説明

静電荷像現像用トナー

クリーニング性及び光沢性に優れたトナーが提供される。該トナーは、結着樹脂、離形剤及び着色剤を含み、トナー粒子が下記式(1)及び(2)を満足する。
50℃≦T1/2−T≦100℃(1)
50℃≦T≦60℃ (2)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像現像用トナー粒子、それを含む電子写真用の画像形成用現像剤、及びそれを利用した電子写真用の画像形成方法に係り、特に定着性に優れ、クリーニング性及び光沢性に優れたトナー粒子、それを含む電子写真用の画像形成用現像剤、及びそれを採用した電子写真用の画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光導電性物質を使用して、多様な手段により感光部材上に静電気的潜像を形成し、この静電荷像をトナーで現像して可視的像を形成した後、トナー画像を紙のような転写受容材料に転写した後、熱及び/または圧力を印加して、転写受容材料に定着された画像を形成する多数の電子写真プリント法が知られている。
【0003】
電力節約のために、トナーの定着にかかる熱量は減少し続けており、定着時に加熱ローラから加えられる熱量が少なくなり、加圧時間も短縮されるため、トナーは良好な低温定着性が不可欠である。
【0004】
また、高速器でも問題の発生時には、現像画像が長時間加熱ローラと接触して、過度な熱量に露出される恐れが高いので、十分なホットオフセット抵抗性が必要である。
【0005】
ホットオフセット抵抗性を改善するために、結着樹脂の軟化点や分子量を高める場合、コールドオフセット抵抗性及び低温定着性が悪化する。逆に、コールドオフセット抵抗性及び低温定着性を改善するために、樹脂の軟化点またはガラス転移温度を低める場合、ホットオフセット抵抗性及びブロッキング抵抗性が悪化する。
【0006】
一方、トナーのクリーニング性及び光沢性、かつ印刷品質に影響を及ぼす重要な特性として、従来には、トナーの形状調節を通じて、かかる性質を向上させようとする努力をしてきたが、満足すべき結果が得られなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、低温定着性に優れ、クリーニング性及び光沢性に優れたトナー粒子を提供することである。
【0008】
本発明が解決しようとする他の課題は、前記トナー粒子を含む静電荷像現像剤を提供することである。
【0009】
本発明が解決しようとするさらに他の課題は、前記静電荷像現像剤を使用する電子写真用の画像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明は、結着樹脂、離形剤及び着色剤を含むトナー粒子であって、前記トナー粒子が、一定の荷重圧出型細管式レオメーターによるT1/2及びガラス転移温度Tが下記式(1)及び(2)を満足する静電荷像現像用トナー粒子を提供する。
50℃≦T1/2−T≦100℃ (1)
50℃≦T≦60℃ (2)
【0011】
本発明の一具現例によれば、前記結着樹脂は、スチレン残基を含む。
【0012】
前記他の課題を解決するために、本発明は、前記トナー粒子と、キャリアとを含む静電荷像現像剤を提供する。
【0013】
前記さらに他の課題を解決するために、本発明は、静電潜像が形成された感光体の表面に前記トナーを付着させてトナー画像を形成し、前記トナー画像を転写材に転写する工程を含む電子写真用の画像形成方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明のトナー粒子は、低温定着性に優れ、クリーニング性及び光沢性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一定の荷重圧出型細管式レオメーターを利用して、昇温法による試料の流動曲線の一実施形態を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、本発明の望ましい具現例によるトナー粒子について、さらに詳細に説明する。
【0017】
本発明の一側面によるトナー粒子は、結着樹脂、離形剤及び着色剤を含むトナー粒子であって、前記トナー粒子が、一定の荷重圧出型細管式レオメーターによるT1/2及びガラス転移温度Tが下記式(1)及び(2)を満足する。
50℃≦T1/2−T≦100℃(1)
50℃≦T≦60℃ (2)
【0018】
前記した一定の荷重圧出型細管式レオメーターは、樹脂などの熱的特性、粘度特性などの性能を簡便に測定する手段であって、溶融物が細管を通過する時の粘性抵抗を測定するものである。例えば、島津製作所製のフローテスタCFT−500が挙げられる。この装置を使用した昇温法による測定は、試験時間の経過によって、一定の割合で昇温しつつ試験するものであって、試料が固体域から転移域、ゴム状弾性域を経て、流動域に達するまでの過程を連続的に測定できる。この装置により、流動域での各温度のせん断速度及び粘度を簡便に測定できる。
【0019】
昇温法による流動曲線を図1に示した。
【0020】
AB領域(軟化曲線)は、試料が圧縮加重を受けて変形されて、内部空隙が次第に減少していく段階を表す。
【0021】
B点は、内部空隙が消失して、不均一な応力分布を有したままで、外観が均一な一つの透明体または像となる温度であり、固体域から転移域への変曲点を表す。この温度を軟化温度(Ts)として定義する。
【0022】
BC領域(停止曲線)は、有限な時間内では、ピストン1の位置に明瞭な変化がなく、また、ダイ4から試料6が流出され始めるまでの領域を表し、試料6がゴム状弾性となった状態を含む。結晶性高分子の場合は、この領域が短く、軟化温度は、後述する流出開始温度に近い値を表す。
【0023】
C点は、粘度の低下により、フローメーターのダイから試料が流出され始める温度を表し、この温度を流出開始温度(Tfb)として定義する。
【0024】
CDE領域(流出曲線)は、ダイから試料が流出される領域を表し、不可逆的な粘性流動が主に行われる。
【0025】
1/2法による溶融温度(T1/2)は、流出曲線の流出開始温度Tfbと流出終了温度Tendとの間のフローメーターのピストンストロークの1/2点の温度を表したものである。
【0026】
前記トナー粒子は、Tが50〜60℃の範囲にあることで、低温定着性に優れ、T1/2−Tが50〜100℃の範囲にあることで、クリーニング性及び光沢性に優れる。
【0027】
本発明のトナー粒子に含まれる結着樹脂は、ビニル系単量体、カルボキシ基を有する極性単量体、エステル基を有する単量体、及び脂肪酸基を有する単量体のうち選択された一つまたは二つ以上の重合性単量体を重合して製造される。前記重合性単量体の具体的な例としては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンのスチレン系単量体;アクリル酸、メタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミドの(メタ)アクリル酸誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレンのエチレン性不飽和モノオレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニルのハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルのビニルエーテル;ビニルメチルケトン、メチルイソプロフェニルケトンのビニルケトン;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドンの窒素含有ビニル化合物などがあり、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0028】
前記重合を行うためには、一般的に重合開始剤が使われ、かかる重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド系及びアゾ系の重合開始剤がある。
【0029】
より具体的に、前記重合開始剤は、例えば、2−2’−アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ系重合開始剤;メチルエチルケトンパーオキサイドのようなケトンパーオキサイド;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロへキサンのようなパーオキシケタール;t−ブチルヒドロパーオキサイドのようなヒドロパーオキサイド;ジ−t−ブチルパーオキサイドのようなジアルキルパーオキサイド;イソブチルパーオキサイドのようなジアシルパーオキサイド;ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネートのようなパーオキシジカーボネート;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイドのようなスルホニルパーオキサイド;及びt−ブチルパーオキシアセテートのようなパーオキシエステルからなる群から選択される。
【0030】
前記結着樹脂のうち一部を選別して、架橋剤とさらに反応させるが、かかる架橋剤としては、イソシアネート化合物及びエポキシ化合物などが使われる。
【0031】
前記結着樹脂と前記架橋剤との架橋反応により架橋樹脂が形成されるが、トナーに含まれる架橋樹脂の含量は、一般的に架橋化されていない結着樹脂の100重量部に対して、5ないし30重量部である。前記架橋樹脂の含量が5重量部未満である場合には、分子量が少なくなり、定着温度範囲が狭くなるので望ましくなく、30重量部を超える場合には、樹脂が過度に堅固になり、低温定着性に有利でないので望ましくない。
【0032】
前記トナー粒子に含まれる着色剤は、顔料それ自体として使われてもよく、顔料が樹脂内に分散された顔料マスターバッチ形態で使われてもよい。
【0033】
前記顔料は、商業的によく使われる顔料であるブラック顔料、シアン顔料、マゼンタ顔料、イエロー顔料及びそれらの混合物のうち適切に選択されて使われる。
【0034】
前記着色剤の含量は、トナーを着色して現像により可視画像を形成するのに十分な程度であればよいが、例えば、前記結着樹脂100重量部を基準として、1ないし20重量部であることが望ましい。
【0035】
一方、前記トナー粒子は、結着樹脂及び着色剤以外に添加剤をさらに含んでもよい。トナー粒子に含まれる添加剤としては、ワックスのような離形剤、帯電制御剤などが使われる。
【0036】
帯電制御剤としては、負帯電性の帯電制御剤及び正帯電性の帯電制御剤がいずれも使われ、負帯電性の帯電制御剤としては、有機金属錯体またはキレート化合物;金属含有サリチル酸化合物;及び芳香族ヒドロキシカルボン酸と芳香族ジカルボン酸の有機金属錯体が使われ、公知のものであれば、特に制限されない。また、正帯電性の帯電制御剤としては、ニグロシンとその脂肪酸金属塩などに改質された生成物、4級アンモニウム塩を含むオニウム塩などが単独でまたは二つ以上混合されて使われる。かかる帯電制御剤は、静電気力によりトナーを安定的かつ速く帯電させて、前記トナーを現像ローラ上に安定して支持させる。
【0037】
トナーに含まれる帯電制御剤の含量は、一般的に全体のトナー組成物100重量部に対して、0.1重量部ないし10重量部の範囲以内である。本明細書において、全体のトナー組成物とは、結着樹脂、着色剤及び添加剤だけでなく、外添剤を含むトナー成分の全体を意味する。
【0038】
ワックスは、トナー画像の定着性を向上させるものであって、低分子量のポリプロピレン、低分子量のポリエチレンなどのポリアルキレンワックス、エステルワックス、カルナウバ(carnauba)ワックス、パラフィンワックスなどが使われる。トナーに含まれるワックスの含量は、一般的に全体のトナー組成物の100重量部に対して、0.1重量部ないし30重量部の範囲以内である。前記ワックスの含量が0.1重量部未満である場合には、オイルを使用せずにトナー粒子を定着させるオイルレス(oilless)定着を実現しがたいので望ましくなく、30重量部を超える場合には、保管時にトナーのかたまり現象が誘発されるので望ましくない。
【0039】
また、前記添加剤は、外添剤をさらに含む。外添剤は、トナーの流動性を向上させるか、または帯電特性を調節するためのものであって、大粒径シリカ、小粒径シリカ、及びポリマービーズを含む。
【0040】
本発明の具現例によるトナー粒子は、多様な方法で製造される。すなわち、当該技術分野で使用する方法として、前記物性を有するトナー粒子を製造できる方法であれば、特に限定されない。
【0041】
例えば、トナー粒子は次のような方法で製造される。ラテックス、着色剤分散液、及びワックス分散液の混合物に凝集剤を添加して均質化した後、凝集ステップを経ることで、トナー粒子を製造する。すなわち、ラテックス、着色剤分散液、及びワックス分散液を反応器に投入して混合した後、凝集剤を投入して、10ないし100分間pH1.5ないし2.3及び20ないし30℃で、1.0ないし2.0m/sの攪拌線速度で均質化した後、反応器を48ないし53℃に昇温させて、1.0ないし2.5m/sの攪拌線速度で攪拌して凝集を行う。
【0042】
前記凝集されたトナー粒子は、融合ステップを経た後、冷却及び乾燥ステップを経て、所望のトナー粒子を得る。乾燥されたトナー粒子は、シリカなどを使用して外添処理して、帯電電荷量などを調節して、最終のレーザープリンタ用トナーを製造できる。
【0043】
本発明のトナー粒子は、コア・シェル構造を有することもあるが、コア・シェル構造のトナーを製造する場合には、コア用ラテックス、着色剤分散液、及びワックス分散液の混合物に凝集剤を添加して均質化した後、凝集ステップを経ることで、1次凝集トナーを製造し、得られた1次凝集トナーにシェル用ラテックス分散液を添加して、シェル層を形成した後、融合ステップを経る。
【0044】
本発明の他の側面によれば、前記トナー粒子と磁性キャリアとを含む静電荷像現像剤が提供される。前記磁性キャリアは、望ましくは、表面が絶縁物質で被覆されたキャリアである。より具体的に、前記キャリアは、一般的な二成分現像方式に使われるキャリアであって、絶縁物質で被覆されたフェライト、絶縁物質で被覆されたマグネタイト、絶縁物質で被覆された鉄粉末、またはそれらの混合物などが望ましい。絶縁物質で被覆されたフェライトまたはマグネタイトが特に望ましい。
【0045】
本発明のさらに他の側面によれば、前記トナー粒子を使用する電子写真用の画像形成方法が提供される。
【0046】
具体的には、静電潜像が形成された感光体の表面に、前記トナーまたは前記静電荷像現像剤を付着させてトナー画像を形成し、前記トナー画像を転写材に転写する工程を含む画像形成方法が提供される。
【0047】
本発明によるトナーまたは静電荷像現像剤は、電子写真用の画像形成装置に使われ、ここで、電子写真方式の画像形成装置とは、レーザープリンタ、コピー機、ファクシミリなどを意味する。
【0048】
以下、望ましい実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0049】
平均粒径の測定
トナーの平均粒径は、マルチサイザー3コールターカウンターで測定した。前記マルチサイザー3コールターカウンターにおいて、アパチャーは100μmを利用し、電解液であるISOTON−II(Beckman Coulter社製)50〜100mlに界面活性剤を適正量添加し、これに測定試料10〜15mgを添加した後、超音波分散器で5分間分散処理することで試料を製造した。
【0050】
ガラス転移温度(Tg,℃)の測定
試料のガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC, Netzsch社製)をして、試料を10℃/分の加熱速度で20℃から200℃まで昇温させた後、20℃/分の冷却速度で10℃まで急冷させた後、再び10℃/分の加熱速度で昇温させて測定した。
【0051】
酸価の測定
酸価(mgKOH/g)は、樹脂をジクロロメタンに溶解させた後で冷却させて、0.1N KOHメチルアルコール溶液で滴定して測定した。
【0052】
分子量の測定
分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(Waters Alliance GPC 2000 systems)で測定した。使われた溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)であり、標準ポリスチレンで分子量の検定線を作成して測定した。
【0053】
〔実施例1〕
(コア及びシェル用のラテックスの製造)
体積が30リットルであり、攪拌器、温度計及びコンデンサが設置された反応器を、オイルが熱伝逹媒体であるオイル槽内に設置した。このように設置された反応器内に6,600gの蒸溜水及び32gの界面活性剤(Dowfax 2A1)を投入して、反応器の温度を70℃まで上昇させ、100rpmの速度で攪拌させた。以後、モノマー、すなわち、スチレン8,380g、ブチルアクリレート3,220g、2−カルボキシエチルアクリレート370g、及び1,10−デカンジオールジアクリレート226g、蒸溜水5,075g、界面活性剤(Dowfax 2A1)226g、マクロモノマーとしてポリエチレングリコールエチルエーテルメタクリレート530g、鎖移動剤として1−ドデカンチオール188gの乳化混合物を、ディスクタイプのインペラで400〜500rpmで30分間攪拌した。その後、この乳化混合物を前記反応器に1時間徐々に投入した。以後、約8時間反応を行った後、常温まで徐々に冷却させつつ反応を完了した。
【0054】
反応完了後、示差走査熱量計(DSC)を利用して結着樹脂のガラス転移温度(Tg)を測定した結果、前記温度は、62℃であった。基準試料としてポリスチレンを使用してGPCにより結着樹脂の数平均分子量を測定し、その結果、前記数平均分子量は、50,000であった。
【0055】
(顔料分散液の製造)
体積が3リットルであり、攪拌器、温度計及びコンデンサが設置された反応器に、シアン顔料(大日精化工業株式会社製、ECB303)540g、界面活性剤(Dowfax 2A1)27g、蒸溜水2,450gを入れた後、約10時間徐々に攪拌しつつ予備分散を行った。10時間の予備分散を行った後、ビーズミル(ドイツのNetzsch社製、Zeta RS)を利用して4時間分散させた。結果として、シアン顔料分散液を得た。
【0056】
分散完了後、マルチサイザー2000(Malvern社製)を使用して、シアン顔料粒子の粒度を測定した結果、D50(v)が170nmであった。ここで、D50(v)は、体積平均粒径を基準として50%に該当する粒径、すなわち、粒径を測定して、小さい粒子から体積を累積する場合、総体積の50%に該当する粒径を意味する。
【0057】
(ワックス分散液の製造)
体積が5リットルであり、攪拌器、温度計及びコンデンサが設置された反応器に、界面活性剤(Dowfax 2A1)65g及び蒸溜水1,935gを投入した後、前記混合液を高温で約2時間徐々に攪拌しつつ、ワックス(NOF社製、WE−5)1,000gを前記反応器に投入した。前記混合液を、ホモジナイザー(IKA社製、T−45)を使用して30分間分散させた。結果として、ワックス分散液を得た。
【0058】
分散完了後、マルチサイザー2000(Malvern社製)を使用して、分散された粒子の粒度を測定した結果、D50(v)が320nmであった。
【0059】
(トナー粒子の製造)
70リットルである反応器に、前記で製造したコア用ラテックス60.0重量部、着色剤分散液5.0重量部、及びワックス分散液10重量部を投入した後、常温で約15分間50rpmで混合した。凝集剤としてPSI(Poly Silicato Iron)と硝酸との混合溶液(PSI/1.88% HNO=1/2)を2.0重量部投入した後、25℃で50rpm(攪拌線速度1.79m/sec)で30分間pH1.3〜2.3で混合しつつ、ホモジナイザー(IKA社製、T−45)を使用して分散させた。30分間分散後、反応器の温度を51℃に昇温した後、115rpmで攪拌して凝集を行った。平均粒径が6.3ないし6.4μmとなるまで凝集し続けた後、シェル用のラテックス分散液25重量部を約20分にわたって投入した。平均粒径が6.7〜6.9μmとなるまで攪拌し続けた後、4%水酸化ナトリウム水溶液を反応器に投入して、pH4となるまでは70rpmで、pH7となるまでは60rpmで攪拌した。攪拌速度を維持しつつ、反応器の温度を96℃に昇温させて、トナー粒子を融合した。FPIA−3000(Sysmex社製)を利用して円形度を測定した時、0.980であれば、反応器の温度を40℃に冷却し、pHを9.0に調整して、SUS(孔径:20μm)を使用してトナーを分離させた後、分離されたトナーを蒸溜水で4回洗浄した。その後、1.88%硝酸水溶液でpH1.5に調整して洗浄し、蒸溜水で4回再洗浄して、界面活性剤などをいずれも除去した。以後、洗浄が完了したトナー粒子を流動層乾燥器で40℃の温度で5時間乾燥して、乾燥されたトナー粒子を得た。
【0060】
〔実施例2,3及び比較例1〜3〕
コア及びシェル用ラテックスの製造時、スチレン及びブチルアクリレートの比を下記表1のように異ならせる点を除いては、前記実施例1と同じ方法でトナー粒子を得た。
【0061】
【表1】

【0062】
前記実施例1ないし3及び比較例1ないし3で製造したトナー粒子のT1/2及びT値は、下記表2に示した。
【0063】
本発明で規定する一定の荷重圧出型細管式レオメーターによるT1/2は、下記条件で測定して得られる値である。
ピストン断面積:1cm
シリンダー圧力:0.98Mpa
ダイの長さ:1mm、ダイホールの直径:0.5mm
測定開始温度:90℃
昇温速度:3℃/分
試料の重量:1.5g
【0064】
【表2】

【0065】
前記実施例及び比較例で製造したトナー粒子についての評価は、次のように実施した。
【0066】
定着性の評価
装備:ベルト型定着器
テスト用未定着画像:100%パターン
テスト温度:160℃
速度:160mm/秒
ドエルタイム:0.08秒
【0067】
前記条件下で、実施例及び比較例で製造したトナー粒子9.75g、シリカ(TG810G;Cabot社製)0.2g、及びシリカ(RX50;Degussa社製)0.05gを混合して製造したトナー粒子を使用して定着画像を形成した。次いで、定着温度を任意に変更可能に改造された定着試験器で定着ローラの温度を変化させつつ、前記未定着画像の定着性を評価した。各定着画像のOD(Optical Density)を測定した後、定着画像部位に3M社製の810スコッチテープを付けて、500gの錘で5回往復移動した後、テープを除去してODを測定した。定着性は、下記のように計算した。
【0068】
定着性(%)=[(テープ除去後のOD)/(テープ除去前のOD)]*100
【0069】
定着性90%以上の定着温度領域を該トナーの定着領域として見なした。
【0070】
MFT(Minimum Fusing Temperature):コールド・オフセット(Cold-offset)なしに定着性90%以上となる最低温度
【0071】
HOT(Hot Offset Temperature):ホット・オフセット(Hot-offset)が発生する最低温度
【0072】
クリーニング性の評価
前記実施例及び比較例で製造したトナー粒子9.75g、シリカ(TG 810G;Cabot社製)0.2g、及びシリカ(RX50;Degussa社製)0.05gを混合してトナー粒子を製造した。このトナー粒子を使用して、三星CLP−510プリンタで画像濃度チャートを100枚出力した後、クリーニングブレードを通過した感光体上の転写残量をスコッチテープ(3M社製)で白紙に移し、それをX−Rite938(X−rite社製)で測定し、ブランクとの差を比較した。
【0073】
−◎:ブランクとの差が0.005未満
−○:ブランクとの差が0.005〜0.010
−△:0.011〜0.02
−×:0.02以上
【0074】
光沢性の評価
装備:ベルト型定着器
テスト用未定着画像:100%パターン
テスト温度:160℃
速度:160mm/秒
ドエルタイム:0.08秒
【0075】
前記条件下で、実施例及び比較例で製造したトナー粒子9.75g、シリカ(TG810G;Cabot社製)0.2g、及びシリカ(RX50;Degussa社製)0.05gを混合してトナー粒子を製造した。このトナー粒子を使用して、定着画像を形成した後、光沢測定器を利用して光沢を測定した。
【0076】
測定角度:60゜
前記評価結果は、下記表3に示した。
【0077】
【表3】

【0078】
前記表3に示したように、本発明の一具現例による実施例1ないし3のトナー粒子は、低温定着性に優れ、クリーニング性及び光沢性に優れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂、離形剤及び着色剤を含むトナー粒子であって、前記トナー粒子が、一定の荷重圧出型細管式レオメーターによるT1/2及びガラス転移温度Tが下記式(1)及び(2)を満足することを特徴とする静電荷像現像用トナー粒子。
50℃≦T1/2−T≦100℃ (1)
50℃≦T≦60℃ (2)
【請求項2】
前記結着樹脂は、スチレン残基を含む請求項1に記載のトナー粒子。
【請求項3】
請求項1または2に記載のトナー粒子と、キャリアと、を含む静電荷像現像剤。
【請求項4】
前記キャリアが、絶縁物質で被覆されたフェライト、絶縁物質で被覆されたマグネタイト、及び絶縁物質で被覆された鉄粉末からなる群から選択される一つ以上である請求項3に記載の静電荷像現像剤。
【請求項5】
静電潜像が形成された感光体の表面にトナーを付着させてトナー画像を形成し、前記トナー画像を転写材に転写する工程を含む電子写真用の画像形成方法において、前記トナーとして請求項1または2に記載のトナー粒子を使用することを特徴とする電子写真用の画像形成方法。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2013−514544(P2013−514544A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544389(P2012−544389)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際出願番号】PCT/KR2010/009034
【国際公開番号】WO2011/074901
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(500323513)三星精密化学株式会社 (22)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG FINE CHEMICALS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】190 YEOCHEON−DONG, NAM−GU, ULSAN−CITY 680−090, REPUBLIC OF KOREA
【Fターム(参考)】