説明

静電容量型センサ

【課題】誘電層の変形が阻害されにくく、カバー部材に裂け目が進展しにくい静電容量型センサを提供することを課題とする。
【解決手段】静電容量型センサ1は、発泡体製の誘電層2と、誘電層2の表側に配置される表側基材30と誘電層2の裏側に配置される裏側基材31とを有するカバー部材3と、カバー部材3の外縁のうち裂け目が入りやすい部分の内側および誘電層2の周囲に配置され、表側基材30の裏面に接着される表側接着層830と、裏側基材31の表面に接着される裏側接着層831と、表側接着層830と裏側接着層831との間に介在する芯材層832と、を有する両面接着部材80〜88と、両面接着部材80〜88の、隣接する一対の周方向端部800、810間に区画され、誘電層2に対する気体の通路を確保する通孔90〜94と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡体製の誘電層を備える静電容量型センサに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、複数の表側電極と、複数の裏側電極と、誘電層と、を備える静電容量型センサが開示されている。同文献の段落[0099]には、誘電層の材質として、発泡体が例示されている。発泡体は、多数のセル(空孔)を備えている。発泡体が弾性変形すると、セルの体積が変化する。すなわち、静電容量型センサに荷重が加わると、誘電層は圧縮される。この際、発泡体の多数のセルは潰される。セルの体積は小さくなる。一方、静電容量型センサに荷重が加わらなくなると、圧縮時に蓄積された弾性復元力により、元の形状に戻ろうとして、誘電層は伸張する。この際、発泡体の多数のセルは膨張する。セルの体積は大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−43881号公報
【特許文献2】特開2005−129414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、外部から誘電層を保護するためには、袋状のカバー部材の中に、誘電層を封入した方が好ましい。しかしながら、この状態で静電容量型センサが用いられると、誘電層の変形が阻害されやすい。
【0005】
まず、静電容量型センサつまり誘電層に荷重が加わると、セルの体積が小さくなる分、セルから余剰の空気が発生する。このため、セルから空気を逃がす必要がある。しかしながら、カバー部材が封止されていると、カバー部材の外部に空気を逃がすことができない。このため、セルから空気が抜けにくい。したがって、セルが潰れにくい。よって、誘電層の圧縮が阻害されるおそれがある。
【0006】
次に、静電容量型センサつまり誘電層に加わっていた荷重が除かれると、セルの体積が大きくなる分、セルの空気が不足する。このため、セルが空気を吸い込む必要がある。しかしながら、カバー部材が封止されていると、カバー部材の外部から空気を取り込むことができない。このため、セルが空気を吸い込みにくい。したがって、セルが膨らみにくい。よって、誘電層の伸張が阻害されるおそれがある。
【0007】
とりわけ、誘電層が伸張する場合、つまり元の形状に復元する場合、誘電層は、外部からの荷重によらず、自身の有する弾性復元力により変形する。このため、セルが空気を吸い込みにくいと、誘電層の復元速度が大幅に低下するおそれがある。
【0008】
この点、特許文献2の[図7]には、対角線上の二隅に通気孔を有する荷重センサが開示されている。荷重センサは、上下二枚の弾性プレートと、クッション材と、を備えている。上方の弾性プレートの下面、下方の弾性プレートの上面には、上下方向に対向して、各々、印刷配線が配置されている。クッション材は、上下二枚の弾性プレートの間に介装されている。クッション材は、上方または下方から見て、印刷配線に干渉しないように、上下二枚の弾性プレートの周縁部と中央部とに配置されている。周縁部に配置されたクッション材は、上下二枚の弾性プレートの四辺に沿って、縁取り状に配置されている。通気孔は、角部を挟んで隣り合うクッション材間の隙間に、配置されている。
【0009】
同文献記載の荷重センサに荷重が加わると、クッション材が圧縮されながら、上下一対の印刷配線が接触する。このため、上下一対の印刷配線が導通する。当該導通を利用して、荷重センサは、荷重が加わったことを検出している。このように、同文献記載の荷重センサは、「荷重が加わったこと」を検出する、オン−オフセンサである。
【0010】
同文献記載の荷重センサは、静電容量型センサではない。しかしながら、仮に、当該荷重センサの通気孔を静電容量型センサに転用することができれば、通気孔を介して、カバー部材の外部と誘電層とを連通することができる。このため、誘電層の変形が阻害されにくくなる。
【0011】
具体的には、カバー部材を二枚の弾性を有する基材により構成し、当該二枚の基材同士を両面テープを介して貼り合わせ、隣接する両面テープ間の隙間に通気孔を確保すれば、カバー部材の外部と誘電層とを連通することができる。このため、誘電層の変形が阻害されにくくなる。
【0012】
ところが、この場合、カバー部材のうち、両面テープが貼着されている部分と、貼着されていない部分と、でカバー部材の耐引き裂き性に、大きな較差が生じてしまう。例えば、静電容量型センサは、制御装置に接続するために、コネクタを備えている。カバー部材のうち、当該コネクタの根本付近には荷重が集中しやすい。このため、裂け目が発生しやすい。また、裂け目が進展しやすい。
【0013】
加えて、静電容量型センサは、「荷重が加わったこと」のみならず、「荷重値自体」を検出することができる。検出感度を高くするために、静電容量型センサのカバー部材の肉厚は、比較的薄い場合が多い。したがって、カバー部材は、本来的に耐引き裂き性が低い。
【0014】
このように、静電容量型センサに両面テープを用いると、本来的に耐引き裂き性が低いカバー部材において、両面テープが貼着されている部分と、貼着されていない部分と、で耐引き裂き性に大きな較差が生じてしまう。このため、さらに裂け目が発生しやすくなる。また、さらに裂け目が進展しやすくなる。
【0015】
本発明の静電容量型センサは、上記課題に鑑みて完成されたものである。本発明は、誘電層の変形が阻害されにくく、カバー部材に裂け目が進展しにくい静電容量型センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(1)上記課題を解決するため、本発明の静電容量型センサは、発泡体製であって表裏方向に弾性的に伸縮可能な誘電層と、該誘電層の表側に配置される表側基材と、該誘電層の裏側に配置される裏側基材と、を有するカバー部材と、表側または裏側から見て該カバー部材の外縁のうち裂け目が入りやすい部分の内側および該誘電層の周囲に配置され、該表側基材と該裏側基材との間に介在し、該表側基材の裏面に接着される表側接着層と、該裏側基材の表面に接着される裏側接着層と、該表側接着層と該裏側接着層との間に介在する芯材層と、を有する両面接着部材と、該両面接着部材の、隣接する一対の周方向端部間に区画され、表裏方向に対して交差する交差方向に、該誘電層に対する気体の通路を確保する通孔と、を備えてなることを特徴とする。
【0017】
本発明の静電容量型センサの誘電層は、表側基材と裏側基材との間に介在している。誘電層は、両面接着部材により囲まれている。両面接着部材の隣接する一対の周方向端部間には、交差方向に延在する通孔が区画されている。
【0018】
本発明の静電容量型センサには、カバー部材の内外を連通する通孔が配置されている。このため、誘電層がカバー部材に収容されているにもかかわらず、誘電層が収縮する際に、発泡体のセル(空孔)が潰れることにより、誘電層から排出される排気の通路を確保することができる。並びに、誘電層が伸張する際に、発泡体のセルが膨張することにより、誘電層に吸入される吸気の通路を確保することができる。このように、本発明の静電容量型センサによると、誘電層の変形が阻害されにくい。
【0019】
また、両面接着部材は、芯材層を備えている。このため、例えば静電気などにより表側基材と裏側基材とが密着しそうな場合であっても、通孔の表裏方向長さを確保することができる。
【0020】
また、通孔は、交差方向に延在している。このため、表側基材の表側や裏側基材の裏側に、別の部材が積層される場合であっても、通孔が閉塞するおそれが小さい。また、通孔が表側基材や裏側基材に穿設される場合と比較して、表側基材や裏側基材に、通孔を起点とする裂け目が発生しにくい。また、裂け目が進展しにくい。
【0021】
また、表側または裏側から見て、両面接着部材は、カバー部材の外縁のうち、裂け目が入りやすい部分の内側に配置されている。このため、カバー部材に発生した裂け目が内側に進展するのを、両面接着部材が抑制することができる。したがって、カバー部材を補強することができる。
【0022】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、表側または裏側から見て、前記カバー部材の外縁は、隣接する二辺間に挟まれる角部を有し、前記両面接着部材は、挟角180°超過の該角部の内側に配置される構成とする方がよい。挟角180°超過の角部には、裂け目が発生しやすい。また、裂け目が発生した場合、荷重が集中しやすい。このため、裂け目が内側に進展しやすい。本構成によると、裂け目が内側に進展するのを、両面接着部材が抑制することができる。このため、カバー部材を補強することができる。
【0023】
(3)好ましくは、上記(1)または(2)の構成において、表側または裏側から見て、前記カバー部材の外縁は、隣接する二辺間に挟まれる角部を有し、前記通孔は、挟角180°未満の該角部の内側に配置される構成とする方がよい。
【0024】
例えば多角形の頂点のように、挟角180°未満の角部には裂け目が発生しにくい。このため、本構成によると、カバー部材の外縁のうち、裂け目が発生しにくい角部の内側に、通孔を配置することができる。
【0025】
(4)好ましくは、上記(1)ないし(3)のいずれかの構成において、前記芯材層は、織布または不織布製である構成とする方がよい。織布や不織布は、引き裂かれにくい。つまり、裂け目が発生しにくい。また、裂け目が進展しにくい。すなわち、耐引き裂き性が高い。このため、本構成によると、芯材層の耐引き裂き性が高くなる。したがって、カバー部材に発生した裂け目が進展するのを、両面接着部材により、抑制することができる。
【0026】
(5)好ましくは、上記(1)ないし(4)のいずれかの構成において、前記カバー部材は、エラストマー製である構成とする方がよい。エラストマーは柔軟であり、誘電層の変形を規制しにくい。また、誘電層に荷重を伝達しやすい。このため、誘電層を覆うカバー部材の材質として、エラストマーは好適である。ところが、エラストマーは、引き裂かれやすい。つまり、裂け目が発生しやすい。また、裂け目が進展しやすい。すなわち、耐引き裂き性が低い。
【0027】
この点、本構成によると、誘電層の変形を規制しにくく誘電層に荷重を伝達しやすい、エラストマー製のカバー部材で、誘電層を覆うことができる。また、当該カバー部材の欠点である耐引き裂き性の低さを、両面接着部材により補うことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によると、誘電層の変形が阻害されにくく、カバー部材に裂け目が進展しにくい静電容量型センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態となる静電容量型センサの斜視図である。
【図2】同静電容量型センサの斜視分解図である。
【図3】同静電容量型センサの上面透過図である。
【図4】図3のIV−IV方向断面図である。
【図5】図4の円V内の拡大図である。
【図6】図3の円VI内の拡大図である。
【図7】図3の円VII内の拡大図である。
【図8】(a)は図4の枠VIII内の拡大図である。(b)は荷重が加わった場合の図4の枠VIII内の拡大図である。
【図9】その他の実施形態の静電容量型センサの角部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の静電容量型センサの実施の形態について説明する。
【0031】
[静電容量型センサの構成]
まず、本実施形態の静電容量型センサの構成について説明する。以降の図においては、上下方向が本発明の「表裏方向」に対応する。また、水平方向(前後左右方向)が本発明の「交差方向」に対応する。
【0032】
図1に、本実施形態の静電容量型センサの斜視図を示す。図2に、同静電容量型センサの斜視分解図を示す。図3に、同静電容量型センサの上面透過図を示す。図4に、図3のIV−IV方向断面図を示す。なお、図1においては、両面接着部材80〜87、誘電層2を一点鎖線で示す。また、図2においては、表側基材30を透過して示す。また、表側配線01x〜16x、裏側配線01y〜16yを省略して示す。また、図3においては、検出部A0101〜A1616、両面接着部材80〜87にハッチングを施して示す。
【0033】
図1〜図4に示すように、本実施形態の静電容量型センサ1は、誘電層2と、表側電極01X〜16Xと、裏側電極01Y〜16Yと、表側配線01x〜16xと、裏側配線01y〜16yと、カバー部材3と、表側配線用コネクタ5と、裏側配線用コネクタ6と、制御装置7と、両面接着部材80〜87と、通孔90〜94と、を備えている。なお、後述する検出部A0101〜A1616の符号「A○○△△」中、上二桁の「○○」は、表側電極01X〜16Xに対応している。下二桁の「△△」は、裏側電極01Y〜16Yに対応している。
【0034】
誘電層2は、ウレタン発泡体製であって、四角形板状を呈している。ウレタン発泡体は、本発明の「発泡体」の概念に含まれる。誘電層2は、多数のセル(空孔)を備えている。
【0035】
カバー部材3は、表側基材30と、裏側基材31と、を備えている。表側基材30は、シリコーンゴム製であって、四角形板状を呈している。シリコーンゴムは、本発明の「エラストマー」の概念に含まれる。表側基材30は、誘電層2の上方(表側)に積層されている。裏側基材31は、シリコーンゴム製であって、四角形板状を呈している。裏側基材31は、誘電層2の下方(裏側)に積層されている。表側基材30と裏側基材31とは、後述する両面接着部材80〜87により、袋状に貼り合わされている。誘電層2は、当該袋内に収容されている。誘電層2の上面四隅は、表側基材30の下面四隅に、スポット的に接着されている。また、誘電層2の下面四隅は、裏側基材31の上面四隅に、スポット的に接着されている。このように、誘電層2は、表側基材30および裏側基材31に、使用時にシワがよらないように、位置決めされている。ただし、誘電層2は、四隅が接着された状態で、表側基材30および裏側基材31に対して、水平方向に弾性変形可能である。
【0036】
表側電極01X〜16Xは、表側基材30の下面に、合計16本配置されている。表側電極01X〜16Xは、各々、アクリルゴムと、導電性カーボンブラックと、を含んで形成されている。表側電極01X〜16Xは、各々、帯状を呈している。表側電極01X〜16Xは、各々、左右方向に延在している。表側電極01X〜16Xは、前後方向に、所定間隔ごとに離間して、互いに略平行になるように、配置されている。
【0037】
表側配線01x〜16xは、表側基材30の下面に、合計16本配置されている。表側配線01x〜16xは、各々、アクリルゴムと、銀粉と、を含んで形成されている。表側配線01x〜16xは、各々、線状を呈している。表側配線用コネクタ5は、表側基材30の左辺中央に配置されている。表側配線01x〜16xは、各々、表側電極01X〜16Xの左端と、表側配線用コネクタ5と、を接続している。
【0038】
裏側電極01Y〜16Yは、裏側基材31の上面に、合計16本配置されている。裏側電極01Y〜16Yは、各々、アクリルゴムと、導電性カーボンブラックと、を含んで形成されている。裏側電極01Y〜16Yは、各々、帯状を呈している。裏側電極01Y〜16Yは、各々、前後方向に延在している。裏側電極01Y〜16Yは、左右方向に、所定間隔ごとに離間して、互いに略平行になるように、配置されている。このように、表側電極01X〜16Xと裏側電極01Y〜16Yとは、上方または下方から見て、互いに直交する格子状に配置されている。
【0039】
裏側配線01y〜16yは、裏側基材31の上面に、合計16本配置されている。裏側配線01y〜16yは、各々、アクリルゴムと、銀粉と、を含んで形成されている。裏側配線01y〜16yは、各々、線状を呈している。裏側配線用コネクタ6は、裏側基材31の左前隅に配置されている。裏側配線01y〜16yは、各々、裏側電極01Y〜16Yの前端と、裏側配線用コネクタ6と、を接続している。
【0040】
検出部A0101〜A1616は、図3にハッチングで示すように、表側電極01X〜16Xと、裏側電極01Y〜16Yと、が上下方向に交差する部分(重複する部分)に配置されている。検出部A0101〜A1616は、各々、表側電極01X〜16Xの一部と、裏側電極01Y〜16Yの一部と、誘電層2の一部と、を備えている。検出部A0101〜A1616は、合計256個(=16個×16個)配置されている。検出部A0101〜A1616は、誘電層2の略全面に亘って、均等に配置されている。
【0041】
両面接着部材80〜87は、図3にハッチングで示すように、帯状を呈している。両面接着部材80〜87は、カバー部材3の外縁に沿って、縁取り状に、合計8本配置されている。上方または下方から見て、誘電層2は、両面接着部材80〜87の枠内に収容されている。
【0042】
両面接着部材80〜87の構成は、同一である。以下、両面接着部材80〜87を代表して、両面接着部材83の構成について説明する。図5に、図4の円V内の拡大図を示す。図5に示すように、両面接着部材83は、表側接着層830と、裏側接着層831と、芯材層832と、を備えている。表側接着層830は、シリコーン製の粘着剤である。表側接着層830は、表側基材30の下面に貼り付けられている。裏側接着層831は、シリコーン製の粘着剤である。裏側接着層831は、裏側基材31の上面に貼り付けられている。芯材層832は、織布製であって、表側接着層830と裏側接着層831との間に介在している。図3に戻って、8本の両面接着部材80〜87により、表側基材30と裏側基材31とは、袋状に貼り合わされている。
【0043】
図6に、図3の円VI内の拡大図を示す。図6に示すように、カバー部材3の外縁33には、隣接する二辺間に挟まれて、角部330が配置されている。角部330の挟角θ1は、270°(>180°)である。上方または下方から見て、両面接着部材80は、角部330の内側に配置されている。両面接着部材85は、両面接着部材80の内側に並置されている。
【0044】
通孔90〜94は、図3に示すように、カバー部材3の角部、表側配線用コネクタ5の取付部、裏側配線用コネクタ6の取付部に配置されている。具体的には、通孔90は、周方向に隣接する両面接着部材80と両面接着部材81との間に配置されている。また、通孔91は、周方向に隣接する両面接着部材81と両面接着部材82との間に配置されている。また、通孔92は、周方向に隣接する両面接着部材82と両面接着部材83との間に配置されている。また、通孔93は、周方向に隣接する両面接着部材83と両面接着部材84との間に配置されている。また、通孔94は、周方向に隣接する両面接着部材84と両面接着部材80との間に配置されている。通孔90〜94は、いずれも水平方向に延在している。また、通孔90〜94は、いずれもカバー部材3の内外を連通している。
【0045】
通孔90〜94の構成は、同様である。以下、通孔90〜94を代表して、通孔90の構成について説明する。図7に、図3の円VII内の拡大図を示す。図7に示すように、カバー部材3の外縁33には、隣接する二辺間に挟まれて、角部331が配置されている。角部331の挟角θ2は、90°(<180°)である。上方または下方から見て、通孔90は、角部331の内側に配置されている。すなわち、通孔90は、両面接着部材80の後端部(周方向端部)800と、両面接着部材81の左端部(周方向端部)810と、の間の隙間900を利用して配置されている。
【0046】
通孔90の孔長L1は、両面接着部材81の前後方向幅により設定される。通孔90の開口幅L2は、隙間900の左右方向幅(隣接する両面接着部材80と両面接着部材81との間隔)により設定される。通孔90の開口厚さは、図5に示す両面接着部材83の上下方向厚さ(主に芯材層832の上下方向厚さ)L3により設定される。
【0047】
制御装置7は、図1、図3に示すように、表側配線用コネクタ5、裏側配線用コネクタ6と、配線100、101を介して、電気的に接続されている。制御装置7は、記憶部70と演算部71とを有している。記憶部70には、検出部A0101〜A1616の静電容量と荷重との対応を示すテーブル、周囲温度に対する補正量などが格納されている。また、記憶部70には、表側配線用コネクタ5、裏側配線用コネクタ6から入力されるインピーダンス、位相が、一時的に格納される。演算部71は、当該インピーダンス、位相を基に、検出部A0101〜A1616の静電容量を算出する。そして、静電容量から検出部A0101〜A1616に加わる荷重を検出する。
【0048】
[静電容量型センサの動き]
次に、本実施形態の静電容量型センサ1の動きについて簡単に説明する。静電容量型センサ1の荷重検出の原理となるコンデンサーの静電容量は、以下の式(1)から算出される。
C=ε・S/d ・・・式(1)
式(1)中、Cは静電容量、εは誘電率、Sは対向する電極の重複面積、dは電極間距離である。電極間距離dは、誘電層2の上下方向厚さに相当する。重複面積Sは、図3にハッチングで示す検出部A0101〜A1616の面積、すなわち表側電極01X〜16Xと、裏側電極01Y〜16Yと、の重複面積に相当する。
【0049】
図8(a)に、図4の枠VIII内の拡大図を示す。図8(b)に、荷重が加わった場合の図4の枠VIII内の拡大図を示す。図8(b)に示すように、任意の検出部A1416に上方から荷重Fが加わると、誘電層2が上下方向に圧縮される。このため、誘電層2の上下方向厚さが小さくなる。ここで、誘電層2の上下方向厚さは、式(1)の電極間距離dに対応している。したがって、誘電層2の上下方向厚さが小さくなると、その分、静電容量Cが大きくなる。図3に示す制御装置7は、当該静電容量Cの変化を基に、任意の検出部A1416に加わる荷重を算出する。検出部A1416から荷重Fが除かれると、誘電層2は、自身の有する弾性復元力により、図8(a)に示す元の形状に復元する。
【0050】
[通孔90〜94の機能]
次に、本実施形態の静電容量型センサ1が動く際の通孔90〜94の機能について説明する。図8(a)に模式的に示すように、誘電層2には多数のセル20が形成されている。セル20の内部には、空気が溜まっている。
【0051】
図8(b)に示すように、検出部A1416に上方から荷重Fが加わると、誘電層2が上下方向に圧縮される。このため、多数のセル20が上下方向に潰される。ここで、多数のセル20が潰されると、セル20内の空気は、誘電層2の外部に吐出される。図7に白抜き矢印で示すように、吐出された空気は、通孔90〜94を介して、カバー部材3の外部に排気される。このため、誘電層2は、荷重Fにより、速やかに圧縮される。
【0052】
検出部A1416から荷重Fが除かれると、誘電層2は、自身の有する弾性復元力により、上下方向に伸張する。このため、多数のセル20が上下方向に伸張する。ここで、多数のセル20が伸張すると、セル20内に空気が吸入される。図7に白抜き矢印で示すように、吸入される空気は、通孔90〜94を介して、カバー部材3の外部から取り込まれる。このため、誘電層2は、弾性復元力により、速やかに伸張する。そして、図8(a)に示す、元の形状に復元する。
【0053】
[角部330の内側の両面接着部材80、85の機能]
次に、図6に示す、角部330の内側に配置された、両面接着部材80、85の機能について説明する。図1に示すように、表側配線用コネクタ5には、制御装置7用の配線100が接続されている。このため、カバー部材3における表側配線用コネクタ5の取付部34には、白抜き矢印Y1で示すように、前→左→後方向およびその逆方向(横方向)に捻り荷重が加わりやすい。また、白抜き矢印Y2で示すように、前→上→後方向およびその逆方向(縦方向)に捻り荷重が加わりやすい。また、これらの捻り荷重は、表側配線用コネクタ5の取付部34の根本の角部330、332に集中しやすい。
【0054】
ここで、カバー部材3は、シリコーンゴム製である。このため、耐引き裂き性が低い。したがって、図6に示すように、角部330からは内側に裂け目cが発生しやすい。また、裂け目cが内側に進展しやすい。
【0055】
この点、角部330の内側には、両面接着部材80、85が配置されている。ここで、図5に示すように、両面接着部材80、85の芯材層832は、織布製である。このため、耐引き裂き性が高い。したがって、裂け目cの進展を、両面接着部材80、85により止めることができる。
【0056】
なお、図1に示す、表側配線用コネクタ5の取付部34の根本の角部332や、裏側配線用コネクタ6の取付部35の根本の角部333も、図6に示す角部330同様に、裂け目cが発生しやすい。このため、角部332の内側の両面接着部材84、87や、角部333の内側の両面接着部材84、86も、両面接着部材80、85と同様の機能を有している。
【0057】
[作用効果]
次に、本実施形態の静電容量型センサ1の作用効果について説明する。本実施形態の静電容量型センサ1によると、図2、図7、図8(a)、図8(b)に示すように、誘電層2がカバー部材3に収容されているにもかかわらず、通孔90〜94により、誘電層2が伸縮する際の気体の通路を確保することができる。このため、誘電層2の変形が阻害されにくい。したがって、誘電層2は、荷重Fが加わる際および荷重Fが除かれる際に、迅速に変形することができる。
【0058】
また、図5に示すように、両面接着部材80〜87は、芯材層832を備えている。このため、例えば静電気などにより表側基材30と裏側基材31とが密着する場合であっても、両面接着部材83の上下方向厚さL3により、通孔90〜94の開口厚さ(表裏方向長さ)を確保することができる。
【0059】
また、図7に示すように、通孔90〜94は、水平方向に延在している。このため、表側基材30の上面や裏側基材31の下面に、別の部材が積層される場合であっても、通孔90〜94の外側の開口が塞がれるおそれが小さい。また、通孔90〜94が表側基材30や裏側基材31に穿設される場合と比較して、表側基材30や裏側基材31に裂け目cが発生しにくい。また、裂け目cが進展しにくい。
【0060】
また、図1、図6に示すように、上方または下方から見て、両面接着部材80、84、85〜87は、カバー部材3の外縁33のうち、裂け目cが入りやすい部分の内側に配置されている。具体的には、挟角θ1が180°を超過している、角部330、332、333の内側に配置されている。このため、裂け目cが内側に進展するのを、両面接着部材80、84、85〜87が抑制することができる。したがって、カバー部材3を補強することができる。また、表側配線01x〜16x、裏側配線01y〜16yが断線するのを抑制することができる。
【0061】
また、図1に示すように、角部330に対して、両面接着部材80、85は、内外二重に配置されている。同様に、角部332に対して、両面接着部材84、87は、内外二重に配置されている。同様に、角部333に対して、両面接着部材84、86は、内外二重に配置されている。このため、裂け目cが内側に進展するのを、確実に防止することができる。
【0062】
また、図5に示すように、芯材層832は織布製である。このため、耐引き裂き性が高い。したがって、本実施形態の静電容量型センサ1によると、芯材層832つまり両面接着部材80〜87の耐引き裂き性が高くなる。
【0063】
また、両面接着部材80〜87において、耐引き裂き性が高い方向は、両面接着部材80〜87の延在方向である。この点、本実施形態の静電容量型センサ1によると、図6に示すように、裂け目cの進展方向に対して、両面接着部材80、85の延在方向が略直交するように、両面接着部材80、85が配置されている。このため、裂け目cが内側に進展するのを、強力に防止することができる。
【0064】
また、図1に示すように、上方または下方から見て、通孔90〜94は、挟角が180°未満の角部の内側に配置されている。例えば、図7に示すように、通孔90は、挟角θ2が180°未満の角部331の内側に配置されている。挟角が180°未満の角部には、裂け目cが発生しにくい。このように、本実施形態の静電容量型センサ1によると、カバー部材3の外縁33のうち、裂け目cが発生しにくい、挟角が180°未満の角部の内側に、通孔90〜94を配置することができる。
【0065】
また、直線帯状の両面接着部材80〜87によりカバー部材3の外縁33のうち角部を挟む二辺の貼り付け作業を行う場合、仮に一本の両面接着部材80〜87を用いると、角部で両面接着部材80〜87を屈曲させて二辺に沿わせる必要がある。このため、貼り付け作業が困難である。これに対して、二本の両面接着部材80〜87を用いると、二辺に対して各々一本ずつ両面接着部材80〜87を沿わせればよい。このため、貼り付け作業が容易である。したがって、角部(例えば図7に示す角部331)には、両面接着部材80〜87間の隙間900が発現しやすい。この点、本実施形態の静電容量型センサ1によると、当該隙間900を利用して、通孔90〜94を配置することができる。このため、両面接着部材80〜87の貼り付け作業、通孔90〜94の配置作業を容易に行うことができる。
【0066】
また、図2に示すように、通孔90〜94は、検出部A0101〜A1616を包囲するように、配置されている。このため、図8に示すように、全ての検出部A0101〜A1616に対して、セル20に対する空気の吸排効果を、一様に発揮することができる。このため、検出部A0101〜A1616間において、誘電層2の変形速度がばらつきにくい。
【0067】
また、カバー部材3は、シリコーンゴム製である。このため、カバー部材3は柔軟であり、誘電層2の変形を規制にくい。また、誘電層2に荷重Fを伝達しやすい。このように、誘電層2を覆うカバー部材3の材質として、シリコーンゴムは好適である。ところが、シリコーンゴムは、耐引き裂き性が低い。加えて、静電容量型センサ1の感度を向上させるべく、表側基材30、裏側基材31の上下方向厚さは、薄肉化の一途を辿っている。これらの要因により、カバー部材3の耐引き裂き性は非常に低い。
【0068】
この点、本実施形態の静電容量型センサ1によると、誘電層2の変形を規制しにくく誘電層2に荷重Fを伝達しやすい、シリコーンゴム製のカバー部材3で誘電層2を覆うことができる。また、カバー部材3の欠点である耐引き裂き性の低さを、両面接着部材80〜87により補うことができる。
【0069】
また、本実施形態の静電容量型センサ1の誘電層2はウレタン発泡体製である。このため、荷重Fが入力される際、誘電層2は、上下方向に圧縮変形する分、水平方向に膨出しにくい。すなわち、当該膨出分をウレタン発泡体のセル(空孔)が消費するため、誘電層2の密度は上がるものの、水平方向に膨出しにくい。したがって、誘電層2の変形が、誘電層2に上下方向に積層される、表側基材30、裏側基材31により規制されにくい。
【0070】
また、検出部A0101〜A1616において、誘電層2は、表側電極01X〜16X、裏側電極01Y〜16Yに、固定されていない。この点においても、誘電層2の変形が、表側基材30、裏側基材31により規制されにくい。また、静電容量型センサ1の荷重検出特性に方向性が発現しにくい。すなわち、静電容量型センサ1を裏表逆に配置しても、荷重検出特性は変わらない。
【0071】
また、本実施形態の静電容量型センサ1によると、誘電層2は、四隅において、表側基材30および裏側基材31に接着されている。このため、使用時に誘電層2にシワがよりにくい。
【0072】
[その他]
以上、本発明の静電容量型センサの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0073】
例えば、上記実施形態においては、表側基材30の下面に、表側電極01X〜16Xおよび表側配線01x〜16xを配置した。並びに、裏側基材31の上面に、裏側電極01Y〜16Yおよび裏側配線01y〜16yを配置した。しかしながら、電極および配線と、基材と、を別々に配置してもよい。また、電極および配線を、カバー部材3の外部に配置してもよい。
【0074】
また、上記実施形態においては、表側配線用コネクタ5、裏側配線用コネクタ6を配置したが、表側配線用コネクタ5、裏側配線用コネクタ6は配置しなくてもよい。すなわち、表側配線用コネクタ5、裏側配線用コネクタ6の代わりに、表側配線01x〜16xの取出部、裏側配線01y〜16yの取出部を配置してもよい。また、誘電層2のセル20に出入りする気体は、空気以外であってもよい。例えば、窒素、二酸化炭素、水素、酸素、不活性ガスなどであってもよい。
【0075】
また、誘電層2の材質は特に限定しない。発泡体であればよい。例えば、シリコーンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、天然ゴム、イソプレンゴムのような、エラストマーの発泡体を用いてもよい。また、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、ユリア樹脂、シリコーン、ポリイミド、メラミン樹脂のような、樹脂の発泡体を用いてもよい。
【0076】
また、発泡体の製造方法は特に限定しない。例えば、発泡体は、スラブ品(駆動中のコンベア上に原液を流し連続発泡させることにより、発泡体の連続体を製造した後、当該連続体を所定長に裁断することにより得られる発泡体)であっても、モールド品(金型に原液を注入し発泡させた後、金型から取り出すことにより得られる発泡体)であってもよい。また、発泡体のセル(気泡)は、独泡タイプでも連泡タイプでもよい。
【0077】
また、上記実施形態の静電容量型センサ1の場合、表側電極01X〜16X、表側配線01x〜16x、裏側電極01Y〜16Y、裏側配線01y〜16yを、エラストマーを含んで形成した。この場合、これらの電極および配線が伸縮するため、誘電層2と一体となって変形することができる、という利点がある。これらの電極および配線は、金属製であってもよい。また、有機繊維の表面に金属めっきを施した材料製であってもよい。
【0078】
また、表側電極01X〜16X、裏側電極01Y〜16Yの本数、形状(電極の幅、長さなど)、配置(隣接する電極間の間隔、表側電極と裏側電極との交差角度など)は特に限定しない。
【0079】
また、上記実施形態においては、静電容量型センサ1に対する荷重Fの入力方向を上下方向としたが、荷重Fの入力方向は特に限定しない。左右方向、前後方向、またはこれらの方向に対して傾斜する方向であってもよい。また、静電容量型センサ1の配置方向も水平方向に限定しない。垂直方向、または水平方向および垂直方向に対して傾斜する方向であってもよい。
【0080】
また、両面接着部材80〜87の材質、寸法、配置数、配置場所は特に限定しない。例えば、上記実施形態においては、図6に示すように、裂け目cが進展しやすい方向と、両面接着部材80〜87の延在方向と、を略直交させた。しかしながら、裂け目cが進展しやすい方向と、両面接着部材80〜87の延在方向と、を直交以外の角度で交差させてもよい。
【0081】
また、上記実施形態においては、図1に示すように、角部330に対して、両面接着部材80、85を、内外二重に配置した。同様に、角部332に対して、両面接着部材84、87を、内外二重に配置した。同様に、角部333に対して、両面接着部材84、86を、内外二重に配置した。しかしながら、両面接着部材80〜87を、一重に配置してもよい。こうすると、両面接着部材80〜87の配置数が少なくなる。また、カバー部材3に対して、全周的に、内外二重以上に両面接着部材80〜87を配置してもよい。こうすると、さらに強力にカバー部材3を補強することができる。
【0082】
また、一本の両面接着部材80〜87により、誘電層2の周囲を有端環状に取り囲んでもよい。そして、一本の両面接着部材80〜87の周方向両端部(C字両端部)間に、単一の通孔90〜94を配置してもよい。
【0083】
また、両面接着部材80〜87を内外二重に配置する場合、内側の両面接着部材85〜87と、外側の両面接着部材80〜84と、が別種類のものであってもよい。すなわち、図1、図2に示すように、環状に連なる外側の両面接着部材80〜84と、スポット的に配置される内側の両面接着部材85〜87と、が別種類のものであってもよい。その理由は、外側の両面接着部材80〜84の場合、表側基材30と裏側基材31とを貼り合わせること、および通孔90〜94の開口状態を確保することが、配置の主な目的だからである。これに対して、内側の両面接着部材85〜87の場合、角部330、332、333の補強が、配置の主な目的だからである。
【0084】
また、上記実施形態においては、表側配線用コネクタ5の取付部34の根本の角部330、332、裏側配線用コネクタ6の取付部35の根本の角部333に、補強用の両面接着部材85〜87を配置した。しかしながら、カバー部材3の外縁33のうち、水平方向(カバー部材3の面展開方向)に突出する、あらゆる突出部の根本の角部に、補強用の両面接着部材85〜87を配置してもよい。
【0085】
図9に、その他の実施形態の静電容量型センサの角部の拡大図を示す。なお、図7と対応する部位については、同じ符号で示す。図9に示すように、上方または下方から見て、通孔90の内側に両面接着部材88を配置してもよい。こうすると、通孔90を介して裂け目cが進展するのを抑制することができる。
【0086】
また、図5に示すように、表側接着層830、裏側接着層831、芯材層832の材質は特に限定しないが、芯材層832を不織布製、エラストマー製、樹脂製、発泡体製とするのが好ましい。特に、耐引き裂き性の点から、ガラスクロスが好ましい。両面接着部材80〜87は、荷重Fが加わっていない状態において、表側基材30と裏側基材31との間に、隙間(=上下方向厚さL3)を確保できればよい。すなわち、通孔90〜94の開口状態を確保できればよい。両面接着部材80〜87として、例えばガラスクロス両面テープ(株式会社寺岡製作所製)など、市販の両面テープを用いてもよい。
【0087】
通孔90〜94の寸法、配置数、配置場所は特に限定しない。カバー部材3が多角形状の場合は、頂点付近に配置してもよい。例えば、カバー部材3が四角形状であれば四隅に配置してもよい。こうすると、カバー部材3のうち、荷重が集中しにくい部分に通孔90〜94を配置することができる。
【0088】
図7に示すように、通孔90の孔長L1は、両面接着部材81の前後方向幅により調整すればよい。通孔90の開口幅L2は、隙間900の左右方向幅(隣接する両面接着部材80と両面接着部材81との間隔)により調整すればよい。通孔90の開口厚さは、図5に示す両面接着部材83の上下方向厚さ(主に芯材層832の上下方向厚さ)L3により調整すればよい。
【0089】
表側基材30、裏側基材31の材質は特に限定しない。エラストマー(例えば、天然ゴムや合成ゴムなどの熱硬化性エラストマー、TPU(熱可塑性ポリウレタン)やSBS(ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリスチレンアロイエラストマー)などの熱可塑性エラストマー)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PA(ポリアミド)などの樹脂であってもよい。これら有機材料は総じて耐引き裂き性が低い。このため、両面接着部材80〜87により補強するのに好適である。
【符号の説明】
【0090】
1:静電容量型センサ、2:誘電層、3:カバー部材、5:表側配線用コネクタ、6:裏側配線用コネクタ、7:制御装置。
01X〜16X:表側電極、01Y〜16Y:裏側電極、01x〜16x:表側配線、01y〜16y:裏側配線。
20:セル、30:表側基材、31:裏側基材、33:外縁、34:取付部、35:取付部、70:記憶部、71:演算部、80〜88:両面接着部材、90〜94:通孔。
θ1:挟角、θ2:挟角、100:配線、101:配線、330〜333:角部、800:後端部(周方向端部)、810:左端部(周方向端部)、830:表側接着層、831:裏側接着層、832:芯材層、900:隙間。
A0101〜A1616:検出部、c:裂け目。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡体製であって表裏方向に弾性的に伸縮可能な誘電層と、
該誘電層の表側に配置される表側基材と、該誘電層の裏側に配置される裏側基材と、を有するカバー部材と、
表側または裏側から見て該カバー部材の外縁のうち裂け目が入りやすい部分の内側および該誘電層の周囲に配置され、該表側基材と該裏側基材との間に介在し、該表側基材の裏面に接着される表側接着層と、該裏側基材の表面に接着される裏側接着層と、該表側接着層と該裏側接着層との間に介在する芯材層と、を有する両面接着部材と、
該両面接着部材の、隣接する一対の周方向端部間に区画され、表裏方向に対して交差する交差方向に、該誘電層に対する気体の通路を確保する通孔と、
を備えてなる静電容量型センサ。
【請求項2】
表側または裏側から見て、前記カバー部材の外縁は、隣接する二辺間に挟まれる角部を有し、
前記両面接着部材は、挟角180°超過の該角部の内側に配置される請求項1に記載の静電容量型センサ。
【請求項3】
表側または裏側から見て、前記カバー部材の外縁は、隣接する二辺間に挟まれる角部を有し、
前記通孔は、挟角180°未満の該角部の内側に配置される請求項1または請求項2に記載の静電容量型センサ。
【請求項4】
前記芯材層は、織布または不織布製である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の静電容量型センサ。
【請求項5】
前記カバー部材は、エラストマー製である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の静電容量型センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−198051(P2012−198051A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60913(P2011−60913)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】