説明

静電潜像計測方法および静電潜像計測装置

【課題】露光ビームの2次元走査時に生じる像面湾曲の影響を抑え、露光ビームで形成される静電潜像の品質を正しく評価できる静電潜像計測方法および静電潜像計測装置を得る。
【解決手段】感光体23の表面に荷電粒子ビームを照射し感光体を帯電させる荷電粒子照射装置10と、帯電された感光体23の表面に光源からの光束を照射して感光体23の表面に静電潜像を形成する露光光学系22と、帯電された感光体から発生する2次電子を検出する検出器24と、を備え、露光光学系22は、光源からの光束を一方向に回折する音響光学偏向素子103と、光束を回折方向に対し直交する方向に偏向する光偏向器105を含むことによって、帯電した感光体23に光束を2次元方向に走査しながら照射するように構成され、音響光学偏向素子103の偏向特性に応じて像面湾曲の影響が小さくなるように露光光学系22の傾斜角度を調整する調整手段を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響光学偏向素子による回折と光偏向器による偏向を利用して感光体に光束を照射し、感光体に形成された静電潜像を計測するようにした静電潜像計測方法および静電潜像計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、多色画像形成装置等に対する画像形成の高速化の要求が高まるとともに、画像形成装置がオンデマンドプリンティングシステムとして簡易印刷に用いられるようになり、形成される画像の高品質化、高精度化が求められている。電子写真方式の画像形成装置では、帯電、露光、現像、転写、定着の各プロセスにおける品質が、最終的に出力される画像の品質に大きく影響を与える。中でも、露光プロセスにより感光体上に生成される静電潜像の状態は、トナー粒子の挙動に直接影響を及ぼす重要なファクターである。そのため、露光後の静電潜像の状態を高精度に計測して静電潜像の品質を正しく評価することは、高品質の画像を得ることができる画像形成装置を実現するうえで極めて重要であり、ミクロンスケールでの高精度の計測が要求される。
【0003】
ミクロンスケールで被測定物の帯電電位を求める方法として、電位分布を有する試料にカンチレバーなどのセンサヘッドを近づけ、静電潜像とカンチレバーなどとの間に相互作用として起こる静電引力や誘導電流を計測し、これを電位分布に変換する方法がある。しかし、この方法を実施するためには、センサヘッドを試料に近接させる必要があり、センサヘッドと試料との間で放電や吸着が生じ、あるいはセンサ自身が磁場を乱す等の問題がある。また、この方法は原理的に数ミリ程度の分解能であるため、静電潜像特性を評価するのに適していない。
【0004】
また、特許文献1等に記載されているように、電子ビームを用いた静電潜像の測定方法が知られているが、試料としては、LSIチップや静電潜像を記憶ないしは保持することができる試料に限定されている。したがって、画像形成装置等に用いられている感光体は、暗減衰を生じるため測定することができない。特許文献1記載の発明が想定している被検体としての通常の誘電体は、直流電圧に対して絶縁体として振る舞い、電荷を半永久的に保持することができるので、電荷分布を形成後、時間をかけて測定を行っても、測定結果に影響を与えることはない。
【0005】
これに対して、感光体の場合は、抵抗値が無限大ではないので、電荷を長時間保持することができず、暗減衰が生じ、時間とともに表面電位が低下してしまう。感光体が電荷を保持できる時間は、暗室であってもせいぜい数十秒である。従って、帯電、露光後に電子顕微鏡(SEM)内で静電潜像を観察しようとしても、その準備段階で静電潜像は消失してしまう。
【0006】
そこで発明者らは、暗減衰を有する感光体試料であっても、静電潜像を計測することのできる方法及び装置を発明した。特許文献2、特許文献3、特許文献4記載の発明がそれである。また、露光ビームを2次元的に操作することで、より実機に近い条件で静電潜像を計測することを可能にした静電潜像計測方法及び静電潜像計測装置を発明したが、まだ公開されていない。
【0007】
露光ビームの2次元走査は、露光光学系にガルバノスキャナやポリゴンスキャナなどの反射手段による光偏向器を用いることに加え、音響光学偏向素子の回折を利用し、ポリゴンスキャナなどによる走査方向に対し直交する方向へ偏向を行う光偏向器ないしは回折手段を用いることで実現できる。ポリゴンスキャナなどによる走査方向を主走査方向とし、音響光学偏向素子による走査方向を副走査方向とする。
【0008】
ところで、上述の構成を用いて2次元走査を行うとき、シリンダレンズ、走査レンズなどを光束が通過する際に像面湾曲が生じる。特に、レーザ光の副走査位置によりビーム特性が変化するため、副走査偏向に伴う像面湾曲の影響は大きく、副走査方向ビームウエスト位置が、音響光学偏向素子の駆動周波数に応じてすなわち偏向角に応じて、異なる場所に移動する。像面湾曲の影響の小さい駆動周波数は光学系の構成及び測定像面の設定により一意的に定まってしまうため、潜像計測を行ううえで好適な露光条件を実現することができる駆動周波数は同様に一意的に定まってしまう。一方、音響光学偏向素子の回折効率などの偏向特性は駆動周波数により異なるため、任意の偏向特性を持って潜像形成を行ううえでの制限があった。
【0009】
特許文献5には、音響光学偏向素子を用いた光走査装置において、偏向走査に伴う像面湾曲に起因した光学系の非点収差を補正する方法として、音響光学偏向素子の円筒レンズ効果を利用した像面湾曲補正を行い、光学系の非点収差を補正する方法が開示されている。この方法を用いることにより、像面湾曲の影響を抑えながら、所定の範囲内での音響光学偏向素子の透過ビームを利用することが可能である。
【0010】
しかし、特許文献5に記載されている補正方法を用いた音響光学偏向素子による偏向走査では、走査光学系に用いるレンズ等の有効径、または、透過ビーム照射媒体の有効領域で使用可能な透過ビームは限定されてしまう。また、透過ビーム照射媒体の任意の領域を照射領域に設定した場合、透過ビームがその領域に照射されるための音響光学偏向素子の駆動周波数設定は、光学系の構成及び照射領域の設定により一意的に定まる。したがって、設定した照射領域に対し、任意の偏向角、すなわち、任意の駆動周波数を用いて音響光学偏向素子を使用することができない、という問題は解消されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、露光ビームの2次元走査時に生じる像面湾曲の影響を小さく抑え込み、露光ビームで形成される静電潜像の品質を正しく評価することができる静電潜像計測方法および静電潜像計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る静電潜像計測方法は、感光体の表面に形成される静電潜像を計測する静電潜像計測方法であって、前記感光体の表面に荷電粒子ビームを照射し感光体を帯電させる帯電工程と、帯電された前記感光体の表面に露光光学系によって光源からの光束を照射して前記感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、帯電された前記感光体から発生する2次電子を検出する検出工程と、を備え、前記静電潜像形成工程は、前記光源からの光束を音響光学偏向素子により一方向に回折する回折工程と、前記光束を前記回折方向に対し直交する方向に偏向する偏向工程を含むことによって、帯電した前記感光体に光束を2次元方向に走査しながら照射し、前記音響光学偏向素子の偏向特性に応じて像面湾曲の影響が小さくなるように前記露光光学系の傾斜角度を調整する調整工程を含むことを最も主要な特徴とする。
【0013】
本発明に係る静電潜像計測装置は、感光体の表面に形成される静電潜像を計測する静電潜像計測装置であって、前記感光体の表面に荷電粒子ビームを照射し感光体を帯電させる荷電粒子照射装置と、帯電された前記感光体の表面に光源からの光束を照射して前記感光体の表面に静電潜像を形成する露光光学系と、帯電された前記感光体から発生する2次電子を検出する検出器と、を備え、前記露光光学系は、前記光源からの光束を一方向に回折する音響光学偏向素子と、前記光束を前記回折方向に対し直交する方向に偏向する光偏向器を含むことによって、帯電した前記感光体に光束を2次元方向に走査しながら照射するように構成され、前記音響光学偏向素子の偏向特性に応じて像面湾曲の影響が小さくなるように前記露光光学系の傾斜角度を調整する調整手段を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
露光光学系に対し使用駆動周波数及び測定像面設定に応じた角度調整を行うため、露光ビームの2次元走査時に生じる像面湾曲の影響が小さい条件下において、音響光学偏向素子の良好な条件での駆動周波数を用いて潜像形成を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る静電潜像計測装置の実施形態を示す模式図である。
【図2】上記実施形態中の露光光学系の構成を示す斜視図である。
【図3】本発明に適用可能な光源の例を示す斜視図である。
【図4】本発明に用いることができる音響光学偏向素子の実施例とこの音響光学偏向素子の入力電圧と出力周波数との関係を示す図である。
【図5】図1に示す実施形態中の真空チャンバ装置と露光光学系の結合部分の具体例を示す断面図である。
【図6】上記露光光学系によって感光体試料面に形成される画像パターンの各種例を示す図である。
【図7】静電潜像から放出される2次電子による電位部分布検出の原理を示すモデル図である。
【図8】感光体試料に行ける潜像形成から除電までの一連の動作を示すフローチャートである。
【図9】2次元走査光学系による走査によって生じる像面湾曲の例を示すグラフである。
【図10】音響光学偏向素子及び感光体試料の像面を光軸に対して垂直に配置したときの、感光体試料像面における副走査深度カーブが偏向角によって異なることを示すグラフである。
【図11】音響光学偏向素子の偏向角特性を示すグラフである。
【図12】本発明の実施例における2次元走査光学系の光路図である。
【図13】音響光学偏向素子の回折効率特性を示すグラフである。
【図14】本発明の実施例における2次元走査光学系の最大回折効率透過ビームが測定領域中心に結像するときの光路図である。
【図15】本発明の実施例における走査光学系に設けられる角度調整機構の一例を示す光路図である。
【図16】上記角度調整機構を用いた調整動作を示すフローチャートである。
【図17】図15に示す角度調整機構における2次元走査光学系の最大回折効率透過ビームが測定領域中心に結像するときの光路図である。
【図18】本発明の実施例における走査光学系に設けられる角度調整機構の別の例を示す光路図である。
【図19】像面湾曲特性と結像位置ずれ量との関係を示すグラフである。
【図20】上記結像位置ずれ量を求める具体例を示すグラフである。
【図21】測定像面最適化条件の導出例を示すグラフである。
【図22】測定像面の設定を示すもので、(a)は従来例における光軸を中心とした測定像面の設定例を、(b)は本発明における最適像面調整時の状態を示す光路図である。
【図23】本発明の実施例における測定像面最適化の手順を示すフローチャートである。
【図24】本発明に適用される測定像面最適化のために音響光学偏向素子に入力するVCO電圧指定の制御系の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る静電潜像計測方法および静電潜像計測装置の実施例を、図面を参照しながら説明する。
【実施例】
【0017】
まず、図1を用いて静電潜像計測装置の実施形態の構成について説明する。本実施形態に係る静電潜像計測装置は、大きく分けて荷電粒子ビームを照射する荷電粒子照射部10、露光光学系22、試料23を載置する試料設置部GNDおよび1次反転荷電粒子や2次電子などの検出部24およびLED25を備えている。ここでいう荷電粒子とは、電子ビームあるいはイオンビームなど電界や磁界の影響を受ける粒子を指す。
【0018】
荷電粒子照射部10は、所定の真空チャンバ40内に上から順に以下のように配置された各部材を備えている。すなわち、荷電粒子照射部10は、電子ビームを発生させるための電子銃11、電子ビームを制御するためのサプレッサ電極(引き出し電極)12、電子ビームのエネルギーを制御するための加速電極13、電子銃から発生された電子ビームを集束させるためのコンデンサレンズ14、電子ビームをON/OFFさせるためのビームブランカ15、仕切り板16、可動絞り17、非点補正部(スティングメータ)18、ビームブランカ15を通過した電子ビームを走査させるための走査レンズ19、走査レンズ19を通過した電子ビームを再び収束させるための対物レンズ20およびビーム射出開口部21を備えている。それぞれのレンズ等には、図示しない駆動用電源が接続されている。なお、イオンビームの場合には、電子銃の代わりに液体金属イオン銃などを用いる。
【0019】
静電潜像計測装置はホストコンピュータ200を備えている。ホストコンピュータ200は各部の動作を制御し、また、検出器24の検出信号に基づいて信号処理を行うようになっている。この静電潜像計測装置の制御および信号処理系統は以下のように構成されている。ホストコンピュータ200は、荷電粒子制御部210を介して、加速レンズ制御部211、走査レンズ制御部212、対物レンズ制御部213を制御するようになっている。これらの制御部により、加速電極13、走査レンズ19、対物レンズ20が制御されて、感光体試料23の表面に電子ビームが適正に照射され、感光体試料23表面が均一に帯電される。
【0020】
ホストコンピュータ200は、LD制御部・2次元走査制御部205を介して、露光光学系22の、後で具体的に説明する光源としてのLD(レーザダイオード)100を制御し、また、音響光学偏向素子103、光偏向器105を制御するようになっている。音響光学偏向素子103、光偏向器105の制御により、感光体試料23の表面がレーザ光で2次元走査され、感光体試料23の表面に所望のパターンの静電潜像が形成されるようになっている。
【0021】
ホストコンピュータ200はまた、検出器24の出力信号によって感光体試料23からの放出電子を検出する電子検出部201、この電子検出部201からの検出信号を処理する信号処理部202、処理された信号から測定結果を出力する測定結果出力部203、この測定結果出力部203からの出力信号から画像信号に変換する画像処理部204を制御するようになっている。ホストコンピュータ200は、試料台制御部206を介して試料台GNDの位置や高さなどを制御し、さらにLED制御部207を介して、測定後の感光体試料23の残留電荷を消去するようになっている。
【0022】
露光光学系22は、図2に示すように、感光体に関して感度を持つ波長の光源であるLD100、コリメートレンズ101、アパーチャ102、音響光学偏向素子103、シリンダレンズ104、光偏向器105、走査結像レンズ106、同期検知用ミラー107、同期検知手段108などを備え、感光体試料23上に所望のビーム径のビームプロファイルを生成することが可能となっている。また、LD制御手段により適切な露光時間で、適切な露光エネルギーを感光体試料23に照射できるようになっている。光源は、LD100に代えて、図3(a)に示すような、複数の発光点が一直線状に並んだマルチビーム光源801、図3(b)に示すような、VCSEL(面発光レーザ)802等を用いてもよい。
【0023】
露光光学系22は、光学系にガルバノスキャナやポリゴンスキャナなどによる光偏向器105を用いることで、感光体試料23の表面にライン状のパターンを形成することができる。このライン方向を主走査方向とする。また、図2に示すように、ポリゴンスキャナなどによる走査方向(主走査方向)に対し直交する方向(この方向を副走査方向とする)に光束を走査するための音響光学偏向素子103が配置されている。なお、以後、光路模式図及び光学系調整手段を示す図において、主走査方向の走査を行うポリゴンミラー等の光偏向器は図示しない。図2では、感光体試料23が、画像形成装置に用いられるドラム形状のものとして描かれているが、図1に示す静電潜像計測装置における被検体としての感光体試料23は、実際に使用される感光体の一部又は同じ特性の平板状のものが用いられている。静電潜像計測装置の仕様によっては、実際の画像形成装置に用いられる態様の感光体を試料とすることも可能である。
【0024】
音響光学偏向素子103の一例を図4に示す。音響光学偏向素子103は、光学媒体の中に超音波を発生させて、進行するレーザ光を回折させる素子で、入力信号を周波数変調してこれを音響光学偏向素子103に加えると、加えられる信号の周波数に応じてレーザ光の回折度合いが変わり、角度変調を行うことができる。音響光学偏向素子103には機械的可動部がないため、これを用いることで高速な走査を実現することができる。
【0025】
音響光学偏向素子103の動作原理について説明する。図4に示すように、二酸化テルル(TeO)やモリブデン酸鉛(PbMoO)などの単結晶またはガラスからなる音響光学媒体(音響光学偏向素子103の本体)に圧電素子などの超音波トランスデューサ94が接着されている。この超音波トランスデューサ94に外部から電気信号を与えて超音波を発生させ、超音波を媒体中に伝播させると、光学素子内に周期的な屈折率の粗密を形成することができる。図4において符号95は、入力電圧信号に対応した周波数の信号に変換する周波数変換器、符号96はRFアンプを示している。周波数変換器95は一種のオシレータで、例えば、周波数制御発振器(VCO)で構成することができる。以下、周波数変換器のことを「VCO」という。VCOで生成された信号はRFアンプ96を経て超音波トランスデューサ94に加えられ、上記のようにレーザ光の角度変調が行われる。
【0026】
上記音響光学媒体中を通るレーザ光はブラッグ回折により回折し、入射光は、0次光の他に±1、2…の回折光を生じる。0次回折光と1次回折光との角度θ01は、空気中の光波長をλ、音響波基本周波数をfa、音響波速度をVaとすると、以下の式で表される。
θ01=λ・fa/Va
偏向角をΔθだけ変化させるためには、基本周波数faを音響波周波数変調Δfa分だけシフトさせるとよい。この場合、Δθは以下の式で表される。
Δθ=λ・Δfa/Va
【0027】
上記音響光学偏向素子103を、VCO95、RFアンプ96を用いて任意の駆動周波数で駆動することで、レーザ光を副走査方向に走査することができる。図4(b)は、VCO95に入力する電圧信号とVCO95の出力周波数の関係を示す。図4(b)からわかるように、VCO95に適切な電圧信号を入力することで、所望の方向に光束を偏向させることができる。
具体的には、音響光学偏向素子103本体の素材がTeOの場合、TeOの音響波速度Vaが650m/sで、音響波基本周波数faが50Mhz、光波長λが655nmとすると、
θ01=655×10−9×50×10/650=50.38(mrad)
となる。
【0028】
ところで、音響光学偏向素子103は、変調信号を与えてから所定の光学特性を得るためには、ディレイすなわち時間遅れが生じる。この時間遅れを応答時間(アクセスタイム)Tresとすると、ビームサイズをDとしたとき、Tresは、以下の式で表すことができる。
Tres=D/Va
具体例として、Dが5mm、Vaが650m/sの場合、
Tres=5/650=7.7(μs)
となる。
【0029】
このため、応答時間Tresは、反射による光偏向器の走査周波数をfvとしたとき、
D/Va<1/fv
とすればよい。すなわち、ポリゴンミラーの回転数(rpm)をRm、ポリゴンミラーの面数をNとすれば、ポリゴンスキャナの走査周波数fvは、
fv=(Rm/60)×N
と表すことができ、Vaは
Va>D×fv
でなければならない。具体例として、D=7mm、fv=6kHzの場合、
Va>42m/s
となる特性を有する音響光学偏向素子を用いる必要がある。
【0030】
露光光学系22に用いられている光偏向器105が駆動モータで回転駆動されることにより生じる振動や電磁波が電子ビームの軌道に影響を与えないように、露光光学系22を真空チャンバ40の外に配置するとよい。これによって、露光光学系22を電子ビームの軌道から遠ざけることができ、測定結果に及ぼす外乱の影響を抑制することができる。この場合、露光ビームは、真空チャンバ40の外壁に設けられた透明な入射窓より入射させることが望ましい。
【0031】
図5は、真空チャンバ装置と露光光学系22の結合部分の具体例を示す断面図である。図5に示すように、真空チャンバ40の鉛直軸に対して45°の角度で、外部の露光光学系22から真空チャンバ40内部に向かって光ビームを入射可能な入射窓68が配置された構成となっている。図5において、露光光学系22は、図示されない光源、音響光学偏向素子103、光偏向器105、走査レンズ106、光ビームの光路を曲げるミラー72を有している。また、図5には描かれていないが、前記コリメートレンズ、アパーチャ、同期検知手段などを有している。
【0032】
露光光学系22を保持するハウジング71は、露光光学系22全体をカバーで覆い、以下に述べるように、真空チャンバ40内部へ入射する外光(有害光)を遮光する構成にするとよい。露光光学系22の主要部は光学ハウジング69の上に配置され、上部は上記カバー71で覆われて遮光されている。光学ハウジング69は水平方向の平行移動台83の上に取り付けられ、平行移動台83は柱状の複数本の構造体82を介して除振台81の上に取り付けられている。走査ビーム77は上記ミラー72でほぼ45°の角度で斜め下方に折り曲げられ、この走査ビーム77の進路の周りは、外部遮光筒73、内部遮光筒75、これら内外の遮光筒の接続部に介在するラビリンス部74によって遮光されている。
【0033】
上記除振台81の上に真空チャンバ40が固定されている。真空チャンバ40内に前記試料載置台としての試料ステージ78が水平面内において直交2軸方向に移動可能に取り付けられている。試料ステージ78には被検体としての感光体試料23を載置することができ、この感光体試料23に対し真上から荷電粒子ビームを照射する前記荷電粒子照射装置10が真空チャンバ40内に取り付けられている。荷電粒子照射装置10の内部も真空チャンバ40と連通していて真空に保たれている。真空チャンバ40内には、感光体試料23に静電潜像を形成した後、感光体試料23に荷電粒子ビームを照射することによって放出される電子ビームを検出する検出器24の検出端が感光体試料23に向かって伸びている。
【0034】
ポリゴンスキャナ等の光偏向器105を有する露光光学系22は、真空チャンバ40に対して離れて配置されているので、ポリゴンスキャナ等の光偏向器105をモータ65によって回転駆動する際に生じる振動は、真空チャンバ40に直接伝播されることはなく、上記振動が感光体試料23の静電潜像測定に与える影響は少ない。さらに、図5では示していないが、構造体82と除振台81との間にダンパを挿入すれば、防振効果を更に高めることができる。
このように、露光光学系22を構成することにより、感光体試料23に対して、2次元の潜像パターンを形成することができる。なお、試料の形状は、平面であっても曲面であってもよい。
【0035】
次に、以上のように構成されている本実施形態の静電潜像計測装置の動作および静電潜像計測方法について説明する。
まず、荷電粒子照射装置10により感光体試料23に電子ビームを照射させることで、感光体試料23の表面を均一に帯電させる。電子ビームの加速電圧|Vacc|を、2次電子放出比が1となる加速電圧より高い加速電圧に設定することにより、入射電子量が放出電子量を上回って電子が感光体試料23に蓄積され、チャージアップを起こす。この結果、感光体試料23の表面が均一にマイナスに帯電される。加速電圧と照射時間を適切に調整することにより、所望の電位に帯電させることができる。この帯電プロセスは、前記ホストコンピュータ200が、荷電粒子制御部210を介して前記加速レンズ制御部211、走査レンズ制御部212、対物レンズ制御部213を制御することによって実行される。
【0036】
次に、露光光学系22を用いた2次元走査により、感光体試料23を露光する。露光光学系22は、感光体試料23の表面に所望のビーム径及びビームプロファイルを形成するように調整されている。必要な露光エネルギーは感光体試料23の特性によって決まるファクターであるが、通常、2〜10mJ/m程度である。感度が低い感光体試料23では、必要露光エネルギーは十数mJ/mとなることもある。帯電電位や必要露光エネルギーは、感光体特性やプロセス条件に合わせて設定するとよい。
【0037】
また、ビームスポット径、デューティ、画周波数、書込密度、画像パターン等の条件設定を任意に行うことで、様々な条件での潜像を形成しこれを計測することが可能となる。画像パターンとしては、図6に示すような、1by1、2by2、1ドット格子、副走査1ドットラインや副走査ピッチむらのある1ドットラインなどがあり、これらのパターンの一つを意図的に発生させたラインのほか、様々なパターンを形成することができる。このように、帯電と露光により、感光体試料23に所望するパターンの静電潜像を形成することができる。この露光プロセスは、ホストコンピュータ200が、LD制御部・2次元走査制御部205を制御することによって実行される。
【0038】
次に、静電潜像計測を行う。上記のようにして静電潜像が形成された感光体試料23を電子ビームで走査し、放出される2次電子を検出器(シンチレータ)24で検出し、これを電子検出部201で電気信号に変換してコントラスト像を観察する。このようにすると、帯電部の2次電子検出量が多く、露光部の2次電子検出量が少ない明暗のコントラスト像が生じる。暗の部分を露光による潜像部とみなすことができるので、ビームを走査させることなくスポット露光した場合の明暗の境界を潜像径とすることができる。
【0039】
試料表面に電荷分布があると、感光体試料23の上方に位置する空間に、表面電荷分布に応じた電界分布が形成される。入射電子によって発生した2次電子は、この電界によって押し戻され、検出器24に到達する量が減少する。従って、電荷リーク箇所は、露光部が黒、非露光部が白となり、表面電荷分布に応じたコントラスト像を測定することができる。
【0040】
図7(a)は、荷電粒子を捕獲する検出器24と、感光体試料23との間の空間における電位分布を、等高線で説明図的に示したものである。感光体試料23の表面は、光減衰により電位が減衰した部分を除いては負極性に一様に帯電した状態であり、検出器24には正極性の電位が与えられている。そのため、実線で示す電位等高線群においては、感光体試料23の表面から検出器24に近づくに従い電位が高くなる。従って、感光体試料23の、負極性に均一帯電している部分である図のQ1点やQ2点で発生した2次電子el1、el2は、検出器24の正電位に引かれ、矢印G1や矢印G2で示すように変位し、検出器24に捕獲される。
【0041】
一方、図7(a)において、Q3点は光照射されて負電位が減衰した部分であり、Q3点近傍では電位等高線の配列は破線で示すように、Q3点を中心とした半円形の波紋状に広がる。この波紋状の電位分布では、Q3点に近いほど電位が高くなっている。換言すると、Q3点の近傍で発生した2次電子el3には、矢印G3で示すように、感光体試料23側に拘束する電気力が作用する。このため、2次電子el3は、破線の電位等高線で示すポテンシャルの穴に捕獲され、検出器24に向かって移動することができない。
【0042】
図7(b)は、上記ポテンシャルの穴を模式的に示している。すなわち、検出器24により検出される2次電子の強度(2次電子数)は、強度の大きい部分が「静電潜像の地の部分(均一に負帯電している部分、図7(a)の点Q1やQ2に代表される部分)」に対応し、強度の小さい部分が「静電潜像の画像部(光照射された部分、図7(a)の点Q3に代表される部分)」に対応することになる。
【0043】
従って、2次電子の検出部24で得られる電気信号を、信号処理部202で適当なサンプリング時間でサンプリングすれば、前述の如く、サンプリング時刻Tをパラメータとして、表面電位分布(電位コントラスト像)V(X,Y)を「サンプリングに対応した微小領域」ごとに特定できる。そして、信号処理部202により上記表面電位分布V(X,Y)を2次元的な画像データとして構成し、これを測定結果出力部203、画像処理部204を経て、ディスプレイやプリンタなどのアウトプット装置で出力すれば、静電潜像が可視的な画像として得られる。
【0044】
例えば、捕獲される2次電子の強度を「明るさの強弱で表現」すれば、静電潜像の画像部分は暗く、地の部分は明るくコントラストがつき、表面電荷分布に応じた明暗像として表現(出力)することができる。もちろん、表面電位分布を知ることができれば、表面電荷分布も知ることができる。
【0045】
上述の構成によれば、表面電荷分布を有する試料に荷電粒子ビームを照射して得られる検出信号により、試料の電荷分布の状態を測定する方法において、露光条件を変えたときの潜像の状態を計測することにより、感光体の静電特性を把握することができる。
【0046】
最後に、LED25(図1参照)を点灯して感光体試料23の表面に光を照射し、感光体試料23の除電を行う。感光体試料23上に生成された帯電電荷は光を照射することで消失し、次の測定に備えることができる。
【0047】
以上のプロセスを実行することで、所望の条件で形成された静電潜像を計測することができる。これらの潜像形成から除電までの一連の動作を、図8にフローチャートで表している。各動作ステップを以下に説明する。なお、図8に示すフローチャートは、後述する音響光学偏向素子の使用VCO電圧に応じた光学系調整及び測定像面の最適化を含んでいる。
【0048】
まず、ステップS1において、後述する調整手法を用いて、潜像形成で用いるVCO電圧に応じた光学系調整を行う。次のステップS2において、後述する調整手法を用いて、感光体試料上測定像面の最適化を行う。次のステップS3において、感光体試料の表面に電子ビームを照射することにより、感光体試料表面に帯電電荷を生成する。
【0049】
次のステップS4において、露光光学系を用いて、前述のように感光体試料表面に所望の2次元露光パターンが形成されるように露光し、感光体試料表面に潜像パターンを形成する。次のステップS5において、潜像パターンが形成された感光体試料に対して、電子ビームを照射し、感光体試料から放出される2次電子を検出器で検出し、前述の信号処理、画像処理等を行うことで静電潜像計測を行う。次のステップS6において、LEDを用いて感光体試料の除電を行い、次の測定に備える。
【0050】
ところで、上述の露光光学系22を用いてレーザ光により2次元走査を行うとき、シリンダレンズ、走査レンズなどを光束が通過する際に、像面湾曲が生じる。特に、レーザ光の副走査位置が変わることによりビーム特性が変化するため、副走査偏向に伴う像面湾曲の影響は大きい。
【0051】
図9に副走査偏向を行ったときの感光体試料像面での副走査位置と副走査方向ビームウエスト位置の関係の一例を示す。図9から分かるように、副走査偏向を行うことにより像面湾曲が生じ、その影響を受けて副走査方向ビームウエスト位置が変化し、副走査位置が光軸から離れるほどその影響が大きくなる。このとき、走査光学系の設計中心が光軸を通り、それらが光軸に対して垂直に配置されたとする。なお、副走査偏向を行う場合、主走査方向のビーム特性に関しては大きな変化は見られない。
【0052】
図10は、音響光学偏向素子103及び感光体試料23の像面を光軸に対して垂直に配置したときの、感光体試料23の像面における副走査深度カーブが偏向角によって異なることを示したものである。前述のように、音響光学偏向素子103による偏向角は音響光学偏向素子103に印加するVCO電圧Vvcoの値によって決まる。図10はVvco=4VとVvco=6Vの場合を示しており、Vvcoの値によって副走査深度カーブが異なることも示している。音響光学偏向素子103に印加するVCO電圧Vvcoの値により特性は異なるため、広い副走査範囲で感光体試料像面でのビーム径を一定に保つことができない。
【0053】
図10は、感光体試料像面は光軸に対して垂直に配置した場合のものであるが、本発明の構成では、図5に示すように感光体試料像面は走査光学系に対して45度の入射角を持っていることから、副走査偏向角によって光路長が異なり、ビーム径変動の影響をより受けやすい場合がある。このような要因から、潜像計測を行うにあたって測定領域でのビーム径変動を抑えるために、副走査偏向範囲は所定の範囲で限定する必要がある。
【0054】
像面湾曲の影響が最小となる透過ビームは、光軸上を伝播するビームであり、その場合は、露光光学系の構成により一意的に定まる。そのため、図11に示すように、VCO電圧と透過ビームの光軸からの偏向角が直線関係を持つ音響光学偏向素子103を用い、かつ、図12に示す模式図のように、音響光学偏光素子103を光軸に対して垂直に配置したとすると、光軸からの振れ角が0となるVvco=6V(図10参照)であるとき、透過ビームは像面湾曲の影響が最小となる。
【0055】
一方、音響光学偏向素子103の回折効率は、図13に示すように、そのVCO電圧に依存する。図13に示すような回折効率特性をもつ音響光学偏向素子103を、Vvco=6Vで使用するとき、音響光学偏光素子103の回折効率は最大回折効率よりも劣り、副走査偏光における光量損失が最適使用時に比べて増加する。
【0056】
感光体試料23の像面への到達光量を考えたとき、露光光学系内での光源光量の損失は少ないほうが望ましい。さらに、音響光学偏光素子103の回折素子としての不完全性が透過ビーム特性に影響を与えることや、回折プロセスでの損失エネルギーが音響光学偏光素子103自身や光源に対して影響を与えることなどの懸念もある。この点からも、音響光学偏光素子103は、その回折効率が最も高い条件で使用することが精度の高い潜像計測を行ううえで望ましい。このため、任意のVCO電圧で副走査偏光を行うための調整が必要となる。
【0057】
図13に示すような特性を持つ音響光学偏光素子103において、露光光学系内での光源光量の損失を抑えるために、最大回折効率であるVvco=4Vを測定領域中心とした副走査偏光を行うための調整方法を、図12、図14を用いて以下に説明する。
【0058】
本実施例の構成では、感光体試料23の像面は走査光学系に対して45度の入射角を持っていることから、測定像面を像面湾曲による結像位置変化特性に重ねるように設定することで、光軸に対して垂直に配置したときよりも広範囲でビーム径を保つことが可能となる。すなわち、像面湾曲に準じた測定像面の最適化を行うことで、広範囲で潜像計測に好適な露光条件を実現することができる。
【0059】
ここでは、具体例として、測定領域を1mmとし、後述する測定像面の最適化を用いて測定像面の設定をした場合を考える。光軸を伝播して各レンズの中心を透過するビームが焦点を結ぶ点を感光体試料像面位置の基準点とし、測定領域の副走査範囲は、上記基準点より+0.1mm〜−0.9mmと設定する。
また、露光光学系は、露光光学系に入射するビームが光軸となす角度θ(度)と、試料像面上での基準点からの副走査変化量ΔZ(mm)との間で光学的に比例関係が成立し、副走査偏向時の結像特性が以下の式で成り立つ場合を考える。
θ=K×ΔZ
K=0.63
設定した測定領域中心と基準点との差分距離ΔZは0.4mmであるから、上式より、測定領域中心に結像するための音響光学偏向素子103を透過するビームの光軸からの角度をθ2とすると、
θ2=0.63×0.4
=0.25
となる。
これより、音響光学偏向素子103を透過したビームが光軸に対して0.25度の角度を持って露光光学系のレンズ下部に入射したとき、そのビームが測定領域中心に結像することがわかる。
【0060】
次に、測定領域中心にしたい任意のVCO電圧での光軸からの振れ角θ1を求める。θ1は、音響光学偏向素子103の偏向角特性より求めることができ、ここでは、図11に示す特性を有する音響光学偏向素子103を用いるものとする。
【0061】
図11に示す特性によれば、前述したように、音響光学偏向素子103を光軸に対して垂直に設置したときの光軸からの偏向角θ1(度)と、音響光学偏向素子103に印加するVCO電圧Vvco(V)との間で直線関係が成立し、その特性は以下の式で表される。
θ1=−0.47×Vvco+2.80
最大回折効率であるVvco=4Vでの光軸からの振れ角θ1は、上式より、
θ1=−0.47×4+2.80
=0.92
となる。
【0062】
Vvco=4Vのとき音響光学偏向素子103を透過するビームが、設定した測定領域中心に結像するためには、上記角度θ2をもって露光光学系のレンズ下部に入射すればよい。そのためには、図14に示すように、光源100から音響光学偏向素子103までの光学系を、音響光学偏向素子103を光軸に対して垂直に設置したときの光軸に対し、以下に示される調整角度θ12に調整することで達成できる。
θ12=θ1+θ2
ここでは、
θ12=0.92+0.25
=1.17
となる。
【0063】
以上の調整を行うことで、露光光学系内での光源光量の損失を最小限に抑えた露光が実現でき、潜像計測上、望ましい露光条件が実現できる。また、このとき測定領域1mmを走査するための音響光学偏向素子103のVCO電圧幅は、3.33〜4.67Vとなる。
【0064】
ここでは、音響光学偏向素子103の最大回折効率が測定領域中心となるための調整方法について説明したが、計測範囲内での感光体試料23の像面への到達光量変動を考え、計測範囲内での回折効率変動が最小となるような調整を行ってもよい。これは、計測範囲で使用する回折効率を任意に設定できる前述の調整手法を用いることで実現することができ、静電潜像を精度よく計測する上で、望ましい露光条件を実現することができる。
【0065】
図13に示すような回折効率特性を持つ音響光学偏光素子103を用いる場合、Vvco=4V及びVvco=5.8Vを中心としたとき、測定領域1mmを実現するVCO電圧幅での回折効率変動が小さく、これらの値を測定領域中心に設定することで測定領域内の回折効率変動を小さくすることができる。
例えば、Vvco=5.8Vを測定領域中心とするとき、前述のとおり、
θ1=−0.47×5.8+2.80
=0.07
となり、これより、
θ12=0.07+0.25
=0.32
となる。
【0066】
露光光学系の角度調整を行うための調整機構を図15に示す。露光光学系の角度調整は、光源100から音響光学偏向素子103までの光学系を一つのユニットとしてこれをマイクロステージなどに搭載することによって行うようになっている。具体的には、上記光学系のユニットを傾斜調整ステージ121に載置し、この傾斜調整ステージ121をベース120に載置する。傾斜調整ステージ121は音響光学偏向素子103側の端に沿った軸を中心として所定の可動範囲内で垂直面内において回転可能であり、傾斜調整ステージ121の光源100側の端部近くに調整ねじ122が捻じ込まれている。調整ねじ122の先端(下端)はベース120に当接または回転可能に嵌められている。したがって、調整ねじ122を回転操作することにより、ベース120に対する傾斜調整ステージ121の傾斜角、すなわち上記光源100から音響光学偏向素子103までのユニットの傾斜角度を調整することができる。
【0067】
上記のような角度調整機構において、角度調整軸が音響光学偏向素子103の偏向点と異なっていて、音響光学偏向素子103からの透過ビームの出射点が、角度調整により光軸位置からずれる場合は、図15に示す角度調整機構に加えて、高さ調整ステージなどを設置し、上記ずれ量を解消して透過ビームが光軸を伝播するように高さ調整を行うようにするとよい。また、上記角度や高さの調整は、手動、もしくは電気的な駆動で行ってもよい。さらに、上記角度調整と高さ調整は互いに連動して行われるようにしてもよいし、個別に構成した角度調整機構と高さ調整機構で独立に行うようにしてもよい。
【0068】
これらの調整の手順を図16に示す。調整手順の各ステップについて以下に説明する。
まず、ステップS11において、測定領域中心として使用するVCO電圧を決定する。次のステップS12において、後述する測定像面最適化をもとに設定した測定領域中心にビームを結像させるために必要な、音響光学偏向素子103からの透過ビームの光軸に対する振れ角θ2を導出する。次のステップS13において、事前に測定した音響光学偏向素子103のVCO電圧と光軸からの振れ角の特性から、ステップS11で決定した測定領域中心VCO電圧での光軸からの振れ角θ1を導出する。次のステップS14において、上記振れ角θ1、θ2から調整角度θ12を導出する。次のステップS15において、光源から音響光学偏向素子の間に設けられている光学系の角度を上記調整角度にしたがい調整を行って終了する。
【0069】
また、光学系の角度調整は、音響光学偏向素子103以降の光学系で行っても同様の効果が得られる。このとき、同時に感光体試料に対しても角度調整を行う必要がある。この角度調整の光路模式図を図17に、調整機構を図18に示す。図17において音響光学偏向素子103から感光体試料23の表面に至る点線は、上記調整機構によって角度を調整した後の光軸中心線を示している。音響光学偏向素子103から感光体試料23の表面に至る実線は、角度調整後の測定領域中心に結像するビームの経路を示している。角度調整前の上記光学系の光軸中心線は、光源100から音響光学偏向素子103に至る光学系の光軸中心の延長線上にある。また、図17に示す感光体試料23は、角度調整後の姿勢を示している。角度調整する前の感光体試料23は、光源100から音響光学偏向素子103に至る光学系の光軸中心の延長線に対して45°傾けた姿勢で配置されている。
【0070】
上記光学系による角度調整は、音響光学偏向素子103以降の光学系を一つのユニットとしてこれをマイクロステージなどに搭載することによって行うことができる。具体的には、図18に示すように、上記光学系のユニットを傾斜調整ステージ131に載置し、この傾斜調整ステージ131をベース130に載置する。傾斜調整ステージ131は音響光学偏向素子103側の端に沿った軸を中心として所定の可動範囲内で垂直面内において回転可能であり、傾斜調整ステージ131の感光体試料23側の端部近くに調整ねじ132が捻じ込まれている。調整ねじ132の先端(下端)はベース130に当接または回転可能に嵌められている。したがって、調整ねじ132を回転操作することにより、ベース130に対する傾斜調整ステージ131の傾斜角、すなわち音響光学偏向素子103以降の光学系ユニットの傾斜角度を調整することができる。
【0071】
上記感光体試料23に対する角度調整は、感光体試料23をマイクロステージなどに搭載することによって行うことができる。具体的には、図18に示すように、上記感光体試料23を傾斜調整ステージ141に載置し、この傾斜調整ステージ141を、予め所定の傾斜角度をもって設置されているベース140に載置する。傾斜調整ステージ141は図18において下端に沿った軸を中心として所定の可動範囲内で垂直面内において回転可能であり、傾斜調整ステージ141の図18において上端部近くに調整ねじ142が捻じ込まれている。調整ねじ142の先端はベース140に回転可能に嵌められている。したがって、調整ねじ142を回転操作することにより、ベース140に対する傾斜調整ステージ141の傾斜角、すなわち感光体試料23の傾斜角度を調整することができる。
【0072】
図15、図18に示す各傾斜ステージの角度調整は、それぞれの調整ネジを手動で操作することによって行うようにしてもよいし、電気的な駆動によって行ってもよい。
【0073】
次に、潜像計測範囲内において広範囲で露光ビームのビーム径を保つための測定像面の設定方法について説明する。
上述したように、音響光学偏向素子を用いた2次元露光光学系では、副走査偏向にともない像面湾曲が生じ、その影響により感光体試料の像面で露光ビームのビーム径が一定に保たれる範囲は限定される。そこで、測定像面を像面湾曲による結像位置変化特性に重ねるように設定すると、光軸に対して垂直に配置したときよりも広範囲でビーム径を保つことが可能となる。すなわち、像面湾曲に準じた測定像面の最適化を行うことで、広範囲にわたり潜像計測に好適な露光条件を実現することができる。
【0074】
測定像面の最適化について、図19を用いて説明する。ここでは、図5に示すように試料像面が露光光学系に対して45度の入射角を持っている場合を考える。
像面湾曲により生じる結像位置ズレは二次関数的に生じる。xを像面湾曲による結像位置のズレ量、yを副走査位置とすると、その特性は以下の式で表される。
x=a
試料像面は平面であるとすると、

で表される。a、a、bは定数を示す。
【0075】
これら二つの曲線と直線との重なりが多いほど、像面湾曲により生じる結像位置と試料像面がより多く重なることを意味する。そのため、測定像面の最適化は、像面上所定範囲でのx座標の差分が小さくなるような像面設定をすることで実現できる。
像面上の測定範囲の下限、上限をそれぞれ(x,y)、(x,y)、直線と曲線の交点を(x,y)、(x,y)、Sを像面上の所定範囲でのx座標の差分総和、Lを測定範囲幅、また、
f(y)=a
g(y)=(y−b)/a
とすると、像面上所定範囲でのx座標の差分平均、すなわち、結像位置ずれ量の測定範囲平均D’は、以下の式で表される。
D’=S/L
また、Sは、y<y、y<y、y<yとすると、以下の数1式で表される。
【数1】

【0076】
D’およびSが最も小さくなるときの直線を像面とすることで、測定像面の最適条件を導出することができる。なお、曲線と直線の交点が1つの場合においても、同様に結像位置ずれ量の総和を求めることができる。また、ここでは試料像面は平面であるとしたが、曲面であってもよい。
【0077】
図5に示すような真空チャンバ外に露光光学系が配置され、試料像面と露光ビームの入射角が45度であり、潜像計測範囲Lを1mmとしたときの測定像面の最適化を考える。図9に示されている像面湾曲特性を有するものとすると、その特性は以下の式で表される。
x=−2.4y
これより、
f(y)=−2.4y、g(y)=y−b
と置き換えられる。また、yとyの関係は、以下の数2式で示される。
【数2】

上記の数式よりD’およびSを求めるためには、変数bおよびyに任意の値を設定する。
【0078】
ここで、変数bとは、グラフ上で試料像面を示す直線のy切片であり、変数bを変更することは、試料高さを変更することを意味する。試料高さを変えることで像面湾曲特性を示す曲線との交点を任意に変えることができ、上述の結像位置ずれ量平均を求める数1式中のyおよびyを任意に設定できる。
【0079】
また、変数yとは、試料像面上の測定範囲の上限値を示す。yとyは、上述の関係があるため、yを設定することでyは一意的に定まる。これより、D’およびSを求めることができる。これらの条件を表したものを図20に示す。
【0080】
bおよびyをパラメータとしたときの、結像位置ずれ量平均D’の特性を図21に示す。ここで、bおよびyの座標の単位はmmである。D’が0.6mmより小さくなる条件を測定像面条件とすると、b=0またはb=−0.05であり、かつ、y=0.1、y=0.2の条件である。このように求められた条件をもとに、実際に試料像面を設定することで測定像面の最適化を実現できる。
【0081】
bは、試料高さを示すため、試料をマイクロステージなどで構成された高さ方向可動ステージに設置し、その可動範囲内で手動、もしくは電気的な駆動によって試料高さを調整すればよい。b=0とは、像面湾曲の影響が生じない光軸を伝播したビームが結像する位置であり、この位置を基準として試料高さを調整できる。
【0082】
は、高さ調整を行った試料像面上での測定上限座標、すなわち書込開始位置を示す。書込範囲は、音響光学偏向素子のVCO電圧で任意に制御できるため、音響光学偏向素子の偏向角特性と露光光学系の副走査偏向時結像特性を考慮し、VCO電圧の範囲を所望の範囲に設定すればよい。
【0083】
例えば、露光光学系の副走査偏向時結像特性が、前述の以下の式で与えられるような露光光学系を用いたとき、y2=0.1に結像するためには、θ=0.063であればよい。
θ=K×ΔZ
K=0.63
また、VCOの電圧変化量(V)をΔVvcoとすると、音響光学偏向素子のVCO電圧と振れ角の関係が以下の関係式であるとする。
Δθ1=0.47×ΔVvco
この場合、ΔVvco=0.13である。
【0084】
そのため、測定上限VCO電圧を光軸伝播VCO電圧より0.13V小さく設定し、それを基準として1mmの測定範囲を設定すればよい。例えば、光軸伝播VCO電圧が6Vである場合は、ΔVvco=5.87〜7.22Vとすることで1mmの測定範囲を実現することができる。
【0085】
従来の測定像面設定では、図22(a)に示すように、光軸を伝播する音響光学偏向素子を透過する光束、すなわち、Vvco=6Vを中心として対称的に1mmの測定範囲を設定していたが、上述の最適化を行った場合VCO電圧範囲の中心は図22(b)に示すように6.55Vとなった。これらの差分の0.55Vが、本発明の使用VCO電圧範囲における像面最適化調整の電圧シフトである。
【0086】
測定像面の最適化の手順を図23に示す。測定像面の最適化を行うことで、測定範囲内でのビーム径変動を小さくすることができる。
まず、ステップS21において、露光光学系による副走査偏向時に生じる像面湾曲特性の数式化を行う。数式化は、シミュレーションなどを用いて行ってもよいし、実測値に対する近似計算などで行ってもよい。次のステップS22において、試料高さを任意の値に設定する。次のステップS23において、測定機構を用いまた設定した試料高さの値を用いて試料像面の数式化を行う。このとき試料像面は平面であっても曲面であってもよい。次のステップS24において、像面湾曲特性、試料像面を示すそれぞれの数式を用いて、交点を求める。
【0087】
次に、ステップS25において、試料像面上における測定範囲幅及び測定範囲上限座標、下限座標を設定する。次のステップS26において、設定した条件における結像位置ずれ量平均D’の算出を行う。次のステップS27において、算出されたD’の値と、予め設定した測定像面条件値D’の比較を行い、測定像面条件値を下回る場合はステップS28に進む。それ以外の場合は、パラメータ値を変更するためにステップS22に戻る。ステップS28では、導出された最適化条件に基づき測定像面設定が行われ、測定像面の最適化が終了する。
【0088】
なお、ここでは試料高さと計測範囲をパラメータとして測定像面の最適化を行ったが、試料に対する露光ビームの入射角を変更することで像面湾曲特性に応じた測定像面の最適化を行ってもよい。入射角の変更は、図5に示す露光光学系からの光を試料に向けて反射するミラーの角度を任意に調整することで実現できる。また、露光光学系もしくは、試料ステージを傾斜ステージなどに搭載し、その可動範囲内で手動、もしくは電気的な駆動で上記露光光学系もしくは試料ステージの傾斜度合いを制御してもよい。
【0089】
上述した手順を実行することで、総ライン数、書込密度(dpi)を任意に指定したときの最適測定像面条件とライン番号に対応したVCOの値を導出することが可能となる。これらの導出を自動化するための制御系の構成例を図24に示す。図24において、
最適像面条件算出部151では、指定した測定範囲に基づく最適像面条件を上述したフローを用いて算出する。試料高さ、試料角度などの試料設置条件に関する情報は試料ステージ制御部152に送られる。試料ステージ制御部152では、その情報に応じて実際に前記試料載置部GNDに相当する試料ステージ153を駆動する。
【0090】
VCO電圧調整部155では、最適像面条件算出部151で算出された書込開始VCO電圧と書込総ライン数、書込密度に関する信号を入力として受け、音響光学偏向素子103の偏向角特性と露光光学系の副走査偏向時結像特性から像面最適化調整を受けたライン毎の調整VCO電圧値を求める。求められたライン毎の調整VCO電圧値は、VCO電圧メモリ156に格納される。
【0091】
VCO電圧メモリ156は、同期信号を受けて書込ライン番号をカウントするライン番号制御部157からのライン番号信号を受け、そのライン番号に対応するVCO電圧値を音響光学偏向素子制御部158に与える。音響光学偏向素子制御部158では、与えられたVCO電圧値に対応した駆動周波数を発生させ、それを音響光学偏向素子103に与えることで副走査偏向を行う。
以上の手順を総ライン数に達するまで繰り返すことで、最適化された測定像面に対して、指定した測定範囲幅、総ライン数、書込密度での2次元パターンの露光を実現することができる。
【符号の説明】
【0092】
10 荷電粒子照射装置
22 露光光学系
23 感光体試料
24 検出器
103 音響光学偏向素子
105 光偏向器
【先行技術文献】
【特許文献】
【0093】
【特許文献1】特開平03−049143号公報
【特許文献2】特開2003−295696号公報
【特許文献3】特開2004−251800号公報
【特許文献4】特開2008−233376号公報
【特許文献5】特開平01−273225号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体の表面に形成される静電潜像を計測する静電潜像計測方法であって、
前記感光体の表面に荷電粒子ビームを照射し感光体を帯電させる帯電工程と、
帯電された前記感光体の表面に露光光学系によって光源からの光束を照射して前記感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
帯電された前記感光体から発生する2次電子を検出する検出工程と、を備え、
前記静電潜像形成工程は、前記光源からの光束を音響光学偏向素子により一方向に回折する回折工程と、前記光束を前記回折方向に対し直交する方向に偏向する偏向工程を含むことによって、帯電した前記感光体に光束を2次元方向に走査しながら照射し、
前記音響光学偏向素子の偏向特性に応じて像面湾曲の影響が小さくなるように前記露光光学系の傾斜角度を調整する調整工程を含むことを特徴とする静電潜像計測方法。
【請求項2】
請求項1記載の静電潜像計測方法において、前記調整工程は、前記光源から前記音響光学偏向素子までの光学系の傾斜角度の調整を行うことを特徴とする静電潜像計測方法。
【請求項3】
請求項2記載の静電潜像計測方法において、前記光源から前記音響光学偏向素子までの光学系が1つのユニットとなっていて、前記調整工程において、前記ユニットの傾斜角度の調整が行われることを特徴とする静電潜像計測方法。
【請求項4】
請求項1記載の静電潜像計測方法において、前記音響光学偏向素子以降の光学系及び前記感光体試料の傾斜角度の調整を行うことを特徴とする静電潜像計測方法。
【請求項5】
請求項4記載の静電潜像計測方法において、前記音響光学偏向素子以降の光学系が1つのユニットとなっていて、前記調整工程において、前記1つのユニットの傾斜角度の調整が行われることを特徴とする静電潜像計測方法。
【請求項6】
請求項2乃至5の何れかに記載の静電潜像計測方法において、前記調整工程は、最大回折効率を満たす音響光学偏向素子の駆動周波数設定時の透過ビームが静電潜像測定領域中心に結像するように前記露光光学系の傾斜角度の調整を行うことを特徴とする静電潜像計測方法。
【請求項7】
請求項2乃至5の何れかに記載の静電潜像計測方法において、前記調整工程は、静電潜像測定領域内での音響光学偏向素子の回折効率変動が最小となるように前記露光光学系の傾斜角度の調整を行うことを特徴とする静電潜像計測方法。
【請求項8】
感光体の表面に形成される静電潜像を計測する静電潜像計測装置であって、
前記感光体の表面に荷電粒子ビームを照射し感光体を帯電させる荷電粒子照射装置と、
帯電された前記感光体の表面に光源からの光束を照射して前記感光体の表面に静電潜像を形成する露光光学系と、
帯電された前記感光体から発生する2次電子を検出する検出器と、を備え、
前記露光光学系は、前記光源からの光束を一方向に回折する音響光学偏向素子と、前記光束を前記回折方向に対し直交する方向に偏向する光偏向器を含むことによって、帯電した前記感光体に光束を2次元方向に走査しながら照射するように構成され、
前記音響光学偏向素子の偏向特性に応じて像面湾曲の影響が小さくなるように前記露光光学系の傾斜角度を調整する調整手段を含むことを特徴とする静電潜像計測装置。
【請求項9】
請求項8記載の静電潜像計測装置において、前記調整手段は、前記光源から前記音響光学偏向素子までの光学系の傾斜角度を調整する調整手段であることを特徴とする静電潜像計測装置。
【請求項10】
請求項9記載の静電潜像計測装置において、前記光源から前記音響光学偏向素子までの光学系が1つのユニットとなっていて、前記調整手段は、前記1つのユニットの傾斜角度を調整する調整手段であることを特徴とする静電潜像計測装置。
【請求項11】
請求項8記載の静電潜像計測装置において、前記調整手段は、前記音響光学偏向素子以降の光学系及び前記感光体の傾斜角度を調整する調整手段であることを特徴とする静電潜像計測装置。
【請求項12】
請求項11記載の静電潜像計測装置において、前記音響光学偏向素子以降の光学系が1つのユニットとなっていて、前記調整手段は、前記1つのユニットの傾斜角度を調整する調整手段であることを特徴とする静電潜像計測装置。
【請求項13】
請求項9乃至12の何れかに記載の静電潜像計測装置において、前記調整手段は、最大回折効率を満たす音響光学偏向素子の駆動周波数設定時の透過ビームが静電潜像測定領域中心に結像するように前記露光光学系の傾斜角度を調整することを特徴とする静電潜像計測装置。
【請求項14】
請求項9乃至12の何れかに記載の静電潜像計測装置において、前記調整手段は、静電潜像測定領域内での音響光学偏向素子の回折効率変動が最小となるように前記露光光学系の傾斜角度を調整することを特徴とする静電潜像計測装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公開番号】特開2012−208220(P2012−208220A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72352(P2011−72352)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】