説明

面光源装置

【課題】光源から表示部へ向かう光の方向と直交する面内で見る位置を変えたとき、表示がチカチカと光って見える現象を低減させる。
【解決手段】面光源装置15は、光源17と導光板16とからなる。導光板16の下面には、ある形状又は図柄の表示部19が設けられている。表示部19は、プリズム状をした複数個の偏向パターンをある形状又は図柄内に配列して構成されている。導光板16の両側面16bには、当該側面16bで全反射して表示部19へ向かっていた光を外部へ向けて透過させるための切欠き22を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は面光源装置に関する。具体的には、スマートフォンやタブレット型コンピュータなどのモバイル機器に組み込んで表示用に使用される面光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやタブレット型コンピュータ、電子ブックリーダーデバイスなどでは、スイッチの場所でアイコンが光っていて、アイコンでスイッチの位置や種類を表示している。たとえば、図1(A)に示すスマートフォン11では、液晶表示画面12の下にアイコン13が表示されている。図1(A)では「A」という文字で表しているが、実際には家や虫眼鏡などのデザインマークが用いられことが多い。そして、アイコン13を指で押さえると、その下のスイッチ14がオンになってスマートフォン11の機能が切り替わるといった仕組みになっている。
【0003】
図1(B)は、図1(A)のスマートフォン11の下部に納められている表示用の面光源装置15である。また、図2(A)は、この面光源装置15の概略断面を表している。面光源装置15は、導光板16と光源17からなる。導光板16は、透明で屈折率の高い樹脂材料、たとえばポリカーボネイト樹脂(PC)やポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)によって成形されている。光源17はLEDを用いた微小な光源(点光源)であって、導光板16の一方端面(光入射端面16a)に光出射窓を対向させて配置されている。導光板16の下面(上面の場合もある)には、微小なプリズム状の偏向パターン18が多数形成され、図2(B)に示すように、偏向パターン18の集合によってアイコン形状の表示部19が構成されている。各偏向パターンは、光源17の近傍の点を中心として円弧状に配列され、この点を中心とする円弧に沿った方向に延びている。なお、表示部19の下にスイッチ14を配置する場合には、導光板16には、厚みが薄くて柔軟性のある導光シートを用いる。
【0004】
この面光源装置15において光源17が発光すると、光入射端面16aから導光板16内に入射した光は、導光板16の上面、下面及び両側面で全反射しながら導光板16内を導光する。こうして導光板16内を導光する光が、図2(A)に示すように表示部19に達すると、その光は偏向パターン18の偏向反射面18aで全反射される。偏向反射面18aにより上方へ向けて全反射された光のうち、導光板16の上面(光出射面16c)に対して全反射の臨界角よりも小さな角度で入射した光は、光入射端面16aを透過して上方へ出射される(偏向パターン18が光出射面16cに設けられている場合には、偏向パターン18で光が屈折しながら透過する)。この結果、アイコン形状で光が出射されてスマートフォン11のアイコン13が光ることになる。
【0005】
しかし、上記のような面光源装置15を用いたスマートフォン11では、それを手に持って縦方向に傾けるとアイコン13の輝度が明るくなったり、暗くなったりを繰り返してチカチカと光って見えるという不具合がある。このような現象が発生する理由を図3及び図4により説明する。なお、図3(B)に示す指向特性図は、導光板16の光出射面16cから出射される光の指向特性を光出射面16cに垂直な方向(Z方向)から見た図であって、X方向は導光板16の長さ方向(スマートフォン11の横方向)を表し、Y方向は導光板16の幅方向(スマートフォン11の縦方向)を表している。
【0006】
小さな光源17から出射した光を偏向パターン18で全反射させ光出射面16cから出射させる場合、光出射面16cに垂直な方向から見たとき、光源17からある偏向パターン18に向かう光は狭い範囲の光であるため、光出射面16cから出射される光も指向性の狭い光となる。すなわち、図3(A)に示すように、直進して表示部19又は偏向パターン18に達した光Laの指向特性は図3(B)に示すCaのようにX方向に長い指向特性となる。よって、このような指向特性Caの光では、スマートフォン11の正面方向からは高輝度で認識できるが、スマートフォン11を縦方向で傾けると暗くなる。
【0007】
ところが、表示部19に入射する光のなかには、図3(A)の光Lbのように、導光板16の側面16bで全反射してから偏向パターン18に入射する光がある。このような光Lbは、図2(A)に破線で示すように、斜め方向から偏向パターン18に入射して偏向パターン18で斜め方向へ全反射される。そのため、光出射面16cから出射する光Lbの指向特性は、図3(B)のCbのように斜めに傾いた狭い指向特性を持つ。
【0008】
上記のように指向特性がCaの光Laに指向特性Cbの光Lbが加わるため、図4に示すようにX方向(スマートフォン11を手に持った状態では、ほぼ上下方向)から見たときには、明るい領域Bと暗い領域Dが交互に生じる。そのためスマートフォン11を縦方向に傾けると、視線は明るい領域Bと暗い領域Dとを交互に通過し、見ているアイコン13がチカチカと光って見えることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−243822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、アイコンなどの表示の見栄えを悪化させる余分な迷光を除去することのできる面光源装置を提供することにある。特に、本発明は、光源から表示部へ向かう光の方向と直交する面内で見る位置を変えたとき、表示がチカチカと光って見える現象を低減させることのできる面光源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る面光源装置は、光源と、前記光源から導入された光を光出射面の表示領域から出射させる導光板とを備えた面光源装置であって、前記導光板の光出射面又はその反対面のうち少なくとも一方の面において、前記表示領域に、偏向傾斜面を有する複数個の偏向パターンが形成され、前記導光板の前記光出射面及びその反対面以外の表面のうち少なくとも1つの表面の少なくとも一部に、当該表面で反射して前記表示領域へ向かう光を低減させるための光制御手段を設けたことを特徴としている。
【0012】
本発明の面光源装置によれば、導光板の光出射面及びその反対面以外の表面のうち少なくとも1つの表面の少なくとも一部に、当該表面で反射して表示領域へ向かう光を低減させるための光制御手段を設けているので、望まない方向から表示領域へ到達して表示領域を光らせるのを防止することができる。よって、余分な迷光を少なくし、表示領域が発光しているときに、見る方向が変化したり、面光源装置の組み込まれた機器を傾けたりしても表示領域のちらつきが発生しにくくなる。
【0013】
本発明に係る面光源装置のある実施態様は、前記光制御手段が、当該光制御手段に入射する光を前記導光板の外部へ透過させるように角度を定めた切欠き部であることを特徴としている。かかる実施態様では、導光板のある面で反射して望まない方向から表示領域へ到達していた光を切欠き部から外部へ透過させることができる。よって、望まない方向から表示部へ届いていた光を少なくすることができる。
【0014】
本発明に係る面光源装置の別な実施態様は、前記光制御手段が、当該光制御手段に入射する光を吸収する光吸収層であることを特徴としている。かかる実施態様では、導光板のある面で反射して望まない方向から表示領域へ到達していた光を光制御手段である光吸収層で吸収させることができる。よって、望まない方向から表示部へ届いていた光を少なくすることができる。
【0015】
本発明に係る面光源装置のさらに別な実施態様は、前記光制御手段は、当該光制御手段に入射する光を散乱させる光散乱面であることを特徴としている。かかる実施態様では、導光板のある面で反射して望まない方向から表示領域へ到達していた光を光制御手段である光散乱面で散乱させることができる。よって、望まない方向から表示部へ届いていた光を少なくすることができる。
【0016】
本発明に係る携帯電話機は、送受話機能を有する携帯電話機であって、ある形状を光で表示させるために本発明に係る面光源装置を備えたことを特徴としている。かかる実施態様は、本発明の面光源装置をスマートフォンその他の携帯電話機に用いたものである。かかる実施態様によれば、光表示されたアイコンなどの表示がちらつくのを防ぐことができる。
【0017】
本発明に係る情報端末は、情報処理機能を備えた情報端末において、ある形状を光で表示させるために本発明に係る面光源装置を備えたことを特徴としている。かかる実施態様は、本発明の面光源装置をモバイルコンピュータやタブレット型コンピュータ、電子手帳、電子辞書などの情報端末に用いた場合である。かかる実施態様によれば、光表示されたアイコンなどの表示がちらつくのを防ぐことができる。
【0018】
なお、本発明における前記課題を解決するための手段は、以上説明した構成要素を適宜組み合せた特徴を有するものであり、本発明はかかる構成要素の組合せによる多くのバリエーションを可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1(A)は、スマートフォンの平面図である。図1(B)は、図1(A)に示すスマートフォンの内部に納められている面光源装置の平面図である。
【図2】図2(A)は、図1(B)に示した面光源装置の概略断面図であって、併せて1つの偏向パターンを拡大して示す。図2(B)は、導光板に設けられた表示部(偏向パターン領域)の平面図である。
【図3】図3(A)は、図1(B)に示した面光源装置において、表示部に入射する光を示す図である。図3(B)は、導光板の光出射面から出射した光の、当該光出射面に垂直な方向から見た指向特性を示す図である。
【図4】図4は、図1(B)に示した面光源装置の問題点を説明する図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態1による面光源装置の概略平面図である。
【図6】図6は、実施形態1の面光源装置の作用説明図である。
【図7】図7(A)及び図7(B)は、いずれも偏向パターンの拡大斜視図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態2による面光源装置の概略平面図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態3による面光源装置の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々設計変更することができる。
【0021】
本発明の面光源装置は、携帯電話機、タブレット型コンピュータ、電子ブックリーダーデバイスなどのモバイル機器の表示用に用いられるが、ここでは携帯電話機であるスマートフォンに用いる場合を説明する。スマートフォンは図1(A)に示しているので、さらに図示しない。また、図1(B)、図2(A)及び図2(B)においては従来例の面光源装置15を説明しているので、本発明に係る面光源装置のうち従来例と同一構成部分については、同一の符号を付することによって説明を省略し、本発明に係る面光源装置のうち従来例と異なる点を主として説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
本発明の実施形態1による面光源装置21を説明する。図5は、実施形態1による面光源装置21の概略平面図である。この実施形態では、従来の面光源装置15において、光源17から導光板16内に入射し、導光板16の側面16bで全反射した後に表示部19へ達していた光Lbに着目する(図3(A)参照)。
【0023】
実施形態1の面光源装置21では、上記光Lbが側面16bで全反射していた領域に、入射光Lbを透過させるように切欠き22を設ける。すなわち、切欠き22は入射光Lbのあたる切欠面22aとほとんどLbの当たらない切欠面22bから構成される。切欠面22aは、入射光Lbを全反射させることなくほぼ透過させられるような角度に形成されている。たとえば、切欠面22aは、光源17側からの入射光Lbの最大強度の光線方向とほぼ直交するように角度を定めている。また、他方の切欠面22bは、切欠面22aを透過した光Lbが導光板16に再入射しないように、また他の光を表示部19に向けて全反射させにくいように角度を定めている。たとえば、切欠面22bは、光源17からの構成Lbの最大強度の光線方向とほぼ平行となるように定めておけばよい。
【0024】
かかる面光源装置21によれば、従来例において導光板16の側面16bで全反射して表示部19に達していた光Lbが、切欠き22から導光板16の外へ漏れることで表示部19に達しなくなる。そのため、導光板16の光出射面16cからは、図6に示すように、正面側へのみ強度の高い光が出射される(図3(B)における指向特性Cbの光が消失する。)。この結果、スマートフォン11のアイコン13は、正面からは見えるが、斜め方向からは見えなくなり、スマートフォン11を縦方向に傾けたり、目や頭を上下に動かしてもアイコン13がチカチカと光って見えることがなくなり、アイコン13の表示品質が向上する。
【0025】
切欠き22は、導光板16の側面16bの一部にしか設けていないが、図5に示すように、切欠き22以外の箇所で光が全反射しても、その反射光は表示部19から外れた方向へ反射され、表示部19を光らせないので、問題はない。
【0026】
なお、表示部19を構成する偏向パターン18は、図7(A)に示すような断面三角形状、特に断面直角三角形状をしたものが一般的であるが、図7(B)に示すように偏向反射面18aが湾曲したものであってもよい。また、切欠き22は両側面16bのうち、一方の側面16bのみに設けてもよい。
【0027】
(第2の実施形態)
つぎに、本発明の実施形態2による面光源装置31を説明する。図8は、実施形態2による面光源装置31の概略平面図である。
【0028】
実施形態2の面光源装置31では、表示部19に届く光Lbが側面16bで全反射していた領域に、黒色塗料を塗布したり、黒色粘着テープを貼り付けたりして光吸収層32を設ける。
【0029】
かかる面光源装置31によれば、従来例において導光板16の側面16bで全反射して表示部19に達していた光Lbが、光吸収層32で吸収され、側面16bで全反射されにくくなる。そのため、このような実施形態でも、光出射面16cから正面側へのみ強度の高い光が出射される。この結果、スマートフォン11のアイコン13は、正面からは見えるが、斜め方向からは見えなくなり、スマートフォン11を縦方向に傾けたり、目や頭を上下に動かしてもアイコン13がチカチカと光って見えなくなり、アイコン13の表示品質が向上する。
【0030】
また、光吸収層32は両側面16bのうち、一方の側面16bのみに設けてもよい。
【0031】
(第3の実施形態)
つぎに、本発明の実施形態3による面光源装置41を説明する。図9は、実施形態3による面光源装置41の概略平面図である。
【0032】
実施形態3の面光源装置41では、表示部19に届く光Lbが側面16bで全反射していた領域に、光散乱面42を加工している。たとえば、側面16bの当該領域を粗面に形成したり、ランダムなプリズム状に形成したりする。
【0033】
かかる面光源装置41によれば、従来例において導光板16の側面16bで全反射して表示部19に達していた光Lbが、光散乱面42で散乱されて特定方向への強い光が反射されなくなる。そのため、このような実施形態では、正面側以外には光出射面16cから強度の高い光が出射されなくなる。この結果、スマートフォン11のアイコン13は、正面からは見えるが、斜め方向からは見えなくなり、スマートフォン11を縦方向に傾けたり、目や頭を上下に動かしてもアイコン13がチカチカと光って見えることがなくなり、アイコン13の表示品質が向上する。
【0034】
また、光散乱面42は両側面16bのうち、一方の側面16bのみに設けてもよい。
【符号の説明】
【0035】
11 スマートフォン
12 液晶表示画面
13 アイコン
16 導光板
16a 光入射端面
16b 側面
16c 光出射面
17 光源
18 偏向パターン
19 表示部
21、31、41 面光源装置
22 切欠き
32 光吸収層
42 光散乱面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から導入された光を光出射面の表示領域から出射させる導光板と、
を備えた面光源装置であって、
前記導光板の光出射面又はその反対面のうち少なくとも一方の面において、前記表示領域に、偏向傾斜面を有する複数個の偏向パターンが形成され、
前記導光板の前記光出射面及びその反対面以外の表面のうち少なくとも1つの表面の少なくとも一部に、当該表面で反射して前記表示領域へ向かう光を低減させるための光制御手段を設けたことを特徴とする面光源装置。
【請求項2】
前記光制御手段は、当該光制御手段に入射する光を前記導光板の外部へ透過させるように角度を定めた切欠き部であることを特徴とする、請求項1に記載の面光源装置。
【請求項3】
前記光制御手段は、当該光制御手段に入射する光を吸収する光吸収層であることを特徴とする、請求項1に記載の面光源装置。
【請求項4】
前記光制御手段は、当該光制御手段に入射する光を散乱させる光散乱面であることを特徴とする、請求項1に記載の面光源装置。
【請求項5】
送受話機能を有する携帯電話機であって、ある形状を光で表示させるために請求項1に記載の面光源装置を備えたことを特徴とする携帯電話機。
【請求項6】
情報処理機能を備えた情報端末において、ある形状を光で表示させるために請求項1に記載の面光源装置を備えたことを特徴とする情報端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−195115(P2012−195115A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57300(P2011−57300)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】