説明

面型メディアの収納ケース

【課題】 UMDなどの複数枚を、安全、且つおしゃれに携帯することができ、また、収納や取り出しが簡単な面型メディアの収納ケースを提供。
【解決手段】 内ケース2と外ケース3とからなり、内ケース2にUMD4(面型メディア)を納める。外ケース3の支持軸17に複数枚の内ケース2を回動可能に取り付ける。収納ケース1はケース本体10と蓋体11とからなり、蓋体11は前記の支持軸17を中心に回動して開閉する。開き位置の蓋体11は、回動して外ケース3の外側に取り出した内ケース2を受け止める。閉じ位置の蓋体11は溝形に形成され、両側及び前方の規制部19がケース本体10の上部に重合して収納ケース1による収納状態を安定にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、CD、MO、MD、DVD、UMD或いはFDなど、厚さ寸法に比べて面積の方が大きく、全体として薄く平らな形態のメディア(面型メディアと呼ぶ)の収納ケースに関する。面型メディアには、CDのように使用時にそれ自体のケースをもたないものとケースに収められたまま使用されるものとがあるが、双方を対象とする。
【背景技術】
【0002】
デジタルエンターテイメントの分野では、音楽やゲームを納めた前記の面型メディアが多く発売されており、愛好者のなかには複数の面型メディアを携帯し、出先で使用することがある。このとき面型メディアは薄く、且つ、小型のものが多いので、かばんやポケットに入れて携帯すると滑り出して紛失してしまう危険がある。さらに、ばらばらでは体裁が悪いし、音楽ならば音楽のものでまとめ、ゲームソフトであればゲームソフトでまとめておきたい。
従来、面型メディアの保管、携帯用の収納ケースは、ブック型(特許文献1)、引出し型(特許文献2)トレー型(特許文献3,4)などであるが、いずれもCD等の面型メディアを搬送や携帯中の破損から護るとの観点から構成されており、ケースは複雑な構造に成形され、剛体に構成されているものが多い。蛇腹型の簡易なもの(特許文献5)もあるが、あまりにも簡単で、一時の保管や屋内での携帯・搬送にしか向かない。
【0003】
【特許文献1】特開2004−83053号公報
【特許文献2】特開2001−219985号公報
【特許文献3】特開平11−189285号公報
【特許文献4】特開平8−161846号公報
【特許文献5】特開2003−312769号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
デジタル記録された音楽やゲームを納めたCD、MD、或いは動画のゲームソフトを納めたUMDなどの複数枚を、安全、且つおしゃれに携帯することができ、また、収納や取り出しが簡単な面型メディアの収納ケースを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
内ケースと外ケースで構成し、外ケースに設けた一本の支持軸を中心に回動できるように内ケースを外ケースに収納する。面型メディアは内ケースに挿し込んで収納し、また、取り出し可能とする。外ケースの支持軸は、ケースの縦横辺が交叉する角部の一方の隅や縦辺或いは横辺の中央部など、ケースの縦・横辺の辺縁部にあり、内ケースにはこれと対応する位置に軸支孔が形成されている。内ケースは前記の支持軸を中心に回動して、外ケースの外部に配置することができる。
【発明の効果】
【0006】
面型メディアは、内ケースに納められ、さらに、外ケースに収められる構造なので、面型メディアの損傷が防止される。
一本の支持軸を中心とした回動により内ケースを外ケースの外部に配置できるので、内ケースを取り出しやすく、また、内ケースが外ケースの外部に配置されるので面型メディアを簡単に取り出せる。
内ケースは、外ケースに設けた一本の支持軸で外ケースに納められるので構造が簡単であり、回動により内ケースが外ケースへ滑らかに収まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、第1の実施例としての収納ケース1を示し、内ケース2と外ケース3とからなる。この図は、収納ケース1を使用時の横倒し状態で示しており、また、内ケース2には、すでにUMD4(Universal Media Disk (株)ソニー・コンピューターエンターテイメント)が収納されている(破線)。UMD4は、面型メディアの一つである。
内ケース2は、半硬質のナイロン製であり、図2のように、基板5と保持板6とからなり、縦横の辺が交差する角部の一方の隅(図2では左下隅部)に軸支孔7が形成されている。保持板6は、正面視で略U字形に凹部が形成されており、基板5の面との間に間隔をとって収納部8を構成している。
【0008】
U字形をした収納部8の上辺が開口されて挿し込み口9となっており、また、中央部は内ケース2からUMD4を取り出すとき、指をかけて簡単に取り出せるように、円形に切り抜いてある。保持板6は収納されたUMD4が滑り出さないように、素材が持つ可撓性を利用して弾力でUMD4の表面を押える構造とする。なお、収納部8の下辺が丸く形成されているのは、UMD4の形態(図3)に合わせたものである。UMD4は、図3,4のように、挿し込み口9から内ケース2に挿し込んで収納する。
内ケース2の縦横の寸法は、UMD4(図3)の縦横寸法に対応させ、収納部8の厚さ寸法、すなわち、内ケース2の厚さ寸法は、UMD4の厚さ寸法に対応させてある。
【0009】
外ケース3は、ケース本体10と蓋体11とからなり(図1,図5)、この実施例においていずれも革製である。ケース本体10は図5のように、正面部12、背面部13、底面部14及び右側面部15を縫い合わせて形成してあり、正面部12、背面部13における右の縦辺と上辺が交差する角の隅部16(蓋体11のある側を上方としている)に支持軸17を貫通して取り付ける。ケース本体10の上面と左側面は開放されている。支持軸17は両端を固定部とし、中央部をスペーサーとした一種のはとめである。なお、支持軸17は、複数枚の内ケース2をこの軸に嵌挿してからケース本体10に固定する。
【0010】
蓋体11(図6)は、ケース本体10の上方開口部を覆う覆い部18とその前後両側及び前方に規制部19を備えた溝形であり、左側を先端部、右側を基部として、基部が前記の支持軸17へケース本体10の外側で回動可能に軸支されている。前記の覆い部18は先端から基部側の位置決め辺20まで形成され、基部では両側の規制部19が、位置決め辺20よりも突出した構造となって支持軸17に取り付けられる。
【0011】
蓋体11は支持軸17を中心に回動することにより(図7)、ケース本体10の上面を開閉できる。そして、閉じた状態では、両側と先端の規制部19がケース本体10の正面部12の上辺と背面部13の上辺部に重合してケース本体10の形態が整えられ、安定した収納状態となる。また、蓋体11を開くと、図7のように、蓋体11の覆い部18と両側及び前方の規制部19が形成する溝が上方に開放された状態(約150°程度)とされる。蓋体11が開く角度αは、前記の位置決め辺20がケース本体10の右側面部15と衝突して規制されることにより定まる。
【0012】
以上のように、収納ケース1は、ケース本体10の内部に複数の内ケース2を支持軸17を中心に回動可能に取り付け、その支持軸17を兼用して蓋体11が回動可能に取り付けられた構造である。利用者は、内ケース2にUMD4(面型メディア)を挿入して収納し、蓋体11を閉じて携帯する。収納したUMD4を利用するときは、収納ケース1の全体を支持軸17の側を下にして横倒しにした格好で、蓋体11を開け、目的の内ケース2を回動させて引き出し、UMD4を取り出す。このとき、内ケース2の周縁部はケース本体10の開かれた左側面と上面を通過してケース本体10の外側に配置される。そして、開かれた蓋体11は溝を上方として一定の角度で止まっているので、引き出されたUMD4を蓋体11に留めることができる(図1)。
【0013】
すなわち、蓋体11は内ケース2の受け部材として機能し、複数の内ケース2を引き出してその中から目的のものを選ぶ作業のときに便利に利用することができる。そして、蓋体11を閉じれば、全体として小形であるから携帯に便利である。さらに、複数枚の内ケース2を有するから、内容的に同種のものを集めるなど面型メディアの整理に用いることもできる。
UMD用として実施例を説明したが、CDその他の面型メディアの収納ケースとして適用することができる。また、収納ケースを革製としたが、全体をナイロン等半硬質の合成樹脂性としても良い。さらには、支持軸17を含め、全体を硬質の合成樹脂で作ることもできる。
【0014】
図8,9は第2の実施例であり、取り出し時の横倒しにした状態を概略で示している。第2の実施例は、第1の実施例に対して、支持軸17の位置を上辺の中央部でその辺縁に配置したこと、底面部14を有しないこと及び蓋体11を有しないことを特徴としている。第1の実施例の場合と同じ機能の部分には同じ符合を用いて説明を省略する。
この実施例では、ケース本体10に軸を設けて蓋体11を回動により開閉する構造にすると、軸が複数となったり、ケース本体10の内部を横断して新しい軸が配置され、この軸が邪魔になって内ケース2を回動できない事態などが生じて困難が多いので、正面部12、背面部13の左辺に両部を連結できる止めバンド21を設けてある。止めバンド21はホック22などで止めることにより、収納時に不安定となる正面部12、背面部13の左辺を連結し、収納状態を安定に維持する。
【0015】
この実施例2では、ケース本体10を、一枚の長方形部材から正面部12、背面部13及び右側面部15を同じ方向に一列に成形すれば良いだけなので製造が簡単で素材も少なくでき、収納ケース1を安価に提供することができる。
ケース本体10に収納された内ケース2は、支持軸17を中心に回動し、ケース本体10の下面、左側面および上面を通過してケース本体10の外側(上方)に配置される。
図10は第3の実施例であり、外ケース3の背面部13の内面にスマートメディアタイプのフラッシュメモリカード23をあわせて収納できるようにしたものであり、利便性を高くしている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】収納ケースの正面図(横倒しとした状態、内ケースを回動させてある)。
【図2】内ケースの正面図。
【図3】内ケースにUMDを挿し込もうとしている正面図。
【図4】内ケースにUNDを収納した状態の正面図。
【図5】外ケースの斜視図。
【図6】蓋体の斜視図。
【図7】蓋体の開閉状態を示す正面図。
【図8】第2の実施例を説明するための概略正面図(横に倒してある)。
【図9】第2の実施例における外ケースの概略斜視図。
【図10】外ケースの正面図(一部破断、第3の実施例)。
【符号の説明】
【0017】
1 収納ケース
2 内ケース
3 外ケース
4 UMD(面型メディア)
5 基板
6 保持板
7 軸支孔
8 収納部
9 挿し込み口
10 ケース本体
11 蓋体
12 正面部
13 背面部
14 底面部
15 右側面部
16 隅部
17 支持軸
18 覆い部
19 規制部
20 位置決め辺
21 止めバンド
22 ホック
23 フラッシュメモリカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内ケースとこれを収容する外ケースとからなり、内ケースは、面型メディアの縦横寸法に対応した縦横寸法と、面型メディアの厚さに対応した厚み寸法を有すると共に面型メディアを挿入し取り出すための挿入口と外ケースへ回動可能に取り付けるための軸支孔を備え、外ケースは、内ケースの縦横寸法に対応した縦横寸法と複数枚の内ケースを収容できる厚さ寸法を備えると共に厚み方向にケース内部を横断する支持軸を有し、外ケースに複数枚の内ケースをこれらの軸支孔に支持軸を貫通させて回動可能に取り付けてあり、内ケースを回動によって外ケースの外へ配置することができることを特徴とした面型メディアの収納ケース。
【請求項2】
内ケースの軸支孔と外ケースの支持軸はいずれも縦横辺が交叉する角部の一方の隅に相互に対応させて配置してあることを特徴とした請求項1に記載の面型メディアの収納ケース。
【請求項3】
外ケースは、ケース本体と蓋体とからなり、蓋体は内ケースと共通の支持軸を中心に回動してケース本体の開放された一辺側を閉じると共に、開いたとき、内ケースをケース本体の外側に留めることができる受け止め部材となることを特徴とした請求項2に記載の面型メディアの収納ケース。
【請求項4】
内ケースの軸支孔と外ケースの支持軸はいずれも縦横辺の内一方の辺の中央部でその辺縁に近く、相互に対応させて配置してあることを特徴とした請求項1に記載の面型メディアの収納ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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