説明

面発光装置用導光板

【課題】側面から入射した光を反射させる手段を、効率よく且つ低コストで実現できる面発光装置用導光板を提供する。
【解決手段】薄い反射シート2に、導光板本体4の側面から入射した光を導光板本体4の前方へ散乱させるためのグリッド状、ドット状等の光散乱パターン3を糊インクにより印刷で形成する。該反射シート2を、前記光散乱パターン3を形成した糊インクの貼着作用をもって導光板本体4に貼着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置や広告板等のバックライトとして用いられる面発光装置の構成部品としての導光板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置や広告板等のバックライトとして用いられる面発光装置は、LEDランプと、該LEDランプからの光を側面から入射し、この入射した光を乱反射して前方で面発光する導光板と、該導光板の裏面に配置した反射シートと、該導光板の表面に配置した光拡散シートとをもって構成されている。
【0003】
ところで、従来における導光板は、側面から入射した光を乱反射させるための手段として、図6に示す如く、導光板100自体の裏面或いは表面に、グリッド状、ドット状等の光散乱パターン101を直接インクにより印刷で形成する(特許文献1)か、或いは図7に示す如く、導光板100自体の裏面或いは表面に、光散乱パターン102をレーザーカット等による凹凸で形成する(特許文献2)ことによって行っている。尚、図6、7において103は反射シートである。
【0004】
【特許文献1】特開平11−85073号公報
【特許文献2】特開2006−79487号公報
【0005】
しかし、斯かる従来のいずれの手段による場合にも、製作上の問題点がある。
即ち、上記前者の手段による場合には、導光板が肉厚であるため、特別な治具を必要とし、且つまた一枚宛印刷しなければならないから、手間と時間がかかり過ぎるという問題点がある。また、これがコスト高になる一因となっている。
【0006】
また、上記後者の手段による場合には、導光板が肉厚であるため、上記前者の手段と同様に特別な治具を必要とし、且つまたレーザーカットするための特別な装置を必要とすると共に時間もかかる。また、レーザーカット時に発生する削り屑の処理にも手間がかかる。そしてまた、これらがコスト高になる一因となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであって、側面から入射した光を乱反射させる手段を、従来の如き特別な治具等の装置を必要とせず、手間と時間をかけずに、効率よく且つ低コストで実現することができる面発光装置用導光板を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
而して、本発明の要旨とするところは、薄い反射シートに、導光板本体の側面から入射した光を導光板本体の前方へ散乱させるためのグリッド状、ドット状等の光散乱パターンを糊インクにより印刷で形成し、該反射シートを、前記光散乱パターンを形成した糊インクの貼着作用をもって導光板本体に貼着してなることを特徴とする面発光装置用導光板にある。尚、上記糊インクとしては、透明糊インクを用いることが望ましく、或いは光散乱材料を含ませたものを用いるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明は上記の如き構成であるから、面発光装置用導光板において、側面から入射した光を乱反射させる手段を、従来の如き特別な治具等の装置を必要とせず、手間と時間をかけずに、効率よく且つ低コストで実現することができるものである。
【0010】
即ち、薄い反射シートを用い、これに導光板本体の側面から入射した光を導光板本体の前方へ散乱させるためのグリッド状、ドット状等の光散乱パターンを糊インクにより印刷で形成するものであり、反射シートは、帯状の薄いシート基材を用い、これを長さ方向の一方側から他方側に1ストローク宛送り乍ら印刷することにより、連続して印刷することができ、且つまた従来の如き導光板を保持する治具等の装置は不要である。そしてまた、反射シートを各光散乱パターンの部分において裁断した後導光板本体に貼着するときには、光散乱パターンを形成した糊インクの貼着作用をもって行うものであるから、接着剤の塗布等の特別の工程は不要であり、手間と時間をかけずに、効率よく且つ低コストで実現することができるものである。また、糊インクによって形成される光散乱パターンは反射シートの全面にわたって形成されることから、反射シートは導光板本体の全面に均一に密着させて保持されることになるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る面発光装置用導光板を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は本発明の実施形態に係る面発光装置用導光板の中央縦断面図、図2は光散乱パターンを糊インクにより印刷で形成した反射シートを導光板本体に貼着する状態の断面図、図3は同斜視図、図4はグリッド状の光散乱パターンを糊インクにより印刷で形成した反射シートの平面図、図5はドット状の光散乱パターンを糊インクにより印刷で形成した反射シートの平面図である。
【0013】
図中、1は面発光装置用導光板である。また、該面発光装置用導光板1は、薄い反射シート2に、導光板本体4の側面から入射した光を導光板本体4の前方へ散乱させるためのグリッド状、ドット状等の光散乱パターン3を糊インクにより印刷で形成し、該反射シート2を、前記光散乱パターン3を形成した糊インクの貼着作用をもって導光板本体4に貼着してなるものである。尚、本実施形態にあっては、反射シート2を導光板本体4の裏面に貼着しているが、これを導光板本体4の表面に貼着するようにしてもよい。
【0014】
また、本実施形態にあっては、薄い反射シート2として白色のシートを用い、また光散乱パターン3を形成した糊インクとして、透明糊インクを用いている。また、この他糊インクには光散乱材料を含有させるようにしてもよい。また、光散乱パターン3は、図3及び図4に示す如きグリッド状とするか、或いは図5に示す如きドット状とすることが望ましい。尚、その他図中5はLEDランプ、6はLEDランプ基板、7は光拡散シートである。
【0015】
本実施形態は、上記の如く、薄い反射シート2を用い、これに導光板本体4の側面から入射したLEDランプ5からの光を導光板本体4の前方へ散乱させるためのグリッド状、ドット状等の光散乱パターン3を糊インクにより印刷で形成するものであり、反射シート2は、帯状の薄いシート基材を用い、これを長さ方向の一方側から他方側に1ストローク宛(光散乱パターン3の1パターン分宛)送り乍ら印刷することにより、連続して印刷することができるものである。尚、印刷の済んだ部分における光散乱パターン3の形成面には、各光散乱パターン3の位置で断裁するまで一時的に剥離紙(図示せず。)を貼着し、断裁後に該剥離紙を剥がして導光板本体4に貼着するものである。また、この断裁後の反射シート2を導光板本体4に貼着するときにおいては、光散乱パターン3を形成した糊インクの貼着作用をもって行うものであるから、反射シート2を導光板本体4に密着保持させるための接着剤の塗布等の特別の工程は不要である。これらによって、導光板本体4に側面から入射した光を乱反射させる手段を、従来手段による場合に比して効率よく且つ低コストで実現することができるものである。また、糊インクによって形成される光散乱パターン3は、反射シート2の全面にわたって形成されることから、反射シート2は導光板本体4の全面に均一に密着させて保持されることになるものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る面発光装置用導光板の中央縦断面図である。
【図2】光散乱パターンを糊インクにより印刷で形成した反射シートを導光板本体に貼着する状態の断面図である。
【図3】光散乱パターンを糊インクにより印刷で形成した反射シートを導光板本体に貼着する状態の斜視図である。
【図4】グリッド状の光散乱パターンを糊インクにより印刷で形成した反射シートの平面図である。
【図5】ドット状の光散乱パターンを糊インクにより印刷で形成した反射シートの平面図である。
【図6】従来の導光板の断面図である。
【図7】従来の導光板の他の例の断面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 面発光装置用導光板
2 反射シート
3 光散乱パターン
4 導光板本体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄い反射シートに、導光板本体の側面から入射した光を導光板本体の前方へ散乱させるためのグリッド状、ドット状等の光散乱パターンを糊インクにより印刷で形成し、該反射シートを、前記光散乱パターンを形成した糊インクの貼着作用をもって導光板本体に貼着してなることを特徴とする面発光装置用導光板。
【請求項2】
糊インクが透明糊インクである請求項1記載の面発光装置用導光板。
【請求項3】
糊インクが光散乱材料を含んだ糊インクである請求項1記載の面発光装置用導光板。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−301919(P2009−301919A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156245(P2008−156245)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(391047411)土屋工業株式会社 (9)