説明

非外傷性医用回収装置

【課題】非外傷性の遠位先端を備えたバスケットは、組織損傷の危険性を少なくしつつ、身体の到達困難な領域からの物質の捕捉を可能にすること。
【解決手段】医用回収装置用のバスケットを製造するための方法であって、以下:2対以上のバスケット脚11a、11bを含む形状を形成する工程であって、各対のバスケット脚は、単一のワイヤループ120から形成され、各ワイヤループが、該ワイヤループの頂点130に突出部140を含み、ここで、該ワイヤループは、遠位バスケット末端で交差し、ここで、該突出部は、凸面142および凹面144を有し、1つのバスケットワイヤの突出部の該凸面は、該交差しているバスケットワイヤの突出部の該凹面に固定されていない、工程、を包含する、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国暫定特許出願第60/082,810号(これは、1998年4月23日に出願された)、および米国暫定特許出願第60/105,448号(これは、1998年10月23日に出願された)に基づいて、優先権を主張している。
【0002】
(技術分野)
本発明は、一般に、身体内から物質を回収するための医用装置に関する。さらに特定すると、本発明は、医用回収バスケットに関し、これは、使用中での組織に対する損傷の危険を最小にすると共に「ポケット」または体内にてアクセスするのが困難な他の領域で配置または滞留している物質(例えば、結石)を捕捉するバスケットの性能を向上させるような輪郭にした(contoured)または尖端なし(tipless)の非外傷性遠位末端を有する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
公知の結石回収装置は、典型的には、「かご」を形成するように、そのバスケットの基部またはバスケットの先端にて複数の脚を共に接合することにより構築したバスケットを有する。その遠位先端では、個々の脚は、突出している先端が生じるように、ハンダ付け、接着剤などにより接合される。このバスケットの遠位末端での突出部または外部突起は、組織を突き出して組織外傷を起こす。一般に、公知のバスケットの先端または末端は、外部に突出し、それゆえ、組織を突き出すかまたは穿孔することにより、損傷を起こし得る。また、公知のバスケットの突出先端は、一般に、身体内の一定領域(例えば、「ポケット」)とアクセスまたは接触できず、それゆえ、このような領域に存在する結石は、公知のバスケットで回収するのが困難または不可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
(発明の要旨)
本発明の目的は、実質的に突出している遠位バスケット末端またはバスケット尖端を有しない医用回収バスケットを提供することにある。すなわち、本発明によるバスケットは、非外傷性であり、組織を突くか、組織を穿孔するか、またはそうでなければ、組織に外傷を引き起こすことができるいずれの著しい突出部または外部突起も有しない。
【0005】
本発明の他の目的は、回収すべき物質(例えば、結石)が存在または滞留しているか、詰め込まれているか、または包埋されているであろう「ポケット」のような体内の一定領域とのアクセスおよび/または密接な接触を許容する医用回収バスケットを提供することにある。尖端なしのまたは一定の輪郭にした先端のバスケット配置は、これらの領域とアクセスでき、その領域から物質を回収できるのに対して、外傷性尖端を備えた従来のバスケットは、このバスケットの遠位末端と身体組織との間の密接な接触を妨げる外傷性突出尖端があるために、そうすることができない。
【0006】
本発明のさらに他の目的は、体内から物質を回収するためにこのようなバスケットを使用する方法を提供することである。この物質は、生体物質または異物であり得る。この物質は、例えば、尿路結石または身体内で見出される種々の他の種類の物質であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、例えば、以下の手段を提供する。
(項目1)
医用回収装置であって、該装置は、以下を包含する:
近位末端および遠位末端を有する鞘;
該鞘の該近位末端にあるハンドル;および
身体から物質を取り出すためのバスケットであって、該バスケットは、該バスケットが該鞘内に封入されている収縮位置および該バスケットが該鞘の該遠位末端から伸長する膨張位置を有し、該バスケットは、3つまたはそれ以上の脚を包含し、該バスケットの少なくとも遠位末端部は、単一連続ユニットを包含する形状により、規定される。
(項目2)
前記バスケットの前記遠位末端部が、穿孔されていない、項目1に記載の医用回収装置。
(項目3)
前記形状が、セラミックまたはセラミック複合材料から形成される、項目1に記載の医用回収装置。
(項目4)
前記形状が、粉末金属から形成される、項目1に記載の医用回収装置。
(項目5)
前記形状が、ポリマーから形成される、項目1に記載の医用回収装置。
(項目6)
前記形状が、金属合金から形成される、項目1に記載の医用回収装置。
(項目7)
前記脚の長さが、約0.5インチ〜3.5インチであり、該脚の幅が、約0.005インチ〜0.015インチであり、そして該脚の厚さが、0.028インチ〜0.045インチの範囲である、項目1に記載の医用回収装置。
(項目8)
前記バスケット脚の内面が、肌目を付けられている、項目1に記載の医用回収装置。
(項目9)
医用回収装置であって、該装置は、以下を包含する:
近位末端および遠位末端を有する鞘;
該鞘の該近位末端にあるハンドル;および
身体から材料を取り出すためのバスケットであって、該バスケットは、該バスケットが該鞘内に封入されている収縮位置および該バスケットが該鞘の該遠位末端から伸長する膨張位置を有し、該バスケットは、2対またはそれ以上のバスケット脚を包含し、各対のバスケット脚は、単一ワイヤループから形成されており、各ワイヤループは、該ワイヤループが遠位バスケット末端で交差する該ワイヤループの頂点にて、突出部を包含し、ここで、該突出部は、凸面および凹面を有し、ここで、ひとつのバスケットワイヤ突出部の該凸面は、該交差しているバスケットワイヤ突出部の該凹面と合流する。
(項目10)
さらに、半円形突出部を包含する、項目9に記載の医用回収装置。
(項目11)
前記バスケット脚が、滑らかに曲がっている、項目9に記載の医用回収装置。
(項目12)
前記バスケット脚が、複数の角度を包含する、項目9に記載の医用回収装置。
(項目13)
さらに、D形状、U形状、B形状、長方形、円形、半円形、楕円形またはリボン様からなる群から選択される断面形状を有するバスケット脚を包含する、項目9に記載の医用回収装置。
(項目14)
医用回収装置用のバスケットを製造する方法であって、該方法は、以下を包含する: 単一連続ユニットとして、3つまたはそれ以上の脚を有する形状を形成すること;および
該形状の該脚を曲げて、対象を回収するための三次元バスケット構造物の少なくとも一部を形成すること。
(項目15)
前記形状を形成することが、材料の連続シートから、該形状を打ち抜き加工することを包含する、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記形状を形成することが、材料の連続シートから、該形状をエッチングすることを包含する、項目14に記載の方法。
(項目17)前記形状を形成することが、材料の連続シートから、該形状を切断することを包含する、項目14に記載の方法。
(項目18)
前記形状を形成することが、射出成形することを包含する、項目14に記載の方法。
(項目19)
身体から物質を回収する方法であって、該方法は、以下を包含する:
摘出器を身体に挿入することであって、該摘出器は、バスケットを包含し、該バスケットは、該バスケットを形成する3つまたはそれ以上の脚を有し、ここで、該バスケットの少なくとも遠位末端部は、単一連続ユニットを包含する形状により、規定される;
該物質を該バスケット内に捕獲すること;および
該摘出器を該身体から引き出して、該物質を該身体から取り出すこと。
(項目20)
身体から物質を回収する方法であって、該方法は、以下を包含する:
回収装置を身体に挿入することであって、該回収装置は、近位末端および遠位末端を有する鞘、該鞘の該近位末端にあるハンドル、身体から材料を取り出すためのバスケットを包含し、該バスケットは、該バスケットが該鞘内に封入されている収縮位置および該バスケットが該鞘の該遠位末端から伸長する膨張位置を有し、該バスケットは、2対またはそれ以上のバスケット脚を包含し、各対のバスケット脚は、単一ワイヤループから形成されており、各ワイヤループは、該ワイヤループが遠位バスケット末端で交差する該ワイヤループの頂点にて、突出部を包含し、ここで、該突出部は、凸面および凹面を有し、ここで、ひとつのバスケットワイヤ突出部の該凸面は、該交差しているバスケットワイヤ突出部の該凹面と合流する;
該物質を該バスケット内に捕獲すること;および
該摘出器を該身体から引き出して、該物質を該身体から取り出すこと。
【0008】
本発明の1局面によるバスケットは、尖端がなく、それゆえ、突出している末端または尖端を欠いている。このバスケットの少なくとも遠位末端部は、所望の尖端なしの特徴を得るために、単一片の材料から形成できる。この尖端のないバスケットの少なくとも遠位末端部の単一片構成は、構成材料の平らなシートから所望のプロフィールを取り出すことにより、または射出成形法を用いることにより、達成できる。この種の単一ユニットの単一片構成と共に、このバスケットの脚は、このバスケットがケーブル、コイル、ワイヤなど(これは、このバスケットを、近位ハンドル機構に接続する)に取り付けられるバスケットの基部でのみ、接合する必要がある。本発明によるバスケットのこの単一ユニットの特徴は、種々の様式(打ち抜き加工、光エッチング、レーザー切断、および射出成形を含めて)で達成できる。また、この尖端のない単一片ユニットまたはバスケット全体を形成するには、種々の材料(例えば、金属、ポリマー、セラミックス、粉末金属、熱可塑性複合材料など)が使用できる。これらの材料または他の材料の組み合わせもまた、本発明によるバスケットを製造するのに使用できる。
【0009】
本発明は、一般に、鞘、ハンドル、および非外傷性バスケットを包含する医用回収装置に関する。この鞘は、近位末端および遠位末端を有する。このハンドルは、この鞘の近位末端に位置している。このバスケットは、身体から物質を取り出すことができ、それは、バスケットが鞘内に封入されている収縮位置およびバスケットが鞘の遠位末端から伸長する膨張位置を有する。このバスケットは、3つまたはそれ以上の脚(例えば、4つ、5つまたは6つの脚)を有し得る。このバスケットの少なくとも遠位末端部は、実質的に尖端がなく、そして単一連続ユニットを包含する形状またはプロフィールにより、規定される。本発明の他の実施態様では、この非外傷性バスケットは、複数のワイヤにより形成され、各ワイヤは、このバスケットの極めて遠位の末端にて、小さな突出部を有するループを形成する。
【0010】
本発明の1局面に従って、この非外傷性バスケットは、単一の連続した単一片ユニットにより規定された遠位末端部を有する。この非外傷性バスケットは、以下の特徴を包含できる。この非外傷性バスケットの遠位末端部は、非穿孔であるかまたは例えば、ガイドワイヤまたは砕石装置が、この鞘を通りバスケットの末端を通って伸長できるように、穿孔できる。この非外傷バスケットの遠位末端部の形状は、例えば、金属、金属合金、セラミック材料、粉末金属、またはポリマーから形成できる。このバスケット脚は、その各々が内面および外面を有するが、このバスケットが物質を握り保持する性能を高めるような様式で、それらの内面の少なくとも一部を滑り止め材料で被覆するか、肌目を付けるか、または粗くできる。この非外傷性バスケットは、単一の連続的な単一片ユニットとして、3つまたはそれ以上の脚を有する形状(例えば、y形状、x形状、t形状または星形状)を単一片構成で形成すること、次いで、この形状の脚を折り曲げて、対象を回収するのに有用な三次元バスケット構造の少なくとも遠位末端を形成することにより、製造できる。このバスケットの遠位部分を形成するには、二重ループのような他の形状を使用してもよい。ここで記述したもの以外の形状もまた、このバスケットの遠位末端を形成するのに、使用できる。この形状は、連続シートの材料から打ち抜き加工、エッチングおよび/または切断できる。あるいは、この形状は、射出成形により得ることができる。
【0011】
非外傷性ワイヤバスケットの他の実施態様では、このバスケットワイヤの遠位末端は、その遠位バスケット先端にて、反転キャップへと挿入できる。
【0012】
本発明の他の局面は、医用回収装置のためのバスケットを製造する方法に関し、この方法は、単一連続ユニットとして、3つまたはそれ以上の脚を有する形状を形成する工程、およびこの形状の脚を曲げて、対象を回収するための三次元バスケット構造の少なくとも一部を形成する工程を包含する。この形状は、物質の連続シートから打ち抜き加工、エッチングまたは切断できる。この形状はまた、射出成形できる。
【0013】
本発明のさらに他の局面は、身体から物質を回収する方法を特徴としており、この方法は、摘出器を身体に挿入する工程(この摘出器は、3つまたはそれ以上の脚を有するバスケットを包含し、ここで、このバスケットの少なくとも遠位末端部は、単一の連続ユニットを包含する形状により、規定される)、この物質をこのバスケット内に捕獲する工程、およびこの摘出器を身体から引き出して、この物質を身体から取り出す工程を包含する。
【0014】
本発明の前述の目的および他の目的、局面、特徴、および長所は、以下の記述から、および請求の範囲から、明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(詳細)
本発明の以下の実施態様の全ては、一般に、共通して、少なくとも1個の物(すなわち、本発明による実質的に非外傷性の先端を有する医用回収装置のバスケット)を有する。図1Fの例によって図示したバスケット10は、身体に入れるために、鞘12内で収縮し得るタイプである。本発明のバスケット10を包含する医用装置または摘出器はまた、鞘12および近位ハンドル8を包含する。図1Eおよび1Fで図示したハンドル8、鞘12、およびバスケット10は、互いに、正しい大きさまたは比率では示されていない。この鞘全体の大きさは、それを身体内に適用する要件に合う寸法にされている。例えば、泌尿用途のためには、この装置の大きさは、典型的には、1.7〜8.0 Frである。鞘12は、その中に、少なくとも1個の管腔14を有し、単一の材料から製造され得、ハンドル8から遠位鞘末端16へと伸長している。この管腔14内では、細長部材(例えば、ケーブル、コイル、シャフト、ガイドワイヤまたはマンドリルワイヤ18)が、装置ハンドル8にある始動機構4からバスケット10の基部20へと伸長しており、この場所で、ケーブル18は、バスケット基部20に取り付けられている。操作者が始動機構4を操作すると、バスケット10は、図1Fで示すような鞘12内の収縮位置と、図1Eで示すようなバスケット10が鞘16の遠位末端を越えて開放/拡張し伸長している鞘12の外側の伸張位置との間で、鞘12を出入りする。あるいは、機構4は、鞘12の移動を起こして、固定バスケット10およびケーブル18の組み合わせの上で鞘12を前進させて、それにより、鞘12内でバスケット10を収縮させ得、また、機構4は、移動可能鞘12を逆に滑らせて、固定バスケット10を露出させ、それを開放/拡張させる。一般に、両方のタイプのバスケット/鞘運動形状および関連したハンドル機構は、公知であり、例えば、Boston Scientific Corporation(Natick, MA)から入手し得る既存の製品設計で見られる。図1Fで示したような鞘12内で収縮したバスケットを用いて、鞘12は、回収する物質(例えば、尿管にある結石)が位置している身体の部位へと、操作者により、身体に挿入され得る。図1Eで図示しているように、バスケット10をその開放/拡張位置に置くことにより、バスケット10は、それを配置した体内の路を広げ、バスケット10内の物質を捕捉または捕獲するように、操作者により操作され得る。バスケット10および/または鞘12は、次いで、移動されて、バスケット10の脚11a、11b、11c、11dがこの物質の周りで閉じて、それを捕獲し得る。捕獲した物質は、次いで、この鞘およびバスケット(これは、この物質を保持している)と共に、身体から引き出される。
【0016】
1局面では、本発明に従って、身体から生体物質または異物を回収する装置のバスケット10は、複数の脚(例えば、図1Bで示すように、4個の脚11a、11b、11c、11d)を有する。図1Dでのバスケット10の正面図は、実質的に尖端なしのまたは非外傷性の遠位末端100を示している。製造プロセスの結果として、この遠位先端には、小さく僅かな突出部または陥凹部が残っていてもよい。このバスケット先端でのこのような特徴は、組織に対して、突き出したり、切り裂いたり、貫通したり、穿孔したり、傷つけたり、またはそうでなければ、傷害を与えるかまたは外傷を引き起こすことがなく、バスケットの性能を向上させ得る。1実施態様では、例えば、脚11a、11b、11c、11dおよび非外傷性バスケット10は、図1Aで示すように、材料の実質的に平らな断片101から、単一の形状またはプロフィールとして、切断、エッチング、打ち抜き加工、またはそうでなければ、取り出すことができる。他の実施態様では、図1E、1Gおよび6Bを参照すると、バスケット10のすぐ遠位末端部5が、単一片の実質的に平らな材料から、単一の形状またはプロフィールとして、取り出される。あるいは、バスケット10または遠位末端部5は、例えば、プラスチック射出成形、金属射出成形(MIM)または金属粉末の圧縮により、所望の形状に射出成形され得る。図1Aおよび図1Cで図示されているように、バスケット10またはバスケット末端部5の出発プロフィールは、XプロフィールまたはX形状であり得る。この平らな材料からのXプロフィールの取り出し後、三次元バスケット10またはバスケット10の遠位末端部5は、Xプロフィールの脚を曲げて成形することにより、形成され得る。この出発プロフィールは、非対称であり得る。例えば、他の実施態様では、バスケット10または遠位末端部5の出発プロフィールは、y形状、t形状または星形であり得る。
【0017】
図1Bおよび1Dを引き続いて参照すると、バスケット10の遠位末端100は、均一であり、一定の輪郭であり、そして実質的にいずれの突出した表面特徴も有しない。すなわち、本発明によれば、バスケット10の遠位末端100は、実質的に、ノブ、突出部、ファスナー、または外部突起がない。バスケット10の遠位末端100は、図1Gで図示するように穿孔20してもよく、ガイドワイヤ(図示せず)が鞘12を通ってバスケット10の末端から出て、穿孔部20を通ることができる。代わりに、図1Hを参照すると、ラム・ロッド(ram−rod)、レーザーまたは他の砕石装置9は、鞘12のチャンネル200にて、縦方向に配置されている。チャンネル200は、バスケット10の近位末端20を通って伸長している。操作では、結石50は、バスケット10の管腔で捕獲される。この砕石装置は、この砕石装置が結石50に近づくまで、この近位バスケット末端を越えて、このバスケットへと前進される。結石50は、次いで、砕石術により、断片化される。断片化した結石は、バスケット10内に捕捉されつつ、身体から取り出される。
【0018】
プロフィールにより形成された脚(図1Bで図示しているような尖端なし非外傷性三次元バスケットを形成するために、図1Aおよび1Cで図示しているような単一片のシート様材料から取り出した遠位脚部分を含めて)の少なくとも遠位末端として、これらの脚を共に保持するために、バスケット10の遠位末端100では、接着剤またはいずれの他の付着材料または装置も使用されない。バスケット10の遠位末端100は、組織に傷害または外傷を起こし得るかおよび/またはバスケット10の遠位末端100を組織に直接かつ密接に接触させることに対して障害を与え得る実質的に外部の突出部または突起がないという点で、実質的に非外傷性である。
【0019】
1実施態様では、図2A〜2Eを参照すると、本発明の医用装置は、バスケット10を形成する複数の脚を包含する。これらの脚は、例えば、図2Dおよび2Eで示すように、種々の断面形状を有することができる。バスケット10の脚に対する他の断面形状には、D形状、V形状、B形状、長方形、および円筒形(図示せず)が挙げられるが、これらに限定されない。典型的には、脚11a、11b、11c、11dの長さは、約0.5〜3.5インチ、例えば、1.1〜1.5インチであり、この脚の幅は、約0.005インチ〜0.015インチであり、この脚の厚さは、0.028インチ〜0.045インチである。バスケットの脚11の末端1は、これらのバスケット脚の末端が接触するとき、組立を容易にしおよび/またはバスケットを強化するために、例えば、図2Fで示すように、この末端を狭くするか、拡大するかまたは溝を付けることにより、改良してもよい。
【0020】
図2A〜2Cおよび2Eを参照すると、典型的なバスケット末端部は、以下の特徴を有し得る。このバスケット末端部は、4個の脚を有し得、これらの脚は、およそ90°離れている。脚の長さdは、1.1インチ〜1.25インチであり、脚の幅dは、0.010インチ〜0.012インチであり、脚の幅dは、0.006インチ〜0.008インチであり、そして脚の厚さdは、0.005±0.0003〜0.0032±0.003インチである。これらの4個の脚の交差部121では、その4個の角部は、図2Bで図示するように、僅かな放射状部分を有する。これらの脚の末端1は、図2Cで図示しているように、完全な放射状部分を有する。ノッチまたは切り欠き123は、この脚の末端1から0.100インチ(d)で位置しており、0.003〜0.004インチの半径を有し、これらのノッチの頂点間では、0.004インチの最小距離(d)を有する。図2Aで図示した「X」プロフィールは、酸洗した表面および15±5℃の活性Aを有するフラットアニールした超弾性ニッケル−チタンシートから取り出すことができる。
【0021】
バスケット10またはバスケット10の遠位末端100は、種々の材料(例えば、ステンレス鋼、金属合金、超弾性材料、形状記憶材料、粉末金属、セラミックス、熱可塑性複合材料、セラミック複合材料、ポリマーなど)から形成され得る。また、これらの材料および他の材料の組み合わせも、使用され得る。
【0022】
非外傷性バスケット10は、3個またはそれ以上の脚がバスケットの遠位末端からバスケット基部へと平行に縦方向に延びているものよりもより複雑な形状が想定され得る。例えば、図3Aを参照すると、単一ユニットの砂時計プロフィール22は、例えば、本発明に従って、打ち抜き加工、エッチング、または切断により、単一片のシート様材料101から取り出すことができる。三次元バスケット10は、単一ユニットの砂時計プロフィールを、図3Aの矢印で図示しているように、図3Bで示す実質的にパラシュート形の立体配置に折り畳むことにより、作成され得る。次いで、熱処理、冷間成形、またはボール型ダイスを用いた他の形成プロセスが、このプロフィールを三次元バスケット10へと形成するために、パラシュート形立体配置で実施される。このバスケット10の遠位末端100は、尖端がなく非外傷性である。バスケット10の近位末端24は、図3Cで図示しているように、鞘12内にて、ケーブル18と接合され得る。バスケット10は、図3Cで示す収縮したバスケット位置から、図3Dで示す開放したバスケット位置まで、鞘12に対して移動可能である。
【0023】
他の実施態様では、このバスケットは、図4Aで示すように、単一片のシート様材料から、単一ユニットのクモの巣形プロフィール26を取り出すことにより、製造され得る。このクモの巣プロフィールは、例えば、打ち抜き加工、エッチングまたは切断により、単一片のシート様材料から取り出される。このクモの巣プロフィールは、引き続いて、図4Bで図示しているように、バスケット10を得るために、熱処理、冷間成形、または他の成形プロセスにより、ボール形状に形成され成形される。バスケット10の遠位末端100は、非外傷性であり、実質的に尖端がない。バスケット10の近位末端24は、ケーブル(図示せず)に接続され得、このバスケットは、図3Cおよび3Dで図示したバスケットと類似の様式で、鞘に対して、この鞘の管腔内を移動し得る。
【0024】
図5を参照すると、このバスケットの他の実施態様は、例えば、打ち抜き加工、エッチングまたは切断により、単一片の材料から単一ユニット二重ループプロフィール28を取り出すことにより、製造され得る。二重ループプロフィール28は、引き続いて、図5Bで図示しているように、バスケット10を得るために、熱処理、冷間成形、または他の成形プロセスにより、ボール形状に形作られ成形される。バスケット10の遠位末端100は、実質的に尖端がなく、非外傷性である。このバスケットの近位末端24は、ケーブル(図示せず)に接続され得、このバスケットは、図3Cおよび3Dで図示したバスケットと類似の様式で、鞘に対して、この鞘の管腔内を移動し得る。
【0025】
本発明に従ってバスケットを製造するためには、単一片の平らな材料(例えば、金属のシート)、またはバスケット半径に適合するような輪郭にした単一片の材料が使用され、この遠位バスケット先端が形成される。単一片の平らな材料から始めると、少なくともこの遠位バスケット先端は、単一片の構成材料から取り出される形状またはプロフィールにより規定される。このプロフィールは、図1Aまたは3Aで図示しているように、例えば、打ち抜き加工、エッチング、光エッチング、またはレーザー切断を含めた種々の方法により、この材料から取り出すことができる。この単一片の材料から取り出したプロフィールは、次いで、熱処理、冷間成形プロセス、または当該技術分野で公知の他のプロセスにより成形されて、例えば、図1Gおよび6Bで示すような非外傷性遠位先端を有する少なくとも遠位末端部5、または、例えば、図1B、3B、4Bおよび5Bで示すような非外傷性遠位先端を有する三次元バスケット構造を形成する。あるいは、これらのバスケット脚は、その縦軸の回りにわずかに回転または捻られて、例えば、図1Dで示すように、螺旋バスケットが形成され得る。
【0026】
本発明によるバスケットはまた、この遠位バスケット部分または所望のバスケットプロフィールを射出成形することにより、形成され得る。あるいは、金属またはプラスチック射出成形プロセスを用いて、この三次元遠位バスケット部またはバスケット設計は、三次元金型に射出され得、それにより、最終形状への成形により単一片の構造材料からのこのプロフィールの取り出しに続いたこの遠位バスケット部またはバスケット構造を形作る工程が省かれる。
【0027】
以下で記述するバスケット10およびバスケットのデザインは、このバスケットの近位末端にて細長部材18の遠位末端に接合されて、サブアセンブリが形成される。このバスケット/細長部材サブアセンブリは、鞘12に挿入され、そしてハンドル8と接合されて、本発明による医用回収装置が形成される。
【0028】
例えば、図6Aで示す「X」プロフィールは、それ自体で臨床的な効率および製造能(manufacturability)に役立つ任意の他の形状により、置き換えることができ、実質的に尖端なしの非外傷性バスケットを得る。この「X」または他のプロフィールは、その遠位バスケット先端にて、小さな非外傷性突出部または陥凹部を有し得る。また、この「X」プロフィールまたは他のプロフィールは、バスケット10の遠位末端部5を作製するように形成でき、脚11a、11b、11c、11dの末端部分1a、1b、1c、1dには、脚伸長部3a、3b、3c、3dを付け加えて、図6Bで示すように、バスケット脚11a、11b、11c、11dの全部または一部が形成できる。あるいは、この「X」プロフィールまたは他の任意のプロフィールのバスケット脚11a、11b、11c、11dの末端部分1a、1b、1c、1dは、図7Aで図示したバスケット10の基部20にて、共に固定できる。
【0029】
これらのバスケット脚の1つまたはそれ以上の内面(バスケットの中心に向かう側)の全部または一部は、このバスケットが、回収すべき物質を握るまたは保持する性能を高めるように、処理できる。例えば、図7Aにて脚11bの内面15上で図示しているように、このバスケットの少なくとも1つの内面の少なくとも一部には、滑り止め被覆(例えば、ゴム引き被覆またはプラスチック被覆)が塗布できる。この被覆は、このバスケットプロフィールがバスケット形成前に取り出される単一片のシート様材料またはバスケット形成後のバスケット脚の内面に、直接塗布できる。向上した握りおよび/または断片化(fragmentation)性能はまた、例えば、この内面の鋸歯、歯、または点を形成することによって、このバスケット脚の少なくとも1つの少なくとも内面に肌目を付け加えることにより、得ることができる。これは、例えば、この内面に肌目/凹凸をエッチング、穿孔、曲げ、打ち抜き加工または機械切削することにより、これらの方法を、直接、このバスケットまたはバスケット遠位末端形状がバスケット形成前に取り出される単一片のシート様材料に、または直接、バスケット形成後に、このバスケット脚の内面に適用することによって、達成できる。
【0030】
本発明の1つの実施態様に従って、図6A、7Bおよび8を参照すると、単一片のシート様材料から打ち抜き加工したプロフィールは、三次元バスケット10を形成するためにバスケット基部20で接合される末端セクション1を有する。あるいは、図6Aおよび6Bで図示しているように、このバスケットのすぐ遠位末端部5は、単一片の構造材料から形成でき、このバスケットの脚は、このプロフィールの末端伸長部1a、1b、1c、1dから伸長しており、次いで、末端部分1a、1b、1c、1dを引き下げて、これらの末端部分をバスケット基部20で接合して、バスケット10を形成する。図8で示すように、このバスケットの遠位末端を、単一片のシート様材料から単一ユニットとして取り出した8つの脚11a、11b、11c、11d、11e、11f、11g、11h星形プロフィール28から形成することにより、3つまたは4つより多いバスケット脚を有することが可能である。このバスケットの遠位末端部を形成する形状は、非対称であり得る。
【0031】
非外傷性で尖端なしのバスケットはまた、種々の様式で(例えば、これらの脚を、図9で図示しているように、遠位末端100でスポット溶接することにより、または図10で図示しているように、遠位末端100で、2つまたはそれ以上のワイヤ17a、17bを共に輪にすることにより)、各脚11a、11b、11c、11dを、このバスケットの遠位末端100で共に接合してもよい。これらのワイヤは、第一ワイヤ17aの中間部にループを形成することにより、輪にされる。第二ワイヤ17bは、第一ワイヤ17aの輪に通される。第二ワイヤ17bは、第一ワイヤ17aのループの中で輪にされ、そして第一ワイヤ17aにより保持される。
【0032】
本発明の他の実施態様では、図11Aおよび11Bを参照すると、非外傷性バスケット10の尖端なし末端130は、単線ワイヤを使用することにより構築され、ループ120a、120bが形成され、これらは、それぞれ、ループ120aおよび120bの頂点130a、130bから伸長している脚11a、11b、11c、11dを有し、頂点130a、130bは、バスケット遠位末端100に配置されている。三次元の非外傷性バスケットには、複数の予め形成したワイヤループが含まれている。ワイヤループは、プラスチック、超弾性材料、ステンレス鋼、形状記憶材料、セラミック複合材料、他の複合材料、または他の材料から形成でき、また、種々の断面形状(例えば、D形状、B形状、U形状、円形、半円形、楕円形、長方形またはリボン様)のいずれかを有し得る。外傷性ワイヤバスケットのこの実施態様では、2つのワイヤループ120a、120bは、例えば、図11Aで図示しているように、4つの脚11a、11b、11c、11dを有するバスケットを形成するのに使用でき、また、3つのワイヤループ120a、120b、120cは、図11Bで示すように、6つの脚11a、11b、11c、11d、11e、11fを有するバスケットを形成するのに使用できる。図示した4つまたは6つより多い脚を有するバスケットを形成するために、追加のワイヤループを使用してもよい。各ワイヤループ120の頂点130は、バスケット遠位末端100にて、バスケット10の他のワイヤループ120の頂点130と交差している。バスケットワイヤループ100でのワイヤループ120は、互いによって自由に滑り、すなわち、それらは、互いに、固着、融接、ハンダ付け、溶接、接着、接合、固定または付着されない。このバスケットの立体配置の利点は、バスケット末端100が非外傷性であり、可撓性を与え、それにより、結石の捕獲し易さが高まることにある。各ワイヤループの2つの末端部分1、1’は、バスケット基部20で共に接合され、そして溶接、ハンダ付け、縛り、接着、クリンプ加工または当該技術分野で公知の任意の他の手段により、所定位置で保持される。1実施態様では、これらのワイヤループの末端部分1、1’は、ケーブル、コイル、シャフト、マンドリルワイヤまたはガイドワイヤ18に固着され(図示せず)、これらは、図1Eおよび1Fで示すように、鞘12にて、長手方向に延びている。
【0033】
図11Cおよび11Dを参照すると、この非外傷性バスケットの尖端なし末端100はまた、予め成形した単線ワイヤを使用して変形ループ120を形成することにより構築でき、各変形ループは、ループ120の頂点130から伸長している一対の脚11a、11bを有し、頂点130は、バスケット遠位末端100に位置している。バスケット脚の対を形成する予め形成したワイヤループ120の頂点130は、このバスケット先端を安定化するために、変形される。例えば、図11Cで示すように、ワイヤループ120の頂点130は、放射状部分を備えた突出部140(例えば、半円形突出部)により、変形される。バスケットは、複数のワイヤループ120a、120bにより形成でき、各ワイヤループは、図11Dで図示しているように、放射状部分を備えた小突出部140a、140bを有する。このバスケット上の各半円形突出部は、図11Cで図示しているように、凸面142および凹面144を有する。この実施態様では、ワイヤループ120aの半円形突出部140の凸面142は、外部ワイヤループ120bの半円形突出部140の凹面144(この場所では、このバスケットのワイヤは、図11Dで図示しているように、バスケット遠位先端100にて、互いに交差している)と合流する。これらのループがこのバスケットの遠位末端で互いに交差する頂点130では、これらのループを形成するワイヤは、固着、融接、ハンダ付け、溶接、接着、接合、固定または付着されない。典型的には、非外傷性ワイヤバスケットを形成するには、1つまたはそれ以上のワイヤ(すなわち、ループ)(各々、半円形の突出部を有する)が使用される。
【0034】
ワイヤループ120は、超弾性材料、ステンレス鋼、形状記憶材料、セラミック複合材料、他の複合材料、または他の材料から形成できるか、あるいは、種々の断面形状(例えば、D形状、B形状、U形状、円形、半円形、楕円形、長方形またはリボン様)のいずれかを有し得る。非外傷性ワイヤバスケットのこの実施態様では、例えば、2つのワイヤループ120a、120bは、図11Cで示すような4つの脚を備えたバスケットを形成するのに使用でき、または3つのワイヤループは、6つの脚を備えたバスケット(図示せず)を形成するのに使用できるなどである。図示した4つまたは6つより多い脚を有するバスケットを形成するために、追加のワイヤループを使用してもよい。図11Cを参照すると、各ワイヤループの2つの末端部分1、1’は、バスケット基部20で共に接合され、そして溶接、ハンダ付け、縛り、接着、クリンプ加工または当該技術分野で公知の任意の他の手段により、所定位置で保持される。これらのワイヤループの末端部分1、1’は、図11Dで示すように、ケーブル、コイル、シャフト、マンドリルワイヤまたはガイドワイヤ18に固着され、これらは、図1Eおよび1Fで示すように、鞘12にて、縦方向に延びている。チャンネル200は、ラム・ロッド、レーザーまたは他の砕石装置9に適合するように、図1Hで示し先に記述したように、鞘12およびバスケット10の近位末端20を通って延びていてもよい。
【0035】
2つまたはそれ以上のワイヤループ120a、120b(各々、ループ120a、120bの頂点130にて、半円形突出部140を備えている)を有する本発明のバスケットは、バスケットの可撓性を実質的に弱めることなく、高いバスケット安定性および膨張強度(dilatative strength)を有する。本発明のこの実施態様(図11Cおよび11D)では、これらのワイヤは、その遠位先端にて、互いによって滑動する可能性はない。これらの半円形突出部はまた、このバスケットを閉じている間、このバスケットの脚にかかる応力を低下するのを助ける。
【0036】
図11A〜11Dおよび図12A〜12Dで図示した非外傷性ワイヤバスケット10の脚は、ゆるやかに曲がっているか、または複数の角度付け曲げ部を有し得る。図12Aで図示した1実施態様では、ループ120aの脚11a、11bの各々は、5つの角度付け曲げ部17a、17a’、17a”、17a”’、17a””を有し、これらは、ワイヤループ120の各脚11a、11b上にて、少なくとも2つの肩部15’および15”を形成する。図12Aで図示した型の2つのループ120a、120bにより形成された三次元バスケット形状は、図12Bで示されている。図12Aは、このループの角部17の全てが鈍角であるワイヤループ120の立体配置を図示している。図12Aで図示した型の2つのループ120a、120bにより形成された三次元バスケット形状は、図12Cで示されている。このワイヤループの両方の脚にて、無限数の鈍角を形成することにより、図12Bで図示した滑らかに曲がったループが得られる。図12Bで図示した型の2つのバスケットループ120a、120bにより形成されたほぼ楕円形または円形の非外傷性三次元バスケット形状10は、図12Dで示されている。図11B、11D、12Cおよび12Dで図示した脚11a、11b、11c、11dは、予め形成でき、それらの断面は、B形状、D形状、U形状、円形、半円形、楕円形、長方形、リボン様、または種々の他の断面形状(例えば、図2Dおよび2Eで示したもの)であり得る。
【0037】
図13Aで図示した外傷性ワイヤバスケットのさらに他の実施態様では、バスケットワイヤ3の遠位末端3a、3b、3c、3dは、図13Cに示すように、バスケット先端のコア170を有するキャップ160に挿入される。ワイヤの遠位末端3a、3b、3c、3dは、ハンダ付け、接着または当該分野で公知の任意の手段により、キャップ160に固着される。このキャップから現れるワイヤは、曲がり、次いで、図13Bで矢印により指示されるように、近位に引き下げられて、バスケット脚11a、11b、11c、11dを形成する。脚1a、1b、1c、1dの末端部分は、バスケット基部20にて、共に集まって、図13Aで示すように、非外傷性ワイヤバスケット10を形成する。末端部分1a、1b、1c、1dは、ケーブル、シャフトまたはコイル(図示せず)に接合できる。
【0038】
本発明のある実施態様では、この医用回収装置の鞘12は、ポリイミド、PTFE、複合材料または類似材料から製造される。ポリイミド鞘12の遠位末端16が裂けるのを防止するために、ポリイミド鞘12の遠位末端16の管腔14には、図14で図示しているように、金属リング180が挿入される。金属リング180は、このポリイミド鞘の末端16と揃えられるか、または図14で図示しているように、この鞘の末端を越えて僅かに突出していてもよい。
【0039】
さらに他の局面では、本発明は、身体(例えば、身体路または身体空洞)から物質を回収する方法に関する。物質(例えば、生体物質または異物)は、そのバスケットの少なくとも遠位部分が単一ユニットを包含する一定形状により規定される尖端なしバスケットを使用することにより、または非外傷性ワイヤループバスケット(各バスケットワイヤは、遠位非外傷性突出部と共に、ループを形成する)を使用することにより、身体から回収できる。この回収装置のバスケットは、尖端なしまたは非外傷性の遠位末端を有し、それゆえ、体内のポケットまたは他のアクセス困難な領域に位置している物質の捕獲が可能となる。この遠位バスケット末端は、非外傷性であるので、組織の表面(ポケット型領域の壁または裏打ちでさえ)との密接な接触を形成でき、従来の尖端付きバスケット(これは、組織の外傷を引き起こし得、その突出先端により、このバスケットがどの程度近くまで組織に接近できるかに関して、制限されている)では回収できない結石または他の物質の回収が可能となる。身体から物質を回収する方法は、非外傷性バスケットを有する回収装置を身体に挿入すること、この尖端なしバスケットを伸長位置に移動させること、この物質(例えば、結石)が三次元バスケット構造内で捕捉されるまで、この回収装置の近接ハンドル(これは、身体の外側に位置している)上の1つまたはそれ以上のアクチュエータを介して、このバスケットを操縦すること、およびこのバスケットをその鞘に対してこの物質の回りでこのバスケット脚の近くに移動させることによって、このバスケット内で、この物質を捕獲することを包含する。このバスケットによってそのようにつかまれるかまたは保持した物質と共に、このバスケットは、この物質を身体から取り出すために、身体から引き出すことができる。このバスケットを、捕獲した物質と共に、身体から引き出す前に、この物質は、例えば、レーザーエネルギーまたは砕石術により、バラバラに分解できる。この物質を、その身体からの取り出し前に壊す機構は、回収装置の一部をなし得るか、または身体にまた挿入される別個の器具/装置であり得、この結石除去手順の適当な時点で使用できる。本発明に従って尖端なしバスケットで捕獲できる物質には、血栓、塞栓、異物、歯石、または結石(例えば、腎臓結石、尿管結石、膀胱結石、胆嚢結石、胆管樹枝(biliary tree)、腫瘍、ポリープまたは異物内の結石)が挙げられる。
【0040】
本明細書中で記述したものの変形、改良、および他の用具は、請求した本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者に想起される。従って、本発明は、前述の例証的な記述によるのではなく、代わりに、以下の請求の範囲の精神および範囲により、規定される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図面では、類似の参照文字は、一般に、異なる図面を通して、同じ部分を意味する。また、これらの図面は、必ずしも一定の率で縮尺したものではなく、代わりに、一般に、本発明の原理を説明することに力点が置かれている。
【図1A】図1Aは、本発明による単一片の実質的に平らな材料から取り出した医用回収バスケットの少なくとも遠位末端部の単一片構成のXプロフィール実施態様の頂面図を示す。
【図1B】図1Bは、図1Aで示したXプロフィールの脚を曲げて作成することにより形成した三次元非外傷性の尖端なしバスケットの本発明による実施態様の側面図を示す。
【図1C】図1Cは、図1Aで示したXプロフィールの本発明による実施態様の側面図を示す。
【図1D】図1Dは、図1Aで示したXプロフィールの末端図の本発明による実施態様を示す。
【図1E】図1Eは、本発明による非外傷性バスケットを備えた医用回収装置の1実施態様を示し、このバスケットは、膨張位置にある。
【図1F】図1Fは、本発明による非外傷性バスケットを備えた医用回収装置の1実施態様を示し、このバスケットは、収縮位置にある。
【図1G】図1Gは、図1Aで示したXプロフィールの脚を曲げて作成することにより形成したバスケットの遠位末端部の本発明の1実施態様の側面図を示す。
【図1H】図1Hは、本発明による医用回収装置の実施態様を示し、このバスケット管腔へは、砕石装置が伸長している。
【図2A】図2Aは、本発明のバスケットの遠位末端部のXプロフィールの単一片構成の1実施態様の頂面図を示す。
【図2B】図2Bは、図2Aで示したXプロフィールの中心の詳細を示す。
【図2C】図2Cは、図2Aで示したXプロフィールの1つの脚の末端の詳細を示す。
【図2D】図2Dは、図2Aで示した脚の1つの断面の1実施態様を示す。
【図2E】図2Eは、図2Aで示した脚の1つの断面の他の実施態様を示す。
【図2F】図2Fは、バスケット脚の末端の変形の1実施態様を示す。
【図3A】図3Aは、本発明による単一片の実質的に平らな材料から取り出した医用回収バスケットの単一片構成のパラシュート形プロフィールの実施態様の頂面図を示す。
【図3B】図3Bは、図3Aで示したパラシュート形状のプロフィールを曲げて作成することにより形成した三次元非外傷性の尖端なしバスケットの本発明による実施態様の側面図を示す。
【図3C】図3Cは、鞘内に封入した図3Bのバスケットを示す。
【図3D】図3Dは、この鞘の遠位末端から伸長した図3Bのバスケットを示す。
【図4】図4Aは、本発明による単一片の実質的に平らな材料から取り出した医用回収バスケットの少なくとも遠位末端部の単一片構成のクモの巣形プロフィール実施態様の頂面図を示す。
【0042】
図4Bは、図4Aで示したクモの巣形プロフィールの輪郭を曲げて作成することにより形成された三次元非外傷性の尖端なしバスケットの本発明による実施態様の側面図を示す。
【図5】図5Aは、本発明による単一片の実質的に平らな材料から取り出した医用回収バスケットの少なくとも遠位末端部の単一片構成の二重ループ形プロフィール実施態様の頂面図を示す。
【0043】
図5Bは、図5Aで示した二重ループ形プロフィールの輪郭を曲げて作成することにより形成された三次元非外傷性の尖端なしバスケットの本発明による実施態様の側面図を示す。
【図6】図6Aは、本発明に従って、この形状の脚を曲げることにより、バスケットまたはバスケットの一部に形成できる打ち抜き加工プロフィールの頂面図である。
【0044】
図6Bは、図6Aで示したプロフィールから構成された遠位末端部を有する三次元の尖端なしバスケットの本発明による実施態様である。
【図7】図7Aは、図6Aで示した単一連続片の材料(例えば、打ち抜き加工形状)から形成した三次元の尖端なしバスケット構造の本発明による実施態様である。
【0045】
図7Bは、1つの脚の肌目を付けた内面を含む図6Aで示した遠位末端プロフィールである。
【図8】図8は、本発明に従って、この形状の脚を曲げることにより、バスケットまたはバスケットの一部に形成できる他の打ち抜き加工形状の本発明による実施態様の頂面図である。
【図9】図9は、非外傷性のスポット溶接先端を有するバスケットの本発明による実施態様を示す。
【図10】図10は、非外傷性のループ先端を有するバスケットの本発明による実施態様を示す。
【図11A】図11Aは、本発明によるバスケットのループを示す。
【図11B】図11Bは、図11Aで示した複数のバスケットループから形成した本発明による三次元バスケットの実施態様を示す。
【図11C】図11Cは、遠位末端で放射状部分を備えた非外傷性突出部を有する本発明によるバスケットのループを例示している。
【図11D】図11Dは、図11Cで示した複数のバスケットループから形成した本発明による三次元バスケットの実施態様を示す。
【図12】図12Aは、図11Cで示した複数の肩部を有するバスケットループの他の実施態様を示す。
【0046】
図12Bは、図12Aで示したバスケットループのさらに他の実施態様を示す。
【0047】
図12Cは、図12Aで示した複数の肩部を有するバスケットループから形成した三次元バスケットの1実施態様を示す。
【0048】
図12Dは、図12Bで示したバスケットループから形成した本発明による三次元バスケットの実施態様を示す。
【図13】図13Aは、尖端なしバスケットの反転したキャップ実施態様を示す。
【0049】
図13Bは、そのバスケット脚の末端をバスケットの近位末端で共に貼付する前に、図13Aで示した反転したキャップの尖端なしバスケットの遠位末端部を示す。
【0050】
図13Cは、図13Aおよび13Bで示した反転キャップの詳細を示す。
【図14】図14は、ポリイミド鞘の末端と同一平面に置く前に、このポリイミド鞘に挿入した金属リングを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用回収装置用のバスケットを製造する方法であって、該方法は、以下:
3つ以上の脚を有する形状を、材料のシートから切り出す工程であって、該脚は、テーパー状の端部を有し、該テーパー状の端部は、該脚の端部が合わさる場合に該バスケットの組み立てを容易にし、該バスケットを強化し、該3つ以上の脚が、該バスケットの遠位末端で交差している、工程;および
該脚を曲げて、対象を回収するための三次元バスケット構造物の少なくとも一部の遠位末端を形成する工程、
を包含する、方法。
【請求項2】
前記形状を切り出す工程が、前記材料のシートから、該形状を打ち抜き加工する工程を包含する、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記形状を切り出す工程が、前記材料のシートから、該形状を光エッチングする工程を包含する、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記形状を切り出す工程が、前記材料のシートから、該形状を切断する工程を包含する、請求項に記載の方法。
【請求項5】
医用回収用のバスケットを製造するための方法であって、以下:
3つ以上の脚を含む形状を成形する工程であって、該脚は、テーパー状の端部を有し、該テーパー状の端部は、該脚の端部が合わさる場合に該バスケットの組み立てを容易にし、該バスケットを強化するように構成されており、該3つ以上の脚が、該バスケットの遠位末端で交差している、工程;および
該脚を曲げて、対象を回収するための三次元バスケット構造物の少なくとも一部の遠位末端を形成する工程、
を包含する、方法。
【請求項6】
前記成形が、射出成形を含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記成形が、金属粉末の圧縮を含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
医用回収装置であって、該装置は、以下:
近位末端および遠位末端を有する鞘;
該鞘の該近位末端にあるハンドル;および
身体から物質を取り出すためのバスケットであって、該バスケットは、該バスケットが該鞘内に封入されている収縮位置および、該バスケットが該鞘の遠位末端を越えて伸びる膨張位置を有し、該バスケットは、複数の脚を含み、該脚の各々は、遠位末端、近位末端、および該遠位末端から該近位末端まで延びる長さを含み、該脚の各々の遠位末端は、他の脚の各々の遠位末端に連結され、少なくとも1つの脚の近位末端は、該少なくとも1つの脚の長さに沿った幅より小さい幅を含む、バスケット、
を備える、装置。
【請求項9】
前記脚の各々の遠位末端が、前記他の脚の各々の遠位末端と一体化されている、請求項に記載の医用回収装置。
【請求項10】
前記脚の各々の遠位末端が、材料の単一のシートから切り出される、請求項に記載の医用回収装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの脚の近位末端が、少なくとも1つの溝をさらに含む、請求項に記載の医用回収装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの脚の近位末端が、部分的ノッチをさらに含む、請求項に記載の医用回収装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの脚の近位末端が、切り欠きをさらに含む、請求項に記載の医用回収装置。
【請求項14】
前記1つ以上の脚の断面形状が、実質的にD形状である、請求項に記載の医用回収装置。
【請求項15】
前記1つ以上の脚の断面形状が、実質的にV形状である、請求項に記載の医用回収装置。
【請求項16】
前記1つ以上の脚の断面形状が、実質的にB形状である、請求項に記載の医用回収装置。
【請求項17】
前記1つ以上の脚の断面形状が、実質的に長方形である、請求項に記載の医用回収装置。
【請求項18】
前記1つ以上の脚の断面形状が、実質的に円柱形である、請求項に記載の医用回収装置。
【請求項19】
医用回収装置であって、該装置は、以下:
近位末端および遠位末端を有する鞘;
該鞘の該近位末端にあるハンドル;および
身体から物質を取り出すためのバスケットであって、該バスケットは、該バスケットが該鞘内に封入されている収縮位置および、該バスケットが該鞘の遠位末端を越えて伸びる膨張位置を有し、該バスケットは、複数の脚を含み、該脚の各々は、遠位末端、近位末端、および該遠位末端から該近位末端まで延びる長さを含み、該脚の各々の遠位末端は、他の脚の各々の遠位末端に連結され、少なくとも1つの脚の近位末端は、該少なくとも1つの脚の対向する表面上の第1のノッチおよび第2のノッチを規定する切り欠きを含む、バスケット、
を備える、装置。
【請求項20】
前記第1および第2のノッチの両方が、ある半径を有する湾曲表面を含む、請求項19に記載の医用回収装置。
【請求項21】
前記第1および第2のノッチの両方が、同じ半径を有する湾曲表面を含む、請求項20に記載の医用回収装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図1H】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−78159(P2009−78159A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−288277(P2008−288277)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【分割の表示】特願2004−382188(P2004−382188)の分割
【原出願日】平成11年4月22日(1999.4.22)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】