説明

非破壊検査診断装置

【課題】 操作性を向上させる共にプレビューすることなく検査情報ファイルの検索、選択、編集及び最適ファイルの抽出を行うこと。
【解決手段】 被検体Sの欠陥又は状態を検査すると共に識別番号が付与されたプローブ2と、該プローブ2を着脱自在に固定すると共に該プローブ2を操作する検査装置本体3とを備え、検査装置本体3が、記録媒体に記録されている検査情報ファイル内の主要パラメータをメモリ上に読み出して記憶する第1の記憶手段7と、記憶された主要パラメータを、階層化されたユーザインターフェースとして表示する第1の表示制御手段30と、階層化されたユーザインターフェースから所望の情報を選択する操作選択制御手段31と、選択した情報を、ユーザインターフェース上に表示させる第2の表示制御手段32とを備えている非破壊検査診断装置1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体の表面や内部の欠陥を非破壊検査する非破壊検査診断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、非破壊検査診断装置において、PCカードやハードディスク等の記憶装置に格納された検査情報ファイルを検索する場合には、図7に示すようなユーザインターフェースが一般的に採用されている。
この図7に示す画面60は、検査情報ファイル内のデータを非破壊検査診断装置に読み込む際の「ファイル選択画面」の代表的な例である。この画面60を使用する際、操作者は、記憶装置内にあるファイルの名称、作成日時、ファイル形式等の一覧61から所望のファイルを推察し、Open ボタン62を押すことで、読み込みを実行することができる。また、ファイル内の主要なパラメータ等を確認したい場合には、Previewボタン63を押すことにより、図8に示すようなファイルプレビュー画面64の表示を行う。そして、操作者は、このファイルプレビュー画面64でファイルの内容を確認した後、データの読み込みを実行することができる。
【特許文献1】特開2002−236100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の非破壊検査診断装置では以下のような課題が残されていた。
即ち、従来の検査情報ファイル選択画面のユーザインターフェースでは、ファイル検索、選択時に、基準となる検査種類、プローブID、音速及び周波数等の情報を一度に(一目で)把握できる構成にはなっておらず、これらの情報を確認するためには検査情報ファイルを1つずつプレビュー表示する必要があった。このため、検査情報ファイル選択の操作性上、大きく分けて下記の3つの課題が残されていた。
【0004】
第1の課題としては、操作者が検査情報ファイルを一つずつプレビューしないと、ファイル内に格納された主要パラメータを把握することが困難であった。また、多数の検査情報ファイルから所望のファイルを検索する場合に、検査情報ファイルの数だけプレビューを行うので、プレビューの操作回数が膨大な数になるものであった。更に、プレビューする際に、検査情報ファイルを1つ1つオープンする必要があるので、ファイルアクセスに時間がかかるものであった。
【0005】
また、第2の課題としては、検査情報の一部のみを変更した別の検査情報ファイルを作成する場合には、検査情報を非破壊検査診断装置に読み込ませ、その後データを変更し、再度別名で保存するといった操作が必要であり、手間のかかるものであった。
【0006】
また、第3の課題としては、プローブの交換を行った場合には、交換後のプローブに最適な検査情報ファイルの抽出や読み込みの要求を促すことを実施していなかった。又は、仮にこれらのことを実施したとしても、処理時間がかかる不都合があった。
【0007】
この発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、検査情報ファイル選択画面のユーザインターフェースを改良して、検査情報ファイル内の主要パラメータを階層化させて表示することで、操作性を向上させる共に、プレビューすることなく検査情報ファイルの検索、選択、編集及び最適ファイルの抽出を行うことができる非破壊検査診新装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
請求項1に係る発明は、被検体の欠陥又は状態を検査すると共に識別番号が付与されたプローブと、該プローブを着脱自在に固定すると共に該プローブを操作する検査装置本体とを備える非破壊検査診断装置であって、前記検査装置本体が、記録媒体に記録されている検査情報ファイル内の主要パラメータをメモリ上に読み出して記憶する第1の記憶手段と、記憶された前記主要パラメータを、階層化されたユーザインターフェースとして表示する第1の表示制御手段と、階層化された前記ユーザインターフェースから所望の情報を選択する操作選択制御手段と、選択した前記情報を、前記ユーザインターフェース上に表示させる第2の表示制御手段とを備えている非破壊検査診断装置を提供する。
【0009】
この発明に係る非破壊検査診断装置においては、検査情報ファイル内の主要パラメータをメモリ上に読み出して記憶する第1の記憶手段を備えているので、検査情報ファイル内の主要パラメータ値を参照表示する際に、アクセス時間を短縮することができる。また、この第1の記憶手段に記憶された情報を、階層化されたファイル選択画面のユーザインターフェースとして操作者に伝えることのできる第1の表示制御手段を備えているので、操作者は、一度(一目)で検査情報ファイルに格納された主要パラメータを把握できる。また、現在選択されている検査種別に関する情報のみを、選択的に表示することもできる。
【0010】
また、ユーザインターフェースから所望の情報、例えば、パラメータ値をカーソル等で選択する操作選択制御手段を備えているので、所望のパラメータ値を逐次選択することができ、最終的に検査情報ファイルのプレビュー操作をすることなく、検査情報ファイルを選択することができる。
更に、検査情報ファイル検索する際に、各階層で選択したパラメータ内容をユーザインターフェース上に表示させる第2の表示制御手段を備えているので、どのパラメータ項目でどのような値を選択したかを把握することができる。これにより、選択済みのパラメータ値選択用の画面表示を非表示にすることができ、画面上の情報表示領域を制約することができる。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の非破壊検査診断装置において、前記ユーザインターフェース上の前記主要パラメータに所望の値を入力する入力制御手段を備えている非破壊検査診断装置を提供する。
【0012】
この発明に係る非破壊検査診断装置においては、主要パラメータに任意の値(所望の値)を入力する入力制御手段を備えているので、検査情報ファイルの主要パラメータの一部のみを変更した検査情報を読み込ませたい場合に、入力された数値を検査情報ファイル内のパラメータ値と置き換えて読み込ませることができる。従って、検査情報ファイルのコピーや編集操作が不要となる。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の非破壊検査診断装置において、前記プローブから前記識別番号を読み出して記憶する第2の記憶手段を備え、前記第1の表示制御手段が、前記プローブが着脱により交換されたときに、第2の記憶手段で記憶された前記識別番号に関連する前記主要パラメータを表示する非破壊検査診断装置を提供する。
【0014】
この発明に係る非破壊検査診断装置においては、プローブの識別番号、即ち、プローブIDを読み出して記憶する第2の記憶手段を備えているので、プローブの抜き差し(交換)が行われた際に、記憶された新旧プローブID(交換前のプローブID、交換後のプローブID)の相違からプローブが交換されたことを容易且つ確実に認識することができる。
また、第1の表示制御手段が、プローブが交換されたときにプローブIDに関連する主要パラメータを表示するので、例えば、新たなプローブIDに合致するパラメータ値が第1の記憶手段内に存在する場合には、該当するファイル群をユーザインターフェース上に抽出表示させて操作者に最適なファイルの読込みを促すことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る非破壊検査診断装置によれば、検査情報ファイル内の主要パラメータを階層化させて表示することで、操作性を向上させる共に、プレビューすることなく検査情報ファイルの検索、選択、編集及び最適ファイルの抽出を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る非破壊検査診断装置の一実施形態について、図1から図6を参照して説明する。
本実施形態の非破壊検査診断装置1は、図1に示すように、被検体Sの欠陥又は状態を検査すると共にプローブID(識別番号)が付与されたプローブ2と、該プローブ2を着脱自在に固定すると共に該プローブ2を操作する検査装置本体3とを備えている。
プローブ2は、内部に図示しない圧電素子を備えており、該圧電素子が振動することで被検体Sに超音波Pを送信するようになっている。一方、圧電素子は、被検体Sで反射されたパルスエコーによっても振動し、該振動エネルギーを電気信号に変換して検査信号として出力するようになっている。即ち、プローブ2は、被検体Sに超音波Pを送信すると共に、被検体Sの欠陥又は振動状態に応じた出力信号を出力するようになっている。
【0017】
検査装置本体3は、各種制御を行うCPU(コントローラ)5と、各種処理を行うための動作プログラム等が予め記憶されたROM6と、CPU5による処理の過程で発生する一時的なデータ等が記憶されるRAM7と、ハードディスクや着脱可能なPCカード等の記録媒体が装着され、検査情報ファイルを含む各種データが格納される記憶装置8とを備えている。
また、CPU5には、操作部9が電気的に接続されており、操作部9から各種の操作信号が出力されてCPU5に入力するようになっている。また、CPU5には切り替え部10を介して、バッテリ11や外部電源(AC100V)12から電力が供給されるようになっている。また、CPU5には、モニタ13に画像を表示するための画像信号を出力する画像制御部14が接続されており、この画像制御部14から出力された画像信号がモニタ13に入力され、モニタ13上に表示される。
【0018】
また、検査装置本体3には、外部接続端子15を介して周辺機器16を接続できるようになっており、接続した時点で周辺機器16がCPU5に電気的に接続される。また、周辺機器16と同様に、検査装置本体3には、外部接続端子17を介してビデオカメラ18が接続できるようになっている。このビデオカメラ18からの映像信号は、ビデオデコーダ19によってアナログ信号からデジタル信号に変換された後、画像制御部14に入力され、その後モニタ13に表示されるようになっている。なお、CPU5が、ビデオデコーダ19の制御やモニタ13に表示する映像の制御等を行っている。
【0019】
また、検査装置本体3は、パルスを発生させてプローブ2の圧電素子に印加し、圧電素子を振動させるパルサー回路20と、プローブ2の圧電素子から出力された検査信号を受信するレシーバ回路21とを備えている。レシーバ回路21は、受信した検査信号をA/Dコンバータ22に出力する。A/Dコンバータ22は、入力された検査信号をアナログ信号からデジタル信号に変換した後に検波計測部23に出力する。検波計測部23は、デジタル信号に変換された検査信号を計測して被検体Sの欠陥(傷等)や状態の計測を行う。また、この検査信号は、波形メモリ24を介して画像制御部14に送られた後、モニタ13上に表示される。これにより、検査者は、被検体Sの欠陥や状態を目視により確認することができる。
【0020】
上記RAM7は、CPU5のワークエリア等として使用され、記憶装置8から読み出された検査情報ファイルの主要パラメータ値も格納されるようになっている。即ち、RAM7は、記録媒体に記録されている検査情報ファイル内の主要パラメータをメモリ上に読み出して記憶する第1の記憶手段として機能する。このように、検査情報ファイルの主要パラメータがRAM7上に保持(記憶)されるので、主要パラメータ値を参照する場合には、記憶装置8を直接アクセスするよりもスピードが向上する。
【0021】
また、検査装置本体3は、第1の記憶手段であるRAM7に記憶された主要パラメータを、階層化されたユーザインターフェースとしてモニタ13に表示する第1の表示制御部(第1の表示制御手段)30と、階層化されたユーザインターフェースから所望の情報を選択する操作選択制御手段31と、選択した情報を、ユーザインターフェース上に表示させる第2の表示制御部(第2の表示制御手段)32と、ユーザインターフェース上の主要パラメータに所望の値を入力する入力制御手段33とを備えている。
上記第1の表示制御部30及び第2の表示制御部32は、CPU5内に組み込まれている。また、本実施形態では、操作部9及び後述するカーソル43が、上記操作選択制御手段31及び入力制御手段33を構成している。
【0022】
また、RAM7は、プローブ2からプローブIDを読み出して記憶する第2の記憶手段としても機能するようになっており、第1の表示制御部30は、プローブ2が着脱により交換されたときに、RAM7で記憶されたプローブIDに関連する主要パラメータを表示するようになっている。
これら各構成品及び代表的なユーザインターフェースについて以下に詳細に説明する。
【0023】
本実施形態のユーザインターフェース画面の1つを、図2に示す。この画面40は、「ファイル選択画面」と呼ばれるものであり、操作者がこのファイル選択画面40を見ながら、新たに読み込ませたい検査情報ファイルを検索、選択することができる。
このファイル選択画面40のレイアウトを説明する。タイトルバー41は、この画面が「ファイル選択画面」であることを示している。タイトルバー41の下には、主要パラメータ選択内容を示す選択値階層表示バー42が配置されている。この選択値階層表示バー42は、操作選択制御手段31を構成しているカーソル43により選択されたパラメータ値を表示する。例えば、カーソル43を使用して検査種類「STANDARD」を選択し、その後、プローブI D“XA8542”を選択すると、選択値階層表示バー42には「STANDATD>>XA8542」と表示される。そして、主要パラメータを選択する度に、選択値階層表示バー42にその選択値が追加される。操作者はこれを見ることで、自分がどのパラメータ値を選択しているのかを把握することができる。
【0024】
選択値階層表示バー42の下には、記憶装置8内に記録されている検査情報ファイルの主要パラメータを階層表示した階層表示リスト44がある。この階層表示リスト44には、操作者が所望の検査情報ファイルを決定するのに必要ないくつかの主要パラメータが表示されている。例えば、「検査種別」、「プローブID」、「材料音速」、「周波数」、「レンジ」等が表示される。階層表示リスト44では、選択操作上、不要な情報は極力隠蔽される。例えば、操作者が検査種別のパラメータ値として、「STANDARD」を選択した場合、「PHASED ARRAY」検査種別に関する階層表示は不要であるため、自動的に隠蔽表示される。なお、隠蔽された情報は、「PHASED ARRAY」隠蔽表示45の項目にカーソル43をあわせることで解除される。
また、同様に例えばプローブIDが選択済みになった場合には、選択されたプローブID以外のIDを格納している検査情報ファイルの主要パラメータ表示は不要となるので、自動的に隠蔽表示される。
【0025】
プローブID「XA8542」以外の情報が隠蔽された画面例を、図3に示す。隠蔽表示アイコン46にカーソル43を合わせることで、プローブIDの隠蔽表示が解除されて図2に示す状態に戻り、プローブIDを再選択することができる。この隠蔽処理によって、ユーザインターフェース表示領域を節約することができる。以降、同様にして主要パラメータを次々に選択することで、検査情報ファイルを直接プレビューをすることなく、検査情報ファイルの検索を行うことができ、ファイルが一つに絞り込めた時点でファイルの読込み要求を操作者に通知することができる。
【0026】
次に、検査情報ファイルの一部の主要パラメータ値のみを変更して、検査情報を読み込ませる場合の画面例を図4に示す。画面50は、検査種別「STANDARD」、プローブID「XA8542」、材料音速「5800」、周波数「2000」、レンジ「150」、ファイル名「Inspect30」のファイル51が保持している検査情報のうち、材料音速のパラメータ値だけ「4870」に置き換えて読み込ませる場合の画面である。
【0027】
材料音速のパラメータ値に所望のデータがない場合には、カーソル43を上方向に移動させると、選択値階層表示バー42にあわせることができる。ここで、所望の数値を人力する。この数値は、ファイル読込み処理の実行時に、ファイル内の材料音速値と置き換えられて読み込まれる。また、カーソル43を右に動かすと、次の選択パラメータである周波数の項目を選択をすることができ、検査情報ファイルが一つに絞り込めた時点で、ファイルの読み込み要求を操作者に通知することができる。
以上の操作を行えば、主要パラメータ値の一部だけが異なる検査情報を読み込ませたい場合に、操作者による検査情報ファイルのコピーや編集が不要になる。
【0028】
次に、プローブ2の抜き差し(交換)が行われた際に、新たなプローブIDに適合するファイル群をユーザインターフェース上に抽出表示し、操作者に最適なファイルの読み込みを促す処理についての動作表を図5に示す。この図5において、横列はプローブ2の差し替え前の状態を示し、縦列はプローブ2の差し変え後の状態を示す。
なお、プローブ2は、ID情報を内蔵して読み出し可能なものと、ID情報を内蔵せず、読み出し不可能なものとの2種類が存在するものとして説明する。
【0029】
この動作表について説明する。図5に示すように、差し替え前のプローブ2がプローブID読み出し不可の場合で、且つ、差し替え後のプローブ2もプローブID読み出し不可の場合には(動作55)、プローブ2の種類の変化を把握できないため、「プローブ交換がされていないことを確認してください」というメッセージを操作者に対して表示する。
また、差し替え前のプローブ2がプローブID読み出し不可の場合で、且つ、差し替え後のプローブ2がプローブID読出し可能の場合には(動作56)、プローブIDを読み取り、差し替え後のプローブIDと同じプローブIDを保持している検査情報ファイルを抽出して、読み込み要求メッセージを表示する。
【0030】
また、差し替え前のプローブ2がプローブID読出し可能の場合で、且つ、差し替え後のプローブ2がプローブID読み出し不可の場合には(動作57)、差し替え後のプローブIDと同じプローブIDを保持している検査データファイルを抽出して、読み込み要求メッセージを表示する。
また、差し替え前のプローブ2がプローブID読出し可能の場合で、且つ、差し替え後のプローブ2もプローブID読出し可能の場合には(動作58)、差し替え前と差し替え後とのプローブIDを比較して、プローブIDが異なる場合に、差し替え後のプローブIDと同じプローブIDを保持している検査データファイルを抽出して、読込み要求メッセージを表示する。
【0031】
このように構成された非破壊検査診断装置1の動作について、図6に示すフローチャートに基づいて以下に説明する。なお、図6に示すフローチャートは、図5に示す動作表にしたがって実行される処理のフローチャートでである。
ステップS1では、非破壊検査診断装置1に電源投入した直後等において、現在挿入されている(固定されている)プローブ2のプローブIDが取得されているか否かを判断する。そして、取得されていない場合(NOの場合)には、ステップS2へ進み、既にプローブIDが取得されている場合(YESの場合)には、ステップS3へ進む。
ステップS2では、現在挿入されているプローブIDを読み込み、RAM7に格納する(ID1とする)。この際、プローブIDを保持していないタイプのプローブ2が装着されている場合には、ID1には「NULL」情報が取得される。
【0032】
ステップS3では、プローブコネクタの抜き差しハードウエア検出があったか否か、又は、プローブ抜き差しをハードウエアで検知できないような状態(バッテリドアオープン開閉等)があったか否かを判断する。そして、該当する場合(YESの場合)には、ステップS4へ進み、該当しない場合(NOの場合)には、ステップS11に進む。
ステップS4では、新たに挿入されたプローブ2からプローブIDを取得してRAM7に記憶する(ID2とする)。この際、プローブIDを保持していないタイプのプローブ2が装着されている場合には、ID2には「NULL」情報が取得される。
【0033】
次に、ステップS5において、RAM7に格納されているID1とID2との比較を行う。比較した結果、ID1とID2とが同じ場合(YESの場合)には、S6へ進む。一方、異なる場合(NOの場合)には、プローブ2の交換が行われたと判断してステップS7へ進む。
ステップS6では、プローブ2の差し替え前と差し替え後とでプローブIDの取得が不可であったか否かを判断する。その結果、ID1及びID2が共に「NULL」でない場合(NOの場合)には、プローブ2の交換が行われなかったと判断してステップS11へ進む。一方、ID1及びID2が共に「NULL」の場合(YESの場合)には、ステップS7ヘ進み、操作者に「プローブが交換されていないことを確認してください」というメッセージを表示した後、ステップS11へ進む。
【0034】
ステップS8では、新たに挿入されたプローブ2からプローブIDの読み出しが可能か否かを判断する。その結果、ID2にプローブIDが格納されている場合(YESの場合)には、ステップS9へ進む。一方、プローブIDの読み出しが不可の場合(NOの場合)には、ステップS10へ進む。
ステップS9では、RAM7に格納されている主要パラメータから、ID2と同じIDを格納している検査情報ファイルを抽出してユーザインターフェース上に表示し、操作者にファイルの読み込みを促した後、ステップS11へ進む。
【0035】
ステップS10では、新たに挿入されたプローブのID情報の読み出しができないため、現在選択されている検査種別をキー情報にしてファイルの抽出を行う。そして、RAM7に格納されている主要パラメータから、現在選択されている検査種別と同じ検査種別を格納している検査情報ファイルを抽出してユーザインターフェース上に表示し、操作者にファイルの読み込みを促した後、ステップS11へ進む。
ステップ11では、新旧プローブ情報の更新を行い、その後、処理を終了する。
上述した処理を実行することで、プローブ2の差し替え時に最適な検査情報ファイルの抽出及び読み込みを操作者に促すことができる。
【0036】
上述したように、本実施形態の非破壊検査診断装置1においては、検査情報ファイル内の主要パラメータをメモリ上に読み出して記憶するRAM7を備えているので、検査情報ファイル内の主要パラメータ値を参照表示する際に、アクセス時間を短縮することができる。また、このRAM7に記憶された情報を、階層化されたファイル選択画面40のユーザインターフェースとして操作者に伝えることのできる第1の表示制御部30を備えているので、操作者は、一度(一目)で検査情報ファイルに格納された主要パラメータを把握できる。また、現在選択されている検査種別に関する情報のみを、選択的に表示することもできる。
【0037】
また、ユーザインターフェースから所望の情報、例えば、パラメータ値をカーソル43等で選択する操作選択制御手段31を備えているので、所望のパラメータ値を逐次選択することができ、最終的に検査情報ファイルのプレビュー操作をすることなく、検査情報ファイルを選択することができる。
更に、検査情報ファイル検索する際に、各階層で選択したパラメータ内容をユーザインターフェース上に表示させる第2の表示制御部32を備えているので、どのパラメータ項目でどのような値を選択したかを把握することができる。これにより、選択済みのパラメータ値選択用の画面表示を非表示にすることができ、画面上の情報表示領域を制約することができる。
【0038】
また、主要パラメータに任意の値(所望の値)を入力する入力制御手段33を備えているので、検査情報ファイルの主要パラメータの一部のみを変更した検査情報を読み込ませたい場合に、入力された数値を検査情報ファイル内のパラメータ値と置き換えて読み込ませることができる。従って、検査情報ファイルのコピーや編集操作が不要となる。
【0039】
更に、RAM7がプローブIDを読み出して記憶するので、プローブ2の抜き差し(交換)が行われた際に、記憶された新旧プローブIDの相違をからプローブ2が交換されたことを容易且つ確実に認識することができる。また、第1の表示制御部30が、プローブ2が交換されたときにプローブIDに関連する主要パラメータを表示するので、例えば、新たなプローブIDに合致するパラメータ値がRAM7内に存在する場合には、該当するファイル群をユーザインターフェース上に抽出表示させて操作者に最適なファイルの読込みを促すことができる。
【0040】
このように、本実施形態の非破壊検査診断装置1によれば、検査情報ファイル内の主要パラメータを階層化させて表示することで、操作性を向上させる共にプレビューすることなく検査情報ファイルの検索、選択、編集及び最適ファイルの抽出を行うことができる。
【0041】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る非破壊検査診断装置の一実施形態を示す構成ブロック図である。
【図2】図1に示す非破壊検査装置のユーザインタフェース画面の一例を示す図である。
【図3】図2に示す画面において、プローブID「XA8542」以外の情報が隠蔽された画面の状態を示す図である。
【図4】検査情報ファイルの一部の主要パラメータ値のみを変更した場合の画面の状態を示す図である。
【図5】プローブの抜き差しを行った際に、操作者に最適なファイルの読み込みを促す処理について動作表である。
【図6】図5に示す動作表にしたがって実行される処理のフローチャートである。
【図7】従来の非破壊検査診断装置のユーザインタフェース画面の一例を示す図である。
【図8】図7に示す画面の「Previewボタン」を押したときに示されるファイルプレビュー画面を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
S 被検体
1 非破壊検査診断装置
2 プローブ
3 検査装置本体
7 RAM(第1の記憶手段、第2の記憶手段)
30 第1の表示制御部(第1の表示制御手段)
31 操作選択制御手段
32 第2の表示制御部(第2の表示制御手段)
33 入力制御手段








【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の欠陥又は状態を検査すると共に識別番号が付与されたプローブと、
該プローブを着脱自在に固定すると共に該プローブを操作する検査装置本体とを備える非破壊検査診断装置であって、
前記検査装置本体が、記録媒体に記録されている検査情報ファイル内の主要パラメータをメモリ上に読み出して記憶する第1の記憶手段と、記憶された前記主要パラメータを、階層化されたユーザインターフェースとして表示する第1の表示制御手段と、階層化された前記ユーザインターフェースから所望の情報を選択する操作選択制御手段と、選択した前記情報を、前記ユーザインターフェース上に表示させる第2の表示制御手段とを備えていることを特徴とする非破壊検査診断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の非破壊検査診断装置において、
前記ユーザインターフェース上の前記主要パラメータに所望の値を入力する入力制御手段を備えていることを特徴とする非破壊検査診断装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の非破壊検査診断装置において、
前記プローブから前記識別番号を読み出して記憶する第2の記憶手段を備え、
前記第1の表示制御手段は、前記プローブが着脱により交換されたときに、第2の記憶手段で記憶された前記識別番号に関連する前記主要パラメータを表示することを特徴とする非破壊検査診断装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−275949(P2006−275949A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−99017(P2005−99017)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】