説明

静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成方法、及び、画像形成装置

【課題】優れた耐光性と高い白色度とを両立した画像を形成する静電荷像現像用トナー、並びに前記静電荷像現像用トナーを用いた静電荷像現像剤、トナーカットリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成方法、及び、画像形成装置を提供すること。
【解決手段】結着樹脂、及び少なくとも異なる2種以上の白色顔料を含有し、前記2種以上の白色顔料の10〜30重量%が、体積平均粒子径が0.01〜1μm、粒度分布が1.1〜1.3、及びBET比表面積が250〜500m2/gである多孔質酸化チタンであることを特徴とする静電荷像現像用トナー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成方法、及び、画像形成装置に関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法など静電潜像(静電荷像)を経て画像情報を可視化する方法は現在さまざまな分野で利用されている。従来、電子写真法においては、感光体や静電記録体上に種々の手段を用いて静電荷像を形成し、この静電荷像にトナーと呼ばれる検電性粒子を付着させて静電潜像を現像してトナー像とし、このトナー像を被転写体表面に転写し、加熱等により定着する、という複数の工程を経て可視化する方法が一般的に使用されている。
【0003】
電子写真方式による画像形成においては、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、黒色トナー等の通常のフルカラートナーのほか、白色トナーが用いられることが知られている。
例えば、特許文献1には、白色顔料としてルチル型TiO2を含んでなるトナー粒子が開示されている。また、特許文献1には、印刷される画像の白さを強化すべく、ルチル型TiO2を含んでなるトナー粒子に蛍光増白剤を添加することが開示されている。
また、特許文献2には、炭酸カルシウム等の白色の填料粒子を含有する電子写真画像形成用トナーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−56514号公報
【特許文献2】特開平8−339095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、優れた耐光性と高い白色度とを両立した画像を形成する静電荷像現像用トナーを提供することである。
また、本発明の他の目的は、前記静電荷像現像用トナーを用いた静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成方法、及び、画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、以下の<1>又は<7>〜<11>に記載の手段により、上記課題が解決されることを見出した。好ましい実施態様である、<2>〜<6>とともに以下に記載する。
<1>結着樹脂、及び少なくとも異なる2種以上の白色顔料を含有し、前記2種以上の白色顔料の10〜30重量%が、体積平均粒子径が0.01〜1μm、粒度分布(体積平均粒度分布指標GSDv)が1.1〜1.3、及びBET比表面積が250〜500m2/gである多孔質酸化チタンであることを特徴とする静電荷像現像用トナー、
<2>前記多孔質酸化チタンの平均円形度が0.970より大きく、0.990より小さい、上記<1>に記載の静電荷像現像用トナー、
<3>前記多孔質酸化チタンが、体積平均粒子径が0.001〜0.05μmの酸化チタン粒子を凝集させて形成した、上記<1>又は<2>に記載の静電荷像現像用トナー、
<4>前記多孔質酸化チタンの10〜50重量%が、アナターゼ型の結晶構造を有する、上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー、
<5>前記2種以上の白色顔料が、ルチル型の結晶構造を有するルチル型酸化チタンを含む、上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー、
<6>前記2種以上の白色顔料の総含有量が、トナーの全重量に対し、5〜50重量%である、上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー、
<7>上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーと、キャリアとを含む静電荷像現像剤、
<8>画像形成装置に着脱可能であり、少なくとも上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを収容することを特徴とするトナーカートリッジ、
<9>少なくとも現像剤保持体を備え、画像形成装置に着脱可能であり、上記<7>に記載の静電荷像現像剤を収容することを特徴とするプロセスカートリッジ、
<10>像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、前記トナー像を被転写体表面に転写する転写工程、及び、前記被転写体表面に転写されたトナー像を圧力定着する定着工程を含み、前記現像剤として上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー、又は、上記<7>に記載の静電荷像現像剤を用いる画像形成方法、
<11>像保持体と、前記像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体表面に静電潜像を形成させる露光手段と、トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記像保持体から被転写体表面に転写する転写手段と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を圧力定着する定着手段とを有し、前記現像剤として上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー、又は、上記<7>に記載の静電荷像現像剤を用いる画像形成装置。
【発明の効果】
【0007】
上記<1>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、優れた耐光性と高い白色度とを両立した画像を形成する静電荷像現像用トナーを提供することができる。
上記<2>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、優れた耐光性と高い白色度とを両立した画像を形成する静電荷像現像用トナーを提供することができる。
上記<3>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、優れた耐光性と高い白色度とを両立した画像を形成する静電荷像現像用トナーを提供することができる。
上記<4>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、優れた耐光性と高い白色度とを両立した画像を形成する静電荷像現像用トナーを提供することができる。
上記<5>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、ルチル型酸化チタンが有する黄色味が低減された画像を形成する静電荷像現像用トナーを提供することができる。
上記<6>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、優れた耐光性と高い白色度とを両立した画像を形成する静電荷像現像用トナーを提供することができる。
上記<7>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、優れた耐光性と高い白色度とを両立した画像を形成する静電荷像現像剤を提供することができる。
上記<8>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、優れた耐光性と高い白色度とを両立した画像を形成する静電荷像現像用トナーを収容するトナーカートリッジを提供することができる。
上記<9>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、優れた耐光性と高い白色度とを両立した画像を形成する静電荷像現像剤を収容するプロセスカートリッジを提供することができる。
上記<10>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、優れた耐光性と高い白色度とを両立した画像を形成する画像形成方法を提供することができる。
上記<11>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、優れた耐光性と高い白色度とを両立した画像を形成する画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(1)静電荷像現像用トナー
本実施形態の静電荷像現像用トナー(以下、単にトナーともいう。)は、白色トナーであり、結着樹脂、及び少なくとも異なる2種以上の白色顔料を含有し、前記2種以上の白色顔料の10〜30重量%が、体積平均粒子径が0.01〜1μm、粒度分布(体積平均粒度分布指標GSDv)が1.1〜1.3、及びBET比表面積が250〜500m2/gである多孔質酸化チタンであることを特徴とする。以下、本実施形態を詳細に説明する。
なお、本実施形態において、数値範囲を表す「A〜B」(ただし、A<B)の記載は、特に断りのない限り、「A以上B以下」と同義であり、端点であるA及びBを含む数値範囲を意味する。また同様に、数値範囲を表す「X〜Y」(ただし、X>Y)の記載は、特に断りのない限り、「X以下Y以上」と同義であり、端点であるX及びYを含む数値範囲を意味する。
【0009】
白色トナーに使用される顔料としては、一般的に、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛等の無機材料が使用されている。これらの中でも、酸化チタンは、隠蔽力に優れている。
白色顔料として使用される酸化チタンとしては、主に、ルチル型の結晶構造を有する酸化チタン、及びアナターゼ型の結晶構造を有する酸化チタンの2種が知られている。特に、ルチル型酸化チタンは、アナターゼ型酸化チタンと比較して、光触媒作用が少なくチョーキングが発生し難く、耐光性に優れているため、屋外塗料を始めとする顔料に適していることが知られている。
しかしながら、ルチル型酸化チタンは、400nm付近の吸収が高いため、わずかに補色の黄色を帯び、アナターゼ型酸化チタンと比較してやや黄色味の色相となる。このため、ルチル型酸化チタンでは、十分な白色度を得ることが困難である。
本実施形態のトナーにおいては、少なくとも異なる2種以上の白色顔料に特定の含有量で含まれる、特定の体積平均粒子径、粒度分布、及びBET比表面積を有する多孔質酸化チタンが黄色と補色の関係にある青色領域の光を高い効率で散乱する。これにより、他の白色顔料、特にルチル型酸化チタンが有する黄色味が低減され、白色度が向上される。また、かかる多孔質酸化チタンの白色顔料における含有量を特定の含有量とすることにより、優れた耐光性が維持され、ひび割れ等による画像の劣化が防止される。
【0010】
(結着樹脂)
本実施形態のトナーは、少なくとも結着樹脂を含有する。
結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酢酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン等の単独重合体又は共重合体が例示される。また、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィン、ワックス類が挙げられる。この中でも、結着樹脂としては、ポリエステル、アクリル酸エステルが好ましく、特にポリエステルが好ましい。
【0011】
本実施形態に使用されるポリエステルは、例えばポリオールとポリカルボン酸とを重縮合して合成される。なお、市販品を使用してもよい。
ポリカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられ、更に、これらの無水物やこれらの炭素数1〜3の低級アルキルエステルも挙げられるがこの限りではない。
三価以上のポリカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独又は2種以上で併用される。
【0012】
更に、前述のポリカルボン酸の他に、エチレン性不飽和結合を有するジカルボン酸を含有させてもよい。このようなジカルボン酸は、エチレン性不飽和結合を介して架橋させ、定着時のホットオフセットを防ぐために好適に用いられる。このようなジカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの炭素数1〜3の低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でもコストの点で、フマル酸、マレイン酸等が好ましい。
【0013】
ポリオールのうち二価のアルコールとしては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加物(平均付加モル数1.5〜6)、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。
ポリオールのうち三価以上のアルコールとしては、例えば、ソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
【0014】
非晶性ポリエステル樹脂(「非結晶性ポリエステル樹脂」ともいう。)では、前記した原料となるモノマーの中でも、二価以上の第二級アルコール及び/又は二価以上の芳香族カルボン酸化合物が好ましい。二価以上の第二級アルコールとしては、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、グリセロール等が挙げられる。これらの中では、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物が好ましい。
二価以上の芳香族カルボン酸化合物としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸及びトリメリット酸が好ましく、テレフタル酸及びトリメリット酸がより好ましい。
【0015】
また、軟化点90〜150℃、ガラス転移点50〜75℃、数平均分子量2,000〜10,000、重量平均分子量8,000〜150,000、酸価5〜30mgKOH/g、水酸基価5〜40mgKOH/gを示す樹脂が特に好ましく用いられる。
【0016】
また、トナーに低温定着性を付与するために結着樹脂の一部として結晶性ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂では、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとからなることが好ましく、主鎖部分の炭素数が4〜20である直鎖型ジカルボン酸、直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。直鎖型であると、ポリエステル樹脂の結晶性に優れ、結晶融点が適度であるため、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び、低温定着性に優れる。また、炭素数が4以上であると、トナー中におけるカルボン酸エステル結合の濃度が適切であるため電気抵抗が適度であり、トナーの帯電性に優れる。また、炭素数が20以下であると、実用上の材料の入手が容易である。前記炭素数としては14以下であることがより好ましい。
【0017】
結晶性ポリエステルの合成に好適に用いられる脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸など、又は、その低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられるが、この限りではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸が好ましい。
【0018】
脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
三価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0019】
ポリカルボン酸のうち、脂肪族ジカルボン酸の含有量が80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。脂肪族ジカルボン酸の含有量が80モル%以上であると、ポリエステル樹脂の結晶性に優れ、融点が適度であるため、耐トナーブロッキング性、画像保存性。及び、低温定着性に優れる。
【0020】
ポリオールのうち、前記脂肪族ジオールの含有量が80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。前記脂肪族ジオール成の含有量が80モル%以上であると、ポリエステル樹脂の結晶性に優れ、融点が適度であるため、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び、低温定着性に優れる。
なお、必要に応じて、酸価や水酸基価の調整等の目的で、酢酸、安息香酸等の一価の酸や、シクロヘキサノールベンジルアルコール等の一価のアルコールも用いられる。
【0021】
ポリエステルの製造方法としては、特に制限はなく、例えば前記ポリカルボン酸等とポリオール等とを反応させるポリエステル重合法が挙げられ、具体的には、直接重縮合、エステル交換法等が挙げられ、モノマーの種類によって使い分けられる。
ポリエステルは、例えば、上記ポリオールとポリカルボン酸と、必要に応じて触媒とを、温度計、撹拌機、流下式コンデンサを備えた反応容器に配合し、不活性ガス(窒素ガス等)の存在下、150〜250℃で加熱し、副生する低分子化合物を連続的に反応系外に除去し、所定の分子量に達した時点で反応を停止させ、冷却し、目的とする反応物を取得することによって製造される。
【0022】
本実施形態のトナーにおける結着樹脂の含有量としては、特に制限はないが、トナーの全重量に対し、5〜95重量%であることが好ましく、20〜90重量%であることがより好ましく、40〜85重量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、定着性、保管性、粉体特性、帯電特性等に優れる。
【0023】
(白色顔料)
本実施形態のトナーは、少なくとも異なる2種以上の白色顔料を含有し、前記2種以上の白色顔料の10〜30重量%が、体積平均粒子径が0.01〜1μm、粒度分布が1.1〜1.3、及びBET比表面積が250〜500m2/gである多孔質酸化チタンである。
以下、本実施形態のトナーに使用される多孔質酸化チタン及び多孔質酸化チタン以外の白色顔料について説明する。
【0024】
(多孔質酸化チタン)
本実施形態に使用される多孔質酸化チタンは、好ましくは酸化チタンの一次粒子が集合した略球状の二次粒子である。ここで、「略球状」とは、長径と短径との比(短径/長径)が0.75以上であることを意味する。長径と短径との比が0.75以上であると、青色領域の光が拡散されることなく散乱される。前記二次粒子は、好ましくは一次粒子同士が粗な状態で集合したものであり、多くの孔(空隙)を有する多孔体である。
【0025】
多孔質酸化チタンのBET比表面積は250〜500m2/gである。
BET比表面積が250m2/g未満であると、黄色と補色の関係にある青色領域の光の散乱強度が弱くなり、他の白色顔料の黄色味を低減する青色の発色効果を得ることができない。
また、BET比表面積が500m2/gを超えると、前記一次粒子が粗凝集し、良好な粒度分布を得ることができないため、隠蔽力を得られない。
多孔質酸化チタンのBET比表面積は、300〜500m2/gが好ましく、350〜400m2/gがより好ましい。上記の数値の範囲内であると、隠蔽力を獲得しつつ良好な白色度を実現できるため好ましい。
【0026】
BET比表面積は、トナーから酸化チタンを分離して測定される。分離方法としては、酸化チタンは比重が樹脂や水系媒体より非常に重く、固液分離が容易であるため、それを利用した分離方法を扱う。
例えば、テトラヒドロフラン、トルエンなどに代表される樹脂溶解度の高い溶剤にトナーを添加して(例えば溶剤100gに対してトナー1g入れる)静置させる。1時間後に上澄みを廃棄して、沈殿物を乾燥させる。この時上澄みは溶剤と樹脂溶解物であり、沈殿物は酸化チタンである。
BET比表面積は、窒素置換法によって測定される。例えばSA3100比表面積測定装置(ベックマン・コールター(株)製)を用いて、3点法により測定される。具体的には、測定試料として酸化チタン5gをセルに入れ、60℃、120分の脱気処理を行い、窒素とヘリウムの混合ガス(30:70)を用いて測定する。
【0027】
前記多孔質酸化チタンの体積平均粒子径は0.01〜1μmである。
多孔質酸化チタンの体積平均粒子径が0.01μm未満であると、光を透過し、隠蔽力が低下する。
また、多孔質酸化チタンの体積平均粒子径が1μmを超えると、多孔質酸化チタンをトナー中に含有させることが困難となる。
前記多孔質酸化チタンの体積平均粒子径は、0.015〜0.35μmが好ましく、0.02〜0.30μmがより好ましい。上記の数値の範囲内であると、トナー中に高密度に顔料を含有させ、十分な隠蔽力が得られるため好ましい。
なお、一次粒子となる酸化チタンの体積平均粒子径は、0.001〜0.05μmが好ましい。
なお、多孔質酸化チタンの体積平均粒子径は、上記のようにトナーから多孔質酸化チタンを分離して測定される。
【0028】
前記多孔質酸化チタンの粒度分布は1.1〜1.3である。なお、本実施形態において、多孔質酸化チタンの粒度分布とは、多孔質酸化チタンの体積平均粒度分布指標GSDvを意味する。
多孔質酸化チタンの粒度分布が1.1未満であると、光散乱強度が弱くなるため、十分な発色効果を得られない。
また、多孔質酸化チタンの粒度分布が1.3を超えると、現像以降のトラブルを始めとする画像形成の問題が発生する。
前記多孔質酸化チタンの粒度分布は、1.1〜1.3であり、1.15〜1.25が好ましい。上記の数値の範囲内であると、色むらがなく十分な発色効果を出すため好ましい。
粒度分布は、マルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)等の測定機によって測定される。
ここで、累積頻度が16%、50%、84%のときの体積平均粒子径をそれぞれD16v、D50v、D84vという。そして体積平均粒度分布指標GSDvは下記式により算出する。
GSDv=((D84v/D50v)×(D50v/D16v))1/2
【0029】
前記多孔質酸化チタンの平均円形度は、0.970より大きいことが好ましく、0.970〜0.990であることがより好ましい。上記の数値の範囲内であると、隠蔽力を獲得しつつ良好な白色度を実現できるため好ましい。
多孔質酸化チタンの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置FPIA3000(シスメックス(株)製)により計測できる。具体的な測定方法としては、多孔質酸化チタン分散液を濃度0.1%に希釈したものをセル内投入して測定する。
【0030】
前記多孔質酸化チタンは、その10〜50重量%がアナターゼ型結晶構造であることが好ましく、その20〜40重量%がアナターゼ型結晶構造であることがより好ましい。上記の数値の範囲内であると、チョーキングの発生が抑制されるとともに、上記特定のBET比表面積、体積平均粒子径、及び粒度分布が容易に得られるため好ましい。
多孔質酸化チタンにおけるアナターゼ型結晶の含有量(アナターゼ比率)の測定は、X線回折により測定する。結晶系により格子定数すなわちX線回折の干渉角度が違うことから、この方法でアナターゼ・ルチル混合系の含有率の定量が可能である。
【0031】
前記多孔質酸化チタンの含有量は、本実施形態のトナーに含有される少なくとも異なる2種以上の白色顔料の全体の10〜30重量%である。
多孔質酸化チタンの含有量が10重量%未満であると、十分な隠蔽力が得られない。
また、多孔質酸化チタンの含有量が30重量%を超えると、トナーの比重が重くなってしまい、現像性が悪くなる。
前記多孔質酸化チタンの含有量は、10〜30重量%であり、15〜25重量%が好ましい。上記の数値の範囲内であると、十分な隠蔽力、白色度を達成し、現像性を始めとするその他諸特性に影響がないため好ましい。
【0032】
多孔質酸化チタンの体積平均粒子径が0.01〜1μm、粒度分布が1.1〜1.3、及びBET比表面積が250〜500m2/gであると、青色の光、具体的には400〜500nmの光を高い分光反射率で反射する。
本実施形態における酸化チタンが青色の光を高い分光反射率で反射することは、例えば分光光度計ウルトラスキャン(プライムテック(株)製)で酸化チタン水溶液の波長を測定することにより測定される。
【0033】
多孔質酸化チタンは、例えば、チタン塩の水溶液(チタン塩水溶液)を、脂肪族アルコール及び/又はカルボキシ基もしくはカルボニル基を有する化合物(以下、「脂肪族アルコール等」ともいう。)の存在下で加熱してチタン化合物を加水分解し、その後、酸で加熱処理することにより調製される。
具体的には、チタン塩の水溶液に脂肪族アルコール等を添加し、これを加熱すると白色の沈殿物が形成される。これを酸で加熱処理した後、更にアルカリ処理によりpHを調整し、水洗、乾燥(更に焼成も可)することが好ましい。なお、上記アルカリ処理を省略した場合、収率や品質が低下する。
【0034】
チタン塩水溶液を調製するための出発原料として、硫酸チタン、硫酸チタニル、四塩化チタン等の無機チタン塩の水溶液が使用される。また、出発原料としてチタンテトライソプロポキシド等の有機チタン塩の水溶液も使用される。
チタン塩水溶液の濃度は、0.1〜5mol/Lが好ましい。
【0035】
多孔質酸化チタンの体積平均粒子径やBET比表面積は、チタン塩の水溶液に含まれるチタン化合物を加水分解する際に添加する脂肪族アルコール等の添加量によって調整される。これは、脂肪族アルコールが一次粒子の粒子径や集合状態に影響を及ぼし、その結果、二次粒子である多孔質酸化チタンの体積平均粒子径及び比表面積が変化するためである。
【0036】
脂肪族アルコール等の濃度は、用いる原料や脂肪族アルコール等の種類に応じて適宜決定すればよい。脂肪族アルコール等の添加量が少なすぎると、多孔質酸化チタンの結晶型のアナターゼ比率が小さくなり、BET比表面積も小さくなる。
また、脂肪族アルコール等の添加量が多すぎる場合には、形状が崩れたり、BET比表面積が小さくなる。
例えば、チタン塩として硫酸チタニルを用いた場合にはアナターゼ型の酸化チタンが得られるが、形状やBET比表面積の点などから、脂肪族アルコールの濃度は、チタン塩水溶液中0.1〜5mol/Lが好ましく、0.5〜3mol/Lがより好ましい。
また、チタン塩水溶液として四塩化チタン水溶液を用いた場合には、脂肪族アルコール(例えばグリセリン)の濃度はチタン塩水溶液中1.5〜5mol/Lが好ましく、1.5〜3mol/Lがより好ましい。
なお、上記範囲は後述するカルボキシ基を有する化合物、又は、カルボニル基を有する化合物を併用する場合にはその限りではない。
【0037】
加熱による加水分解をする際に添加される一価の脂肪族アルコールとしては、炭素数1〜22のものが好ましく、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、オクタノール、ステアリルアルコール等が例示される。
酸化チタンの形状を略球状にするためには多価アルコールを用いることが好ましい。
多価アルコールとしては、特に限定されないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルプロパンジオール、ジエチルプロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエチロールプロパン、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、マルチトール等が好適に用いられ、特に好ましくはグリセリンである。
【0038】
一価の脂肪族アルコールを用いても多孔質の二次粒子を形成するが、多価アルコールを用いた場合と比較して、略球状の酸化チタンが形成されにくい。一価の脂肪族アルコールを使用する場合、カルボキシ基を有する化合物、又は、カルボニル基を有する化合物を併用することで、この点は改善される。
【0039】
加熱による加水分解の条件は、用いる原料、脂肪族アルコール等の添加剤の種類や濃度等により適宜決定される。加熱温度は、50〜100℃が好ましい。加熱時間は、1〜12時間が好ましい。
【0040】
本実施形態においては、加熱による加水分解の後、好ましくは酸で加熱処理する。具体的には、加熱による加水分解の後、濾過残分を水中に再懸濁したスラリーに対して酸を添加し、加熱する。このような酸としては、硫酸、硝酸、塩酸等が挙げられ、好ましくは塩酸である。
【0041】
このような酸を添加した加熱処理(酸加熱処理)により、BET比表面積が250m2/g以上の多孔質酸化チタンが調製される。酸加熱処理を行わなかったり、加水分解の際に脂肪族アルコール等を添加しない場合には、BET比表面積の大きい粉体は形成されない。また、酸加熱処理により、酸加熱処理前に比べて粉体の粒子径が小さく、かつ、均一になる。
酸加熱処理における酸の添加量は、スラリー中のチタンに対して1〜8モル当量が好ましい。加熱条件としては、用いる原料、添加剤、濃度等に応じて適宜決定すればよいが、加熱による加水分解の条件と同様の範囲である。
【0042】
本実施形態においては、酸加熱処理の後、反応液(あるいは反応液を濾過・水洗後、水中に再懸濁したスラリー)にアルカリを添加して好ましくはpHを6〜8、より好ましくはpH6.5〜7.5に調整し、中和することが好ましい。使用されるアルカリについては特に限定されないが、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のNa塩、K塩、Ca塩が好ましい。
【0043】
本実施形態においては、脂肪族アルコールとともにカルボキシ基を有する化合物、又は、カルボニル基を有する化合物を共存させると、アナターゼ型の酸化チタンを含有する比率が高くなる傾向がある。
チタン塩水溶液として四塩化チタン水溶液を用いた場合、アナターゼ比率50重量%以下とするためには、脂肪族アルコール1molに対し、酢酸2mol以下を用いることが好ましい。また、カルボキシ基を有する化合物、又は、カルボニル基を有する化合物を併用すると、併用しない場合に比して多孔質酸化チタンの粒子径がより小さくなる傾向がある。また、添加剤の使用量も低減できる。
【0044】
カルボキシ基を有する化合物、又は、カルボニル基を有する化合物としては、特に限定されないが、炭素数1〜22の脂肪族化合物が好ましく、例えば脂肪族カルボン酸又はその誘導体等が挙げられる。
【0045】
脂肪族カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、カプリル酸、ステアリン酸等の一塩基酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸等の二塩基酸の他、それ以上の多塩基酸が挙げられる。誘導体としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、4級アンモニウム塩等の塩、メチルエステル、エチルエステル等のエステル等が代表的であるが、アミノ酸、アミドなども特に支障のない範囲で使用される。また、サリチル酸、安息香酸などの芳香族カルボン酸も挙げられる。
これらのうち、好ましいものとしてカルボン酸、カルボン酸塩が挙げられ、更に好ましいものとして酢酸、シュウ酸、サリチル酸、プロピオン酸、コハク酸、マロン酸、安息香酸が挙げられ、特に好ましいものとして酢酸、プロピオン酸が挙げられる。
【0046】
カルボキシ基を有する化合物、及び、カルボニル基を有する化合物の濃度は、化合物の種類やその他の条件によって適宜決定すればよいが、チタン塩水溶液中0.1〜5mol/Lが好ましく、0.5〜5mol/Lがより好ましい。
【0047】
また、添加剤として、脂肪族アルコールの代わりにカルボキシ基を有する化合物、又は、カルボニル基を有する化合物のみを用いても、多孔質酸化チタンが調製される。この場合、カルボキシ基を有する化合物、又は、カルボニル基を有する化合物として好ましくは、酢酸である。なお、脂肪族アルコールの代わりにカルボキシ基を有する化合物、又は、カルボニル基を有する化合物を用いた場合には、脂肪族アルコールを用いた場合に比べて粒度や形状が劣ることがある。
【0048】
多孔質酸化チタンの製造方法として、四塩化チタン水溶液に、四塩化チタン1molに対してグリセリン1.5〜5molを添加して加熱加水分解し、その後更に酸で加熱処理する方法は特に好ましい。
また、四塩化チタン溶液に、四塩化チタン1molに対してグリセリン0.1〜5molを添加し、更に酢酸をグリセリンに対して2倍mol当量以上添加して加熱加水分解し、その後更に酸で加熱処理する方法も特に好ましい方法の一つである。
【0049】
更に、多孔質酸化チタン粉体に、金属粒子を担持させると、少量の担持量で光触媒能を著しく向上させることができる。
金属としては、酸化チタンに光が照射されて電子と正孔とが生成した際に、電子を捕捉するものが挙げられ、例えば、Au、Pt、Ag、Cu、Pdが好適に用いられる。
金属を担持させる方法としては公知の方法が使用できるが、例えば、光還元法が簡便である。具体的には、多孔質酸化チタンを水に分散し、これに金属塩水溶液を加え、紫外線を照射すればよい。その後、濾過、水洗、乾燥を行って金属担持粉体を得る。
金属塩としては、例えば、硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩、硫酸塩、塩化物などが挙げられる。溶媒としては、水が好適であるが、エタノール、プロパノール等を用いてもよい。なお、溶媒は必要に応じて酸、アルカリによりpH調整を行うことができる。金属担持量としては、本実施形態の効果が発揮されれば特に制限されないが、通常は、担持させようとする粉体に対し金属量で0.01〜2重量%であり、好ましくは0.1〜1重量%である。
紫外線を照射する光源としては、紫外線ランプの他、BLBランプ、キセノンランプ、水銀灯、蛍光灯など、紫外線を含む光を照射できるものであれば使用可能である。紫外線照射の際には、反応液に紫外線が十分照射できるよう、照射位置や時間等を設定する。
【0050】
(多孔質酸化チタン以外の白色顔料)
本実施形態のトナーは、上記多孔質酸化チタン以外の白色顔料を含有する。多孔質酸化チタン以外の白色顔料としては、特に限定されるものではないが、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン、ブロッカイト型酸化チタン等が例示される。中でも、光触媒作用が小さくチョーキングが発生し難く、耐光性に優れる点で、ルチル型酸化チタンが好ましい。
ルチル型酸化チタンと多孔質酸化チタンとを併用する場合、両者の重量比としては、ルチル型酸化チタン:多孔質酸化チタン=90:10〜70:30であることが好ましく、85:15〜75:25であることがより好ましい。上記の数値の範囲内であると、チョーキングの発生を抑制しつつ、ルチル型酸化チタンの黄色味を低減する多孔質酸化チタンによる青色の発色効果を得ることができるため好ましい。
【0051】
本実施形態のトナーに含有される2種以上の白色顔料の総含有量は、トナーの全重量に対し、5〜50重量%であることが好ましく、20〜40重量%であることがより好ましい。50重量%以下であると、トナーの硬さが低く抑えられ、画像のひび割れが防止される。5重量%以上であると、十分な隠蔽力が得られる。
【0052】
(離型剤)
本実施形態のトナーは、離型剤を含有することが好ましい。
本実施形態に用いられる離型剤は、特に制限はなく、公知のものが用いられ、例えば、パラフィンワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュワックス及びその誘導体、ポリオレフィンワックス及びその誘導体等が挙げられる。誘導体とは酸化物、ビニルモノマーとの重合体、グラフト変性物を含む。この他に、アルコール、脂肪酸、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、エステルワックス、酸アミド等も用いられる。
【0053】
離型剤として用いられるワックスは、70〜140℃のいずれかの温度で溶融しかつ1〜200センチポアズの溶融粘度を示すことが好ましく、1〜100センチポアズの溶融粘度を示すことがより好ましい。溶融する温度が70℃以上であると、ワックスの変化温度が十分高く、耐ブロッキング性、及び、画像形成装置内の温度が高まった時に現像性に優れる。140℃以下であると、ワックスの変化温度が十分低く、高温での定着を行う必要がなく、省エネルギー性に優れる。また、溶融粘度が200センチポアズ以下であると、トナーからの溶出が適度であり、定着剥離性に優れる。
【0054】
離型剤の含有量としては、トナーの全重量に対し、3〜60重量%であることが好ましく、5〜40重量%であることがより好ましく、7〜20重量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、トナーの加熱部材へのオフセットの防止性により優れるとともに、フィードロール汚染の防止性に優れる。
【0055】
(内添剤)
本実施形態において、トナー内部に内添剤を添加してもよい。内添剤は一般に定着画像の粘弾性制御の目的で使用される。
前記内添剤の具体例としては、シリカのような無機粒子や、ポリメチルメタクリレート等の有機粒子などが例示され、また、分散性を高める目的で表面処理されていてもよい。またそれらは単独でも、2種以上の内添剤を併用してもよい。
【0056】
(外添剤)
本実施形態において、トナーには流動化剤や帯電制御剤等の外添剤を添加処理してもよい。
外添剤としては、表面をシランカップリング剤などで処理したシリカ粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子等の無機粒子やポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポリマー粒子、アミン金属塩、サリチル酸金属錯体等、公知の材料が用いられる。本実施形態に用いられる外添剤は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0057】
(トナーの形状)
本実施形態のトナーの体積平均粒子径は、2〜9μmが好ましく、3〜7μmがより好ましい。上記範囲であると、帯電性、及び、現像性に優れる。
また、本実施形態のトナーは、体積平均粒度分布指標GSDvが1.30以下であることが好ましい。体積平均粒度分布指標GSDvが1.30以下であると、粒状性や帯電維持性に優れる。
なお、本実施形態において、トナーの粒子径や、上記した体積平均粒度分布指標GSDvの値は、次のようにして測定し算出した。まず、マルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)等の測定機を用いて測定されたトナーの粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、個々のトナー粒子の体積について小径側から累積分布を描き、累積16%となる粒子径を、体積平均粒子径D16vと定義し、累積50%となる粒子径を、体積平均粒子径D50vと定義する。同様に、累積84%となる粒子径を、体積平均粒子径D84vと定義する。この際、体積平均粒度分布指標(GSDv)は、D84v/D16vとして定義されるこれらの関係式を用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)を算出される。
【0058】
また、本実施形態のトナーは、形状係数SF1(=((トナー径の絶対最大長)2/トナーの投影面積)×(π/4)×100)が、110〜160の範囲が好ましく、125〜140の範囲がより好ましい。形状係数SF1の値は、トナーの丸さを示すものであり、真球の場合は100となり、トナーの形状が不定形になるに従って増大する。
形状係数SF1が110以上であると、画像形成の際に転写工程での残存トナーの発生が抑制され、ブレード等によりクリーニングする際のクリーニング性に優れる。
一方、形状係数SF1が160以下であると、トナーを現像剤として使用する場合に、現像機内でのキャリアとの衝突によりトナーの破壊が防止され、結果として微粉の発生を抑制し、これによってトナー表面に露出した離型剤成分により感光体表面等が汚染されることを防ぎ、帯電特性に優れるばかりでなく、微粉に起因するかぶりの発生等が抑制される。
【0059】
形状係数SF1を用いた算出に際して必要となる値、すなわち、トナー径の絶対最大長、トナーの投影面積は光学顕微鏡((株)ニコン製、Microphoto−FXA)を用いて倍率500倍に拡大したトナー粒子像を撮影し、得られた画像情報を、インターフェースを介して、例えば、(株)ニレコ製画像解析装置(LuzexIII)に導入して画像解析を行って求められる。なお、形状係数SF1の平均値は、無作為にサンプリングした1,000個のトナー粒子を測定して得られたデータを元にして算出される。
【0060】
(静電荷像現像用トナーの製造方法)
本実施形態のトナーの製造方法は特に限定されるものではなく、混練粉砕法等の乾式法や、溶融懸濁法、乳化凝集法、溶解懸濁法等の湿式法が挙げられる。中でも、乳化凝集法で製造することが好ましい。
【0061】
乳化凝集法とは、トナー母粒子に含まれる成分(結着樹脂、離型剤、白色顔料等)を含む分散液(乳化液)をそれぞれ調製し、これらの分散液を混合してトナー母粒子に含まれる成分同士を凝集させて凝集粒子を作り、その後、凝集粒子を結着樹脂の融点融解温度又はガラス転移温度以上に加熱して凝集粒子を熱融合させる方法である。
乳化凝集法は、乾式法である混錬粉砕法や、他の湿式法である溶融懸濁法、溶解懸濁法等に比べ、小粒子径のトナー母粒子を作製しやすく、また粒度分布の狭いトナー母粒子を得やすい。また、溶融懸濁法、溶解懸濁法等に比べ形状制御が容易であり、均一な不定形トナー母粒子が作製される。更に、被膜形成など、トナー母粒子の構造制御が容易であり、離型剤や結晶性ポリエステル樹脂を含有する場合は、これらの表面露出が抑制されるため、帯電性や保存性の悪化が防止される。
【0062】
次に、乳化凝集法の製造工程について詳述する。
乳化凝集法は、少なくとも、トナー母粒子を構成する原料を粒子化し、各原料が分散された分散液を調製する分散工程と、原料の粒子の凝集体を形成する凝集工程と、該凝集体を融合させる融合工程とを有する。以下、乳化凝集法によるトナー母粒子の製造工程の一例について、工程別に説明する。
【0063】
〔分散工程〕
樹脂粒子分散液、離型剤粒子分散液の作製法としては転相乳化法、溶融乳化法などが挙げられる。以下、結着樹脂を例に説明する。
転相乳化法では、分散すべき結着樹脂を、その結着樹脂が可溶な疎水性の有機溶剤中に溶解し、有機連続相(Oil相;O)に塩基を加えて、中和する。その後、水系媒体(Water相;W)を投入することによって、Water in Oil(W/O)の系を、Oil in Water(O/W)の系にすることで、有機連続相に存在した結着樹脂を不連続相に転相する。これによって、結着樹脂を、水系媒体中に粒子状に分散安定化し、樹脂粒子分散液(乳化液)が作製される。
【0064】
溶融乳化法では、水系媒体と結着樹脂とを混合した溶液に、分散機により剪断力を与えることにより乳化液が作製される。その際、加熱して結着樹脂の粘性を下げることにより、樹脂粒子が形成される。また、分散した樹脂粒子を安定化するため、分散剤を使用してもよい。更に、結着樹脂が油性であり、水への溶解度の比較的低いものである場合には、結着樹脂の溶解する溶剤に溶かして水中に分散剤や高分子電解質とともに分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂粒子分散液(乳化液)を作製してもよい。
【0065】
前記溶融乳化法による乳化液の調製に用いる分散機としては、例えば、ホモジナイザー、ホモミキサー、加圧ニーダー、エクストルーダー、メディア分散機等が挙げられる。
【0066】
前記水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水;アルコール類;などが挙げられるが、水のみであることが好ましい。
【0067】
また、分散工程に使用される分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウムの等の水溶性高分子;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤等の界面活性剤等が挙げられる。これらのうち、洗浄の容易性や環境適正の観点からアニオン界面活性剤が使用される。
【0068】
前記分散工程における樹脂粒子分散液(乳化液)に含まれる樹脂粒子の含有量は、10〜50重量%が好ましく、20〜40重量%がより好ましい。前記含有量が10重量%以上であれば、粒度分布が過度に広がることがない。また50重量%以下であれば、ばらつきのない撹拌をすることができ、粒度分布の狭い、特性の揃ったトナー母粒子が得られる。
【0069】
樹脂粒子の体積平均粒子径は、0.08〜0.8μmの範囲が好ましく、0.09〜0.6μmがより好ましく、0.10〜0.5μmが更に好ましい。0.08μm以上であれば、樹脂粒子が凝集しやすい。また0.8μm以下であれば、トナー母粒子の粒子径分布が広がりにくく、また乳化粒子の沈殿が抑制されるため、樹脂粒子分散液の保存性が向上する。
【0070】
次に説明する凝集工程に入る前に、結着樹脂以外のトナー母粒子の成分である離型剤や白色顔料等を分散させた分散液も作製しておくとよい。
また、各成分に対応して分散液を調製する方法だけでなく、例えば、ある成分の分散液を調製する際、溶媒に他の成分を添加して2以上の成分を同時に乳化し、分散液に複数の成分が含まれるようにしてもよい。
【0071】
〔凝集工程〕
凝集工程においては、前記分散工程で得た樹脂粒子分散液、離型剤分散液、白色顔料の分散液等を混合して混合液とし、結着樹脂のガラス転移温度以下の温度で加熱して凝集させ、凝集粒子を形成する。凝集粒子の形成は、撹拌下、混合液のpHを酸性にすることによって行う。pHとしては、2〜7の範囲が好ましく、2.2〜6の範囲がより好ましく、2.4〜5の範囲が更に好ましい。
【0072】
凝集粒子を形成する際に、凝集剤を使用することも有効である。凝集剤は、前記分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩の他、2価以上の金属錯体が好適に用いられる。金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に好ましい。
【0073】
前記無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。その中でも特に、アルミニウム塩及びその重合体が好適である。より狭い粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適している。
【0074】
また、前記凝集粒子が所望の粒子径になったところで、樹脂粒子を追添加することで、コア凝集粒子の表面を結着樹脂で被覆した構成のトナー母粒子を作製してもよい。この場合、離型剤や結晶性ポリエステル樹脂がトナー母粒子表面に露出しにくくなるため、帯電性や保存性の観点で好ましい。追添加する場合、追添加前に凝集剤を添加したり、pH調整を行ってもよい。
【0075】
〔融合工程〕
融合工程においては、前記凝集工程に準じた撹拌条件下で、凝集粒子の懸濁液のpHを4〜8の範囲に上昇させることにより凝集の進行を止め、結着樹脂のガラス転移温度以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。pHを上昇させるために使用するアルカリ溶液としてはNaOH水溶液が好ましい。NaOH水溶液は、他のアルカリ溶液である、例えばアンモニア溶液に比して、揮発性が低く、安全性が高い。またCa(OH)2などの2価のアルカリ溶液に比して、水への溶解性に優れ、必要な添加量が少なく、また、凝集の停止能力に優れる。
【0076】
前記加熱の時間としては、粒子間での融合が行われる程度に時間をかければよく、0.5〜10時間が好ましい。凝集粒子の融合後に冷却し、融合粒子を得る。また冷却の工程で、離型剤や結着樹脂の融解温度近傍(融解温度±10℃の範囲)で冷却速度を上げる、いわゆる急冷をすることで離型剤や結着樹脂の再結晶化を抑制して表面露出を抑制してもよい。
以上の工程を経て、融合粒子としてトナー母粒子が得られる。
【0077】
本実施形態に用いられるトナー母粒子は、混練粉砕法によっても作製される。
混練粉砕法でトナー母粒子を作製するためには、例えば、結着樹脂、離型剤、酸化チタン等を、例えば、加圧ニーダー、ロールミル、エクストルーダー等により、溶融混練して分散し、冷却後に、ジェットミル等により微粉砕化し、分級機、例えば、風力分級機等により分級して目的とする粒子径のトナー母粒子を調製する方法が用いられる。
【0078】
(2)静電荷像現像剤
本実施形態の静電荷像現像剤は、本実施形態のトナーを含有すること以外は、特に制限はなく、目的に応じて適宜の成分組成を取り得る。本実施形態においては、キャリアと組み合わせて用いる二成分系の静電荷像現像剤として調製されることが好ましい。
【0079】
(キャリア)
キャリアの芯材としては、例えば、鉄、鋼、ニッケル、コバルト等の磁性金属、これらとマンガン、クロム、希土類等との合金、及び、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられるが、芯材表面性、芯材抵抗の観点から、フェライト、特にマンガン、リチウム、ストロンチウム、マグネシウム等との合金が好ましく挙げられる。
【0080】
本実施形態で用いるキャリアは、芯材表面に樹脂を被覆してなることが好ましい。前記樹脂としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択される。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル及びポリビニルケトン等のポリビニル系樹脂及びポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂又はその変性品;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素系樹脂;シリコーン樹脂;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;フェノール樹脂;尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂、等のそれ自体公知の樹脂が挙げられる。
【0081】
前記樹脂による被膜は、前記樹脂中に樹脂粒子及び/又は導電性粒子が分散されていることが好ましい。前記樹脂粒子としては、例えば、熱可塑性樹脂粒子、熱硬化性樹脂粒子等が挙げられる。これらの中でも、比較的硬度を上げることが容易な観点から熱硬化性樹脂が好ましく、トナーに負帯電性を付与する観点からは、N原子を含有する含窒素樹脂による樹脂粒子が好ましい。なお、これらの樹脂粒子は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記樹脂粒子の平均粒子径としては、0.1〜2μmが好ましく、0.2〜1μmがより好ましい。前記樹脂粒子の平均粒子径が0.1μm以上であると、前記被膜における樹脂粒子の分散性に優れ、一方、2μm以下であると、前記被膜から樹脂粒子の脱落が生じにくい。
【0082】
前記導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属粒子、カーボンブラック粒子、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム粉末等の表面を酸化スズ、カーボンブラック、金属等で覆った粒子等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、製造安定性、コスト、導電性等が良好な点で、カーボンブラック粒子が好ましい。前記カーボンブラックの種類としては、特に制限はないが、DBP吸油量が50〜250ml/100gであるカーボンブラックが製造安定性に優れて好ましい。芯材表面への、前記樹脂、前記樹脂粒子、前記導電性粒子による被覆量は、0.5〜5.0重量%であることが好ましく、0.7〜3.0重量%であることがより好ましい。
【0083】
前記被膜を形成する方法としては、特に制限はないが、例えば、前記樹脂粒子及び/又は前記導電性粒子と、マトリックス樹脂としてのスチレンアクリル樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂等の前記樹脂とを溶剤中に含む被膜形成用液を用いる方法等が挙げられる。
具体的には前記キャリア芯材を、前記被膜形成用液に浸漬する浸漬法、被膜形成用液を前記キャリア芯材の表面に噴霧するスプレー法、前記キャリア芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で前記被膜形成用液を混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。これらの中でも、本実施形態において、ニーダーコーター法が好ましい。
【0084】
前記被膜形成用液に用いる溶剤としては、マトリックス樹脂としての前記樹脂のみを溶解することが可能なものであれば、特に制限はなく、それ自体公知の溶剤の中から選択され、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類等が挙げられる。前記被膜に前記樹脂粒子が分散されている場合において、その厚み方向及びキャリア表面の接線方向に、前記樹脂粒子及びマトリックス樹脂としての前記粒子が均一に分散しているため、前記キャリアを長期間使用して前記被膜が摩耗したとしても、常に未使用時と同様な表面形成を保持できる。そのため、前記トナーに対する良好な帯電付与能力が長期間にわたって維持される。また、前記被膜に前記導電性粒子が分散されている場合においては、その厚み方向及びキャリア表面の接線方向に、前記導電性粒子及びマトリックス樹脂としての前記樹脂が均一に分散しているため、前記キャリアを長期間使用して前記被膜が摩耗したとしても、常に未使用時と同様な表面形成を保持でき、キャリア劣化が長期間防止される。なお、前記被膜に前記樹脂粒子と前記導電性粒子とが分散されている場合において、上述の効果が同時に発揮される。
【0085】
以上のように形成されたキャリア全体の104V/cmの電界下における磁気ブラシの状態での電気抵抗は108〜1013Ωcmであることが好ましい。キャリアの該電気抵抗が108Ωcm以上であると、像保持体上の画像部にキャリアの付着が抑制され、また、ブラシマークが出にくい。一方、キャリアの該電気抵抗が1013Ωcm以下であると、エッジ効果の発生が抑制され、良好な画質が得られる。
なお、体積固有抵抗は以下のように測定する。
エレクトロメーター(KEITHLEY社製、商品名:KEITHLEY 610C)及び高圧電源(FLUKE社製、商品名:FLUKE 415B)と接続された一対の20cm2の円形の極板(鋼製)である測定治具の下部極板上に、サンプルを厚さ1〜3mmの平坦な層を形成するように載置する。次いで上部極板をサンプルの上にのせた後、サンプル間の空隙をなくすため、上部極板上に4Kgの重しをのせる。この状態でサンプル層の厚さを測定する。次いで、両極板に電圧を印加することにより電流値を測定し、次式に基づいて体積固有抵抗を計算する。
体積固有抵抗=印加電圧×20÷(電流値−初期電流値)÷サンプル厚
上記式中、初期電流は印加電圧0のときの電流値であり、電流値は測定された電流値を示す。
【0086】
二成分系の静電荷像現像剤における本実施形態のトナーとキャリアとの混合割合は、キャリア100重量部に対して、トナー2〜10重量部であることが好ましい。また、現像剤の調製方法は、特に限定されないが、例えば、Vブレンダー等で混合する方法等が挙げられる。
【0087】
(3)画像形成方法
また、静電荷像現像剤(静電荷像現像用トナー)は、静電荷像現像方式(電子写真方式)の画像形成方法に使用される。
本実施形態の画像形成方法は、像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、前記トナー像を被転写体表面に転写する転写工程、及び、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着工程、を含み、前記現像剤として、本実施形態の静電荷像現像用トナー又は本実施形態の静電荷像現像剤を用いることを特徴とする。
【0088】
本実施形態の画像形成方法における前記各工程は、それ自体一般的な工程であり、例えば、特開昭56−40868号公報、特開昭49−91231号公報等に記載されている。
【0089】
前記帯電工程は、像保持体を帯電させる工程である。
前記潜像形成工程は、像保持体表面に静電潜像を形成する工程である。
前記現像工程は、前記像保持体表面に形成された前記静電潜像を本実施形態の静電荷像現像用トナー又は本実施形態の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する工程である。
前記転写工程は、前記トナー像を被転写体上に転写する工程である。
前記定着工程は、加熱部材と加圧部材との間に未定着の前記トナー像が形成された前記被転写体を通過させ前記トナー像を定着する工程である。
【0090】
(4)画像形成装置
本実施形態の画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体表面に静電潜像を形成させる露光手段と、トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記像保持体から被転写体表面に転写する転写手段と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有し、前記現像剤として、本実施形態の静電荷像現像用トナー又は本実施形態の静電荷像現像剤を用いることを特徴とする。
【0091】
前記像保持体、及び、前記の各手段は、前記の画像形成方法の各工程で述べた構成を好ましく用いられる。
前記の各手段は、いずれも画像形成装置において公知の手段が利用される。また、本実施形態で用いる画像形成装置は、前記した構成以外の手段や装置等を含むものであってもよい。また、本実施形態で用いる画像形成装置は前記した手段のうちの複数を同時に行ってもよい。
【0092】
(5)トナーカートリッジ及びプロセスカートリッジ
本実施形態のトナーカートリッジは、画像形成装置に着脱可能であり、少なくとも本実施形態の静電荷像現像用トナーを収容することを特徴とする。本実施形態のトナーカートリッジは、本実施形態の静電荷像現像用トナーを静電荷像現像剤として収納していてもよい。
また、本実施形態のプロセスカートリッジは、少なくとも現像剤保持体を備え、画像形成装置に着脱可能であり、本実施形態の静電荷像現像剤を収容することを特徴とする。本実施形態のプロセスカートリッジは、像保持体表面上に形成された静電潜像を前記静電荷像現像用トナー又は前記静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段、像保持体、前記像保持体表面を帯電させるための帯電手段、及び、前記像保持体表面に残存したトナーを除去するためのクリーニング手段よりなる群から選ばれる少なくとも1種を備えることが好ましい。
【0093】
本実施形態のトナーカートリッジは、画像形成装置に着脱可能である。トナーカートリッジが着脱可能な構成を有する画像形成装置において、本実施形態のトナーを収納した本実施形態のトナーカートリッジが好適に使用される。
また、トナーカートリッジは、トナー及びキャリアを収納するカートリッジであってもよく、トナーを単独で収納するカートリッジとキャリアを単独で収納するカートリッジとを別体としたものでもよい。
【0094】
本実施形態のプロセスカートリッジは、画像形成装置に着脱可能である。
また、本実施形態のプロセスカートリッジは、その他必要に応じて、除電手段等、その他の部材を含んでもよい。
トナーカートリッジ及びプロセスカートリッジとしては、公知の構成を採用してもよく、例えば、特開2008−209489号公報、及び、特開2008−233736号公報等が参照される。
【実施例】
【0095】
以下、実施例により詳細に本実施形態を説明するが、何ら本実施形態を限定するものではない。なお、以下の記載における「部」及び「%」は、特に断りのない限り「重量部」及び「重量%」を示すものとする。
【0096】
<結着樹脂の合成>
−非晶性ポリエステル樹脂(1)−
・ビスフェノールAエチレンオキサイド(EO):10モル%
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド(PO):90モル%
・テレフタル酸:10モル%
・フマル酸:40モル%
・ドデセニルコハク酸(DSA):25モル%
以上成分を240℃で6時間加熱反応して、非晶性ポリエステル樹脂(1)を得た。この非晶性ポリエステル樹脂は、ガラス転移温度Tg=60℃、重量平均分子量19,000であった。
【0097】
<樹脂粒子分散液の調製>
非晶性ポリエステル樹脂(1)300部を酢酸エチル96部及び2−プロパノール96部とともにフラスコに秤量し、ウォーターバス(IWB.100、アズワン(株)製)で60℃に加熱し、撹拌機(BL600、HEIDON社製)により回転数20rpmで撹拌しながら溶融した。溶融完了後、10%アンモニア水溶液を16.5部をスポイトで滴下しながら徐々に加えた後、イオン交換水1,500部を定量送液ポンプ(MP−3N、EYELA社製)を使用して、滴下速度7〜8g/分を保ちながら徐々に滴下していき、同時に撹拌速度を100rpmに変更して撹拌した。
3時間後、イオン交換水700部の滴下が終了したところで、窒素フローを行い、樹脂分散液中の酢酸エチル除去を行った。1時間後、酢酸エチルの除去が終了したところでフラスコをウォーターバスから外し、室温で冷却した。樹脂分散液が室温にまで冷却したところでナスフラスコに移し変え、ウォーターバス(B−480、SHIBATA社製)で40℃に加熱しながら、エバポレーター(RotavaporR−114、SHIBATA社製)、バキュームコントローラー(NVC−1100、EYELA社製)を用いて、2−プロパノールの除去を行い、平均粒子径110nmの非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を得た。
【0098】
<離型剤分散液の調製>
・パラフィンワックス(日本精鑞(株)製):50部
・イオン性界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬(株)製):1.0部
・イオン交換水:200部
以上の成分を混合して95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックスT50)にて分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザー(ゴーリン社製)で110℃に加温して分散処理を5時間行い、体積平均粒子径200nm、固形分濃度が20重量%の離型剤分散液を得た。
【0099】
<白色顔料分散液(1)の調製>
1mol/Lの四塩化チタン水溶液100mLに、0.15molのグリセリンを添加し、90℃で3時間加熱した後、ろ過した。得られた白色粉体を100mLのイオン交換水に分散し、0.4molの塩酸を加えて、再度90℃で3時間加熱した。水酸化ナトリウムによりpH7に調整した後、ろ過水洗、乾燥(105℃、12時間)して酸化チタン粉体を得た。
得られた酸化チタン粉体は、X線回折により、結晶型のアナターゼ比率が約50重量%であった。なお、残りの結晶型はルチル型であった。また、透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察したところ、体積平均粒子径約100nm、粒度分布1.25の酸化チタンであり、3.5nmの細孔を有し、BET比表面積が385m2/gであり、平均円形度が0.980である多孔質体であった。
こうして、多孔質酸化チタン(1)を得た。
・多孔質酸化チタン(1):60部
・ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製):5部
・イオン交換水:240部
以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間撹拌し、その後、アルティマイザーにて10分間分散処理し白色顔料分散液(1)(固形分濃度:20重量%)を調製した。
【0100】
<白色顔料分散液(2)の調製>
1mol/Lの四塩化チタン水溶液100mLに、0.15molのグリセリンを添加し、80℃で2時間加熱した後、ろ過した。得られた白色粉体を100mLのイオン交換水に分散し、0.4molの塩酸を加えて、再度80℃で2時間加熱した。水酸化ナトリウムによりpH7に調整した後、ろ過水洗、乾燥(105℃、12時間)して酸化チタン粉体を得た。
得られた酸化チタン粉体は、X線回折により、結晶型のアナターゼ比率が約50重量%であった。なお、残りの結晶型はルチル型であった。また、TEMにて観察したところ、体積平均粒子径約10nm、粒度分布1.25の酸化チタンであり、0.4nmの細孔を有し、BET比表面積が385m2/gであり、平均円形度が0.980の多孔質体であった。
こうして、多孔質酸化チタン(2)を得た。
・多孔質酸化チタン(2):60部
・ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製):5部
・イオン交換水:240部
以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間撹拌し、その後、アルティマイザーにて10分間分散処理し白色顔料分散液(2)(固形分濃度:20重量%)を調製した。
【0101】
<白色顔料分散液(3)の調製>
1mol/Lの四塩化チタン水溶液100mLに、0.15molのグリセリンを添加し、95℃で4時間加熱した後、ろ過した。得られた白色粉体を100mLのイオン交換水に分散し、0.4molの塩酸を加えて、再度95℃で4時間加熱した。水酸化ナトリウムによりpH7に調整した後、ろ過水洗、乾燥(105℃、12時間)して酸化チタン粉体を得た。
得られた酸化チタン粉体は、X線回折により、結晶型のアナターゼ比率が約50重量%であった。なお、残りの結晶型はルチル型であった。また、TEMにて観察したところ、体積平均粒子径約1,000nm、粒度分布1.25の酸化チタンであり、30nmの細孔を有し、BET比表面積が385m2/gであり、平均円形度が0.98の多孔質体であった。
こうして、多孔質酸化チタン(3)を得た。
・多孔質酸化チタン(3):60部
・ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製):5部
・イオン交換水:240部
以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間撹拌し、その後、アルティマイザーにて10分間分散処理し白色顔料分散液(3)(固形分濃度:20重量%)を調製した。
【0102】
<白色顔料分散液(4)の調製>
1mol/Lの四塩化チタン水溶液100mLに、0.15molのグリセリンを添加し、85℃で5時間加熱した後、ろ過した。得られた白色粉体を100mLのイオン交換水に分散し、0.4molの塩酸を加えて、再度80℃で5時間加熱した。水酸化ナトリウムによりpH7に調整した後、ろ過水洗、乾燥(105℃、12時間)して酸化チタン粉体を得た。
得られた酸化チタン粉体は、X線回折により、結晶型のアナターゼ比率が約50重量%であった。なお、残りの結晶型はルチル型であった。また、TEMにて観察したところ、体積平均粒子径約100nm、粒度分布1.25の酸化チタンであり、3.5nmの細孔を有し、BET比表面積が250m2/gであり、平均円形度が0.985の多孔質体であった。
こうして、多孔質酸化チタン(4)を得た。
・多孔質酸化チタン(4):60部
・ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製):5部
・イオン交換水:240部
以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間撹拌し、その後、アルティマイザーにて10分間分散処理し白色顔料分散液(4)(固形分濃度:20重量%)を調製した。
【0103】
<白色顔料分散液(5)の調製>
1mol/Lの四塩化チタン水溶液100mLに、0.15molのグリセリンを添加し、90℃で2時間加熱した後、ろ過した。得られた白色粉体を100mLのイオン交換水に分散し、0.4molの塩酸を加えて、再度95℃で2時間加熱した。水酸化ナトリウムによりpH7に調整した後、ろ過水洗、乾燥(105℃、12時間)して酸化チタン粉体を得た。
得られた酸化チタン粉体は、X線回折により、結晶型のアナターゼ比率が約50重量%であった。なお、残りの結晶型はルチル型であった。また、TEMにて観察したところ、体積平均粒子径約100nm、粒度分布1.25の酸化チタンであり、3.5nmの細孔を有し、BET比表面積が500m2/gであり、平均円形度が0.975の多孔質体であった。
こうして、多孔質酸化チタン(5)を得た。
・多孔質酸化チタン(5):60部
・ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製):5部
・イオン交換水:240部
以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間撹拌し、その後、アルティマイザーにて10分間分散処理し白色顔料分散液(5)(固形分濃度:20重量%)を調製した。
【0104】
<白色顔料分散液(6)の調製>
1mol/Lの四塩化チタン水溶液100mLに、0.15molのグリセリンを添加し、85℃で6時間加熱した後、ろ過した。得られた白色粉体を100mLのイオン交換水に分散し、0.4molの塩酸を加えて、再度90℃で5時間加熱した。水酸化ナトリウムによりpH7に調整した後、ろ過水洗、乾燥(105℃、12時間)して酸化チタン粉体を得た。
得られた酸化チタン粉体は、X線回折により、結晶型のアナターゼ比率が約50重量%であった。なお、残りの結晶型はルチル型であった。また、TEMにて観察したところ、体積平均粒子径約50nm、粒度分布1.10の酸化チタンであり、3.5nmの細孔を有し、BET比表面積が250m2/gであり、平均円形度が0.985の多孔質体であった。
こうして、多孔質酸化チタン(6)を得た。
・多孔質酸化チタン(6):60部
・ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製):5部
・イオン交換水:240部
以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間撹拌し、その後、アルティマイザーにて10分間分散処理し白色顔料分散液(6)(固形分濃度:20重量%)を調製した。
【0105】
<白色顔料分散液(7)の調製>
1mol/Lの四塩化チタン水溶液100mLに、0.15molのグリセリンを添加し、90℃で3時間加熱した後、ろ過した。得られた白色粉体を100mLのイオン交換水に分散し、1.0molの塩酸を加えて、再度90℃で3時間加熱した。水酸化ナトリウムによりpH7に調整した後、ろ過水洗、乾燥(105℃、12時間)して酸化チタン粉体を得た。
得られた酸化チタン粉体は、X線回折により、結晶型のアナターゼ比率が約8重量%であった。なお、残りの結晶型はルチル型であった。また、TEMにて観察したところ、体積平均粒子径約100nm、粒度分布1.25の酸化チタンであり、3.5nmの細孔を有し、BET比表面積が380m2/gであり、平均円形度が0.98の多孔質体であった。
こうして、多孔質酸化チタン(7)を得た。
・多孔質酸化チタン(7):60部
・ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製):5部
・イオン交換水:240部
以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間撹拌し、その後、アルティマイザーにて10分間分散処理し白色顔料分散液(7)(固形分濃度:20重量%)を調製した。
【0106】
<白色顔料分散液(8)の調製>
1mol/Lの四塩化チタン水溶液100mLに、0.15molのグリセリンを添加し、90℃で3時間加熱した後、ろ過した。得られた白色粉体を100mLのイオン交換水に分散し、0.8molの塩酸を加えて、再度90℃で3時間加熱した。水酸化ナトリウムによりpH7に調整した後、ろ過水洗、乾燥(105℃、12時間)して酸化チタン粉体を得た。
得られた酸化チタン粉体は、X線回折により、結晶型のアナターゼ比率が約10重量%であった。なお、残りの結晶型はルチル型であった。また、TEMにて観察したところ、体積平均粒子径約100nm、粒度分布1.25の酸化チタンであり、3.5nmの細孔を有し、BET比表面積が380m2/gであり、平均円形度が0.980の多孔質体であった。
こうして、多孔質酸化チタン(8)を得た。
・多孔質酸化チタン(8):60部
・ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製):5部
・イオン交換水:240部
以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間撹拌し、その後、アルティマイザーにて10分間分散処理し白色顔料分散液(8)(固形分濃度:20重量%)を調製した。
【0107】
<白色顔料分散液(9)の調製>
1mol/Lの四塩化チタン水溶液100mLに、0.15molのグリセリンを添加し、90℃で3時間加熱した後、ろ過した。得られた白色粉体を100mLのイオン交換水に分散し、0.3molの塩酸を加えて、再度90℃で3時間加熱した。水酸化ナトリウムによりpH7に調整した後、ろ過水洗、乾燥(105℃、12時間)して酸化チタン粉体を得た。
得られた酸化チタン粉体は、X線回折により、結晶型のアナターゼ比率が約50重量%であった。なお、残りの結晶型はルチル型であった。また、TEMにて観察したところ、体積平均粒子径約100nm、粒度分布1.25の酸化チタンであり、3.5nmの細孔を有し、BET比表面積が380m2/gであり、平均円形度が0.980の多孔質体であった。
こうして、多孔質酸化チタン(9)を得た。
・多孔質酸化チタン(9):60部
・ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製):5部
・イオン交換水:240部
以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間撹拌し、その後、アルティマイザーにて10分間分散処理し白色顔料分散液(9)(固形分濃度:20重量%)を調製した。
【0108】
<白色顔料分散液(10)の調製>
1mol/Lの四塩化チタン水溶液100mLに、0.15molのグリセリンを添加し、90℃で3時間加熱した後、ろ過した。得られた白色粉体を100mLのイオン交換水に分散し、0.2molの塩酸を加えて、再度90℃で3時間加熱した。水酸化ナトリウムによりpH7に調整した後、ろ過水洗、乾燥(105℃、12時間)して酸化チタン粉体を得た。
得られた酸化チタン粉体は、X線回折により、結晶型のアナターゼ比率が約55重量%であった。なお、残りの結晶型はルチル型であった。また、TEMにて観察したところ、体積平均粒子径約100nm、粒度分布1.25の酸化チタンであり、3.5nmの細孔を有し、BET比表面積が380m2/gであり、平均円形度が0.980の多孔質体であった。
こうして、多孔質酸化チタン(10)を得た。
・多孔質酸化チタン(10):60部
・ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製):5部
・イオン交換水:240部
以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間撹拌し、その後、アルティマイザーにて10分間分散処理し白色顔料分散液(10)(固形分濃度:20重量%)を調製した。
【0109】
<白色顔料分散液(11)の調製>
1mol/Lの四塩化チタン水溶液100mLに、0.15molのグリセリンを添加し、80℃で1.5時間加熱した後、ろ過した。得られた白色粉体を100mLのイオン交換水に分散し、0.4molの塩酸を加えて、再度75℃で2時間加熱した。水酸化ナトリウムによりpH7に調整した後、ろ過水洗、乾燥(105℃、12時間)して酸化チタン粉体を得た。
得られた酸化チタン粉体は、X線回折により、結晶型のアナターゼ比率が約50重量%であった。なお、残りの結晶型はルチル型であった。また、TEMにて観察したところ、体積平均粒子径約50nm、粒度分布1.25の酸化チタンであり、0.2nmの細孔を有し、BET比表面積が400m2/gであり、平均円形度が0.980の多孔質体であった。
こうして、多孔質酸化チタン(11)を得た。
・多孔質酸化チタン(11):60部
・ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製):5部
・イオン交換水:240部
以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間撹拌し、その後、アルティマイザーにて10分間分散処理し白色顔料分散液(11)(固形分濃度:20重量%)を調製した。
【0110】
<白色顔料分散液(12)の調製>
1mol/Lの四塩化チタン水溶液100mLに、0.15molのグリセリンを添加し、95℃で5時間加熱した後、ろ過した。得られた白色粉体を100mLのイオン交換水に分散し、0.4molの塩酸を加えて、再度90℃で6時間加熱した。水酸化ナトリウムによりpH7に調整した後、ろ過水洗、乾燥(105℃、12時間)して酸化チタン粉体を得た。
得られた酸化チタン粉体は、X線回折により、結晶型のアナターゼ比率が約50重量%であった。なお、残りの結晶型はルチル型であった。また、TEMにて観察したところ、体積平均粒子径約1,500nm、粒度分布1.25の酸化チタンであり、5nmの細孔を有し、BET比表面積が400m2/gであり、平均円形度が0.980の多孔質体であった。
こうして、多孔質酸化チタン(12)を得た。
・多孔質酸化チタン(12):60部
・ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製):5部
・イオン交換水:240部
以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間撹拌し、その後、アルティマイザーにて10分間分散処理し白色顔料分散液(12)(固形分濃度:20重量%)を調製した。
【0111】
<白色顔料分散液(13)の調製>
1mol/Lの四塩化チタン水溶液100mLに、0.15molのグリセリンを添加し、80℃で6時間加熱した後、ろ過した。得られた白色粉体を100mLのイオン交換水に分散し、0.4molの塩酸を加えて、再度80℃で7時間加熱した。水酸化ナトリウムによりpH7に調整した後、ろ過水洗、乾燥(105℃、12時間)して酸化チタン粉体を得た。
得られた酸化チタン粉体は、X線回折により、結晶型のアナターゼ比率が約50重量%であった。なお、残りの結晶型はルチル型であった。また、TEMにて観察したところ、体積平均粒子径約100nm、粒度分布1.15の酸化チタンであり、3.5nmの細孔を有し、BET比表面積が100m2/gであり、平均円形度が0.988の多孔質体であった。
こうして、多孔質酸化チタン(13)を得た。
・多孔質酸化チタン(13):60部
・ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製):5部
・イオン交換水:240部
以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間撹拌し、その後、アルティマイザーにて10分間分散処理し白色顔料分散液(13)(固形分濃度:20重量%)を調製した。
【0112】
<白色顔料分散液(14)の調製>
1mol/Lの四塩化チタン水溶液100mLに、0.15molのグリセリンを添加し、95℃で1.5時間加熱した後、ろ過した。得られた白色粉体を100mLのイオン交換水に分散し、0.4molの塩酸を加えて、再度90℃で2時間加熱した。水酸化ナトリウムによりpH7に調整した後、ろ過水洗、乾燥(105℃、12時間)して酸化チタン粉体を得た。
得られた酸化チタン粉体は、X線回折により、結晶型のアナターゼ比率が約50重量%であった。なお、残りの結晶型はルチル型であった。また、TEMにて観察したところ、体積平均粒子径約100nm、粒度分布1.40の酸化チタンであり、5nmの細孔を有し、BET比表面積が800m2/gであり、平均円形度が0.972の多孔質体であった。
こうして、多孔質酸化チタン(14)を得た。
・多孔質酸化チタン(14) 60部
・ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製):5部
・イオン交換水:240部
以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間撹拌し、その後、アルティマイザーにて10分間分散処理し白色顔料分散液(14)(固形分濃度:20重量%)を調製した。
【0113】
<白色顔料分散液(15)の調製>
・二酸化チタン(ルチル型、粒子径100nm、石原産業(株)製):60部
・ノニオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成(株)製):5部
・イオン交換水:240部
以上の成分を混合して溶解し、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間撹拌し、その後、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)にて10分間分散処理して体積平均粒子径が100nmであるルチル型酸化チタン(白色顔料)粒子が分散された白色顔料分散液(15)(固形分濃度:20重量%)を調製した。
【0114】
(実施例1)
<トナー(1)の調製>
下記各白色トナー粒子の組成(ただし、下記各トナー粒子の組成において、各樹脂分散液の固形分濃度はすべて25重量%とした。)に従った成分を上丸型ステンレス製フラスコ中に混合し、室温(25℃)で30分間撹拌した。撹拌終了後、10%硫酸アルミニウム水溶液(浅田化学工業(株)製)75部をスポイトで滴下しながら、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で混合分散した後、フラスコ内の内容物を撹拌しながら45℃まで加熱撹拌し、45℃で30分間保持した。
得られた内容物を光学顕微鏡で観察すると、粒子径が約5.6μmの凝集粒子が生成していることが確認された。ここで、樹脂粒子分散液120部をpH3に調整後、前記凝集粒子分散液に加えた。その後、得られた内容物の温度を徐々に上げて55℃にした。次いで、これを水酸化ナトリウム水溶液でpHを8に調整し、その後、温度を上げて90℃にしたのち約1時間かけて凝集粒子を合一させた。冷却後、ろ過し、イオン交換水で充分洗浄後、乾燥して各白色トナー粒子を得た。
・樹脂粒子分散液 680部
・離型剤分散液 100部
・白色顔料分散液(1) 264部
・白色顔料分散液(15) 66部
【0115】
(実施例2〜14、及び、比較例1〜8)
表1に示すように、使用する白色顔料分散液を変更し、又はトナーに含有される白色顔料の総含有量、ルチル型酸化チタンの含有量、若しくは多孔質酸化チタンの含有量を変更した以外は、実施例1と同様にしてトナー(2)〜(22)を調製した。
【0116】
(評価)
画像出力には、DocuCentre Color500(富士ゼロックス(株)製)を用いた。上記の通り調製したトナーをトナーカートリッジと現像機とに充填し、評価用の画像形成装置とした。
画像出力を行い、評価画像を形成する基材としては、OKトップコート127gsm(王子製紙(株)製)を用いた。
評価画像としては、単位面積あたりのトナーの量が1.0mg/cm2となるベタ画像(1.2cm×17.0cm幅、出力方向が長辺)を出力したものを用いた。
各トナーについて得られた評価画像について、以下の通り、白色度(隠蔽力)の評価、暴露試験、ひび割れ試験、及びむらの評価を行い、各トナーを評価した。評価結果を表1に示す。
【0117】
<白色度(隠蔽力)の評価>
黒ベタ紙上に載置した評価画像について、分光濃度計X−rite939(X−rite社製)により測色を行い、CIE1976(L*a*b*)表色系を調べた。得られたCIE1976(L*a*b*)表色系のL*値により、以下の基準に従い白色度(隠蔽力)を評価した。
◎:L*値が95以上である。
○:L*値が85以上95未満である。
△:L*値が75以上85未満である。
×:L*値が75未満である。
なお、CIE1976(L*a*b*)表色系は、CIE(国際照明委員会)が1976年に推奨した色空間で、日本工業規格のJIS Z 8729に規定されたものである。
【0118】
<暴露試験(チョーキング)>
画像のロバスト性については、日本工業規格のJIS Z 2381「屋外暴露試験方法通則」に従い実施した。
暴露時間は10日間とし、暴露前の画像色差と暴露後の画像色差の差ΔEを
ΔE=(暴露前の画像色差E1−暴露後の画像色差E2)とする。
ΔEの値が大きければ大きいほど、日光による変色が大きく、チョーキングしやすいと考えられる。
評価基準を以下に示す。
◎:ΔEが1.5未満
○:ΔEが1.5以上3未満
△:ΔEが3以上6未満
×:ΔEが6以上
【0119】
<ひび割れ試験(ひび線の太さ)>
日本工業規格のJIS K 5600−5−1「平板インキ試験方法の耐屈曲性試験方法(マンドレル)試験法」によって行った。
評価基準を以下に示す。
◎:ひび線の太さが0.3mm未満
○:ひび線の太さが0.3以上0.6mm未満
△:ひび線の太さが0.6mm以上1.0mm未満
×:ひび線の太さが1.0mm以上
【0120】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂、及び少なくとも異なる2種以上の白色顔料を含有し、
前記2種以上の白色顔料の10〜30重量%が、体積平均粒子径が0.01〜1μm、粒度分布(体積平均粒度分布指標GSDv)が1.1〜1.3、及びBET比表面積が250〜500m2/gである多孔質酸化チタンであることを特徴とする
静電荷像現像用トナー。
【請求項2】
前記多孔質酸化チタンの平均円形度が0.970より大きく、0.990より小さい、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項3】
前記多孔質酸化チタンが、体積平均粒子径が0.001〜0.05μmの酸化チタン粒子を凝集させて形成した、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項4】
前記多孔質酸化チタンの10〜50重量%が、アナターゼ型の結晶構造を有する、請求項1〜3のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項5】
前記2種以上の白色顔料が、ルチル型の結晶構造を有するルチル型酸化チタンを含む、請求項1〜4のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項6】
前記2種以上の白色顔料の総含有量が、トナーの全重量に対し、5〜50重量%である、請求項1〜5のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーと、キャリアとを含む静電荷像現像剤。
【請求項8】
画像形成装置に着脱可能であり、少なくとも請求項1〜6のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを収容することを特徴とする
トナーカートリッジ。
【請求項9】
少なくとも現像剤保持体を備え、画像形成装置に着脱可能であり、請求項7に記載の静電荷像現像剤を収容することを特徴とする
プロセスカートリッジ。
【請求項10】
像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、
前記像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、
前記トナー像を被転写体表面に転写する転写工程、及び、
前記被転写体表面に転写されたトナー像を圧力定着する定着工程を含み、
前記現像剤として請求項1〜6のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー、又は、請求項7に記載の静電荷像現像剤を用いる
画像形成方法。
【請求項11】
像保持体と、
前記像保持体を帯電させる帯電手段と、
帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体表面に静電潜像を形成させる露光手段と、
トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、
前記トナー像を前記像保持体から被転写体表面に転写する転写手段と、
前記被転写体表面に転写されたトナー像を圧力定着する定着手段とを有し、
前記現像剤として請求項1〜6のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー、又は、請求項7に記載の静電荷像現像剤を用いる
画像形成装置。