静電噴霧装置
【課題】ノズル先端の電界状態を安定させることである。
【解決手段】ハウジング(41)内に収納され且つ液体が充填された容器(11)と、後端が容器(11)内に連通し且つ先端がハウジング(41)外へ露出するノズル(20)と、該ノズル(20)の露出部を囲むように上記ハウジング(41)の外面に形成されたシュラウド部(31)とを備えている。シュラウド部(31)の一部であるノズルベース(33)と容器(11)およびノズル(20)とが一体に組み付けられ、ハウジング(41)に対して一体に着脱される噴霧カートリッジ(10)を構成している。
【解決手段】ハウジング(41)内に収納され且つ液体が充填された容器(11)と、後端が容器(11)内に連通し且つ先端がハウジング(41)外へ露出するノズル(20)と、該ノズル(20)の露出部を囲むように上記ハウジング(41)の外面に形成されたシュラウド部(31)とを備えている。シュラウド部(31)の一部であるノズルベース(33)と容器(11)およびノズル(20)とが一体に組み付けられ、ハウジング(41)に対して一体に着脱される噴霧カートリッジ(10)を構成している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電噴霧装置に関し、特に、電界状態の安定化対策に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、電気流体力学(EHD:Electro Hydrodynamic)により液体を霧化して噴霧する静電噴霧装置が知られている。この静電噴霧装置は、例えば、細径管であるノズルの先端近傍に電界を形成し、その電界力によってノズル内の液体を霧化して噴霧するものである。
【0003】
例えば特許文献1に開示されている静電噴霧装置は、液体が充填された容器(小袋)と、該容器の出口に装着されたノズルとを備えている。容器の出口部は、導電性材料で構成され、それを介して液体に高電圧が印可される。この静電噴霧装置では、容器が圧縮(圧迫)されて容器内の液体がノズルへ供給される。そうすると、ノズルの先端に電界が形成され、その静電気力によってノズルの先端から液体が霧状となって噴出する。また、上記静電噴霧装置において、容器とノズルは一体で取替可能なカートリッジを構成しており、ケーシングに対して抜き差し可能となっている。
【特許文献1】特開平05−138081号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1の静電噴霧装置では、ノズル(ノズル部片)が外部に露出しているため、少しの接触でノズルが損傷または変形してしまうという問題があった。また、ユーザーがノズルによって怪我をするという問題もあった。
【0005】
そこで、静電噴霧装置のケーシングにノズルの周囲を覆ういわゆるシュラウド部を設けることが考えられる。しかしながら、その場合、カートリッジを抜き差しする際にシュラウド部が邪魔となり、カートリッジを取り替えることができなくなる。そのため、シュラウド部を着脱可能に構成し、カートリッジの取替時にはシュラウド部を取り外す必要がある。
【0006】
一方、上記静電噴霧装置では、ノズル先端に形成される電界状態によって噴霧状態が著しく変化するため、電界状態を安定させることが非常に重要となる。ここで、ノズルの周囲にシュラウド部を設ける場合、そのシュラウド部によって電界が影響を受けるため、ノズル先端とシュラウド部との位置関係を考慮して電界強度等が設定されることとなる。しかしながら、上述したようにカートリッジを取り替える度にシュラウド部を着脱すると、ノズル先端とシュラウド部との位置関係が微妙にずれていく虞があるという問題があった。その結果、ノズル先端において電界状態を安定させることが困難になるという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、容器と共に取替可能なカートリッジを構成するノズルの周囲にシュラウドが設けられた静電噴霧装置において、カートリッジの取替を可能にしつつも、ノズル先端の電界状態の安定化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、ハウジング(41)内に収納され且つ液体が充填された容器(11)と、後端が上記容器(11)内に連通し且つ先端が上記ハウジング(41)外へ露出するノズル(20)と、該ノズル(20)の露出部を囲むように上記ハウジング(41)の外面に形成されたシュラウド部(31)と、上記容器(11)内の液体を上記ノズル(20)の先端に供給する流体搬送手段(8)と、所定の電圧を上記容器(11)内の液体に印加する電圧印加手段(12)とを備え、該電圧印加手段(12)によって電圧を印加された液体が上記ノズル(20)の先端から噴霧される静電噴霧装置を前提としている。そして、上記シュラウド部(31)は、上記容器(11)およびノズル(20)と一体に組み付けられ、これら一体で上記ハウジング(41)に対して着脱されるように構成されているものである。
【0009】
上記の発明では、シュラウド部(31)がハウジング(41)に対して着脱可能で且つ容器(11)およびノズル(20)と一体に組み付けられている。容器(11)内の液体がなくなるか少なくなると、シュラウド部(31)が容器(11)およびノズル(20)と一体で取り外される。そして、新たな容器(11)、ノズル(20)およびシュラウド部(31)が一体でハウジング(41)に装着される。したがって、ノズル(20)の先端とシュラウド部(31)との位置関係はずれない(変動しない)。つまり、本発明では、シュラウド部(31)が容器(11)およびノズル(20)と共に一体で交換可能なカートリッジを構成している。
【0010】
第2の発明は、ハウジング(41)内に収納され且つ液体が充填された容器(11)と、後端が上記容器(11)内に連通し且つ先端が上記ハウジング(41)外へ露出するノズル(20)と、該ノズル(20)の露出部を囲むように上記ハウジング(41)の外面に形成されたシュラウド部(31)と、上記容器(11)内の液体を上記ノズル(20)の先端に供給する流体搬送手段(8)と、所定の電圧を上記容器(11)内の液体に印加する電圧印加手段(12)とを備え、該電圧印加手段(12)によって電圧を印加された液体が上記ノズル(20)の先端から噴霧される静電噴霧装置を前提としている。そして、上記シュラウド部(31)の一部は、上記容器(11)およびノズル(20)と一体に組み付けられ、これら一体で上記ハウジング(41)に対して着脱されるように構成されているものである。
【0011】
上記の発明では、シュラウド部(31)の一部がハウジング(41)に対して着脱可能で且つ容器(11)およびノズル(20)と一体に組み付けられている。容器(11)内の液体がなくなるか少なくなると、シュラウド部(31)の一部が容器(11)およびノズル(20)と一体で取り外される。そして、新たな容器(11)、ノズル(20)およびシュラウド部(31)の一部が一体でハウジング(41)に装着される。したがって、ノズル(20)の先端とシュラウド部(31)との位置関係はずれない(変動しない)。つまり、本発明では、シュラウド部(31)の一部が容器(11)およびノズル(20)と共に一体で交換可能なカートリッジを構成している。
【0012】
第3の発明は、上記第2の発明において、上記シュラウド部(31)は、上記ノズル(20)の先端部を囲む平面視矩形の凹部(32)を有している。そして、上記シュラウド部(31)の一部は、上記凹部(32)の壁面(2a,2b)のうち、上記ノズル(20)との距離が最短の壁面(2a)部分に相当する部分を有しているものである。
【0013】
上記の発明では、凹部(32)の壁面(2a,2b)のうちノズル(20)と最も近い壁面(2a)部分がハウジング(41)に対して着脱可能で且つ容器(11)およびノズル(20)と一体に組み付けられている。したがって、凹部(32)においてノズル(20)との距離が最短の壁面(2a)とノズル(20)との位置関係はずれない。
【0014】
第4の発明は、上記第1乃至第3の何れか1の発明において、使用時に上記容器(11)およびノズル(20)を保持するロック部材(55)を備えているものである。
【0015】
上記の発明では、使用時において、ロック部材(55)によって容器(11)またはノズル(20)が固定される。したがって、何れの場合も、シュラウド部(31)が容器(11)およびノズル(20)と共に固定される。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明または第2の発明によれば、シュラウド部(31)の全体または一部を容器(11)およびノズル(20)と一体に取り外しができるようにした。したがって、容器(11)等を交換した際でも、ノズル(20)とシュラウド部(31)との位置関係がずれる(変動する)のを防止することができる。これにより、ノズル(20)の先端の電界状態を安定させることができる。つまり、常に一定の電界状態を形成することができる。その結果、噴霧状態の安定化を図ることができ、静電噴霧装置(1)の信頼性を向上させることができる。
【0017】
また、第3の発明によれば、シュラウド部(31)の凹部(32)においてノズル(20)と最も近い壁面部分(第1壁面(2a)の中央部分)を容器(11)等と一体に取り外しができるようにした。したがって、ノズル(20)と最も近い壁面部分が電界状態に最も影響を及ぼすところ、その壁面部分とノズル(20)との位置関係がずれるのを防止することができる。これにより、ノズル(20)先端の電界状態を効果的に安定させることができる。よって、静電噴霧装置(1)の信頼性が一層向上する。
【0018】
また、第4の発明によれば、使用時に容器(11)またはノズル(20)を保持するためのロック部材(55)を設けるようにした。したがって、使用時において、ユーザーが誤ってシュラウド部(31)またはその一部を取り出そうとしても、その取り出しを確実に防止することができる。これにより、ノズル(20)先端の電界状態を一層安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1〜図7に示すように、本実施形態の静電噴霧装置(1)は、卓上等に設置されて使用されるものである。この静電噴霧装置(1)は、本体部(40)と、台座用カバー(42)と、支持部(43)とを備えている。
【0021】
上記本体部(40)は、ハウジング(41)と、該ハウジング(41)に着脱自在に装着される噴霧カートリッジ(10)と、流体搬送手段(8)とを備えている。
【0022】
上記ハウジング(41)は、ハウジング本体(41a)と、ハウジング本体(41a)の両端をそれぞれ覆う一対のカバー部材(41b,41c)とを備えている。
【0023】
上記ハウジング本体(41a)は、円筒状に形成されている。ハウジング本体(41a)の下部には、該ハウジング本体(41a)を支持する支持部(43)が設けられている。一方、ハウジング本体(41a)の略上部には、後述する噴霧カートリッジ(10)のノズル(20)を保護するためのシュラウド部(31)が形成されている。このシュラウド部(31)は、ハウジング本体(41a)の周方向の一部が外部へ膨出してなっている。シュラウド部(31)の中央には、ノズル(20)の周囲を覆うように凹部(32)が形成されている。
【0024】
また、上記ハウジング本体(41a)の外周面において、シュラウド部(31)の下側にはLEDライト(46)が取り付けられている(図1では2個)。このLEDライト(46)は、噴霧カートリッジ(10)のノズル(20)の先端から噴霧される液体に向かって照射され、使用者が噴霧状態を確認するためのものである。また、図示はしないが、後述する定荷重ゼンマイ(51)の一端は、ハウジング本体(41a)の内部に取り付けられる。
【0025】
上記カバー部材(41b,41c)は、対となる第1カバー(41b)と第2カバー(41c)とで構成されている。先ず、第1カバー(41b)は、ハウジング本体(41a)の一端面とほぼ同外形の円形に形成され、ハウジング本体(41a)の一端面を覆うように取り付けられている。第1カバー(41b)は、使用者が、ハウジング本体(41a)の周方向に回すことができるように取り付けられている。また、第1カバー(41b)の表面には、電荷を帯びた液体に対する帯状の対向電極(44)が設けられる一方、第1カバー(41b)の裏面には、図示はしないが、第1カバー(41b)より小径の円筒状の巻上部が形成されている。この巻上部には、巻上部の周方向に沿って螺旋状に切り込まれた切欠が形成され、後述する加圧ステージ(52)の移動を規制している。次に、第2カバー(41c)は、ハウジング本体(41a)の他端面とほぼ同外形の円形に形成され、ハウジング本体(41a)の他端面を覆うように取り付けられている。第2カバー(41c)の表面には、電荷を帯びた液体に対する帯状の対向電極(44)が設けられる一方、電源部の出力調整ボリューム(図示せず)と連動するボリュームつまみ(45)が設けられている。ボリュームつまみ(45)を回転させることで、電源部からの出力電圧が適宜調整される。なお、電源部は、0kV以上で、12kV以下の値に電圧を変換するように構成されていればよい。
【0026】
上記台座用カバー(42)は、ハウジング本体(41a)の円筒状の側面に沿った碗状に形成されている。台座用カバー(42)は、使用時には支持部(43)に取り付けられ台座として用いられる(図1や図2を参照)。また、台座用カバー(42)は、非使用時(保管時)には本体部(40)のシュラウド部(31)を覆うように取り付けられノズル(20)を保護する。なお、この静電噴霧装置(1)は、支持部(43)から台座用カバー(42)を取り外して使用することで、静電噴霧装置(1)の高さを2段階に調節することができる。
【0027】
上記流体搬送手段(8)は、後述する噴霧カートリッジ(10)の容器(11)を加圧して容器(11)内の液体を噴出させるものである。
【0028】
上記流体搬送手段(8)は、図6に示すように、上記第1カバー(41b)と、2つの定荷重ゼンマイ(51,51)と、加圧ステージ(52)と、仕切板(53)とによって構成されている。流体搬送手段(8)は、加圧動作により噴霧カートリッジ(10)の容器(11)の内圧を上昇させて、後述する噴霧カートリッジ(10)のノズル(20)の先端から液体を噴出させるものである。
【0029】
上記加圧ステージ(52)は、有底円筒形状に形成され、その外側面に2つの定荷重ゼンマイ(51,51)が取り付けられている。定荷重ゼンマイ(51,51)は、一定の曲率に形成された帯状の金属板が渦巻き状に巻かれており、その金属板の一端が加圧ステージ(52)に取り付けられている。そして、定荷重ゼンマイ(51,51)は、ストロークが所定値を超えると、それ以上ストロークが大きくなっても復元力が一定である。
【0030】
上記加圧ステージ(52)は、その底部が第2カバー(41c)に向くように配設され、第1カバー(41b)から第2カバー(41c)に向かって順に、加圧ステージ(52)、噴霧カートリッジ(10)の容器(11)および仕切板(53)がハウジング本体(41a)内に配設されている。
【0031】
上記流体搬送手段(8)では、第1カバー(41b)をハウジング本体(41a)に対して一定方向に回動させることで、定荷重ゼンマイ(51,51)のバネ力によって加圧ステージ(52)が容器(11)側に移動するようになっている。これにより、容器(11)が加圧ステージ(52)と仕切板(53)とに挟まれて加圧される。また、第1カバー(41b)を上記とは逆方向に回動させると、加圧ステージ(52)が容器(11)から離間する方向に移動し、容器(11)への加圧が解除される。つまり、加圧ステージ(52)は、第1カバー(41b)の回動動作により容器(11)に対して進退するように構成されている。
【0032】
また、上記ハウジング(41)内には電圧用スイッチ(47)が設けられ、加圧ステージ(52)には電圧用スイッチ(47)をオンオフするためのプッシャー(49)が設けられている。このプッシャー(49)は、第1カバー(41b)がハウジング本体(41a)に対して相対的に回動して加圧ステージ(52)が移動することで、電圧用スイッチ(47)に接触するようになっている。流体搬送手段(8)が加圧動作にあるときは、プッシャー(49)が電圧用スイッチ(47)に接触し続けて該電圧用スイッチ(47)がオン状態に維持される。これにより、容器(11)内の液体に高電圧が印加される。流体搬送手段(8)の加圧動作が解除されたときは、プッシャー(49)が電圧用スイッチ(47)から離間して該電圧用スイッチ(47)がオフ状態となる。これによって、容器(11)内の液体への電圧印加が解除される。
【0033】
このように、本実施形態では、第1カバー(41b)を回動させることで、容器(11)への加圧動作と電圧用スイッチ(47)のオンオフが同時に行われる。
【0034】
上記噴霧カートリッジ(10)は、図4や図7に示すように、容器(11)と、導電部材(12)と、ノズル(20)と、ノズルベース(33)とを備えている。そして、これら容器(11)、導電部材(12)、ノズル(20)およびノズルベース(33)は一体に組み付けられている。
【0035】
上記容器(11)は、扁平な袋状に形成されている。具体的に、容器(11)は液体を浸透させない比較的柔軟な材料で構成された2枚の矩形状のシートを重ね合わせることによって形成されている。これらの2枚のシートは、互いの4辺が張り合わされ、短辺側の1辺には、外側に突出して開口する口(11a)が形成されている。容器(11)の内部には、保湿成分や抗酸化成分を含んだ化粧用の液体(例えば、ヒアルロン酸を含む溶液)が充填されている。この液体は、電気抵抗率が1.0×104Ωcm以上1.0×107Ωcm以下となるように濃度が調整されている。
【0036】
上記導電部材(12)は、導電性の樹脂で形成されており、容器(11)内の液体に電荷を付与する(高電圧を印加する)ための電圧印加手段を構成するものである。導電部材(12)は、容器(11)の口(11a)に挿入され、容器(11)内の液体に接触する挿入部(12a)と、該挿入部(12a)の外側端に一体形成され、容器(11)の口(11a)よりも大径に形成されたフランジ(12b)とで構成されている。この導電部材(12)は、フランジ(12b)が電源部(図示せず)と電気的に接続され、挿入部(12a)を介して容器(11)内の液体に高電圧を印加するように構成されている。
【0037】
上記ノズル(20)は、細管状のノズル本体(21)と、該ノズル本体(21)を保持するノズル保持部(22)とを備えている。ノズル本体(21)はノズル保持部(22)に挿通されて保持されている。なお、ノズル本体(21)とノズル保持部(22)とは、いわゆるインサート成形によって一体形成されている。そして、ノズル(20)は、ノズル本体(21)を導電部材(12)に形成された貫通孔に挿通した状態で導電部材(12)に取り付けられている。つまり、ノズル本体(21)は、容器(11)内の液体に連通している。なお、ノズル本体(21)は、柔軟な樹脂材料で形成され、例えば外径および内径がそれぞれ0.35mmおよびに0.1mmとなっている。
【0038】
また、上記ノズル(20)には、非使用時にノズル本体(21)内の液体の乾燥を防止するためにノズルキャップ(23)が着脱自在に取り付けられるようになっている。そして、噴霧カートリッジ(10)は、ノズル本体(21)の先端が斜め上方に向いてシュラウド部(31)の凹部(32)に露出するように、ハウジング(41)内に着脱自在に配設される。
【0039】
上記ノズルベース(33)は、図1や図7に示すように、容器(11)や導電部材(12)に固定されている。ノズルベース(33)の内側端には、導電部材(12)が収容される取付凹部(36)が形成されている。ノズルベース(33)の外側端には、ノズル本体(21)の先端部が収容されるノズル凹部(34)が設けられている。ノズル本体(21)の先端はノズル凹部(34)から突出しないようになっている。このノズル凹部(34)の底部には、取付凹部(36)と連通する貫通孔(35)が形成されていて、この貫通孔(35)にノズル(20)のノズル保持部(22)が収容されるようになっている。
【0040】
また、上記ノズルベース(33)は、図1や図2に示すように、ハウジング本体(41a)のシュラウド部(31)の一部を構成している。つまり、ノズルベース(33)のノズル凹部(34)がシュラウド部(31)の凹部(32)の一部となる。ノズルベース(33)は、シュラウド部(31)の周方向に延びる形となっており、シュラウド部(31)にはめこまれている。ノズルベース(33)の両端部には、取出し用つまみ(3a)が形成されている。
【0041】
上記噴霧カートリッジ(10)は、流体搬送手段(8)によって容器(11)が圧迫されると、容器(11)内の液体がノズル本体(21)へ供給される。一方、容器(11)内の液体に導電部材(12)を介して高電圧が印加されると、ノズル本体(21)の先端に電界が形成される。これにより、ノズル本体(21)の先端から液体が連続して霧状に噴射される。噴霧カートリッジ(10)は、容器(11)内の液体がなくなるか、少なくなると交換される。噴霧カートリッジ(10)を交換する際には、ノズルベース(33)の取出し用つまみ(3a)を引っ張ることで、ノズルベース(33)を含む噴霧カートリッジ(10)が一体でハウジング(41)から取り出される。そして、ノズルベース(33)を含む新たな噴霧カートリッジ(10)が装着される。つまり、本実施形態では、ノズルベース(33)がノズル(20)等と一体で交換される。したがって、噴霧カートリッジ(10)を交換する際、少なくともシュラウド部(31)の一部であるノズルベース(33)とノズル本体(21)の先端との位置関係が変動することはない。
【0042】
また、本実施形態では、図8に示すように、上記シュラウド部(31)において、凹部(32)の各壁面(2a,2b)とノズル本体(21)との最短距離が異なる。具体的に、凹部(32)の第1壁面(2a)(即ち、図8における上下の壁面)とノズル本体(21)との最短距離L1は、凹部(32)の第2壁面(2b)(即ち、図8における左右の壁面)とノズル本体(21)との最短距離L2よりも短い。ここで、ノズル本体(21)の周囲に凹部(32)の壁面(2a,2b)が位置するため、その壁面(2a,2b)によってノズル本体(21)の電界形成が阻害される。特に、ノズル本体(21)と最短距離にある凹部(32)の第1壁面(2a)によって電界形成が影響を受ける。
【0043】
そこで、本実施形態では、ノズル本体(21)との距離が最短となる第1壁面(2a)の中央部分をノズルベース(33)のノズル凹部(34)として形成するようにしている。これにより、シュラウド部(31)の凹部(32)において、ノズル本体(21)と最も近い第1壁面(2a)の部分とノズル本体(21)との距離が常に保持される。つまり、少なくともノズル本体(21)先端の電界状態に最も影響を及ぼす第1壁面(2a)とノズル本体(21)との位置関係が変動することはない。
【0044】
さらに、図4や図5に示すように、上記ハウジング(41)内には使用時に噴霧カートリッジ(10)を保持するロック部材(55)が設けられている。このロック部材(55)は、図9にも示すように、平面視が閂状に形成されている。ロック部材(55)は、容器(11)の口(11a)のクビ部にはまることによって、噴霧カートリッジ(10)の前後左右方向および上下方向の移動を拘束するように構成されている。これにより、噴霧カートリッジ(10)、引いてはノズル本体(21)の位置ズレを防止することができる。
【0045】
また、上記ロック部材(55)は、第1カバー(41b)の回動動作によって噴霧カートリッジ(10)に対して進退するように構成されている。非使用時には、ロック部材(55)は噴霧カートリッジ(10)から離隔した状態にある(図9(A)参照)。使用時には、第1カバー(41b)を回動することで、ロック部材(55)が噴霧カートリッジ(10)側へ移動して容器(11)の口(11a)にはまる(図9(B)参照)。このように、本実施形態では、第1カバー(41b)の回動動作により、容器(11)への加圧動作および電圧用スイッチ(47)のオンオフと共に、噴霧カートリッジ(10)のロック動作が同時に行われる。
【0046】
−運転動作−
次に、本実施形態の静電噴霧装置(1)の動作について説明する。この静電噴霧装置(1)では、いわゆるコーンジェットモードのEHD噴霧が行われる。
【0047】
この静電噴霧装置(1)は、使用者が噴霧カートリッジ(10)をハウジング(41)内に挿入すると運転可能な状態となる。このとき、加圧ステージ(52)には、定荷重ゼンマイ(51)で発生する荷重が加わっている。
【0048】
先ず、使用者が手動で第1カバー(41b)をハウジング本体(41a)の周方向に回すと、加圧ステージ(52)に対する第1カバー(41b)の規制が解除される。規制が解除されると、加圧ステージ(52)には定荷重ゼンマイ(51)のバネ力が加わり、加圧ステージ(52)が仕切板(53)に向かって移動する。移動した加圧ステージ(52)と仕切板(53)とで、容器(11)を圧迫する。圧迫された容器(11)内の液体は、ノズル本体(21)の内部に流入する。ノズル本体(21)の内部に流入した液体は、ノズル本体(21)の先端に移動する。
【0049】
一方、第1カバー(41b)を周方向に回すと、電圧用スイッチ(47)がオンされ、電源部より導電部材(12)を介して容器(11)内の液体に高電圧が印加される。また、第1カバー(41b)の回動により、ロック部材(55)によって噴霧カートリッジ(10)が保持される。高電圧が印加されて電荷を帯びた液体は分極し、ノズル本体(21)の先端の気液界面の近傍に+(プラス)の電荷を帯びた液体が集まる。そして、ノズル本体(21)の先端では、対向電極(44)との電位差によって気液界面が引き延ばされて円錐状(コーン状)となり、この円錐状となった気液界面の頂部から一部の水溶液が引きちぎられて液滴化する。なお、本実施形態の印加電圧の大きさおよび液体の電気抵抗率であれば、ノズル本体(21)の先端から飛散する液滴の大きさは、概ね50μmから200μmの範囲の大きさになる。ノズル本体(21)から飛散した液体は、ノズル本体の先端から40〜50cm程度離れた距離まで到達する。使用者が、50cm程度前方に、顔面にノズル本体(21)の先端を向けて静電噴霧装置(1)を設置すると、飛散した液滴が使用者の顔面に付着する。
【0050】
−実施形態の効果−
本実施形態では、シュラウド部(31)の一部を噴霧カートリッジ(10)の一部(ノズルベース(33))として構成し、ノズル本体(21)等と一体で取り外しができるようにした。したがって、噴霧カートリッジ(10)を交換した際でも、ノズル本体(21)とシュラウド部(31)の凹部(32)の壁面との位置関係がずれる(変動する)のを防止することができる。これにより、ノズル本体(21)先端の電界状態を安定させることができる。つまり、常に一定の電界状態を形成することができる。その結果、噴霧状態の安定化を図ることができ、静電噴霧装置(1)の信頼性を向上させることができる。
【0051】
特に、本実施形態では、シュラウド部(31)の凹部(32)においてノズル本体(21)と最も近い壁面部分(第1壁面(2a)の中央部分)を噴霧カートリッジ(10)の一部として構成するようにした。したがって、ノズル本体(21)先端の電界状態を効果的に安定させることができる。よって、静電噴霧装置(1)の信頼性が一層向上する。
【0052】
さらに、本実施形態では、使用時において噴霧カートリッジ(10)を保持するロック部材(55)を設けるようにした。したがって、使用時において、ノズル本体(21)がずれてシュラウド部(31)との位置関係が変動するのを防止することができる。また、ユーザーが誤って噴霧カートリッジ(10)を取り出そうとしても、その取り出しを確実に防止できる。これにより、ノズル本体(21)先端の電界状態を一層安定させることができる。
【0053】
また、本実施形態では、ロック部材(55)を第1カバー(41b)の回動動作に伴って移動させ、噴霧カートリッジ(10)をロックするようにした。これにより、ユーザーのロックし忘れ(即ち、人的な操作ミス)が生じることはない。よって、噴霧状態の安定化を一層図ることができ、信頼性が著しく向上する。
【0054】
《その他の実施形態》
上記実施形態において、噴霧カートリッジ(10)のノズルベース(33)の形状は上記のものに限られない。例えば、シュラウド部(31)の凹部(32)全体をノズルベース(33)として構成するようにしてもよいし、シュラウド部(31)全体をノズルベース(33)として構成するようにしてもよい。つまり、本発明は、シュラウド部(31)において電界状態に影響を及ぼす少なくとも一部をノズルベース(33)として構成し、ノズル本体(21)等と一体で取り外しが可能であればよい。
【0055】
また、上記実施形態において、容器(11)内に充填される液体に、液体の表面張力を増加させる添加物を含有させることで、容器(11)内の気泡直径を小さくするようにしてもよい。また、容器(11)の内壁表面に、容器(11)内に充填される液体と親和性の高い材料をコーティングすることで、容器(11)の内壁表面に気泡が付着するのを防止するようにしてもよい。また、噴霧する液体としてヒアルロン酸を含有した水溶液やテアニンの水溶液を用いてもよい。その他、カテキンやプロアントシアニジン等の抗酸化剤の水溶液を用いてもよい。また、微生物の繁殖を抑制する機能や微生物を死滅させる機能を有する物質を含んだ液体や、空気中の臭気分子を中和などによる化学変化で無臭化する物質を含んだ液体を用いてもよい。また、各種の香料や害虫の忌避剤等を含んだ液体を用いてもよい。
【0056】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上説明したように、本発明は、ノズル先端の周囲を覆うシュラウド部が設けられた静電噴霧装置について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】実施形態に係る静電噴霧装置の構成を第1カバー側から視て示す斜視図である。
【図2】実施形態に係る静電噴霧装置の構成を第2カバー側から視て示す斜視図である。
【図3】実施形態に係る静電噴霧装置の構成を示す正面図である。
【図4】実施形態に係る静電噴霧装置の構成を示す縦断面図である。
【図5】実施形態に係る静電噴霧装置の構成を示す縦断面図である。
【図6】流体搬送手段の構成を示す斜視図である。
【図7】噴霧カートリッジの構成を示す断面図である。
【図8】シュラウド部の要部を示す平面図である。
【図9】ロック部材の作用を示す図であり、(A)は非ロック時の状態を、(B)はロック時の状態をそれぞれ示す。
【符号の説明】
【0059】
1 静電噴霧装置
8 流体搬送手段
10 噴霧カートリッジ
11 容器
12 導電部材(電圧印加手段)
20 ノズル
31 シュラウド部
32 凹部
2a,2b 壁面
33 ノズルベース(シュラウド部の一部)
41 ハウジング
55 ロック部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電噴霧装置に関し、特に、電界状態の安定化対策に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、電気流体力学(EHD:Electro Hydrodynamic)により液体を霧化して噴霧する静電噴霧装置が知られている。この静電噴霧装置は、例えば、細径管であるノズルの先端近傍に電界を形成し、その電界力によってノズル内の液体を霧化して噴霧するものである。
【0003】
例えば特許文献1に開示されている静電噴霧装置は、液体が充填された容器(小袋)と、該容器の出口に装着されたノズルとを備えている。容器の出口部は、導電性材料で構成され、それを介して液体に高電圧が印可される。この静電噴霧装置では、容器が圧縮(圧迫)されて容器内の液体がノズルへ供給される。そうすると、ノズルの先端に電界が形成され、その静電気力によってノズルの先端から液体が霧状となって噴出する。また、上記静電噴霧装置において、容器とノズルは一体で取替可能なカートリッジを構成しており、ケーシングに対して抜き差し可能となっている。
【特許文献1】特開平05−138081号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1の静電噴霧装置では、ノズル(ノズル部片)が外部に露出しているため、少しの接触でノズルが損傷または変形してしまうという問題があった。また、ユーザーがノズルによって怪我をするという問題もあった。
【0005】
そこで、静電噴霧装置のケーシングにノズルの周囲を覆ういわゆるシュラウド部を設けることが考えられる。しかしながら、その場合、カートリッジを抜き差しする際にシュラウド部が邪魔となり、カートリッジを取り替えることができなくなる。そのため、シュラウド部を着脱可能に構成し、カートリッジの取替時にはシュラウド部を取り外す必要がある。
【0006】
一方、上記静電噴霧装置では、ノズル先端に形成される電界状態によって噴霧状態が著しく変化するため、電界状態を安定させることが非常に重要となる。ここで、ノズルの周囲にシュラウド部を設ける場合、そのシュラウド部によって電界が影響を受けるため、ノズル先端とシュラウド部との位置関係を考慮して電界強度等が設定されることとなる。しかしながら、上述したようにカートリッジを取り替える度にシュラウド部を着脱すると、ノズル先端とシュラウド部との位置関係が微妙にずれていく虞があるという問題があった。その結果、ノズル先端において電界状態を安定させることが困難になるという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、容器と共に取替可能なカートリッジを構成するノズルの周囲にシュラウドが設けられた静電噴霧装置において、カートリッジの取替を可能にしつつも、ノズル先端の電界状態の安定化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、ハウジング(41)内に収納され且つ液体が充填された容器(11)と、後端が上記容器(11)内に連通し且つ先端が上記ハウジング(41)外へ露出するノズル(20)と、該ノズル(20)の露出部を囲むように上記ハウジング(41)の外面に形成されたシュラウド部(31)と、上記容器(11)内の液体を上記ノズル(20)の先端に供給する流体搬送手段(8)と、所定の電圧を上記容器(11)内の液体に印加する電圧印加手段(12)とを備え、該電圧印加手段(12)によって電圧を印加された液体が上記ノズル(20)の先端から噴霧される静電噴霧装置を前提としている。そして、上記シュラウド部(31)は、上記容器(11)およびノズル(20)と一体に組み付けられ、これら一体で上記ハウジング(41)に対して着脱されるように構成されているものである。
【0009】
上記の発明では、シュラウド部(31)がハウジング(41)に対して着脱可能で且つ容器(11)およびノズル(20)と一体に組み付けられている。容器(11)内の液体がなくなるか少なくなると、シュラウド部(31)が容器(11)およびノズル(20)と一体で取り外される。そして、新たな容器(11)、ノズル(20)およびシュラウド部(31)が一体でハウジング(41)に装着される。したがって、ノズル(20)の先端とシュラウド部(31)との位置関係はずれない(変動しない)。つまり、本発明では、シュラウド部(31)が容器(11)およびノズル(20)と共に一体で交換可能なカートリッジを構成している。
【0010】
第2の発明は、ハウジング(41)内に収納され且つ液体が充填された容器(11)と、後端が上記容器(11)内に連通し且つ先端が上記ハウジング(41)外へ露出するノズル(20)と、該ノズル(20)の露出部を囲むように上記ハウジング(41)の外面に形成されたシュラウド部(31)と、上記容器(11)内の液体を上記ノズル(20)の先端に供給する流体搬送手段(8)と、所定の電圧を上記容器(11)内の液体に印加する電圧印加手段(12)とを備え、該電圧印加手段(12)によって電圧を印加された液体が上記ノズル(20)の先端から噴霧される静電噴霧装置を前提としている。そして、上記シュラウド部(31)の一部は、上記容器(11)およびノズル(20)と一体に組み付けられ、これら一体で上記ハウジング(41)に対して着脱されるように構成されているものである。
【0011】
上記の発明では、シュラウド部(31)の一部がハウジング(41)に対して着脱可能で且つ容器(11)およびノズル(20)と一体に組み付けられている。容器(11)内の液体がなくなるか少なくなると、シュラウド部(31)の一部が容器(11)およびノズル(20)と一体で取り外される。そして、新たな容器(11)、ノズル(20)およびシュラウド部(31)の一部が一体でハウジング(41)に装着される。したがって、ノズル(20)の先端とシュラウド部(31)との位置関係はずれない(変動しない)。つまり、本発明では、シュラウド部(31)の一部が容器(11)およびノズル(20)と共に一体で交換可能なカートリッジを構成している。
【0012】
第3の発明は、上記第2の発明において、上記シュラウド部(31)は、上記ノズル(20)の先端部を囲む平面視矩形の凹部(32)を有している。そして、上記シュラウド部(31)の一部は、上記凹部(32)の壁面(2a,2b)のうち、上記ノズル(20)との距離が最短の壁面(2a)部分に相当する部分を有しているものである。
【0013】
上記の発明では、凹部(32)の壁面(2a,2b)のうちノズル(20)と最も近い壁面(2a)部分がハウジング(41)に対して着脱可能で且つ容器(11)およびノズル(20)と一体に組み付けられている。したがって、凹部(32)においてノズル(20)との距離が最短の壁面(2a)とノズル(20)との位置関係はずれない。
【0014】
第4の発明は、上記第1乃至第3の何れか1の発明において、使用時に上記容器(11)およびノズル(20)を保持するロック部材(55)を備えているものである。
【0015】
上記の発明では、使用時において、ロック部材(55)によって容器(11)またはノズル(20)が固定される。したがって、何れの場合も、シュラウド部(31)が容器(11)およびノズル(20)と共に固定される。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明または第2の発明によれば、シュラウド部(31)の全体または一部を容器(11)およびノズル(20)と一体に取り外しができるようにした。したがって、容器(11)等を交換した際でも、ノズル(20)とシュラウド部(31)との位置関係がずれる(変動する)のを防止することができる。これにより、ノズル(20)の先端の電界状態を安定させることができる。つまり、常に一定の電界状態を形成することができる。その結果、噴霧状態の安定化を図ることができ、静電噴霧装置(1)の信頼性を向上させることができる。
【0017】
また、第3の発明によれば、シュラウド部(31)の凹部(32)においてノズル(20)と最も近い壁面部分(第1壁面(2a)の中央部分)を容器(11)等と一体に取り外しができるようにした。したがって、ノズル(20)と最も近い壁面部分が電界状態に最も影響を及ぼすところ、その壁面部分とノズル(20)との位置関係がずれるのを防止することができる。これにより、ノズル(20)先端の電界状態を効果的に安定させることができる。よって、静電噴霧装置(1)の信頼性が一層向上する。
【0018】
また、第4の発明によれば、使用時に容器(11)またはノズル(20)を保持するためのロック部材(55)を設けるようにした。したがって、使用時において、ユーザーが誤ってシュラウド部(31)またはその一部を取り出そうとしても、その取り出しを確実に防止することができる。これにより、ノズル(20)先端の電界状態を一層安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1〜図7に示すように、本実施形態の静電噴霧装置(1)は、卓上等に設置されて使用されるものである。この静電噴霧装置(1)は、本体部(40)と、台座用カバー(42)と、支持部(43)とを備えている。
【0021】
上記本体部(40)は、ハウジング(41)と、該ハウジング(41)に着脱自在に装着される噴霧カートリッジ(10)と、流体搬送手段(8)とを備えている。
【0022】
上記ハウジング(41)は、ハウジング本体(41a)と、ハウジング本体(41a)の両端をそれぞれ覆う一対のカバー部材(41b,41c)とを備えている。
【0023】
上記ハウジング本体(41a)は、円筒状に形成されている。ハウジング本体(41a)の下部には、該ハウジング本体(41a)を支持する支持部(43)が設けられている。一方、ハウジング本体(41a)の略上部には、後述する噴霧カートリッジ(10)のノズル(20)を保護するためのシュラウド部(31)が形成されている。このシュラウド部(31)は、ハウジング本体(41a)の周方向の一部が外部へ膨出してなっている。シュラウド部(31)の中央には、ノズル(20)の周囲を覆うように凹部(32)が形成されている。
【0024】
また、上記ハウジング本体(41a)の外周面において、シュラウド部(31)の下側にはLEDライト(46)が取り付けられている(図1では2個)。このLEDライト(46)は、噴霧カートリッジ(10)のノズル(20)の先端から噴霧される液体に向かって照射され、使用者が噴霧状態を確認するためのものである。また、図示はしないが、後述する定荷重ゼンマイ(51)の一端は、ハウジング本体(41a)の内部に取り付けられる。
【0025】
上記カバー部材(41b,41c)は、対となる第1カバー(41b)と第2カバー(41c)とで構成されている。先ず、第1カバー(41b)は、ハウジング本体(41a)の一端面とほぼ同外形の円形に形成され、ハウジング本体(41a)の一端面を覆うように取り付けられている。第1カバー(41b)は、使用者が、ハウジング本体(41a)の周方向に回すことができるように取り付けられている。また、第1カバー(41b)の表面には、電荷を帯びた液体に対する帯状の対向電極(44)が設けられる一方、第1カバー(41b)の裏面には、図示はしないが、第1カバー(41b)より小径の円筒状の巻上部が形成されている。この巻上部には、巻上部の周方向に沿って螺旋状に切り込まれた切欠が形成され、後述する加圧ステージ(52)の移動を規制している。次に、第2カバー(41c)は、ハウジング本体(41a)の他端面とほぼ同外形の円形に形成され、ハウジング本体(41a)の他端面を覆うように取り付けられている。第2カバー(41c)の表面には、電荷を帯びた液体に対する帯状の対向電極(44)が設けられる一方、電源部の出力調整ボリューム(図示せず)と連動するボリュームつまみ(45)が設けられている。ボリュームつまみ(45)を回転させることで、電源部からの出力電圧が適宜調整される。なお、電源部は、0kV以上で、12kV以下の値に電圧を変換するように構成されていればよい。
【0026】
上記台座用カバー(42)は、ハウジング本体(41a)の円筒状の側面に沿った碗状に形成されている。台座用カバー(42)は、使用時には支持部(43)に取り付けられ台座として用いられる(図1や図2を参照)。また、台座用カバー(42)は、非使用時(保管時)には本体部(40)のシュラウド部(31)を覆うように取り付けられノズル(20)を保護する。なお、この静電噴霧装置(1)は、支持部(43)から台座用カバー(42)を取り外して使用することで、静電噴霧装置(1)の高さを2段階に調節することができる。
【0027】
上記流体搬送手段(8)は、後述する噴霧カートリッジ(10)の容器(11)を加圧して容器(11)内の液体を噴出させるものである。
【0028】
上記流体搬送手段(8)は、図6に示すように、上記第1カバー(41b)と、2つの定荷重ゼンマイ(51,51)と、加圧ステージ(52)と、仕切板(53)とによって構成されている。流体搬送手段(8)は、加圧動作により噴霧カートリッジ(10)の容器(11)の内圧を上昇させて、後述する噴霧カートリッジ(10)のノズル(20)の先端から液体を噴出させるものである。
【0029】
上記加圧ステージ(52)は、有底円筒形状に形成され、その外側面に2つの定荷重ゼンマイ(51,51)が取り付けられている。定荷重ゼンマイ(51,51)は、一定の曲率に形成された帯状の金属板が渦巻き状に巻かれており、その金属板の一端が加圧ステージ(52)に取り付けられている。そして、定荷重ゼンマイ(51,51)は、ストロークが所定値を超えると、それ以上ストロークが大きくなっても復元力が一定である。
【0030】
上記加圧ステージ(52)は、その底部が第2カバー(41c)に向くように配設され、第1カバー(41b)から第2カバー(41c)に向かって順に、加圧ステージ(52)、噴霧カートリッジ(10)の容器(11)および仕切板(53)がハウジング本体(41a)内に配設されている。
【0031】
上記流体搬送手段(8)では、第1カバー(41b)をハウジング本体(41a)に対して一定方向に回動させることで、定荷重ゼンマイ(51,51)のバネ力によって加圧ステージ(52)が容器(11)側に移動するようになっている。これにより、容器(11)が加圧ステージ(52)と仕切板(53)とに挟まれて加圧される。また、第1カバー(41b)を上記とは逆方向に回動させると、加圧ステージ(52)が容器(11)から離間する方向に移動し、容器(11)への加圧が解除される。つまり、加圧ステージ(52)は、第1カバー(41b)の回動動作により容器(11)に対して進退するように構成されている。
【0032】
また、上記ハウジング(41)内には電圧用スイッチ(47)が設けられ、加圧ステージ(52)には電圧用スイッチ(47)をオンオフするためのプッシャー(49)が設けられている。このプッシャー(49)は、第1カバー(41b)がハウジング本体(41a)に対して相対的に回動して加圧ステージ(52)が移動することで、電圧用スイッチ(47)に接触するようになっている。流体搬送手段(8)が加圧動作にあるときは、プッシャー(49)が電圧用スイッチ(47)に接触し続けて該電圧用スイッチ(47)がオン状態に維持される。これにより、容器(11)内の液体に高電圧が印加される。流体搬送手段(8)の加圧動作が解除されたときは、プッシャー(49)が電圧用スイッチ(47)から離間して該電圧用スイッチ(47)がオフ状態となる。これによって、容器(11)内の液体への電圧印加が解除される。
【0033】
このように、本実施形態では、第1カバー(41b)を回動させることで、容器(11)への加圧動作と電圧用スイッチ(47)のオンオフが同時に行われる。
【0034】
上記噴霧カートリッジ(10)は、図4や図7に示すように、容器(11)と、導電部材(12)と、ノズル(20)と、ノズルベース(33)とを備えている。そして、これら容器(11)、導電部材(12)、ノズル(20)およびノズルベース(33)は一体に組み付けられている。
【0035】
上記容器(11)は、扁平な袋状に形成されている。具体的に、容器(11)は液体を浸透させない比較的柔軟な材料で構成された2枚の矩形状のシートを重ね合わせることによって形成されている。これらの2枚のシートは、互いの4辺が張り合わされ、短辺側の1辺には、外側に突出して開口する口(11a)が形成されている。容器(11)の内部には、保湿成分や抗酸化成分を含んだ化粧用の液体(例えば、ヒアルロン酸を含む溶液)が充填されている。この液体は、電気抵抗率が1.0×104Ωcm以上1.0×107Ωcm以下となるように濃度が調整されている。
【0036】
上記導電部材(12)は、導電性の樹脂で形成されており、容器(11)内の液体に電荷を付与する(高電圧を印加する)ための電圧印加手段を構成するものである。導電部材(12)は、容器(11)の口(11a)に挿入され、容器(11)内の液体に接触する挿入部(12a)と、該挿入部(12a)の外側端に一体形成され、容器(11)の口(11a)よりも大径に形成されたフランジ(12b)とで構成されている。この導電部材(12)は、フランジ(12b)が電源部(図示せず)と電気的に接続され、挿入部(12a)を介して容器(11)内の液体に高電圧を印加するように構成されている。
【0037】
上記ノズル(20)は、細管状のノズル本体(21)と、該ノズル本体(21)を保持するノズル保持部(22)とを備えている。ノズル本体(21)はノズル保持部(22)に挿通されて保持されている。なお、ノズル本体(21)とノズル保持部(22)とは、いわゆるインサート成形によって一体形成されている。そして、ノズル(20)は、ノズル本体(21)を導電部材(12)に形成された貫通孔に挿通した状態で導電部材(12)に取り付けられている。つまり、ノズル本体(21)は、容器(11)内の液体に連通している。なお、ノズル本体(21)は、柔軟な樹脂材料で形成され、例えば外径および内径がそれぞれ0.35mmおよびに0.1mmとなっている。
【0038】
また、上記ノズル(20)には、非使用時にノズル本体(21)内の液体の乾燥を防止するためにノズルキャップ(23)が着脱自在に取り付けられるようになっている。そして、噴霧カートリッジ(10)は、ノズル本体(21)の先端が斜め上方に向いてシュラウド部(31)の凹部(32)に露出するように、ハウジング(41)内に着脱自在に配設される。
【0039】
上記ノズルベース(33)は、図1や図7に示すように、容器(11)や導電部材(12)に固定されている。ノズルベース(33)の内側端には、導電部材(12)が収容される取付凹部(36)が形成されている。ノズルベース(33)の外側端には、ノズル本体(21)の先端部が収容されるノズル凹部(34)が設けられている。ノズル本体(21)の先端はノズル凹部(34)から突出しないようになっている。このノズル凹部(34)の底部には、取付凹部(36)と連通する貫通孔(35)が形成されていて、この貫通孔(35)にノズル(20)のノズル保持部(22)が収容されるようになっている。
【0040】
また、上記ノズルベース(33)は、図1や図2に示すように、ハウジング本体(41a)のシュラウド部(31)の一部を構成している。つまり、ノズルベース(33)のノズル凹部(34)がシュラウド部(31)の凹部(32)の一部となる。ノズルベース(33)は、シュラウド部(31)の周方向に延びる形となっており、シュラウド部(31)にはめこまれている。ノズルベース(33)の両端部には、取出し用つまみ(3a)が形成されている。
【0041】
上記噴霧カートリッジ(10)は、流体搬送手段(8)によって容器(11)が圧迫されると、容器(11)内の液体がノズル本体(21)へ供給される。一方、容器(11)内の液体に導電部材(12)を介して高電圧が印加されると、ノズル本体(21)の先端に電界が形成される。これにより、ノズル本体(21)の先端から液体が連続して霧状に噴射される。噴霧カートリッジ(10)は、容器(11)内の液体がなくなるか、少なくなると交換される。噴霧カートリッジ(10)を交換する際には、ノズルベース(33)の取出し用つまみ(3a)を引っ張ることで、ノズルベース(33)を含む噴霧カートリッジ(10)が一体でハウジング(41)から取り出される。そして、ノズルベース(33)を含む新たな噴霧カートリッジ(10)が装着される。つまり、本実施形態では、ノズルベース(33)がノズル(20)等と一体で交換される。したがって、噴霧カートリッジ(10)を交換する際、少なくともシュラウド部(31)の一部であるノズルベース(33)とノズル本体(21)の先端との位置関係が変動することはない。
【0042】
また、本実施形態では、図8に示すように、上記シュラウド部(31)において、凹部(32)の各壁面(2a,2b)とノズル本体(21)との最短距離が異なる。具体的に、凹部(32)の第1壁面(2a)(即ち、図8における上下の壁面)とノズル本体(21)との最短距離L1は、凹部(32)の第2壁面(2b)(即ち、図8における左右の壁面)とノズル本体(21)との最短距離L2よりも短い。ここで、ノズル本体(21)の周囲に凹部(32)の壁面(2a,2b)が位置するため、その壁面(2a,2b)によってノズル本体(21)の電界形成が阻害される。特に、ノズル本体(21)と最短距離にある凹部(32)の第1壁面(2a)によって電界形成が影響を受ける。
【0043】
そこで、本実施形態では、ノズル本体(21)との距離が最短となる第1壁面(2a)の中央部分をノズルベース(33)のノズル凹部(34)として形成するようにしている。これにより、シュラウド部(31)の凹部(32)において、ノズル本体(21)と最も近い第1壁面(2a)の部分とノズル本体(21)との距離が常に保持される。つまり、少なくともノズル本体(21)先端の電界状態に最も影響を及ぼす第1壁面(2a)とノズル本体(21)との位置関係が変動することはない。
【0044】
さらに、図4や図5に示すように、上記ハウジング(41)内には使用時に噴霧カートリッジ(10)を保持するロック部材(55)が設けられている。このロック部材(55)は、図9にも示すように、平面視が閂状に形成されている。ロック部材(55)は、容器(11)の口(11a)のクビ部にはまることによって、噴霧カートリッジ(10)の前後左右方向および上下方向の移動を拘束するように構成されている。これにより、噴霧カートリッジ(10)、引いてはノズル本体(21)の位置ズレを防止することができる。
【0045】
また、上記ロック部材(55)は、第1カバー(41b)の回動動作によって噴霧カートリッジ(10)に対して進退するように構成されている。非使用時には、ロック部材(55)は噴霧カートリッジ(10)から離隔した状態にある(図9(A)参照)。使用時には、第1カバー(41b)を回動することで、ロック部材(55)が噴霧カートリッジ(10)側へ移動して容器(11)の口(11a)にはまる(図9(B)参照)。このように、本実施形態では、第1カバー(41b)の回動動作により、容器(11)への加圧動作および電圧用スイッチ(47)のオンオフと共に、噴霧カートリッジ(10)のロック動作が同時に行われる。
【0046】
−運転動作−
次に、本実施形態の静電噴霧装置(1)の動作について説明する。この静電噴霧装置(1)では、いわゆるコーンジェットモードのEHD噴霧が行われる。
【0047】
この静電噴霧装置(1)は、使用者が噴霧カートリッジ(10)をハウジング(41)内に挿入すると運転可能な状態となる。このとき、加圧ステージ(52)には、定荷重ゼンマイ(51)で発生する荷重が加わっている。
【0048】
先ず、使用者が手動で第1カバー(41b)をハウジング本体(41a)の周方向に回すと、加圧ステージ(52)に対する第1カバー(41b)の規制が解除される。規制が解除されると、加圧ステージ(52)には定荷重ゼンマイ(51)のバネ力が加わり、加圧ステージ(52)が仕切板(53)に向かって移動する。移動した加圧ステージ(52)と仕切板(53)とで、容器(11)を圧迫する。圧迫された容器(11)内の液体は、ノズル本体(21)の内部に流入する。ノズル本体(21)の内部に流入した液体は、ノズル本体(21)の先端に移動する。
【0049】
一方、第1カバー(41b)を周方向に回すと、電圧用スイッチ(47)がオンされ、電源部より導電部材(12)を介して容器(11)内の液体に高電圧が印加される。また、第1カバー(41b)の回動により、ロック部材(55)によって噴霧カートリッジ(10)が保持される。高電圧が印加されて電荷を帯びた液体は分極し、ノズル本体(21)の先端の気液界面の近傍に+(プラス)の電荷を帯びた液体が集まる。そして、ノズル本体(21)の先端では、対向電極(44)との電位差によって気液界面が引き延ばされて円錐状(コーン状)となり、この円錐状となった気液界面の頂部から一部の水溶液が引きちぎられて液滴化する。なお、本実施形態の印加電圧の大きさおよび液体の電気抵抗率であれば、ノズル本体(21)の先端から飛散する液滴の大きさは、概ね50μmから200μmの範囲の大きさになる。ノズル本体(21)から飛散した液体は、ノズル本体の先端から40〜50cm程度離れた距離まで到達する。使用者が、50cm程度前方に、顔面にノズル本体(21)の先端を向けて静電噴霧装置(1)を設置すると、飛散した液滴が使用者の顔面に付着する。
【0050】
−実施形態の効果−
本実施形態では、シュラウド部(31)の一部を噴霧カートリッジ(10)の一部(ノズルベース(33))として構成し、ノズル本体(21)等と一体で取り外しができるようにした。したがって、噴霧カートリッジ(10)を交換した際でも、ノズル本体(21)とシュラウド部(31)の凹部(32)の壁面との位置関係がずれる(変動する)のを防止することができる。これにより、ノズル本体(21)先端の電界状態を安定させることができる。つまり、常に一定の電界状態を形成することができる。その結果、噴霧状態の安定化を図ることができ、静電噴霧装置(1)の信頼性を向上させることができる。
【0051】
特に、本実施形態では、シュラウド部(31)の凹部(32)においてノズル本体(21)と最も近い壁面部分(第1壁面(2a)の中央部分)を噴霧カートリッジ(10)の一部として構成するようにした。したがって、ノズル本体(21)先端の電界状態を効果的に安定させることができる。よって、静電噴霧装置(1)の信頼性が一層向上する。
【0052】
さらに、本実施形態では、使用時において噴霧カートリッジ(10)を保持するロック部材(55)を設けるようにした。したがって、使用時において、ノズル本体(21)がずれてシュラウド部(31)との位置関係が変動するのを防止することができる。また、ユーザーが誤って噴霧カートリッジ(10)を取り出そうとしても、その取り出しを確実に防止できる。これにより、ノズル本体(21)先端の電界状態を一層安定させることができる。
【0053】
また、本実施形態では、ロック部材(55)を第1カバー(41b)の回動動作に伴って移動させ、噴霧カートリッジ(10)をロックするようにした。これにより、ユーザーのロックし忘れ(即ち、人的な操作ミス)が生じることはない。よって、噴霧状態の安定化を一層図ることができ、信頼性が著しく向上する。
【0054】
《その他の実施形態》
上記実施形態において、噴霧カートリッジ(10)のノズルベース(33)の形状は上記のものに限られない。例えば、シュラウド部(31)の凹部(32)全体をノズルベース(33)として構成するようにしてもよいし、シュラウド部(31)全体をノズルベース(33)として構成するようにしてもよい。つまり、本発明は、シュラウド部(31)において電界状態に影響を及ぼす少なくとも一部をノズルベース(33)として構成し、ノズル本体(21)等と一体で取り外しが可能であればよい。
【0055】
また、上記実施形態において、容器(11)内に充填される液体に、液体の表面張力を増加させる添加物を含有させることで、容器(11)内の気泡直径を小さくするようにしてもよい。また、容器(11)の内壁表面に、容器(11)内に充填される液体と親和性の高い材料をコーティングすることで、容器(11)の内壁表面に気泡が付着するのを防止するようにしてもよい。また、噴霧する液体としてヒアルロン酸を含有した水溶液やテアニンの水溶液を用いてもよい。その他、カテキンやプロアントシアニジン等の抗酸化剤の水溶液を用いてもよい。また、微生物の繁殖を抑制する機能や微生物を死滅させる機能を有する物質を含んだ液体や、空気中の臭気分子を中和などによる化学変化で無臭化する物質を含んだ液体を用いてもよい。また、各種の香料や害虫の忌避剤等を含んだ液体を用いてもよい。
【0056】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上説明したように、本発明は、ノズル先端の周囲を覆うシュラウド部が設けられた静電噴霧装置について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】実施形態に係る静電噴霧装置の構成を第1カバー側から視て示す斜視図である。
【図2】実施形態に係る静電噴霧装置の構成を第2カバー側から視て示す斜視図である。
【図3】実施形態に係る静電噴霧装置の構成を示す正面図である。
【図4】実施形態に係る静電噴霧装置の構成を示す縦断面図である。
【図5】実施形態に係る静電噴霧装置の構成を示す縦断面図である。
【図6】流体搬送手段の構成を示す斜視図である。
【図7】噴霧カートリッジの構成を示す断面図である。
【図8】シュラウド部の要部を示す平面図である。
【図9】ロック部材の作用を示す図であり、(A)は非ロック時の状態を、(B)はロック時の状態をそれぞれ示す。
【符号の説明】
【0059】
1 静電噴霧装置
8 流体搬送手段
10 噴霧カートリッジ
11 容器
12 導電部材(電圧印加手段)
20 ノズル
31 シュラウド部
32 凹部
2a,2b 壁面
33 ノズルベース(シュラウド部の一部)
41 ハウジング
55 ロック部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(41)内に収納され且つ液体が充填された容器(11)と、後端が上記容器(11)内に連通し且つ先端が上記ハウジング(41)外へ露出するノズル(20)と、該ノズル(20)の露出部を囲むように上記ハウジング(41)の外面に形成されたシュラウド部(31)と、上記容器(11)内の液体を上記ノズル(20)の先端に供給する流体搬送手段(8)と、所定の電圧を上記容器(11)内の液体に印加する電圧印加手段(12)とを備え、該電圧印加手段(12)によって電圧を印加された液体が上記ノズル(20)の先端から噴霧される静電噴霧装置であって、
上記シュラウド部(31)は、上記容器(11)およびノズル(20)と一体に組み付けられ、これら一体で上記ハウジング(41)に対して着脱されるように構成されている
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項2】
ハウジング(41)内に収納され且つ液体が充填された容器(11)と、後端が上記容器(11)内に連通し且つ先端が上記ハウジング(41)外へ露出するノズル(20)と、該ノズル(20)の露出部を囲むように上記ハウジング(41)の外面に形成されたシュラウド部(31)と、上記容器(11)内の液体を上記ノズル(20)の先端に供給する流体搬送手段(8)と、所定の電圧を上記容器(11)内の液体に印加する電圧印加手段(12)とを備え、該電圧印加手段(12)によって電圧を印加された液体が上記ノズル(20)の先端から噴霧される静電噴霧装置であって、
上記シュラウド部(31)の一部は、上記容器(11)およびノズル(20)と一体に組み付けられ、これら一体で上記ハウジング(41)に対して着脱されるように構成されている
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項3】
請求項2において、
上記シュラウド部(31)は、上記ノズル(20)の先端部を囲む平面視矩形の凹部(32)を有し、
上記シュラウド部(31)の一部は、上記凹部(32)の壁面(2a,2b)のうち、上記ノズル(20)との距離が最短の壁面(2a)部分に相当する部分を有している
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項において、
使用時に上記容器(11)またはノズル(20)を保持するロック部材(55)を備えている
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項1】
ハウジング(41)内に収納され且つ液体が充填された容器(11)と、後端が上記容器(11)内に連通し且つ先端が上記ハウジング(41)外へ露出するノズル(20)と、該ノズル(20)の露出部を囲むように上記ハウジング(41)の外面に形成されたシュラウド部(31)と、上記容器(11)内の液体を上記ノズル(20)の先端に供給する流体搬送手段(8)と、所定の電圧を上記容器(11)内の液体に印加する電圧印加手段(12)とを備え、該電圧印加手段(12)によって電圧を印加された液体が上記ノズル(20)の先端から噴霧される静電噴霧装置であって、
上記シュラウド部(31)は、上記容器(11)およびノズル(20)と一体に組み付けられ、これら一体で上記ハウジング(41)に対して着脱されるように構成されている
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項2】
ハウジング(41)内に収納され且つ液体が充填された容器(11)と、後端が上記容器(11)内に連通し且つ先端が上記ハウジング(41)外へ露出するノズル(20)と、該ノズル(20)の露出部を囲むように上記ハウジング(41)の外面に形成されたシュラウド部(31)と、上記容器(11)内の液体を上記ノズル(20)の先端に供給する流体搬送手段(8)と、所定の電圧を上記容器(11)内の液体に印加する電圧印加手段(12)とを備え、該電圧印加手段(12)によって電圧を印加された液体が上記ノズル(20)の先端から噴霧される静電噴霧装置であって、
上記シュラウド部(31)の一部は、上記容器(11)およびノズル(20)と一体に組み付けられ、これら一体で上記ハウジング(41)に対して着脱されるように構成されている
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項3】
請求項2において、
上記シュラウド部(31)は、上記ノズル(20)の先端部を囲む平面視矩形の凹部(32)を有し、
上記シュラウド部(31)の一部は、上記凹部(32)の壁面(2a,2b)のうち、上記ノズル(20)との距離が最短の壁面(2a)部分に相当する部分を有している
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項において、
使用時に上記容器(11)またはノズル(20)を保持するロック部材(55)を備えている
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2009−172487(P2009−172487A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−11935(P2008−11935)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]