説明

静電荷像現像用透明トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成方法、及び、画像形成装置

【課題】結着樹脂による黄色味が低減された画像を形成する静電荷像現像用透明トナーを提供すること。
【解決手段】少なくとも結着樹脂と離型剤とを含むトナー母粒子に、BET比表面積250〜500m2/gであり、体積平均粒径150〜250nmである酸化チタンを0.1〜5重量%含有することを特徴とする静電荷像現像用透明トナー。前記結着樹脂としてポリエステル樹脂を含むことが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像現像用透明トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成方法、及び、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式による画像形成に際しては着色剤を含むトナーが用いられるが、より光沢度の高い画像を得るために、画像形成に際して静電荷像現像用透明トナーが用いられることが知られている。
例えば、特許文献1には、写真領域には静電荷像現像用透明トナーによる層を形成して光沢度の高い画像とし、文字領域には静電荷像現像用透明トナーの層の形成は行わずに光沢度の低い画像とするカラー画像形成方法や、全面光沢、全面非光沢を選定し、画像全面を光沢又は非光沢とするカラー画像形成方法が開示されている。
また、特許文献2には、適度に赤味を帯びた色相に改善される静電荷現像用透明トナーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−265287号公報
【特許文献2】特開2010−102043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、結着樹脂による黄色味が低減された画像を形成する静電荷像現像用透明トナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の手段により、上記課題が解決されることを見出した。
<1>少なくとも結着樹脂と離型剤とを含むトナー母粒子に、BET比表面積250〜500m2/gであり、体積平均粒径150〜250nmである酸化チタンを0.1〜5重量%含有することを特徴とする静電荷像現像用透明トナー、
<2>前記結着樹脂としてポリエステル樹脂を含む、<1>に記載の静電荷像現像用透明トナー、
<3><1>又は<2>に記載の静電荷像現像用透明トナーとキャリアとを含むことを特徴とする静電荷像現像剤、
<4>画像形成装置に着脱可能であり、少なくとも<1>又は<2>に記載の静電荷像現像用透明トナーを収容することを特徴とするトナーカートリッジ、
<5>少なくとも現像剤保持体を備え、画像形成装置に着脱可能であり、<3>に記載の静電荷像現像剤を収容することを特徴とするプロセスカートリッジ、
<6>像保持体を帯電させる帯電工程、帯電された前記像保持体を露光して静電潜像を形成する静電潜像形成工程、前記静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像し、現像像を形成する現像工程、前記現像像を、基材上に転写し転写像を形成する転写工程、及び、前記転写像を定着する定着工程、を含み、前記トナーが<1>又は<2>に記載の静電荷像現像用透明トナー、又は、前記現像剤が<3>に記載の静電荷像現像剤であることを特徴とする画像形成方法、
<7>前記基材の白色度が65以上である、<6>に記載の画像形成方法、
<8>前記基材の白色度と前記静電荷像現像用透明トナーのみが定着された基材の白色度との差が10以下である、<7>に記載の画像形成方法、
<9>像保持体、前記像保持体を帯電させる帯電手段、帯電された前記像保持体を露光して静電潜像を形成する静電潜像形成手段、前記静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像し、現像像を形成する現像手段、前記現像像を、基材上に転写し転写像を形成する転写手段、及び、前記転写像を定着する定着手段、を有し、前記トナーが<1>又は<2>に記載の静電荷像現像用透明トナー、又は、前記現像剤が<3>に記載の静電荷像現像剤であることを特徴とする画像形成装置、
<10>前記基材の白色度が65以上である、<9>に記載の画像形成装置、
<11>前記基材の白色度と前記静電荷像現像用透明トナーのみが定着された基材の白色度との差が10以下である、<10>に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0006】
上記<1>に記載の手段により、結着樹脂による黄色味が低減された画像を形成する静電荷像現像用透明トナーが提供される。
上記<2>に記載の手段により、結着樹脂としてのポリエステル樹脂による黄色味が低減された画像を形成する静電荷像現像用透明トナーが提供される。
上記<3>に記載の手段により、結着樹脂による黄色味が低減された画像を形成する静電荷像現像剤が提供される。
上記<4>に記載の手段により、結着樹脂による黄色味が低減された画像を形成するトナーカートリッジが提供される。
上記<5>に記載の手段により、結着樹脂による黄色味が低減された画像を形成するプロセスカートリッジが提供される。
上記<6>に記載の手段により、結着樹脂による黄色味が低減された画像を形成する画像形成方法が提供される。
上記<7>に記載の手段により、白色度が65以上の基材上の非画像部と静電荷像現像用透明トナーのみを載せた画像部との白色度差による違和感が低減された画像を形成する画像形成方法が提供される。
上記<8>に記載の手段により、白色度が65以上の基材上の非画像部と静電荷像現像用透明トナーのみを載せた画像部との白色度差による違和感がより低減された画像を形成する画像形成方法が提供される。
上記<9>に記載の手段により、結着樹脂による黄色味が低減された画像を形成する画像形成装置が提供される。
上記<10>に記載の手段により、白色度が65以上の基材上の非画像部と静電荷像現像用透明トナーのみを載せた画像部との白色度差による違和感が低減された画像を形成する画像形成装置が提供される。
上記<11>に記載の手段により、白色度が65以上の基材上の非画像部と静電荷像現像用透明トナーのみを載せた画像部との白色度差による違和感がより低減された画像を形成する画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態における光沢付与手段を備えた画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本実施形態における光沢付与手段における加熱ロールと加圧ロールとの圧接部を通過するときの透明トナー用像保持体及び基材の間の状態を示す模式断面図である。
【図3】本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(1)静電荷像現像用透明トナー
本実施形態の静電荷像現像用透明トナー(以下、単に「透明トナー」ともいう。)は、少なくとも結着樹脂と離型剤とを含むトナー母粒子に、BET比表面積250〜500m2/gであり、体積平均粒径150〜250nmである酸化チタンを0.1〜5重量%含有することを特徴とする。
なお、本実施形態において、「A〜B」との記載は、「A以上B以下」と同義であり、その両端であるA及びBも含む。
【0009】
本実施形態における透明トナーとは、トナー中に着色剤(前記酸化チタンを除く。)を含まず、1.0mg/cm2で基材上に定着された場合、可視光の透過率が90%以上であるトナーをいう。
【0010】
透明トナーは、主に画像部又は非画像部の光沢度を高めるために用いられる。従って好ましい実施態様として透明トナーの層(定着画像)は画像部及び非画像部の最表面に形成される。そのため、透明トナー自体が着色していないことが好ましい。透明トナーに含まれる結着樹脂に着色がある場合、透明トナーの層(定着画像)のみが形成された画像部と非画像部とで色味に差が生じることがある。
本実施形態の透明トナーは、透明トナーに含まれる結着樹脂の着色による色味の差を低減するものである。本実施形態の透明トナーに含まれる特定のBET比表面積、及び、特定の体積平均粒径を有する酸化チタンは、青色領域の光を高い効率で反射する。そのため、結着樹脂がもつ着色、特に結着樹脂がもつ黄色味を、黄色と補色の関係にある青色の光で低減する。
【0011】
(結着樹脂)
本実施形態の透明トナーは、少なくとも結着樹脂を含有する。
結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酢酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン等の単独重合体又は共重合体が例示される。また、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィン、ワックス類が挙げられる。この中でも、結着樹脂としては、ポリエステル、ポリスチレン、アクリル樹脂が好ましく、特にポリエステルが好ましい。
【0012】
本実施形態に使用されるポリエステルは、例えばポリオールとポリカルボン酸とを重縮合して合成される。なお、市販品を使用してもよい。
ポリカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられ、更に、これらの無水物やこれらの炭素数1〜3の低級アルキルエステルも挙げられるがこの限りではない。
三価以上のポリカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独又は2種以上で併用される。
【0013】
更に、前述のポリカルボン酸の他に、エチレン性不飽和結合を有するジカルボン酸を含有させてもよい。このようなジカルボン酸は、エチレン性不飽和結合を介して架橋させ、定着時のホットオフセットを防ぐために好適に用いられる。このようなジカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの炭素数1〜3の低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でもコストの点で、フマル酸、マレイン酸等が好ましい。
【0014】
ポリオールのうち二価のアルコールとしては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加物(平均付加モル数1.5〜6)、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。
ポリオールのうち三価以上のアルコールとしては、例えば、ソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
【0015】
非晶性ポリエステル樹脂(「非結晶性ポリエステル樹脂」ともいう。)では、前記した原料となるモノマーの中でも、二価以上の第二級アルコール及び/又は二価以上の芳香族カルボン酸化合物が好ましい。二価以上の第二級アルコールとしては、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、グリセロール等が挙げられる。これらの中では、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物が好ましい。
二価以上の芳香族カルボン酸化合物としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸及びトリメリット酸が好ましく、テレフタル酸及びトリメリット酸がより好ましい。
【0016】
また、軟化点90〜150℃、ガラス転移点50〜75℃、数平均分子量2,000〜10,000、重量平均分子量8,000〜150,000、酸価5〜30mgKOH/g、水酸基価5〜40mgKOH/gを示す樹脂が特に好ましく用いられる。
【0017】
また、透明トナーに低温定着性を付与するために結着樹脂の一部として結晶性ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂では、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとからなることが好ましく、主鎖部分の炭素数が4〜20である直鎖型ジカルボン酸、直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。直鎖型であると、ポリエステル樹脂の結晶性に優れ、結晶融点が適度であるため、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び、低温定着性に優れる。また、炭素数が4以上であると、トナー中におけるカルボン酸エステル結合の濃度が適切であるため電気抵抗が適度であり、トナーの帯電性に優れる。また、炭素数が20以下であると、実用上の材料の入手が容易である。前記炭素数としては14以下であることがより好ましい。
【0018】
結晶性ポリエステルの合成に好適に用いられる脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸など、又は、その低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられるが、この限りではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸が好ましい。
【0019】
脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
三価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0020】
ポリカルボン酸のうち、前記脂肪族ジカルボン酸の含有量が80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。脂肪族ジカルボン酸の含有量が80モル%以上であると、ポリエステル樹脂の結晶性に優れ、融点が適度であるため、耐トナーブロッキング性、画像保存性。及び、低温定着性に優れる。
【0021】
ポリオールのうち、前記脂肪族ジオールの含有量が80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。前記脂肪族ジオール成の含有量が80モル%以上であると、ポリエステル樹脂の結晶性に優れ、融点が適度であるため、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び、低温定着性に優れる。
なお、必要に応じて、酸価や水酸基価の調整等の目的で、酢酸、安息香酸等の一価の酸や、シクロヘキサノールベンジルアルコール等の一価のアルコールも用いられる。
【0022】
ポリエステルの製造方法としては、特に制限はなく、例えば前記ポリカルボン酸等とポリオール等とを反応させるポリエステル重合法が挙げられ、具体的には、直接重縮合、エステル交換法等が挙げられ、モノマーの種類によって使い分けられる。
ポリエステルは、例えば、上記ポリオールとポリカルボン酸と、必要に応じて触媒とを、温度計、撹拌機、流下式コンデンサを備えた反応容器に配合し、不活性ガス(窒素ガス等)の存在下、150〜250℃で加熱し、副生する低分子化合物を連続的に反応系外に除去し、所定の分子量に達した時点で反応を停止させ、冷却し、目的とする反応物を取得することによって製造される。
【0023】
本実施形態の透明トナーにおける結着樹脂の含有量としては、特に制限はないが、透明トナーの全重量に対し、5〜95重量%であることが好ましく、20〜90重量%であることがより好ましく、40〜85重量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、定着性、保管性、粉体特性、帯電特性等に優れる。
【0024】
<離型剤>
本実施形態の透明トナーは、少なくとも離型剤を含有する。
本実施形態に用いられる離型剤は、特に制限はなく、公知のものが用いられ、例えば、パラフィンワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュワックス及びその誘導体、ポリオレフィンワックス及びその誘導体等が挙げられる。誘導体とは酸化物、ビニルモノマーとの重合体、グラフト変性物を含む。この他に、アルコール、脂肪酸、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、エステルワックス、酸アミド等も用いられる。
【0025】
離型剤として用いられるワックスは、70〜140℃のいずれかの温度で溶融しかつ1〜200センチポアズの溶融粘度を示すことが好ましく、1〜100センチポアズの溶融粘度を示すことがより好ましい。溶融する温度が70℃以上であると、ワックスの変化温度が十分高く、耐ブロッキング性、及び、画像形成装置内の温度が高まった時に現像性に優れる。140℃以下であると、ワックスの変化温度が十分低く、高温での定着を行う必要がなく、省エネルギー性に優れる。また、溶融粘度が200センチポアズ以下であると、透明トナーからの溶出が適度であり、定着剥離性に優れる。
【0026】
離型剤の含有量としては、透明トナーの全重量に対し、3〜60重量%であることが好ましく、5〜40重量%であることがより好ましく、7〜20重量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、透明トナーの加熱部材へのオフセットの防止性により優れると共に、フィードロール汚染の防止性に優れる。
【0027】
(酸化チタン)
本実施形態に使用される酸化チタンは、好ましくは酸化チタンの一次粒子が集合した略球状の二次粒子である。ここで、「略球状」とは、長径と短径との比(短径/長径)が0.75以上であることを意味する。前記二次粒子は、好ましくは一次粒子同士が粗な状態で集合したものであり、多くの孔(空隙)を有する多孔体である(以下、「多孔質酸化チタン」ともいう。)。
【0028】
酸化チタンのBET比表面積は250〜500m2/gである。
BET比表面積が250m2/g未満であると、反射した光の強度が弱くなる。
BET比表面積が500m2/gを超えると、形状が崩れ分布が悪化し特定の波長の身を散乱する効果が低下する。
酸化チタンのBET比表面積は、300〜500m2/gが好ましく、350〜500m2/gがより好ましい。上記の数値の範囲内であると、青色の波長の散乱を十分な強度で得られるため好ましい。
【0029】
BET比表面積は、透明トナーから酸化チタンを分離して測定される。分離方法としては、分散剤、好ましくはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5%水溶液中にトナーを添加し、超音波分散機(1,000Hz)にて2分分散し、更にこれを遠心分離機にて分離し、透明トナーと酸化チタンを分ける。その後酸化チタンが含まれる分散液を更に遠心分離して酸化チタンを沈降させ、水を除去した後、真空乾燥によって酸化チタンを分離する方法を用いることができる。
BET比表面積は、窒素置換法によって測定される。例えばSA3100比表面積測定装置(ベックマン・コールター(株)製)を用いて、3点法により測定される。具体的には、測定試料として酸化チタン5gをセルに入れ、60℃、120分の脱気処理を行い、窒素とヘリウムの混合ガス(30:70)を用いて測定する。
【0030】
前記多孔質酸化チタンの体積平均粒径は150〜250nmである。
多孔質酸化チタンの体積平均粒径が150nm未満であると、光を透過し、青色の光を反射しない。
また、多孔質酸化チタンの体積平均粒径が250nmを超えると、青色の分光反射率が低下し、反射する波長が赤色側にシフトし目的の補正効果が得にくくなる。
前記多孔質酸化チタンの体積平均粒径は、160〜240nmが好ましく、170〜230nmがより好ましい。上記の数値の範囲内であると、十分な青色領域の散乱が得られるため好ましい。
なお、一次粒子となる酸化チタンの体積平均粒径は、1〜50nmが好ましい。
なお、多孔質酸化チタンの体積平均粒径、及び、一次粒子となる酸化チタンの体積平均粒径は、電子顕微鏡写真による画像解析により測定される。多孔質酸化チタンの体積平均粒径は、透明トナーから酸化チタンを分離して測定される。測定する酸化チタンは前述のBET比表面積測定で用いられた酸化チタンを用いることができる。
【0031】
酸化チタンは、例えば、チタン塩の水溶液(チタン塩水溶液)を、脂肪族アルコール及び/又はカルボキシ基もしくはカルボニル基を有する化合物(以下、「脂肪族アルコール等」ともいう。)の存在下で加熱してチタン化合物を加水分解し、その後、酸で加熱処理することにより調製される。
具体的には、チタン塩の水溶液に脂肪族アルコール等を添加し、これを加熱すると白色の沈殿物が形成される。これを酸で加熱処理した後、更にアルカリ処理によりpHを調整し、水洗、乾燥(更に焼成も可)することが好ましい。なお、上記アルカリ処理を省略した場合、収率や品質が低下する。
【0032】
チタン塩水溶液を調製するための出発原料として、硫酸チタン、硫酸チタニル、四塩化チタン等の無機チタン塩の水溶液が使用される。また、出発原料としてチタンテトライソプロポキシド等の有機チタン塩の水溶液も使用される。
チタン塩水溶液の濃度は、0.1〜5mol/Lが好ましい。
【0033】
酸化チタンの体積平均粒径やBET比表面積は、チタン塩の水溶液に含まれるチタン化合物を加水分解する際に添加する脂肪族アルコール等の添加量によって調整される。これは、脂肪族アルコールが一次粒子の粒径や集合状態に影響を及ぼし、その結果、二次粒子である多孔質酸化チタンの体積平均粒径及び比表面積が変化するためである。
【0034】
脂肪族アルコール等の濃度は、用いる原料や脂肪族アルコール等の種類に応じて適宜決定すればよい。脂肪族アルコール等の添加量が少なすぎると、多孔質酸化チタンの結晶型のアナターゼ比率が小さくなり、BET比表面積も小さくなる。
また、脂肪族アルコール等の添加量が多すぎる場合には、形状が崩れたり、BET比表面積が小さくなる。
例えば、チタン塩として硫酸チタニルを用いた場合にはアナターゼ型の酸化チタンが得られるが、形状やBET比表面積の点などから、脂肪族アルコールの濃度は、チタン塩水溶液中0.1〜5mol/Lが好ましく、0.5〜3mol/Lがより好ましい。
また、チタン塩水溶液として四塩化チタン水溶液を用いた場合には、脂肪族アルコール(例えばグリセリン)の濃度はチタン塩水溶液中1.5〜5mol/Lが好ましく、1.5〜3mol/Lがより好ましい。
なお、上記範囲は後述するカルボキシ基を有する化合物、又は、カルボニル基を有する化合物を併用する場合にはその限りではない。
【0035】
加熱による加水分解をする際に添加される一価の脂肪族アルコールとしては、炭素数1〜22のものが好ましく、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、オクタノール、ステアリルアルコール等が例示される。
酸化チタンの形状を略球状にするためには多価アルコールを用いることが好ましい。
多価アルコールとしては、特に限定されないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルプロパンジオール、ジエチルプロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエチロールプロパン、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、マルチトール等が好適に用いられ、特に好ましくはグリセリンである。
【0036】
一価の脂肪族アルコールを用いても多孔質の二次粒子を形成するが、多価アルコールを用いた場合と比較して、略球状の酸化チタンが形成されにくい。一価の脂肪族アルコールを使用する場合、カルボキシ基を有する化合物、又は、カルボニル基を有する化合物を併用することで、この点は改善される。
【0037】
加熱による加水分解の条件は、用いる原料、脂肪族アルコール等の添加剤の種類や濃度等により適宜決定される。加熱温度は、50〜100℃が好ましい。加熱時間は、1〜12時間が好ましい。
【0038】
本実施形態においては、加熱による加水分解の後、好ましくは酸で加熱処理する。具体的には、加熱による加水分解の後、濾過残分を水中に再懸濁したスラリーに対して酸を添加し、加熱する。このような酸としては、硫酸、硝酸、塩酸等が挙げられ、好ましくは塩酸である。
【0039】
このような酸を添加した加熱処理(酸加熱処理)により、BET比表面積が250m2/g以上の多孔質酸化チタンが調製される。酸加熱処理を行わなかったり、加水分解の際に脂肪族アルコール等を添加しない場合には、BET比表面積の大きい粉体は形成されない。また、酸加熱処理により、酸加熱処理前に比べて粉体の粒径が小さく、且つ、均一になる。
酸加熱処理における酸の添加量は、スラリー中のチタンに対して1〜8モル当量が好ましい。加熱条件としては、用いる原料、添加剤、濃度等に応じて適宜決定すればよいが、加熱による加水分解の条件と同様の範囲である。
【0040】
本実施形態においては、酸加熱処理の後、反応液(あるいは反応液を濾過・水洗後、水中に再懸濁したスラリー)にアルカリを添加して好ましくはpHを6〜8、より好ましくはpH6.5〜7.5に調整し、中和することが好ましい。使用されるアルカリについては特に限定されないが、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のNa塩、K塩、Ca塩が好ましい。
【0041】
本実施形態においては、脂肪族アルコールと共にカルボキシ基を有する化合物、又は、カルボニル基を有する化合物を共存させると、アナターゼ型の酸化チタンを含有する比率が高くなる傾向がある。
チタン塩水溶液として四塩化チタン水溶液を用いた場合、アナターゼ比率50重量%以上とするためには、脂肪族アルコール1molに対し、酢酸2mol以上を用いることが好ましい。また、カルボキシ基を有する化合物、又は、カルボニル基を有する化合物を併用すると、併用しない場合に比して多孔質酸化チタンの粒径がより小さくなる傾向がある。また、添加剤の使用量も低減できる。
【0042】
カルボキシ基を有する化合物、又は、カルボニル基を有する化合物としては、特に限定されないが、炭素数1〜22の脂肪族化合物が好ましく、例えば脂肪族カルボン酸又はその誘導体等が挙げられる。
【0043】
脂肪族カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、カプリル酸、ステアリン酸等の一塩基酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸等の二塩基酸の他、それ以上の多塩基酸が挙げられる。誘導体としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、4級アンモニウム塩等の塩、メチルエステル、エチルエステル等のエステル等が代表的であるが、アミノ酸、アミドなども特に支障のない範囲で使用される。また、サリチル酸、安息香酸などの芳香族カルボン酸も挙げられる。
これらのうち、好ましいものとしてカルボン酸、カルボン酸塩が挙げられ、更に好ましいものとして酢酸、シュウ酸、サリチル酸、プロピオン酸、コハク酸、マロン酸、安息香酸が挙げられ、特に好ましいものとして酢酸、プロピオン酸が挙げられる。
【0044】
カルボキシ基を有する化合物、及び、カルボニル基を有する化合物の濃度は、化合物の種類やその他の条件によって適宜決定すればよいが、チタン塩水溶液中0.1〜5mol/Lが好ましく、0.5〜5mol/Lがより好ましい。
【0045】
また、添加剤として、脂肪族アルコールの代わりにカルボキシ基を有する化合物、又は、カルボニル基を有する化合物のみを用いても、多孔質酸化チタンが調製される。この場合、カルボキシ基を有する化合物、又は、カルボニル基を有する化合物として好ましくは酢酸である。なお、脂肪族アルコールの代わりにカルボキシ基を有する化合物、又は、カルボニル基を有する化合物を用いた場合には、脂肪族アルコールを用いた場合に比べて粒度や形状が劣ることがある。
【0046】
多孔質酸化チタンの製造方法として、四塩化チタン水溶液に、四塩化チタン1molに対してグリセリン1.5〜5molを添加して加熱加水分解し、その後更に酸で加熱処理する方法は特に好ましい。
また、四塩化チタン溶液に、四塩化チタン1molに対してグリセリン0.1〜5molを添加し、更に酢酸をグリセリンに対して2倍mol当量以上添加して加熱加水分解し、その後更に酸で加熱処理する方法も特に好ましい方法の一つである。
【0047】
本実施形態の透明トナーは、少なくとも結着樹脂と離型剤とを含むトナー母粒子に、酸化チタンを0.1〜5重量%含有する。
0.1重量%未満であると、青色散乱による補正効果が低下する。
5重量%を超えると、透明トナーの透明性が低下する。
本実施形態においては、酸化チタンの含有量は、1〜4重量%が好ましく、1.5〜3.5重量%がより好ましい。上記の数値の範囲内であると、青色散乱による補正効果が得られると共に透明トナーの透明性も確保できるであるため好ましい。
【0048】
酸化チタンのBET比表面積が250〜500m2/gであり、体積平均粒径が150〜250nmであると、青色の光、具体的には400〜500nmの光を高い分光反射率で反射する。
本実施形態における酸化チタンが青色の光を高い分光反射率で反射することは、例えば分光光度計ウルトラスキャンVIS(HunterLab社製)により測定される。
【0049】
(内添剤)
本実施形態において、透明トナーの透明性を確保できる限り、トナー内部に内添剤を添加してもよい。内添剤は一般に定着画像の粘弾性制御の目的で使用される。
前記内添剤の具体例としては、シリカ、チタニアのような無機粒子や、ポリメチルメタクリレート等の有機粒子などが例示され、また、分散性を高める目的で表面処理されていてもよい。またそれらは単独でも、2種以上の内添剤を併用してもよい。
【0050】
(外添剤)
本実施形態において、透明トナーの透明性を確保できる限り、透明トナーには流動化剤や帯電制御剤等の外添剤を添加処理してもよい。
外添剤としては、表面をシランカップリング剤などで処理したシリカ粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子等の無機粒子やポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポリマー粒子、アミン金属塩、サリチル酸金属錯体等、公知の材料が用いられる。本実施形態に用いられる外添剤は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0051】
(透明トナーの形状)
本実施形態の透明トナーの体積平均粒径は、2〜9μmが好ましく、3〜7μmがより好ましい。上記範囲であると、帯電性、及び、現像性に優れる。
また、本実施形態の透明トナーは、体積平均粒度分布指標GSDvが1.30以下であることが好ましい。体積分布指標GSDvが1.30以下であると、良好な帯電分布が得られ均一な厚みを持った画像部を形成できる。
なお、本実施形態において、透明トナーの粒径や、上記した体積平均粒度分布指標GSDvの値は、次のようにして測定し算出した。まず、マルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)等の測定機を用いて測定された透明トナーの粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、個々の透明トナー粒子の体積について小径側から累積分布を描き、累積16%となる粒径を、体積平均粒子径D16vと定義し、累積50%となる粒径を、体積平均粒子径D50vと定義する。同様に、累積84%となる粒径を、体積平均粒子径D84vと定義する。この際、体積平均粒度分布指標(GSDv)は、D84v/D16vとして定義されるこれらの関係式を用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)を算出される。
【0052】
また、本実施形態の透明トナーは、形状係数SF1(=((トナー径の絶対最大長)2/トナーの投影面積)×(π/4)×100)が、110〜160の範囲が好ましく、125〜140の範囲がより好ましい。形状係数SF1の値は、透明トナーの丸さを示すものであり、真球の場合は100となり、透明トナーの形状が不定形になるに従って増大する。
形状係数SF1が110以上であると、画像形成の際に転写工程での残存トナーの発生が抑制され、ブレード等によりクリーニングする際のクリーニング性に優れる。
一方、形状係数SF1が160以下であると、トナーを現像剤として使用する場合に、現像機内でのキャリアとの衝突により透明トナーの破壊が防止され、結果として微粉の発生を抑制し、これによってトナー表面に露出した離型剤成分により感光体表面等が汚染されることを防ぎ、帯電特性に優れるばかりでなく、微粉に起因するかぶりの発生等が抑制される。
【0053】
形状係数SF1を用いた算出に際して必要となる値、すなわち、トナー径の絶対最大長、トナーの投影面積は光学顕微鏡((株)ニコン製、Microphoto−FXA)を用いて倍率500倍に拡大したトナー粒子像を撮影し、得られた画像情報を、インターフェースを介して、例えば、(株)ニレコ製画像解析装置(LuzexIII)に導入して画像解析を行って求められる。なお、形状係数SF1の平均値は、無作為にサンプリングした1,000個のトナー粒子を測定して得られたデータを元にして算出される。
【0054】
(静電荷像現像用透明トナーの製造方法)
本実施形態の透明トナーの製造方法は特に限定されるものではなく、混練粉砕法等の乾式法や、溶融懸濁法、乳化凝集法、溶解懸濁法等の湿式法が挙げられる。中でも、乳化凝集法で製造することが好ましい。
【0055】
乳化凝集法とは、トナー母粒子に含まれる成分(結着樹脂、離型剤、酸化チタン等)を含む分散液(乳化液)をそれぞれ調製し、これらの分散液を混合してトナー母粒子に含まれる成分同士を凝集させて凝集粒子を作り、その後、凝集粒子を結着樹脂の融点融解温度又はガラス転移温度以上に加熱して凝集粒子を熱融合させる方法である。
乳化凝集法は、乾式法である混錬粉砕法や、他の湿式法である溶融懸濁法、溶解懸濁法等に比べ、小粒子径のトナー母粒子を作製しやすく、また粒度分布の狭いトナー母粒子を得やすい。また、溶融懸濁法、溶解懸濁法等に比べ形状制御が容易であり、均一な不定形トナー母粒子が作製される。更に、被膜形成など、トナー母粒子の構造制御が容易であり、離型剤や結晶性ポリエステル樹脂を含有する場合は、これらの表面露出が抑制されるため、帯電性や保存性の悪化が防止される。
【0056】
次に、乳化凝集法の製造工程について詳述する。
乳化凝集法は、少なくとも、トナー母粒子を構成する原料を粒子化し、各原料が分散された分散液を調製する分散工程と、原料の粒子の凝集体を形成する凝集工程と、該凝集体を融合させる融合工程とを有する。以下、乳化凝集法によるトナー母粒子の製造工程の一例について、工程別に説明する。
【0057】
〔分散工程〕
樹脂粒子分散液、離型剤粒子分散液の作製法としては転相乳化法、溶融乳化法などが挙げられる。以下、結着樹脂を例に説明する。
転相乳化法では、分散すべき結着樹脂を、その結着樹脂が可溶な疎水性の有機溶剤中に溶解し、有機連続相(Oil相;O)に塩基を加えて、中和する。その後、水系媒体(Water相;W)を投入することによって、Water in Oil(W/O)の系を、Oil in Water(O/W)の系にすることで、有機連続相に存在した結着樹脂を不連続相に転相する。これによって、結着樹脂を、水系媒体中に粒子状に分散安定化し、樹脂粒子分散液(乳化液)が作製される。
【0058】
溶融乳化法では、水系媒体と結着樹脂とを混合した溶液に、分散機により剪断力を与えることにより乳化液が作製される。その際、加熱して結着樹脂の粘性を下げることにより、樹脂粒子が形成される。また、分散した樹脂粒子を安定化するため、分散剤を使用してもよい。更に、結着樹脂が油性であり、水への溶解度の比較的低いものである場合には、結着樹脂の溶解する溶剤に溶かして水中に分散剤や高分子電解質と共に分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂粒子分散液(乳化液)を作製してもよい。
【0059】
前記溶融乳化法による乳化液の調製に用いる分散機としては、例えば、ホモジナイザー、ホモミキサー、加圧ニーダー、エクストルーダー、メディア分散機等が挙げられる。
【0060】
前記水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水;アルコール類;などが挙げられるが、水のみであることが好ましい。
【0061】
また、分散工程に使用される分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウムの等の水溶性高分子;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤等の界面活性剤等が挙げられる。これらのうち、洗浄の容易性や環境適正の観点からアニオン界面活性剤が使用される。
【0062】
前記分散工程における樹脂粒子分散液(乳化液)に含まれる樹脂粒子の含有量は、10〜50重量%が好ましく、20〜40重量%がより好ましい。前記含有量が10重量%以上であれば、粒度分布が過度に広がることがない。また50重量%以下であれば、ばらつきのない撹拌をすることができ、粒度分布の狭い、特性の揃ったトナー母粒子が得られる。
【0063】
樹脂粒子の体積平均粒子径は、0.08〜0.8μmの範囲が好ましく、0.09〜0.6μmがより好ましく、0.10〜0.5μmが更に好ましい。0.08μm以上であれば、樹脂粒子が凝集しやすい。また0.8μm以下であれば、トナー母粒子の粒子径分布が広がりにくく、また乳化粒子の沈殿が抑制されるため、樹脂粒子分散液の保存性が向上する。
【0064】
次に説明する凝集工程に入る前に、結着樹脂以外のトナー母粒子の成分である離型剤や酸化チタン等を分散させた分散液も作製しておくとよい。
また、各成分に対応して分散液を調製する方法だけでなく、例えば、ある成分の分散液を調製する際、溶媒に他の成分を添加して2以上の成分を同時に乳化し、分散液に複数の成分が含まれるようにしてもよい。
【0065】
〔凝集工程〕
凝集工程においては、前記分散工程で得た樹脂粒子分散液、離型剤分散液、酸化チタンの分散液等を混合して混合液とし、結着樹脂のガラス転移温度以下の温度で加熱して凝集させ、凝集粒子を形成する。凝集粒子の形成は、撹拌下、混合液のpHを酸性にすることによって行う。pHとしては、2〜7の範囲が好ましく、2.2〜6の範囲がより好ましく、2.4〜5の範囲が更に好ましい。
【0066】
凝集粒子を形成する際に、凝集剤を使用することも有効である。凝集剤は、前記分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩の他、2価以上の金属錯体が好適に用いられる。金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に好ましい。
【0067】
前記無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。その中でも特に、アルミニウム塩及びその重合体が好適である。より狭い粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適している。
【0068】
また、前記凝集粒子が所望の粒子径になったところで、樹脂粒子を追添加することで、コア凝集粒子の表面を結着樹脂で被覆した構成のトナー母粒子を作製してもよい。この場合、離型剤や結晶性ポリエステル樹脂がトナー母粒子表面に露出しにくくなるため、帯電性や保存性の観点で好ましい。追添加する場合、追添加前に凝集剤を添加したり、pH調整を行ってもよい。
【0069】
〔融合工程〕
融合工程においては、前記凝集工程に準じた撹拌条件下で、凝集粒子の懸濁液のpHを4〜8の範囲に上昇させることにより凝集の進行を止め、結着樹脂のガラス転移温度以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。pHを上昇させるために使用するアルカリ溶液としてはNaOH水溶液が好ましい。NaOH水溶液は、他のアルカリ溶液である、例えばアンモニア溶液に比して、揮発性が低く、安全性が高い。またCa(OH)2などの2価のアルカリ溶液に比して、水への溶解性に優れ、必要な添加量が少なく、また、凝集の停止能力に優れる。
【0070】
前記加熱の時間としては、粒子間での融合が行われる程度に時間をかければよく、0.5〜10時間が好ましい。凝集粒子の融合後に冷却し、融合粒子を得る。また冷却の工程で、離型剤や結着樹脂の融解温度近傍(融解温度±10℃の範囲)で冷却速度を上げる、いわゆる急冷をすることで離型剤や結着樹脂の再結晶化を抑制して表面露出を抑制してもよい。
以上の工程を経て、融合粒子としてトナー母粒子が得られる。
【0071】
本実施形態に用いられるトナー母粒子は、混練粉砕法によっても作製される。
混練粉砕法でトナー母粒子を作製するためには、例えば、結着樹脂、離型剤、酸化チタン等を、例えば、加圧ニーダー、ロールミル、エクストルーダー等により、溶融混練して分散し、冷却後に、ジェットミル等により微粉砕化し、分級機、例えば、風力分級機等により分級して目的とする粒子径のトナー母粒子を調製する方法が用いられる。
【0072】
(2)静電荷像現像剤
本実施形態の静電荷像現像剤は、本実施形態の透明トナーを含有すること以外は、特に制限はなく、目的に応じて適宜の成分組成を取り得る。本実施形態においては、キャリアと組み合わせて用いる二成分系の静電荷像現像剤として調製されることが好ましい。
【0073】
(キャリア)
キャリアの芯材としては、例えば、鉄、鋼、ニッケル、コバルト等の磁性金属、これらとマンガン、クロム、希土類等との合金、及び、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられるが、芯材表面性、芯材抵抗の観点から、フェライト、特にマンガン、リチウム、ストロンチウム、マグネシウム等との合金が好ましく挙げられる。
【0074】
本実施形態で用いるキャリアは、芯材表面に樹脂を被覆してなることが好ましい。前記樹脂としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択される。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル及びポリビニルケトン等のポリビニル系樹脂及びポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂又はその変性品;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素系樹脂;シリコーン樹脂;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;フェノール樹脂;尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂、等のそれ自体公知の樹脂が挙げられる。
【0075】
前記樹脂による被膜は、前記樹脂中に樹脂粒子及び/又は導電性粒子が分散されていることが好ましい。前記樹脂粒子としては、例えば、熱可塑性樹脂粒子、熱硬化性樹脂粒子等が挙げられる。これらの中でも、比較的硬度を上げることが容易な観点から熱硬化性樹脂が好ましく、トナーに負帯電性を付与する観点からは、N原子を含有する含窒素樹脂による樹脂粒子が好ましい。なお、これらの樹脂粒子は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記樹脂粒子の平均粒径としては、0.1〜2μmが好ましく、0.2〜1μmがより好ましい。前記樹脂粒子の平均粒径が0.1μm以上であると、前記被膜における樹脂粒子の分散性に優れ、一方、2μm以下であると、前記被膜から樹脂粒子の脱落が生じにくい。
【0076】
前記導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属粒子、カーボンブラック粒子、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム粉末等の表面を酸化スズ、カーボンブラック、金属等で覆った粒子等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、製造安定性、コスト、導電性等が良好な点で、カーボンブラック粒子が好ましい。前記カーボンブラックの種類としては、特に制限はないが、DBP吸油量が50〜250ml/100gであるカーボンブラックが製造安定性に優れて好ましい。芯材表面への、前記樹脂、前記樹脂粒子、前記導電性粒子による被覆量は、0.5〜5.0重量%であることが好ましく、0.7〜3.0重量%であることがより好ましい。
【0077】
前記被膜を形成する方法としては、特に制限はないが、例えば、前記樹脂粒子及び/又は前記導電性粒子と、マトリックス樹脂としてのスチレンアクリル樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂等の前記樹脂とを溶剤中に含む被膜形成用液を用いる方法等が挙げられる。
具体的には前記キャリア芯材を、前記被膜形成用液に浸漬する浸漬法、被膜形成用液を前記キャリア芯材の表面に噴霧するスプレー法、前記キャリア芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で前記被膜形成用液を混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。これらの中でも、本実施形態において、ニーダーコーター法が好ましい。
【0078】
前記被膜形成用液に用いる溶剤としては、マトリックス樹脂としての前記樹脂のみを溶解することが可能なものであれば、特に制限はなく、それ自体公知の溶剤の中から選択され、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類等が挙げられる。前記被膜に前記樹脂粒子が分散されている場合において、その厚み方向及びキャリア表面の接線方向に、前記樹脂粒子及びマトリックス樹脂としての前記粒子が均一に分散しているため、前記キャリアを長期間使用して前記被膜が摩耗したとしても、常に未使用時と同様な表面形成を保持できる。そのため、前記トナーに対する良好な帯電付与能力が長期間にわたって維持される。また、前記被膜に前記導電性粒子が分散されている場合においては、その厚み方向及びキャリア表面の接線方向に、前記導電性粒子及びマトリックス樹脂としての前記樹脂が均一に分散しているため、前記キャリアを長期間使用して前記被膜が摩耗したとしても、常に未使用時と同様な表面形成を保持でき、キャリア劣化が長期間防止される。なお、前記被膜に前記樹脂粒子と前記導電性粒子とが分散されている場合において、上述の効果が同時に発揮される。
【0079】
以上のように形成されたキャリア全体の104V/cmの電界下における磁気ブラシの状態での電気抵抗は108〜1013Ωcmであることが好ましい。キャリアの該電気抵抗が108Ωcm以上であると、像保持体上の画像部にキャリアの付着が抑制され、また、ブラシマークが出にくい。一方、キャリアの該電気抵抗が1013Ωcm以下であると、エッジ効果の発生が抑制され、良好な画質が得られる。
なお、体積固有抵抗は以下のように測定する。
エレクトロメーター(KEITHLEY社製、商品名:KEITHLEY 610C)及び高圧電源(FLUKE社製、商品名:FLUKE 415B)と接続された一対の20cm2の円形の極板(鋼製)である測定治具の下部極板上に、サンプルを厚さ1〜3mmの平坦な層を形成するように載置する。次いで上部極板をサンプルの上にのせた後、サンプル間の空隙をなくすため、上部極板上に4Kgの重しをのせる。この状態でサンプル層の厚さを測定する。次いで、両極板に電圧を印加することにより電流値を測定し、次式に基づいて体積固有抵抗を計算する。
体積固有抵抗=印加電圧×20÷(電流値−初期電流値)÷サンプル厚
上記式中、初期電流は印加電圧0のときの電流値であり、電流値は測定された電流値を示す。
【0080】
二成分系の静電荷像現像剤における本実施形態の透明トナーとキャリアとの混合割合は、キャリア100重量部に対して、透明トナー2〜10重量部であることが好ましい。また、現像剤の調製方法は、特に限定されないが、例えば、Vブレンダー等で混合する方法等が挙げられる。
【0081】
(3)画像形成装置及び画像形成方法
本実施形態に係る画像形成装置、及び、画像形成方法について説明する。
本実施形態に係る画像形成方法は、本実施形態に係る透明トナーを用い、公知の電子写真方式により画像を形成するものであれば特に限定されないが、像保持体を帯電させる帯電工程、帯電された前記像保持体を露光して静電潜像を形成する静電潜像形成工程、前記静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像し、現像像を形成する現像工程、前記現像像を、基材上に転写し転写像を形成する転写工程、及び、前記転写像を定着する定着工程、を含み、前記トナーが本実施形態の透明トナー、又は、前記現像剤が本実施形態の静電荷像現像剤である画像形成方法が好ましい。
更に、カラーの静電荷現像用トナー(静電荷像現像用カラートナー)によるカラー画像を、基材表面に形成するカラー画像形成工程と、本実施形態の透明トナーによる透明画像を、前記カラー画像の少なくとも表面に形成する透明画像形成工程と、を有するものであることが好ましい。なお、透明画像を、カラー画像が形成されていない非画像部にも形成してもよい。
【0082】
この画像形成方法は、基材上にカラー画像のみを形成していた場合に、カラー画像が形成された領域とそれ以外の領域との境界部分で発生する段差や、カラー画像内の高濃度部と低濃度部との境界部分で発生する段差に起因する光沢のばらつきを、透明画像を形成することによって解消する方法である。
すなわち、本実施形態の画像形成方法は、カラー画像が形成された領域内又はカラー画像が形成された面全体の光沢感のばらつきが抑制された画像を提供する画像形成方法である。
【0083】
なお、透明画像形成工程は、透明トナーからなる透明トナーの転写像が転写された基材を加熱加圧することにより、少なくとも前記透明トナーの転写像を定着する定着工程を含む。
【0084】
この場合、定着工程は、圧接部を形成するように互いに接触し押圧させて配置された1対の定着部材を少なくとも用いて実施されることが好ましい。
定着工程は、(1)基材の透明トナーの転写像が形成された面が前記1対の定着部材のいずれか一方の定着部材表面と密着された状態で、基材を圧接部に通過させると同時に圧接部で転写像を加熱加圧する加熱加圧ステップと、(2)加熱加圧された基材を、転写像が転写された面と一方の定着部材表面とが密着した状態で、冷却する冷却ステップと、(3)冷却された基材を、一方の定着部材表面から剥離する剥離ステップとを含むものであることが特に好ましい(以下、上述した3つのステップを含む定着を、「冷却剥離方式(の定着)」ともいう。)。冷却剥離方式の定着では銀塩写真の如く高光沢な画像となる。
【0085】
冷却剥離方式の定着を行う場合に用いられる1対の定着部材は特に限定されないが、一方の定着部材が無端ベルト状定着部材であり、他方の定着部材がロール状定着部材であることが好ましい。また、加熱源はロール状定着部材内に内蔵及び/又は無端ベルト状定着部材の内周側に配置されていることが好ましい。この場合、冷却ステップにおいて基材表面と密着する側の定着部材として無端ベルト状定着部材が用いられる。また、冷却ステップは、自然放冷で実施されてもよいが、装置の小型化や、画像形成速度の高速化の観点からはヒートシンク等を利用した強制冷却で実施されることが特に好ましい。なお、剥離ステップにおける剥離の方法は特に限定されないが、例えば、基材自身の剛性を利用して剥離を行う。
【0086】
基材としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。
定着後における画像表面の平滑性を更に向上させるには、前記基材の表面も可能な限り平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等が好適に使用される。
前記基材の白色度は65以上が好ましく、80以上がより好ましい。
また、前記基材の白色度と前記静電荷像現像用透明トナーのみが定着された基材の白色度との差が10以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましく、6以下であることが更に好ましい。
白色度は、JIS Z8715:99により測定される。また、白色度差は、前記基材の白色度と静電荷像現像用透明トナーのみが定着された基材の白色度とを測定し、その差を算出して求められる。
【0087】
なお、本実施形態の画像形成方法は、必要に応じてその他公知の工程(例えば、トナー像を転写した後の像保持体表面をクリーニングするクリーニング工程等)を含むものであってもよい。また、転写工程は、中間転写ベルト等の中間転写体を利用した中間転写方式により実施されてもよい。この場合は、像保持体表面の現像像を中間転写体表面に1次転写した後、中間転写体表面から基材表面に2次転写される。
【0088】
ここで、帯電工程、静電潜像形成工程、現像工程は、各種類のトナー(静電荷像現像剤)毎に実施され、転写工程は、各種類のトナー(静電荷像現像剤)毎に実施しても2種類以上のトナー(静電荷像現像剤)毎に実施してもよい。
また、定着工程は、基材表面に転写された透明トナー像及び各色のトナーを重ね合わせて得られたカラートナー像(未定着のカラー画像)に対して一括して実施してもよいが、基材表面に転写された各色のトナーを重ね合わせて得られたカラートナー像を定着してカラー画像とした後に、この定着済みのカラー画像が形成された基材に透明トナー像を転写して2回目の定着を実施してもよい。
【0089】
次に、上述した本実施形態に係る画像形成方法を実施するために用いられる画像形成装置について説明する。
本実施形態の画像形成装置は、像保持体、前記像保持体を帯電させる帯電手段、帯電された前記像保持体を露光して静電潜像を形成する静電潜像形成手段、前記静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像し、現像像を形成する現像手段、前記現像像を、基材上に転写し転写像を形成する転写手段、及び、前記転写像を定着する定着手段、を有し、前記トナーが本実施形態の透明トナー、又は、前記現像剤が本実施形態の静電荷像現像剤であることが好ましい。
更に、本実施形態に係る画像形成装置は、静電荷現像用カラートナーによるカラー画像を、基材表面に形成するカラー画像形成手段(第1画像形成手段)と、本実施形態の透明トナーによる透明画像を、前記カラー画像の少なくとも表面に形成する透明画像形成手段(第2画像形成手段)と、を具備するものであることが好ましい。
【0090】
なお、冷却剥離方式の定着を実施するためには、透明画像形成手段は、前記カラー画像の少なくとも表面に透明トナーからなる透明トナー像が転写された基材を加熱加圧することにより、少なくとも透明トナー像を定着する定着手段を含む。前記定着手段は、圧接部を形成するように互いに接触し押圧させて配置され、少なくとも一方が回転可能な無端ベルト状定着部材から構成される1対の定着部材を少なくとも備え、基材を、その透明トナー像が転写された面が無端ベルト状定着部材表面と密着させた状態で、圧接部を通過させると同時に圧接部で加熱加圧する機能と、加熱加圧された基材を、この基材の透明トナー像が転写された面と無端ベルト状定着部材表面とが密着した状態で、無端ベルト状定着部材により搬送しながら冷却する機能と、冷却された基材を、無端ベルト状定着部材表面から剥離する機能とを含むものであることが特に好ましい(以下、上述した構成を有する定着手段を、「光沢付与手段」又は「光沢付与装置」と称す場合がある。)。
【0091】
カラー画像形成手段や透明画像形成手段は、上述した帯電工程、静電潜像形成工程、現像工程、転写工程、定着工程等を実施するための各手段(帯電手段、静電潜像形成手段、現像手段、転写手段、定着手段)を含むものである。これらの各手段は、各種類のトナー毎に別個に設けられてもよく、共通の1つ又は2つ程度の手段を設けてもよい。各手段を共通して一本化するか各種類のトナー毎に各々別個に設けるかは、装置の小型化、画像形成速度の確保、画質等を考慮して選択する。
例えば、高速な画像形成を行う場合には、各種類のトナー(静電荷像現像剤)に対応した画像形成ユニットを備えた、いわゆるタンデム方式の画像形成装置とすることができ、小型の装置を実現したい場合には、各種類のトナー(静電荷像現像剤)を現像するための現像機を1つの現像装置に備えたいわゆるロータリー現像方式を採用した画像形成装置としてもよい。
【0092】
また、2色以上のカラートナー(好ましくは、シアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラックの4色のトナー)のみを用いるタンデム方式の画像形成装置やロータリー現像方式を採用した画像形成装置に対して、透明トナー専用の画像形成手段を付加した構成の装置としてもよい。
【0093】
例えば、2色以上のカラートナーのみを用いるタンデム方式の画像形成装置やロータリー現像方式を採用した画像形成装置においては、各色のトナーに対して共通する定着装置を有するため、この定着装置として光沢付与装置を用いると共に、無端ベルト状定着部材の表面に透明トナー像が転写されるように、圧接部に対して無端ベルト状定着部材の回転方向上流側に、透明トナー用の帯電手段、静電潜像形成手段、現像手段及び転写手段を少なくとも備えた画像形成ユニットを設けてもよい。
【0094】
また、本実施形態に係る画像形成装置には、画像形成装置に脱着され、少なくとも、前記画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するための透明トナーを収納したトナーカートリッジを備える構成であってもよい。
【0095】
また、本実施形態に係る画像形成装置には、静電荷像現像剤を収納すると共に、静電像保持体表面に形成された静電潜像を静電荷像現像剤により透明トナーの現像像に現像する現像手段と、像保持体、前記像保持体を帯電する帯電手段、前記透明トナーの現像像を前記像保持体から基材に転写する転写手段、前記像保持体の表面に残存した透明トナーを除去するためのクリーニング手段よりなる群から選ばれた少なくとも一種と、を具備し、画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジを備える構成であってもよい。
【0096】
なお、本実施形態に係る画像形成装置に用いられる像保持体としては、特に制限はなく従来公知のものが採用される。像保持体は、単層構造でも多層構造で機能分離型のものであってもよい。また、材質としては、セレン、又はアモルファスシリコン等の無機感光体であってもよいし、有機感光体であってもよい。
【0097】
帯電手段としては、例えば、導電性又は半導電性部材(例えばローラー、ブラシ、フィルム、又はゴムブレード等)を用いた接触帯電装置、又は、コロナ放電を利用したコロトロン帯電やスコロトロン帯電などの非接触型の帯電装置等、それ自体公知の手段を使用する。
【0098】
静電潜像形成手段としては、半導体レーザー及び走査装置の組み合わせ、光学系からなるレーザー光学系、あるいは、LEDヘッドなど、従来公知の露光手段が使用されるが、レーザー光学系又はLEDヘッドを使うことが好ましい。
【0099】
画像信号形成装置としては、トナー像を基材表面の特定の位置に形成し得る信号を形成する限り、従来公知のいずれの手段を使用してもよい。
【0100】
転写手段としては、例えば、導電性又は半導電性部材(ローラー、ブラシ、フィルム、又はゴムブレード等)を用いて、像保持体と基材又は中間転写体との間に電界を作り、帯電した透明トナーからなる現像像を転写する手段、又は、コロナ放電を利用したコロトロン帯電機やスコロトロン帯電機などで基材又は中間転写体の裏面をコロナ帯電して、帯電した透明トナーからなる現像像を転写する手段など、従来公知の手段を使用する。
【0101】
中間転写体としては、絶縁性若しくは半導電性のベルト材料、又は、絶縁性若しくは半導電性の表面を持つドラム形状のものを使う。連続した画像形成時において、安定的に転写性を維持するという観点、及び、装置小型化の観点から、半導電性のベルト材料が好ましい。このベルト材料としては、カーボンファイバーなどの導電性のフィラーを分散した樹脂材料からなるベルト材料が知られている。この樹脂としては、例えばポリイミド樹脂が好ましい。
【0102】
2次転写において利用される2次転写装置としては、例えば、電圧を印加した導電性又は半導電性部材(例えばローラー、ブラシ、フィルム、又はゴムブレード等)を用いて、中間転写体と基材との間に電界を作り、帯電した透明トナーからなる現像像を転写する転写手段、又は、コロナ放電を利用したコロトロン帯電機やスコロトロン帯電機などで中間転写体の裏面をコロナ帯電して、帯電した透明トナーからなる現像像を転写する転写手段など、公知の転写手段を使用する。
【0103】
以下、本実施形態に係る画像形成装置や光沢付与手段の構成について具体的に説明する。
図1は、光沢付与手段を備えた本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。図1に示される画像形成装置は、大きく、カラートナー像を形成するためのカラートナー像形成装置(符号2〜16)と、透明トナー像を形成した後に、この透明トナー像とカラートナー像とを基材表面に定着するための、透明トナー像形成用の画像形成ユニット付の光沢付与装置(符号20〜33)とに分けられ、両者が搬送装置19により連結されている。
【0104】
カラートナー像形成装置では、まず、読み取り対象である原稿1に、照明2により光を照射し、反射した光をカラースキャナ3により読み取る。読み取られた信号は、画像処理装置4に送られ、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色に色分解されて、露光を制御する画像信号が、露光装置である光学系6に送られる。
光学系6では、各色成分ごとにレーザーダイオード5が発光し、像保持体8表面に、各色成分ごとの像の光Xが照射される。一方、像保持体8は、矢印A方向に回転しながら、まず、表面が帯電機7により帯電されたのち、既述の光学系6による露光が行われ、現像機9〜12による現像に供される。
【0105】
例えば、イエロー色を例にとると、画像処理装置4によりイエローY色成分に色分解された光が、光学系6により像保持体8表面に照射される。像保持体8表面は予め帯電機7により帯電しており、光の照射を受けた部位が逆極に帯電して、静電潜像を形成する。そして、イエロー現像機9により、イエローのカラートナーで像保持体8表面の静電潜像が現像され、現像像が形成される。更に、像保持体8が矢印A方向に回転して、現像像が中間転写ベルト13表面に、転写コロトロン14の静電引力により転写される。転写後の像保持体8は、矢印A方向への更なる回転により表面が帯電機7により帯電され、次色の画像形成に備える。
【0106】
イエローに引き続き、マゼンタ、シアン及びブラックの各色についても同様の操作が行われ、マゼンタ現像機10、シアン現像機11及びブラック現像機12により順次静電潜像が現像され、中間転写ベルト13に各色の現像像が積層される。中間転写ベルト13は、各色の転写時には、像保持体8の回転に連れて矢印B方向に回転し、転写が終了すると逆方向に回転して元の位置に戻って、次の色が転写される時には、その前に転写されたカラートナー像の上に次の色の現像像が積層される。そして、全4色が積層されると、矢印B方向にそのまま回転し、転写ロール15、16に挟まれたニップ部に送られる。該ニップ部には、画像を形成しようとする基材(用紙)17が、中間転写ベルト13と面で接触した状態で挿通され、転写ロール15、16の静電的な作用により、基材17表面に、積層されたカラートナーの現像像が転写され、転写像が形成される。
カラートナーの転写像が転写された基材17は、搬送装置19により、画像形成ユニット付の光沢付与装置に搬送される。
【0107】
光沢付与装置は、転写定着手段である加熱ロール30、剥離ロール32、及び、従動ロール33に張架された定着部材の機能も兼ねた無端ベルト状の透明トナー用像保持体20と、該透明トナー用像保持体20表面に特定の透明トナー像を形成する透明トナー用現像手段21と、表面に透明トナー像が形成された透明トナー用像保持体20及びカラートナー像が形成された基材17を重ね合わせた状態で挟持し、透明トナーの現像像をカラートナーの転写像が形成された面に転写すると共に、加熱及び加圧するための転写定着手段22と、該転写定着手段22によって、カラートナーの転写像の表面ないしその周辺に透明トナーにより被覆された状態で転写定着された基材17を冷却する冷却用ヒートシンク23と、を備える。
【0108】
透明トナー用像保持体20としては、例えば、ポリイミド等のポリマーフィルムによって無端ベルト状に形成した定着ベルトが用いられる。また、この透明トナー用像保持体20は、導電性カーボン粒子や導電性ポリマー等の導電性の添加剤を分散するなどにより、抵抗値が特定の値に調整されていることが好ましい。透明トナー用像保持体20の形状としては、無端状に限らず、例えばウェブ状のものとして、送り出し、逆側では巻き取る構成など、ウェブ状、シート状等各種形状であってもよいが、無端ベルト状のものを使用することが好ましい。
【0109】
透明トナー用像保持体20の表面は、剥離性の観点から、シリコーン樹脂、及び/又はフッ素系樹脂によって被覆されていることが好ましい。また、上記透明トナー用像保持体20は、75度光沢度計で測定したときの表面の光沢度が60以上であることが好ましい。
【0110】
透明トナー用現像手段21は、本実施形態の透明トナーからなる透明トナーの現像像を、透明トナー用像保持体20表面に形成するものである。この目的を満たす限り、それ自体公知の現像装置などを転用して使用する。この透明トナー用現像手段21としては、例えば、透明トナー用像保持体20の裏面に、接地又はバイアス電圧を印加したロール等の対向電極部材が接触した状態で配置された位置で、一成分現像装置や二成分現像装置を対向電極部材に対向させ、この一成分現像装置や二成分現像装置によって、透明トナー像を透明トナー用像保持体20表面に直接現像する装置であっても構わない。この場合、透明トナーを直接現像する装置の位置における透明トナー用像保持体20の温度としては、60℃以下とすることが好ましい。
【0111】
透明トナー用現像手段21としては、図1に示すように、像保持体24と、該像保持体24表面を帯電する帯電装置25と、像保持体24表面を露光して静電潜像を形成するレーザ光学系やLEDアレイ等からなる露光装置26と、基材17表面における透明トナーの転写像を形成する領域や透明トナー像の量を制御するための透明トナー像信号形成装置27と、像保持体24に対向し、透明トナーを含む現像剤層により像保持体24表面の静電潜像を現像して透明トナーの現像像を得る透明トナー像現像装置28と、像保持体24表面の透明トナーの現像像を透明トナー用像保持体20の表面に転写する転写装置29と、を含むものである。
【0112】
像保持体24としては、特に制限はなく従来公知のものが問題なく採用でき、単層構造のものであってもよいし、多層構造で機能分離型のものであってもよい。また、像保持体24の材質としては、セレン、アモルファスシリコン等の無機感光体であってもよいし、有機感光体であってもよい。
【0113】
帯電装置25としては、例えば、導電性又は半導電性部材(例えばローラー、ブラシ、フィルム、又はゴムブレード等)を用いた接触帯電装置、又は、コロナ放電を利用したコロトロン帯電やスコロトロン帯電などの非接触型の帯電装置等、それ自体公知の手段を使用する。
【0114】
露光装置26としては、半導体レーザー及び走査装置の組み合わせ、レーザー光学系、LEDヘッド、あるいは、ハロゲンランプなどの公知の露光手段を使用してもよい。露光像の領域、すなわち透明トナー像を形成する基材表面の位置を必要に応じて変化させるという好ましい態様を実現させるためには、レーザー光学系又はLEDヘッドを使用することが好ましい。
【0115】
透明トナー像信号形成装置27としては、透明トナー像を基材17表面の特定の位置に形成し得る信号を形成する限り、従来公知のいずれの手段を使用する。なお、上記透明トナー像信号形成装置27としては、既述のカラートナー像形成装置における画像処理装置4から出力される画像データに基づいて、透明トナー像の形成信号を形成するものであってもよい。
透明トナー像現像装置28としては、像保持体24表面に透明トナー像を形成するといった機能を有する限り、従来公知の現像装置を使用する。
【0116】
転写装置29としては、例えば、導電性又は半導電性部材(例えばローラー、ブラシ、フィルム、又はゴムブレード等)を用いて、像保持体24と透明トナー用像保持体20との間に電界を作り、荷電された透明トナーを転写する手段、又は、コロナ放電を利用したコロトロン帯電機やスコロトロン帯電機などで透明トナー用像保持体20の裏面をコロナ帯電して、荷電された透明トナーを転写する手段など、従来公知の手段を使用する。
【0117】
透明トナー像を形成する領域は、例えば、基材17表面におけるカラートナーの転写像全体を覆う画像領域の全域とする。ただし、これに限定されるものではなく、例えば、基材17表面全面であっても構わないし、カラートナー像のうち、例えば写真画像など特に高光沢が望まれる領域のみを選択しても構わない。また、カラートナーの転写像のトナーによる凹凸を抑制するために、カラートナーの転写像のトナー高さに応じて、その高さを均すように透明トナーの転写像のトナー高さを変えたり、カラートナー像が形成されていない領域にのみ透明トナーの転写像を形成することとしたり等、カラートナーの転写像の表面にはほとんどあるいは全く透明トナーの転写像を形成しない態様でも構わない。更に、カラートナーの転写像を形成するよりも前に、透明トナーの転写像を形成する態様でも構わない。「カラー画像(定着前の状態(カラートナー像)も含む。)の表面及び/又はその周囲」との表現には、これらの態様全てを含むものとする。
【0118】
上記透明トナーの転写像を形成する領域としては、定着後に均一な光沢を得るという観点から、基材17の表面全体であることが望ましく、この場合に特にカラートナーの転写像部分に関しては、トナー高さに応じてその高さを均すように透明トナーの転写像のトナー高さを変えることが好ましい。
【0119】
上記透明トナー像が形成された透明トナー用像保持体20と前記カラートナーの転写像が形成された基材17とを重ね合わせて挟持し、透明トナーの現像像を転写すると共に加熱及び加圧するための転写定着手段22としては、従来公知のものを使用する。この転写定着手段22は、図1に示すように、矢印C、C’方向に一定速度で駆動される一対のロール(加熱ロール30及び加圧ロール31)の間に、透明トナーの現像像が形成された透明トナー用像保持体20と、前記カラートナーの転写像が形成された基材17とを挟持して搬送し、加熱加圧するものである。ここで、一対の転写定着手段である加熱ロール30、加圧ロール31は、その一方又は両方共に、例えば、中心に熱源(不図示)を備える等の方法で、その表面が透明トナーの溶融する温度に加熱されており、かつ一対の加熱ロール30、加圧ロール31は、透明トナー像用保持体20を介して圧接されている。この一対の加熱ロール30、加圧ロール31のうち、一方又は両方が、望ましくはその表面にシリコーンゴム又はフッ素ゴム層が設けられ、加熱加圧されるニップ領域の長さが1〜8mm程度の範囲にあることが好ましい。
【0120】
図1に示すように、無端ベルト状の透明トナー用像保持体20は、加熱ロール30、剥離ロール32、及び、従動ロール33により回転可能に支持されており、前記加熱ロール30に透明トナー用像保持体20を介して加圧ロール31が圧接されている。
加熱ロール30及び加圧ロール31としては、例えばアルミニウムからなる金属製コアの表面に、シリコーンゴムからなる弾性体層(厚さ2mm)を被覆し、特定の外径(40mmφ)に形成したものが用いられる。この加熱ロール30及び加圧ロール31の内部には、加熱源として例えば300〜350Wの図示しないハロゲンランプが設けられており、当該加熱ロール30の表面温度が特定の温度となるように内部から加熱される。
【0121】
そして、加熱ロール30と加圧ロール31とは、透明トナー用像保持体20を介して圧接しており、図示しない加圧手段により特定の荷重がかかり、圧接部(ニップ部)の幅が8mmとなるように構成されている。更に、透明トナー用像保持体20は、加熱ロール30、剥離ロール32及び従動ロール33に張架されており、図示しない駆動源によって矢印C方向に回転駆動される加熱ロール30により、特定の移動速度(30mm/sec程度)で矢印D方向に回転駆動される。透明トナー用像保持体20としては、例えば厚さ80mの熱硬化型ポリイミド製の無端状フィルムの外周面側に、厚さ30μmのシリコーンゴム層を被覆したものが用いられる。
【0122】
また、上記透明トナー用像保持体20の内面側には、加熱ロール30と剥離ロール32との間に、当該透明トナー用像保持体20を強制的に冷却して、その後の剥離を容易とする冷却装置としての冷却用ヒートシンク23が配設されており、この冷却用ヒートシンク23によって定着したトナー画像及び基材17の冷却を行うように構成されている。なお、ヒートシンクに代えてヒートパイプを用いても構わない。また、図1に示すように剥離位置に位置するロール(剥離ロール32)に曲率の小さなロールを採用し、基材17自身の腰により剥離させる態様が好ましい。なお、透明トナー用像保持体20と基材17とを剥離させようとする部位に、剥離爪を配置することも好ましい。
【0123】
次に、カラートナーの転写像が形成された基材17が搬送装置19により搬送され、光沢付与装置に導入されて、画像光沢が付与される工程について説明する。
まず、前記のように、表面にカラートナーの転写像が形成された基材17が、加熱ロール30と、これに透明トナー用像保持体20を介して圧接する加圧ロール31との圧接部(ニップ部)に、カラートナーの転写像が加熱ロール30側に面するようにして導入される。
【0124】
図2に、加熱ロール30と加圧ロール31との圧接部を通過するときの、透明トナー用像保持体20及び基材17の間の状態を模式的に示す。図2において、符号34は透明トナー用像保持体20に保持されてきた透明トナーの像、符号35は基材17に形成されていたカラートナーの像であり、一対のロール30、31は省略されている。図2に示されるように、カラートナーの像35が基材17表面に加熱溶融されると同時に、透明トナー用像保持体20表面に形成されていた透明トナーの像34が、カラートナーの像35の表面ないしその周辺に転写され加熱溶融されて融着し、全体を被覆した状態となる。
【0125】
その後、加熱ロール30と加圧ロール31との圧接部において、カラートナーの像35及び透明トナーの像34が例えば120〜130℃の温度に加熱、溶融され、基材17に定着される。そして、透明トナーの像34及びカラートナーの像35が定着された基材17は、その表面の透明トナーの像34が透明トナー用像保持体20の表面に密着したままの状態で、該透明トナー用像保持体20と共に矢印D方向に搬送される。その間、透明トナー用像保持体20は、冷却用のヒートシンク23によって強制的に冷却され、透明トナーの像34及びカラートナーの像35が冷却して固化した後、剥離ロール32によって基材17自身の腰(剛性)によって剥離される。
【0126】
なお、剥離工程が終了した後の透明トナー用像保持体20の表面は、必要に応じて、図示しないクリーナによって残留トナー等が除去され、次の転写定着工程に備えるようになっている。
【0127】
(カラートナー)
カラートナーは、少なくとも公知のトナー用結着樹脂及び着色剤を含む一般的なカラートナーであれば、特に制限はない。結着樹脂及び着色剤以外の添加成分については、本実施形態の透明トナーにおけるその他の成分と同様のものを内添又は外添してもよい。つまり、着色剤を除いて、上記本実施形態に係る透明トナーと同様な構成とすることがよい。なお、カラートナーは、好ましくはイエロートナー、マゼンタトナー、及びシアントナーの他、ブラックトナーを含む。
【0128】
(4)プロセスカートリッジ、トナーカートリッジ
本実施形態のプロセスカートリッジは、少なくとも現像剤保持体を備え、画像形成装置に着脱可能であり、本実施形態の静電荷像現像剤を収容することを特徴とする。
また、本実施形態のトナーカートリッジは、画像形成装置に着脱可能であり、少なくとも本実施形態の静電荷像現像用透明トナーを収容することを特徴とする。
【0129】
図3は、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容するプロセスカートリッジの好適な一例の実施形態を示す概略構成図である。プロセスカートリッジ200は、像保持体107と共に、帯電機108、現像機111、クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を取り付けレール116を用いて組み合わせ、そして一体化したものである。なお、図3において符号300は基材を示す。
そして、このプロセスカートリッジ200は、転写装置112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体と共に画像形成装置を構成するものである。
【0130】
図3で示すプロセスカートリッジ200では、帯電機108、現像機111、クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を備えているが、これら装置は選択的に組み合わせることが可能である。本実施形態のプロセスカートリッジでは、像保持体107のほかには、帯電機108、現像機111、クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117から構成される群から選択される少なくとも1種を備える。
【0131】
次に、本実施形態のトナーカートリッジについて説明する。本実施形態に係るトナーカートリッジは、画像形成装置に着脱可能に装着され、少なくとも、前記画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するための透明トナーを収容する。なお、本実施形態に係るトナーカートリッジには少なくとも透明トナーが収容されればよく、画像形成装置の機構によっては、例えば現像剤が収められてもよい。
【0132】
したがって、トナーカートリッジの着脱が可能な構成を有する画像形成装置においては、本実施形態に係る静電荷像現像用透明トナーを収めたトナーカートリッジを利用することにより、本実施形態に係る静電荷像現像用透明トナーが現像機に供給される。
【0133】
なお、図1に示す画像形成装置は、トナーカートリッジの着脱が可能な構成を有する画像形成装置であってもよく、現像機は、各色の現像機に対応したトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収納されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジが交換される。
【実施例】
【0134】
以下、実施例により詳細に本実施形態を説明するが、何ら本実施形態を限定するものではない。なお、以下の記載における「部」及び「%」は、特に断りのない限り「重量部」及び「重量%」を示すものとする。また酸化チタンのBET比表面積、体積平均粒子径はトナーに添加前と添加後において誤差の範囲で同じであったため、添加前の値を記載する。
【0135】
<結着樹脂の合成>
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2.2モル付加物: 10モル%
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2.2モル付加物: 40モル%
・テレフタル酸: 22モル%
・フマル酸: 15モル%
・ドデセニルコハク酸無水物: 11モル%
・トリメリット酸無水物: 2モル%
上記成分を加熱乾燥した二口フラスコに入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち撹拌しながら昇温した後、150〜230℃で約12時間共縮重合反応させ、その後、210〜250℃で徐々に減圧して、ポリエステルを合成した。
得られたポリエステルの重量平均分子量は、23,000であった。
【0136】
<樹脂粒子分散液の調製>
・結着樹脂 160部
・酢酸エチル 233部
・水酸化ナトリウム水溶液(0.3N) 0.1部
上記成分を1,000mlのセパラブルフラスコに入れ、70℃で加熱し、スリーワンモーター(新東科学(株)製)により撹拌して樹脂混合液を調製した。この樹脂混合液を更に撹拌しながら、徐々にイオン交換水373部を加え、転相乳化させ、脱溶剤することにより樹脂粒子分散液(固形分濃度:30%)を得た。
【0137】
<離型剤分散液の調製>
・パラフィンワックス(日本精蝋(株)製、HNP−9) 50部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK) 0.5部
・イオン交換水:200部
以上を混合して95℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した。その後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社製)で分散処理し、離型剤を分散させてなる離型剤分散液(固形分濃度:20%)を調製した。離型剤の体積平均粒子径は0.23μmであった。
【0138】
<酸化チタン(1)の調製>
1mol/Lの四塩化チタン水溶液100mLに、0.06molのグリセリン及び0.3mol酢酸を添加し、90℃で3時間加熱した後、ろ過した。得られた白色粉体を100mLのイオン交換水に分散し、0.4molの塩酸を加えて、再度90℃で3時間加熱した。水酸化ナトリウムによりpH7に調整した後、ろ過水洗、乾燥(105℃、12時間)して酸化チタン(1)の粉体を得た。
得られた粉体のBET比表面積は350m2/gであった。
体積平均粒子径は200nmであった。
【0139】
<酸化チタン(2)の調製>
1mol/Lの四塩化チタン水溶液100mLに、0.05molのグリセリンを添加し、90℃で3時間加熱した後、ろ過した。得られた白色粉体を100mLのイオン交換水に分散し、0.4molの塩酸を加えて、再度90℃で3時間加熱した。水酸化ナトリウムによりpH7に調整した後、ろ過水洗、乾燥(105℃、12時間)して酸化チタン(2)の粉体を得た。
得られた粉体のBET比表面積は260m2/gであった。
体積平均粒子径は200nmであった。
【0140】
<酸化チタン(3)の調製>
1mol/Lの四塩化チタン水溶液100mLに、0.05molのグリセリン及び0.6mol酢酸を添加し、90℃で3時間加熱した後、ろ過した。得られた白色粉体を100mLのイオン交換水に分散し、0.4molの塩酸を加えて、再度90℃で3時間加熱した。水酸化ナトリウムによりpH7に調整した後、ろ過水洗、乾燥(105℃、12時間)して酸化チタン(3)の粉体を得た。
得られた粉体のBET比表面積は480m2/gであった。
体積平均粒子径は200nmであった。
【0141】
<酸化チタン(4)の調製>
1mol/Lの四塩化チタン水溶液100mLに、0.07molのグリセリン及び0.2mol酢酸を添加し、90℃で3時間加熱した後、ろ過した。得られた白色粉体を100mLのイオン交換水に分散し、0.4molの塩酸を加えて、再度90℃で3時間加熱した。水酸化ナトリウムによりpH7に調整した後、ろ過水洗、乾燥(105℃、12時間)して酸化チタン(4)の粉体を得た。
得られた粉体のBET比表面積は350m2/gであった。
体積平均粒子径は160nmであった。
【0142】
<酸化チタン(5)の調製>
1mol/Lの四塩化チタン水溶液100mLに、0.05molのグリセリン及び0.3mol酢酸を添加し、90℃で3時間加熱した後、ろ過した。得られた白色粉体を100mLのイオン交換水に分散し、0.4molの塩酸を加えて、再度90℃で3時間加熱した。水酸化ナトリウムによりpH7に調整した後、ろ過水洗、乾燥(105℃、12時間)して酸化チタン(5)の粉体を得た。
得られた粉体のBET比表面積は350m2/gであった。
体積平均粒子径は240nmであった。
【0143】
<比較用酸化チタン(C1)の調製>
1mol/Lの四塩化チタン水溶液100mLに、0.07molのグリセリン及び0.3mol酢酸を添加し、90℃で3時間加熱した後、ろ過した。得られた白色粉体を100mLのイオン交換水に分散し、0.4molの塩酸を加えて、再度90℃で3時間加熱した。水酸化ナトリウムによりpH7に調整した後、ろ過水洗、乾燥(105℃、12時間)して酸化チタン(C1)の粉体を得た。
得られた粉体のBET比表面積は350m2/gであった。
体積平均粒子径は100nmであった。
【0144】
<比較用酸化チタン(C2)の調製>
1mol/Lの四塩化チタン水溶液100mLに、0.005molのグリセリン及び0.6mol酢酸を添加し、90℃で3時間加熱した後、ろ過した。得られた白色粉体を100mLのイオン交換水に分散し、0.4molの塩酸を加えて、再度90℃で3時間加熱した。水酸化ナトリウムによりpH7に調整した後、ろ過水洗、乾燥(105℃、12時間)して酸化チタン(C2)の粉体を得た。
得られた粉体のBET比表面積は350m2/gであった。
体積平均粒子径は400nmであった。
【0145】
<比較用酸化チタン(C3)の調製>
1mol/Lの四塩化チタン水溶液100mLに、0.008molのグリセリン及び0.3mol酢酸を添加し、90℃で3時間加熱した後、ろ過した。得られた白色粉体を100mLのイオン交換水に分散し、0.4molの塩酸を加えて、再度90℃で3時間加熱した。水酸化ナトリウムによりpH7に調整した後、ろ過水洗、乾燥(105℃、12時間)して酸化チタン(C3)の粉体を得た。
得られた粉体のBET比表面積は200m2/gであった。
体積平均粒子径は200nmであった。
【0146】
(実施例1)
<透明トナーの調製>
・樹脂粒子分散液:200部(固形分60部)
・離型剤分散液:35部(固形分7部)
・酸化チタン(1):3部
・ノニオン性界面活性剤(IGEPAL CA897):1.40部
上記原料を2Lの円筒ステンレス容器に入れ、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラララックスT50)により4,000rpmで剪断力を加えながら10分間分散して混合した。
次いで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液1.5部を徐々に滴下して、ホモジナイザーの回転数を5,000rpmにして15分間分散して混合し、原料分散液とした。
その後、撹拌装置、温度計を備えた重合釜に原料分散液を移し、マントルヒーターにて加熱し始め、42℃にて凝集粒子の成長を促進させた。またこの際、0.3Nの硝酸や1Nの水酸化ナトリウム水溶液で原料分散液のpHを2.2〜3.5の範囲に制御した。上記pH範囲で2時間ほど保持し、凝集粒子を形成した。この際、マルチサイザーII(アパーチャー径:50μm、ベックマン−コールター社製)を用いて測定した凝集粒子の体積平均粒子径は5.4μmであった。
次に、樹脂粒子分散液:100部を追添加し、前記凝集粒子の表面に樹脂粒子を付着させた。更に44℃に昇温し、光学顕微鏡及びマルチサイザーIIで粒子の大きさ及び形態を確認しながら凝集粒子を整えた。その後、凝集粒子を融合させるためにpHを8.0に上げた後、95℃まで昇温させた。光学顕微鏡で凝集粒子が融合したのを確認した後、95℃で保持したままpHを6.0まで下げ、1時間後に加熱を止め、1.0℃/分の降温速度で冷却した。その後20μmメッシュで篩分し、水洗を繰り返した後、真空乾燥機で乾燥して透明トナーの母粒子を得た。得られた透明トナーの母粒子の体積平均粒子径は6.2μmであった。
この透明トナーの母粒子100部に対して、外添剤として、SiO2粒子(体積平均粒子径50nm)1部を添加し、ヘンシェルミキサーで5分間混合した。
【0147】
<静電荷像現像剤の調製>
・フェライト粒子(体積平均粒径:35μm、GSDv:1.20):100部
・トルエン:14部
・ポリメタクリル酸メチル−パーフルオロオクチルメチルアクリレート共重合体(共重合比、70:30、臨界表面張力:24dyn/cm):1.6部
・カーボンブラック(商品名:VXC−72、キャボット社製、体積抵抗率:100Ωcm以下):0.12部
・架橋メラミン樹脂粒子(平均粒径:0.3μm、トルエン不溶):0.3部
まず、ポリメタクリル酸メチル−パーフルオロオクチルメチルアクリレート共重合体に、カーボンブラックをトルエンに希釈して加えサンドミルで分散した。次いで、これにフェライト粒子以外の上記各成分を10分間スターラーで分散し、被覆層形成液を調合した。次いで、この被覆層形成液とフェライト粒子とを真空脱気型ニーダーに入れ、温度60℃において30分間撹拌した後、減圧してトルエンを留去して、樹脂被覆層を形成してキャリアを得た。
実施例1の透明トナー8部とキャリア100部とを、2リットルのVブレンダーに入れ、20分間撹拌し、その後212μmで篩分して実施例1の静電荷像現像剤を作製した。
【0148】
(実施例2)
酸化チタン(1)に代えて酸化チタン(2)を用いた以外は実施例1と同様にして透明トナー、及び、静電荷像現像剤を調製した。
【0149】
(実施例3)
酸化チタン(1)に代えて酸化チタン(3)を用いた以外は実施例1と同様にして透明トナー、及び、静電荷像現像剤を調製した。
【0150】
(実施例4)
酸化チタン(1)に代えて酸化チタン(4)を用いた以外は実施例1と同様にして透明トナー、及び、静電荷像現像剤を調製した。
【0151】
(実施例5)
酸化チタン(1)に代えて酸化チタン(5)を用いた以外は実施例1と同様にして透明トナー、及び、静電荷像現像剤を調製した。
【0152】
(実施例6)
トナー母粒子に含まれる酸化チタン(1)の含有量を0.2重量%に変更した以外は実施例1と同様にして透明トナー、及び、静電荷像現像剤を調製した。
【0153】
(実施例7)
トナー母粒子に含まれる酸化チタン(1)の含有量を5重量%に変更した以外は実施例1と同様にして透明トナー、及び、静電荷像現像剤を調製した。
【0154】
(比較例1)
トナー母粒子に含まれる酸化チタン(1)の含有量を0.05重量%に変更した以外は実施例1と同様にして透明トナー、及び、静電荷像現像剤を調製した。
【0155】
(比較例2)
トナー母粒子に含まれる酸化チタン(1)の含有量を10重量%に変更した以外は実施例1と同様にして透明トナー、及び、静電荷像現像剤を調製した。
【0156】
(比較例3)
酸化チタン(1)に代えて酸化チタン(C1)を用いた以外は実施例1と同様にして透明トナー、及び、静電荷像現像剤を調製した。
【0157】
(比較例4)
酸化チタン(1)に代えて酸化チタン(C2)を用いた以外は実施例1と同様にして透明トナー、及び、静電荷像現像剤を調製した。
【0158】
(比較例5)
酸化チタン(1)に代えて酸化チタン(C3)を用いた以外は実施例1と同様にして透明トナー、及び、静電荷像現像剤を調製した。
【0159】
(比較例6)
酸化チタン(1)を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして透明トナー、及び、静電荷像現像剤を調製した。
【0160】
(評価)
画像出力には、DocuCentre Color500(富士ゼロックス(株)製)を用いた。実施例1の静電荷像現像用透明トナー及び静電荷像現像剤をトナーカートリッジと現像機とに充填し、評価用の画像形成装置とした。
基材は、A4用紙(C2紙、富士ゼロックス(株)製、JIS P 8148により測定した白色度80)を用いた。
評価画像として、単位面積あたりの透明トナーの量が1.0mg/cm2となるベタ画像(1.2cm×17.0cm幅、出力方向が長辺)を出力し、以下の官能テスト、及び、白色度差により実施例1の透明トナーを評価した。
【0161】
<官能テスト>
評価画像(透明トナー量1.0mg/cm2)と非画像部とを目視により比較し、以下の基準により色味を評価した。
1:色味に差がなかった。
2:酸化チタンを含まない透明トナーを0.1mg/cm2用いて形成された画像と同程度の色味の差があるが、実用上問題はない。
3:酸化チタンを含まない透明トナーを0.3mg/cm2用いて形成された画像と同程度の色味の差があるが、実用上問題はない。
4:酸化チタンを含まない透明トナーを0.6mg/cm2用いて形成された画像と同程度の色味の差が感じられ、実用上問題となる。
5:酸化チタンを含まない透明トナーを1.0mg/cm2用いて形成された画像と同程度の顕著な色味の差があり、実用上問題となる。
1〜3を合格とした。評価結果を表1に示した。
【0162】
<白色度差>
得られた評価画像部の白色度と、評価画像が形成されていない非画像部分の白色度とをJIS P 8148に基づいて測定し、白色度差(Δ白色度)を算出した。
評価結果を表1に示した。
【0163】
【表1】

【符号の説明】
【0164】
1 原稿
2 照明
3 カラースキャナ
4 画像処理装置
5 レーザーダイオード
6 光学系
7、108 帯電機
8、107 像保持体
9 イエロー現像機
10 マゼンタ現像機
11 シアン現像機
12 ブラック現像機
13 中間転写ベルト
14 転写コロトロン
15、16 転写ロール
17、300 基材
19 搬送装置
20 透明トナー用像保持体
21 透明トナー用現像手段
22 転写定着手段
23 冷却用ヒートシンク
24 像保持体
25 帯電装置
26 露光装置
27 透明トナー像信号形成装置
28 透明トナー像現像装置
29、112 転写装置
30 加熱ロール
31 加圧ロール
32 剥離ロール
33 従動ロール
34 透明トナーの像
35 カラートナーの像
111 現像機
113 クリーニング装置
115 定着装置
116 取り付けレール
117 除電露光のための開口部
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも結着樹脂と離型剤とを含むトナー母粒子に、
BET比表面積250〜500m2/gであり、体積平均粒径150〜250nmである酸化チタンを0.1〜5重量%含有することを特徴とする
静電荷像現像用透明トナー。
【請求項2】
前記結着樹脂としてポリエステル樹脂を含む、請求項1に記載の静電荷像現像用透明トナー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の静電荷像現像用透明トナーとキャリアとを含むことを特徴とする
静電荷像現像剤。
【請求項4】
画像形成装置に着脱可能であり、少なくとも請求項1又は2に記載の静電荷像現像用透明トナーを収容することを特徴とする
トナーカートリッジ。
【請求項5】
少なくとも現像剤保持体を備え、画像形成装置に着脱可能であり、請求項3に記載の静電荷像現像剤を収容することを特徴とする
プロセスカートリッジ。
【請求項6】
像保持体を帯電させる帯電工程、
帯電された前記像保持体を露光して静電潜像を形成する静電潜像形成工程、
前記静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像し、現像像を形成する現像工程、
前記現像像を、基材上に転写し転写像を形成する転写工程、及び、
前記転写像を定着する定着工程、を含み、
前記トナーが請求項1又は2に記載の静電荷像現像用透明トナー、又は、前記現像剤が請求項3に記載の静電荷像現像剤であることを特徴とする
画像形成方法。
【請求項7】
前記基材の白色度が65以上である、請求項6に記載の画像形成方法。
【請求項8】
前記基材の白色度と前記静電荷像現像用透明トナーのみが定着された基材の白色度との差が10以下である、請求項7に記載の画像形成方法。
【請求項9】
像保持体、
前記像保持体を帯電させる帯電手段、
帯電された前記像保持体を露光して静電潜像を形成する静電潜像形成手段、
前記静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像し、現像像を形成する現像手段、
前記現像像を、基材上に転写し転写像を形成する転写手段、及び、
前記転写像を定着する定着手段、を有し、
前記トナーが請求項1又は2に記載の静電荷像現像用透明トナー、又は、前記現像剤が請求項3に記載の静電荷像現像剤であることを特徴とする
画像形成装置。
【請求項10】
前記基材の白色度が65以上である、請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記基材の白色度と前記静電荷像現像用透明トナーのみが定着された基材の白色度との差が10以下である、請求項10に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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