説明

静電容量型面状センサおよびその製造方法

【課題】 比較的安価で、形状の自由度が高く、センサ特性の調整が容易な静電容量型面状センサ、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 静電容量型面状センサ1は、対向して配置される一対の表側電極シート20および裏側電極シート30を備える。表側電極シート20は、帯状の導電エラストマー部01CYと帯状の絶縁エラストマー部01IYとが面方向に交互に配置されてなり、裏側電極シート30は、帯状の導電エラストマー部01CXと帯状の絶縁エラストマー部01IXとが面方向に交互に配置されてなる。表側電極シート20の導電エラストマー部01CYと、裏側電極シート30の導電エラストマー部01CXとが、表裏方向から見て、少なくとも空気層200、300を介して対向することにより検出部A0101が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量の変化から面圧分布を検出可能な静電容量型面状センサ、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、誘電層の表裏両面に電極を備える静電容量型面状センサが開示されている。静電容量型面状センサに荷重が加わると、荷重が加わった部分に対応する電極間の距離が変化する。これにより、電極間の静電容量が変化する。静電容量型面状センサは、当該静電容量の変化に基づいて、面圧分布を検出する。同文献記載の静電容量型面状センサにおいて、誘電層は、エラストマー製である。また、電極は、エラストマーおよび導電性フィラーを含む塗料から、印刷法により形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−43881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、樹脂フィルム等の基材の表面に電極を印刷し、当該基材をエラストマー製の誘電層の表裏両面に各々配置して、静電容量型面状センサを構成することができる。この場合、基材や誘電層の材質上の制約から、センサ形状の自由度は小さい。つまり、曲面にセンサを配置する場合等、配置する場所の形状に沿うように、センサ形状を設計することは難しい。また、印刷法により電極を形成すると、製造コストが高くなるという問題もある。
【0005】
ところで、一対の電極間に誘電層が配置される静電容量型センサの静電容量(キャパシタンス)は、次式(1)から算出される。
C=εεS/d ・・・(1)
[C:静電容量、ε:真空中の誘電率、ε:誘電層の比誘電率、S:電極面積、d:電極間距離]
式(1)から明らかなように、誘電層の厚さ、すなわち電極間距離dが小さくなると、静電容量は大きくなる。
【0006】
例えば、小さな荷重を精度良く検出するという観点から、誘電層に、スラブ成形された軟質のウレタンフォームを用いる場合がある。しかし、当該ウレタンフォームの応力−歪み曲線は非線形であり、荷重に対する変位量が一定ではない。例えば、荷重がごく小さい場合や、荷重がある値を超えて大きくなると、荷重に対する変位量が小さくなる。つまり、厚さが変わりにくくなる。また、荷重を繰り返し加えるとへたりが生じ、変位が一定になりにくい。このような場合、検出精度が低下するおそれがある。また、加工上、ウレタンフォームの薄さには限界がある。したがって、電極間距離を小さくしにくい。この点は、初期の静電容量を大きくし、耐ノイズ性の向上を図るべく、静電容量型センサを薄膜化したい場合に、問題となる。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、比較的安価で、形状の自由度が高く、センサ特性の調整が容易な静電容量型面状センサ、およびその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記課題を解決するため、本発明の静電容量型面状センサは、対向して配置される一対の表側電極シートおよび裏側電極シートを備え、該表側電極シートは、帯状の導電エラストマー部と帯状の絶縁エラストマー部とが面方向に交互に配置されてなり、該裏側電極シートは、帯状の導電エラストマー部と帯状の絶縁エラストマー部とが面方向に交互に配置されてなり、該表側電極シートの該導電エラストマー部と、該裏側電極シートの該導電エラストマー部とが、表裏方向から見て、少なくとも空気層を介して対向することにより複数の検出部が形成され、該検出部の静電容量の変化から面圧分布を検出可能なことを特徴とする。
【0009】
表側電極シートおよび裏側電極シートは、いずれも、導電エラストマー部と、絶縁エラストマー部と、からなる。ここで、導電エラストマー部は、電極としての役割を果たす。表側電極シートおよび裏側電極シートは、いずれも、全体としてエラストマーを母材とする。よって、柔軟である。また、押出成形やプレス成形等により、容易に種々の形状に成形することができる。
【0010】
本発明の静電容量型面状センサにおいては、表側電極シートの導電エラストマー部と、裏側電極シートの導電エラストマー部とが、表裏方向から見て対向することにより、検出部が形成される。検出部は、表裏両方の導電エラストマー部、および空気層を含んで形成される。つまり、電極間に、エラストマー製の誘電層ではなく、空気層が介装される。このように、本発明の静電容量型面状センサは、エラストマーを母材とする表裏二つの電極シートを用いて構成される。したがって、センサ形状の自由度が大きい。また、電極を印刷法により形成しないため、比較的低コストに、製造することができる。
【0011】
また、誘電層として、エラストマー部材を使用しない。このため、表側電極シートの導電エラストマー部と、裏側電極シートの導電エラストマー部と、の間の距離(電極間距離)を小さくしやすい。これにより、初期の静電容量を大きくすることができる。その結果、耐ノイズ性が向上する。また、誘電層として、軟質のウレタンフォームを用いた場合における、上述した検出精度の問題は解消される。
【0012】
さらに、表側電極シートの導電エラストマー部と、裏側電極シートの導電エラストマー部と、の材質、形状、距離等を調整することにより、センサ特性を容易に調整することができる。本明細書において「帯状」とは、細長い形状を意味する。表裏各々の電極シートにおいて、導電エラストマー部および絶縁エラストマー部は、面一に配置されていても凹凸状に配置されていてもよい。
【0013】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記表側電極シートおよび前記裏側電極シートの少なくとも一方において、前記導電エラストマー部は、対向する該導電エラストマー部同士が離間する方向に、前記絶縁エラストマー部に対して突出して配置される構成とする方がよい。
【0014】
本構成によると、表裏少なくとも一方の電極シートにおいて、導電エラストマー部が、絶縁エラストマー部に対して突出して配置される。これにより、対向する導電エラストマー部間の距離は、大きくなる。したがって、荷重が加わることにより導電エラストマー部が変形しても、対向する導電エラストマー部同士の接触を抑制することができる。また、表裏両方の電極シートにおいて、導電エラストマー部を、絶縁エラストマー部に対して突出して配置すると、対向する導電エラストマー部間の距離を、より大きくすることができる。
【0015】
(3)好ましくは、上記(1)または(2)の構成において、前記表側電極シートの前記導電エラストマー部、および前記裏側電極シートの前記導電エラストマー部の少なくとも一方の対向面には、絶縁層が配置される構成とする方がよい。
【0016】
本構成によると、例えば、対向する導電エラストマー部間の距離が小さい場合等、荷重が加わった際に導電エラストマー部同士が接触しても、両者の導通を抑制することができる。絶縁層は、表裏両方またはいずれか一方の導電エラストマー部の対向面に、配置されていればよい。また、絶縁層は、導電エラストマー同士が表裏方向に対向する対向面だけでなく、表側電極シートの導電エラストマー部の裏面全体と、裏側電極シートの導電エラストマー部の表面全体と、の両方またはいずれか一方に配置されてもよい。
【0017】
(4)好ましくは、上記(1)または(3)の構成において、さらに、前記表側電極シートと前記裏側電極シートとの間に配置される絶縁シートを備える構成とする方がよい。
【0018】
本構成によると、上記(3)の構成と同様に、荷重が加わった際に導電エラストマー部同士が接触しても、両者の導通を抑制することができる。本構成においては、検出部は、表裏両方の導電エラストマー部、絶縁シート、および導電エラストマー部と絶縁シートとにより区画された表裏二つの空気層、を含んで形成される。
【0019】
(5)好ましくは、上記(4)の構成において、前記絶縁シートは、複数の前記検出部に対応する部位に空孔を有する構成とする方がよい。
【0020】
表側電極シートと裏側電極シートとの間には、絶縁シートが配置される。しかし、本構成によると、絶縁シートにおける検出部に対応する部位には、空孔が配置される。よって、検出部において対向する導電エラストマー部間には、絶縁シートが介在しない。すなわち、検出部は、表裏両方の導電エラストマー部、および空気層を含んで形成される。このため、対向する導電エラストマー部同士は、少なくとも絶縁シートの厚さ分だけ離間している。したがって、荷重が加わることにより導電エラストマー部が変形しても、導電エラストマー部同士の接触を抑制することができる。また、例えば上記(2)の構成のように、導電エラストマー部を、絶縁エラストマー部に対して凸状に配置しなくても、導電エラストマー部同士が接触しにくくなる。
【0021】
(6)好ましくは、上記(1)ないし(5)のいずれかの構成において、前記導電エラストマー部は、エラストマーおよび導電性フィラーを含む構成とする方がよい。
【0022】
本構成によると、柔軟性を確保しつつ、所望の導電性を容易に実現することができる。例えば、導電エラストマー部のエラストマーとしては、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合ゴム、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム等のゴム、あるいはポリスチレン系(例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマーの水素添加物(SEBS))、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリ塩化ビニル系、フッ素系の熱可塑性エラストマーから選ばれる一種以上を用いることが望ましい。なお、導電エラストマー部のエラストマーと絶縁エラストマー部のエラストマーとは、同じであっても異なっていてもよい。
【0023】
また、導電性フィラーとしては、炭素材料や金属等の微粒子を用いればよい。これらのうち、一種を単独で、あるいは二種以上を混合して用いればよい。例えば、比較的安価で、導電パスの形成が容易であるという理由から、炭素材料を用いることが望ましい。炭素材料としては、カーボンブラックやグラファイト粉末から適宜選択すればよい。カーボンブラックとしては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。なかでも、導電性が高いという観点から、ケッチェンブラック、アセチレンブラックが好適である。グラファイト粉末としては、リン片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛等の天然黒鉛粉末や、人造黒鉛粉末が挙げられる。なかでも、導電性が高いという観点から、リン片状黒鉛粉末が好適である。
【0024】
(7)好ましくは、上記(1)ないし(6)のいずれかの構成において、前記表側電極シートの前記導電エラストマー部と、前記裏側電極シートの前記導電エラストマー部とは、表裏方向から見て、略直交して配置される構成とする方がよい。
【0025】
本構成によると、複数の検出部を、センサの全面に分散させやすい。このため、センサの全面に占める、面圧検出可能な部分の面積を、大きくすることができる。また、センサの全面において、検出部の配置がばらつくのを抑制することができる。
【0026】
(8)本発明の第一の静電容量型面状センサの製造方法は、上記(1)の構成の静電容量型面状センサの製造方法の第一態様であり、前記表側電極シートおよび前記裏側電極シートを、各々、押出成形により作製する押出成形工程と、作製された該表側電極シートと該裏側電極シートとを対向配置して、該表側電極シートおよび該裏側電極シートを一体化する一体化工程と、を有する。
【0027】
本発明の第一の製造方法によると、押出成形により、表側電極シートおよび裏側電極シートを作製する。これにより、種々の形状の電極シートを、容易かつ低コストに作製することができる。また、一体化工程においては、例えばプレス成形により、表側電極シートおよび裏側電極シートを加硫接着や熱融着すればよい。また、両シートを、接着剤により接着してもよい。
【0028】
また、静電容量型面状センサが、さらに絶縁シートを備える場合には、前記一体化工程において、前記表側電極シートと前記裏側電極シートとを、該絶縁シートを介して対向配置して、該表側電極シート、該裏側電極シート、および該絶縁シートを一体化すればよい。
【0029】
また、導電エラストマー部に絶縁層を配置する場合には、作製された表側電極シートおよび裏側電極シートの少なくとも一方の導電エラストマー部を、絶縁性の塗料やフィルムでコーティングすればよい。
【0030】
(9)好ましくは、上記(8)の構成において、前記押出成形工程の後に、作製された前記表側電極シートおよび前記裏側電極シートを各々プレス成形して、該表側電極シートおよび該裏側電極シートを波板状に成形するプレス成形工程を有する構成とする方がよい。
【0031】
例えば、上記(2)の構成の静電容量型センサを製造する場合、絶縁エラストマー部に対して導電エラストマー部を突出させて、表裏少なくとも一方の電極シートを作製する必要がある。この場合、例えば押出成形により、導電エラストマー部からなる山部と、絶縁エラストマー部からなる谷部と、が交互に配置された波板状の電極シートを作製することができる。一方、本構成によると、押出成形工程では平板状のシートを作製しておき、その後、プレス成形工程において、波板状に成形する。押出成形とプレス成形とを別工程にすることにより、電極シートにおける山部(導電エラストマー部)の形状、大きさ等の調整を、容易に行うことができる。
【0032】
また、プレス成形工程と、一体化工程と、を同時に行ってもよい。すなわち、表側電極シートと裏側電極シートとを積層させて、プレス成形により波板状に成形しながら、表側電極シートと裏側電極シートとを、加硫接着等により一体化させてもよい。
【0033】
(10)本発明の第二の静電容量型面状センサの製造方法は、上記(1)の構成の静電容量型面状センサの製造方法の第二態様であり、複数の帯状の導電エラストマー部材と、複数の帯状の絶縁エラストマー部材と、を押出成形を利用して作製する部材作製工程と、作製された該導電エラストマー部材と該絶縁エラストマー部材とを面方向に交互に配置して、プレス成形することにより、前記表側電極シートおよび前記裏側電極シートを成形する電極シート作製工程と、作製された該表側電極シートと該裏側電極シートとを対向配置して、該表側電極シートおよび該裏側電極シートを一体化する一体化工程と、を有する。
【0034】
本発明の第二の製造方法によると、まず、部材作製工程において、導電エラストマー部材と絶縁エラストマー部材とを、押出成形を利用して作製する。押出成形を利用した、導電エラストマー部材および絶縁エラストマー部材の作製方法としては、例えば次の二つの方法が挙げられる。
【0035】
一つは、まず、押出成形により、導電エラストマーシート、絶縁エラストマーシートを各々作製する。次に、各々のエラストマーシートを切断して、帯状の導電エラストマー部材、および帯状の絶縁エラストマー部材を作製する。もう一つは、帯状の導電エラストマー部材、および帯状の絶縁エラストマー部材を、押出成形だけで作製する。作製された導電エラストマー部材は、次の電極シート作製工程において、表裏各々の電極シートの導電エラストマー部になる。同様に、作製された絶縁エラストマー部材は、次の電極シート作製工程において、表裏各々の電極シートの絶縁エラストマー部になる。いずれの方法の場合でも、押出成形およびプレス成形により、表側電極シートおよび裏側電極シートを、容易かつ低コストに作製することができる。
【0036】
ここで、導電エラストマー部に絶縁層を配置する場合には、作製された表側電極シートおよび裏側電極シートの少なくとも一方の導電エラストマー部を、絶縁性の塗料やフィルムでコーティングすればよい。また、絶縁層の形成は、部材作製工程において、作製された導電エラストマー部材に対して行ってもよい。
【0037】
一体化工程においては、例えばプレス成形により、表側電極シートおよび裏側電極シートを加硫接着や熱融着すればよい。また、両シートを、接着剤により接着してもよい。なお、静電容量型面状センサが、さらに絶縁シートを備える場合には、前記一体化工程において、前記表側電極シートと前記裏側電極シートとを、該絶縁シートを介して対向配置して、該表側電極シート、該裏側電極シート、および該絶縁シートを一体化すればよい。
【0038】
(11)本発明の第三の静電容量型面状センサの製造方法は、上記(1)の構成の静電容量型面状センサの製造方法の第三態様であり、前記静電容量型面状センサは、さらに絶縁シートを備え、複数の帯状の導電エラストマー部材と、複数の帯状の絶縁エラストマー部材と、を押出成形を利用して作製する部材作製工程と、該絶縁シートの表裏両面に、作製された該導電エラストマー部材と該絶縁エラストマー部材とを交互に配置して、プレス成形することにより、前記表側電極シートおよび前記裏側電極シートを作製すると共に、該表側電極シート、該裏側電極シート、および該絶縁シートを一体化する電極シート作製および一体化工程と、を有する。
【0039】
本発明の第三の製造方法における部材作製工程は、上記(10)の本発明の第二の製造方法における部材作製工程と、同じである。また、本発明の第三の製造方法によると、電極シート作製および一体化工程において、電極シートの作製と一体化とを同時に行う。これにより、製造工程の削減およびコスト削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】第一実施形態の静電容量型面状センサの上面透過図である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3】同静電容量型面状センサの斜視図である。
【図4】同静電容量型面状センサの斜視分解図である。
【図5】第二実施形態の静電容量型面状センサの断面図である。
【図6】同静電容量型面状センサの斜視分解図である。
【図7】第三実施形態の静電容量型面状センサの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
次に、本発明の静電容量型面状センサ、およびその製造方法の実施の形態について説明する。
【0042】
<第一実施形態>
[静電容量型面状センサの構成]
まず、本実施形態の静電容量型面状センサの構成について説明する。図1に、本実施形態の静電容量型面状センサの上面透過図を示す。図2に、図1のII−II断面図を示す。図3に、同静電容量型面状センサの斜視図を示す。図4に、同静電容量型面状センサの斜視分解図を示す。図1においては、検出部A0101〜A0606にハッチングを施して示す。検出部の符号「A○○△△」中、上二桁の「○○」は、裏側導電部01CX〜06CXに対応している。下二桁の「△△」は、表側導電部01CY〜06CYに対応している。図3、図4においては、配線01x〜06x、01y〜06yを透過して示す。図1〜図4に示すように、本実施形態の静電容量型面状センサ1は、表側電極シート20と、裏側電極シート30と、絶縁シート40と、検出部A0101〜A0606と、表側配線体21と、裏側配線体31と、を備えている。
【0043】
表側電極シート20は、矩形波板状を呈している。表側電極シート20は、六本の表側導電部01CY〜06CYと、七本の表側絶縁部01IY〜07IYと、を有している。表側導電部01CY〜06CYは、各々、アクリルゴムと、カーボンブラックと、を含んでいる。表側導電部01CY〜06CYは、各々、帯状を呈している。また、表側導電部01CY〜06CYは、表側絶縁部01IY〜07IYに対して上方に突出して配置されている。すなわち、表側導電部01CY〜06CYは、断面台形状の中空突条を呈している。表側導電部01CY〜06CYは、各々、Y方向(前後方向)に延在している。表側導電部01CY〜06CYは、X方向(左右方向)に、表側絶縁部01IY〜07IYの各々を介して、互いに略平行になるように、配置されている。表側導電部01CY〜06CYは、本発明における導電エラストマー部に含まれる。
【0044】
表側絶縁部01IY〜07IYは、アクリルゴム製である。表側絶縁部01IY〜07IYは、各々、帯状を呈している。表側絶縁部01IY〜07IYは、各々、Y方向に延在している。表側絶縁部01IY〜07IYは、X方向に、表側導電部01CY〜06CYの各々を介して、互いに略平行になるように、配置されている。左右両端に配置されている表側絶縁部01IY、07IYの幅(左右方向長さ)は、他の表側絶縁部02IY〜06IYの幅よりも小さい。表側絶縁部01IY〜06IYは、本発明における絶縁エラストマー部に含まれる。表側導電部01CY〜06CYおよび表側絶縁部01IY〜07IYは、左方から01IY−01CY−02IY−02CY−(中略)−05CY−06IY−06CY−07IYの順に、交互に配置されている。
【0045】
裏側電極シート30は、矩形波板状を呈している。裏側電極シート30は、表側電極シート20の下方に配置されている。裏側電極シート30は、六本の裏側導電部01CX〜06CXと、七本の裏側絶縁部01IX〜07IXと、を有している。裏側導電部01CX〜06CX、および裏側絶縁部01IX〜07IXの材質、形状、並び方は、上述した表側導電部01CY〜06CY、および七本の表側絶縁部01IY〜07IYと、同じである。ここで、裏側導電部01CX〜06CXは、裏側絶縁部01IX〜07IXに対して下方に突出して配置されている。よって、裏側導電部01CX〜06CXは、表側導電部01CY〜06CYと上下対称の断面台形状の中空突条を呈している。裏側電極シート30は、表側電極シート20に対して、水平面内において、時計回りに略90°回転して配置されている。このため、表側導電部01CY〜06CYと裏側導電部01CX〜06CXとは、略直交している。すなわち、裏側電極シート30において、裏側導電部01CX〜06CXおよび裏側絶縁部01IX〜07IXは、前方から01IX−01CX−02IX−02CX−(中略)−05CX−06IX−06CX−07IXの順に、交互に配置されている。裏側導電部01CX〜06CXは、本発明における導電エラストマー部に、裏側絶縁部01IX〜06IXは、本発明における絶縁エラストマー部に、各々含まれる。
【0046】
絶縁シート40は、表側電極シート20、裏側電極シート30と略同じ大きさの矩形平板状を呈している。絶縁シート40は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルムである。絶縁シート40は、表側電極シート20と裏側電極シート30との間に、介装されている。表側導電部01CY〜06CYと、絶縁シート40と、の間には、各々、表側空気層200が区画されている。同様に、裏側導電部01CX〜06CXと、絶縁シート40と、の間には、各々、裏側空気層300が区画されている。表側空気層200および裏側空気層300は、本発明における空気層に含まれる。
【0047】
検出部A0101〜A0606は、図1にハッチングで示すように、表側導電部01CY〜06CYと、裏側導電部01CX〜06CXと、が上下方向に交差する部分(重複する部分)に配置されている。検出部A0101〜A0606は、合計36個(=6個×6個)配置されている。検出部A0101〜A0606は、表側電極シート20および裏側電極シート30の略全面において、略等間隔に配置されている。検出部A0101〜A0606は、各々、表側導電部01CY〜06CYの一部と、表側空気層200と、絶縁シート40の一部と、裏側導電部01CX〜06CXの一部と、裏側空気層300と、を備えている。
【0048】
表側配線体21は、フレキシブルフラットケーブル(FFC)であり、左右方向に延びる帯状を呈している。表側配線体21の右端は、表側コネクタ(図略)に接続されている。表側配線体21は、絶縁基材210と配線01y〜06yとを有している。絶縁基材210は、上下方向に積層された二枚のポリエステル製フィルムからなる。配線01y〜06yは、絶縁基材210を構成する二枚のフィルムの間に、介装されている。配線01y〜06yは、各々、表側導電部01CY〜06CYの前端部と、表側コネクタと、を接続している。
【0049】
裏側配線体31は、FFCであり、前後方向に延びる帯状を呈している。裏側配線体31の前端は、裏側コネクタ(図略)に接続されている。裏側配線体31は、絶縁基材310と配線01x〜06xとを有している。絶縁基材310は、上下方向に積層された二枚のポリエステル製フィルムからなる。配線01x〜06xは、絶縁基材310を構成する二枚のフィルムの間に、介装されている。配線01x〜06xは、各々、裏側導電部01CX〜06CXの左端部と、裏側コネクタと、を接続している。
【0050】
[静電容量型面状センサの製造方法]
次に、本実施形態の静電容量型面状センサ1の製造方法について説明する。本実施形態の静電容量型面状センサ1の製造方法は、押出成形工程と、プレス成形工程と、一体化工程と、配線体接続工程と、を有している。
【0051】
押出成形工程においては、平板状の表側電極シートおよび裏側電極シートを、各々、押出成形により作製する。すなわち、作製された表側電極シートにおいては、帯状の表側導電部と帯状の表側絶縁部とが、交互に面一に配置されている。裏側電極シートにおいても、同様に、帯状の裏側導電部と帯状の裏側絶縁部とが、交互に面一に配置されている。
【0052】
プレス成形工程においては、作製した表側電極シートおよび裏側電極シートを各々プレス成形する。すなわち、表側電極シートおよび裏側電極シートを、導電エラストマー部からなる山部と、絶縁エラストマー部からなる谷部と、が交互に配置された波板状に成形する。これにより、表側電極シート20および裏側電極シート30を作製する。
【0053】
一体化工程においては、まず、作製した表側電極シート20と裏側電極シート30とを、絶縁シート40を挟んで積層する。この際、裏側電極シート30を、表側電極シート20に対して、水平面内において、時計回りに略90°回転して配置する。次に、表側電極シート20/絶縁シート40/裏側電極シート30からなる積層体をプレス成形することにより、表側絶縁部01IY〜07IYの下面と絶縁シート40の上面、裏側絶縁部01IX〜07IXの上面と絶縁シート40の下面、を加硫接着する。これにより、表側電極シート20、絶縁シート40、および裏側電極シート30を一体化する。
【0054】
配線体接続工程においては、導電性接着剤を用いて、表側電極シート20と表側配線体21とを接着する。すなわち、表側導電部01CY〜06CYの前端部と、配線01y〜06yに対応する表側配線体21の接続端部と、を各々導通可能に接着する。同様に、導電性接着剤を用いて、裏側電極シート30と裏側配線体31とを接着する。すなわち、裏側導電部01CX〜06CXの左端部と、配線01x〜06xに対応する裏側配線体31の接続端部と、を各々導通可能に接着する。このようにして、本実施形態の静電容量型面状センサ1は、製造される。
【0055】
[静電容量型面状センサの動き]
次に、本実施形態の静電容量型面状センサ1の動きについて説明する。まず、静電容量型面状センサ1に荷重が加わる前(初期状態)に、検出部A0101〜A0606ごとに、静電容量Cを算出する。すなわち、検出部A0101から検出部A0606までを、あたかも走査するように、静電容量Cを算出する。続いて、静電容量型面状センサ1に荷重が加わった後に、検出部A0101〜A0606ごとに、静電容量Cを算出する。荷重が加わった部分の検出部においては、表側導電部と裏側導電部との距離が小さくなる。これにより、当該検出部の静電容量Cは、大きくなる。この静電容量Cの変化量ΔCから、検出部A0101〜A0606ごとの面圧が算出される。
【0056】
[作用効果]
次に、本実施形態の静電容量型面状センサ1、およびその製造方法の作用効果について説明する。本実施形態の静電容量型面状センサ1によると、表側電極シート20および裏側電極シート30は、全体としてエラストマーを母材とする。よって、柔軟である。また、押出成形やプレス成形等により、所望の形状に容易に成形することができる。また、静電容量型面状センサ1は、表裏二つの電極シート20、30と絶縁シート40とから構成される。このため、センサ形状の自由度が大きい。さらに、電極を印刷法により形成しないため、比較的低コストに、製造することができる。
【0057】
検出部A0101〜A0606は、表側導電部01CY〜06CYの一部、表側空気層200、絶縁シート40の一部、裏側空気層300、および裏側導電部01CX〜06CXの一部からなる。つまり、誘電層として、エラストマー部材を使用しない。よって、表側導電部01CY〜06CYと、裏側導電部01CX〜06CXと、の間の距離(電極間距離)を小さくすることができる。これにより、初期の静電容量を大きくすることができ、耐ノイズ性が向上する。また、誘電層として、軟質のウレタンフォームを用いた場合と比較して、検出精度を向上させることができる。さらに、表側導電部01CY〜06CYと裏側導電部01CX〜06CXとの材質、形状、距離等を調整することにより、センサ特性を容易に調整することができる。
【0058】
表側電極シート20と裏側電極シート30との間には、絶縁シート40が介装される。また、表側電極シート20においては、表側導電部01CY〜06CYが、表側絶縁部01IY〜06IYに対して、上方に突出して配置される。裏側電極シート30においては、裏側導電部01CX〜06CXが、裏側絶縁部01IX〜06IXに対して、下方に突出して配置される。したがって、荷重が加わり、表側導電部01CY〜06CY、裏側導電部01CX〜06CXが変形しても、各々が接触するおそれはない。
【0059】
表側電極シート20において、表側導電部01CY〜06CY、表側絶縁部01IY〜06IYはいずれもアクリルゴムを含む。つまり、両者の母材のエラストマーは、同じである。これにより、隣接する表側導電部01CY〜06CY、表側絶縁部01IY〜06IY同士の密着性は高い。裏側電極シート30についても、同様である。また、表側導電部01CY〜06CY、裏側導電部01CX〜06CXは、導電性フィラーとして、カーボンブラックを含む。カーボンブラックは、比較的安価で導電性に優れる。このため、比較的少量で、高い導電性を実現することができる。よって、表側導電部01CY〜06CY、裏側導電部01CX〜06CXの柔軟性を阻害しにくい。
【0060】
表側導電部01CY〜06CYは、センサの全面に亘って、X方向に、略等間隔に配置されている。同様に、裏側導電部01CX〜06CXは、センサの全面に亘って、Y方向に、略等間隔に配置されている。また、表側導電部01CY〜06CYと裏側導電部01CX〜06CXとは、上下方向から見て、略直交して配置されている。このため、検出部A0101〜A0606を、センサの全面に分散させやすい。つまり、センサの全面に占める、面圧検出可能な部分の面積を、大きくすることができる。また、センサの全面において、検出部A0101〜A0606の配置がばらつくのを抑制することができる。
【0061】
本実施形態の製造方法によると、静電容量型面状センサ1を容易に製造することができる。すなわち、まず、押出成形およびプレス成形により、表側電極シート20および裏側電極シート30を、容易かつ低コストに作製することができる。次に、表側電極シート20、裏側電極シート30、および絶縁シート40を加硫接着させることにより、これらを容易に一体化することができる。なお、表側電極シート20および裏側電極シート30を作製する際、押出成形とプレス成形とを別工程にすることにより、表側電極シート20、裏側電極シート30の形状等の調整を、容易に行うことができる。
【0062】
<第二実施形態>
本実施形態の静電容量型面状センサと、第一実施形態の静電容量型面状センサと、の主な相違点は、表側電極シートおよび裏側電極シートが平板状を呈している点、絶縁シートが空孔を有している点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0063】
[静電容量型面状センサの構成]
まず、本実施形態の静電容量型面状センサの構成について説明する。図5に、本実施形態の静電容量型面状センサの断面図を示す(前出図1のII−II断面に相当する)。図2と対応する部位については、同じ符合で示す。図6に同静電容量型面状センサの斜視分解図を示す。図4と対応する部位については、同じ符合で示す。
【0064】
図5、図6に示すように、表側電極シート20は、矩形平板状を呈している。表側電極シート20は、六本の表側導電部01CY〜06CYと、七本の表側絶縁部01IY〜07IYと、を有している。表側導電部01CY〜06CYは、各々、帯状を呈している。表側導電部01CY〜06CYは、各々、Y方向(前後方向)に延在している。表側導電部01CY〜06CYは、X方向(左右方向)に、表側絶縁部01IY〜07IYの各々を介して、互いに略平行になるように、配置されている。表側絶縁部01IY〜07IYは、各々、帯状を呈している。表側絶縁部01IY〜07IYは、各々、Y方向に延在している。表側絶縁部01IY〜07IYは、X方向に、表側導電部01CY〜06CYの各々を介して、互いに略平行になるように、配置されている。表側導電部01CY〜06CYおよび表側絶縁部01IY〜07IYは、面一に配置されている。
【0065】
表側導電部01CY〜06CYおよび表側絶縁部01IY〜07IYは、左方から01IY−01CY−02IY−02CY−(中略)−05CY−06IY−06CY−07IYの順に、交互に配置されている。表側導電部01CY〜06CYの幅(左右方向長さ)は、表側絶縁部01IY〜07IYの幅よりも大きい。左右両端に配置されている表側絶縁部01IY、07IYの幅は、他の表側絶縁部02IY〜06IYの幅よりも小さい。
【0066】
裏側電極シート30は、矩形平板状を呈している。裏側電極シート30は、六本の裏側導電部01CX〜06CXと、七本の裏側絶縁部01IX〜07IXと、を有している。裏側導電部01CX〜06CX、および裏側絶縁部01IX〜07IXの材質、形状、並び方は、上述した表側導電部01CY〜06CY、および七本の表側絶縁部01IY〜07IYと、同じである。裏側導電部01CX〜06CXおよび裏側絶縁部01IX〜07IXは、面一に配置されている。裏側電極シート30は、表側電極シート20に対して、水平面内において、時計回りに略90°回転して配置されている。このため、表側導電部01CY〜06CYと裏側導電部01CX〜06CXとは、略直交している。すなわち、裏側電極シート30において、裏側導電部01CX〜06CXおよび裏側絶縁部01IX〜07IXは、前方から01IX−01CX−02IX−02CX−(中略)−05CX−06IX−06CX−07IXの順に、交互に配置されている。
【0067】
絶縁シート41は、表側電極シート20、裏側電極シート30と略同じ大きさの矩形状を呈している。絶縁シート41は、PET製のフィルムである。絶縁シート41は、表側電極シート20と裏側電極シート30との間に、介装されている。絶縁シート41は、複数の空孔410を有する。複数の空孔410は、表側導電部01CY〜06CYと、裏側導電部01CX〜06CXと、が上下方向に交差する部分(重複する部分)に対応する部位に配置されている。すなわち、複数の空孔410は、検出部A0101〜A0606(前出図1にハッチングで示す)に対応する部位に、合計36個配置されている。空孔410は、各々、検出部A0101〜A0606と略同じ大きさの正方形状を呈している。空孔410ごとに、表側導電部01CY〜06CYの下面と、裏側導電部01CX〜06CXの上面と、により、空気層411が区画されている。すなわち、検出部A0101〜A0606は、各々、表側導電部01CY〜06CYの一部と、空気層411と、裏側導電部01CX〜06CXの一部と、を備えている。
【0068】
[静電容量型面状センサの製造方法]
次に、本実施形態の静電容量型面状センサ1の製造方法について説明する。本実施形態の静電容量型面状センサ1の製造方法は、部材作製工程と、電極シート作製工程と、一体化工程と、配線体接続工程と、を有している。
【0069】
部材作製工程においては、複数の帯状の導電エラストマー部材と、複数の帯状の絶縁エラストマー部材と、を押出成形を利用して作製する。具体的には、まず、導電エラストマーからなる導電シートと、絶縁エラストマーからなる絶縁シートと、を押出成形により作製する。次に、得られた導電シートを帯状に切断して、複数の導電エラストマー部材を作製する。同様に、得られた絶縁シートを帯状に切断して、複数の絶縁エラストマー部材を作製する。
【0070】
電極シート作製工程においては、作製された導電エラストマー部材六本と絶縁エラストマー部材七本とを、交互に面一に配置して、プレス成形する。こうすることにより、表側電極シート20と裏側電極シート30とを各々作製する。
【0071】
一体化工程においては、まず、作製された表側電極シート20と裏側電極シート30とを、絶縁シート41を挟んで積層する。この際、裏側電極シート30を、表側電極シート20に対して、水平面内において、時計回りに略90°回転して配置する。次に、表側電極シート20、絶縁シート41、および裏側電極シート30の周縁部を、接着剤により接着する。これにより、表側電極シート20、絶縁シート41、および裏側電極シート30が一体化される。
【0072】
配線体接続工程においては、導電性接着剤を用いて、表側電極シート20と表側配線体21とを接着する。これにより、表側導電部01CY〜06CYと、配線01y〜06yと、が各々導通可能に接着される。同様に、導電性接着剤を用いて、裏側電極シート30と裏側配線体31とを接着する。これにより、裏側導電部01CX〜06CXと、配線01x〜06xと、が各々導通可能に接着される。このようにして、本実施形態の静電容量型面状センサ1は、製造される。
【0073】
[作用効果]
本実施形態の静電容量型面状センサ1およびその製造方法は、構成が共通する部分に関しては、第一実施形態の静電容量型面状センサおよびその製造方法と同様の作用効果を有する。また、本実施形態の静電容量型面状センサ1によると、表側電極シート20と裏側電極シート30との間には、絶縁シート41が配置されている。ここで、絶縁シート41における検出部A0101〜A0606に対応する部位には、空孔410が配置されている。よって、検出部A0101〜A0606において対向する表側導電部01CY〜06CYと裏側導電部01CX〜06CXとの間には、絶縁シート41は介在しない。このため、対向する表側導電部01CY〜06CYと裏側導電部01CX〜06CXとは、各々、絶縁シート41の厚さ分だけ離間している。したがって、荷重が加わることにより、表側導電部01CY〜06CY、裏側導電部01CX〜06CXが変形しても、各々の接触を抑制することができる。
【0074】
また、本実施形態の製造方法によると、押出成形およびプレス成形により、表側電極シート20および裏側電極シート30を、容易かつ低コストに作製することができる。そして、作製された表側電極シート20、裏側電極シート30、および絶縁シート41を接着させることにより、これらを容易に一体化することができる。
【0075】
<第三実施形態>
本実施形態の静電容量型面状センサと、第一実施形態の静電容量型面状センサと、の主な相違点は、絶縁シートを備えていない代わりに、絶縁層が配置されている点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0076】
[静電容量型面状センサの構成]
まず、本実施形態の静電容量型面状センサの構成について説明する。図7に、本実施形態の静電容量型面状センサの断面図を示す(前出図1のII−II断面に相当する)。図2と対応する部位については、同じ符合で示す。
【0077】
図7に示すように、本実施形態の静電容量型面状センサ1は、表側電極シート20と、裏側電極シート30と、検出部A0101〜A0606と、表側配線体21と、裏側配線体31と、を備えている(前出図1も参照)。表側電極シート20は、六本の表側導電部01CY〜06CYと、七本の表側絶縁部01IY〜07IYと、を有している。表側導電部01CY〜06CYの下面(裏側導電部01CX〜06CXに対する対向面)には、各々、表側絶縁層42が配置されている。表側絶縁層42は、熱可塑性ウレタンエラストマー(日本ポリウレタン工業(株)製「ニッポラン(登録商標)5120」)からなる。裏側電極シート30は、六本の裏側導電部01CX〜06CXと、七本の裏側絶縁部01IX〜07IXと、を有している。裏側導電部01CX〜06CXの上面(表側導電部01CY〜06CYに対する対向面)には、各々、裏側絶縁層43が配置されている。裏側絶縁層43は、表側絶縁層42と同様の熱可塑性ウレタンエラストマーからなる。表側絶縁層42および裏側絶縁層43は、本発明の絶縁層に含まれる。表側導電部01CY〜01CYの表側絶縁層42と、裏側導電部01CX〜06CXの裏側絶縁層43と、の間には、各々、空気層44が区画されている。検出部A0101〜A0606は、各々、表側導電部01CY〜06CYの一部と、表側絶縁層42の一部と、空気層44と、裏側導電部01CX〜06CXの一部と、裏側絶縁層43の一部と、を備えている。
【0078】
[静電容量型面状センサの製造方法]
次に、本実施形態の静電容量型面状センサ1の製造方法について説明する。本実施形態の静電容量型面状センサ1の製造方法は、押出成形工程と、絶縁層形成工程と、プレス成形工程と、一体化工程と、配線体接続工程と、を有している。
【0079】
押出成形工程、プレス成形工程、および配線体接続工程については、上記第一実施形態と同じである。また、絶縁層形成工程においては、作製された表側電極シートにおける表側導電部の下面、および裏側電極シートにおける裏側導電部の上面に、各々、表側絶縁層42、裏側絶縁層43を形成する。表側絶縁層42、裏側絶縁層43は、熱可塑性ウレタンエラストマーを溶剤に溶解した塗料を、スプレーで塗布し、乾燥させて形成する。
【0080】
また、一体工程においては、まず、作製した表側電極シート20と、裏側電極シート30と、を積層する。この際、裏側電極シート30を、表側電極シート20に対して、水平面内において、時計回りに略90°回転して配置する。次に、表側電極シート20および裏側電極シート30からなる積層体をプレス成形することにより、表側絶縁部01IY〜07IYの下面と裏側絶縁部01IX〜07IXの上面とを、加硫接着する。これにより、表側電極シート20および裏側電極シート30を一体化する。このようにして、本実施形態の静電容量型面状センサ1は、製造される。
【0081】
[作用効果]
本実施形態の静電容量型面状センサ1およびその製造方法は、構成が共通する部分に関しては、第一実施形態の静電容量型面状センサおよびその製造方法と同様の作用効果を有する。また、本実施形態の静電容量型面状センサ1によると、絶縁シートを介装しなくても、表側導電部01CY〜06CYと裏側導電部01CX〜06CXとの導通を、抑制することができる。よって、第一実施形態と比較して、静電容量型面状センサ1の厚さを、絶縁シートの分だけ薄くすることができる。
【0082】
<その他>
以上、本発明の静電容量型面状センサ、およびその製造方法の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0083】
例えば、表側電極シートおよび裏側電極シートの形状、大きさ、厚さ等は、特に限定されない。例えば、表側電極シートおよび裏側電極シートを筒状に作製してもよい。こうすることにより、本発明の静電容量型面状センサを、円柱状、角柱状等の部材の表面を覆うように配置することができる。また、表裏各々の電極シートにおける帯状の導電エラストマー部および帯状の絶縁エラストマー部の数、形状、幅、間隔等についても、特に限定されない。例えば、隣接する導電エラストマー部同士の間隔は、同じでなくてもよい。導電エラストマー部、絶縁エラストマー部の幅は、延在方向において途中で変わっていてもよい。また、第一、第三実施形態のように、中空突条の導電エラストマー部(表側導電部、裏側導電部)を配置する場合、突条の大きさ、形状等は特に限定されない。例えば、突条の断面が、長方形や正方形を呈していてもよい。
【0084】
上記実施形態では、表裏両方の電極シートにおいて、導電エラストマー部(表側導電部、裏側導電部)を、絶縁エラストマー部(表側絶縁部、裏側絶縁部)に対して、上方または下方に突出させた。しかし、表裏いずれか一方の電極シートの導電エラストマー部のみを、絶縁エラストマー部に対して突出させてもよい。この場合、静電容量型面状センサの厚さを、薄くすることができる。
【0085】
検出部の数、配置等も、特に限定されない。検出部は、対向する導電エラストマー部間に形成される。よって、検出部は、表裏各々の導電エラストマー部の交差部分に、適宜配置される。
【0086】
導電エラストマー部、絶縁エラストマー部を構成するエラストマーは、特に限定されない。上記実施形態のアクリルゴムの他、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合ゴム、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム等のゴム、あるいはポリスチレン系(例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマーの水素添加物(SEBS))、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリ塩化ビニル系、フッ素系の熱可塑性エラストマーを用いてもよい。導電エラストマー部のエラストマーと絶縁エラストマー部のエラストマーとは、同じであっても異なっていてもよい。また、導電エラストマー部を構成する導電性フィラーは、特に限定されない。上記実施形態のカーボンブラックの他、グラファイト粉末や金属粉末を用いてもよい。
【0087】
第一、第二実施形態では、表側電極シートと裏側電極シートとの間に、絶縁シートを介装した。絶縁シートとしては、上記実施形態のPET製フィルムの他、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンナフタレート(PEN)等からなる屈曲性を有する樹脂フィルム、あるいはエラストマー製のフィルムを用いることができる。なお、絶縁シートは必ずしも必要ではない。すなわち、第三実施形態のように、表側電極シートと裏側電極シートとを絶縁シートを介在させずに対向させて、本発明の静電容量型面状センサを構成してもよい。また、第三実施形態では、表裏両方の導電エラストマー部(表側導電部、裏側導電部)の対向面に、各々、絶縁層を配置した。しかし、絶縁層は、表裏いずれか一方の対向面だけに配置してもよい。
【0088】
表側電極シートおよび裏側電極シートの作製方法は、上記実施形態に限定されない。例えば、第一実施形態では、押出成形により、平板状の表側電極シートおよび裏側電極シートを作製した後、プレス成形により、各々を波板状に成形した。しかし、押出成形だけで、波板状の表側電極シートおよび裏側電極シートを作製してもよい。また、表裏各々の電極シートを波板状にするためのプレス成形と、両電極シートの一体化と、を同時に行ってもよい。この場合、例えば、表側電極シートと裏側電極シートとを積層させて、プレス成形により波板状に成形しながら、両電極シートを加硫接着すればよい。
【0089】
また、第二実施形態では、押出成形された導電シート、絶縁シートを各々切断して、導電エラストマー部材、絶縁エラストマー部材を作製した。しかし、押出成形だけで、帯状の導電エラストマー部材および絶縁エラストマー部材を作製してもよい。また、表裏各々の電極シートを作製するためのプレス成形と、両電極シートの一体化と、を同時に行ってもよい。この場合、例えば、絶縁シートの表裏両面に、作製された導電エラストマー部材と絶縁エラストマー部材とを交互に配置して、プレス成形により表側電極シートおよび裏側電極シートを作製しながら、表側電極シート、裏側電極シート、および絶縁シートを加硫接着すればよい。
【0090】
また、上記実施形態では、導電性接着剤を用いて、表側電極シートと表側配線体、裏側電極シートと裏側配線体、を各々接着した。しかし、一体化工程において、表側電極シート、裏側電極シートの各々に、配線接続体を同時に接続してもよい。
【符号の説明】
【0091】
1:静電容量型面状センサ
20:表側電極シート 21:表側配線体 30:裏側電極シート 31:裏側配線体
40、41:絶縁シート 42:表側絶縁層(絶縁層) 43:裏側絶縁層(絶縁層)
44:空気層 200:表側空気層(空気層) 300:裏側空気層(空気層)
210、310:絶縁基材 410:空孔 411:空気層
01CX〜06CX:裏側導電部(導電エラストマー部)
01IX〜06IX:裏側絶縁部(絶縁エラストマー部)
01CY〜06CY:表側導電部(導電エラストマー部)
01IY〜06IY:表側絶縁部(絶縁エラストマー部)
01x〜06x、01y〜06y:配線 A0101〜A0606:検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して配置される一対の表側電極シートおよび裏側電極シートを備え、
該表側電極シートは、帯状の導電エラストマー部と帯状の絶縁エラストマー部とが面方向に交互に配置されてなり、
該裏側電極シートは、帯状の導電エラストマー部と帯状の絶縁エラストマー部とが面方向に交互に配置されてなり、
該表側電極シートの該導電エラストマー部と、該裏側電極シートの該導電エラストマー部とが、表裏方向から見て、少なくとも空気層を介して対向することにより複数の検出部が形成され、該検出部の静電容量の変化から面圧分布を検出可能な静電容量型面状センサ。
【請求項2】
前記表側電極シートおよび前記裏側電極シートの少なくとも一方において、前記導電エラストマー部は、対向する該導電エラストマー部同士が離間する方向に、前記絶縁エラストマー部に対して突出して配置される請求項1に記載の静電容量型面状センサ。
【請求項3】
前記表側電極シートの前記導電エラストマー部、および前記裏側電極シートの前記導電エラストマー部の少なくとも一方の対向面には、絶縁層が配置される請求項1または請求項2に記載の静電容量型面状センサ。
【請求項4】
さらに、前記表側電極シートと前記裏側電極シートとの間に配置される絶縁シートを備える請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の静電容量型面状センサ。
【請求項5】
前記絶縁シートは、複数の前記検出部に対応する部位に空孔を有する請求項4に記載の静電容量型面状センサ。
【請求項6】
前記導電エラストマー部は、エラストマーおよび導電性フィラーを含む請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の静電容量型面状センサ。
【請求項7】
前記表側電極シートの前記導電エラストマー部と、前記裏側電極シートの前記導電エラストマー部とは、表裏方向から見て、略直交して配置される請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の静電容量型面状センサ。
【請求項8】
請求項1に記載の静電容量型面状センサの製造方法であって、
前記表側電極シートおよび前記裏側電極シートを、各々、押出成形により作製する押出成形工程と、
作製された該表側電極シートと該裏側電極シートとを対向配置して、該表側電極シートおよび該裏側電極シートを一体化する一体化工程と、
を有する静電容量型面状センサの製造方法。
【請求項9】
前記押出成形工程の後に、作製された前記表側電極シートおよび前記裏側電極シートを各々プレス成形して、該表側電極シートおよび該裏側電極シートを波板状に成形するプレス成形工程を有する請求項8に記載の静電容量型面状センサの製造方法。
【請求項10】
請求項1に記載の静電容量型面状センサの製造方法であって、
複数の帯状の導電エラストマー部材と、複数の帯状の絶縁エラストマー部材と、を押出成形を利用して作製する部材作製工程と、
作製された該導電エラストマー部材と該絶縁エラストマー部材とを面方向に交互に配置して、プレス成形することにより、前記表側電極シートおよび前記裏側電極シートを作製する電極シート作製工程と、
作製された該表側電極シートと該裏側電極シートとを対向配置して、該表側電極シートおよび該裏側電極シートを一体化する一体化工程と、
を有する静電容量型面状センサの製造方法。
【請求項11】
請求項1に記載の静電容量型面状センサの製造方法であって、
前記静電容量型面状センサは、さらに絶縁シートを備え、
複数の帯状の導電エラストマー部材と、複数の帯状の絶縁エラストマー部材と、を押出成形を利用して作製する部材作製工程と、
該絶縁シートの表裏両面に、作製された該導電エラストマー部材と該絶縁エラストマー部材とを交互に配置して、プレス成形することにより、前記表側電極シートおよび前記裏側電極シートを作製すると共に、該表側電極シート、該裏側電極シート、および該絶縁シートを一体化する電極シート作製および一体化工程と、
を有する静電容量型面状センサの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−181084(P2012−181084A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43696(P2011−43696)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】