説明

靴底清掃機

【課題】全体の高さを低くすることができて、設置するためのスペースを小さく抑えることが可能となる靴底清掃機を提供することを目的とする。また、簡易な構成で効率よく清掃することができるにも関わらず、故障しにくく耐久性を有する靴底清掃機を提供することを他の目的とする。
【解決手段】小間隙12をもって平行に前後方向に配設された多数の固定支持杆11を平面状に有する歩行者支持用面格子体10を具備する。かつ、小間隙12に下方から差込まれて面格子体10から上方へ突出可能な鉛直状のブラシ帯体9を平行に多数立設した矩形状植毛平盤4を具備する。さらに、植毛平盤4を側面視上方凸状円弧軌跡を描いて前後揺動するように保持する揺動アーム7と、植毛平盤4を前後揺動させるための駆動手段6とを、具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴底清掃機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の靴底清掃機として、外周面にブラシ毛を多数本突設したエンドレスベルトを、水平方向軸心廻りに回転する平行な一対のプーリの周りに巻いて形成し、かつ、複数の間隙を有する歩行用グレーチング蓋をベルトの上方に設け、ベルトのブラシ毛がグレーチング蓋の各間隙から突出するようになっており、モータ等の動力でプーリを回転させてベルトを周方向に走行させることによって、蓋上の歩行者の靴底からゴミ・埃等の微小ゴミを掃き落とすものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−239562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のこのような靴底清掃機は、上述のようにベルトが水平方向のプーリに巻かれた構成なので、上下方向において、プーリの径寸法とベルトの上側・下側の夫々のブラシ毛の長さ寸法とを足し合わせた大きさが少なくとも必要となるため、装置自体の高さが大きくなってしまう。従って、靴底清掃機全体の小型化が困難であり、上下方向に大きな設置スペースを要し、通行の邪魔となっていた。
【0004】
そこで、本発明は、全体の高さを低くすることができて、設置するためのスペースを小さく抑えることが可能であって、各種施設(建物)の入口に設置しても人の通行の邪魔とならない靴底清掃機を提供することを目的とする。また、簡易な構成で効率よく清掃することができる上に、故障しにくく耐久性を有する靴底清掃機を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る靴底清掃機は、小間隙をもって平行に前後方向に配設された多数の固定支持杆を、平面状に有する歩行者支持用面格子体と、上記小間隙に下方から差込まれて上記面格子体から上方へ突出可能な鉛直状のブラシ帯体を平行に多数立設した矩形状植毛平盤と、該植毛平盤を側面視上方凸状円弧軌跡を描いて前後揺動するように保持する揺動アームと、該植毛平盤を上記前後揺動させるための駆動手段とを、具備するものである。
【0006】
また、上記植毛平盤の上記上方凸状円弧軌跡は、上死点から前後一方向への第1最傾斜角度を前後他方向への第2最傾斜角度よりも大きく設定し、折返加速度を前と後で相違させた。
【0007】
また、上記面格子体は多数の前後方向の上記固定支持杆を、左右から串刺しする横補強杆と、上記固定支持杆の小間隙を一定に保持するために上記横補強杆が串刺しされるスペーサとを有する。
また、各上記固定支持杆の下端縁は、横断面槍先型に形成されている。
また、上記植毛平盤の前・後端縁部のうち上記折返加速度が大きい上記他方向の端縁部近傍に設けられ、靴底から掃き落とされた微小ゴミが上記植毛平盤の上面を上記往復動により上記端縁部へ移動し落下する塵受け体を備えた。
【発明の効果】
【0008】
本発明の靴底清掃機によれば、(外周面にブラシ毛を突設したベルト部材を環状に回転駆動させる清掃機に比べて、)上下方向の高さを低くすることができ、靴底清掃機を設置するために、大きなスペースを確保する必要がないと共に、各種施設(建物)の入口に設置した場合の人の通行の邪魔とならず、単純に踏みつつ通行すれば靴底が自然と美しくなる。
また、植毛平盤を上方凸状円弧軌跡を描くように前後揺動させるので、植毛平盤に突設されたブラシ帯体のブラシ毛が、歩行用面格子体から突出しながら往復揺動して、簡単な構成でありながら、靴底のゴミを効率よく掃き落とすことができる。
また、チェーン等の駆動力伝達部品が使われていないので、故障しにくく耐久性に優れ、さらに、部品点数も少ないものとすることができるので、製造が容易であり、コストの削減にもなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、実施の形態を示す図面に基づき、本発明を詳説する。
図1〜図6は本発明に係る靴底清掃機の実施の一形態を示し、劇場や芝居小屋等の建物の入口に設置され、歩行者の靴底に付着した微小ゴミ28…を掃き落とすためのものである。
この靴底清掃機は、小間隙12をもって前後方向に平行に配設された多数の固定支持杆11…を平面状に有する歩行者支持用面格子体10と、面格子体10が上方から着脱(開閉)自在に施蓋状に取着される平面視矩形状の外ケース体3とを具備する。
【0010】
先ず、矩形状の外ケース体3は、矩形平板状底板部34と、底板部34の四辺に沿って立設した小壁部30…を有する。各小壁部30の上端縁は、内側に小さく折曲形成され上方から施蓋される面格子体10を受ける内鍔状支持部35を有する。
面格子体10の具体的な構成については後述する。
【0011】
また、靴底清掃機は、面格子体10の小間隙12…に下方から差込まれて面格子体10から上方へ突出可能な鉛直状のブラシ帯体9…を平行に多数立設した矩形状植毛平盤4を具備する。具体的には、植毛平盤4は、矩形平板状底板部41と、底板部41の両側縁及び前後一方向18の端縁に沿って立設した(内側)小壁部40…とを有する。また、植毛平盤4は、前後他方向19側の端縁部43aに、他方向19へ下傾状に形成されたゴミ送り用傾斜縁部45を有する。植毛平盤4は、外ケース体3よりも、前後・左右幅寸法が小さく形成されており、植毛平盤4と外ケース体3との間には、後述の揺動アーム7等を設けるための間隙が形成される。
なお、植毛平盤4が(後述のように)揺動する方向を前後方向とし、かつ、後述の駆動手段5が設けられる側を前後における一方向18とし、その反対を他方向19とする。
【0012】
次に、各ブラシ帯体9は、針金等の線条体26と、中間折返部8aをもって線条体26に引っ掛けられる多数本のブラシ毛8…と、帯板状の金属板が折り曲げられブラシ毛8…の折返部8aを挟持するようにかしめられた基礎縁材27とを有する(図7〜図9参照)。そして、ブラシ帯体9の基礎縁材27の底面が、植毛平盤4の底板部41の上面44に(溶接等で)固着されている。各ブラシ帯体9…は前後方向に並んで立設されている。
【0013】
また、7は、植毛平盤4を(外ケース体3に対して)側面視上方凸状円弧軌跡を描いて前後揺動するように保持する揺動アームである。外ケース体3の小壁部30…のうち左右両側の第1小壁部31,31と、植毛平盤4の小壁部40…のうち左右両側の第2小壁部42,42は、左右2箇所ずつ、計4箇所の部位において、揺動アーム7…で連結される。
【0014】
具体的には、揺動アーム7は略矩形板形状を有し、下部7a・上部7bに夫々軸受孔71,72が貫設されている。
そして、軸部材73を、外ケース体3の第1小壁部31に形成された孔32に通した後で第1小壁部31にボルトナット結合で固定し、かつ、揺動アーム7が、軸部材73の端部(内側部)に、下側軸受孔71をもってベアリング75を介して外嵌され、水平方向第1軸心L1 廻りに回転自在に保持される。かつ、軸部材74を、植毛平盤4の第2小壁部42に形成された孔46に通した後で第2小壁部42にボルトナット結合で固定し、かつ、揺動アーム7が、軸部材74の端部(外側部)に、上側軸受孔72をもってベアリング76を介して外嵌され、水平方向第2軸心L2 廻りに回転自在に保持される。第1軸心L1 と第2軸心L2 は平行であり、共に左右方向を向く。
【0015】
なお、一方向18側の左右一側の揺動アーム7について説明したが、他方向19側の揺動アーム7についても上述のものと同じ構成であり、また、左右他側の揺動アーム7については、上述のものと左右対称の構成である。
このように、揺動アーム7が、両軸部材73,74に枢支された構成なので、植毛平盤4が、外ケース体3に対して側面視上方凸状円弧軌跡を描いて前後揺動するように保持される。
【0016】
また、6は、植毛平盤4を前後揺動させるための駆動手段である。駆動手段6は、外ケース体3の第1小壁部31に枢支され第1・第2軸心L1 ,L2 に平行な第3軸心L3 廻りに回転自在な主軸部50と第3軸心L3 と偏心した第4軸心L4 を有する偏心軸部51とを一体回転可能として有する回転体(カム部材)5と、回転体5を第3軸心L3 廻りに回転させる駆動装置(モータ)58と、偏心軸部51を上下スライド可能として前後方向から挟持すると共に植毛平盤4の一方向18側の小壁部40に(溶接等で)固着された角筒体(カム従動体)2と、を具備する。
【0017】
先ず、回転体5について、左右における駆動装置58が設けられる側の構成について説明すると、主軸部50は、第1小壁部31に(上記孔32よりも一方向18側に)形成した孔33に通されると共に、第1小壁部31の外側面に(ボルトナット結合にて)固設された軸受部材52により回転可能に保持されている。かつ、主軸部50の他端部(外端部)50bは、モータ等の駆動装置58の歯車59と噛合する歯車57が固着され、かつ、一端部(内端部)50aは、偏心軸部51の端部51aと一体状に連結されている(図3参照)。具体的には、偏心軸部51の端部51aに切欠形成した弯曲面に、主軸部50の一端部50aを嵌合してボルト結合することで、主軸部50と偏心軸部51とを偏心した状態となるように連結する(図示省略)。
【0018】
次に、カム従動体2について説明すると、カム従動体2は、左右方向に開口状として設けられる矩形筒型揺動ケース体20を有する。この揺動ケース体20は、上壁部・下壁部の夫々の中央に沿って細長開口部22が形成されている。かつ、カム従動体2は、ケース体20の前後縦壁部21,21の各内面(相互に向かい合う面)に固着された縦向き帯板状のスライド弾性体23,23を有し、各スライド弾性体23の内面23aは、揺動ケース体20の細長開口部22と平坦面一状となっている。スライド弾性体23は、ウレタン・ゴム・プラスチック等、衝撃を吸収する弾性材料から成り、(後述の)スライド円筒体53が損傷防止される。縦壁部21,21のうち他方向19側の縦壁部21とスライド弾性体23とが、植毛平盤4の一方向18側の小壁部40に、ボルトナット結合にて固定されている。また、一方向18側の縦壁部21に、スライド弾性体23がボルトナット結合にて固定されている。
かつ、カム従動体2は、偏心軸部51廻りにベアリング54を介して外嵌されると共に一対のスライド弾性体23,23にスライド可能に(略隙間無く)挟持されるスライド円筒体53を具備する。
【0019】
また、回転体5について、駆動装置58が設けられた側とは左右反対側の構成について説明すると、偏心軸部51の(他側の)端部51bに、主軸部50が第3軸心L3 廻りに回転するように連結されている。そして、主軸部50の他端部(外端部)50bは、外ケース体3の第1小壁部31に形成された孔33に通されると共に、第1小壁部31にボルトナット結合により固設された軸受部材56にベアリング55を介して挿入されて、回転自在に保持される(図4参照)。
【0020】
次に、図1,図2,図5〜図12において、面格子体10について説明する。
面格子体10は、中央部に大きく開口された矩形開口17を有し外ケース体3上に施蓋される矩形板部16(図7では図示省略)と、小間隙12をもって平行に前後方向に矩形開口17に付設された多数の固定支持杆11…と、を有する。また、矩形板部16は、一方向18側の端縁部に、下傾状に形成された取手縁部15を有し、この取手縁部15を掴みながら、面格子体10を外ケース体3に対して開閉する。また、各固定支持杆11は、横断面縦長矩形状に形成されると共に、その下端縁11aは、横断面槍先型に形成されている。これにより、例えば、面格子体10を施蓋する際に、ブラシ帯体9のブラシ毛8…が、隣り合う固定支持杆11,11の間の小間隙12にスムーズに誘導、ブラシ毛8…が固定支持杆11に引っ掛かるのを防ぐことができる。
【0021】
さらに、面格子体10は、多数の前後方向の固定支持杆11…を左右から串刺しする横補強杆13と、固定支持杆11,11の小間隙12に設けられて横補強杆13に串刺しされ小間隙12を一定に保持するためのスペーサ14とを有する。各ブラシ帯体9は、前後揺動において横補強杆13及びスペーサ14に抵触してしまう範囲にはブラシ毛8を有していない(省略されている)。各固定支持杆11には、横補強杆13を串刺し状に通すための孔が形成されている。また、横補強杆13の両端部は矩形板部16の下面に固着される。なお、横補強杆13は剛性を有する鋼材等から成り、2本以上の横補強杆13が並設されてもよい。
【0022】
また、各スペーサ14は例えばリング形状を有する鋼材から成り、小間隙12の幅と略同一の厚さ寸法を有する。そして、スペーサ14…が、横補強杆13に外嵌された状態で小間隙12…に設けられている。
そして、固定支持杆11…が横補強杆13に串刺しされているので、固定支持杆11…上を重い人が歩行しても、固定支持杆11…が撓むのが抑えられて、ブラシ帯体9がスムーズに揺動するのを妨げない。しかも、スペーサ14…により固定支持杆11…の間隔が一定に保たれて、ブラシ帯体9が下方から差込み易くなると共に、固定支持杆11の撓みが一層防止される。
【0023】
また、図2,図9において、37は、靴底から掃き落とされた微小ゴミ28…が植毛平盤4の上面44を往復動により他方向19側の端縁部43aへ移動し落下する塵受け体であり、塵受け体37は、植毛平盤4の前・後端縁部43,43のうち折返加速度が大きい他方向19の端縁部43a近傍に設けられている。具体的には、塵受け体37は、外ケース体3の底板部34上に(溶着)固着される左右横長帯板状の底板部38と、底板部38の一方向18側の端縁を一方向18側へ上傾状に折曲げ形成した塵散在防止部39と、底板部38の他方向19を上方へ折り曲げた囲い壁部36とを有する。植毛平盤4の傾斜縁部45は、塵受け体37の塵散在防止部39と離間し、植毛平盤4が揺動しても相互に接触はしない。
【0024】
そして、図1〜図9において作用の説明をする。建物の入口等に設けられた靴底清掃機に歩行者が近づくと、近くに設けた感知センサ等による切替により、駆動装置58が自動的に駆動を始めるようにする。駆動装置58が駆動すると、回転駆動力を受けた回転体5の主軸部50が第3軸心L3 廻りに回転し、偏心軸部51は、第4軸心L4 廻りに回転する。なお、外ケース体3に対しては、第3軸心L3 は不動であり、第4軸心L4 が第3軸心L3 廻りを回転するものである。
【0025】
スライド円筒体53はスライド弾性体23,23にスライド可能に挟持されているため、揺動ケース体20は、回転体5から、前後方向への力のみを受けており、上下方向への力は受けない。即ち、カム従動体2及び植毛平盤4は、上下方向において、回転体5に対してはフリーの状態である。よって、カム従動体2は、側面視において楕円形状の軌跡上を揺動可能である。
【0026】
図5は、第4軸心L4 が第3軸心L3 と水平であって一方向18側に位置する状態、即ち、偏心軸部51が最も一方向18側を回転している瞬間の状態であり、揺動アーム7は、第4軸心L4 が上死点29から一方向18へ第1最傾斜角度θ1 をもって傾斜した瞬間の状態で、植毛平盤4を保持している。また、図6は、第4軸心L4 が第3軸心L3 と水平であって他方向19側に位置する瞬間の状態、即ち、偏心軸部51が最も他方向19側を回転している瞬間の状態であり、揺動アーム7は、第4軸心L4 が上死点29から他方向19へ第2最傾斜角度θ2 をもって傾斜した状態で、植毛平盤4を保持している。
【0027】
ここで、図5の状態においては、ブラシ帯体9が最も低位置にあり、ブラシ毛8…の上端は、面格子体10の固定支持杆11よりも僅かに突出するか、あるいは、丁度一致した位置にある。そして、図5の状態から植毛平盤4が他方向19へ上方凸状円弧軌跡を描きながら揺動するにつれて、ブラシ毛8…も他方向19側へ揺動しつつ上方へ突出していく。第4軸心L4 が上死点29を通る瞬間に、植毛平盤4が最高位置にあり、ブラシ毛8が最も大きく面格子体10から突出する(図示省略)。そして、図6のように最も他方向19へ傾斜する位置まで達したら、一方向18側へ折返し、上方凸状円弧軌跡を描きながら揺動する。
このように、植毛平盤4とブラシ帯体9が、上方凸状円弧軌跡を描きながら、図5の状態と図6の状態とを往復動する。
そして、歩行者が靴底清掃機に乗って、靴25の底25aが面格子体10の上に乗ると、ブラシ毛8…が、靴25の底25aの微小ゴミ28を掃き落とす。
【0028】
また、第1最傾斜角度θ1 を、第2最傾斜角度θ2 よりも大きくなるように設定し、折返加速度を前と後で相違させている。このため、植毛平盤4の折返加速度は、前後で相違し、他方向19の角度θ2 の際の折返加速度の方が、一方向18の角度θ1 の際の折返加速度よりも大きいので、植毛平盤4の上面44に積もった微小ゴミ28は、他方向19へと移動する。なお、折返加速度とは、前後方向において、植毛平盤4が一方向18から他方向19へ、あるいは、他方向19から一方向18へ折返す瞬間の加速度の絶対値とする。また、第1最傾斜角度θ1 は25°〜35°程度であり、第2最傾斜角度θ2 は5°〜15°程度が好ましい。
また、駆動装置58による回転数は、例えば、毎秒略3回転するように設定される。即ち、植毛平盤4が、毎秒略3往復のペースで揺動するのが好ましいが、歩く人のスピード(即ち、面格子体10上に靴25が乗っている秒)や通行する人数等に応じて増減するように設計変更自由である。
【0029】
そして、図9において、植毛平盤4の上面44を移動した微小ゴミ28…が傾斜縁部45から、塵受け体37内に落下する。そして、使用後には、面格子体10の取手縁部15を掴んで面格子体10を開いて、塵受け体37を取外して微小ゴミ28…を捨てればよい。
【0030】
なお、取手縁部を、他方向19側に設ければ、取手縁部を掴んで面格子体10を持ち上げた側に塵受け体37が設けられており、塵受け体37を取り出し易く、掃除が楽である(図示省略)。
また、図2において、外ケース体3の第1小壁部31のうち、塵受け体37の端部近傍(二点鎖線47で囲んだ)部位に、ダクト接続口を形成することで、吸込機械のダクト(吸込口)をダクト接続口から挿入して、塵受け体37内の微小ゴミ28を吸い取ることも可能であり、面格子体10を開けて取り出す必要がなく楽である。
【0031】
以上のように、本発明に係る靴底清掃機は、小間隙12をもって平行に前後方向に配設された多数の固定支持杆11を、平面状に有する歩行者支持用面格子体10と、小間隙12に下方から差込まれて面格子体10から上方へ突出可能な鉛直状のブラシ帯体9を平行に多数立設した矩形状植毛平盤4と、植毛平盤4を側面視上方凸状円弧軌跡を描いて前後揺動するように保持する揺動アーム7と、植毛平盤4を前後揺動させるための駆動手段6とを、具備するので、(外周面にブラシ毛を突設したベルト部材を環状に回転駆動させる清掃機に比べて、)上下方向の高さを低くすることができ、靴底清掃機を設置するために、大きなスペースを確保する必要がないと共に、各種施設(建物)の入口に設置した場合の人の通行の邪魔とならず、単純に踏みつつ通行すれば靴底が自然と美しくなる。
また、植毛平盤4を上方凸状円弧軌跡を描くように前後揺動させるので、植毛平盤4に突設されたブラシ帯体9のブラシ毛8…が、歩行用面格子体10から突出しながら往復揺動するため、簡単な構成であるうえに、靴底のゴミを効率よく掃き落とすことができる。
また、チェーン等の駆動力伝達部品が使われていないので、故障しにくく耐久性に優れ、さらに、部品点数も少ないものとすることができるので、製造が容易であり、コストの削減にもなる。
【0032】
また、植毛平盤4の上方凸状円弧軌跡は、上死点29から前後一方向18への第1最傾斜角度θ1 を前後他方向19への第2最傾斜角度θ2 よりも大きく設定し、折返加速度を前と後で相違させたので、植毛平盤4が第1最傾斜角度θ1 揺動して折り返す瞬間に、植毛平盤4上に溜まった微小ゴミ28を他方向19側へと滑らせる(移動させる)ことができる。従って、微小ゴミ28が他方向19側へ自然と集まるので、ゴミ収集が非常に楽である。
【0033】
また、面格子体10は多数の前後方向の固定支持杆11を、左右から串刺しする横補強杆13と、固定支持杆11,11の小間隙12を一定に保持するために横補強杆13が串刺しされるスペーサ14とを有するので、歩行者が面格子体10上に乗っても、固定支持杆11…が撓みにくく、簡単な構成にて小間隙12を一定に保持することができる。よって、ブラシ帯体9が揺動するのが妨げられず、スムーズに作動させることができて、効率よく靴底の微小ゴミ28を掃き落とすことができる。
【0034】
また、各固定支持杆11の下端縁11aは、横断面槍先型に形成されているので、面格子体10を施蓋する際に、ブラシ帯体9のブラシ毛8…が、隣り合う固定支持杆11,11の間の小間隙12にスムーズに誘導され、ブラシ毛8…が固定支持杆11に引っ掛かかるのを防ぐことができる。
【0035】
また、植毛平盤4の前・後端縁部43,43のうち折返加速度が大きい他方向19の端縁部43a近傍に設けられ、靴底から掃き落とされた微小ゴミ28が植毛平盤4の上面44を往復動により端縁部43aへ移動し落下する塵受け体37を備えているので、植毛平盤4が揺動することで他方向19側へ移動した微小ゴミ28…を塵受け体37で回収し、微小ゴミ28を容易に廃棄することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る靴底清掃機の実施の一形態を示す平面図である。
【図2】一部断面平面図である。
【図3】要部拡大一部平面断面図である。
【図4】要部拡大一部平面断面図である。
【図5】図3のA−A断面図である。
【図6】要部拡大側面断面図である。
【図7】正面断面図である。
【図8】ブラシ帯体を示す拡大断面図である。
【図9】要部拡大側面断面図である。
【図10】面格子体を示す平面図である。
【図11】側面図である。
【図12】正面図である。
【符号の説明】
【0037】
4 植毛平盤
6 駆動手段
7 揺動アーム
9 ブラシ帯体
10 面格子体
11 固定支持杆
11a 下端縁
12 小間隙
13 横補強杆
14 スペーサ
18 一方向
19 他方向
28 微小ゴミ
29 上死点
37 塵受け体
43 端縁部
44 上面
θ1 最傾斜角度
θ2 最傾斜角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小間隙(12)をもって平行に前後方向に配設された多数の固定支持杆(11)を、平面状に有する歩行者支持用面格子体(10)と、上記小間隙(12)に下方から差込まれて上記面格子体(10)から上方へ突出可能な鉛直状のブラシ帯体(9)を平行に多数立設した矩形状植毛平盤(4)と、該植毛平盤(4)を側面視上方凸状円弧軌跡を描いて前後揺動するように保持する揺動アーム(7)と、該植毛平盤(4)を上記前後揺動させるための駆動手段(6)とを、具備することを特徴とする靴底清掃機。
【請求項2】
上記植毛平盤(4)の上記上方凸状円弧軌跡は、上死点(29)から前後一方向(18)への第1最傾斜角度(θ1 )を前後他方向(19)への第2最傾斜角度(θ2 )よりも大きく設定し、折返加速度を前と後で相違させた請求項1記載の靴底清掃機。
【請求項3】
上記面格子体(10)は多数の前後方向の上記固定支持杆(11)を、左右から串刺しする横補強杆(13)と、上記固定支持杆(11)(11)の小間隙(12)を一定に保持するために上記横補強杆(13)が串刺しされるスペーサ(14)とを有する請求項1又は2記載の靴底清掃機。
【請求項4】
各上記固定支持杆(11)の下端縁(11a)は、横断面槍先型に形成されている請求項1,2又は3記載の靴底清掃機。
【請求項5】
上記植毛平盤(4)の前・後端縁部(43)(43)のうち上記折返加速度が大きい上記他方向(19)の端縁部(43a)近傍に設けられ、靴底から掃き落とされた微小ゴミ(28)が上記植毛平盤(4)の上面(44)を上記往復動により上記端縁部(43a)へ移動し落下する塵受け体(37)を備えた請求項2,3又は4記載の靴底清掃機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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