説明

非常時に乾電池を利用する携帯機器システム

【課題】電池収納部および携帯機器の小型や薄型を維持しながら、非常時には携帯機器を乾電池でも駆動できるようにする事が第1の課題である。しかも、乾電池ケースを忘れた場合、乾電池駆動ができなくなる事を防ぐために、乾電池ケースを携行する必要をなくす事が第2の課題である。
【解決手段】電池収納部を構成する部材や電池収納部に収納できる部材、あるいは携帯機器に付属する部材を乾電池保持手段や乾電池接続手段や機器接続手段として利用する。従って乾電池で駆動するための手段はすべて小型にでき、また携帯機器と一緒に携行する事ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
2次電池で駆動する携帯機器において、その2次電池が空になった非常時に、市販の円筒型乾電池でも駆動できるようにする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯電話では駆動力である2次電池が空になり、充電器を持ち合わせていない時には、市中どこでも手に入る円筒型の乾電池が利用できる乾電池ケースを、通信コネクターに接続して充電する方法が広く利用されている。あるいは乾電池の代わりに車のバッテリーやノートパソコンのバッテリーから充電する充電アダプターも市販されている。これらはいずれも携帯電話の電源ラインを有する通信コネクターに接続して携帯電話内蔵の2次電池を充電する製品である。
【0003】
またカメラ付き携帯ビデオ録画機器では、取り外し可能な乾電池ケースを準備し、機器への取り付けや、乾電池ケースの端子を2次電池パックと同じ構造にして互換性を得ている。
【0004】
一方、デジタルスチルカメラでは、乾電池をメインの駆動電源とし、2次電池はオプションとするコンセプトも有る。その場合は、電池収納部は乾電池が収納できるサイズに設計してあるので、小さくて性能の発揮できるオプションの2次電池は、乾電池収納部に余裕を持って収まる。
【0005】
またポータブルCDプレーヤーやMDプレーヤーでは、基本は内蔵する2次電池駆動であるが、乾電池パックと機器との接続端子を2次電池とは別に設けて、乾電池パックは外付けで、取り外し可能にしている製品もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特に携帯電話での課題を主体にして説明する。携帯電話は、特に薄型化や軽量化が重要視されるので、その駆動電源には薄型の角型リチウムイオン電池である2次電池が採用されている。そしてそのリチウムイオン電池を収納する電池収納部は、2次電池とほぼ同じ大きさで、ほとんど隙間がないと言って良い。一般には2次電池を収納した後、蓋をする。従って蓋で覆われた電池収納部分の容積は極めて小さい。ところが旅先などで充電器を持参しない場合等に、2次電池の電池容量を使い切って空になると、その携帯電話は用をなさなくなってしまう。そのような時、容易に手に入る乾電池で駆動できれば便利だと誰もが考えるところである。そこで乾電池ケースを準備して、2次電池を携帯電話の電池接続コネクターから外して、代わりに乾電池を入れた乾電池ケースを接続すると携帯電話を駆動する事ができる。しかし、携帯電話の動作電圧は3V以上必要なので、乾電池を3本以上直列に接続する乾電池ケースが必要になる。すると乾電池ケースは大きくなってかさばるので、旅先に携行するのは煩わしいし、また携行するのを忘れやすい問題がある。
【0007】
乾電池ケースの別の使用方法として、通信コネクターに差し込んでコネクターの電源ラインを通して、乾電池ケース内の乾電池から携帯電話内の2次電池を充電する非常用簡易充電器もあるが、常時携行するのは煩わしい事に変わりがない。
【0008】
その他の2次電池を主電源とする携帯機器でも、その2次電池が空になった時に乾電池で駆動する場合、携帯機器とは別に乾電池ケースを携行する必要が有り、忘れてしまった時は、乾電池駆動ができない問題点がある。
【0009】
一方ニッカド電池やニッケル水素電池のように乾電池の形状と作動電圧がほぼ同じで、互換性のある2次電池も存在する。この乾電池と互換性のある2次電池を使用する機器では、乾電池との互換性を重視して電池収納部を共用する事が目的なので、小型化や薄型化には限界がある。
【0010】
従って、小型化や薄型化を重視し、円筒型乾電池と形状も作動電圧も異なる2次電池を主たる駆動電源とする携帯機器において、電池収納部を、できるだけその2次電池とほぼ同じサイズに保つ事が重要である。従って、電池収納部および携帯機器の小型化や薄型化を維持しながら、非常時には乾電池でも駆動できるようにする事が第1の課題である。しかも、乾電池ケースを忘れた場合、乾電池駆動ができなくなる事を防ぐために、乾電池ケースを携行する必要をなくす事が第2の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、円筒型乾電池の形状と作動電圧が異なり、充放電できる2次電池で駆動し、2次電池を収納する電池収納部は2次電池の大きさおよび形状とほぼ同じである携帯機器である事を前提にしている。そして電池収納部を構成する部材や電池収納部に収納できる部材、あるいは携帯機器に付属する部材を乾電池保持手段や乾電池接続手段や機器接続手段として利用する。そして乾電池を使用しない時は、それらを電池収納部の片隅に収納する特徴がある。従って電池収納部は多少大きくなるだけで、携帯機器の小型や薄型の形状は保つ事ができる。また乾電池で駆動するための手段はすべて携帯機器と一緒に携行できる特徴がある。
【0012】
また本発明は電池収納部内に薄いシートあるいは紐を固定して乾電池保持手段にする特徴がある。薄いシートあるいは紐状なので、電池収納部の体積はほとんど変わらないが、乾電池を使用する時は、シートをめくって乾電池を挿入して保持する特徴がある。
【0013】
また本発明は、乾電池保持手段と乾電池接続手段と機器接続手段を電池収納部に収納する特徴がある。
【0014】
また本発明は、乾電池接続手段を電池収納部の中でも蓋に収納する特徴がある。
【0015】
また本発明は、乾電池接続手段をハンドストラップにする特徴がある。
【0016】
また本発明は、乾電池接続手段が乾電池保持手段の一部であって、乾電池の接続と乾電池の保持を兼ねる特徴がある。
【0017】
乾電池接続手段が機器接続手段を兼ねて、携帯機器の電源ラインと直接接続する特徴がある。すると2次電池を携帯機器に接続した状態で、乾電池を乾電池接続手段で接続すると、乾電池から空になった2次電池に過大な電流が流れ込む危険がある。あるいは容量の残っている2次電池から乾電池を充電してしまう危険もある。そこで本発明は、2次電池と電源ラインの電気的接続を外さないと、乾電池を電源ラインに電気的に接続できなくして危険を防止する特徴がある。
【発明の効果】
【0018】
小型や薄型を重視する携帯機器では、一般に円筒型乾電池と形状や作動電圧が異なる2次電池で駆動する。そして2次電池はリチウムイオン電池が多く使用されていて、単セルの作動電圧は3Vから4.2Vである。この電圧を乾電池で得るためには、単3や単4の乾電池3本を直列に接続する必要がある。しかし2次電池を収納する電池収納部は2次電池の大きさおよび形状とほぼ同じである。従ってより多くの単セルを直列に接続する必要のある乾電池をこの収納部に収納するためには、複数の乾電池を保持し、各乾電池を電気的に接続する機構を必要とする。本発明では、乾電池保持手段と乾電池接続手段と機器接続手段を、電池収納部を構成する部材や電池収納部の片隅に収納できる部材、あるいは携帯機器に付属する部材で構成する。すると電池収納部は少し大きくなるが、2次電池とほぼ同じ大きさにする事が可能になる効果がある。また電池収納部を構成する部材や電池収納部の片隅に収納できる部材や機器付属部材は、常に携帯機器と共に携行できるので、非常時に乾電池保持手段や乾電池接続手段や機器接続手段がないために乾電池が使用できなくなるという問題点を解消する効果がある。
【0019】
また本発明は、シートや紐を電池収納部に固定する。すると乾電池を使用する場合は、蓋を外してシートをめくって乾電池に被せて、電池収納部に保持できる効果がある。2次電池を使用する場合は、乾電池を外すとシートが収縮あるいは折りたたまれて、薄いシートや紐に戻るので2次電池をシートの上に乗せる事ができる。電池収納部の大きさはほとんど変わらないので、携帯機器の小型や薄型を維持する効果がある。
【0020】
また電池収納部の中でも、蓋に乾電池接続手段を収納する事で、電池収納部の下に設置される回路基板の配置に影響を与えないで、電池収納部の大きさをほとんど変える事なく、乾電池接続手段を持ち運べる効果がある。
【0021】
また、乾電池接続手段を携帯機器に付属するハンドストラップにする事で、さらに電池収納部の大きさや形状に影響を与えない効果がでる。
【0022】
乾電池接続手段が乾電池保持手段を兼ねる事で、乾電池保持手段を省略したり、小さくできる効果がある。
【0023】
乾電池接続手段が機器接続手段を兼ねて、携帯機器の電源ラインに乾電池を直接接続する事で、機器接続手段を削減できる効果がある。また直接接続すると、乾電池から空になった2次電池に過大な電流が流れ込む危険、あるいは容量の残っている2次電池から乾電池を充電してしまう危険が生ずる。そのために、2次電池と電源ラインの電気的接続を外さないと、乾電池を電源ラインに電気的に接続できなくする事で上記危険を防止する効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
電池収納部を構成する部材や電池収納部に収納できる部材、あるいは携帯機器に付属する部材を乾電池保持手段や乾電池接続手段や機器接続手段として利用する。
【実施例1】
【0025】
本発明の実施例1を、図1の斜視図を用いて詳細に説明する。図1は携帯電話1の裏側にある電池収納部2の蓋3を外し、充電式のリチウムイオン2次電池4を電池収納部2から取り外した状態を示している。携帯電話1には電池コネクター雄5が付いていて、2次電池4には電池コネクターコード6につながった電池コネクター雌7が付いている。そして電池収納部2は、蓋3を被せて固定すると、ほぼ2次電池4のサイズに合わせた形状に作ってある。ここまでは、従来の一般的な携帯電話1に採用されている構造である。本発明では、電池収納部2の底8に伸縮性の薄いシート9の横端10、11を固定する。またシート9の横方向を約3等分した仕切り12、13も固定する場合がある。そして底8の、3等分したシート9の中央付近の3箇所に溝14、15、16を切る。また電池収納部2の側面17、18の端4箇所に側溝19、20、21、22を切る。さらに蓋3の両端には、窪み23、24を付けて、電池接続手段である接続プレート25、26を収納する。接続プレート25、26には極板27、28、29、30、31、32が付いて、極板27と極板28、および極板30と極板31は電気的につながっている。また極板29と極板32には乾電池コネクターコード33、34を接続する。乾電池コネクターコード33、34の先端には乾電池コネクター雌35を付ける。
【0026】
次に実施例1の使用方法と作用を説明する。もちろん2次電池4で携帯電話1を駆動する場合は、2次電池4の電池コネクター雄5を電池コネクター雌7に差し込んで、蓋3をする。これは従来の使用方法である。次に2次電池が空になった場合等の非常時には、蓋3を開け、2次電池4の電池コネクター雌7を電池コネクター雄5から外して2次電池4を電池収納部2から取り去る。次に図2の正面図に示すように、シート9の内、底8に固定されていない部分をめくって持ち上げる。引き伸ばされてできたシート9の3個のトンネルの中に、3本の乾電池36、37、38をプラス極39とマイナス極40、41がそれぞれ互い違いになるように挿入する。シート9は弾力性があり、3本の乾電池36、37、38は底8につけた3本の溝14、15、16に収まってしっかりと底8に保持できる。次に蓋3の窪み23、24に収納した接続プレート25、26を取り出して、接続プレート25の両端を電池収納部2の側面17、18の側溝19、20にはめ込む。同様に接続プレート26の両端を側溝21、22にはめ込む。すると、乾電池36と乾電池37は接続プレート25の極板27と極板28で直列に接続し、乾電池37と乾電池38は接続プレート26の極板30と極板31で直列に接続される。すると3本の乾電池36、37、38は直列に接続された組電池になる。組電池のプラス極の極板29は乾電池コネクターコード33と、組電池のマイナス極の極板32は乾電池コネクターコード34に電気的につながっていて、乾電池コネクター雌35を電池コネクター雄5に挿入すると、乾電池36、37、38は携帯電話1の動作電圧範囲である3Vから4.5Vの電圧を携帯電話1に供給できるようになる。
【0027】
このように、乾電池保持手段は伸縮性のある極めて薄いシート9であり、電池収納部2の大きさにはほとんど影響を与えない。また、乾電池接続手段は、薄い金属を貼り付けた接続プレート25、26で作成できる。従って、蓋3等の電池収納部2の一部に少し窪み23、24を作り、接続プレート25、26と機器接続手段である乾電池コネクターコード33、34と乾電池コネクター雌35を収納するので、小型、薄型重視の携帯電話の目的を損なう事はない。
【0028】
ここで、2次電池4は単セルとして説明したが、携帯機器によっては、2セルを直列に使用する場合もある。その場合、乾電池は5本を直列に接続するのが適当である。従って、メインの電源である2次電池4の動作電圧に応じて乾電池の接続本数は変わってくる。本発明の趣旨は、使用する2次電池4の電池収納部2の大きさを最小限に維持しながら、乾電池でも使用できるようにする事が目的である。従って実施例1で説明した2次電池4や乾電池36、37、38の本数が異なっても発明の趣旨は同じである。
【実施例2】
【0029】
次に実施例2を説明する。図3の斜視図で示すように伸縮性のある材料で作成したハンドストラップ42に極板43、44、45、46、47、48を貼り付け乾電池接続手段にする。極板43と極板44および極板46と極板47は電気的に接続していて、極板44と極板46と極板48には突起49、50、51を付ける。極板45と極板48には乾電池コネクターコード52、53を付けて、ハンドストラップ42のバンド54に縫いこむ。乾電池コネクターコード52、53の先端には乾電池コネクター雌55を接続する。ハンドストラップ42は固定具56で携帯電話1などの携帯機器に固定する。また図面には示さないが、極板43と極板44および極板46と極板47の間にヒューズなどの過電流保護素子を入れる場合もある。
【0030】
その使用方法は、図4の平面図で示すように、先ず実施例1で採用した方法などの乾電池保持手段で3本の乾電池57、58、59を保持する。次いでハンドストラップ42のバンド54を組電池に巻きつける。極板43、44、45、46、47、48はバンド54の弾力性で乾電池57、58、59としっかり接触して、実施例1と同じように3本の乾電池57、58、59は直列接続した組電池になる。極板44、46、48には突起49、50、51が付いているので、バンド54を乾電池57、58、59に巻きつけた時、乾電池の平らなマイナス極60、61、62と接触しやすくなっている。次に乾電池コネクター雌55を携帯電話1の電池コネクター雄5に挿入すると、実施例1と同じように、乾電池57、58、59は携帯電話1を駆動できるようになる。しかも薄い極板43、44、45、46、47、48や乾電池コネクターコード52、53をハンドストラップ42に組み込んでもかさばらないし、ハンドストラップ42は携帯電話1に常に付属させているので、置き忘れたりする事がない。従って本発明の課題である小型化と携行忘れを防ぐ二つの目的を達成する事ができる。ところで、極板43と極板44および極板46と極板47の間にヒューズなどの過電流保護素子を入れるのは、バンド54をよじって乾電池57、58、59に巻きつけて、乾電池同士が閉回路に接続されるショート事故を防ぐ効果がある。
【実施例3】
【0031】
次に実施例3を図5の斜視図を用いて説明する。実施例1では接続プレート25、26を乾電池接続手段にしたが、実施例3では、図5に示すように、接続プレート25、26の代わりに、伸縮性のあるシートに薄い極板63、64、65、66を貼り付けて接続シート67、68にする。あるいは極板63、64、65、66は導電性の糸で接続シート67、68に縫い込んで製作しても良い。接続シート67、68は両端69、70を電池収納部2の底8に平らに固定する。極板64、66には図面には示さないが、乾電池コネクター雌35の付いた乾電池コネクターコード33、34を付けるのは実施例1と同じである。但し、接続シート67、68は伸縮性のシートでなく、袋状になった普通の伸縮性のないシートでも良い。図5には1重の接続シート67、68で示しているが、2重になっていて、極板63、64、65、66は袋の中に付いている。もちろん、シート9も伸縮性のシートでなく、普通のシートでも良く、同じように袋状になっていても良い。
【0032】
実施例3の使用方法は、先ず乾電池36、37、38をシート9の中に入れて底8に保持するのは実施例1と同じである。次に接続シート67、68をめくって乾電池36、37、38の両端に被せる。接続シート67、68の弾力性で極板63、64、65、66は乾電池36、37、38に押し付けられて接続し、実施例1と同じように乾電池36、37、38は直列に接続した組電池になる。次に乾電池コネクター雌35を電池コネクター雄5に挿入すると、乾電池36、37、38で携帯電話1を駆動できるようになる。接続シート67、68は接続プレート25、26より薄く作成できる上、電池収納部2の底8に収められて、蓋3の一部に窪み23、24を付ける必要がなくなるので、電池収納部2の小型化に対して、実施例1よりさらに効果がある。また接続シート67、68は乾電池36、37、38を保持する機能もあり、シート9の一部であると考える事ができる。その事は実施例1についても言える事で、接続プレート25、26に弾力性を与えて乾電池保持機能を持たせる事が可能になる。このように、乾電池接続手段が乾電池保持手段を兼ねると、携帯電話1を乾電池36、37、38で駆動するための部材が省略できて、電池収納部2の小型化、ひいては携帯電話1の小型化をよりよく維持する手段になる。接続シート67、68やシート9が普通のシートで袋状の場合は、袋のサイズがほぼ乾電池36、37、38の大きさだが、長さ方向をやや短めにして、乾電池36、37、38と極板63、64、65、66の接続を確実にとる事ができる。
【実施例4】
【0033】
次に実施例4を図6の斜視図を用いて説明する。蓋71の左面72と右面73が軸74、75を中心に折れ曲がるようにする。左面72には極板76、77、78を貼り付け、右面73には極板79、80、81を貼り付ける。極板76と極板77および極板79と極板80は電気的に接続している。また極板78と極板81には乾電池コネクターコード90、91を付け、乾電池コネクターコード90、91の先には乾電池コネクター雌92を付ける。また、蓋の中面93には、乾電池コネクターコード90、91と乾電池コネクター雌92が収まる程度の小さな窪み94を設ける。
【0034】
次に実施例4の使用方法と作用を、図1においてシート9がないものとして説明する。先ず2次電池4を電池収納部2から外す。そして実施例1の図2ごとく乾電池36、37、38を溝14、15、16に乗せる。次いで蓋71の左面72の角95、96を側溝19、20に挿入して固定し、右面73の角97、98を側溝21、22に挿入して固定する。すると極板76、77、78、79、80、81が乾電池36、37、38を接続して組電池になる。そして乾電池コネクター雌92を電池コネクター雄5に挿入すると携帯電話1は乾電池36、37、38で駆動できるようになる。すなわち左面72と右面73が実施例1における接続プレート25、26の役割を果たす。また左面72と右面73に弾力性を持たせる事で、乾電池36、37、38の保持も行なう。さらに確実に乾電池36、37、38を保持するために、中面93で乾電池36、37、38を押さえるようにしても良い。このように左面72あるいは右面73さらには中面93が乾電池保持手段と乾電池接続手段を兼ねる事で、電池収納部2の大きさは、乾電池コネクターコード90、91と乾電池コネクター雌92を納めるための、ほんの小さな窪み94を蓋71に設けるだけになる。
【実施例5】
【0035】
次に実施例5を、図5を用いて説明する。先ず接続シート67、68に付けた極板64、66を電池収納部2の底8の下にある回路基板の電源ライン99、100に直接接続する。そして接続シート67、68に乾電池36、37、38を挿入すると、接続シート67、68が電池コネクター雄5の上に覆い被さるようにする。
【0036】
すると、3本の乾電池36、37、38を接続シート67、68に挿入し、極板63、64、65、66に接続した段階で携帯電話1の乾電池駆動が可能になる。しかし2次電池4の電池コネクター雌7が電池コネクター雄5から抜かれていないと、極板66に乾電池36が接触しない構造にしているので、乾電池36、37、38から回路基板の電源ライン99、100に導通できない。従って、乾電池36、37、38から2次電池4へ、あるいは2次電池4から乾電池36、37、38に電流が流れる危険を防止できる。
【実施例6】
【0037】
次に実施例6について図5を用いて説明する。接続シート67、68に付けた極板64、66を電池収納部2の底8の下にある回路基板の電源ライン99、100に直接接続するのは実施例6と同じである。次に電源ライン99、100には、乾電池36、37、38に接続するラインと2次電池4に接続するラインを切り替える切替スイッチ101を設ける。切替スイッチ101はメカニカルスイッチ、あるいはバックアップ用のコイン電池で電子的に切り替えるスイッチが適当である。
【0038】
切替スイッチ101を設ける事で、2次電池4を使用する時は電源ライン99、100を切替スイッチ101で2次電池4に接続し、乾電池36、37、38を使用する時は、電源ライン99、100を切替スイッチ101で乾電池36、37、38に接続する。すると実施例5と同じように、乾電池36、37、38から2次電池4へ、あるいは2次電池4から乾電池36、37、38に電流が流れる危険を防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
特に携帯電話では小型、薄型が重視されている。そのために、駆動する電池も単セルの作動電圧が高く、薄い形状の角型リチウムイオン電池が使用されている。リチウムイオン電池は充放電できる2次電池であるが、旅行など長期に充電できない場合は、電池容量が空になって使用できなくなる。また、最近では携帯電話には様々な機能が追加されて消費電力が増加しているので、内蔵の2次電池が空になる確率も増加している。そこで非常の場合、乾電池で動作できれば急場をしのぐ事ができる。そのためには、乾電池を保持し、複数の乾電池を接続して組電池にし、その組電池を携帯電話に接続する機能を携帯電話に収納して、いつでも使用できるようにする必要がある。しかもその機能を有しながら、携帯電話の小型で薄型の形状を維持する事が必須になる。その二つの条件を実現する本発明の産業上の利用の可能性は非常に高い。
【0040】
また、実施例でも携帯電話を例にしてきたが、この機能は携帯電話に限るものではなく、リチウムイオン電池など作動電圧の高い2次電池をメイン電源にしているデジタルスチルカメラやカメラ付きビデオ録画機やノートパソコンなど、小型で薄型を採用する機器には共通して必要とされる。従って本発明の技術は携帯電話以外の携帯機器にも共通して使用できるので、産業上の利用範囲は極めて広い技術である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】は実施例1の斜視図
【図2】は実施例1の正面図
【図3】は実施例2の斜視図
【図4】は実施例2の平面図
【図5】は実施例3の斜視図
【図6】は実施例4の斜視図
【符号の説明】
【0042】
1は携帯電話
2は電池収納部
3は蓋
4は2次電池
9はシート
25は接続プレート
27は極板
35は乾電池コネクター雌
36は乾電池
67は接続シート
101は切替スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒型乾電池と形状および作動電圧が異なる2次電池で駆動し、該2次電池を収納する電池収納部が、該2次電池の大きさおよび形状とほぼ同じである携帯機器において、該電池収納部の一部に複数の乾電池を保持する乾電池保持手段を設けると共に、該携帯機器に付属する部材で複数の該乾電池を電気的に接続する乾電池接続手段を設け、さらに機器接続手段を設け、該乾電池保持手段で該乾電池を整列保持し、整列した該乾電池を該乾電池接続手段で接続して該乾電池の組電池を構成し、該機器接続手段で該組電池と該携帯機器を接続する事で、該乾電池でも該携帯機器を駆動する携帯機器システム。
【請求項2】
該乾電池保持手段は、該電池収納部に固定したシートあるいは紐である請求項1の携帯機器システム。
【請求項3】
該乾電池保持手段と該乾電池接続手段と該機器接続手段を該電池収納部に内蔵する請求項1の携帯機器システム。
【請求項4】
該電池収納部を構成する蓋に該乾電池接続手段を収納する請求項3の携帯機器システム。
【請求項5】
ハンドストラップを該乾電池接続手段にする請求項1の携帯機器システム。
【請求項6】
該乾電池接続手段が該電池保持手段の一部である請求項1の携帯機器システム。
【請求項7】
該乾電池接続手段が該機器接続手段を兼ねて該携帯機器の電源ラインと直接電気的に接続し、該2次電池と該電源ラインの電気的接続を外さないと、該乾電池を該電源ラインに電気的に接続できなくした請求項1の携帯機器システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−228537(P2006−228537A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−39957(P2005−39957)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(592149521)
【Fターム(参考)】