説明

静電荷像現像用トナーの製造方法と静電荷像現像用トナー及び画像形成方法

【課題】高温高湿下でもカブリの発生と転写性低下を抑制した静電荷像現像用トナーの製造方法と、静電荷像現像用トナー及び画像形成方法を提供する。
【解決手段】水系媒体中で樹脂粒子と着色剤粒子とを融着させる工程を経て製造された静電荷像現像用トナーにおいて、長鎖脂肪族ベタイン系界面活性剤と、下記一般式(2)で表される界面活性剤または下記一般式(3)で表される界面活性剤を合計で1ppm〜10000ppm含むことを特徴とする静電荷像現像用トナー。一般式(2)RO(RO)n1SO一般式(3)ROSO(式中、R及びRは、各々独立に炭素数6〜22を有する脂肪族炭化水素基または、アリールアルキル基を表し、Rは炭素数2〜6のアルキレン基を表し、M及びMは各々、1価の金属元素またはアンモニウムイオンを表す。n1は1〜10の正の整数を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像現像用トナーの製造方法と該製造方法により造られた静電荷像現像用トナー、並びに該静電荷像現像用トナーを用いた画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、複写機やプリンタなどの電子写真方式による画像形成技術の分野では、デジタル技術の進展に伴い、1200dpi(dpi;2.54cmあたりのドット数)レベルの微小なドット画像を、正確に再現させる画像形成技術が求められるようになってきた。
【0003】
このような微小なドット画像を正確に再現させるために、静電荷像現像用トナー(以下、単にトナーということもある)の小径化が検討され、製造工程で種々の制御を加えることが可能ないわゆる重合トナーが注目されるようになった。
【0004】
ところが、これら小径のトナーは体積に比して表面積が大きくなるが故に、温湿度等の外部環境変動をより受けやすい。この点を改善するため、ドット再現性に影響を及ぼすトナーの帯電量に着目し、とりわけ過剰帯電によるドット再現性の変動が大きい低温低湿環境下において帯電量変動の小さいトナー等の提案がなされて(例えば、特許文献1参照)いる。また、トナー製造工程において生じた界面活性剤と金属塩の析出物に着目し、高温高湿下でもカブリの発生と転写性低下を抑制したトナー等も提案されて(例えば、特許文献2参照)いる。
【0005】
しかし、近年、温湿度等の外部環境変動に対し、これまで以上の高い性能が要求されるようになった。既存の技術ではその要求に対し不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−224713号公報
【特許文献2】特開2003−255600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記背景に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、十分なドキュメント(書類)保存性を有した静電荷像現像用トナーの製造方法と、静電荷像現像用トナー及び画像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
【0009】
1.水系媒体中で樹脂粒子と着色剤粒子とを融着させる工程を経て製造された静電荷像現像用トナーにおいて、下記一般式(1)で表される界面活性剤と、下記一般式(2)で表される界面活性剤または下記一般式(3)で表される界面活性剤を合計で1ppm〜10000ppm含むことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【0010】
一般式(2) RO(RO)n1SO
一般式(3) ROSO
(式中、R及びRは、各々独立に炭素数6〜22を有する脂肪族炭化水素基または、アリールアルキル基を表し、Rは炭素数2〜6のアルキレン基を表し、M及びMは各々、1価の金属元素またはアンモニウムイオンを表す。n1は1〜10の正の整数を表す。)
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、Rは炭素数10〜30のアルキル基またはアルケニル基を、RとRは各々独立に炭素数1乃至4のアルキル基を表す。n2は1〜4の正の整数を表す。)
2.水系媒体中で樹脂粒子と着色剤粒子とを融着させる工程を経て静電荷像現像用トナーを製造する前記前記1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法であって、前記樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集させる工程では、下記一般式(1)で表される界面活性剤と、下記一般式(2)で表される界面活性剤または下記一般式(3)で表される界面活性剤を合計で1ppm〜10000ppm含む工程を経て製造されることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
【0013】
一般式(2) RO(RO)n1SO
一般式(3) ROSO
(式中、R及びRは、各々独立に炭素数6〜22を有する脂肪族炭化水素基または、アリールアルキル基を表し、Rは炭素数2〜6のアルキレン基を表し、M及びMは各々、1価の金属元素またはアンモニウムイオンを表す。n1は1〜10の正の整数を表す。)
【0014】
【化2】

【0015】
(式中、Rは炭素数10〜30のアルキル基またはアルケニル基を、RとRは各々独立に炭素数1乃至4のアルキル基を表す。n2は1〜4の正の整数を表す。)
3.前記1に記載の静電荷像現像用トナーを用いて、電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成し、記録材に転写後に接触加熱定着することを特徴とする画像形成方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、十分なドキュメント(書類)保存性を有した静電荷像現像用トナーの製造方法と、静電荷像現像用トナー及び画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るカラー画像形成装置の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0019】
本発明において、少なくとも樹脂粒子及び着色剤粒子を含有する分散液中より凝集/融着させて着色粒子を形成して静電荷像現像用トナーを製造する方法で、前記一般式(1)と、前記一般式(2)または(3)で表される界面活性剤を合計で1ppm〜10000ppm含むことにより、本発明の効果が奏されるようになった理由は必ずしも明かではない。しかし、本発明の構成に至ったのは、下記の如く推測し検討を進めた結果である。
【0020】
前記特許文献1及び2に記載の発明では、金属塩またはそれが関与する微量な析出物がトナー性能への環境依存性をもたらす要因だと推測している。本発明者らは、金属塩またはそれが関与する微量な析出物の生成をさらに抑制し、かつ、弾性成分を新たに付与する手段を考案した。すなわち、その析出物の生成抑制と弾性成分付与の為、4級アミンを持つ一般式(1)で表される界面活性剤を新たに用いた。一般式(1)で表される界面活性剤の4級アミンは一般式(2)や(3)で表される界面活性剤のアニオン基と相互作用を持つ。それにより、一般式(2)や(3)で表される界面活性剤が金属塩との析出物を生成することを防ぎ、さらに、それが弾性成分になると考えられる。しかしながら、一般式(1)で表される界面活性剤と、一般式(2)や(3)で表される界面活性剤の量が多くなると相互作用が強くなり過ぎてしまい、それらで析出物を生成してしまう。故に、界面活性剤の総量は1〜10000ppmである必要があった。
【0021】
(一般式(1)で表される界面活性剤)
一般式(1)において、Rは炭素数10〜30のアルキル基またはアルケニル基を表すが、炭素数10〜20のアルキル基が好ましい。
【0022】
とRは各々独立に炭素数1乃至4のアルキル基を表すが、メチル基又はエチル基が好ましい。n2は1〜4の正の整数を表すが、1又は2が好ましい。
【0023】
一般式(1)で表される界面活性剤の具体例としては、たとえば、以下のものが挙げられる。
【0024】
【化3】

【0025】
(一般式(2)及び(3)で表される界面活性剤)
前記一般式)(2)及び一般式(3)で表される界面活性剤について説明する。
【0026】
一般式(2)及び(3)において、R及びRは、各々炭素数6〜22の脂肪族炭化水素基またはアリールアルキル基を表すが、好ましくは炭素数8〜20の脂肪族炭化水素基またはアリールアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数9〜16の脂肪族炭化水素基またはアリールアルキル基である。
【0027】
及びRで、各々表される炭素数6〜22の脂肪族炭化水素基としては、例えば、例えば、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ドコサデシル基等のアルキル基、デセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、ペンタデセニル基、5−(3−ペンテニル)−3,6,8−デカトリエン−1−イニル基、6−(1,3−ペンタジエニル)−2,4,7−ドコデカトリエン−9−イニル基、6−(1−ペンテン−3−イニル)−2,4,7,9−ウンデカテトラエニル基等の不飽和脂肪族炭化水素基(アルケニル基、アルカジエニル基、アルカトリエニル基およびアルカポリエニル基);オクチルシクロヘキシル基、ノニルシクロヘキシル基などの環状脂肪族炭素基等が挙げられる。これら脂肪族炭素基は、直鎖状でも分岐状でもよい。
【0028】
及びRで、各々表されるアリールアルキル基としては、ベンジル基、ジフェニルメチル基、シンナミル基、スチリル基、トリチル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0029】
一般式(2)において、Rは炭素数2〜6のアルキレン基を表すが、好ましくは炭素数2〜3のアルキレン基である。
【0030】
で表される炭素数2〜6のアルキレン基としては、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、エチルエチレン基等が挙げられる。
【0031】
一般式(2)において、n1は1〜11の数を表すが、好ましくは2〜10の数であり、更に好ましくは2〜5の数であり、特に好ましくは2〜3の数である。
【0032】
一般式(2)及び(3))において、M及びMで各々表される1価の金属元素としてはナトリウム、カリウム、リチウムが挙げられる。中でも、ナトリウムが好ましく用いられる。
【0033】
以下に、一般式(2)で表される界面活性剤の具体例を示すが本発明はこれらに限定されない。
【0034】
【化4】

【0035】
以下に、一般式(3)で表される界面活性剤の具体例を示すが本発明はこれらに限定されない。
【0036】
【化5】

【0037】
(本発明の静電荷像現像用トナー)
次に本発明に係る静電荷像現像用トナー(以後、単にトナーとも言う)の粒径や形状について説明する。
【0038】
本発明に係るトナーの体積基準のメディアン径(体積D50%径)は2.0〜8.0μmであることが好ましい。より好ましくは3.0〜7.0μmである。ここで、体積基準のメディアン径(体積D50%径)とは、一定体積のトナーを粒径の大きい順または小さい順にカウントしたとき、カウント数(累積値)が全粒子数の50%に相当するトナーの粒径のものである。
【0039】
また、本発明に係るトナーは、これを構成するトナーの体積基準の粒度分布における変動係数(以下、CV値ともいう)が20%以下であることが好ましい。変動係数が20%以下の粒度分布がシャープなトナーにより、高精細な文字画像を形成する上で好ましい。なお、トナーの体積基準の粒度分布における変動係数は、以下の式より算出される。
【0040】
変動係数(CV値)(%)=(S2/Dn)×100
(式中、S2は体積基準の粒度分布における標準偏差を示し、Dnは体積基準メディアン径(体積D50%径;μm)を示す。)
本発明に係るトナーの体積基準メディアン径(体積D50%径)や変動係数(CV値)は、コールターマルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用のコンピューターシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した装置を用いて測定、算出することができる。
【0041】
測定手順としては、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20ml(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を作製する。このトナー分散液を、サンプルスタンド内の電解液「ISOTONII(ベックマン・コールター社製)」の入ったビーカーに、測定濃度8%になるまでピペットにて注入し、測定機カウントを2500個に設定して測定する。なお、コールターマルチサイザーのアパチャー径は50μmのものを使用する。
【0042】
本発明に係るトナーの平均円形度は、0.916〜0.955のものが好ましい。ここで、トナーの円形度は、下記式より算出される。
【0043】
円形度=(粒子像と同じ投影面積を有する円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
また、平均円形度は、個々のトナー粒子の円形度を足し合わせた値を全粒子数で除して算出した値である。
【0044】
トナーの円形度を測定する装置としては、例えば、「FPIA−2100(Sysmex社製)」が挙げられる。FPIA−2100を用いた測定では、トナーを界面活性剤入りの水溶液でなじませ、超音波分散処理を1分間行ってトナーを分散させた後、FPIA−2100を用いて測定を行う。測定条件は、HPF(高倍率撮像)モードに設定してHPF検出数を3000〜10000個の適正濃度にして測定するものである。
【0045】
本発明に係るトナーは、主に黒色トナーとして用いられるが、カラートナーとして用いることも可能である。すなわち、カラートナーを用いて画像を形成する場合においては、色再現性の環境依存が低減でき、常に安定したカラー画像を提供することが可能である。
【0046】
尚、本発明は、重合体一次粒子を含有する分散液から粒子凝集体を得るトナー製造方法を用いるのが好ましい。
【0047】
(静電荷現像用トナーの製造方法)
次に、本発明に係るトナーの製造方法について説明する。
(1)樹脂と着色剤を含有する着色粒子分散液を作製する工程
(2)着色粒子分散液を冷却する工程
(3)冷却された着色粒子分散液から着色粒子を固液分離し、着色粒子を洗浄する工程
(4)洗浄処理した着色粒子を乾燥する工程
(5)乾燥処理した着色粒子に外添剤を添加する工程
最初に、(1)の「樹脂と着色剤を含有する粒子を作製する工程」について説明する。この工程は、水系媒体中で重合体一次粒子と着色剤粒子とを凝集、融着させて樹脂と着色剤を含有する粒子を作製する工程であり、次のような工程から構成される。すなわち、
(a)ラジカル重合性モノマー中には必要に応じてワックスを溶解させ、モノマー溶液を調製する工程
(b)ラジカル重合性モノマー溶液を重合して重合体一次粒子を作製する重合工程
(c)重合工程で得られた重合体一次粒子と着色剤粒子を凝集、融着させて粒子形成する工程から構成される。
【0048】
重合体一次粒子を作製する重合反応は、例えば、以下のような手順で行われる。臨界ミセル濃度(CMC)以下の界面活性剤を含有した水系媒体(界面活性剤及びラジカル重合開始剤の水溶液)中に、ワックスを溶解させたモノマー溶液を添加し、機械的エネルギーを加えてモノマー溶液の液滴を形成する。次いで、水溶性のラジカル重合開始剤を添加して液滴中で重合反応を進行させる。なお、モノマー液滴中に油溶性の重合開始剤を含有させて重合を行うことも可能である。また、上記モノマー溶液の液滴を形成するための機械的エネルギー付与手段として、ホモミキサー、マントンゴーリン、超音波振動装置などが挙げられる。
【0049】
なお、この工程で重合体一次粒子作製に使用可能なワックスとしては、特に限定されるものではなく、必要なければ、あえて添加しなくてもよい。具体的には低分子量のポリエチレンやポリプロピレン、ポリエチレンと他のオレフィン系ポリマーとの共重合体等のオレフィン系ワックス、パラフィンワックス、ベヘン酸ベヘニルやモンタン酸エステル、グリセリンエステル、ステアリン酸ステアリル等の長鎖脂肪族基を有するエステル系ワックス、水添ヒマシ油やカルナウバワックス等の植物系ワックス、ジステアリルケトン等の長鎖アルキル基を有するケトン系ワックス、アルキル基を有するシリコーン系ワックス、ステアリン酸等の高級脂肪酸系ワックス、長鎖脂肪酸アルコール系ワックス、ペンタエリスリトール等の長鎖脂肪酸多価アルコール系ワックス及びその部分エステル体系ワックス、オレイン酸アミドやステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド系ワックス、等が挙げられる。これらの中で、融点が100℃以下のワックスを用いることで良好な定着性が得られ、40〜90℃のものがより好ましく、50〜80℃のものが特に好ましい。
【0050】
また、モノマー溶液の液滴を作製する際に使用する乳化剤には、前記一般式(2)または(3)で表される界面活性剤を用いる。更に、前記一般式(2)または(3)で表される界面活性剤を併用してもよい。ただし、前記一般式(2)で表される界面活性剤を用いることが好ましい。
【0051】
また、アニオン性界面活性剤として、例えば、ステアリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム等の脂肪族石鹸や、硫酸ドデシルナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム等を併用することもできる。
【0052】
次に、重合体一次粒子の作製に用いられるモノマーについて説明する。本発明では極性基を有するモノマーと、その他のモノマーとを添加して重合を進行させることにより、ワックスを含有する重合体一次粒子を作製する。複数種類のモノマーを用いて重合体一次粒子を作製する際、モノマー同士を別々に添加したり、複数のモノマーを予め混合しておいてから添加してもよい。さらに、モノマー添加中にモノマー組成を変更することも可能である。
【0053】
重合体一次粒子の作製にあたり、重合反応をより確実に進行させるために一定量の乳化剤を添加することも可能である。また、重合開始剤を添加する時期は、モノマーの添加前、モノマーと同時に添加、モノマー添加後のいずれの場合でもよく、これらを組み合わせた添加方法でもよい。
【0054】
また、着色剤や帯電制御剤等のワックス以外の成分を添加し、これらの成分を含有した重合体一次粒子を作製することも可能であり、着色剤をモノマーやワックスに溶解させてから重合反応を行うことも可能である。
【0055】
酸性の極性基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸等のカルボキシル基を有するモノマーや、スルホン化スチレン等のスルホン酸基を有するモノマー等が挙げられる。
【0056】
また、塩基性の極性基を有するモノマーとしては、例えば、アミノスチレン及びその4級塩、ビニルピリジン、ビニルピロリドン等の窒素含有複素環を含有するモノマーや、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー、及び、これらのアミノ基を4級化したアンモニウム塩を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー、アクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジプロピルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、アクリル酸アミド等が挙げられる。
【0057】
さらに、その他のモノマーとしては、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−n−ノニルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
【0058】
本発明では、極性基を有するモノマーとしてメタクリル酸が、また、その他のモノマーとしてスチレン、アクリル酸エステル、及びメタクリル酸エステルが好適に用いられる。
【0059】
これらのモノマーは、単独または併用して用いることが可能であるが、重合体のガラス転移温度が40〜80℃となるようにモノマーを選択することが好ましい。重合体のガラス転移温度が上記範囲とすることにより、トナーの保存安定性が確保されるとともに定着温度を広範に設定することが可能である。
【0060】
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩や、これらの過硫酸塩を一成分として酸性亜硫酸ナトリウム等の還元剤を組み合わせたレドックス開始剤、過酸化水素、4,4′−アゾビスシアノ吉草酸、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の水溶性重合開始剤、及び、これらの水溶性重合開始剤を一成分として第一鉄塩等の還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤、過酸化ベンゾイル、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
【0061】
また、上記重合体一次粒子を作製する際に、連鎖移動剤を使用することも可能である。連鎖移動剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、ジイソプロピルキサントゲン等が挙げられる。連鎖移動剤は単独あるいは2種以上併用することが可能である。また、連鎖移動剤の添加量は全モノマー量に対して5質量%以下が好ましい。
【0062】
重合体一次粒子の大きさは、平均粒径で50〜3000nmの範囲であり、好ましくは100〜1000nm、100〜500nmが特に好ましい。その結果、トナー製造時における凝集速度の制御が行い易くなるので、均一なトナーを作製し易くなる。また、重合体一次粒子の大きさが上記範囲のときに小径のトナーが得られ易くなり、高解像度の画像形成を促進させる。なお、重合体一次粒子の大きさは、前述したワックス粒子の測定と同様、粒度分布測定装置を用いて測定することが可能で、例えば、レーザー回折散乱法を用いたマイクロトラック粒度分布測定装置UPA(日機装株式会社製)等の市販の粒度分布測定装置が挙げられる。
【0063】
重合工程に続く粒子形成工程では、重合体一次粒子と着色剤粒子とを凝集、融着させることにより粒子が形成される。凝集、融着を行って粒子形成を行う代表的な方法の1つに「塩析/融着法」がある。この方法は、モノマーを重合して重合体一次粒子を形成して得られた重合体一次粒子を着色剤粒子と金属塩等を用いて凝集させて粒子成長させる。そして、所望の粒子径まで成長したところで凝集停止剤を添加して粒子成長を停止させ、さらに、必要に応じて粒子形状を制御するための加熱を継続して行うものである。本発明においては、金属塩を用いる「塩析/融着法」ではなく、電気的に極性の異なる重合体一次粒子及び、着色粒子を混合することにより粒子成長を行う。そして、所望の粒子径まで成長したところで、凝集停止剤を添加し粒子成長停止させ、さらに、必要に応じて粒子形状を制御するための加熱を継続して行うものである。
【0064】
また、粒子形成工程では、重合体一次粒子や着色剤粒子の他に、ワックスや荷電制御剤などの内添剤も粒子にして凝集、融着させることができる。
【0065】
粒子形成工程における「水系媒体」とは、主成分(50質量%以上)が水からなるものをいう。ここに、水以外の成分としては、水に溶解する有機溶媒を挙げることができ、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
【0066】
着色剤粒子は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理は、水中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われる。着色剤の分散処理に使用する分散機は特に限定されないが、好ましくは超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。また、使用可能な界面活性剤としては、本発明の前記一般式(1)で表される界面活性剤と、前記一般式(2)で表される界面活性剤または前記一般式(3)で表される界面活性剤を挙げることができるが、前記一般式(1)で表される界面活性剤を使用することが好ましい。尚、本発明においては、着色剤(微粒子)は表面改質されていてもよい。着色剤の表面改質法は、溶媒中に着色剤を分散させ、その分子量液中に表面改質剤を添加し、この系を昇温することにより反応させる。反応終了後、着色剤を濾別し、同一の溶媒で洗浄濾過を繰り返した後、乾燥することにより、表面改質剤で処理された着色剤(顔料)が得られる。
【0067】
凝集/融着法は、塩基性下、重合体一次粒子と着色剤粒子が存在している水中に、塩酸等の酸を添加し、pHを酸側とする。次いで、前記樹脂粒子のガラス転移点以上の温度に加熱することで凝集を進行させると同時に融着を行う工程である。所望の粒径となった時点で、NaOH等のアルカリを添加し、pHをアルカリ側とすることで、粒子の成長を停止させる。そして、必要に応じて加熱を継続して行うことにより粒子の形状を制御するものである。
【0068】
この凝集/融着における工程においては、前記一般式(1)で表される界面活性剤と、前記一般式(2)で表される界面活性剤または前記一般式(3)で表される界面活性剤を合計で1ppm〜10000ppm含有する。好ましくは、1ppm〜5000ppm、更に好ましくは、1ppm〜1000ppmである。
【0069】
次に、(2)の「着色粒子分散液を冷却する工程」について説明する。この工程は前述の工程で作製された着色粒子の分散液を冷却処理する工程で、1〜20℃/分の冷却速度で急冷処理するものである。この工程で用いられる冷却処理方法としては、例えば、反応容器外部より冷媒を投入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法等が挙げられる。
【0070】
次に、(3)の「冷却された着色粒子分散液から着色粒子を固液分離し、着色粒子を洗浄する工程」について説明する。この固液分離・洗浄工程では、前述の工程で所定温度まで冷却された着色粒子分散液から着色粒子を固液分離する処理と、固液分離によりトナーケーキと呼ばれる塊状の着色粒子集合体を洗浄処理する工程からなる。トナーケーキの洗浄により、着色粒子表面に付着している界面活性剤や凝集剤等の付着物が除去される。
【0071】
着色粒子分散液の固液分離処理方法には、遠心分離法やヌッチェ等を使用する減圧濾過法、フィルタープレス等を使用する濾過法等が挙げられる。なお、固液分離・洗浄工程を複数回にわたり繰り返し行うことで、着色粒子表面の付着物をより確実に除去できる。
【0072】
次に、(4)の「洗浄処理した着色粒子を乾燥する工程」について説明する。この工程は、最終の洗浄処理を行ったトナーケーキを乾燥処理する工程である。この工程で使用される具体的な乾燥装置としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機の他に、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機等が挙げられる。
【0073】
乾燥処理後の着色粒子の水分量は、カールフィッシャー法による水分量測定で5質量%以下、好ましくは2質量%以下とすることが好ましい。カールフィッシャー法による水分測定装置としては、例えば、自動水分量測定装置「AQS−724」(平沼産業株式会社製)などが挙げられ、水分量測定時の条件は例えば気化温度を110℃、気化時間を25秒に設定して測定する。
【0074】
次に、(5)の「乾燥処理した着色粒子に外添剤を添加する工程」について説明する。この工程は、乾燥させた着色粒子に必要に応じて外添剤を添加して、着色粒子を画像形成に使用可能なトナーにする工程である。外添剤を添加、混合させる装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等の機械式の混合装置が挙げられる。
【0075】
次に、本発明に係るトナーの構成材料について説明する。
【0076】
本発明に係るトナーに使用される結着樹脂用は、特に限定されるものではなく、公知のものが使用される。具体的には、ポリスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体との共重合体;スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体等のスチレン系共重合体;フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂等が挙げられる。これらのうち、特に、ポリエステル樹脂、スチレン系共重合体樹脂が好ましく使用される。
【0077】
なお、スチレン系共重合体のスチレンモノマーに組み合わされるモノマーとしては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の二重結合を有するモノカルボン酸もしくはその置換体;マレイン酸、マレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチル等の二重結合を有するジカルボン酸もしくはその置換体;酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン、ブテン等のエチレン系オレフィン類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類等が挙げられる。スチレン系共重合体を形成する場合には、これらのビニル系モノマーを単独もしくは2種類以上用いる。
【0078】
また、トナー用結着樹脂は、前述した樹脂を2種類以上混合させたものや、架橋剤を介して架橋構造を形成するものでもよい。架橋剤としては、重合可能な二重結合を2つ以上有する化合物が用いられる。具体的には、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートの様な二重結合を2個以上有するカルボン酸エステル化合物;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物等が挙げられる。これらは単独もしくは2種類以上併用して用いることが可能である。
【0079】
本発明に係るトナーへの使用が可能な着色剤としては、以下の様なものが挙げられる。
【0080】
黒色の着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラックや、マグネタイトやフェライト等の磁性体も使用可能である。
【0081】
また、マゼンタもしくはレッド用の着色剤としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48;1、C.I.ピグメントレッド53;1、C.I.ピグメントレッド57;1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0082】
オレンジもしくはイエロー用の着色剤としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.Iピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
【0083】
グリーンもしくはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15;2、C.I.ピグメントブルー15;3、C.I.ピグメントブルー15;4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66、C.Iピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0084】
これらの着色剤は必要に応じて単独もしくは2種類以上併用することが可能である。また、着色剤の添加量はトナー全体に対して1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%の範囲に設定するのがよい。
【0085】
本発明に係るトナーには、必要に応じて荷電制御剤を添加することが可能である。荷電制御剤の具体的な例としては、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、ベンジル酸誘導体金属塩あるいはその金属錯体、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。含有される金属としては、Al、B、Ti、Fe、Co、Ni等が挙げられる。この中でも、ベンジル酸誘導体の金属錯体化合物が特に好ましい。
【0086】
荷電制御剤の添加量は、トナー全体に対して0.1〜20.0質量%の範囲に設定するのがよい。
【0087】
本発明に係るトナーには、流動性、帯電性の改良及びクリーニング性の向上などの目的で、いわゆる外添剤を添加することが可能である。これら外添剤としては特に限定されるものではなく、種々の無機微粒子、有機微粒子及び滑剤を使用することが可能である。
【0088】
無機微粒子としては、例えば、シリカ、チタニア、アルミナ、チタン酸ストロンチウム微粒子等が好ましく用いることができる。これら無機微粒子としては必要に応じて疎水化処理したものを用いてもよい。具体的なシリカ微粒子としては、例えば日本アエロジル社製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト社製のHVK−2150、H−200、キャボット社製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等が挙げられる。
【0089】
チタニア微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品T−805、T−604、テイカ社製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等が挙げられる。
【0090】
アルミナ微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業社製の市販品TTO−55等が挙げられる。
【0091】
また、有機微粒子としては数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することができる。具体的には、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体を使用することができる。
【0092】
これら外添剤の添加量は、トナー全体に対して0.1〜10.0質量%が好ましい。外添剤の添加方法としては、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を使用することができる。
【0093】
本発明に係るトナーには、必要に応じてクリーニング性、転写性の向上の目的で滑剤を添加して用いても良い。滑剤としては、例えば、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩等の高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。
【0094】
これら滑剤の添加量は、トナー全体に対して0.1〜10.0質量%が好ましい。滑剤の添加方法としては、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を使用することができる。
【0095】
(本発明に係わる現像剤)
本発明に係るトナーは、一成分現像剤、2成分現像剤として用いることができる。一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤或いはトナー中に0.1〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤としたものが挙げられ、いずれにも使用することができる。しかし、本発明の効果を十分に発揮することが出来、長期に亘って安定的に微少ドット再現性を発揮するのは、トナーをキャリアと混合して2成分現像剤として用いる場合である。
【0096】
この場合は、キャリアの磁性粒子として、鉄、フェライト、マグネタイト等の鉄含有磁性粒子に代表される従来から公知の材料を用いることができるが、特に好ましくはフェライト粒子もしくはマグネタイト粒子である。上記磁性粒子は、その体積平均粒径としては15〜100μm、より好ましくは20〜80μmのものがよい。
【0097】
キャリアの体積平均粒径の測定は、レーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0098】
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂により被覆されているコーティングキャリア、或いは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。又、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
【0099】
また、キャリアとトナーの混合比は、質量比でキャリア:トナー=1:1〜50:1の範囲とするのがよい。
【0100】
(画像形成方法及び画像形成装置)
図1は、本発明のトナーを用いたカラー画像形成装置の一例を示す断面概要図である。
【0101】
先ず、検知センサ、二次転写装置が装着されているカラー電子写真用の画像形成装置についてその概略を説明する。
【0102】
画像形成装置GSは、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、中間転写体の移動方向に沿ってイエロー、マゼンタ、シアンおよび黒色の各カラートナー像を形成する画像形成ユニットを配置し、各画像形成ユニットの像担持体上に形成したカラートナー像を中間転写体上に多重転写して重ね合わせた後、転写材上に一括転写するものである。
【0103】
図1において、画像形成装置GSの上部を占める位置に配設される画像読取装置SC上に載置された原稿画像が光学系により走査露光され、ラインイメージセンサCCDに読み込まれ、ラインイメージセンサCCDにより光電変換されたアナログ信号は、画像処理部において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行った後、画像書込手段としての露光光学系3に画像データ信号を送る。
【0104】
中間転写体としてはドラム式のものや無端ベルト式のものがあり、何れも同じような機能を有するものであるが、以下の説明においては中間転写体としては無端ベルト状の中間転写6を指すことにする。
【0105】
又、図1において、中間転写体6の周縁部には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び黒色(K)の各色毎の画像形成用として4組のプロセスユニット100が設けられている。プロセスユニット100はカラートナー像の形成手段として、図の矢印で示す鉛直方向の中間転写体6の回転方向に対して、中間転写体6に沿って垂直方向に縦列配置され、Y、M、C、Kの順に配置されている。
【0106】
4組のプロセスユニット100は何れも共通した構造であり、それぞれ、感光体ドラム1と、帯電手段としての帯電器2と、画像書込手段としての露光光学系3と、現像装置4と、像担持体クリーニング手段としての感光体クリーニング装置190とからなっている。
【0107】
感光体ドラム1は、例えば外径が40〜100mm程度のアルミニウム等の金属性の部材によって形成される円筒状の基体の外周に、層厚(膜厚)20〜40μm程度の感光層を形成したものである。感光体ドラム1は、図示しない駆動源からの動力により、基体を接地された状態で矢印の方向に、例えば80〜280mm/s程度で、好ましくは220mm/sの線速度で回転される。
【0108】
感光体ドラム1の周りには、帯電手段としての帯電器2、画像書込手段としての露光光学系3、現像装置4を1組とした画像形成部が、図の矢印にて示す感光体ドラム1の回転方向に対して配置される。
【0109】
帯電手段としての帯電器2は、感光体ドラム1の回転軸に平行な方向で感光体ドラム1と対峙し近接して取り付けられる。帯電器2は、感光体ドラム1の感光層に対し所定の電位を与えるコロナ放電電極としての放電ワイヤを備え、トナーと同極性のコロナ放電によって帯電作用(本実施形態においてはマイナス帯電)を行い、感光体ドラム1に対し一様な電位を与える。
【0110】
画像書込手段である露光光学系3は、不図示の半導体レーザ(LD)光源から発光されるレーザ光を、回転多面鏡(符号なし)により主走査方向に回転走査し、fθレンズ(符号なし)、反射ミラー(符号なし)等を経て感光体ドラム1上を画像信号に対応する電気信号による露光(画像書込)を行い、感光体ドラム1の感光層に原稿画像に対応する静電潜像を形成する。
【0111】
現像手段としての現像装置4は、感光体ドラム1の帯電極性と同極性に帯電されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び黒色(K)の各色の2成分現像剤を収容し、例えば厚み0.5〜1mm、外径15〜25mmの円筒状の非磁性のステンレスあるいはアルミ材で形成された現像剤担持体である現像ローラ4aを備えている。現像ローラ4aは、突き当てコロ(不図示)により感光体ドラム1と所定の間隙、例えば100〜1000μmをあけて非接触に保たれ、感光体ドラム1の回転方向と同方向に回転するようになっており、現像時、現像ローラ4aに対してトナーと同極性(本実施形態においてはマイナス極性)の直流電圧或いは直流電圧に交流電圧を重畳する現像バイアス電圧を印加することにより、感光体ドラム1上の露光部に対して反転現像が行われる。
【0112】
中間転写体6は、体積抵抗率が1.0×10〜1.0×10Ω・cm程度で、表面抵抗率が1.0×1010〜1.0×1012Ω/□程度の半導電性の無端状(シームレス)の樹脂ベルトが用いられる。樹脂ベルトとしては、具体的には変性ポリイミド、熱硬化ポリイミド、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ナイロンアロイ等のエンジニアリングプラスチックに導電材料を分散した厚さ0.05〜0.5mmの半導電性の樹脂フィルムを用いることができる。中間転写体6としては、この他に、シリコーンゴム或いはウレタンゴム等に導電材料を分散した厚さ0.5〜2.0mmの半導電性ゴムベルトを使用することもできる。中間転写体6はテンションローラ6a及び二次転写部材と対峙するバックアップローラ6Bを含む複数のローラ部材により巻回され、鉛直方向に回動可能に支持されている。
【0113】
各色毎の第1の転写手段としての一次転写ローラ7は、例えばシリコーンやウレタン等の発泡ゴムを用いたローラ状の導電性部材からなり、中間転写体6を挟んで各色毎の感光体ドラム1に対向して設けられ、中間転写体6の背面を押圧して感光体ドラム1との間に転写域を形成する。一次転写ローラ7には定電流制御によりトナーと反対極性(本実施形態においてはプラス極性)の直流定電流が印加され、転写域に形成される転写電界によって、感光体ドラム1上のトナー像が中間転写体6上に転写される。
【0114】
中間転写体6上に転写されたトナー像は転写材Pに転写される。中間転写体6の周上には、パッチ像トナーの濃度を測定する検知センサ8が設置されている。
【0115】
中間転写体6上の残留トナーをクリーニングするために、クリーニング装置190Aが設けられている。
【0116】
さらに、二次転写部材7A上のパッチ像トナーをクリーニングするために、二次転写装置70が設けられている。
【0117】
次に、画像形成工程(画像形成プロセス)について説明する。
【0118】
画像記録のスタートにより不図示の感光体駆動モータの始動によりYの感光体ドラム1が図の矢印で示す方向へ回転され、Yの帯電器2によってYの感光体ドラム1に電位が付与される。Yの感光体ドラム1は電位を付与された後、Yの露光光学系3によって第1の色信号すなわちYの画像データに対応する電気信号による露光(画像書込)が行われ、Yの感光体ドラム1上にイエロー(Y)の画像に対応する静電潜像が形成される。この潜像はYの現像装置4により反転現像され、Yの感光体ドラム1上にイエロー(Y)のトナーからなるトナー像が形成される。Yの感光体ドラム1上に形成されたYのトナー像は一次転写手段としての一次転写ローラ7により中間転写体6上に転写される。
【0119】
次いで、Mの帯電器2によってMの感光体ドラム1に電位が付与される。Mの感光体ドラム1は電位を付与された後、Mの露光光学系3によって第1の色信号すなわちMの画像データに対応する電気信号による露光(画像書込)が行われ、Mの感光体ドラム1上にマゼンタ(M)の画像に対応する静電潜像が形成される。この潜像はMの現像装置4により反転現像され、Mの感光体ドラム1上にマゼンタ(M)のトナーからなるトナー像が形成される。Mの感光体ドラム1上に形成されたMのトナー像は、一次転写手段としての一次転写ローラ7によりYのトナー像に重ね合わせて中間転写体6上に転写される。
【0120】
同様のプロセスにより、Cの感光体ドラム1上に形成されたシアン(C)のトナーからなるトナー像と、Kの感光体ドラム1上に形成された黒色(K)のトナーからなるトナー像が順次中間転写体6上に重ね合わせて形成され、中間転写体6の周面上に、Y、M、C及びKのトナーからなる重ね合わせのカラートナー像が形成される。
【0121】
転写後のそれぞれの感光体ドラム1の周面上に残ったトナーは感光体クリーニング装置190によりクリーニングされる。
【0122】
一方、給紙カセット20A、20B、20C内に収容された記録紙としての転写材Pは、給紙カセット20A、20B、20Cにそれぞれ設けられる送り出しローラ21および給紙ローラ22Aにより給紙され、搬送路22上を搬送ローラ22B、22C、22Dによって搬送され、レジストローラ23を経て、トナーと反対極性(本実施形態においてはプラス極性)の電圧が印加される二次転写手段としての二次転写部材7Aに搬送され、二次転写部材7Aの転写域において、中間転写体6上に形成された重ね合わせのカラートナー像(カラー画像)が転写材P上に一括して転写される。
【0123】
カラー画像が転写された転写材Pは、定着装置17の加熱部材17aと加圧ローラ17bとにより形成される定着ニップ部NAにおいて加熱加圧されて定着され、排紙ローラ24に挟持されて機外の排紙トレイ25上に載置される。
【0124】
以上は転写材Pの片側である第1面への画像形成を行う状態を説明したものであるが、両面複写の場合は、排紙切換部材26が切り替わり、シート案内部26Aが開放され、転写材Pは破線矢印の方向に搬送される。
【0125】
更に、搬送機構27Aにより転写材Pは下方の搬送路27Bに搬送され、シート反転部27Cによりスイッチバックさせられ、分岐部27Dで搬送路を切り換え、今までの転写材Pの後端部は先端部となって両面複写用給紙ユニット130内に搬送される。
【0126】
転写材Pは両面複写用給紙ユニット130に設けられた搬送ガイド131を給紙方向に移動し、給紙ローラ132で転写材Pは再給紙され、前記搬送路22に案内される。
【0127】
そして再び、上述したように二次転写部材7Aの方向に転写材Pが搬送され、転写材Pの裏面である第2面にトナー画像を転写し、定着装置17で定着した後、排紙トレイ25上に排紙する。
【0128】
又、二次転写手段としての二次転写部材7Aにより転写材P上にカラー画像が転写された後、転写材Pを曲率分離した中間転写体6上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置190Aにより除去される。
【0129】
さらに、二次転写部材7A上のパッチ像トナーは、二次転写装置70のクリーニングブレード71によりクリーニングされる。
【実施例】
【0130】
以下実施例により本発明を説明するが本発明はこれにより限定されるものではない。
【0131】
実施例1
〔着色粒子1の作製〕
(1)核粒子分散液1の作製
核粒子分散剤として化合物3−3:2.1gをイオン交換水800gに溶解させた界面活性剤溶液を、撹拌装置を取り付けたステンレス釜に入れ、70℃に加熱し攪拌した。この界面活性剤溶液に、過硫酸カリウム4gをイオン交換水40gに溶解させた重合開始剤溶液を添加し、温度を80℃とした後、スチレン145g、n−ブチルアクリレート42g、メタクリル酸21g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート2gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃にて2時間にわたり加熱攪拌を行って重合を進行させた後、28℃まで冷却して核粒子分散液を得た。この核粒子分散液を「核粒子分散液1」とする。
【0132】
(2)重合体一次粒子分散液1の作製
スチレン175g、n−ブチルアクリレート60g、メタクリル酸15g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート7gからなる単量体混合液を、撹拌装置を取り付けたステンレス釜に入れ、そこにペンタエリスリトールテトラベヘン酸エステル100gを添加し、70℃に加温、溶解させて単量体混合液を調製した。
【0133】
一方、一次粒子分散剤として化合物2−2:2gをイオン交換水1350gに溶解させた界面活性剤溶液を70℃に加熱し、前記単量体混合液を添加、混合した後、循環経路を有する機械式分散機CLEARMIX(エム・テクニック株式会社製)により30分間分散を行うことにより乳化分散液を調製した。
【0134】
次いで、この分散液に、前述の「核粒子分散液1」を固形分換算で48gと過硫酸カリウム7.5gをイオン交換水150gに溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を78℃で1.5時間加熱撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子を作製した。この樹脂粒子に対し、さらに過硫酸カリウム12gをイオン交換水220gに溶解させた重合開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下に、スチレン320g、n−ブチルアクリレート100g、メタクリル酸35g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート7.5gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。
【0135】
滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌を行って重合を進行させた後、28℃まで冷却して重合体一次粒子分散液を得た。この重合体一次粒子分散液を「重合体一次粒子分散液1」とする。
【0136】
(3)着色剤粒子分散液1の作製
着色剤粒子分散剤として化合物1−1:30gをイオン交換水500gに投入して撹拌溶解させた。この液を撹拌しながら、カーボンブラック(リーガル330R(キャボット社製))80gを徐々に添加し、次いで、機械式分散機CLEARMIX(エム・テクニック株式会社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子分散液を調製した。これを「着色剤粒子分散液1」とする。「着色剤粒子分散液1」における着色剤粒子の粒子径を電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子株式会社製)を用いて測定したところ、150nmであった。
【0137】
(4)着色粒子1の作製
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、前述の「重合体一次粒子分散液1」を固形分換算で372g、イオン交換水2200gを投入し、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。その後、「着色剤分散液1」100gを投入し、5モル/リットルの塩酸水溶液を添加してpHを3に調整した。
【0138】
その後、昇温を行うことで凝集反応を行った。この状態で「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)を用いて凝集粒子の粒径を測定し、体積基準におけるメディアン径が6.6μmになった時点で、そのままの温度で5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加して、粒子成長を停止させた。さらに、昇温を行い、90℃の状態で加熱撹拌することにより、粒子の融着を進行させ、前述のFPIA−2100を用いて(HPF検出数を4000個)、平均円形度が0.925になった時点で30℃に冷却し、「着色粒子分散液1」を作製した。作製した「着色粒子分散液1」をバスケット型遠心分離機「MARK 3型(型式番号60×40)(松本機械製作所株式会社製)」で固液分離し、「着色粒子1」のウェットケーキを形成した。
【0139】
形成したウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで40℃のイオン交換水で洗浄処理し、その後、気流式乾燥機「フラッシュジェットドライヤー(株式会社 セイシン企業製)」に移して、水分量が0.5質量%になるまで乾燥して「着色粒子1」を作製した。得られた「着色粒子1」の体積基準メディアン径(体積D50%径)は6.5μmだった。
【0140】
〔着色粒子2〜12及び14の作製〕
着色粒子1の作製において、核粒子分散液1の作製、重合体一次粒子分散液1の作製及び着色剤粒子分散液1の作製で使用した、界面活性剤、化合物3−3、2−2及び1−1をそれぞれ、表1記載の化合物に変え、使用量も表1記載の量に変更して、着色粒子2〜12及び14を作製した。
【0141】
比較例1
〔着色粒子13の作製〕
(1)着色剤粒子分散液13の作製
「着色剤粒子分散液1の作製」において、化合物1−1:30gを化合物2−4:25gに変更した以外は全て同じ方法で作製した。作製した分散液を着色剤粒子分散液13とした。
【0142】
(2)着色粒子13の作製
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、前述の「重合体一次粒子分散液1」を固形分換算で372g、イオン交換水2200gを投入し、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。その後、「着色剤分散液13」100gを投入し、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。次いで、塩化マグネシウム・6水和物12.1gをイオン交換水300gに溶解した水溶液を、攪拌下、10分かけて添加した。
【0143】
その後、昇温を行うことで凝集反応を行った。この状態で「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)を用いて凝集粒子の粒径を測定し、体積基準におけるメディアン径が6.6μmになった時点で、塩化ナトリウム20.2gをイオン交換水300gに溶解した水溶液を添加して、粒子成長を停止させた。さらに、昇温を行い、98℃の状態で加熱撹拌することにより、粒子の融着を進行させ、前述のFPIA−2100を用いて(HPF検出数を4000個)、平均円形度が0.925になった時点で30℃に冷却し、「着色粒子分散液13」を作製した。作製した「着色粒子分散液13」をバスケット型遠心分離機「MARK 3型(型式番号60×40)(松本機械製作所株式会社製)」で固液分離し、「着色粒子13」のウェットケーキを形成した。
【0144】
形成したウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで40℃のイオン交換水で洗浄処理し、その後、気流式乾燥機「フラッシュジェットドライヤー(株式会社 セイシン企業製)」に移して、水分量が0.5質量%になるまで乾燥して「着色粒子13」を作製した。得られた「着色粒子13」の体積基準メディアン径(体積D50%径)は6.5μmだった。
【0145】
〔トナー及び現像剤の作製〕
得られた「着色粒子1〜14」に、数平均1次粒子径が12nm、疎水化度が68の疎水性シリカを1質量%、及び、数平均1次粒子径が20nm、疎水化度が63の疎水性酸化チタンを1質量%となるように添加し、「ヘンシェルミキミキサー(三井三池化学工業株式会社製)」を用いて混合した。その後、目開き45μmのフルイを用いて粗大粒子を除去して対応する、「トナー1〜14」を得た。なお、作製されたトナー1〜14はいずれも体積基準メディアン径(D50%径)が6.5μm、平均円形度が0.925だった。
【0146】
トナー1〜14の各々に対してシリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを混合して、トナー濃度が6%の現像剤を調製した。
【0147】
得られたトナーについて各々について下記のように界面活性剤の定量化を行った。
【0148】
界面活性剤の定量化方法
トナー試料1gについてメタノール30ml中で10min超音波照射し、静置後上澄み液を濃縮乾固後、下記条件でHPLC測定を行った。
【0149】
分析器高速液体クロマトグラフ(HPLC)
カラム:AmllaimSurfactant 4.6×150mm(ダイオネクス)
温度:40℃
溶離液A:0.1M/l 酢酸アンモニウム(pH5.0)
溶離液B:アセトニトリル
グラジエント:0分B40%−30分B90%
流速:1.0ml/min
検出:コロナCAD
得られたトナーについて各々について下記のように特性評価を行い結果を表1に示した。
【0150】
ドキュメント保存性
ドキュメント保存性の評価については、作成した未定着像2枚を、外部定着機で150℃にて定着した後、画像部と、非画像部及び画像部とが重なるように向かい合わせて重ね、重ねた部分に対して80g/cm相当になるように重りを載せ、60℃湿度50%の恒温恒湿槽で3日間放置した。放置後、重ねた2枚の定着像の画像欠損度合いを以下に示す「G1」〜「G5」の5段階でグレード付けした。
【0151】
G1:互いの画像部が接着した為、画像が定着されている紙ごと剥がれて、画像欠損が激しく、また非画像部へ明らかな画像の移行が見られる。
【0152】
G2:画像同士が接着していた為、画像部のところどころに画像欠損の白抜けが発生している。
【0153】
G3:重ねた2枚の画像を離す際、互いの定着表面に画像のあれやグロス低下は発生するが、画像としては画像欠損は殆どなく許容できるレベル。非画像部に若干の移行が見られる。
【0154】
G4:重ねた2枚の画像を離す時に、パリッと音がし、非画像部にもわずかに画像移行が見られるが、画像欠損はなく、全く問題無いレベル
G5:画像部、非画像ともに全く画像欠損や画像移行が見られない。
【0155】
【表1】

【0156】
表1から明らかなように、前記一般式(1)と前記一般式(2)または(3)を含み、かつ、その検出量が1〜10000ppmのものは、ドキュメント保存性がG3〜G5であった。それに対し、検出量が10000ppmより多いものや前記一般式(1)が含まれていないものは、ドキュメント保存性がG1〜G2であった。
【符号の説明】
【0157】
1 感光体ドラム
2 帯電手段としての帯電器
3 画像書込手段としての露光光学系
4 現像手段としての現像装置
6 中間転写体
7A 二次転写部材
70 二次転写装置
100 プロセスユニット
190A クリーニング装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水系媒体中で樹脂粒子と着色剤粒子とを融着させる工程を経て製造された静電荷像現像用トナーにおいて、下記一般式(1)で表される界面活性剤と、下記一般式(2)で表される界面活性剤または下記一般式(3)で表される界面活性剤を合計で1ppm〜10000ppm含むことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
一般式(2) RO(RO)n1SO
一般式(3) ROSO
(式中、R及びRは、各々独立に炭素数6〜22を有する脂肪族炭化水素基または、アリールアルキル基を表し、Rは炭素数2〜6のアルキレン基を表し、M及びMは各々、1価の金属元素またはアンモニウムイオンを表す。n1は1〜10の正の整数を表す。)
【化1】

(式中、Rは炭素数10〜30のアルキル基またはアルケニル基を、RとRは各々独立に炭素数1乃至4のアルキル基を表す。n2は1〜4の正の整数を表す。)
【請求項2】
水系媒体中で樹脂粒子と着色剤粒子とを融着させる工程を経て静電荷像現像用トナーを製造する前記請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法であって、前記樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集させる工程では、下記一般式(1)で表される界面活性剤と、下記一般式(2)で表される界面活性剤または下記一般式(3)で表される界面活性剤を合計で1ppm〜10000ppm含む工程を経て製造されることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
一般式(2) RO(RO)n1SO
一般式(3) ROSO
(式中、R及びRは、各々独立に炭素数6〜22を有する脂肪族炭化水素基または、アリールアルキル基を表し、Rは炭素数2〜6のアルキレン基を表し、M及びMは各々、1価の金属元素またはアンモニウムイオンを表す。n1は1〜10の正の整数を表す。)
【化2】

(式中、Rは炭素数10〜30のアルキル基またはアルケニル基を、RとRは各々独立に炭素数1乃至4のアルキル基を表す。n2は1〜4の正の整数を表す。)
【請求項3】
請求項1に記載の静電荷像現像用トナーを用いて、電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成し、記録材に転写後に接触加熱定着することを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−107241(P2011−107241A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259704(P2009−259704)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】