説明

静電容量型タッチスイッチ

【課題】スイッチの誤作動を防止するとともに、スイッチ意匠の自由度を向上することができるタッチスイッチを提供する。
【解決手段】電極に対する人体の近接又は接触により生じる静電容量の変化を静電容量検出回路を用いて検出する静電容量型タッチスイッチにおいて、絶縁性のベース樹脂層である上部レンズ24の表面に、スパッタリング法により形成した金属薄膜のスパッタ層38を設ける。スパッタ層38は、鏡面のような美しい金属光沢調の外観や、ベース樹脂層の色相が金属層を透過することで現れる虹彩色等の外観を呈するように形成できて意匠性に富むことから物品を装飾するパネル面として用いられるとともに、静電容量検出用の電極としても用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電層に対する人体の近接又は接触により生じる静電容量の変化を静電容量検出回路を用いて検出するタッチスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、パネル表面に指先を近接又は接触させることによるパネル表面付近の静電容量の変化を検出するタッチスイッチが用いられている。
【0003】
例えば、図1に示す構成のように、絶縁性のベース樹脂層10の裏面に金属層12を形成し、その金属層12が静電容量検出回路14に電気的に接続されたタッチスイッチ100が知られている(例えば特許文献1や特許文献2)。また、例えば、図2に示す構成のように、金属層16が静電容量検出回路18に電気的に接続されたタッチスイッチ200が知られている(例えば特許文献3)。
【0004】
図1のタッチスイッチ100では、ユーザが指先をベース樹脂層10に近接又は接触させることによって、ベース樹脂層10を介してこの裏面に形成された金属層12と指先との間における静電容量の変化が生じ、金属層12に接続された静電容量検出回路14でその変化が検出される。また、図2のタッチスイッチ200では、ユーザが指先を金属層16に直接接触させることによって静電容量の変化が生じ、金属層16に接続された静電容量検出回路18でその変化が検出される。
【0005】
【特許文献1】特開2005−228563号公報
【特許文献2】特開平11−136116号公報
【特許文献3】特開2004−103285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図1のタッチスイッチ100は、ベース樹脂層10越しに静電容量の変化を検知する。静電容量は金属層12と指先間の距離が大きいと小さくなることから、ベース樹脂層10が厚い場合、すなわち、金属層12と指先間の距離が大きい場合には、ユーザの指先がベース樹脂層10に近接又は接触することにより生じる静電容量の変化は、ベース樹脂層10が薄い場合に比べて小さくなる。このように静電容量の変化が小さいと、ユーザの指先がベース樹脂層10に近接又は接触した状態としない状態の判別が困難となってスイッチ感度が低下する。
【0007】
また、検出される静電容量は、スイッチ近傍における他の金属物の有無や温度、湿度、場所等の環境条件により変動する。このため、環境条件が異なると検知する静電容量にこの変動が含まれることとなり、ユーザの指先が近接又は接触したことによる静電容量の変化を検出することが難しくなる。
【0008】
また、特許文献2に示されるように、静電容量の変化が小量であっても指先の近接等を精度よく検知し得るような制御回路・制御ソフト等を採用することも提案されている。しかし、このような制御回路等を組み込んだタッチスイッチは一般に複雑な構造になるとともに、コストがアップする。
【0009】
一方、図2のタッチスイッチ200は、金属層16がスイッチ表面に露出しており、ユーザの指先が直接金属層に接触する。このため、タッチスイッチ200は、図1のタッチスイッチ100に比べて静電容量の変化を十分に大きくとることができる。しかし、このタッチスイッチ200では金属層16が表面に露出し、スイッチの意匠についての自由度が小さいおそれがある。
【0010】
本発明は、スイッチの誤作動が少ないと共に、スイッチ意匠の自由度を向上することができるタッチスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るタッチスイッチは 絶縁性のベース樹脂層と、ベース樹脂層の表面上に設けられた導電層と、導電層に電気的に接続された静電容量検出回路と、を備え、導電層に対する人体の近接又は接触により生じる静電容量の変化を静電容量検出回路を用いて検出するタッチスイッチであって、導電層はスパッタリング、蒸着、メッキ又は金属調塗装により形成された層であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る他のタッチスイッチは、絶縁性のベース樹脂層と、ベース樹脂層の表面上に設けられた導電層と、導電層に電気的に接続された静電容量検出回路と、を備え、導電層に対する人体の近接又は接触により生じる静電容量の変化を静電容量検出回路を用いて検出するタッチスイッチであって、導電層はスパッタリングにより形成された透光性のスパッタ層であることを特徴とする。スパッタ層の厚さは、5〜500nmであることが好ましい。さらに、スパッタ層の表面上に、スパッタ層保護用の透明樹脂の薄膜から成るトップコート層を被覆したものがより好ましい。
【0013】
また、本発明に係る他のタッチスイッチは、上記において、静電容量検出回路により検出された静電容量の変化に応じて段階的に輝度を変えて点灯する光源を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る他のタッチスイッチは、上記において、ベース樹脂層は車両用の内外装部品の表面部分における層であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、タッチスイッチのユーザがタッチする部分をベース樹脂層上に形成した導電層で構成することで、タッチスイッチの意匠性を損なわずに、検出対象となる静電容量を大きくすることができる。これにより、スイッチの誤作動を少なくすることができる。また、ベース樹脂層の表面上のパネル表面がスパッタリング、蒸着、メッキ又は金属調塗装により形成されることで、パネル表面を金属光沢の色調としたり、ベース樹脂層の色相が透けて現れる色調とすることができるなどスイッチ意匠の自由度を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。図3は、本発明のタッチスイッチを、車両の運転席側ドアトリムに設けられるドアポケットイルミネーション装置のスイッチとして適用した場合の分解斜視図である。図4は、図3のA−A線における断面図である。
【0017】
図3及び図4に示すように、左右及び後面に側板を有するドアトリム本体20の長手方向(左右方向)に開口した前面(車室内に向いた側)には、左右横長の略方形板状のレンズ組立体22が配置される。レンズ組立体22は、それぞれ左右横長の略板状の樹脂製の上部レンズ24、導光板26、下部レンズ28が上からこの順番に積層するようにして構成される。レンズ組立体22の下層に位置する下部レンズ28の前面には、左右横長の方形状の両面粘着テープ30が貼着される。そして、このテープ30の前面には、左右横長の略方形状のフレキシブル基板32の後面下部が貼着される。一方、フレキシブル基板32の後面上部は、レンズ組立体22の上層及び中層に位置する上部レンズ24及び導光板26の前面に対向するように配置される。フレキシブル基板32の前面にはポケット前板34が配設される。これによりドアトリム本体20には、ドアトリム本体20を左右後面の側壁とし、レンズ組立体22、両面粘着テープ30、フレキシブル基板32及びポケット前板34からなる積層体を前面の側壁として構成されるような上部が開口した凹状のポケット36が形成される。このようなポケット36には、夜間などの暗闇でも収容物を探せるようにポケット36の内部を照明するための光源が設けられる。本実施形態におけるタッチスイッチ300は、この光源の点消灯状態を切り替えるスイッチとして用いられる。
【0018】
タッチスイッチ300のパネル面は、レンズ組立体22の上部レンズ24の上面及びこれに隣接する前面及び後面の表面を、前後方向に沿う切断面形状が略逆U字状を呈するように被覆する導電性の金属層として形成される。金属層は、例えばスパッタリング法により形成される金属薄膜のスパッタ層38で構成することができる。このスパッタ層38は、静電容量検出用の電極として用いられ、その表面は鏡面のような優れた金属光沢調の外観を有する。
【0019】
スパッタ層38は、上部レンズ24の前面を被覆する部分において、フレキシブル基板32の表面に形成された導電パターン40と密接しており、これらは互いに電気的に接続している。このフレキシブル基板32の右下端部からはこの導電パターン40における電気信号を外部に導くための細長帯状の引き出し線42が右方向に延びている。この右方向に延びた引き出し線42の先端部44は、ドアトリム本体20の右側板の外側面に設けられた制御ECUボックス46内の制御ECU基板48のコネクタ50に接続される。コネクタ50は、制御ECU基板48上に設けられた静電容量検出回路52と電気的に接続している。このようにしてスパッタ層38は、フレキシブル基板32を介して静電容量検出回路52に電気的に接続される。なお、このフレキシブル基板32は、ポリイミドフィルム、PETフィルム等の柔軟なフィルム表面に銅箔や導電性ペーストからなる導電パターン40が形成されることで構成するとよい。
【0020】
制御ECU基板48は、制御ECUボックス46の内側ケースカバー56の開口内部に嵌め込まれて収容される矩形状の基板である。制御ECU基板48の表面(左側面)には、静電容量の変化を検出する静電容量検出回路52と、ポケット内部を照明する光源として用いるLED74a、74bと、これらLEDの点消灯状態を制御するLED制御回路76とが実装される。また、制御ECU基板48の裏面(右側面)の前方下部には、フレキシブル基板32の引き出し線42の先端部44と電気的に接続されるコネクタ50が、基板裏面の略中央部には、制御ECU基板48と車両電源部(不図示)とを繋ぐ配電線用端子54が実装される。
【0021】
静電容量検出回路52は、スパッタ層38に生じた静電容量の変化を検出する回路であり、ユーザがスパッタ層38に指先を近接又は接触させると、スパッタ層38と指先との間の静電容量の変化を検出する。静電容量検出回路52から検出された検出値は、LED制御回路76に入力される。LED制御回路76は、この検出値に基づいてLED74a、74bに対する駆動電流の供給をON/OFFすることにより、LEDの点灯/消灯を切り替える。
【0022】
LED74a、74bは、制御ECU基板48の左側面の前方の上下方向略中央の位置に縦に2個並べて配置されており、制御ECU基板48上に設けられたLED制御回路76の制御を受け点消灯する。これらLEDの先端部分は、レンズ組立体22の導光板26の右方向に突き出た右端面に形成された2箇所の挿入孔72a、72bにそれぞれ挿入されており、LED74a、74bから放射される光を導光板26の内部に導く。導光板26は、LED74a、74bからの光をポケット36の長手方向に導いて、その上下に連設される上部レンズ24及び下部レンズ28に光を供給する。上部レンズ24及び下部レンズ28内に入射した光はレンズ効果により拡散され、ポケット36内部を均一に照明する。
【0023】
制御ECUボックス46は、ドアトリム本体20の右側板に対向する側に配置され右方に開口を有する略直方体状の内側ケースカバー56と、内側ケースカバー56の開口側に対向するように開口を左方に有し、内側ケースカバー56の開口を覆う略直方体状の外側ケースカバー58とを備える。この外側ケースカバー58の前側の下部には、フレキシブル基板32の引き出し線42の先端部44を制御ECU基板48のコネクタ50に接続するための切り欠き部60が形成され、引き出し線42を挿通している。また、内側ケースカバー56の前側の略中央部には、レンズ組立体22の導光板26の右端を通してこれを制御ECU基板48に近接して配置するための切り欠き部62が形成される。
【0024】
内側ケースカバー56には、その上側板及び下側板の外部のそれぞれ両端近傍の位置に、外側に突出した弾発係止片64a、64b、64c及び64dが形成される。これら弾発係止片64a〜64dは、外側ケースカバー58の上側板及び下側板の当該弾発係止片64a〜64dに対応する位置に設けられた係止穴66a、66b、66c及び66dにそれぞれ係止される。これにより、外側ケースカバー58は内側ケースカバー56にその外側から取り付けられる。また、外側ケースカバー58の上側板及び下側板の外部のそれぞれ両端近傍と下側板の外部の略中央には、係止爪68a、68b、68c、68d及び68eが突設されている。これら係止爪68a〜68eは、ドアトリム本体20の右側板の外側面の対応する部位に設けられた係止穴70a、70b、70c、70d及び70eにそれぞれ係止され、内側ケースカバー56の左側面とドアトリム本体20の右側板の外側面とが接するようにして制御ECUボックス46をドアトリム本体20の右側板に固定している。
【0025】
上記の動作を説明する。図6は、本発明に係るタッチスイッチ300を適用した実施形態におけるドアポケットイルミネーション装置の回路ブロック図である。図6に示すように、ユーザがドアポケット36上部の開口部の縁のスパッタ層38に指先をかざしたり触れると、スパッタ層38と指先との間で生じた静電容量の変化がフレキシブル基板32を介して、制御ECU基板48上の静電容量検出回路52に送られる。そして、静電容量検出回路52から出力される検出値を受け取ったLED制御回路76はスイッチを作動してLED74a、74bを点灯させる。LED74a、74bから放射された光は導光板26の右端面から導光板26内部に入り、導光板26内部を長手方向に拡散しながら通過して、上下に隣接して配置された上部レンズ24及び下部レンズ28の内部に入射する。入射した光をこれらレンズが拡散することでポケット36内部を均一に照明する。
【0026】
上記の構成によれば、ポケット36上部の開口部の縁に手をかざしたり触れたりするだけでポケット36内部を照明できるので、便利であるとともに安全運転上好ましい。また、スイッチ電極がパネル面として外部に露出しているので、ユーザの指先の近接又は接触を確実にすることができ、静電容量の変化量が小さいこと等によるスイッチの誤動作を防止できる。さらに、スパッタ層38などの金属薄膜層は、層厚を薄く形成すれば透明感のある外観となり、厚く形成すれば金属調の外観となる。このためスパッタ層38により形成されるパネル面を全体の意匠に合わせ適切な外観とすることができ、パネル面の意匠性を損なわない。
【0027】
上記の実施形態において、スパッタ層38は透光性を具備してもよい。この場合、上部レンズ24内部の光や、外部からスパッタ層38を透過して入射した光の反射光の一部がスパッタ層38を透過して外部に漏れ出る。こうして、上部レンズ24の持つ色相とスパッタ層38の持つ例えば鏡面のような金属光沢の色相とが干渉合成することにより、スパッタ層38の表面に虹彩色又は玉虫色を帯びた光沢の美しい色相の外観が現れるようにすることができる。このようにスパッタ層38が透光性を具備することにより、その直下のベース樹脂層の持つ色相による意匠効果が発揮されることで、パネル面の意匠設計及び意匠選択の自由度を向上させることができる。なお、スパッタ層38が透光性を具備するために、スパッタ層38の厚さを例えば5〜500nm程度に形成してもよい。また、金属光沢調を強調するために、これよりもさらに厚く形成してもよく、いずれにしても本発明の作用・効果を得ることができる。
【0028】
上記の実施形態において、ポケット36外部からのスイッチ操作を無効としてLED74a、74bを点灯しないようにすることもできる。これは、ポケット36内外における静電容量の変化量の差を利用することで可能となる。例えば、図4に示すように、スパッタ層38はポケット36開口縁の内側上部において外部に露出している。このため、ポケット内部からのスイッチ操作(指先等の近接又は接触)による静電容量の変化量は、ポケット外部からの操作による静電容量の変化量に比べると大きい。そこで、この変化量の大小に基づいて、例えば検出量に所定の閾値を設定し、この閾値を超えるか否かにより、ポケット内部からの操作か、外部からの操作かをLED制御回路76で判別することができる。そして、ポケット外部からの操作であると判断する場合には、LED74a、74bを点灯しないようにし、ポケット内部からの操作であると判断する場合には、LED74a、74bを点灯するようにしてもよい。また、このような制御の他にも、ポケット内外で検出し得る静電容量の変化量の違いを利用することで、スイッチの作動を切り替えてもよい。例えば、静電容量の変化量に応じてLED74a、74bの輝度を段階的に調光制御するようにしてもよい。さらに、例えば、ポケット外部からの操作と判断した場合にはLED74a片方のみを点灯するようにし、ポケット内部からの操作と判断した場合にはLED74aとLED74bの両方を同時点灯することもできる。
【0029】
図5は、従来のタッチスイッチを、ドアポケットイルミネーションのスイッチに適用した場合の図4に対応する断面図である。この場合の回路ブロック図は、図6において点線経路で部分的に示されるように、概念的にはフレキシブル基板32を電極として使用する態様となる。このように従来のタッチスイッチは、レンズ組立体22又はポケット前板34を介して静電容量の変化を検出する。このため従来のタッチスイッチは、ポケット内部からの操作か、外部からの操作かを判別することが本発明に係るタッチスイッチ300を適用する場合に比べて容易ではなく、上記のようにポケット内部からの操作と外部からの操作とでスイッチ動作を異なったものとする制御を行うことは困難であった。
【0030】
上記の実施形態において、スパッタ層38は、ベースとなる樹脂製の上部レンズ24の表面の直上に形成してもよいし、上部レンズ24の表面に絶縁性のコーティング層を設けた上で上記スパッタ層38を形成したり、予め表面にスパッタ層38を形成した透明フィルムを接着剤等により上部レンズ24表面に貼り付けることで間接的に形成してもよく、いずれにおいても本発明の作用・効果を得ることができる。また、スパッタ層38の保護のために、スパッタ層38の表面上に透明樹脂の薄膜からなるトップコートを塗布してもよく、この場合でも本発明の作用・効果を得ることができる。
【0031】
また、スパッタ層38は、絶縁性の添加物を含む金属材をスパッタリングしてベース樹脂層となる上部レンズ24の意匠面全体に付着させることによって形成してもよい。このスパッタ層38の表面上には、スイッチの内容を示す装飾を施して形成してもよい。スパッタ層38の材料としては、例えば、デプト(Dept)社製のAMOマテリアル(AMO Material:商品名)を用いることができる。
【0032】
上記の実施形態において、金属層としてスパッタ層を用いる代わりに、蒸着、メッキ又は金属調塗装により形成した金属薄膜層としてもよい。この場合においても、金属薄膜層の厚さを均一に加工形成することで、金属光沢の質感を呈することができ、デザイン性の高い意匠面を得ることができる。
【0033】
上記の実施形態の他に、本発明に係るタッチスイッチは、車室内に設けられる小物入れ等の車両用内外装部品に適用することもできる。例えば、車室内に設けられる小物入れの場合、小物入れを形成する凹部開口縁の樹脂表面上にスパッタリング等により導電性金属薄膜を用いたスモーク装飾を施し、これを内部照明用スイッチのパネル面として使用してもよい。そして、小物入れの開口表面に触れたり、手を近づけたりすることで、内部の照明光が点灯して中の物が見えるようにしてもよい。
【0034】
上記のように、本発明に係るタッチスイッチは、絶縁性のベース樹脂層の表面に、スパッタリング法等により形成した金属層を設けることで、これを静電容量検出用の電極として用いる。この金属層は、鏡面のような美しい金属光沢調の外観や、ベース樹脂層の色相が金属層を透過することで現れる虹彩色等の外観を呈するように形成できて意匠性に富むことから物品を装飾するパネル面としても用いられる。このため、本発明に係るタッチスイッチは、スイッチの誤作動を防止し、スイッチ意匠の自由度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】従来のタッチスイッチの構成を示す図である。
【図2】従来のタッチスイッチの構成を示す図である。
【図3】本発明のタッチスイッチを、車両のドアポケットイルミネーション用スイッチとして適用した場合の分解斜視図である。
【図4】本発明のタッチスイッチの図3のA−A線における断面図である。
【図5】従来のタッチスイッチの断面図であり、図4に対応する図である。
【図6】本発明のタッチスイッチの回路ブロック図である。
【符号の説明】
【0036】
10 ベース樹脂層、12,16 金属層、14,18,52 静電容量検出回路、20 ドアトリム本体、22 レンズ組立体、24 上部レンズ、26 導光板、28 下部レンズ、30 両面粘着テープ、32 フレキシブル基板、34 ポケット前板、36 ポケット、38 スパッタ層、40 導電パターン、42 引き出し線、44 先端部、46 制御ECUボックス、48 制御ECU基板、50 コネクタ、54 配電線用端子、56 内側ケースカバー、58 外側ケースカバー、60,62 切り欠き部、72a,72b 挿入孔、74a,74b LED(光源)、76 LED制御回路、100,200,300 タッチスイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性のベース樹脂層と、
ベース樹脂層の表面上に設けられた導電層と、
導電層に電気的に接続された静電容量検出回路と、を備え、
導電層に対する人体の近接又は接触により生じる静電容量の変化を静電容量検出回路を用いて検出するタッチスイッチであって、
導電層はスパッタリング、蒸着、メッキ又は金属調塗装により形成された層であること
を特徴とするタッチスイッチ。
【請求項2】
絶縁性のベース樹脂層と、
ベース樹脂層の表面上に設けられた導電層と、
導電層に電気的に接続された静電容量検出回路と、を備え、
導電層に対する人体の近接又は接触により生じる静電容量の変化を静電容量検出回路を用いて検出するタッチスイッチであって、
導電層はスパッタリングにより形成された透光性のスパッタ層であること
を特徴とするタッチスイッチ。
【請求項3】
請求項2に記載のタッチスイッチにおいて、
スパッタ層の厚さは、5〜500nmであること
を特徴とするタッチスイッチ。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のタッチスイッチにおいて、
スパッタ層の表面上に、スパッタ層保護用の透明樹脂の薄膜から成るトップコート層を被覆したこと
を特徴とするタッチスイッチ。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一つに記載のタッチスイッチにおいて、
静電容量検出回路により検出された静電容量の変化に応じて段階的に輝度を変えて点灯する光源を有すること
を特徴とするタッチスイッチ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一つに記載のタッチスイッチにおいて、
ベース樹脂層は車両用の内外装部品の表面部分における層であること
を特徴とするタッチスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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