説明

静電容量型圧力センサ

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧力を検出する静電容量型圧力センサに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、静電容量型圧力センサして、図5に示すものが知られている。この静電容量型圧力センサは、発振回路1と、これに接続されているスイッチトキャパシタ回路2と、これに接続されている整流回路3とを具備している。
【0003】前記スイッチトキャパシタ回路2は、オペアンプ4と、このオペアンプ4の反転入力端子と前記発振回路1との間に接続されている感圧コンデンサ5と、前記オペアンプ4の反転入力端子と出力端子の間に接続されている増幅度設定用のコンデンサ6と、このコンデンサ6に並列に接続されていると共に前記発振回路1に接続されているアナログスイッチ7と、前記オペアンプ4の反転入力端子に接続されている基準コンデンサ8と、この基準コンデンサ8と前記発振回路1の間に接続されているインバータ9とを有する。
【0004】この静電容量型圧力センサにおいては、前記アナログスイッチ7を発振回路1と同期してスイッチングさせると、感圧コンデンサ5と基準コンデンサ8の静電容量の差に比例した半波の振幅変調の出力が得られる。この場合に、前記感圧コンデンサ5とコンデンサ6と基準コンデンサ8の静電容量をそれぞれCs 、CiおよびCr とすると、出力電圧Vout は,次の数1で表される。
【0005】
【数1】


この数1において、Vp は感圧コンデンサ5と基準コンデンサ8への印加電圧である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の静電容量型圧力センサにおいては、ダイアフラムの変位が印加圧力に比例するから、感圧コンデンサ5の静電容量Cs が次の数2で表される。
【0007】
【数2】


この数2において、w(p)は印加電圧に対するダイヤフラムの変位量を示し、εは空気の誘電率を示し、Sはダイヤフラムの面積を示し、dはダイヤフラムのギャップ長を示している。
【0008】従来の静電容量型圧力センサにおいては、前記数1および数2から明らかなように、出力電圧Voutは、印加圧力に比例しないという問題がある。
【0009】本発明の目的は、出力電圧が印加圧力に比例する静電容量型圧力センサを提供することにある。
【0010】また、本発明の他の目的は、発振回路の出力信号の周波数のばらつきおよび変動の影響をうけない高精度の静電容量型圧力センサを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解決するために、周波数f0 の出力信号を発振する発振回路と、この発振回路の出力端子に接続され発振回路からの出力信号の周波数f0 を1/n(nは偶数)にする分周器と、この分周器の出力端子に接続されているスイッチトキャパシタ回路と、このスイッチトキャパシタ回路の出力端子に接続されているサンプルホールド回路と、前記分周器と前記サンプルホールド回路との間に接続され前記分周器の出力に基いてタイミングパルスを生成して前記サンプルホールド回路に与えるデコーダーとを具備し、前記スイッチトキャパシタ回路は、オペアンプと、このオペアンプの反転入力端子と前記発振回路との間に接続されている基準コンデンサと、前記オペアンプの反転入力端子と出力端子の間に接続されている感圧コンデンサと、この感圧コンデンサに並列に接続されていると共に前記分周器に接続されているアナログスイッチとを有することを特徴とする。
【0012】
【実施例】次に、本発明の1実施例を図面に基いて詳細に説明する。
【0013】図1に示すように、本発明の静電容量型圧力センサは、発振回路1と、分周器10と、スイッチトキャパシタ回路11と、サンプルホールド回路12と、デコーダー13と、増幅器14と具備している。
【0014】前記発振回路1は、周波数f0 の出力信号を発振する。前記分周器10は、発振回路1の出力端子に接続され発振回路1からの出力信号の周波数f0 を1/n(nは偶数)にする。この分周器10は、例えば複数のフリップフロップまたはカウンタで構成されている。前記スイッチトキャパシタ回路11は、分周器10の出力端子に接続されている。前記サンプルホールド回路12は、スイッチトキャパシタ回路11の出力端子に接続されている。前記デコーダー13は、分周器10とサンプルホールド回路12との間に接続され分周器10の出力に基いてタイミングパルスを生成してサンプルホールド回路12に与える。前記増幅器14は、サンプルホールド回路12の出力端子に接続されている。
【0015】前記スイッチトキャパシタ回路11は、オペアンプ4と、このオペアンプ4の反転入力端子と前記発振回路1との間に接続されている基準コンデンサ8と、前記オペアンプ4の反転入力端子と出力端子の間に接続されている感圧コンデンサ5と、この感圧コンデンサ5に並列に接続されていると共に前記分周器10に接続されているアナログスイッチ7とを有する。前記感圧コンデンサ5は、外部から印加される圧力に応じてダイアフラムが変形しこのダイアフラムの変位に比例して静電容量が変化するものである。
【0016】前記アナログスイッチ7を分周器10と同期してスイッチングさせると、感圧コンデンサ5と基準コンデンサ8の静電容量の差に比例した半波の振幅変調の出力が得られる。この出力電圧Vout は,次の数3で表される。
【0017】
【数3】


【0018】前記デコーダー13は、分周器10からの出力信号に基いてタイミングパルスを生成してサンプルホールド回路12に与える。このサンプルホールド回路12は、タイミングパルスを受けた時点のオペアンプ4の出力を保持して増幅器14に与える。前記感圧コンデンサ5への圧力が零である時と所定の圧力の印加時の静電容量にばらつきがあっても、前記増幅器14のゲインとオフセットを調整すれば所定の出力が得られる。
【0019】次に、前記分周器10およびデコーダー13の具体的な動作を説明する。
【0020】この具体的な実施例においては、前記分周器10は、図2に示すように3つのフリップフロップ101,102,103で構成されている。これらのフリップフロップ101,102,103の出力は、例えば図3で示され、それぞれデコーダー13に与えられる。
【0021】前記分周器10のフリップフロップ103の出力、スイッチトキャパシタ回路11の出力および前記デコーダー13のタイミングパルスは、図4に示される。
【0022】図3および図4に示すように、発振回路1の出力がhigh(H)であり、フリップフロップ101の出力がHであり、フリップフロップ102の出力がlow(L)であり、かつ、フリップフロップ103の出力がHである時に、デコーダー13のタイミングパルスは、Hとなる、すなわち出力される。このような構成にすると、発振回路1から発振される周波数がばらついたりまたは変動しても、常にスイッチトキャパシタ回路11の出力波形の中央部分に対応する時にデコーダー13のタイミングパルスが生成されてサンプルホールド回路12に与えられるので、スイッチトキャパシタ回路11の正確な出力を安定して得ることができる。
【0023】
【発明の効果】本発明の静電容量型圧力センサは、出力電圧が印加圧力に比例し、かつ、発振回路の出力信号の周波数のばらつきおよび変動の影響をうけない高精度のものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例を示すブロック図である。
【図2】本発明の1実施例における分周器を示すブロック図である。
【図3】本発明の1実施例における発振器および分周器の出力を示すタイミングチャートである。
【図4】本発明の1実施例における分周器、スイッチトキャパシタ回路およびデコーダーの出力を示すタイミングチャートである。
【図5】従来の静電容量型圧力センサを示すブロック図である。
【符号の説明】
1 発振回路
2 スイッチトキャパシタ回路
3 整流回路
4 オペアンプ
5 感圧コンデンサ
6 コンデンサ
7 アナログスイッチ
8 基準コンデンサ
9 インバータ
10 分周器
11 スイッチトキャパシタ回路
12 サンプルホールド回路
13 デコーダー
14 増幅器

【特許請求の範囲】
【請求項1】 周波数f0 の出力信号を発振する発振回路と、この発振回路の出力端子に接続され発振回路からの出力信号の周波数f0 を1/n(nは偶数)にする分周器と、この分周器の出力端子に接続されているスイッチトキャパシタ回路と、このスイッチトキャパシタ回路の出力端子に接続されているサンプルホールド回路と、前記分周器と前記サンプルホールド回路との間に接続され前記分周器の出力に基いてタイミングパルスを生成して前記サンプルホールド回路に与えるデコーダーとを具備し、前記スイッチトキャパシタ回路は、オペアンプと、このオペアンプの反転入力端子と前記発振回路との間に接続されている基準コンデンサと、前記オペアンプの反転入力端子と出力端子の間に接続されている感圧コンデンサと、この感圧コンデンサに並列に接続されていると共に前記分周器に接続されているアナログスイッチとを有することを特徴とする静電容量型圧力センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【特許番号】特許第3218449号(P3218449)
【登録日】平成13年8月10日(2001.8.10)
【発行日】平成13年10月15日(2001.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−256362
【出願日】平成6年10月21日(1994.10.21)
【公開番号】特開平8−122181
【公開日】平成8年5月17日(1996.5.17)
【審査請求日】平成12年4月14日(2000.4.14)
【出願人】(000134257)株式会社トーキン (1,832)
【参考文献】
【文献】特開 平5−231973(JP,A)
【文献】特開 昭58−223710(JP,A)
【文献】特開 平7−225162(JP,A)
【文献】実開 平3−6537(JP,U)