説明

非接触式エネルギー充電及びデータ伝送用の誘導コイル

直接的な電気接触無しに、充電機とバッテリーの誘導結合を用いてバッテリーを充電したりデータを送ったりする非接触式エネルギー充電及びデータ伝送用の誘導コイルを提供する。前記誘導コイルは、所定の回路パターンが形成されている2以上のプリント回路基板が積層されており、前記回路パターンの外部に位置する第1の末端は前記第1の末端を貫通する第1の接続部により電気的に連結され、前記回路パターンの内部に位置する第2の末端は前記第2の末端を貫通する第2の接続部により電気的に連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は非接触式エネルギー充電及びデータ伝送用の誘導コイルに係り、さらに詳しくは、直接的な電気接触なしに、充電機とバッテリーとの間の誘導結合を用いてバッテリーを充電したりデータを伝送したりするのに用いて好適な非接触式エネルギー充電及びデータ伝送用の誘導コイルに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、携帯電話、デジタルカメラなどの携帯用の電子器機に加えて、ロボット掃除機、無線キーボードなど各種の無線電子器機が開発・普及されるに伴い、これらの器機において電源の役割を果たすバッテリーパックの使用が増大しつつある。この器機内のバッテリーパックは、内蔵されたバッテリーセルと入出力端子などから構成され、別設される専用の充電機との直接的な電気接触により充電される。しかしながら、前記バッテリーパック及び前記バッテリーパックのための充電機は製品またはメーカーによって様々な形状とサイズを有するため、充電のためにはバッテリーパック用の専用の充電機を使用することを余儀なくされ、バッテリーパックと充電機との間の接触不良、充電端子の電気的な短絡による誤動作などの問題が発生するという欠点がある。
【0003】
このような問題を解消するために、充電機とバッテリーとの間の誘導結合を用いて、バッテリーを非接触式にて充電機に結合させるような方法が講じられている。非接触式充電方法において、高周波において動作する変圧器の1次側送信巻線が充電機に位置し、変圧器の2次側受信巻線がバッテリーパックなどの携帯移動装置に位置して、磁気結合により、充電機のエネルギーが携帯移動装置のバッテリーパックに供給される。しかしながら、通常の変圧器のように、誘導結合の媒体としてコイル及び磁性体コアを使用する場合、これらの製造が複雑であるだけではなく、充電機及び携帯用の器機の体積と重量が増大する。このため、変圧器の1次及び2次の側巻線をプリント回路基板(PCB)タイプに構成した非接触式バッテリーが提案されている(例えば、下記の特許文献1及び2参照)。具体的に、下記の特許文献1には巻線型回路パターンを形成した1対のPCBを変圧器の送信側と受信側に利用する非接触式充電装置が開示されており、下記の特許文献2には巻線型回路パターンを形成したPCBを多数積層し、これらを直列連結して送信側または受信側に利用することにより磁界受信強度を高めた非接触式充電装置が開示されている。このように、多数の巻線型回路パターンPCBを直列連結する場合、生成される磁界の強度が大きくなるため、電流の伝送量を一定程度増大させることはできる。しかしながら、回路パターンの抵抗値が高くなるため電力伝送効率が下がり、相対的に多量の熱と電磁波が発生する結果、器機の寿命が短縮され、人体に好ましくない影響を及ぼすだけではなく、PCBの直列連結工程が複雑になるという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】大韓民国公開特許公報2002−57469号
【特許文献2】大韓民国登録実用新案公報0357251号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、電力伝送効率及び伝送速度に優れたエネルギー充電及びデータ伝送用の誘導コイルを提供するところにある。
【0006】
本発明の他の目的は、製作し易く、且つ、量産し易いエネルギー充電及びデータ伝送用の誘導コイルを提供するところにある。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、薄膜化し易いエネルギー充電及びデータ伝送用の誘導コイルを提供するところにある。
【0008】
本発明による誘導コイルは、生産品質の均一度に優れており、直列式ではなく、並列式に構成され、アルミニウムをはじめとする銅、亜鉛、銀、金、白金、錫の金属素材から製造可能になるだけではなく、エッチング法、スパッターリング法、印刷方式の種々の方法により製造可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、所定の回路パターンが形成されている2以上のプリント回路基板が積層されてなり、前記回路パターンの外部に位置する第1の末端は前記第1の末端を貫通する第1の接続部により電気的に連結され、前記回路パターンの内部に位置する第2の末端は前記第2の末端を貫通する第2の接続部により電気的に連結されている誘導コイルを提供する。
【0010】
また、本発明は、電源に連結され、前記電源からの電流を送信する1次側送信巻線を有する電流送信部と、前記1次側送信巻線に誘導結合されて電流を受信し、受信された電流によりバッテリーを充電する2次側受信巻線を有する電流受信部と、を備える非接触式充電装置において、前記1次側送信巻線及び2次側受信巻線よりなる群から選ばれる少なくとも1巻線は、所定の回路パターンが形成されている2以上のプリント回路基板が積層されてなり、前記回路パターンの外部に位置する第1の末端が前記第1の末端を貫通する第1の接続部により電気的に連結され、前記回路パターンの内部に位置する第2の末端が前記第2の末端を貫通する第2の接続部により電気的に連結されるように、形成されている非接触式充電装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明による非接触式充電装置は、電力伝送効率及び伝送速度に優れているだけではなく、製作し易く、しかも、量産し易いというメリットがある。また、本発明による非接触式充電装置は、パッドなどの薄膜状に製作されて、種々のバッテリー式無線器機に有効に適用可能である。すなわち、本発明による非接触式充電装置は、例えば、携帯電話、MP3プレーヤー、PDA、ノート型パソコン、デジタルカメラ、カムコーダー、携帯用のゲーム機、携帯メディアプレーヤー(PMP)などの携帯用の電子器機だけではなく、携帯用の医療装備、ロボット、ロボット掃除機、おもちゃ用のロボット、小型電動車または自動車、自動真空掃除機、電気カミソリ、無線キーボードなどの各種の無線器機など、2次電池による充電が必要とされるあらゆる有無線装置に有効に適用可能である。さらに、本発明による非接触式充電装置は、マウスとマウスパッドなどの瞬時誘導電流を用いて瞬時充電が行える用途にも使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態による非接触式エネルギー充電及びデータ伝送用の誘導コイルの構成及び使用状態を説明するための図である。
【図2】本発明の一実施形態による非接触式エネルギー充電及びデータ伝送用の誘導コイルに用いられる1次側送信巻線または2次側受信巻線の構成を説明するための分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態による非接触式エネルギー充電及びデータ伝送用の誘導コイルに用いられる巻線の正面図である。
【図4】本発明の一実施形態による非接触式エネルギー充電及びデータ伝送用の誘導コイルに用いられる巻線の背面図である。
【図5】本発明の一実施形態による非接触式エネルギー充電及びデータ伝送用の誘導コイルに用いられる巻線のA−A線側断面図である。
【図6】本発明の他の実施形態によるデータ伝送用の誘導コイルに用いられる巻線の正面図。
【図7】本発明のさらに他の実施形態による非接触式エネルギー充電及びデータ伝送用の誘導コイルに用いられる巻線の正面図である。
【図8】本発明の他の実施形態による非接触式エネルギー充電及びデータ伝送用の誘導コイルに用いられる巻線の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、下記の詳細な説明を参照すれば本発明はより容易に理解できる。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態による非接触式エネルギー充電及びデータ伝送用の誘導コイルの構成及び使用状態を説明するための図である。図1に示すように、本発明による非接触式充電装置は、電源10に連結され、前記電源10からの電流を送信する1次側送信巻線22を有する電流送信部20と、前記1次側送信巻線22に誘導結合されて電流を受信し、受信された電流によりバッテリー12を充電する2次側受信巻線32を有する電流受信部30と、を備える。前記電流受信部30は、充電されるバッテリー12と一体に形成されてもよく、バッテリー12が装着される無線装置14に設けられてもよく、バッテリー12と一緒にまたは別途に無線装置14に着脱されるような構造を有してもよい。また、前記電流送信部20はパッド状の構造を有することが好ましい。前記電流送信部20及び電流受信部30は商用の電源10をバッテリー12の充電に適するように変換し、バッテリー12の充電に必要となる通常の各種の電子素子を備える。すなわち、前記電流送信部20は通常のダイオード整流器、フリーボルト変換機、AC/DCコンバーター、DC/DCコンバーター、インバーターなどを備えていてもよく、前記電流受信部30は通常の整流器、キャパシターなどを有していてもよい。なお、これら素子の構成は、例えば、上記の特許文献1及び2などに開示されている。
【0015】
図2は、本発明の一実施形態による非接触式エネルギー充電及びデータ伝送用の誘導コイルが用いられる1次側送信巻線22及び/または2次側受信巻線32の構成を説明するための分解斜視図であり、図3は、本発明の一実施形態による非接触式エネルギー充電及びデータ伝送用の誘導コイルに用いられる巻線22、32の正面図であり、図4は、本発明の一実施形態による非接触式エネルギー充電及びデータ伝送用の誘導コイルに用いられる巻線22、32の背面図であり、図5は、本発明の一実施形態による非接触式エネルギー充電及びデータ伝送用の誘導コイルに用いられる巻線22、32のA−A線側断面図である。図2から図5に示すように、本発明による非接触式充電装置に用いられる巻線22、32は2以上のプリント回路基板50が積層されてなり、それぞれのプリント回路基板50の上には所定の回路パターン52、例えば、好ましくは、螺旋状円形回路パターン52または螺旋状矩形回路パターンが同じ形状に形成されている。前記回路パターン52の両末端のうち回路パターン52の外部に位置する第1の末端54は全ての第1の末端54を貫通する第1の接続部54aにより電気的に連結され、前記回路パターン52の内部に位置する第2の末端56は全ての第2の末端56を貫通する第2の接続部56aにより電気的に連結されている。前記第1の接続部54a及び第2の接続部56aはそれぞれ第1及び第2の端子54b、56bに連結され、必要に応じて通常の充電用の素子を介して電源10に連結されるか、あるいは、バッテリー12に連結される(図1参照)。ここで、前記1次側送信巻線22及び2次側受信巻線32が同じ形状を有すると、電力伝送効率が上がるため好ましい。
【0016】
図1に示すように、前記1次側送信巻線22及び/または2次側受信巻線32はほとんど同じ形状を有し、データを送信する器機側とデータを受信する器機側にそれぞれ組み付けられてデータ伝送用の誘導コイルとして使用可能である。すなわち、1次側送信巻線22及び/または2次側受信巻線32は電力伝送用だけではなく、データ伝送用の誘導コイルとして使用可能である。例えば、所定のデータに相当する信号間隔または信号強度を有する電源を前記1次側送信巻線22に供給し、これを2次側受信巻線32において受信する方法であって、データを送信する器機(1次側)からデータを受信する器機(2次側)にデータを送ることができる。また、図6に示すように、前記第1の接続部54a及び第2の接続部56aに加えて、回路パターン52に電気的に連結される第3の接続部55がさらに形成されている。第3の接続部55にデータ信号を印加すると、前記第3の接続部55に印加されたデータ信号は前記第1の接続部54a及び第2の接続部56aに印加された電流と一緒に2次側受信巻線32に送られる。このため、2次側受信巻線32は受信された電流からデータ信号を分離してデータを受信することができる。このように第3の接続部55を有する3つの端子を利用すると、回路の追加数を極力抑えながらも、データをさらに効率よく送ることができる。このようなデータ伝送機能は充電機能と一緒に行われてもよい。
【0017】
前記回路パターン52が形成されているプリント回路基板50の積層数は、2以上、好ましくは3〜15、さらに好ましくは3〜10であり、前記プリント回路基板50の積層数が少な過ぎると、電力伝送効率及び伝送速度が十分に向上できない恐れがあり、積層数が多過ぎても電力伝送効率がむしろ低下する恐れがある。また、前記プリント回路基板50に形成されている螺旋状回路パターン52において、前記回路パターン52の巻取回数は5〜50であることが好ましく、さらに好ましくは、10〜30である。また、前記回路パターン52の最外径は10〜200mmであることが好ましく、さらに好ましくは、20〜80mmである。前記パターン52の巻取回数及び直径が前記範囲から外れると、回路幅が狭くてインピーダンスが増大したり、回路幅が拡大し過ぎて電力伝送効率がむしろ低下する恐れがある。回路パターン52は、図3に示すように円形であってもよく、図7に示すように矩形であってもよく、必要に応じて、三角形、台形、ダイヤモンド形状などの各種の形状を有してもよい。
【0018】
図4及び図5に示すように、巻線22、32の最下部プリント回路基板50の背面には、前記多数の螺旋状回路パターン52の第2の末端56を連結する第2の接続部56aを巻線22、32の外部に引き出すための引出線57が形成されていてもよい。また、前記引出線57は多数のプリント回路基板52を貫通する第3の接続部58に連結されて、前記多数のプリント回路基板50のうち最上部プリント回路基板50の上部に形成されている第2の端子56bに連結されることが好ましい。このように多数の螺旋状回路パターン52の第2の末端56と連結される第2の接続部56aと、第1の末端54と連結される第1の接続部54aを同じ平面上に位置付けることにより、電流送信部20及び電流受信部30内にプリント回路基板50を効率よく配設することができる。さらに、図8に示すように、前記引出線57を前記最下部プリント回路基板50の背面に形成する代わりに、引出線57が形成されているプリント回路基板59を別途に製作し、これを第2の接続部56aおよび第3の接続部58が形成されている最下部プリント回路基板50の背面に貼り付けてもよい。
【0019】
本発明によるプリント回路基板50、59は、通常のフォトリソグラフィ方法により、従来のフォトリソグラフィによる絶縁物質製の基板の上に所定の回路パターン52または引出線57パターンを形成して製造することができる。本発明によるプリント回路基板50、59は、好ましくは、軟性印刷回路(Flexible Printed Circuit:FPC)、軟性銅箔積層フィルム(flexible copper clad laminate)などの柔軟なポリエステルフィルム、ポリイミドフィルムなどの耐熱性プラスチックフィルムの上に銅、アルミニウム、白金、ニッケル、亜鉛、銀、金、錫、伝導性高分子などの伝導性物質を用いて、回路パターン52または引出線57パターンを形成して製造することもできる。すなわち、積層フィルム、プリント回路基板50、59を絶縁性接着剤により貼り付けたり物理的に積層することが容易であることから、軟性銅箔積層フィルムを使用することが好ましい。また、本発明によるプリント回路基板50、59は、耐熱性フィルムなどの基板の上に伝導性物質をスパッターリングして蒸着したり、伝導性物質を含むペーストを耐熱性フィルムなどの基板の上にプリントしたり、基板に伝導性物質層を形成し、これを所定の形状にエッチングしたりして製造することもできる。ここで、ペーストに含まれる伝導性物質はナノ寸法の粒子であることが好ましい。このため、上記の方式により回路パターン52を自由に形成することができ、用途に応じて回路パターン52の厚さを調節することができる。従って、回路パターンの形状及び厚さを調節することにより、プリント回路基板50、59からの熱発生量を制御することができる。さらに、Si、Ag、Feなどの伝導性物質を前記耐熱性フィルムなどの絶縁性基板にペースト状にコーティングすることにより(この場合、前記所定の回路パターンとの接触を避けることが好ましい)、基板の内部に含浸されるときに電磁波遮蔽効果が得られる。
【0020】
さらに、前記第1から第3の接続部54a、56a、58は積層されたプリント回路基板50を小型ドリルにより貫通し、このときに穿孔された貫通孔に伝導性高分子、銅などの伝導性物質を詰め込んで形成することができる。
【0021】
このような構成により、多数の前記プリント回路基板50に形成されている螺旋状回路パターン52は前記第1の接続部54a及び第2の接続部56aの間、すなわち、1対の端子54b、56bの間において互いに並列連結されたような構造を有する。すなわち、プリント回路基板50に形成されている螺旋状回路パターン52の全ての開始点は第1の接続部54aにより接続され、螺旋状回路パターン52の全ての終点は第2の接続部56aにより接続されて、螺旋状回路パターン52は互いに並列連結される。このように螺旋状回路パターン52が並列連結されるため、螺旋状回路パターン52における直列連結と比較して、全体の回路の抵抗が大幅に減少し、電力の伝送効率が上がる。加えて、螺旋状回路パターン52がいずれも直列連結される場合、隣り合う層のプリント回路基板50において電流が互いに逆方向に移動する。しかしながら、本発明により螺旋状回路パターン52がいずれも並列連結されると、隣り合うプリント回路基板50において電流がいずれも同じ方向に、同じ軌跡に沿って移動する。このため、電流の強度が増幅されて電流の伝送効率が上がる。さらに、本発明においては、全ての印刷回路基板50が同じ形状を有し、印刷回路基板50が積層されている状態においてそれぞれ1回の貫通孔形成作業により前記第1の接続部54a、第2の接続部56a及び必要に応じて第3の接続部58を形成している。このため、製造工程が簡単であり、しかも、量産し易くなるというメリットを有する。また、本発明において、前記1次側送信巻線22及び2次側受信巻線32が両方とも積層されたプリント回路基板50から形成されてもよいが、必要に応じて、前記1次側送信巻線22及び2次側受信巻線32のいずれか一方のみが積層されたプリント回路基板50から形成されてもよい。
【実施例】
【0022】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳述する。下記の実施例は本発明をさらに詳述するためのものであって、本発明の範囲が下記の実施例により限定されることはない。
【0023】
[実施例1]
厚さ10μmのポリイミドフィルムの上に、銅を用いて、パターンの巻取回数が18であり、外径が42mmであり、厚さ(回路の厚さ)が0.65mmであり、パターン間の距離が0.2mmである螺旋状回路パターンを形成し、回路パターンを8層に積層してパッド状の電流送信部の1次側送信巻線として使用した。また、厚さ10μmのポリイミドフィルムの上に、銅を用いて、パターンの巻取回数が18であり、外径が30mmであり、厚さ(回路の厚さ)が0.54mmであり、パターン間の距離が0.2mmである螺旋状回路パターンを形成し、回路パターンを4層に積層してパッド状の電流受信部の2次側送信巻線として使用した。前記電流送信部及び受信部を接触させ、1次側送信巻線に電流0.151A及び電圧4.62Vを供給しながら、2次側受信巻線からの電流及び電圧を測定したところ、それぞれ0.112A、3.81Vであり、電流の伝送効率は61%であった。ここで、計算式は、伝送効率=(2次側受信巻線の電流×電圧)÷(1次側送信巻線の電流×電圧)×100であった。
【0024】
[実施例2]
実施例1における1次側送信巻線と同じものをパッド状の電流送信部の1次側送信巻線として使用した。厚さ10μmのポリイミドフィルムの上に、銅を用いて、パターンの巻取回数が18であり、外径が35mmであり、厚さ(回路の厚さ)が0.67mmであり、パターン間の距離が0.2mmである螺旋状回路パターンを形成し、回路パターンを5層に積層してパッド状の電流送信部の2次側受信巻線として使用した。前記電流送信部及び受信部を接触させ、1次側送信巻線に電流0.151A及び電圧4.62Vを供給しながら、2次側受信巻線からの電流及び電圧を測定したところ、それぞれ0.115A、3.85Vであり、電流の伝送効率は63%であった。
【0025】
[実施例3]
実施例1における1次側送信巻線と同じものをパッド状の電流送信部の1次側送信巻線として使用した。厚さ10μmのポリイミドフィルムの上に、銅を用いて、パターンの巻取回数が16であり、外径が34mmであり、厚さ(回路の厚さ)が0.75mmであり、パターン間の距離が0.2mmである矩形回路パターンを形成し、回路パターンを6層に積層してパッド状の電流送信部の2次側受信巻線として使用した。前記電流送信部及び受信部を接触させ、1次側送信巻線に電流0.151A及び電圧4.62Vを供給しながら、2次側受信巻線からの電流及び電圧を測定したところ、それぞれ0.119A、3.88Vであり、電流の伝送効率は66%であった。
【0026】
[比較例]
実施例1における1次側送信巻線と同じものをパッド状の電流送信部の1次側送信巻線として使用した。厚さ10μmのポリイミドフィルムの上に、銅を用いて、パターンの巻取回数が16であり、外径が30mmであり、厚さ(回路の厚さ)が0.54mmであり、パターン間の距離が0.2mmである螺旋状回路パターンを形成し、回路パターンを積層することなくパッド状電流送信部の2次側受信巻線として使用した。前記電流送信部及び受信部を接触させ、1次側送信巻線に電流0.151A及び電圧4.62Vを供給しながら、2次側受信巻線からの電流及び電圧を測定したところ、それぞれ0.072A、3.10Vであり、電流の伝送効率は32%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の回路パターンが形成されている2以上のプリント回路基板が積層されており、前記回路パターンの外部に位置する第1の末端は前記第1の末端を貫通する第1の接続部により電気的に連結され、前記回路パターンの内部に位置する第2の末端は前記第2の末端を貫通する第2の接続部により電気的に連結されている誘導コイル。
【請求項2】
前記回路パターンは螺旋状であり、前記回路パターンが形成されているプリント回路基板の積層数は2〜15であり、前記螺旋状回路パターンの巻取回数は5〜50であり、前記螺旋状回路パターンの最外径は10〜200mmである請求項1に記載の誘導コイル。
【請求項3】
前記回路パターンは、螺旋状円形回路パターン及び螺旋状矩形回路パターンよりなる群から選ばれる請求項1に記載の誘導コイル。
【請求項4】
前記プリント回路基板には、前記回路パターンが、絶縁物質製の基板の上方部に、銅、アルミニウム、白金、ニッケル、亜鉛、銀、金、錫及び伝導性高分子よりなる群から選ばれる伝導性物質から形成される請求項1に記載の誘導コイル。
【請求項5】
前記回路パターンは、基板の上に前記伝導性物質をスパッターリングして蒸着する方法、基板の上に前記伝導性物質を含むペーストを印刷する方法、及び基板の上に伝導性物質層を形成し、これを所定の形状にエッチングする方法よりなる群から選ばれる1以上の方法により形成される請求項4に記載の誘導コイル。
【請求項6】
前記プリント回路基板は、フォトエッチング方法により形成される請求項4に記載の誘導コイル。
【請求項7】
前記プリント回路基板は、軟性銅箔積層フィルムである請求項1に記載の誘導コイル。
【請求項8】
前記誘導コイルは、データ伝送に用いられる請求項1に記載の誘導コイル。
【請求項9】
前記回路パターンに電気的に連結されるデータ伝送用の接続部がさらに形成されている請求項8に記載の誘導コイル。
【請求項10】
電源に連結され、前記電源からの電流を送信する1次側送信巻線を有する電流送信部と、前記1次側送信巻線に誘導結合されて電流を受信し、受信された電流によりバッテリーを充電する2次側受信巻線を有する電流受信部と、を備える非接触式充電装置であって、
前記1次側送信巻線及び2次側受信巻線よりなる群から選ばれる少なくとも1巻線は、所定の回路パターンが形成されている2以上のプリント回路基板が積層され、前記回路パターンの外部に位置する第1の末端が前記第1の末端を貫通する第1の接続部により電気的に連結され、前記回路パターンの内部に位置する第2の末端が前記第2の末端を貫通する第2の接続部により電気的に連結されるように、形成されている非接触式充電装置。
【請求項11】
前記電流送信部はパッド状の構造を有し、前記電流受信部は充電されるバッテリーと一体に形成される請求項10に記載の非接触式充電装置。
【請求項12】
前記第1の接続部はプリント回路基板のうち最上部プリント回路基板の上方部に形成されている第1の端子に連結され、前記回路パターンの第2の末端を連結する第2の接続部を巻線の外部に引き出すための引出線が前記巻線の最下部印刷回路パターンの背面に形成されており、前記引出線は、多数のプリント回路基板を貫通する第3の接続部に連結されて前記最上部プリント回路基板の上方部に位置する第2の端子に連結される請求項10に記載の非接触式充電装置。
【請求項13】
前記引出線は、別途のプリント回路基板に形成された後、前記第2の接続部と第3の接続部が形成されている最下部プリント回路基板の背面に貼り付けられる請求項12に記載の非接触式充電装置。
【請求項14】
前記非接触式充電装置は、データが伝送可能であり、且つ、携帯電話、MP3プレーヤー、PDA、ノート型パソコン、デジタルカメラ、カムコーダー、携帯用のゲーム機、携帯メディアプレーヤー(PMP)、携帯用の医療装備、ロボット、ロボット掃除機、おもちゃ用のロボット、小型電動車または自動車、自動真空掃除機、電気カミソリ、無線キーボード及びマウスよりなる群から選ばれる1以上の、2次電池による充電が必要とされる装置に用いられる請求項10に記載の非接触式充電装置。
【請求項15】
前記1次側送信巻線及び2次側受信巻線は同じ形状を有する請求項10に記載の非接触式充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−545876(P2009−545876A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522721(P2009−522721)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際出願番号】PCT/KR2007/003731
【国際公開番号】WO2008/016273
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(500116041)エスケー ケミカルズ カンパニー リミテッド (49)
【Fターム(参考)】