説明

静電容量型センサ

【課題】 柔らかで使用時の違和感が少なく、面圧分布の測定精度が高い静電容量型センサを提供する。
【解決手段】 静電容量型センサ1は、ポリマー製の誘電層10と、誘電層10を挟んで配置される一対の表側シート2および裏側シート3と、表側シート2の誘電層10に接触する裏面に形成される表側電極01X〜08Xと、裏側シート3の誘電層10に接触する表面に形成される裏側電極01Y〜08Yと、表裏方向に対向する表側電極01X〜08Xと裏側電極01Y〜08Yとの間に形成される検出部A0101〜A0808と、を備える。荷重が入力される側の表側シート2は、布層20とポリマー層21とを有する積層体からなる。該積層体の5%伸長時応力は、0.2N/mm以上15.0N/mm以下である。該積層体においてポリマー層21は、誘電層10側に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量の変化から面圧分布を検出可能な静電容量型センサに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1、2に開示されているように、一対の表側シートおよび裏側シートの間にエラストマー製の誘電層を挟んで、静電容量型センサを構成することができる。表側シートの裏面には、表側電極および表側配線が形成される。裏側シートの表面には、裏側電極および裏側配線が形成される。表側電極は、誘電層の表面に接触する。裏側電極は、誘電層の裏面に接触する。静電容量型センサに荷重が加わると、その部分に対応する誘電層の厚さが小さくなる。これにより、表側電極と裏側電極との間の静電容量が大きくなる。静電容量型センサは、当該静電容量の変化に基づいて、面圧分布を検出する。
【0003】
表側シートおよび裏側シートとしては、誘電層の弾性変形を規制しにくいように、伸縮性を有するゴムフィルムが用いられる。また、表側電極、裏側電極(以下、適宜「電極」と称す)は、各々、エラストマー分のポリマーとカーボンブラックとを含む導電塗料から形成される。表側配線、裏側配線(以下、適宜「配線」と称す)は、電極よりも電気抵抗を小さくするため、各々、エラストマー分のポリマーと銀粉末とを含む導電塗料から形成される。よって、電極および配線も、加わった荷重に応じて、伸縮可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−43880号公報
【特許文献2】特開2010−43881号公報
【特許文献3】特開2011−75322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ゴムフィルムは、柔らかく伸縮性に優れる。したがって、表側シートおよび裏側シートにゴムフィルムを用いた上記静電容量型センサを、例えばベッド用の体圧分布センサとして用いた場合、就寝者は違和感を感じにくい。しかしながら、ゴムフィルムが伸縮すると、そこに形成された電極、配線も伸縮する。これにより、電極、配線の電気抵抗が変化して、使用条件によっては、荷重に対する静電容量の変化を、正確に出力できなくなるおそれがある。
【0006】
例えば、検出されるインピーダンスから静電容量を算出する場合、インピーダンスには、電極および配線の抵抗成分が含まれる。この場合、静電容量の変化を、誘電層の厚さの変化による分と、電極や配線自身の抵抗変化による分と、に区別することはできない。このため、伸張されて電極や配線の電気抵抗が変化すると、静電容量が本来の値と異なる値として出力されるおそれがある。また、荷重により電極が伸張されて、検出部における電極面積が大きくなると、静電容量は大きくなる。この場合も、静電容量の変化を、誘電層の厚さの変化による分と、電極面積の変化による分と、に区別することはできない。このように、伸縮性の高いゴムフィルムを用いた場合、使用感は良好だが、検出部に加わる圧力を正確に検出できないおそれがある。すなわち、静電容量型センサにおいて、面圧分布の測定精度が低下するおそれがある。
【0007】
また、電極や配線の伸び方は、一定ではなく、センサにおける位置や荷重の加わり方等により異なる。例えば、病院や介護施設のベッドには、様々な体格の就寝者が、様々な姿勢で就寝する。このため、ベッドに静電容量型センサを配置した場合、ゴムフィルムの伸びが大きい部位とそうでない部位とが生じやすい。これにより、電極や配線の伸びによる出力への影響が、大きくなるおそれがある。
【0008】
特に、導電材としてカーボンブラックを含む電極においては、銀粉末を含む配線と比較して、電気抵抗が大きい。よって、カーボンブラックを用いて電極を形成した場合には、伸張による抵抗変化が大きくなり、出力への影響が大きくなる。
【0009】
一方、ゴムフィルムに代えて、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の伸縮性に乏しい樹脂フィルムを用いることもできる。しかし、PETフィルムは、硬くごわつき感がある。このため、就寝者が静電容量型センサの上に横になった場合に、違和感を感じてしまう。したがって、ベッドのマットレス、車のシート等、体に接触する場所に配置するセンサには、適用することが難しい。
【0010】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、柔らかで使用時の違和感が少なく、面圧分布の測定精度が高い静電容量型センサを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記課題を解決するため、本発明の静電容量型センサは、ポリマー製の誘電層と、該誘電層を挟んで配置される一対の表側シートおよび裏側シートと、該表側シートの該誘電層に接触する裏面に形成される表側電極と、該裏側シートの該誘電層に接触する表面に形成される裏側電極と、表裏方向に対向する該表側電極と該裏側電極との間に形成される検出部と、を備え、該検出部の静電容量の変化から該検出部に加わる圧力を検出可能な静電容量型センサであって、該表側シートおよび該裏側シートのうち、少なくとも荷重が入力される側のシートは、布層とポリマー層とを有し、一方向に5%伸長した時の応力が0.2N/mm以上15.0N/mm以下である積層体からなり、該積層体において該ポリマー層は該誘電層側に配置されることを特徴とする。
【0012】
本発明の静電容量型センサにおいて、少なくとも荷重が入力される側のシートは、一方向に5%伸長した時の応力(以下、適宜「5%伸長時応力」と称す)が0.2N/mm以上15.0N/mm以下の積層体からなる。積層体の5%伸長時応力としては、JIS K7127(1999)に準じた引張試験において測定された値を採用する。引張試験は、幅10mm、長さ150mm、標線間距離50mmの試験片タイプ2を用い、チャック間の初期距離100mm、試験速度500mm/分で行う。そして、試験片が5%伸長した時の荷重を測定し、測定荷重を試験片の幅で除した値を、5%伸長時応力とする。
【0013】
当該積層体は、ゴムフィルムと比較して伸縮性に乏しい。このため、積層体に形成された電極は、伸びにくい。よって、電極の伸張による電気抵抗の変化が小さい。また、電極面積の変化も小さい。したがって、電極の伸張による出力への影響が小さい。このため、本発明の静電容量型センサにおいては、検出部に加わる圧力を正確に検出することができる。したがって、面圧分布の測定精度が高い。
【0014】
また、積層体は、布層を有する。このため、当該積層体からなるシートは、柔らかな感触を有する。したがって、本発明の静電容量型センサによると、シート材料としてゴムフィルムを用いた場合と同程度の柔らかな感触を、実現することができる。すなわち、少なくとも荷重が入力される側のシートは、当該積層体からなる。よって、例えば、本発明の静電容量型センサをベッド用の体圧分布センサとして用いた場合、積層体が最上面に配置される。このため、就寝者が硬さ、ごわつき等の違和感を感じにくい。したがって、本発明の静電容量型センサは、ベッドのマットレスに配置する体圧分布センサ、車のシートに配置する着座センサ等に好適である。
【0015】
さらに、布層にはポリマー層が積層されている。このため、仮に布層に伸縮性があっても、伸縮性に乏しいポリマー層を積層させることにより、積層体としての伸張を規制することができる。また、ポリマー層は誘電層側に配置される。よって、例えば表側シートが積層体からなる場合、表側電極は、表側シートの裏面、すなわちポリマー層の裏面に、形成される。布層と比較して、ポリマー層の表面粗さは小さい。このため、導電塗料を用いて電極を形成する場合に、電極を形成しやすい。また、凹凸が小さい分、形成された電極と誘電層との接触状態も、良好である。
【0016】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記布層は、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ポリイミド繊維から選ばれる一種以上の繊維から形成される構成とする方がよい。
【0017】
積層体の5%伸長時応力が、0.2N/mm以上15.0N/mm以下であれば、布層としては、織布、編み布、不織布のいずれを用いてもよい。本構成によると、吸湿性が低く、耐久性に優れる積層体を構成することができる。また、ポリマー層との接着が容易である。
【0018】
(3)好ましくは、上記(1)または(2)の構成において、前記布層の目付は、15g/m以上300g/m以下である構成とする方がよい。
【0019】
布層の目付が15g/m未満の場合、布層の厚さが小さ過ぎるため、積層体の柔らかさが発現しにくい。また、耐久性が低下する。より好適な目付は、50g/m以上である。一方、目付が300g/mを超えると、布層の厚さが大きくなり過ぎて、積層体が重くなると共に、積層体の柔らかな感触が損なわれる。また、積層体の厚さが大きくなると、厚さのばらつきが大きくなる。このため、電極を印刷法により形成する場合に、塗膜厚さが均一にならず、電気抵抗値がばらつくおそれがある。好適な目付は、200g/m以下である。
【0020】
(4)好ましくは、上記(1)ないし(3)のいずれかの構成において、前記ポリマー層には、エラストマーおよび導電材を含む導電塗料から、前記表側電極および前記裏側電極を形成することができる構成とする方がよい。
【0021】
表側シートおよび裏側シートのうち、積層体からなるシートにおいて、電極は、ポリマー層に形成される。本構成によると、エラストマーおよび導電材を含む導電塗料を、塗布、乾燥することにより、薄膜状の表側電極および裏側電極を、容易に形成することができる。
【0022】
導電塗料は、エラストマーおよび導電材の他、必要に応じて分散剤、補強剤、可塑剤、老化防止剤、着色剤等の添加剤を含んでいてもよい。導電塗料は、エラストマー成分のポリマー(エラストマーが架橋ゴムの場合には、架橋前のポリマー)を、所定の添加剤と共に溶剤に溶解した溶液に、導電材を分散させて調製すればよい。導電材としては、導電性炭素粉末や、銀、銅等の金属粉末を用いればよい。
【0023】
導電塗料の塗布方法としては、既に公知の種々の方法を採用することができる。例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、パッド印刷、リソグラフィー等の印刷法の他、ディップ法、スプレー法、バーコート法等が挙げられる。例えば、印刷法を採用すると、塗布する部分と塗布しない部分との塗り分けを、容易に行うことができる。また、大きな面積、細線、複雑な形状の印刷も容易である。印刷法の中でも、高粘度の塗料が使用でき、塗膜厚さの調整が容易であるという理由から、スクリーン印刷法が好適である。
【0024】
(5)好ましくは、上記(1)ないし(4)のいずれかの構成において、前記表側電極および前記裏側電極は、エラストマーおよび導電性炭素粉末を含む構成とする方がよい。
【0025】
表側電極および裏側電極は、エラストマーを母材とする。エラストマー中には、導電性炭素粉末による導電パスが形成されている。このため、表側電極および裏側電極は、柔軟で高い導電性を有する。また、伸縮や屈曲しても、クラックが発生しにくく、導電性の変化が小さい。また、導電性炭素粉末は、導電性が良好で、比較的安価である。このため、導電性炭素粉末を用いると、静電容量型センサの製造コストを低減することができる。本構成において、表側電極および裏側電極は、導電性炭素粉末を含む。しかし、積層体に形成される場合には、電極の伸張による出力への影響は小さい。
【0026】
(6)好ましくは、上記(1)ないし(5)のいずれかの構成において、前記ポリマー層は、ポリウレタンフィルムからなり、該ポリウレタンフィルムと前記布層とは接着剤により接着される構成とする方がよい。
【0027】
ポリウレタンフィルムの強度は大きい。また、ポリウレタンフィルムは、導電塗料との接着性も良好である。このため、ポリウレタンフィルムには、導電塗料から容易に電極を形成することができる。本構成によると、接着剤を用いて、布とポリウレタンフィルムとが積層した積層体を、容易に製造することができる。
【0028】
積層体の製造方法は、特に限定されない。例えば、本構成のように、布とポリマー製のフィルムとを接着剤により接着したり、加熱して融着すればよい(ラミネート法)。あるいは、布にポリマー溶液を刷毛塗りやスプレー塗布したり(コーティング法)、布をポリマー溶液に浸漬してもよい(ディッピング法)。なかでも、コーティング法やディッピング法によると、ポリマーの一部が布の繊維間に浸入する。これにより、布の伸縮性を著しく低下させることができる。
【0029】
(7)好ましくは、上記(1)ないし(6)のいずれかの構成において、前記表側シートの裏面には、前記表側電極に接続される表側配線が形成され、前記裏側シートの表面には、前記裏側電極に接続される裏側配線が形成される構成とする方がよい。
【0030】
例えば、表側シートが積層体からなる場合、表側配線は、積層体の裏面に形成される。このため、表側配線の伸張は、抑制される。よって、表側配線の伸張による電気抵抗の変化が、小さくなる。すなわち、本構成によると、表側電極に加えて、表側配線の伸張による出力への影響も、小さくすることができる。これにより、面圧分布の測定精度をより向上させることができる。
【0031】
表側配線、裏側配線は、エラストマーおよび導電材を含んで構成されることが望ましい。導電材としては、導電性炭素粉末や、銀、銅等の金属粉末を用いればよい。
【0032】
(8)好ましくは、上記(1)ないし(7)のいずれかの構成において、前記表側シートおよび前記裏側シートは、どちらも前記積層体からなる構成とするとよい。
【0033】
本構成においては、表裏両方のシートが積層体からなる。このため、表側電極、裏側電極の両方の伸張が、抑制される。よって、表裏両電極において、伸張による電気抵抗の変化が小さくなる。また、電極面積の変化も小さくなる。したがって、電極の伸張による出力への影響を、より小さくすることができる。よって、本構成によると、面圧分布の測定精度をより向上することができる。また、荷重が入力される側だけでなく、誘電層の両側に、柔らかな積層体からなるシートが配置される。このため、使用感が向上する。
【発明の効果】
【0034】
本発明によると、柔らかで使用時の違和感が少なく、面圧分布の測定精度が高い静電容量型センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施形態の体圧分布センサが配置されたベッドの斜視図である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3】実施形態の体圧分布センサの分解斜視図である。
【図4】同体圧分布センサの上面透過図である。
【図5】図4のV−V断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の静電容量型センサの実施の形態について説明する。以下に示す実施形態は、本発明の静電容量型センサを、ベッド用の体圧分布センサとして具現化したものである。
【0037】
[ベッドの構成]
まず、本実施形態の体圧分布センサが配置されたベッドの構成について簡単に説明する。図1に、本実施形態の体圧分布センサが配置されたベッドの斜視図を示す。図2に、図1のII−II断面図を示す。なお、図1においては、体圧分布センサを透過して示す。
【0038】
図1、図2に示すように、ベッド9の床板90の上側には、マットレス91が配置されている。マットレス91の上面には、体圧分布センサ1が配置されている。体圧分布センサ1は、マットレス91上面の略全面に亘って配置されている。体圧分布センサ1およびマットレス91は、シーツ92により被覆されている。
【0039】
[体圧分布センサの構成]
次に、本実施形態の体圧分布センサの構成について説明する。図3に、本実施形態の体圧分布センサの分解斜視図を示す。図4に、同体圧分布センサの上面透過図を示す。図5に、図4のV−V断面図を示す。なお、図3においては、表側コネクタ11、裏側コネクタ12、および制御部4を省略して示す。図4においては、融着部13および検出部A0101〜A0808に、ハッチングを施して示す。
【0040】
図3〜図5に示すように、本実施形態の体圧分布センサ1は、誘電層10と、表側シート2と、裏側シート3と、表側電極01X〜08Xと、裏側電極01Y〜08Yと、検出部A0101〜A0808と、表側配線01x〜08xと、裏側配線01y〜08yと、表側コネクタ11と、裏側コネクタ12と、制御部4と、を備えている。なお、検出部の符合「A○○△△」中、上二桁の「○○」は、表側電極01X〜08Xに対応している。下二桁の「△△」は、裏側電極01Y〜08Yに対応している。
【0041】
誘電層10は、ウレタンフォーム製であって、長方形のシート状を呈している。誘電層10の厚さは、300μmである。誘電層10は、XY方向(左右および前後方向)に延在している。ウレタンフォームは、本発明の「ポリマー」に含まれる。
【0042】
表側シート2は、誘電層10の上側に配置されている。表側シート2は、厚さ138μmの長方形状を呈している。表側シート2の面積は、誘電層10の面積より大きい。表側シート2の5%伸長時応力は、0.23N/mmである。表側シート2は、表側布層20と、表側ポリマー層21と、を備えている。表側布層20は、目付55g/mのポリエステル織物からなる。表側ポリマー層21は、ポリウレタンフィルム(日本マタイ(株)製「エスマー(登録商標)URL」)からなる。表側布層20と表側ポリマー層21とは、厚さ方向(上下方向)に積層されている。表側ポリマー層21は、表側布層20の下面に、ポリウレタン系接着剤(DIC(株)製「クリスボン(登録商標)4070FT」)により接着されている。表側ポリマー層21は、誘電層10側に配置されている。表側シート2の上面、すなわち表側布層20の上面は、シーツ92で被覆されている。表側シート2は、本発明の「荷重が入力される側のシート」に含まれる。また、表側シート2は、本発明の「積層体」に含まれる。
【0043】
表側電極01X〜08Xは、表側シート2の下面(裏面)、すなわち表側ポリマー層21の下面に、合計8本形成されている。表側電極01X〜08Xは、各々、アクリルゴムおよび導電性カーボンブラックを含んでいる。表側電極01X〜08Xは、各々、帯状を呈している。表側電極01X〜08Xは、各々、Y方向(前後方向)に延在している。表側電極01X〜08Xは、X方向(左右方向)に、所定間隔ごとに離間して、互いに略平行になるように、配置されている。表側電極01X〜08Xは、各々、誘電層10の上面に接触するように配置されている。
【0044】
表側配線01x〜08xは、表側シート2の下面に、合計8本形成されている。表側配線01x〜08xは、各々、アクリルゴムおよび導電性カーボンブラックを含んでいる。表側コネクタ11は、表側シート2の左前隅に配置されている。表側コネクタ11には、制御部4が、電気的に接続されている。表側配線01x〜08xは、各々、表側電極01X〜08Xの前端部と、表側コネクタ11と、を接続している。
【0045】
裏側シート3は、誘電層10の下側に配置されている。裏側シート3の大きさ、形状、構成、および5%伸長時応力は、表側シート2のそれと同じである。すなわち、裏側シート3は、裏側布層30と、裏側ポリマー層31と、を備えている。裏側布層30は、表側布層20と同じポリエステル織物からなる。裏側ポリマー層31は、ポリウレタンフィルム(同上)からなる。裏側布層30と裏側ポリマー層31とは、厚さ方向(上下方向)に積層されている。裏側ポリマー層31は、裏側布層30の上面に、ポリウレタン系接着剤(同上)により接着されている。裏側ポリマー層31は、誘電層10側に配置されている。裏側シート3は、本発明の「積層体」に含まれる。
【0046】
裏側電極01Y〜08Yは、裏側シート3の上面(表面)、すなわち裏側ポリマー層31の上面に、合計8本形成されている。裏側電極01Y〜08Yは、各々、アクリルゴムおよび導電性カーボンブラックを含んでいる。裏側電極01Y〜08Yは、各々、帯状を呈している。裏側電極01Y〜08Yは、各々、X方向(左右方向)に延在している。裏側電極01Y〜08Yは、Y方向(前後方向)に、所定間隔ごとに離間して、互いに略平行になるように、配置されている。裏側電極01Y〜08Yは、各々、誘電層10の下面に接触するように配置されている。
【0047】
裏側配線01y〜08yは、裏側シート3の上面に、合計8本形成されている。裏側配線01y〜08yは、各々、アクリルゴムおよび導電性カーボンブラックを含んでいる。裏側コネクタ12は、裏側シート3の左前隅に配置されている。裏側コネクタ12には、制御部4が、電気的に接続されている。裏側配線01y〜08yは、各々、裏側電極01Y〜08Yの左端部と、裏側コネクタ12と、を接続している。
【0048】
表側シート2と裏側シート3とは、誘電層10を挟んで対向している。表側シート2および裏側シート3の周縁部には、図4にハッチングで示すように、複数の融着部13が配置されている。複数の融着部13は、誘電層10の周囲を囲うように、点線状に配置されている。表側シート2と裏側シート3は、融着部13において、接合されている。
【0049】
検出部A0101〜A0808は、図4にハッチングで示すように、表側電極01X〜08Xと、裏側電極01Y〜08Yと、が上下方向から見て交差する部分(重複する部分)に配置されている。検出部A0101〜A0808は、各々、表側電極01X〜08Xの一部と、裏側電極01Y〜08Yの一部と、誘電層10の一部と、を備えている。検出部A0101〜A0808は、合計64個(=8個×8個)配置されている。検出部A0101〜A0808は、誘電層10の略全面に亘って、略等間隔に配置されている。
【0050】
制御部4は、電源回路41と、CPU(Central Processing Unit)42と、RAM(Random Access Memory)43と、EEP−ROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)44と、駆動回路45と、を備えている。制御部4は、表側コネクタ11、裏側コネクタ12に、電気的に接続されている。
【0051】
電源回路41は、検出部A0101〜A0808に、正弦波状の交流電圧を印加する。交流電圧は、検出部A0101〜A0808に、走査的に順番に印加される。EEP−ROM44には、予め、検出部A0101〜A0808における静電容量と荷重(体圧)との対応を示すマップ等が、格納されている。RAM43には、表側コネクタ11、裏側コネクタ12から入力されるインピーダンス、位相等が、一時的に格納される。CPU42は、RAM43に格納されたインピーダンス、位相を基に、検出部A0101〜A0808の静電容量を算出する。そして、静電容量から、体圧分布センサ1における体圧分布(面圧分布)を算出する。駆動回路45は、CPU42が算出した体圧分布に応じて、駆動回路45に接続されている部材(図略)を駆動する。
【0052】
[体圧分布センサの製造方法]
次に、本実施形態の体圧分布センサ1の製造方法について説明する。本実施形態の体圧分布センサ1の製造方法は、シート作製工程と、印刷工程と、積層工程と、シート融着工程と、を有している。
【0053】
シート作製工程においては、表側シート2および裏側シート3を作製する。まず、40メッシュのグラビアロールを用いて、ポリウレタンフィルム(同上)にポリウレタン系接着剤(同上)を、6g/m(固形分換算)の塗布量で網目状に塗布する。その後、100℃下で、塗布した接着剤を乾燥させる。次に、ポリウレタンフィルムの接着剤の塗布面に、ポリエステル織物を積層させる。そして、硬度80度のニップロールを用いて、線圧100kg/cmの圧力で、ポリエステル織物とポリウレタンフィルムとを圧着する。このようにして、ポリエステル織物からなる布層と、ポリウレタンフィルムからなるポリマー層と、を有する積層体を得る。得られた積層体を所定の大きさに切断して、表側シート2および裏側シート3を作製する。
【0054】
印刷工程においては、作製した表側シート2に、表側電極01X〜08Xおよび表側配線01x〜08xを形成する。同様に、裏側シート3に、裏側電極01Y〜08Yおよび裏側配線01y〜08yを形成する。
【0055】
まず、導電塗料を、以下の手順で調製する。アクリルゴムポリマー100質量部、加硫助剤のステアリン酸1質量部、加硫促進剤のジメチルジチオカルバミン酸亜鉛2.5質量部、およびジメチルジチオカルバミン酸第二鉄0.5質量部を、ロール練り機にて混合し、エラストマー組成物を調製する。調製したエラストマー組成物を、メチルエチルケトン(MEK)1500質量部に溶解させる。この溶液に、導電性カーボンブラック(ケッチェンブラック、ライオン(株)製「EC600JD」)22.86質量部を添加して、ロールで混練りして、固形分濃度約7.8質量%のMEK溶液を得る。得られたMEK溶液に、印刷用溶剤のジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート686.7質量部を添加する。そして、印刷用溶剤を添加したMEK溶液を、大気と接しやすい広口容器に入れ、時々攪拌しながら室温にて一日静置する。こうすることで、低沸点のMEKを蒸発させる。このようにして、導電塗料を調製する。なお、印刷用溶剤の沸点は200℃以上である。このため、印刷用溶剤の揮発は無視できる。
【0056】
次に、表側シート2の表側ポリマー層21の下面(図3における下面。印刷時には上向きに配置する。)に、スクリーン印刷機を用いて、調製した導電塗料を印刷する。その後、加熱により塗膜を乾燥すると共に、アクリルゴムポリマーを架橋させて、表側電極01X〜08Xおよび表側配線01x〜08xを形成する。同様にして、裏側シート3の裏側ポリマー層31の上面に、導電塗料を印刷して、裏側電極01Y〜08Yおよび裏側配線01y〜08yを形成する。
【0057】
積層工程においては、図3に示すように、下から順に、裏側シート3、誘電層10、および表側シート2を積層する。すなわち、裏側シート3に形成した裏側電極01Y〜08Yと、表側シート2に形成した表側電極01X〜08Xと、の間に誘電層10が介装されるように、裏側シート3、誘電層10、および表側シート2を積層する。
【0058】
シート融着工程においては、積層された表側シート2および裏側シート3の周縁部を、所定の間隔でスポット融着する。このようにして、本実施形態の体圧分布センサ1は、製造される。
【0059】
[体圧分布センサの動き]
次に、本実施形態の体圧分布センサ1の動きについて説明する。まず、就寝者Mがマットレス91の上に横になる前(初期状態)に、検出部A0101〜A0808ごとに、静電容量Cを算出する。すなわち、検出部A0101から検出部A0808までを、あたかも走査するように、静電容量Cを算出する。算出された静電容量Cは、検出部A0101〜A0808ごとに、RAM43に格納される。次に、就寝者Mがマットレス91の上に仰向けに寝た後、検出部A0101〜A0808ごとに、静電容量Cを算出する。算出された静電容量Cは、検出部A0101〜A0808ごとに、RAM43に格納される。就寝者Mの体重が加わった部分の検出部においては、表側電極と裏側電極との距離が小さくなる。これにより、当該検出部の静電容量Cは、大きくなる。CPU42は、静電容量の変化量ΔCから、検出部A0101〜A0808ごとの体圧を算出する。このようにして、マットレス91上の体圧分布が測定される。
【0060】
[作用効果]
次に、本実施形態の体圧分布センサ1の作用効果について説明する。本実施形態の体圧分布センサ1によると、表側シート2、裏側シート3の両方が、5%伸長時応力0.23N/mmの伸縮性に乏しい積層体からなる。このため、表側シート2に形成された表側電極01X〜08Xおよび表側配線01x〜08x、裏側シート3に形成された裏側電極01Y〜08Yおよび裏側配線01y〜08y(以下適宜、まとめて「電極および配線」と称す)は、就寝者Mの体重が加わっても、伸びにくい。よって、電極および配線における電気抵抗の変化が小さい。また、検出部A0101〜A0808において、電極面積の変化も小さい。したがって、電極および配線の伸張による、出力への影響が小さい。このため、体圧分布センサ1においては、検出部A0101〜A0808に加わる圧力を正確に検出することができる。すなわち、体圧分布センサ1においては、体圧分布(面圧分布)の測定精度が高い。
【0061】
表側シート2は、表側布層20を有している。同様に、裏側シート3は、裏側布層30を有している。表側布層20および裏側布層30を構成するポリエステル織物の目付は、55g/mである。このため、表側シート2および裏側シート3は、柔らかい。すなわち、体圧分布センサ1は、シート材料としてゴムフィルムを用いた場合と同程度の柔らかな感触を有している。したがって、就寝者Mが硬さ、ごわつき等の違和感を感じにくい。また、体圧分布センサ1においては、荷重が入力される側の表側シート2だけでなく、裏側シート3も積層体からなる。したがって、より良好な使用感を得ることができる。また、表側布層20および裏側布層30は、ポリエステル織物からなる。このため、表側シート2、裏側シート3は、吸湿しにくく、耐久性に優れる。
【0062】
表側シート2の誘電層10側には、ポリウレタンフィルムからなる表側ポリマー層21が配置されている。同様に、裏側シート3の誘電層10側には、ポリウレタンフィルムからなる裏側ポリマー層31が配置されている。ポリウレタンフィルムの強度は大きい。また、ポリウレタンフィルムは、導電塗料との接着性も良好である。このため、表側シート2の裏面、および裏側シート3の上面に、電極および配線を、導電塗料から容易に形成することができる。また、表側布層20および裏側布層30と比較して、表側ポリマー層21および裏側ポリマー層31の表面粗さは小さい。したがって、表側ポリマー層21に形成された表側電極01X〜08X、および裏側ポリマー層31に形成された裏側電極01Y〜08Yと、誘電層10と、の接触状態は、共に良好である。
【0063】
表側シート2、裏側シート3を構成する積層体は、ポリウレタンフィルムとポリエステル織物とを、接着させて製造される。このため、表側シート2、裏側シート3を、容易に製造することができる。
【0064】
体圧分布センサ1において、電極および配線は、アクリルゴムおよび導電性カーボンブラックを含んで形成されている。このため、電極および配線は、柔軟で高い導電性を有する。加えて、伸縮や屈曲しても、クラックが発生しにくく、導電性の変化が小さい。また、電極および配線は、スクリーン印刷法により形成されている。このため、薄膜状の電極および配線を、様々な形状に形成しやすい。
【0065】
表側シート2と裏側シート3とは、周縁部をスポット融着することにより接合されている。このため、融着されていない部分を通して、誘電層10が介装される内部と外部との間で、空気の移動が可能である。したがって、誘電層10として、ウレタンフォーム等の発泡体を用いた場合でも、セルの圧縮、回復に伴う空気の出入が阻害されない。
【0066】
帯状の表側電極01X〜08Xは、誘電層10の全面に亘って、X方向およびY方向に、略等間隔に配置されている。同様に、裏側電極01Y〜08Yは、誘電層10の全面に亘って、X方向およびY方向に、略等間隔に配置されている。そして、検出部A0101〜A0808は、表側電極01X〜08Xと裏側電極01Y〜08Yとの交差部分を利用して配置されている。このため、検出部A0101〜A0808を、誘電層10の全面に分散させやすい。また、広い領域における面圧分布を測定する場合でも、荷重を検出したい部位ごとに、電極を配置する必要はない。
【0067】
<その他>
以上、本発明の静電容量型センサの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0068】
例えば、積層体を構成する布層、ポリマー層の材質は、5%伸長時応力が0.2N/mm以上15.0N/mm以下の積層体を構成できれば、特に限定されない。布層は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル繊維、ナイロン(登録商標)6、ナイロン6,6等のポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ポリイミド繊維から選ばれる一種以上の繊維から形成することができる。また、ポリマー層は、樹脂や熱可塑性エラストマーから形成すればよい。例えば、ポリウレタン系、アクリル系、シリコーン系、ポリビニルアルコール系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、フッ素系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系、メラミン系等の樹脂、あるいは熱可塑性エラストマーから選ばれる一種以上を用いればよい。
【0069】
積層体は、上記実施形態のように、布層およびポリマー層の二層構造でもよいが、例えば、布層がポリマー層で挟持された三層構造でもよい。さらに、布層やポリマー層を重ねて四層以上の構造にしてもよい。
【0070】
積層体には、柔らかさが必要であると同時に、所定の範囲の荷重に対して伸びにくいことが必要である。表1に、上記実施形態の積層体(実施例1)と、それ以外のフィルム部材(比較例1、参考例1−5)における、5%伸長時応力および柔軟性の評価結果を示す。表1中、比較例1の伸縮布としては、東レ(株)製の「トリンティ(登録商標)」を使用した。また、5%伸長時応力が大きいほど、伸びにくいことを示す。また、柔軟性については、手で触れた時の感触で判断し、柔らかいと感じたものを○印、硬いと感じたものを×印で示す。
【表1】

【0071】
比較例1のフィルム部材は、実施例1の積層体(本発明における積層体)と同様に、布層とポリマー層との二層構造を有する。しかし、5%伸長時応力が0.2N/mm未満であり、伸縮性が高い。このため、本発明の静電容量型センサのシートには適さない。また、参考までに単層構造のフィルム部材を評価したところ、参考例2のフィルム部材においては、5%伸長時応力が0.2N/mm未満であり、伸縮性が高かった。一方、参考例1、3−5のフィルム部材においては、5%伸長時応力は0.2N/mm以上15.0N/mm以下であったが、いずれも柔軟性に乏しかった。
【0072】
上記実施形態においては、ポリエステル織物とポリウレタンフィルムとを接着するラミネート法により、積層体を製造した。しかし、積層体の製造方法は、上記実施形態に限定されない。例えば、布にポリマー溶液を塗布するコーティング法や、布をポリマー溶液に浸漬するディッピング法により、製造してもよい。なお、布層とポリマー層とを接着する接着剤も、特に限定されない。例えば、上記ポリウレタン系接着剤の他、ポリアミド系接着剤、ポリエステル系接着剤等が挙げられる。
【0073】
上記実施形態においては、表側シートおよび裏側シートの両方に、積層体を用いた。しかし、表側シート(荷重が入力される側のシート)にのみ、積層体を用いてもよい。この場合、裏側シートとしては、PETフィルム等を用いることができる。PETフィルム等の透明なフィルムを用いると、表側シート、誘電層、裏側シートを積層して一体化する際の、位置合わせが容易になる。
【0074】
誘電層のポリマーの種類は、特に限定されない。樹脂、エラストマー(架橋ゴムおよび熱可塑性エラストマー)の中から、適宜選択すればよい。伸縮の繰り返しに対する耐久性、および静電容量を大きくするという観点から、伸び、強度、および比誘電率が大きいエラストマーが好適である。例えば、シリコーンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、およびこれらの発泡体が挙げられる。誘電層は、ポリマー製のシートの他、ポリマー繊維から形成される布でもよい。誘電層のヤング率を調整することにより、用途に応じて検出感度や検出レンジを調整することができる。例えば、ウレタンフォーム等のヤング率の小さな発泡体を採用すると、小さな荷重を検出しやすい。
【0075】
表側電極、裏側電極、表側配線、および裏側配線は、伸縮や屈曲しても、クラックが発生しにくく、導電性の変化が小さいという観点から、上記実施形態のように、エラストマーおよび導電材を含む構成が望ましい。エラストマーとしては、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合ゴム、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム等が挙げられる。導電材としては、カーボンブラックやグラファイト粉末等の導電性炭素粉末や、銀、銅等の金属粉末を用いることができる。また、電極および配線は、スクリーン印刷の他、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、パッド印刷、リソグラフィー等により形成してもよい。あるいは、ディップ法、スプレー法、バーコート法等により形成してもよい。
【0076】
表側電極、裏側電極の形状、配置数、電極間の間隔等は、特に限定されない。例えば、表側電極、裏側電極の幅を、延在方向(前後方向または左右方向)において変化させてもよい。また、表側電極、裏側電極を等間隔に形成するのではなく、場所により間隔を変えて形成してもよい。また、表側電極、裏側電極は、直線状でも、曲線状でもよい。
【0077】
本発明の静電容量型センサを、さらに他の部材を備えて構成してもよい。例えば、表側シート(荷重が入力される側のシート)の上面に、カバーシートを配置してもよい。あるいは、センサ全体(制御部は除いても可)を、カバー袋の中に収容してもよい。これにより、意匠性が向上すると共に、静電容量型センサの汚れを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の静電容量型センサは、車のシートや車椅子用の着座センサ、ベッドやカーペット用の面圧分布センサ、人工皮膚等のソフトな面圧センサ、人の動きを検出するモーションキャプチャ、キーボード等の情報入力デバイス、車両の衝突検知センサ等、様々な用途に用いることができる。
【符号の説明】
【0079】
1:体圧分布センサ(静電容量型センサ)、2:表側シート、3:裏側シート、4:制御部、9:ベッド、10:誘電層、11:表側コネクタ、12:裏側コネクタ、13:融着部、20:表側布層、21:表側ポリマー層、30:裏側布層、31:裏側ポリマー層、41:電源回路、42:CPU、43:RAM、44:EEP−ROM、45:駆動回路、90:床板、91:マットレス、92:シーツ、01X〜08X:表側電極、01Y〜08Y:裏側電極、01x〜08x:表側配線、01y〜08y:裏側配線、A0101〜A0808:検出部、M:就寝者。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー製の誘電層と、
該誘電層を挟んで配置される一対の表側シートおよび裏側シートと、
該表側シートの該誘電層に接触する裏面に形成される表側電極と、
該裏側シートの該誘電層に接触する表面に形成される裏側電極と、
表裏方向に対向する該表側電極と該裏側電極との間に形成される検出部と、
を備え、該検出部の静電容量の変化から該検出部に加わる圧力を検出可能な静電容量型センサであって、
該表側シートおよび該裏側シートのうち、少なくとも荷重が入力される側のシートは、布層とポリマー層とを有し、一方向に5%伸長した時の応力が0.2N/mm以上15.0N/mm以下である積層体からなり、該積層体において該ポリマー層は該誘電層側に配置されることを特徴とする静電容量型センサ。
【請求項2】
前記布層は、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ポリイミド繊維から選ばれる一種以上の繊維から形成される請求項1に記載の静電容量型センサ。
【請求項3】
前記布層の目付は、15g/m以上300g/m以下である請求項1または請求項2に記載の静電容量型センサ。
【請求項4】
前記ポリマー層には、エラストマーおよび導電材を含む導電塗料から、前記表側電極および前記裏側電極を形成することができる請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の静電容量型センサ。
【請求項5】
前記表側電極および前記裏側電極は、エラストマーおよび導電性炭素粉末を含む請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の静電容量型センサ。
【請求項6】
前記ポリマー層は、ポリウレタンフィルムからなり、
該ポリウレタンフィルムと前記布層とは接着剤により接着される請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の静電容量型センサ。
【請求項7】
前記表側シートの裏面には、前記表側電極に接続される表側配線が形成され、
前記裏側シートの表面には、前記裏側電極に接続される裏側配線が形成される請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の静電容量型センサ。
【請求項8】
前記表側シートおよび前記裏側シートは、どちらも前記積層体からなる請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の静電容量型センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−96716(P2013−96716A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236766(P2011−236766)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】