説明

静電荷像現像用キャリアおよびその製造方法、二成分現像剤並びに画像形成方法

【課題】高い流動性を有することにより、画像欠陥の発生が抑制される静電荷像現像用キャリアおよびその製造方法、二成分現像剤並びに画像形成方法の提供。
【解決手段】静電荷像現像用キャリアは、多孔質フェライト粒子よりなるコア粒子の表面に樹脂被覆が施されてなるキャリア粒子よりなるものであって、多孔質フェライト粒子の細孔径が0.1〜0.7μmであることを特徴とする。この静電荷像現像用キャリアの製造方法は、多孔質フェライト粒子よりなるコア粒子と、樹脂被覆に供される樹脂の微粒子とを、当該樹脂のガラス転移点より低い温度において混合・撹拌し、コア粒子の表面に当該樹脂の微粒子を付着させてキャリア中間体を形成する工程と、乾式法により、前記キャリア中間体を前記樹脂のガラス転移点−10℃〜ガラス転移点+20℃の温度において撹拌することにより、コア粒子の表面に樹脂被覆が施されてなるキャリア粒子を形成する工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法による静電潜像の現像に用いられる静電荷像現像用キャリアおよびその製造方法、当該静電荷像現像用キャリアによる二成分現像剤並びに画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置の高速化、特にカラー画像形成装置の高速化に伴い、現像器内の撹拌強度が高くなり、現像剤が受ける撹拌によるストレスが大きくなることにより、トナーが劣化するという問題がある。
このような問題を解決するため、キャリアの低比重化が図られ、磁性体分散型のキャリアなどが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、このようなキャリアによっては、当該キャリアが衝撃により破砕、変形を生じやすいという問題がある。
【0003】
また、空隙を有する多孔質のコア粒子と樹脂とを含有するキャリアを用いて、当該キャリアの低比重化を図ることなどが提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、空隙を有するコア粒子は、その表面が凹凸を有しており、当該コア粒子の表面に樹脂が被覆される場合であっても、空隙に樹脂が浸透されるため、キャリア粒子の表面の平滑性は低く、優れた流動性が得られず、これに起因して、トナー飛散やキャリア付着、濃度ムラなどの画像欠陥が発生するという問題がある。また、キャリア粒子表面に高い平滑性を得るために、コア粒子表面に施す樹脂の被覆量を増やす方法が考えられるが、このような方法によっても、キャリア粒子間で造粒し、粗大なキャリア粒子が形成され、結局、優れた流動性が得られないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−248684号公報
【特許文献2】特開2008−310104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、その目的は、高い流動性を有することにより、画像欠陥の発生が抑制される静電荷像現像用キャリアおよびその製造方法、二成分現像剤並びに画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の静電荷像現像用キャリアは、多孔質フェライト粒子よりなるコア粒子の表面に樹脂被覆が施されてなるキャリア粒子よりなる静電荷像現像用キャリアであって、
前記多孔質フェライト粒子の細孔径が0.1〜0.7μmであることを特徴とする。
【0007】
本発明の静電荷像現像用キャリアにおいては、前記コア粒子が、形状係数SF−1が100〜125のものであり、
前記キャリア粒子が、形状係数SF−1が100〜120のものであることが好ましい。
【0008】
本発明の静電荷像現像用キャリアにおいては、前記コア粒子が、形状係数SF−2が105〜135のものであり、
前記キャリア粒子が、形状係数SF−2が105〜125のものであることが好ましい。
【0009】
本発明の静電荷像現像用キャリアの製造方法は、上記の静電荷像現像用キャリアを製造する方法であって、
下記工程1および工程2を有することを特徴とする。
工程1 多孔質フェライト粒子よりなるコア粒子と、樹脂被覆に供される樹脂の微粒子とを、当該樹脂のガラス転移点より低い温度において混合・撹拌し、コア粒子の表面に当該樹脂の微粒子を付着させてキャリア中間体を形成する工程。
工程2 乾式法により、前記キャリア中間体を前記樹脂のガラス転移点−10℃〜ガラス転移点+20℃の温度において撹拌することにより、コア粒子の表面に樹脂被覆が施されてなるキャリア粒子を形成する工程。
【0010】
本発明の二成分現像剤は、上記の静電荷像現像用キャリアと、静電荷像現像用トナーとからなることを特徴とする。
【0011】
本発明の画像形成方法は、上記の二成分現像剤を用いて静電潜像を現像する工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の静電荷像現像用キャリアによれば、キャリア粒子を構成するコア粒子としての多孔質フェライト粒子が特定範囲の小さな細孔径を有するものであるため、多孔質フェライト粒子の表面に被覆されてなる樹脂が当該多孔質フェライト粒子の細孔へ浸透することが抑制され、キャリア粒子の表面が高い平滑性を有することとなり、その結果、高い流動性を有することにより、画像欠陥の発生が抑制される。
【0013】
本発明の静電荷像現像用キャリアの製造方法によれば、コア粒子表面に樹脂被覆を施す工程2が乾式法により行われることにより、多孔質フェライト粒子の表面に被覆されてなる樹脂が当該多孔質フェライト粒子の細孔へ浸透することが抑制され、本発明に係るキャリア粒子が確実に得られる。
【0014】
本発明の二成分現像剤によれば、本発明の静電荷像現像用キャリアを用いるため、当該二成分現像剤が高い流動性を有するものとなることにより、画像欠陥の発生が抑制される。
【0015】
本発明の画像形成方法によれば、本発明の二成分現像剤を用いて静電潜像を現像するため、当該二成分現像剤が高い流動性を有するものであることにより、画像欠陥の発生が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の静電荷像現像用キャリアの製造方法に用いられる撹拌装置の一例を示す概略図である
【図2】図1の撹拌装置における水平方向回転体の平面図である。
【図3】図1の撹拌装置における水平方向回転体の正面図である。
【図4】本発明の画像形成方法に用いられる画像形成装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0018】
〔静電荷像現像用キャリア〕
本発明の静電荷像現像用キャリア(以下、単に「キャリア」ともいう。)は、多孔質フェライト粒子よりなるコア粒子の表面に樹脂被覆が施されてなるキャリア粒子よりなるものである。
なお、本発明のキャリアにおいては、コア粒子の表面が樹脂により完全に被覆されている形態のみならず、コア粒子の表面の一部が樹脂により被覆されている形態のものであってもよい。
【0019】
本発明のキャリアにおいては、キャリア粒子を構成するコア粒子としての多孔質フェライト粒子の細孔径が、0.1〜0.7μmとされ、より好ましくは0.2〜0.5μmとされる。
多孔質フェライト粒子の細孔径が0.1μm未満である場合においては、十分な低比重化を図ることができない。一方、多孔質フェライト粒子の細孔径が0.7μmを超える場合においては、多孔質フェライト粒子の表面に被覆されてなる樹脂が当該多孔質フェライト粒子の細孔へ浸透するため、優れた流動性が得られない。
【0020】
本発明において、多孔質フェライト粒子の細孔径とは、水銀圧入法により測定される細孔径の平均値をいう。具体的には、多孔質フェライト粒子の細孔径は、下記のように測定されるものである。
すなわち、試料(多孔質フェライト粒子2cm3 )について水銀ポロシメーター「Pascal 140」、「Pascal 240」(以上、ThermoFisher Scientific社製)を用い、複数の穴を開けた市販のゼラチン製カプセル内にサンプルを入れて、当該カプセルをディラトメーター(CD3P(粉体用))内に入れ、「Pascal 140」を用いて、脱気後、水銀を充填し、低圧領域(0〜400kPa)における水銀圧入量を「1st Run」として測定する。次に、再び脱気をし、低圧領域(0〜400kPa)における水銀圧入量を「2nd Run」として測定する。「2nd Run」の測定後、ディラトメーター、水銀、カプセルおよびサンプルを合算した質量を測定する。
次に、「Pascal 240」を用いて、高圧領域(0.1MPa〜200MPa)における水銀圧入量を測定する。この高圧領域の測定で得られた水銀圧入量により、多孔質フェライト粒子の細孔容積、細孔径および細孔径分布を求める。細孔径については、水銀の表面張力を4.80mN/cm、接触角を141.3°として算出する。
【0021】
本発明に係るコア粒子の形状係数SF−1としては、100〜125であることが好ましく、より好ましくは102〜115であり、コア粒子の形状係数SF−2としては、105〜135であり、より好ましくは110〜130である。
コア粒子の形状係数SF−1および形状係数SF−2が、上記範囲内であることにより、コア粒子の表面の露出面積が低減されることから、画像欠陥の発生が十分に抑制される。
コア粒子の形状係数SF−1が125を超える場合においては、コア粒子の真球度が低いことから、均一な樹脂被覆が施されず、コア粒子の表面の露出面積が大きくなることから、キャリアの帯電性にムラが生じ、画像欠陥の発生が十分に抑制されないおそれがある。
また、コア粒子の形状係数SF−2が135を超える場合においては、コア粒子の表面の平滑性が低いことから、均一な樹脂被覆が施されず、キャリアの帯電性にムラが生じ、画像欠陥の発生が十分に抑制されないおそれがある。
【0022】
本発明に係るキャリア粒子の形状係数SF−1としては、100〜120であることが好ましく、より好ましくは102〜115であり、キャリア粒子の形状係数SF−2としては、105〜125であり、より好ましくは110〜120である。
キャリア粒子の形状係数SF−1および形状係数SF−2が上記範囲内であることにより、キャリアがより高い流動性を有するものとなることから、画像欠陥の発生が十分に抑制される。
キャリア粒子の形状係数SF−1が120を超える場合においては、キャリア粒子同士間、および、キャリア粒子とトナー粒子との間に引っかかりが生じ、高い流動性が得られないおそれがある。
また、キャリア粒子の形状係数SF−2が125を超える場合においては、キャリア粒子同士間、および、キャリア粒子とトナー粒子との間に引っかかりが生じ、高い流動性が得られないおそれがある。
【0023】
本発明において、形状係数SF−1は、真球度を示す指数であり、真球の場合においては、形状係数SF−1は100となる。また、形状係数SF−2は、表面の凸凹の程度を示す指数であり、凹凸のない平滑面である場合においては、形状係数SF−2は100となる。
【0024】
本発明において、コア粒子およびキャリア粒子の形状係数SF−1および形状係数SF−2は、下記式(SF−1)および式(SF−2)により算出される形状係数の平均値である。
具体的には、走査型電子顕微鏡を用いて、倍率150倍の条件において試料(コア粒子またはキャリア粒子)100個を撮像し、この撮像画像を画像処理解析装置「Luzex AP」(ニレコ社製)を用いて解析して、各々の粒子について、最大径、投影面積および周囲長を求め、下記式(SF−1)および式(SF−2)により形状係数を算出する。粒子100個における各々の形状係数の平均値を本発明における「形状係数SF−1」および「形状係数SF−2」とする。
【0025】
式(SF−1):SF−1={(MXLNG)2 /(AREA)}×(π/4)×100
式(SF−2):SF−2={(PERI)2 /(AREA)}×(1/4π)×100
上記式(SF−1)および式(SF−2)において、「MXLNG」は粒子の最大径、「AREA」は粒子の投影面積、「PERI」は粒子の周囲長を示す。
ここに、最大径とは、粒子の平面上への投影像を2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔が最大となる幅をいう。また、投影面積とは、粒子の平面上への投影像の面積をいう。
【0026】
なお、キャリア粒子の形状係数を求める場合において、二成分現像剤から試料を得ようとするときには、前準備として、ビーカーに二成分現像剤、少量の中性洗剤および純水を投入してよくなじませ、ビーカー底に磁石を当てながら上澄み液を捨て、さらに純水を添加し上澄み液を捨てることにより、トナーおよび中性洗剤を除去してキャリア粒子のみを分離し、これを40℃にて乾燥させてキャリア粒子単体を得る作業を行う。
また、コア粒子の形状係数を求める場合において、キャリア粒子から試料を得ようとするときには、前準備として、キャリア粒子2gを容積20mlのガラス瓶に投入し、このガラス瓶にメチルエチルケトン15mlを添加し、ウェーブロータで10分間撹拌し、溶媒にて被覆用樹脂を溶解させる。そして、磁石を用いて溶媒を除去し、さらにメチルエチルケトン10mlにて3回洗浄し、その後、乾燥させてコア粒子単体を得る作業を行う。
【0027】
本発明に係るコア粒子としての多孔質フェライト粒子としては、下記一般式(1)で表わされるものが好ましい。
一般式(1):(MO)X (Fe2 3 Y
〔一般式(1)中、MはFe、Mn、Mg、Sr、Ca、Ti、Cu、Zn、Ni、Li、Al、Si、ZrまたはBiを示す。Yは30〜95mol%である〕
【0028】
上記一般式(1)におけるMは、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。Mは、磁気特性を安定させる観点から、Mn、Mg、Sr、Ca、Ti、Li、Al、Si、Zr、Biから選ばれる1種または2種以上が好ましく、Mn、Mg、Sr、Ca、Li、Zr、Biから選ばれる1種または2種以上が特に好ましい。
【0029】
コア粒子の粒径としては、体積基準におけるメディアン径(D50)で15〜80μmであることが好ましく、より好ましくは20〜60μmである。
体積基準におけるメディアン径(D50)が上記範囲であることにより、キャリア付着の発生が抑制される。
コア粒子の粒径は、湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック社製)を用いて測定されるものである。
【0030】
キャリア粒子の粒径としては、体積基準におけるメディアン径(D50)で15〜80μmであることが好ましく、より好ましくは20〜60μmである。
キャリア粒子の粒径は、湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック社製)を用いて測定されるものである。
【0031】
本発明に係るコア粒子の表面に被覆されてなる樹脂(以下、「被覆用樹脂」ともいう。)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロルスルホン化ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、ポリメチルメタクリレートなどのポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビリケトンなどのポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体やスチレン−アクリル酸共重合体などの共重合体;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂またはその変成樹脂(例えばアルキッド樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタンなどによる変成樹脂);ポリテトラクロルエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロルトリフルロルエチレンなどのフッ素樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;尿素−ホルムアルデヒド樹脂などのアミノ樹脂;エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの樹脂のうち、トナーのスペント化防止の観点から、ポリアクリレート樹脂あるいはスチレン−アクリル酸共重合体樹脂が特に好ましい。
【0032】
被覆用樹脂としては、ガラス転移点が60〜130℃のものであることが好ましく、より好ましくは100〜120℃のものである。
【0033】
被覆用樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量計「DSC−7」(パーキンエルマー社製)を用いて測定されるものである。
具体的には、測定用試料(被覆用樹脂)4.5mgを小数点以下2桁まで精秤し、アルミニウム製パンに封入して、サンプルホルダーにセットする。リファレンスは、空のアルミニウム製パンを使用し、測定温度0〜200℃、昇温速度10℃/min、降温速度10℃/minにて、Heat−Cool−Heatの温度制御を行い、その2nd.Heatにおけるデータを基に解析を行う。ガラス転移点は、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1の吸熱ピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線との交点の値とする。
【0034】
被覆用樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による質量平均分子量(Mw)が10万〜90万であることが好ましく、より好ましくは20万〜70万である。
被覆用樹脂の質量平均分子量(Mw)が過小である場合においては、分子鎖の絡み合いが不十分となるために、コア粒子の表面に被覆されてなる被覆用樹脂が早期に減耗してしまうおそれがある。一方、被覆用樹脂の質量平均分子量(Mw)が過大である場合においては、被覆用樹脂が緻密性の高いものとならないため、得られるキャリアが十分な耐汚染性および耐摩耗性を長期間にわたって得られないおそれがある。
【0035】
GPCによる分子量測定は、以下のように行われるものである。
すなわち、装置「HLC−8220」(東ソー社製)およびカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM−M3連」(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2mL/minで流し、測定試料を室温において超音波分散機を用いて5分間処理を行う溶解条件で濃度50mg/mLになるようにテトラヒドロフランに溶解させ、次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得、この試料溶液10μLを上記のキャリア溶媒と共に装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出し、測定試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出する。検量線測定用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical社製の分子量が6×102 、2.1×103 、4×103 、1.75×104 、5.1×104 、1.1×105 、3.9×105 、8.6×105 、2×106 、4.48×106 のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を測定し、検量線を作成した。また、検出器には屈折率検出器を用いた。
【0036】
本発明に係るキャリア粒子における被覆用樹脂の被覆量としては、コア粒子100質量部に対して0.5〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜8質量部である。
【0037】
〔コア粒子の製造方法〕
本発明で用いられるコア粒子を製造方法としては、例えば下記工程A〜工程Dを有する方法が挙げられる。
工程A:原材料(以下、「フェライト原料」ともいう。)を混合粉砕して粉砕物を形成する工程。
工程B:粉砕物を仮焼成して仮焼成物を形成する工程。
工程C:仮焼成物を本焼成して本焼成物を形成する工程。
工程D:本焼成物を分級してコア粒子を形成する工程。
【0038】
(工程A:粉砕工程)
この工程Aにおける粉砕処理については、例えばボールミルまたは振動ミルなどの粉砕機を用いて行うことができる。また、粉砕処理時間については、0.5時間以上が好ましく、より好ましくは1〜20時間である。上記のボールミルや振動ミルなどの粉砕機は特に限定されないが、フェライト原料を効果的かつ均一に分散させるためには、使用するメディアに1mm以下の粒径を有するビーズを使用することが好ましい。また、使用するビーズの径、組成、粉砕時間を調整することにより、粉砕度合いを制御することができる。
その後、この工程Aにおいては、粉砕物を例えば加圧成型機など用いてペレット状とする処理や、加圧成型機などを用いず水を加えてスラリー化し、スプレードライヤーを用いて粒状とする処理が行われる。
【0039】
(工程B:仮焼成工程)
この工程Bにおける仮焼成処理については、例えばロータリー式電気炉、バッチ式電気炉、トンネル式電気炉などを用いて行うことができる。また、仮焼成温度は例えば700〜1200℃であり、仮焼成時間は例えば0.5〜5時間である。
【0040】
(工程C:本焼成工程)
この工程Cにおいては、仮焼成物をボールミルまたは振動ミルなどの粉砕機を用いてさらに粉砕した後、水および必要に応じ分散剤、バインダーなどを添加して粘度調整をして造粒し、酸素濃度を制御して行われる。
この工程Cにおける粉砕処理は、水を加えて湿式ボールミルや湿式振動ミルなどの粉砕機を用いて行ってもよい。
【0041】
この工程Cにおける本焼成処理については、例えばロータリー式電気炉、バッチ式電気炉、トンネル式電気炉などを用いて行うことができる。また、本焼成温度は例えば800〜1500℃であり、本焼成時間は例えば1〜24時間である。
【0042】
(工程D:分級工程)
この工程Dにおける分級処理については、公知の風力分級法、メッシュ濾過法または沈降法など採用することができる。
【0043】
また、必要に応じて、工程Dの前に、電気抵抗を調整するために、低温加熱することにより酸化皮膜処理を行ってもよい。この酸化被膜処理としては、例えばロータリー式電気炉、バッチ式電気炉などを用いて、例えば300〜700℃で行うことができる。この酸化被膜処理により形成された酸化被膜の厚さとしては、0.1nm〜5μmであることが好ましい。また、必要に応じて、酸化被膜処理の前に還元処理を行ってもよい。
【0044】
なお、コア粒子としての多孔質フェライト粒子における細孔径は、工程Aにおけるフェライト原料の粉砕の程度、並びに、工程Cにおけるバインダー添加量、本焼成温度および本焼成時間を調整することにより制御することができ、コア粒子の形状係数SF−1および形状係数SF−2は、工程Aにおけるフェライト原料の粉砕の程度、並びに、工程Cにおいて用いられる炉の種類、本焼成温度および本焼成時間を調整することにより制御することができる。
【0045】
本発明のキャリアによれば、キャリア粒子を構成する多孔質フェライト粒子が特定範囲の小さな細孔径を有するものであるため、被覆用樹脂が当該多孔質フェライト粒子の細孔へ浸透することが抑制され、キャリア粒子の表面が高い平滑性を有することとなり、その結果、高い流動性を有することにより、画像欠陥の発生が抑制される。
【0046】
〔キャリアの製造方法〕
本発明のキャリアの製造方法は、少なくとも下記工程1および工程2を有する方法である。このような製造方法により、被覆用樹脂が多孔質フェライト粒子の細孔へ浸透することが抑制され、また、被覆用樹脂のロスが低減される。
【0047】
工程1:多孔質フェライト粒子よりなるコア粒子と被覆用樹脂の微粒子(以下、「被覆用樹脂微粒子」ともいう。)とからなる原材料(以下、「キャリア原料」ともいう。)を、当該被覆用樹脂のガラス転移点より低い温度において混合・撹拌し、コア粒子の表面に被覆用樹脂微粒子を付着させてキャリア中間体を形成する工程。
工程2:乾式法により、キャリア中間体を被覆用樹脂のガラス転移点付近の温度において撹拌することにより、コア粒子の表面に樹脂被覆が施されてなるキャリア粒子を形成する工程。
【0048】
(工程1:キャリア中間体形成工程)
この工程1においては、混合・撹拌温度が被覆用樹脂のガラス転移点(Tg)より低い温度、具体的には、(被覆用樹脂のTg−30)〜(被覆用樹脂のTg−100)℃とされる。
混合・撹拌温度が上記範囲であることにより、被覆用樹脂微粒子が固体の状態で混合・撹拌処理が行われるため、コア粒子の表面に均一に被覆用樹脂微粒子を付着させることができる。
【0049】
この工程1における被覆用樹脂微粒子の粒径が、体積基準におけるメディアン径(D50)で20〜500nmであることが好ましく、より好ましくは50〜200nmである。
被覆用樹脂微粒子の粒径は、「マイクロトラックUPA150」(日機装株式会社製)を用いて測定されるものである。
【0050】
また、この工程1において、被覆用樹脂微粒子の添加量としては、コア粒子100質量部に対して0.5〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜8質量部である。
【0051】
(工程2:キャリア粒子形成工程)
この工程2においては、乾式法によって機械的衝撃力を付与して撹拌することにより、コア粒子の表面に樹脂被覆が施されてなるキャリア粒子を形成する処理が行われることが好ましい。
【0052】
この工程2においては、撹拌温度が被覆用樹脂のガラス転移点(Tg)付近の温度、具体的には、(被覆用樹脂のTg−10)〜(被覆用樹脂のTg+20)℃とされる。
撹拌温度が上記範囲であることにより、コア粒子の表面に付着された被覆用樹脂微粒子が溶融状態のものとなって撹拌処理が行われるため、コア粒子の表面に均一に被覆用樹脂が施されてなるキャリア粒子を形成することができる。
【0053】
なお、キャリア粒子の形状係数SF−1および形状係数SF−2は、工程1における被覆用樹脂微粒子の添加量、並びに、工程1または工程2における撹拌温度および撹拌時間を調整することにより制御することができる。
【0054】
本発明のキャリアの製造方法として、図1に示す撹拌装置を用いた方法について具体的に説明する。
図1に示すように、この撹拌装置は、混合撹拌槽30を備え、その上蓋31に、投入弁33が設置された原料投入口32と、フィルター34と、点検口35とが設けられており、混合撹拌槽30内の底部には、モーター42により駆動される水平方向回転体38が設けられている。
【0055】
この水平方向回転体38は、図2に示されるように、矢印方向に回転される中心部38dと、この中心部38dから互いに均等な位置に設けられた長片体よりなる3つの回転翼38a,38b,38cとを備えてなり、これらの回転翼38a,38b,38cは、図3に示されるように、各々、上蓋31に向かう斜面が形成されるよう、長片体の一側辺が混合撹拌槽30の底部30aに近接すると共に、他側辺が混合撹拌槽30の底部30aから斜め上方に例えば角度120°で立ち上がった位置に設置されている。
【0056】
図1において、37は、例えばキャリア原料の撹拌時には加熱手段として機能し、キャリア原料の撹拌終了後には冷却手段として機能するジャケットであり、36は、品温計である。
また、39は、必要に応じて設けられる、矢印方向に回転してキャリア原料の撹拌を促進し、その凝集を防止するための、2枚の回転翼よりなる垂直方向回転体である。
さらに、40は、排出弁41が設置された製品排出口である。
【0057】
このような撹拌装置においては、まず、予備混合工程として、多孔質フェライト粒子と被覆用樹脂微粒子とからなるキャリア原料を原料投入口32から投入し、ジャケット37に10℃〜15℃の冷却水を通して、撹拌羽根38a,38b,38cを1m/sec以下の周速で回転させ、混合撹拌槽30内の温度を被覆用樹脂のTg未満として、投入されたキャリア原料を1〜2分間混合・撹拌する。
【0058】
次に、キャリア中間体形成工程として、ジャケット37に10℃〜15℃の冷却水を通して、撹拌羽根38a,38b,38cを10m/sec以下の周速で回転させ、混合撹拌槽30内の温度を被覆用樹脂のTg未満として、予備混合されたキャリア原料を10〜20分間混合・撹拌し、多孔質フェライト粒子の表面に被覆用樹脂微粒子を付着させてキャリア中間体を形成する。
【0059】
そして、キャリア粒子形成工程として、ジャケット37に温水または蒸気を通して、上記のキャリア中間体形成工程と同じか、またはそれ以上の周速で撹拌羽根38a,38b,38cを回転させることにより機械的衝撃力を付与して、混合撹拌槽20内の温度を被覆用樹脂のTg以上として、キャリア中間体を5〜20分間撹拌し、多孔質フェライト粒子の表面に樹脂被覆が施されてなるキャリア粒子を形成する。
【0060】
その後、ジャケット37に10〜15℃の冷水を通して、上記のキャリア粒子形成工程と同じか、またはそれ以下の周速で撹拌羽根38a,38b,38cを回転させ、被覆用樹脂のTg以下となったら、排出弁41を開き、製品排出口40から形成されたキャリア粒子を取り出す。
【0061】
本発明のキャリアの製造方法によれば、コア粒子表面に樹脂被覆を施す工程2が乾式法により行われることにより、被覆用樹脂が多孔質フェライト粒子の細孔へ浸透することが抑制され、本発明に係るキャリア粒子が確実に得られる。
【0062】
〔トナー〕
本発明の二成分現像剤に用いられる静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)としては、公知のトナーを用いることができる。このようなトナーは、具体的には少なくとも樹脂(以下、「トナー用樹脂」ともいう。)および着色剤を含有するトナー粒子よりなるものである。また、このトナー粒子には、必要に応じて、離型剤および荷電制御剤などの他の成分を含有することもできる。
【0063】
本発明に係るトナー粒子に含有されるトナー用樹脂としては、トナー粒子が粉砕法、溶解懸濁法などによって製造される場合においては、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂、オレフィン系樹脂などのビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスルフォン、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂などの公知の種々の樹脂を用いることができる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0064】
トナー粒子が懸濁重合法、ミニエマルション重合凝集法、乳化重合凝集法などによって製造される場合においては、トナー用樹脂を得るための重合性単量体として、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレンなどのスチレンあるいはスチレン誘導体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸フェニルなどのメタクリル酸エステル誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル誘導体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸またはメタクリル酸誘導体などのビニル系単量体を挙げることができる。これらのビニル系単量体は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0065】
また、重合性単量体としてイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることが好ましい。イオン性解離基を有する重合性単量体は、例えばカルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基などの置換基を構成基として有するものであって、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマール酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレートなどが挙げられる。
さらに、重合性単量体として、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどの多官能性ビニル類を用いて架橋構造のトナー用樹脂を得ることもできる。
【0066】
本発明に係るトナー粒子に含有される着色剤としては、公知の無機または有機着色剤を使用することができる。以下に、具体的な着色剤を示す。
【0067】
黒色の着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどのカーボンブラックや、マグネタイト、フェライトなどの磁性粉が挙げられる。
【0068】
マゼンタもしくはレッド用の着色剤としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48;1、C.I.ピグメントレッド53;1、C.I.ピグメントレッド57;1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222などが挙げられる。
【0069】
オレンジもしくはイエロー用の着色剤としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138などが挙げられる。
【0070】
グリーンもしくはシアン用の着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15;2、C.I.ピグメントブルー15;3、C.I.ピグメントブルー15;4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66、C.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。
【0071】
以上の着色剤については、1種または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
着色剤の含有量としては、トナー全体に対して1〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜20質量%である。
【0072】
本発明に係るトナー粒子に離型剤が含有される場合においては、離型剤としては、パラフィンワックス、エステルワックスなどの公知の種々のワックスを用いることができる。
離型剤の含有量としては、トナー用樹脂に対して1〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜20質量%である。
【0073】
本発明に係るトナー粒子に荷電制御剤が含有される場合においては、荷電制御剤としては、公知の種々の化合物を用いることができる。
【0074】
本発明に係るトナー粒子の粒径は、体積基準のメディアン径(D50)で3〜8μmであることが好ましい。
トナーの体積基準のメディアン径(D50)は、「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステムを接続した測定装置を用いて測定されるものである。
具体的には、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を調製し、このトナー分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャ径を50μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径が体積基準のメディアン径(D50)とされる。
【0075】
上記のようなトナー粒子は、そのままで本発明の二成分現像剤のトナーを構成することができるが、流動性、帯電性の改良およびクリーニング性の向上などの目的で、公知の外添剤を更に添加して使用することができる。これら外添剤としては特に限定されるものではなく、種々の無機微粒子、有機微粒子及び滑剤を使用することができる。
【0076】
無機微粒子としては、シリカ、チタニア、アルミナなどの無機酸化物粒子を使用することが好ましく、さらに、これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤などによって疎水化処理されていることが好ましい。また、有機微粒子としては数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形のものを使用することができる。
有機微粒子としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート共重合体などの重合体を使用することができる。
【0077】
外添剤の添加量としては、その合計が、トナー100質量部に対して0.05〜5質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜3質量部である。
【0078】
以上のようなトナーの製造方法としては、特に限定されず、例えば粉砕法や、乳化重合凝集法、ミニエマルション重合法などの重合法などが挙げられる。
【0079】
〔二成分現像剤〕
本発明の二成分現像剤(以下、単に「現像剤」ともいう。)は、本発明のキャリアと、以上のようなトナーとが混合されてなるものである。
本発明の現像剤におけるトナーおよびキャリアの混合比率は、現像剤におけるトナー濃度が例えば3〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは4〜15質量%である。
【0080】
本発明の現像剤によれば、本発明のキャリアを用いるため、当該現像剤が高い流動性を有するものとなることにより、画像欠陥の発生が抑制される。
【0081】
〔画像形成方法〕
本発明の画像形成方法は、以上のような現像剤を用いて、静電潜像を現像する工程を有する方法である。具体的には、下記の工程を有する方法が挙げられる。
工程(1):静電潜像担持体の表面を帯電する工程。
工程(2):露光することにより静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程。
工程(3):静電潜像担持体上に形成された静電潜像をキャリアとトナーとからなる現像剤により現像してトナー像を形成する工程。
工程(4):静電潜像担持体上に形成されたトナー像を画像支持体に転写する工程。
工程(5):画像支持体上に転写されたトナー像を定着する工程。
本発明の画像形成方法として、図4に示す画像形成装置を用いた方法について具体的に説明する。
【0082】
図4に示すように、この画像形成装置は、タンデム方式のカラー画像形成装置であって、垂直方向に縦列配置された4組の画像形成部10Y,10M,10C,10Kと、転写部としての無端ベルト状の中間転写体ユニット7と、画像支持体Pを搬送する無端ベルト状の給紙搬送手段21と、定着手段としての熱ロール式の定着装置24とを有する。この画像形成装置の本体Aの上面部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
【0083】
図4において、1Y,1M,1C,1Kは静電潜像担持体である感光体、2Y,2M,2C,2Kは当該感光体1Y,1M,1C,1Kの表面に一様な電位を与える帯電手段、3Y,3M,3C,3Kは一様に帯電された感光体1Y,1M,1C,1K上に画像データに基づいて露光を行うことにより静電潜像を形成する露光手段、4Y,4M,4C,4Kはトナーを感光体1Y,1M,1C,1K上に搬送して前記静電潜像を顕像化する現像手段、5Y,5M,5C,5Kは一次転写手段としての一次転写ローラ、70は中間転写体、5Aは一次転写ローラ5Y,5M,5C,5Kにより中間転写体70上に転写されたトナー像を画像支持体Pに転写する二次転写手段としての二次転写ローラ、6Y,6M,6C,6Kは一次転写後に感光体1Y,1M,1C,1K上に残留した残留トナーを回収するクリーニング手段を示す。
【0084】
各感光体に形成される異なる色のトナー像の1つとして、イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、ドラム状の感光体1Y、この感光体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、一次転写手段としての一次転写ローラ5Yおよびクリーニング手段6Yを有する。また、別の異なる色のトナー像の1つとして、マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、ドラム状の感光体1M、この感光体1Mの周囲に配置された帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写手段としての一次転写ローラ5Mおよびクリーニング手段6Mを有する。また、さらに別の異なる色のトナー像の1つとして、シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、ドラム状の感光体1C、この感光体1Cの周囲に配置された帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写手段としての一次転写ローラ5Cおよびクリーニング手段6Cを有する。また、さらに他の異なる色のトナー像の1つとして、黒色画像を形成する画像形成部10Kは、ドラム状の感光体1K、この感光体1Kの周囲に配置された帯電手段2K、露光手段3K、現像手段4K、一次転写手段としての一次転写ローラ5Kおよびクリーニング手段6Kを有する。
【0085】
中間転写体ユニット7は、複数のローラ71,72,73,74,76により巻回され、回動可能に支持された無端ベルト状の中間転写体70と、一次転写ローラ5Y,5M,5C,5Kと、クリーニング装置6Aとを有する。
【0086】
このような画像形成装置においては、画像形成部10Y,10M,10C,10Kにおいて、感光体1Y,1M,1C,1K上に、帯電手段2Y,2M,2C,2Kにより帯電、露光手段3Y,3M,3C,3Kにより露光、現像手段4Y,4M,4C,4Kにより現像を経て各色のトナー像が形成され、一次転写ローラ5Y,5M,5C,5Kにより中間転写体70上に各色のトナー像が順次重ね合わされて転写される。そして、給紙カセット20内に収容された画像支持体Pが、給紙搬送手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A,22B,22C,22D、レジストローラ23を経て、二次転写ローラ5Aに搬送されると共に、当該画像支持体P上に中間転写体70上に転写されたカラートナー像が一括して転写される。その後、画像支持体P上に転写されたカラートナー像が定着装置24において加圧および加熱により定着され、カラートナー像が定着された画像支持体Pが排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。トナー像を中間転写体70に転写させた後の感光体1Y,1M,1C,1Kは、クリーニング手段6Y,6M,6C,6Kにより転写時に感光体に残されたトナーを清掃、感光体表面に脂肪酸金属塩を供給、供給された脂肪酸金属塩を延展して感光体表面に脂肪酸金属塩の膜を形成した後に、次の画像形成に供される。
一方、二次転写ローラ5Aにより画像支持体P上にカラートナー像を転写した後、画像支持体Pを曲率分離した中間転写体70は、クリーニング装置6Aにより残留トナーが除去される。
【0087】
本発明の画像形成方法によれば、本発明の現像剤を用いて静電潜像を現像するため、当該現像剤が高い流動性を有するものであることにより、画像欠陥の発生が抑制される。
【実施例】
【0088】
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0089】
<トナーの製造例1>
(コア用樹脂粒子の作製)
(1)第1段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入装置を取り付けた反応容器中に、下記重合性単量体を混合してなる重合性単量体混合液を作製した。
スチレン 110.9質量部
n−ブチルアクリレート 52.8質量部
メタクリル酸 12.3質量部
この混合液に、パラフィンワックス「HNP−57」(日本精鑞社製)93.8質量部を添加した後、80℃に加温して溶解し、重合性単量体溶液を作製した。
【0090】
一方、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2.9質量部をイオン交換水1340質量部に溶解させた界面活性剤溶液を調製し、この界面活性剤溶液を80℃に加熱した後、上記重合性単量体溶液を投入し、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)により、重合性単量体溶液を2時間混合分散させた。そして、粒径が体積基準のメディアン径(D50)で245nmの乳化粒子(油滴)の分散液を調製した。
【0091】
次いで、イオン交換水1460質量部を添加した後、重合開始剤(過硫酸カリウム)6質量部をイオン交換水142質量部に溶解させた重合開始剤溶液と、n−オクチルメルカプタン1.8質量部とを添加し、温度を80℃とした。この系を80℃にて3時間にわたり加熱、撹拌することにより重合(第1段重合)を行い、樹脂粒子〔C〕を作製した。
【0092】
(2)第2段重合(外層の形成)
樹脂粒子〔C〕に、重合開始剤(過硫酸カリウム)5.1質量部をイオン交換水197質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下にて下記重合性単量体を混合してなる重合性単量体混合液を1時間かけて滴下した。
スチレン 282.2質量部
n−ブチルアクリレート 134.4質量部
メタクリル酸 31.4質量部
n−オクチルメルカプタン 4.93質量部
滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌を行って第2段重合(外層の形成)を行った。その後、28℃まで冷却し、コア用樹脂粒子〔1〕を得た。コア用樹脂粒子〔1〕の質量平均分子量は21,300、粒径は体積基準のメディアン径(D50)で180nm、ガラス転移点(Tg)は39℃であった。
【0093】
(シェル用樹脂粒子の調製)
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入装置を取り付けた反応容器中に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2.0質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム)10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、下記重合性単量体を混合してなる重合性単量体混合液を3時間かけて滴下した。
スチレン 528質量部
n−ブチルアクリレート 176質量部
メタクリル酸 120質量部
n−オクチルメルカプタン 22質量部
滴下終了後、この系を80℃にて1時間にわたり加熱、撹拌して重合を行い、シェル用樹脂粒子〔1〕を調製した。シェル用樹脂粒子〔1〕の質量平均分子量は12,000、粒径は体積基準のメディアン径(D50)で120nm、ガラス転移点(Tg)は53℃であった。
【0094】
(着色剤分散液の調製)
ドデシル硫酸ナトリウム10質量%の水溶液900質量部を撹拌しながら、着色剤「リーガル330R」(キャボット社製)100質量部を徐々に添加し、次いで、機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子が分散されてなる着色剤分散液〔1〕を調製した。この着色剤分散液〔1〕中の着色剤粒子の平均分散径を動的光散乱式粒度分析計「マイクロトラックUPA150」(日機装株式会社製)を用いて測定したところ、150nmであった。
【0095】
(コア部の形成)
コア用樹脂粒子〔1〕420.7質量部(固形分換算)とイオン交換水900質量部と着色剤分散液〔1〕200質量部とを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置および撹拌装置を取り付けた反応容器に入れて撹拌した。反応容器内の温度を30℃に調整した後、この溶液に5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを9に調整した。
次いで、塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を、撹拌下において、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて65℃まで昇温した。その状態で「コールターマルチサイザー3」(コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定し、粒径が体積基準のメディアン径(D50)で5.5μmになった時点で、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を添加して粒径成長を停止させ、更に熟成処理として液温度70℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより融着を継続させ、コア部を形成した。コア部の円形度を「FPIA2100」(システックス社製)にて測定したところ0.930であった。
【0096】
(シェル層の形成)
次いで、65℃においてシェル用樹脂粒子〔1〕50質量部(固形分換算)を添加し、更に塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を、10分間かけて添加した後、70℃(シェル化温度)まで昇温し、1時間にわたり撹拌を継続し、コア部の表面にシェル用樹脂粒子〔1〕を融着させた。その後、75℃にて20分間熟成処理を行い、シェル層を形成し、塩化ナトリウム40.2質量部を加え、8℃/minの条件で30℃まで冷却して着色粒子分散液〔1〕を調製した。
【0097】
(洗浄、乾燥)
着色粒子分散液〔1〕をバスケット型遠心分離機「MARKIII 型式番号60×40」(松本機械社製)で固液分離し、着色粒子のウェットケーキを形成した。このウェットケーキを、バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで水洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥して着色粒子〔1〕を得た。着色粒子〔1〕は、粒径が体積基準のメディアン径(D50)で6.0μm、ガラス転移点(Tg)が39.5℃であった。
【0098】
(トナーの作製)
着色粒子〔1〕100質量部に対し、疎水性シリカ微粒子(数平均一次粒子径=80nm)を3.5質量%、疎水性チタニア微粒子(数平均一次粒子径=10nm)を0.6質量%添加し、「ヘンシェルミキサー」(三井三池化工社製)を用いて、周速35m/secで25分間混合して、トナー粒子〔1〕よりなるトナー〔1〕を作製した。トナー粒子〔1〕は、粒径が体積基準のメディアン径(D50)で6.0μmであった。
【0099】
〔コア粒子(多孔質フェライト粒子)の製造例1〕
(A)粉砕工程
MnO:35mol%、MgO:14.5mol%、Fe2 3 :50mol%およびSrO:0.5mol%になるようにフェライト原料を秤量し、湿式ボールミルで5時間粉砕処理を行い、スラリーを得た。得られたスラリーをスプレードライヤーにて乾燥し、球状の粒子よりなる粉砕物〔1〕を得た。MnO原料としては四酸化三マンガンを、MgO原料としては水酸化マグネシウムを、SrO原料としては炭酸ストロンチウムをそれぞれ用いた。
【0100】
(B)仮焼成工程
この粉砕物〔1〕における粒子を粒度調整した後、ロータリー式電気炉を用いて950℃にて2時間加熱し、仮焼成処理を行い、仮焼成物〔1〕を得た。
【0101】
(C)本焼成工程
仮焼成物〔1〕を1/8インチ径のステンレスビーズを用いて湿式ボールミルで1時間粉砕した後、さらに1/16インチ径のステンレスビーズを用いて4時間粉砕処理を行った。このスラリー中における粒子の一次粒子径は、体積基準のメディアン径(D50)で2.95μmであった。なお、この一次粒子径は「マイクロトラックUPA150」(日機装株式会社製)を用いて測定した。そして、バインダーとしてポリビニルアルコール(20質量%溶液)を固形分に対して0.6質量%添加し、次いで、スプレードライヤーにより造粒、乾燥し、得られた粒子の粒度調整を行い、その後、650℃にて2時間加熱して分散剤やバインダーなどの有機成分の除去を行った。そして、ロータリー式電気炉を用いて、875℃にて1時間保持して本焼成処理を行い、本焼成物〔1〕を得た。このとき、炉内に水素ガスを投入し、炉内を還元性雰囲気下とした。
【0102】
(D)分級工程
この本焼成物〔1〕を、解砕し、風力分級法により分級処理を行って粒度調整をし、磁力選鉱により低磁力品を分別し、多孔質フェライト粒子〔1〕を得た。この多孔質フェライト粒子〔1〕の細孔径は0.45μm、形状係数SF−1は110、形状係数SF−2は125であった。なお、多孔質フェライト粒子の細孔径、形状係数SF−1および形状係数SF−2は、上述した測定方法により測定した。以下、同様とする。
【0103】
〔コア粒子(多孔質フェライト粒子)の製造例2〕
コア粒子(多孔質フェライト粒子)の製造例1における(C)本焼成工程において、トンネル式電気炉を用いて、大気雰囲気下、1050℃にて1時間保持し、その後、さらにトンネル式電気炉を用いて、窒素ガス雰囲気下、1150℃にて1時間保持して本焼成処理を行ったことの他は同様にして、多孔質フェライト粒子〔2〕を得た。この多孔質フェライト粒子〔2〕の細孔径、形状係数SF−1および形状係数SF−2を表1に示す。
【0104】
〔コア粒子(多孔質フェライト粒子)の製造例3〕
コア粒子(多孔質フェライト粒子)の製造例1における(C)本焼成工程において、粉砕処理の条件として、1/8インチ径のステンレスビーズを用いて湿式ボールミルで1時間粉砕した後、さらに1/16インチ径のステンレスビーズを用いて12時間粉砕して、スラリー中の粉砕物の一次粒子径(D50)を1μmとし、さらに本焼成処理の条件として、ロータリー式電気炉にて、炉内に水素ガスを投入し、炉内を還元性雰囲気下にして、850℃にて1時間保持して行ったことの他は同様にして、多孔質フェライト粒子〔3〕を得た。この多孔質フェライト粒子〔3〕の細孔径、形状係数SF−1および形状係数SF−2を表1に示す。
【0105】
〔コア粒子(多孔質フェライト粒子)の製造例4〕
コア粒子(多孔質フェライト粒子)の製造例1における(C)本焼成工程において、粉砕処理の条件として、1/8インチ径のステンレスビーズを用いて湿式ボールミルで1時間粉砕した後、さらに1/16インチ径のステンレスビーズを用いて15時間粉砕して、スラリー中の粉砕物の一次粒子径(D50)を0.8μmとし、さらに本焼成処理の条件として、ロータリー式電気炉にて、炉内に水素ガスを投入し、炉内を還元性雰囲気下にして、850℃にて1時間保持して行ったことの他は同様にして、多孔質フェライト粒子〔4〕を得た。この多孔質フェライト粒子〔4〕の細孔径、形状係数SF−1および形状係数SF−2を表1に示す。
【0106】
〔コア粒子(多孔質フェライト粒子)の製造例5〕
コア粒子(多孔質フェライト粒子)の製造例1における(C)本焼成工程において、トンネル式電気炉を用いて、大気雰囲気下、1050℃にて1時間保持し、その後、さらにトンネル式電気炉を用いて、窒素ガス雰囲気下、1200℃にて1時間保持して本焼成処理を行ったことの他は同様にして、多孔質フェライト粒子〔5〕を得た。この多孔質フェライト粒子〔5〕の細孔径、形状係数SF−1および形状係数SF−2を表1に示す。
【0107】
〔コア粒子の製造例6〕
コア粒子(多孔質フェライト粒子)の製造例1における(C)本焼成工程において、トンネル式電気炉を用いて、大気雰囲気下、1050℃にて1時間保持し、その後、さらにトンネル式電気炉を用いて、窒素ガス雰囲気下、1350℃にて6時間保持して本焼成処理を行ったことの他は同様にして、フェライト粒子〔6〕を得た。このフェライト粒子〔6〕の細孔径、形状係数SF−1および形状係数SF−2を表1に示す。
【0108】
【表1】

【0109】
<キャリアの製造例1>
多孔質フェライト粒子〔1〕100質量部と、メタクリル酸エステル系樹脂よりなる被覆用微粒子(ガラス転移点:115℃、粒径(D50):100nm)5質量部とからなるキャリア原料を図1に示す撹拌装置における混合撹拌槽(30)に投入し、予備混合工程として、周速1m/secで2分間低速混合・撹拌した。そして、キャリア中間体形成工程として、ジャケット(37)に冷水を通過させ、40℃にて周速8m/secで20分間混合・撹拌し、キャリア中間体を形成した。その後、キャリア粒子形成工程として、ジャケット(37)に蒸気を通過させ、キャリア中間体を120℃にて周速8m/secで30分間撹拌してキャリア粒子よりなるキャリア〔1〕を得た。このキャリア粒子〔1〕の形状係数SF−1および形状係数SF−2を表2に示す。なお、キャリア粒子の形状係数SF−1および形状係数SF−2は、上述した測定方法により測定した。以下、同様とする。
【0110】
<キャリアの製造例2〜6>
キャリアの製造例1において、キャリア原料として多孔質フェライト粒子〔1〕に代えて多孔質フェライト粒子〔2〕〜〔5〕およびフェライト粒子〔6〕をそれぞれ用いたことの他は同様にしてキャリア粒子〔2〕〜〔6〕よりなるキャリア〔2〕〜〔6〕を得た。キャリア粒子〔2〕〜〔6〕の形状係数SF−1および形状係数SF−2を表2に示す。
【0111】
<キャリアの製造例7>
キャリアの製造例1において、キャリア原料として多孔質フェライト粒子〔1〕に代えて多孔質フェライト粒子〔5〕を用い、また、メタクリル酸エステル系樹脂微粒子の添加量を10質量部に変更したことの他は同様にしてキャリア粒子〔7〕よりなるキャリア〔7〕を得た。キャリア粒子〔7〕の形状係数SF−1および形状係数SF−2を表2に示す。
【0112】
なお、キャリア〔1〕〜〔4〕は、本発明の実施例に係るキャリアであり、キャリア〔5〕〜〔7〕は比較例に係るキャリアである。
【0113】
【表2】

【0114】
<現像剤の製造例1〜7>
トナー〔1〕とキャリア〔1〕〜〔7〕をそれぞれ用い、配合比をキャリア100質量部に対してトナー8質量部とし、トナーとキャリアをVブレンダーにて、常温常湿(20℃、50%RH)環境下で、回転数20rpm、撹拌時間20分間でブレンドした後、125μmの篩分網にて篩分し、現像剤〔1〕〜〔7〕を得た。
【0115】
〔実施例1〜4および比較例1〜3〕
デジタルカラー複合機「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)に現像剤〔1〕〜〔7〕をそれぞれ充填し、室温20℃、湿度50%RHの環境下において、A4判上質紙(64g/m2 )上に画素率1%の画像(文字画像7%、人物顔写真、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分の画像)を形成し、これを20万枚行った。下記評価方法による評価結果を表3に示す。
【0116】
(1)転写性
初期と20万枚印刷後において、画素濃度1.30のソリッド画像(20mm×50mm)を形成し、下記式(1)により転写率をそれぞれ求め、下記評価基準により評価を行った。
式(1):転写率(%)=(画像支持体に転写されたトナーの質量/感光体上に現像されたトナーの質量)×100
−評価基準−
A:転写率が96%以上
B:転写率が80%以上96%未満(実用上問題ないレベル)
C:転写率が80%未満(実用上問題となるレベル)
【0117】
(2)キャリア付着
20万枚印刷後において、ベタ画像の印刷を行い、ベタ画像上に見られたキャリア粒子の個数を、拡大鏡を使用して目視により測定し、下記評価基準により評価を行った。
−評価基準−
A:ベタ画像上にキャリア粒子の付着なし
B:ベタ画像上にキャリア粒子が5個以内で付着している(実用上問題ないレベル)
C:ベタ画像上にキャリア粒子が5個を超えて付着している(実用上問題となるレベル)
【0118】
(3)トナー・キャリア飛散
20万枚印刷後に現像器周辺のトナー飛散とキャリア飛散による機内汚れ状態を目視で観察し、下記評価基準により評価を行った。
−評価基準−
A:トナー・キャリア飛散による機内汚れ全くなし
B:軽微なトナー・キャリア飛散による機内汚れはあるが、メンテナンス時に掃除機を必要としない程度(実用上問題ないレベル)
C:トナー・キャリア飛散による機内汚れがひどく、メンテナンス時に手が汚れ掃除機による掃除が必要となる程度(実用上問題となるレベル)
【0119】
(4)濃度ムラ(ゴースト)
初期と20万枚印刷後において、ベタ画像の印刷を行い、ゴーストの発生の有無を下記評価基準により行った。
なお、ゴーストとは、現像スリーブ上の現像剤の入れ替え不良により、画像濃度が徐々に低下する現象をいう。
−評価基準−
A:ベタ画像にゴーストの発生なし
B:ベタ画像に軽微なゴーストが発生している(実用上問題ないレベル)
C:ベタ画像にゴーストが発生している(実用上問題となるレベル)
【0120】
【表3】

【符号の説明】
【0121】
1Y,1M,1C,1K 感光体
2Y,2M,2C,2K 帯電手段
3Y,3M,3C,3K 露光手段
4Y,4M,4C,4K 現像手段
5A 二次転写ローラ
5Y,5M,5C,5K 一次転写ローラ
6A クリーニング装置
6Y,6M,6C,6K クリーニング手段
7 中間転写体ユニット
10Y、10M、10C、10K 画像形成部
20 給紙カセット
21 給紙搬送手段
22A,22B,22C,22D 中間ローラ
23 レジストローラ
24 定着装置
25 排紙ローラ
26 排紙トレイ
30 混合撹拌槽
30a 底部
31 上蓋
32 原料投入口
33 投入弁
34 フィルター
35 点検口
36 品温計
37 ジャケット
38 水平方向回転体
38a,38b,38c 回転翼
38d 中心部
39 垂直方向回転体
40 製品排出口
41 排出弁
42 モーター
70 中間転写体
71,72,73,74,76 ローラ
A 本体
SC 原稿画像読み取り装置
P 画像支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質フェライト粒子よりなるコア粒子の表面に樹脂被覆が施されてなるキャリア粒子よりなる静電荷像現像用キャリアであって、
前記多孔質フェライト粒子の細孔径が0.1〜0.7μmであることを特徴とする静電荷像現像用キャリア。
【請求項2】
前記コア粒子が、形状係数SF−1が100〜125のものであり、
前記キャリア粒子が、形状係数SF−1が100〜120のものであることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用キャリア。
【請求項3】
前記コア粒子が、形状係数SF−2が105〜135のものであり、
前記キャリア粒子が、形状係数SF−2が105〜125のものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の静電荷像現像用キャリア。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の静電荷像現像用キャリアを製造する方法であって、
下記工程1および工程2を有することを特徴とする静電荷像現像用キャリアの製造方法。
工程1 多孔質フェライト粒子よりなるコア粒子と、樹脂被覆に供される樹脂の微粒子とを、当該樹脂のガラス転移点より低い温度において混合・撹拌し、コア粒子の表面に当該樹脂の微粒子を付着させてキャリア中間体を形成する工程。
工程2 乾式法により、前記キャリア中間体を前記樹脂のガラス転移点−10℃〜ガラス転移点+20℃の温度において撹拌することにより、コア粒子の表面に樹脂被覆が施されてなるキャリア粒子を形成する工程。
【請求項5】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の静電荷像現像用キャリアと、静電荷像現像用トナーとからなることを特徴とする二成分現像剤。
【請求項6】
請求項5に記載の二成分現像剤を用いて静電潜像を現像する工程を有することを特徴とする画像形成方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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