説明

面状結束バンド連結体及び結束装置に対する結束バンドの供給方法

【課題】二つ折りにして被結束物を結束する結束バンドが多数個、長手方向に連結した結束バンド連結体を安定した状態でリールに巻回する。
【解決手段】係止突起(12)と、その係止突起が挿入係止される挿入孔(13)とを有する結束バンド(11)が多数個、長さ方向に連結した長尺結束バンド連結体(22)をリール(7)に渦巻き状に巻回した後、そのリールから結束バンドを結束装置(8)に供給するとき、結束バンドがハーフカット部(21,23)を介して面状に連結された面状結束バンド連結体(6)を準備する。そして面状結束バンド連結体をリールに巻き取り、その面状結束バンド連結体から、それを構成している長尺結束バンド連結体を分離しながら、結束装置に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
食品を容れた包装袋、束ねられた草花の包み又は工業用部品の束、その他包装されようとする物品(以下、「被包装物」)の結束領域を結束するための結束バンドが多数個、面状に連接された面状結束バンド連結体及びその連結体から結束バンドを結束装置に供給する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、図7に示す形状を有する結束バンド1を二つ折りにし、その結束バンド1により被結束物2の結束領域3を挟んでから、図10に示すように、その結束バンド3の一端部3a寄りの部位に設けた係止突起4を、同じく他端部3b寄りの部位に設けた係止孔5に挿入することにより、被結束物2を結束する技術は公知である(特開2009−96550号公報)。
【0003】
前記係止孔5は、係止突起4の外径より幾分小さい短径を有する長穴状乃至は楕円状をなしているとともに、前記係止突起4は、図11に示すように、先端が半球面をなす円筒状をなし、その付け根部分は、前記係止孔5の短径をなす周縁部が挿入される係止溝12aを有している。そのため、一旦、被結束物2を結束した結束バンド1においては、係止突起4と係止孔5との係合が確実になされ、容易に両者を解除できないという優れた効果を発揮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 特開2009−96550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記構造及び形状を備えた結束バンドを結束装置に導いて被結束物を結束しようとすると、次のような問題がある。すなわち、図7に示した結束バンド1を、(本発明の実施態様の概念をも示す図である)図8に示すように長手方向に多数個の連結した結束バンド連結体6にして、それを図9に示すようにリール7から繰り出して結束装置8に供給して所定の位置に停止させ、結束装置8の上方から結束バンド連結体6の最前位置に存在する結束バンド1に対して、その長手方向と直交するように結束作業者が被結束物2を両手に持って結束装置8の結束通路9中を降下させることにより、図10に示すように、被結束物2を結束バンド1により結束するとき、結束バンド連結体6は、短尺帯状の複数個の結束バンド1からなっていること及び各結束バンド1には表面から突出する係止突起4が存在すること等の理由で、結束バンド連結体6を前記クリール7に渦巻き状に安定に巻回することができないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明者は、リールに渦巻き状に安定に巻回できる結束バンド連結体及び結束装置に対する結束バンドの供給方法について、鋭意、検討した結果、前記結束バンド連結体を二次元的に連結した面状の結束バンド連結体にすればよいという事実を見出し、本発明を完成した。従って、本発明の課題は、被結束物の結束領域を二つ折りにして結束する結束バンドが多数個、長手方向に連結した結束バンド連結体を渦巻き状に安定に巻回可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記の課題を解決するために、二つ折りにしたバンド状本体で被結束物の結束領域を挟んで結束する結束バンドであって、前記バンド状本体の一端部寄りの部位に係止突起を有し、同他端部寄りの部位に前記係止突起が挿入係止される挿入孔を有する結束バンドを多数個、その長さ方向及び幅方向のそれぞれにハーフカット部を介して面状に連結した面状結束バンド連結体にするという手段を採用する。
【0008】
前記結束バンドを前記構造の面状結束バンド連結体にすることにより、それがリールに巻回されたとき、結束バンドから突出する係止突起の高さは、結束バンド連結体の並列体の幅に比して、相対的に低くなるだけでなく、面状結束バンド連結体を構成する長尺状の結束バンド連結体は、相互にもたれ合い、その結果リールに対して渦巻き状に安定に巻回可能になる。
【0009】
また、本発明は結束装置に対して結束バンド連結体を供給する方法として、二つ折りにしたバンド状本体で被結束物の結束領域を挟んで結束する結束バンドであって、前記バンド状本体の一端部寄りの部位に係止突起を有し、同他端部寄りの部位に前記係止突起が挿入係止される挿入孔を有する結束バンドを多数個、その長さ方向及び幅方向のそれぞれにハーフカット部を介して面状に連結した面状結束バンド連結体を巻き取ったリールから前記結束バンドを被結束物の結束装置に供給するとき、前記面状結束バンド連結体から、前記結束バンドが多数個、その長さ方向に連結した長尺結束バンド連結体を分離して、その長尺結束バンド連結体を前記結束装置に供給するという手段を採用する。この態様において、好ましくは前記リールを装着する装置として、その幅を調節可能な調節機構を備えた装置を使用する。
【0010】
この方法を採用することにより、リールに対して、最初、幅方向に連接する結束バンド連結体の並列体を装着することになるので、隣接する結束バンド連結体が相互にもたれ合う。その結果、結束バンド連結体をリールに対して安定した状態で巻回させることが可能になる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、被結束物の結束領域を二つ折りにして結束する結束バンドが多数個、長手方向に連接した結束バンド連結体の並列体を渦巻き状に巻回可能になり、その結果、結束装置に対して結束バンドを安定した状態で供給可能になるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】は、本発明に係る結束バンドの斜視図である。
【図2】は、同平面図である。
【図3】は、長尺な結束バンド連結体の斜視図である。
【図4】は、面状結束バンド連結体の斜視図である。
【図5】は、被結束物を結束バンドで結束した状態を示す部分斜視図である。
【図6】は、面状結束バンド連結体をリールに巻回した状態を示す鳥観図である。
【図7】は、従来の結束バンドの正面図である。
【図8】は、従来技術及び本発明に係る長尺結束バンド連結体の部分斜視図である。
【図9】は、結束装置に対する結束バンド連結体の供給方法を示す部分破断側面図である。
【図10】は、従来の結束バンドに結束された被結束物の部分斜視図である。
【図11】は、従来技術及び本発明に係る結束バンドの要部を示す部分断面図である。
【図12】は、本発明に係る結束バンドの別の態様を示す平面図である。
【図13】は、本発明に係る面状結束バンド連結体の別の態様を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態を詳述する。図1及び図2に示すよう、本発明に係る結束バンド11の主要部は、幾分可撓性のある合成樹脂製の長菱形平面を有する短尺のバンド状本体Bから構成されており、その一端部B1寄りの部位には係止突起12があり、同じく他端部B2寄りの部位には前記係止突起12が挿入される係止孔13がある。なお、前記係止突起12は、図11に示す従来技術と同様に、頂部が半球状の円筒体からなり、その根元部に係止孔13の内周部が係止可能な溝部12aを有している。
【0014】
さらに、バンド状本体Bに中央部には長穴14が透設されており、バンド状本体Bを容易に二つ折りにできる二つの幅狭の易曲折部15が形成されている。また、バンド状本体Bの両端部B1、B2の短端面16,17と長手方向に沿う長端面18,19とは所定の角度α、βをもって傾斜しているとともに、前記短端面16,17の途中に凹部20が形成されており、後述する第一ハーフカット部の存在により、結束バンド連結体から結束バンドを分離し易くなっているとともに、被結束物を一旦結束した後、結束バンドの両端部に指をかけて結束を解除し易くしている。
【0015】
次に、図3及び図4に沿って、前記結束バンド11が連結している面状結束バンド連結体6(従来技術における長尺結束バンド連結体を2次元状にした連結体であり、本発明では同じ符号で示す)について説明すると、それは、前記形状・構造の結束バンド11を多数個、その長さ方向及び幅方向に第一、第二ハーフカット部21、23を介して面状に連結した形状・構造を有する。すなわち、図3に示す、複数個の結束バンド11がその長さ方向に第一ハーフカット部21を介して連結して延びている長尺結束バンド連結体22が複数本、図4に示すように、幅方向に第二ハーフカット部22を介して、複数本並列に連結する形状・構造をしている。
【0016】
なお、前記第一ハーフカット部21は、後述するように、長尺結束バンド連結体22からそれを構成している結束バンド11を容易に破断・分離可能にする機能を有し、長尺結束バンド連結体22から結束バンド11を分離すると、前述した、バンド状本体Bの両端部B1、B2の短端面16,17が出現するとともに、それらの短端面16,17と長手方向に沿う長端面18,19との間に所定の傾斜角α、βを有する。
【0017】
次にこのような形状・構造を有する面状結束バンド連結体6をリールに巻回するとともに、そのリールから長尺結束バンド連結体22及び結束バンド11をどのように結束装置に供給するかについて説明する。
【0018】
既に図9に示した従来技術と同様に、基盤24の上に設置された結束装置8に対して、リール装置25に設置されているリール7に巻回された面状結束バンド連結体6から結束バンド11が供給される。結束装置8には被結束物2の結束領域を結束作業者(いずれも図示なし)が所定間隔をおいて両手に持って、結束装置8の結束通路9と直交するように、降下させると、その結束通路9を遮るように供給されている結束バンド1がまず二つ折りにされ、次いで結束バンド1の両端部にある係止突起12が係止孔13に嵌め込まれる。その結果、結束装置8において、被結束物2は、図5に示すように、結束バンド1により結束される。
【0019】
本発明方法は、このような機能を有する結束装置8に対して、リール7から結束バンド1を供給するために、まず、図4に示したように、複数本、好ましくは3から8本の長尺結束バンド連結体22が第二ハーフカット部23を介して並んだ面状結束バンド連結体6をリール7に渦巻き状に巻回する。
【0020】
リール7は、図6に示すように、基盤24上支持された支持部材26の上部にそれと一体的に固定された第一リール板27と、同様に支持部材26の上部の軸受け(図示なし)回転可能に水平支承された支承軸28と、その支承軸26に係合可能に外挿される所定長さのスリーブ30と、そのスリーブ30の基端に一体的に固定される第二リール板29とからなる。なお、前記スリーブ30は、面状結束バンド連結体6を渦巻き状に巻回する軸管の機能を有する。従って、面状結束バンド連結体6をリール7のスリーブ30に巻回するとき、第二リール板29に片持ち支持されたスリーブ30に面状結束バンド連結体6を巻回した状態にして、スリーブ30を支承軸26に外挿して係合させる。
【0021】
さらに、前記支承軸28の基端部側には支承軸28を矢印Yの向きに前後進させる前後進機構31が設けられており、前記スリーブ30の周囲に巻回された面状結束バンド連結体6の中から第一の長尺結束バンド連結体22aを分割して面状結束バンド連結体6の横幅を減少させたとき、第二リール板29を第一リール板27側に第一の長尺結束バンド連結体22aの幅に相当する長さ単位で変位させることが可能になっている。第一の長尺結束バンド連結体22aに隣接する第二の長尺結束バンド連結体22bの幅に相当する長さ単位に変位させるときも同様とする。なお、前記第一リール板27の中央部には、第二リール板29の変位に伴って変位してくるスリーブ30の先端部が透過可能な透過孔が形成されている。
【0022】
次に本発明方法の作用と効果について説明すると、まず複数本の長尺結束バンド連結体22からなる面状結束バンド連結体6を第二リール板29に固定されているスリーブ30に対して渦巻き状に巻回する。そして、このスリーブ30をリール装置25の支承軸28に外挿・係合させ、面状結束バンド連結体6を第一、第二リール板27,29に挟む。このステップにおいて、面状結束バンド連結体6を構成する第一、第二、第三の長尺結束バンド連結体22a,22b,22cは、第二ハーフカット部23を介して相互に支え合うので、結束バンド11に係止突起12が存在していても、それが障害になって渦巻き状に安定して巻回される(第一ステップ)。
【0023】
次いで、図6に示すように、面状結束バンド連結体6を構成する複数の長尺結束バンド連結体22のうち、外側に位置する第一の長尺結束バンド連結体22aを結束作業者が手に持って引っ張る。すると、第一の長尺結束バンド連結体22aと、その幅方向に隣接している第二の長尺結束バンド連結体22bとの間に存在する第二ハーフカット部23が破断して、第一の長尺結束バンド連結体22aだけがリール7から繰り出される(第二ステップ)。
【0024】
第一の長尺結束バンド連結体22aを、図9に示すように、結束装置8に導入して所定位置に停止させる。結束作業者が被結束物2を両手に持って結束装置8の結束通路9と直交するように降下させる。すると、第一の長尺結束バンド連結体22aの最先端に存在していた結束バンド11が二つ折りになって被結束物2を挟むと同時に、(結束装置8内に装着されている、図示しない特定の機構の作用により)結束バンド11の一端部B1側にある係止突起12を他端部B2側にある係止孔13の中に挿入する。その結果、図5に示すように、被結束物2の結束領域3は、結束バンド11により結束される(第三ステップ)。
【0025】
前記第二、第三ステップを反復して結束作業を進める過程において、第一の長尺結束バンド連結体22aを使い切った場合、前後進機構31を作用させて第二リール板29を第一リール板27側に前進させ、第二の長尺結束バンド連結体22bをリール7から繰り出す(第四ステップ)。この間、第二、第三の長尺結束バンド連結体22b,22cからなる面状結束バンド連結体6から第二の長尺結束バンド連結体22bが崩れることはない。
【0026】
以下、前記第三ステップ及び第四ステップを反復し、リール7に長尺結束バンド連結体22がなくなれば、再度第一ステップから第四ステップを反復すればよい。
【0027】
以上の形状・構造の結束バンド連結体を使用して被結束物の結束を行えば、被結束物の結束領域を二つ折りにして結束する結束バンドが多数個、長手方向に連結した長尺結束バンド連結体を安定した渦巻き状に巻回可能になる。また、本発明に係る結束バンドの先端部と基端部が特定の角度で傾斜しているので、一旦結束物を結束した後に結束を解除しようとする場合、図5に示すように、前記両端部B1,B2を指で容易に離間させることができる。
【0028】
本発明はその根本的技術思想を踏襲し発明の効果を著しく減殺しない限度において、前記実施態様の一部分を変更して実施することができる。例えば、図12に示すように、結束バンド11においてその長手方向の側縁に任意形状の切欠き15を設けることにより結束バンド11の一部分を幅狭にした易曲折部14aを設けることもできる。また、図13に示すように、長尺な結束バンド連結体22を5本その幅方向に連結した面状結束バンド連結体6にすることもできる。この態様においては、結束バンド11の生産性は飛躍的に向上する。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、結束作業者が被結束物を結束バンドで結束する分野に広く利用できる。
【符号の説明】
【0030】
1:結束バンド,2:被結束物,3:結束領域,4:係止突起,5:係止孔,6:(面状)結束バンド連結体,7:リール,8:結束装置,9:結束通路,11:結束バンド,12:係止突起,13:係止孔,14:長穴,15:易曲折部,16:短端面、17:短端面、18:長端面、19:長端面、20:凹部、21:第一ハーフカット部、22:長尺結束バンド連結体、23:第二ハーフカット部、24:基盤、25:リール装置、B:バンド状本体,B1:一端部、B2:他端部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つ折りにしたバンド状本体で被結束物の結束領域を挟んで結束する結束バンドであって、前記バンド状本体の一端部寄りの部位に係止突起を有し、同他端部寄りの部位に前記係止突起が挿入係止される挿入孔を有する結束バンドを多数個、その長さ方向及び幅方向のそれぞれにハーフカット部を介して面状に連結したことを特徴とする面状結束バンド連結体。
【請求項2】
前記幅方向のハーフカット部が、前記長さ方向のハーフカット部と所定の角度をもって傾斜している請求項1記載の結束バンド連結体。
【請求項3】
二つ折りにしたバンド状本体で被結束物の結束領域を挟んで結束する結束バンドであって、前記バンド状本体の一端部寄りの部位に係止突起を有し、同他端部寄りの部位に前記係止突起が挿入係止される挿入孔を有する結束バンドを多数個、その長さ方向及び幅方向のそれぞれにハーフカット部を介して面状に連結した面状結束バンド連結体を巻き取ったリールから前記結束バンドを被結束物の結束装置に供給するとき、前記面状結束バンド連結体から、前記結束バンドが多数個、その長さ方向に連結した長尺結束バンド連結体を分離して、その長尺結束バンド連結体を前記結束装置に供給することを特徴とする結束バンドの供給方法。
【請求項4】
前記リールは、その幅を調節可能な調節機構を備えている請求項3記載の結束バンドの供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−240751(P2012−240751A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122709(P2011−122709)
【出願日】平成23年5月15日(2011.5.15)
【出願人】(592256140)兼子電機株式会社 (15)
【Fターム(参考)】