説明

非円形ワークの内面溶接装置

【課題】容体等のワーク3の小さな開口部からケーブル1を出入りさせてワーク3内に溶接トーチ部2を配設し、外部に備えたトーチ進退駆動機構7によってこの溶接トーチ部を容易に被溶接部4の内面形状に応じて移動でき、大きな開口部や開放部のないワーク3であって且つ円形内面でなく楕円等の非円形ワークであっても内面溶接が実現できる非円形ワークの内面溶接装置を提供すること。
【解決手段】ワーク3内に被溶接部4に向かって挿入状態に配設するケーブル1の先端部の溶接トーチ部2をトーチ取付部6に進退自在に設け、ワーク3を回動して溶接トーチ部2を被溶接部4に沿って相対移動しつつ、被溶接部4の非円形の内面形状に対応して進退させて常に被溶接部4に近接させる非円形ワークの内面溶接装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば楕円(以下、横に長く変形した偏平円や平行直線部の左右に弧状部がある変形円等の楕円のようなものも含む意味として使用する)等の非円形のワーク内面の被溶接部を溶接する非円形ワークの内面溶接装置であって、例えば楕円状の開口部を有する半容体パーツ同志の突き合わせあるいは組み付けた継目である被溶接部を、この二部材よりなる楕円容体であるワーク内面から自動あるいは半自動的に、例えばアーク溶接(例えばTIG溶接等)により溶接することができる非円形ワークの内面溶接装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
溶接には様々な手法があるが、例えばTIG溶接等のアーク溶接の場合は、アースしたワークの被溶接部に、電気ケーブルにより電圧が与えられる溶接トーチ部の先端の放電電極を近接させて、被溶接部と溶接トーチ部との間にアークを発生させ、溶接トーチ部からシールドガスを噴射しながら、この溶接トーチ部をワーク内面の被溶接部に沿って(被溶接部の内面形状に沿って)相対移動させて被溶接部を溶融させながら溶接する。
【0003】
このような非接触形の溶接においても接触形の溶接においても、溶接トーチ部を被溶接部に近接あるいは接触させて移動させ溶接を行う。
【0004】
従って、例えば容体周面が円形の円形容体を上下パーツを組み付けて製作する場合は、例えば上下のパーツを組み付けてその継目を溶接させるがこの場合は、この継目である被溶接部にワークの外側から溶接トーチ部を例えば近接させ、このワークを一回転回動させて溶接トーチ部を被溶接部に沿って相対移動させれば容易に溶接作業が完了する。
【0005】
しかしながら、このような円形ワークであって被溶接部の外面形状が円形の場合は、単に溶接トーチ部を近接させこれに対してワークを回動させるだけで良いが、楕円等の非円形なワークの被溶接部の場合は、ワークを回動しつつ常に溶接トーチ部を一定の近接距離に位置させなければならないため、溶接トーチ部をワークの形状に応じての前記相対回動に際して移動制御させなければならない。
【0006】
一方、前述のように例えばワークの各パーツにフランジ部を設け、これを組み付け重合し、この重合部を被溶接部としてワークの外側から溶接トーチ部を近接させてアーク溶接を行う方が容易であるが、溶接側と反対側のワーク内面に欠陥が出やすくワークが容体等の場合は、仮に欠陥が生じても視認できず、また内面側に欠陥が生じると密閉性を要求される容体等の場合には製品不良となる。
【0007】
従って、ワークが容体や中空体等の場合は、ワークの内側から溶接することが望ましい。即ち、内面に欠陥が生じずまた欠陥が生じても外面に生じ易くし仮に生じても不良を視認できる内面溶接が望まれる。
【0008】
しかしながら、ワークの被溶接部が単に円形内面であれば、ワーク内所定位置に固定した溶接トーチ部に対してワークを一回転回動すれば溶接作業は完了するが、ワーク内面が楕円等の非円形の場合には、前述のようにワーク内面(被溶接部)に対して溶接トーチ部を被溶接部に沿って相対移動させつつこの被溶接部の内面形状に応じて常に近接若しくは接触(アーク溶接の場合はアークが生じで溶融できる距離に常に近接)するように移動制御しなければならない。
【0009】
そのため、ワークを内面溶接する場合には、この溶接トーチ部をワーク内面形状(被溶接部の内面形状)に沿って移動制御する移動機構を溶接トーチ部に備えなければならないため、ワークが容体等の場合には大きな開口部や開放部がないのが一般的のため、非円形の容体の内面溶接は困難とされていた。
【0010】
即ち、内面溶接が望まれている容体の組み付け等の場合の内面溶接は、ワーク内面が円形であって継目となる被溶接部の内面形状が円形である場合は、溶接トーチ部を被溶接部に沿って相対移動させるだけで良くそのため固定した溶接トーチ部に対してワークを回動させるだけで良く別に溶接トーチ部を移動制御する必要がないから、内面溶接を実現できるが、内面が楕円等の非円形のワーク(例えば開口部同志が楕円状でこれを互いに突き合わせてこの継目を内面溶接して断面楕円形の容体を形成する楕円状容体のワーク)の場合は、よほど大きな開口部を有しているようなワークでない限り、内面溶接は困難であり、特に小形の容体では不可能と考えられ、外面溶接せざるを得ないとされていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような従来の固定概念を打破し、タンク等の容体等たとえ大きな開口部がないワークであっても例えば注入口や排出口等の容体内への狭い開口部があればケーブルをそこから出入りさせてワーク内に溶接トーチ部を配設し、外部に備えた移動機構によってこのワーク内の溶接トーチ部を容易に被溶接部の内面形状に応じて移動制御できる構成を実現し、大きな開口部や開放部のないワークであって且つ円形内面でなく楕円等の非円形ワークであっても、特に容体の場合要望される密閉性が良好となる等の利点を有する内面溶接が容易に実現できることとなる極めて画期的な非円形ワークの内面溶接装置を提供することを目的としている。
【0012】
近年、特に小形化の要求からタンク等の容体も、小スペースに納めるため等小形であってしかも楕円等の非円形としたいとの要求が多く、本発明はこの要求に応えることもできる漏れ欠陥の少ない内面溶接を容易に実現できる非円形ワークの内面溶接装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0014】
ケーブル1の先端部に設けた溶接トーチ部2を非円形のワーク3内に配設し、この溶接トーチ部2を前記ワーク3内面の被溶接部4に近接若しくは接触させて溶接トーチ部2に対してワーク3を相対的に回動することでワーク3内面の被溶接部4を溶接する非円形ワークの内面溶接装置であって、前記ワーク3の開口部5を介してワーク3内にワーク3の被溶接部4に向かって挿入状態に配設する前記ケーブル1の先端部の前記溶接トーチ部2をトーチ取付部6に進退自在に設け、このトーチ取付部6から前記溶接トーチ部2を前記ワーク3の被溶接部4の非円形の内面形状に対応して前記ワーク3の相対回転に伴って進退させて、溶接トーチ部2を被溶接部4に沿って相対移動しつつ常に被溶接部4に近接若しくは接触させるトーチ進退駆動機構7を設けたことを特徴とする非円形ワークの内面溶接装置に係るものである。
【0015】
また、前記ワーク3の前記開口部5を介してワーク3内に挿入状態に配設するケーブル案内管8を設け、このケーブル案内管8に前記ケーブル1を進退自在に配設し、このケーブル案内管8の先端部に設けた前記トーチ取付部6に前記溶接トーチ部2を進退自在に設け、このケーブル案内管8に対して前記ケーブル1を進退させると共に前記溶接トーチ部2を前記トーチ取付部6に対して突出・後退するように前記トーチ進退駆動機構7を構成したことを特徴とする請求項1記載の非円形ワークの内面溶接装置に係るものである。
【0016】
また、前記ワーク3の前記開口部5を介してワーク3内に挿入状態に配設される前記ケーブル案内管8を機体9に固定し、この機体9に設けたワーク固定機構10によって固定した前記ワーク3を前記ケーブル案内管8に対してワーク回転機構11により回動するように構成し、前記ケーブル案内管8内に前記ケーブル1を挿通配設し、このケーブル案内管8の先端部に設けた前記トーチ取付部6に進退自在に前記溶接トーチ部2を嵌合し、このケーブル案内管8に対して前記ケーブル1若しくはこのケーブル1に沿って設けた溶接トーチ部2を進退させる押引部材18を押し引きすることで、前記ケーブル1を進退させつつ前記トーチ取付部6に対して前記溶接トーチ部2を突出・後退するように前記トーチ進退駆動機構7を構成したことを特徴とする請求項2記載の非円形ワークの内面溶接装置に係るものである。
【0017】
また、前記ケーブル1若しくはこのケーブル1に沿って設けた前記溶接トーチ部2を進退させる押引部材18を固定する押引固定部12と、前記ワーク3の相対回動と同期回動する同期回動部13に設けたカム溝14に係合するカム係合部15とを連結して、この同期回動部13の回動によって前記ワーク3の被溶接部4の非円形の内面形状に対応して形状設定した前記カム溝14に倣って前記カム係合部15が所定方向に移動することで前記押引固定部12が所定方向に移動して、この押引固定部12に固定した前記ケーブル1若しくは前記押引部材18を押し引きし前記溶接トーチ部2を進退駆動するように前記トーチ進退駆動機構7を構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の非円形ワークの内面溶接装置に係るものである。
【0018】
また、前記ワーク3の内面の被溶接部4とワーク中心との距離の変化に対応させて前記カム溝14の形状を設定し、前記ワーク3のワーク回転機構11の回転駆動源16により前記同期回動部13を、非円形歯車17同志の歯合を介して角速度一定として、前記ワーク3の相対回動と同期して回動駆動し、この同期した前記同期回動部13の回動に伴って前記カム溝14に係合した前記カム係合部15が回動位相に応じて所定方向に所定長移動し、この移動によって前記押引固定部12を介して所定長前記ケーブル1若しくは押引部材18を押し引きするように前記トーチ進退駆動機構7を構成したことを特徴とする請求項4記載の非円形ワークの内面溶接装置に係るものである。
【0019】
また、前記ケーブル案内管8の先端部を屈曲して前記ワーク3の被溶接部4に向けて固定し、このケーブル案内管8の屈曲先端部に前記トーチ取付部6を設け、このトーチ取付部6から被溶接部4とワーク中心との距離の変化に応じて前記トーチ進退駆動機構7により前記溶接トーチ部2を進退駆動して、前記被溶接部4が楕円等の非円形のワーク4内面にあって被溶接部4の内面形状が楕円等の非円形内面であっても溶接トーチ部2を被溶接部4に沿って相対移動しつつ常に被溶接部4に近接若しくは接触させて所定の溶接ができるように構成し、このケーブル1に前記押引部材18としてバネ18を被嵌しこのバネ18を被嵌したケーブル1を前記ケーブル案内管8内に挿入配設し、このバネ18を押し引きすることで前記トーチ取付部6に対して前記溶接トーチ部2を進退駆動するように構成したことを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の非円形ワークの内面溶接装置に係るものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明は上述のように構成したから、例えばタンク等の容体等のようにたとえ小形であってもまた大きな開口部がないワークであってもワーク内への狭い開口部があればケーブルをそこから出入りさせてワーク内に溶接トーチ部を配設し、外部に備えた移動機構によってこのワーク内の溶接トーチ部を容易に被溶接部の内面形状に応じて移動制御できる構成となり、大きな開口部や開放部のないワークであって且つ円形内面でなく楕円等の非円形ワークであっても、特に容体の場合要望される密閉性が良好となる等の利点を有する内面溶接が容易に実現できることとなる極めて画期的な非円形ワークの内面溶接装置となる。
【0021】
また、請求項2記載の発明においては、ケーブル案内管を用いることで容易にワーク内にケーブルを介して溶接トーチ部を配設固定でき、またしかもこのケーブル案内管の先端部に容易にトーチ取付部を設けることができ、更に請求項3記載の発明においては、ケーブル案内管内のケーブルやケーブルに被嵌する等ケーブルに沿って設ける押引部材を介して溶接トーチ部をケーブル案内管のトーチ取付部に対して進退駆動でき、特にTIG溶接等のアーク溶接に適し、このアーク溶接の半自動駆動装置を容易に構成でき、例えば容体等のワークであってパーツの継目である被溶接部の内面形状が非円形であっても従来困難と考えられていた内面溶接が可能となり、タンク等の容体等の場合に要求される密閉性が良好となる内面溶接が、たとえ非円形の容体であっても容易に実現できる極めて画期的な非円形ワークの内面溶接装置となる。
【0022】
また、請求項4,5,6記載の発明においては、更に簡易な構成で容易にトーチ進退駆動機構を実現でき、一層実用性に秀れた非円形ワークの内面溶接装置となる。
【0023】
即ち、大きな開口部を有さない容体でも注入口や排出口等の開口部があればこれを介してケーブルを出入させて溶接トーチ部をワーク内に配設し、これを容体外部に構成したトーチ進退駆動機構により移動制御でき、被溶接部の内面形状が非円形であってもワーク外部のトーチ進退駆動機構により溶接トーチ部を被溶接部を内面形状に応じて移動制御できる内面溶接装置を容易に構成できることとなる極めて画期的な非円形ワークの内面溶接装置となる。
【0024】
特に請求項5記載の発明においては、溶接トーチ部に対するワークの相対回動に同期して速度も略一定にして溶接トーチ部を被溶接部に沿って相対移動するに際して常に近接あるいは接触するように進退制御でき、これにより常に溶接トーチ部をワークの動きに同期させて一定速度で被溶接部に対して近接若しくは接触させて溶接を確実に行うことができる極めて実用性に秀れた非円形ワークの内面溶接装置となる。
【0025】
また、請求項6記載の発明においては、ケーブル案内管内に例えば押引部材としてのバネを被嵌したケーブルを進退自在に挿入配設するため、ケーブル案内管が屈曲あるいは蛇行していてもケーブルに沿った押引部材(バネ)の押動を溶接トーチ部に伝達でき、そのため溶接トーチ部を良好に押動突出でき、これにより単にケーブル案内管の先端部を被溶接部へ向けて屈曲しこの屈曲先端部をトーチ取付部とすることで、溶接トーチ部をワーク内に被溶接部に向けて容易に配設でき、これに対してワークを回動することで溶接トーチ部を被溶接部に沿って相対移動でき、しかもこの相対移動と共にケーブル若しくは押引部材を押し引きすることでこの溶接トーチ部を被溶接部に向かって進退駆動して常に被溶接部に溶接トーチ部を近接あるいは接触できることとなり、一層容易に本発明を実現できることとなり、一層秀れた非円形ワークの内面溶接装置となる。
【0026】
尚、ケーブルにバネを巻き付けることで良好にケーブルを押動操作できると共に、引動も可能であるが、バネのへたりや経年変化によって溶接トーチ部を良好に引動できない場合を考慮して、例えば後述する実施例のように溶接トーチ部に引動用ワイヤーを設けて押引固定部にバネやケーブルと共に進退するように固定して確実に溶接トーチ部を戻動できるようにし耐久性を一層向上させるようにしても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0028】
ワーク3が例えばタンク等の容体である場合、安易に組み付けたパーツの継目を外面から溶接すると、内面に欠陥が生じ易く、また内面は見え難いので欠陥を視認できず、また内面に欠陥があると気体や液体を収納するため漏れ等が生じて不良品となることから、内面溶接が望まれる。
【0029】
一方、このような容体の場合、大きな開口部や開放部がなく中空空間を形成するワーク3のため、溶接トーチ部2のワーク3内面形状に応じた移動制御を必要とする非円形ワーク内面の被溶接部4の溶接では、溶接トーチ部2をワーク中心からの距離が変化するワーク3内面に沿って移動する移動制御機構を設ける必要があるがこれが設けられず前述のように非円形ワークの場合内面溶接は困難とされていた。
【0030】
本発明では、ワーク3が容体であっても、この容体内に通じる注入口や排出口等の管路や穴等の小さな開口部5ならば少なからずあることや、仮にこのような十分な開口部5が一切なくても必要十分な小さな開口部5を開け、このような小さな開口部5を利用してケーブル1を挿入配設して、このケーブル1の先端の溶接トーチ部2をワーク3内に配設し、この溶接トーチ部2に対してワーク3を相対回動してワーク3内面から被溶接部4を溶接できることとなる。
【0031】
しかも、この場合、本発明ではワーク3内面が非円形例えば楕円の場合、被溶接部4と溶接トーチ部2との距離は長軸方向位置では最も遠く短軸方向位置では最も近づくことになるが、本発明ではワーク3外部に構成可能なトーチ進退駆動機構7により、トーチ取付部6に対して前記溶接トーチ部2を進退駆動して、被溶接部4に沿って相対移動する溶接トーチ部2が常にこの被溶接部4と近接若しくは接触するように容易に溶接トーチ部2を被溶接部4に向かって進退移動制御できる。
【0032】
即ち、本発明は、トーチ取付部6によってワーク3内に溶接トーチ部2を配設し、例えばこの溶接トーチ部2に対してワーク3を回動することで溶接トーチ部2を被溶接部4に沿って相対移動でき(勿論、トーチ取付部6やケーブル案内管8毎ケーブル1をワーク3に対して自転させて相対移動させても良い。)、しかも、このトーチ取付部6に対して溶接トーチ部2をトーチ進退駆動機構7により被溶接部4に向けて進退駆動することで、前記溶接トーチ部2の被溶接部4に沿った相対移動に際して、被溶接部4の内面形状に応じてトーチ取付部6から溶接トーチ部2が進退制御されることで常に溶接トーチ部2が被溶接部4に近接あるいは接触させることができ、非円形の内面溶接が実現できることとなる。
【0033】
更に説明すると、本発明は、たとえ非円形のワーク3内面の被溶接部4であっても、このワーク1の内側からワーク1の被溶接部4の内面形状に応じて外部装置たるトーチ進退駆動機構7により進退駆動される溶接トーチ部2によって溶接でき、ワーク3がタンク等の大きな開口部のない容体であっても非円形であっても小容量のワーク3であってもワーク3の僅かな開口部5からケーブル1を介して溶接トーチ部2をワーク3内に配設でき(ケーブル1をワーク3内に挿通配設可能な注入口や排出口等の小さな管路や穴等の開口部5からケーブル1を通して溶接トーチ部2をワーク3内に配設でき)、この溶接トーチ部2をワーク3の外部のトーチ進退駆動機構7によって例えばケーブル1若しくはケーブル1に被嵌する等してケーブル1に沿って設けられた押引部材18を押し引きしてケーブル1を進退させながら進退駆動することで非円形であっても容体等のワーク3の内面溶接が可能となる画期的な非円形ワークの内面溶接装置となる。
【0034】
例えばTIG溶接等のアーク溶接の場合は、ワーク3の各パーツの突き合わせ目(継目)を被溶接部4としてこれを溶接する場合は、ケーブル1は電気ケーブルであってこれをケーブル案内管8に挿通配設し、ケーブル案内管8を介してシールドガスを噴出すると共にケーブル1の先端の溶接トーチ部2をケーブル案内管8の先端部のトーチ取付部6に進退自在に設けて被溶接部4に近接させアークを発生させ、この被溶接部4の内面形状に沿って溶接トーチ部2を相対移動制御しながら進退制御して溶接トーチ部2と被溶接部4との間に常にアークが生じるように常に近接させて被溶接部4を溶融し溶接を行う。
【0035】
具体的には後述する実施例に示すように例えば下容体パーツ3Aにある小さな開口部5を介してケーブル案内管8に通したケーブル1を下容体パーツ3A内に配設し、この下容体パーツ3Aに対して上容体パーツ3Bを突き合わせてワーク固定機構10によりホールドセットし、この状態で機体9に固定したケーブル案内管8にこのケーブル案内管8に通したケーブル1の先端部の溶接トーチ部2をケーブル案内管8の先端部のトーチ取付部6に進退自在に固定し、この溶接トーチ部2に対して上下突き合せた容体3A,3B(ワーク3)を一回転して溶接トーチ部2により上下の容体パーツ3A,3Bの継目(被溶接部4)を内面溶接する。
【0036】
この場合、例えばケーブル案内管8に対してケーブル1を直接あるいは押引部材18(例えばケーブル1に被嵌したバネ18等)を押し引きしてケーブル1を被溶接部4の内面形状に応じて(ワーク3の中心との距離の変化に応じて)進退させると共にケーブル案内管8の先端部に設けたトーチ取付部6から溶接トーチ部2を進退するように構成すれば、例えばこのケーブル1若しくは押引部材18を固定した押引固定部12をワーク3の内面形状(被溶接部4の内面形状)に応じてワーク3の回動に伴って所定方向に移動制御し、これによって所定長ケーブル1若しくは押引部材18を押し引きしてケーブル1と共に溶接トーチ部2を押引駆動することで、溶接トーチ部2と被溶接部4との距離に変化が生じないように溶接トーチ部2を進退駆動制御しつつワーク3を回動することで、非円形のワーク(被溶接部4の内面形状が非円形)であっても、ワーク3内に挿入配設したケーブル1の先端部の溶接トーチ部2を、前記外部に構成したトーチ進退駆動機構7によって移動制御できることとなる。
【0037】
従って、本発明は、ワーク3が密閉性が要求されるタンク等の容体であっても欠陥が内面に生じにくく、生じても外側から視認できる内面溶接が、たとえこの容体が非円形であっても、例えば継目となる被溶接部4の内面形状が楕円等の非円形であっても、またこの容体に大きな開口部や開放部がなくても、小さな容体であっても、ケーブル1やケーブル1を通すケーブル案内管8を挿通配設できるだけの大きさの開口部5があればあるいはこのような小さな開口部5を形成するだけで、トーチ進退駆動機構7により溶接トーチ部2を容易に移動制御でき、内面溶接が容易に実現できる画期的な構成となるものである。
【実施例】
【0038】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0039】
本実施例では、通水管途中に設ける小形のタンクであって、断面楕円形の中空の容体をワーク3とし、互いの開口部5が楕円状の下容体パーツ3A(下パーツ)と上容体パーツ3B(上パーツ)とを突き合せこの継目を容体(ワーク3)内面から溶接して容体(ワーク3)を製作する場合に用いる非円形ワークの内面溶接装置であって、本実施例では、TIG溶接によるアーク溶接によって電気ケーブル1の先端部に設けた溶接トーチ部2を、前記ワーク3の楕円状の内面にある被溶接部4に近接させてアークを発生させ、シールドガスを噴出しながら、ワーク3の被溶接部4に常に近接させつつ溶接トーチ部2をワーク3の回動によって被溶接部4に沿って相対移動制御して溶接する半自動アーク溶接装置に本発明を適用したものである。
【0040】
即ち、本実施例では機体9にワーク3の下容体パーツ3Aと上容体パーツ3Bとを突き合せてワーク固定機構10によりホールドセットするが、この場合、下容体パーツ3Aに設けてある小さな通水管連結部となる開口部5を介してケーブル1を挿通配設してこのケーブル1の先端部の溶接トーチ部2を下容体パーツ3A内に配設しつつ上容体パーツ3Bを被せてワーク固定機構10によりホールドし、この溶接トーチ部2をワーク3の内面の被溶接部4に向けて配設し、この溶接トーチ部2に対してワーク回転機構11によりワーク3を回動して溶接トーチ部2を被溶接部4に沿って相対移動すると共に、溶接トーチ部2をトーチ取付部6に対してワーク3外のトーチ進退駆動機構7によりケーブル1に被嵌した押引部材18(バネ18)を押し引きしてケーブル1を進退させつつ突出・後退させ、このトーチ取付部6の突出・後退度合をワーク3の被溶接部4の内面形状に応じて進退させることで常にアーク溶接を行うに適した距離に近接させるように構成している。
【0041】
更に説明すると、本実施例では、ワーク3の開口部5を介してワーク3内に挿入状態に配設するケーブル1の先端部の溶接トーチ部2をトーチ取付部6に進退自在に設け、このトーチ取付部6から溶接トーチ部2をワーク3の被溶接部4の非円形の内面形状に対応してワーク3の相対回転に伴って進退させて、溶接トーチ部2を被溶接部4に沿って相対移動しつつ常に被溶接部4に近接させるトーチ進退駆動機構7を設けた構成としている。
【0042】
具体的には、ワーク3の開口部5を介してワーク3内に挿入状態に配設されるケーブル案内管8を機体9に固定し、この機体9に設けたワーク固定機構10によって固定したワーク3を前記ケーブル案内管8に対してワーク回転機構11により回動するように構成し、ケーブル案内管8内にケーブル1を挿通配設し、このケーブル案内管8の先端部に設けたトーチ取付部6に進退自在に前記溶接トーチ部2を嵌合し、このケーブル案内管8に対してケーブル1に被嵌した押引部材18(バネ18)を押し引きすることでトーチ取付部6に対して溶接トーチ部2を突出・後退するように前記トーチ進退駆動機構7を構成している。
【0043】
また、本実施例では、機体9の上下方向に延びるように冷却装置付の案内管固定部20にケーブル案内管8を固定し、このケーブル案内管8はその先端部を水平方向に屈曲した形状に設定して、前記ワーク3の上下パーツ3A,3Bの継目が水平方向全周に形成されている被溶接体4に向けてケーブル案内管8の先端部をワーク3内に配設し得る構成としている。
【0044】
このケーブル案内管8の水平屈曲先端部に前記トーチ取付部6を設け、このトーチ取付部6にケーブル案内管8内を通したケーブル1の先端部に設けられた溶接トーチ部2を進退自在に嵌合し、ワーク3内の所定位置にトーチ取付部6を固定すると共に溶接トーチ部2をワーク3内の所定位置に水平突出自在に固定している。
【0045】
また、本実施例のトーチ取付部6は、ケーブル案内管8の先端部の水平方向に延びた先端管状部を用いた構成とし、この部分を切削加工して奥部に僅かに径小となる段部を形成して没動方向へのストッパー部を設け、ワーク中心からの距離が最も近い位置ではこのストッパー部に溶接トーチ部2が戻り当ってこの位置が最も没動した位置で突出動の基準底となるように構成し、この位置を基準底にしてケーブル1の押引部材18への押動によって被溶接部4の内面形状に応じて(中心からの距離の増大に応じて)溶接トーチ部2がトーチ取付部6に対して被溶接部4に向けて突出して常に被溶接部4に近接するように構成している。
【0046】
尚、本実施例では、ケーブル案内管8を銅製とするのに対してトーチ取付部6に嵌合する溶接トーチ部2をカーボン材として熱膨張の小さな材料とすることで、高熱下でもスムーズに進退できるように構成している。
【0047】
従って、本実施例ではこのトーチ取付部6に挿入嵌合した溶接トーチ部2を被溶接部4とワーク中心との距離に応じて前記トーチ進退駆動機構7によりトーチ取付部6から被溶接部4に向かう方向に進退駆動して、前記被溶接部4が楕円等の非円形のワーク3内面にあって被溶接部4の内面形状が楕円等の非円形内面であっても溶接トーチ部2を、ケーブル1あるいは押引部材18を押し引きすることで進退駆動するようにトーチ進退駆動機構7を構成している。
【0048】
また、しかも本実施例ではこのケーブル1に押引部材18としてコイルバネ18を被嵌し(例えばコイルバネ18をケーブル1を圧入被嵌するか、ケーブル1の外周にバネ18を巻き付けてケーブル1に一体化し)、これを前記ケーブル案内管8内に遊び無く押し引き自在に挿入配設して、このバネ18付のケーブル1を例えば屈曲しても直線状に戻ろうとする弾性を有するケーブル1に構成し、本実施例ではこのバネ18付のケーブル1のバネ18を押し引きすることで、前述のようにケーブル案内管8が屈曲していても押動が良好に伝わり溶接トーチ部2を押動して前記トーチ取付部6に対して溶接トーチ部2を突出駆動できるように構成している。即ち、ケーブル案内管8内にバネ18を巻回したケーブル1を押し引き自在に挿入配設するため、ケーブル案内管8が屈曲あるいは蛇行していてもバネ18の押動を溶接トーチ部2に伝達でき、そのため溶接トーチ部2を良好に押動突出でき、これにより単にケーブル案内管8の先端部を被溶接部4へ向けて屈曲しこの屈曲先端部をトーチ取付部6とすることで、溶接トーチ部2をワーク3内に固定し、これに対してワーク3を回動することで溶接トーチ部2を被溶接部4に沿って相対移動でき、しかもバネ18を押し引きすることでこの溶接トーチ部2を被溶接部4に向かって進退駆動するだけで、常に被溶接部4に溶接トーチ部2を近接あるいは接触できることとなり、一層容易に本発明を実現できることとなり、一層秀れた非円形ワークの内面溶接装置となる。
【0049】
また、本実施例では、押引部材18としてバネ18をケーブル1に被嵌してこのバネ18を押し引きするように構成したが、ケーブル1に保形性や剛性があれば直接ケーブル1を押し引きしても良い。このケーブル1を更に押引部材18たる押引用管に収納し、これを押し引きしても良いが、本実施例では屈曲していても良好に押動できるようにするためフレキシブルであって屈曲弾性を有するバネ管となるようにコイルバネ18を採用している。
【0050】
また、本実施例では、バネ18のへたりや経年変化によって溶接トーチ部2を良好に引動できない場合を考慮して、溶接トーチ部2にはケーブル1が繋がれていると共に引動用ワイヤー19も設けて後述するトーチ進退駆動機構7の押引固定部12にバネ18を固定することでケーブル1と共にこの引動用ワイヤー19も固定して共に引動して確実に溶接トーチ部2を戻動できるようにし耐久性を一層向上させている。
【0051】
また、本実施例では、トーチ進退駆動機構7を次のように構成している。
【0052】
前記ケーブル案内管8を機体9に固定したその下方にケーブル案内管8から突出したバネ18を巻回して被嵌したケーブル1と引動用ワイヤー19を固定する(具体的にはこれらを被嵌して外側のバネ18と止着される固定用管12Aを固定する。)上下動可能な押引固定部12と、前記ワーク3の相対回動と同期回動する同期回動部13に設けたカム溝14に係合しカム溝14の回動に伴って上下動可能なカム係合部15とを連結して、これを上下動ガイド部21に沿ってカム溝14の回動に伴って上下動するように構成している。即ち、この同期回動部13の回動によって前記ワーク3の被溶接部4の非円形の内面形状に対応して形状設定したカム溝14が回動し、この回動するカム溝14に倣ってカム係合部15が上下動することを駆動力としてこれを連結した押引固定部12が上下動ガイド部21にガイドされて上下動し、この押引固定部12の上下動によって所定長前記バネ18付ケーブル1を進退するように構成し、このバネ18の押し引きによって進退する溶接トーチ部2をトーチ取付部6に対して水平方向に突出・後退するように構成し、この被溶接部4に向けて突出・後退の度合が前記被溶接部4の内面形状に対応して形成したカム溝14によってワーク3の回動に伴ってケーブル1を所定長進退することで溶接トーチ部2が常に被溶接部4に近接するように進退するように構成している。
【0053】
従って、このカム溝14の形状設定によって、溶接トーチ部2に対してワーク3を回動しこのワーク3に対してこの被溶接部4の内面形状に応じて溶接トーチ2が進退することで、常に被溶接部4に溶接トーチ部2が近接した状態で被溶接部4に沿って相対移動するように構成している。
【0054】
即ち、本実施例ではワーク3の内面の被溶接部4とワーク中心との距離の変化に対応させて前記カム溝14の形状を設定し、ワーク3のワーク回転機構11の回転駆動源16により前記同期回動部13を、非円形歯車17同志の歯合を介して角速度一定として、前記ワーク3の相対回動と同期して回動駆動し、この同期した前記同期回動部13の回動に伴って前記カム溝14に係合した前記カム係合部15が回動位相に応じて上下方向に所定長移動し、この移動によって被溶接部4に沿って相対移動しつつ常に被溶接部4に近接させて所定の溶接ができるように構成している。
【0055】
具体的には、回動駆動源16から歯車を介して動力を分取して一方の楕円歯車17Aを回動して、回動位相を異ならせで歯合している他方の楕円歯車17Bを回動し、この楕円歯車17Bによってカム溝14を形成した同期回動部13を回動することでワーク3の回動に同期させて且つ長軸方向位置で速度が変わらないように略一定の角度で楕円歯車17Bを回動して、同期回動部13の楕円状のカム溝14を回動するように構成している。
【0056】
このカム溝14は立ち起こし配設した同期回動部13の立面に凹設形成されており、このカム溝14に上下動ガイド部21によって上下方向に移動規制されたカム係合部15が係合し、カム溝14の回動に伴ってカム係合部15及び押引固定部12が上下動ガイド部21にガイドされて上下動するように構成している。
【0057】
尚、ワーク3によってこのガイド溝14を変更するが、その場合別のガイド溝14を形成した同期回動部13と取り替えるようにしている。
【0058】
また、本実施例では、様々な制御を行うことや現在の溶接トーチ部2がワーク3の楕円状の被溶接部4のどの位置を溶接中であるかを視認できること等目的として、前記回動駆動源16から分岐した回動力によって回動する回転板22を、機体9のワーク3をセットするワーク固定機構10及びワーク3を回転させる回転テーブル11Aを設けた機体8上面にこの回転テーブル11Aと並設させて設け、この回転板22を被溶接部4の内面形状と同じ楕円状とするか、カム溝14と同様にこの形状と合致した溝やその形状を示す非円形表示22Aを設け、更にこれと溶接トーチ部2が位置する表示を設け、これらを基準に各種制御のためのセンサー23を設けて、ワーク固定機構10,ワーク回転機構11等の様々な制御ができるようにして、このセンサー23の取付位置が視認し易くその製作や修正も容易となるように構成している。
【0059】
尚、本発明は、実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本実施例の概略構成正面図である。
【図2】本実施例の要部の作動説明正断面図である。
【図3】本実施例のトーチ取付部から進退する溶接トーチ部の説明正断面図である。
【図4】本実施例の要部の作動説明平断面図である。
【図5】本実施例のワークの上パーツをセットする前の要部の説明斜視図である。
【図6】本実施例のワーク(上パーツ)をセットした状態の要部の説明斜視図である。
【図7】本実施例のトーチ進退駆動機構の要部の説明斜視図である。
【図8】本実施例のトーチ進退駆動機構の要部の説明側断面図である。
【図9】本実施例のトーチ進退駆動機構の作動説明正面図1である。
【図10】本実施例のトーチ進退駆動機構の作動説明正面図2である。
【符号の説明】
【0061】
1 ケーブル
2 溶接トーチ部
3 ワーク
4 被溶接部
5 開口部
6 トーチ取付部
7 トーチ進退駆動機構
8 ケーブル案内管
9 機体
10 ワーク固定機構
11 ワーク回転機構
12 押引固定部
13 同期回動部
14 カム溝
15 カム係合部
16 回動駆動源
17 非円形歯車
18 押引部材,バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルの先端部に設けた溶接トーチ部を非円形のワーク内に配設し、この溶接トーチ部を前記ワーク内面の被溶接部に近接若しくは接触させて溶接トーチ部に対してワークを相対的に回動することでワーク内面の被溶接部を溶接する非円形ワークの内面溶接装置であって、前記ワークの開口部を介してワーク内にワークの被溶接部に向かって挿入状態に配設する前記ケーブルの先端部の前記溶接トーチ部をトーチ取付部に進退自在に設け、このトーチ取付部から前記溶接トーチ部を前記ワークの被溶接部の非円形の内面形状に対応して前記ワークの相対回転に伴って進退させて、溶接トーチ部を被溶接部に沿って相対移動しつつ常に被溶接部に近接若しくは接触させるトーチ進退駆動機構を設けたことを特徴とする非円形ワークの内面溶接装置。
【請求項2】
前記ワークの前記開口部を介してワーク内に挿入状態に配設するケーブル案内管を設け、このケーブル案内管に前記ケーブルを進退自在に配設し、このケーブル案内管の先端部に設けた前記トーチ取付部に前記溶接トーチ部を進退自在に設け、このケーブル案内管に対して前記ケーブルを進退させると共に前記溶接トーチ部を前記トーチ取付部に対して突出・後退するように前記トーチ進退駆動機構を構成したことを特徴とする請求項1記載の非円形ワークの内面溶接装置。
【請求項3】
前記ワークの前記開口部を介してワーク内に挿入状態に配設される前記ケーブル案内管を機体に固定し、この機体に設けたワーク固定機構によって固定した前記ワークを前記ケーブル案内管に対してワーク回転機構により回動するように構成し、前記ケーブル案内管内に前記ケーブルを挿通配設し、このケーブル案内管の先端部に設けた前記トーチ取付部に進退自在に前記溶接トーチ部を嵌合し、このケーブル案内管に対して前記ケーブル若しくはこのケーブルに沿って設けた溶接トーチ部を進退させる押引部材を押し引きすることで、前記ケーブルを進退させつつ前記トーチ取付部に対して前記溶接トーチ部を突出・後退するように前記トーチ進退駆動機構を構成したことを特徴とする請求項2記載の非円形ワークの内面溶接装置。
【請求項4】
前記ケーブル若しくはこのケーブルに沿って設けた前記溶接トーチ部を進退させる押引部材を固定する押引固定部と、前記ワークの相対回動と同期回動する同期回動部に設けたカム溝に係合するカム係合部とを連結して、この同期回動部の回動によって前記ワークの被溶接部の非円形の内面形状に対応して形状設定した前記カム溝に倣って前記カム係合部が所定方向に移動することで前記押引固定部が所定方向に移動して、この押引固定部に固定した前記ケーブル若しくは前記押引部材を押し引きし前記溶接トーチ部を進退駆動するように前記トーチ進退駆動機構を構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の非円形ワークの内面溶接装置。
【請求項5】
前記ワークの内面の被溶接部とワーク中心との距離の変化に対応させて前記カム溝の形状を設定し、前記ワークのワーク回転機構の回転駆動源により前記同期回動部を、非円形歯車同志の歯合を介して角速度一定として、前記ワークの相対回動と同期して回動駆動し、この同期した前記同期回動部の回動に伴って前記カム溝に係合した前記カム係合部が回動位相に応じて所定方向に所定長移動し、この移動によって前記押引固定部を介して所定長前記ケーブル若しくは押引部材を押し引きするように前記トーチ進退駆動機構を構成したことを特徴とする請求項4記載の非円形ワークの内面溶接装置。
【請求項6】
前記ケーブル案内管の先端部を屈曲して前記ワークの被溶接部に向けて固定し、このケーブル案内管の屈曲先端部に前記トーチ取付部を設け、このトーチ取付部から被溶接部とワーク中心との距離の変化に応じて前記トーチ進退駆動機構により前記溶接トーチ部を進退駆動して、前記被溶接部が楕円等の非円形のワーク内面にあって被溶接部の内面形状が楕円等の非円形内面であっても溶接トーチ部を被溶接部に沿って相対移動しつつ常に被溶接部に近接若しくは接触させて所定の溶接ができるように構成し、このケーブルに前記押引部材としてバネを被嵌しこのバネを被嵌したケーブルを前記ケーブル案内管内に挿入配設し、このバネを押し引きすることで前記トーチ取付部に対して前記溶接トーチ部を進退駆動するように構成したことを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の非円形ワークの内面溶接装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−283394(P2007−283394A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−116966(P2006−116966)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(391049459)和田ステンレス工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】