説明

静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用トナーの製造方法、静電荷像現像剤、及び、画像形成方法

【課題】像保持体から被転写体へのトナーの転写効率の維持性(転写維持性)の低下が抑制された静電荷像現像用トナーを提供すること。
【解決手段】少なくとも結着樹脂及び着色剤を含むトナー母粒子を有し、前記トナー母粒子が表面にシリコーンゴムの粒子よりなる突起を有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。前記静電荷像現像用トナーは、平均円形度が0.97以上であることが好ましく、前記静電荷像現像用トナーの体積平均粒子径Dと前記突起を形成するシリコーンゴムの粒子の体積平均粒子径dとの比d/Dが0.05〜0.12であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用トナーの製造方法、静電荷像現像剤、及び、画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真プロセスにおける画像形成は、複写する際に、光導電性物質を用いた像保持体に形成された静電潜像に、磁気ブラシ現像法等によりトナーを付着させてトナー像(現像像)として現像し、該感光体上のトナー像を、紙、シート等の記録材(転写材)に転写した後、熱、溶剤、圧力等を利用して定着し、画像を得るものである。
【0003】
該電子写真プロセスに用いる静電荷像現像用トナーとして、表面に突起が形成された静電荷像現像用トナーが公開されている(特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−158319号公報
【特許文献2】特開2002−072541号公報
【特許文献3】特開2005−274964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、像保持体から被転写体へのトナーの転写効率の維持性(転写維持性)の低下が抑制された静電荷像現像用トナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、以下の手段により解決された。
<1>少なくとも結着樹脂及び着色剤を含むトナー母粒子を有し、前記トナー母粒子が表面にシリコーンゴムの粒子よりなる突起を有することを特徴とする静電荷像現像用トナー、
<2>平均円形度が0.97以上である、上記<1>に記載の静電荷像現像用トナー、
<3>静電荷像現像用トナーの体積平均粒子径Dと前記突起を形成するシリコーンゴムの粒子の体積平均粒子径dとの比d/Dが0.05〜0.12である、上記<1>又は<2>に記載の静電荷像現像用トナー、
<4>少なくとも結着樹脂及び着色剤を含む分散液に含まれる粒子を凝集し凝集体を形成する凝集工程と、前記凝集体の表面にシリコーンゴムの粒子を付着する粒子付着工程と、前記凝集体と付着した前記シリコーンゴムの粒子を融合させ合一させる融合工程と、を含むことを特徴とする上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法、
<5>上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーとキャリアとを含むことを特徴とする静電荷像現像剤、
<6>像保持体を帯電させる帯電工程、帯電された前記像保持体を露光して静電潜像を形成する静電潜像形成工程、前記静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像し、現像像を形成する現像工程、前記現像像を、基材上に転写し転写像を形成する転写工程、及び、前記転写像を定着する定着工程、を含み、前記トナーが上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー、又は、前記現像剤が上記<5>に記載の静電荷像現像剤であることを特徴とする画像形成方法。
【発明の効果】
【0007】
上記<1>に記載の手段により、トナー母粒子が表面にシリコーンゴムの粒子よりなる突起を有していない場合と比べて、転写維持性の低下が抑制された静電荷像現像用トナーが提供される。
上記<2>に記載の手段により、平均円形度が0.97未満の場合と比べて、より転写維持性の低下が抑制された静電荷像現像用トナーが提供される。
上記<3>に記載の手段により、d/Dが0.05〜0.12ではない場合と比べて、より転写維持性の低下がより抑制され、かつ、フィルミングの発生が抑制された静電荷像現像用トナーが提供される。
上記<4>に記載の手段により、本構成を有していない場合と比べて、転写維持性の低下が抑制された静電荷像現像用トナーの製造方法が提供される。
上記<5>に記載の手段により、本構成を有していない場合と比べて、転写維持性の低下が抑制された静電荷像現像剤が提供される。
上記<6>に記載の手段により、本構成を有していない場合と比べて、転写維持性の低下が抑制された画像形成方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(静電荷像現像用トナー)
本実施形態の静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)は、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含むトナー母粒子を有し、前記トナー母粒子が表面にシリコーンゴムの粒子よりなる突起を有することを特徴とする。
以下、本実施形態に用いられるトナー構成材料やトナーの製造方法等について説明する。なお、本明細書中、数値範囲を表す「A〜B」等は、「A以上B以下」と同義であり、数値範囲の両端をその数値範囲に含むものとする。
【0010】
<結着樹脂>
本実施形態において、トナー母粒子は少なくとも結着樹脂を含有する。結着樹脂としては、特に限定はなく、付加重合系樹脂、及び、重縮合系樹脂が好ましく例示される。この中でも、付加重合系樹脂としては、エチレン性不飽和化合物の付加重合系樹脂が好ましく、アクリル樹脂がより好ましい。重縮合系樹脂としては、ポリエステル樹脂が好ましく、ポリオールとポリカルボン酸とのポリエステル樹脂がより好ましい。
以下に詳しく述べる。
【0011】
付加重合系樹脂としては、各種エチレン性不飽和化合物の単独重合体及び共重合体が好ましく使用される。エチレン性不飽和化合物の付加重合系樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酢酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン等の単独重合体又は共重合体が例示される。
特に好ましく使用される付加重合系樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレンが挙げられる。
【0012】
本実施形態に使用される重縮合系樹脂としては、ポリエステル樹脂が好ましく例示される。ポリエステル樹脂は、ポリオール成分とポリカルボン酸成分から重縮合により合成される。本実施形態において、前記ポリエステル樹脂として、市販品、又は、合成品したものが使用される。
ポリカルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられ、更にこれらの無水物や低級アルキルエステルも挙げられる。
三価以上のポリカルボン酸成分としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物や低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独、又は、2種以上で併用される。
【0013】
前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、エチレン性不飽和結合を有するジカルボン酸成分を含有することが好ましい。エチレン性不飽和結合を有するジカルボン酸は、エチレン性不飽和結合を介して、ラジカル的に架橋させるために定着時のホットオフセットを防ぐために好適に用いられる。このようなジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級エステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でもコストの点で、フマル酸、マレイン酸等が好ましく挙げられる。
【0014】
ポリオール成分のうち二価のアルコールとしては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加物(平均付加モル数1.5〜6)、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。
三価以上のアルコールとしては、例えば、ソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
【0015】
非晶性ポリエステル樹脂(「非結晶性ポリエステル樹脂」ともいう。)では、前記した原料モノマーの中でも、二価以上の第二級アルコール及び/又は二価以上の芳香族カルボン酸化合物が好ましい。二価以上の第二級アルコールとしては、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、グリセロール等が挙げられる。これらの中では、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物が好ましい。
二価以上の芳香族カルボン酸化合物としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸及びトリメリット酸が好ましく、テレフタル酸及びトリメリット酸がより好ましい。
【0016】
また、軟化点90〜150℃、ガラス転移点50〜75℃、数平均分子量2,000〜10,000、重量平均分子量8,000〜200,000、酸価5〜30mgKOH/g、水酸基価5〜40mgKOH/gを示す樹脂が特に好ましく用いられる。
【0017】
また、トナーに低温定着性を付与するために結着樹脂の少なくとも一部に結晶性ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂は、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとの重縮合樹脂からなることが好ましく、主鎖部分の炭素数が4〜20である直鎖型ジカルボン酸と直鎖型脂肪族ジオールとの重縮合樹脂からなることがより好ましい。直鎖型であると、ポリエステル樹脂の結晶性に優れ、結晶融点が適度であるため、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び、低温定着性に優れる。また、炭素数が4以上であると、エステル結合濃度が低く、電気抵抗が適度であり、トナー帯電性に優れる。また、20以下であると、実用上の材料の入手が容易である。前記炭素数としては14以下であることがより好ましい。
【0018】
結晶性ポリエステルの合成に好適に用いられる脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸など、又は、その低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられるが、この限りではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸が好ましい。
【0019】
脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されない。これらのうち、入手容易性を考慮すると1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
三価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは1種単独、又は、2種以上で併用される。
【0020】
ポリカルボン酸成分のうち、脂肪族ジカルボン酸の含有量が80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。脂肪族ジカルボン酸の含有量が80モル%以上であると、ポリエステル樹脂の結晶性に優れ、融点が適度であるため、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び、低温定着性に優れる。
ポリオール成分のうち、前記脂肪族ジオール成の含有量が80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。前記脂肪族ジオール成の含有量が80モル%以上であると、ポリエステル樹脂の結晶性に優れ、融点が適度であるため、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び、低温定着性に優れる。
なお、必要に応じて、酸価や水酸基価の調製等の目的で、酢酸、安息香酸等の一価の酸や、シクロヘキサノールベンジルアルコール等の一価のアルコールも用いられる。
【0021】
ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、ポリカルボン酸成分とポリオール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法が例示され、例えば、直接重縮合、エステル交換法等が挙げられる。これらの製造方法は、モノマーの種類によって使い分けられる。
ポリエステル樹脂は、上記ポリカルボン酸成分とポリオール成分とを常法に従って縮合反応させて製造される。例えば、上記ポリカルボン酸成分、及び、ポリオール成分、必要に応じて触媒を入れ、温度計、撹拌機、流下式コンデンサを備えた反応容器に配合し、不活性ガス(窒素ガス等)の存在下、150〜250℃で加熱し、副生する低分子化合物を連続的に反応系外に除去し、所定の重量平均分子量や酸価に達した時点で反応を停止させ、冷却し、目的とする反応物を取得することによって製造される。
【0022】
本実施形態のトナーにおける結着樹脂の含有量としては、特に制限はないが、静電荷像現像用トナーの全重量に対し、5〜95重量%であることが好ましく、20〜90重量%であることがより好ましく、40〜85重量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、定着性、保管性、粉体特性、帯電特性等に優れる。
【0023】
<着色剤>
本実施形態のトナーは、着色剤を含有する。
着色剤としては、カーボンブラック、ニグロシン、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーン・オキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド238、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3などが代表的なものとして例示される。
着色剤は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用される。
【0024】
本実施形態のトナーにおいて、着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性の観点から選択される。着色剤の添加量は、特に制限はないが、トナーの全重量に対して、3〜60重量%の範囲内が好適である。
【0025】
<離型剤>
本実施形態のトナーは、好ましくは離型剤を含有する。
本実施形態に用いられる離型剤は、特に制限はなく、公知のものが用いられ、次のようなワックスが好ましい。該ワックスとしては、パラフィンワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュワックス及びその誘導体、ポリオレフィンワックス及びその誘導体等が挙げられる。誘導体とは酸化物、ビニルモノマーとの重合体、グラフト変性物を含む。この他に、アルコール、脂肪酸、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、エステルワックス、酸アミド等が挙げられる。
【0026】
離型剤として用いられるワックスは、70〜140℃のいずれかの温度で溶融しかつ140℃で1〜200センチポアズの溶融粘度を示すことが好ましく、1〜100センチポアズの溶融粘度を示すことがより好ましい。溶融するのが70℃以上であると、ワックスの変化温度が十分高く、耐ブロッキング性、及び、複写機内温度が高まった時に現像性に優れる。140℃以下であると、ワックスの変化温度が十分低く、高温での定着を行う必要がなく、省エネルギー性に優れる。また、溶融粘度が200センチポアズ以下であると、トナーからの溶出が適度であり、定着剥離性に優れる。
【0027】
前記離型剤の含有量としては、トナーの全重量に対し、3〜60重量%であることが好ましく、5〜40重量%であることがより好ましく、7〜20重量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、トナーの加熱部材へのオフセットの防止性に優れると共に、フィードロール汚染の防止性により優れる。
【0028】
<シリコーンゴムの粒子>
前記トナー母粒子は、表面にシリコーンゴムの粒子(以下、単に「シリコーンゴムの粒子」ともいう。)よりなる突起を有する。以下、シリコーンゴムの粒子について説明する。
【0029】
シリコーンゴムの粒子を構成するポリオルガノシロキサンとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサン共重合体等のポリオルガノシロキサン、側鎖アルキル基の一部が水素原子に置換されたポリオルガノハイドロジェンシロキサン等が用いられる。
【0030】
ポリオルガノシロキサンは、ラジカル重合性のエチレン性不飽和基などのグラフト交叉基を有することが好ましく、少なくとも1分子あたり複数個のグラフト交叉基を側鎖及び/又は分子鎖末端に有することがより好ましく、側鎖に有することが特に好ましい。
【0031】
前記ポリオルガノシロキサンを得る方法に特に限定はなく、該方法としては溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などが挙げられる。該方法としては、例えば、環状、直鎖状又は分岐状のオルガノシロキサン、好ましくは環状オルガノシロキサンを、酸、アルカリ、塩、フッ素化合物などの触媒を用いて重合する方法が挙げられる。
【0032】
前記重合に用いるオルガノシロキサンの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは20,000以下、より好ましくは10,000以下、更に好ましくは5,000以下、特に好ましくは2,500以下である。
【0033】
前記方法において、前記オルガノシロキサンと共に、グラフト交叉基を有するシラン、及び/又は、グラフト交叉基を有する前記同様の重量平均分子量(Mw)の環状、直鎖状、又は分岐状オルガノシロキサンを用いる方法が好ましい。
【0034】
前記方法において前記オルガノシロキサンを用いずに、グラフト交叉基を有するシラン、及び/又は、グラフト交叉基を有する前記同様の重量平均分子量(Mw)の環状、直鎖状、又は分岐状オルガノシロキサンを用いる方法であってもよい。
【0035】
溶液中、スラリー中、又は、エマルション中において重量平均分子量(Mw)が、好ましくは20,000以上、より好ましくは50,000以上、更に好ましくはは100,000以上のポリオルガノシロキサンと、好ましくはグラフト交叉基を有するシラン及び/又は重量平均分子量(Mw)が好ましくは20,000以下のグラフト交叉基を有する環状、直鎖状又は分岐状オルガノシロキサンとを前述と同様の触媒などの存在下で平衡化する方法が挙げられる。
【0036】
溶液中、スラリー中、又はエマルション中において、重量平均分子量(Mw)が好ましくは20,000以上のポリオルガノシロキサンと、同じく重量平均分子量(Mw)が好ましくは20,000以上のグラフト交叉基を有するポリオルガノシロキサンとを前述のごとき触媒などの存在下で平衡化する方法なども挙げられる。
【0037】
シリコーンゴムの粒子は、前記オルガノシロキサンから乳化重合法により製造される。乳化重合法に代わって、エマルション状態のポリオルガノシロキサンを前述のごとく変性する方法、溶液重合法などにより得た変性又は非変性のポリオルガノシロキサンを、高圧ホモジナイザー等を用いて機械的に強制乳化する方法などによりシリコーンゴムの粒子を含む分散液が製造される。
【0038】
シリコーンゴムの粒子は公知の乳化重合法により製造される。例えば、1,3,5,7−オクタメチルシクロテトラシロキサン等の環状シロキサン、及び/又は、メチルジメトキシシラン等の加水分解性基を有する2官能シラン、必要に応じてメチルトリエトキシシラン、テトラプロピルオキシシランなどの3官能以上のアルコキシシラン、メチルオルソシリケートなどの3官能以上のシランの縮合体、並びに、必要に応じてメルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、アクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、ビニルジメトキシメチルシラン、ビニルフェニルジメトキシメチルシランなどのエチレン性不飽和基を有するグラフト交叉剤を用いて製造される。
【0039】
グラフト交叉剤の使用量は、良好な弾力性を得る観点から、ポリオルガノシロキサン中のシロキサン単位に換算して0.03mol%以上が好ましく、0.06mol%以上がより好ましく、0.15mol%以上が更に好ましく、0.5mol%以上が特に好ましい。
また、グラフト交叉剤の使用量は、良好な弾力性を得る観点から、ポリオルガノシロキサン中のシロキサン単位に換算して5mol%以下が好ましく、3mol%以下がより好ましく、1mol%以下が更に好ましい。
【0040】
シリコーンゴムの粒子の重合の条件について説明する。
まず、原料となるオルガノシロキサンやグラフト交叉剤等を、水、及び、界面活性剤と共にホモジナイザー等を用いて乳化し、必要に応じて高圧下において機械的に乳化分散させる。その後、酸又は塩基を加えてpHを調整する。酸を加える場合は、pHは4以下が好ましく、3以下がより好ましく、2以下が更に好ましい。また、塩基を加える場合は、pHは8以上が好ましく、9.5以上がより好ましく、11以上が更に好ましい。上記のpHの範囲とすることにより、オルガノシロキサン等が加水分解、重縮合され、ポリオルガノシロキサンよりなるシリコーンゴムの粒子が形成される。
重合温度は0℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましく、50℃以上が更に好ましく、60℃以上が特に好ましい。また、重合温度は、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、95℃以下が特に好ましい。
好ましくは窒素などの不活性ガス雰囲気下、又は、真空脱気した状態下で、加水分解・縮合反応させる。
【0041】
前記環状シロキサン、及び/又は、シラン等を重合する際には、公知のシード重合法を適用することが好ましい。例えば、有機重合体をシード粒子として用いる方法、ポリオルガノシロキサンラテックスをシードラテックスとして用いる方法、環状シロキサンに対する膨潤性を有する有機重合体をシード粒子として用いる方法、又は、ラテックス粒子径が20nm以下、好ましくは15nm以下、より好ましくは10nm以下の重合体をシード粒子として用いる方法が採用される。
【0042】
前記方法により得られたシリコーンゴムの粒子の分散液には、通常、揮発性の低分子量環状シロキサンが含有されている。この揮発性の低分子量環状シロキサンを除去する目的で、蒸気ストリッピングしたり、珪藻土などの吸着剤を添加して揮発性の低分子量環状シロキサンを吸着させた後に、シリコーンゴムの粒子を濾別する方法が適用される。
【0043】
シリコーンゴムの粒子の分散液を得る別の方法として、例えば、揮発性の低分子量シロキサンの含有量が5重量%以下、より好ましくは1重量%以下で、重量平均分子量(Mw)が好ましくは20,000以下、より好ましくは10,000以下、更に好ましくは5,000以下、特に好ましくは2,500以下の、末端に縮合性基及び/又は加水分解性基を有し、必要に応じてメルカプトプロピル基、メタクリロイルオキシプロピル基、アクリロイルオキシプロピル基、ビニル基、ビニルフェニル基、アリル基などのラジカル重合性の重合性基で部分的に置換された直鎖又は分岐鎖状の変性若しくは非変性の(ポリ)オルガノシロキサンを、好ましくは、高圧下、機械的な剪断により所望の粒子径に乳化した後に、重合する方法がある。縮合性基としてはヒドロキシ基、アミノ基、加水分解性基としてはアルコキシ基、アシロキシ基、ケトオキシム基、アルケノキシ基、アミド基、又はアミノキシ基等が挙げられる。
【0044】
シリコーンゴムの粒子の体積平均粒子径は0.19〜0.45μmが好ましく、0.25〜0.35μmがより好ましい。上記の数値の範囲内であると、現像器内でのストレスによる埋没を防ぎ、かつトナーからの遊離を抑制することができるあるため好ましい。体積平均粒子径は、例えば、日機装(株)製のMICROTRAC NPA150を用いて測定される。
【0045】
シリコーンゴムの粒子に含まれるポリオルガノシロキサンの重量平均分子量(Mw)は、100,000以上が好ましく、160,000以上がより好ましい。また、1,000,000以下が好ましく、600,000以下がより好ましく、300,000以下が更に好ましい。上記の数値の範囲内であると、低温定着性を阻害せず適度な弾力を得られるあるため好ましい。
前記重量平均分子量(Mw)はゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)分析による標準ポリスチレン換算値が用いられる。
【0046】
弾力性粒子の保持の観点から、前記シリコーンゴムの粒子は、その表面に被覆樹脂層を有するシリコーンゴムの粒子であることが好ましい。
シリコーンゴムの粒子を被覆する方法としては、特に限定されないが、シリコーンゴムの粒子の存在下で重合性化合物を乳化重合させる方法が好ましい。被覆樹脂層を形成するための重合性化合物としては、付加重合性化合物が好ましく、前記グラフト交叉基と重合反応する重合性基を少なくとも1つ有する化合物がより好ましい。前記グラフト交叉基がラジカル重合性のエチレン性不飽和基である場合には、シリコーンゴムの粒子と樹脂被覆層との密着性が向上することから、被覆樹脂層を形成する重合性化合物もラジカル重合性のエチレン性不飽和基を有する化合物であることが好ましい。
【0047】
重合性化合物として、多官能性単量体が好ましく使用される。多官能性単量体とは、その1分子中に重合可能なエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物である。多官能性単量体としては、例えば、後述する(メタ)アクリレート系の多官能性単量体、芳香族ビニル系の多官能性単量体、芳香族多価カルボン酸エステル、三級アミン、イソシアヌル酸誘導体、シアヌル酸誘導体、ビフェニル誘導体等が挙げられる。本実施形態においては、(メタ)アクリレート系の多官能性単量体が好ましい。
これらの多官能性単量体は単独又は2種以上で併用される。なお、特に断りのない限り、「(メタ)アクリル」等とは「アクリル、及び/又はメタクリル」を意味する。
【0048】
(メタ)アクリレート系の多官能性単量体としては、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
芳香族ビニル系の多官能性単量体としては、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルアントラセン等が挙げられる。
芳香族多価カルボン酸エステルとしては、トリアリルベンゼントリカルボキシレート、ジアリルフタレート等が挙げられる。
三級アミンとしては、トリアリルアミン等が挙げられる。
イソシアヌル酸誘導体としては、ジアリルイソシアヌレート、ジアリル−n−プロピルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
シアヌル酸誘導体としては、トリアリルシアヌレート等が挙げられる。
ビフェニル誘導体としては、トリ(メタ)アクリロイルヘキサハイドロトリアジン、2,2’−ジビニルビフェニル、2,4’−ジビニルビフェニル、3,3’−ジビニルビフェニル、4,4’−ジビニルビフェニル、2,4’−ジ(2−プロペニル)ビフェニル、4,4’−ジ(2−プロペニル)ビフェニル、2,2’−ジビニル−4−エチル−4’−プロピルビフェニル、3,5,4’−トリビニルビフェニル等が挙げられる。
これらの中でも、芳香族ビニル系の多官能性単量体が好ましく、ジビニルベンゼンがより好ましい。
【0049】
このような多官能性単量体の重合性化合物中における比率は、弾力性粒子の保持の観点から、20重量%以下が好ましく、0.1〜10重量%がより好ましく、0.5〜5重量%が更に好ましい。
【0050】
単官能性単量体としては、例えば、芳香族ビニル系単量体、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルカルボン酸、ハロゲン化ビニル、アルケン、(メタ)アクリルアミド、ビニル基含有リン化合物等が挙げられる。
製造性の観点から、アルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0051】
芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルビフェニル、1,1'−ジフェニルエチレン、アセナフチレン等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ビニルカルボン酸としては、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
ハロゲン化ビニルとしては、塩化ビニル、臭化ビニル、クロロプレン等が挙げられる。
アルケン等としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミドとしては(メタ)アクリルアミド、ドデシル(メタ)アクリルアミド、シクロドデシル(メタ)アクリルアミド、アダマンチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
ビニル基含有リン化合物としては、ジフェニルビニルホスフィンオキシド、フェニルビニルフェニルホスフィナート、ビニルジフェニルホスホネート、ジエチルビニルホスホネート等が挙げられる。
これらの重合性化合物は、単独、又は、2種以上で併用される。
【0052】
単官能性単量体の重合性化合物中における比率は、弾力性粒子の保持、及び、低温定着性の観点から、80重量%以上が好ましく、90〜99.9重量%がより好ましく、95〜99.5重量%が更に好ましい。
【0053】
本実施形態においては、多官能性単量体と単官能性単量体とを併用することが好ましい。
被覆樹脂層を形成する前のシリコーンゴムの粒子全体を100重量部としたときの重合性化合物の使用量は、弾力性粒子の保持、及び、低温定着性の観点から、10〜200重量部が好ましく、50〜150重量部がより好ましく、80〜120重量部が更に好ましい。
【0054】
被覆樹脂層の厚みは、弾力性粒子の保持、低温定着性の観点から、25〜250nmが好ましく、30〜140nmがより好ましく、35〜105nmが更に好ましい。
【0055】
<添加剤>
本実施形態のトナーには、必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機粒子)、有機粒子等の種々の添加剤が添加される。
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、又はこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。
帯電制御剤としては、例えば、第四級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。
無機粉体は、主にトナーの粘弾性調整を目的としてトナーに添加される。また、トナー母粒子に外添してもよい。
無機粉体としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、燐酸カルシウム、酸化セリウム等のトナーの外添剤として使用されるすべての無機粒子が挙げられる。
【0056】
(トナーの形状)
本実施形態の静電荷像現像用トナーの平均円形度は、0.97以上であることが好ましく、0.98以上がより好ましい。上記の数値の範囲内であると、転写性、耐久性、流動性に優れる。
トナーの平均円形度は、例えばフロー式粒子像分析装置FPIAシリーズ(シスメックス(株)製)等により計測される。
測定は以下のように行われる。純水100〜150ml中に、分散剤として界面活性剤、例えば、アルキルベンゼスルホン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加えて測定試料の懸濁液を調製する。次に、測定試料を分散した懸濁液は越音波分散機で1〜3分間分散処理を行った後、分散液濃度を3,000〜1万個/μlとして前記装置によりトナーの平均円形度が測定される。
【0057】
静電荷像現像用トナーの体積平均粒子径D(直径)と前記突起を形成するシリコーンゴムの粒子の体積平均粒子径d(直径)との比d/Dは、0.05〜0.12が好ましく、0.065〜0.092がより好ましい。
シリコーンゴムの粒子の体積平均粒子径dは、トナーを走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察し、突起100個の数平均値を求め、この外径の数平均値をdとする。
トナーの体積平均粒子径Dは、例えばコールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)測定機を用いて測定されたトナーの粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、個々のトナー粒子の体積について小径側から累積分布を描き、累積50%となる粒径を、体積平均粒子径Dと定義する。
【0058】
本実施形態のトナー母粒子の体積平均粒径は、2〜9μmが好ましく、3〜5μmがより好ましい。上記範囲であると、帯電性、現像性、及び、画像の解像性に優れる。
本実施形態において、トナー母粒子は、体積平均粒度分布指標GSDvが1.27以下であることが好ましい。体積分布指標GSDvが1.27以下であると、画像の解像性に優れ、トナー飛散やかぶりなどの画像欠陥も抑えられる。
なお、本実施形態において、トナーの粒径や、上記した体積平均粒度分布指標GSDvの値は、次のようにして測定し算出される。まず、コールターカウンターTAII(ベックマン・コールター社製)、マルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)等の測定機を用いて測定されたトナーの粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、個々のトナー粒子の体積について小径側から累積分布を描き、累積16%となる粒径を、体積平均粒子径D16vと定義し、累積50%となる粒径を、体積平均粒子径D50vと定義する。同様に、累積84%となる粒径を、体積平均粒子径D84vと定義する。この際、体積平均粒度分布指標(GSDv)は、D84v/D16vとして定義されるこれらの関係式を用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)を算出される。
【0059】
本実施形態において、SEM観察による、トナー母粒子の全投影面積に対するシリコーンゴムの粒子よりなる突起の投影面積の割合の数平均値が、20〜80%であることが好ましく、30〜70%であることが好ましい。
また、シリコーンゴムの粒子よりなる突起は、突起を形成する粒子の直径の1/10〜2/3しか埋め込まれていないことが好ましく、前記付着粒子の直径の1/3〜1/2しか埋め込まれていないことがより好ましい。付着粒子の埋め込み程度は、トナー粒子の電子顕微鏡写真撮影により判別される。
【0060】
<静電荷像現像用トナーの製造方法>
本実施形態の静電荷像現像用トナーの製造方法は、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含む分散液に含まれる粒子を凝集し凝集体を形成する凝集工程と、前記凝集体の表面にシリコーンゴムの粒子を付着する粒子付着工程と、前記凝集体と付着した前記シリコーンゴムの粒子を融合させ合一させる融合工程と、を含む。
上記凝集工程は、結着樹脂及び着色剤に加えて離型剤粒子を含む分散液に含まれる粒子を凝集し凝集体を形成する工程であることが好ましい。
【0061】
上記の粒子付着工程は、凝集体を形成する凝集工程の後に、前記凝集体の表面に結着樹脂(好ましくは結着樹脂粒子)とともにシリコーンゴムの粒子を付着する工程であることが好ましい。ここでシリコーンゴムの粒子は被覆樹脂層を有するシリコーンゴムの粒子であってもよい。
また、前記凝集体の表面に結着樹脂粒子を更に凝集又は付着する工程と、前記凝集体の表面にシリコーンゴムの粒子を付着する工程とは、同時であっても、一部重複していても、逐次であってもよい。この場合、凝集体の形成に使用する結着樹脂の分散液と、前記粒子付着工程に使用する結着樹脂の分散液とは、同種の結着樹脂を含む分散液であっても、異種の結着樹脂を含む分散液であってもよい。
なお、本明細書中、外添剤を除いたトナー粒子をトナー母粒子ともいう。すなわち、本実施形態のトナーは、トナー母粒子の表面に複数の略半球状の突起を有する。
【0062】
前記凝集体を作製する方法として、好ましくは、懸濁重合法、乳化凝集法、シード重合法、膨潤重合法など、水系媒体中で重合性化合物の粒子の重合及び/又は重合体粒子を形成してトナーを製造する方法が挙げられる。
更には前記凝集体にシリコーンゴムの粒子を含む層を被覆した構造を有するトナーの作製が容易である点から、湿式製法、特に乳化凝集法を利用することが好ましい。
【0063】
乳化凝集法では、乳化重合、又は、乳化によって作製された樹脂粒子分散体に着色剤や離型剤、電荷調整剤、離型剤などの水分散体等トナーに必要とされる機能を付与するための添加剤の分散体を水系媒体中で混合して、水系媒体中でホモミキサーなどの各種の分散機を用いて機械的に剪断をしながら凝集剤等を用いて分散体を凝集成長させ、更に樹脂粒子を融合する工程を経てトナー母粒子を得る。
【0064】
本実施形態における乳化凝集法は、コア粒子である凝集体を形成する工程と、この凝集体の表面に多数のシリコーンゴムの粒子が突起した状態で付着する粒子付着工程とを含む。
コア粒子である凝集体を形成する前段の工程においては、第1の結着樹脂からなり、体積平均粒径が1μm以下である第1の樹脂粒子を分散した第1の樹脂粒子分散液と、着色剤を分散した着色剤粒子分散液とを少なくとも混合した混合分散液に、凝集剤を添加し、加熱することにより凝集体を形成する凝集工程を含む。なお、前記凝集体を融合させ合一させる融合工程を含んでいてもよい。
【0065】
凝集体の表面にシリコーンゴムの粒子を付着する後段の工程においては、合一された凝集体がコア粒子として形成された混合分散液に、第2の結着樹脂からなり、体積平均粒径が1μm以下であり、シリコーンゴムの粒子を含有させた第2の樹脂粒子を分散した第2の樹脂粒子分散液を添加して、コア粒子の表面に、第2の樹脂粒子を付着させながら、多数のシリコーンゴムの粒子をコア粒子の表面に付着させる工程である。粒子付着工程の後に、シリコーンゴムの粒子が付着した粒子全体を融合させ合一させる融合工程を、を含むものであることが好ましい。
【0066】
なお、凝集工程においては、混合分散液中の各種粒子成分を凝集させただけのコア粒子(コア凝集粒子)を形成してもよく、加熱温度を第1の結着樹脂のガラス転移温度よりも高くして凝集と同時に融合させたコア粒子(コア融合粒子)を形成してもよい。また、融合工程は、第1又は第2の結着樹脂のガラス転移温度のいずれか高い方の温度以上に加熱することにより実施してもよいが、シリコーンゴムの粒子を付着した凝集粒子がコア融合粒子を用いて形成されている場合には、機械的ストレスを利用して融合してもよい。なお、これらの工程の詳細については後述する。
【0067】
一般に、乳化凝集法は、乳化重合、又は、乳化により樹脂分散液を作製し、一方で、離型剤を分散した離型剤粒子分散液、好ましくは溶媒に着色剤を分散させた着色剤粒子分散液を作製して、これらを混合して凝集粒子を形成させた後(凝集工程)、加熱することによって融合させ合一させて(融合工程)、トナー粒子を得る方法である。なお、本実施形態においては、凝集工程の後、融合工程の前に、凝集粒子の表面に更に多数のシリコーンゴムの粒子を付着させる、粒子付着工程を有する。
【0068】
−トナーの製造方法−
次に、上述した凝集工程、粒子付着工程、及び、融合工程を含む本実施形態のトナーの製造方法について、各工程毎により詳細に説明する。
【0069】
−凝集工程−
凝集工程においては、まず、第1の結着樹脂分散液、着色剤分散液、好ましくは離型剤分散液や、その他の成分を混合して得られた混合分散液に凝集剤を添加し、第1の結着樹脂の融点よりもやや低めの温度にて加熱することにより、各々の成分からなる粒子を凝集させた凝集粒子(コア凝集粒子)を形成する。なお、第1の結着樹脂のガラス転移温度以上の温度で加熱して、凝集と同時に融合も行い、融合粒子(コア融合粒子)を形成してもよい。
【0070】
凝集粒子の形成は、回転剪断型ホモジナイザーで撹拌下、室温で凝集剤を添加することにより行う。凝集工程に用いられる凝集剤は、各種分散液の分散剤として用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩の他、二価以上の金属錯体が好適に用いられる。
特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に好ましい。
【0071】
前記無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。その中でも特に、アルミニウム塩及びその重合体が好適である。よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が一価より二価、二価より三価、三価より四価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適している。
【0072】
−粒子付着工程−
粒子付着工程では、上記した凝集工程を経て形成された第1の結着樹脂を含むコア粒子(コア凝集粒子、あるいは、コア融合粒子)の表面又は外側に、シリコーンゴムの粒子及び第2の結着樹脂からなる樹脂粒子を付着させることにより被覆層を形成する(以下、コア粒子表面に被覆層を設けた凝集粒子を「粒子付着凝集粒子」ともいう。)。
被覆層の形成は、凝集工程において凝集体(コア粒子)を形成した分散液中に、シリコーンゴムの粒子を含有させた第2の樹脂粒子の分散液を追添加することにより行われ、シリコーンゴムの粒子の他に必要に応じて他の成分も同時に追添加してもよい。
被覆層の形成に使用する樹脂粒子の樹脂固形分重量とシリコーンゴムの粒子の重量とは、(樹脂粒子の重量/シリコーンゴムの粒子の重量)で、3/20〜3/5の範囲にあることが好ましい。
【0073】
第2の結着樹脂からなる樹脂粒子及びシリコーンゴムの粒子を、前記コア粒子の表面に均一に付着させ、得られた粒子付着凝集粒子を後述する融合工程において加熱融合すると、コア粒子の表面に付着した第2の結着樹脂からなる樹脂粒子が溶融して被覆層が形成される。このため、被覆層の内側に位置するコア粒子に含まれる離型剤等の成分がトナーの表面へと露出することが効果的に防止される。
粒子付着工程における、シリコーンゴムの粒子を含む第2の樹脂粒子分散液の添加混合の方法としては、特に制限はなく、例えば、徐々に連続的に行ってもよいし、複数回に分割して段階的に行ってもよい。このようにして、第2の樹脂粒子分散液を添加混合することにより、微小な粒子の発生を抑制し、得られるトナーの粒度分布がシャープになる。
本実施形態において、この粒子付着工程が行われる回数は、1回であってもよいし、複数回であってもよい。前者の場合、前記コア凝集粒子の表面に第2の結着樹脂を主成分とする層が1層のみ形成される。これに対し、後者の場合、第2の樹脂粒子分散液だけでなく、剥離剤分散液や、その他の成分からなる粒子分散液を複数利用すれば、コア凝集粒子表面に、特定の成分を主成分とする層が積層形成される。
【0074】
後者の場合、複雑かつ精密な階層構造を有するトナーを得ることができ、トナーに所望の機能を付与し得る点で有利である。前記粒子付着工程を複数回行ったり、多段階で実施する場合、得られるトナーの表面から内部にかけての組成や物性を段階的に変化させることができ、トナーの構造が容易に制御される。この場合、コア粒子の表面に段階的に複数の層が積層され、トナーの粒子の内部から外部にかけて構造変化や組成勾配をもたせられ、物性を変化させられる。また、この場合、被覆層は、コア粒子の表面に積層された全ての層に相当し、最も外側の層は、第2の結着樹脂を主成分とする層から構成される。なお、以下の説明においては、粒子付着工程が1回のみである場合を前提として説明する。
【0075】
前記コア粒子に第2の結着樹脂からなる樹脂粒子を付着させる条件は、以下の通りである。即ち、粒子付着工程における加熱温度としては、コア凝集粒子中に含まれる第1の結着樹脂の融点近傍の温度であることが好ましく、具体的には融点±10℃以内の温度範囲であることが好ましい。
加熱温度が(第1の結着樹脂の融点−10℃)以上の温度であると、コア粒子表面に存在する第1の結着樹脂からなる樹脂粒子と、コア凝集粒子表面に付着した第2の結着樹脂からなる樹脂粒子との付着が良好であり、その結果、形成される被覆層の厚みが均一になる。
また、加熱温度が(第1の結着樹脂の融点+10℃)以下の温度であると、コア粒子表面に存在する第1の結着樹脂からなる樹脂粒子と、コア粒子表面に付着した第2の結着樹脂からなる樹脂粒子とが付着が抑制され、得られるトナー母粒子は、粒径/粒度分布に優れる。
粒子付着工程における加熱時間としては、加熱温度に依存するので一概に規定されないが、5分〜2時間であることが好ましい。
【0076】
なお、粒子付着工程においては、コア粒子が形成された混合分散液に第2の樹脂粒子分散液を追添加した分散液は、静置されていてもよいし、ミキサー等により穏やかに撹拌されていてもよい。後者の場合の方が、均一な付着樹脂凝集粒子が形成され易い点で有利である。
【0077】
−融合工程−
融合工程においては、加熱を行うことにより粒子付着工程で得た付着樹脂凝集粒子を融合させる。融合工程は、第1の結着樹脂及び第2の結着樹脂のガラス転移温度のうち、いずれか高い方の温度以上で好ましく実施される。融合の時間としては、加熱の温度が高ければ短い時間で足り、加熱の温度が低ければ長い時間が必要である。すなわち、融合の時間は、加熱の温度に依存するので一概に規定することはできないが、30分〜10時間であることが好ましい。
【0078】
また、コア粒子がコア融合粒子である場合には、第2の結着樹脂からなる樹脂粒子を付着させてもよい。この場合は、コア融合粒子を含む分散液を、一旦濾過し、分散液の水分率を30〜50重量%に制御したのち、更に第2の樹脂粒子分散液を加える。これにより、コア融合粒子の表面に第2の結着樹脂からなる粒子を付着させる。
分散液の水分率が30重量%以上であると、第2の結着樹脂からなる粒子の付着性が良好であり、この粒子のコア融合粒子の遊離が抑制される。また、水分率が50重量%以下であると、撹拌が容易であり、コア融合粒子表面に第2の結着樹脂からなる粒子が均一に付着される。
【0079】
なお、コア融合粒子の表面に第2の結着樹脂からなる粒子及びシリコーンゴムの粒子を付着させて得た粒子付着凝集粒子に、後述の洗浄/乾燥工程終了後に、ヘンシェルミキサー等による機械的なストレスを加えることによって、コア融合粒子表面に付着した第2の結着樹脂からなる粒子を融合させる。このように、液相中での加熱の代わりに機械的ストレスを加えることによって融合工程を行ってもよい。
【0080】
−洗浄/乾燥工程−
融合工程を経て得た融合粒子は、濾過などの固液分離や、洗浄、乾燥を実施することが好ましい。これにより外添剤が添加されない状態のトナー母粒子が得られる。
前記固液分離は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好ましい。前記洗浄は、帯電性の点から十分にイオン交換水による置換洗浄を施すことが好ましい。乾燥工程では、通常の振動型流動乾燥法、スプレードライ法、凍結乾燥法、フラッシュジェット法など、任意の方法が採用される。トナーの粒子は、乾燥後の含水分率を、1.0重量%以下に調整することが好ましく、0.5重量%以下に調整することがより好ましい。
【0081】
−分散液の調製−
前記結着樹脂分散液を作製するには公知の乳化方法が用いられるが、得られる粒度分布がシャープであり、かつ体積平均粒径が0.08〜0.40μmの範囲に得やすい転相乳化法が有効である。
転相乳化法は、樹脂を溶かす有機溶剤、更に両親媒性の有機溶剤の単独、又は混合溶剤に樹脂を溶かして油相とする。その油相を撹拌しながら塩基性化合物を少量滴下し、更に撹拌しながら水を少しずつ滴下し、油相中に水滴が取り込まれる。次に水の滴下量がある量を超えると油相と水相が逆転して油相が油滴となる。その後、減圧化の脱溶剤工程を経て水分散液が得られる。
ここで両親媒性の有機溶剤とは、20℃における水に対する溶解性が好ましくは5g/L以上であり、より好ましくは10g/L以上であるものをいう。この溶解性が5g/L以上であると、水性化処理速度の加速効果に優れ、得られる水分散体も貯蔵安定性に優れる。
【0082】
また、かかる有機溶剤としては、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル等のエステル、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコール誘導体、更には、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル等が例示される。
これらの溶剤は、1種単独、又は、2種以上で使用される。
【0083】
次に塩基性化合物に関しては、結着樹脂として用いられるポリエステル樹脂は、水媒体に分散させる際に塩基性化合物で中和されることが好ましい。本実施形態においては、ポリエステル樹脂のカルボキシ基との中和反応が水性化の起動力であり、しかも生成したカルボキシルアニオン間の電気反発力によって、粒子間の凝集が防止される。
塩基性化合物としては、アンモニア、沸点が250℃以下の有機アミン化合物等が挙げられる。
好ましい有機アミン化合物の例としては、トリエチルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等を挙げられる。
【0084】
塩基性化合物は、ポリエステル樹脂中に含まれるカルボキシ基に応じて、少なくとも部分中和し得る量、すなわち、カルボキシ基に対して0.2〜9.0倍モル当量を添加することが好ましく、0.6〜2.0倍モル当量を添加することがより好ましい。0.2倍当量以上であると、塩基性化合物添加の効果が十分であり、9.0倍モル当量以下であると、油相の親水性が適度であり、粒径分布が狭い良好な分散液となる。
【0085】
前記離型剤分散液は、少なくとも離型剤を分散させてなる。
離型剤は、公知の方法で分散される。分散には、例えば、回転剪断型ホモジナイザーやボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等が好ましく用いられる。また、離型剤は、極性を有するイオン性界面活性剤を用い、既述したような分散機を用いて水系溶媒中に分散される。本実施形態において、離型剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記離型剤粒子の体積平均粒径としては、1.0μm以下が好ましく、0.1〜0.5μmがより好ましい。
【0086】
前記着色剤分散液は、少なくとも着色剤を分散させてなる。
着色剤は、公知の方法で分散される。分散には、例えば、回転剪断型ホモジナイザーやボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等が好ましく用いられる。また、着色剤は、極性を有するイオン性界面活性剤を用い、既述したようなホモジナイザーを用いて水系溶媒中に分散される。着色剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記着色剤の体積平均粒径は、1μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましく、0.01〜0.5μmが特に好ましい。
【0087】
前記樹脂粒子の樹脂と、前記離型剤と、前記着色剤との組み合わせとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜自由に選択して用いられる。
本実施形態においては、目的に応じて、前記結着樹脂分散液、前記離型剤分散液、及び前記着色剤分散液の少なくともいずれかに、内添剤、帯電制御剤、無機粒体、有機粒体、滑剤、研磨材などのその他の成分(粒子)を分散させてもよい。その場合、前記結着樹脂分散液、離型剤分散液及び着色剤分散液の少なくともいずれかの中に、その他の成分(粒子)を分散させてもよいし、樹脂粒子分散液、離型剤分散液、及び着色剤分散液を混合してなる混合液中に、その他の成分(粒子)を分散させてなる分散液を混合してもよい。
【0088】
前記結着樹脂分散液、前記離型剤分散液、前記着色剤分散液及び前記その他の成分における分散媒としては、例えば、水系媒体などが挙げられる。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。好適な組み合わせとしては、蒸留水、イオン交換水を用いることが好ましい。樹脂粒子、着色剤粒子及び離型剤粒子等、各々の分散粒子の水系媒体中における安定性、ひいては分散液の保存性の点で界面活性剤の添加は有利であるだけでなく、凝集工程における前記凝集粒子の安定性の点からも有利である。
また、着色剤の水系媒体中での分散安定性をより安定化させ、トナー中での着色剤のエネルギーを低くするために添加する分散剤として、ロジン、ロジン誘導体、カップリング剤、高分子分散剤などが挙げられる。
【0089】
本実施形態においては、分散安定性向上のため、水系媒体に界面活性剤を添加混合しておくことが好ましい。
このようにして得られた粒子分散液の体積平均粒子径は、例えば、レーザー回析式粒度分布測定装置(LA−700、(株)堀場製作所製)で測定される。測定法としては分散液となっている状態の試料を固形分で約2gになるように調整し、これにイオン交換水を添加して、約40mlにする。これをセルに適当な濃度になるまで投入し、約2分待って、セル内の濃度がほぼ安定になったところで測定する。得られたチャンネルごとの粒子径を粒径の小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均粒子径とした。
【0090】
−外添工程−
トナー母粒子の表面にシリカ、チタニアなどの無機粒子を外添する方法としては、特に制限はなく、公知の方法が用いられ、例えば、機械的方法、又は、化学的方法で付着させる方法が挙げられる。
【0091】
(静電荷像現像剤)
本実施形態の静電荷像現像用トナーは、静電荷像現像剤として使用される。
本実施形態の静電荷像現像剤は、本実施形態の静電荷像現像用トナーを含有すること以外は、特に制限はなく、目的に応じて適宜の成分組成を取り得る。本実施形態の静電荷像現像用トナーを、単独で用いると一成分系の静電荷像現像剤として調製され、また、キャリアと組み合わせて用いると二成分系の静電荷像現像剤として調製される。
一成分系現像剤として、現像スリーブ又は帯電部材と摩擦帯電して、帯電トナーを形成して、静電潜像に応じて現像する方法も適用される。
【0092】
本実施形態において、現像方式は特に規定されるものではないが二成分現像方式が好ましい。また上記条件を満たしていれば、キャリアは特に規定されないが、キャリアの芯材としては、例えば、鉄、鋼、ニッケル、コバルト等の磁性金属、これらとマンガン、クロム、希土類等との合金、及び、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられるが、芯材表面性、芯材抵抗の観点から、フェライト、特にマンガン、リチウム、ストロンチウム、マグネシウム等との合金が好ましく挙げられる。
【0093】
本実施形態で用いるキャリアは、芯材表面に樹脂を被覆してなることが好ましい。前記樹脂としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択される。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル及びポリビニルケトン等のポリビニル系樹脂及びポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂又はその変性品;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素系樹脂;シリコーン樹脂;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;フェノール樹脂;尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂、等のそれ自体公知の樹脂が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本実施形態においては、これらの樹脂の中でも、フッ素系樹脂及び/又はシリコーン樹脂を少なくとも使用することが好ましい。前記樹脂として、フッ素系樹脂及び/又はシリコーン樹脂を少なくとも使用すると、トナーや外添剤によるキャリア汚染(インパクション)の防止効果が高い点で有利である。
【0094】
前記樹脂による被膜は、前記樹脂中に樹脂粒子及び/又は導電性粒子が分散されていることが好ましい。前記樹脂粒子としては、例えば、熱可塑性樹脂粒子、熱硬化性樹脂粒子等が挙げられる。これらの中でも、比較的硬度を上げることが容易な観点から熱硬化性樹脂が好ましく、トナーに負帯電性を付与する観点からは、N原子を含有する含窒素樹脂による樹脂粒子が好ましい。なお、これらの樹脂粒子は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記樹脂粒子の体積平均粒径としては、0.1〜2μmが好ましく、0.2〜1μmがより好ましい。前記樹脂粒子の体積平均粒径が0.1μm以上であると、前記被膜における樹脂粒子の分散性に優れ、一方、2μm以下であると、前記被膜から樹脂粒子の脱落が生じにくい。
【0095】
前記導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属粒子、カーボンブラック粒子、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム粉末等の表面を酸化スズ、カーボンブラック、金属等で覆った粒子等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、製造安定性、コスト、導電性等が良好な点で、カーボンブラック粒子が好ましい。前記カーボンブラックの種類としては、特に制限はないが、DBP吸油量が50〜250ml/100gであるカーボンブラックが製造安定性に優れて好ましい。
【0096】
芯材表面への、前記樹脂、前記樹脂粒子、前記導電性粒子による被覆量は、0.5〜5.0重量%であることが好ましく、0.7〜3.0重量%であることがより好ましい。
【0097】
前記被膜を形成する方法としては、特に制限はないが、例えば、前記樹脂粒子及び/又は前記導電性粒子と、マトリックス樹脂としてのスチレンアクリル樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂等の前記樹脂とを溶剤中に含む被膜形成用液を用いる方法が挙げられる。
具体的には前記キャリア芯材を、前記被膜形成用液に浸漬する浸漬法、被膜形成用液を前記キャリア芯材の表面に噴霧するスプレー法、前記キャリア芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で前記被膜形成用液を混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。これらの中でも、本実施形態において、ニーダーコーター法が好ましい。
【0098】
前記被膜形成用液に用いる溶剤としては、マトリックス樹脂としての前記樹脂のみを溶解することが可能なものであれば、特に制限はなく、それ自体公知の溶剤の中から選択され、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル等が挙げられる。前記被膜に前記樹脂粒子が分散されている場合において、その厚み方向及びキャリア表面の接線方向に、前記樹脂粒子及びマトリックス樹脂としての前記粒子が均一に分散しているため、前記キャリアを長期間使用して前記被膜が摩耗したとしても、常に未使用時と同様な表面形成を保持でき、前記トナーに対し、良好な帯電付与能力を長期間にわたって維持される。また、前記被膜に前記導電性粒子が分散されている場合においては、その厚み方向及びキャリア表面の接線方向に、前記導電性粒子及びマトリックス樹脂としての前記樹脂が均一に分散しているため、前記キャリアを長期間使用して前記被膜が摩耗したとしても、常に未使用時と同様な表面形成を保持でき、キャリア劣化が長期間防止される。なお、前記被膜に前記樹脂粒子と前記導電性粒子とが分散されている場合において、上述の効果が同時に発揮される。
【0099】
以上のように形成された磁性キャリア全体の104V/cmの電界下における磁気ブラシの状態での電気抵抗は108〜1013Ωcmであることが好ましい。磁性キャリアの該電気抵抗が108Ωcm以上であると、像保持体上の画像部にキャリアの付着が抑制され、また、ブラシマークが出にくい。一方、磁性キャリアの該電気抵抗が1013Ωcm以下であると、エッジ効果の発生が抑制され、良好な画質が形成される。
なお、体積固有抵抗は以下のように測定される。
エレクトロメーター(KEITHLEY社製、商品名:KEITHLEY 610C)及び高圧電源(FLUKE社製、商品名:FLUKE 415B)と接続された一対の20cm2の円形の極板(鋼製)である測定治具の下部極板上に、サンプルを厚さ約1mm〜3mmの平坦な層を形成するように載置する。次いで上部極板をサンプルの上にのせた後、サンプル間の空隙をなくすため、上部極板上に4Kgの重しをのせる。この状態でサンプル層の厚さを測定する。次いで、両極板に電圧を印加することにより電流値を測定し、次式に基づいて体積固有抵抗を計算する。
体積固有抵抗=印加電圧×20÷(電流値−初期電流値)÷サンプル厚
上記式中、初期電流は印加電圧0のときの電流値であり、電流値は測定された電流値を示す。
【0100】
二成分系の静電荷像現像剤における本実施形態のトナーとキャリアとの混合割合は、キャリア100重量部に対して、トナー2〜10重量部であることが好ましい。また、現像剤の調製方法は、特に限定されないが、例えば、Vブレンダー等で混合する方法等が挙げられる。
【0101】
(画像形成方法)
本実施形態の静電荷像現像剤(静電荷像現像用トナー)は、静電荷像現像方式(電子写真方式)の画像形成方法に使用される。
本実施形態の画像形成方法は、像保持体を帯電させる帯電工程、帯電された前記像保持体を露光して静電潜像を形成する静電潜像形成工程、前記静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像し、現像像を形成する現像工程、前記現像像を、基材上に転写し転写像を形成する転写工程、及び、前記転写像を定着する定着工程、を含み、前記トナーが本実施形態の静電荷像現像用トナー、又は、前記現像剤が本実施形態の静電荷像現像剤であることを特徴とする。
【0102】
前記各工程は、それ自体一般的な工程であり、例えば、特開昭56−40868号公報、特開昭49−91231号公報等に記載されている。なお、本実施形態の画像形成方法は、それ自体公知のコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施される。
【0103】
前記帯電工程は、像保持体を帯電させる工程である。
前記潜像形成工程は、像保持体表面に静電潜像を形成する工程である。
前記現像工程は、前記像保持体表面に形成された前記静電潜像を本実施形態の静電荷像現像用トナー又は本実施形態の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する工程である。
前記転写工程は、前記トナー像を被転写体上に転写する工程である。
前記定着工程は、加熱部材と加圧部材との間に未定着の前記トナー像が形成された前記被転写体を通過させ前記トナー像を定着する工程である。
【0104】
前記定着工程において用いられる加熱部材としては、少なくとも最表層の表面エネルギーが30×10-3N/m以上3,000×10-3N/m以下であり、300×10-3N/m以上1,500×10-3N/m以下であることが好ましい。
このように表面エネルギーの高い加熱部材は、金属材又は無機材により形成されていることが好ましく、金属材により形成されていることがより好ましい。
加熱部材を形成する金属材としては、Fe、Cr、Cu、Ni、Co、Mn、Al、ステンレスなどのこれらの合金、及びこれらの酸化物などが挙げられ、中でも、Al、ステンレスが好ましく、Alがより好ましい。
加熱部材を形成する無機材としては、ガラス、セラミックスなどが挙げられる。
なお、加熱部材は、少なくともその最表層が前記金属材又は無機材により形成されているものであることが好ましい。例えば、加熱部材の全体が前記金属材又は無機材により形成されていてもよいし、加熱部材の最表層が前記金属材又は無機材により形成され、最表層以外の部分が他の材料により形成されていてもよい。
加熱部材の形状としては、例えば、円筒状のロール形状が挙げられる。
【0105】
定着工程において、加熱部材は、離型剤の融点以上に加熱され、トナーに含有される離型剤が加熱部材により溶融状態となる。定着工程における加熱部材の温度は、130〜170℃であることが好ましく、140〜160℃であることがより好ましい。上記範囲であると、トナーに含有される離型剤が確実に溶融状態となる。
本実施形態に用いられる離型剤は、前述の通り、シロキサン結合を有する有機珪素化合物を含有し、溶融状態での加熱部材との接触角が50°以下である。このため、トナーから溶出した離型剤が高い親和性でムラなく加熱部材に広がり、かつ、次に画像形成を行った用紙などの被記録媒体への離型剤の移行が低減される。こうして、画像形成後の被記録媒体を搬送するフィードロールの離型剤による汚染が抑制され、連続運転時の動作不良が抑制される。
【0106】
(画像形成装置)
画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体を帯電させる帯電手段と、前記像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、前記像保持体表面に形成された静電潜像を静電荷像現像用トナー又は静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記像保持体表面に形成された前記トナー像を被転写体表面に転写する転写手段と、加熱部材と加圧部材との間に未定着の前記トナー像が形成された前記被転写体を通過させ前記トナー像を定着する定着手段と、を有することを特徴とする。
【0107】
前記像保持体、及び、前記の各手段においては、前記の画像形成方法の各工程で述べた構成が好ましく用いられる。
前記の各手段は、いずれも画像形成装置において公知の手段が利用される。また、本実施形態で用いる画像形成装置は、前記した構成以外の手段や装置等を含むものであってもよい。また、本実施形態で用いる画像形成装置は前記した手段のうちの複数を同時に行ってもよい。
【0108】
(トナーカートリッジ及びプロセスカートリッジ)
トナーカートリッジは、本実施形態の静電荷像現像用トナーを少なくとも収容しているトナーカートリッジである。本実施形態のトナーカートリッジは、本実施形態の静電荷像現像用トナーを静電荷像現像剤として収納していてもよい。
また、プロセスカートリッジは、像保持体表面上に形成された静電潜像を前記静電荷像現像用トナー又は前記静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、像保持体、前記像保持体表面を帯電させるための帯電手段、及び、前記像保持体表面に残存したトナーを除去するためのクリーニング手段よりなる群から選ばれる少なくとも1種と、を備え、本実施形態の静電荷像現像用トナー、又は、本実施形態の静電荷像現像剤を少なくとも収容しているプロセスカートリッジであることが好ましい。
【0109】
トナーカートリッジは、画像形成装置に着脱可能であることが好ましい。すなわち、トナーカートリッジが着脱可能な構成を有する画像形成装置において、本実施形態のトナーを収納したトナーカートリッジが好適に使用される。
また、トナーカートリッジは、トナー及びキャリアを収納するカートリッジであってもよく、トナーを単独で収納するカートリッジとキャリアを単独で収納するカートリッジとを別体としたものでもよい。
【0110】
プロセスカートリッジは、画像形成装置に脱着されることが好ましい。プロセスカートリッジは、その他必要に応じて、除電手段等、その他の部材を含んでもよい。
トナーカートリッジ及びプロセスカートリッジとしては、公知の構成を採用してもよく、例えば、特開2008−209489号公報、及び、特開2008−233736号公報等が参照される。
【0111】
(画像形成装置の例)
本実施形態の画像形成装置の一例について図1を参照しながら説明するが、何ら本実施形態を限定するものではない。図1は本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略断面図である。
【0112】
図1において、複写機により構成された画像形成装置U1の上端のプラテンガラスPG上面には、自動原稿搬送装置U2が載置されている。前記自動原稿搬送装置U2は、複写しようとする複数の原稿Giが重ねて載置される原稿給紙トレイTG1を有している。前記原稿給紙トレイTG1に載置された複数の各原稿Giは、順次プラテンガラスPG上の複写位置を通過して原稿排紙トレイTG2に排出されるように構成されている。前記自動原稿搬送装置U2は、その後端部(−X端部)に設けた左右方向に延びるヒンジ軸(図示せず)により前記画像形成装置U1に対して回動可能であり、原稿Giを作業者が手でプラテンガラスPG上に置く際に上方に回動される。
【0113】
前記画像形成装置U1は、ユーザがコピースタート等の作動指令信号を入力操作するUI(ユーザインタフェース)を有している。画像形成装置U1上面の透明なプラテンガラスPGの下方に配置された原稿読取装置IITは、プラテンレジ位置(OPT位置)に配置された露光系レジセンサ(プラテンレジセンサ)Sp、及び露光光学系Aを有している。前記露光光学系Aは、その移動及び停止が露光系レジセンサSpの検出信号により制御され、常時はホーム位置に停止している。前記自動原稿搬送装置U2によりプラテンガラスPG上面の露光位置を通過する原稿Gi又は手動でプラテンガラスPG上に置かれた原稿からの反射光は、前記露光光学系Aを介して、固体撮像素子CCDでR(赤)、G(緑)、B(青)の電気信号に変換される。
【0114】
イメージプロセッシングシステムIPSは、固体撮像素子CCDから入力される前記RGBの電気信号をK(黒)、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の画像データに変換して一時的に記憶し、前記画像データを所定のタイミングで潜像形成用の画像データとしてレーザー駆動回路DLに出力する。レーザー駆動回路DLは、入力された画像データに応じてレーザー駆動信号を潜像形成装置ROSに出力する。前記イメージプロセッシングシステムIPS及びレーザー駆動回路DLの作動は、マイコンにより構成されたコントローラCにより制御される。
【0115】
像保持体PRは矢印Ya方向に回転しており、その表面は、次に帯電機(チャージロール)CRにより一様に帯電された後、潜像書込位置Q1において潜像形成装置ROSのレーザビームLにより露光走査されて静電潜像が形成される。フルカラー画像を形成する場合は、K(黒)、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の4色の画像に対応した静電潜像が順次形成され、モノクロ画像の場合はK(黒)画像に対応した静電潜像のみが形成される。
【0116】
前記静電潜像が形成された像保持体PR表面は、回転移動して現像領域Q2、1次転写領域Q3を順次通過する。ロータリ式の現像装置Gは、回転軸Gaの回転に伴って前記現像領域Q2に順次回転移動するK(黒)、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の4色の現像機GK、GY、GM、GCを有している。前記各色の現像機GK、GY、GM、GCは、前記現像領域Q2に現像剤を搬送する現像ロールGRを有しており、現像領域Q2を通過する像保持体PR上の静電潜像をトナー像に現像する。前記各現像機GK、GY、GM、GCの現像容機にはカートリッジ装着部Hk、Hy、Hm、Hc(図1参照)に装着されたトナー補給用カートリッジから各色のトナーが補給されるように構成されている。なお、このようなロータリ式現像装置は、例えば、特開2000−131942号公報、特開2000−231250号公報等に記載されている。
【0117】
前記像保持体PRの下方には中間転写ベルトBと、ベルト駆動ロールRd、テンションロールRt、ウォーキングロールRw、アイドラロール(フリーロール)Rf及びバックアップロールT2aを含む複数のベルト支持ロール(Rd,Rt,Rw,Rf,T2a)と、1次転写ロールT1と、それらを支持するベルトフレーム(図示せず)とを有している。そして、前記中間転写ベルトBは前記ベルト支持ロール(Rd,Rt,Rw,Rf,T2a)により回転移動可能に支持されており、画像形成装置動作時には矢印Yb方向に回転する。
【0118】
フルカラー画像を形成する場合、潜像書込位置Q1において第1色目の静電潜像が形成され、現像領域Q2において1色目のトナー像Tnが形成される。このトナー像Tnは、1次転写領域Q3を通過する際に、1次転写ロールT1によって中間転写ベルトB上に静電的に1次転写される。その後同様にして、第1色目のトナー像Tnを担持した中間転写ベルトB上に、第2色目、第3色目、第4色目のトナー像Tnが順次重ねて1次転写され、最終的にフルカラーの多重トナー像が中間転写ベルトB上に形成される。単色のモノカラー画像を形成する場合には1個の現像機のみを使用し、単色トナー像が中間転写ベルトB上に1次転写される。1次転写後、像保持体PR表面は、残留トナーが除電機JRにより除電され、像保持体クリーナCL1によりクリーニングされる。
【0119】
前記バックアップロールT2aの下方には、2次転写ロールT2bが前記バックアップロールT2aに対して離隔した位置と接触した位置との間で移動可能に配置されている。前記バックアップロールT2a及び2次転写ロールT2bにより2次転写器T2が構成されている。前記バックアップロールT2a及び2次転写ロールT2bの接触領域により2次転写領域Q4が形成されている。前記2次転写ロールT2bには、現像装置Gで使用するトナーの帯電極性と逆極性の2次転写電圧が電源回路Eから供給され、前記電源回路EはコントローラCにより制御される。
【0120】
給紙トレイTR1又はTR2に収容された記録シートSは、所定のタイミングでピックアップロールRpにより取り出され、さばきロールRsで1枚ずつ分離されて、給紙路SH1の複数の搬送ロールRaによりレジロールRrに搬送される。前記レジロールRrに搬送された記録シートSは、前記1次転写された多重トナー像又は単色トナー像が2次転写領域Q4に移動するのにタイミングを合わせて、転写前シートガイドSG1から2次転写領域Q4に搬送される。前記2次転写領域Q4において前記2次転写器T2は、中間転写ベルトB上のトナー像を記録シートSに静電的に2次転写する。2次転写後の中間転写ベルトBは、ベルトクリーナCL2により残留トナーが除去される。前記像保持体PR、帯電ロールCR、現像装置G、1次転写ロールT1、中間転写ベルトB、2次転写器T2等により、記録シートSにトナー像を転写して形成するトナー像形成装置(PR+CR+G+T1+B+T2)が構成されている。
【0121】
なお、前記2次転写ロールT2b及びベルトクリーナCL2は、中間転写ベルトBと離接(離隔及び接触)自在に配設されており、カラー画像が形成される場合には最終色の未定着トナー像が中間転写ベルトBに1次転写されるまで、中間転写ベルトBから離隔している。なお、前記2次転写ロールクリーナCL3は、前記2次転写ロールT2bと一緒に中間転写ベルトBに対して離接移動を行う。トナー像が2次転写された前記記録シートSは、転写後シートガイドSG2、シート搬送ベルトBHにより定着領域Q5に搬送される。定着領域Q5は定着装置Fの加熱ロールFhと加圧ロールFpとが圧接する領域(ニップ)であり、定着領域Q5を通過する記録シートSは、定着装置Fにより加熱定着される。加熱ロールFhは、例えば金属材により形成されたものである。
【0122】
図1において、記録シートSのトナー像を定着する定着領域Q5の下流側には、駆動ロール16aと従動ロール16bとを有するシート搬送ロール16、駆動ロールRb1と従動ロールRb2とを有するシート搬送ロールRb、及びシート排出路SH2が順次設けられている。シート排出路SH2には、シート反転路SH3が接続されている。前記シート排出路SH2及びシート反転路SH3の分岐点には、切替ゲートGT1が設けられている。シート排出路SH2に搬送された記録シートSは、複数の搬送ロールRaによりシート排出ロールRhに搬送され、画像形成装置U1の上端部に形成されたシート排出口Kaから排紙トレイTR3に排出される。前記シート反転路SH3にはシート循環路SH4が接続されており、その接続部にはシート状部材により構成されたマイラゲートGT2が設けられている。前記マイラゲートGT2は、前記切替ゲートGT1からシート反転路SH3を搬送されてきた記録シートSをそのまま通過させると共に、一旦通過してからスイッチバックして来た記録シートSを、シート循環路SH4側に向かわせる。シート循環路SH4に搬送された記録シートSは前記給紙路SH1を通って前記転写領域Q4に再送される。前記符号SH1〜SH4で示された要素によりシート搬送路SHが構成されている。前記シート搬送路SH及びそこに配置されたシート搬送機能を有するロールRa、Rh等によりシート搬送装置USが構成されている。
【実施例】
【0123】
以下、実施例を交えて詳細に本実施形態を説明するが、何ら本実施形態を限定するものではない。なお、以下の記載における「部」とは、特に断りのない限り「重量部」を示すものとする。
【0124】
(シリコーンゴムの粒子分散液1の調製)
オクタメチルシクロテトラシロキサン 100重量部、
γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン 5重量部、
テトラエトキシシラン 2重量部、
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.7重量部
をイオン交換水300重量部に溶解させ、ホモミキサーにより10,000rpmで15分間撹拌して乳化液とした後、反応釜中において30℃で18時間反応させた。
その後、炭酸水素ナトリウム水溶液を添加し、系内のpHを6.8にしてシリコーンゴムの粒子の分散液を得た。シリコーンゴムの粒子の体積平均粒子径は、280nmであった。
前記シリコーンゴムの粒子の分散液に、イオン交換水200重量部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量部とを添加して撹拌し、そこに20重量部/時間となるように、メタクリル酸メチル36重量部と、ジビニルベンゼン0.5重量部との混合物を滴下した。
前記シリコーンゴムの粒子の分散液に対して、20分間撹拌混合しながら過硫酸アンモニウム4重量部を溶解したイオン交換水50重量部を投入した。その後、反応釜内を窒素置換した後、釜内を70℃まで加熱して5時間乳化重合を継続した。その結果、レーザー回折式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−700)で測定された体積平均粒径dが310nmのシリコーンゴムの粒子を樹脂で被覆したシリコーンゴムの粒子の分散液(シリコーンゴムの粒子分散液1)が得られた。
【0125】
(シリコーンゴムの粒子分散液2の調製)
オクタメチルシクロテトラシロキサン 100重量部、
γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン 5重量部、
テトラエトキシシラン 2重量部、
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム 1.2重量部
をイオン交換水300重量部に溶解させ、ホモミキサーにより10,000rpmで15分間撹拌して乳化液とした後、反応釜中において30℃で18時間反応させた。
その後、炭酸水素ナトリウム水溶液を添加し、系内のpHを6.8にしてシリコーンゴムの粒子の分散液を得た。シリコーンゴムの粒子の体積平均粒子径は、180nmであった。
前記シリコーンゴムの粒子の分散液に、イオン交換水220重量部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量部とを添加して撹拌し、そこに20重量部/時間となるように、メタクリル酸メチル40重量部と、ジビニルベンゼン0.5重量部との混合物を滴下した。
前記シリコーンゴムの粒子の分散液に対して、20分間撹拌混合しながら過硫酸アンモニウム4重量部を溶解したイオン交換水50重量部を投入した。その後、反応釜内を窒素置換した後、釜内を70℃まで加熱して5時間乳化重合を継続した。その結果、体積平均粒径が200nmのシリコーンゴムの粒子を樹脂で被覆したシリコーンゴムの粒子の分散液(シリコーンゴムの粒子分散液2)が得られた。
【0126】
(シリコーンゴムの粒子分散液3の調製)
オクタメチルシクロテトラシロキサン 100重量部、
γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン 5重量部、
テトラエトキシシラン 2重量部、
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム 2重量部
をイオン交換水300重量部に溶解させ、ホモミキサーにより10,000rpmで15分間撹拌して乳化液とした後、反応釜中において30℃で18時間反応させた。
その後、炭酸水素ナトリウム水溶液を添加し、系内のpHを6.8にしてシリコーンゴムの粒子の分散液を得た。シリコーンゴムの粒子の体積平均粒子径は、145nmであった。
前記シリコーンゴムの粒子の分散液に、イオン交換水270重量部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量部とを添加して撹拌し、そこに20重量部/時間となるように、メタクリル酸メチル49重量部と、ジビニルベンゼン0.5重量部との混合物を滴下した。
前記シリコーンゴムの粒子の分散液に対して、20分間撹拌混合しながら過硫酸アンモニウム4重量部を溶解したイオン交換水50重量部を投入した。その後、反応釜内を窒素置換した後、釜内を70℃まで加熱して5時間乳化重合を継続した。その結果、体積平均粒径が165nmのシリコーンゴムの粒子を樹脂で被覆したシリコーンゴムの粒子の分散液(シリコーンゴムの粒子分散液3)が得られた。
【0127】
(シリコーンゴムの粒子分散液4の調製)
オクタメチルシクロテトラシロキサン 100重量部、
γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン 5重量部、
テトラエトキシシラン 2重量部、
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.4重量部
をイオン交換水300重量部に溶解させ、ホモミキサーにより10,000rpmで15分間撹拌して乳化液とした後、反応釜中において30℃で18時間反応させた。
その後、炭酸水素ナトリウム水溶液を添加し、系内のpHを6.8にしてシリコーンゴムの粒子の分散液を得た。シリコーンゴムの粒子の体積平均粒子径は、400nmであった。
前記シリコーンゴムの粒子の分散液に、イオン交換水250重量部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量部とを添加して撹拌し、そこに20重量部/時間となるように、メタクリル酸メチル45重量部と、ジビニルベンゼン0.5重量部との混合物を滴下した。
前記シリコーンゴムの粒子の分散液に対して、20分間撹拌混合しながら過硫酸アンモニウム4重量部を溶解したイオン交換水50重量部を投入した。その後、反応釜内を窒素置換した後、釜内を70℃まで加熱して5時間乳化重合を継続した。その結果、体積平均粒径が450nmのシリコーンゴムの粒子を樹脂で被覆したシリコーンゴムの粒子の分散液(シリコーンゴムの粒子分散液4)が得られた。
【0128】
(シリコーンゴムの粒子分散液5の調製)
オクタメチルシクロテトラシロキサン 100重量部、
γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン 5重量部、
テトラエトキシシラン 2重量部、
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.3重量部
をイオン交換水300重量部に溶解させ、ホモミキサーにより10,000rpmで15分間撹拌して乳化液とした後、反応釜中において30℃で18時間反応させた。
その後、炭酸水素ナトリウム水溶液を添加し、系内のpHを6.8にしてシリコーンゴムの粒子の分散液を得た。シリコーンゴムの粒子の体積平均粒子径は、430nmであった。
前記シリコーンゴムの粒子の分散液に、イオン交換水220重量部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量部とを添加して撹拌し、そこに20重量部/時間となるように、メタクリル酸メチル40重量部と、ジビニルベンゼン0.5重量部との混合物を滴下した。
前記シリコーンゴムの粒子の分散液に対して、20分間撹拌混合しながら過硫酸アンモニウム4重量部を溶解したイオン交換水50重量部を投入した。その後、反応釜内を窒素置換した後、釜内を70℃まで加熱して5時間乳化重合を継続した。その結果、体積平均粒径が480nmのシリコーンゴムの粒子を樹脂で被覆したシリコーンゴムの粒子の分散液(シリコーンゴムの粒子分散液5)が得られた。
【0129】
(ポリメチルメタクリレート粒子分散液の作成)
メタクリル酸メチル 100重量部、
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.5重量部、
をイオン交換水350重量部に溶解させ、ホモミキサーにより10,000rpmで15分間撹拌して乳化液とした後、反応釜中に添加し、過硫酸アンモニウム4重量部を溶解したイオン交換水50重量部を投入した。その後70℃に昇温し5時間重合反応を行い、体積平均粒径320nmのポリメチルメタクリレート粒子分散液を得られた。
【0130】
(結着樹脂の合成)
・テレフタル酸 25重量部
・イソフタル酸 10重量部
・ドデセニルコハク酸 15重量部
・ビスフェノールA エチレンオキサイド付加物 25重量部
・ビスフェノールA プロピレンオキサイド付加物 25重量部
・ジブチルスズオキシド 0.1重量部
上記成分を加熱乾燥した二口フラスコに入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち撹拌しながら昇温した後、150〜230℃で約12時間共縮重合反応させ、その後、210〜250℃で徐々に減圧して、ポリエステル樹脂を合成した。
得られたポリエステル樹脂の重量平均分子量は、50,000であった。
【0131】
(樹脂粒子分散液の調製)
・結着樹脂 160部
・酢酸エチル 233部
・水酸化ナトリウム水溶液(0.3N) 0.1部
上記成分をセパラブルフラスコに入れ、70℃で加熱し、スリーワンモーター(新東科学(株)製)により撹拌して樹脂混合液を調製した。この樹脂混合液を更に撹拌しながら、徐々にイオン交換水373部を加え、転相乳化させ、脱溶剤することにより樹脂粒子分散液(固形分濃度:30%)を得た。
【0132】
(着色剤分散液の調製)
・シアン顔料(大日精化(株)製、Pigment Blue 15:3(銅フタロシアニン) 1,000部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンR) 30部
・イオン交換水 6,000部
以上を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて1時間分散して、着色剤を分散させてなる着色剤分散液を調製した。着色剤分散液における着色剤の体積平均粒子径は0.16μm、固形分濃度は20重量%であった。
【0133】
(離型剤分散液の調製)
・パラフィンワックス(日本精蝋(株)製、HNP−9) 50部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK) 0.5部
・イオン交換水:230部
以上を混合して95℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した。その後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社製)で分散処理し、離型剤を分散させてなる離型剤分散液(固形分濃度:20%)を調製した。離型剤の体積平均粒子径は0.23μmであった。
【0134】
(実施例1)
−凝集工程−
樹脂粒子分散液 350部
着色剤分散液 70部
離型剤分散液 70部
アニオン性界面活性剤(テイカパワー/テイカ(株)製) 10部
上記原料を円筒ステンレス容器に入れ、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用い、ホモジナイザーの回転数を4,000rpmにして、せん断力を加えながら10分間分散して混合した。次いで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウム(PAC)の10%硝酸水溶液(硝酸の含有量は0.05N)8.0部を徐々に滴下して、ホモジナイザーの回転数を5,000rpmにして15分間分散して混合し、原料分散液とした。
【0135】
その後、撹拌装置、温度計を備えた重合釜に原料分散液を移し、マントルヒーターにて加熱し始め、42℃にて凝集粒子の成長を促進させた。この際、0.3Nの硝酸や1Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いて原料分散液のpHを3.2〜3.8の範囲に調整した。原料分散液を上記pH範囲に保持して2時間ほど放置し、凝集粒子を形成した。
【0136】
−粒子付着工程−
次に、原料分散液に樹脂粒子分散液150部と、シリコーンゴムの粒子分散液1を80部とを追添加し、前記凝集粒子の表面にシリコーンゴムの粒子を付着させた。
【0137】
−融合工程−
更に、原料分散液を40℃に昇温し、光学顕微鏡及びマルチサイザーIIを用いて、粒子の大きさ及び形態を確認しながら凝集粒子を整えた。その後、凝集粒子を融合させるために、原料分散液にNaOH水溶液を滴下してpHを7.0に調整した後、原料分散液を80℃まで昇温させた。その後、3時間原料分散液を放置して凝集粒子を融合させ、光学顕微鏡で凝集粒子が融合したのを確認した後、着色粒子分散液を1.0℃/分の降温速度で冷却した。
【0138】
−洗浄工程−
次に、着色粒子分散液を濾過し、固液分離後の着色粒子を、着色粒子固形分量に対して20倍量の30℃のイオン交換水中に分散し、20分間撹拌して濾過を行った。濾過後の着色粒子を凍結乾燥機で乾燥しトナー母粒子を得た。
【0139】
トナー母粒子100部に対して、外添剤として、SiO2粒子(体積平均粒子径50nm)5部を添加し、ヘンシェルミキサーで5分間混合した。更に超音波振動篩(45μm/ダルトン社製)にかけて静電荷像現像用トナーを得た。静電荷像現像用トナーの体積平均粒子径は3.8μmであった。
【0140】
<キャリアの作製>
・フェライト粒子(体積平均粒径;35μm) 100重量部
・トルエン 14重量部
・パーフルオロアクリレート共重合体(臨界表面張力24dyn/cm) 1.6重量部
・カーボンブラック(商品名;VXC−72、キャボット社製、抵抗100Ωcm以下)
0.12重量部
・架橋メラミン樹脂粒子(体積平均粒径;0.3μm、トルエン不溶) 0.3重量部
フェライト粒子を除く上記成分を10分間スターラで分散し、被膜層形成液を調合した。さらにこの被膜層形成液とフェライト粒子を真空脱気型ニーダにいれ、温度60℃において30分間撹拌した後、減圧してトルエンを留去して、樹脂被膜層を形成してキャリアを得た(ただし、キャリア樹脂であるパーフルオロアクリレート共重合体にカーボンブラックをトルエンに希釈してサンドミルで分散しておいた。)。
【0141】
静電荷像現像用トナー8重量部と上記で得られたキャリア92重量部をVブレンダーにいれ20分間撹拌した後、105μmメッシュで篩分し、静電荷像現像剤を作製した。
【0142】
<フィルミングの評価方法>
DocuPrintC3200(富士ゼロックス(株)製)改造機(プロセス速度を320mm/sにし、定着装置を除去しても転写までは通常と同じように作動するように改造したもの)を用い、被記録媒体上のトナーの量を0.2g/m2として10℃20%RH環境下において5,000枚の出力を行い、その後28℃85%RH環境下において0.2g/m2トナーの量にて5,000枚連続で印字し、フィルミングによる画像欠陥が発生したプリント枚数について百分率で数値化した。
◎:0.5%未満
○:0.5%以上1.0%未満
△:1.0%以上5.0%未満
×:5.0%以上
【0143】
<転写維持性の評価方法>
DocuPrintC3200改造機の現像機に充填し、10℃20%RHの環境下、プロセス速度300mm/secの条件でソリッド画像及び文字の混合チャートをそれぞれ、5,000枚連続プリントを行い、感光体上表面の残留物をテープ転写にて目視観察にて評価を行った。
◎:転写残が確認できない。
○:転写残があるがほとんど目立たない。
△:わずかに転写残が確認されるが実用上問題なし。
×:転写残が多く、実使用において重大な問題があり不適である。
【0144】
<実施例2>
融合時間を2.2時間に変更することにより、静電荷像現像剤トナーの平均円形度を0.97とした以外は、実施例1と同様にして静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像剤を調製し、評価した。評価結果を表1に示した。
【0145】
<実施例3>
融合時間を1時間に変更することにより、静電荷像現像剤トナーの平均円形度を0.95とした以外は、実施例1と同様にして静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像剤を調製し、評価した。評価結果を表1に示した。
【0146】
<実施例4>
使用したシリコーンゴムの粒子分散液をシリコーンゴムの粒子分散液2に変更することにより、静電荷像現像剤トナーのd/Dの値を0.05とした以外は、実施例1と同様にして静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像剤を調製し、評価した。評価結果を表1に示した。
【0147】
<実施例5>
使用したシリコーンゴムの粒子分散液をシリコーンゴムの粒子分散液3に変更することにより、静電荷像現像剤トナーのd/Dの値を0.04とした以外は、実施例1と同様にして静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像剤を調製し、評価した。評価結果を表1に示した。
【0148】
<実施例6>
使用したシリコーンゴムの粒子分散液をシリコーンゴムの粒子分散液4に変更することにより、静電荷像現像剤トナーのd/Dの値を0.12とした以外は、実施例1と同様にして静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像剤を調製し、評価した。評価結果を表1に示した。
【0149】
<実施例7>
使用したシリコーンゴムの粒子分散液をシリコーンゴムの粒子分散液5に変更することにより、静電荷像現像剤トナーのd/Dの値を0.13とした以外は、実施例1と同様にして静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像剤を調製し、評価した。評価結果を表1に示した。
【0150】
<実施例8>
融合時間を2.4時間に変更することにより、静電荷像現像剤トナーの平均円形度を0.97とした以外は、実施例6と同様にして静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像剤を調製し、評価した。評価結果を表1に示した。
【0151】
<実施例9>
融合時間を1.2時間に変更することにより、静電荷像現像剤トナーの平均円形度を0.96とした以外は、実施例6と同様にして静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像剤を調製し、評価した。評価結果を表1に示した。
【0152】
<実施例10>
融合時間を2.5時間に変更することにより、静電荷像現像剤トナーの平均円形度を0.97とした以外は、実施例7と同様にして静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像剤を調製し、評価した。評価結果を表1に示した。
【0153】
<実施例11>
融合時間を2時間に変更することにより、静電荷像現像剤トナーの平均円形度を0.97とした以外は、実施例2と同様にして静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像剤を調製し、評価した。評価結果を表1に示した。
【0154】
<実施例12>
融合時間を0.9時間に変更することにより、静電荷像現像剤トナーの平均円形度を0.96とした以外は、実施例2と同様にして静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像剤を調製し、評価した。評価結果を表1に示した。
【0155】
<実施例13>
融合時間を1.8時間に変更することにより、静電荷像現像剤トナーの平均円形度を0.97とした以外は、実施例5と同様にして静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像剤を調製し、評価した。評価結果を表1に示した。
【0156】
<実施例14>
凝集粒子の成長温度を36℃に変更することにより、静電荷像現像剤トナーのDを3.0μm、平均円形度を0.98とした以外は、実施例1と同様にして静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像剤を調製し、評価した。評価結果を表1に示した。
【0157】
<実施例15>
凝集粒子の成長温度を32℃に変更することにより、静電荷像現像剤トナーのDを2.8μm、平均円形度を0.98とした以外は、実施例1と同様にして静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像剤を調製し、評価した。評価結果を表1に示した。
【0158】
<実施例16>
凝集粒子の成長温度を47℃に変更することにより、静電荷像現像剤トナーのDを4.8μm、平均円形度を0.98とした以外は、実施例1と同様にして静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像剤を調製し、評価した。評価結果を表1に示した。
【0159】
<実施例17>
凝集粒子の成長温度を50℃に変更することにより、静電荷像現像剤トナーのDを5.2μm、平均円形度を0.98とした以外は、実施例1と同様にして静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像剤を調製し、評価した。評価結果を表1に示した。実施例17のトナーは転写維持性、フィルミングは問題なかったものの、解像度は他に比べてやや劣っていた。
【0160】
<比較例1>
シリコーンゴムの粒子分散液1をポリメチルメタクリレート(PMMA)粒子分散液に変更した以外は、実施例1と同様にして静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像剤を調製し、評価した。評価結果を表1に示した。
【0161】
<比較例2>
シリコーンゴムの粒子分散液1を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像剤を調製し、評価した。評価結果を表1に示した。
【0162】
【表1】

【符号の説明】
【0163】
U1:画像形成装置、PG:プラテンガラス、U2:自動原稿搬送装置、Gi:原稿、TG1、TG2:トレイ、IIT:原稿読取装置、Sp:露光系レジセンサ、A:露光光学系、CCD:固体撮像素子、IPS:イメージプロセッシングシステム、DL:レーザー駆動回路、ROS:潜像形成装置、C:コントローラ、PR:像保持体、CR:帯電器、Q1:潜像書込位置、Q2:現像領域、Q3:1次転写領域、G:ロータリ式の現像装置、Ga:回転軸、GK、GY、GM、GC:4色の現像器、GR:現像ロール、Hk、Hy、Hm、Hc:カートリッジ装着部、B:中間転写ベルト、Rd:ベルト駆動ロール、Rt:テンションロール、Rw:ウォーキングロール、Rf:アイドラロール、T2a:バックアップロール、T1:1次転写ロール、JR:除電器、CL1:像保持体クリーナ、T2b:2次転写ロール、T2:2次転写器、Q4:2次転写領域、E:電源回路、S:記録シート、Rp:ピックアップロール、Rs:さばきロール、SH1:給紙路、Ra:搬送ロール、Rr:レジロール、SG1:転写前シートガイド、CL2:ベルトクリーナ、CL3:2次転写ロールクリーナ、SG2:転写後シートガイド、BH:シート搬送ベルト、Q5:定着領域、F:定着装置、Fh:加熱ロール、Fp:加圧ロール、16a:駆動ロール、16b:従動ロール、16:シート搬送ロール、Rb1:駆動ロール、Rb2:従動ロール、Rb:シート搬送ロール、SH2:シート排出路、SH3:シート反転路、GT1:切替ゲート、Ra:搬送ロール、Rh:シート排出ロール、Ka:シート排出口、TR3:排紙トレイ、SH4:シート循環路、GT2:マイラゲート、SH:シート搬送路、US:シート搬送装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも結着樹脂及び着色剤を含むトナー母粒子を有し、
前記トナー母粒子が表面にシリコーンゴムの粒子よりなる突起を有することを特徴とする
静電荷像現像用トナー。
【請求項2】
平均円形度が0.97以上である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項3】
静電荷像現像用トナーの体積平均粒子径Dと前記突起を形成するシリコーンゴムの粒子の体積平均粒子径dとの比d/Dが0.05〜0.12である、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項4】
少なくとも結着樹脂及び着色剤を含む分散液に含まれる粒子を凝集し凝集体を形成する凝集工程と、
前記凝集体の表面にシリコーンゴムの粒子を付着する粒子付着工程と、
前記凝集体と付着した前記シリコーンゴムの粒子を融合させ合一させる融合工程と、を含むことを特徴とする
請求項1〜3のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーとキャリアとを含むことを特徴とする
静電荷像現像剤。
【請求項6】
像保持体を帯電させる帯電工程、
帯電された前記像保持体を露光して静電潜像を形成する静電潜像形成工程、
前記静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像し、現像像を形成する現像工程、
前記現像像を、基材上に転写し転写像を形成する転写工程、及び、
前記転写像を定着する定着工程、を含み、
前記トナーが請求項1〜3のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー、又は、前記現像剤が請求項5に記載の静電荷像現像剤であることを特徴とする
画像形成方法。

【図1】
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