説明

静電噴霧装置

【課題】静電噴霧装置において、使用者から対向電極への静電気放電に伴って使用者に与えられる電撃を抑制する。
【解決手段】静電噴霧装置(1)は、タンク(71)と、該タンク(71)に取り付けられた管状の噴霧ノズル(72)と、外表面に露出した対向電極(12)と、搬送ユニット(40)と、電界形成機構(6)とを備える。静電噴霧装置(1)は、搬送ユニット(40)によってタンク(71)内の噴霧用液体を噴霧ノズル(72)の先端に搬送すると共に、電界形成機構(6)によって噴霧用液体に電圧を印加して噴霧ノズル(72)の先端と対向電極(12)との間に電界を形成することによって噴霧ノズル(72)の先端から噴霧用液体を噴霧する。静電噴霧装置(1)に、電界形成機構(6)が印加する電圧の極性を正極性と負極性とに交互に切り換える出力制御部(62)を設け、上記対向電極(12)を非接地電極によって構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電噴霧装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、電気流体力学(EHD:Electro Hydrodynamic)現象を利用して液体を噴霧する静電噴霧装置が知られている(例えば、下記特許文献1を参照)。この静電噴霧装置は、例えば細径管の開口端の近傍に電界を形成し、その電界の不平等性を用いて細径管内の液体を霧化して噴霧するものである。
【0003】
例えば、特許文献1では、容器内に貯留された噴霧用液体をノズルの先端に搬送すると共に、容器内に貯留された噴霧用液体に高電圧を印加する。これにより、ノズルの先端に搬送された帯電した噴霧用液体と接地された対向電極との間に電位差が生じ、この電位差によってノズルの先端と対向電極との間に電界が形成される。この電界により、噴霧用液体が引きちぎられて液滴となって拡散される。特許文献1では、噴霧用液体が化粧水であり、液滴は使用者の顔面等に付着するように拡散させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−022891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ノズルの先端との間に電界を形成する対向電極は、通常、静電噴霧装置の外表面に露出するように形成されている。一方、帯電した噴霧用液体の液滴を浴びた使用者には、電荷が蓄積されている。そのため、例えば、使用者が静電噴霧装置を操作する等して対向電極に触れた際に、使用者に蓄積された電荷が対向電極に移動する静電気放電が生じて、使用者に電撃を与えるおそれがあった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、静電噴霧装置において、使用者から対向電極への静電気放電に伴って使用者に与えられる電撃を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、噴霧用液体を貯留する貯留容器(71)と、上記貯留容器(71)に取り付けられた管状のノズル(72)と、上記貯留容器(71)内の噴霧用液体を上記ノズル(72)の先端(72a)に搬送する搬送機構(40)と、外表面に露出された対向電極(12)と、上記噴霧用液体に電圧を印加することによって、上記ノズル(72)の先端(72a)から上記噴霧用液体が噴霧されるように上記ノズル(72)の先端(72a)と上記対向電極(12)との間に電界を形成する電界形成機構(6)と、上記電界形成機構(6)が上記噴霧用液体に印加する電圧の極性を正極性と負極性とに交互に切り換える切換制御部(62)とを備え、上記対向電極(12)は、非接地電極によって構成されている。
【0008】
第1の発明では、電界形成機構(6)によって噴霧用液体に電圧が印加されてノズル(72)の先端(72a)と対向電極(12)との間に電界が形成されると、搬送機構(40)によってノズル(72)の先端(72a)に搬送された噴霧用液体が、ノズル(72)の先端(72a)から微細な液滴となって放出される。このようにノズル(72)の先端(72a)から放出された液滴は帯電しているため、この液滴を浴びた使用者には電荷が蓄積されていく。しかしながら、第1の発明では、対向電極(12)を非接地電極によって構成しているため、対向電極(12)を接地電極によって構成した場合に比べて、静電気放電が生じ難くなる。つまり、同じ材料によって接地電極と非接地電極とを構成した場合、非接地電極の方が接地電極に比べて電気抵抗が大きいため、電荷が移動し難い。そのため、上述のように対向電極(12)を非接地電極によって構成すると、接地電極によって構成した場合に比べて、使用者に蓄積された電荷が対向電極(12)へ移動し難くなる。つまり、静電気放電が生じ難くなる。
【0009】
ところで、対向電極(12)に帯電した噴霧用液体の液滴が付着すると、対向電極(12)が電荷を帯びることとなるが、対向電極(12)が非接地電極によって構成されていると、電荷をアースに逃がすことができないため、対向電極(12)に電荷が蓄積されてしまう。そのため、噴霧用液体への印加電圧の極性が一定であると、噴霧に伴って対向電極に一方の極性の電荷が蓄積されていく。その結果、ノズル(72)の先端(72a)と対向電極(12)との間の電位差が減少し、噴霧用液体が噴霧されるような電界を形成することができなくなる。
【0010】
しかしながら、第1の発明では、切換制御部(62)によって噴霧用液体に印加される電圧の極性が正極性と負極性とに交互に切り換えられる。そのため、ノズル(72)の先端(72a)からは、正の電荷を帯びた噴霧用液体の液滴と、負の電荷を帯びた噴霧用液体の液滴とが交互に噴霧される。これにより、対向電極(12)に一方の極性の電荷のみが蓄積されず、ノズル(72)の先端(72a)と対向電極(12)との間に噴霧用液体を噴霧するための電界が安定的に形成される。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、上記対向電極(12)は、導電性樹脂材料によって形成されている。
【0012】
第2の発明では、対向電極(12)が導電性樹脂材料によって形成されている。導電性樹脂材料は、金属に比べて電気抵抗率が高いために電荷が移動し難く、また、電荷の移動速度が遅い材料である。ところで、人から物体への静電気放電に伴って人に与えられる電撃は、電荷の移動速度に依存する。つまり、電荷の移動速度が速くなるほど電撃は大きくなり、人に痛みを与えることとなる。そのため、上述のように対向電極(12)を導電性樹脂材料によって形成すると、使用者から対向電極(12)への静電気放電がより生じ難くなると共に、静電気放電が生じたとしても、対向電極(12)を金属によって形成した場合に比べて電荷の移動速度が遅くなるため、使用者に与えられる電撃が小さくなる。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明によれば、対向電極(12)を非接地電極によって構成したため、対向電極(12)を接地電極によって構成した場合に比べて、使用者から対向電極(12)への電荷の移動を抑制することができる。従って、使用者から対向電極(12)への静電気放電を抑制することができるため、静電気放電に伴って使用者に与えられる電撃を抑制することができる。
【0014】
また、第1の発明によれば、切換制御部(62)によって噴霧用液体に印加される電圧の極性を正極性と負極性とに交互に切り換えることとしたため、対向電極(12)に一方の極性の電荷が蓄積されることを抑制することができる。従って、ノズル(72)の先端(72a)と対向電極(12)との間に噴霧用液体を噴霧するための電界を安定的に形成することができる。
【0015】
また、第2の発明によれば、対向電極(12)を導電性樹脂材料によって形成することにより、金属によって対向電極(12)を形成した場合に比べて、使用者から対向電極(12)への静電気放電をより抑制することができると共に、静電気放電が生じたとしても使用者に与えられる電撃を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、実施形態の静電噴霧装置の全体を示す斜視図である。
【図2】図2は、実施形態の静電噴霧装置の縦断面図である。
【図3】図3は、実施形態の静電噴霧装置の上部を示す斜視図である。
【図4】図4は、実施形態の静電噴霧装置のトップカバーの内部構造を示す図である。
【図5】図5は、実施形態の静電噴霧装置のシステム構成を示す図である。
【図6】図6は、実施形態の静電噴霧装置の搬送ユニットの概略構成図である。
【図7】図7は、実施形態の噴霧カートリッジを示す縦断面図である。
【図8】図8は、実施形態の噴霧カートリッジの正面図である。
【図9】図9は、実施形態の変形例の噴霧カートリッジを示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
本実施形態は、卓上型の静電噴霧装置(1)である。この静電噴霧装置(1)は、オフィスのデスク上に置いて使用することを想定して設計されている。つまり、この静電噴霧装置(1)は、後述するケーシング(10)の底カバー(10b)が設置面(200)と接する正立姿勢で使用することを想定して設計されている。
【0019】
図1,図2及び図5に示すように、本実施形態の静電噴霧装置(1)は、装置本体(5)と、ACアダプタ(2)と、電源コードであるUSBケーブル(3a)とを備えている。装置本体(5)は、ケーシング(10)と、噴霧用液体を貯留する噴霧カートリッジ(70)と、搬送ユニット(40)と、高電圧電源ユニット(50)と、制御器であるコントローラ(60)とを備えている。噴霧カートリッジ(70)、搬送ユニット(40)、高電圧電源ユニット(50)、及びコントローラ(60)は、ケーシング(10)に収容されている。
【0020】
ケーシング(10)は、両端が閉塞された中空円筒状に形成されている。ケーシング(10)は、本体カバー(10a)と、底カバー(10b)と、トップカバー(11)とから構成されている。底カバー(10b)及びトップカバー(11)は、本体カバー(10a)に取り付けられている。尚、本実施形態では、噴霧用液体の噴霧方向を前面側とし、噴霧方向の背後方向を背面側としている。
【0021】
本体カバー(10a)は、両端が開口した縦長の円筒状に形成されている。また、本体カバー(10a)は、その長手方向の中央部が僅かにくびれた形状となっている。底カバー(10b)は、概ね円板状に形成され、本体カバー(10a)の下端を塞いでいる。トップカバー(11)は、円形のキャップ状に形成され、本体カバー(10a)の上端を塞いでいる。このトップカバー(11)は、装置本体(5)の前側(即ち、噴霧用液体の噴霧方向)に向かって傾斜した姿勢で、本体カバー(10a)に固定されている。
【0022】
図3及び図4に示すように、トップカバー(11)には、噴霧カートリッジ(70)の噴霧ノズル(72)を露出させるための噴霧開口部(14)が形成されている。また、トップカバー(11)には、噴霧開口部(14)を開閉するためのシャッタ(13)が取り付けられている。このシャッタ(13)は、スライドすることによって噴霧開口部(14)を開閉する。トップカバー(11)には、電源スイッチ(15)が取り付けられている。この電源スイッチ(15)は、シャッタ(13)によって操作される。つまり、使用者がシャッタ(13)を操作して噴霧開口部(14)を開くと電源スイッチ(15)がON状態となり、使用者がシャッタ(13)を操作して噴霧開口部(14)を閉じると電源スイッチ(15)がOFF状態となる。
【0023】
トップカバー(11)と本体カバー(10a)との間には、周方向に亘って帯状の対向電極(12)が設けられている。この対向電極(12)は、噴霧ノズル(72)の先端(72a)(噴霧ノズル(72)の噴出口側の端部)との間で電界を発生させるためのものであり、装置本体(5)の外表面に露出している。詳細については後述するが、対向電極(12)は、高電圧電源ユニット(50)の基準電位部(55)と電気的に接続された非接地電極によって構成されている。また、本実施形態では、対向電極(12)は、樹脂と導電材とを所定の割合で混合した導電性樹脂材料によって形成されている。
【0024】
本体カバー(10a)の背面側には、リアカバー(17)が着脱可能に取り付けられている。このリアカバー(17)は、後述する上部機器室(28)を塞ぐための部材であって、やや湾曲した矩形板状に形成されている。リアカバー(17)は、噴霧カートリッジ(70)を交換する際に着脱される。
【0025】
ケーシング(10)は、その内部に下側ベース(21)と上側ベース(22)と仕切板(23)とを備えている。下側ベース(21)はケーシング(10)内の底部寄りに設けられている。上側ベース(22)はケーシング(10)の長手方向の概ね中央に設けられている。各ベース(21,22)は、水平方向に延びてケーシング(10)内を上下に区画している。仕切板(23)は、下側ベース(21)と上側ベース(22)との間に亘って設けられている。ケーシング(10)の内部における下側ベース(21)と上側ベース(22)との間の空間は、仕切板(23)によって前後に区画される。
【0026】
下側ベース(21)と上側ベース(22)との間には、中央機器室(24)が区画されている。そして、中央機器室(24)は、上述した仕切板(23)により、前面側の第1中央機器室(25)と背面側の第2中央機器室(26)とに区画されている。また、下側ベース(21)の下方に下部機器室(27)が区画され、上側ベース(22)の上方に上部機器室(28)が区画されている。
【0027】
下部機器室(27)には、温湿度センサ(29)と、人検知センサ(30)と、USB基板(31)とが収容されている。
【0028】
温湿度センサ(29)は、静電噴霧装置(1)が設置された部屋の空気の温度と湿度を検知するセンサである。この温湿度センサ(29)は、コントローラ(60)に接続され、計測値をコントローラ(60)に送信する。
【0029】
人検知センサ(30)は、静電噴霧装置(1)の噴霧対象となる使用者の有無を検知するためのものである。人検知センサ(30)は、例えば焦電型赤外線センサに構成されている。人検知センサ(30)は、下部機器室(27)内の前面側に収容されている。そして、人検知センサ(30)は、そのセンサ面をケーシング(10)の開口を介して前面側の斜め上方向を向くように配置されている。人検知センサ(30)は、コントローラ(60)に接続され、検知信号をコントローラ(60)に送信する。
【0030】
USB(Universal Serial Bus)基板(31)は、USBケーブル(3a)のコネクタ(3)が挿入されるものである。このUSB基板(31)は、下部機器室(27)の底部に配置されている。USB基板(31)には、コネクタ(3)が接続される接続部(32)を備えている。USB基板(31)は、ケーシング(10)の本体カバー(10a)の背面に露出している。USBケーブル(3a)のコネクタ(3)は、本体カバー(10a)の背面側からUSB基板(31)に挿入され、ケーシング(10)の側方へ突出する。そして、コネクタ(3)を有するUSBケーブル(3a)が、突出部を構成している。
【0031】
ACアダプタ(2)は、家庭用の商用電源のコンセントに接続され、電圧100Vの交流を電圧5Vの直流に変換する。ACアダプタ(2)は、USBケーブル(3a)を介して装置本体(5)に接続されている。なお、本実施形態の静電噴霧装置(1)を構成する装置本体(5)は、USBケーブル(3a)を介して例えばパソコンのUSBポートに接続され、パソコンから供給される電力によって駆動されてもよい。
【0032】
搬送ユニット(40)は、図5及び図6に示すように、後述する噴霧カートリッジ(70)のタンク(71)内に空気を送り込むことで、空気圧によってタンク(71)内の噴霧用液体を押し出すことによって噴霧ノズル(72)の先端(72a)に搬送するためのものであり、搬送機構を構成している。搬送ユニット(40)は、エアポンプ(41)と、圧力センサ(43)と、空気管(42)とを備えている。エアポンプ(41)及び空気管(42)は、空気供給器を構成している。
【0033】
エアポンプ(41)は、タンク(71)内に空気を送り込むためダイアフラムポンプである。エアポンプ(41)は、下部機器室(27)内に収容されている。下部機器室(27)内では、エアポンプ(41)が下側ベース(21)の下面に固定されている。
【0034】
空気管(42)は、エアポンプ(41)の空気をタンク(71)内に送るためのものである。空気管(42)は、下部機器室(27)から上部機器室(28)まで延びるチューブに構成されている。空気管(42)は、一端がエアポンプ(41)に接続され、他端がタンク(71)の吸入口(79)に接続されている。
【0035】
圧力センサ(43)は、空気管(42)に接続され、空気管(42)内を流れる空気の圧力を計測する。この圧力センサ(43)は、制御基板(61)に取り付けられると共に該制御基板(61)上に形成されたコントローラ(60)に接続され、計測値をコントローラ(60)に送信する。上述したように、空気管(42)は、タンク(71)に接続されている。このため、空気管(42)を流れる空気の圧力は、タンク(71)内の圧力と実質的に等しくなる。従って、圧力センサ(43)は、実質的にはタンク(71)内の圧力を計測している。
【0036】
高電圧電源ユニット(50)は、電極部材(84)を介してタンク(71)内の噴霧用液体に正極性または負極性の高電圧を印加するためのものである。図5に示すように、高電圧電源ユニット(50)は、出力部(51)と基準電位部(55)とを備えている。
【0037】
出力部(51)は、ACアダプタ(2)から供給された電圧(+5V)を高電圧に昇圧して出力する。この出力部(51)は、第1中央機器室(25)内に収容された基板(52)上に形成されており、図外のトランジスタ及びダイオードや、トランス(53)等の電子部品を備えている。出力部(51)は、ACアダプタ(2)から供給された電圧(+5V)を+3kVから+5kVの間、又は−4kVから−7kVの間の高電圧に昇圧させる。出力部(51)の出力端子には、高圧ライン(54)の他端が電気的に接続されている。そして、出力部(51)は、高圧ライン(54)及び電極部材(84)を介してタンク(71)内の噴霧用液体に高電圧を印加する。尚、出力部(51)は出力させる電圧の極性を切換可能に構成されている。
【0038】
一方、基準電位部(55)は、出力部(51)の低圧側に接続されて該出力部(51)に対して基準電位を与えるものである。基準電位部(55)は、第1中央機器室(25)内に収容された基板(52)に形成され、アースに接続されない非接地状態に構成されている。また、基準電位部(55)は、基準電位ライン(56)を介して対向電極(12)に電気的に接続されている。このように非接地状態の基準電位部(55)に対向電極(12)が接続されることにより、対向電極(12)は、アースと同電位には保たれず、基板(52)の基準電位と概ね同じ電位となっている。つまり、対向電極(12)は、アースに接続された接地電極ではなく、アースに接続されない非接地電極によって構成されている。
【0039】
コントローラ(60)は、静電噴霧装置(1)の噴霧動作を制御するものである。コントローラ(60)は、第2中央機器室(26)に収容された制御基板(61)上に形成され、出力制御部(62)と搬送制御部(63)とを備えている(図5を参照)。コントローラ(60)には、圧力センサ(43)、人検知センサ(30)、温湿度センサ(29)、電源スイッチ(15)、カートリッジスイッチ(64)及び転倒スイッチ(65)が接続されている。
【0040】
出力制御部(62)は、高電圧電源ユニット(50)から出力される電圧を制御するためのものである。具体的には、出力制御部(62)は、高電圧電源ユニット(50)の印加電圧の極性を正極性と負極性とに交互に切り換える、いわゆる交番制御を行うように構成されている。つまり、出力制御部(62)は、交番制御を行う切換制御部を構成している。出力制御部(62)には、交番制御における正極性の印加電圧Vpとその出力時間Tpとが設定されている。また、出力制御部(62)には、交番制御における負極性の印加電圧Vnとその出力時間Tnとが設定されている。正極性の印加電圧Vpは、例えば+3kV〜+5kVの所定値に設定され、その出力時間Tpは、例えば7秒程度に設定されている。一方、負極性の印加電圧Vpは、例えば−7kV〜−4kVの所定値に設定され、その出力時間Tnは、例えば4秒程度に設定されている。出力制御部(62)は、上記印加電圧Vp、出力時間Tp、印加電圧Vn及び出力時間Tnに基づいて交番制御を行う。
【0041】
搬送制御部(63)は、搬送ユニット(40)の噴霧用液体の搬送力を制御するためのものである。具体的には、搬送制御部(63)には、圧力センサ(43)、温湿度センサ(29)、及び人検知センサ(30)の検知データが入力される。そして、搬送制御部(63)は、各検知データに基づいてエアポンプ(41)から送られる空気の圧力を調節する。
【0042】
また、コントローラ(60)は、圧力センサ(43)の計測値に基づいて、噴霧用液体の噴霧を継続させるか停止させるかを判断する。このコントローラ(60)の動作については後述する。
【0043】
カートリッジスイッチ(64)は、噴霧カートリッジ(70)がケーシング(10)に装着される状態でONされ、噴霧カートリッジ(70)がケーシング(10)から外れた状態でOFFされる。カートリッジスイッチ(64)がOFFされると、コントローラ(60)から高電圧電源ユニット(50)に対して、出力部(51)の出力を停止させる信号が出力される。つまり、静電噴霧装置(1)は、ケーシング(10)から噴霧カートリッジ(70)が外れた状態では、高電圧電源ユニット(50)がOFFされて噴霧動作の実行が禁止される。
【0044】
転倒スイッチ(65)は、静電噴霧装置(1)の底カバー(10b)に形成されている。転倒スイッチ(65)は、静電噴霧装置(1)が正立姿勢となって底カバー(10b)と設置面(200)とが接する状態でONされ、静電噴霧装置(1)が転倒して底カバー(10b)と設置面(200)とが離れる状態でOFFされる。転倒スイッチ(65)がOFFされると、コントローラ(60)から高電圧電源ユニット(50)に対して、出力部(51)の出力を停止させる信号が出力される。つまり、静電噴霧装置(1)は、該静電噴霧装置(1)が転倒した状態では、高電圧電源ユニット(50)がOFFされて噴霧動作の実行が禁止される。
【0045】
噴霧カートリッジ(70)は、図7及び図8に示すように、貯留した噴霧用液体に電荷を付与して噴霧させるためのものである。この噴霧カートリッジ(70)は、タンク(71)と、電極部材(84)と、噴霧ノズル(72)と、ノズルベース(74)と、把手部(86)とを備えている。噴霧カートリッジ(70)は、分解不能に構成されている。従って、タンク(71)内の噴霧用液体を使い切った場合、空(カラ)になった噴霧カートリッジ(70)は、噴霧用液体が充填された新しい噴霧カートリッジ(70)に交換される。
【0046】
タンク(71)は、噴霧用液体を内部に貯留するための容器であって、ノズルベース(74)と共に貯留容器を構成している。タンク(71)には、例えばヒアルロン酸を含んだ水溶液が噴霧用液体として貯留されている。具体的には、タンク(71)は、略矩形状の箱体に形成されて噴霧カートリッジ(70)の下部を構成している。このタンク(71)は、その底部が背面側に向かって下方に傾斜する底板(71b)に形成されている。このため、タンク(71)の内部空間は、その背面側の部分が最深部となっている。
【0047】
ノズルベース(74)は、噴霧ノズル(72)を保持するための部材である。ノズルベース(74)は、略円筒状に形成され、タンク(71)の首部材(71a)を介してタンク(71)と一体に形成されている。ノズルベース(74)は、内側凹部(75)と外側凹部(82)とが形成されている。
【0048】
内側凹部(75)は、ノズルベース(74)の内側端に形成された凹部である。内側凹部(75)は、底部の中央に軸方向の内側に突出した保持部(77)が形成されている。保持部(77)には、噴霧ノズル(72)が挿通される貫通孔(78)が形成されている。保持部(77)の周囲には、シール部材(81)が取り付けられている。このシール部材(81)は、内側凹部(75)の内壁(76)と保持部(77)との間の隙間(85)の一部を埋めるものであって、本発明に係るスペーサ部材を構成している。隙間(85)の一部をシール部材(81)が埋めることで、タンク(71)内の噴霧用液体が隙間(85)に侵入するのを防止している。内側凹部(75)の内壁(76)には、空気管(42)の他端が接続される吸入口(79)が形成されている。
【0049】
外側凹部(82)は、ノズルベース(74)の外側端に形成された凹部である。外側凹部(82)の内壁(83)は、後述する噴霧ノズル(72)の露出部(72c)の周囲を囲むように形成されている。外側凹部(82)は、その内壁(83)が噴霧ノズル(72)の先端(72a)と一定の距離を保つことで、噴霧ノズル(72)の露出部(72c)の周りに空気層を形成している。この空気層は絶縁材として機能し、これによって、噴霧ノズル(72)の先端(72a)に安定した電界が形成される。噴霧ノズル(72)の先端(72a)は、外側凹部(82)の内壁(83)の先端から僅かに突出している。
【0050】
噴霧ノズル(72)は、樹脂製の細径管である。噴霧ノズル(72)は、外径が0.3mm以上0.5mm以下であり、内径が0.1mm以上0.3mm以下となっている。噴霧ノズル(72)は、ノズルベース(74)の貫通孔(78)に挿通されている。噴霧ノズル(72)の先端(72a)は、ノズルベース(74)の外部に露出している。噴霧ノズル(72)の基端(72b)は、タンク(71)内の最深部に位置している。つまり、タンク(71)の内部空間において、噴霧ノズル(72)の基端(72b)は、底部側で且つ背面側の隅角部に位置している。また、噴霧ノズル(72)では、ノズルベース(74)の外側に位置する部分が露出部(72c)となっている。
【0051】
電極部材(84)は、金属製の棒状に形成された部材である。電極部材(84)は、一端がタンク(71)内の底部に挿通されて噴霧用液体内と接触する。電極部材(84)の他端は、タンク(71)の外部に露出し、高圧ライン(54)の一端と電気的に接続される。つまり、電極部材(84)は、高電圧電源ユニット(50)の出力部(51)と電気的に接続され、タンク(71)内の噴霧用液体に高電圧を印加するように構成されている。電極部材(84)、高電圧電源ユニット(50)、高圧ライン(54)、及び基準電位ライン(56)は、噴霧ノズル(72)の先端(72a)と対向電極(12)との間に電界を形成する電界形成機構(6)を構成している。
【0052】
−運転動作−
本実施形態の静電噴霧装置(1)の動作について説明する。この静電噴霧装置(1)では、噴霧用液体が液糸(リガメント)状態で噴出され、液滴に分裂し、拡散されて使用者に到達する。この静電噴霧装置(1)は、噴霧カートリッジ(70)がケーシング(10)内に収容された状態で運転可能な状態となる。
【0053】
まず、使用者がシャッタ(13)を開くと、シャッタ(13)が移動することによって電源スイッチ(15)がON状態となる。電源スイッチ(15)がON状態となると、コントローラ(60)の搬送制御部(63)は、エアポンプ(41)を作動させる。エアポンプ(41)は、空気管(42)を通じてタンク(71)の内部空間へ空気を供給する。タンク(71)内では、空気圧が上昇し、この空気圧が噴霧用液体の液面(9)に作用する。このため、タンク(71)内の噴霧用液体は、噴霧ノズル(72)へ流入し、噴霧ノズル(72)の先端(72a)まで押し上げられる。
【0054】
また、電源スイッチ(15)がON状態になると、コントローラ(60)の出力制御部(62)は、高電圧電源ユニット(50)の出力部(51)から高電圧を出力する。高電圧は、電極部材(84)を介してタンク(71)内の噴霧用液体に印加される。
【0055】
噴霧ノズル(72)の先端(72a)では、電荷を帯びた噴霧用液体と対向電極(12)との間に電位差が生じる。その結果、噴霧ノズル(72)の先端(72a)付近の空間に電界が形成される。噴霧ノズル(72)の先端(72a)からは、噴霧用液体が電界に引っ張られて細長い液糸(リガメント)状態となって流出する。液糸状態となった噴霧用液体は、その後、概ね数十μmから300μm程度の大きさの液滴に分裂する。噴霧用液体には電荷が付与されているため、分裂した液滴同士の間には、電気的な斥力が作用する。このため、噴霧ノズル(72)から噴霧された噴霧用液体の液滴は、互いに反発し合って拡散する。拡散した噴霧用液体の液滴は、実質的に接地電位となっている使用者に向かって飛散し、使用者の顔面に付着する。
【0056】
また、コントローラ(60)は、電源スイッチ(15)がON状態であっても、人検知センサ(30)からの検知信号に基づいて噴霧動作を制御することもできる。具体的には、噴霧用液体の噴霧中において、コントローラ(60)は、人検知センサ(30)の検知信号に基づいて使用者が不在であると判断すると、高電圧電源ユニット(50)に高電圧の出力を停止させ、エアポンプ(41)を停止させる。その後、コントローラ(60)は、人検知センサ(30)の検知信号に基づいて使用者が在席していると判断すると、高電圧電源ユニット(50)に高電圧の出力を再開させ、エアポンプ(41)を再び作動させる。これによって、使用者の不在時における無駄な噴霧を防止できる。
【0057】
また、コントローラ(60)は、温湿度センサ(29)の計測値に基づいて適切な噴霧動作に制御することもできる。具体的には、部屋の空気の温度および湿度によって、噴霧における液糸(リガメント)の形成条件は異なる。そこで、コントローラ(60)は、噴霧ノズル(72)から噴霧用液体が安定して噴霧されるように、温湿度センサ(29)の計測値に基づいて、高電圧電源ユニット(50)からの出力の電圧値を調節したり、エアポンプ(41)からの空気の吐出量を調節する。
【0058】
また、上述のような噴霧動作において、コントローラ(60)の出力制御部(62)は、以下のような交番制御を行う。
【0059】
出力制御部(62)は、高電圧電源ユニット(50)の印加電圧の極性を正極性と負極性とに交互に切り換える。具体的には、出力制御部(62)は、まず、正極性の印加電圧Vpを出力時間Tpの間、タンク(71)内の噴霧用液体に印加する。これにより、噴霧ノズル(72)からは使用者に向かって正の電荷を帯びた液滴が噴霧される。その後、出力制御部(62)は、負極性の印加電圧Vnを出力時間Tnの間、タンク(71)内の噴霧用液体に印加する。これにより、噴霧ノズル(72)からは使用者に向かって負の電荷を帯びた液滴が噴霧される。以上のように、交番制御では、高電圧電源ユニット(50)の印加電圧の極性が交互に切り換えられるため、噴霧ノズル(72)から噴霧される液滴の極性も交互に切り換わる。
【0060】
噴霧ノズル(72)から噴霧される液滴の極性が正極と負極とに交互に切り換わると、正の電荷を帯びた液滴と負の電荷を帯びた液滴が交互に使用者に降りかかることとなる。これにより、使用者に一方の極性の電荷が一時的に蓄積されて使用者が一方の極性に帯電したとしても、すぐに他方の極性の電荷が降りかかることによって除電される。よって、帯電した使用者から静電噴霧装置(1)の外表面に露出した対向電極(12)への静電気放電が抑制される。
【0061】
また、本実施形態のように対向電極(12)が非接地電極によって構成されていると、対向電極(12)に付着した噴霧用液体の液滴による電荷をアースに逃がすことができず、対向電極(12)に電荷が蓄積されてしまう。そのため、噴霧ノズル(72)から噴霧される液滴の極性が一定であると、対向電極(12)に一方の極性の電荷が蓄積されて噴霧ノズル(72)の先端(72a)と対向電極(12)との間の電位差が小さくなり、噴霧用液体が噴霧されるような電界を形成することができなくなる。
【0062】
しかしながら、本実施形態では、出力制御部(62)によって交番制御が行われて噴霧ノズル(72)から噴霧される液滴の極性が正極性と負極性とに交互に切り換えられるため、噴霧ノズル(72)の先端(72a)からは、正の電荷を帯びた噴霧用液体の液滴と、負の電荷を帯びた噴霧用液体の液滴とが交互に噴霧される。これにより、対向電極(12)に一方の極性の電荷のみが蓄積されず、噴霧ノズル(72)の先端(72a)と対向電極(12)との間に噴霧用液体を噴霧するための電界が安定的に形成されることとなる。
【0063】
−実施形態の効果−
本実施形態によれば、対向電極(12)を非接地電極によって構成することとした。ここで、同じ材料によって接地電極と非接地電極とを構成した場合、非接地電極の方が接地電極に比べて電気抵抗が大きくなるため電荷が移動し難い。そのため、上述のように対向電極(12)を非接地電極によって構成することにより、対向電極(12)を接地電極によって構成した場合に比べて、使用者に蓄積された電荷が対向電極(12)へ移動し難くなる。つまり、使用者から対向電極(12)への静電気放電を抑制することができるため、静電気放電に伴って使用者に与えられる電撃を抑制することができる。
【0064】
ところで、対向電極(12)に帯電した噴霧用液体の液滴が付着すると、対向電極(12)が電荷を帯びることとなるが、対向電極(12)が非接地電極によって構成されていると、電荷をアースに逃がすことができないため、対向電極(12)に電荷が蓄積されてしまう。そのため、噴霧用液体への印加電圧の極性が一定であると、対向電極(12)に一方の極性の電荷が蓄積されて噴霧ノズル(72)の先端(72a)と対向電極(12)との間の電位差が小さくなり、噴霧用液体が噴霧されるような電界を形成することができなくなる。
【0065】
しかしながら、本実施形態では、出力制御部(62)による交番制御によって噴霧用液体に印加される電圧の極性が正極性と負極性とに交互に切り換えられる。そのため、噴霧ノズル(72)の先端(72a)からは、正の電荷を帯びた噴霧用液体の液滴と、負の電荷を帯びた噴霧用液体の液滴とが交互に噴霧される。従って、対向電極(12)に一方の極性の電荷のみが蓄積されず、噴霧ノズル(72)の先端(72a)と対向電極(12)との間に噴霧用液体を噴霧するための電界を安定的に形成することができる。
【0066】
また、本実施形態では、対向電極(12)を金属よりも電気抵抗率が高いために電荷が移動し難く、また、電荷の移動速度が遅い導電性樹脂材料によって形成している。ところで、人から物体への静電気放電に伴って人に与えられる電撃は、電荷の移動速度に依存する。つまり、電荷の移動速度が速くなるほど電撃は大きくなり、人に痛みを与えることとなる。そのため、上述のように対向電極(12)を導電性樹脂材料によって形成すると、使用者から対向電極(12)への静電気放電がより生じ難くなると共に、静電気放電が生じたとしても、対向電極(12)を金属によって形成した場合に比べて電荷の移動速度が遅くなるため、静電気放電に伴って使用者に与えられる電撃を低減することができる。
【0067】
ところで、対向電極(12)が接地電極によって構成されている場合には、対向電極(12)に高い抵抗値を与えることによって対向電極(12)への静電気放電を抑制することが考えられる。しかし、そのためには対向電極(12)に極めて高い抵抗値を与えなければならず、そのような対向電極(12)では、噴霧用液体の液滴が対向電極(12)に向かわずに周囲の設置面(200)に向かって噴霧されてしまい、噴霧動作が安定しない。これに対し、本実施形態では、対向電極(12)が接地電極に比べて電荷が移動し難い非接地電極によって構成されている。そのため、対向電極(12)を接地電極によって構成する場合に比べて対向電極(12)の抵抗値を低くしても静電気放電を抑制することができるため、噴霧ノズル(72)の先端(72a)から対向電極(12)に向かって噴霧用液体の液滴を安定的に噴霧させることができる。
【0068】
−実施形態の変形例−
本実施形態の変形例について説明する。本変形例は、図7に示す噴霧ノズル(72)の構成を変更したものである。
【0069】
図9に示すように、本変形例の噴霧ノズル(72)は、細管部(73a)とチューブ部(73b)とを備えている。なお、噴霧カートリッジ(70)における噴霧ノズル(72)の配置は、図7に示すものと同様である。
【0070】
細管部(73a)は、樹脂製の細径管である。細管部(73a)は、外径が0.3mm以上0.5mm以下であり、内径が0.1mm以上0.3mm以下となっている。細管部(73a)の先端は、外側凹部(82)の内壁(83)の先端から僅かに突出しており、噴霧ノズル(72)の先端(72a)を構成している。また、細管部(73a)では、ノズルベース(74)の外側に位置する部分が、噴霧ノズル(72)の露出部(72c)を構成している。
【0071】
チューブ部(73b)は、円管状に形成されており、その内径が細管部(73a)の外径よりも大きくなっている。チューブ部(73b)の先端は、細管部(73a)の基端に接続されている。チューブ部(73b)の基端は、タンク(71)内の最深部に位置しており、噴霧ノズル(72)の基端(72b)を構成している。つまり、本変形例においても、タンク(71)の内部空間では、噴霧ノズル(72)の基端(72b)が、底部側で且つ背面側の隅角部に位置している。
【0072】
本変形例によれば、噴霧ノズル(72)に細管部(73a)とチューブ部(73b)を設けているため、噴霧ノズル(72)の基端(72b)から先端(72a)まで噴霧用液体を搬送する際の圧力損失を削減することができる。このため、図7に示す噴霧カートリッジ(70)を用いる場合に比べ、噴霧中における噴霧カートリッジ(70)内の空気圧を引き下げることができ、エアポンプ(41)の消費電力を削減することができる。
【0073】
−その他の実施形態−
上記実施形態とその変形例では、噴霧用液体としてヒアルロン酸を含んだ水溶液を用いたが、噴霧用液体はこれに限定されるものではない。例えば温泉水やテアニンの水溶液を噴霧用液体として用いてもよいし、カテキンやプロアントシアニジン等の抗酸化剤の水溶液を噴霧用液体として用いてもよい。
【0074】
また、上記実施形態とその変形例において、対向電極(12)と基準電位部(55)との間に抵抗体を接続することとしてもよい。このような構成によれば、使用者に蓄積された電荷が対向電極(12)へより移動し難くなる。つまり、静電気放電がより生じ難くなる。従って、静電気放電に伴って使用者に与えられる電撃をより抑制することができる。
【0075】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上説明したように、本発明は、静電噴霧装置について有用である。
【符号の説明】
【0077】
1 静電噴霧装置
6 電界形成機構
12 対向電極
40 搬送ユニット(搬送機構)
55 基準電位部
56 基準電位ライン
62 出力制御部(切換制御部)
71 タンク(貯留容器)
72 ノズル(噴霧ノズル)
72a 先端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴霧用液体を貯留する貯留容器(71)と、
上記貯留容器(71)に取り付けられた管状のノズル(72)と、
上記貯留容器(71)内の噴霧用液体を上記ノズル(72)の先端(72a)に搬送する搬送機構(40)と、
外表面に露出された対向電極(12)と、
上記噴霧用液体に電圧を印加することによって、上記ノズル(72)の先端(72a)から上記噴霧用液体が噴霧されるように上記ノズル(72)の先端(72a)と上記対向電極(12)との間に電界を形成する電界形成機構(6)と、
上記電界形成機構(6)が上記噴霧用液体に印加する電圧の極性を正極性と負極性とに交互に切り換える切換制御部(62)とを備え、
上記対向電極(12)は、非接地電極によって構成されている
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記対向電極(12)は、導電性樹脂材料によって形成されている
ことを特徴とする静電噴霧装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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