説明

静電荷像現像用トナー、画像形成方法

【課題】多数枚プリント(例えば、50万枚のプリント)を行ってもクリーニング不良(トナーすり抜け)やべた画像白抜けの発生が無く、高温高湿(例えば、30℃、80%RH)環境下でも画像流れの発生が抑制され、高品質の画像を継続して得ることができるトナー、画像形成方法の提供。
【解決手段】少なくとも樹脂と着色剤を含有してなるトナー粒子とクリーニング助剤を含む静電荷像現像用トナーにおいて、前記トナー粒子が体積基準のメディアン径(D50)3.0μm以上8.0μm以下であり、前記クリーニング助剤が体積基準のメディアン径(D50)9.0μm以上25.0μm以下の架橋アクリル樹脂粒子で、前記架橋アクリル樹脂粒子が全重合性単量体に対し架橋性単量体を10質量%以上90質量%以下配合して得られたものであることを特徴とする静電荷像現像用トナー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像現像用トナーと画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式による画像の形成は、感光体の表面を帯電、露光して作成した静電潜像を静電荷像現像用トナー(以下、単にトナーとも云う)により現像してトナー像を作成し、トナー像を転写紙等に転写し、これを熱ローラ等で定着してプリント画像を形成することにより行われている。
【0003】
最近の複写機、ファクシミリ、プリンター或いはこれらの少なくとも2つの機能を備えた複合機などとして構成される電子写真方式の画像形成装置においては、より高解像度のプリント画像、例えば、600や1200dpi(dpiとは、1インチ(2.54cm)あたりのドット数)の高解像度のプリント画像が得られる装置となってきている。これに伴って、より高解像・高精細の現像方式が要求されている。
【0004】
電子写真方式の画像形成装置では、有機電子写真感光体(以下、単に感光体とも云う)を帯電させる際の放電エネルギーによってNOx、SOx及びオゾン等々の種々の放電生成物が発生することが知られている。これらの放電生成物は、感光体上に付着し、感光体表面の滑り性を悪化させる。更に、このような放電生成物が感光体表面に付着する付着量が多くなると、放電生成物が高湿時に空気中の水分を吸収して感光体の表面電気抵抗を低下させる。これによって感光体上に静電潜像を保持することが困難になり、その結果、プリント画像に画像流れ(ボケ)といった画像欠陥を発生させる。
【0005】
この画像欠陥を抑制するために種々の検討がなされている。例えば、感光体表面に脂肪酸金属塩の薄膜を形成し、表面層を放電生成物による悪影響から保護するもの(例えば、特許文献1参照。)、現像剤中にアニオンを吸着するハイドロタルサイト粒子を含有させ、放電生成物を除去するもの(例えば、特許文献2参照。)等が提案されている。
【0006】
また、感光体表面を適度に摩耗させる目的で、現像剤中にクリーニング助剤として無機微粒子(研磨剤)を含有させたり(例えば、特許文献3参照。)、有機微粒子を含有させたりするもの(例えば、特許文献4参照。)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−5207号公報
【特許文献2】特開平2−166461号公報
【特許文献3】特開2001−83734号公報
【特許文献4】特開2009−86447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来技術である無機微粒子をクリーニング助剤として用いる方法は、プリントの初期には画像流れに対して効果が有るが、プリントの進行と共にクリーニングブレードの先端部が摩耗したり、クリーニングブレードの押圧により有機感光体に傷が発生したりし、多数枚プリントを行うとクリーニング性能が悪化する。したがって、無機微粒子をクリーニング助剤として用いる方法では、継続して画像流れを抑制し、高品質の画像を得ることは困難であった。一方、有機微粒子をクリーニング助剤として用いる方法は、クリーニングブレードの押圧により有機微粒子が潰れたり、軟らかすぎて有機感光体表面に付着した放電生成物の除去が不十分となったりして、有機感光体表面に放電生成物が蓄積され、画像流れを抑制することができなかった。また、ハイドロタルサイト粒子をクリーニング助剤として用いる方法は、ハイドロタルサイト粒子は抵抗が低く水を吸収しやすいので、高温高湿(例えば、30℃、80%RH)環境でプリントを行ったときに、反って画像流れが悪化する問題があった。
【0009】
本発明の目的は、多数枚プリント(例えば、50万枚のプリント)を行ってもクリーニング不良(トナーすり抜け)やベタ画像白抜けの発生が無く、高温高湿(例えば、30℃、80%RH)環境下でも画像流れの発生が抑制され、高品質の画像を継続して得ることができるトナー、画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、下記構成により達成される。
【0011】
1.少なくとも樹脂と着色剤を含有してなるトナー粒子とクリーニング助剤を含む静電荷像現像用トナーにおいて、
前記トナー粒子が体積基準のメディアン径(D50)3.0μm以上8.0μm以下であり、前記クリーニング助剤が体積基準のメディアン径(D50)9.0μm以上25.0μm以下の架橋アクリル樹脂粒子で、
前記架橋アクリル樹脂粒子が全重合性単量体に対し架橋性単量体を10質量%以上90質量%以下配合して得られたものであることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【0012】
2.前記架橋アクリル樹脂粒子が、その表面に解離性基を有することを特徴とする前記1に記載の静電荷像現像用トナー。
【0013】
3.有機電子写真感光体上に形成された静電潜像を、前記1又は2に記載の静電荷像現像用トナーで顕像化する現像工程を含む画像形成方法において、
前記有機電子写真感光体の最表層が、無機微粒子を5質量%以上40質量%以下含有することを特徴とする画像形成方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明のトナー、画像形成方法は、多数枚プリント(例えば、50万枚のプリント)を行ってもクリーニング不良(トナーすり抜け)やベタ画像白抜けの発生が無く、高温高湿(例えば、30℃、80%RH)環境下でも画像流れの発生が抑制され、高品質の画像を継続して得ることができる優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明で用いられる画像形成装置の一例を示す断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明者等は、高温高湿(例えば、30℃、80%RH)環境下でプリントを行った時、プリント画像に画像流れが発生するメカニズムを以下のように考えている。
【0017】
高温高湿環境では、プリントの帯電時に発生する放電生成物が感光体の表面に付着し、付着した放電生成物が空気中の水分を吸収する。水分を吸収した放電生成物の量が多くなると、感光体の表面抵抗が低下し、静電潜像を良好に保持することが困難になる。その結果、表面抵抗が低下した部分の静電潜像をトナーで現像してプリント画像を形成すると、プリント画像に画像流れといった画像欠陥が発生する。
【0018】
本発明者らは、多数枚プリント(例えば、50万枚のプリント)を行ってもクリーニング不良やべた画像抜けの発生が無く、高温高湿(例えば、30℃、80%RH)環境下でも画像流れの発生が抑制され、高品質の画像を継続して得ることができる画像形成方法について検討を行った。
【0019】
種々検討の結果、有機感光体上に形成された静電潜像を顕像化するトナーとして、少なくとも樹脂と着色剤を含有してなるトナー粒子とクリーニング助剤が含まれたものを用い、クリーニング助剤として特定の架橋アクリル樹脂粒子を用いると、多数枚プリント(例えば、50万枚のプリント)を行ってもクリーニング不良やベタ画像白抜けの発生が無く、高温高湿環境下でも画像流れの発生が抑制され、高品質の画像を継続して得ることができることを見出した。
【0020】
先ず、本発明で用いられる部材について説明する。
【0021】
《クリーニング助剤》
クリーニング助剤としては、体積基準のメディアン径(D50)9μm以上25μm以下の架橋アクリル樹脂粒子を用いる。
【0022】
体積基準のメディアン径(D50)が9μm以上のクリーニング助剤を用いることでクリーニングブレード先端部にニップ部を形成しやすく、感光体表面に付着した放電生成物の除去する効果が発揮でき、その結果、画像流れを抑制することができきる。
【0023】
体積基準のメディアン径(D50)が25μm以下のクリーニング助剤を用いることで紙へ転写する際に転写不良が発生しにくく、その結果、ベタ画像白抜けが無いプリント画像が得られる。
【0024】
架橋アクリル樹脂粒子は、全重合性単量体に対し架橋性単量体を10質量%以上90質量%以下配合して得られたものである。好ましくは20質量%以上70質量%以下配合して得られたものである。
【0025】
架橋性単量体を10質量%以上90質量%以下配合して得られた架橋アクリル樹脂粒子は、架橋されていることによりその粒子強度が大きく、非架橋アクリル樹脂粒子(例えば、トナー粒子の作製で用いるアクリル樹脂)のようにクリーニングブレードの押圧によりつぶれたり破砕されたりすることがなく、クリーニングブレードのエッジや感光体表面の摩耗を抑制しつつ、プリント終了後の放置で感光体表面に付着した放電生成物を複数枚のプリントを行うことで除去することができる。
【0026】
また、架橋アクリル樹脂粒子の表面には、水の存在下で解離する解離性基が存在するので、イオン化した解離性基と放電生成物が化学的に結合し、放電生成物を除去する効果も有する。
【0027】
本発明で云う解離性基とは、水と反応しイオン化する官能基のことで、本発明ではカルボキシル基やアミノ基を示す。
【0028】
また、架橋アクリル樹脂粒子としては、トナー粒子と逆極性の帯電性を有するものを用いることが好ましい。トナー粒子と逆極性の帯電性を有する架橋アクリル樹脂粒子を用いることで、クリーニングブレードのニップ部に架橋アクリル樹脂粒子を形成しやすくなる。
【0029】
さらに、架橋アクリル樹脂粒子はハイドロタルサイト粒子や無機微粒子よりも電気抵抗が高いので、架橋アクリル樹脂粒子が感光体上に蓄積されても、画像流れは軽微であり、数枚のプリントで良好なプリント画像が得られやすい。
【0030】
本発明でクリーニング助剤として用いる架橋アクリル樹脂粒子は、懸濁重合法、シード重合法のいずれかの方法により、架橋性の重合性単量体(架橋性単量体)と非架橋性の重合性単量体(非架橋性単量体)を重合して作製することができる。
【0031】
体積基準のメディアン径(D50)が9.0μm以上25.0μm以下のクリーニング助剤は、架橋アクリル樹脂粒子作製時の分散剤の濃度(CaC1水溶液の量とDBS量)と懸濁液作製時のミキサーの回転数を制御する方法で作製することができる。体積基準のメディアン径(D50)を小さくするには、分散剤の濃度を高くし、ミキサーの回転数を速くする。
【0032】
全重合性単量体に対し架橋性重合性単量体を10質量%以上80質量%以下の架橋アクリル樹脂粒子は、架橋性重合性単量体を10質量%以上80質量%以下となるよう配合して作製することができる。
【0033】
全重合性単量体に対し架橋性重合性単量体の配合比が90質量%を越えると、架橋アクリル樹脂粒子が作製することができない。
【0034】
架橋性重合性単量体とは、ラジカル重合可能な不飽和二重結合を2個以上有する重合性単量体であり、炭素数8〜20の単量体が好ましい。
【0035】
架橋性重合性単量体としては、ビニル化合物、アリル化合物、多価アルコールの(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
【0036】
例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、グリセロールジアクリレート等を挙げることができる。
【0037】
非架橋性重合性単量体としては、アクリル酸エステル重合性単量体、メタクリル酸エステル重合性単量体となどが挙げられ、これらの重合性単量体と重合する重合性単量体を併用しても良い。例えば、重合性芳香族化合物、重合性アミド、重合性ニトリル、含窒素アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシル基含有重合性単量体、アクリル酸エステル重合性単量体等を用いることができる。
【0038】
《トナー粒子》
本発発明で用いるトナー粒子は、少なくとも樹脂と着色剤を含有してなるものである。トナー粒子は、その体積基準のメディアン径(D50)が3.0μm以上8.0μm以下のものである。体積基準のメディアン径(D50)が前記範囲のトナー粒子を用いることで、トナー粒子自体に適度な流動性が付与され、高精細なプリント画像を長期にわたり、安定して形成することが可能となる。
【0039】
トナー粒子の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来の製造方法により作製することが可能である。すなわち、混練、粉砕、分級工程を経て作製するいわゆる粉砕法や、重合性単量体を重合させ、同時に、形状や大きさを制御しながら粒子形成を行ういわゆる重合による製造方法(例えば、乳化重合法、懸濁重合法、ポリエステル伸長法等)を適用することにより作製可能である。
【0040】
以下に、乳化会合法によるトナー粒子の作製の例を説明する。乳化会合法では概ね以下の様な手順を経てトナー粒子を作製する。すなわち、
(1)樹脂微粒子分散液の作製工程
(2)着色剤粒子分散液の作製工程
(3)樹脂微粒子の凝集・融着工程
(4)熟成工程
(5)冷却工程
(6)洗浄工程
(7)乾燥工程
必要に応じ
(8)外添剤処理工程
を経て作製することができる。
【0041】
以下、各工程について説明する。
(1)樹脂微粒子分散液の作製工程
この工程は、樹脂微粒子を形成する重合性単量体を水系媒体中に投入して重合を行うことにより120nm程度の大きさの樹脂微粒子を形成する工程である。樹脂微粒子にワックスを含有させたものを形成することも可能で、この場合、ワックスを重合性単量体に溶解あるいは分散させておき、これを水系媒体中で重合させることにより、ワックスを含有してなる樹脂微粒子が形成される。
(2)着色剤粒子分散液の作製工程
水系媒体中に着色剤を分散させ、110nm程度の大きさの着色剤粒子分散液を作製する工程である。
(3)樹脂微粒子の凝集・融着工程
この工程は、水系媒体中で樹脂微粒子と着色剤粒子を凝集させ、凝集させたこれらの粒子を融着させて粒子を得る工程である。この工程では、樹脂微粒子と着色剤粒子とが存在している水系媒体中に、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等を凝集剤として添加し、次いで、前記樹脂微粒子のガラス転移点以上であって、かつ前記混合物の融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱することで凝集を進行させると同時に樹脂微粒子同士の融着を行う。詳細には、前述の手順で作製した樹脂微粒子と着色剤粒子とを反応系に添加し、塩化マグネシウム等の凝集剤を添加することにより、樹脂微粒子と着色剤粒子とを凝集させると同時に微粒子同士を融着させて粒子の形成を行う。そして、粒子の大きさが目標の大きさになった時に、食塩水等の塩を添加して凝集を停止させる。
(4)熟成工程
この工程は、上記凝集・融着工程に引き続き、反応系を加熱処理することにより粒子の形状が所望の平均円形度になるまで熟成を行う工程である。
(5)冷却工程
この工程は、前記粒子の分散液を冷却処理(急冷処理)する工程である。冷却処理条件としては、1〜20℃/minの冷却速度で冷却する。冷却処理方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法を例示することができる。
(6)洗浄工程
この工程は、上記工程で所定温度まで冷却された分散液から粒子を固液分離する工程と、固液分離されてウェットのケーキ状集合体にした粒子から界面活性剤や凝集剤等の付着物を除去するための洗浄工程からなる。
【0042】
洗浄処理は、濾液の電気伝導度が10μS/cmになるまで水洗浄する。濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法などがあり、特に限定されるものではない。
(7)乾燥工程
この工程は、洗浄処理された粒子を乾燥処理し、乾燥された粒子を得る工程である。この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用することが好ましい。
【0043】
また、乾燥された粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。尚、乾燥処理された粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサ、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
(8)外添剤処理工程
この工程は、乾燥された粒子に必要に応じ外添剤を混合し、トナー粒子を作製する工程である。外添剤の混合装置としては、ヘンシェルミキサ、コーヒーミル等の機械式の混合装置を使用することができる。
【0044】
次に、トナー粒子を構成する部材(樹脂、ワックス、着色剤等)について説明する。
【0045】
〈樹脂〉
トナー粒子を構成する樹脂としては、下記(1)〜(10)に示す様なビニル系単量体に代表される重合性単量体を重合して作製される重合体が代表的なものである。例えば、下記に示すビニル系単量体を単独あるいは複数種類組み合わせて重合を行って得られるものが挙げられる。
(1)スチレンあるいはスチレン誘導体
(2)メタクリル酸エステル誘導体
(3)アクリル酸エステル誘導体
(4)オレフィン類
(5)ビニルエステル類
(6)ビニルエーテル類
(7)ビニルケトン類
(8)N−ビニル化合物
(9)ビニル化合物類
(10)アクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体。
【0046】
また、樹脂を構成する重合性単量体として、イオン性解離基を有する重合性単量体を組み合わせて使用することも可能である。イオン性解離基としては、たとえば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の置換基が挙げられ、イオン性解離基を有する重合性単量体はこれらの置換基を有するものである。
【0047】
さらに、樹脂を構成する重合性単量体として、多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂とすることも可能である。
【0048】
〈ワックス〉
トナー粒子を構成するワックスとしては、従来公知のものが挙げられ、例えば、以下のものが挙げられる。
(1)長鎖炭化水素系ワックス
(2)エステル系ワックス
(3)アミド系ワックス
(4)ジアルキルケトン系ワックス
(5)その他(カルナウバワックス、モンタンワックス等)。
【0049】
ワックスの融点は、通常40〜160℃であり、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜90℃である。ワックスの融点を上記範囲内にすることにより、トナー粒子の耐熱保存性が確保され、同時に、低温での定着を行う場合でもコールドオフセット等を発生させずに安定したトナー画像形成が行える。また、トナー粒子中のワックス含有量は、1質量%〜30質量%が好ましく、さらに好ましくは5質量%〜20質量%である。
【0050】
〈着色剤〉
トナー粒子を構成する着色剤としては、公知の無機または有機着色剤を使用することができる。以下に、着色剤の例を示す。
【0051】
黒色の着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどのカーボンブラックや、マグネタイト、フェライトなどの磁性粉が挙げられる。
【0052】
マゼンタもしくはレッド用の着色剤としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48;1、C.I.ピグメントレッド53;1、C.I.ピグメントレッド57;1、ピグメントレッド48;3、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222などが挙げられる。
【0053】
オレンジもしくはイエロー用の着色剤としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138などが挙げられる。
【0054】
グリーンもしくはシアン用の着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15;2、C.I.ピグメントブルー15;3、C.I.ピグメントブルー15;4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66、C.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。
【0055】
以上の着色剤は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0056】
又、着色剤の添加量はトナー粒子に対して1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%の範囲とされる。
【0057】
〈荷電制御剤〉
本発明に係るトナー粒子の粒子中には、必要に応じて荷電制御剤が含有されていてもよい。荷電制御剤としては、公知の種々の化合物を用いることができる。
【0058】
〈外添剤〉
本発明に係るトナー粒子は、必要に応じ外添剤を混合して用いることもできる。
【0059】
外添剤の添加により、トナー粒子の流動性や帯電性が改良され、また、クリーニング性の向上等が実現される。外添剤の種類は特に限定されるものではなく、たとえば、以下に挙げる無機微粒子や滑剤が挙げられる。
【0060】
無機微粒子としては、従来公知のものを使用することが可能で、たとえば、シリカ、チタニア、アルミナ、チタン酸ストロンチウム微粒子等が好ましいものとして挙げられる。また、必要に応じてこれらの無機微粒子を疎水化処理したものも使用可能である。
【0061】
シリカ微粒子の例としては、たとえば、日本アエロジル社製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト社製のHVK−2150、H−200、キャボット社製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等が挙げられる。
【0062】
チタニア微粒子としては、たとえば、日本アエロジル社製の市販品T−805、T−604、テイカ社製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等が挙げられる。
【0063】
アルミナ微粒子としては、たとえば、日本アエロジル社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業社製の市販品TTO−55等が挙げられる。
【0064】
《トナー》
本発明のトナーは、トナー粒子とクリーニング助剤が含まれたもので、トナー粒子100.0質量部に対してクリーニング助剤を0.1質量部以上5.0質量部以下配合して得られたものが好ましい。
【0065】
トナー粒子に対してクリーニング助剤の配合量を、上記範囲とするトナーを用いることでクリーニングブレード先端部にニップ部が形成でき、感光体表面に付着した放電生成物を除去することができる。
【0066】
本発明で用いられるトナーは、トナー粒子と架橋アクリル樹脂粒子を混合することで調製できる。混合する方法は、特に限定されず公知の混合機を用いて混合することができる。
【0067】
《現像剤》
現像剤は、トナーを一成分現像剤としてこのまま用いることも、トナーとキャリアとを混合し2成分現像剤として用いることもできる。
【0068】
2成分現像剤は、樹脂コートキャリア100質量部にトナー3〜10質量部を機械式混合機で混合して調製することができる。
【0069】
混合方法は、特に限定されず公知の混合機を用いて混合することができる。
【0070】
《感光体》
本発発明で用いる感光体は、その最表面に無機微粒子を5質量%以上40質量%以下含有する表面層を有するものが好ましい。最表面に無機微粒子を5質量%以上40質量%以下含有する最表層を有する感光体は、耐摩耗性に優れ、高品質のプリント物を多数枚得るのに適している。
【0071】
本発明において、感光体の最表層とは、感光体が空気界面と接触する層のことで、表面層を設けたときには表面層が最表層となり、表面層を設けなかったときには電荷輸送層が最表層となる。
【0072】
導電性支持体上に中間層、感光層(電荷発生層と電荷輸送層の積層)、その上に最表層となる表面層を設けた層構成の感光体の製造方法について説明する。
【0073】
(導電性支持体)
導電性支持体としては、直径が10〜300mmの導電性の材料が好ましく用いられる。導電性の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗10Ωcm以下が好ましい。
【0074】
本発明では、アルミニウム表面にアルマイト膜が形成されたものを用いても良い。
【0075】
(中間層)
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、中間層を設けることが好ましい。
【0076】
本発明に用いられる中間層にはN型半導性粒子を含有することが好ましい。該N型半導性粒子とは、主たる電荷キャリアが電子である粒子を意味する。すなわち、主たる電荷キャリアが電子であることから、該N型半導性粒子を絶縁性バインダーに含有させた中間層は、基体からのホール注入を効率的にブロックし、また、感光層からの電子に対してはブロッキング性が少ない性質を有する。
【0077】
一方、これらの粒子を分散し、中間層の層構造を形成するバインダー樹脂としては、粒子の良好な分散性を得る為にポリアミド樹脂が好ましい。
【0078】
(感光層)
感光層構成は前記中間層上に電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に分離した感光層を設けた構成をとるのがよい。機能を分離した構成を取ることにより繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さく制御でき、その他の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすい。負帯電用の感光体では中間層の上に電荷発生層(CGL)、その上に電荷輸送層(CTL)の構成を取ることが好ましい。
【0079】
以下に機能分離負帯電感光体の感光層構成について説明する。
【0080】
電荷発生層
電荷発生層の電荷発生物質(CGM)としては、350nm〜500nmの波長領域に高感度特性を有する縮合多環系顔料を用いることができる。特に、ピランスロン系化合物を電荷発生物質として用いることが好ましい。この縮合多環系顔料の電荷発生物質以外に、必要により、他の電荷発生物質を併用してもよい。
【0081】
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層は、良好なドット再現性を得るために、像露光時の書き込み光の吸光度が0.9以上であることが好ましい。その為には、電荷発生層中の電荷発生物質の単位面積当たりの量を、膜厚を含めて調製することが必要である。又、電荷発生層の膜厚は0.2μm〜2μmが好ましい。
【0082】
電荷輸送層
電荷輸送層は、電荷輸送物質(CTM)とバインダー樹脂から構成されるが、電荷輸送物質が最表層となる場合には電荷輸送層に無機微粒子を含有させた構成としてもよい。
【0083】
尚、無機微粒子としては、下記に記載の表面層の作製で用いるものと同じものを用いることができる。
【0084】
電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。
【0085】
電荷輸送層に用いられるバインダー樹脂としては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれの樹脂かを問わない。例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位構造のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂を挙げることができる。これらの中で吸水率が小さく、CTMの分散性、電子写真特性が良好なポリカーボネート樹脂が好ましい。
【0086】
バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し電荷輸送物質50〜200質量部が好ましい。
【0087】
電荷輸送層の膜厚は、10〜35μmが好ましい。該膜厚が10μm未満では、現像時の潜像電位を十分に獲得しにくく、画像濃度の低下やドット再現性の劣化が発生しやすく、又、35μmを超えると、電荷キャリアの拡散(電荷発生層で発生した電荷キャリアの拡散)が大きくなり、ドット再現性が劣化しやすい。
【0088】
中間層、電荷発生層、電荷輸送層等の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン等の地球環境に優しい溶媒が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0089】
中間層、電荷発生層及び電荷輸送層を製造するための塗布加工方法としては、スライドホッパー型塗布装置の他に、浸漬塗布、スプレー塗布等の塗布加工法が用いられる。
【0090】
上記塗布液供給型の塗布装置の中でもスライドホッパー型塗布装置を用いた塗布加方法は、前記した低沸点溶媒を用いた分散液を塗布液として用いる場合に最も適しており、円筒状の感光体の場合は特開昭58−189061号公報等に詳細に記載されている円形スライドホッパー型塗布装置等を用いて塗布することが好ましい。
【0091】
(表面層)
表面層は、少なくともバインダー樹脂と無機微粒子を有し、表面層中に無機微粒子を5質量%以上40質量%以下含有させて形成したものが好ましい。
【0092】
バインダー樹脂としては、ポリカーボネートやポリアリレート等の強硬度のポリマーを用いてもよいが、硬化性化合物を用いて硬化形成された硬化性樹脂を用いてもよい。
【0093】
上記硬化性化合物は、紫外線や電子線等の活性線照射により重合(硬化)して、ポリスチレン、ポリアクリレート等、一般に感光体のバインダー樹脂として用いられる樹脂となる重合性単量体が好適であり、特に、スチレン系重合性単量体、アクリル系重合性単量体、メタアクリル系重合性単量体、ビニルトルエン系重合性単量体、酢酸ビニル系重合性単量体、N−ビニルピロリドン系重合性単量体が好ましい。
【0094】
無機微粒子としては、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化イットリウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、酸化セレン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化ゲルマニウム、酸化錫、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化バナジウム、シリカ等の遷移金属を含む金属酸化物粒子が例示されるが、中でも、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、酸化錫等の粒子が好ましい。
【0095】
本願発明に用いられる無機微粒子の数平均一次粒径は1〜300nmの範囲が好ましく、3〜100nmがより好ましい。粒径が小さい場合は耐摩耗性が十分でなく、また粒径が大きい場合には書き込み光を散乱させるたり、粒子が光硬化を阻害し耐摩耗性が十分でなく成る可能性がある。
【0096】
次に、本発明のトナーを用いる画像形成方法について説明する。
【0097】
《画像形成方法》
本発明に係る画像形成方法は、感光体上に形成された静電潜像を、トナーを含む現像剤で顕像化する現像工程を含む方法である。
【0098】
本発明に係る画像形成方法に用いられる画像形成装置としては、白黒画像形成装置やカラー画像形成装置を挙げることができる。
【0099】
以下、画像形成装置として、カラー画像形成装置を例に挙げ説明する。
【0100】
〈カラー画像形成装置〉
本発明に係る画像形成方法は、感光体表面を一様に帯電する帯電工程、感光体表面に露光し静電潜像を形成する露光工程、形成された静電潜像をトナーを含む現像剤で顕像化する現像工程、現像されたトナーを転写材に転写する転写工程、さらに転写工程で転写されず感光体上に残った転写残トナーをクリーニングする工程を有する。クリーニング工程は、ウレタンゴムからなるクリーニングブレードを感光体に当接することが好ましいが、補助的にクリーニングローラーまたは、クリーニングブラシローラーを併用することが好ましい。
【0101】
〈画像形成装置〉
本発明で用いられるカラー画像形成装置は、少なくとも感光体の表面を帯電させる帯電手段、帯電された感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段、感光体上の静電潜像をトナーにて現像してトナー像を形成する現像手段、感光体上のトナー像を中間転写体上に転写する一次転写手段、中間転写体上に転写されたトナー像を転写材(以下、記録媒体ともいう)に転写する2転写手段、感光体上や中間転写体上の転写残トナーをクリーニングするクリーニング手段を有する。
【0102】
尚、上記カラー画像形成装置には、上記各手段に加え、感光体表面に脂肪酸金属塩を塗布する手段を設けることができる。
【0103】
図1は、本発明で用いられるカラー画像形成装置の一例を示す断面構成図である。
【0104】
このカラー画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、複数組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kと、転写部としての無端ベルト状中間転写体形成ユニット7と、記録媒体Pを搬送する無端ベルト状の給紙搬送手段21および定着手段としてのベルト式定着装置24とを有する。カラー画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
【0105】
各感光体に形成される異なる色のトナー像の1つとして、イエロー色の画像を形成する画像形成ユニット10Yは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Y、該感光体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、一次転写手段としての一次転写ローラ5Y、クリーニング手段6Yを有する。また、別の異なる色のトナー像の1つとして、マゼンタ色の画像を形成する画像形成ユニット10Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1M、該感光体1Mの周囲に配置された帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写手段としての一次転写ローラ5M、クリーニング手段6Mを有する。また、更に別の異なる色のトナー像の1つとして、シアン色の画像を形成する画像形成ユニット10Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1C、該感光体1Cの周囲に配置された帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写手段としての一次転写ローラ5C、クリーニング手段6Cを有する。また、更に他の異なる色のトナー像の1つとして、黒色画像を形成する画像形成ユニット10Kは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1K、該感光体1Kの周囲に配置された帯電手段2K、露光手段3K、現像手段4K、一次転写手段としての一次転写ローラ5K、クリーニング手段6Kを有する。
【0106】
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体70を有する。
【0107】
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kより形成された各色の画像は、一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kにより、回動する無端ベルト状中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された記録媒体として用紙等の記録媒体Pは、給紙搬送手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A、22B、22C、22D、レジストローラ23を経て、二次転写手段としての二次転写ローラ5Aに搬送され、記録媒体P上にカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された記録媒体Pは、熱ローラ定着器270が装着された定着装置24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
【0108】
一方、二次転写ローラ5Aにより記録媒体Pにカラー画像を転写した後、記録媒体Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体70は、クリーニングブレードを用いたクリーニング手段6Aにより残留トナーが除去される。
【0109】
画像形成処理中、一次転写ローラ5Kは常時、感光体1Kに圧接している。他の一次転写ローラ5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに圧接する。
【0110】
二次転写ローラ5Aは、ここを記録媒体Pが通過して二次転写が行われる時にのみ、無端ベルト状中間転写体70に圧接する。
【0111】
また、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。
【0112】
筐体8は、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とを有する。
【0113】
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C、1Kの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット7が配置されている。無端ベルト状中間転写体ユニット7は、ローラ71、72、73、74、76を巻回して回動可能な無端ベルト状の中間転写体70、一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kおよびクリーニング手段6Aとからなる。
【0114】
筐体8の引き出し操作により、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とは、一体となって、本体Aから引き出される。
【0115】
このように感光体1Y、1M、1C、1K上に帯電、露光、現像によりトナー像を形成し、無端ベルト状の中間転写体70上で各色のトナー像を重ね合わせ、一括して記録媒体Pに転写し、ベルト式定着装置24で加圧および加熱により固定して定着する。トナー像を記録媒体Pに転移させた後の感光体1Y、1M、1C、1Kは、クリーニング手段6Aで転写時に感光体に残された転写残トナーを清掃した後、上記の帯電、露光、現像のサイクルに入り、次の像形成が行われる。
【0116】
上記カラー画像形成装置では、中間転写体をクリーニングするクリーニング手段6Aのクリーニング部材として、弾性ブレードを用いる。
【0117】
また、各感光体に脂肪酸金属塩を塗布する手段(11Y、11M、11C、11K)を設けている。
【0118】
尚、脂肪酸金属塩としては、トナー粒子の作製で用いたものと同じものを用いることができる。
【0119】
次に、本発明で規定している数値について説明する。
【0120】
《体積基準のメディアン径(D50)》
本発明に係るトナー粒子及びクリーニング助剤の体積基準のメディアン径(D50)は、「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した装置を用いて測定する。
【0121】
先ず、クリーニング助剤の体積基準のメディアン径(D50)の測定について説明する。
【0122】
測定手順としては、測定用のクリーニング助剤である架橋アクリル樹脂粒子0.02gを、界面活性剤溶液20ml(架橋アクリル樹脂粒子の分散を目的として、市販の中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、架橋アクリル樹脂粒子分散液を作製する。この架橋アクリル樹脂粒子分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定器表示濃度が5%になるまでピペットにて注入する。特定の濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値が得られる。測定機において、測定粒子カウント数を25000個、アパチャー径を100μmにし、測定範囲である2〜60μmの範囲の測定データ(300チャンネルデータ値)を用いて算出する。体積積算分率が大きい方から50%の粒子径を体積基準のメディアン径(D50)とする。
【0123】
尚、トナー粒子の体積基準のメディアン径(D50)は、クリーニング助剤の測定と同様にして測定することができる。
【0124】
《架橋アクリル樹脂粒子の強度》
架橋アクリル樹脂粒子の強度は、微小圧縮試験機(島津製作所社製)を用い、温度21℃、相対湿度50%RHの測定環境下において、以下の条件にて測定して求める。
【0125】
上部加圧圧子:平面φ50μm
下部加圧板:SKS平板
測定モード:圧縮試験(モード1)
最大試験試験荷重:198.8mN
負荷速度:2.65mN/sec
体積基準のメディアン径(D50)が±20%の範囲内にある任意の架橋アクリル樹脂粒子10個の微小圧縮強度を各々測定し、この測定値の内の最も大きい2個の測定値および最も小さい2個の測定値を除いた合計6個の10%強度(粒径の10%を圧縮した時の荷重より、下記式で算出)の平均値を粒子強度として算出する。
【0126】
S10=2.8P/πd
S10:10%強度(N/mm=MPa)
P:加重(N)
d:粒径(mm)
【実施例】
【0127】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の様態はこれに限定されない。
【0128】
《クリーニング助剤の作製》
以下のようにしてクリーニング助剤を作製した。
【0129】
(クリーニング助剤1の作製)
四つ口フラスコ中の純水700質量部に、0.1M−NaPO水溶液400質量部を投入し、60℃に加温した後、高速撹拌装置「TK式ホモミキサー」(特殊機化工業製)を用いて、7000rpmにて撹拌した。これに1.0M−CaCl水溶液70質量部を徐々に添加し、さらにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBS)を0.1質量部添加し、「水系媒体」を調製した。
【0130】
一方、分散質として、メタクリル酸メチル210質量部、エチレングリコールジメタクリレート90質量部の混合物を60℃に加温、均一に撹拌した後、これに、重合開始剤2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10質量部を溶解し、「重合性単量体組成物」を調製した。
【0131】
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃、N雰囲気下において、「TK式ホモミキサー」にて10000rpmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物の懸濁液を調製した。その後、撹拌翼で撹拌しつつ(50rpm)、70℃に昇温して5時間反応させた後、80℃に昇温し、さらに5時間反応させた。重合反応終了後、減圧下で残存重合性単量体を留去し、冷却後、塩酸を加え分散安定剤を除去、ろ過、水洗、乾燥をして、体積基準のメディアン径(D50)が約15.2μmの「クリーニング助剤1」を作製した。
【0132】
なお、得られた粒子の強度を前記の方法で測定したころ、58.8MPaであった。
【0133】
(クリーニング助剤2〜8、11、14、15の作製)
クリーニング助剤1の作製で用いた重合性単量体とその配合比率を、表1に示した重合性単量体とその配合比率に変更した以外は同様にして「クリーニング助剤2〜10、13、14、15」を作製した。
【0134】
尚、クリーニング助剤15の処方では、粒子作製ができず、「クリーニング助剤15」を得ることができなかった。
【0135】
(クリーニング助剤9の作製)
クリーニング助剤1の作製において、1.0M−CaCI水溶液の量を70質量部から140質量部へ、DBSの量を0.1質量部から0.2質量部へ、さらに、重合性単量体組成物の懸濁液を作製する際の条件を、TK式ホモミキサーにて10000rpmで10分間撹拌から12000rpmで15分間撹拌に変更した以外は同様にして「クリーニング助剤9」を作製した。
【0136】
(クリーニング助剤10の作製)
クリーニング助剤1の作製において、1.0M−CaCI水溶液の量を70質量部から35質量部、DBSの量を0.1質量部から0.05質量部へ、さらに、重合性単量体組成物の懸濁液を作製する際の条件を、TK式ホモミキサーにて10000rpmで10分間撹拌から8000rpmで10分間撹拌に変更した以外は同様にして「クリーニング助剤10」を作製した。
【0137】
(クリーニング助剤12の作製)
クリーニング助剤1の作製において、1.0M−CaCI水溶液の量を70質量部から140質量部、DBSの量を0.1質量部から0.2質量部、さらに、重合性単量体組成物の懸濁液を作製する際の条件を、TK式ホモミキサーにて10000rpmで10分間撹拌から12000rpmで20分間撹拌に変更した以外は同様にして「クリーニング助剤12」を作製した。
【0138】
(クリーニング助剤13の作製)
クリーニング助剤1の作製において、1.0M−CaCI水溶液の量を70質量部から35質量部、DBSの量を0.1質量部から0.05質量部、さらに、重合性単量体組成物の懸濁液を作製する際の条件を、TK式ホモミキサーにて10000rpmで10分間撹拌から8000rpmで5分間撹拌に変更した以外は同様にして「クリーニング助剤13」を作製した。
【0139】
表1に、クリーニング助剤の作製で用いた重合性単量体とその比率、体積基準のメディアン径(D50)、粒子強度等を示す。
【0140】
【表1】

【0141】
《トナー粒子の作製》
以下のようにしてトナー粒子を作製した。
【0142】
(樹脂微粒子分散液1の作製)
スチレン201質量部、ブチルアクリレート117質量部、メタクリル酸18.3質量部を混合し、この重合性単量体混合液を撹拌しつつ80℃に加温し、ベヘン酸ベヘニル172質量部を徐々に添加して溶解した。
【0143】
次いで、アニオン界面活性剤「エマールE−27C(花王(株)製)有効成分27%」11.3質量部を純水1182質量部に溶解してなる界面活性剤水溶液を80℃に加温し、上記重合性単量体溶液を加えて、高速撹拌を行い、重合性単量体分散液を調製した。
【0144】
次いで、撹拌装置、冷却管、温度センサ、窒素導入管を備えた重合装置に純水867.5質量部を投入し、窒素気流下で撹拌を行いながら内温を80℃にした。この重合装置に上記重合性単量体分散液を投入し、過硫酸カリウム8.55質量部を純水162.5質量部に溶解した重合開始剤水溶液を投入した。
【0145】
重合開始剤水溶液投入後、n−オクチルメルカプタン5.2質量部を35分間かけて添加し、さらに80℃で重合を2時間行った。さらに、過硫酸カリウム9.96質量部を純水189.3質量部に溶解した重合開始剤水溶液を添加し、スチレン366.1質量部、ブチルアクリレート179.1質量部、n−オクチルメルカプタン7.2質量部を混合した重合性単量体溶液を1時間かけて滴下した。前記重合性単量体溶液を滴下した後、2時間重合処理を続けた後、室温まで冷却し「樹脂微粒子分散液1」を作製した。
【0146】
(シェル用樹脂微粒子分散液の作製)
撹拌装置、冷却管、窒素導入管、温度センサを備えた反応装置に、純水2948質量部、アニオン界面活性剤「エマール2FG(花王(株)製)」2.3質量部を添加して撹拌溶解させた後、窒素気流下で80℃に加温した。次いで、スチレン520質量部、ブチルアクリレート184質量部、メタクリル酸96質量部、n−オクチルメルカプタン22.1質量部を混合した重合性単量体溶液と、過硫酸カリウム10.2質量部を純水218質量部に溶解した重合開始剤水溶液を用意した。重合開始剤水溶液を前記反応装置に投入後、前記重合性単量体混合液を3時間かけて滴下し、さらに1時間重合を行った後、室温まで冷却して、「シェル用樹脂微粒子分散液」を作製した。シェル用樹微粒子の重量平均分子量は13,200、数平均粒径は82nmであった。
【0147】
(着色剤粒子分散液の調製)
n−ドデシル硫酸ナトリウム11.5質量部を純水1600質量部に溶解、撹拌して界面活性剤水溶液を調製した。この界面活性剤水溶液中に、カーボンブラック「モーガルL」25質量部を徐々に添加し、次いで、「クリアミックスWモーションCLM−0.8(エムテクニック社製)」を用いて体積基準メディアン径167nmの「着色剤粒子分散液」を調製した。
【0148】
〈トナー粒子1の作製〉
上記「樹脂微粒子分散液1」を固形分換算で357質量部、ポリエステルアイオノマー樹脂「ファインテックスES−2200」の微粒子分散液を固形分換算で68質量部、イオン交換水900質量部、前記「着色剤粒子分散液」を固形分換算で200質量部を、撹拌装置、温度センサ、冷却管を装着した反応装置に投入した。容器内の温度を30℃に保持して、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調製した。
【0149】
次に、塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を撹拌下、10分間かけて滴下した後、75℃まで昇温させて前記微粒子を凝集、融着させた。このまま「マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)」を用い、個数基準のメディアン径(D50)が5.5μmになるまで加熱撹拌を続けた。
【0150】
個数基準のメディアン径(D50)が5.5μmに到達した時点で、シェル用樹脂微粒子分散液を固形分換算で210質量部添加し、1時間撹拌を行ってシェル用微粒子を表面に融着させた。さらに、30分間そのまま撹拌を継続させてシェルが完全に形成された後、塩化ナトリウム40質量部をイオン交換水500質量部に溶解させた塩化ナトリウム水溶液を添加し、内温を78℃に昇温して撹拌を1時間続けた後、室温(25℃)に冷却して粒子を形成した。生成した粒子をイオン交換水で繰り返し洗浄した後、35℃の温風で乾燥して、「粒子1」を作製した。
【0151】
上記で作製した粒子1に、疎水性シリカ(数平均一次粒径12nm、疎水化度68)を1質量%、および、疎水性酸化チタン(数平均一次粒径20nm、疎水化度64)を1質量%添加した。ヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)を用いて混合処理を行った後、45μmの目開きの篩を用いて粗大粒子を除去することにより外添剤処理した「トナー粒子1」を得た。
【0152】
得られたトナー粒子1の体積基準のメディアン径(D50)を前記の測定方法で測定したところ、6.0μmであった。
【0153】
〈トナー粒子2、3の作製〉
トナー粒子1の「凝集、融着」条件を変更して、体積基準のメディアン径(D50)が異なる「トナー粒子2」(体積基準のメディアン径(D50)2.9μm)と「トナー粒子3」(体積基準のメディアン径(D50)8.1μm)を作製した。
【0154】
《トナーの調製》
〈トナー1〜14、16、17の調製〉
上記で作製した「トナー粒子1〜3」各100質量部と「クリーニング助剤1〜14」各2質量部を、表2に示す組み合わせで混合した後、「ヘンシェルミキサ」(三井三池鉱業社製)を用い、20℃、50%RHの環境で、周速40m/sで5分間混合撹拌し、「トナー1〜14、16、17」を調製した。
【0155】
〈トナー18の調製〉
トナー1の調製で用いたクリーニング助剤1を、ハイドロタルサイト粒子に変更した以外は同様にして「トナー18」を調製した。
【0156】
表2に、トナーの作製に用いたトナー粒子、クリーニング助剤、粒径を示す。
【0157】
【表2】

【0158】
《現像剤の調製》
現像剤は、「樹脂コートキャリア」と「トナー1〜14、16〜18」をトナー濃度が7質量%になるように配合し、「ミクロ型V型混合機」(筒井理化学器株式会社)に投入して、回転速度45rpmで30分間混合して「現像剤1〜14、16〜18」を調製した。
【0159】
《感光体の作製》
(導電性支持体の準備)
導電性支持体としは、円筒状アルミニウム支持体を複雑な凹凸パターン加工形状を形成するダイヤモンド焼結平バイトを用い、該バイトの取り付け角度と押し込み深さを調整した後、洗浄DWビークリアCW5524(第1工業製薬)を10倍希釈した洗浄液を用い、噴射圧3.92MPaにて高圧噴射処理を行い、導電性支持体の断面曲線のスキューネス(Rsk)を−0.24、十点表面粗さRzが1.3μmのものを準備した。
【0160】
〈中間層の形成〉
上記導電性支持体上に、下記中間層塗布液を浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚5.0μmの中間層を形成した。
【0161】
(中間層分散液の作製)
下記成分を混合し、サンドミル分散機を用い、10時間、バッチ式にて分散して、中間層分散原液を作製した。
【0162】
中間層分散原液を同じ混合溶媒にて二倍に希釈し、一夜静置後に濾過(フィルター;日本ポール社製リジメッシュフィルター公称濾過精度:5μm、圧力;50kPa)し、中間層塗布液を作製した。
【0163】
ポリアミド樹脂X1010(ダイセルデグサ株式会社製) 1質量部
アナターゼ形酸化チタン(一次粒径30nm;表面処理は、フッ化エチルトリメトキシシラン処理) 3質量部
イソプロピルアルコール 10質量部
〈電荷発生層の形成〉
下記成分を混合し、サンドミル分散機を用いて分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を浸漬塗布法で前記中間層の上に塗布し、乾燥膜厚0.8μmの電荷発生層を形成した。
【0164】
(電荷発生層塗布液)
電荷発生物質(チタニルフタロシアニン顔料(Cu−Kα特性X線回折スペクトル測定で少なくとも27.3°の位置に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料) 20質量部
ポリビニルブチラール(#6000−C、電気化学工業社製) 10質量部
酢酸t−ブチル 700質量部
4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 300質量部
〈電荷輸送層の形成〉
下記成分を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚24μmの電荷輸送層を形成した。
【0165】
(電荷輸送層塗布液)
電荷輸送物質(下記化合物A) 75質量部
ポリカーボネート樹脂「ユーピロン−Z300」(三菱ガス化学社製) 100質量部
酸化防止剤(Irganox1010:日本チバガイギー社製) 2質量部
テトラヒドロフラン/トルエン(体積比7/3) 750質量部
【0166】
【化1】

【0167】
〈表面層の形成〉
下記表面層塗布液を前記の電荷輸送層上に、円形スライドホッパー法で塗布した。塗布後、90℃、80分間乾燥し、2μmの表面層を設けた「感光体1」を作製した。尚、感光体1の最表面となる表面層中の酸化チタンの含有量は25質量%であった。
【0168】
(表面層塗布液)
ポリカーボネート(Z300:三菱ガス化学社製) 1.5質量部
酸化チタン(メチルハイドロジェンポリシロキサンで表面処理された数平均粒径:10nmの酸化チタン粒子(表面処理剤と酸化チタンの比:1:1)) 1.0質量部
1−プロパノール 5.1質量部
メチルイソブチルケトン 2.4質量部
上記の混合物を、超音波ホモジナイザーで15分間分散して表面層塗布液を調製した。
【0169】
《評価》
(画像流れ)
画像流れは以下のようにして評価した。
【0170】
デジタルカラー複合機「bizhub D360」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)に、上記で作製した「トナー」と「現像剤」と「感光体」を順番に装填、装着し、30℃、85%RHの環境で、印字率が10%の画像をA4判上質紙(64g/m)に50万枚プリントを行った。
【0171】
プリント修了後、30℃、85%RHの環境に15時間放置した後、グリット電圧を450V、現像電位を350Vに設定し、文字画像のプリントを行った。画像流れの判定は目視で行った。
【0172】
画像流れの評価は、画像流れが無くなるまでのプリント枚数で行った。尚、評価は△、○、◎を合格とする。
【0173】
評価基準
◎:プリント1枚目から画像流れが無い
○:プリント5枚目で画像流れが無くなる
△:プリント10枚目で画像流れが無くなる
×:プリント10枚目でも画像流れあり。
【0174】
(ベタ画像白抜け)
ベタ画像白抜けの評価は、デジタルカラー複合機「bizhub D360」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)に、上記で作製した「トナー」と「感光体」を順番に装填、装着し、20℃、50%RHの環境で、印字率が10%の画像をA4判上質紙(64g/m)に50万枚プリントを行った。
【0175】
その後、ベタ画像をA4判上質紙(64g/m)にプリントし、ベタ画像中に白抜けが発生する状態を目視で評価した。尚、○、◎を合格とする。
【0176】
評価基準
◎:ベタ画像中に白抜けなし
○:ベタ画像中に白抜けが5個以内であり、実用上問題なし
×:ベタ画像中に白抜けが5個以上あり、実用上問題有り。
【0177】
(トナーすり抜け)
トナーすり抜けの評価は、以下のようにして行った。
【0178】
先ず、30℃、80%RHのプリント環境で印字率が5%の画像をA4判上質紙(64g/m)に50万枚プリントを行った。その後、印字率10%の文字画像とパッチ像をA4判上質紙(64g/m)にプリントした後、感光体の表面を目視観察し、トナーすり抜けの程度を目視で観察し評価した。尚、○、◎を合格とする。
【0179】
評価基準
◎:トナーすり抜けの発生が見られず良好
○:トナーすり抜けがやや見られるが実用上問題なし
×:トナーすり抜けが発生し、実用上問題あり。
【0180】
表3に評価結果を示す。
【0181】
【表3】

【0182】
表3の評価結果から、本発明の実施例となる「評価1〜10」は全ての評価項目で問題無いことが判る。一方本発明の比較例となる「評価11〜14、16〜18」は評価項目の何れかに問題が有り、本発明の目的を達成できていないことが判る。
【符号の説明】
【0183】
1Y、1M、1C、1K 感光体
2Y、2M、2C、2K 帯電手段
3Y、3M、3C、3K 露光手段
4Y、4M、4C、4K 現像手段
5Y、5M、5C、5K 一次転写手段としての一次転写ローラ
5A 二次転写手段としての二次転写ローラ
6Y、6M、6C、6K 感光体のクリーニング手段
6A 二次転写体のクリーニング手段
7 無端ベルト状中間転写体ユニット
11Y、11M、11C、11K 脂肪酸金属塩塗布手段
24 定着装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも樹脂と着色剤を含有してなるトナー粒子とクリーニング助剤を含む静電荷像現像用トナーにおいて、
前記トナー粒子が体積基準のメディアン径(D50)3.0μm以上8.0μm以下であり、前記クリーニング助剤が体積基準のメディアン径(D50)9.0μm以上25.0μm以下の架橋アクリル樹脂粒子で、
前記架橋アクリル樹脂粒子が全重合性単量体に対し架橋性単量体を10質量%以上90質量%以下配合して得られたものであることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【請求項2】
前記架橋アクリル樹脂粒子が、その表面に解離性基を有することを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項3】
有機電子写真感光体上に形成された静電潜像を、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナーで顕像化する現像工程を含む画像形成方法において、
前記有機電子写真感光体の最表層が、無機微粒子を5質量%以上40質量%以下含有することを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−150318(P2012−150318A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9504(P2011−9504)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】