説明

静電潜像現像用キャリア、静電潜像現像用の混合キャリア、静電潜像現像剤、現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジおよび画像形成装置

【課題】深さが100nm以上且つ樹脂層の厚さ以下であり、開口部分の円相当径が90nm以上150nm以下である凹部を有しない場合に比べ、キャリアの凹部内にトナーから移行する外添剤を偏在させ得る静電潜像現像用キャリアを提供する。
【解決手段】芯材と、前記芯材を被覆する樹脂層と、前記樹脂層の表面で開口し、深さが100nm以上且つ前記樹脂層の厚さ以下であり、開口部分の円相当径が90nm以上150nm以下である凹部32と、を有する静電潜像現像用キャリア。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電潜像現像用キャリア、静電潜像現像用の混合キャリア、静電潜像現像剤、現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成に用いられる、トナーとキャリアとを有する二成分現像剤において、従来から前記トナーに種々の外添剤(例えば、流動性補助剤や添加剤等)を添加した態様が知られている。
【0003】
ここで、キャリア表面の表面粗さRz、外添剤の遊離率、および外添剤の一次粒径を特定の関係とする現像剤が提案されている(例えば特許文献1参照)。
また、表面の樹脂層内に分散させた粒子に起因する、平均高低差0.05μm以上2.0μm以下の凹凸を表面に有するキャリアが提案されている(例えば特許文献2参照)。
【0004】
更に、表面の樹脂層内に分散させた粒子に起因する、平均高低差0.02μm以上3.0μm以下の凹凸を表面に有するキャリアが提案されている(例えば特許文献3参照)。
また更に、真球上の磁性粒子の表面に、粒子に基づく凹凸を有する被覆層を有し、最表層がシリコーン樹脂であり、前記凹凸の平均高低差が0.1μm以上2.0μm以下であるキャリアが提案されている(例えば特許文献4参照)。
更に、芯材を被覆する被覆層の表面に複数の凸部を有するキャリアが提案されている(例えば特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−214845号公報
【特許文献2】特開2006−313323号公報
【特許文献3】特開2008−102394号公報
【特許文献4】特開2002−287431号公報
【特許文献5】特開2006−18129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、深さが100nm以上且つ樹脂層の厚さ以下であり、開口部分の円相当径が90nm以上150nm以下である凹部を有しない場合に比べ、キャリアの凹部内にトナーから移行する外添剤を偏在させ得る静電潜像現像用キャリアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、以下の本発明によって達成される。
即ち、請求項1に係る発明は、
芯材と、
前記芯材を被覆する樹脂層と、
前記樹脂層の表面で開口し、深さが100nm以上且つ前記樹脂層の厚さ以下であり、開口部分の円相当径が90nm以上150nm以下である凹部と、
を有する静電潜像現像用キャリアである。
【0008】
請求項2に係る発明は、
前記凹部を有しないと想定した場合における表面積に対する、前記凹部の開口部分の面積の比が10面積%以上40面積%以下である請求項1に記載の静電潜像現像用キャリアである。
【0009】
請求項3に係る発明は、
前記凹部を有しないと想定した場合における表面積に対する、前記凹部の開口部分の面積の比が40面積%以上70面積%以下である請求項1に記載の静電潜像現像用キャリア(キャリア(A))、
並びに、芯材と、前記芯材を被覆し前記凹部を有しない樹脂層と、を有する静電潜像現像用キャリア(キャリア(B))、
を含有する静電潜像現像用の混合キャリアである。
【0010】
請求項4に係る発明は、
前記キャリア(A)の、全キャリアに対する含有比が8質量%以上20質量%以下である請求項3に記載の静電潜像現像用の混合キャリアである。
【0011】
請求項5に係る発明は、
請求項1または請求項2に記載の静電潜像現像用キャリアと、トナーと、を含む静電潜像現像剤である。
【0012】
請求項6に係る発明は、
請求項3または請求項4に記載の静電潜像現像用の混合キャリアと、トナーと、を含む静電潜像現像剤である。
【0013】
請求項7に係る発明は、
請求項5または請求項6に記載の静電潜像現像剤を収容する現像剤カートリッジである。
【0014】
請求項8に係る発明は、
請求項5または請求項6に記載の静電潜像現像剤を収容し、且つ前記静電潜像現像剤を保持して搬送する現像剤保持体を備えるプロセスカートリッジである。
【0015】
請求項9に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体表面を帯電する帯電装置と、
帯電された前記像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成装置と、
前記静電潜像を請求項5または請求項6に記載の静電潜像現像剤におけるトナーによって、トナー像として現像する現像装置と、
前記像保持体表面に形成された前記トナー像を被転写体表面に転写する転写装置と、
を有する画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、深さが100nm以上且つ樹脂層の厚さ以下であり、開口部分の円相当径が90nm以上150nm以下である凹部を有しない場合に比べ、キャリアの凹部内にトナーから移行する外添剤を偏在させることができる。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、凹部の開口部分の面積の比が10面積%未満または40面積%を超える場合に比べ、画像形成装置で使用した際に、画像濃度の低下が抑制される。
【0018】
請求項3に係る発明によれば、キャリア(A)とキャリア(B)とを混合した態様において、凹部の開口部分の面積の比が40面積%未満または70面積%を超える場合に比べ、画像形成装置で使用した際に、画像濃度の低下が抑制される。
【0019】
請求項4に係る発明によれば、キャリア(A)の、全キャリアに対する含有比が8質量%未満または20質量%を超える場合に比べ、画像形成装置で使用した際に、画像濃度の低下が抑制される。
【0020】
請求項5に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、キャリアの凹部内にトナーから移行する外添剤を偏在させることができる。
【0021】
請求項6に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、キャリアの凹部内にトナーから移行する外添剤を偏在させることができる。
【0022】
請求項7に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、キャリアの凹部内にトナーから移行する外添剤を偏在させることができる。
【0023】
請求項8に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、キャリアの凹部内にトナーから移行する外添剤を偏在させることができる。
【0024】
請求項9に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、画像濃度の低下が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】(A)は特定の凹部を有さない2つのキャリアの断面図と該2つのキャリアの接触部における拡大断面図を表し、(B)は本実施形態に係る特定の凹部を有する2つのキャリアの断面図と該2つのキャリアの接触部における拡大断面図を表す。
【図2】本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図3】本実施形態のプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<静電潜像現像用キャリア>
本実施形態に係る静電潜像現像用キャリア(以下単に「キャリア」と称す場合がある)は、芯材と、前記芯材を被覆する樹脂層と、前記樹脂層の表面で開口し、深さが100nm以上且つ前記樹脂層の厚さ以下であり、円相当径が90nm以上150nm以下である凹部と、を有することを特徴とする。
【0027】
画像形成に用いられる、トナーとキャリアとを有する二成分現像剤において、従来から前記トナーに種々の外添剤(例えば、流動性補助剤や添加剤等)を添加した態様が知られている。トナーに外添される前記外添剤は、その一部が遊離してキャリアの表面へ移行することがあった。キャリアの表面へ移行した前記外添剤が、複数のキャリアとキャリアとの接触部に介在した場合、キャリアの巨視的な抵抗が上昇し、画像濃度が低下することがあった。
【0028】
本実施形態に係るキャリアは、前記のとおり樹脂層の表面で開口する特定の凹部を有している。キャリアに対して攪拌等が施される際に、トナーからキャリアへ移行した外添剤が、該キャリアの表面にて開口する前記凹部に落ち込んで該凹部に捕集されるため、移行した外添剤は凹部の深さ方向に偏在した状態となる。
【0029】
ここで、図1にイメージ図を示す。図1(A)は前記特定の凹部を有さない2つのキャリアの断面図と該2つのキャリアの接触部における拡大断面図を表し、図1(B)は本実施形態に係る前記特定の凹部を有する2つのキャリアの断面図と該2つのキャリアの接触部における拡大断面図を表す。
図1(A)に示すごとく、キャリア30Aの表面には凹部が存在しないため、外添剤34が凹部に捕集されることはなく、キャリア30Aの表面にムラなく存在している。一方、図1(B)に示すごとく、本実施形態に係るキャリア30Bの表面では、外添剤34が凹部32に落ち込んで捕集されており、外添剤34が凹部32の深さ方向に偏在する。
これにより、複数のキャリアとキャリアとの接触部における外添剤の介在が抑制され、キャリアの巨視的な抵抗の上昇による画像濃度の低下が抑制される。
【0030】
(凹部の深さ)
本実施形態に係るキャリアは、その表面で開口し深さ100nm以上且つ前記樹脂層の厚さ以下の凹部を有することが必須である。また、凹部の深さは120nm以上であることがより好ましい。凹部の深さが100nm未満であると外添剤が十分に深さ方向に偏在せず、外添剤がキャリアの表面に露出してしまい、複数のキャリアとキャリアとの接触部における外添剤の介在が抑制されない。その結果、キャリアの巨視的な抵抗の上昇による画像濃度の低下が発生する。
【0031】
尚、凹部の深さは、レーザー顕微鏡(VK−9500、キーエンス社製)による段差測定にて、ランダムに選定した100個の凹部の深さを測定しその平均値を用いる。本明細書に記載の数値は、該方法により測定したものである。
【0032】
(凹部の円相当径)
凹部の開口部分の円相当径は90nm以上150nm以下であることが必須であり、さらに105nm以上135nm以下であることがより好ましい。円相当径が90nmよりも小さいと外添剤が凹部に十分に捕集されず、外添剤が凹部の深さ方向に偏在せずにキャリアの表面に残存してしまい、複数のキャリアとキャリアとの接触部における外添剤の介在を抑制する効果が不十分となり、キャリアの巨視的な抵抗の上昇によって画像濃度の低下が発生する。一方円相当径が150nmよりも大きいと、凹部に落ち込んで捕集された外添剤が再度凹部から脱離し、外添剤が凹部の深さ方向に偏在せずにキャリアの表面に残存してしまい、複数のキャリアとキャリアとの接触部における外添剤の介在を抑制する効果が不十分となり、キャリアの巨視的な抵抗の上昇によって画像濃度の低下が発生する。
【0033】
尚、凹部の開口部分の円相当径は、ランダムに選定した100個の凹部画像を走査型電子顕微鏡を用いて撮影し、画像解析にて算出し、その平均円相当径を用いる。尚、凹部の開口部分の形状が円形状でない(例えば楕円形状や角形状等)場合には、上記円相当径は、凹部の開口部分の面積と同一面積を有する円の直径を円相当径として算出する。本明細書に記載の数値は、該方法により測定したものである。
【0034】
ここで上記「開口部分」とは、凹部における表面の領域を表す。従って、凹部の開口部分の円相当径とは、仮に凹部に緊密にはまる蓋をした場合を想定すると、該蓋の円相当径と同じである。
【0035】
尚、上述の深さおよび円相当径の要件を満たした凹部を有する本実施形態に係るキャリアは、該キャリアを単独で用いてもよいし、凹部を有しないキャリアと混合した静電潜像現像用の混合キャリアとして用いてもよい。
【0036】
(凹部の面積比)
上記凹部を有する本実施形態に係るキャリアにおいて、凹部を有しないと想定した場合における表面積に対する凹部の開口部分の面積の比は、特に限定されるものではないが、以下の第1の態様または第2の態様における範囲であることが望ましい。
【0037】
・第1の態様における凹部の面積比
本実施形態に係るキャリアのうち第1の態様に係るキャリアは、凹部を有しないと想定した場合における表面積に対する凹部の開口部分の面積の比が、10面積%以上40面積%以下であることを特徴とする。さらには15面積%以上35面積%以下であることがより好ましい。
【0038】
上記第1の態様に係るキャリアにおいては、凹部の面積比が10面積%以上であることにより、外添剤を捕集する効果が十分に発揮され、複数のキャリアとキャリアとの接触部における外添剤の介在が抑制され、キャリアの巨視的な抵抗の上昇による画像濃度の低下が抑制される。一方凹部の面積比が40面積%以下であることにより、外添剤を捕集する凹部の面積が大きくなり過ぎず、複数のキャリアとキャリアとの接触部での外添剤の介在を抑制する効果が十分に発揮され、キャリアの巨視的な抵抗の上昇による画像濃度の低下が抑制される。
【0039】
尚、上記凹部の開口部分の面積の比が10面積%以上40面積%以下の範囲である第1の態様に係るキャリアは、凹部を有しないキャリアと混合した混合キャリアとして用いてもよいが、特には上記第1の態様に係るキャリアを単独で用いることが望ましい。
上記第1の態様に係るキャリアを単独で用いることにより、外添剤が上記第1の態様に係るキャリアの凹部に十分に捕集され、複数のキャリアとキャリアとの接触部における外添剤の介在が抑制され、キャリアの巨視的な抵抗の上昇による画像濃度の低下が抑制される。
【0040】
・第2の態様における凹部の面積比
本実施形態に係るキャリアのうち第2の態様に係るキャリアは、凹部を有しないと想定した場合における表面積に対する凹部の開口部分の面積の比が、40面積%以上70面積%以下であることを特徴とする。さらには45面積%以上65面積%以下であることがより好ましい。
尚、上記凹部の開口部分の面積の比が40面積%以上70面積%以下の範囲である第2の態様に係るキャリアは、該第2の態様に係るキャリアを単独で用いてもよいが、少なくとも該第2の態様に係るキャリア(キャリア(A))と凹部を有しないキャリア(キャリア(B))とを混合した混合キャリアとして用いることが望ましい。
【0041】
上記第2の態様に係るキャリアを含有した混合キャリアを用いる場合、トナーからキャリアへ移行した外添剤は、キャリアに対して攪拌等が施される際に、上記第2の態様に係るキャリア(キャリア(A))の表面で開口する前記凹部に落ち込んで該凹部に捕集され、該外添剤は凹部の深さ方向に偏在した状態となる。これにより、複数のキャリアとキャリアとの接触部における外添剤の介在が抑制され、キャリアの巨視的な抵抗の上昇による画像濃度の低下が抑制される。
尚、上記第2の態様に係るキャリアにおいては、凹部の面積比が40面積%以上であることにより、外添剤を捕集する効果が十分に発揮され、複数のキャリアとキャリアとの接触部における外添剤の介在が抑制され、キャリアの巨視的な抵抗の上昇による画像濃度の低下が抑制される。一方凹部の面積比が70面積%以下であることにより、前記凹部と該凹部以外の部分の段差によって外添剤を捕集する機能が十分に発揮され、複数のキャリアとキャリアとの接触部での外添剤の介在を抑制する効果が発揮されて、キャリアの巨視的な抵抗の上昇による画像濃度の低下が抑制される。
【0042】
尚、上記凹部の開口部分の面積の比が40面積%以上70面積%以下の範囲である第2の態様に係るキャリア(キャリア(A))は、キャリア全体に対する含有比が8質量%以上20質量%以下であることが望ましく、上記含有比が10質量%以上18質量%以下であることがより望ましい。
キャリア全体(即ちキャリア(A)とキャリア(B))に対するキャリア(A)の含有比が8質量%以上であることにより、外添剤が十分に捕集され、複数のキャリアとキャリアとの接触部における外添剤の介在が抑制され、キャリアの巨視的な抵抗の上昇による画像濃度の低下が抑制される。一方キャリア(A)の含有比が20質量%以下であることにより、表面の樹脂層に多くの外添剤を捕集したキャリアの量が過剰となり過ぎず、キャリアの巨視的な抵抗の上昇による画像濃度の低下が抑制される。
【0043】
・凹部の面積比の測定方法
尚、凹部を有しないと想定した場合における表面積に対する、凹部の開口部分の面積の比は、まずキャリアの表面において半径3μmの円形領域を、走査型電子顕微鏡を用いて観察し、画像を得る。該画像を円形近似した円の中心から半径3μmの円を描き、該円の面積に対して、該円内における凹部の開口部分の面積の比を算出する。無作為に選択した50個のキャリアに対して上記の算出を行い、その平均値を用いる。本明細書に記載の数値は、該方法により測定したものである。
【0044】
ここで上記「開口部分」とは、前述のとおりであり、従って凹部の開口部分の面積とは、仮に上記半径3μmの円内における凹部に緊密にはまる蓋をした場合を想定すると、該蓋の面積と同じである。
【0045】
(凹部の形状)
前記凹部の開口部分の形状は、特に限定されるものではなく、円形、楕円形、角形状等の形状が挙げられる。
【0046】
尚、凹部の開口部分の長軸径(もっとも長い部分の径)と、短軸径(前記長軸径の中間点で直交に交わる軸の方向の径)と、の比率は4:1から1:1であることが望ましく、更には3:1から1:1であることがより望ましく、2:1から1:1であることが特に望ましい。
【0047】
また、前記凹部を深さ方向に切断した際の断面の形状は、特に限定されるものではなく、筒形状、試験管形状等の形状が挙げられる。また、キャリアの表面から深さ方向に形成された凹部の壁の部分は、キャリア表面に対して垂直であっても、テーパ状であってもよい。
【0048】
(キャリアの組成)
ついで、本実施形態に係るキャリアを構成する成分について説明する。
本実施形態に係るキャリアは、芯材と、前記芯材を被覆する樹脂層と、を有する。
【0049】
・芯材
本実施形態で用いられる芯材としては、特に制限はなく、鉄、鋼、ニッケル、コバルト等の磁性金属、または、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、磁性粒子とバインダー樹脂とを含む磁性粒子分散型の芯材等が挙げられる。
【0050】
また、前記フェライトの例としては、下記式(1)で示される構造のものが好ましく挙げられる。
【0051】
(MO)(Fe・・・(1)
【0052】
式(1)中、MはCu、Zn、Fe、Mg、Mn、Ca、Li、Ti、Ni、Sn、Sr、Al、Ba、CoおよびMoからなる群より選択される少なくとも1種を示す。また、X、Yはmol比を示し、かつ条件X+Y=100の条件を満たす。
【0053】
本実施形態において、磁性粒子分散型の芯材は、磁性粒子がバインダー樹脂中に分散されてなる。
上記磁性粒子としては、従来公知のいずれのものを使用してもよいが、特に望ましくはフェライトやマグネタイト、マグヘマタイトが選ばれる。特に、強磁性の磁性粒子としては、マグネタイト、マグヘマタイトが選択され、他の磁性粒子として、例えば鉄粉が知られている。
【0054】
磁性粒子として、具体的には、例えばマグネタイト、γ−酸化鉄、Mn−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Li系フェライト、Cu−Zn系フェライトなどの鉄系酸化物が挙げられる。中でもマグネタイトがより好ましく用いられる。
【0055】
磁性粒子の粒径は、0.01μm以上1μm以下であることが好ましく、0.05μm以上0.7μm以下であることがより好ましく、0.1μm以上0.6μm以下であることが更に好ましい。
また、磁性粒子の芯材中における含有量としては、30質量%以上95質量%以下であることが望ましく、45質量%以上90質量%以下であることがより望ましく、60質量%以上90質量%以下であることが更に望ましい。
【0056】
本実施形態において磁性粒子分散型の芯材を構成するバインダー樹脂としては、架橋されたスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられるが、フェノール系樹脂が特に望ましい。
【0057】
また、本実施形態において磁性粒子分散型の芯材は、目的に応じて、更にその他の成分を含有していてもよい。
その他の成分としては、例えば、帯電制御剤、フッ素含有粒子などが挙げられる。
【0058】
・樹脂層
本実施形態に係るキャリアは、芯材を被覆する樹脂層を有する。
該樹脂層を構成する樹脂としては、マトリックス樹脂として使用されるものであれば特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテルおよびポリビニルケトン等のポリビニル系樹脂およびポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂またはその変性品;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素系樹脂;シリコーン樹脂;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;フェノール樹脂;尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂、等のそれ自体公知の樹脂が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0059】
芯材を被覆する樹脂層は、前記樹脂中に導電性粒子を含有していてもよい。ここで、導電性とは、体積抵抗率が10Ω・cm未満であることを意味する。
前記導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属粒子、カーボンブラック粒子、酸化チタン、酸化亜鉛等の半導電性酸化物粒子、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム粉末等の表面を酸化スズ、カーボンブラック、金属等で覆った粒子等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カーボンブラック粒子が望ましい。
前記カーボンブラックの種類としては、特に制限はないが、DBP吸油量が50ml/100g以上250ml/100g以下であるカーボンブラックが望ましい。
【0060】
(キャリアの製造方法)
本実施形態に係るキャリアの製造方法は、上記構成のキャリアを形成し得る方法であれば特に限定されず、乾式法、湿式法等の方法を採用し得るが、特に乾式法にて好適に製造される。
以下に、本実施形態に係るキャリアの製造方法について、一例を挙げて説明する。
【0061】
・樹脂層の形成
まず、Vブレンダー等の混合機を用いて樹脂層を形成する樹脂粒子と表面処理した無機粒子を攪拌混合する。
尚、ここで用いる上記無機粒子としては、例えば、二酸化珪素、チタン酸ストロンチウム、酸化アルミニウム、酸化チタン等が挙げられる。また、上記表面処理剤とは、後述の溶剤によって溶解または分解されるものである必要がある。該表面処理剤としては、例えば、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。
【0062】
次いで、芯材の表面に樹脂層を形成する。具体的な方法としては、混合攪拌力だけではなく、剪断力を与えられる乾式複合処理装置に、樹脂層を形成する樹脂粒子・表面処理した無機粒子の混合物と芯材を入れ、処理することにより、樹脂粒子・表面処理した無機粒子の混合物が芯材表面に付着し、剪断力によって樹脂層が形成される。乾式複合処理装置としては、たとえばノビルタNOB130(ホソカワミクロン製)が用いられる。
【0063】
・凹部の形成
次いで、樹脂層を構成する前記樹脂には影響を及ぼさないが前記無機粒子の表面における前記表面処理剤を溶解または分解する溶剤で処理することにより、無機粒子を脱離させて、キャリアの表面にて開口する凹部を形成する。即ち、溶剤処理によって無機粒子が脱離し、その無機粒子が脱離した部分が凹部となる。
尚、上記溶剤は、前記の通り用いた表面処理剤を溶解または分解するものである必要がある。該溶剤としては、例えば、アセトン、ベンゼン等が挙げられるが、樹脂層を構成する樹脂、無機粒子に用いる表面処理剤の組み合わせに適した溶剤を選択する必要がある。
【0064】
ここで「凹部の深さ」は、樹脂層の厚さおよび無機粒子の粒径を制御することにより調整される。また「凹部の円相当径」は、無機粒子の粒径を制御することにより調整される。更に「凹部の面積比」は、無機粒子の添加量を制御することにより調整される。
【0065】
(凹部を有しないキャリア)
前述の混合キャリアに用いられる凹部を有しないキャリアは、上記本実施形態に係るキャリアの製造方法において凹部を形成しないこと以外、上記の方法によって製造される。より具体的には、上記本実施形態に係るキャリアの製造方法において表面処理した無機粒子を樹脂層に添加せず、溶剤処理を行わないことによって凹部を有しないキャリアが製造される。
尚、凹部を有しないキャリアの芯材の組成や樹脂層の組成は、一緒に混合される本実施形態に係るキャリアと同じであっても異なっていてもよい。
【0066】
(混合キャリア)
また、前述の混合キャリアは、本実施形態に係るキャリアと凹部を有しないキャリアとを別々に作製した後、混合することによって製造される。両者を混合するための装置としては、例えばV型混合機、ダブルコーン型混合機等が挙げられる。
【0067】
<静電潜像現像剤>
本実施形態に係る静電潜像現像剤は、本実施形態に係るキャリアとトナーとを含む二成分現像剤として構成される。尚、該静電潜像現像剤に含まれるキャリアは、本実施形態に係るキャリアを単独で用いたものであっても、或いは凹部を有しないキャリアと混合した混合キャリアであってもよい。
以下、本実施形態に係る静電潜像現像剤に用いられるトナーについて説明する。
【0068】
本実施形態に用いられるトナーには、公知の結着樹脂や各種の着色剤等を使用してもよい。本実施形態に用いられるトナーとしては、結着樹脂がポリエステル樹脂であることが望ましく、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物をアルコール側の成分として含むポリエステル樹脂が望ましい。また、前記ポリエステル樹脂は、単独で用いても、ポリエステルのほかにスチレンアクリル、ポリエーテルポリオール、ウレタン、等の樹脂を必要に応じて併用してもよい。
【0069】
また、本実施形態に用いられるトナーにおける結着樹脂としては、ポリエステル樹脂のほかに、ポリオレフィン樹脂、スチレンとアクリル酸またはメタクリル酸との共重合体、ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、変性ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂、ポリエーテルポリオール樹脂等を単独で用いてもよいしまたは併用してもよい。
【0070】
本実施形態に用いられるトナーにおける着色剤としては、シアンの着色剤として、例えば、C.I.ピグメントブルー1、同2、同3、同4、同5、同6、同7、同10、同11、同12、同13、同14、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:6、同16、同17、同23、同60、同65、同73、同83、同180、C.I.バットシアン1、同3、同20等や、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルーの部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCのシアン顔料、C.I.ソルベントシアン79、162等のシアン染料などを用いてもよい。
【0071】
また、マゼンタの着色剤として、例えば、C.I.ピグメントレッド1、同2、同3、同4、同5、同6、同7、同8、同9、同10、同11、同12、同13、同14、同15、同16、同17、同18、同19、同21、同22、同23、同30、同31、同32、同37、同38、同39、同40、同41、同48、同49、同50、同51、同52、同53、同54、同55、同57、同58、同60、同63、同64、同68、同81、同83、同87、同88、同89、同90、同112、同114、同122、同123、同163、同184、同202、同206、同207、同209等、ピグメントバイオレット19のマゼンタ顔料や、C.I.ソルベントレッド1、同3、同8、同23、同24、同25、同27、同30、同49、同81、同82、同83、同84、同100、同109、同121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ベーシックレッド1、同2、同9、同12、同13、同14、同15、同17、同18、同22、同23、同24、同27、同29、同32、同34、同35、同36、同37、同38、同39、同40等のマゼンタ染料等、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ロータミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどを用いてもよい。
【0072】
また、イエローの着色剤として、例えば、C.I.ピグメントイエロー2、同3、同15、同16、同17、同97、同180、同185、同139等のイエロー顔料などを用いてもよい。
【0073】
さらに、ブラックトナーの場合には、その着色剤として、例えば、カーボンブラック、活性炭、チタンブラック、磁性粉、Mn含有の非磁性粉などを用いてもよい。
【0074】
更に、本実施形態に用いられるトナーは、帯電制御剤を含有してもよく、ニグロシン、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、キレート錯体等を用いてもよい。
【0075】
また本実施形態に用いられるトナーは、少なくとも表面に外添剤を有してなる。既に述べた通り、トナーに外添される前記外添剤はその一部が遊離してキャリアの表面へ移行することがある。該外添剤としては、例えば流動性補助剤や添加剤等が挙げられる。より具体的には、シリカ、酸化チタン、チタン酸バリウム、フッ素粒子、アクリル粒子等が挙げられ、これらを1種または2種以上併用して用いられる。該シリカとしては、TG820(キャボット社製)、HVK2150(クラリアント社製)等の市販品を使用してもよい。
【0076】
更に、本実施形態に用いられるトナーは、離型剤を含有してもよく、該離型剤としては、エステルワックス、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリエチレンとポリプロピレンの共重合物、ポリグリセリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックス、脱酸カルナバワックス、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類、ステアリンアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類などの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの、不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N′ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0077】
トナーの製造方法としては特に限定されず、粉砕法、重合法等、公知のいかなるトナー製造方法を用いてもかまわない。
【0078】
本実施形態に係るキャリアとトナーとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100の範囲が望ましく、3:100乃至20:100の範囲がより望ましい。
【0079】
<画像形成装置>
次に、本実施形態に係る静電潜像現像剤を用いた本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体表面を帯電する帯電装置と、帯電された前記像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成装置と、前記静電潜像を前述の本実施形態に係る静電潜像現像剤におけるトナーによって、トナー像として現像する現像装置と、前記像保持体表面に形成された前記トナー像を被転写体表面に転写する転写装置と、を有することを特徴とする。本実施形態に係る画像形成装置は、必要に応じて前記潜像保持体をクリーニング部材で摺擦し転写残留成分をクリーニングするクリーニング装置等のその他の装置を備えていてもよい。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主用部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0080】
なお、この画像形成装置において、例えば前記現像装置を含む部分が、画像形成装置本体に対して脱着自在なカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよく、該プロセスカートリッジとしては、現像剤保持体を少なくとも備え、本実施形態に係る静電潜像現像剤を収容する本実施形態に係るプロセスカートリッジが好適に用いられる。
【0081】
図2は、本実施形態に係る画像形成装置の一例である4連タンデム方式のカラー画像形成装置を示す概略構成図である。図2に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成装置)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定めた距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置本体に対して脱着自在なプロセスカートリッジであってもよい。
【0082】
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図面における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、図における左から右方向に互いに離間して配置された駆動ローラ22および中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24に巻回されて設けられ、第1ユニット10Yから第4ユニット10Kに向う方向に走行されるようになっている。尚、支持ローラ24は、図示しないバネ等により駆動ローラ22から離れる方向に付勢されており、両者に巻回された中間転写ベルト20に予め定めた張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ローラ22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像装置)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収容されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが供給される。
【0083】
上述した第1乃至第4ユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1ユニット10Yについて代表して説明する。尚、第1ユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2乃至第4ユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
【0084】
第1ユニット10Yは、潜像保持体として機能する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を予め定めた電位に帯電させる帯電ローラ2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yよって露光して静電潜像を形成する露光装置3、静電潜像に帯電したトナーを供給して静電潜像を現像する現像装置(現像装置)4Y、現像したトナー像を中間転写ベルト20上に転写する1次転写ローラ5Y(1次転写装置)、および1次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング装置)6Yが順に配設されている。
尚、1次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ローラに印加する転写バイアスを可変する。
【0085】
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。まず、動作に先立って、帯電ローラ2Yによって感光体1Yの表面が−600V乃至−800Vの電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(20℃における体積抵抗率:1×10−6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂程度の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電潜像が感光体1Yの表面に形成される。
【0086】
静電潜像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
このようにして感光体1Y上に形成された静電潜像は、感光体1Yの走行に従って予め定めた現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電潜像が、現像装置4Yによって可視像(トナー像)化される。
【0087】
現像装置4Y内には、イエロートナーが収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー像が形成された感光体1Yは、引続き予め定めた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー像が予め定めた1次転写位置へ搬送される。
【0088】
感光体1Y上のイエロートナー像が1次転写へ搬送されると、1次転写ローラ5Yに予め定めた1次転写バイアスが印加され、感光体1Yから1次転写ローラ5Yに向う静電気力がトナー像に作用され、感光体1Y上のトナー像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1ユニット10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μA程度に制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーはクリーニング装置6Yで除去されて回収される。
【0089】
また、第2ユニット10M以降の1次転写ローラ5M、5C、5Kに印加される1次転写バイアスも、第1ユニットに準じて制御されている。
こうして、第1ユニット10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4ユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が重ねられて多重転写される。
【0090】
第1乃至第4ユニットを通して4色のトナー像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された2次転写ローラ(2次転写装置)26とから構成された2次転写部へと至る。一方、記録紙(被転写体)Pが供給機構を介して2次転写ローラ26と中間転写ベルト20とが圧接されている隙間に予め定めたタイミングで給紙され、予め定めた2次転写バイアスが支持ローラ24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性の(−)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー像が記録紙P上に転写される。尚、この際の2次転写バイアスは2次転写部の抵抗を検出する抵抗検出装置(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
【0091】
この後、記録紙Pは定着装置(定着装置)28へと送り込まれトナー像が加熱され、色重ねしたトナー像が溶融されて、記録紙P上へ定着される。カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
なお、上記例示した画像形成装置は、中間転写ベルト20を介してトナー像を記録紙Pに転写する構成となっているが、この構成に限定されるものではなく、感光体から直接トナー像が記録紙に転写される構造であってもよい。
【0092】
また、本実施形態に係る静電潜像現像用キャリアは、既に述べた通り、表面にある凹部にトナーから移行した外添剤を捕集する機能を有する。そのため、外添剤を多く捕集したキャリアを回収しながら新しいキャリアを徐々に補給する観点から、本実施形態に係る画像形成装置では、トリクル現像方式を採用してもよい。トリクル現像方式とは、現像装置の内部に現像剤を徐々に補給する一方で、過剰になった(劣化したキャリアを多く含む)劣化現像剤を現像装置内部から回収しながら現像を行う現像方式である。このトリクル現像方式では、現像装置内の劣化現像剤が少しずつ新しい現像剤に置換される。
尚、このトリクル現像方式では、現像装置内の現像剤量を常に規定値内に保持するように、現像剤の補給と回収とを行うことが望ましい。上記トリクル現像方式の技術としては、例えば特公平2−21591号公報等に記載された画像形成装置が挙げられる。
【0093】
<プロセスカートリッジ>
図3は、本実施形態に係る静電潜像現像剤を収容するプロセスカートリッジの好適な一例を示す概略構成図である。プロセスカートリッジ200は、感光体107とともに、帯電ローラ108、現像装置111、感光体クリーニング装置(クリーニング装置)113、露光のための開口部118、および、除電露光のための開口部117を取り付けレール116を用いて組み合わせ、そして一体化したものである。なお、図3において符号300は被転写体を表す。
そして、このプロセスカートリッジ200は、転写装置112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。
【0094】
図3で示すプロセスカートリッジでは、帯電ローラ108、現像装置111、クリーニング装置(クリーニング装置)113、露光のための開口部118、および、除電露光のための開口部117を備えているが、これら装置は選択的に組み合わせてよい。本実施形態に係るプロセスカートリッジでは、現像装置111のほかには、感光体107、帯電ローラ108、感光体クリーニング装置(クリーニング装置)113、露光のための開口部118、および、除電露光のための開口部117から構成される群から選択される少なくとも1種を備えるものであってもよい。
【実施例】
【0095】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例により限定されるものではない。尚、以下において「部」は、特に示さない限り「質量基準」である。
【0096】
≪キャリアを単独で用いる場合の実施例および比較例≫
[実施例1]
<キャリアの作製>
(1)芯材の形成
以下の方法により、芯材を形成した。
ヘンシェルミキサに、体積平均粒径0.50μmの球状マグネタイト粒子粉末500部を投入し、十分に攪拌した後、チタネート系カップリング剤5.0部を添加し、100℃まで昇温し、30分間混合攪拌することにより、チタネート系カップリング剤被覆された球状マグネタイト粒子を得た。
続いて、1Lの四つ口フラスコに、フェノール6.25部、35%ホルマリン9.25部、上記マグネタイト粒子500部と25%アンモニア水6.25部、水425部を入れ、混合攪拌した。次に、攪拌しながら60分間で85℃まで昇温し、同温度にて120分間反応させた後、25℃まで冷却し、500mlの水を添加した後、上澄み液を除去、沈殿物を水洗した。これを減圧下、150℃以上180℃以下で乾燥し、体積平均粒径35μmの芯材粒子を得た。
【0097】
(2)樹脂層の形成(凹部の形成)
以下の方法により、芯材の表面に凹部を有する樹脂層を形成した。
ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末12部、ポリメチルメタクリレート樹脂にて表面処理を施した二酸化珪素粉末(平均粒径120nm)0.86部をVブレンダーにて20分間混合攪拌した。得られた混合粉体および芯材粒子400部を乾式複合処理装置 ノビルタNOB130(ホソカワミクロン製)に入れ、1000rpmにて30分間処理した。
得られた粉体、1000部のアセトンを攪拌翼付き2L容器に入れ、150rpmにて30分間攪拌した後、目開き10μmのろ紙を用いて固液分離を施した。これを1000部のアセトン中に再分散し、150rpmにて30分間攪拌した後、再度目開き10μmのろ紙を用いて固液分離を行った。次いで真空乾燥を2時間実施し、目開き75μmのメッシュを通すことによりキャリアを得た。
【0098】
尚、キャリアの表面に形成された凹部の深さ、開口部分の円相当径、開口部分の面積の比を、前述の方法により測定した。結果を表1に示す。
【0099】
<トナーの作製>
スチレン−ブチルアクリレート共重合体(重量平均分子量Mw=150,000、共重合比80:20)100部、カーボンブラック(モーガルL:キャボット社製)5部、およびカルナウバワックス6部の混合物をエクストルーダで混練し、ジェットミルで粉砕後、温風による球形化処理をクリプトロン(川崎重工製)にて実施し、風力式分級機で分級して粒子径6.2μmのトナー粒子を得た。このトナー粒子100部に対してコロイダルシリカ(日本アエロジル社製R972)1.2部および粒径0.6μmのコロイダルリシカ0.3部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合して外添トナー粒子を得た。
【0100】
<像現像剤の作製>
前記キャリア92部と上記トナー8部とをV型ブレンダーで5分間攪拌し現像剤を作製した。
【0101】
[実施例2]
実施例1の樹脂層の形成において、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末量を4.8部に変更し、ポリメチルメタクリレート樹脂にて表面処理を施した二酸化珪素粉末の平均粒径を140nm、量を1.00部に変更した以外は実施例1に記載の方法によりキャリアを作製し、且つ現像剤を作製した。キャリアの表面に形成された凹部の深さ、開口部分の円相当径、開口部分の面積の比の測定結果を表1に示す。
【0102】
[実施例3]
実施例1の樹脂層の形成において、ポリメチルメタクリレート樹脂にて表面処理を施した二酸化珪素粉末の平均粒径を100nm、量を0.72部に変更した以外は実施例1に記載の方法によりキャリアを作製し、且つ現像剤を作製した。キャリアの表面に形成された凹部の深さ、開口部分の円相当径、開口部分の面積の比の測定結果を表1に示す。
【0103】
[実施例4]
実施例1の樹脂層の形成において、ポリメチルメタクリレート樹脂にて表面処理を施した二酸化珪素粉末量を0.45部に変更した以外は実施例1に記載の方法によりキャリアを作製し、且つ現像剤を作製した。キャリアの表面に形成された凹部の深さ、開口部分の円相当径、開口部分の面積の比の測定結果を表1に示す。
【0104】
[実施例5]
実施例1の樹脂層の形成において、ポリメチルメタクリレート樹脂にて表面処理を施した二酸化珪素粉末量を1.31部に変更した以外は実施例1に記載の方法によりキャリアを作製し、且つ現像剤を作製した。キャリアの表面に形成された凹部の深さ、開口部分の円相当径、開口部分の面積の比の測定結果を表1に示す。
【0105】
[実施例6]
実施例1の樹脂層の形成において、ポリメチルメタクリレート樹脂にて表面処理を施した二酸化珪素粉末量を0.24部に変更した以外は実施例1に記載の方法によりキャリアを作製し、且つ現像剤を作製した。キャリアの表面に形成された凹部の深さ、開口部分の円相当径、開口部分の面積の比の測定結果を表1に示す。
【0106】
[実施例7]
実施例1の樹脂層の形成において、ポリメチルメタクリレート樹脂にて表面処理を施した二酸化珪素粉末量を1.45部に変更した以外は実施例1に記載の方法によりキャリアを作製し、且つ現像剤を作製した。キャリアの表面に形成された凹部の深さ、開口部分の円相当径、開口部分の面積の比の測定結果を表1に示す。
【0107】
[比較例1]
実施例1の樹脂層の形成において、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末量を3.6部に変更した以外は実施例1に記載の方法によりキャリアを作製し、且つ現像剤を作製した。キャリアの表面に形成された凹部の深さ、開口部分の円相当径、開口部分の面積の比の測定結果を表1に示す。
【0108】
[比較例2]
実施例1の樹脂層の形成において、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末量を3.6部に変更し、ポリメチルメタクリレート樹脂にて表面処理を施した二酸化珪素粉末の平均粒径を70nm、量を0.50部に変更した以外は実施例1に記載の方法によりキャリアを作製し、且つ現像剤を作製した。キャリアの表面に形成された凹部の深さ、開口部分の円相当径、開口部分の面積の比の測定結果を表1に示す。
【0109】
[比較例3]
実施例1の樹脂層の形成において、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末量を5.7部に変更し、ポリメチルメタクリレート樹脂にて表面処理を施した二酸化珪素粉末の平均粒径を170nm、量を1.22部に変更した以外は実施例1に記載の方法によりキャリアを作製し、且つ現像剤を作製した。キャリアの表面に形成された凹部の深さ、開口部分の円相当径、開口部分の面積の比の測定結果を表1に示す。
【0110】
[比較例4]
実施例1の樹脂層の形成において、ポリメチルメタクリレート樹脂にて表面処理を施した二酸化珪素粉末を用いない、即ち凹部を有しないキャリアとした以外は実施例1に記載の方法によりキャリアを作製し、且つ現像剤を作製した。
【0111】
[比較例5]
実施例1の樹脂層の形成において、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末量を4.4部に変更し、ポリメチルメタクリレート樹脂にて表面処理を施した二酸化珪素粉末の平均粒径を85nm、量を0.61部に変更した以外は実施例1に記載の方法によりキャリアを作製し、且つ現像剤を作製した。キャリアの表面に形成された凹部の深さ、開口部分の円相当径、開口部分の面積の比の測定結果を表1に示す。
【0112】
[比較例6]
実施例1の樹脂層の形成において、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末量を5.8部に変更し、ポリメチルメタクリレート樹脂にて表面処理を施した二酸化珪素粉末の平均粒径を155nm、量を1.11部に変更した以外は実施例1に記載の方法によりキャリアを作製し、且つ現像剤を作製した。キャリアの表面に形成された凹部の深さ、開口部分の円相当径、開口部分の面積の比の測定結果を表1に示す。
【0113】
<評価試験>
−外添剤の偏在の観察−
以下の方法により、トナーからキャリア表面に移行した外添剤が、キャリア表面において偏在しているか否かを観察し、評価した。
キャリア粒子をダイヤモンドナイフで切削し、透過型電子顕微鏡で断面画像のキャリア表面を観察し、目視にて判断した。尚、評価基準は以下のとおりである。
◎:キャリアに移行した外添剤のほぼ全量が、凹部内部に偏在し、キャリア表面に露出している外添剤は観察されない。
○:キャリア表面に露出した外添剤も存在しているが、キャリア表面に露出している外添剤量よりも凹部内部に存在している外添剤量のほうが明らかに多い。
×:凹部内部に存在している外添剤はほとんど確認されず、大部分の外添剤がキャリア表面に露出している。
【0114】
−画像濃度−
得られた現像剤を富士ゼロックス社製DocuCentreColor400CP改造機にセットし、現像プロセススピード200mm/secにて5000枚画像形成し、1枚目と5000枚目の画像濃度を画像濃度計(X−Rite404A:X−Rite社製)を用いて測定し、画像濃度の測定結果から、以下の評価基準に即して評価した。
◎:1枚目に対し5000枚目の画像濃度が97%以上。
○:1枚目に対し5000枚目の画像濃度が94%以上97%未満。
△:1枚目に対し5000枚目の画像濃度が90%以上94%未満。
×:1枚目に対し5000枚目の画像濃度が90%未満。
【0115】
【表1】



【0116】
≪混合キャリアを用いる場合の実施例および比較例≫
[実施例8]
<凹部を有するキャリア(A)の作製>
実施例1の樹脂層の形成において、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末量を10.96部に変更し、ポリメチルメタクリレート樹脂にて表面処理を施した二酸化珪素粉末の量を1.90部に変更した以外は実施例1に記載の方法によりキャリア(A)を得た。
尚、キャリア(A)の表面に形成された凹部の深さ、開口部分の円相当径、開口部分の面積の比を、前述の方法により測定した。結果を表2に示す。
【0117】
<凹部を有しないキャリア(B)の作製>
比較例4に記載された方法により凹部を有しないキャリア(B)を得た。
【0118】
<混合キャリアの作製>
混合装置としてVブレンダーを用い、上記より得たキャリア(A)とキャリア(B)とを、下記表2に示す「キャリア(A)の含有比」にて混合して混合キャリアを得た。
【0119】
<トナーの作製>
前記実施例1に記載の方法により、外添トナー粒子を得た。
【0120】
<像現像剤の作製>
前記混合キャリア92部と上記トナー8部とをV型ブレンダーで5分間攪拌し現像剤を作製した。
【0121】
[実施例9]
実施例8において、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末の量を3.56部に変更し、ポリメチルメタクリレート樹脂にて表面処理を施した二酸化珪素粉末の粒径を140nmに変更し、ポリメチルメタクリレート樹脂にて表面処理を施した二酸化珪素粉末の量を2.25部に変更した以外は実施例8に記載の方法により凹部を有するキャリア(A)を作製し、且つ現像剤を作製した。キャリア(A)の表面に形成された凹部の深さ、開口部分の円相当径、開口部分の面積の比の測定結果を表2に示す。
【0122】
[実施例10]
実施例8において、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末の量を11.2部に変更し、ポリメチルメタクリレート樹脂にて表面処理を施した二酸化珪素粉末の粒径を100nmに変更し、ポリメチルメタクリレート樹脂にて表面処理を施した二酸化珪素粉末の量を1.55部に変更した以外は実施例8に記載の方法により凹部を有するキャリア(A)を作製し、且つ現像剤を作製した。キャリア(A)の表面に形成された凹部の深さ、開口部分の円相当径、開口部分の面積の比の測定結果を表2に示す。
【0123】
[実施例11]
実施例8において、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末の量を11.0部に変更し、ポリメチルメタクリレート樹脂にて表面処理を施した二酸化珪素粉末の量を1.45部に変更した以外は実施例8に記載の方法により凹部を有するキャリア(A)を作製した。次いで、キャリア全体(即ちキャリア(A)とキャリア(B))に対するキャリア(A)の含有比を下記表2の「キャリア(A)の含有比」に示す比に変更した以外は実施例8に記載の方法により現像剤を作製した。キャリア(A)の表面に形成された凹部の深さ、開口部分の円相当径、開口部分の面積の比の測定結果を表2に示す。
【0124】
[実施例12]
実施例8において、ポリメチルメタクリレート樹脂にて表面処理を施した二酸化珪素粉末の量を2.34部に変更した以外は実施例8に記載の方法により凹部を有するキャリア(A)を作製した。次いで、キャリア全体(即ちキャリア(A)とキャリア(B))に対するキャリア(A)の含有比を下記表2の「キャリア(A)の含有比」に示す比に変更した以外は実施例8に記載の方法により現像剤を作製した。キャリア(A)の表面に形成された凹部の深さ、開口部分の円相当径、開口部分の面積の比の測定結果を表2に示す。
【0125】
[実施例13]
実施例8において、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末の量を11.16部に変更し、ポリメチルメタクリレート樹脂にて表面処理を施した二酸化珪素粉末の粒径を100nmに変更し、ポリメチルメタクリレート樹脂にて表面処理を施した二酸化珪素粉末の量を1.58部に変更した以外は実施例8に記載の方法により凹部を有するキャリア(A)を作製した。次いで、キャリア全体(即ちキャリア(A)とキャリア(B))に対するキャリア(A)の含有比を下記表2の「キャリア(A)の含有比」に示す比に変更した以外は実施例8に記載の方法により現像剤を作製した。キャリア(A)の表面に形成された凹部の深さ、開口部分の円相当径、開口部分の面積の比の測定結果を表2に示す。
【0126】
[実施例14]
実施例13に記載の方法により凹部を有するキャリア(A)を作製した。次いで、キャリア全体(即ちキャリア(A)とキャリア(B))に対するキャリア(A)の含有比を下記表2の「キャリア(A)の含有比」に示す比に変更した以外は実施例8に記載の方法により現像剤を作製した。キャリア(A)の表面に形成された凹部の深さ、開口部分の円相当径、開口部分の面積の比の測定結果を表2に示す。
【0127】
[実施例15]
実施例8において、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末の量を10.68部に変更し、ポリメチルメタクリレート樹脂にて表面処理を施した二酸化珪素粉末の粒径を100nmに変更し、ポリメチルメタクリレート樹脂にて表面処理を施した二酸化珪素粉末の量を2.07部に変更した以外は実施例8に記載の方法により凹部を有するキャリア(A)を作製し、且つ現像剤を作製した。キャリア(A)の表面に形成された凹部の深さ、開口部分の円相当径、開口部分の面積の比の測定結果を表2に示す。
【0128】
[実施例16]
実施例8において、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末の量を11.64部に変更し、ポリメチルメタクリレート樹脂にて表面処理を施した二酸化珪素粉末の粒径を100nmに変更し、ポリメチルメタクリレート樹脂にて表面処理を施した二酸化珪素粉末の量を1.09部に変更した以外は実施例8に記載の方法により凹部を有するキャリア(A)を作製し、且つ現像剤を作製した。キャリア(A)の表面に形成された凹部の深さ、開口部分の円相当径、開口部分の面積の比の測定結果を表2に示す。
【0129】
[比較例7]
実施例8において、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末の量を2.56部に変更した以外は実施例8に記載の方法により凹部を有するキャリア(A)を作製し、且つ現像剤を作製した。キャリア(A)の表面に形成された凹部の深さ、開口部分の円相当径、開口部分の面積の比の測定結果を表2に示す。
【0130】
[比較例8]
実施例8において、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末の量を3.0部に変更し、ポリメチルメタクリレート樹脂にて表面処理を施した二酸化珪素粉末の粒径を70nmに変更し、ポリメチルメタクリレート樹脂にて表面処理を施した二酸化珪素粉末の量を1.11部に変更した以外は実施例8に記載の方法により凹部を有するキャリア(A)を作製し、且つ現像剤を作製した。キャリア(A)の表面に形成された凹部の深さ、開口部分の円相当径、開口部分の面積の比の測定結果を表2に示す。
【0131】
[比較例9]
実施例8において、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末の量を4.2部に変更し、ポリメチルメタクリレート樹脂にて表面処理を施した二酸化珪素粉末の粒径を170nmに変更し、ポリメチルメタクリレート樹脂にて表面処理を施した二酸化珪素粉末の量を2.69部に変更した以外は実施例8に記載の方法により凹部を有するキャリア(A)を作製し、且つ現像剤を作製した。キャリア(A)の表面に形成された凹部の深さ、開口部分の円相当径、開口部分の面積の比の測定結果を表2に示す。
【0132】
<評価試験>
前記実施例1〜7および比較例1〜6において行った「外添剤の偏在の観察」および「画像濃度」の評価試験を行った。結果を下記表2に示す。
【0133】
【表2】



【符号の説明】
【0134】
1Y、1M、1C、1K、107 感光体(潜像保持体)
2Y、2M、2C、2K、108 帯電ローラ
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
3 露光装置
4Y、4M、4C、4K、111 現像装置(現像手段)
5Y、5M、5C、5K 1次転写ローラ
6Y、6M、6C、6K、113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段)
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
20 中間転写ベルト
22 駆動ローラ
24 支持ローラ
26 2次転写ローラ(転写手段)
28、115 定着装置(定着手段)
30 中間転写体クリーニング装置
30A 凹部を有さないキャリア
30B 凹部を有するキャリア
32 凹部
34 外添剤
112 転写装置
116 取り付けレール
117 除電露光のための開口部
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ
P、300 記録紙(被転写体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材と、
前記芯材を被覆する樹脂層と、
前記樹脂層の表面で開口し、深さが100nm以上且つ前記樹脂層の厚さ以下であり、開口部分の円相当径が90nm以上150nm以下である凹部と、
を有する静電潜像現像用キャリア。
【請求項2】
前記凹部を有しないと想定した場合における表面積に対する、前記凹部の開口部分の面積の比が10面積%以上40面積%以下である請求項1に記載の静電潜像現像用キャリア。
【請求項3】
前記凹部を有しないと想定した場合における表面積に対する、前記凹部の開口部分の面積の比が40面積%以上70面積%以下である請求項1に記載の静電潜像現像用キャリア(キャリア(A))、
並びに、芯材と、前記芯材を被覆し前記凹部を有しない樹脂層と、を有する静電潜像現像用キャリア(キャリア(B))、
を含有する静電潜像現像用の混合キャリア。
【請求項4】
前記キャリア(A)の、全キャリアに対する含有比が8質量%以上20質量%以下である請求項3に記載の静電潜像現像用の混合キャリア。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の静電潜像現像用キャリアと、トナーと、を含む静電潜像現像剤。
【請求項6】
請求項3または請求項4に記載の静電潜像現像用の混合キャリアと、トナーと、を含む静電潜像現像剤。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の静電潜像現像剤を収容する現像剤カートリッジ。
【請求項8】
請求項5または請求項6に記載の静電潜像現像剤を収容し、且つ前記静電潜像現像剤を保持して搬送する現像剤保持体を備えるプロセスカートリッジ。
【請求項9】
像保持体と、
前記像保持体表面を帯電する帯電装置と、
帯電された前記像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成装置と、
前記静電潜像を請求項5または請求項6に記載の静電潜像現像剤におけるトナーによって、トナー像として現像する現像装置と、
前記像保持体表面に形成された前記トナー像を被転写体表面に転写する転写装置と、
を有する画像形成装置。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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