説明

静電霧化装置

【課題】 目的とする霧化用物質を含み且つ不純物を含まない帯電微粒子液を簡単に生成する。
【解決手段】 霧化電極1と、空気を冷却することで空気中の水分を結露させて霧化電極に水を供給する水供給手段2と、霧化用物質を霧化電極1に供給される水に供給する霧化用物質供給手段3と、霧化電極1に供給された水に霧化用物質20が溶解した溶液に高電圧を印加して帯電微粒子液を生成させる高電圧印加手段4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電霧化現象を利用して帯電微粒子液を生成する静電霧化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、水にアロマオイルを混入した液を液溜め部に溜め、これを毛細管現象を利用して霧化電極の先端に供給し、毛細管現象により霧化電極の先端に供給された水にアロマオイルを混入した液に高電圧を印加することで、ナノメータサイズの帯電微粒子液を生成する静電霧化装置が特許文献1などにより知られている。
【0003】
上記従来例においては、大型の液溜め部を必要とするため、装置が大きくなり、また、水の補給が必要となるという問題がある。更に、使用する水として水道水を使用するので、不純物を含み、静電霧化により生成した帯電微粒子液中にこれら不純物も含まれているという問題がある。
【0004】
そこで、熱交換器の冷却部側で冷却することで空気中の水分を結露させて結露水を霧化電極に供給するようにしたものが特許文献2等により提案されている。
【0005】
この特許文献2に示されたものは空気中の水分を結露させて結露水を生成するので、上記特許文献1のように水溜め部が必要でなく、装置がコンパクトになると共に、水の補給が必要でないという特徴を有し、しかも、空気中の結露水には水道水のような不純物が含まれていないので、不純物が含まれていない帯電微粒子水を生成できる。
【0006】
しかしながら、この特許文献に示された空気中の水分を結露させた結露水をそのまま静電霧化する従来例にあっては、水のみの帯電微粒子水しか生成できないという問題があった。
【特許文献1】特開2005−103500号公報
【特許文献2】特開2006−68711号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、目的とする霧化用物質を含み且つ不純物を含まない帯電微粒子液を簡単に生成することができる静電霧化装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係る静電霧化装置は、霧化電極1と、冷却することで空気中の水分を結露させて霧化電極に水を供給する水供給手段2と、霧化電極1に供給される水に霧化用物質20を供給する霧化用物質供給手段3と、霧化電極1に供給された水に霧化用物質20が溶解した溶液に高電圧を印加して帯電微粒子液を生成させる高電圧印加手段4とを備えて成ることを特徴とするものである。
【0009】
このような構成とすることで、霧化電極1に供給される空気中の水分を結露させて得た水に霧化用物質供給手段3から霧化用物質20を供給して溶解させた溶液を静電霧化することで、簡単に霧化用物質20が溶解した不純物を含まない帯電微粒子液を生成することができる。
【0010】
また、熱交換器5の冷却部6側で空気中の水分を結露させて霧化電極1に水を供給する水供給手段2を構成することが好ましい。
【0011】
このような構成とすることで、熱交換器5の冷却部6側で空気を冷却して簡単に結露水を生成し、このようにして生成した不純物を含まない水に霧化用物質供給手段3から霧化用物質20を供給して溶解することで、簡単に静電霧化により霧化用物質20が溶解し且つ不純物を含まない帯電微粒子液を生成することができる。
【0012】
また、霧化電極1の一部又は全部が霧化用物質20で構成してあることが好ましい。
【0013】
このような構成とすることで、静電霧化に必要な霧化電極1を利用して該霧化電極1に供給される結露水に霧化用物質20を簡単に供給することができる。
【0014】
また、霧化用物質供給手段3で霧化電極1の表面を覆うことが好ましい。
【0015】
このような構成とすることで、霧化電極1に供給される結露水に霧化電極1の表面を覆う霧化用物質供給手段3から霧化用物質20を簡単に供給することができる。
【0016】
また、霧化用物質供給手段3を熱交換器5の放熱部7側に隣接して設けることが好ましい。
【0017】
このような構成とすることで、熱交換器5の放熱部7で霧化用物質供給手段3を加熱することで、霧化用物質20を液状化もしくは軟化させて霧化用物質20を、熱交換器5の冷却部6側で冷却することで生成した結露水に供給することができ、熱交換器5の冷却部6側、放熱部7側を有効に利用して目的とする霧化用物質20が溶解し且つ不純物を含まない帯電微粒子液を簡単に生成することができる。
【0018】
また、霧化用物質供給手段3が着脱自在であることが好ましい。このような構成とすることで、霧化用物質供給手段3の霧化用物質20が消費されると、霧化用物質供給手段3を外して交換したり、あるいは、霧化用物質20の補充ができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、上記のように、空気中の水分を結露させて生成した不純物を含まない水に霧化用物質を供給して溶解した溶液を静電霧化することで、目的とする霧化用物質が溶解され且つ不純物を含まない帯電微粒子液を簡単に生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0021】
図1には本発明の静電霧化装置8の一実施形態が示してあり、本発明の静電霧化装置8は、霧化電極1と、冷却することで空気中の水分を結露させて霧化電極1に水を供給する水供給手段2と、霧化用物質20を霧化電極1に供給される水に供給する霧化用物質供給手段3と、霧化電極1に供給された水に霧化用物質20が溶解された溶液に高電圧を印加する高電圧印加手段4とを備えたものである。また、図1に示す実施形態では、霧化電極1に対向するように対向電極9を設けた例が示してある。
【0022】
冷却することで空気中の水分を結露させて霧化電極1に水を供給する水供給手段2としては、例えば、熱交換器5の冷却部6で水供給手段2を構成する例を挙げることができる。熱交換器5としては、公知の様々な熱交換器5を用いることができるが、図1、図2では熱交換器5としてペルチェユニット10の例が示してある。なお、熱交換器5としては、冷蔵庫、エアコン等に備えられた熱交換器5を用いてもよい。
【0023】
図1や図2に示すペルチェユニット10は、熱伝導性の高いアルミナや窒化アルミニウムからなる絶縁板の片面側に回路を形成してある一対のペルチェ回路板を、互いの回路が向き合うように対向させ、多数列設してある熱電素子12を両ペルチェ回路板間で挟持すると共に隣接する熱電素子12同士を両側の回路で電気的に接続させ、ペルチェ入力リード線を介してなされる熱電素子12への通電により一方のペルチェ回路板側から他方のペルチェ回路板側に向けて熱が移動するように構成したものである。更に、上記一方の側のペルチェ回路板の外側には冷却部6を設けてあり、また、上記他方の側のペルチェ回路板の外側には放熱部7を設けてある。実施形態では放熱部7として放熱フィンの例が示してある。
【0024】
また、図1に示す実施形態ではペルチェユニット10の冷却部6には水搬送部13を介して霧化電極1の後端部が接続してある例であり、図2は熱交換器5であるペルチェユニット10の冷却部6に霧化電極1の後端部を接続してある例である。
【0025】
霧化電極1は絶縁材料からなる筒状をした電極ハウジング14で囲まれており、該電極ハウジング14の先端開口部にリング状をした対向電極9が配設され、霧化電極1の軸心の延長線上にリング状の対向電極9のリングの中心が位置するように霧化電極1と対向電極9とが対向している。
【0026】
図1の実施形態では、ペルチェユニット10に通電することで、冷却部6を冷却し、空気中の水分を結露水Wとして冷却部6に付着させ、このようにして生成した結露水Wを水搬送部13により霧化電極1の先端に供給するようしている。
【0027】
水搬送部13は例えば、多孔質体やキャピラリーなどの毛細管構造のもので構成してあり、毛細管現象により冷却部6側から霧化電極1の先端に結露水Wを搬送するものであり、この水搬送部13は全長が多孔質体であったり、全長がキャピラリーであったり、あるいは、水搬送部13の一部が多孔質体、他の一部がキャピラリーであったりするが、特に限定はない。もちろん結露水を重力を利用して流下させたり、あるいはポンプ等の外部動力を利用して移動させたりしてもよく、また、これらを組み合わせてもよい。
【0028】
また、霧化電極1はセラミックなどの多孔質材料で形成し、霧化電極1自体が水搬送部13を兼ねたものでもよく、あるいは、金属などの導電性の高い材料で霧化電極1を形成し、該霧化電極1にキャピラリーなどの毛細管構造を設けてもよい。
【0029】
図1の実施形態では、水搬送部13の途中に霧化用物質供給手段3が設けてあり、該霧化用物質供給手段3に保持した霧化用物質20を水搬送部13で搬送されている結露水Wに供給し、水に霧化用物質20を溶解させた溶液として霧化電極1の先端に供給されるようになっている。
【0030】
霧化用物質供給手段3から水搬送部13に搬送されている結露水Wに霧化用物質20を供給するには、例えば、霧化用物質供給手段3に固体又はゲルの水溶性の霧化用物質20を保持し、該水溶性の固体またはゲルの水溶性の霧化用物質20を結露水Wに接触させることで、水溶性の霧化用物質20が結露水Wに溶解する。なお、霧化用物質供給手段3に保持される霧化用物質20は固体の状態で保持されているもののみに限定されず気体の状態で保持されていてもよい。
【0031】
このようにして霧化電極1の先端に供給された溶液は、結露水Wに霧化用物質20を溶解させたものであるから、不純物を含まない水に目的とする霧化用物質20のみが溶解された溶液である。
【0032】
上記のように不純物を含まない水に目的とする霧化用物質20のみが溶解された溶液が霧化電極1の先端に供給された状態で、高電圧印加手段4により霧化電極1の先端に供給された上記溶液に高電圧を印加すると、該高電圧により霧化電極1の先端部に供給された上記溶液にクーロン力が働いて、水の液面が局所的に錐状に盛り上がり(テーラーコーン)が形成される。このようにテーラーコーンが形成されると、該テーラーコーンの先端に電荷が集中してこの部分における電界強度が大きくなって、これによりこの部分に生じるクーロン力が大きくなり、更にテーラーコーンを成長させる。このようにテーラーコーンが成長し該テーラーコーンの先端に電荷が集中して電荷の密度が高密度となると、テーラーコーンの先端部分の溶液が大きなエネルギー(高密度となった電荷の反発力)を受け、表面張力を超えて分裂・飛散(レイリー分裂)を繰り返してマイナスまたはプラスに帯電したナノメータサイズの霧化用物質20が溶解した帯電微粒子液を大量に生成させ、生成された帯電微粒子液は筒体23の先端開口部から外部に放出されるようになっている。
【0033】
また、図2に示す静電霧化装置8の他の実施形態においては、熱交換器5であるペルチェユニット10の冷却部6に霧化電極1の後端部を接続し、ペルチェユニット10に通電して冷却部6を冷却することで霧化電極1を冷却し、霧化電極1を冷却することで空気中の水分を結露水として生成して霧化電極1に供給するようになっている。
【0034】
この図2の実施形態においては、霧化電極1の一部又は全部を霧化用物質20で形成してあって、霧化電極1の霧化用物質20で形成した部分が霧化用物質供給手段3を構成している。
【0035】
したがって、霧化電極1に生成した結露水Wに霧化用物質20が溶解して不純物を含まない水に目的とする霧化用物質20のみが溶解された溶液となる。このように不純物を含まない水に目的とする霧化用物質20のみが溶解された溶液が霧化電極1の先端に供給された状態で、高電圧印加手段4により霧化電極1の先端に供給された上記溶液に高電圧を印加して、静電霧化により前述と同様にしてナノメータサイズの霧化用物質20が溶解した帯電微粒子液を生成する。
【0036】
図3乃至図8には霧化電極1の一部又は全部を霧化用物質で形成して霧化用物質供給手段3を形成した各例が示してある。
【0037】
図3は、図2のように熱交換器5であるペルチェユニット10の冷却部6に後端部を接続した霧化電極1の中心に一端が霧化電極1の先端部に開口するように軸方向に形成した小孔15内に霧化用物質20を設けて霧化用物質供給手段3を形成した例である。この実施形態においては、霧化電極1の外面に生成した結露水Wに霧化電極1の先端部で上記霧化用物質20を溶解させ、霧化用物質20が溶解して不純物を含まない水に目的とする霧化用物質のみが溶解された溶液とし、これを前述のように静電霧化するようになっている。
【0038】
また、図4は、上記の変形例で、小孔15の外周に連通し且つ霧化電極1の外面部に連通する連通部16を形成し、この小孔15及び連通部16内に霧化用物質20を設けて、霧化用物質供給手段3を形成した例である。この実施形態においては、霧化電極1の外面に生成した結露水Wに霧化電極1の外周部の一部(連通部16が開口した部分)及び先端部で上記霧化用物質20を溶解させ、霧化用物質20が溶解して不純物を含まない水に目的とする霧化用物質20のみが溶解された溶液とし、これを前述のように静電霧化するようになっている。この実施形態は結露水Wへの霧化用物質20の接触面積が広くなり、溶解量を多くすることができる。
【0039】
また、図5は、更に他の実施形態を示し、図2のように熱交換器5であるペルチェユニット10の冷却部6に後端部を接続した霧化電極1の先端部の外周部に霧化用物質20を設けて霧化用物質供給手段3を形成した例である。この実施形態においては、霧化電極1の外面に生成した結露水Wが霧化電極1の先端部で霧化用物質20を溶解させ、霧化用物質20が溶解して不純物を含まない水に目的とする霧化用物質20のみが溶解された溶液とし、これを前述のように静電霧化するようになっている。
【0040】
また、図6は、更に他の実施形態を示し、図2のように熱交換器5であるペルチェユニット10の冷却部6に後端部を接続した霧化電極1の根元部分の外周部に霧化用物質20を設けて霧化用物質供給手段3を形成した例である。
【0041】
また、図7は、更に他の実施形態を示し、図2のように熱交換器5であるペルチェユニット10の冷却部6に後端部を接続した霧化電極1の外周部の全面に霧化用物質20よりなる外層を設けて霧化用物質供給手段3を形成した例である。この例では、霧化電極1の外面に結露水が生成すると同時に結露水に霧化用物質20を溶解が生じ、また、結露水Wが先端側に移動する際にも霧化用物質20を溶解が生じるもので、結露水Wへの霧化用物質20の接触面積が広くなり、溶解量を多くすることができる。この例の場合、霧化電極1の外面で結露水が効果的に生成できるように霧化用物質20としては、熱伝導性に優れたものとする。
【0042】
上記霧化電極1の一部に霧化用物質20を設けて霧化用物質供給手段3を形成するに当っては、メッキ処理、塗布、あるいは、嵌め込み等の方法で霧化用物質を霧化電極1の一部に設ける。
【0043】
また、図8のように霧化電極1の全体を霧化用物質20で形成して霧化用物質供給手段3を兼用させてもよい。この場合も霧化電極1の外面で結露水が効果的に生成できるように霧化用物質20としては、熱伝導性に優れたものとする。
【0044】
図9には本発明の他の実施形態が示してある。本実施形態においては、前述の図1のような水搬送部13の途中に霧化用物質供給手段3を設け、該霧化用物質供給手段3から水搬送部13で搬送されている結露水Wに目的とする霧化用物質20を供給し、水に霧化用物質を溶解させた溶液として霧化電極1の先端に供給するようにしたものにおいて、霧化用物質供給手段3を熱交換器5の放熱部7側に隣接して設けてある。つまり、放熱部7の熱により霧化用物質供給手段3に保持された固体よりなる霧化用物質20を液状化もしくは軟化させることで、水搬送部13により供給する結露水Wへの溶解を容易にするようになっている。この際、熱により霧化用物質20が膨張により水搬送部13により供給する結露水Wとの混合がしやすくなるため、霧化用物質供給手段3を水搬送部13から離れた位置に設けることができる。
【0045】
また、放熱部7からの熱量を制御することによって霧化用物質20の溶液への溶解濃度を変化させることができる。
【0046】
また、前述の図1や図2で示した静電霧化装置8において、霧化用物質供給手段3を着脱自在としてもよい。図10にはその一実施形態が示してある。図10においては、図2に示すような熱交換器5であるペルチェユニット10の冷却部6に後端部を接続した霧化電極1の一部に霧化用物質20を保持した又は霧化用物質20で形成した霧化用物質供給手段3、もしくは霧化電極1を兼ねるような霧化用物質20を保持したまたは霧化用物質20で形成した霧化用物質供給手段3を着脱自在に取付け、霧化用物質20の消耗時の交換や、異なる種類の霧化用物質と交換することができる(例えば、霧化用物質20が芳香剤物質である場合、いくつもの種類の霧化用物質20を交換することで用途に応じて使用することができる)。
【0047】
また、図示を省略しているが、図1の実施形態における静電霧化装置8においても霧化用物質供給手段3を着脱自在として霧化用物質20の消耗時の交換や、異なる種類の霧化用物質と交換することができる(例えば、霧化用物質20が芳香剤物質である場合、いくつもの種類の霧化用物質20を交換することで用途に応じて使用することができる)。
【0048】
上記各実施形態のようにして空気中の水分を結露させて得た結露水に霧化用物質20を溶解させた溶液を静電霧化することで、簡単に目的とする霧化用物質20のみが溶解し且つ不純物を含まないナノメータサイズの帯電微粒子液を生成することができる。
【0049】
このようにして生成されたナノメータサイズの帯電微粒子液は、ナノメータサイズと非常に小さいので遠くまで広範囲に浮遊するだけでなく、対象物(例えば、繊維、毛髪、皮膚等の対象物)の表面に付着するだけでなく内部まで浸透し、目的とする霧化用物質20の作用を発揮させることができる。
【0050】
霧化用物質20としては、特に限定はないが、例えば、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等を使用すると、これらの霧化用物質20の場合、毛髪に対して金属成分の補充や硝酸イオン等の毛髪内部での架橋による強度向上(枝毛や切れ毛の防止)といった効果があり、また、硝酸銀、硫酸銀などを使用すると、空間や対象物の除菌作用等を得ることができる。また、気体物質であれば、二酸化炭素をバブリングすることで酸性の溶液を生成し、除菌等の効果がある。
【0051】
また、結露水に霧化用物質を溶解させるに当って、高電圧を印加することで結露水が酸性又はアルカリ性となるので、霧化用物質として酸又はアルカリにより溶解する物質としてもよい。
【0052】
すなわち、前述のように高電圧を印加して静電霧化を行うと、霧化電極1表面とテーラーコーン先端の放電部との間で電位差が生じるため、テーラーコーンを形成する水中において電気分解が生じるものと考えられ、このとき、霧化電極1にマイナスの高電圧を印加した場合(対向電極9側がGRDとなる)、テーラーコーンの霧化電極1表面付近にHが増加して酸性となり、テーラーコーンの先端付近にOHが増加してアルカリ性となる。
【0053】
また、高電圧を印加することでコロナ放電も発生するが、霧化電極1にマイナスの高電圧を印加した場合コロナ放電により硝酸イオン、亜硝酸イオン等が発生し、この硝酸イオン、亜硝酸イオン等がテーラーコーンに溶解することで酸性となり、この条件の際にはテーラーコーンの霧化電極1の表面側は電気分解によっても酸性となっているので、印加する電圧を大きくすることで、テーラーコーンの霧化電極1の表面側を相乗的に酸性にすることができる。
【0054】
このように、霧化電極1にマイナスの高電圧を印加させることでテーラーコーンの霧化電極1の表面側を酸性にできるので、この場合は霧化電極1の表面(先端部)に設ける霧化用物質20として酸により溶解する物質を用いると、霧化用物質20がテーラーコーンの霧化電極1側の酸に溶解する。
【0055】
また、逆に、霧化電極1にプラスの高電圧を印加した場合、電気分解によりテーラーコーンの霧化電極表面付近にOHが増加してアルカリ性となり、テーラーコーンの先端付近にHが増加して酸性となる。この場合、コロナ放電による硝酸イオン等の発生自体も抑制されるので、電気分解によるテーラーコーンの霧化電極1表面側のアルカリ性への変化が優先的となり、電気分解によるテーラーコーンの霧化電極1表面側がアルカリ性となる。
【0056】
このように、霧化電極1にプラスの高電圧を印加させることでテーラーコーンの霧化電極1の表面側をアルカリ性にできるので、この場合は霧化電極1の表面(先端部)に設ける霧化用物質20としてアルカリにより溶解する物質を用いると、霧化用物質20がテーラーコーンの霧化電極1側のアルカリに溶解する。
【0057】
上記酸により溶解する霧化用物質20の一例を挙げると、アルミニウム、亜鉛を挙げることができる。
【0058】
霧化電極1(の一部)をアルミニウムで作成した場合、霧化電極1にマイナスの高電圧を印加し、テーラーコーンの霧化電極1側を酸性とすることで、テーラーコーンがアルミニウムが溶解した溶液となり、これを静電霧化してアルミニウムが溶解した帯電微粒子を生成すると、アルミニウムの溶液は植物の成長を阻害するため、除草剤などとして使用することができる。
【0059】
また、亜鉛は酸でもアルカリでも溶解されるため、上記と同じように霧化電極1にマイナスの高電圧を印加することで、亜鉛が溶解した帯電微粒子を生成することができるのは勿論、霧化電極1にプラスの高電圧を印加しても亜鉛が溶解した帯電微粒子を生成することができる。この亜鉛の水溶液は肌への作用をし、シワの低減や肌のハリの改善等の効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の静電霧化装置の一実施形態の概略構成図である。
【図2】同上の静電霧化装置の他の実施形態の概略構成図である。
【図3】同上の霧化用供給部の一実施形態を示し、(a)は側面断面図であり、(b)は正面図である。
【図4】同上の霧化用供給部の他の実施形態を示し、(a)は側面断面図であり、(b)は正面図である。
【図5】同上の霧化用供給部の更に他の実施形態を示し、(a)は側面断面図であり、(b)は正面図である。
【図6】同上の霧化用供給部の更に他の実施形態を示し、(a)は側面断面図であり、(b)は正面図である。
【図7】同上の霧化用供給部の更に他の実施形態を示し、(a)は側面断面図であり、(b)は正面図である。
【図8】同上の霧化用供給部の更に他の実施形態を示し、(a)は側面断面図であり、(b)は正面図である。
【図9】本発明の更に他の実施形態の概略構成図である。
【図10】本発明の更に他の実施形態の概略構成図である。
【符号の説明】
【0061】
1 霧化電極
2 水供給手段
3 霧化用物質供給手段
4 高電圧印加手段
5 熱交換器
6 冷却部
7 放熱部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
霧化電極と、冷却することで空気中の水分を結露させて霧化電極に水を供給する水供給手段と、霧化電極に供給される水に霧化用物質を供給する霧化用物質供給手段と、霧化電極に供給された水に霧化用物質が溶解した溶液に高電圧を印加して帯電微粒子液を生成させる高電圧印加手段とを備えて成ることを特徴とする静電霧化装置。
【請求項2】
熱交換器の冷却部側で空気中の水分を結露させて霧化電極に水を供給する水供給手段を構成することを特徴とする静電霧化装置。
【請求項3】
霧化電極の一部又は全部が霧化用物質により構成してあることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の静電霧化装置。
【請求項4】
霧化用物質供給手段で霧化電極の表面を覆って成ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の静電霧化装置。
【請求項5】
霧化用物質供給手段を熱交換器の放熱部側に隣接して設けることを特徴とする請求項2記載の静電霧化装置。
【請求項6】
霧化用物質供給手段が着脱自在であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項記載の静電霧化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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