説明

非常通知システム

【課題】携帯型の無線機の所在を容易に探し出すことができるようにする。
【解決手段】第2無線機2の操作部23Dが押操作されて第2操作入力部23から第2制御部20に操作信号が出力されると、第2制御部20が第2送受信部22から所在探索の無線信号を送信させる。第1無線機1では、第1送受信部12で所在探索の無線信号を受信すると、第1制御部10が第1報知部14を制御してスピーカから報知音を鳴動させるとともに表示灯14Aを点灯させる。したがって、スピーカから鳴動される報知音や表示灯14Aの光を頼りにして第1無線機1を容易に探し出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型の無線機と当該無線機から送信される緊急通報の無線信号を受信する無線機とで構成される非常通知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高齢者や病人などの対象者が携帯する無線機の操作スイッチが操作されると当該無線機から緊急通報の無線信号が送信され、家族や看護人などの管理者の居る場所に設置されている無線機が前記無線信号を受信して緊急事態を報知するものが提供されている。例えば、特許文献1には、押釦式の操作スイッチが設けられたワイヤレス発信器と、ワイヤレス発信器から送信される無線信号を受信して緊急事態の発生を報知するワイヤレス受信器とを備えた非常通知システムが開示されている。このワイヤレス発信器は、片手で握れる程度の大きさに形成された本体ケースと、本体ケースに取り付けられた環状の紐体とを備えている。つまり、対象者は、紐体を首に掛けて本体ケースを首から吊り下げるようにしてワイヤレス発信器を携帯することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−274570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような従来例では、対象者が携帯型の無線機(特許文献1記載の従来例におけるワイヤレス発信器)を置き忘れてしまった場合、探し出すのに大変な労力を要するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、携帯型の無線機の所在を容易に探し出すことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の非常通知システムは、携帯型の第1無線機と、当該第1無線機と無線通信を行う第2無線機とを有し、前記第1無線機は、無線信号を送受信する第1送受信手段と、操作スイッチによる操作入力を受け付ける第1操作入力手段と、当該第1操作入力手段が前記操作入力を受け付けた場合に通報用の無線信号を前記第1送受信手段に送信させる第1制御手段と、音又は光の少なくとも何れ一方で報知する第1報知手段とを備え、前記第2無線機は、無線信号を送受信する第2送受信手段と、音又は光の少なくとも何れ一方で報知する第2報知手段と、前記第2送受信手段が前記通報用の無線信号を受信した場合に前記第2報知手段に報知させる第2制御手段と、操作スイッチによる操作入力を受け付ける第2操作入力手段とを備え、前記第2制御手段は、前記第2操作入力手段が前記操作入力を受け付けた場合に所在探索の無線信号を前記第2送受信手段に送信させ、前記第1制御手段は、前記第1送受信手段が前記所在探索の無線信号を受信した場合に前記第1報知手段に報知させることを特徴とする。
【0007】
この非常通知システムにおいて、前記第1制御手段は、前記第1報知手段の報知中に前記第1操作入力手段が前記操作入力を受け付けた場合に前記第1報知手段の報知を停止させることが好ましい。
【0008】
この非常通知システムにおいて、前記第1制御手段は、報知開始から所定時間が経過したら前記第1報知手段の報知を終了させることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の非常通知システムは、携帯型の無線機の所在を容易に探し出すことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態を示すブロック図である。
【図2】同上における第1無線機を示し、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
【図3】同上における第2無線機の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態の非常通知システムは、図1に示すように携帯型の第1無線機1と、第1無線機1と無線通信を行う第2無線機2とを有している。
【0012】
第1無線機1は、第1制御部10、アンテナ11、第1送受信部12、第1操作入力部13、第1報知部14などを備えている。第1送受信部12は、電波法施行規則第6条第4項第3号に規定される「小電力セキュリティシステムの無線局」に準拠して電波を媒体とする無線信号をアンテナ11を介して送受信するものである。第1報知部14は、スピーカ及びスピーカを駆動する駆動回路と、発光ダイオードからなる表示灯14A及び表示灯14Aの点灯回路とを具備している。第1操作入力部13は、押釦スイッチと押釦スイッチの押釦を押操作するための操作部15Aとを具備している。第1制御部10は、マイクロコンピュータやメモリ、タイマなどのハードウェアとマイクロコンピュータで実行されるプログラムなどのソフトウェアとで構成され、第1送受信部12や第1操作入力部13、第1報知部14などを制御する。なお、図示は省略しているが、第1無線機1には電池及び電池を電源として各部に動作電源を供給する電源回路が設けられている。
【0013】
また第1無線機1は、図2に示すように合成樹脂成形体からなるケース15の内部に第1制御部10、アンテナ11、第1送受信部12、第1操作入力部13、第1報知部14などが収納されている。このケース15は、扁平な略矩形箱状に形成されており、上面に環状の紐体16が取り付けられ、背面には金属製のクリップ17が取り付けられている。また、ケース15の前面には、第1操作入力部13が具備する押釦スイッチの押釦を押操作する操作部15Aが前後方向に移動自在に設けられている。また、第1報知部14が具備する表示灯14Aがケース15前面の操作部15Aの上方に露出している。
【0014】
第2無線機2は、第2制御部20、アンテナ21、第2送受信部22、第2操作入力部23、第2報知部24などを備えている。第2送受信部22は、第1送受信部12と同じく電波法施行規則第6条第4項第3号に規定される「小電力セキュリティシステムの無線局」に準拠して電波を媒体とする無線信号をアンテナ21を介して送受信するものである。第2報知部24は、スピーカ及びスピーカを駆動する駆動回路と、発光ダイオードから放射される光で種々の表示(ピクト表示)を行う表示デバイス24Aとを具備している。第2操作入力部23は、複数個の押釦スイッチと各押釦スイッチの押釦を押操作するための操作部とを具備している。第2制御部20は、マイクロコンピュータやメモリ、タイマなどのハードウェアとマイクロコンピュータで実行されるプログラムなどのソフトウェアとで構成され、第2送受信部22や第2操作入力部23、第2報知部24などを制御する。なお、図示は省略しているが、第2無線機2には商用電源から給電されて各部に動作電源を供給する電源回路が設けられている。
【0015】
また第2無線機2は、図3に示すように合成樹脂成形体からなるハウジング25の内部に第2制御部20、第2送受信部22、第2操作入力部23、第2報知部24などが収納されている。このハウジング25は、扁平な矩形箱状に形成されており、側面にアンテナ21が取り付けられている。また、ハウジング25の前面における右端部には、第2操作入力部23が具備する4個の押釦スイッチの押釦をそれぞれ各別に押操作する4つの操作部23A、23B、23C、23Dが前後方向に移動自在に設けられている。また、ハウジング25の前面における右端上部には、第2報知部24が具備するスピーカの音をハウジング25の外に放射するための多数の孔25Aが設けられている。
【0016】
一番上の操作部23Aが押操作されると、第2操作入力部23で警戒モードへ切り換えるための操作入力が受け付けられ、第2制御部20に対して警戒モードへの切換を指示する操作信号が第2操作入力部23から出力される。第2制御部20は、前記操作信号が入力されると警戒モードに移行し、第2送受信部22を受信状態で動作させる。
【0017】
一方、第1無線機1を携帯する対象者が操作部15Aを押操作すると、第1操作入力部13から第1制御部10に操作信号が出力される。第1制御部10は、第1操作入力部13から出力される前記操作信号を受け取ると第1送受信部12に通報用の無線信号を送信させる。第2無線機2では、第1無線機1から送信される通報用の無線信号を第2送受信部22で受信すると、第2制御部20が第2報知部24を制御してスピーカから報知音(呼出音)を鳴動させるとともに表示デバイス24に呼出を示すピクト表示を行わせる。このようにして、第1無線機1を携帯する対象者に異変が生じたことを第2無線機2の第2報知部24で報知することができる。なお、第2無線機2において、第2報知部24の報知中に第2操作入力部23の操作部23Bが押操作されると、第2操作入力部23から第2制御部10に操作信号(報知停止用の操作信号)が出力される。第2制御部20は、第2操作入力部23から出力される前記操作信号を受けとけると、第2報知部24を制御して報知音の鳴動及びピクト表示を停止させる。
【0018】
次に、本発明の要旨について説明する。上述したように、対象者は紐体16を首に掛けたり、クリップ17で衣服の一部(ポケットなど)を挟むことで第1無線機1を携帯しているが、何かの作業(着替えや入浴など)をしたときに第1無線機1を置き忘れてしまう場合がある。このような場合、第2無線機2の操作部23Dが押操作されて第2操作入力部23から第2制御部20に操作信号が出力されると、第2制御部20が第2送受信部22から所在探索の無線信号を送信させる。
【0019】
第1無線機1では、第1送受信部12で所在探索の無線信号を受信すると、第1制御部10が第1報知部14を制御してスピーカから報知音を鳴動させるとともに表示灯14Aを点灯させる。したがって、スピーカから鳴動される報知音や表示灯14Aの光を頼りにして第1無線機1を容易に探し出すことができる。
【0020】
ここで、第1報知部14の報知中に操作部15Aが押操作されて第1操作入力部13が操作入力を受け付けた場合、第1制御部10が第1報知部14の報知を停止させることが好ましい。これにより、第1無線機1が見つかった時点で第1無線機1の操作部15Aを押操作することで直ちに報知音等を停止させて電池の消耗を抑えることができる。また、複数台の第1無線機1が同時に稼働している場合、所在探索の対象でない第1無線機1の第1報知部14による報知を停止させることで報知音等による煩わしさが低減されるという利点もある。
【0021】
さらに、第1無線機1の第1報知部14が報知を長時間継続した場合に電池が著しく消耗してしまう虞がある。そこで、報知開始から所定時間(数分〜数十分)が経過したら、第1制御部10が第1報知部14に報知を停止させて電池の消耗を抑えることが望ましい。
【0022】
なお、本実施形態では第1報知部14が音(スピーカの鳴動音)と光(表示灯14A)の両方で報知する場合を例示したが、音のみ又は光のみで報知しても構わない。
【符号の説明】
【0023】
1 第1無線機
2 第2無線機
10 第1制御部(第1制御手段)
11 アンテナ(第1送受信手段)
12 第1送受信部(第1送受信手段)
13 第1操作入力部(第1操作入力手段)
14 第1報知部(第1報知手段)
20 第2制御部(第2制御手段)
21 アンテナ(第2送受信手段)
22 第2送受信部(第2送受信手段)
23 第2操作入力部(第2操作入力手段)
24 第2報知部(第2報知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯型の第1無線機と、当該第1無線機と無線通信を行う第2無線機とを有し、前記第1無線機は、無線信号を送受信する第1送受信手段と、操作スイッチによる操作入力を受け付ける第1操作入力手段と、当該第1操作入力手段が前記操作入力を受け付けた場合に通報用の無線信号を前記第1送受信手段に送信させる第1制御手段と、音又は光の少なくとも何れ一方で報知する第1報知手段とを備え、前記第2無線機は、無線信号を送受信する第2送受信手段と、音又は光の少なくとも何れ一方で報知する第2報知手段と、前記第2送受信手段が前記通報用の無線信号を受信した場合に前記第2報知手段に報知させる第2制御手段と、操作スイッチによる操作入力を受け付ける第2操作入力手段とを備え、前記第2制御手段は、前記第2操作入力手段が前記操作入力を受け付けた場合に所在探索の無線信号を前記第2送受信手段に送信させ、前記第1制御手段は、前記第1送受信手段が前記所在探索の無線信号を受信した場合に前記第1報知手段に報知させることを特徴とする非常通知システム。
【請求項2】
前記第1制御手段は、前記第1報知手段の報知中に前記第1操作入力手段が前記操作入力を受け付けた場合に前記第1報知手段の報知を停止させることを特徴とする請求項1記載の非常通知システム。
【請求項3】
前記第1制御手段は、報知開始から所定時間が経過したら前記第1報知手段の報知を終了させることを特徴とする請求項1又は2記載の非常通知システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−26731(P2013−26731A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158167(P2011−158167)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】