説明

非同期シリアル通信方法

【課題】 安価な通信システムを用いて、自由フォーマットの制御信号を簡易に通信できる非同期シリアル通信方法を提供する。
【解決手段】 ホスト機2が通信開始を特定端末機3Aに通知する(S11)。特定端末機3Aが応答電文をホスト機2と他の端末機3Bに送信する(S12)。特定端末機3Aがタイマに設定された所定の時間自機を受信待機状態とし(S13)、他の端末機3Bが同じ時間自機を受信停止状態とし(S14)、ホスト機2が同じ時間内に自由フォーマットの制御信号を特定端末機3Aに送信する(S15)。特定端末機3Aは制御信号をそのままのフォーマットで受信し(S16)、この間、他の端末機3Bが制御信号のモニタリングを行う(S17)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホスト機と複数の端末機とが非同期シリアル通信線を介して接続された通信システムにおいて、シリアル通信信号と異なるフォーマットの制御信号を通信する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非同期シリアル通信では、通常、転送速度、ビット長、パリティ等の仕様を取り決め、規定のフォーマットで通信を行っている。このため、異なるフォーマットの制御信号を送信しようとすると、通信エラーが発生し、通信自体が成立しない。そこで、例えば、特許文献1では、外部メモリに複数のフォーマットを登録しておき、端末機の種類に応じフォーマットを変えて、非同期シリアル通信を行う方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−40582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の通信方法によると、複数のフォーマットを登録しておくために、端末機に外部メモリを用意する必要がある。このため、通信システムのコストが高くつくばかりでなく、メンテナンスに手間がかかるという問題点があった。
【0005】
本発明の目的は、安価な通信システムを用いて、自由フォーマットの制御信号を簡易に通信できる非同期シリアル通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の通信方法は、ホスト機と複数の端末機とが非同期シリアル通信線を介して接続されたシステムにおいて、ホスト機が特定端末機に通信開始を通知し、特定端末機がホスト機と他の端末機に応答電文を送信し、他の端末機が所定の時間受信を停止している状態で、同じ時間内にホスト機が自由フォーマットの制御信号を特定端末機に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の非同期シリアル通信方法によれば、他の端末機が受信を待機している期間中に、ホスト機が制御信号を特定端末機に送信するので、安価な通信システムを用いて、自由フォーマットの制御信号を簡易に通信できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】非同期シリアル通信システムの一実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明による通信方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、この実施形態の通信システム1は、一台のホスト機2に複数台の端末機3を非同期シリアル通信線4(例えばRS485)で接続して構成されている。ホスト機2および端末機3には、それぞれ送受信回路とMCU(図示略)が装備され、MCUに搭載されたプログラムに従って双方向の非同期シリアル通信が行われる。
【0010】
図2は、ホスト機2が特定の端末機3Aに制御信号を送信するときの通信手順を示す。ここで、まず、ホスト機2は特定端末機3Aに通信の開始を通知する(S11)。次に、特定端末機3Aは、開始通知に応答する電文をホスト機2と他の端末機3Bに送信する(S12)。
【0011】
続いて、特定端末機3Aは、タイマに設定された所定の時間の間、自機を受信待機状態とする(S13)。他の端末機3Bは、同じタイマ設定時間の間、自機を受信停止状態とする(S14)。そして、ホスト機2は、同じタイマ設定時間内に、自由フォーマットの制御信号を非同期シリアル通信線4を介して特定端末機3Aに送信する(S15)。
【0012】
このとき、特定端末機3Aは、ホスト機2からの制御信号をそのままのフォーマットで自機のシリアル信号受信端子より受け取る(S16)。この間、他の端末機3Bは、ホスト機2と特定端末機3Aとの通信終了を判定するために、制御信号のモニタリングを行う(S17)。
【0013】
その後、ホスト機2が送信を終了し、タイマ設定時間が経過すると、特定端末機3Aが受信完了を判断し(S18)、各端末機3A,3Bが通常の受信待ち状態に復帰する(S19,S20)。そして、特定端末機3Aが今回受信した制御信号の全ビット数をカウントし、この値を含む受信結果をホスト機2に報告する(S21)。ホスト機2は、ビット数を照合し、通信結果を記録し(S22)、一連の通信手順を終了する。
【0014】
従って、この実施形態の非同期シリアル通信方法によれば、通信エラーを発生することなく、自由フォーマットの制御信号をホスト機2から端末機3に送信することができる。また、複数のフォーマットを登録するために外部メモリを用意したり、任意フォーマットに対応可能な通信プログラムのMCUを使用したり、フォーマットの追加・変更に伴ってMCUを交換したりする必要がなく、通信システムを安価に構成でき、メンテナンスを容易に行うことができる。
【0015】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、通信システムの構成や通信方法の手順を適宜に変更して実施することも可能である。
【符号の説明】
【0016】
1 通信システム
2 ホスト機
3 端末機
4 非同期シリアル通信線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト機と複数の端末機とが非同期シリアル通信線を介して接続されたシステムにおいて、ホスト機が特定端末機に通信開始を通知し、特定端末機がホスト機と他の端末機に応答電文を送信し、他の端末機が所定の時間受信を停止している状態で、同じ時間内にホスト機が自由フォーマットの制御信号を特定端末機に送信することを特徴とする非同期シリアル通信方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−99998(P2012−99998A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245075(P2010−245075)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000124591)河村電器産業株式会社 (857)
【Fターム(参考)】