由に設定したり、第一、第二ジグザグ流路5、6を、第一流路2及び第二流路4に各々接続された一端部(分岐流路7a側)から他端部(分岐流路7h側)に向かって流路断面積が漸次小さくなるように形成したりしても良い。分岐流路7a〜7hの数も特に限定されない。分岐流路7a〜7hの数を多く設ける方が、流体の流れ方向の濃度分布をムラなくより細かく均一化することができる。
【0019】
ここで、部分的に濃度が濃くなって流れる薬液を静的流体混合器で分割して流体の流れ方向の濃度分布がムラなく均一化される作用について説明する。図2に示すように、2つの物質である純水と薬液が各々流れるラインの合流部の下流側に図1の静的流体混合器を配置したラインにおいて、図1の静的流体混合器の上流側と下流側に濃度計57、58を各々設置して、上流側から純水と薬液を混合して流す装置を作成し、純水と薬液を一定の比率で流している途中で瞬間的に薬液の濃度を濃くした状態(純水に対して薬液の比率を大きくする)にした後で、元の一定の比率に戻して濃度分布のムラを生じさせた時の上流側と下流側の濃度を測定すると図3及び図4のようになる。
【0020】
図3は静的流体混合器の上流側に設置した濃度計57により得られる特性を示す。横軸は経過時間、縦軸は濃度であり、ある一定時間に濃度が濃くなる場合には、図のようなピーク(h1)が現れる。図4は静的流体混合器の下流側に設置した濃度計58により得られる特性を示す。図では、濃度のピークが8個に分散されて、ピーク(h2)の高さは約8分の1になっている。濃度のピーク間の間隔t1は、流体が第一ジグザグ流路5内において分岐流路7aの位置を通過してから分岐流路7bに至るまでの時間に対応しており、同様にt2は分岐流路7bから分岐流路7cまで、t3は分岐流路7cから分岐流路7dまで、t4は分岐流路7dから分岐流路7eまで、t5は分岐流路7eから分岐流路7fまで、t6は分岐流路7fから分岐流路7gまで、t7は分岐流路7gから分岐流路7hに至るまでの時間に対応している。
【0021】
このとき、第一ジグザグ流路5の各々の分岐流路7a〜7hに至るまでの長さを変えることで、ピーク(h2)の出る間隔t1〜t7を変化させることができ、分岐流路7a〜7hの数をさらに増やすとピーク(h2)の高さは上流側のピーク(h1)に対して分岐流路の数で分割した程度の高さまで抑えることができる。なお、仮に静的流体混合器を設置しない場合、図3に示される濃度のピークは流体の流れによって若干低下することはあるが、ピーク(h1)はほぼ変わらずに現れる。また、第一、第二ジグザグ流路5、6内では、ジグザグの流れ方向の変動と流体の分岐・合流により薬液が撹拌されるため、流れ方向と同時に径方向の混合も行われる。
【0022】
なお、本実施形態では濃度分布のムラについて説明しているが、熱湯と冷水を混合した時の温度分布の流れ方向の均一化についても同様の効果を得ることができる。温度分布の均一化を目的として、給湯器などへの利用も可能となり、流路内で部分的に高温となった流体の温度の流れ方向の均一化を行うことでより温度を安定させ、熱湯が流れることによる火傷の発生を防止できる。また、廃液処理などにおいて、急激な濃度変化があると処理に支障をきたす場合や、ある一定以上の濃度を超えると不具合が発生する場合において、本実施形態の静的流体混合器を適用することで、流れ方向の濃度を均一化することができ、安定した排液処理が可能となる。
【0023】
静的流体混合器を流れる流体は気体でも良い。例えば自動車の排気ガスの浄化において、エンジンのスタート時や加速時に急激に排ガス濃度が濃くなる場合、浄化のための触媒の負荷が大きくなって浄化能力が低下するおそれがあるが、排気ガスの配管ラインに本実施形態の静的流体混合器を適用することで、流れ方向の濃度を均一化することができ、常に安定した排気ガスの浄化を行うことができる。また、静的流体混合器の流路が分岐と合流を繰り返すことで、流れ方向だけでなく径方向にも混合が行われる。なお、本実施形態では、流体入口1、流体出口3をそれぞれ流体入口部、流体出口部として流体を流すようにしたが、流体を逆方向に流しても同様の効果を得ることができる。この場合には、流体出口3が流体入口部になり、流体入口1が流体出口部になる。
【0024】
なお、静的流体混合器は図5に示すようにジグザグの折り返しを逆にして設けても良い。すなわち長手方向同一位置における第一ジグザグ流路12と第二ジグザグ流路13の曲がり部の向きを互いに逆向きにしても良い。図5では、このとき逆方向の折り返しにした第一ジグザグ流路12と第二ジグザグ流路13が各々の直線部分の流路が平行になるようにして一定間隔だけ離間して配置され、流体の流入する流体入口8と流体入口8に接続する第一流路9が第一ジグザグ流路12の一端部と接続され、流体の流出する流体出口10と流体出口10に接続する第二流路11が第二ジグザグ流路13の一端部と接続されている。また、第一ジグザグ流路12上には第二ジグザグ流路13上の任意の位置に各々接続する複数の分岐流路14が等間隔の距離毎に設けられている。第一ジグザグ流路12と第二ジグザグ流路13の他端部にも分岐流路14が接続して設けられている。すなわち、複数の分岐流路14は、第一ジグザグ流路12上の異なる位置から各々分岐し、第二ジグザグ流路13上の異なる位置において第二ジグザグ流路13と各々接続している。
【0025】
なお、図1,5において、複数の分岐流路7a〜7h,14は第一ジグザグ流路5,12の軸線に対して偏芯した位置に各々接続されても良く、第二ジグザグ流路6,13の軸線に対して偏芯した位置に各々接続されても良い。すなわち分岐流路7a〜7h,14の中央軸線(流路断面積の中心を通る軸線)の延長線が、第一ジグザグ流路5,12の中央軸線に交差せず、第二ジグザグ流路6,13の中央軸線にも交差しないように分岐流路7a〜7h,14を設けてもよい。このとき、薬液は第一、第二ジグザグ流路5,6,12,13の内壁に沿って渦を巻く流れを発生させ、第一、第二ジグザグ流路5,6,12,13内で薬液が撹拌されるので径方向の混合が行われる。また、流路内で渦を巻く流れを発生させることにより、流路内のデッドスペースをなくして流体の滞留を防止できる。
【0026】
図23は、本実施形態の比較例であり、軸方向(流れ方向)の濃度分布のムラを回避する他の方法を示す。図23には、流路を分岐して流体の希釈を行う分岐希釈装置が示されている。この装置は、細管161の中を一定の速度で流れている試料溶液を分析する装置において、流れている試料を複数の流路に分岐する分岐部162を流路の途中に設けることにより試料溶液を分割し、各分岐流路の細管163、164の内径や長さを変化させて検出器165の手前の合流部166で再度合流させ、試料溶液が検出される時間差を利用して希釈する。
【0027】
しかしながら、図23の分岐希釈装置の技術を流体輸送配管に用いる場合、管路の途中で分岐された長さの異なる管路を設けて再び合流させる配管ラインを設ける必要がある。このため、軸方向(流れ方向)の濃度分布をムラなく流路内で均一化するには分岐した流路を多く設けなくてはならず、その場合には分岐した配管ラインを設けるスペースが大きくなってしまうという問題がある。また、このような配管ラインを施工するには部品点数が多く必要であり煩雑で時間がかかるという問題がある。この点、本実施の形態では、配管を設けるスペースを多く必要とせず、配管施行も容易で、短時間で配管施行を行うことができる。
【0028】
−第二の実施の形態−
次に、図6〜図8を参照して、本発明の第二の実施形態である静的流体混合器について説明する。図6は、第二の実施の形態に係る静的流体混合器の概略構成を示す分解斜視図であり、図7は、図6のA−A縦断面図である。第二の実施の形態では、本体部21と、本体部21の両面に取り付けられる一対の側板(第一側板25,第二側板28)とにより、図1と同様の混合流路が形成される。
【0029】
本体部21は、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製であり、全体が略直方体形状とされている。本体部21の両面には、それぞれジグザグ状の第一ジグザグ溝22および第二ジグザグ溝23が互いに平行に設けられている。第一ジグザグ溝22と第二ジグザグ溝23は、互いに同一形状であり、本体部21の高さ方向(厚さ方向)中央の底板部21aを挟んで互いに対向するように平行に形成されている。すなわち各ジグザグ溝22,23の折り返し方向は、図1に示したのと同様、互いに同一である。本体部21の底板部21aには、ジグザグ溝22,23に沿って等間隔に複数の貫通孔(連通孔24)が開口されている。これら連通孔24は、それぞれジグザグ溝22,23の底面に対して略垂直に、すなわち垂直もしくはほぼ垂直に設けられている。
【0030】
第一側板25および第二側板28は、例えばPP(ポリプロピレン)製であり、ジグザグ溝22,23を覆うように本体部21の形状に合わせて略矩形状に形成されている。第一側板25の表面には流体入口26が設けられ、流体入口26は、第一側板25を貫通する第一流路27に連通している。第二側板28の表面には流体出口29が設けられ、流体出口29は、第二側板28を貫通する第二流路30に連通している。
【0031】
第一側板25および第二側板28は、それぞれ本体部21の表面に密着した状態で、例えばボルト・ナットにより固定されている。この固定状態では、第一流路27の端部は第一ジグザグ溝22の終端部中心軸上に面し、第二流路30の端部は第二ジグザグ溝23の終端部中心軸上に面している。本体部21を第一側板25及び第二側板28で挟持したことにより、本体部21の第一ジグザグ溝22と第一側板25との間に第一ジグザグ流路31が形成され、本体部21の第二ジグザグ溝23と第二側板28との間に第二ジグザグ流路32が形成される。第一ジグザグ流路31と第二ジグザグ流路32は、各連通孔24を介して連通している。第一ジグザグ流路31の終端部は、第一流路27を介して流体入口26に連通し、底板部21aを挟んで第一ジグザグ流路31の終端部の反対側に位置する第二ジグザグ流路32の終端部は、第二流路30を介して流体出口29に連通している。
【0032】
なお、第一側板25及び第二側板28は本体部21と密着した状態で接合されているのであればどのような方法で接合されても良く、シール方法としてはOリングを用いたり、第一側板25及び第二側板28の縁部に嵌合部を設け、この嵌合部に本体部21を嵌合するようにしても良い。また、固定方法はボルト・ナット以外でもよく、例えば焼きばめや溶接や接着でも良い。
【0033】
各連通孔24は、各々の通路断面積が略同一に、すなわち同一もしくはほぼ同一に形成されることが望ましい。これにより各々の連通孔24によって分割される流体の流量が各々一定で流れ、静的流体混合器に流入した流体は、連通孔24の個数でほぼ等しく分割されて各々時間差をつけて合流して流れるようになり、濃度分布をムラなく均一化することができる。
【0034】
第一ジグザグ流路31を流れる流体は、各々の連通孔24から流体が分割して流れることで圧損が発生し、第一ジグザグ流路31の下流側の流速が低下するおそれがある。したがって、第一ジグザグ流路31は、第一流路27と接続した一端部側から流れ方向他端部側に向かって通路断面積が漸次小さくなるように形成されることが好ましい。このように第一ジグザグ流路31の通路断面積を漸次小さくすることで、圧損が起こっても流体が一定の速度で流れるようになり、分割して流れる流体の時間差を安定させることができる。
【0035】
同様に、第二ジグザグ流路32は、第二流路30と接続した一端部側から他端部側に向かって通路断面積が漸次小さくなるように形成されることが好ましい。これにより、第一ジグザグ流路31から最初の連通孔24を介して第二ジグザグ流路32へと流れる流体をいち早く流体出口29を介して流出させるとともに、第一ジグザグ流路31の下流にいくに従い、連通孔24を介して第二ジグザグ流路32を流れる流体の流速を徐々に遅くさせ、流体の時間差をより明確にすることができる。なお、ジグザグ流路31,32の通路断面積を小さくするために、第一、第二ジグザグ溝22、23の幅を漸次狭くして形成したり、深さを漸次浅くして形成したり(図示せず)、これらの複合によってジグザグ溝22,23を形成しても良い。
【0036】
図8に示すように、第二流路15内にスタティックミキサエレメント16を配置するようにしても良い。スタティックミキサエレメント16は、流路軸心回りで所定角度ずつ交互に逆回りで捻られた複数の捻り板が直列に配置されてなり、これによりスタティックミキサエレメント16が配置された第二流路15を流体が通過すると、捻り板に沿って流体が交互に逆回転で撹拌されて径方向の混合が行われる。その結果、流体混合器の流れ方向と径方向の混合の効果にスタティックミキサエレメント16の径方向の混合の効果が加わり、より均一に流体を混合できる。特に、流体に粘度があり、混合されにくい流体の混合には、好適である。
【0037】
次に、本発明の第二の実施形態である静的流体混合器の作用について説明する。
【0038】
静的流体混合器の上流側で水と薬液を混合させ、一時的に薬液の濃度が濃くなった状態で流すと、流路内で部分的に濃度が濃くなって流れる薬液は、流体入口26から流入して第一流路27を通って第一ジグザグ流路31に流れる。第一ジグザグ流路31を流れる部分的に濃度が濃くなって流れる薬液は、各々の分岐流路となる連通孔24によって分割して流れ、部分的に濃度が濃くなって流れる薬液は、時間差で第二ジグザグ流路32を流れて濃度の濃くなっていない薬液と各々混ざり合うことで流体の流れ方向に均一化して混合され、第二流路30を通って流体出口29から流出する。第二の実施形態の流路の構成は、第一の実施形態と同一であり、流体の流れ方向の濃度分布がムラなく均一化される作用は、第一の実施形態と同様なので、説明を省略する。
【0039】
−第三の実施の形態−
次に、図9、図10を参照して、本発明の第三の実施形態である静的流体混合器について説明する。図9は、第三の実施の形態に係る静的流体混合器の概略構成を示す分解斜視図であり、図10は、図9のB−B縦断面図である。第三の実施の形態は、流体入口38と流体出口41の設置場所が第2の実施の形態と異なるだけで、他の構成は第2の実施の形態と同様である。
【0040】
すなわち、PTFE製の本体部33の一端面には第一ジグザグ溝34が設けられ、本体部33の他端面には第二ジグザグ溝35が設けられている。第一ジグザグ溝34と第二ジグザグ溝35は板の両面に並列して設けられ、折り返し方向が同一で各々の直線部の流路が平行となるように形成されている。また、第一ジグザグ溝34の底面には第二ジグザグ溝35の底面に連通する複数の分岐流路となる連通孔36が等間隔に設けられている。本体部33の側面には流体入口38及び流体出口41が並設されている。流体入口38は、本体部33の側端部を貫通する第一流路39に連通し、流体出口41は、本体部33の側端部を貫通するから第二流路42に連通している。
【0041】
PP製の第一側板37及び第二側板40は本体部33と同一形状の板状に形成されている。第一側板37及び第二側板40は本体部の33の両面に密着した状態で、ボルト・ナットにより固定されている。本体部33を第一側板37及び第二側板40で挟持したことにより、本体部33の第一ジグザグ溝34と第一側板37との間に第一ジグザグ流路43が形成され、本体部33の第二ジグザグ溝35と第二側板40との間に第二ジグザグ流路44が形成される。第一ジグザグ流路43と第二ジグザグ流路44は、各連通孔36を介して連通している。第一ジグザグ流路43の終端部は、第一流路39を介して流体入口38に連通し、第一ジグザグ流路43の終端部の反対側に位置する第二ジグザグ流路44の終端部は、第二流路42を介して流体出口41に連通している。
【0042】
次に、本発明の第三の実施形態である静的流体混合器の作用について説明する。
【0043】
静的流体混合器の上流側で水と薬液を混合させ、一時的に薬液の濃度が濃くなった状態で流すと、流路内で部分的に濃度が濃くなって流れる薬液は、流体入口38から流入し、第一流路39を通って第一ジグザグ流路43に流れる。第一ジグザグ流路43を流れる部分的に濃度が濃くなって流れる薬液は、各々の分岐流路となる連通孔36を介して分割して流れる。このため、部分的に濃度が濃くなって流れる薬液は、時間差で第二ジグザグ流路44を流れて濃度の濃くなっていない薬液と各々混ざり合い、流体の流れ方向に均一化して混合される。混合後の流体は、第二流路42を通って流体出口41から流出する。第三の実施形態の流路の構成は、第二の実施形態と同じであり、流体の流れ方向の濃度分布がムラなく均一化される作用は、第二の実施形態と同様なので説明を省略する。
【0044】
−第四の実施の形態−
次に、図11、図12を参照して、本発明の第四の実施形態である静的流体混合器について説明する。図11は、第四の実施の形態に係る静的流体混合器の概略構成を示す分解斜視図であり、図12は、図11のC−C縦断面図である。第四の実施の形態は、本体部45ではなく側板49,52の内側にジグザグ溝46,47を設ける点が第3の実施の形態と異なる。
【0045】
第四の実施の形態の第一側板49および第二側板52はそれぞれPTFE製である。第一側板49の内面には第一ジグザグ溝46が設けられ、第一側板49の一側面には流体入口50が設けられている。流体入口50は、第一ジグザグ溝46に面して第一側板49の側端部を貫通する第一流路51に連通している。同様に、第二側板52の内面には第二ジグザグ溝47が設けられ、第二側板52の一側面には流体出口53が設けられている。流体出口53は、第二ジグザグ溝47に面して第二側板52の側端部を貫通する第二流路54に連通している。なお、第一ジグザグ溝46と第二ジグザグ溝47は、向かい合わせたときに、折り返し方向が同一で各々の直線部の流路が平行になるように形成されている。
【0046】
本体部45はPP製であり、板状に形成されている。本体部45の両面には、第一側板49及び第二側板52が密着された状態で、ボルト・ナット(図示せず)により固定されている。本体部45を第一側板49及び第二側板52で挟持したことにより、第一側板49の第一ジグザグ溝46と本体部45との間に第一ジグザグ流路55が形成され、第二側板52の第二ジグザグ溝47と本体部45との間に第二ジグザグ流路56が形成される。本体部45には、第一ジグザグ流路55と第二ジグザグ流路56とに面する位置に、流路長さにわたり等間隔に複数の貫通孔(連通孔48)が開口され、第一ジグザグ流路55と第二ジグザグ流路56は連通孔48を介して連通している。
【0047】
次に、本発明の第四の実施形態である静的流体混合器の作用について説明する。
【0048】
静的流体混合器の上流側で水と薬液を混合させ、一時的に薬液の濃度が濃くなった状態で流すと、流路内で部分的に濃度が濃くなって流れる薬液は、流体入口50から流入して第一流路を通って第一ジグザグ流路55に流れる。第一ジグザグ流路55を流れる部分的に濃度が濃くなって流れる薬液は各々の分岐流路となる連通孔48によって分割して流れ、部分的に濃度が濃くなって流れる薬液は時間差で第二ジグザグ流路56を流れて濃度の濃くなっていない薬液と各々混ざり合うことで流体の流れ方向に均一化して混合され、第二流路を通って流体出口53から流出する。第四の実施形態の流体の流れ方向の濃度分布がムラなく均一化される作用は、第三の実施形態と同様なので説明を省略する。
【0049】
本実施形態では、第一ジグザグ溝46を第一側板49に、第二ジグザグ溝47を第二側板52にそれぞれ形成し、これらに連通する連通孔48を本体部45に設けた。このため、連通孔48の個数や配置を変えた本体部45を交換することで、用途によって流体の流れ方向の均一化を変化させて調整することができる。なお、第二、第三、第四の実施形態では、ジグザグの折り返し方向を互いに同一方向として第一、第二ジグザグ流路を形成したが、ジグザグの折り返し方向を互いに反対方向としても良い。
【0050】
第二、第三、第四の実施形態では、本体部の両側に正方形状の板を取り付けて第一、第二ジグザグ流路を形成したが、長方形や円形の板を用いても良く、本体部の断面形状も矩形状以外であってもよい。本体形状に合わせて例えば湾曲したジグザグ溝を形成しても良い。設置スペースに合わせて第一、第二ジグザグ流路を形成してもよく、これにより設置箇所の状況に柔軟に対応が可能である。ジグザグ溝は、小さいサイズでも切削加工し易い形状であるため、小口径のサイズでの製造が容易である。
【0051】
−第五の実施の形態−
以下、図13を参照して、本発明の第五の実施形態である静的流体混合器について説明する。図13は、第五の実施の形態に係る静的流体混合器の概略構成を示す斜視図である。第五の実施の形態では、第一の実施の形態と同様、例えばチューブなどを配管接続することで静的流体混合器を構成する。
【0052】
第五の実施の形態に係る静的流体混合器は、流体の流入する流体入口61と、流体入口61に接続する直線状の第一流路62と、流体の流出する流体出口63と、流体出口63に接続し、第一流路62と平行な直線状の第二流路64と、第一流路62の端部に接続された第一ジグザグ流路65と、第二流路64の端部に接続された第二ジグザグ流路66とを有する。第一ジグザグ流路65と第二ジグザグ流路66は、それぞれ円筒を長手方向に縦割りにした半円筒状となるように円周方向にジグザグに長手方向に延設され、両者は円筒の軸線に対して対称に、互いに対向するように配置されている。
【0053】
第一ジグザグ流路65および第二ジグザグ流路66には、互いに対向するジグザグ経路の周方向中央部において略直線状の複数の分岐流路67a〜67hが接続されている。これら分岐流路67a〜67hは、互いに平行に設けられ、第一ジグザグ流路65と第二ジグザグ流路66は、分岐流路67a〜67hを介して複数個所で連通している。第一ジグザグ流路65の他端部には分岐流路67hの一端部が接続され、分岐流路67hの他端部は第二ジグザグ流路66の他端部に接続されている。すなわち、複数の分岐流路67a〜67hは、第一ジグザグ流路65上の異なる位置から各々分岐し、第二ジグザグ流路66上の異なる位置において第二ジグザグ流路66と各々接続している。
【0054】
次に、本発明の第五の実施形態である静的流体混合器の作用について説明する。
【0055】
静的流体混合器の上流側で水と薬液を混合させ、一時的に薬液の濃度が濃くなった状態で流すと、流路内で部分的に濃度が濃くなって流れる薬液は、流体入口61から第一流路62に流入して第一ジグザグ流路65に流れる。部分的に濃度が濃くなって流れる薬液が第一ジグザグ流路65の分岐流路67aの接続した箇所を流れた時点で、その一部が分岐流路67aを流れて第二ジグザグ流路66を通って第二流路64から流体出口63へと流れる。残りの薬液は第一ジグザグ流路65の下流側へ流れて行き、また、部分的に濃度が濃くなって流れる残りの薬液が分岐流路67bの接続した箇所を流れた時点で、その一部が分岐流路67bを流れて第二ジグザグ流路66を通って第二流路64から流体出口63へと流れる。残りの薬液は第一ジグザグ流路65の下流側へ流れて行き、さらに、部分的に濃度が濃くなって流れる残りの薬液は、分岐流路67bを流れた薬液と同様に分岐流路67cの接続した箇所を流れた時点で、その一部が分岐流路67cを流れて第二ジグザグ流路66を通って第二流路64から流体出口63へと流れる。以下、分岐流路67a、67b、67cと同様に部分的に濃度が濃くなって流れる残りの薬液は分岐流路67d、67e、67f、67g、67hを流れて第二ジグザグ流路66を通って第二流路64から流体出口63へと流れる。
【0056】
このとき、分岐流路67aを流れる部分的に濃度が濃くなった薬液の一部は、他の部分的に濃度が濃くなって流れる薬液よりも早く流体出口63から流出する。さらに部分的に濃度が濃くなった溶液の一部は、時間差で分岐流路67b、分岐流路67c、分岐流路67d、分岐流路67e、分岐流路67f、分岐流路67g、または分岐流路67hのいずれかを通過し、部分的に濃度が濃くなって流れる薬液の一部ずつが流体出口63から流出する。つまり、流路内で部分的に濃度が濃くなって流れる薬液は静的流体混合器よって時間差で8つに分割されて流れることとなり、濃度の濃くなっていない薬液と各々混ざり合うことで流体の流れ方向の濃度分布をムラなく均一化して混合することができる。このとき各々の分岐流路の内径が略同一だと、部分的に濃度の濃くなって流れる薬液はほぼ8等分に分割されるので、流体の流れ方向の濃度分布をムラなくより均一化して混合することができる。
【0057】
なお、図13では、分岐流路67a〜67hを円筒の軸線に沿って等間隔に設けたが、各々の分岐流路67a〜67hを流れる流体に付与する時間差を調節するため、接続される位置を自由に設定したり、第一ジグザグ流路65を第一流路62と接続した一端部から他端部に向かって通路断面積を漸次小さくなるように形成したり、同様に第二ジグザグ流路66を第二流路64と接続した一端部から他端部に向かって通路断面積を漸次小さくなるように形成しても良い。分岐流路67a〜67hの数も特に限定されない。分岐流路67a〜67hの数を多く設ける方が、流体の流れ方向の濃度分布をムラなくより細かく均一化することができる。
【0058】
−第六の実施の形態−
次に、図14〜図16を参照して、本発明の第六の実施形態である静的流体混合器について説明する。第六の実施の形態では、本体部68がPTFE製であり、略円柱状、すなわち円柱状もしくはほぼ円柱状に形成されている。図14は、第六の実施の形態に係る静的流体混合器の概略構成を示す縦断面図であり、図15(a),(b)はそれぞれ図14の本体部の正面図および背面図である。
【0059】
本体部68の外周面には円筒を縦割りで半円筒部分に各々範囲を分け、その外周面の一方側に第一ジグザグ溝73が設けられ、外周面の他方側に第二ジグザグ溝74が設けられている。これら第一および第二ジグザグ溝73,74は、軸線に対して互いに対称になるように配置されている。本体部68の中央部には、第一ジグザグ溝73の底面から第二ジグザグ溝74の底面にかけて複数の貫通孔(連通穴75)が長手方向等間隔に開口されている。
【0060】
筐体としての円筒体76は例えばPP製であり、略円筒形状を呈する。円筒体76は、その内径が本体部68の外径と略同径であり、焼きばめによって本体部68の外周面にシールされた状態で嵌合固着されている。本体部68に円筒体76を嵌合させたことにより、本体部68の第一ジグザグ溝73と円筒体76との間に第一ジグザグ流路77が形成され、本体部68の第二ジグザグ溝74と円筒体76との間に第二ジグザグ流路78が形成される。
【0061】
第一ジグザグ流路77と第二ジグザグ流路78は複数の連通孔75を介して長手方向複数個所で互いに連通している。円筒体76の外周面には流体入口69及び流体出口71が設けられている。流体入口69は、円筒体76を貫通する第一流路70を介して第一ジグザグ流路77の終端部に連結し、流体出口71は、円筒体76を貫通する第二流路72を介して第二ジグザグ流路78の終端部に連結している。
【0062】
なお、筐体としての円筒体76は、本体部68とシールした状態で嵌合されているのであればどのような方法で嵌合されても良く、シール方法としてはOリングを用いたり、チューブなどの軟質部材からなる円筒体76を用いて密着させても良い。焼きばめの他に、溶接や接着で接合しても良い。円筒体76と本体部68を、有底円筒状の円筒体を本体部68に嵌合させ、キャップナットによって円筒体をシールリングで本体部68の外周面にシールされた状態で固定しても良く、円筒体76に本体部68を螺合させても良い。
【0063】
次に、本発明の第六の実施形態である静的流体混合器の作用について説明する。
【0064】
静的流体混合器の上流側で水と薬液を混合させ、一時的に薬液の濃度が濃くなった状態で流すと、流路内で部分的に濃度が濃くなって流れる薬液は、流体入口69から流入して第一流路70から第一ジグザグ流路77に流れる。第一ジグザグ流路77を流れる部分的に濃度が濃くなった薬液は、各々の連通孔75によって分割して流れ、部分的に濃度が濃くなって流れる薬液は、時間差で第二ジグザグ流路78を流れて濃度の濃くなっていない薬液と各々混ざり合うことで流体の流れ方向に均一化して混合される。第六の実施形態の流体の流れ方向の濃度分布がムラなく均一化される作用は、第五の実施形態と同様なので説明を省略する。
【0065】
本実施形態の静的流体混合器によれば、第一ジグザグ溝73の底面から第二ジグザグ溝74の底面に至る連通孔75を容易に形成することができる。このため、連通孔75の設置位置や設置する数を自由に設けることができ、流れの時間差を細かく均等に調節することができ、流体の流れ方向の濃度分布をムラなくより細かく均一化することができる。また、本実施形態の静的流体混合器は、流路の複雑さの割りに加工が比較的容易であり、部品点数も少ないので、容易に製造することができる。また、流路構造が小さくまとめられているため、静的流体混合器を小型化することができ、配管スペースを取らずに設置することができる。静的流体混合器を配管ラインに接続する際も、流体入口69と流体出口71に各々継手等で接続するだけで施工が完了するため、配管施工が容易であり、短時間で配管施工を行うことができる。
【0066】
第六の実施形態における本体部68を製造する場合、本体部68は例えば射出成形によって形成される。本体部68の第一ジグザグ溝73及び第二ジグザグ溝74は、例えば螺旋のように軸線に対して斜めに交わることが無く、軸線に対して垂直に交わる平面で形成される。このため、第一、第二ジグザグ溝73、74の折り返し部分のある面(図15(a))とその反対側の面(図15(b))とで金型を割るように形成すれば、金型製作におけるキャビティ構造がシンプルとなり、金型製作が容易で、アンダーカットとなる部分も無く成形時に型抜きも容易に行うことができる。
【0067】
ここで連通孔75は、各々の通路断面積が略同一に形成されることが望ましい。これにより各々の連通孔75によって分割される流体の流量が各々一定で流れ、静的流体混合器に流入した流体は、連通孔75の個数でほぼ等しく分割されて各々時間差をつけて合流して流れるようになり、濃度分布をムラなく均一化することができる。
【0068】
なお、第一ジグザグ流路88を流れる流体は、各々の連通孔86から流体が分割して流れることで圧損が発生して第一ジグザグ流路88の下流側の流速が低下するおそれがある。したがって、図16に示すように第一ジグザグ流路88は、第一流路81と接続した一端部側から流れ方向他端部側に向かって通路断面積が漸次小さくなるように形成されることが好ましい。このように第一ジグザグ流路88の通路断面積が漸次小さくすることで、圧損が起こっても流体が一定の速度で流れるようになり、分割して流れる流体の時間差を安定させることができる。
【0069】
同様に、第二ジグザグ流路89は、第二流路83と接続した一端部から他端部に向かって通路断面積が漸次小さくなるように形成されることが好ましい。これにより、第一ジグザグ流路88から最初の連通孔86を介して第二ジグザグ流路89へと流れる流体をいち早く流体出口82を介して流出させるとともに、第一ジグザグ流路88の下流にいくに従い、連通孔86を介して第二ジグザグ流路89を流れる流体の流速を徐々に遅くさせ、流体の時間差をより明確にすることができる。
【0070】
なお、図16では、第一、第二ジグザグ溝84、85の底面位置を合わせた本体部79として、本体部79の外周面を流体入口80及び流体出口82のある一端部側から他端部側に向かって漸次縮径するように設け、この外周面形状に合わせた円筒体87を嵌合して第一、第二ジグザグ流路88、89を形成したが、第一、第二ジグザグ流路88、89の通路断面積を第一流路81、第二流路83と各々接続した一端部から他端部に向かって漸次小さくする方法はこれに限らない。例えば第一、第二ジグザグ溝84、85の深さを漸次浅くしたり(図示せず)、ジグザグ溝の幅を漸次狭くしたり(図示せず)、これらを複合しても良い。
【0071】
−第七の実施の形態−
次に、図17を参照して、本発明の第七実施形態である静的流体混合器について説明する。図17は、第七の実施の形態に係る静的流体混合器の概略構成を示す縦断面図であり、フェルール継手を用いた形状の静的流体混合器を示している。この流体混合器は、略円柱状の本体部99と、本体部99の周囲を覆う一対の円筒部材(第一円筒部91,第二円筒部92)とを有する。なお、第一、第二円筒部91,92は筐体を構成する。
【0072】
本体部99と円筒部材91、92は、例えばSUS304により構成されている。第一円筒部91の一端部外周にはフランジ部95が設けられ、他端部外周には軸対称の位置に突出して各々流体入口97及び流体出口98となる開口が設けられている。流体入口97の外周及び流体出口98の外周にはフェルール継手部93、94が各々設けられ、流体入口97と第一円筒部91内とを連通させる第一流路105、流体出口98と第一円筒部91内とを連通させる第二流路106が設けられている。第二円筒部92は有底円筒状であり、開口した一端部外周にはフランジ部96が設けられている。
【0073】
本体部99の外周面には、第六の実施の形態と同様、円筒を縦割りで半円筒部分に各々範囲を分けて第一ジグザグ溝102と第二ジグザグ溝103が設けられ、これらは軸線に対して対称になるように配置されている。第一ジグザグ溝102の底面には第二ジグザグ溝103に連通する複数の分岐流路となる連通孔104が等間隔の距離毎に設けられている。本体部99の長手方向両端部は第一、第二円筒部91、92の内周面に合わせた形状とされ、本体部99の外周は第一、第二円筒部91、92の内周と略同径である。
【0074】
本体部99は、第一、第二円筒部91、92のフランジ部95、96の開口部から嵌挿され、第一、第二円筒部91,92内に収容される。この状態で、各々のフランジ部95、96の端面間にガスケット101を挟持し、フランジ部95、96をクランプ100で連結することにより、本体部99が第一、第二円筒部91,92内に固定される。これにより第一、第二円筒部91,92と本体部99の第一ジグザグ溝102の間に第一ジグザグ流路が形成され、第一、第二円筒部91,92と本体部99の第二ジグザグ溝103の間に第二ジグザグ流路が形成される。このとき第一円筒部91の第一流路105は、第一ジグザグ流路の端部に連通し、第二流路106は第二ジグザグ流路の端部に連通する。
【0075】
なお、本実施形態のフランジ部95、96の接続はフェルール継手の接続方法と同様であり、フランジ部95,96にフェルール継手を用いても良い。図示した以外の形状に筐体を構成してもよく、その場合にも、フェルール継手を用いて組立容易に静的流体混合器を形成することができる。
【0076】
次に第七の実施形態の作用について説明する。
【0077】
静的流体混合器に流入した流体は、流体入口97から本体部99の第一ジグザグ溝102の形成する第一ジグザグ流路へ流入する。本体部99内の流路を流れることで流体の流れ方向の濃度分布がムラなく均一化される作用は、第五の実施形態と同様なので説明を省略する。均一化した流体は第二ジグザグ溝103の形成する第二ジグザグ流路を通って流体出口98から流出される。本実施形態の静的流体混合器は、分解及び組立が容易であり、フェルール継手部93、94によって配管ラインへの取り付け取り外しも容易である。このため、特に分解して部品を洗浄して組み立てる作業が頻繁に行われる食品分野において好適に使用できる。
【0078】
−第八の実施の形態−
次に、図18を参照して、本発明の第八の実施形態である流体混合器について説明する。図18は、第八の実施の形態に係る流体混合器の概略構成を示す縦断面図である。第八の実施の形態は、ストレーナー形状の静的流体混合器であり、ボディ111とボディ111内に収容される本体部122とを有する。
【0079】
ボディ111は、例えばPVC(ポリ塩化ビニル)製であり、一端部が開口された分岐部を有するT型管状に形成されている。ボディ111の下部の分岐部に中空室112が設けられるとともに、中空室112の軸線上の壁に台座113が設けられ、中空室112の下方に開口部114が設けられている。ボディ111の両端面にはフランジ形状の流体入口115及び流体出口116が形成され、流体入口115と中空室112に各々連通する第一流路117と、流体出口116と中空室112に各々連通する第二流路118とを有している。ボディ111の端部には蓋体119が取り付けられる。
【0080】
蓋体119は例えばPVC製であり、円板状に形成され、蓋体119の一端部外周には鍔部120が設けられている。蓋体119はキャップナット121によりボディ111に取り付けられる。キャップナット121は例えばPVC製であり、円筒状に形成されている。キャップナット121の一方の端部内周には、ボディ111の開口部114の外周に設けられた雄ネジ部に螺着される雌ネジ部が設けられ、もう一方の端部には、内周方向へ突出する内鍔部が設けられている。キャップナット121は、ボディ111の雄ネジ部に螺着され、キャップナット121の内鍔部が蓋体119の鍔部120の端面に当接する。これにより蓋体119が固定される。なお、ボディ111と蓋体119は筐体を形成する。
【0081】
本体部122は例えばPVC製であり、略円柱状に形成されている。本体部122の周方向片側の外周面には第一ジグザグ溝123が設けられ、周方向反対側の外周面には第二ジグザグ溝124が設けられている。本体部122の中央には、各第一ジグザグ溝123の底面から各第二ジグザグ溝124の底面にかけて長手方向等間隔に連通孔125が設けられている。本体部122の外周はボディ111の中空室112の内周と略同径に形成されている。本体部122は、ボディ111の開口部114から中空室112に挿入されて中空室112に嵌合され、本体部122の長手方向一端部は台座113に当接している。
【0082】
本体部122の長手方向他端部外周には環状溝が設けられ、環状溝にOリングが収容されて、本体部122と開口部114の内周面とがOリングによりシールされている。中空室112には、第一ジグザグ溝123により第一ジグザグ流路が形成され、第二ジグザグ溝124により第二ジグザグ流路が形成されている。第一ジグザグ流路と第二ジグザグ流路は複数の連通孔125を介して連通し、第一ジグザグ流路の端部はボディ111の第一流路117に、第二ジグザグ流路の端部はボディ111の第二流路118にそれぞれ連通している。
【0083】
なお、蓋体119と本体部122を一体で設けても良い。また、キャップナット121を用いずに蓋体119に雌ねじ部を形成してボディ111に螺着しても良く、ボディ111の開口部114に雌ねじ部を設けて雄ねじ部を有する蓋体119を螺着しても良い。また、固定方法は、ボディ111と蓋体119とを固着できるのであれば螺着以外でもよく、バヨネットやフェルールやねじなど特に限定されない。
【0084】
次に第八の実施形態の作用について説明する。
【0085】
静的流体混合器に流入した流体は、ボディ111の流体入口115から第一流路117を通って本体部122外周の第一ジグザグ流路へ流入し、連通孔125を介して第二ジグザグ流路へと流れる。このとき、本体部122内の流路を流れることで流体の流れ方向の濃度分布がムラなく均一化されるが、この点は第二の実施形態と同様なので説明を省略する。均一化された流体は第二ジグザグ流路から第二流路118を通って流体出口116から流出される。本実施形態の静的流体混合器は、分解及び組立が容易であり、特に分解して部品を洗浄して組み立てる作業が頻繁に行われる食品分野において、好適に使用できる。
【0086】
次に、図19、図20を参照して以上の静的流体混合器を用いた装置について説明する。
【0087】
本発明の実施形態に係る静的流体混合器は、例えば流体の温度または濃度が経時的に変化するライン内に適用される。すなわち、例えばライン内にヒーターを設置し、このヒーターで加熱される時間軸に対する流体の温度にバラツキが生じることで流体の温度が経時的に変化するものや、槽内に浸した固形物を流体内へ溶出させて流すラインで溶出した濃度が経時的に変化するものなどに適用され、静的流体混合器内を用いることでラインの流体の温度または濃度を均一化することができる。なお、流体として流す物質は気体または流体であれば特に限定されない。
【0088】
図19は、本実施形態に係る静的流体混合器を用いた装置の一例を示す図である。図では、2つの物質が各々流れるライン131、132の合流部133の下流側に静的流体混合器136が配置されている。各物質はそれぞれポンプ134,135により供給される。このため、ポンプ134、135の脈動などにより、流体が合流したときの混合比率が経時的に変化することがあるが、静的流体混合器136により物質の混合比率が均一化されることで、時間軸に対して温度や濃度を一定にすることができる。なお、各ライン131,132に高温流体と低温流体をそれぞれ流した状態で、例えば高温流体が不均一に流れて時間軸に対する流体の温度にバラツキが生じる場合や、既定濃度の流体を他の流体と混合させたときに、混合流体の濃度が経時的に変化する場合などにも有効である。このときの流体は気体、液体、固体、粉体等のいずれでも良く、固体、粉体については、あらかじめ気体または液体と混合しても良い。なお、3つ以上の物質が流れるラインを合流させるように装置を構成し、3つ以上の物質が静的流体混合器によって混合されるようにしても良い。
【0089】
図20は、図19の変形例を示す図である。図20では、2つの物質が各々流れるライン137、138の合流部139の下流側に本実施形態に係る静的流体混合器140を配置するとともに、静的流体混合器140の下流側に他の物質が流れるライン141が合流する合流部142を設け、合流部142の下流側にも静的流体混合器143を配置している。これにより3つ以上の物質を同時に混合すると混合ムラが生じる場合に、最初に混合した2つの物質を均一化した後に他の物質を混合して均一化させることで効率よく混合ムラのない均一な混合を行うことができる。例えば水と油と界面活性剤とを混合する場合において、一度に全部を混ぜるとうまく混ざらずに混合ムラが生じるので、予め水と界面活性剤を混合した後で油と混合することによりムラなく均一に混合することができる。水と硫酸を混合して希釈した後、その混合物にアンモニアガスを混合してアンモニアガスを吸収させたり、水と硫酸を混合して希釈した後、その混合物に珪酸ソーダを混合してpH調整させる場合にも、好適に用いることができる。なお、最初に3つ以上の物質を合流させても良く、途中で2つ以上の物質を合流させても良い。また、静的流体混合器を3つ以上直列に配置し、段階的に他の物質を混合するようにしても良い。
【0090】
本装置によって混合される異種流体の組み合わせについてさらに説明する。図19の装置において、一方の物質が流れるライン131には水、他方の物質の流れるライン132にはpH調整剤、液体肥料、漂白剤、殺菌剤、界面活性剤または液体薬品のいずれかを流すようにしてもよい。
【0091】
この場合、水は、純水、蒸留水、水道水、工業用水など混合させる物質の条件に合う水であれば特に限定されない。また水の温度も特に限定されず、温水や冷水であっても良い。pH調整剤は、混合する液体のpH調整に用いられる酸、アルカリであれば良く、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸、カルボン酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム水溶液などが挙げられる。液体肥料は、農業用の液状の肥料であれば良く、糞尿や化学肥料などが挙げられる。
【0092】
漂白剤は化学物質の酸化、還元反応を利用して色素を分解するものであれば良く、次亜塩素酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム、過酸化水素、オゾン水、二酸化チオ尿素、亜二チオン酸ナトリウムなどが挙げられる。殺菌剤は病原性あるいは有害性を有する微生物を殺すための薬剤であり、ヨードチンキ、ポビドンヨード、次亜塩素酸ナトリウム、クロル石灰、マーキュロクロム液、グルコン酸クロルヘキシジン、アクリノール、エタノール、イソプロパノール、過酸化水素水、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、クレゾール石鹸液、亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸水、オゾン水などが挙げられる。
【0093】
界面活性剤は分子内に水になじみやすい部分(親水基)と、油になじみやすい部分(親油基・疎水基)を持つ物質であり、脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、モノアルキル硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、モノアルキルリン酸塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルカルボキシベタイン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸ソルビタンエステル アルキルポリグルコシド 脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルモノグリセリルエーテル、アルファスルホ脂肪酸エステルナトリウム、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸エステルナトリウム、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、しょ糖脂肪酸エステルソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルアミノ脂肪酸ナトリウム、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシド、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩などが挙げられる。
【0094】
また、液体薬品の範疇に入るのであれば上記のカテゴリに入らない液体薬品を用いても良く、塩酸、硫酸、酢酸、硝酸、蟻酸、フッ酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化アンモニウム珪酸ソーダ、油などが挙げられる。なお、ここに挙げた液体薬品は上記のカテゴリに該当するものとして使用されることもある。また、一方の物質が流れるライン131に水、他方の物質の流れるライン132にお湯を流しても良く、水とお湯を混ぜて均一で一定の温度に混合させるようにしてもよい。
【0095】
また、一方の物質が流れるライン131に第一の液体薬品、他方の物質の流れるライン132に第二の液体薬品または金属を流し、これらを流体混合器136で混合させるようにしても良い。ここで、第一、第二液体薬品は混ぜることが可能である液体薬品であれば良く、上記の液体薬品やそれ以外の液体薬品でも良い。例えばフォトレジストとシンナーなどが挙げられる。また、液体薬品は化粧品であっても良い。化粧品は、洗顔料、クレンジング、化粧水、美容液、乳液、クリーム、ジェルといった肌質自体を整えることを目的とする基礎化粧品や、口臭、体臭、あせも、ただれ、脱毛などの防止、育毛又は除毛、ねずみや害虫駆除などの医薬部外品に当たる薬用化粧品などが挙げられる。
【0096】
金属は主に有機金属化合物であり、微小な粒状、粉体または有機溶剤等に溶解させた液体で使用される。有機金属化合物は、クロロ(エトキシカルボニルメチル)亜鉛のような有機亜鉛化合物、ジメチル銅リチウムのような有機銅化合物、グリニャール試薬、ヨウ化メチルマグネシウム、ジエチルマグネシウムのような有機マグネシウム化合物、n-ブチルリチウムのような有機リチウム化合物、金属カルボニル、カルベン錯体、フェロセンをはじめとするメタロセンなどの有機金属化合物、パラフィンオイルに溶解させた単元素や多元素混合標準液などが挙げられる。また、ケイ素、ヒ素、ホウ素などの半金属の化合物やアルミニウムのような卑金属も含まれる。有機金属化合物は石油化学製品の製造や有機重合体の製造において触媒として好適に使用される。
【0097】
また、一方の物質が流れるライン131に廃液、他方の物質の流れるライン132にpH調整剤または凝集剤を流し、これらを流体混合器136で混合させるようにしても良い。pH調整剤は上記のpH調整剤が用いられ、凝集剤は廃液の凝集を行うことができるものなら特に限定されず、硫酸アルミニウム、ポリ硫酸第二鉄、ポリ塩化アルミニウム、ポリシリカ鉄、硫酸カルシウム、塩化第二鉄、消石灰などが挙げられる。微生物は廃液の発酵や分解を促すものであれば良く、カビ、酵母など菌類や、バクテリアなどの細菌類などが挙げられる。
【0098】
また、一方の物質が流れるライン131に第一の石油類、他方の物質の流れるライン132に第二の石油類、添加剤、または水を流し、これらを静的流体混合器136で混合させるようにしても良い。ここで第一、第二の石油類とは、炭化水素を主成分として他に少量の硫黄、酸素、窒素などさまざまな物質を含む液状の油のことであり、ナフサ(ガソリン)、灯油、軽油、重油、潤滑油、アスファルトなどが挙げられる。ここで言う添加剤は石油類の品質向上や保持のために添加されるものを指し、潤滑油添加剤として洗浄分散剤、酸化防止剤、粘度指数向上剤・流動点降下剤、油性向上剤・極圧添加剤、摩耗防止剤、防錆・防食剤など、グリース添加剤として構造安定剤、充填剤など、燃料油添加剤などが挙げられる。ここで言う水は、純水、蒸留水、水道水、工業用水など混合させる物質の条件に合う水であれば特に限定されない。また水の温度も特に限定されず、温水や冷水であっても良い。
【0099】
また、一方の物質が流れるライン131に第一の樹脂、他方の物質の流れるライン132に第二の樹脂、溶剤、硬化剤、着色剤を流し、これらを静的流体混合器136で混合させるようにしても良い。ここで言う樹脂とは、溶融樹脂、液体樹脂などの接着剤の主成分、塗料の塗膜形成成分のことである。溶融樹脂は射出成形や押し出し成形可能な樹脂なら特に限定されず、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ナイロン、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトンなどが挙げられる。
【0100】
液体樹脂などの接着剤の主成分はアクリル樹脂系接着剤、α-オレフィン系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、エーテル系セルロース、エチレン-酢酸ビニル樹脂接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、塩化ビニル樹脂溶剤系接着剤、クロロプレンゴム系接着剤、酢酸ビニル樹脂系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、シリコーン系接着剤、水性高分子-イソシアネート系接着剤、スチレン-ブタジエンゴム溶液系接着剤、スチレン-ブタジエンゴム系ラテックス接着剤、ニトリルゴム系接着剤、ニトロセルロース接着剤、反応性ホットメルト接着剤、フェノール樹脂系接着剤、変成シリコーン系接着剤、ポリアミド樹脂ホットメルト接着剤、ポリイミド系接着剤、ポリウレタン樹脂ホットメルト接着剤、ポリオレフィン樹脂ホットメルト接着剤、ポリ酢酸ビニル樹脂溶液系接着剤、ポリスチレン樹脂溶剤系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ポリビニルピロリドン樹脂系接着剤、ポリビニルブチラール樹脂系接着剤、ポリベンズイミダソール接着剤、ポリメタクリレート樹脂溶液系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、ユリア樹脂系接着剤、レゾルシノール系接着剤などが挙げられる。塗料の塗膜形成成分としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂などが挙げられる。
【0101】
溶剤としてはヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エタノール、メタノールなどが挙げられる。硬化剤としてはポリアミン、酸無水物、アミン類、過酸化物、サッカリンなどが挙げられる。着色剤としては、亜鉛華、鉛白、リトポン、二酸化チタン、沈降性硫酸バリウム、バライト粉、鉛丹、酸化鉄赤、黄鉛、亜鉛黄、ウルトラマリン青、フェロシアン化鉄カリ、カーボンブラックなどの顔料が挙げられる。
【0102】
ここで上記樹脂が溶融樹脂の場合、成形機や押出機から静的流体混合器136に溶融樹脂を流す装置を形成しても良い。例えば成形機の場合は、成形機のノズルと金型の間に静的流体混合器136を配置して射出成形を行えばよく、押出機の場合は、押出機とダイの間に静的流体混合器136を配置して押出成形を行えばよい。この場合、樹脂内の温度を均一化させ樹脂の粘土を安定させて厚みムラや内部応力の発生を抑えることができ、色ムラをなくすことができる。
【0103】
また、一方の物質が流れるライン131に第一の食品原料、他方の物質の流れるライン132に第二の食品原料、食品添加剤、調味料、不燃性ガス等を流し、これらを静的流体混合器136で混合させるようにしても良い。
【0104】
第一、第二の食品原料とは配管内を流動可能な飲料または食品であれば良く、日本酒、焼酎、ビール、ウイスキー、ワイン、ウォッカなどのアルコール飲料、牛乳、ヨーグルト、バター、クリーム、チーズ、練乳、乳脂などの乳製品、ジュース、お茶、コーヒー、豆乳、水などの飲料、出汁、味噌汁、コンソメスープ、コーンスープ、豚骨スープなどの飲料食品、その他にもゼリー、こんにゃく、プリン、チョコレート、アイスクリーム、キャンディ、豆腐、練り製品、解き卵、ゼラチンなどの各種食品原料などが挙げられる。また流動可能なら個体や粉体でも良く、小麦粉、片栗粉、強力粉、薄力粉、そば粉、粉ミルク、コーヒー、ココアなどの粉原料や、果肉、ワカメ、ゴマ、青海苔、削り節、パン粉、細かく刻む又はすりおろした食品などの小さい固形食品などが挙げられる。
【0105】
食品添加剤は、黒糖、三温糖、果糖、麦芽糖、蜂蜜、糖蜜、メープルシロップ、水飴、エリスリトール、トレハロース、マルチトール、パラチノース、キシリトール、ソルビトール、ソーマチン、サッカリンナトリウム、サイクラミン酸、ズルチン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、ネオテームなどの甘味料、カラメル色素、クチナシ色素、アントシアニン色素、アナトー色素、パプリカ色素、紅花色素、紅麹色素、フラボノイド色素、コチニール色素、アマランス、エリスロシン、アルラレッドAC、ニューコクシン、フロキシン、ローズベンガル、アシッドレッド、タートラジン、サンセットイエローFCF、ファストグリーンFCF、ブリリアントブルーFCF、インジゴカルミンなどの着色料、安息香酸ナトリウム、ε-ポリリジン、しらこたん白抽出物(プロタミン)、ソルビン酸カリウム、ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ツヤプリシン(ヒノキチオール)などの保存料、アスコルビン酸、トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エリソルビン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、クロロゲン酸、カテキンなどの酸化防止剤、香料などが挙げられる。
【0106】
調味料は、醤油、ソース、酢、油、ラー油、味噌、ケチャップ、マヨネーズ、ドレッシング、みりんなどの液体のものや、砂糖、塩、胡椒、山椒、粉唐辛子などの粉体のものなどが挙げられる。微生物は食品の発酵や分解を促すものであり、キノコ、カビ、酵母など菌類や、バクテリアなどの細菌類である。菌類としては各種キノコや麹カビ菌などが挙げられ、細菌類として例えばビフィズス菌、乳酸菌、納豆菌などが挙げられる。不燃性ガスとしては炭酸ガスなどが挙げられ、例えば麦汁と炭酸ガスとを混合させてビールを生成するなどに用いられる。
【0107】
また、一方の物質が流れるライン131に空気、他方の物質の流れるライン132に可燃性ガスを流し、これらを静的流体混合器136で混合させるようにしても良い。可燃性ガスとしては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、アセチレン、水素、一酸化炭素、アンモニア、ジメチルエーテルなどが挙げられる。
【0108】
また、一方の物質が流れるライン131に第一の不燃性ガス、他方の物質の流れるライン132に第二の不燃性ガスまたは蒸気を流し、これらを静的流体混合器136で混合させるようにしても良い。不燃性ガスとしては、窒素、酸素、二酸化炭素、アルゴンガス、ヘリウムガス、硫化水素ガス、亜硫酸ガス、硫黄酸化物ガスなどが挙げられる。また、上記の他の組み合わせとして、一方の物質が流れるライン131に水、液体薬品、食品原料、他方の物質の流れるライン132に空気、不燃性ガス、蒸気を流し、これらを静的流体混合器136で混合させるようにしても良い。
【0109】
また、一方の物質が流れるライン131に第一の合成中間体、他方の物質が流れるライン132に第二の合成中間体、添加剤、液体薬品または金属等を流し、これらを静的流体混合器136で混合させるようにしても良い。第一、第二の合成中間体とは、目標化合物までの多段階の合成経路の中で現れる合成が途中の段階の化合物のことを言い、複数の薬品を混合させた合成途中のものや、樹脂の精製途中のものや医薬中間体などが挙げられる。
【0110】
なお、以上の異種流体を図20の装置を用いて混合させるようにしても良い。また、図19、図20の静的流体混合器を用いた装置において、合流する前の物質の流れる各々のラインにヒーターまたは気化器を設けても良く、静的流体混合器の下流側に熱交換器を設けても良い。さらに、合流する前の一方の物質の流れるラインに計測器を配置し、計測器で計測されたパラメーターに応じて他方の物質の流れるラインのポンプの出力を調整する制御部を設けても良く、他方の物質の流れるラインに制御弁を配置し、計測器のパラメーターに応じて制御弁の開度を調整する制御弁を設けても良い。このとき、計測器は必要な流体のパラメーターを計測できれば流量計、流速計、濃度計、pH測定器でも良い。また、ラインの合流部の下流側の流路にスタティックミキサーを設置しても良い。この場合、静的流体混合器で流路の軸方向の均一化を行い、スタティックミキサーで流路の径方向均一化を行うので、より均一な流体の混合を行うことができる。
【0111】
以上の静的流体混合器における本体部21、68、99、122、第一側板25、第二側板28、円筒体76、第一、第二円筒部91、92、ボディ111、蓋体119、キャップナット121等の各部品の材質は、樹脂製であればポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどいずれでも良い。特に流体に腐食性流体を用いる場合は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオロライド、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂などのフッ素樹脂であることが好ましく、フッ素樹脂製であれば腐食性流体に用いることができ、また腐食性ガスが透過しても配管部材の腐食の心配がなくなるため好適である。本体部21、第一側板25、第二側板28、ボディ111を透明または半透明な材質で形成しても良く、この場合には流体の混合の状態を目視で確認できるため好適である。また、静的流体混合器に流す物質によっては各部品の材質は鉄、銅、銅合金、真鍮、アルミニウム、ステンレス、チタンなどの金属や合金であっても良い。
【0112】
上記実施の形態では、分岐流路7a〜7h,14,67a〜67hや連通孔24,36,48,75,86,104,125により第一ジグザグ流路と第二ジグザグ流路を流れ方向の複数個所で連通するようにしたが、連通流路の構成は上述したものに限らない。例えば複数の連通流路を各部で異なった形状(例えば断面積の異なる形状)としたり、連通流路の配置されるピッチを長手方向で変更するようにしてもよい。上記実施の形態(例えば図1)では、第一ジグザグ流路5の端部に流体入口1および第一流路2を設け、第二ジグザグ流路6の端部に流体出口3および第二流路4を設けたが、流体入口部および流体出口部の構成は上述したものに限らない。ジグザグ流路の端部に直接、流体入口や流体出口を設けてもよい。図19では、ライン131,132と合流部133により、図20では、ライン137,138,141と合流部139,142により、それぞれ複数の異種流体を合流して導く流路を形成したが、流路形成手段はこれに限らない。
【0113】
なお、上記第一の実施の形態〜第八の実施の形態を任意に組み合わせて静的流体混合器を構成してもよい。すなわち、本発明の特徴、機能を実現できる限り、本発明は実施の形態の静的流体混合器に限定されない。
【符号の説明】
【0114】
1 流体入口
2 第一流路
3 流体出口
4 第二流路
5 第一ジグザグ流路
6 第二ジグザグ流路
7a〜7h 分岐流路
16 スタティックミキサーエレメント
21、33、45 本体部
22、34、46 第一ジグザグ溝
23、35、47 第二ジグザグ溝
24、36、48 連通孔
25、37、49 第一側板
26、38、50 流体入口
27、39、51 第一流路
28、40、52 第二側板
29、41、53 流体出口
30、42、54 第二流路
31、43、55 第一ジグザグ流路
32、44、56 第二ジグザグ流路
61 流体入口
62 第一流路
63 流体出口
64 第二流路
65 第一ジグザグ流路
66 第二ジグザグ流路
67a〜67h 分岐流路
68 本体部
69 流体入口
70 第一流路
71 流体出口
72 第二流路
73 第一ジグザグ溝
74 第二ジグザグ溝
75 連通孔
76 円筒体
77 第一ジグザグ流路
78 第二ジグザグ流路
137,138,141 ライン
133,139,142 合流部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向するように形成されたジグザグ状の第一ジグザグ流路および第二ジグザグ流路と、
前記第一ジグザグ流路と前記第二ジグザグ流路を流れ方向の複数個所で連通する複数の連通流路と、
前記第一ジグザグ流路の端部に設けられた流体入口部と、
前記第二ジグザグ流路の端部に設けられた流体出口部とを有することを特徴とする静的流体混合器。
【請求項2】
前記第一ジグザグ流路および前記第二ジグザグ流路は、それぞれ曲がり部を介して幅方向一方から他方および幅方向他方から一方へと交互にジグザグ状に形成され、
前記第一ジグザグ流路の曲がり部、およびこの第一ジグザグ流路の曲がり部と長手方向同一位置にある前記第二ジグザグ流路の曲がり部は、互いに同一向きまたは反対向きに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の静的流体混合器。
【請求項3】
前記流体入口部および前記流体出口部は、それぞれ前記第一ジグザグ流路および第二ジグザグ流路の長手方向一端部側に設けられ、
前記第一ジグザグ流路および前記第二ジグザグ流路の流路断面積は、長手方向一端部側から他端部側にかけて徐々に小さくされていることを特徴とする請求項1または2に記載の静的流体混合器。
【請求項4】
前記複数の連通流路の流路断面積は、互いに略同一であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の流体混合器。
【請求項5】
本体部と、
該本体部の両面にそれぞれ取り付けられる第一側板および第二側板とを有し、
前記第一ジグザグ流路は、前記本体部と前記第一側板との間に形成され、
前記第二ジグザグ流路は、前記本体部と前記第二側板との間に形成され、
さらに前記連通流路は、前記本体部を貫通して形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の静的流体混合器。
【請求項6】
前記流体入口部は、前記第一側板を貫通して設けられ、前記流体出口部は、前記第二側板を貫通して設けられていることを特徴とする請求項5に記載の静的流体混合器。
【請求項7】
前記流体入口部および前記流体出口部は、それぞれ前記本体部の側端部を貫通して設けられていることを特徴とする請求項5に記載の静的流体混合器。
【請求項8】
前記第一ジグザグ流路は、前記本体部の表面または前記第一側板の表面に設けられたジグザグ状の溝により形成され、
前記第二ジグザグ流路は、前記本体部の表面または前記第二側板の表面に設けられたジグザグ状の溝により形成されることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の静的流体混合器。
【請求項9】
略円柱状の本体部と、
前記本体部の外周に嵌合される筐体とを有し、
前記第1ジグザグ流路は、前記本体部の外周面の周方向一方側に設けられたジグザグ状の溝と前記筐体との間に形成され、
前記第二ジグザグ流路は、前記本体部の外周面の周方向他方側に設けられたジグザグ状の溝と前記筐体との間に形成され、
さらに前記連通流路は、前記本体部を貫通して形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の静的流体混合器。
【請求項10】
前記筐体の端部にフェルール継手部が設けられていることを特徴とする請求項9に記載の静的流体混合器。
【請求項11】
前記筐体は、フランジ部を介して長手方向に連結される一対の有底円筒部材からなり、
前記本体部は、前記一対の有底円筒部材の内側に収容され、前記一対の有底円筒部材の前記フランジ部同士が連結されることにより固定されることを特徴とする請求項9または10に記載の静的流体混合器。
【請求項12】
前記筐体は、
一端部が開口された分岐部を有するボディと、
前記分岐部の開口を閉塞する蓋体とを有し、
前記分岐部は、中空室を形成するとともに、この中空室を介して前記ボディ内に入口流路と出口流路が形成され、前記本体部は、前記ボディの中空室に嵌合して配置されることを特徴とする請求項9または10に記載の静的流体混合器。
【請求項13】
前記第一ジグザグ流路、前記第二ジグザグ流路、前記流体入口部および前記流体出口部の少なくともいずれかに、スタティックミキサエレメントが配置されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の静的流体混合器。
【請求項14】
前記スタティックミキサエレメントは、流路軸心回りで所定角度ずつ交互に逆回りで捻られた複数の捻り板が直列に連結されてなることを特徴とする請求項13に記載の静的流体混合器。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の静的流体混合器と、
この静的流体混合器に複数の異種流体を合流して導く流路を形成する流路形成手段とを備えることを特徴とする静的流体混合器を用いた装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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