説明

静脈酸素化装置

【課題】ガス交換性が改良された酸素化装置を提供する。
【解決手段】酸素で富化した血液用静脈酸素化装置で、この酸素化装置が酸素及び炭酸ガスをとおすためのねじれた繊維束を有し、酸素と炭酸ガスがこの繊維をとおして第一接続部から第二接続部に流れるようにこの繊維が第一接続部によりガス供給手段と接続し第二接続部によりガス排出手段に接続し、繊維束が酸素化装置の縦軸の周りに繊維の第二接続部に対して第一接続部が相対的に回転する事によりねじれる装置であって、酸素化装置に沿って直列に配置された繊維束の近隣繊維束が同じ方向にねじれており、繊維束は各々の繊維がそれぞれねじれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は静脈酸素化装置に関し、より詳しくは一体化血液ポンプを有する静脈酸素化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
肺機能障害患者の臨床治療処置の分野において、炭酸ガスを酸素で置換して血液を酸素化し肺の主機能を手助けする事が正規の目的である。
【0003】
集中治療医学において急性呼吸不全は世界的に最もよく起こる疾患である。この疾患は明らかに酸素と炭酸ガスとの交換が不十分でありその結果非常に生命危うくしその処置には多大のスタッフと出費が関与する。広範囲な研究と新規な治療法にもかかわらず、この急性呼吸不全はなお50乃至70%と云う非常に高い死亡率を示す。
【0004】
初期呼吸不全は例えば他の機能障害からなる。初期呼吸不全は肺移植受給者における高死亡率の主要因の一つである。約四分の一の患者が肺移植を受けた一年目に死亡する。
機械呼吸は急性及び初期呼吸不全の標準治療法である。一方機械呼吸は高圧と大容量を必要とするため過度に肺を膨張しその結果まだ健全な肺領域を機械的に破壊し肺組織をかなり傷める事が知られている。
【0005】
外部膜酸素化法はこの代替えとして開発された。ここでは繊維からなる人工酸素化装置において酸素で富化し炭酸ガスを除去する外部回路を利用する。血液は大静脈からとり、ポンプでこの酸素化装置を通し大静脈に戻す。
【0006】
この治療法では手術は不幸にも観血的でそれ故出血の危険が高い。更に血液は人工表面と広範囲に接触するため血栓形成が促進され血液細胞を傷める。
血液の酸素化用静脈インプラント型装置は治療用に約15年間にわたって研究されてきた。この解決法では血液と人工表面との間には殆ど接触がない。この治療法では酸素化装置は脚の大腿静脈から導入し下大静脈に配置する。
【0007】
最古の文献である米国特許4,583,969には下大静脈に配置しようとした膜酸素化装置を開示している。この酸素化装置は約50cm長さの1200本の中空繊維束から成る。酸素はこの中空繊維を通るように流し純粋にガス分散により酸素が血液に炭酸ガスが中空繊維にそれぞれ流入する。しかし繊維束は不都合にも流れ抵抗が高く血液が多くの場所集積しそこに血栓を形成する。更にこの繊維は実質的には平行に並んでいるので血液の混合が不十分となりガス交換が低下する。
【0008】
それ以後の更なる開発は全て繊維の配置と流れ改良を基にしている。より正確にはブレークスルーは血液流速の増加と血流を繊維に対し垂直に流す事で達成できると考えられた。しかし繊維に対する垂直流れ及び完全な血液混合は流れ抵抗を高くする。
【0009】
これを補償するため文献ヨーロッパ特許EP0507724A1では繊維は静脈と平行に並べ脈動バルーンを酸素化装置の縦軸に平行な繊維の中央に配置し、このバルーンにより
血液を縦方向に直角に繊維を通過させる酸素化装置が提案されている。しかしこのバルーンは大面積を占めるため使える繊維数がガス交換の必要量のおおよそ五分の一程度に減ずる。
【0010】
米国特許5037383では小さな境界領域以外では血液は繊維に対して垂直に高速で流れる静脈酸素化装置が提案されている。この装置はガス交換には有益であるが,その圧力損失は非常に大きく水銀柱100mmHg以上になる。
この大きな圧力降下の問題を解決するため米国特許5814011では外部へ非透過の鞘、ガス交換繊維及び血液ポンプからなる酸素化装置が開示されている。ポンプが鞘内に局部的圧力差を発生し血液を高圧でこの繊維を通過させ鞘から流出するとき損傷なしに血液を静脈に再導入出来る程度にエネルギーを減少出来る。
【0011】
このアプローチでもガス交換に必要な量は到達できなかった。特に繊維配列及び/又は流れの適正化が緊急の必要性として残る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ガス交換性が改良された酸素化装置を提供することが本発明の目的である。
この目的は酸素及び炭酸ガスが流される繊維束を有する静脈酸素化装置により達成され、各繊維は第一接続部によりガス供給手段と、第二接続部によりガス排気手段で接続し、酸素と炭酸ガスが第一接続部から第二接続部へ繊維中を流れるようにし、操作時に第一接続部を繊維の第二接続部に対し酸素化装置の縦軸の周りを互いに回転して繊維束を捻ることによりこの酸素化装置は特徴付けられる。
【0013】
繊維束の選択的、少なくとも実質的に平行ねじれは血液の流れパターンに特に有益な効果をもたらす。一面ではねじれは繊維をより緻密に充填する効果がる。その結果これら繊維間に多数の細長く延びた平坦な溝が出来この溝が血液の流路として働く。得られた流れの連続性の結果血液はこれら流路を高速で流れ乱流の増加によりストークスの粘性範囲を減ずる。この結果驚くほどガス交換が増大する。ねじれにより繊維自身がこの狭い流れ溝を通して血液を縦方向に向ける手段として働く。
【課題を解決するための手段】
【0014】
繊維を放射状に展開すると繊維は米国特許5037383で知られている形状にほぼ相当する形を有する。繊維は酸素化装置の縦軸に配置した中心部のカテーテルから遠ざかるようなループを形成する。このループは酸素化装置の中心から外側に伸びほぼ180度曲がった後その中心に戻る。この屈曲点ではその折れ曲がりは繊維を閉鎖してしまうか或いはいずれにせよ流れ抵抗がかなり増加するほど急にはしない。その結果繊維は少なくとも短い部分では酸素化装置の縦軸とほぼ平行に伸びる。
【0015】
本発明の捻り繊維束ではこれとは対照的にこの繊維が屈曲点で曲がりすぎてその結果閉じてしまうという危険は全くない。繊維はむしろ外向きに伸びるとすでに周方向に曲がり始め屈曲点では酸素化装置の縦方向に垂直にこの外周に沿って十分に長く伸びる。この結果繊維が一側面から曲がりすぎるのを好都合に防止できる。しかし他の側面では繊維は未だ屈曲点で縦軸に対し垂直で、操作中繊維が血流に対し十字流パターンに配置されていることを意味する。それ故本発明はこの接続部が縦軸に垂直でない場合接続部じかの数ミリメーターの近くを除いて、繊維をこの接続部間のほぼ全長に渡って実質的に縦軸に対し垂直に広げる事が出来る。従って血液はほぼ全長にわたって繊維に対し十字流パターンで流れ、ガス交換効率更を更に向上する。
【0016】
好都合にもねじれはこの接続部を並んだ繊維35mmにつき90度から300度、好ましくは150度から270度、より好ましは約240度だけ互いに回転させる。包括試験によりこのようなねじれは酸素と炭酸ガスの交換に非常に有効であることが示された。繊維束の捻り操作により拡散が増強するというこの方法が基礎にしている考えはあるねじれ閾値までのみ適応出来る。この閾値以上では拡散は再度減少する。
代替え或いは追加的な物として有利なのは、縦軸と繊維配向をこの縦軸と同軸の円柱投影面に投影したとき、少なくとも多数、より好ましくは複数の繊維が接続部間の延長内で30度から75度、好ましくは42度から71度で、特に62度だけ縦軸に対して傾斜していることである。
【0017】
ねじれ繊維束と共に繊維の接続部は上に示した回転角だけ酸素化装置の縦軸の周りを回転する。繊維は種々な方法で接続部に据え付ける事ができ、例えば自由に回転出来るか或いはしっかりと鉗子する。もし繊維が自由回転するように接続されていると、繊維束を捻ると据え付け位置で回転し放射状配向以外は繊維が一つの接続部から他の接続部へ、即ち繊維と縦軸間距離で十分に真っ直ぐに伸びる。縦軸と同軸の円柱投影表面を展開すると縦軸の投影直線から異なった距離にある2点を結んだ投影が得られる。繊維が一つの接続部から他の接続部へ直線的に伸びていることはこの繊維の投影が少なくとも本質的に直線であることから証明できる。
【0018】
接続部への繊維の固定に関しては繊維末端が縦軸に平行に据え付けられるように配慮する。このような繊維束は捻りにより繊維配向を投影したとき一直線にはならないが二つ相反する曲面に関して実質的には中央で対称的な曲線となる。第一接続部では繊維はこの取り付けの結果空間的にも投影的にも縦軸に平行である。繊維は直ちに曲がっておりその曲率は反対接続部の回転と同方向を有する。投影的に明らかに曲面が縦軸の投影方向に向くか又はそれから遠ざかるようになり、反対接続部の投影は遠ざかる接続部の投影より縦軸の投影により近いか或いはより遠ざかるかに依存する。繊維配向はほぼその中心に屈曲があり、そこから反対接続部に到達すると繊維は再び縦軸に平行になる迄反対方向に配向した曲面の反対接続部に向かって伸びる。
【0019】
繊維投影と縦軸投影間での提案角度は繊維内で、より明確には繊維が前述の角度範囲であれば繊維長さの大部分で酸素と炭酸ガスの拡散に関して非常に良い結果をもたらす事が複雑なテスト評価が示された。これは繊維が酸素化装置の縦軸から単に放射状に投影され流れが繊維に対し直角になるという従来の最も有効な繊維配置とは驚くほど異なる。特に注目すべきは繊維に対する垂直流れは繊維を円柱投影では反映されないが縦軸に対し広角に放射状配向に傾斜させるというここに提案した配置で達成出来る事である。放射状配向で例えば繊維は明らかに酸素化装置から遠ざかるよう外側に向かって曲がり、90度の角度をとり繊維長さの半分以下ではない一定距離に達するまでこの角度を保ちながら外側に伸びる。この繊維長の半分の位置で通常曲率約180度屈曲し、この屈曲で繊維は直角に内部に向かって元に戻るように、即ち酸素化装置の縦軸方向に伸びる。この屈曲範囲では上述のように、より正確には繊維束外周で繊維は酸素化装置に対し直角に伸び、その繊維セグメントは屈曲範囲内で十字流を利用できる。反対接続部の近くでは繊維は縦軸に平行に備え付けた接続部に入るように再び約90度の曲率を有する。このような配置の結果は繊維束が同時にねじれることに加え繊維に対し繊維に対する流れは好都合である。
【0020】
繊維の正確な配向とは独立に繊維束を非透過性鞘に乗せる方法を提案する。繊維束周りの非透過性鞘により血流流路がしっかりと作られ血液の繊維通過を強制する。もし繊維束と鞘の間にギャップが出来ると、血流は全氾濫領域にわたり流れ抵抗により広がり、繊維を低速で通過する血液はほとんどないこと意味し、他方では大量の血液が高速で繊維の外を繊維とのガス交換の可能性無しに流れる。これは鞘のすぐ近くで繊維束を外から囲めば避けられる。この目的のため鞘はより正確には伸縮性があり繊維束と摩擦的に連結出来るまで自動的に収縮出来るか或いは酸素化装置の延伸に追随出来るようにする。
【0021】
大量の血液が吸収を有利するにはねじれ繊維の容積をできるだけ最大にする事である。しかし大静脈全体を繊維束で一杯にするのは繊維束の詰まりや血液ポンプの故障により血液循環を妨げるので危険である。本発明の好都合な実施形態ではねじれ繊維束は直径15乃至30mm、好ましくは直径15乃至25mmである。文献によるとヒトの大静脈は直径約30mmである。だが、本特許出願人はより正確な測定を行いかなりより小さい直径を得た。従って既知の酸素化装置では大静脈は完全に一杯になるであろう。本発明はこの点でも異なる。一つには提案繊維配置では断面が既知技術の酸素化装置より小さくても高ガス交換値がえられるほどガス交換効率が非常に高い。他方では血液が酸素化装置の周りをある程度流れるので血液は酸素化装置側の大静脈に好都合に流入し外側の酸素化装置表面に沿った実際の流れ方向に逆らう方向に流れる。従って酸素化装置の長さと正確な位置によるが、血液は例えば肺から実際の流れ方向に関して酸素化装置入り口の下流側の大静脈に流れるようになる。もし血液が十分に酸素化装置まわりを流れる事が出来るならば、少なくとも血液の一部はその上流側の酸素化装置へ流入する流れと共に流れることが出来る。その結果増加した血流は酸素化装置を通過出来る。
【0022】
放射状に変形出来るハウジングにより酸素化装置を正確に規定出来る。非透過性鞘もそれに適応できる。正確な最大直径の決定についてはハウジングは最大でも最大直径30mm、より確実には最大でも15−25mmであるよう提案する。この目的のためハウジングはその構造として周り連結棒が最大直径と一致する長さを有する構成とする。連結棒は出来るだけ伸縮してはならないが他方ハウジング及び/又は鞘より正確には縦軸方向によく伸縮出来るようにする。ハウジングが膨張するとこの連結棒により周りが膨張出来なくなるまで連結棒に張力がかかる。もしハウジング体積が増加し続けると、非伸縮性外周が制限を受け、周り対表面比は円形で最大になるから、連結棒領域でハウジングの断面は円形になる。一体化連結棒を有するハウジングはワイヤ格子で特に容易に代表出来る。
代わりに非透過性鞘は外周制限手段無しである既定限界まで膨張出来るように配置することも出来る。もしポンプが酸素化装置中で血圧より高い圧力を発生するなら、そのような鞘は酸素化装置用ハウジングとして既に十分機能する。過剰圧は差圧により生じた膨張力が鞘に内在する収縮力、例えば弾性接線引張力が加わって等しくなり、鞘膨張が止まり安定な力が均衡する迄鞘は血液中に膨張する。例えばポリウレタンやシリコンがこのような鞘用の材料として最適である。
【0023】
上述の代替え或いは追加的な物として提案できるのはねじれ繊維束の接続部を自身のねじれがほどけないように留めることである。本発明の酸素化装置の操作に関してねじれ配列は出来るだけ一定に保持しなければならない。しかしねじれをほどく力が繊維束に作用する。この力は外部起源であることもある。例えばこの力は静脈との摩擦により発生するか或いは血液が静脈にそった繊維束流路から回転性二次流れに方向転換したときの血流衝撃力により引き起る。しかしこの力は又酸素化装置内で発生し、例えば繊維を接続部に固定し静止状態の形状がねじれ状態とは異なる時繊維の保持力により発生する。ねじれのほどけを防ぐ事により繊維束が人の意識的な介入なしには本発明の配置から確実に離脱しない。
【0024】
ここで繊維束がねじれのほどけ作用に対抗しうる限界力までだけ確保するのが有利である。酸素化装置を操作しているとき、反対方向モーメントが適当な外部伝達法により接続部にかけられ、例えば一つの接続部と連結した外側カテーテルと他の接続部と連結した内側カテーテルとの二個の組み合わせカテーテルをモーメントが一致するまで反対方向に回転する事が出来る。従って操作中でもモーメントが酸素化装置にかかるがそのモーメントは実質的にはカテーテルのねじれ抵抗迄に限定される。回転を確実に実行するには従って限界力を越えた場合、即ち好ましくは限界力が十分に高く接続部を意識的に回転したときにのみ100%の確率で回転が起こるようにする。“限界力”及び“限界モーメント”という言葉は限界モーメントが力のテコと限界力との積で定義されるための同義だと考えられる。
【0025】
これらの代替え及び追加的なものとしてねじれ繊維束接続部での相互回転を制限出来る手段も備えるのも有益である。ねじれ繊維束のねじれを解放する力のような、接続部を更に回転するよう働く内部力及び外部力が生じる。もし繊維が完全に伸びた場合、即ち酸素化装置の周りでの更なる回転は繊維を切断するような場合、その繊維は接続部の回転の可能性を制限する。しかし繊維が伸びる前に更なる回転をとめるか、提案としては繊維ねじれの解放に関連して上に説明したように限界力までの回転を防止する方法を提供することを提案する。本発明の最適配置では繊維束が両方向に限界力まで確保出来れば特に有利である。
【0026】
構成に関して記述形態が特に信頼できるには繊維保持部は接続部に接続していて、第一繊維保持部と第二繊維保持部を摩擦により接続することである。従ってこのような接続部を確保する作業はもし繊維保持部が適当に配置されていれば接続部がより広い空間を持つよう回転に対抗する繊維保持部を確保する作業に変換される。
【0027】
好都合な実施形態によると繊維保持部は繊維束内容積或いは繊維束内に配置する。この繊維保持部はより正確には中心部のカテーテルを囲む円筒ジャケット形の滑り体でありこれらは中心部のカテーテルにより形成された酸素化装置の縦軸のそってスライド出来る。円筒ジャケット型滑り体を繊維接続部内部に直接設置する場合、繊維配向はこの繊維保持部により影響されない。この場合この保持装置は接続部を放射状に固定するに役立つだけである。繊維末端の繊維の外表面を加熱半田付けしその前表面を接続部の一つずつに中空環状室を提供するガス供給手段及びガス排気手段とガス供給手段或いはガス排気手段と接続する。環内部でこの室は単に機械的に接着のような方法で繊維接続部と接続する。円筒型ジャケット形の繊維保持部は更に中央縦軸周りに、より正確には繊維の反対側の端或いはその接続部を保持する繊維保持部を意味する同じ繊維束の隣接繊維保持部に対し特に自由に回転できる。
【0028】
提案した形の室は独立の部品である必要はない。むしろ室は例えば2個の繊維接続部間の空間により形成できる。この場合の提案としてはこの空間を外部からより正確には円筒状ジャケット型の鞘で限界を定め封止することである。2個の隣接繊維束の繊維を空洞が繊維の前端間に残る程度だけ反対方向に鞘へ挿入する。この空洞はガス供給手段及び/又はガス排気手段に適当に接続する。
【0029】
繊維保持部にそれぞれ接続した繊維接続部をもつ酸素化装置はこの繊維保持部が酸素化装置の縦軸の周りに互いに回転出来るように据え付けられ装置自身既に有益であり発明性がある。
【0030】
好ましい実施形態では提案される酸素化装置はこの酸素化装置縦方向と同じ繊維束用の2個の近隣繊維保持部を十分にさらには明白に伸縮できるように接続するように構成される。好都合には酸素化装置が変形している間、復元エネルギーがこのように自動的にこの伸縮性結合に保存される。結合は力或いはモーメントがかかることにより反力或いは逆モーメントが増加し繊維保持部を回転させる物として明確に見なせる。
【0031】
作用力或いはモーメントは上述の方法で2個のカテーテルを回転することにより発生し伸縮結合をもつ繊維保持部は繊維束がねじれていない静止状態から利用のためのねじれ状態に変化する。この場合外科医には酸素化装置が大静脈へ挿入中もそれに続く脱着中も回転しにくくなるという利点がある。ねじれ操作は外科医が利用する場所でだけ実行され決定される。脱着に際して外科医は酸素化装置の固定化を脱着しねじれのない形に戻すだけでよい。
【0032】
代替において繊維束は静止状態で捻ることも出来る。この場合には外科医は挿入中及び脱着中に回転を例えば2個のカテーテルを一緒に鉗子する事により防止出来るが、使用時に繊維束は常にねじれ外部からの力無しに保持される。静止状態では接続部間の繊維と力伝達結合間のモーメントが平衡しているという特徴がある。静止状態で繊維束がねじれている場合、提案としては繊維長さ35mmにつき相対的回転は90度から300度、好ましくは150度から270度、より好ましくは240度で2個の接続部間の静止状態が得られる。これらは既に詳細に議論した値でありこの値でガス交換が驚くほど重要になる。
【0033】
同じ繊維束の2個の繊維保持部間或いはむしろ一般に2個の近隣接続部間の伸縮性結合は、もし複数の繊維束が酸素化装置にそって前後に続く場合、膜及び/又は直線状のバネからなるのが特に適当である。膜は同じ繊維束の繊維保持部間にモーメントを特に簡単な方法で伝達する。もし膜が閉鎖型円筒状ジャケットの形で2個の円筒状ジャッケット型の近隣繊維保持部間にまたがっているなら、血液が繊維と衝突する外部から内容積を封止する構造が得られる。その結果繊維保持部と接続膜からなる構造はガス供給或いは排出に使用できもはやカテーテルを酸素化装置の縦方向に配向させる必要がなく、よりコンパクトでより安価な構造が可能となる。
【0034】
特筆すべき事は繊維保持部間の伸縮性膜結合を有する、より具体的にはこの結合により封止内容積が形成された酸素化装置は本発明の残る有利性とは独立に有益であり且つ発明性がある。
【0035】
直線状のバネはより正確には膜の力に反作用しそれと均衡して酸素化装置内の伸縮力が低下し膜とは静止状態では異なる条件を供与する。実際には直線状のバネは独立に膜の利点を利用できる。より正確には直線状のバネは2個の繊維保持部間の縦軸に平行に配置しこれら繊維保持部をはなすように働き、その結果引張力が中心部のカテーテルに作用する。これにより中心部のカテーテルが折れ曲がるのを最良の形で防げる。直線状の或いは曲がったバネは又繊維保持部の相互回転にも役立つ。もし膜が存在する時は、その結果常にわずかに張力がかかるようにする。もし膜内にゆるみが広がると、折り畳みが形成され血液が集積され凝血生成の危険性が増加する。
【0036】
もし酸素化装置で複数の繊維束が直列に配列されているなら、繊維束は同方向に全て捻るよう提案する。血液は繊維に力が作用して層中に広がるようしその結果その繊維を変形する。流れの乱流性及び均一性に依存するが、繊維が例えば近接しすぎ血液が繊維を通過できない領域が生成する。この問題を考える時繊維を2個の繊維固定点、例えば接続部間でその長さを可能な限り最小にするのが妥当である。複数の繊維束を直列に接続し同方向にねじる配置の有意な点は種々の繊維が不安定になりすぎるか長すぎることによりそこを流れる酸素と炭酸ガス混合物が炭酸ガスに富みすぎるようにならずに長距離の血流に渡って繊維にそってよく流れる事である。複数の繊維束が複数の対の接続部を有する場合には酸素供給はそれぞれの第一接続部で起こる。非常に大量の繊維からなる安定な構造が提供され繊維の全表面積が大であることを意味する。
【0037】
別の繊維保持部上の複数繊維束の配列で特に好ましいのは1個の繊維束の回転によりトルクを近隣の繊維束に伝達する事である。更に介入すること無しに均一なトルクが分配され繊維束の全てが同じようにねじれその結果一緒になる。
【0038】
上述の場合とは無関係に相互回転できる繊維保持部を有する酸素化装置は有利であり且つ発明性にとみ、この酸素化装置は第一繊維保持部に装備した第一駆動部と第二繊維保持部に装備した第二駆動部により特徴づけられ、この繊維保持部はお互いに向き合いこの2個の繊維保持部を同軸配列に配置しお互いに接触するように押しつけられた時この第一繊維保持部は第二繊維保持部に影響することなく少なくとも一方向へ回転限界まで第二繊維保持部に対し回転できる。もしこのような釣り合った駆動部が供与されれば、外科医は本発明に合致して、より具体的には静止時にねじれがほどけた繊維束でさえ、酸素化装置を見ずに繊維束を特に容易にねじる事が出来る。繊維束が急激に回転した時、必要モーメントは実質的には増加しないか少なくともほぼ直線的に増加する。回転限界に到達するやいなや、互いに向き合った側の駆動部が一緒に働き外科医に必要なねじれに正しく達するよう触感性フィードバックを与える。好ましくは近隣繊維束の2個の繊維保持部はクリアランスがゼロになるよう接続する。最適なガス交換のために確認した回転条件は繊維長さ35mmにつき回転限界は相対的回転として90度から300度、好ましくは150度から270度、より好ましくは240度でなければならない。
【0039】
又縦方向で接続部の相対的移動を制限するため橋台装置を繊維保持部に備えるよう提案する。例えば直接に具体的な橋台装置としては繊維が接続部を縦軸にそって一緒に移動する事により広がったとき、繊維保持部がその接続部の下から十分遠くまで突き出し2個の近隣繊維接続部が互いに接するのを防ぐか或いはその繊維が折れ曲がるのを防ぐような繊維保持部がある。
【0040】
接続部が一緒に移動したとき繊維束が単純にかつ正確に既定の範囲だけ回転させるため、上述の事とは無関係にらせん型ガイド手段をこの接続部及び/或いは繊維保持部に付与出来る。このらせん型ガイド手段はより明確には中心部のカテーテルに配置され例えば大きいピッチを持つねじの形で繊維保持部と協働する。
【0041】
好ましい実施形態では酸素化装置は繊維束と接続した歯車からなる。このような歯車は例えば接続部の回転角、より正確にはもし複数の繊維束が直列に接続しているならば繊維の第一束の回転角を示す。外科医は従ってこの第一接続部を回転させた角度を客観的に知ることが出来る。
【0042】
直列に接続した複数の繊維束を捻る回転装置に関してより正確に示唆されるのは、歯車が回転装置、例えば回転ハンドルの回転を繊維束に伝達するように縮尺長さに対する繊維束数比或いは縮尺長さ対する繊維束の全長比で回転するように回転装置と繊維束の間に取り付ける。酸素化装置内には例えば35mmの同じ長さを持った繊維10乃至15束が存在する。歯車の伝達比が繊維束数と一致し近隣繊維束が一緒に適当に接続しているなら、繊維束の全ては回転装置が一度に回転した回転角だけねじれる。変速比が10:1の歯車は例えば回転装置が240度だけ回転するよう接続部に伝達すると接続部は240度回転する。より明確には繊維保持部との接続で説明したように、もし近隣繊維束接続部が正しく接続されていれば繊維束が10個あれば繊維のそれぞれの束は約240度ねじれる。この結果外科医はそのねじれを非常によく制御出来た形でしかも捻り中酸素化装置を見ずに自身の移動も無しに非常に良く調整できる。
【0043】
特記すべきは有益であると記述してきた特徴は全ていかなる代替え或いは組み合わせたものでも有益で且つ発明性がありこれは繊維束のねじれに無関係である。
【0044】
本発明は図を参照にして以下の見本実施形態の記述を読むことでよりよく理解出来る。文献のように使用した数字は類似又は同一要素を指す。図において
【0045】
図1から図3の酸素化装置1は大腿静脈2aに導入し大静脈2bに配置する。挿入空間が限られているためガス交換を目的とした繊維3は挿入中折り畳まれて中心部のカテーテル4にそって置かれる。この配置ではこの酸素化装置の直径は非常に小さく大腿静脈2aの解剖的サイズに等しい。
【0046】
カテーテル4は市販の器具であり医療に必要な機械物性を有する。繊維束3はそれぞれその末端で繊維束3を一緒に保持する供給室6と排気室5と接続しこの供給室と排気室は同時にガスが供給室6から第一接続部12により繊維3へ、更に第二接続部13により排気室5へと流れるよう繊維3収容用の接続部12と13として働く。
円断面を有するハウジング7は繊維束3を囲む。円筒状ハウジング7は最大で大静脈2bの直径より少し小さい直径まで膨張できる変形可能なワイヤー格子型の搬送構造を持つ。このワイヤー格子は格子と共に変形する非透過性伸縮性鞘と接続する。
【0047】
繊維束3の末端でミクロ軸流ポンプがハウジング7と供給室6と接続する。柔軟なチューブ9は繊維束3の他端と接続する。柔軟なチューブ9が外に向かって連続に伸びている中心部のカテーテル4の一部(図示されていない)を囲む。この柔軟なチューブ9は同時にハウジング7と封止無しでかみ合う。
【0048】
繊維3は接続部12と13で加熱半田付けするが室5と6と接続するための自由な先端表面を有する。カテーテル4は繊維束3内側の中心を伸びポンプ側の供給室6と接続する。前述のようにこの供給室は第一接続部12を通して繊維束3と接続する。反対側の接続部13では繊維3は排気室5と接続しついで柔軟なチューブ9内のカテーテルの延長部分の外に残る自由空間と接続する。ガス流路がかくして生成しカテーテル4から繊維3を経て柔軟なチューブ9に戻るように伸びる。
【0049】
柔軟なチューブ9とカテーテル4は挿入位置を越えて皮膚を通して患者の体外に伸びる。
ミクロ軸流ポンプ8は直列に酸素化装置1の末端でハウジング7と供給室6に接続する。ポンプ8は実質的にはローター14、モーター15とポンプハウジング16からなる。ポンプ8の血液入り口は鞘7内の容積中に位置する。血液出口は鞘7の外に位置する。ポンプ8の送り方向は接続部13から接続部12に向かい生理的流れ方向(簡単な矢印で示す)を意味する。
【0050】
図2の折り畳まれていない配置では酸素化装置は下大静脈2bに配置する。繊維束3は放射状方向に広がり複数個所でねじれている。広がる事により繊維束3はその長さが短くなり囲んでいる鞘7は直径が最大になるまで膨張する。表示の例では繊維束はより正確には繊維単位長さ35mmあたり240度回転しその繊維は最初の長さ約30乃至35mmから約14mmに短縮する。繊維束はより正確には全表面積例えば約0.01mにつき200乃至250本の繊維を有する。このような配列によりテストにおいて非常に効率的なガス交換が得られた。
【0051】
図3の折り畳まれてない酸素化装置1の繊維束3は薄いリング10により規則的な間隔で中心部のカテーテル4に締め付ける。このリング10の領域で繊維3とカテーテル4の間にガイド支持枠体11を配置し繊維3を保持する。柔軟なチューブ9がカテーテル4上を滑る事により繊維束は縦方向に圧縮されその結果広がる。繊維3はかくして2個の隣接
リング10間の空間に強制的に広がる。その結果波型の繊維ユニットが複数形成される。
支持枠体11のおかげで繊維は柔軟なチューブ9の移動中とそれに伴い繊維束3が広がるあいだ容易に中心部のカテーテル上をスライド出来る。支持枠体11は近隣支持枠体11のそれぞれの側面と協動できる前側面を有する。(特に図6を見よ。)
酸素化装置1の圧縮中繊維束3は支持枠体11がそれぞれの近隣支持枠体11と接触するまで広がる事が出来る。その結果圧縮終了時に繊維ユニットの全ては2個のリング10の間で等距離を持ち、繊維束3は出来るだけ均一に広がる。繊維束3は柔軟なチューブ9の回転によりねじれる。支持枠体11の側面は2個の近隣支持枠体11に備わった2個のドライバーがもはや互いにに回転出来なくなる最大角まで回転出来るように配置する。一旦回転が最大に達するとこの2個のドライバーは接触し摩擦する。この接触は2個の近隣支持枠体11間がかみ合って接触する事で確実になる。その結果2個のリング10間の各繊維ユニットは同じだけねじれる。
【0052】
2個の支持枠体11間の空間は非透過性膜17により封止する。外側では繊維3は更に非透過性鞘を有するハウジング7で囲む。ハウジング7は一端ではポンプ8を封止するように接続し他端は封止しないで排気室7に接続する。ハウジング7の端を引っ張る事によりハウジングはより長くより細くなる。このとき鞘はハウジング7の移動と共に動く。酸素化装置1の挿入中ハウジング7は柔軟なチューブ9を引っ張ることにより伸長し、その結果排気室5がカテーテルをを覆ってポンプ8から遠ざかる。当然予期されるように代わりに排気室5側の接合をやめてハウジング或いは鞘を酸素化装置の挿入のため単に折り畳むことも出来る。
【0053】
柔軟なチューブ9を反対方向に移動すると、即ちポンプ8の方向を意味するが、大静脈2bの目的位置に一旦到達すると、酸素化装置1は長さ方向に圧縮されハウジング7と鞘はその最大直径まで膨張する。一旦圧縮されねじれると繊維3がカテーテル4とハウジング7間の全空間をみたす。
【0054】
酸素化装置1の見本実施形態では繊維は気体通過ラインとして繊維束3の全長に渡って伸びている。酸素化装置1の操作時には酸素をカテーテル4を通して供給する。酸素はカテーテル4を通して供給室6に流入する。(ガス流れは先端三角矢印で示す。)そこから酸素は第一接続部12を経て繊維3に流入し繊維表面で血液中の拡散的ガス交換が起こる。酸素はここで血液に入り炭酸ガスと交換する。第二接続部13で繊維は酸素と炭酸ガスの気体混合物を含む。この気体混合物は排気室5を通過し柔軟なチューブ9に流れそこから患者の体外に流出する。
【0055】
接続部13領域の酸素化装置1内での血流はハウジング7内のねじれ繊維束3に向かって流れポンプ8に達する。そこで血液はローター14により静脈2aと2bでの流れ方向に流れるようにし向けられ出口18を通って酸素化装置1を出る。
繊維3の周りを流れる間に起こる流れの方向転換過程の結果、血液はその流動エネルギーを失う。それ故ポンプのすぐ近くの血圧は生理的圧力である第二接続部13側の酸素化装置入り口ポートでの圧力より低い。圧力低下は再びポンプ8により均衡を保たれ出口18での圧力は再び生理的なものになる。ハウジング7の外では血液は繊維の周りを流れるために十分大きな空間26があり、流れが好都合に流れるように形成した前側面27をもち、ハウジング7外側での不均一な流れが減少するお陰で大きな圧力低下に会わない。従ってハウジング7内の圧力は大静脈2bの囲い部26内より低い。その結果生理圧が大静脈2b内で保たれ臓器が過剰圧力になるのを防止し生理的流れの血液を心臓に環流出来る。
【0056】
図4と図5に示した酸素化装置1’の代替え実施形態では繊維束3’を複数ユニットに分ける。(例では3’a及び3’bとして示している。)2個の連続した繊維ユニット3’aと3’bの間には円環室(例では19’と呼ぶ)があり2個の繊維ユニット3’aと3’bと接続している。酸素化装置1’において機械的骨格構造は両酸素化装置1と1’で同じであり酸素化装置1と同じように折り畳まれていない。繊維束3’aと3’bのねじりは柔軟なチューブ9’の回転により実施する。カテーテル4’は二ルーメンカテーテルで2個のルーメン21’と22’の複数の開口(例では20’と呼ぶ)からなる。円環室19’は柔軟なチューブ9’を縦方向に移動することにより移動する。移動が完了すると支持枠体11’が接触した事になり、円環室19’がそれぞれの関連する開口20’と同じ高さに位置する。開口20’は第二円環室19’が常にルーメン21’と22’のいずれか一つの開口と一致するように2個のルーメン21’と22’に交互に連結する。図5の詳細図に示した見本実施形態では酸素供給ルーメン21’が2個の円環室30’と31を接続する一方ガス排気ルーメン22’は細長い穴又は点型の開口カバーを経て2個の円環室32’と33’と接続する。
【0057】
酸素化装置1’の操作中酸素はカテーテル4’の酸素供給ルーメンから供給する。酸素は円環室30’と31’に入り血液中でガス交換が起き、繊維3’に入る。血液から除かれた過剰酸素と炭酸ガスの気体混合物は繊維3’から流出し、円環室32’と33’に入りそこからガス排気ルーメン22’に流入し体外に流出する。
【0058】
隣接する2個の円環室の封止は封止リングのような種々の方法で達成できる。もし伸縮性膜がカテーテルを囲み増加血圧によりこのカテーテルを押しつけ、内容積を意味する気体側を封止する場合には血液自身を封止に利用できる。
【0059】
図8,図9及び図10に示した他の酸素化装置1’は複数の直列に配置した複数の繊維ユニットからなる。カテーテル4’は一ルーメンカテーテルでガス供給室6’と接続している。別々の繊維束が支持枠体23’と接続枠体はカテーテル4’にそってスライド出来且つ回転できる。環状チャネル24’は支持枠体23 ”とカテーテルとの間に位置する。支持枠体23’は突出部25”により容易に且つ確実にカテーテルを中心部に保つ。
酸素化装置1’の操作中ガス供給室6”から出た酸素はその一部は第一繊維束3”に流入するがその一部は環状チャネル24”にも流入する。近隣支持枠体23”は伸縮により変形可能な膜17”により接続しチャネル24”を封止する。チャネル24”からの酸素及び第一繊維束40”からの酸素と炭酸ガス混合物の両者は第一繊維束40”が第二繊維束41”に接続する円環室19”に流入する。両気体の流れは混ざり合い流れバッフル26”により強制的に発生する乱流と渦により混合する。流れバッフル26”は気体がチャネル24”から出来れば円環室19”の一番底まで流入するような構造を有する。混合により繊維40”から出る気体中の炭酸ガス濃度はチャネル24”と繊維40”中の気体体積流量比に従い低下する。
【0060】
混合気体流は円環室19”から再び一部がチャネル24”に他の一部は第二の繊維束41”に流入する。このプロセスは柔軟なチューブ9”と連携している最後のガス排気室5”に達するまで各室と各繊維束で繰り返される。各円環室19”に炭酸ガス濃度が低い気体混合物を供給する事で相対的に低圧な繊維中の気体と相対的に高圧な血液中の気体との間の局部的炭酸ガス濃度勾配が増加し、その結果ガス交換がかなり増加する。
【0061】
環状チャネル24”中の気体混合物の流れ抵抗は実質的にカテーテル4”のサイズと支持枠体23”の大きさと形状に由来する。この気体の抵抗はチャネル24”と繊維束3”へ流入する気体比に影響する。室5”と6”間の圧力低下は繊維3”中の気体抵抗に実質的に依存し繊維3”を通過する流れは一定であるからチャネル24”に影響されない。チャネル24”は流れの全体積を増加させその結果中心部のカテーテル4”での圧力低下を増加する。それ故チャネル24”は繊維3”での圧力低下を増大することなしに炭酸ガスをよく排出させる。今までこれは静脈酸素化装置の主な問題の一つであった。テストでは上述の繊維を用いた場合約0.5l/minで繊維中を流すとこの値で圧力低下が非常に小さく有利であることが明らかになった。圧力低下は流量の二乗に比例する。
【0062】
より明確にはフリーなチャネル中の体積流量と繊維中の体積流量との比は3より大きく、より好ましくは4より大である。特に良好なガス交換値が比約5で得られた。
【0063】
更に強調すべきは混合室による自由な流路を用いて炭酸ガス濃度の低い気体、より正確には上述の体積流量条件に従う気体を繊維束に供給する流路システムはそれ自身提案した他の特徴に無関係に有益でかつ発明性に富む。
【0064】
当然予期されるようにここに示した見本実施形態の特徴を組み合わす事も又可能である。他の酸素化装置では例えば酸素化装置の全長にわたって伸びその長さにそって分割されている繊維に共通にガスを供給する事も出来る。例えば種々のセグメントの長さを変える事も出来る。
【0065】
より正確にはポンプは最初の血流とは反対の酸素化装置側に置くことができる。この目的のために非透過性鞘をポンプに封止するように接続し、ローター入り口からローター出口への流れがこのローターを経由してのみ可能であるようにする。好都合にはこのような構成の酸素化装置はこの鞘が取り外しに際し酸素化装置に対して単に平らになるため使用後大静脈からより簡単に取り外せる。
【0066】
更にポンプが流れ方向と反対の非透過性鞘の末端にある酸素化装置では、この鞘内の血圧は生理的循環の場合より高い。生じた力は鞘に放射状に外側へと作用する。この力は鞘が使用に必要な直径まで膨張するのに使われる。
【0067】
ポンプユニットが流れ方向と反対の酸素化装置の末端にある場合には、対象であるポンプ、ガス供給手段及びガス戻り手段を出来るだけスペースを取らないように配置する。酸素化装置の長さを出来るだけ短く保つため必要な部品を交差状に配置する事が勧められる。
【0068】
この目的のためにカテーテルと好ましくはポンプも含め中心から外れるような共通カートリッジを提案する。通常ポンプは気体カテーテルより大きな断面が必要である。カテーテルが酸素化装置断面の中心に置かれかつポンプがこのカテーテルの傍らに配置されると、酸素化装置の半径は既にカテーテル直径の半分にポンプの全直径を加えた物に相当する。ポンプが中心に位置しカテーテルがポンプから外側に伸びている場合、酸素化装置に必要な半径はポンプ直径の半分とカテーテル直径の和となる。従ってカテーテルを中心から外して配置する事によりポンプがカテーテルより大なる直径を持てば有利な断面が得られる。
カテーテルとポンプの両者を酸素化装置の縦軸がポンプの縦軸と酸素化装置の縦軸とを結ぶ線上にあるように中心から外れた配置にすると酸素化装置のポンプユニット内のスペースを特に節約出来る。ポンプ周りはこの場合ポンプユニット上の酸素化装置周りに、例えばポンプとカテーテル用の共通カートリッジ壁にぴったりと合う。
【0069】
酸素化装置の非透過性鞘は直接カートリッジと接続できる。円筒状カートリッジはしっかりとめるのに特に適している。
【0070】
このような実施例は図11と図12に示した見本実施例に示す。酸素化装置100は実質的には8個の繊維束(例では101と102と呼ぶ)からなりその束は直列に接続され非透過性鞘104中のポンプユニット103と一緒に配置する。
【0071】
繊維束は繊維保持部(例では106,107、108と呼ぶ)上に酸素カテーテル105にそって保持しこの保持部と一緒に動く。異なる繊維束の2個の近隣繊維保持部106と108はお互いに回転出来ず、鉗子或いは接着のような方法で加熱半田付けした接続部(例では110と111と呼ぶ)と接続した筒状鞘(例では109と呼ぶ)と長さ方向に移動できないように接続している。混合室112が加熱半田付け接続部110と111と鞘109の間に形成する。
【0072】
混合室112は内部で円環状混合チャネル113と同時に互いに連携している。混合室113は酸素供給室114から中断すること無しに酸素カテーテル105と繊維保持部106,107と108間の円筒状カートリッジ116の排出接続部115に伸びている。混合チャネル113は排出接続部115で中空室117と一緒になる。中空室117内で酸素カテーテル105とポンプ118は中心から外れて配置しポンプ118を分離室(名付けていないが)により固定したカートリッジ壁119に直接ぴたりと合わす。分離室は中空室117に対して封止する。唯一の例外は電線用ブッシング120だけである。電線121はこの電線用ブッシングをとおしてポンプ118から中空室117へ伸びかつそこから一緒に柔軟なチューブ122をとうして酸素カテーテル105に伸びる。中空室117は柔軟なチューブ122と接続する。ポンプ118は電線用ブッシング120に面する側で実質的に円錐状になるように配置しそれ自身でブッシング120を封止するようにする。カートリッジ116は酸素化装置100の縦軸と同軸であり中空室117の接続部124以外は炭酸ガス濃度の高い気体を再循環するため2つに分割され血液は邪魔されずにポンプ入り口125に入り口に向かって流れる。
【0073】
同じ繊維束の近隣繊維保持部106と107はお互いに240度回転する。それに従って長さ35mmの繊維からなる繊維束がねじれる。(例では各束の一繊維を130として示し呼ぶ)。繊維保持部は形状に整合するように隣接し環状の隣接表面にそれぞれ溝131と突出部132を形成し溝が突出部からはずれるほど繊維保持部が離れない限りねじれがほどけないようにする。繊維束内部で繊維保持部106と107は更に伸縮性膜(例では133と呼ぶ)と接続する。膜133は繊維保持部106、107と108及び酸素化装置100の鞘の間の血液用流れ空間に対し混合チャネル113を封止する。流れ方向と反対の酸素化装置100末端では鞘104がカートリッジ116に封止するように接続し血液はこちら側のポンプ入り口125からだけ流入出来るようにする。
【0074】
酸素化装置100の操作中ポンプ118は鞘104内で過剰圧力を発生する。気体圧は常に血圧より低くなければならず血圧が増加すると気体圧はそれに従って増加出来る。この対策だけでも既にガス交換率が十分の一増加することがテストで示された。
【0075】
流れ方向と反対の末端にポンプユニット103を配置することにより締め付け手段なしに鞘104の下流末端を取り付ける事が更に可能である。血圧が自動的に鞘104を放射状方向に膨張させ血液の流れ方向により鞘を縦方向に伸ばす。簡単な鞘構造の結果酸素化装置は大静脈内で使用後より簡単に取り外せる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】大腿静脈に導入し折り畳まれた酸素化装置の概略を示す。
【図2】大静脈中の折り畳んでいない図1の酸素化装置の概略を示す。
【図3】ガス流れを図示した図2の酸素化装置の断面図の概略を示す。
【図4】繊維を直列に接続した複数ユニットに分割した代替え酸素化装置断面図の概略を示す。
【図5】ガス流れを図解した図4の概略図の詳細を示す。
【図6】2個の繊維保持用近隣接続支持枠体の詳細断面図を示す。
【図7】相互回転する複数の支持枠体配列の平面図である。
【図8】改良ガス誘導部を持つ別の酸素化装置断面図の概略を示す。
【図9】ガス流れを示した図8での他の酸素化装置詳細図である。
【図10】は 図9の断面線X−Xにそってカットした図8と図9の支持枠体の平面図である。
【図11】上流に配置したポンプユニットを有する酸素化装置縦断面図である。
【図12】図11の線XII−XII上の断面である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素で富化した血液用静脈酸素化装置で、この酸素化装置が酸素及び炭酸ガスをとおすためのねじれた繊維束を有し、酸素と炭酸ガスがこの繊維をとおして第一接続部から第二接続部に流れるようにこの繊維が第一接続部によりガス供給手段と接続し第二接続部によりガス排出手段に接続し、繊維束が酸素化装置の縦軸の周りに繊維の第二接続部にして第一接続部が相対的に回転する事によりねじれる装置であって、酸素化装置に沿って直列に配置された繊維束の近隣繊維束が同じ方向にねじれており、繊維束は各々の繊維がそれぞれねじれていることを特徴とする装置。
【請求項2】
接続部が繊維長さ30mmあたり互いに90度から300度、好ましくは150度から270度、より好ましくは約240度回転する事を特徴とする請求項1記載の静脈酸素化装置。
【請求項3】
多数の繊維を縦軸と繊維配向を縦軸と同軸の円柱投影面に投影したとき接続部の延長内で縦軸に対して30度から75度、好ましくは42度から71度、特に62度だけ傾斜することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静脈酸素化装置。
【請求項4】
繊維がその大部分の長さ範囲で上述の角度範囲である事を特徴とする請求項3に記載の静脈酸素化装置。
【請求項5】
ねじれた繊維束がその外側の非透過性鞘に寄りかかる事を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載した静脈酸素化装置。
【請求項6】
ねじれた繊維束が直径15mmから30mm、好ましくは15mmから25mmであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載した静脈酸素化装置。
【請求項7】
ねじれた繊維束の接続部が自身のねじれがほどけないように保たれていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載した静脈酸素化装置。
【請求項8】
ねじれた繊維束の接続部が互いに更に回転するのを制限する手段で特徴づけられる請求項1乃至7のいずれかに記載した静脈酸素化装置。
【請求項9】
第一繊維保持部と第二繊維保持部間で接続部に接続したこの繊維保持部同士の摩擦によりその繊維束のねじれを確実に出来る事を特徴とする請求項7と請求項8に記載の静脈酸素化装置。
【請求項10】
接続部の相対的移動を制限するために繊維保持部に備えた橋台装置により特徴づけられる請求項1乃至のいずれかに記載の静脈酸素化装置。
【請求項11】
繊維保持部を繊維束内に配置する事を特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の静脈酸素化装置。
【請求項12】
2個の繊維保持部を実質的に伸縮性があるよう結合する事を特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の静脈酸素化装置。
【請求項13】
伸縮性結合が膜及び/又は直線状バネからなることを特徴とする請求項12に記載の静脈酸素化装置。
【請求項14】
血液が繊維束を通過するよう送り出す血液ポンプにより特徴づけられる請求項1乃至13のいずれかに記載の静脈酸素化装置。
【請求項15】
繊維束がねじれたとき、繊維と接続部間に力を伝達する結合との間のモーメントが均衡する事を特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の静脈酸素化装置。
【請求項16】
均衡モーメントが2個の繊維保持部間の各繊維の長さ30mmに対し互いに90度から300度、好ましくは150度から270度、特に好ましくは約240度回転する事により達成出来る事を特徴とする請求項15に記載の静脈酸素化装置。
【請求項17】
特に放射状方向に変形出来る非透過性鞘を持つハウジングにより特徴づけられる請求項1乃至16のいずれかに記載の静脈酸素化装置。
【請求項18】
ハウジングが最大で直径30mmまで、より正確には最大で25mmまで膨張出来ることを特徴とする請求項17に記述の静脈酸素化装置。
【請求項19】
ハウジングの担体構造としてワイヤー格子を使用する事を特徴とする請求項17または請求項18に記載の静脈酸素化装置。
【請求項20】
繊維束に連結した歯車により特徴づけられる請求項1乃至19のいずれかに記載の静脈酸素化装置。
【請求項21】
直列に接続した複数の繊維束を捻るための回転装置で、歯車を回転装置と繊維束の間に備え、この歯車が縮尺長さに対する繊維束数比か縮尺長さに対する繊維束の全長比になるよう回転装置の回転により繊維束に伝達することを特徴とする請求項20に記載の静脈酸素化装置。
【請求項22】
酸素で血液富化する静脈酸素化装置で、この酸素化装置がより正確には請求項1乃至21のいずれかに記載したように酸素と炭酸ガスの流れを通す複数の繊維束を有し、この繊維が酸素と炭酸ガスが繊維をとおして第一接続部から第二接続部に流れるように第一接続部と第二接続部により気体導管システムと接続されている酸素化装置であって、繊維を通過する流れと平行な流れを発生するため異なる接続部間を気体が流れるように混合チャネルにより特徴づけられる装置。
【請求項23】
酸素化装置を通過するとき繊維と混合チャネルによる流れ抵抗が体積流量比が少なくとも4:1(繊維内流量に対する混合チャネル内の流量比)に達する事を特徴とする請求項22に記載の静脈酸素化装置。
【請求項24】
混合チャンネルが一ルーメンカテーテルと繊維間の円環状のチャンネルであることを特徴とする請求項22に記載の静脈酸素化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−228566(P2012−228566A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−167428(P2012−167428)
【出願日】平成24年7月27日(2012.7.27)
【分割の表示】特願2004−528413(P2004−528413)の分割
【原出願日】平成15年7月22日(2003.7.22)
【出願人】(505026365)ノヴァルグ ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】