説明

非接触式電力伝送装置、並びにこれに用いられる給電装置、受電装置及び電磁誘導用コイル

【課題】非接触式電力伝送装置の電力伝送効率を向上させる。
【解決手段】給電コイル20と受電コイル31との間で電磁誘導を利用して電力を伝送する非接触式電力伝送装置1について、給電装置10に、給電コイル20を含めて構成される共振回路13を設け、給電コイル20を、複数の平面コイル21,22で構成し、これらの素線が同一軸を中心として巻くようにして形成し、かつ互いの自己インダクタンスの値を略同値とする。この場合に、給電コイル20を構成する複数の平面コイル21,22について、中央に空間部をそれぞれ形成し、相互の内縁寸法及び外縁寸法を順次小さくなるように形成し、それぞれの前記空間部に外縁寸法の小さな平面コイルを順次配置して、一平面をなすようにする。あるいは、給電コイルを、並列された素線を渦巻き状に巻いてなる複数の平面コイルの群で構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁誘導を利用して給電コイルと受電コイルとの間で電力を伝送する非接触式電力伝送装置、並びにこれに用いられる給電装置、受電装置及び電磁誘導用コイルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から電磁誘導を利用して給電装置から受電装置に電力を伝送する非接触式電力伝送装置が知られている。 図30は、非接触式電力電送装置300の回路の等価回路図である。この図30に示すように給電装置301は、コンデンサ302及びコイルを直列に接続してなる共振回路を具備し、交流電源304から交流電圧を印加するように構成されている。共振回路を構成しているコイルが給電コイル303である。なお、図に示した抵抗305はキャパシタを駆動する回路の内部抵抗Rpを表している。一方、受電装置310は受電コイル311を具備しており、電力伝送の際には、受電コイル311が給電コイル303と対向されるように配される。なお、受電装置310側に示した抵抗312は負荷抵抗RLを表している。
【0003】
非接触式電力伝送装置300は、給電コイル303と受電コイル311とが対向されて配された状態で、給電コイル303が形成する磁束の影響を受電コイル311に与える電磁誘導を利用するものである。
【0004】
近年、携帯端末等の分野では、その充電手法として、電磁誘導を利用する試みがなされ始めている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
もっとも、非接触式電力電送装置は、一つの磁性体に一次コイルと二次コイルの双方向巻き付けて構成した通常のトランスと比較して伝送効率が低いという難点がある。このため、非接触式電力伝送装置において、伝送効率を向上するための試みも従来からなされている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
この特許文献2に開示の発明では、消費電力の低減を図るべく、給電装置側の1次側誘導コイルと受電装置側の2次側誘導コイルにコンデンサをそれぞれ並列接続し、この並列接続によって給電装置である充電器及び受電装置であるコードレス機器とLC並列共振回路を構成している。また、1次側誘導コイルと2次側誘導コイルをシートコイルにより構成し、これらを、充電状態時において所定のギャップをおいて相対向させるようにしている。特許文献2の発明は、このような構成を採用することで、相互誘導を適正なギャップで行えるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−166763号公報
【特許文献2】特開平10−23677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、電力伝送の効率を向上させるためには、給電コイルと受電コイルの間におけるギャップを適正化するだけでは自ずと限界がある。電力電送の効率を向上させるためには、電磁誘導の能力それ自体を向上させることがどうしても必要となる。しかも、携帯端末などの小型機器をも対象とするには、電力電送装置を小型にしつつ電磁誘導の能力を向上させることが必須となる。
【0009】
本発明では、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、電力電送装置を小型に維持しつつ、高い効率で伝よく伝送することができる非接触式電力伝送装置、並びにこれに用いられる給電装置及び電磁誘導用コイルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明では上記課題を解決するために、素線を渦巻状に巻いて形成した平面コイルからなる給電コイルを備えた給電装置と、素線を渦巻状に巻いて形成した平面コイルからなる受電コイルを備えた受電装置とを備え、前記給電コイルと前記受電コイルとの間で電磁誘導を利用して前記給電装置から前記受電装置に電力を伝送する非接触式電力伝送装置であって、前記給電装置は、前記給電コイルを含めて構成される共振回路を有し、前記給電コイルは、複数の平面コイルで構成され、これら複数の平面コイルは、その素線が同一軸を中心として巻かれて形成され、かつ互いの自己インダクタンスの値が略同値とされたことを特徴とする非接触式電力伝送装置を採用した。
【0011】
(2)この非接触式電力伝送装置において、前記給電コイルは、前記複数の平面コイルが一平面をなして構成されたことを特徴とする。
【0012】
(3)また、前記給電コイルを構成する複数の平面コイルは、中央に空間部がそれぞれ形成され、かつ、相互の内縁寸法及び外縁寸法が順次小さくなるように形成され、前記複数の平面コイルは、それぞれの前記空間部に外縁寸法の小さな平面コイルが順次配置され、前記複数の平面コイルは並列接続されていることを特徴とする。
【0013】
(4)この場合において、前記給電コイルを構成する平面コイルのうち最内部に配置された平面コイルの外縁寸法は、前記受電コイルの外縁寸法と略同寸に形成されていることを特徴とする。
【0014】
(5)また、前記給電コイルを構成する平面コイルは、少なくとも最内部に配された平面コイルが、並列に並べられた2本の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された2つの平面コイルにより構成され、かつ、前記2つの平面コイルは並列接続され、前記2つの平面コイルのそれぞれの巻数が前記受電コイルの巻数よりも少なくなるよう構成されている。
【0015】
(6)あるいは、前記給電コイルを構成する平面コイルのうち少なくとも最内部に配された平面コイルは、並列に並べられた複数の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、前記平面コイル群を構成する各平面コイルは、前記受電コイルの巻数よりも少なく巻かれ、前記平面コイル群の中から選択された平面コイルに電流が流されるように構成する。
【0016】
(7)あるいは、前記給電コイルを構成する平面コイルのうち少なくとも最内部に配された平面コイルは、並列に並べられた少なくとも4本の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、前記平面コイル群を構成する各平面コイルは、前記受電コイルの巻数よりも少なく巻かれ、前記平面コイル群の中から、それぞれの間に少なくとも1本の素線を挟んで選択された複数の素線により構成される平面コイルを並列に接続して電流が流されるように構成することもできる。
【0017】
(8)このような場合に、前記受電コイルは、並列に並べられた複数の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、受電側の前記平面コイル群の中から選択された平面コイルが電磁誘導に利用されるように構成すると更によい。
【0018】
(9)また、本発明における非接触式電力伝送装置では、前記給電コイルは、並列に並べられた2本の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された2つの平面コイルから構成され、前記2つの平面コイルは並列接続されたことを特徴とする。
【0019】
(10)あるいは、前記給電コイルは、並列に並べられた複数の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、前記平面コイル群を構成する各平面コイルは、前記受電コイルの巻数よりも少なく巻かれて形成され、前記平面コイル群の中から選択された平面コイルに電流が流されるように構成してもよい。
【0020】
(11)あるいは、前記給電コイルは、並列に並べられた少なくとも4本の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、前記平面コイル群を構成する各平面コイルは、前記受電コイルの巻数よりも少なく巻かれ、前記平面コイル群の中から、それぞれの間に少なくとも1本の素線を挟んで選択された複数の素線により構成される平面コイルを並列に接続して電流が流されるように構成することもできる。
【0021】
(12)なお、このような場合において、前記受電コイルは、並列に並べられた複数の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、受電側の前記平面コイル群の中から選択された平面コイルが電磁誘導に利用されるようにするとよい。
【0022】
(13)また、本発明おける非接触式電力伝送装置では、前記給電コイルは、2つの平面コイルから構成され、前記2つの平面コイルが直列接続されていることを特徴とする。
【0023】
(14)この場合に、前記2つの平面コイルは、並列に並べられた2本の素線が同一軸を中心に巻かれて形成され、各平面コイルの最内周の素線同士が接続されるように構成するとよい。
【0024】
(15)また、本発明では上記課題を解決するために、素線を渦巻状に巻いて形成した平面コイルからなる給電コイルから、素線を渦巻状に巻いて形成した平面コイルからなる受電コイルに対し電磁誘導を利用して電力を伝送するために使用される給電装置であって、前記給電装置は、前記給電コイルを含めて構成される共振回路を有し、前記給電コイルは、複数の平面コイルで構成され、これら複数の平面コイルは、その素線が同一軸を中心として巻かれて形成され、かつ互いの自己インダクタンスの値が略同値とされた給電装置を採用した。
【0025】
(16)前記給電コイルは、前記複数の平面コイルが一平面をなして構成されたことを特徴とする。
【0026】
(17)そして、上記給電装置において、前記給電コイルを構成する複数の平面コイルは、中央に空間部がそれぞれ形成され、かつ、相互の内縁寸法及び外縁寸法が順次小さくなるように形成され、前記複数の平面コイルは、それぞれの前記空間部に外縁寸法の小さな平面コイルが順次配置され、前記複数の平面コイルは並列接続されていることを特徴とする。
【0027】
(18)この場合において、前記給電コイルを構成する平面コイルのうち少なくとも最内部に配された平面コイルは、並列に並べられた2本の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された2つの平面コイルにより構成され、前記2つの平面コイルが並列接続されるように構成するとよい。
【0028】
(19)あるいは、前記給電コイルを構成する平面コイルのうち少なくとも最内部に配された平面コイルは、並列に並べられた複数の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、前記平面コイル群の中から選択された平面コイルに電流が流されるように構成することもできる。
【0029】
(20)あるいは、前記給電コイルを構成する平面コイルのうち少なくとも最内部に配された平面コイルは、並列に並べられた少なくとも4本の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、前記平面コイル群の中から、それぞれの間に少なくとも1本の素線を挟んで選択された複数の素線により構成される平面コイルを並列に接続して電流が流されるように構成してもよい。
【0030】
(21)また、本発明では上記給電装置において、前記給電コイルは、並列に並べられた2本の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された2つの平面コイルから構成され、前記2つの平面コイルは並列接続されたことを特徴とする。
【0031】
(22)あるいは、前記給電コイルは、並列に並べられた複数の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、前記平面コイル群の中から択一的に選択された平面コイルに電流が流されるようにしてもよい。
【0032】
(23)あるいは、前記給電コイルは、並列に並べられた少なくとも4本の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、前記平面コイル群の中から、それぞれの間に少なくとも1本の素線を挟んで選択された複数の素線により構成される平面コイルを並列に接続して電流が流されるようにしてもよい。
【0033】
(24)また、上記給電装置において本発明では、前記給電コイルは、2つの平面コイルから構成され、前記2つの平面コイルが直列接続されていることを特徴とする。
【0034】
(25)この場合に、前記2つの平面コイルは、並列に並べられた2本の素線が同一軸を中心に巻かれて形成され、各平面コイルの最内周の素線同士が接続されるように構成するとよい。
【0035】
(26)また、本発明では上記課題を解決するために、素線を渦巻状に巻いて形成した平面コイルからなる給電コイルから、素線を渦巻状に巻いて形成した平面コイルからなる受電コイルに対し電磁誘導を利用して電力を伝送するために使用される受電装置であって、前記受電コイルは、並列に並べられた複数の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、受電側の前記平面コイル群の中から選択された平面コイルが電磁誘導に利用される受電装置を採用した。
【0036】
(27)また、本発明では上記課題を解決するために、素線を渦巻状に巻いて形成した平面コイルからなる給電コイルと、素線を渦巻状に巻いて形成した平面コイルからなる受電コイルとの間で電磁誘導を利用して電力を伝送する非接触式電力伝送装置に使用される電磁誘導用コイルであって、前記給電コイルは、複数の平面コイルで構成され、これら複数の平面コイルは、その素線が同一軸を中心として巻かれて形成され、かつ互いの自己インダクタンスの値が略同値とされた電磁誘導用コイルを採用することとした。
【0037】
(28)この電磁誘導用コイルに関し、前記給電コイルは、前記複数の平面コイルが一平面をなして構成されたことを特徴とする。
【0038】
(29)また、上記電磁誘導用コイルに関し、前記給電コイルを構成する複数の平面コイルは、中央に空間部がそれぞれ形成され、かつ、相互の内縁寸法及び外縁寸法が順次小さくなるように形成され、前記複数の平面コイルは、それぞれの前記空間部に外縁寸法の小さな平面コイルが順次配置され、前記複数の平面コイルは並列接続されていることを特徴とする。
【0039】
(30)この場合において、前記給電コイルを構成する平面コイルのうち最内部に配された平面コイルの外縁寸法は、前記受電コイルの外縁寸法と略同寸に形成されるように構成するとよい。
【0040】
(31)また、上記電磁誘導用コイルにおいて、前記給電コイルを構成する平面コイルのうち少なくとも最内部に配された平面コイルが、並列に並べられた2本の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された2つの平面コイルにより構成され、かつ前記2つの平面コイルは並列接続され、前記2つの平面コイルのそれぞれの巻数が前記受電コイルの巻数よりも少なくなるように構成する。
【0041】
(32)あるいは、前記給電コイルを構成する平面コイルのうち少なくとも最内部に配された平面コイルは、並列に並べられた複数の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、前記平面コイル群を構成する各平面コイルは、前記受電コイルの巻数よりも少なく巻かれて形成され、前記平面コイル群には、この平面コイル群を構成する各平面コイルの中から電流を流す平面コイルを選択可能とする接続端子が設けられるようにしてもよい。
【0042】
(33)あるいは、前記給電コイルを構成する平面コイルのうち少なくとも最内部に配された平面コイルは、並列に並べられた少なくとも4本の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、前記平面コイル群を構成する各平面コイルは、前記受電コイルの巻数よりも少なく巻かれて形成され、前記平面コイル群には、この平面コイル群を構成する各平面コイルの中から電流を流す複数の平面コイルを、選択されない他の平面コイルの素線をそれぞれの間に挟んで選択可能な接続端子が設けられ、選択された前記複数の平面コイルが並列に接続されるようにしてもよい。
【0043】
(34)このような場合に、選択すべき前記平面コイルを構成する素線には、他の平面コイルと区別する識別手段を設けるとよい。
【0044】
(35)また、上記の電磁誘導用コイルのように給電コイルを構成した場合において、前記受電コイルは、並列に並べられた複数の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、受電側の前記平面コイル群には、この平面コイル群の中から電磁誘導に利用される平面コイルを選択可能な接続端子が設けられたことを特徴とする。
【0045】
(36)この場合においても、選択すべき平面コイルを構成する素線には、他の平面コイルと区別する識別手段を設けるとよい。
【0046】
(37)また、本発明では上記電磁誘導用コイルにおいて、前記給電コイルを構成する平面コイルは、並列に並べられた2本の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された2つの平面コイルにより構成され、かつ前記2つの平面コイルは並列接続され、前記2つの平面コイルのそれぞれの巻数が前記受電コイルの巻数よりも少ないことを特徴とする。
【0047】
(38)あるいは、前記給電コイルは、並列に並べられた複数の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、前記平面コイル群を構成する各平面コイルは、前記受電コイルの巻数よりも少なく巻かれ、前記平面コイル群には、この平面コイル群を構成する各平面コイルの中から電流を流す平面コイルを選択可能とする接続端子が設けられている。
【0048】
(39)あるいは、前記給電コイルは、並列に並べられた少なくとも4本の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、前記平面コイル群を構成する各平面コイルは、前記受電コイルの巻数よりも少なく巻かれ、前記平面コイル群には、この平面コイル群を構成する各平面コイルの中から電流を流す複数の平面コイルを、選択されない他の平面コイルの素線をそれぞれの間に挟んで選択可能な接続端子が設けられ、選択された前記複数の平面コイルが並列に接続されている。
【0049】
(40)このような場合において、選択すべき平面コイルを構成する素線には、他の平面コイルと区別する識別手段を設けるとよい。
【0050】
(41)また、上記電磁誘導用コイルにおいて、給電コイルを上記のように構成した場合、前記受電コイルは、並列に並べられた複数の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、前記平面コイル群には、この平面コイル群を構成する各平面コイルの中から電磁誘導に利用する平面コイルを選択可能とする接続端子が設けられるように構成するとよい。
【0051】
(42)この場合にも、選択すべき平面コイルを構成する素線には、他の平面コイルと区別する識別手段が設けられている。
【0052】
(43)そして、本発明では上記電磁誘導用コイルにおいて、前記給電コイルは、2つの平面コイルから構成され、前記2つの平面コイルが直列接続されていることを特徴とする。
【0053】
(44)この場合において、前記2つの平面コイルは、並列に並べられた2本の素線が同一軸を中心に巻かれて形成され、各平面コイルの最内周の素線同士が接続される。
【発明の効果】
【0054】
本発明によれば、非接触式電力伝送装置を構成する給電装置が共振回路を備えていることから、共振回路を構成している給電コイルとコンデンサと間で共振現象を起こさせている。これにより、回路のインピーダンスを最小とし、得られる電流を最大として最大限の電力を受電装置に伝送させることができる。
【0055】
また、給電装置の給電コイルと受電装置の受電コイルとは相互インダクタンス及び結合係数により相互に影響し合っているが、給電装置が具備する共振回路のQ値を下げるために、給電コイルのインダクタンス値を下げている。このように給電側においてQ値を下げることで、受電側において、負荷抵抗が低い領域においては、受電コイル電圧を引き上げることができる。このことから、受電コイルの起電力を向上させることができる。一方、負荷抵抗が高い領域においては、負荷抵抗電流を引き下げることができる。このことから、発熱を抑えることができ、その結果、受電コイルの起電力を向上させることができる。
【0056】
さらに、本発明によれば、Q値を下げることで、受電コイル電圧の負荷抵抗値に対する依存特性について、負荷抵抗が小さい領域では受電コイル電圧が上がり、負荷抵抗の大きな領域では受電コイル電圧が下がる。即ち、変化に対応する変化を減少させて電圧の変化を平坦にして、負荷抵抗に依存する領域を広くすることができる。これにより、従来では、電圧の変化が大きいかったため、耐圧領域の広いICを選択しなければならなかったが、電圧の変化が減少して平坦にされることにより、耐圧領域の狭いICを選択する事が可能となる。
【0057】
また、複数の渦巻状に巻かれた素線からなる平面スパイラルコイルの群で給電コイル及び受電コイルを構成し、その中から選択した平面スパイラルコイルのみを電磁誘導に使用する場合、電磁誘導に利用される平面スパイラルコイルの素線同士の間には、選択されない平面スパイラルコイルの素線が介在されることになる。このため、電磁誘導に利用される平面スパイラルコイルの素線同士が密着することがなく、その結果、近接効果が生じることを効果的に阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる非接触式電力伝送装置に使用される給電コイル及び受電コイルの平面図である。
【図2】図1に示す給電コイル及び受電コイルが対向された状態を示す断面図である。
【図3】本発明の電力伝送装置の概要を示すブロック図である。
【図4】本発明の給電装置が具備する共振回路の等価回路図である。
【図5】本発明にかかる第1給電コイルから第3給電コイルにより構成された給電コイルの平面図である。
【図6】外形が六角形に形成された給電コイル及び受電コイルの平面図である。
【図7】本発明の第2実施形態にかかる非接触式電力伝送装置に使用される給電コイル及び受電コイルの平面図である。
【図8】図7に示す給電コイル及び受電コイルが対向された状態を示す断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態にかかる給電コイル及び受電コイルの平面図である。
【図10】図9に示した給電コイル及び受電コイルが対向された状態における図9のA部におけるA−A断面の拡大図である。
【図11】本発明の第4実施形態にかかる給電コイル及び受電コイルの平面図である。
【図12】図11に示した給電コイル及び受電コイルが対向された状態における図11のB部におけるB−B断面の拡大図である。
【図13】本発明の第5実施形態にかかる給電コイル及び受電コイルの平面図である。
【図14】図13に示した給電コイル及び受電コイルが対向された状態における図13のC部におけるC−C断面の拡大図である。
【図15】図13及び図14に示した実施例とは別の実施例にかかる第5実施形態にかかる給電コイル及び受電コイルの平面図である。
【図16】図15に示した給電コイル及び受電コイルが対向された状態における図15のD部におけるD−D断面の拡大図である。
【図17】本発明の第6実施形態にかかる給電コイル及び受電コイルの平面図である。
【図18】本発明の第7実施形態にかかる給電コイル及び受電コイルの平面図である。
【図19】本発明の第8実施形態にかかる給電コイル及び受電コイルの平面図である。
【図20】本発明の第9実施形態にかかる給電コイル及び受電コイルの平面図である。
【図21】図20に示した実施例とは別の実施例にかかる第9実施形態にかかる給電コイル及び受電コイルの平面図である。
【図22】本発明の第10実施形態にかかる給電コイルのブロック図である。
【図23】図22に示した給電コイルにおける部分断面図である。
【図24】図23に示した給電コイルとは別の実施例にかかる第10実施形態にかかる給電コイルの部分断面図である。
【図25】一般的なシングルタイプの給電コイルを使用した場合の負荷抵抗と受電コイル電圧との関係についてのシミュレーション結果を表すグラフである。
【図26】本発明の非接触式電力伝送装置にかかる給電コイルを使用した場合の負荷抵抗と受電コイル電圧の関係についてのシミュレーション結果を表すグラフである。
【図27】本発明の非接触式電力伝送装置と一般的なシングルタイプの給電コイルを使用した非接触式電力伝送装置とに関する、負荷抵抗に対する受電コイル電圧の関係を示したグラフである。
【図28】本発明の非接触式電力伝送装置と一般的なシングルタイプの給電コイルを使用した非接触式電力伝送装置とに関する、負荷抵抗に対する負荷抵抗電流の関係を示したグラフである。
【図29】本発明の非接触式電力伝送装置と一般的なシングルタイプの給電コイルを使用した非接触式電力伝送装置とに関する、負荷抵抗に対する消費電力の関係を示したグラフである。
【図30】従来の電磁誘導を利用した電力伝送装置に使用される回路の等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0060】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の非接触式電力伝送装置1に使用される電磁誘導用コイル20,31である給電コイル20及び受電コイル31の平面図を示し、図2は、給電コイル20と受電コイル31とが相互に対向された状態を側方からみた断面図を示している。また、図3は、本発明の第1実施形態にかかる非接触式電力伝送装置1の基本原理を表すブロック図を示し、図4は、その給電装置10が備える共振回路13の等価回路図を示している。
【0061】
まず、図3及び図4を参照して、非接触式電力伝送装置1の構成について説明する。
【0062】
非接触式電力伝送装置1は、給電装置10と受電装置30とから構成されている。
【0063】
給電装置10は、受電装置30に電力を供給する共振回路13と、共振回路13を駆動する駆動回路15と、駆動回路15を制御する制御回路16とを備えている。また、当該給電装置10の駆動に必要な電圧を印加するために、外部から供給される交流電圧を整流して所定の直流電圧を生成するAC/DC変換回路11と、駆動回路15にパルス波を印加するためのパルス波発信装置12とを備えている。
【0064】
AC/DC変換回路11には、例えば、電源ケーブルを介して、家庭用AC電源(AC100V〜240V))が供給される。そして、このAC/DC変換回路11は、供給された家庭用交流電圧を所定の直流電圧に変換し、変換した直流電圧を出力する。なお、このAC/DC変換回路11は、変換した直流電圧を、給電装置10が備える図示しない別回路(例えば、外部機器との通信を行う通信制御回路)に出力し、当該別回路を駆動している。
【0065】
パルス波発信装置12には、AC/DC変換回路11から出力された直流電圧が入力される。そして、パルス波発信装置12は、例えば0V−5Vのパルス波を駆動回路15に出力している。ただし、パルス波発信器12により発信されるパルス波のハイレベルにおける電圧は、仕様に応じ適切な値を発信すればよい。
【0066】
共振回路13は、一次側コンデンサ14及び給電コイル20を備えたLC直列回路から構成されており、駆動回路15からの出力に基づいて電磁誘導を生じさせ、受電装置30に設けられた受電コイル31に交流電圧を発生させている。この実施形態では、給電コイル20は二つの平面スパイラルコイル21,22が並列接続されて構成されている。なお、図4は、共振回路13として、LCR直列回路を示しているが、図4に示した符号17はキャパシタを駆動する回路の内部抵抗Rpを表している。
【0067】
駆動回路15には、パルス波発信装置12から発信されたパルス波が入力される。この駆動回路15は、制御回路16によって入力された交流電圧を共振回路13に出力するか否かの制御が行われつつ共振回路13へパルス波を出力している。
【0068】
そして、制御回路16は、図示しない制御部の制御に基づいて駆動回路15を駆動させるか否かを制御している。
【0069】
一方、受電装置30は、給電装置10の共振回路13の駆動に伴う電磁誘導により起電力が生ずる受電コイル31と、受電コイル31に発生した起電力の電力変換を行う電力変換回路32とを備えている。なお、この受電装置30の回路に生じる負荷抵抗を符号33で表している。
【0070】
受電コイル31は、給電コイル20に印加された電圧に伴ってこの受電コイル31の両端に電圧を発生させて誘導電流を発生させ、電力変換回路32に出力している。
【0071】
電力変換回路32は、整流回路を有し、入力された交流電流を直流電流に変換して図示しない充電器または電子機器に出力するようになっている。なお、例えば、整流回路は、ダイオードブリッジ回路によって構成されている。
【0072】
次に、図1及び図2を参照して電磁誘導用コイル20,31の構成を説明する。
【0073】
給電コイル20は、外側に配置された第1給電コイル21と、内側に配置された第2給電コイル22から構成されている。これら第1給電コイル21及び第2給電コイル22はいずれも平坦な平面スパイラルコイルにより構成されている。
【0074】
第1給電コイル21は、その素線21aが渦巻状に巻かれてドーナツ状に形成されており、その中央に空間部が設けられ、この空間部がコイル収容部25として構成されている。一方、第2給電コイル22も、その素線22aが渦巻状に巻かれて形成されており、その中心には素線22aの存在しない空間部が設けられている。即ち、第2給電コイル22は空芯平面スパイラルコイルである。そして、第2給電コイル22は、第1給電コイル21に形成されたコイル収容部25の内側に収容されている。コイル収容部25に第2給電コイル22が収容された状態において、給電コイル20の厚み方向に関し、第1給電コイル21から第2給電コイル22が突出することのないように第1給電コイル21及び第2給電コイル22は一平面をなしている。なお、第2給電コイル22を第1給電コイル21のコイル収容部25に収容する際に、第1給電コイル21の内縁と、第2給電コイル22の外縁との間に少なくとも1mmの隙間を形成するとよい。
【0075】
これら第1給電コイル21と第2給電コイル22とは、両者が同一方向に磁束を形成させるように並列接続されている。例えば、第1給電コイル21及び第2給電コイル22の双方を時計回りに外から内に巻いて形成した場合、第1給電コイル21及び第2給電コイル22の外周側の素線21a,22a同士を接続すると共に、第1給電コイル21及び第2給電コイル22の内周側の素線21a,22a同士を接続し、両者を並列接続する。
【0076】
また、第1給電コイル21のインダクタンスの値と、第2給電コイル22のインダクタンスの値は略同値となるように、第1給電コイル21及び第2給電コイル22は形成されている。これにより、給電コイル20に電流を流した際に、第1給電コイル21と第2給電のいずれかにのみ流れてしまうことを防止し、第1給電コイル21と第2給電の双方に電流が流れることを確保している。
【0077】
一方、受電コイル31も、素線31aを渦巻状に巻いて形成した平面スパイラルコイルから構成されている。この受電コイル31は、その外径が第2給電コイル22の外径とほぼ同寸に形成されると共に、その中心部には素線31aの存在しない空間部が形成されている。即ち、給電コイル20は空芯平面スパイラルコイルとして構成され、その外径及び内径はともに第2給電コイル22とほぼ同寸に形成されている。
【0078】
以上の給電装置10及び受電装置30を用いて給電装置10から受電装置30に電力伝送する際には、図2に示すように、給電コイル20と受電コイル31とを相互に対向させて、両者の間で電磁誘導を生じさせることで行われる。給電コイル20と受電コイル31とを対向させる際には、給電コイル20と受電コイル31との中心をできるだけ一致させる。
【0079】
次に、本実施形態にかかる非接触式電力伝送装置1における電力伝送の基本原理について説明する。
【0080】
この非接触式電力伝送装置1では、電磁誘導を利用して給電装置10から受電装置30に電力を伝送している。即ち、受電装置30が備える受電コイル31の起電力は、給電コイル20により形成される磁束が受電コイル31を鎖交する磁束の大きさに影響を受ける。そして、給電コイル20が形成する磁束の大きさは、給電コイル20を流れる電流により決定される。このことから、給電コイル20に流れる電流を大きく、発生する電圧を低下させることが、伝送効率を向上させて受電コイル31の起電力を向上させるためには重要である。
【0081】
この点に関し、本実施形態委かかる非接触式電力伝送装置1では、給電装置10が共振回路13を備えていることから、共振回路13において、給電コイル20と一時側コンデンサ14と間で共振現象を起こさせている。これにより、デジタル信号が正弦波形に変換され、かつ、共振状態においては、回路のインピーダンスが最小となり、得られる電流が最大となる。このような給電装置10の共振を利用して最大限の電力を受電装置30に伝送させている。
【0082】
また、電磁誘導を利用する場合、受電装置30が備える受電コイル31の電力は、電圧の2乗に比例し、抵抗値に反比例をする。このため、受電コイル31に発生する電圧の低下を防止することも重要である。より詳細には、受電コイル電圧の負荷抵抗RLの依存性について、負荷抵抗RLが低い領域では受電コイル電圧を上昇させる一方で、負荷抵抗RLの高い領域では受電コイル電圧を低下させることで、受電コイル電圧を負荷抵抗RL変化に対し一定に保たれることがきわめて重要となる。
【0083】
以上の点について、給電装置10が共振回路13を備えている。共振回路13では、コイルに発生する電圧は、Q値に影響を受け、Q値が定まればコイルに生じる電圧を決定することから、Q値に着目する。なお、Q値とは共振の度合いや鋭さを表す値であり、Qの値が低いということは共振を素早くコントロールし、素早くとめることができていることを示し、逆にQ値が高いということは共振が長く続いているということである。このQ値は次の式(1)で表される。
【0084】
Q=1/R×√(L/C)・・・(1)
【0085】
式(1)から明らかなように、Q値は、抵抗値Rと、キャパシタンスCの平方根の値に反比例し、インダクタンスLの平方根の値に比例する。Q値を小さくするには、抵抗値Rを大きくするか、キャパシタンスCを大きくするか、又はインダクタンスLを小さくすることが必要である。
【0086】
この点に関し、仮に抵抗値Rを大きくすると発熱し、キャパシタンスCを大きくすれば共振周波数が低下するという不都合がある。このため、インダクタンスLをさげることが最適である。
【0087】
ここで、本実施形態の給電コイル20のように第1給電コイル21の内側に第2給電コイル22を配置した場合における合成インダクタンスを求める。第1給電コイル21と第2給電コイル22の合成インダクタンスをLL、第1給電コイル21のインダクタンスをLp1,第2給電コイル22のインダクタンスをLp2とする。合成インダクタンスLLをLp1とLp2とで表すと次の式(2)で表すことができる。
【0088】
LL=Lp1×Lp2/(Lp1+Lp2)・・・(2)
【0089】
いま、第2給電コイル22のインダクタンスLp2の値が第1給電コイル21のインダクタンスLp1と同値であるとすれば、合成インダクタンスLLは、式(3)のように表すことができる。
【0090】
LL=Lp1/2・・・(3)
【0091】
このように、本実施形態にかかる給電装置10の給電コイル20によれば、一般的なシングルタイプの平面スパイラルコイルと比較してインダクタンスの値を約半分に低下させることができることになる。
【0092】
このように、給電コイル20のインダクタンスの値を低下させるとで、給電装置10が備える共振回路13のQ値を下げることができる。そして、給電装置10のQ値を下げることで、受電装置30では、受電コイル31の電圧は、負荷抵抗RLの変化に対し、より一定に維持され、使用したい実用領域における電圧を上昇せしめ、受電コイル電圧の負荷抵抗値の変化に対応する変化を減少させて電圧の変化を平坦にして、負荷抵抗に依存する領域を広くすることができる。
【0093】
既述のように、受電装置30は、電力変換回路32を具備している。この電力変換回路32には種々のICが使用される。一般的なシングルタイプの平面スパイラルコイルを使用していた場合には、電圧の変化が大きいかったため、耐圧領域の広いICを選択しなければならなかったが、電圧の変化が減少して平坦にされることにより、耐圧領域の狭いICを選択する事が可能となる。
【0094】
以上、給電コイルとして2つの平面スパイラルコイルを使用した2重コイルの場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、平面スパイラルコイルを3つ以上使用した多重コイルを使用して給電コイルを形成してもよい。
【0095】
図5は、3つの平面スパイラルコイルを使用して給電コイル40を形成したものを示している。
【0096】
この給電コイル40は、中央に空間部がそれぞれ形成された平面スパイラルコイルが用いられている。各平面スパイラルコイルは、相互の内縁寸法及び外縁寸法が順次小さくなるように形成され、外側から順に第1給電コイル41、第2給電コイル、第3給電コイルのように配置されている。
【0097】
具体的には、第2給電コイル42の外径は、第1給電コイル41の内径より小さく形成され、第3給電コイル43の外径は第2給電コイル42の内径より小さく形成されている。そして、第1〜第3の給電コイル41,42,43は、第2給電コイル42が第1給電コイル41の中央に形成された空間部の内側に配置され、さらに、第3給電コイル43は、第2給電コイル42の中央に形成された空間部の内側に配置されている。この場合においても、第1給電コイル41の内縁と第2給電コイル42の外縁との間、及び第2給電コイル42の内縁と第3給電コイル42の外縁との間にはそれぞれ1mm以上の隙間を形成するとよい。
【0098】
また、第1〜第3の給電コイル41,42,43は、給電コイル40の厚み方向に関し、相互に突出することなく平面状をなしている。さらに、第1〜第3の給電コイル41,42,43は、それぞれの最外周に位置する素線同士が接続されると共に、最内周に位置する素線同士が接続されて並列接続されている。
【0099】
なお、このように複数の平面スパイラルコイルで給電コイルを形成した場合においても、最も内側に配置された平面スパイラルコイルの外径は、受電コイルの外径と略同寸に形成するよい。
【0100】
以上、平面スパイラルコイルの外形が円形であるものを例に説明したが、平面スパイラルコイルの外形は三角形、四角形、五角形、六角形などの多角形に形成してもよい。
【0101】
図6は、六角形に形成した電磁誘導コイルを示している。
【0102】
給電コイル45は、外寸が大きく形成された第1給電コイル46と外寸の小さく形成された第2給電コイル47とから構成されている。第1給電コイル46は、その外形が六角形となるようにその素線が渦巻状に巻かれ、中央には素線の存在しない空間部が形成されている。同様に、第2給電コイル47も、その中央に空間部が形成されるようにして、外形が六角形をなすように渦巻状に素線が巻かれて形成されている。そして、第1給電コイル46を構成する素線と第2給電コイル47を構成する素線とは、同一軸が中心となるように巻かれて構成されるように、第1給電コイル46の中央に形成された空間部の内側に第2給電コイル47が配置されて給電コイル45は構成される。
【0103】
なお、この給電コイル45についても、第1給電コイル46と第2給電コイルとが、厚み方向に関して相互に突出されることなく平面状をなしている。また、第1給電コイル46の内縁と、第2給電コイル47の外縁との間には1mm以上の隙間を形成するとよい。
【0104】
一方、受電コイル48も、その外形が六角形をなすようにして素線が渦巻状に巻かれて構成されている。この受電コイル48は、その外縁寸法及び内縁寸法が給電コイル45のうち、内側に配置されている第2給電コイル47の外縁寸法及び内縁寸法とほぼ同寸に形成されている。
【0105】
[第2実施形態]
次に、図7及び図8を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
【0106】
既述のように、電磁誘導を利用して電力伝送するには、給電装置10が備える共振回路13のQ値を下げることが効果的である。この第2実施形態においても、Q値を下げるために採用した構成である。なお、この第2実施形態は、電磁誘導用コイル50,60の構成のみが第1実施形態にかかる非接触式電力伝送装置1とは異なり、その他の給電装置10の構成及び受電装置30の構成は同じであるので、ここでは電磁誘導用コイル50,60についてのみ説明する。
【0107】
この電磁誘導用コイル50,60をなす給電コイル50も、2個の平面スパイラルコイル51,52から構成されている。給電コイル50は、2個の平面スパイラルコイル51,52を構成するそれぞれの素線51a,52aが並列に並べられ、並べられた状態で渦巻状に巻かれるようにして構成されている。各素線51a,52aが並列に並べられた状態で渦巻状に巻かれることにより、給電コイル50を半径方向に見た場合、各平面スパイラルコイル51,52を構成するそれぞれの素線51a,52aは交互に並べられる。そして、形成された給電コイル50は、一平面を構成している。この給電コイル50についても、二つの平面スパイラルコイル51,52は、それぞれの最外周の素線51a,52a同士が接続されると共に、最内周の素線51a,52a同士が接続されて並列に接続される。なお、この給電コイル50においても、その中心部分には、素線51a,52aが存在しない空間部が設けられ、空芯平面スパイラルコイルとなされている。
【0108】
なお、2個の平面スパイラルコイル51,52は、素線径及び素線長がほぼ同寸の同一材料の素線によって形成されており、両者のインダクタンス値は略同値となされている。
【0109】
一方、受電コイル60は、1本の素線60aが渦巻状に巻かれ構成された平面スパイラルコイルである。その外径は給電コイル50の外径とほぼ同寸に形成されている。また、中心部分には素線60aの存在しない空間部が形成されており、空芯平面スパイラルコイルとなされている。その中心部分に形成される空間部の内径も、給電コイル50の中央部分に形成された空間部の内径とほぼ同寸に形成されている。
【0110】
これら給電コイル50と受電コイル60を使用して電力伝送を行う際には、図8に示すように、給電コイル50と受電コイル60とを対向させる。この際、両者の中心がほぼ一致されるように配置する。
【0111】
次に、本実施形態にかかる電磁誘導用コイル50,60の基本的な考え方について説明する。
【0112】
この実施形態においても、インダクタンス値を下げることでQ値を下げて電力伝送の効率を向上させている点で第1実施形態にかかる非接触式電力伝送装置1と基本思想は同様である。この給電コイル50では、インダクタンス値を下げるために、平面スパイラルコイル51,52の巻数を少なくしている。もっとも、単純に巻数を少なくしたのでは、給電コイル50の外寸が小さくなる。そうすると、給電コイル50と受電コイル60との間で磁束の漏れが生じてしまう。
【0113】
このため、給電コイル50の巻数を少なくしつつ、外寸を維持するために、2個の平面スパイラルコイル51,52を構成するそれぞれの素線51a,52aを並列に並べ、並べられた状態で素線51a,52aを渦巻状に巻いて給電コイル50を構成しているのである。
【0114】
この第2実施形態に関しても、給電装置10は、給電コイル50をその構成要素とする共振回路13を備えているため、共振回路13において、給電コイル20とコンデンサ14と間で共振現象を起こさせている。これにより、デジタル信号が正弦波形に変換され、かつ、共振状態においては、回路のインピーダンスが最小となり、得られる電流が最大となる。このような給電装置10の共振を利用して最大限の電力を受電装置30に伝送させている。
【0115】
また、給電コイル50を第2実施形態のように形成することで、給電装置10が備える共振回路13のQ値を下げることができ、受電コイル電圧の負荷抵抗RLの依存性について、負荷抵抗RLが低い領域では受電コイル電圧を上昇させる一方で、負荷抵抗RLの高い領域では受電コイル電圧を低下させて、受電コイル電圧を負荷抵抗RL変化に対し一定にすることができる。
【0116】
なお、第2実施形態についても、給電コイル及び受電コイルの外形は三角形、四角形、五角形、六角形などの多角形に形成してもよい。
【0117】
[第3実施形態]
次に、図9及び図10を参照して本発明の第3実施形態について説明する。図9は給電コイル70及び受電コイル80の平面図を示し、図10は、対向された給電コイル70及び受電コイル80における、図9のA部におけるA−A断面の拡大図を示したものである。なお、この実施形態においても、電磁誘導用コイル70,80の構成のみが第1実施形態にかかる非接触式電力伝送装置1とは異なり、その他の給電装置10の構成及び受電装置30の構成及び作用は、図3に示したものと同じであるので、電磁誘導用コイル70,80についてのみ説明する。
【0118】
給電コイル70は、3つの平面スパイラルコイル71,72,73の群から構成されている。この給電コイル70は、各平面スパイラルコイル71,72,73を構成している素線が並列に並べられ、これら3本の素線が一つの中心軸を中心として渦巻状に巻かれ、平面状に形成されている。これら3つの平面スパイラルコイル71,72,73は、その素線径及び素線長が相互に同寸の同一材料の素線により形成されている。このため、3つの平面スパイラルコイルのインダクタンス値は略同値となっている。
【0119】
この給電コイル70について、給電コイル70の最外周を第1周目とした場合、図10に示すように、各周では、外側に平面スパイラルコイル71の素線が位置し、中央に平面スパイラルコイル72の素線が位置し、そして内側に平面スパイラルコイル73の素線が位置している。なお、この図10では外側から数え第n周目から第n+4周目までを示している。
【0120】
そして、この給電コイルで70では、各平面スパイラルコイル71,72,73の最外周及び最内周においてそれぞれの素線の端部に接続端子を設けている。これにより、共振回路13にこれら接続端子を選択して接続するようにして、3つの平面スパイラルコイル71,72,73のうち、いずれか一つのコイルを択一的に選択可能になっており、選択した平面スパイラルコイルにのみ電流を流して電磁誘導に利用する。例えば、図9及び図10に示すように、平面スパイラルコイル72を選択して共振回路13に接続し、他の平面スパイラルコイル71,73は、共振回路13には接続しないことで、平面スパイラルコイル72のみを電磁誘導に利用する。もっとも、選択する平面スパイラルコイルは、他のものを選択しても構わない。
【0121】
一方、受電コイル80は、一本の素線が渦巻状に巻かれ平面状に形成されている。この受電コイル80は、給電コイル70を構成する3つの平面スパイラルコイル71,72,73の素線と素線径が同寸の素線が使用されて、その外径及び内径が給電コイル70の外径及び内径と略同寸に形成されている。
【0122】
このように、給電コイル70と受電コイル80とを形成した場合、給電コイル70にあっては、電磁誘導に利用される平面スパイラルコイルは、3つのうち1つだけなので、電磁誘導に利用される給電コイル70の平面スパイラルコイルは、その巻数が受電コイル80の巻数の1/3となる。
【0123】
この第3実施形態では、給電コイル70において電磁誘導に利用する平面スパイラルコイルの巻数を少なくすることでインダクタンス値を減少させることができ、その結果、Q値を下げている。
【0124】
そして、第3実施形態においても、給電装置10は、給電コイル50をその構成要素とする共振回路13を備えているため、共振回路13において、給電コイル20とコンデンサ14と間で共振現象を起こさせている。これにより、デジタル信号が正弦波形に変換され、かつ、共振状態においては、回路のインピーダンスが最小となり、得られる電流が最大となる。このような給電装置10の共振を利用して最大限の電力を受電装置30に伝送させている。
【0125】
また、給電装置10が備える共振回路13のQ値を下げることで、受電コイル電圧の負荷抵抗RLの依存性について、負荷抵抗RLが低い領域では受電コイル電圧を上昇させる一方で、負荷抵抗RLの高い領域では受電コイル電圧を低下させて、受電コイル電圧を負荷抵抗RL変化に対し一定にすることができる。
【0126】
さらに、この第3実施形態においては、給電コイル70において、3つの平面スパイラルコイル71,72,73のうちいずれか一つを利用するため、給電コイル70の内側に位置する素線と外側に位置する素線との間に、いわゆる近接効果が生じることがない。例えば、図10に示すように、平面スパイラルコイル72を選択し、平面スパイラルコイル72にのみ電流を流した場合、平面スパイラルコイル72を構成する素線同士の間には、選択しなかった平面スパイラルコイル71と平面スパイラルコイル73の素線が存在する。このため、平面スパイラルコイル72の素線同士が相互に密着することが無く、近接効果が生じることがないのである。
【0127】
なお、給電コイル70において、選択すべき平面スパイラルコイルの素線に着色したり、あるいは端子部分にビニールチューブ等の目印を付けるなどして、選択すべき平面スパイラルコイルを他の平面スパイラルコイルと区別するための識別手段を設けるとよい。
【0128】
以上、給電コイルを3つの平面スパイラルコイルの群で構成した場合について説明したが、これには限定されず、2つの平面スパイラルコイルの群で給電コイルを構成したり、4つ以上の平面スパイラルコイルの群で給電コイルを構成してもよい。なお、給電コイルを3つ以外の平面スパイラルコイル群で構成した場合においても、共振回路に接続して電磁誘導に利用するものを択一的に選択する。
【0129】
このように、給電コイルをN回巻の複数の平面スパイラルコイル群で構成することで、インダクタンスの値を受電コイルのインダンクタンスの値に対し1/Nとすることができる。そして、給電コイルを所望の巻数に形成することで、給電コイルと受電コイルのインダクタンス比を任意に設定することができる。しかも、電磁誘導に利用するコイルをN個の中から選択するように構成することで、電流の流れる素線同士が密着することが無く、近接効果の発生を効果的に防止できる。
【0130】
なお、この第3実施形態についても、給電コイル及び受電コイルの外形は三角形、四角形、五角形、六角形などの多角形に形成してもよい。
【0131】
[第4実施形態]
次に図11及び図12を参照して本発明の第4実施形態について説明する。図11は、第4実施形態にかかる非接触式電力伝送装置に使用する給電コイル90と受電コイル100の平面図を示し、図12は、対向された給電コイル90と受電コイル100とに関し、図11のB部のB−B断面に着いての拡大部分断面図を示したものである。
【0132】
給電コイル90は、4つの平面スパイラルコイル91,92,93,94の群により構成されている。4つの平面スパイラルコイル91,92,93,94の群は、並列に並べられた4本の素線が同一軸を中心にして渦巻状に巻かれるようにして平面状に形成される。図12は、給電コイル90を構成している各平面スパイラルコイル91,92,93,94について、外側から第n周目の素線と第n+1周目の素線の配列を示している。各周において、各平面スパイラルコイル91,92,93,94の素線は、外側から平面スパイラルコイル91の素線、平面スパイラルコイル92の素線、平面スパイラルコイル93の素線、平面スパイラルコイル94の素線の順に配列されている。
【0133】
なお、給電コイル90を構成している各平面スパイラルコイル91,92,93,94は、その素線は、同寸の素線径のものが使用されている。また、各平面スパイラルコイル91,92,93,94の素線長は略同寸に形成されている。このため、各平面スパイラルコイル91,92,93,94のインダクタンス値は略同値となっている。
【0134】
これに対し、受電コイルは、1本の素線が渦巻状に巻かれ、かつ、平面状に形成されることで構成されている。給電コイルの外径は受電コイルの外径と略同寸に形成されているため、給電コイルを構成する各平面コイルは、受電コイルの巻数の1/4の巻数である。
【0135】
そして、この給電コイルで90についても、各平面スパイラルコイル91,92,93,94の最外周及び最内周においてそれぞれの素線の端部に接続端子を設けている。これにより、共振回路13にこれら接続端子を選択して接続するようにして、4つの平面スパイラルコイル91,92,93,94の中から所望のコイルを選択可能になっている。この給電コイル90については、給電コイル90を構成する4つの平面コイル群の中から、素線が最も外側に位置するように巻かれた平面スパイラルコイル91と、コイル群の中から、外側から3番目に位置する平面スパイラルコイル93とが選択され、この2つの平面スパイラルコイル91,93が共振回路に接続されて電磁誘導に利用される。2つの平面スパイラルコイル91,93を選択することで、第n周目においては、平面スパイラルコイル91と、平面スパイラルコイル93との間には、平面スパイラルコイル92が介在し、第n周目と第n+1周目においては、平面スパイラルコイル91と、平面スパイラルコイル93との間には、平面スパイラルコイル94が介在することになる。
【0136】
このように、この給電コイル90では、電磁誘導に利用するために選択された平面スパイラルコイル同士の間には、選択されない平面スパイラルコイルが介在し、電磁誘導に利用される平面スパイラルコイルの素線同士が相互に密着しあわないように構成される。
【0137】
そして、選択された2つの平面スパイラルコイル91,93は、それぞれの最外周を構成する素線同士が接続されると共に、最内周の素線同士が接続されて両者が並列接続される。なお、選択された2つの平面スパイラルコイル91,93の素線には、他の平面スパイラルコイル92,94と区別するために、色を付けたり、端子部分にビニールチューブ等の目印を付けるなどして識別可能にされる。
【0138】
以上のように構成することで、この第4実施形態でも、給電コイル90のインダクタンス値を減少させることができ、その結果、Q値を下げている。そして、給電コイル90を備えた給電装置10の共振回路13では、給電コイル20とコンデンサ14と間で共振現象が生じ、デジタル信号が正弦波形に変換され、かつ、共振状態においては、回路のインピーダンスが最小となり、得られる電流が最大となる。このような給電装置10の共振を利用して最大限の電力を受電装置30に伝送させている。
【0139】
また、給電装置10が備える共振回路13のQ値を下げることで、受電コイル電圧の負荷抵抗RLの依存性について、負荷抵抗RLが低い領域では受電コイル電圧を上昇させる一方で、負荷抵抗RLの高い領域では受電コイル電圧を低下させて、受電コイル電圧を負荷抵抗RL変化に対し一定にすることができる。
【0140】
さらに、給電コイル90において、電磁誘導に利用するために選択される平面スパイラルコイルは、選択されない平面スパイラルコイルを間に介在させているため、電磁誘導に利用される平面スパイラルコイルの素線同士が相互に密着せず、近接効果が生じることがない。
【0141】
以上、平面スパイラルコイル91,93を選択した場合について説明したが、平面スパイラルコイル92,94を選択して給電コイル90を構成してもよい。この場合、選択した平面スパイラルコイル92,94の素線の間には、選択しなかった平面スパイラルコイル91,93の素線が介在される。このため、近接効果の発生を防止できる。
【0142】
また、給電コイルが4つの平面スパイラルコイルの場合を例に説明したが、5つ以上の平面スパイラルコイルの群で給電コイルを構成してもよい。この場合にも、電磁誘導に利用するために選択する平面スパイラルコイルの間には、選択されない平面スパイラルコイルの素線が介在されるようにして給電コイルを構成する。
【0143】
この第4実施形態においても、給電コイルを構成する平面スパイラルコイルの数を変更して、各平面スパイラルコイルの巻数と受電コイルの巻数との比率を変化させることで、給電コイルのインダクタンスと受電コイルのインダクタンスの比率を自在に設定できる。
【0144】
なお、この第4実施形態においても、給電コイル及び受電コイルの外形は三角形、四角形、五角形、六角形などの多角形に形成してもよい。
【0145】
[第5実施形態]
次に図13及び図14を参照して本発明の第5実施形態について説明する。図13は、給電コイル110及び受電コイル120の平面図を示し、図14は、対向された給電コイル110及び受電コイル120における、図13のC部におけるC−C断面の拡大図を示したものである。なお、この実施形態においても、電磁誘導用コイル70,80の構成のみが第1実施形態にかかる非接触式電力伝送装置1とは異なり、その他の給電装置10の構成及び受電装置30の構成及び作用は、図3に示したものと同じであるので、電磁誘導用コイル110,120についてのみ説明する。
【0146】
給電コイル110は、3つの平面スパイラルコイル111,112,113の群から構成されている。この給電コイル110は、各平面スパイラルコイル111,112,113を構成する素線が並列に並べられ、これら3本の素線が一つの中心軸を中心として渦巻状に巻かれるようにして、平面状に形成されている。これら3つの平面スパイラルコイル111,112,113は、その素線径及び素線長が相互に同寸で、かつ、同一材料の素線により形成されている。このため、3つの平面スパイラルコイル111,112,113のインダクタンス値は略同値となっている。
【0147】
この給電コイル110は、その最外周を第1周目とした場合、図14に示すように、各周では、外側に平面スパイラルコイル111の素線が位置し、中央に平面スパイラルコイル112の素線が位置し、そして内側に平面スパイラルコイル113の素線が位置している。なお、この図14では外側第n周目と第n+1周目を示している。
【0148】
そして、この給電コイル110についても、各素線の端部には端子が設けられ、3つの平面スパイラルコイル111,112,113のうち、いずれか一つのコイルを択一的に選択可能になっており、選択した平面スパイラルコイルにのみ電流を流して電磁誘導に利用する。例えば、図13及び図14に示すように、平面スパイラルコイル112を選択して共振回路13に接続し、他の平面スパイラルコイル111,113は、共振回路には接続しないことで、平面スパイラルコイル112のみを電磁誘導に利用する。もっとも、選択する平面スパイラルコイルは、他のものを選択しても構わない。
【0149】
一方、受電コイル120は、2つの平面スパイラルコイル121,122から構成されている。受電コイル120は、並列に並べられた2本の素線が渦巻状に巻かれ平面状に形成されている。この受電コイル120は、給電コイル110を構成する3つの平面スパイラルコイル111,112,113の素線と素線径が同寸の素線が使用されて、その外径及び内径が給電コイル110の外径及び内径と略同寸に形成されている。そして、平面スパイラルコイル121,122の各素線の端部には端子が設けられており、そのいずれかを回路に接続可能となっていて、2つの平面スパイラルコイル121,122のうち一方のみが選択されて電磁誘導に利用される。
【0150】
この第5実施形態のように、給電コイル110と受電コイル120とを形成した場合、電磁誘導に利用される平面スパイラルコイルのインダクタンス比は、2:3となり、給電コイル110において電磁誘導に利用する平面スパイラルコイルのインダクタンス値を小さくし、その結果、Q値を下げている。
【0151】
そして、第5実施形態においても、給電装置10の共振回路13において、給電コイル20とコンデンサ14と間で共振現象が生じ、印加されたデジタル信号が正弦波形に変換される。また、共振状態においては、回路のインピーダンスが最小となり、得られる電流が最大となる。このような給電装置10の共振を利用して最大限の電力を受電装置30に伝送させている。
【0152】
また、給電装置10が備える共振回路13のQ値を下げることで、受電コイル電圧の負荷抵抗RLの依存性について、負荷抵抗RLが低い領域では受電コイル電圧を上昇させる一方で、負荷抵抗RLの高い領域では受電コイル電圧を低下させて、受電コイル電圧を負荷抵抗RL変化に対し一定にすることができる。
【0153】
さらに、この第5実施形態においては、給電コイル110及び受電コイル120のいずれついても、電磁誘導に利用される平面スパイラルコイルの素線同士の間には、選択しない平面スパイラルコイルの素線が介在するため、近接効果の発生を防止できる。
【0154】
なお、給電コイル110及び受電コイル120のいずれについても、選択すべき平面スパイラルコイルの素線に着色したり、あるいは端子部分にビニールチューブ等の目印を付けるなどして、選択すべき平面スパイラルコイルを他の平面スパイラルコイルと区別するための識別手段を設けるとよい。
【0155】
以上、給電コイルを3つの平面スパイラルコイルの群で構成し、受電コイルを2つの平面スパイラルコイルで構成した場合について説明したが、これには限定されず、給電コイルを構成する平面スパイラルコイルの数を、受電コイルを構成する平面スパイラルコイルの数より多くして、給電コイルの巻数を受電コイルの巻数よりも少なくするのであれば、給電コイル及び受電コイルを他の数の平面スパイラルコイルで構成してもよい。
【0156】
このように、給電コイルをN回巻の複数の平面スパイラルコイル群で構成する一方で、受電コイルをM回巻の複数の平面スパイラルコイル群で構成し、その巻数比をN:M(ただし、N<M)とすれば、これに対応して給電コイルのインダクタンスの値と受電コイルのインダンクタンスの値との比率をN:M(ただし、N<M)と自在に設定することが可能となる。
【0157】
なお、給電コイルと受電コイルのインダクタンス比を自在に変更可能とする場合、図15及び図16に示すように給電コイル及び受電コイルを設けてもよい。
【0158】
図15及び図16は、第5実施形態における別の実施例を示したものである。図15は給電コイル130及び受電コイル140の平面図を示し、図16は、対向する給電コイル130及び受電コイル140における図15のD部のD−D断面の拡大図を示したものである。
【0159】
給電コイル130は、第3実施形態の給電コイル90と同様の構成からなり、4つの平面スパイラルコイル131,132,133,134の群により構成されている。4つの平面スパイラルコイル131,132,133,134の群は、並列に並べられた4本の素線が同一軸を中心にして渦巻状に巻かれるようにして平面状に形成される。図16は、給電コイル130を構成している各平面スパイラルコイル131,132,133,134について、外側から第n周目の素線と第n+1周目の素線の配列を示している。各周において、各平面スパイラルコイル131,132,133,134の素線は、外側から平面スパイラルコイル131の素線、平面スパイラルコイル132の素線、平面スパイラルコイル133の素線、平面スパイラルコイル134の素線の順に配列されている。
【0160】
なお、各平面スパイラルコイル131,132,133,134は、素線径及び素線長が略同寸の同一材料の素線から形成されており、各平面スパイラルコイル131,132,133,134のインダクタンス値は略同値となされている。
【0161】
一方、受電コイル140は、2つの平面スパイラルコイル141,142から構成されている。受電コイル140は、並列に並べられた2本の素線が渦巻状に巻かれ平面状に形成されている。この受電コイル140は、給電コイル130を構成する4つの平面スパイラルコイル131,132,133,134の素線と素線径が同寸の素線が使用されて、その外径及び内径が給電コイル130の外径及び内径と略同寸に形成されている。
【0162】
この実施例における給電コイル130では、4つの平面スパイラルコイル131,132,133,134のうち2つの平面スパイラルコイル131,133が選択され、選択された2つの平面スパイラルコイル131,133は、それぞれの最外周に位置する素線同士が接続されると共に、最内周の素線同士が接続されて並列接続される。そして、2つの平面スパイラルコイル131,133が共振回路13に接続されて電磁誘導に利用される。このため、図16に示すように、選択された平面スパイラルコイル13,133の素線の間には、選択されなかった平面スパイラルコイル132,134の素線が介在する。
【0163】
一方、受電コイル140では、2つの平面スパイラルコイル141,142のうち、平面スパイラルコイル141のみが選択されて電磁誘導に利用される。図16は、受電コイル140を構成する平面スパイラルコイル141,142の素線について、外側から第m周目〜第m+4周目までを示しているが、この図16に示すように、電磁誘導に利用される平面スパイラルコイル141の素線同士の間には、選択されなかった平面スパイラルコイル142の素線が介在する。
【0164】
この実施例のように電磁誘導用コイルである給電コイル130及び1受電コイル140を構成した場合も、給電コイル130の巻数が受電コイル140の巻数よりも少ないため、給電コイルのインダクタンスの値を小さくすることができ、これによりQ値を小さくできる。
【0165】
そして、この場合においても、給電コイルを所望の数の平面スパイラルコイル群で構成すると共に、受電コイルを所望の数の平面スパイラルコイルの群で構成することで、給電コイルの巻数と受電コイルの巻数とを自在に設定でき、その結果、給電コイルのインダクタンスと受電コイルのインダクタンスの比率を所望の値に事由に設定することが可能となる。ただし、この場合においても、給電コイルの巻数Nを受電コイルの巻数Mよりも小さくすることが必要である。
【0166】
なお、この第5実施形態についても、給電コイル及び受電コイルの外形は三角形、四角形、五角形、六角形などの多角形に形成してもよい。
【0167】
[第6実施形態]
次に、図17を参照して、本発明の第6実施形態について説明する。図17は、第6実施形態にかかる非接触式電力伝送装置に使用される給電コイル150と受電コイル160の平面図を示している。
【0168】
給電コイル150は、外側に配置されたドーナツ状の第1給電コイル151と、第1給電コイル151の内側に配置された第2給電コイル152とから構成され、さらに、第2給電コイル152は、2つの平面スパイラルコイル153,154の群により構成されている。即ち、既述の第1実施形態にかかる給電コイル20と第2実施形態にかかる給電コイル50とを組み合わせたような構成である。
【0169】
第1給電コイル151は、素線を渦巻状に巻いて平坦なドーナツ状に形成したものであり、その中央には素線の存在しない空間部が形成されている。そして、第2給電コイル152は、第1給電コイル151の中央に形成された空間部の内側に配置されている。この2個の平面スパイラルコイル153,154の群により構成された第2給電コイル152は、並列に並べられた2本の素線が同一軸を中心として渦巻状に巻かれるようにして形成されている。そして、第1給電コイル151及び第2給電コイル152は、さらに同一の軸が中心となるように配置されている。
【0170】
このようにして構成された給電コイル150は、第1給電コイル151と第2給電コイル152とが、給電コイル150の厚み方向に関し相互に突出することなく平面状に形成されている。
【0171】
第2給電コイルを構成している2つの平面スパイラルコイル153,154は、それぞれの最外周に位置する素線同士が接続されると共に、最内周の素線同士が接続されて並列に接続されている。さらに、並列接続された2つの平面スパイラルコイルと、第1給電コイル151とは、それぞれの最外周同士及び最内周同士が接続されて並列に接続されている。
【0172】
なお、第1給電コイル151、平面スパイラルコイル153,154のインダクタンス値は略同値となるように、素線径、素線長、及び素線の材質が選定される。
【0173】
これ対し、受電コイル160は、1本の素線が渦巻状に巻かれて平面状に形成される。この受電コイル160の外径及び内径は、第2給電コイル152の外径及び内径と略同寸に形成される。
【0174】
この実施形態においても、給電コイル150では、第1給電コイル151と第2給電コイル152の合成インダクタンスとして求めることができ、しかも、第2給電コイル152は2つの平面スパイラルコイルから構成されていることから巻数が少ないことから、インダクタンスの値を減少させることができる。その結果、給電装置10において共振回路13におけるQ値を低減させることができる。
【0175】
[第7実施形態]
次に、図18を参照して本発明の第7実施形態について説明する。図18は、第7実施形態にかかる非接触式電力伝送装置に使用される給電コイル170と受電コイル160の平面図を示したものである。なお、この実施形態における受電コイルの構成は、上記の第6実施形態にかかる受電コイル160の構成と同様であるので、ここでは図面に同一符号を付してその説明は省略する。
【0176】
この実施形態にかかる給電コイル170は、外側に第1給電コイル171を設けると共に、その内側に第2給電コイル172が設けられている。
【0177】
第1給電コイル171は、素線が渦巻状に巻かれてドーナツ状に形成さている。その中央には、素線の存在しない空間部が形成されている。
【0178】
第2給電コイル172は、3つの平面スパイラルコイル173,174,175の群から構成されたもので、並列に並べられた3本の素線が同一軸を中心に渦巻状に巻かれて平面状に形成されている。3つの平面スパイラルコイル173,174,175は、渦巻状に巻かれた各周において、外側から平面スパイラルコイル173の素線、中央に平面スパイラルコイル174の素線、そして内側に平面スパイラルコイル175の素線の順に配置されている。そして、第2給電コイル172は、第1給電コイル171の中央に形成された空間部の内側に配置される。この状態において、第1給電コイル171と、第2給電コイル172とは、給電コイル170の厚み方向に関し相互に突出することなく平面状に構成される。
【0179】
この実施形態において、第2給電コイル172は、3つの平面スパイラルコイル173,174,175のなから所望のものを択一的に選択することができるようになっており、電磁誘導には、3つの中から選択された平面スパイラルコイルのみが利用される。例えば、図18に示した例においては、3つの平面スパイラルコイル173,174,175の中から平面スパイラルコイル175が選択され、電磁誘導に利用される。そして、この給電コイル170では、第2給電コイル172において選択された平面スパイラルコイル175と第1給電コイル171とは、それぞれの最外周の素線同士と最内周の素線同士とが接続され、両者が並列接続される。ただし、選択する平面スパイラルコイルは、他の平面スパイラルコイルでもよい。
【0180】
なお、この実施形態においては、第1給電コイル171を構成する素線、第2給電コイル172における3つの平面スパイラルコイル173,174,175を構成している各素線は、その素線径、素線長及び材質が同一のものにより構成されるなどして、インダクタンス値が略同値となされている。
【0181】
この実施形態においても、給電コイル170では、そのインダクタンスの値を減少させて、Q値を下げている。また、第2給電コイル172では、選択された平面スパイラルコイル175の素線同士の間には、選択されない平面スパイラルコイル173,174の素線が介在するので、近接効果の発生を防止できる。なお、この実施形態においても、第2給電コイルを2つの平面スパイラルコイルの群で構成したり、4つ以上の平面スパイラルコイルの群で構成しても構わない。
【0182】
[第8実施形態]
図19は、本発明の第9実施形態にかかる非接触式電力伝送装置に使用される給電コイル180及び受電コイル160の平面図を示している。なお、この第8実施形態においても受電コイル160の構成は第6実施形態にかかる受電コイル160と同様の構成であるため、その説明は省略する。
【0183】
この実施形態にかかる給電コイル180は、外側に第1給電コイル181を設けると共に、その内側に第2給電コイル182が設けられている。
【0184】
第1給電コイル181は、素線が渦巻状に巻かれてドーナツ状に形成さている。その中央には、素線の存在しない空間部が形成されている。
【0185】
一方、第2給電コイル182は、4つの平面スパイラルコイル183,184,185,186の群から構成されている。4つの平面スパイラルコイル183,184,185,186は、並列に並べられた4本の素線が同一軸を中心として渦巻状に巻かれ、平面状に形成される。4つの平面スパイラルコイル183,184,185,186の群として構成された第2給電コイル182は、渦巻状に巻かれた各周において、外側から、平面スパイラルコイル183の素線、平面スパイラルコイル184の素線、平面スパイラルコイル185の素線、平面スパイラルコイル186の素線の順に配置される。
【0186】
そして、第2給電コイル182においては、4つの平面スパイラルコイル183,184,185,186の中から2つの平面スパイラルコイルが選択されて電磁誘導に利用される。図19に示した例では、2つの平面スパイラルコイル184,186が選択されている。選択された平面スパイラルコイル184,186は、それぞれの最外周の素線同士が接続されると共に、最内周の素線同士が接続されて並列接続される。また、並列接続された平面スパイラルコイル184,186と、第1給電コイルとは、それぞれの最外周の素線同士と最内周の素線同士が接続されてさらに並列に接続される。ただし、選択する平面スパイラルコイルは、他の2つの平面スパイラルコイル183,185でもよい。
【0187】
この実施形態においても、第1給電コイル181を構成する素線、第2給電コイル182における4つの平面スパイラルコイル183,184,185,186を構成している各素線は、その素線径、素線長及び材質が同一のものにより構成されるなどして、インダクタンス値が略同値となされている。
【0188】
そして、この実施形態においても、給電コイル180では、そのインダクタンスの値を減少させて、Q値を下げている。また、第2給電コイル182では、選択された平面スパイラルコイル184,186の素線同士の間には、選択されない平面スパイラルコイル183,185の素線が介在するので、近接効果の発生を防止できる。なお、この実施形態においても、第2給電コイルを5つ以上の複数の平面スパイラルコイルの群で構成しても構わない。
【0189】
[第9実施形態]
次に図20を参照して、本発明の第9実施形態について説明する。図20は、第9実施形態にかかる非接触式電力伝送装置に使用される給電コイル190と受電コイル200の平面図を示したものである。
【0190】
給電コイル190は、外側に第1給電コイル191が設けられ、その内側に第2給電コイル192が設けられている。
【0191】
第1給電コイル191は、素線が渦巻状に巻かれてドーナツ状に形成さている。その中央には、素線の存在しない空間部が形成されている。
【0192】
第2給電コイル192は、3つの平面スパイラルコイル193,194,195の群から構成されたもので、並列に並べられた3本の素線が同一軸を中心に渦巻状に巻かれて平面状に形成されている。3つの平面スパイラルコイル193,194,195は、渦巻状に巻かれた各周において、外側から平面スパイラルコイル193の素線、平面スパイラルコイル194の素線、平面スパイラルコイル195の順に配置される。そして、第2給電コイル192は、第1給電コイル191の中央に形成された空間部の内側に配置され、第1給電コイル191と、第2給電コイル192とは、給電コイル170の厚み方向に関し相互に突出することなく平面状に構成される。
【0193】
この実施形態では、第2給電コイル192は、3つの平面スパイラルコイル193,194,195のなから所望のものを択一的に選択でき、電磁誘導には、選択された平面スパイラルコイルのみが利用される。図20には、平面スパイラルコイル195が選択され、電磁誘導に利用される場合を例に示している。さらに、選択された平面スパイラルコイル195と第1給電コイル191とは、それぞれの最外周の素線同士と最内周の素線同士とが接続され、両者が並列接続される。
【0194】
なお、この実施形態においては、第1給電コイル191を構成する素線、3つの平面スパイラルコイル193,194,195を構成している各素線は、その素線径、素線長及び材質が同一のものにより構成されるなどして、インダクタンス値が略同値となされている。
【0195】
これに対し、受電コイル200は、2つの平面スパイラルコイル201,102から構成されている。受電コイル200は、並列に並べられた2本の素線が同一軸を中心に渦巻状に巻かれるようにして、平面状に形成される。この平面スパイラルコイル201、202は、素線径、素線長及び材質が同一の素線により形成される。そして、2つの平面スパイラルコイルのうち一方のみが選択され、受電装置の回路に接続されて電磁誘導に利用される。この受電コイル200は、その外径及び内径が第2給電コイルの外径及び内径とほぼ同寸に形成される。
【0196】
このように給電コイル及び受電コイルを構成することで、給電側においてQ値を下げることができるだけでなく、給電コイル及び受電コイルにおいて、素線間に生じる近接効果を防止できる。
【0197】
なお、この実施形態においても、第1給電コイルを構成する平面スパイラルコイル群の数を所望の数に構成し、その巻数を所望の巻数に構成すると共に、受電コイルを構成する平面スパイラルコイル群の数を所望の数に設け、その巻数を所望の巻数に構成することで、給電コイルのインダクタンス値と受電コイルのインダクタンス値の比率を自在に設定することが可能となる。もっとも、この場合に、給電コイルの巻数を受電コイルの巻数より少なくすることは必要である。
【0198】
なお、給電コイルのインダクタンス値と受電コイルのインダクタンス値の比率を自在に設定する場合に関し、図21に示したように給電コイル及び受電コイルを構成することもできる。図21は、別の実施例にかかる給電コイル210及び受電コイル200の平面図を示したものである。なお、この実施例における受電コイル200の構成は、図20に示した受電コイルと同様であるので、図面に同一符号を付して、その説明をここでは省略する。
【0199】
この実施形態にかかる給電コイル210は、外側に第1給電コイル211が設けられ、その内側に第2給電コイル212が設けられている。
【0200】
第1給電コイル211は、素線が渦巻状に巻かれてドーナツ状に形成さている。その中央には、素線の存在しない空間部が形成されている。
【0201】
一方、第2給電コイル212は、4つの平面スパイラルコイル213,214,215,216の群から構成されている。4つの平面スパイラルコイル213,214,215,216は、並列に並べられた4本の素線が同一軸を中心として渦巻状に巻かれ、平面状に形成される。4つの平面スパイラルコイル213,21,215,216は、渦巻状に巻かれた各周において、外側から、平面スパイラルコイル213の素線、平面スパイラルコイル214の素線、平面スパイラルコイル215の素線、平面スパイラルコイル216の素線の順に配置される。
【0202】
そして、第2給電コイル212では、2つの平面スパイラルコイルが選択されて電磁誘導に利用される。選択する際には、選択する平面スパイラルコイルの素線の間に、選択されない平面スパイラルコイルの素線が介在されるように選択する。図19に示した例では、2つの平面スパイラルコイル214,216が選択されている。選択された平面スパイラルコイル214,216は、それぞれの最外周の素線同士が接続されると共に、最内周の素線同士が接続されて並列接続される。また、並列接続された平面スパイラルコイル214,216と、第1給電コイル211とは、それぞれの最外周の素線同士と最内周の素線同士が接続されてさらに並列に接続される。
【0203】
この実施形態においても、第1給電コイル211を構成する素線、4つの平面スパイラルコイル213,214,215,216を構成している各素線は、その素線径、素線長及び材質が同一のものにより構成されるなどして、インダクタンス値が略同値となされている。
【0204】
この実施例においても、第1給電コイルを構成する平面スパイラルコイル群の数を所望の数に構成し、その巻数を所望の巻数に構成すると共に、受電コイルを構成する平面スパイラルコイル群の数を所望の数に設け、その巻数を所望の巻数にこう制す得ることで、給電コイルのインダクタンス値と受電コイルのインダクタンス値の比率を自在に設定することが可能となる。もっとも、この場合に、給電コイルの巻数を受電コイルの巻数より少なくすることは必要である。
【0205】
[第10実施形態]
次に、図22及び図23を参照して、本発明の第10実施形態について説明する。図22は、第10実施形態にかかる非接触式電力伝送装置に使用される給電コイルのブロック図を示し、図23は、給電コイルの部分断面拡大図を示したものである。
【0206】
この給電コイル220は2つの平面スパイラルコイル221,222を直列に接続して構成したものである。2つの平面スパイラルコイル221,222は、並列に並べられた2本の素線が同一軸を中心にして渦巻状に巻かれ、平面状に形成されている。なお、形成された給電コイル220は、その中央に素線の存在しない空間部が設けられている。この2つの平面スパイラルコイル221,222は、それぞれの最内周において接続されることで直列に接続される。即ち、一方の平面スパイラルコイル221は、外側から内側に向けて渦巻状に巻かれ、その素線同士の間には、一定の隙間が形成される。他方の平面スパイラルコイル222は、平面スパイラルコイル221の素線間に形成されている隙間の間に素線が配置され、内側から外側に向けて渦巻状に巻かれるようにして形成される。
【0207】
なお、平面スパイラルコイルを直列に接続して給電コイルを構成する場合、図24に示すように、2つの平面スパイラルコイル231,232をその厚み方向に重ねて構成しても構わない。この図24に示す給電コイル230は、2つの平面スパイラルコイル231,232が重ねられ、これらの最内周において素線同士が接続されて直列に接続される。
【0208】
以上、本発明の非接触式電力伝送装置における様々な実施形態について説明した。次に、本発明の非接触式電力伝送装置における電力伝送の効率を確認するために行った。シミュレーション結果及び実験結果について説明する。
【0209】
第1に、本発明の非接触式電力伝送装置1における電力伝送効率を確認するために、第1実施形態において説明したダブルコイルタイプの給電コイルを用いて次のような実験を行った。
【0210】
実験は、給電装置10に備えられた共振回路13に電圧1V振幅のパルス波を印加し、インダクタンス値、抵抗値を求めた。印加するパルス波の周波数は、1kHz、10kHz、100kHz、250kHz、500kHz、1000kHzの6種類について行った。なお、比較のために、一般的なシングルタイプの平面スパイラルコイルと、第1給電コイル21及び第2給電コイル22からなる平面スパイラルコイルとについて実験を行った。この一般的な平面スパイラルコイルを使用したものの共振回路の等価回路図は図10に示したものである。
【0211】
表1は、実験に使用した給電コイル20の寸法を示したものである。なお、一般的なシングルタイプの給電コイルは、本実施形態における内側に配置される第2給電コイル22のみを使用した場合である。
【0212】
【表1】

【0213】
表2は、求めたインダクタンス値と抵抗値を示している。この表2において、シングルコイルとは、一般的な給電コイルを意味し、ダブルコイルとは、本実施形態にかかる給電コイル20を意味する。
【0214】
【表2】

【0215】
この表2から明らかなように、一般的なシングルタイプの平面スパイラルコイルを給電コイルとして使用した場合に比べ、本実施形態にかかる給電コイル20の方がいずれの周波数においても、インダクタンス値及び抵抗値は双方共に低下していることが分かる。インダクタンス値にあっては、40%〜41.7%の低下が見られ、抵抗値については、34.2%〜48%の低下が見られる。
【0216】
また、印加しパルス波の周波数が1kHzのときの相互インダクタンスと、結合係数を求めた。なお、このときに使用した受電コイル31の物理的な使用は、コイルの内径が、10.45mm、外径が32.55mm、素線径が0.52mm、巻数が19回、そして、インダクタンス値が7.26μHである。
【0217】
表3は、求めた相互インダクタンス値Mと結合係数kを示したものである。
【0218】
【表3】

【0219】
この表3に示すように、結合係数kはそれほど差が出なかったが、相互インダクタンス値Mは、29.7%の低下が見られる。
【0220】
第2に、給電コイルが一つの平面スパイラルコイルからなる一般的な電力伝送装置(以下、シングルコイルの場合という。)と、本発明の第1実施形態にかかる非接触式電力伝送装置1(以下、ダブルコイルの場合という)とで受電コイル電圧の負荷抵抗RLに対する依存特性にどの程度の差が生じるかを確認するべく行ったシミュレーションの結果を比較する。シミュレーションは、結合係数kが0.5、0.25、0.1の3タイプについてそれぞれ行った。
【0221】
図25は、シングルコイルの場合についてシミュレーションした結果のグラフを示し、図26は、ダブルコイルの場合にかかるシミュレーションした結果のグラフを示している。図25及び図26において、横軸は受電装置側の回路の負荷抵抗を示し、縦軸は受電コイル電圧を示している。
【0222】
図25と図26の比較から明らかなように、受電コイル電圧は、ダブルコイルの場合の方が負荷抵抗が小さい場合には上昇し、負荷抵抗が大きな場合には下がっていることが分かる。既述のように、負荷抵抗に対する受電コイル電圧の変化が大きい場合、受電側において電源IC等を選定する際には、それだけ耐圧領域の広いものしか選定することができなかった。しかし、本実施形態の非接触式電力伝送装置1では、このシミュレーション結果から明らかなように、受電側において、耐圧領域の広いものを選定する必要のないことが分かる。即ち、選択することができるICの種類、幅が広がるのである。
【0223】
第3に、給電コイルが1つの平面スパイラルコイルからなる一般的な非接触式電力伝送装置(以下、シングルコイルの場合という。)と、本発明の第1実施形態にかかる非接触式電力伝送装置1(ダブルコイルの場合)とにいて、受電特性の比較実験を行った。実験は、給電側の共振回路に周波数250kHzの5V振幅のパルス波を印加し、給電コイルと受電コイルの結合係数を0.25となるように設定し、受電側において、負荷抵抗RLが5Ω、10Ω、25Ω、50Ω、75Ω、100Ω、250Ω、500Ω、750Ω、及び1000Ωの時の、受電コイル端電圧Vout(ただし、信号の状態での電圧振幅)、負荷抵抗電流Iout(ただし、信号の状態での電流振幅)を測定した。そして、測定結果に基づいて負荷抵抗での消費電力Pw、受電コイル端電圧VoutのDC換算値Vdco、負荷抵抗電流IoutのDC換算値Idcを算出し、算出結果を比較した。
【0224】
なお、測定結果に基づいて負荷抵抗での消費電力Pw、受電コイル端電圧VoutのDC換算値Vdco、負荷抵抗電流IoutのDC換算値Idcは、それぞれ次の換算式により求めている。
【0225】
Pw=(Vout×Iout)/√2
Vdco=Vout/√2
Idc=Iout/√2
【0226】
表4は、ダブルコイルの場合の実験結果を示し、表5は、シングルコイルの場合の実験結果をそれぞれ示している。
【0227】
【表4】

【0228】
【表5】

【0229】
そして、表4及び表5に示した受電コイル端電圧Vout、負荷抵抗電流Iout、消費電力Pwについてダブルコイルの場合のものと、シングルコイルの場合のものとを抜き出してそれぞれ比較したものが、表6〜表8である。なお、表6の上段において示した、VoutDは、ダブルコイルの場合に関する受電コイル端電圧Voutを、VoutSは、シングルコイルに関する受電コイル端電圧Voutをそれぞれ示している。同様に表7、表8において、上段に示した「D」の記号は、ダブルコイルの場合を表し、「S」の記号は、シングルコイルの場合を表している。
【0230】
【表6】

【0231】
【表7】

【0232】
【表8】

【0233】
また、表6〜表8のデータに基づいて、受電側の負荷抵抗に対する受電コイル端電圧Vout、負荷抵抗電流Iout、消費電力Pwの変化をグラフに表したものが図27〜図29である。
【0234】
表6及び図27に示されているように、負荷抵抗に対する受電コイル端電圧Voutは、負荷抵抗が1Ω〜25Ωの範囲では、ダブルコイルの場合の方が、シングルコイルの場合よりも電圧が高くなっている。一方、負荷抵抗が25Ωを超え、1000Ωまでの範囲においては、シングルコイルの場合には、負荷抵抗が大きくなるにつれ、電圧が大幅に大高くなっているが、ダブルコイルの場合には、負荷抵抗が大きくなっても、電圧の上昇がそれほど大きくなく、シングルコイルの場合に対する電圧の差が次第に広がっていることがわかる。
【0235】
これに対し、表7及び図28に示しされているように、負荷抵抗に対する負荷抵抗電流Ioutは、負荷抵抗が1Ω〜25Ωの範囲では、ダブルコイルの場合の方が、シングルコイルの場合よりも電流値が大きくなっている。一方、負荷抵抗が25Ωを超え、1000Ωまでの範囲においては、逆に、ダブルコイルの場合の方が、シングルコイルの場合よりも電流値が小さくなっている。
【0236】
そして、表8及び図29に示したように、負荷抵抗に対する消費電力Pwは、負荷抵抗が1Ω〜25Ωの範囲では、ダブルコイルの場合の方が、シングルコイルの場合よりも大きな値となっている。一方、負荷抵抗が25Ωを超え、1000Ωまでの範囲においては、ダブルコイルの場合の方が、シングルコイルの場合に比べ消費電力Pwは小さくなっていることが分かる。
【0237】
この実験結果から明らかなように、給電側においてQ値を下げることで、受電側において、負荷抵抗が1Ω〜25Ωの範囲では、受電コイル端電圧Voutを引き上げることができる。このことから、受電コイルの起電力を向上させることができる。一方、負荷抵抗が25Ωを超える範囲においては、負荷抵抗電流Ioutを引き下げることができる。このことから、発熱を抑えることができ、その結果、受電コイルの起電力を向上させることができるのである。
【0238】
さらに、上記シミュレーション結果においても述べたように、負荷抵抗に対する受電コイル電圧の変動を抑えることで、受電側において、耐圧領域の広いものを選定する必要のないことが分かる。即ち、選択することができるICの種類、幅が広がるのである。
【符号の説明】
【0239】
1 電力伝送装置
10 給電装置
11 AC/DC変換回路
12 DC/AC変換回路
13 共振回路
14 駆動回路
15 制御回路
20 給電コイル
21 第1給電コイル
22 第2給電コイル
30 受電装置
31 受電コイル
40 給電コイル
41 第1給電コイル
42 第2給電コイル
43 第3給電コイル
45 給電コイル
46 第1給電コイル
47 第2給電コイル
48 受電コイル
50 給電コイル
51,52 平面スパイラルコイル
60 受電コイル
70 給電コイル
71,72,73 平面スパイラルコイル
80 受電コイル
90 給電コイル
91,92,93,94 平面スパイラルコイル
【0240】
100 受電コイル
110 給電コイル
111,112,113 平面スパイラルコイル
120 受電コイル
121,122 平面スパイラルコイル
130 給電コイル
140 受電コイル
141,142 平面スパイラルコイル
150 給電コイル
151 第1給電コイル
152 第2給電コイル
153,154 平面スパイラルコイル
160 受電コイル
170 給電コイル
171 第1給電コイル
172 第2給電コイル
173,174,175 平面スパイラルコイル
180 給電コイル
181 第1給電コイル
182 第2給電コイル
183,184,185,186 平面スパイラルコイル
190 給電コイル
191 第1給電コイル
192 第2給電コイル
193,194,195 平面スパイラルコイル
【0241】
200 受電コイル
201,202平面スパイラルコイル
210 給電コイル
211 第1給電コイル
212 第2給電コイル
213,214,215,126 平面スパイラルコイル
220 給電コイル
221,222 平面スパイラルコイル
230 給電コイル
231,232 平面スパイラルコイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素線を渦巻状に巻いて形成した平面コイルからなる給電コイルを備えた給電装置と、素線を渦巻状に巻いて形成した平面コイルからなる受電コイルを備えた受電装置とを備え、前記給電コイルと前記受電コイルとの間で電磁誘導を利用して前記給電装置から前記受電装置に電力を伝送する非接触式電力伝送装置であって、
前記給電装置は、前記給電コイルを含めて構成される共振回路を有し、
前記給電コイルは、複数の平面コイルで構成され、これら複数の平面コイルは、その素線が同一軸を中心として巻かれて形成され、かつ互いの自己インダクタンスの値が略同値とされたことを特徴とする非接触式電力伝送装置。
【請求項2】
前記給電コイルは、前記複数の平面コイルが一平面をなして構成されたことを特徴とする請求項1に記載の非接触式電力伝送装置。
【請求項3】
前記給電コイルを構成する複数の平面コイルは、中央に空間部がそれぞれ形成され、かつ、相互の内縁寸法及び外縁寸法が順次小さくなるように形成され、
前記複数の平面コイルは、それぞれの前記空間部に外縁寸法の小さな平面コイルが順次配置され、
前記複数の平面コイルは並列接続されていることを特徴とする請求項2に記載の非接触式電力伝送装置。
【請求項4】
前記給電コイルを構成する平面コイルのうち最内部に配置された平面コイルの外縁寸法は、前記受電コイルの外縁寸法と略同寸に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の非接触式電力伝送装置。
【請求項5】
前記給電コイルを構成する平面コイルは、少なくとも最内部に配された平面コイルが、並列に並べられた2本の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された2つの平面コイルにより構成され、かつ、前記2つの平面コイルは並列接続され、
前記2つの平面コイルのそれぞれの巻数が前記受電コイルの巻数よりも少ないことを特徴とする請求項3に記載の非接触式電力伝送装置。
【請求項6】
前記給電コイルを構成する平面コイルのうち少なくとも最内部に配された平面コイルは、並列に並べられた複数の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、
前記平面コイル群を構成する各平面コイルは、前記受電コイルの巻数よりも少なく巻かれ、
前記平面コイル群の中から選択された平面コイルに電流が流されることを特徴とする請求項3に記載の非接触式電力伝送装置。
【請求項7】
前記給電コイルを構成する平面コイルのうち少なくとも最内部に配された平面コイルは、並列に並べられた少なくとも4本の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、
前記平面コイル群を構成する各平面コイルは、前記受電コイルの巻数よりも少なく巻かれ、
前記平面コイル群の中から、それぞれの間に少なくとも1本の素線を挟んで選択された複数の素線により構成される平面コイルを並列に接続して電流が流されることを特徴とする請求項4に記載の非接触式電力伝送装置。
【請求項8】
前記受電コイルは、並列に並べられた複数の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、
受電側の前記平面コイル群の中から選択された平面コイルが電磁誘導に利用されることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の非接触式電力伝送装置。
【請求項9】
前記給電コイルは、並列に並べられた2本の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された2つの平面コイルから構成され、
前記2つの平面コイルは並列接続されたことを特徴とする請求項2に記載の非接触式電力伝送装置。
【請求項10】
前記給電コイルは、並列に並べられた複数の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、
前記平面コイル群を構成する各平面コイルは、前記受電コイルの巻数よりも少なく巻かれて形成され、
前記平面コイル群の中から選択された平面コイルに電流が流されることを特徴とする請求項2に記載の非接触式電力伝送装置。
【請求項11】
前記給電コイルは、並列に並べられた少なくとも4本の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、
前記平面コイル群を構成する各平面コイルは、前記受電コイルの巻数よりも少なく巻かれ、
前記平面コイル群の中から、それぞれの間に少なくとも1本の素線を挟んで選択された複数の素線により構成される平面コイルを並列に接続して電流が流されることを特徴とする請求項2に記載の非接触式電力伝送装置。
【請求項12】
前記受電コイルは、並列に並べられた複数の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、
受電側の前記平面コイル群の中から選択された平面コイルが電磁誘導に利用されることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の非接触式電力伝送装置。
【請求項13】
前記給電コイルは、2つの平面コイルから構成され、前記2つの平面コイルが直列接続されていることを特徴とする請求項1に記載の非接触式電力伝送装置。
【請求項14】
前記2つの平面コイルは、並列に並べられた2本の素線が同一軸を中心に巻かれて形成され、
各平面コイルの最内周の素線同士が接続されたことを特徴とする請求項13に記載の非接触式電力伝送装置。
【請求項15】
素線を渦巻状に巻いて形成した平面コイルからなる給電コイルから、素線を渦巻状に巻いて形成した平面コイルからなる受電コイルに対し電磁誘導を利用して電力を伝送するために使用される給電装置であって、
前記給電装置は、前記給電コイルを含めて構成される共振回路を有し、
前記給電コイルは、複数の平面コイルで構成され、これら複数の平面コイルは、その素線が同一軸を中心として巻かれて形成され、かつ互いの自己インダクタンスの値が略同値とされたことを特徴とする給電装置。
【請求項16】
前記給電コイルは、前記複数の平面コイルが一平面をなして構成されたことを特徴とする請求項15に記載の給電装置。
【請求項17】
前記給電コイルを構成する複数の平面コイルは、中央に空間部がそれぞれ形成され、かつ、相互の内縁寸法及び外縁寸法が順次小さくなるように形成され、
前記複数の平面コイルは、それぞれの前記空間部に外縁寸法の小さな平面コイルが順次配置され、
前記複数の平面コイルは並列接続されていることを特徴とする請求項16に記載の給電装置。
【請求項18】
前記給電コイルを構成する平面コイルのうち少なくとも最内部に配された平面コイルは、並列に並べられた2本の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された2つの平面コイルにより構成され、前記2つの平面コイルが並列接続されたことを特徴とする請求項17に記載の給電装置。
【請求項19】
前記給電コイルを構成する平面コイルのうち少なくとも最内部に配された平面コイルは、並列に並べられた複数の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、
前記平面コイル群の中から選択された平面コイルに電流が流されることを特徴とする請求項17に記載の給電装置。
【請求項20】
前記給電コイルを構成する平面コイルのうち少なくとも最内部に配された平面コイルは、並列に並べられた少なくとも4本の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、
前記平面コイル群の中から、それぞれの間に少なくとも1本の素線を挟んで選択された複数の素線により構成される平面コイルを並列に接続して電流が流されることを特徴とする請求項17に記載の給電装置。
【請求項21】
前記給電コイルは、並列に並べられた2本の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された2つの平面コイルから構成され、
前記2つの平面コイルは並列接続されたことを特徴とする請求項16に記載の給電装置。
【請求項22】
前記給電コイルは、並列に並べられた複数の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、
前記平面コイル群の中から択一的に選択された平面コイルに電流が流されることを特徴とする請求項16に記載の給電装置。
【請求項23】
前記給電コイルは、並列に並べられた少なくとも4本の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、
前記平面コイル群の中から、それぞれの間に少なくとも1本の素線を挟んで選択された複数の素線により構成される平面コイルを並列に接続して電流が流されることを特徴とする請求項16に記載の給電装置。
【請求項24】
前記給電コイルは、2つの平面コイルから構成され、前記2つの平面コイルが直列接続されていることを特徴とする請求項15に記載の給電装置。
【請求項25】
前記2つの平面コイルは、並列に並べられた2本の素線が同一軸を中心に巻かれて形成され、
各平面コイルの最内周の素線同士が接続されたことを特徴とする請求項24に記載の給電装置。
【請求項26】
素線を渦巻状に巻いて形成した平面コイルからなる給電コイルから、素線を渦巻状に巻いて形成した平面コイルからなる受電コイルに対し電磁誘導を利用して電力を伝送するために使用される受電装置であって、
前記受電コイルは、並列に並べられた複数の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、
受電側の前記平面コイル群の中から選択された平面コイルが電磁誘導に利用されることを特徴とする受電装置。
【請求項27】
素線を渦巻状に巻いて形成した平面コイルからなる給電コイルと、素線を渦巻状に巻いて形成した平面コイルからなる受電コイルとの間で電磁誘導を利用して電力を伝送する非接触式電力伝送装置に使用される電磁誘導用コイルであって、
前記給電コイルは、複数の平面コイルで構成され、これら複数の平面コイルは、その素線が同一軸を中心として巻かれて形成され、かつ互いの自己インダクタンスの値が略同値とされたことを特徴とする電磁誘導用コイル。
【請求項28】
前記給電コイルは、前記複数の平面コイルが一平面をなして構成されたことを特徴とする請求項27に記載の電磁誘導用コイル。
【請求項29】
前記給電コイルを構成する複数の平面コイルは、中央に空間部がそれぞれ形成され、かつ、相互の内縁寸法及び外縁寸法が順次小さくなるように形成され、
前記複数の平面コイルは、それぞれの前記空間部に外縁寸法の小さな平面コイルが順次配置され、
前記複数の平面コイルは並列接続されていることを特徴とする請求項28に記載の電磁誘導用コイル。
【請求項30】
前記給電コイルを構成する平面コイルのうち最内部に配された平面コイルの外縁寸法は、前記受電コイルの外縁寸法と略同寸に形成されていることを特徴とする請求項29に記載の電磁誘導用コイル。
【請求項31】
前記給電コイルを構成する平面コイルのうち少なくとも最内部に配された平面コイルが、並列に並べられた2本の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された2つの平面コイルにより構成され、かつ前記2つの平面コイルは並列接続され、
前記2つの平面コイルのそれぞれの巻数が前記受電コイルの巻数よりも少ないことを特徴とする請求項29に記載の電磁誘導用コイル。
【請求項32】
前記給電コイルを構成する平面コイルのうち少なくとも最内部に配された平面コイルは、並列に並べられた複数の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、
前記平面コイル群を構成する各平面コイルは、前記受電コイルの巻数よりも少なく巻かれて形成され、
前記平面コイル群には、この平面コイル群を構成する各平面コイルの中から電流を流す平面コイルを選択可能とする接続端子が設けられていることを特徴とする請求項29に記載の電磁誘導用コイル。
【請求項33】
前記給電コイルを構成する平面コイルのうち少なくとも最内部に配された平面コイルは、並列に並べられた少なくとも4本の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、
前記平面コイル群を構成する各平面コイルは、前記受電コイルの巻数よりも少なく巻かれて形成され、
前記平面コイル群には、この平面コイル群を構成する各平面コイルの中から電流を流す複数の平面コイルを、選択されない他の平面コイルの素線をそれぞれの間に挟んで選択可能な接続端子が設けられ、
選択された前記複数の平面コイルが並列に接続されていることを特徴とする請求項29に記載の電磁誘導用コイル。
【請求項34】
選択すべき前記平面コイルを構成する素線には、他の平面コイルと区別する識別手段が設けられていることを特徴とする請求項32又は請求項33に記載の電磁誘導用コイル。
【請求項35】
前記受電コイルは、並列に並べられた複数の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、
受電側の前記平面コイル群には、この平面コイル群の中から電磁誘導に利用される平面コイルを選択可能な接続端子が設けられたことを特徴とする請求項32又は請求項33に記載の電磁誘導用コイル。
【請求項36】
選択すべき平面コイルを構成する素線には、他の平面コイルと区別する識別手段が設けられていることを特徴とする請求項35に記載の電磁誘導用コイル。
【請求項37】
前記給電コイルを構成する平面コイルは、並列に並べられた2本の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された2つの平面コイルにより構成され、かつ前記2つの平面コイルは並列接続され、
前記2つの平面コイルのそれぞれの巻数が前記受電コイルの巻数よりも少ないことを特徴とする請求項28に記載の電磁誘導用コイル。
【請求項38】
前記給電コイルは、並列に並べられた複数の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、
前記平面コイル群を構成する各平面コイルは、前記受電コイルの巻数よりも少なく巻かれ、
前記平面コイル群には、この平面コイル群を構成する各平面コイルの中から電流を流す平面コイルを選択可能とする接続端子が設けられていることを特徴とする請求項28に記載の電磁誘導用コイル。
【請求項39】
前記給電コイルは、並列に並べられた少なくとも4本の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、
前記平面コイル群を構成する各平面コイルは、前記受電コイルの巻数よりも少なく巻かれ、
前記平面コイル群には、この平面コイル群を構成する各平面コイルの中から電流を流す複数の平面コイルを、選択されない他の平面コイルの素線をそれぞれの間に挟んで選択可能な接続端子が設けられ、
選択された前記複数の平面コイルが並列に接続されていることを特徴とする請求項28に記載の電磁誘導用コイル。
【請求項40】
選択すべき平面コイルを構成する素線には、他の平面コイルと区別する識別手段が設けられていることを特徴とする請求項38又は請求項39に記載の電磁誘導用コイル。
【請求項41】
前記受電コイルは、並列に並べられた複数の素線が同一軸を中心に巻かれて形成された平面コイル群により構成され、
前記平面コイル群には、この平面コイル群を構成する各平面コイルの中から電磁誘導に利用する平面コイルを選択可能とする接続端子が設けられていることを特徴とする請求項38又は請求項39に記載の電磁誘導用コイル。
【請求項42】
選択すべき平面コイルを構成する素線には、他の平面コイルと区別する識別手段が設けられていることを特徴とする請求項41に記載の電磁誘導用コイル。
【請求項43】
前記給電コイルは、2つの平面コイルから構成され、前記2つの平面コイルが直列接続されていることを特徴とする請求項27に記載の電磁誘導用コイル。
【請求項44】
前記2つの平面コイルは、並列に並べられた2本の素線が同一軸を中心に巻かれて形成され、
各平面コイルの最内周の素線同士が接続されたことを特徴とする請求項43に記載の電磁誘導用コイル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate