説明

靴の防滑用外底

【課題】意匠ブロックの高さを高くしても、上からの圧縮に対して倒れることなく圧縮量の増大を図れ、従って、接地面の床面に対する密着力を確保した防滑効果の優れた防滑用外底を提供する。
【解決手段】外底ベース1に多角形若しくは円形の、防滑用の接地面3´,5´を備えた多数の意匠ブロック3,5を並設し、適宜の前記意匠ブロック3,3、5,5同士を前記外底ベース1側の基部において該意匠ブロック3,5より低い補強突条4によって部分的に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水産加工工場や食品工場等において用いている、ゴム、塩化ビニル、ポリウレタン等の弾性素材でなる射出成形長靴に主に適用される防滑用外底に関するものである。
【背景技術】
【0002】
外底ベース表面に意匠パターンを形成し、該意匠パターンを、多角形の防滑用接地面を先端に備え、前記外底ベースに突設した多数の意匠ブロックで構成し、該意匠ブロックの上からの圧縮によるひずみ(変形)を可及的に避けて前記接地面を床面に密着させて防滑効果を期待する構造のものがある(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特許第3553041号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
接地面の床面に対する密着を確保して防滑効果を期待するには意匠ブロックの圧縮(縮小)荷重が接地面に集中して床面に対して密着力となって現われる。
【0005】
このため、前記従来例は、意匠ブロックの圧縮量を利用して密着力の増大を図っているのであるが、圧縮量を増大させるために意匠ブロックを長く(高く)すると、上からの圧縮荷重によって倒伏(屈曲)が容易に行われるので、意匠ブロックの長さの制約を受けることになる。
【0006】
本発明は、意匠ブロックの高さを高くしても上からの圧縮に対しても倒れることなく、圧縮量の増大を図って、密着力を充分確保できる、靴の防滑用外底を提供すべく創案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
外底ベースに多角形若しくは円形の、防滑用の接地面を備えた多数の意匠ブロックを並設した、靴の防滑用外底において、適宜の前記意匠ブロック同士を前記外底ベース側の基部において該意匠ブロックより低い補強突条によって部分的に接続した、構成とするのである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、意匠ブロック同士が補強突条によって接続されているので、該ブロックに上から圧縮荷重を負荷しても該突条の存在によって意匠ブロックの倒伏(屈曲)を防ぐことができ、従って、意匠ブロックの高さを高くして(長くして)圧縮量を増大させた、接地面の床面に対する密着力を増大させた防滑用外底を提供することができる。
【実施例】
【0009】
図面は本発明に係る靴の防滑用外底の一実施例を示し、図1は正面図、図2は側面図、図3は図1の一部拡大図である。
【0010】
実施例の、靴の防滑用外底Aは、アッパー部と一体的に成形される射出成形長靴に適用したもので、ポリ塩化ビニル100重量部、総可塑剤量100重量部及び安定剤5重量部から成る素材を用いて常法に従って成形したものであるが、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、エチレンビニルアセテート或いはゴムなどを素材としても不都合のないことは勿論である。
【0011】
図中、1は外底Aのベース(外底ベース)で、外底ベース1は図示省略した、靴の中底の底面に射出接着して前記長靴を構成するもので、その底面は、踏みつけ部1aとヒール部1bおよびこれらの間に介在する踏まず部1cとで構成し、踏みつけ部1aとヒール部1bには底意匠パターン2A,2Bを各部1a,1bの全域に設けてある。
【0012】
踏みつけ部1a側の底意匠パターン2Aは、踏みつけ部1aにつま先側の先端部を残して左右方向に長い立方形状の多数の横長意匠ブロック(突条部)3,…を外底Aの前後方向に間隙4を存して並べて突設し、これら横長意匠ブロック3,3間の適所に前後方向に長い立方形状の縦長意匠ブロック(突条部)5を突設すると共に、互いに隣接する意匠ブロック3,3、3,5、5,5同士を前記踏みつけ部1aに突設して適宜の前記間隙4内に突設した補強突条6で接続し、前記先端部には前記意匠ブロック3,5と独立した扇形意匠ブロック(突条部)7とその両側に配した三角状意匠ブロック(突条部)8,8を並設して構成したものである。
【0013】
ヒール部1b側の底意匠パターン2Bも、踏みつけ部1a側と同様に左右方向に長い立方形状の横長意匠ブロック3,…を外底Aの前後方向に間隙4を存して並べて突設し、これら横長意匠ブロック間の適所に前後方向に長い立方形状の縦長意匠ブロック5を突設すると共に、互いに隣接する意匠ブロック3,3、3,5、5,5同士を前記ヒール部1bに突設して適宜の前記間隙4内に突設した補強突条6で接続し、後端部には踏みつけ部1a側と同様に扇形意匠ブロック7と三角状意匠ブロック8を並設して構成したものである(概し、多角形の接地面を成すが丸いものでも不都合はない)。
【0014】
実施例の各意匠ブロック3,5,7,8は、先端面すなわち接地面3´,5´,7´,8´を平滑状と成し、該接地面3´,5´,7´,8´と各立ち上り面3´´,5´´,7´´,8´´とが成す角度をほぼ90°と成し、この意匠ブロック3,5,7,8の相隣接する適宜のもの同士を接続した前記補強突条6は意匠ブロック3,5,7,8の外底ベース1を基準とした高さ(長さ)(実施例は7.5mm)の40%程の高さと成し、横幅を横長意匠ブロック3の横幅とほぼ同幅としたものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】正面図。
【図2】側面図。
【図3】図1の一部拡大図。
【符号の説明】
【0016】
1 外底ベース
3 意匠ブロック
4 補強突条
5 意匠ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外底ベースに多角形若しくは円形の、防滑用の接地面を備えた多数の意匠ブロックを並設した、靴の防滑用外底において、適宜の前記意匠ブロック同士を前記外底ベース側の基部において該意匠ブロックより低い補強突条によって部分的に接続した、靴の防滑用外底。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−275225(P2007−275225A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−104127(P2006−104127)
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【出願人】(000167853)弘進ゴム株式会社 (12)
【Fターム(参考)】