説明

靴紐及びそれを備えた紐靴

【課題】紐靴に簡単に取付けることを可能とし、且つ靴紐の締め付け調整及び緩め調整が容易に行え、紐靴の履き、脱ぎを容易にし、また、紐靴の外観デザイン性の自在度を高めることができる靴紐及び該靴紐を備えた紐靴を提供する。
【解決手段】靴紐6は、紐靴1の左右甲被羽根部2a、2bに配列した複数の靴紐通し穴3の各段左右一対の靴紐通し穴3に挿通し、掛け回し、環状に取付けられる十分な長さを有し、その両端にかけて等間隔に設けられた係合部8を有した靴紐本体7と、その一端に連結された係合体9から成り、靴紐本体7を保持する保持体16、18とを備え、紐靴1に靴紐6を取付ける際には、各段左右一対の靴紐通し穴3に靴紐本体7を挿通し、掛け回し、環状にし、係合部8を係合体9に係合することで靴紐6を紐靴1に取付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紐靴の靴紐通し穴に通して取付ける靴紐及び該靴紐を備えた靴に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の紐靴では、一本の長紐状の靴紐を紐靴の左右の甲被羽根部に設けられた複数の靴紐通し穴に靴紐を左右交互(又はループ状)に挿通し靴紐を引っ張って紐靴の左右甲被羽根部間の間隔を狭め、緊張させて、紐靴の履口側で靴紐の左右に引きだされた残余部分を蝶結び等することにより、足にフィットさせるようにしている。
【0003】
しかしながら、上記のように一本の長紐状の靴紐で紐靴を締め付ける場合、一般的には紐靴の左右甲被羽根部に設けられた複数の靴紐通し穴の前部(爪先側)から後部(履口側)にかけて、順に靴紐を挿通し、靴紐の左右を強く引っ張って緊張させつつ締め付けてゆくことで靴と足のフィット性を高めていることから、この作業は思いのほか手間がかかる。又、締め付け終えた靴紐を緩める場合においても、靴紐通し穴に靴紐がきつく緊張されていることが多く、ある程度の力を要することと、靴紐通し穴後部(履口側)から順に靴紐を緩めてゆかなければならず緩める作業も又手間がかかり不便である。
【0004】
したがって、従来の紐靴において靴を履く、脱ぐの行為の頻度が多ければ多いほど上述したような作業を繰り返し行わなければならず不便である。特に低高齢者や片手が不自由な使用者などにとっては、このような作業は非常に不便であり、労力の負担も少なくない。
【0005】
従来では、前述したような不便性を解決するために、靴紐の代わりとして、マジックテープ(登録商標)を取付けたベルトで締め付ける構造の靴が販売されている。このような靴であれば、前述した紐靴のように靴紐を紐靴の左右甲被羽根部の靴紐通し穴に靴紐を挿通し、締め上げて結ぶという手間も無く、履きやすく脱ぎやすい。
【0006】
【特許文献1】 特開2003−61709号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このようなマジックテープ(登録商標)を取付けたベルトで締め上げるタイプの靴は、紐靴に比べフィット性に欠け、締め付ける力も弱く、甲側に強い力が加わると剥がれたりすることも多い。又、紐靴に比べ靴のデザイン種類も多くなく、購入者の選択肢も制限されるという問題点ある。特開2003−61709号公報(特許文献1)では、マジックテープ(登録商標)のベルトと靴紐の両方をひとつの靴で併用できるように工夫がなされているが、フィット性を高めるならば従来のように靴紐を結ばなければならず、前述した不便性は解決されない。又、靴の外観が煩雑になりデザイン性が損なわれたり、生産上のコスト高を招いたりする問題点も生じてくる。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みて成されたものであり、その目的は、紐靴に簡単に取付けることを可能とし、且つ靴紐の締め付け調整及び緩め調整が容易に行え、紐靴の履き、脱ぎを容易にし、又、紐靴の外観デザイン性の自在度を高めることができる靴紐及び該靴紐を備えた紐靴を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の靴紐によれば、紐靴における左右甲被羽根部に配列した複数の靴紐通し穴の各段左右一対の靴紐通し穴に挿通し、掛け回し、環状に取付けられる十分な長さを有し、その両端にかけて等間隔に設けられた係合部を有した靴紐本体と、その一端に連結された前記係合部を係合できる係合体から成り、前記靴紐本体を保持する保持体とを備え、前記紐靴に前記靴紐を取付ける際には、各段左右一対の前記靴紐通し穴に前記靴紐本体を挿通し、掛け回し、環状にし、前記係合部を前記係合体に係合固定することで、前記靴紐を前記紐靴に取付けられることを可能としたことを特徴とする。
【0010】
上記靴紐において、好ましくは、靴紐本体の係合部は等間隔に複数設けられている。これにより、適宜な位置で、係合体に係合固定することができる。
【0011】
上記靴紐において、好ましくは、係合体は、靴紐本体を挿通する挿通部と靴紐本体が有する係合部を係合する係合固定部とを有し、紐靴の左右甲被羽根部の靴紐通し穴の外部何れか片側に固定できる。これにより、靴紐本体を紐靴の紐靴通し穴に挿通し掛け回し、強く緊張させ、固定されている側の係合体と係合固定させることで容易に靴紐を締め付けることができる。
【0012】
上記靴紐において、好ましくは、保持体は少なくとも1つ以上の保持体から成り、靴紐本体を挟み込むことが可能な保持部を有する。これにより、紐靴に取付けられた上記靴紐の抜け落ちや嵩張りを抑制することができるとともに紐靴の外観のデザイン性の自在度を高める装飾的効果を持たせることができる。
【0013】
本発明に係る紐靴は、上記した靴紐を複数備える。これにより、紐靴に容易に靴紐を取付けることができ、且つ容易に靴紐を締め付け及び緩めることができる紐靴が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明における靴紐及び該靴紐を備えた紐靴によれば、紐靴に容易に靴紐を取付けることができ、容易に靴紐を締め付け及び緩めることができ、又、紐靴の履く、脱ぐの行為が容易に行え、且つ紐靴の外観のデザイン性の自在度を効果的に高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0016】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態における靴紐6を取付けた紐靴1を示し、(a)が甲被前方部分を破断して示す部分平面図であり、(b)が、(a)のAーA線に沿える縦断面説明図である。図2は、靴紐6を示す図で(a)は、その平面図であり、(b)は、その側断面図である。図3(a)(b)は、(a)が保持体16を示す斜視図であり、(b)が保持体18を示す斜視図である。図4は、靴紐6が紐靴1に取付けられた際の、靴紐本体7が係合体9に挿通係合固定された状態を示す部分拡大斜視図である。
【0017】
紐靴1は、左右甲被羽根部2a、2bに複数の靴紐通し穴3を有する、従来からある一般的な紐靴の構成を備えた紐靴1である。
【0018】
靴紐6は、図1(a)(b)に示すように、紐靴1の左右甲被羽根部2a、2bに配列した複数の靴紐通し穴3の各段左右一対の靴紐通し穴3に挿通し、掛け回し、環状に取付けられる十分な長さを有し、その両端にかけて等間隔に設けられた複数の係合部8を有した靴紐本体7と、その一端に連結された係合体9から成り、図3(a)(b)に示す靴紐本体7を保持する保持体16、18で構成されている。
【0019】
靴紐本体7は、合成樹脂やゴム材など、成型が容易に行える材料が望しいが、靴紐本体7の目的を達成できる材料であれば、合成繊維や皮材、布材、その他の材料、又は、それらの組み合わせであっても良い。
【0020】
図2(a)(b)に示すように靴紐本体7の先端部15は先端方向に向けて幅を狭くすることで靴紐通し穴3に挿通しやすいように形成されている。又、靴紐本体7の起点部14も靴紐通し穴3に収まり易いように幅が狭くなるように形成されている。また靴紐本体7は、両端にかけて等間隔に設けられた複数の係合部8を有している。図2(a)(b)で示す係合部8の図示例では、靴紐本体7を貫通した方形状の穴で形成されているが、穴の形状はこれに限定するものではなく、円形状や他の形状でも良い。
【0021】
又、図2(a)(b)に示す靴紐本体7の一端(起点部14側)に連結されている係合体9には、靴紐本体7を挿通する挿通部10と靴紐本体7の係合部8を係合し固定する係合固定部11を有している。図2(a)(b)及び図4で示す係合体9の係合固定部11は方形の突起状の嵌合形状に形成されているが、係合固定部11の形状はこれに限定するものではなく、上記、靴紐本体7の係合部8を係合固定できる形状であれば、例えば鉤型の形状やその他の形状でも良い。
【0022】
上記、係合体9は、合成樹脂、金属など剛性を持ち、且つ成型し易い材料が望しい。
【0023】
図3(a)(b)に示す保持体16、18には、靴紐本体7を挟み込むようにして保持する保持部17、19を有しており、少なくとも1つ以上靴紐6に取付けられる。保持体16、18は、図3(a)(b)で示す形状でなくとも良く、目的を達成できる形状であれば、方形状や多角形その他の形状でも良い。材料は、合成樹脂、金属、石材、ゴム材、木材など様々な材料で作ることができ、特に材料を限定するものではないが、成型しやすい金属や合成樹脂等が望しい。
【0024】
図1から図4に示す例を以って、さらに本発明の靴紐6の作用効果のついて詳しく説明する。
【0025】
図1(a)(b)に示すように、本発明の靴紐6は、紐靴1に複数取付けて、靴紐6の締め具合の調整が行えるよう構成されている。紐靴1に靴紐6を取付ける場合、好ましくは、紐靴1の右の甲被羽根部2aの外側(図1(a)(b)では右側)から靴紐通し穴3に靴紐本体7を挿通し、もう片方の左の甲被羽根部2bの靴紐通し穴3の内側(図1(a)(b)では左側)より引き出し、掛け回すようにして横断させて、右の甲被羽根部2aの外側の靴紐通し穴3の固定されている係合体9の挿通部10に掛け回された靴紐本体7を挿通し、靴紐本体7を引っ張りつつ靴紐本体7の係合部8を係合体9の係合固定部11に係合固定する。それにより紐靴1の左右甲被羽根部2a、2bが引き合い緊張することで靴紐6の締め付けが行える。又、係合体9から引き出された靴紐本体7の残余部分の長さは、紐靴のサイズや種類の違いによって不揃いになる場合もあるが、この残余部分は適宜な所で鋏などでカットすることも可能である。これにより残余部分の不揃い感は解消される。
【0026】
図2(a)(b)及び図4に示すように係合体9は紐靴1の左右甲被羽根部2a、2bの靴紐通し穴3の外側(何れか片側)に固定されるように構成されている。図2(a)(b)及び図4に示す、係合体9の係合固定部11は、突起状の嵌合形状に形成されており、図2(a)(b)で示す紐靴本体7の係合部8と係合固定させる場合、靴紐本体7が係合体9の挿通部10に挿通し、この挿通部10によって靴紐本体7は直線的に引き出される。引き出した分の靴紐本体7の方形状の穴に形成された係合部8を上から下へ押し込むようにして係合体9の突起状の係合固定部11に嵌合させ固定する。これにより、紐靴1に取付けられた靴紐6は、しっかりと固定される。
【0027】
又、上記係合体9の係合固定部11左右には、靴紐本体7よりやや幅の狭い靴紐本体支特部12を設けており、係合固定部11に靴紐本体7を上から押し込む様にして固定することで、靴紐本体7より幅の狭い靴紐本体支持部12が、両側より靴紐本体7を挟み込むような状態になり、靴紐本体7が歩行中などでも浮き上がらないよう工夫がなされている。又、靴紐本体7を係合固定部11から外す場合においては、係合体9に固定され、係合体9より引き出された靴紐本体7の残余部分の先端部を指で抓んで、上に引き上げるだけで容易に外すことが可能である。
【0028】
又、図1(a)(b)に示すように紐靴1に取付けられた靴紐6には、保持体16が取付けられる。スリット部5に位置する上下の紐靴本体7を束ねるようにして挟み込み、図1(b)に示すように靴紐本体7の嵩張り感や、紐靴1からの靴紐6の抜け落ちを抑制することが可能である。また、この保持体16は紐靴1に取付けられた各々一対の靴紐6に複数取付けることができる。(図示例では各2コづつ)又、保持体16は、形や素材、色を変えることが可能であり、紐靴1の外観のデザイン性の自在度や装飾的効果を高めることも可能である。
【0029】
又、図3(b)及び図4で示す保持体18は、係合体9に係合固定された際の、靴紐本体7の係合体9から引き出された残余部分に取付けられる。図示例で示す保持部19は鋸歯状の形状に成されており、靴紐本体7をしっかり挟み込むことが可能である。これにより、係合体9の係合固定部11に固定された靴紐本体7を取外した場合においても、靴紐本体7の残余部分に取付けられた保持体18によって係合体9の挿通部10の所で留まり、靴紐本体7の抜け落ちを抑制する。又、係合体9から引き出された靴紐本体7の残余部分の長さは、紐靴のサイズや種類の違いによって不揃いになる場合もあるが、靴紐本体7の余分な残余部分は鋏などでカットすることが可能であり、その場合においても、その靴紐本体7の先端部に保持体18を取付けることで不揃い感を解消しつつ、カットされた部分を目立たなくするとともに装飾的効果を高めることが可能である。又、保持体18の形状は、これに限定するものではなく、上記の目的を達成できる形状であれば、その他の形状でも良い。
【0030】
又、この保持体16、18は取付け取外しが自由に行え、適宜に取付けたり取外したりすることが可能である。
【0031】
又、靴紐6は紐靴1に複数取付けられることから各々一対の靴紐6ごとに色を変えることも可能であり、これによっても本発明の靴紐6を取付けた紐靴1において、より外観のデザイン性の自在度及び装飾的効果を高めることが可能である。
【0032】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について図5、図6に示す例を以って説明する。なお第2実施形態の作用効果、又は材料などは第1実施形態と同様であり、その部分の詳細な説明は省略する。又 、第1実施形態と同様又は、相当する構成部分には同一の符号を付し、形状及び仕様が第1実施形態と異なる構成のみを以下で説明する。
【0033】
図5は、靴紐6の第2実施形態を示す図で、(a)は、その平面図であり、(b)は、その側断面図である。図6は、靴紐6が紐靴1に取付けられた際の、靴紐本体7が係合体9に挿通係合固定された状態の第2実施形態を示す部分拡大斜視図である。
【0034】
図5(a)(b)に示すように靴紐本体7の係合部8は、突起状に形成されており、図6に示す係合体9の係合固定部11は、その突起状に形成された係合部8と同様形状の嵌合溝状の係合固定部11が形成されている。この係合固定部11は、図6の図示例に示すように片側が開いており、係合体9の挿通部10から引き出された分の靴紐本体7の係合部8をこの係合固定部11の開いた部分から差し込むようにして嵌合することでお互いが噛み合いしっかりと固定される。靴紐本体7を外す場合は、係合固定部11から靴紐本体7を引き出すだけで簡単に外すことが可能である。図5(a)(b)及び図6で示す図示例での靴紐本体7の係合部8は片側面のみに半円蒲鉾型突起状に形成されているが、形状はこれに限定するものではなく、多角状などでも良い。又、固定力をさらに強化するために係合部8を靴紐本体7両面に施しても良い。
【0035】
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態について図7、図8に示す例を以って説明する。なお第3実施形態の作用効果、又は材料などは、第1、及び第2実施形態と凡同様であり、その部分の詳細な説明は省略する。又、第1、及び第2実施形態と同様又は、相当する構成部分には同一の符号を付し、形状及び仕様又は、第1、及び第2実施形態と異なる構成のみを以下で説明する。
【0036】
図7は、靴紐6の第3実施形態を示す図で、(a)は、その平面図であり、(b)は、その側断面図である。図8は、靴紐6が紐靴1に取付けられた際の靴紐本体7が係合体9に挿通係合固定された状態の第3実施形態を示す部分拡大斜視図である。
【0037】
図7(a)(b)に示すように靴紐本体7の係合部8は、突起状に形成されており、又、一定の傾斜角を以って配列されており、図8に示す係合体9の係合固定部11は、その突起状に形成された係合部8と同様の傾斜角を持った突起状の係合固定部11が形成されている。図8の図示例に示すように第3実施形態の係合体9の片側は、両端に向け開いた挿通部10が設けられており、靴紐本体7をこの開いた挿通部10から差し込み靴紐本体7の係合部8を係合体9の係合固定部11と噛み合わせ固定する。又、この係合固定部11は、剛性と弾性のある材料を利用しても良い。例えば、板バネのような弾性のある金属製の材料を用いることで、一旦、靴紐本体7を係合体9に固定した際でも、係合体9から取外すことなく靴紐本体7を外側に引っ張ることで係合固定部11がバネ作用で上下に動き容易に締め増しができる。
【0038】
又、第3実施形態の靴紐本体7の係合部8と係合体9の係合固定部11は一定の傾斜角を持たせており、これにより紐靴1に靴紐6を取付け締め付けた際、靴紐本体7と係合体9とのお互いの引き合う力の作用により傾斜角の一定の方向(係合体9の挿通部10の逆側及びスリット5方向)に力が加わることで、靴紐本体7が係合体9から外れ難くなり、より係合力が高まる。
【0039】
又、取外す際は、係合体9に係合固定された靴紐本体7を一旦外側に引きつつ、係合体9の挿通部10から引き出すことで容易に外すことが可能である。
【0040】
第1、第2、第3実施形態で示した、係合体9は何れも前記靴紐本体7と連結された連結部13を軸に上下円周的に可動することが可能であり、これにより、紐靴1の左右甲被羽根部2a、2bの靴紐通し穴3の外側(何れか片側)で甲被羽根部に反転したような状態で沿うように密着させ、係合体9の挿通部10側が紐靴1のスリット部5方向を向くようにして固定されることが可能である。これにより係合体9の嵩張り感を抑制するとともに靴紐本体7との係合が容易に行え、締め付けた際、お互いの引き合う力の作用により係合体9の密着率も高まる。又、甲被羽根部への密着率をより高めるために、係合体9自体を、甲被羽根部の表面に沿った、やや湾曲した形状(図示せず)に形成しても良い。
【第4実施形態】
【0041】
次に本発明の第4実施形態について、図9、図10に示す例を以って説明する。なお第4実施形態の説明では、第1、及び第2、第3実施形態と同様又は、相当する構成部分には同一の符号を付し、形状及び仕様又は、第1、及び第2、第3実施形態と異なる構成のみを以下で説明する。
【0042】
図9は、本発明の第4実施形態を示す図で、(a)が甲被前方部分を破断して示す部分平面図であり、(b)が(a)のAーA線に沿える縦断面説明図である。図10は、靴紐6が紐靴1に取付けられた際の靴紐本体7の先端残余部分が紐靴1の側面部(小指側)に設けられた収納体20に挿入された状態を示す第4実施形態の部分拡大斜視図である。
【0043】
図9(a)(b)及び図10で示すように、紐靴1の側面部(小指側)には、収納体20が複数設けられている。これにより、紐靴1に取付けられた際の靴紐本体7の先端残余部分を収納体20に挿入することで靴紐本体7の先端残余部分が収納される。これにより、係合体9より引き出された靴紐本体7の先端残余部分の浮き上がりや不揃い感を解消しつつ、整然と納まることで、外観的にも整理される。
【0044】
この収納体20は、図9(a)(b)及び図10で示すように紐靴1の表皮に筒状又は、袋状(図示例では筒状)の部材を取付ける。部材は、紐靴同様の表皮材(例えば天然皮革や人工皮革など)が望ましいが、上記の目的を達成できる部材であればこれに限定するものではない。又、取付け方法も縫付けが望ましいが、これに限定するものではない。
【0045】
また、収納体20は、紐靴1の表皮の内側に設けることも可能である。その場合、表皮内側に靴紐本体7の先端残余部分を収納できる部材を備え、紐靴1の表皮面に靴紐本体7の先端残余部分を挿入できる幅のスリットを設けて、先端残余部分を収納する。これにより紐靴の外観のデザイン性の自在度を高めることが可能である(図示せず)。
【0046】
以上、述べたように、本発明における靴紐及び該靴紐を備えた紐靴では、紐靴に複数取付けられることから、各々一対の靴紐の締め付け調整が行え、足甲部を部分的に締め付けることも可能であり、足型に合った自在なフィット性、ホールド性を高めることができる。又、従来の靴紐のように締め付け終えて蝶結びをする、又蝶結びを解いて靴紐を緩めるような煩わしい操作を行わなくとも、簡単に紐靴に取付けが可能で、締め付ける、緩めるの操作も非常に簡単に行える。更に本発明の靴紐は構造が簡単でコスト的に安価に実現可能となる。
【0047】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内において種々の変更が可能である。又、本発明は、靴紐以外で利用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】 本発明の実施形態における靴紐を取付けた紐靴を示し、(a)が甲被前方部分を破断して示す部分平面図であり、(b)が(a)のAーA線に沿える縦断面説明図である。
【図2】 靴紐を示す図で、(a)は、その平面図であり、(b)は、その側断面図である。
【図3】 (a)、(b)共に保持体を示す斜視図である。
【図4】 靴紐が紐靴に取付けられた際の、靴紐本体が係合体に挿通係合固定された状態を示す部分拡大斜視図である。
【図5】 靴紐の第2実施形態を示す図で、(a)は、その平面図であり、(b)は、その側断面図である。
【図6】 靴紐が紐靴に取付けられた際の、靴紐本体が係合体に挿通係合固定された状態の第2実施形態を示す部分拡大斜視図である。
【図7】 靴紐の第3実施形態を示す図で、(a)は、その平面図であり、(b)は、その側断面図である。
【図8】 靴紐が紐靴に取付けられた際の、靴紐本体が係合体に挿通係合固定された状態の第3実施形態を示す部分拡大斜視図である。
【図9】 靴紐が紐靴に取付けられた際の、靴紐本体の先端残余部が、紐靴に設けられた収納体に収納された状態の第4実施形態を示す図で、(a)が甲被前方部分を破断して示す部分平面図であり、(b)が(a)のAーA線に沿える縦断面説明図である。
【図10】 靴紐が紐靴に取付けられた際の、靴紐本体の先端残余部が、紐靴に設けられた収納体に収納された状態の第4実施形態を示す部分拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
1 紐靴
2a 右の甲被羽根部
2b 左の甲被羽根部
3 靴紐通し穴
4 舌方部
5 スリット部
6 靴紐
7 靴紐本体
8 係合部
9 係合体
10 挿通部
11 係合固定部
12 靴紐本体支持部
13 連結部
14 起点部
15 先端部
16、18 保持体
17、19 保持部
20 収納体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紐靴に取付ける靴紐であって、前記紐靴における左右甲被羽根部に配列した複数の靴紐通し穴の各段左右一対の靴紐通し穴に挿通し、掛け回し環状に取付けられる十分な長さを有し、その両端にかけて等間隔に設けられた係合部を有した靴紐本体と、その一端に連結された前記係合部を係合できる係合体から成り、前記靴紐本体を保持する保持体とを備え、前記紐靴に前記靴紐を取付ける際には、各段左右一対の前記靴紐通し穴に前記靴紐本体を挿通し、掛け回して環状にし、前記係合部を前記係合体に係合固定することで、前記靴紐を前記紐靴に取付けられることを可能としたことを特徴とする靴紐。
【請求項2】
前記靴紐本体の前記係合部は等間隔に複数設けられており、適宜な位置で前記係合体に係合固定できるよう構成したことを特徴とする請求項1に記載の靴紐。
【請求項3】
前記靴紐本体の前記係合部は一定の傾斜角を持ち、等間隔に複数設けられており、適宜な位置で前記係合体に係合固定できるよう構成したことを特徴とする請求項1又は、請求項2に記載の靴紐。
【請求項4】
前記靴紐の前記係合体は、前記靴紐本体を挿通する挿通部と前記靴紐本体が有する前記係合部を係合する係合固定部を有し、前記紐靴の左右甲被羽根部の前記靴紐通し穴の外部何れか片側に固定できることを特徴とする請求項1から請求項3に記載の靴紐。
【請求項5】
前記靴紐の前記係合体は、前記靴紐本体を挿通する挿通部と前記靴紐本体が有する前記係合部を係合する係合固定部を有し、前記係合固定部には前記係合部と同様の傾斜角を持ち、前記紐靴の左右甲被羽根部の前記靴紐通し穴の外部何れか片側に固定できることを特徴とする請求項1から請求項4に記載の靴紐。
【請求項6】
前記靴紐の前記保持体は、少なくとも1つ以上の保持体から成り、前記靴紐本体を挟み込むことが可能な保持部を有し、前記紐靴に取付けられた前記靴紐の抜け落ちや嵩張りを抑制することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の靴紐。
【請求項7】
請求項1から請求項6いずれかに記載の靴紐を複数備えたことを特徴とする紐靴。
【請求項8】
請求項1から請求項6いずれかに記載の靴紐を複数備えるとともに、前記靴紐の先端残余部分を挿入収納できる収納体を複数備えたことを特徴とする紐靴。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−46741(P2013−46741A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−101806(P2012−101806)
【出願日】平成24年4月11日(2012.4.11)
【出願人】(594126296)
【Fターム(参考)】