鞘管の接合構造及びこれに用いられる接合部品
【課題】受口部材と差口部材との接合状態を良好に保ちつつその接合強度を安定して得ることができ、接着剤による受口部材と差口部材との接着を不要にして施工作業に要する時間を大幅に短縮しかつ施工作業時の環境面への影響をなくすことができる鞘管の接合構造を提供する。
【解決手段】第1小径鞘管111の一側端部に設けた差口部材21の先端側部位212の外周面に、半径方向外方に突出する第1係合片214を設ける一方、受口部材22の先端側部位222の内周面に、その周方向4箇所より半径方向内方に突出する第2係合片224を設ける。そして、受口部材22に各第2係合片224の半径方向外方への弾性変形を許容する切欠部23を設け、受口部材22に差口部材21を挿通させた際に第1係合片214の第1縦面215が各第2係合片224を乗り越えて当該各第2係合片224の縦面220に無理なくスムーズに係合するようにしている。
【解決手段】第1小径鞘管111の一側端部に設けた差口部材21の先端側部位212の外周面に、半径方向外方に突出する第1係合片214を設ける一方、受口部材22の先端側部位222の内周面に、その周方向4箇所より半径方向内方に突出する第2係合片224を設ける。そして、受口部材22に各第2係合片224の半径方向外方への弾性変形を許容する切欠部23を設け、受口部材22に差口部材21を挿通させた際に第1係合片214の第1縦面215が各第2係合片224を乗り越えて当該各第2係合片224の縦面220に無理なくスムーズに係合するようにしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設された埋設管内に敷設される同一軸線上の鞘管の端部同士を接合する接合構造及びこれに用いられる接合部品に関する。
【背景技術】
【0002】
近来より、地中に埋設される埋設管内に、合成樹脂よりなる複数の鞘管を敷設し、各鞘管内に、通信ケーブル等を挿通させることが行われている。この場合、各鞘管は、必要とする場所まで通信ケーブル等を導く上で、それぞれ同一軸線上の複数の鞘管の端部同士を接合して延長させている。
【0003】
そして、同一軸線上において2本の鞘管の端部同士を接合するには、公知のいわゆるTS接合法による接合が行われていた。すなわち、一方の鞘管の管端部から所定長さの表面層を剥離し、その表面をテーパ処理して管差し口とし、これに接着剤を塗布して他方の鞘管の管受け口に挿入して接着することで接合していた。このとき、接着剤が凝固して接着効果が得られるまでの間、作業者が鞘管の端部同士を手で押さえておく必要がある。
【0004】
そこで、従来の鞘管の接合構造として、一方の鞘管の管端部の外周面に半径方向外方へ突出する第1係合片を有する差口部分を、他方の管端部の内周面に半径方向内方に突出する第2係合片を有する受口部分をそれぞれ設け、一方の鞘管の差口部分の外周面を他方の鞘管の受口部分の内周面に挿通させて両鞘管の端部同士を係合するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。そして、前記一方の鞘管の差口部分の外周面と前記他方の鞘管の受口部分の内周面とに接着剤を塗布した状態で、一方の鞘管の差口部分を他方の鞘管の受口部分に挿通させ、前記第2係合片を乗り越えて当該第2係合片に第1係合片を係合させることで、前記接着剤が凝固して接着効果が得られるまでの間、仮押さえしておくようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3360086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、前記従来のものでは、鞘管同士を接合するに当たり、差口部分の第1係合片が受口部分の第2係合片に係合されてはいるものの、この第1係合片と第2係合片との係合は、一方の鞘管の差口部分の外周面と他方の鞘管の受口部分の内周面とに塗布した接着剤が凝固して接着効果が得られるまでの間、仮押さえしておくものにすぎない。このため、第1係合片と第2係合片とを係合するのみでは、受口部分と差口部分との接合が必要十分であるとはいえず、埋設管内で起こる30°Cの温度変化に起因した各鞘管の熱伸縮によって作用する荷重(熱伸縮応力)に対し耐え得るものであるとは言い難い。
その場合、第1係合片と第2係合片との係合を各鞘管の熱伸縮による荷重に耐え得るようにするには、受口部分及び差口部分の係合片同士の係合高さ(半径方向での互いの重なり代)がある程度は必要、具体的には、内径30mmの鞘管同士を接合する場合には互いの係合片同士の係合高さが1mm以上は必要となる。そのため、差口部分の第1係合片が受口部分の第2係合片を乗り越える際に、第1及び第2係合片の大きな変形、つまり受口部分の第2係合片を大きく拡径させる変形と差口部分の第1係合片を小さく縮径させる変形とが必要となる。これでは、差口部分の第1係合片が受口部分の第2係合片を乗り越えて当該第2係合片に係合させること自体が無理であり、仮に第1係合片と第2係合片とが係合できたとしても、差口部分の第1係合片及び受口部分の第2係合片が裂傷するなどの変形が生じてしまい、受口部分と差口部分との接合強度を安定して得ることができない。
【0007】
また、前記従来のものでは、受口部分と差口部分とを接着剤の凝固による接着効果により接合するものであるため、埋設管内に多数の鞘管が敷設されている場合には施工作業時において各鞘管の接着剤が凝固するまでに多大な時間を要する上、接着剤が埋設管の内外に漏れるおそれもあって施工作業時の環境面への悪影響が危惧される。
しかも、鞘管の接合構造に接着剤を用いていると、施工時の天候や、作業者個々の塗布の仕方や、受口部分に対する差口部分の挿通不足などによって、受口部分と差口部分との接合状態の品質が大きく左右される。このため、これらの要因によって受口部分から差口部分が抜けるおそれもあり、受口部分と差口部分との接合状態にバラツキが生じ、当該両部分の接合状態を良好に保つには細心の注意が必要である。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、受口部分と差口部分との接合状態を良好に保ちつつその接合強度を安定して得ることができ、接着剤による受口部分と差口部分との接着を不要にして施工作業に要する時間を大幅に短縮しかつ施工作業時の環境面への悪影響をなくすことができる鞘管の接合構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明が講じた解決手段は、合成樹脂よりなり、第1鞘管の軸線方向一側の端部に設けられた差口部分と、合成樹脂よりなり、第2鞘管の軸線方向他側の端部に設けられた受口部分とを備え、前記差口部分を前記受口部分に挿通させて当該差口部分と受口部分とを接合するようにした鞘管の接合構造を前提とする。更に、前記差口部分の外周面には、半径方向外方に突出する第1係合片が設けられている一方、前記受口部分の内周面には、半径方向内方に突出する第2係合片が設けられていて、前記受口部分に対する前記差口部分の挿通時に前記第1係合片が前記第2係合片を乗り越えて当該第2係合片に係合するようになっている。そして、前記差口部分及び前記受口部分のいずれか一方には、その一方に設けられる第1又は第2係合片の内外径方向への弾性変形を許容する切欠部が設けられている。
この特定事項により、鞘管同士を接合するに当たり、第2鞘管の軸線方向他側の端部に設けられた受口部分に対し第1鞘管の軸線方向一側の端部に設けられた差口部分を挿通させると、差口部分及び前記受口部分のいずれか一方に設けられた切欠部によって、その一方に設けられる第1又は第2係合片の内外径方向つまり半径方向内外方への弾性変形が許容されるので、差口部分の第1係合片と受口部分の第2係合片との係合を鞘管の熱伸縮による荷重に耐え得るように第1及び第2係合片同士の係合高さ(半径方向での重なり代)をある程度確保していても、受口部分に対し差口部分を挿通させた際に第1又は第2係合片の内外径方向への弾性変形によって第1係合片が第2係合片を乗り越えて当該第2係合片に無理なくスムーズに係合する。
これにより、第1係合片が第2係合片を乗り越える際に、受口部分の第2係合片を大きく拡径させる変形と差口部分の第1係合片を小さく縮径させる変形といった第1及び第2係合片の大きな変形が不要となり、差口部分の第1係合片及び受口部分の第2係合片の裂傷などによる変形も生じることがなくなって、受口部分と差口部分との接合強度を安定して得ることが可能となる。
しかも、受口部分と差口部分とを接着剤の接着効果により接合する必要がなく、施工作業時に埋設管内に敷設された多数の鞘管での接着剤の塗布時間及び凝固時間が不要となって施工作業時間を大幅に短縮することが可能となる上、埋設管の内外への接着剤の漏れによる施工作業時の環境面への悪影響もなくすことが可能となる。
更に、接着剤が不要となることから、施工時の天候や、作業者個々の塗布の仕方や、受口部分に対する差口部分の挿通不足などによる受口部分と差口部分との接合状態の品質にバラツキが生じることもなくなって、これらの要因による受口部分からの差口部分の抜け落ちも防止され、受口部分と差口部分との接合状態を良好に保つことが可能となる。
【0010】
また、前記第1係合片の外周面が、前記差口部分の軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されていることが好ましい。
この場合には、受口部分に対する差口部分の挿通時に第1係合片のテーパ状の外周面が第2係合片の内周面をスムーズに乗り越え、第1係合片を第2係合片により無理なくスムーズに係合させることができる。
【0011】
また、前記第2係合片の内周面が、前記受口部分の軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されていることが好ましい。
この場合には、受口部分に対する差口部分の挿通時に第1係合片の外周面が第2係合片のテーパ状の内周面に沿って当該第2係合片をスムーズに乗り越え、第1係合片を第2係合片にさらに無理なくスムーズに係合させることができる。
【0012】
また、前記第1係合片は、前記差口部分の軸線方向一側の端部に設けられていることが好ましい。
この場合には、第1係合片の軸線方向の長さが短くなって、第2係合片の軸線方向の長さも短くなる。このため、受口部分に対し差口部分を挿通させると、第1又は第2係合片の内外径方向への弾性変形による弾性力が大きく作用し、第1係合片と第2係合片との係合状態を強固なものにすることができる。
【0013】
また、前記差口部分が前記第1鞘管の軸線方向一側の端部に、前記受口部分が前記第2鞘管の軸線方向他側の端部に、それぞれスピンウェルドにより接合されていることが好ましい。
この場合には、差口部分が第1鞘管の軸線方向一側の端部に、受口部分が第2鞘管の軸線方向他側の端部に、それぞれ接着剤を用いることなく一体的に接合され、埋設管の内外への接着剤の漏れによる施工作業時の環境面への影響を確実になくすことができる。しかも、接着剤を不要にして、施工時の天候や、作業者個々の接着剤の塗布の仕方などによる差口部分及び受口部分と各鞘管との接合状態の品質にバラツキが生じることもなくなって、これらの要因による差口部分及び受口部分と各鞘管との接合状態を良好に保つことができる。
【0014】
また、前記受口部分には、前記第1係合片が前記第2係合片に係合した際に前記受口部分に対する前記差口部分のそれ以上の挿通を規制するストッパが設けられていてもよい。
この場合には、差口部分のそれ以上の挿通がストッパにより規制されるので、第1係合片が第2係合片に係合した状態で保持され、第1係合片と第2係合片との係合状態を円滑に保つことができる。
【0015】
また、前記第2係合片の外周面に、前記受口部分の軸線方向に延びるリブを設けることが好ましい。
この場合には、第2係合片の剛性がリブによって向上し、受口部分の座屈に対する強度を高めることができる。しかも、受口部分を第2鞘管の軸線方向他側の端部にスピンウェルドにより接合する際に回転装置に対する受口部分の固定がリブを利用して円滑に行え、回転装置による受口部分の固定を簡単に行うことができる。
【0016】
また、前記受口部分の内周面に挿通される前記差口部分の外周面における軸線方向他側の端部に、当該差口部分を前記受口部分に挿通させて接合した際にその受口部分の内周面を前記差口部分の外周面に対し半径方向へ隙間なく嵌入させる拡径部を設けることが好ましい。
この場合には、差口部分を受口部分に挿通させて接合した際に受口部分の内周面が第1係合片の外周面の拡径部に対し半径方向へ隙間なく嵌入される。このため、第1係合片の外周面における軸線方向他側の端部と受口部分の内周面の拡径部との間にガタつきが発生することがない。これにより、曲がりのあるコーナー部で使用しても差口部分と受口部分との間で段差が生じることがなく、内部に収容したケーブル類への段差による損傷を防止することができる。
【0017】
また、前記拡径部の軸線方向一側に、当該拡径部を前記差口部分の外周面における軸線方向他側に向かうに従い拡径させるテーパ面を設けることが好ましい。
この場合には、差口部分を受口部分に挿通させて接合する際に第1係合片の外周面における軸線方向他側の端部が受口部分の内周面の拡径部にテーパ面に沿って円滑に案内される。これにより、差口部分を受口部分に挿通させて接合する際の作業をスムーズに行うことができる。
【0018】
また、互いに接合される前記第1鞘管の差口部分及び前記第2鞘管の受口部分と、当該差口部分に対応する第1鞘管及び受口部分に対応する第2鞘管との少なくとも一方を、内部を透視可能な透明の合成樹脂により成形することが好ましい。
この場合には、内部が透視されてケーブル類の種別が簡単に確認でき、第1鞘管の差口部分と第2鞘管の受口部分との誤接続を確実に防止することができる。
【0019】
更に、前記受口部分を射出成形により成形し、前記第2係合片の軸線方向一側の端部に、その端面に沿って前記受口部分の半径方向外方に貫通する貫通孔を設けることが好ましい。
この場合には、第2係合片の軸線方向一側の端部にその端面に沿って前記受口部分の半径方向外方に貫通する貫通孔が設けられているので、第2係合片を形成するに当たり、貫通孔を介して金型のスライドコアを半径方向外方にスライドさせればよい。これにより、受口部分の内周面を成形する型の構造を非常に簡単なものにすることができる。
【0020】
また、前記目的を達成するため、本発明が講じたその他の解決手段は、第1鞘管の軸線方向一側の端部に接合可能な合成樹脂よりなる差口部材と、前記第1鞘管と同一軸線上の第2鞘管の軸線方向他側の端部に接合可能な合成樹脂よりなる受口部材とを備え、前記差口部材を前記受口部材に挿通させて当該差口部材と受口部材とを接合するようにした接合部品を前提とする。更に、前記差口部材の外周面には、半径方向外方に突出する第1係合片が設けられている一方、前記受口部材の内周面には、半径方向内方に突出する第2係合片が設けられていて、前記第1係合片が、前記受口部材に対する前記差口部材の挿通時に前記第2係合片を乗り越えて当該第2係合片に係合するようになっている。そして、前記差口部材及び前記受口部材のいずれか一方には、その一方に設けられる第1又は第2係合片の内外径方向への弾性変形を許容する切欠部が設けられている。
この特定事項により、第2鞘管の軸線方向他側の端部に接合可能な受口部材に対し第1鞘管の軸線方向一側の端部に接合可能な差口部材を挿通させると、差口部材及び前記受口部材のいずれか一方に設けられた切欠部によって、その一方に設けられる第1又は第2係合片の半径方向内外方への弾性変形が許容されるので、差口部材の第1係合片と受口部材の第2係合片との係合を鞘管の熱伸縮による荷重に耐え得るように第1及び第2係合片同士の係合高さをある程度確保していても、受口部材に対し差口部材を挿通させた際に第1又は第2係合片の内外径方向への弾性変形によって第1係合片が第2係合片を乗り越えて当該第2係合片に無理なくスムーズに係合する。
これにより、第1係合片が第2係合片を乗り越える際に、受口部材の第2係合片を大きく拡径させる変形と差口部材の第1係合片を小さく縮径させる変形といった第1及び第2係合片の大きな変形が不要となり、差口部材の第1係合片及び受口部材の第2係合片の裂傷などによる変形も生じることがなくなって、受口部材と差口部材との接合強度を安定して得ることが可能となる。
しかも、受口部材と差口部材とを接着剤の接着効果により接合する必要がなく、施工作業時に埋設管内に敷設された多数の鞘管での接着剤の塗布時間及び凝固時間が不要となって施工作業時間を大幅に短縮することが可能となる上、埋設管の内外への接着剤の漏れによる施工作業時の環境面への悪影響もなくすことが可能となる。
更に、接着剤が不要となることから、施工時の天候や、作業者個々の塗布の仕方や、受口部材に対する差口部材の挿通不足などによる受口部材と差口部材との接合状態の品質にバラツキが生じることもなくなって、これらの要因による受口部材からの差口部材の抜け落ちも防止され、受口部材と差口部材との接合状態を良好に保つことが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
以上、要するに、請求項1又は請求項12に記載の発明によれば、鞘管同士を接合するに当たり、第2鞘管の軸線方向他側の端部の受口部分(受口部材)に対し第1鞘管の軸線方向一側の端部の差口部分(差口部材)を挿通させた際に、前記差口部分及び前記受口部分のいずれか一方の切欠部によって第1又は第2係合片の内外径方向への弾性変形を許容させることで、第1係合片及び第2係合片同士の係合高さを十分に確保していても第1係合片が第2係合片を乗り越えて当該第2係合片に無理なくスムーズに係合する。これにより、第1係合片が第2係合片を乗り越える際に第1及び第2係合片の大きな変形が不要となり、差口部分の第1係合片及び受口部分の第2係合片の裂傷などによる変形を生じさせることなく受口部分と差口部分との接合強度を安定して得ることができる。しかも、受口部分と差口部分とを接着剤の接着効果により接合する必要がなくなって施工作業時の接着剤の塗布時間及び凝固時間が不要となり、施工作業時間を大幅に短縮することができる上、埋設管の内外への接着剤の漏れによる施工作業時の環境面への悪影響もなくすことができる。更に、施工時の天候や、作業者個々の塗布の仕方や、受口部分に対する差口部分の挿通不足などによる受口部分と差口部分との接合状態の品質のバラツキも是正され、受口部分と差口部分との接合状態を良好に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る接合構造を用いた各鞘管を埋設管内に敷設した状態での縦断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る差口部材と受口部材とを接合した状態での縦断側面図である。
【図3】図2の差口部材の縦断側面図である。
【図4】図3の差口部材を反第1小径鞘管側から見た正面図である。
【図5】図2の受口部材の一部を切り欠いた縦断側面図である。
【図6】図5の受口部材を反第2小径鞘管側から見た正面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る差口部材と受口部材とを接合した状態での縦断側面図である。
【図8】図7の差口部材の縦断側面図である。
【図9】図7の受口部材の縦断側面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る差口部材と受口部材とを接合した状態での縦断側面図である。
【図11】図10の差口部材の縦断側面図である。
【図12】図10の一部を切り欠いた受口部材の縦断側面図である。
【図13】図12の受口部材を反第2小径鞘管側から見た正面図である。
【図14】本発明の第4の実施の形態に係る差口部材と受口部材とを接合した状態での縦断側面図である。
【図15】図14の差口部材の縦断側面図である。
【図16】図15の差口部材を反第1小径鞘管側から見た正面図である。
【図17】図14の受口部材の一部を切り欠いた縦断側面図である。
【図18】本発明の第5の実施の形態に係る差口部材と受口部材とを接合した状態での縦断側面図である。
【図19】図18の差口部材の縦断側面図である。
【図20】図19の差口部材を反第1小径鞘管側から見た正面図である。
【図21】図18の受口部材の一部を切り欠いた縦断側面図である。
【図22】本発明の第6の実施の形態に係る差口部材と受口部材とを接合した状態での縦断側面図である。
【図23】図22の差口部材の縦断側面図である。
【図24】図22の受口部材の縦断側面図である。
【図25】図23のA−A線における断面図である。
【図26】図24の受口部材の第2係合片の軸線方向一側に設けた貫通孔を介して半径方向外方に移動するスライドコアの動きを説明する受口部材の縦断側面図である。
【図27】第6の実施の形態の変形例に係る図25相当図である。
【図28】本発明の第7の実施の形態に係る受口部材の一部を切欠いた縦断側面図である。
【図29】図28の受口部材を軸線方向他側から見た背面図である。
【図30】本発明の第7の実施の形態に係る各鞘管を大きい埋設管内に敷設した状態での縦断面図である。
【図31】図30の各鞘管を小さい埋設管内に敷設した状態での縦断面図である。
【図32】本発明の第8の実施の形態に係る差口部材及び受口部材を接合する前の鞘管の側面図である。
【図33】第8の実施の形態の変形例に係る差口部材及び受口部材を接合する前の鞘管の側面図である。
【図34】第8の実施の形態のその他の変形例に係る差口部材及び受口部材を接合する前の鞘管の側面図である。
【図35】第8の実施の形態のその他の変形例に係る差口部材及び受口部材を接合する前の鞘管の側面図である。
【図36】第8の実施の形態のその他の変形例に係る差口部材及び受口部材を接合する前の鞘管の側面図である。
【図37】第8の実施の形態のその他の変形例に係る差口部材及び受口部材を接合する前の鞘管の側面図である。
【図38】図37の受口部材に回転装置により回転させながらラインを記す状態を示す受口部材の側面図である。
【図39】図37の差口部材に回転装置により回転させながらラインを記す状態を示す差口部材の側面図である。
【図40】第1の実施の形態の変形例に係る図2相当図である。
【図41】第1の実施の形態の変形例に係る図5相当図である。
【図42】第2の実施の形態の変形例に係る図7相当図である。
【図43】第2の実施の形態の変形例に係る図8相当図である。
【図44】第2の実施の形態のその他の変形例に係る図7相当図である。
【図45】第2の実施の形態のその他の変形例に係る図9相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0024】
図1において、11及び12は本発明の第1の実施の形態に係る接続構造を用いて同一軸線上でそれぞれ接続された各鞘管を示し、これらの鞘管11,12は埋設管10内に敷設されている。この各鞘管11,12は、図示しない光ファイバーケーブル等の通信ケーブル等を挿通させて保護するために供される。そして、各鞘管11,12のうち、小径となる外径34mmの小径鞘管11は、硬質塩化ビニル樹脂よりなる。一方、大径となる外径54mmの大径鞘管12も、硬質塩化ビニル樹脂よりなる。そして、小径鞘管11及び大径鞘管12は、呼び径200の埋設管10内にそれぞれ5本ずつ敷設されている。この場合、各小径鞘管11の内径は30mmに、各大径鞘管12の内径は50mmにそれぞれ設定されている。また、埋設管10としては、外径216mmで、内径194mmに設定されている。この場合、小径及び大径鞘管11,12(後述する第1小径鞘管111及び第2小径鞘管112)は、それぞれ硬質塩化ビニル樹脂を押出成形して形成される。
【0025】
そして、図2に示すように、前記埋設管10内の各小径鞘管11及び各大径鞘管12は、それぞれ同一軸線上において端部同士を接合する接合部品2(図2では小径鞘管11同士を接合する接合部品のみを示す)によって継がれている。
ここで、各小径鞘管11の端部同士及び各大径鞘管12の端部同士をそれぞれ同一軸線上において接合する接合構造に用いられる接合部品2は、同一構成となるので、各小径鞘管11の端部同士を同一軸線上において接合するものについて説明する。具体的には、第1鞘管としての第1小径鞘管111の一側端部(図2では左側端部)と第2鞘管としての第2小径鞘管112の他側端部(図2では右側端部)とを同一軸線上において接合するものについて説明する。
【0026】
前記接合部品2は、前記第1小径鞘管111の一側端部に取り付けられた差口部分としての差口部材21と、前記第2小径鞘管112の他側端部に取り付けられた受口部分としての受口部材22とを備えている。この差口部材21及び受口部材22は、それぞれ硬質塩化ビニル樹脂を射出成形して形成される。また、前記差口部材21は、軸線方向一側(図2では左側)となる先端側部位212と、軸線方向他側(図2では右側)となる基端側部位211とからなる。そして、前記差口部材21の基端側部位211には、第1小径鞘管111の一側端部の外周面を挿通させる挿通孔213が設けられている。この挿通孔213に挿通された第1小径鞘管111の一側端部と差口部材21とは、スピンウェルドによる軸線回りの相対回転により融着されて一体的に接合されている。更に、差口部材21の基端側部位211の外周面の軸線方向他側端は、軸線に対して略45°傾斜する面取りが施されている。
【0027】
一方、前記受口部材22は、軸線方向一側(図2では左側)となる基端側部位221と軸線方向他側(図2では右側)となる先端側部位222とからなる。そして、前記受口部材22の基端側部位221には、第2小径鞘管112の他側端部の外周面を挿通させる挿通孔223が設けられている。この挿通孔223に挿通された第2小径鞘管112の他側端部と受口部材22とは、スピンウェルドによる軸線回りの相対回転により融着されて一体的に接合されている。更に、受口部材22の基端側部位221の外周面の軸線方向一側端は、軸線に対して略45°傾斜する面取りが施されている。
【0028】
また、図3及び図4に示すように、前記差口部材21の先端側部位212の外周面には、その先端より軸線方向に所定長さ(例えば8mm程度)の奥行きをもって半径方向外方に突出する第1係合片214が設けられている。この第1係合片214は、前記差口部材21の外周面の周方向全域に亘って連続的に突出している。そして、前記第1係合片214の外周面は、前記差口部材21の軸線方向一側(図2では左側)へ小径となるテーパ状に形成されている。また、前記差口部材21の第1係合片214を除く先端側部位212の外周面は、前記基端側部位211の外周面よりも小径に形成され、前記差口部材21の軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されている。そして、前記第1係合片214の外周面とこの第1係合片214を除く先端側部位212の外周面とは、段差状に形成され、前記第1係合片214の軸線方向他側端(図2では右端)の第1縦面215によって連結されている。また、前記基端側部位211の外周面と前記先端側部位212の外周面とは、段差状に形成され、前記基端側部位211の軸線方向一側端の第2縦面216によって連結されている。
【0029】
一方、図5及び図6に示すように、前記受口部材22の先端側部位222の内周面には、その中央部付近において軸線方向に所定長さ(例えば15mm程度)の奥行きをもって半径方向内方に突出する第2係合片224が設けられている。この第2係合片224は、前記受口部材22の内周面の周方向所定間隔おきの4箇所において周方向に所定長さ(例えば8mm〜10mm程度)の幅をもってそれぞれ突出している。そして、前記第2係合片224は、その内周面が前記受口部材22の軸線方向一側(図5では左側)へ小径となるテーパ状に形成され、その軸線方向一側端(図5では左端)が最も半径方向内方に突出している。
【0030】
ここで、各鞘管11,12に作用する熱伸縮力について説明する。
硬質塩化ビニル樹脂製の各鞘管11,12のヤング率Eが2940MPa、硬質塩化ビニル樹脂の線膨張係数αが7.0E−5、年間を通して各鞘管11,12に作用する想定温度変化量ΔTが30°Cであるとすると、各鞘管11,12に作用する熱伸縮応力σ(MPa)は、下記の式で求められる。
σ=E・α・ΔT
この結果に基づいて、各鞘管11,12にかかる荷重を表1に示す。
【表1】
よって、熱伸縮応力σが6.17MPa作用しているため、表1から、内径が30mmの小径鞘管11では、1241N(126kgf)以上の接合強度が必要であり、内径が50mmの大径鞘管12では、2017N(206kgf)以上の接合強度が必要であることが判る。
【0031】
その場合、鞘管11,12の端部同士の接合力を左右するのは、差口部材21の第1係合片214の軸線方向他側端の第1縦面215と各第2係合片224の軸線方向一側端の縦面220との係合高さ(半径方向での互いの重なり代)である。
かかる点から、第1小径鞘管111と第2小径鞘管112の接合力について行った実験結果を表2に示す。
【表2】
よって表2から、差口部材21の第1係合片214の軸線方向他側端の第1縦面215と各第2係合片224の軸線方向一側端の縦面220との係合高さが0.7mmの場合には、第1係合片214と第2係合片224とは、両者間に作用する引抜き力が1100Nで抜けてしまうことが判る。これに対し、第1係合片214の第1縦面215と第2係合片224の縦面220との係合高さが1.2mmの場合には、第1係合片214と第2係合片224との間に作用する引抜き力によって、第1係合片214に割れなどの裂傷による変形が生じてしまうまで耐え、そのときの引抜き力が3300Nであることから、十分な接合力であることが判る。
そこで、第1係合片214と各第2係合片224との係合を各小径鞘管11(第1及び第2小径鞘管111,112)の熱伸縮による荷重に耐え得るようにする上で、差口部材21の第1係合片214の軸線方向他側端の第1縦面215と各第2係合片224の軸線方向一側端の縦面220との係合高さ(半径方向での互いの重なり代)を1.2mmに設定している。
【0032】
また、前記受口部材22の第2係合片224を除く先端側部位222の内周面は、前記基端側部位221の内周面よりも大径に形成されている。そして、前記第2係合片224を除く先端側部位222の内周面と前記基端側部位221の内周面とは、前記第2係合片224よりも半径方向内方に突出する突片225によって連結されている。この突片225の軸線方向他側端(図5では右端)の縦面225aは、差口部材21の第1係合片214の軸線方向他側端の第1縦面215が各第2係合片224の軸線方向一側端の縦面220に係合した際に受口部材22に対する差口部材21のそれ以上の挿通つまり挿通方向への移動を当接により規制するストッパとしての機能を有している。
【0033】
そして、前記受口部材22には、各第2係合片224の外径方向つまり半径方向外方への弾性変形を許容する切欠部23が設けられている。この各切欠部23は、各第2係合片224の周方向両端を軸線方向に切り欠くスリット状の第1切欠溝231,231と、各第2係合片224の軸線方向一側端を周方向に切り欠くスリット状の第2切欠溝232とを備え、この各第1切欠溝231と第2切欠溝232とによって外面視で略コの字状を呈している。この場合、各第2係合片224は、第1係合片214との係合時に当該第1係合片214が乗り越えられるように切欠部23によって半径方向外方へ弾性変形し、その各第2係合片224の軸線方向一側端の縦面220に前記第1係合片214の軸線方向他側端の第1縦面215を係合させている。
【0034】
したがって、本実施の形態では、第1小径鞘管111の一側端部と第2小径鞘管112の他側端部とを接合するに当たり、第2小径鞘管112の他側端部をスピンウェルドにより融着して接合した受口部材22の先端側部位222の内周面に対し、第1小径鞘管111の一側端部をスピンウェルドにより融着して接合した差口部材21の先端側部位212の外周面を挿通させると、受口部材22の略コの字状の切欠部23、つまり各第2係合片224の周方向両端を軸線方向に切り欠くスリット状の第1切欠溝231,231と、各第2係合片224の軸線方向一側端を周方向に切り欠くスリット状の第2切欠溝232とによって、各第2係合片224の半径方向外方への弾性変形が許容される。このため、差口部材21の第1係合片214の軸線方向他側端の第1縦面215と受口部材22の各第2係合片224の軸線方向一側端の縦面220との係合を各小径鞘管11(第1及び第2小径鞘管111,112)の熱伸縮による荷重に耐え得るように第1及び第2係合片214,224の縦面215,220同士の係合高さ(半径方向での互いの重なり代)を1.2mmに設定していても、受口部材22に対し差口部材21を挿通させた際に各第2係合片224の半径方向外方への弾性変形によって第1係合片214の第1縦面215が各第2係合片224を乗り越えて当該各第2係合片224の縦面220に無理なくスムーズに係合する。
これにより、第1係合片214が各第2係合片224を乗り越える際に、受口部材22の各第2係合片224を大きく拡径させる変形と差口部材21の第1係合片214を小さく縮径させる変形といった第1及び第2係合片214,224の大きな変形が不要となり、差口部材21の第1係合片214及び受口部材22の各第2係合片224の裂傷などによる変形も生じることがなくなって、受口部材22と差口部材21との接合強度を安定して得ることができる。
【0035】
しかも、受口部材22と差口部材21とを接着剤の接着効果により接合する必要がなく、施工作業時に埋設管10内に敷設された多数の小径鞘管11及び大径鞘管12での接着剤の塗布時間及び凝固時間が不要となって施工作業時間を大幅に短縮することができる上、埋設管10の内外への接着剤の漏れによる施工作業時の環境面への悪影響もなくすことができる。
更に、接着剤が不要となることから、施工時の天候や、作業者個々の塗布の仕方や、受口部材22に対する差口部材21の挿通不足などによる受口部材22と差口部材21との接合状態の品質にバラツキが生じることもなくなって、これらの要因による受口部材22からの差口部材21の抜け落ちも防止され、受口部材22と差口部材21との接合状態を良好に保つことができる。
【0036】
また、前記第1係合片214の外周面が軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されている上、各第2係合片224の内周面が軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されているので、受口部材22に対する差口部材21の挿通時に第1係合片214のテーパ状の外周面が各第2係合片224のテーパ状の内周面をスムーズに乗り越え、第1係合片214を各第2係合片224に無理なくスムーズに係合させることができる。
【0037】
また、前記第1係合片214は、差口部材21の先端側部位212の外周面の先端より半径方向外方に突出して設けられているので、第1係合片214の軸線方向の長さが短くなって、各第2係合片224の軸線方向の長さも短くなる。このため、受口部材22に対し差口部材21を挿通させると、各第2係合片224の内外径方向への弾性変形による弾性力が大きく作用し、第1係合片214と各第2係合片224との係合状態を強固なものにすることができる。
【0038】
また、前記差口部材21が第1小径鞘管111の一側端部に、前記受口部材22が第2小径鞘管112の他側端部に、それぞれスピンウェルドにより接合されているので、差口部材21が第1小径鞘管111の一側端部に、受口部材22が第2小径鞘管112の他側端部に、それぞれ接着剤を用いることなく一体的に接合され、埋設管10の内外への接着剤の漏れによる施工作業時の環境面への悪影響を確実になくすことができる。しかも、接着剤を不要にして、施工時の天候や、作業者個々の接着剤の塗布の仕方などによる差口部材21及び受口部材22と各小径鞘管111,112との接合状態の品質にバラツキが生じることもなくなって、これらの要因による差口部材21及び受口部材22と各小径鞘管111,112との接合状態を良好に保つことができる。
【0039】
また、前記受口部材22の内周面に設けた突片225の軸線方向他側端の縦面225aによって、前記第1係合片214の第1縦面215が各第2係合片224の縦面220に係合した際に前記受口部材22に対する前記差口部材21のそれ以上の挿通方向への移動が規制されるので、第1係合片214が各第2係合片224に係合した状態で保持され、第1係合片214と各第2係合片224との係合状態を円滑に保つことができる。
【0040】
更に、差口部材21の基端側部位211の外周面の軸線方向他側端及び受口部材22の基端側部位221の外周面の軸線方向一側端にそれぞれ面取りが施されているので、施工時に各小径鞘管11及び各大径鞘管12が接合部品2の両端部において互いに引っ掛かり難くなり、各小径鞘管11及び各大径鞘管12の施工をスムーズに行うことができる。
【0041】
次に、本発明の第2の実施の形態を図7〜図9に基づいて説明する。
この実施の形態では、接合部品の構成を変更している。なお、接合部品を除くその他の構成は、前記第1の実施の形態と同じであり、同一部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0042】
すなわち、本実施の形態では、図7に示すように、接合部品3は、第1小径鞘管111の一側端部に取り付けられた差口部分としての差口部材31と、第2小径鞘管112の他側端部に取り付けられた受口部分としての受口部材32とを備えている。この差口部材31及び受口部材32は、それぞれ硬質塩化ビニル樹脂を射出成形して形成される。また、前記差口部材31は、軸線方向一側(図7では左側)となる先端側部位312と、軸線方向他側(図7では右側)となる基端側部位311とからなる。そして、前記差口部材31の基端側部位311には、第1小径鞘管111の一側端部の外周面を挿通させる挿通孔313が設けられている。この挿通孔313に挿通された第1小径鞘管111の一側端部と差口部材31とは、スピンウェルドによる軸線回りの相対回転により融着されて一体的に接合されている。
【0043】
一方、前記受口部材32は、軸線方向一側(図7では左側)となる基端側部位321と、軸線方向他側端(図7では右側)となる先端側部位322とからなる。そして、前記受口部材32の基端側部位321には、第2小径鞘管112の他側端部の外周面を挿通させる挿通孔323が設けられている。この挿通孔323に挿通された第2小径鞘管112の他側端部と受口部材32とは、スピンウェルドによる軸線回りの相対回転により融着されて一体的に接合されている。
【0044】
また、図8に示すように、前記差口部材31の先端側部位312の外周面には、その先端より軸線方向に所定長さ(例えば8mm程度)の奥行きをもって半径方向外方に突出する第1係合片314が設けられている。この第1係合片314は、前記差口部材31の外周面の周方向全域に亘るように突出している。そして、前記第1係合片314の外周面は、軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されている。また、前記差口部材31の第1係合片314を除く先端側部位312の外周面は、前記基端側部位311の外周面よりも小径に形成され、軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されている。そして、前記第1係合片314の外周面とこの第1係合片314を除く先端側部位312の外周面とは、段差状に形成され、前記第1係合片314の軸線方向他側端の第1縦面315によって連結されている。また、前記基端側部位311の外周面と前記先端側部位312の外周面とは、段差状に形成され、前記基端側部位311の軸線方向一側端の第2縦面316によって連結されている。
【0045】
一方、図9に示すように、前記受口部材32の先端側部位322の内周面には、その中央部付近において軸線方向に所定長さ(例えば20mm程度)の奥行きをもって半径方向内方に突出する第2係合片324が設けられている。この第2係合片324は、前記受口部材32の内周面の周方向全域に亘って突出している。そして、前記第2係合片324は、その内周面が軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成され、その軸線方向一側端(図9では左端)が最も半径方向内方に突出している。この場合、第1係合片314と第2係合片324との係合を各小径鞘管11(第1及び第2小径鞘管111,112)の熱伸縮による荷重に耐え得るようにする上で、差口部材31の第1係合片314の軸線方向他側端の第1縦面315と各第2係合片324の軸線方向一側端の縦面320との係合高さ(半径方向での互いの重なり代)を1.2mmに設定している。
【0046】
また、前記受口部材32の第2係合片324を除く先端側部位322の内周面は、前記基端側部位321の内周面よりも大径に形成されている。そして、前記第2係合片324を除く先端側部位322の内周面と前記基端側部位321の内周面とは、前記第2係合片324よりも半径方向内方に突出する突片325によって連結されている。この突片325の軸線方向他側端(図9では右端)の斜面325aは、差口部材31の第1係合片314の軸線方向他側端の第1縦面315が第2係合片324の軸線方向一側端の縦面320に係合した際に受口部材32に対する差口部材31のそれ以上の挿通方向への移動を当接により規制するストッパとしての機能を有している。
【0047】
そして、前記差口部材31には、第1係合片314の内径方向つまり半径方向内方への弾性変形を許容する切欠部33が設けられている。この切欠部33は、第1係合片314を周方向所定間隔(90°)おきの4箇所で軸線方向に切り欠くスリット状の切欠溝331を備えている。前記各切欠溝331は、先端側部位312の先端より基端側部位321の近傍まで至り、前記第1係合片314を周方向で4つに分割している。この場合、各第1係合片314は、第2係合片324との係合時に当該第2係合片324を乗り越えられるように切欠部33によって半径方向内方へ弾性変形し、その第1係合片314の軸線方向他側端の第1縦面315を第2係合片324の軸線方向一側端の縦面320に係合させている。
【0048】
したがって、本実施の形態では、第1小径鞘管111の一側端部と第2小径鞘管112の他側端部とを接合するに当たり、第2小径鞘管112の他側端部をスピンウェルドにより融着して接合した受口部材32の先端側部位322の内周面に対し、第1小径鞘管111の一側端部をスピンウェルドにより融着して接合した差口部材31の先端側部位312の外周面を挿通させると、差口部材31の切欠部33、つまり第1係合片314を周方向所定間隔おきの4箇所で軸線方向に切り欠くスリット状の切欠溝331によって、各第1係合片314の半径方向内方への弾性変形が許容される。このため、差口部材31の各第1係合片314と受口部材32の第2係合片324との係合を各小径鞘管11(第1及び第2小径鞘管111,112)の熱伸縮による荷重に耐え得るように第1及び第2係合片314,324の縦面315,320同士の係合高さ(半径方向での互いの重なり代)を1.2mmに設定していても、受口部材32に対し差口部材31を挿通させた際に各第1係合片314の半径方向内方への弾性変形によって各第1係合片314の軸線方向他側端の第1縦面315が第2係合片324を乗り越えて当該第2係合片324の軸線方向一側端の縦面320に無理なくスムーズに係合する。
これにより、各第1係合片314が第2係合片324を乗り越える際に、受口部材32の第2係合片324を大きく拡径させる変形と差口部材31の各第1係合片314を小さく縮径させる変形といった第1及び第2係合片314,324の大きな変形が不要となり、差口部材31の各第1係合片314及び受口部材32の第2係合片324の裂傷などによる変形も生じることがなくなって、受口部材32と差口部材31との接合強度を安定して得ることができる。
【0049】
また、前記各第1係合片314の外周面が軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されている上、第2係合片324の内周面が軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されているので、受口部材32に対する差口部材31の挿通時に各第1係合片314のテーパ状の外周面が第2係合片324のテーパ状の内周面をスムーズに乗り越え、各第1係合片314を第2係合片324に無理なくスムーズに係合させることができる。
【0050】
次に、本発明の第3の実施の形態を図10〜図13に基づいて説明する。
この実施の形態では、接合部品の構成を変更している。なお、接合部品を除くその他の構成は、前記第1の実施の形態と同じであり、同一部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0051】
すなわち、本実施の形態では、図10に示すように、接合部品4は、第1小径鞘管111の一側端部に取り付けられた差口部分としての差口部材41と、第2小径鞘管112の他側端部に取り付けられた受口部分としての受口部材42とを備えている。この差口部材41及び受口部材42は、それぞれ硬質塩化ビニル樹脂を射出成形して形成される。また、前記差口部材41は、軸線方向一側(図10では左側)となる先端側部位412と、軸線方向他側(図10では右側)となる基端側部位411とからなる。そして、前記差口部材41の基端側部位411には、第1小径鞘管111の一側端部の外周面を挿通させる挿通孔413が設けられている。この挿通孔413に挿通された第1小径鞘管111の一側端部と差口部材41とは、スピンウェルドによる軸線回りの相対回転により融着されて一体的に接合されている。
【0052】
一方、前記受口部材42は、軸線方向一側(図10では左側)となる基端側部位421と、軸線方向他側(図10では右側)となる先端側部位422とからなる。そして、前記受口部材42の基端側部位421には、第2小径鞘管112の他側端部の外周面を挿通させる挿通孔423が設けられている。この挿通孔423に挿通された第2小径鞘管112の他側端部と受口部材42とは、スピンウェルドによる軸線回りの相対回転により融着されて一体的に接合されている。
【0053】
また、図11に示すように、前記差口部材41の先端側部位412の外周面には、その先端より軸線方向に所定長さ(例えば15mm程度)の奥行きをもって半径方向外方に突出する第1係合片414が設けられている。この第1係合片414は、前記差口部材41の外周面の周方向全域に亘って連続的に突出している。そして、前記第1係合片414の外周面は、軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されている。また、前記差口部材41の第1係合片414を除く先端側部位412の外周面は、前記基端側部位411の外周面よりも小径に形成され、軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されている。そして、前記第1係合片414の外周面とこの第1係合片414を除く先端側部位412の外周面とは、段差状に形成され、前記第1係合片414の軸線方向他側端の第1縦面415によって連結されている。また、前記基端側部位411の外周面と前記先端側部位412の外周面とは、段差状に形成され、前記基端側部位411の軸線方向一側端の第2縦面416によって連結されている。
【0054】
一方、図12及び図13に示すように、前記受口部材42の先端側部位422の内周面には、その中央部付近において軸線方向に所定長さ(例えば6mm〜7mm程度)の奥行きをもって半径方向内方に突出する第2係合片424が設けられている。この第2係合片424は、前記受口部材42の内周面の周方向所定間隔おきの4箇所において周方向に所定長さ(例えば8mm〜10mm程度)の幅をもってそれぞれ突出している。そして、前記第2係合片424は、その内周面の先端部(図12では右端部)が軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成され、その内周面の基端部となる軸線方向一側端部(図12では左端部)が最も半径方向内方に突出している。この場合、第1係合片414と各第2係合片424との係合を各小径鞘管11(第1及び第2小径鞘管111,112)の熱伸縮による荷重に耐え得るようにする上で、差口部材41の第1係合片414の軸線方向他側端の第1縦面415と各第2係合片424の軸線方向一側端の縦面420との係合高さ(半径方向での互いの重なり代)を1.2mmに設定している。
【0055】
また、前記受口部材42の第2係合片424を除く先端側部位422の内周面は、前記基端側部位421の内周面よりも大径に形成されている。そして、前記各第2係合片424よりも第2小径鞘管112側の先端側部位422の内周面と前記基端側部位421の内周面とは、前記各第2係合片424よりも半径方向内方に突出する突片425によって連結されている。この突片425の軸線方向他側端(図12では右端)の縦面425aは、差口部材41の第1係合片414の軸線方向他側端の第1縦面415が各第2係合片424の軸線方向一側端の縦面420に係合した際に受口部材42に対する差口部材41のそれ以上の挿通方向への移動を当接により規制するストッパとしての機能を有している。
【0056】
そして、前記受口部材42には、各第2係合片424の半径方向外方への弾性変形を許容する切欠部43が設けられている。この各切欠部43は、各第2係合片424の周方向両端を軸線方向に切り欠くスリット状の第1切欠溝431,431と、各第2係合片424の軸線方向他側端(図12では右端)を周方向に切り欠くスリット状の第2切欠溝432とを備え、この各第1切欠溝431と第2切欠溝432とによって外面視で略コの字状を呈している。前記各第1切欠溝431は、前記第2係合片424の先端より基端側部位421の近傍まで至り、前記各第2係合片424の半径方向外方への弾性変形を円滑に行えるようにしている。この場合、各第2係合片424は、第1係合片414との係合時に当該第1係合片414が乗り越えられるように切欠部43によって半径方向外方へ弾性変形し、その各第2係合片424の軸線方向一側端の縦面420に前記第1係合片414の軸線方向他側端の第1縦面415を係合させている。
【0057】
したがって、本実施の形態では、第1小径鞘管111の一側端部と第2小径鞘管112の他側端部とを接合するに当たり、第2小径鞘管112の他側端部をスピンウェルドにより融着して接合した受口部材42の先端側部位422の内周面に対し、第1小径鞘管111の一側端部をスピンウェルドにより融着して接合した差口部材41の先端側部位412の外周面を挿通させると、受口部材42の略コの字状の切欠部43、つまり各第2係合片424の周方向両端を軸線方向に切り欠くスリット状の第1切欠溝431,431と、各第2係合片424の軸線方向他側端を周方向に切り欠くスリット状の第2切欠溝432とによって、各第2係合片424の半径方向外方への弾性変形が許容される。このため、差口部材41の第1係合片414と受口部材42の各第2係合片424との係合を各小径鞘管11(第1及び第2小径鞘管111,112)の熱伸縮による荷重に耐え得るように第1及び第2係合片414,424の縦面415,420同士の係合高さ(半径方向での互いの重なり代)を1.2mmに設定していても、受口部材42に対し差口部材41を挿通させた際に各第2係合片424の半径方向外方への弾性変形によって第1係合片414の軸線方向他側端の第1縦面415が各第2係合片424を乗り越えて当該各第2係合片424の軸線方向一側端の縦面420に無理なくスムーズに係合する。
これにより、第1係合片414が各第2係合片424を乗り越える際に、受口部材42の各第2係合片424を大きく拡径させる変形と差口部材41の第1係合片414を小さく縮径させる変形といった第1及び第2係合片414,424の大きな変形が不要となり、差口部材41の第1係合片414及び受口部材42の各第2係合片424の裂傷などによる変形も生じることがなくなって、受口部材42と差口部材41との接合強度を安定して得ることができる。
【0058】
また、前記第1係合片414の外周面の先端部が軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されている上、各第2係合片424の内周面が軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されているので、受口部材42に対する差口部材41の挿通時に第1係合片414のテーパ状の外周面が各第2係合片424のテーパ状の内周面をスムーズに乗り越え、第1係合片414を各第2係合片424に無理なくスムーズに係合させることができる。
【0059】
次に、本発明の第4の実施の形態を図14〜図17に基づいて説明する。
この実施の形態では、接合部品の構成を変更している。なお、接合部品を除くその他の構成は、前記第1の実施の形態と同じであり、同一部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0060】
すなわち、本実施の形態では、図14に示すように、接合部品5は、第1小径鞘管111の一側端部に取り付けられた差口部分としての差口部材51と、第2小径鞘管112の他側端部に取り付けられた受口部分としての受口部材52とを備えている。この差口部材51及び受口部材52は、それぞれ硬質塩化ビニル樹脂を射出成形して形成される。また、前記差口部材51は、軸線方向一側(図14では左側)となる先端側部位512と、軸線方向他側(図14では右側)となる基端側部位511とからなる。そして、前記差口部材51の基端側部位511には、第1小径鞘管111の一側端部の外周面を挿通させる挿通孔513が設けられている。この挿通孔513に挿通された第1小径鞘管111の一側端部と差口部材51とは、スピンウェルドによる軸線回りの相対回転により融着されて一体的に接合されている。
【0061】
一方、前記受口部材52は、軸線方向一側となる基端側部位521と、軸線方向他側となる先端側部位522とからなる。そして、前記受口部材52の基端側部位521には、第2小径鞘管112の他側端部の外周面を挿通させる挿通孔523が設けられている。この挿通孔523に挿通された第2小径鞘管112の他側端部と受口部材52とは、スピンウェルドによる軸線回りの相対回転により融着されて一体的に接合されている。
【0062】
また、図15及び図16に示すように、前記差口部材51の先端側部位512の外周面には、その中央部付近において軸線方向に所定長さ(例えば6mm〜8mm程度)の奥行きをもって半径方向外方に突出する第1係合片514が設けられている。この第1係合片514は、前記差口部材51の内周面の周方向所定間隔おきの4箇所において周方向に所定長さ(例えば8mm〜10mm程度)の幅をもってそれぞれ半径方向外方に突出している。そして、前記各第1係合片514は、その外周面の先端側(図15では左側)が軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成され、その外周面の基端部となる軸線方向他側端部(図15では右端部)が最も半径方向外方に突出している。また、前記差口部材51の第1係合片514を除く先端側部位512の外周面は、前記基端側部位511の外周面よりも小径に形成されている。そして、前記第1係合片514の外周面とこの第1係合片514を除く先端側部位512の外周面とは、段差状に形成され、前記第1係合片514の軸線方向他側端の第1縦面515によって連結されている。また、前記基端側部位511の外周面と前記先端側部位512の外周面とは、段差状に形成され、前記基端側部位511の軸線方向一側端の第2縦面516によって連結されている。
【0063】
一方、図17に示すように、前記受口部材52の先端側部位522の内周面には、その先端部において軸線方向に所定長さ(例えば15mm程度)の奥行きをもって半径方向内方に突出する第2係合片524が設けられている。この第2係合片524は、前記受口部材52の内周面の周方向全域に亘って突出している。この場合、各第1係合片514と第2係合片524との係合を各小径鞘管11(第1及び第2小径鞘管111,112)の熱伸縮による荷重に耐え得るようにする上で、差口部材51の各第1係合片514の軸線方向他側端の第1縦面515と第2係合片524の軸線方向一側端の縦面520との係合高さ(半径方向での互いの重なり代)を1.2mmに設定している。
【0064】
また、前記受口部材52の第2係合片524を除く先端側部位522の内周面は、前記基端側部位521の内周面よりも大径に形成されている。そして、前記第2係合片524を除く先端側部位522の内周面と前記基端側部位521の内周面とは、前記第2係合片524よりも半径方向内方に突出する突片525によって連結されている。この突片525の軸線方向他側端(図17では右端)の縦面525aは、差口部材51の各第1係合片514の軸線方向他側端の第1縦面515が第2係合片524の軸線方向一側端の縦面520に係合した際に受口部材52に対する差口部材51のそれ以上の挿通方向への移動を当接により規制するストッパとしての機能を有している。
【0065】
そして、図15及び図16に示すように、前記差口部材51には、各第1係合片514の半径方向内方への弾性変形を許容する切欠部53が設けられている。この切欠部53は、各第1係合片514の周方向両端を軸線方向に切り欠くスリット状の第1切欠溝531,531と、各第1係合片514の軸線方向一側端を周方向に切り欠くスリット状の第2切欠溝532とを備え、この各第1切欠溝531と第2切欠溝532とによって外面視で略コの字状を呈している。また、各第1切欠溝531は、各第1係合片514の半径方向内方への弾性変形が許容されるように第2切欠溝532の両端より基端側部位511の近傍まで切り欠かれている。この場合、各第1係合片514は、第2係合片524との係合時に当該第2係合片524を乗り越えられるように切欠部53によって半径方向内方へ弾性変形し、その各第1係合片514の軸線方向他側端の第1縦面515を前記第2係合片524の軸線方向一側端の縦面520に係合させている。
【0066】
したがって、本実施の形態では、第1小径鞘管111の一側端部と第2小径鞘管112の他側端部とを接合するに当たり、第2小径鞘管112の他側端部をスピンウェルドにより融着して接合した受口部材52の先端側部位522の内周面に対し、第1小径鞘管111の一側端部をスピンウェルドにより融着して接合した差口部材51の先端側部位512の外周面を挿通させると、差口部材51の切欠部53、つまり各第1係合片514の周方向両端を軸線方向に切り欠くスリット状の第1切欠溝531,531と、各第1係合片514の軸線方向一側端を周方向に切り欠くスリット状の第2切欠溝532とによって、各第1係合片514の半径方向内方への弾性変形が許容される。このため、差口部材51の各第1係合片514と受口部材52の第2係合片524との係合を各小径鞘管11の熱伸縮による荷重に耐え得るように第1及び第2係合片514,524の縦面515,520同士の係合高さ(半径方向での互いの重なり代)を1.2mmに設定していても、受口部材52に対し差口部材51を挿通させた際に各第1係合片514の半径方向内方への弾性変形によって各第1係合片514の軸線方向他側端の第1縦面515が第2係合片524を乗り越えて当該第2係合片524の軸線方向一側端の縦面520に無理なくスムーズに係合する。
これにより、各第1係合片514が第2係合片524を乗り越える際に、受口部材52の第2係合片524を大きく拡径させる変形と差口部材51の各第1係合片514を小さく縮径させる変形といった第1及び第2係合片514,524の大きな変形が不要となり、差口部材51の各第1係合片514及び受口部材52の第2係合片524の裂傷などによる変形も生じることがなくなって、受口部材52と差口部材51との接合強度を安定して得ることができる。
【0067】
また、前記各第1係合片514の外周面が軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されている上、第2係合片524の内周面が軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されているので、受口部材52に対する差口部材51の挿通時に各第1係合片514のテーパ状の外周面が第2係合片524のテーパ状の内周面をスムーズに乗り越え、各第1係合片514を第2係合片524に無理なくスムーズに係合させることができる。
【0068】
次に、本発明の第5の実施の形態を図18〜図21に基づいて説明する。
この実施の形態では、接合部品の構成を変更している。なお、接合部品を除くその他の構成は、前記第1の実施の形態と同じであり、同一部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0069】
すなわち、本実施の形態では、図18に示すように、接合部品6は、第1小径鞘管111の一側端部に取り付けられた差口部分としての差口部材61と、第2小径鞘管112の他側端部に取り付けられた受口部分としての受口部材62とを備えている。この差口部材61及び受口部材62は、それぞれ硬質塩化ビニル樹脂を射出成形して形成される。また、前記差口部材61は、軸線方向一側(図18では左側)となる先端側部位612と、軸線方向他側(図18では右側)となる基端側部位611とからなる。そして、前記差口部材61の基端側部位611には、第1小径鞘管111の一側端部の外周面を挿通させる挿通孔613が設けられている。この挿通孔613に挿通された第1小径鞘管111の一側端部と差口部材61とは、スピンウェルドによる軸線回りの相対回転により融着されて一体的に接合されている。
【0070】
一方、前記受口部材62は、軸線方向一側(図18では左側)となる基端側部位621と、軸線方向他側(図18では右側)となる先端側部位622とからなる。そして、前記受口部材62の基端側部位621には、第2小径鞘管112の他側端部の外周面を挿通させる挿通孔623が設けられている。この挿通孔623に挿通された第2小径鞘管112の他側端部と受口部材62とは、スピンウェルドによる軸線回りの相対回転により融着されて一体的に接合されている。
【0071】
また、図19及び図20に示すように、前記差口部材61の先端側部位612の外周面には、その中央部付近において軸線方向に所定長さ(例えば15mm程度)の奥行きをもって半径方向外方に突出する第1係合片614が設けられている。この第1係合片614は、前記差口部材61の外周面の周方向所定間隔おきの4箇所において周方向に所定長さ(例えば8mm〜10mm程度)の幅をもってそれぞれ半径方向外方に突出している。そして、前記各第1係合片614は、その外周面が軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成され、その軸線方向他側端(図19では右端)が最も半径方向外方に突出している。また、前記差口部材61の各第1係合片614を除く先端側部位612の外周面は、前記基端側部位611の外周面よりも小径に形成されている。そして、前記各第1係合片614の外周面とこの各第1係合片614を除く先端側部位612の外周面とは、段差状に形成され、前記各第1係合片614の軸線方向他側端の第1縦面615によって連結されている。また、前記基端側部位611の外周面と前記先端側部位612の外周面とは、段差状に形成され、前記基端側部位611の軸線方向一側端の第2縦面616によって連結されている。
【0072】
一方、図21に示すように、前記受口部材62の先端側部位622の内周面には、その先端より軸線方向に所定長さ(例えば6mm〜7mm程度)の奥行きをもって半径方向内方に突出する第2係合片624が設けられている。この第2係合片624は、前記受口部材62の内周面の周方向全域に亘って半径方向内方に突出している。この場合、各第1係合片614と第2係合片624との係合を各小径鞘管11(第1及び第2小径鞘管111,112)の熱伸縮による荷重に耐え得るようにする上で、差口部材61の各第1係合片614の軸線方向他側端の第1縦面615と第2係合片624の軸線方向一側端の縦面620との係合高さ(半径方向での互いの重なり代)を1.2mmに設定している。
【0073】
また、前記受口部材62の第2係合片624を除く先端側部位622の内周面は、前記基端側部位621の内周面よりも大径に形成されている。そして、前記第2係合片624を除く先端側部位622の内周面と前記基端側部位621の内周面とは、前記第2係合片624よりも半径方向内方に突出する突片625によって連結されている。この突片625の軸線方向他側端(図21では右端)の縦面625aは、差口部材61の各第1係合片614の軸線方向他側端の第1縦面615が第2係合片624の軸線方向一側端の縦面620に係合した際に受口部材62に対する差口部材61のそれ以上の挿通方向への移動を当接により規制するストッパとしての機能を有している。
【0074】
そして、図19及び図20に示すように、前記差口部材61には、各第1係合片614の半径方向内方への弾性変形を許容する切欠部63が設けられている。この切欠部63は、各第1係合片614の周方向両端を軸線方向に切り欠くスリット状の第1切欠溝631,631と、各第1係合片614の軸線方向他側端(図19では右端)を周方向に切り欠くスリット状の第2切欠溝632とを備え、この各第1切欠溝631と第2切欠溝632とによって外面視で略コの字状を呈している。また、各第1切欠溝631は、各第1係合片614の半径方向内方への弾性変形が許容されるように第2切欠溝632の両端より先端側部位612の先端付近まで切り欠かれている。この場合、各第1係合片614は、第2係合片624との係合時に当該第2係合片624を乗り越えるように切欠部63によって半径方向内方へ弾性変形し、その各第1係合片614の軸線方向他側端の第1縦面615を前記第2係合片624の軸線方向一側端の縦面620に係合させている。
【0075】
したがって、本実施の形態では、第1小径鞘管111の一側端部と第2小径鞘管112の他側端部とを接合するに当たり、第2小径鞘管112の他側端部をスピンウェルドにより融着して接合した受口部材62の先端側部位622の内周面に対し、第1小径鞘管111の一側端部をスピンウェルドにより融着して接合した差口部材61の先端側部位612の外周面を挿通させると、受口部材62の略コの字状の切欠部63、つまり各第2係合片624の周方向両端を軸線方向に切り欠くスリット状の第1切欠溝631,631と、各第1係合片614の軸線方向他側端を周方向に切り欠くスリット状の第2切欠溝632とによって、各第1係合片614の半径方向内方への弾性変形が許容される。このため、差口部材61の各第1係合片614と受口部材62の第2係合片624との係合を各小径鞘管11(第1及び第2小径鞘管111,112)の熱伸縮による荷重に耐え得るように第1及び第2係合片614,624の縦面615,620同士の係合高さ(半径方向での互いの重なり代)を1.2mmに設定していても、受口部材62に対し差口部材61を挿通させた際に第1係合片614の半径方向内方への弾性変形によって各第1係合片614の軸線方向他側端の第1縦面615が第2係合片624を乗り越えて当該各第2係合片624の軸線方向一側端の縦面620に無理なくスムーズに係合する。
これにより、各第1係合片614が第2係合片624を乗り越える際に、受口部材62の各第2係合片624を大きく拡径させる変形と差口部材61の第1係合片614を小さく縮径させる変形といった第1及び第2係合片614,624の大きな変形が不要となり、差口部材61の各第1係合片614及び受口部材62の第2係合片624の裂傷などによる変形も生じることがなくなって、受口部材62と差口部材61との接合強度を安定して得ることができる。
【0076】
また、前記各第1係合片614の外周面が軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されているので、受口部材62に対する差口部材61の挿通時に各第1係合片614のテーパ状の外周面が第2係合片624の内周面をスムーズに乗り越え、各第1係合片614を第2係合片624に無理なく円滑に係合させることができる。
【0077】
次に、本発明の第6の実施の形態を図22〜図26に基づいて説明する。
この実施の形態では、接合部品の構成を変更している。なお、接合部品を除くその他の構成は、前記第1の実施の形態と同じであり、同一部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0078】
すなわち、本実施の形態では、図22に示すように、接合部品8は、第1小径鞘管111の一側端部に取り付けられた差口部分としての差口部材81と、第2小径鞘管112の他側端部に取り付けられた受口部分としての受口部材82とを備えている。この差口部材81及び受口部材82は、それぞれ硬質塩化ビニル樹脂を射出成形して形成される。
【0079】
前記差口部材81は、図23にも示すように、軸線方向一側(図23では左側)となる先端側部位812と、軸線方向他側(図23では右側)となる基端側部位811とからなる。そして、差口部材81の基端側部位811には、第1小径鞘管111の一側端部の外周面を挿通させる挿通孔813が設けられている。この挿通孔813に挿通された第1小径鞘管111の一側端部と差口部材81とは、スピンウェルドによる軸線回りの相対回転により融着されて一体的に接合されている。
【0080】
一方、図24に示すように、前記受口部材82は、軸線方向一側(図24では左側)となる基端側部位821と軸線方向他側(図24では右側)となる先端側部位822とからなる。そして、受口部材82の基端側部位821には、第2小径鞘管112の他側端部の外周面を挿通させる挿通孔823が設けられている。この挿通孔823に挿通された第2小径鞘管112の他側端部と受口部材82とは、スピンウェルドによる軸線回りの相対回転により融着されて一体的に接合されている。
【0081】
また、前記差口部材81の先端側部位812の外周面には、その先端より軸線方向に所定長さ(例えば8mm程度)の奥行きをもって半径方向外方に突出する第1係合片814が設けられている。この第1係合片814は、前記差口部材81の外周面の周方向全域に亘って連続的に突出している。そして、前記第1係合片814の外周面は、前記差口部材81の軸線方向一側(図23では左側)へ小径となるテーパ状に形成されている。また、差口部材81の第1係合片814を除く先端側部位812の外周面は、基端側部位811の外周面よりも小径に形成され、差口部材81の軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されている。そして、第1係合片814の外周面とこの第1係合片814を除く先端側部位812の外周面とは、段差状に形成され、前記第1係合片814の軸線方向他側端(図23では右端)の第1縦面815によって連結されている。また、前記基端側部位811の外周面と先端側部位812の外周面とは、段差状に形成され、基端側部位811の軸線方向一側端の第2縦面816によって連結されている。
【0082】
一方、前記受口部材82の先端側部位822の内周面には、その中央部付近において軸線方向に所定長さ(例えば15mm程度)の奥行きをもって半径方向内方に突出する第2係合片824が設けられている。この第2係合片824は、前記受口部材82の内周面の周方向所定間隔おきの4箇所において周方向に所定長さ(例えば8mm〜10mm程度)の幅をもってそれぞれ突出している。そして、第2係合片824は、その内周面が受口部材82の軸線方向一側(図24では左側)へ小径となるテーパ状に形成され、その軸線方向一側端(図24では左端)が最も半径方向内方に突出している。この場合、差口部材81の第1係合片814の軸線方向他側端の第1縦面815と各第2係合片824の軸線方向一側端の縦面820との係合高さ(半径方向での互いの重なり代)を1.2mmに設定している。
【0083】
また、前記受口部材82の第2係合片824を除く先端側部位822の内周面は、前記基端側部位821の内周面よりも大径に形成されている。そして、前記第2係合片824を除く先端側部位822の内周面と前記基端側部位821の内周面とは、前記第2係合片824よりも半径方向内方に突出する突片825によって連結されている。この突片825の軸線方向他側端(図24では右端)の縦面825aは、差口部材821の第1係合片814の軸線方向他側端の第1縦面815が各第2係合片824の軸線方向一側端の縦面820に係合した際に受口部材82に対する差口部材81のそれ以上の挿通つまり挿通方向への移動を当接により規制するストッパとしての機能を有している。
【0084】
そして、図25にも示すように、前記差口部材81の先端側部位812の外周面の軸線方向他側の端部には、この軸線方向他側の端部の外径を半径方向外方に均一に拡径させた環状の拡径部83が一体的に設けられている。この拡径部83は、差口部材81の先端側部位812を受口部材82の先端側部位822に挿通させて接合した際に、その受口部材82の先端側部位822の内周面の軸線方向他側の端部を差口部材81の先端側部位812の外周面の軸線方向他側の端部に対し半径方向へ隙間なく嵌入させるようにしている。また、拡径部83の軸線方向一側には、当該拡径部83を差口部材81の外周面における軸線方向一側に向かうに従い縮径させるテーパ面831が一体的に設けられている。
【0085】
更に、図26に示すように、前記各第2係合片824の軸線方向一側の端部、つまり各第2係合片824の先端(軸線方向一側の端部)と突片825の軸線方向他側端の縦面825aとの間には、各第2係合片824の先端(端面)に沿って受口部分82の半径方向外方に貫通する貫通孔827が設けられている。この各貫通孔827は、硬質塩化ビニル樹脂を射出成形して前記受口部材82を形成する金型(図示せず)の4つのスライドコアK(図26では3つのみ示す)を半径方向外方にスライドさせるために供される。この場合、スライドコアKは、その内周端が各第2係合片824先端の内周端と当該各第2係合片824先端の外周端よりも外方位置との間でスライド移動する。
【0086】
したがって、本実施の形態では、差口部材81の先端側部位812を受口部材82の先端側部位822に挿通させて接合した際に、受口部材82の先端側部位822の内周面の軸線方向他側の端部が先端側部位812の外周面における軸線方向他側の端部に対し半径方向へ隙間なく嵌入される。このため、差口部材81の先端側部位812の外周面における軸線方向他側の端部と受口部材82の先端側部位822の内周面の軸線方向他側の端部との間にガタつきが発生することがない。これにより、曲がりのあるコーナー部で使用しても差口部材81と受口部材82との間で曲げによる段差が生じることがなく、内部に収容した通信ケーブルなどへの段差による損傷を防止することができる。
【0087】
また、拡径部83の軸線方向一側に、当該拡径部83を差口部材81の先端側部位の外周面において軸線方向一側に向かうに従い縮径させるテーパ面831が設けられている。このため、差口部材81を受口部材82に挿通させて接合する際に受口部材82の先端側部位822の内周面の軸線方向他側の端部が差口部材81の先端側部位812の外周面の拡径部83(軸線方向他側の端部)にテーパ面831に沿って円滑に案内される。これにより、差口部材81を受口部材82に挿通させて接合する際の作業をスムーズに行うことができる。
【0088】
更に、各第2係合片854の先端と突片855の軸線方向他側端の縦面855aとの間に、各第2係合片824の先端に沿って受口部分82の半径方向外方に貫通する貫通孔827が設けられているので、各第2係合片824を形成するに当たり、各貫通孔827を介して金型のスライドコアKを半径方向外方にスライドさせればよい。これにより、受口部材82の内周面を成形する型の構造を非常に簡単なものにすることができる。
【0089】
なお、本実施の形態では、差口部材81の先端側部位812の外周面の軸線方向他側の端部にその外径を半径方向外方に均一に拡径させた環状の拡径部83を設けたが、図27に示すように、差口部材81の先端側部位812の外周面の軸線方向他側の端部の周方向所定間隔置き(例えば120°置き)の3箇所においてそれぞれ軸線方向他側の端部の外径を半径方向外方に均一に拡径させた周方向に断続的に延びる拡径部84が設けられていてもよい。この場合、拡径部84は3箇所に限らず、周方向所定間隔置きの4箇所以上に設けられていてもよい。また、個々の拡径部の軸線方向一側に、当該各拡径部を差口部材の先端側部位の外周面において軸線方向一側に向かうに従い縮径させるテーパ面がそれぞれ設けられていてもよいのはいうまでもない。
【0090】
次に、本発明の第7の実施の形態を図28〜図31に基づいて説明する。
この実施の形態では、受口部材の構成を変更している。なお、受口部材を除くその他の構成は、前記第1の実施の形態と同じであり、同一部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0091】
すなわち、本実施の形態では、図28に示すように、受口部材85(受口部分)は、第2小径鞘管112の他側端部に取り付けられ、硬質塩化ビニル樹脂を射出成形して形成される。前記受口部材85は、軸線方向一側(図28では左側)となる基端側部位851と、軸線方向他側(図28では右側)となる先端側部位852とからなる。そして、前記受口部材85の基端側部位851には、第2小径鞘管112の他側端部の外周面を挿通させる挿通孔853が設けられている。この挿通孔853に挿通された第2小径鞘管112の他側端部と受口部材85とは、スピンウェルドによる軸線回りの相対回転により融着されて一体的に接合されている。
【0092】
また、前記受口部材85の先端側部位852の内周面には、その先端より軸線方向に所定長さ(例えば6mm〜7mm程度)の奥行きをもって半径方向内方に突出する第2係合片854が設けられている。この第2係合片854は、前記受口部材85の内周面の周方向所定間隔(略90°)置きの4箇所より半径方向内方に突出している。この場合、差口部材21の各第1係合片214と第2係合片854との係合を各小径鞘管11(第1及び第2小径鞘管111,112)の熱伸縮による荷重に耐え得るようにする上で、差口部材21の各第1係合片214の軸線方向他側端の第1縦面215と第2係合片854の軸線方向一側端の縦面850との係合高さ(半径方向での互いの重なり代)を1.2mmに設定している。
【0093】
前記受口部材85の第2係合片854を除く先端側部位852の内周面は、前記基端側部位851の内周面よりも大径に形成されている。そして、前記第2係合片854を除く先端側部位852の内周面と基端側部位851の内周面とは、第2係合片854よりも半径方向内方に突出する突片855によって連結されている。この突片855の軸線方向他側端(図28では右端)の縦面855aは、差口部材21の各第1係合片214の軸線方向他側端の第1縦面215が第2係合片854の軸線方向一側端の縦面854aに係合した際に受口部材85に対する差口部材21のそれ以上の挿通方向への移動を当接により規制するストッパとしての機能を有している。
【0094】
そして、図29にも示すように、前記各第2係合片854の外周面には、その周方向中央位置において先端(図28では左端)より受口部材85の軸線方向に延びる一条のリブ856が一体的に設けられている。このリブ856は、受口部材85の半径方向の高さが2mm以下で、かつ周方向の幅が3mm以下程度に設定されている。これは、埋設管10内での収容性及び差口部材21の挿入性を考慮して設定される。また、前記リブ856の軸線方向の長さは、第2係合片854の先端から基端(図28では右端)までの長さ以上に設定されている。そして、リブ856は、スピンウェルドによる第2小径鞘管112の他側端部との接合時に回転装置(図示せず)で固定し易いものとなり、回転装置との間での受口部材85の周方向への滑りが防止できる。なお、図30及び図31に示すように、小径鞘管11及び大径鞘管12は、リブ856による制約を可及的に抑えた状態で、大小大きさの異なる埋設管10,10´内にそれぞれ敷設されている。
【0095】
したがって、本実施の形態では、各第2係合片854の外周面に、その先端より受口部材85の軸線方向に延びるリブ856が一体的に設けられているので、各第2係合片854の剛性がリブ856によって向上し、受口部材85の座屈に対する強度を高めることができる。しかも、受口部材85を第2鞘管112の軸線方向他側の端部にスピンウェルドにより接合する際に回転装置に対する受口部材85の固定がリブ856を利用して円滑に行え、回転装置による受口部材85の固定を簡単に行うことができる。
【0096】
なお、本実施の形態では、各第2係合片854の外周面に、その周方向中央位置において先端より受口部材85の軸線方向に延びる一条のリブ856を設けたが、各第2係合片の外周面に、その先端より受口部材の軸線方向に延びる複数条のリブが設けられていてもよい。この場合には、各第2係合片854の剛性が複数条のリブによってさらに向上し、受口部材85の座屈に対する強度をより高めることが可能となる。
【0097】
また、本実施の形態では、外周面のリブ856によって4つの第2係合片854の剛性をそれぞれ向上させたが、各第2係合片の長さ及び周方向の長さ(幅)を最適に設定して当該第2係合片の剛性をそれぞれ向上させるようにしてもよい。
具体的には、先端側部位の周方向の長さから4つの第2係合片の周方向の長さとこの第2係合片の周方向両端の第1切欠溝231とを除いた部分の周方向の長さが、引張強度に寄与するため、各小径鞘管では30.7°以上の範囲で必要となり、各大径鞘管では26.7°以上の範囲で必要となる。このことから、安全性を配慮して、各小径鞘管では37°の範囲の周方向の長さが、各大径鞘管では42°の範囲の周方向の長さがそれぞれ確保されるように、各大径鞘管及び各小径鞘管の第2係合片の周方向の長さを39°の範囲に設定すればよい。また、各第2係合片の軸線方向の長さは、各第2係合片の周方向の長さの半分から各第2係合片の周方向の長さ以下に設定すればよい。
このように、各第2係合片の周方向の長さ及び軸線方向の長さを設定することで、引張荷重に抗しつつ受口部材85の座屈に対する強度を高めることが可能となる。
【0098】
次に、本発明の第8の実施の形態を図32に基づいて説明する。
この実施の形態では、差口部材及び受口部材を透明な硬質塩化ビニル樹脂により成形している。なお、差口部材及び受口部材を透明な硬質塩化ビニル樹脂により成形する以外の構成は、前記第1の実施の形態と同じであり、同一部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0099】
すなわち、本実施の形態では、図32に示すように、接合部品9は、透視可能な透明の硬質塩化ビニル樹脂よりなる差口部分としての差口部材91と、透視可能な透明の硬質塩化ビニル樹脂よりなる受口部分としての受口部材92とを備えている。前記差口部材91は、軸線方向一側(図32では左側)の先端側部位912と、軸線方向他側(図32では右側)の基端側部位911とからなる。一方、前記受口部材92は、軸線方向一側の基端側部位921と軸線方向他側の先端側部位922とからなる。また、第1及び第2小径鞘管111,112の内部に収容される複数の通信ケーブル(図示せず)などは、互いに異なる色に着色されており、第1及び第2小径鞘管111,112の内部に収容される通信ケーブル(図示せず)などが差口部材91及び受口部材92を介して透視されるようになっている。
【0100】
したがって、本実施の形態では、第1及び第2小径鞘管111,112の内部に収容される各色の通信ケーブルなどが差口部材91及び受口部材92を介して透視されるので、第1及び第2小径鞘管111,112の内部の通信ケーブルなどの視認性が確保され、通信ケーブル類の種別が簡単に確認でき、第1小径鞘管111の差口部材91と第2小径鞘管112の受口部材92との誤接続を確実に防止することができる。
【0101】
なお、本実施の形態では、差口部材91及び受口部材92を透明な硬質塩化ビニル樹脂により成形したが、図33に示すように、顔料を含む有色の硬質塩化ビニル樹脂によって、軸線方向一側(図33では左側)の先端側部位932と軸線方向他側(図33では右側)の基端側部位931とからなる差口部材93、及び軸線方向一側の基端側部位941と軸線方向他側の先端側部位942とからなる受口部材94をそれぞれ成形し、第1及び第2小径鞘管113,114が透明な硬質塩化ビニル樹脂により成形されていてもよい。この場合においても、第1及び第2小径鞘管113,114の内部の通信ケーブルなどの視認性が確保され、通信ケーブル類の種別が簡単に確認でき、第1小径鞘管113の差口部材93と第2小径鞘管114の受口部材94との誤接続を確実に防止することが可能となる。しかも、顔料を含む有色の硬質塩化ビニル樹脂によって差口部材93及び受口部材94が成形されているので、差口部材93及び受口部材94が表面の擦れなどによって色落ちすることがなく、第1小径鞘管113の差口部材93と第2小径鞘管114の受口部材94との誤接続を確実に防止する上で非常に有利なものとなる。
【0102】
また、図34に示すように、複数種類の第1及び第2小径鞘管111,112(図34では1種類のみ示す)をすべて同色の硬質塩化ビニル樹脂により成形し、互いに対をなして接合される差口部材95及び受口部材96が、それぞれ対をなして接合される他の差口部材及び受口部材とは異なる色の顔料を含む有色の硬質塩化ビニル樹脂により成形されていてもよい。この場合には、それぞれ対をなして接合される差口部材95及び受口部材96同士を色合わせするだけで的確に接続され、第1小径鞘管111の差口部材95と第2小径鞘管112の受口部材96との誤接続を確実に防止することが可能となる。
【0103】
また、図35に示すように、複数種類の第1及び第2小径鞘管111,112をすべて同色の硬質塩化ビニル樹脂により成形し、互いに対をなして接合される差口部材95及び受口部材96を、それぞれ対をなして接合される他の差口部材及び受口部材とは異なる色の顔料を含む有色の硬質塩化ビニル樹脂により成形するとともに、第1及び第2小径鞘管111,112にも差口部材95及び受口部材96と同色のカラーライン111a,112aを軸線方向に描いていてもよい。この場合には、それぞれ対をなして接合される差口部材95及び受口部材96の色合わせがカラーライン111a,112aによってよりスムーズに行われ、差口部材95及び受口部材96が的確に接続されて、第1小径鞘管111の差口部材95と第2小径鞘管112の受口部材96との誤接続をより確実に防止することが可能となる。
【0104】
また、図36に示すように、複数種類の第1及び第2小径鞘管111,112をすべて同色の硬質塩化ビニル樹脂により成形し、互いに対をなして接合される差口部材21及び受口部材22に、それぞれ対をなして接合される差口部材及び受口部材とは異なる色のマーク218,228が記されていてもよい。この場合には、それぞれ対をなして接合される差口部材21及び受口部材22が色ごとのマーク218,228を合わせするだけで簡単に接続され、第1小径鞘管111の差口部材21と第2小径鞘管112の受口部材22との誤接続を確実に防止することが可能となる。
【0105】
更に、図37ないし図39に示すように、複数種類の第1及び第2小径鞘管111,112をすべて同色の硬質塩化ビニル樹脂により成形し、この第1及び第2小径鞘管111,112とのスピンウェルドによる融着を行う際に回転装置97に固定されて回転する差口部材21及び受口部材22に、それぞれ対をなして接合される他の差口部材及び受口部材とは異なる色の周方向へのライン219,229がマーカーMにより記されるようにしてもよい。この場合には、それぞれ対をなして接合される差口部材21及び受口部材22が色ごとのライン219,229を合わせするだけで簡単に接続され、第1小径鞘管111の差口部材21と第2小径鞘管112の受口部材22との誤接続を確実に防止することが可能となる。しかも、差口部材21及び受口部材22に色ごとのライン219,229を、スピンウェルドにより第1及び第2小径鞘管111,112への融着を行う際に簡単に記すことができる。
【0106】
なお、本発明は、前記各実施の形態に限定されるものではなく、その他種々の変形例を本願している。例えば、前記第1の実施の形態では、第1係合片214の第1縦面215が各第2係合片224の縦面220に係合した際に突片225の軸線方向他側端の縦面225aによって差口部材21のそれ以上の挿通を規制したが、図40及び図41に示すように、受口部材22の内周面における突片225と切欠部23の第2切欠溝232との間に断面略半円弧状の環状凹部71を設け、この環状凹部71にゴム輪72を嵌入することで、第1係合片214の第1縦面215が各第2係合片224の縦面220に係合した際にその第1係合片214の先端(図40では左端)が前記ゴム輪72の露出部分721に圧接するシール状態で差口部材21のそれ以上の挿通方向への移動が規制されるようにしてもよい。この場合には、第1係合片214の先端と、受口部材22の内周面における突片225と切欠部23の第2切欠溝232との間が、ゴム輪72によりシールされ、接合部品2の水密性を確保することが可能となる。
そして、前記第2の実施の形態では、第1係合片314の第1縦面315が第2係合片324の縦面320に係合した際に突片325の斜面325aによって差口部材31のそれ以上の挿通方向への移動を規制したが、図42及び図43に示すように、差口部材21の外周面における切欠部33の各切欠溝331の軸線方向他側端と第2縦面316との間に断面略半円弧状の環状凹部73を設け、この環状凹部73にゴム輪74を嵌入することで、第1係合片314の第1縦面315が第2係合片324の縦面320に係合した際にその第2係合片324の内周面が前記ゴム輪74の露出部分741に圧接するシール状態で差口部材31のそれ以上の挿通方向への移動が規制されるようにしてもよい。
また、図44及び図45に示すように、第2係合片324の内周面の軸線方向他側端に断面略半円弧状の環状凹部75を設け、この環状凹部75にゴム輪74を嵌入することで、第1係合片314の第1縦面315が第2係合片324の縦面320に係合した際にその差口部材21の外周面における切欠部33の各切欠溝331の軸線方向他側端と第2縦面316との間が前記ゴム輪74の露出部分741に圧接するシール状態で差口部材31のそれ以上の挿通方向への移動が規制されるようにしてもよい。この場合には、第2係合片324の内周面と、差口部材21の外周面における切欠部33の各切欠溝331と第2縦面316との間がゴム輪74によりシールされ、接合部品3の水密性を確保することが可能となる。
【0107】
また、前記各実施の形態では、半径方向内方へ弾性変形可能な第1係合片314,514,614又は半径方向外方へ弾性変形可能な第2係合片224,424,824,854,924を周方向所定間隔おきの4箇所に設けたが、半径方向内方へ弾性変形可能な第1係合片又は半径方向外方へ弾性変形可能な第2係合片が周方向所定間隔おきの1〜3箇所又は5箇所以上に設けられていてもよいのはいうまでもない。
【0108】
また、前記各実施の形態では、差口部材21,31,41,51,61,81,91を第1小径鞘管111の一側端部に、受口部材22,32,42,52,62,82,85,92を第2小径鞘管112の他側端部にそれぞれスピンウェルドによる軸線回りの相対回転により融着して一体的に接合したが、差口部材を第1小径鞘管の一側端部に、受口部材を第2小径鞘管の他側端部にそれぞれ接着剤により接着して接合されるようにしたり、第1及び第2小径鞘管を射出成形した際に、差口部分が第1小径鞘管の一側端部に、受口部分が第2小径鞘管の他側端部にそれぞれ一体的に形成されるようにしてもよい。
【0109】
更に、前記各実施の形態では、第1係合片214,314,414,514,614,814の第1縦面215,315,415,515,615,815と、第2係合片224,324,424,524,624,824,854の縦面220,320,420,520,620,820,850との係合高さ(半径方向での互いの重なり代)を1.2mmに設定したが、これはあくまでも3300Nの引抜き力を必要とする上で設定した係合高さであり、実際には1mm以上の係合高さがあれば十分な接合力が得られる。また、鞘管のサイズや肉厚によっても、第1係合片の第1縦面と第2係合片の縦面との係合高さが十分な接合力を得る上で変更されるのは云うまでもない。
【符号の説明】
【0110】
111 第1小径鞘管(第1鞘管)
112 第2小径鞘管(第2鞘管)
2 接合部品
21 差口部材(差口部分)
214 第1係合片
22 受口部材(受口部分)
224 第2係合片
225a 縦面(ストッパ)
23 切欠部
3 接合部品
31 差口部材(差口部分)
314 第1係合片
32 受口部材(受口部分)
324 第2係合片
325a 斜面(ストッパ)
33 切欠部
4 接合部品
41 差口部材(差口部分)
414 第1係合片
42 受口部材(受口部分)
424 第2係合片
425a 縦面(ストッパ)
43 切欠部
5 接合部品
51 差口部材(差口部分)
514 第1係合片
52 受口部材(受口部分)
524 第2係合片
525a 縦面(ストッパ)
53 切欠部
6 接合部品
61 差口部材(差口部分)
614 第1係合片
62 受口部材(受口部分)
624 第2係合片
625a 縦面(ストッパ)
63 切欠部
8 接合部品
81 差口部材(差口部分)
814 第1係合片
82 受口部材(受口部分)
824 第2係合片
83 拡径部
831 テーパ面
84 拡径部
85 受口部材(受口部分)
854 第2係合片
827 貫通孔
9 接合部品
91 差口部材(差口部分)
92 受口部材(受口部分)
K スライドコア
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設された埋設管内に敷設される同一軸線上の鞘管の端部同士を接合する接合構造及びこれに用いられる接合部品に関する。
【背景技術】
【0002】
近来より、地中に埋設される埋設管内に、合成樹脂よりなる複数の鞘管を敷設し、各鞘管内に、通信ケーブル等を挿通させることが行われている。この場合、各鞘管は、必要とする場所まで通信ケーブル等を導く上で、それぞれ同一軸線上の複数の鞘管の端部同士を接合して延長させている。
【0003】
そして、同一軸線上において2本の鞘管の端部同士を接合するには、公知のいわゆるTS接合法による接合が行われていた。すなわち、一方の鞘管の管端部から所定長さの表面層を剥離し、その表面をテーパ処理して管差し口とし、これに接着剤を塗布して他方の鞘管の管受け口に挿入して接着することで接合していた。このとき、接着剤が凝固して接着効果が得られるまでの間、作業者が鞘管の端部同士を手で押さえておく必要がある。
【0004】
そこで、従来の鞘管の接合構造として、一方の鞘管の管端部の外周面に半径方向外方へ突出する第1係合片を有する差口部分を、他方の管端部の内周面に半径方向内方に突出する第2係合片を有する受口部分をそれぞれ設け、一方の鞘管の差口部分の外周面を他方の鞘管の受口部分の内周面に挿通させて両鞘管の端部同士を係合するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。そして、前記一方の鞘管の差口部分の外周面と前記他方の鞘管の受口部分の内周面とに接着剤を塗布した状態で、一方の鞘管の差口部分を他方の鞘管の受口部分に挿通させ、前記第2係合片を乗り越えて当該第2係合片に第1係合片を係合させることで、前記接着剤が凝固して接着効果が得られるまでの間、仮押さえしておくようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3360086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、前記従来のものでは、鞘管同士を接合するに当たり、差口部分の第1係合片が受口部分の第2係合片に係合されてはいるものの、この第1係合片と第2係合片との係合は、一方の鞘管の差口部分の外周面と他方の鞘管の受口部分の内周面とに塗布した接着剤が凝固して接着効果が得られるまでの間、仮押さえしておくものにすぎない。このため、第1係合片と第2係合片とを係合するのみでは、受口部分と差口部分との接合が必要十分であるとはいえず、埋設管内で起こる30°Cの温度変化に起因した各鞘管の熱伸縮によって作用する荷重(熱伸縮応力)に対し耐え得るものであるとは言い難い。
その場合、第1係合片と第2係合片との係合を各鞘管の熱伸縮による荷重に耐え得るようにするには、受口部分及び差口部分の係合片同士の係合高さ(半径方向での互いの重なり代)がある程度は必要、具体的には、内径30mmの鞘管同士を接合する場合には互いの係合片同士の係合高さが1mm以上は必要となる。そのため、差口部分の第1係合片が受口部分の第2係合片を乗り越える際に、第1及び第2係合片の大きな変形、つまり受口部分の第2係合片を大きく拡径させる変形と差口部分の第1係合片を小さく縮径させる変形とが必要となる。これでは、差口部分の第1係合片が受口部分の第2係合片を乗り越えて当該第2係合片に係合させること自体が無理であり、仮に第1係合片と第2係合片とが係合できたとしても、差口部分の第1係合片及び受口部分の第2係合片が裂傷するなどの変形が生じてしまい、受口部分と差口部分との接合強度を安定して得ることができない。
【0007】
また、前記従来のものでは、受口部分と差口部分とを接着剤の凝固による接着効果により接合するものであるため、埋設管内に多数の鞘管が敷設されている場合には施工作業時において各鞘管の接着剤が凝固するまでに多大な時間を要する上、接着剤が埋設管の内外に漏れるおそれもあって施工作業時の環境面への悪影響が危惧される。
しかも、鞘管の接合構造に接着剤を用いていると、施工時の天候や、作業者個々の塗布の仕方や、受口部分に対する差口部分の挿通不足などによって、受口部分と差口部分との接合状態の品質が大きく左右される。このため、これらの要因によって受口部分から差口部分が抜けるおそれもあり、受口部分と差口部分との接合状態にバラツキが生じ、当該両部分の接合状態を良好に保つには細心の注意が必要である。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、受口部分と差口部分との接合状態を良好に保ちつつその接合強度を安定して得ることができ、接着剤による受口部分と差口部分との接着を不要にして施工作業に要する時間を大幅に短縮しかつ施工作業時の環境面への悪影響をなくすことができる鞘管の接合構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明が講じた解決手段は、合成樹脂よりなり、第1鞘管の軸線方向一側の端部に設けられた差口部分と、合成樹脂よりなり、第2鞘管の軸線方向他側の端部に設けられた受口部分とを備え、前記差口部分を前記受口部分に挿通させて当該差口部分と受口部分とを接合するようにした鞘管の接合構造を前提とする。更に、前記差口部分の外周面には、半径方向外方に突出する第1係合片が設けられている一方、前記受口部分の内周面には、半径方向内方に突出する第2係合片が設けられていて、前記受口部分に対する前記差口部分の挿通時に前記第1係合片が前記第2係合片を乗り越えて当該第2係合片に係合するようになっている。そして、前記差口部分及び前記受口部分のいずれか一方には、その一方に設けられる第1又は第2係合片の内外径方向への弾性変形を許容する切欠部が設けられている。
この特定事項により、鞘管同士を接合するに当たり、第2鞘管の軸線方向他側の端部に設けられた受口部分に対し第1鞘管の軸線方向一側の端部に設けられた差口部分を挿通させると、差口部分及び前記受口部分のいずれか一方に設けられた切欠部によって、その一方に設けられる第1又は第2係合片の内外径方向つまり半径方向内外方への弾性変形が許容されるので、差口部分の第1係合片と受口部分の第2係合片との係合を鞘管の熱伸縮による荷重に耐え得るように第1及び第2係合片同士の係合高さ(半径方向での重なり代)をある程度確保していても、受口部分に対し差口部分を挿通させた際に第1又は第2係合片の内外径方向への弾性変形によって第1係合片が第2係合片を乗り越えて当該第2係合片に無理なくスムーズに係合する。
これにより、第1係合片が第2係合片を乗り越える際に、受口部分の第2係合片を大きく拡径させる変形と差口部分の第1係合片を小さく縮径させる変形といった第1及び第2係合片の大きな変形が不要となり、差口部分の第1係合片及び受口部分の第2係合片の裂傷などによる変形も生じることがなくなって、受口部分と差口部分との接合強度を安定して得ることが可能となる。
しかも、受口部分と差口部分とを接着剤の接着効果により接合する必要がなく、施工作業時に埋設管内に敷設された多数の鞘管での接着剤の塗布時間及び凝固時間が不要となって施工作業時間を大幅に短縮することが可能となる上、埋設管の内外への接着剤の漏れによる施工作業時の環境面への悪影響もなくすことが可能となる。
更に、接着剤が不要となることから、施工時の天候や、作業者個々の塗布の仕方や、受口部分に対する差口部分の挿通不足などによる受口部分と差口部分との接合状態の品質にバラツキが生じることもなくなって、これらの要因による受口部分からの差口部分の抜け落ちも防止され、受口部分と差口部分との接合状態を良好に保つことが可能となる。
【0010】
また、前記第1係合片の外周面が、前記差口部分の軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されていることが好ましい。
この場合には、受口部分に対する差口部分の挿通時に第1係合片のテーパ状の外周面が第2係合片の内周面をスムーズに乗り越え、第1係合片を第2係合片により無理なくスムーズに係合させることができる。
【0011】
また、前記第2係合片の内周面が、前記受口部分の軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されていることが好ましい。
この場合には、受口部分に対する差口部分の挿通時に第1係合片の外周面が第2係合片のテーパ状の内周面に沿って当該第2係合片をスムーズに乗り越え、第1係合片を第2係合片にさらに無理なくスムーズに係合させることができる。
【0012】
また、前記第1係合片は、前記差口部分の軸線方向一側の端部に設けられていることが好ましい。
この場合には、第1係合片の軸線方向の長さが短くなって、第2係合片の軸線方向の長さも短くなる。このため、受口部分に対し差口部分を挿通させると、第1又は第2係合片の内外径方向への弾性変形による弾性力が大きく作用し、第1係合片と第2係合片との係合状態を強固なものにすることができる。
【0013】
また、前記差口部分が前記第1鞘管の軸線方向一側の端部に、前記受口部分が前記第2鞘管の軸線方向他側の端部に、それぞれスピンウェルドにより接合されていることが好ましい。
この場合には、差口部分が第1鞘管の軸線方向一側の端部に、受口部分が第2鞘管の軸線方向他側の端部に、それぞれ接着剤を用いることなく一体的に接合され、埋設管の内外への接着剤の漏れによる施工作業時の環境面への影響を確実になくすことができる。しかも、接着剤を不要にして、施工時の天候や、作業者個々の接着剤の塗布の仕方などによる差口部分及び受口部分と各鞘管との接合状態の品質にバラツキが生じることもなくなって、これらの要因による差口部分及び受口部分と各鞘管との接合状態を良好に保つことができる。
【0014】
また、前記受口部分には、前記第1係合片が前記第2係合片に係合した際に前記受口部分に対する前記差口部分のそれ以上の挿通を規制するストッパが設けられていてもよい。
この場合には、差口部分のそれ以上の挿通がストッパにより規制されるので、第1係合片が第2係合片に係合した状態で保持され、第1係合片と第2係合片との係合状態を円滑に保つことができる。
【0015】
また、前記第2係合片の外周面に、前記受口部分の軸線方向に延びるリブを設けることが好ましい。
この場合には、第2係合片の剛性がリブによって向上し、受口部分の座屈に対する強度を高めることができる。しかも、受口部分を第2鞘管の軸線方向他側の端部にスピンウェルドにより接合する際に回転装置に対する受口部分の固定がリブを利用して円滑に行え、回転装置による受口部分の固定を簡単に行うことができる。
【0016】
また、前記受口部分の内周面に挿通される前記差口部分の外周面における軸線方向他側の端部に、当該差口部分を前記受口部分に挿通させて接合した際にその受口部分の内周面を前記差口部分の外周面に対し半径方向へ隙間なく嵌入させる拡径部を設けることが好ましい。
この場合には、差口部分を受口部分に挿通させて接合した際に受口部分の内周面が第1係合片の外周面の拡径部に対し半径方向へ隙間なく嵌入される。このため、第1係合片の外周面における軸線方向他側の端部と受口部分の内周面の拡径部との間にガタつきが発生することがない。これにより、曲がりのあるコーナー部で使用しても差口部分と受口部分との間で段差が生じることがなく、内部に収容したケーブル類への段差による損傷を防止することができる。
【0017】
また、前記拡径部の軸線方向一側に、当該拡径部を前記差口部分の外周面における軸線方向他側に向かうに従い拡径させるテーパ面を設けることが好ましい。
この場合には、差口部分を受口部分に挿通させて接合する際に第1係合片の外周面における軸線方向他側の端部が受口部分の内周面の拡径部にテーパ面に沿って円滑に案内される。これにより、差口部分を受口部分に挿通させて接合する際の作業をスムーズに行うことができる。
【0018】
また、互いに接合される前記第1鞘管の差口部分及び前記第2鞘管の受口部分と、当該差口部分に対応する第1鞘管及び受口部分に対応する第2鞘管との少なくとも一方を、内部を透視可能な透明の合成樹脂により成形することが好ましい。
この場合には、内部が透視されてケーブル類の種別が簡単に確認でき、第1鞘管の差口部分と第2鞘管の受口部分との誤接続を確実に防止することができる。
【0019】
更に、前記受口部分を射出成形により成形し、前記第2係合片の軸線方向一側の端部に、その端面に沿って前記受口部分の半径方向外方に貫通する貫通孔を設けることが好ましい。
この場合には、第2係合片の軸線方向一側の端部にその端面に沿って前記受口部分の半径方向外方に貫通する貫通孔が設けられているので、第2係合片を形成するに当たり、貫通孔を介して金型のスライドコアを半径方向外方にスライドさせればよい。これにより、受口部分の内周面を成形する型の構造を非常に簡単なものにすることができる。
【0020】
また、前記目的を達成するため、本発明が講じたその他の解決手段は、第1鞘管の軸線方向一側の端部に接合可能な合成樹脂よりなる差口部材と、前記第1鞘管と同一軸線上の第2鞘管の軸線方向他側の端部に接合可能な合成樹脂よりなる受口部材とを備え、前記差口部材を前記受口部材に挿通させて当該差口部材と受口部材とを接合するようにした接合部品を前提とする。更に、前記差口部材の外周面には、半径方向外方に突出する第1係合片が設けられている一方、前記受口部材の内周面には、半径方向内方に突出する第2係合片が設けられていて、前記第1係合片が、前記受口部材に対する前記差口部材の挿通時に前記第2係合片を乗り越えて当該第2係合片に係合するようになっている。そして、前記差口部材及び前記受口部材のいずれか一方には、その一方に設けられる第1又は第2係合片の内外径方向への弾性変形を許容する切欠部が設けられている。
この特定事項により、第2鞘管の軸線方向他側の端部に接合可能な受口部材に対し第1鞘管の軸線方向一側の端部に接合可能な差口部材を挿通させると、差口部材及び前記受口部材のいずれか一方に設けられた切欠部によって、その一方に設けられる第1又は第2係合片の半径方向内外方への弾性変形が許容されるので、差口部材の第1係合片と受口部材の第2係合片との係合を鞘管の熱伸縮による荷重に耐え得るように第1及び第2係合片同士の係合高さをある程度確保していても、受口部材に対し差口部材を挿通させた際に第1又は第2係合片の内外径方向への弾性変形によって第1係合片が第2係合片を乗り越えて当該第2係合片に無理なくスムーズに係合する。
これにより、第1係合片が第2係合片を乗り越える際に、受口部材の第2係合片を大きく拡径させる変形と差口部材の第1係合片を小さく縮径させる変形といった第1及び第2係合片の大きな変形が不要となり、差口部材の第1係合片及び受口部材の第2係合片の裂傷などによる変形も生じることがなくなって、受口部材と差口部材との接合強度を安定して得ることが可能となる。
しかも、受口部材と差口部材とを接着剤の接着効果により接合する必要がなく、施工作業時に埋設管内に敷設された多数の鞘管での接着剤の塗布時間及び凝固時間が不要となって施工作業時間を大幅に短縮することが可能となる上、埋設管の内外への接着剤の漏れによる施工作業時の環境面への悪影響もなくすことが可能となる。
更に、接着剤が不要となることから、施工時の天候や、作業者個々の塗布の仕方や、受口部材に対する差口部材の挿通不足などによる受口部材と差口部材との接合状態の品質にバラツキが生じることもなくなって、これらの要因による受口部材からの差口部材の抜け落ちも防止され、受口部材と差口部材との接合状態を良好に保つことが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
以上、要するに、請求項1又は請求項12に記載の発明によれば、鞘管同士を接合するに当たり、第2鞘管の軸線方向他側の端部の受口部分(受口部材)に対し第1鞘管の軸線方向一側の端部の差口部分(差口部材)を挿通させた際に、前記差口部分及び前記受口部分のいずれか一方の切欠部によって第1又は第2係合片の内外径方向への弾性変形を許容させることで、第1係合片及び第2係合片同士の係合高さを十分に確保していても第1係合片が第2係合片を乗り越えて当該第2係合片に無理なくスムーズに係合する。これにより、第1係合片が第2係合片を乗り越える際に第1及び第2係合片の大きな変形が不要となり、差口部分の第1係合片及び受口部分の第2係合片の裂傷などによる変形を生じさせることなく受口部分と差口部分との接合強度を安定して得ることができる。しかも、受口部分と差口部分とを接着剤の接着効果により接合する必要がなくなって施工作業時の接着剤の塗布時間及び凝固時間が不要となり、施工作業時間を大幅に短縮することができる上、埋設管の内外への接着剤の漏れによる施工作業時の環境面への悪影響もなくすことができる。更に、施工時の天候や、作業者個々の塗布の仕方や、受口部分に対する差口部分の挿通不足などによる受口部分と差口部分との接合状態の品質のバラツキも是正され、受口部分と差口部分との接合状態を良好に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る接合構造を用いた各鞘管を埋設管内に敷設した状態での縦断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る差口部材と受口部材とを接合した状態での縦断側面図である。
【図3】図2の差口部材の縦断側面図である。
【図4】図3の差口部材を反第1小径鞘管側から見た正面図である。
【図5】図2の受口部材の一部を切り欠いた縦断側面図である。
【図6】図5の受口部材を反第2小径鞘管側から見た正面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る差口部材と受口部材とを接合した状態での縦断側面図である。
【図8】図7の差口部材の縦断側面図である。
【図9】図7の受口部材の縦断側面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る差口部材と受口部材とを接合した状態での縦断側面図である。
【図11】図10の差口部材の縦断側面図である。
【図12】図10の一部を切り欠いた受口部材の縦断側面図である。
【図13】図12の受口部材を反第2小径鞘管側から見た正面図である。
【図14】本発明の第4の実施の形態に係る差口部材と受口部材とを接合した状態での縦断側面図である。
【図15】図14の差口部材の縦断側面図である。
【図16】図15の差口部材を反第1小径鞘管側から見た正面図である。
【図17】図14の受口部材の一部を切り欠いた縦断側面図である。
【図18】本発明の第5の実施の形態に係る差口部材と受口部材とを接合した状態での縦断側面図である。
【図19】図18の差口部材の縦断側面図である。
【図20】図19の差口部材を反第1小径鞘管側から見た正面図である。
【図21】図18の受口部材の一部を切り欠いた縦断側面図である。
【図22】本発明の第6の実施の形態に係る差口部材と受口部材とを接合した状態での縦断側面図である。
【図23】図22の差口部材の縦断側面図である。
【図24】図22の受口部材の縦断側面図である。
【図25】図23のA−A線における断面図である。
【図26】図24の受口部材の第2係合片の軸線方向一側に設けた貫通孔を介して半径方向外方に移動するスライドコアの動きを説明する受口部材の縦断側面図である。
【図27】第6の実施の形態の変形例に係る図25相当図である。
【図28】本発明の第7の実施の形態に係る受口部材の一部を切欠いた縦断側面図である。
【図29】図28の受口部材を軸線方向他側から見た背面図である。
【図30】本発明の第7の実施の形態に係る各鞘管を大きい埋設管内に敷設した状態での縦断面図である。
【図31】図30の各鞘管を小さい埋設管内に敷設した状態での縦断面図である。
【図32】本発明の第8の実施の形態に係る差口部材及び受口部材を接合する前の鞘管の側面図である。
【図33】第8の実施の形態の変形例に係る差口部材及び受口部材を接合する前の鞘管の側面図である。
【図34】第8の実施の形態のその他の変形例に係る差口部材及び受口部材を接合する前の鞘管の側面図である。
【図35】第8の実施の形態のその他の変形例に係る差口部材及び受口部材を接合する前の鞘管の側面図である。
【図36】第8の実施の形態のその他の変形例に係る差口部材及び受口部材を接合する前の鞘管の側面図である。
【図37】第8の実施の形態のその他の変形例に係る差口部材及び受口部材を接合する前の鞘管の側面図である。
【図38】図37の受口部材に回転装置により回転させながらラインを記す状態を示す受口部材の側面図である。
【図39】図37の差口部材に回転装置により回転させながらラインを記す状態を示す差口部材の側面図である。
【図40】第1の実施の形態の変形例に係る図2相当図である。
【図41】第1の実施の形態の変形例に係る図5相当図である。
【図42】第2の実施の形態の変形例に係る図7相当図である。
【図43】第2の実施の形態の変形例に係る図8相当図である。
【図44】第2の実施の形態のその他の変形例に係る図7相当図である。
【図45】第2の実施の形態のその他の変形例に係る図9相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0024】
図1において、11及び12は本発明の第1の実施の形態に係る接続構造を用いて同一軸線上でそれぞれ接続された各鞘管を示し、これらの鞘管11,12は埋設管10内に敷設されている。この各鞘管11,12は、図示しない光ファイバーケーブル等の通信ケーブル等を挿通させて保護するために供される。そして、各鞘管11,12のうち、小径となる外径34mmの小径鞘管11は、硬質塩化ビニル樹脂よりなる。一方、大径となる外径54mmの大径鞘管12も、硬質塩化ビニル樹脂よりなる。そして、小径鞘管11及び大径鞘管12は、呼び径200の埋設管10内にそれぞれ5本ずつ敷設されている。この場合、各小径鞘管11の内径は30mmに、各大径鞘管12の内径は50mmにそれぞれ設定されている。また、埋設管10としては、外径216mmで、内径194mmに設定されている。この場合、小径及び大径鞘管11,12(後述する第1小径鞘管111及び第2小径鞘管112)は、それぞれ硬質塩化ビニル樹脂を押出成形して形成される。
【0025】
そして、図2に示すように、前記埋設管10内の各小径鞘管11及び各大径鞘管12は、それぞれ同一軸線上において端部同士を接合する接合部品2(図2では小径鞘管11同士を接合する接合部品のみを示す)によって継がれている。
ここで、各小径鞘管11の端部同士及び各大径鞘管12の端部同士をそれぞれ同一軸線上において接合する接合構造に用いられる接合部品2は、同一構成となるので、各小径鞘管11の端部同士を同一軸線上において接合するものについて説明する。具体的には、第1鞘管としての第1小径鞘管111の一側端部(図2では左側端部)と第2鞘管としての第2小径鞘管112の他側端部(図2では右側端部)とを同一軸線上において接合するものについて説明する。
【0026】
前記接合部品2は、前記第1小径鞘管111の一側端部に取り付けられた差口部分としての差口部材21と、前記第2小径鞘管112の他側端部に取り付けられた受口部分としての受口部材22とを備えている。この差口部材21及び受口部材22は、それぞれ硬質塩化ビニル樹脂を射出成形して形成される。また、前記差口部材21は、軸線方向一側(図2では左側)となる先端側部位212と、軸線方向他側(図2では右側)となる基端側部位211とからなる。そして、前記差口部材21の基端側部位211には、第1小径鞘管111の一側端部の外周面を挿通させる挿通孔213が設けられている。この挿通孔213に挿通された第1小径鞘管111の一側端部と差口部材21とは、スピンウェルドによる軸線回りの相対回転により融着されて一体的に接合されている。更に、差口部材21の基端側部位211の外周面の軸線方向他側端は、軸線に対して略45°傾斜する面取りが施されている。
【0027】
一方、前記受口部材22は、軸線方向一側(図2では左側)となる基端側部位221と軸線方向他側(図2では右側)となる先端側部位222とからなる。そして、前記受口部材22の基端側部位221には、第2小径鞘管112の他側端部の外周面を挿通させる挿通孔223が設けられている。この挿通孔223に挿通された第2小径鞘管112の他側端部と受口部材22とは、スピンウェルドによる軸線回りの相対回転により融着されて一体的に接合されている。更に、受口部材22の基端側部位221の外周面の軸線方向一側端は、軸線に対して略45°傾斜する面取りが施されている。
【0028】
また、図3及び図4に示すように、前記差口部材21の先端側部位212の外周面には、その先端より軸線方向に所定長さ(例えば8mm程度)の奥行きをもって半径方向外方に突出する第1係合片214が設けられている。この第1係合片214は、前記差口部材21の外周面の周方向全域に亘って連続的に突出している。そして、前記第1係合片214の外周面は、前記差口部材21の軸線方向一側(図2では左側)へ小径となるテーパ状に形成されている。また、前記差口部材21の第1係合片214を除く先端側部位212の外周面は、前記基端側部位211の外周面よりも小径に形成され、前記差口部材21の軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されている。そして、前記第1係合片214の外周面とこの第1係合片214を除く先端側部位212の外周面とは、段差状に形成され、前記第1係合片214の軸線方向他側端(図2では右端)の第1縦面215によって連結されている。また、前記基端側部位211の外周面と前記先端側部位212の外周面とは、段差状に形成され、前記基端側部位211の軸線方向一側端の第2縦面216によって連結されている。
【0029】
一方、図5及び図6に示すように、前記受口部材22の先端側部位222の内周面には、その中央部付近において軸線方向に所定長さ(例えば15mm程度)の奥行きをもって半径方向内方に突出する第2係合片224が設けられている。この第2係合片224は、前記受口部材22の内周面の周方向所定間隔おきの4箇所において周方向に所定長さ(例えば8mm〜10mm程度)の幅をもってそれぞれ突出している。そして、前記第2係合片224は、その内周面が前記受口部材22の軸線方向一側(図5では左側)へ小径となるテーパ状に形成され、その軸線方向一側端(図5では左端)が最も半径方向内方に突出している。
【0030】
ここで、各鞘管11,12に作用する熱伸縮力について説明する。
硬質塩化ビニル樹脂製の各鞘管11,12のヤング率Eが2940MPa、硬質塩化ビニル樹脂の線膨張係数αが7.0E−5、年間を通して各鞘管11,12に作用する想定温度変化量ΔTが30°Cであるとすると、各鞘管11,12に作用する熱伸縮応力σ(MPa)は、下記の式で求められる。
σ=E・α・ΔT
この結果に基づいて、各鞘管11,12にかかる荷重を表1に示す。
【表1】
よって、熱伸縮応力σが6.17MPa作用しているため、表1から、内径が30mmの小径鞘管11では、1241N(126kgf)以上の接合強度が必要であり、内径が50mmの大径鞘管12では、2017N(206kgf)以上の接合強度が必要であることが判る。
【0031】
その場合、鞘管11,12の端部同士の接合力を左右するのは、差口部材21の第1係合片214の軸線方向他側端の第1縦面215と各第2係合片224の軸線方向一側端の縦面220との係合高さ(半径方向での互いの重なり代)である。
かかる点から、第1小径鞘管111と第2小径鞘管112の接合力について行った実験結果を表2に示す。
【表2】
よって表2から、差口部材21の第1係合片214の軸線方向他側端の第1縦面215と各第2係合片224の軸線方向一側端の縦面220との係合高さが0.7mmの場合には、第1係合片214と第2係合片224とは、両者間に作用する引抜き力が1100Nで抜けてしまうことが判る。これに対し、第1係合片214の第1縦面215と第2係合片224の縦面220との係合高さが1.2mmの場合には、第1係合片214と第2係合片224との間に作用する引抜き力によって、第1係合片214に割れなどの裂傷による変形が生じてしまうまで耐え、そのときの引抜き力が3300Nであることから、十分な接合力であることが判る。
そこで、第1係合片214と各第2係合片224との係合を各小径鞘管11(第1及び第2小径鞘管111,112)の熱伸縮による荷重に耐え得るようにする上で、差口部材21の第1係合片214の軸線方向他側端の第1縦面215と各第2係合片224の軸線方向一側端の縦面220との係合高さ(半径方向での互いの重なり代)を1.2mmに設定している。
【0032】
また、前記受口部材22の第2係合片224を除く先端側部位222の内周面は、前記基端側部位221の内周面よりも大径に形成されている。そして、前記第2係合片224を除く先端側部位222の内周面と前記基端側部位221の内周面とは、前記第2係合片224よりも半径方向内方に突出する突片225によって連結されている。この突片225の軸線方向他側端(図5では右端)の縦面225aは、差口部材21の第1係合片214の軸線方向他側端の第1縦面215が各第2係合片224の軸線方向一側端の縦面220に係合した際に受口部材22に対する差口部材21のそれ以上の挿通つまり挿通方向への移動を当接により規制するストッパとしての機能を有している。
【0033】
そして、前記受口部材22には、各第2係合片224の外径方向つまり半径方向外方への弾性変形を許容する切欠部23が設けられている。この各切欠部23は、各第2係合片224の周方向両端を軸線方向に切り欠くスリット状の第1切欠溝231,231と、各第2係合片224の軸線方向一側端を周方向に切り欠くスリット状の第2切欠溝232とを備え、この各第1切欠溝231と第2切欠溝232とによって外面視で略コの字状を呈している。この場合、各第2係合片224は、第1係合片214との係合時に当該第1係合片214が乗り越えられるように切欠部23によって半径方向外方へ弾性変形し、その各第2係合片224の軸線方向一側端の縦面220に前記第1係合片214の軸線方向他側端の第1縦面215を係合させている。
【0034】
したがって、本実施の形態では、第1小径鞘管111の一側端部と第2小径鞘管112の他側端部とを接合するに当たり、第2小径鞘管112の他側端部をスピンウェルドにより融着して接合した受口部材22の先端側部位222の内周面に対し、第1小径鞘管111の一側端部をスピンウェルドにより融着して接合した差口部材21の先端側部位212の外周面を挿通させると、受口部材22の略コの字状の切欠部23、つまり各第2係合片224の周方向両端を軸線方向に切り欠くスリット状の第1切欠溝231,231と、各第2係合片224の軸線方向一側端を周方向に切り欠くスリット状の第2切欠溝232とによって、各第2係合片224の半径方向外方への弾性変形が許容される。このため、差口部材21の第1係合片214の軸線方向他側端の第1縦面215と受口部材22の各第2係合片224の軸線方向一側端の縦面220との係合を各小径鞘管11(第1及び第2小径鞘管111,112)の熱伸縮による荷重に耐え得るように第1及び第2係合片214,224の縦面215,220同士の係合高さ(半径方向での互いの重なり代)を1.2mmに設定していても、受口部材22に対し差口部材21を挿通させた際に各第2係合片224の半径方向外方への弾性変形によって第1係合片214の第1縦面215が各第2係合片224を乗り越えて当該各第2係合片224の縦面220に無理なくスムーズに係合する。
これにより、第1係合片214が各第2係合片224を乗り越える際に、受口部材22の各第2係合片224を大きく拡径させる変形と差口部材21の第1係合片214を小さく縮径させる変形といった第1及び第2係合片214,224の大きな変形が不要となり、差口部材21の第1係合片214及び受口部材22の各第2係合片224の裂傷などによる変形も生じることがなくなって、受口部材22と差口部材21との接合強度を安定して得ることができる。
【0035】
しかも、受口部材22と差口部材21とを接着剤の接着効果により接合する必要がなく、施工作業時に埋設管10内に敷設された多数の小径鞘管11及び大径鞘管12での接着剤の塗布時間及び凝固時間が不要となって施工作業時間を大幅に短縮することができる上、埋設管10の内外への接着剤の漏れによる施工作業時の環境面への悪影響もなくすことができる。
更に、接着剤が不要となることから、施工時の天候や、作業者個々の塗布の仕方や、受口部材22に対する差口部材21の挿通不足などによる受口部材22と差口部材21との接合状態の品質にバラツキが生じることもなくなって、これらの要因による受口部材22からの差口部材21の抜け落ちも防止され、受口部材22と差口部材21との接合状態を良好に保つことができる。
【0036】
また、前記第1係合片214の外周面が軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されている上、各第2係合片224の内周面が軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されているので、受口部材22に対する差口部材21の挿通時に第1係合片214のテーパ状の外周面が各第2係合片224のテーパ状の内周面をスムーズに乗り越え、第1係合片214を各第2係合片224に無理なくスムーズに係合させることができる。
【0037】
また、前記第1係合片214は、差口部材21の先端側部位212の外周面の先端より半径方向外方に突出して設けられているので、第1係合片214の軸線方向の長さが短くなって、各第2係合片224の軸線方向の長さも短くなる。このため、受口部材22に対し差口部材21を挿通させると、各第2係合片224の内外径方向への弾性変形による弾性力が大きく作用し、第1係合片214と各第2係合片224との係合状態を強固なものにすることができる。
【0038】
また、前記差口部材21が第1小径鞘管111の一側端部に、前記受口部材22が第2小径鞘管112の他側端部に、それぞれスピンウェルドにより接合されているので、差口部材21が第1小径鞘管111の一側端部に、受口部材22が第2小径鞘管112の他側端部に、それぞれ接着剤を用いることなく一体的に接合され、埋設管10の内外への接着剤の漏れによる施工作業時の環境面への悪影響を確実になくすことができる。しかも、接着剤を不要にして、施工時の天候や、作業者個々の接着剤の塗布の仕方などによる差口部材21及び受口部材22と各小径鞘管111,112との接合状態の品質にバラツキが生じることもなくなって、これらの要因による差口部材21及び受口部材22と各小径鞘管111,112との接合状態を良好に保つことができる。
【0039】
また、前記受口部材22の内周面に設けた突片225の軸線方向他側端の縦面225aによって、前記第1係合片214の第1縦面215が各第2係合片224の縦面220に係合した際に前記受口部材22に対する前記差口部材21のそれ以上の挿通方向への移動が規制されるので、第1係合片214が各第2係合片224に係合した状態で保持され、第1係合片214と各第2係合片224との係合状態を円滑に保つことができる。
【0040】
更に、差口部材21の基端側部位211の外周面の軸線方向他側端及び受口部材22の基端側部位221の外周面の軸線方向一側端にそれぞれ面取りが施されているので、施工時に各小径鞘管11及び各大径鞘管12が接合部品2の両端部において互いに引っ掛かり難くなり、各小径鞘管11及び各大径鞘管12の施工をスムーズに行うことができる。
【0041】
次に、本発明の第2の実施の形態を図7〜図9に基づいて説明する。
この実施の形態では、接合部品の構成を変更している。なお、接合部品を除くその他の構成は、前記第1の実施の形態と同じであり、同一部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0042】
すなわち、本実施の形態では、図7に示すように、接合部品3は、第1小径鞘管111の一側端部に取り付けられた差口部分としての差口部材31と、第2小径鞘管112の他側端部に取り付けられた受口部分としての受口部材32とを備えている。この差口部材31及び受口部材32は、それぞれ硬質塩化ビニル樹脂を射出成形して形成される。また、前記差口部材31は、軸線方向一側(図7では左側)となる先端側部位312と、軸線方向他側(図7では右側)となる基端側部位311とからなる。そして、前記差口部材31の基端側部位311には、第1小径鞘管111の一側端部の外周面を挿通させる挿通孔313が設けられている。この挿通孔313に挿通された第1小径鞘管111の一側端部と差口部材31とは、スピンウェルドによる軸線回りの相対回転により融着されて一体的に接合されている。
【0043】
一方、前記受口部材32は、軸線方向一側(図7では左側)となる基端側部位321と、軸線方向他側端(図7では右側)となる先端側部位322とからなる。そして、前記受口部材32の基端側部位321には、第2小径鞘管112の他側端部の外周面を挿通させる挿通孔323が設けられている。この挿通孔323に挿通された第2小径鞘管112の他側端部と受口部材32とは、スピンウェルドによる軸線回りの相対回転により融着されて一体的に接合されている。
【0044】
また、図8に示すように、前記差口部材31の先端側部位312の外周面には、その先端より軸線方向に所定長さ(例えば8mm程度)の奥行きをもって半径方向外方に突出する第1係合片314が設けられている。この第1係合片314は、前記差口部材31の外周面の周方向全域に亘るように突出している。そして、前記第1係合片314の外周面は、軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されている。また、前記差口部材31の第1係合片314を除く先端側部位312の外周面は、前記基端側部位311の外周面よりも小径に形成され、軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されている。そして、前記第1係合片314の外周面とこの第1係合片314を除く先端側部位312の外周面とは、段差状に形成され、前記第1係合片314の軸線方向他側端の第1縦面315によって連結されている。また、前記基端側部位311の外周面と前記先端側部位312の外周面とは、段差状に形成され、前記基端側部位311の軸線方向一側端の第2縦面316によって連結されている。
【0045】
一方、図9に示すように、前記受口部材32の先端側部位322の内周面には、その中央部付近において軸線方向に所定長さ(例えば20mm程度)の奥行きをもって半径方向内方に突出する第2係合片324が設けられている。この第2係合片324は、前記受口部材32の内周面の周方向全域に亘って突出している。そして、前記第2係合片324は、その内周面が軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成され、その軸線方向一側端(図9では左端)が最も半径方向内方に突出している。この場合、第1係合片314と第2係合片324との係合を各小径鞘管11(第1及び第2小径鞘管111,112)の熱伸縮による荷重に耐え得るようにする上で、差口部材31の第1係合片314の軸線方向他側端の第1縦面315と各第2係合片324の軸線方向一側端の縦面320との係合高さ(半径方向での互いの重なり代)を1.2mmに設定している。
【0046】
また、前記受口部材32の第2係合片324を除く先端側部位322の内周面は、前記基端側部位321の内周面よりも大径に形成されている。そして、前記第2係合片324を除く先端側部位322の内周面と前記基端側部位321の内周面とは、前記第2係合片324よりも半径方向内方に突出する突片325によって連結されている。この突片325の軸線方向他側端(図9では右端)の斜面325aは、差口部材31の第1係合片314の軸線方向他側端の第1縦面315が第2係合片324の軸線方向一側端の縦面320に係合した際に受口部材32に対する差口部材31のそれ以上の挿通方向への移動を当接により規制するストッパとしての機能を有している。
【0047】
そして、前記差口部材31には、第1係合片314の内径方向つまり半径方向内方への弾性変形を許容する切欠部33が設けられている。この切欠部33は、第1係合片314を周方向所定間隔(90°)おきの4箇所で軸線方向に切り欠くスリット状の切欠溝331を備えている。前記各切欠溝331は、先端側部位312の先端より基端側部位321の近傍まで至り、前記第1係合片314を周方向で4つに分割している。この場合、各第1係合片314は、第2係合片324との係合時に当該第2係合片324を乗り越えられるように切欠部33によって半径方向内方へ弾性変形し、その第1係合片314の軸線方向他側端の第1縦面315を第2係合片324の軸線方向一側端の縦面320に係合させている。
【0048】
したがって、本実施の形態では、第1小径鞘管111の一側端部と第2小径鞘管112の他側端部とを接合するに当たり、第2小径鞘管112の他側端部をスピンウェルドにより融着して接合した受口部材32の先端側部位322の内周面に対し、第1小径鞘管111の一側端部をスピンウェルドにより融着して接合した差口部材31の先端側部位312の外周面を挿通させると、差口部材31の切欠部33、つまり第1係合片314を周方向所定間隔おきの4箇所で軸線方向に切り欠くスリット状の切欠溝331によって、各第1係合片314の半径方向内方への弾性変形が許容される。このため、差口部材31の各第1係合片314と受口部材32の第2係合片324との係合を各小径鞘管11(第1及び第2小径鞘管111,112)の熱伸縮による荷重に耐え得るように第1及び第2係合片314,324の縦面315,320同士の係合高さ(半径方向での互いの重なり代)を1.2mmに設定していても、受口部材32に対し差口部材31を挿通させた際に各第1係合片314の半径方向内方への弾性変形によって各第1係合片314の軸線方向他側端の第1縦面315が第2係合片324を乗り越えて当該第2係合片324の軸線方向一側端の縦面320に無理なくスムーズに係合する。
これにより、各第1係合片314が第2係合片324を乗り越える際に、受口部材32の第2係合片324を大きく拡径させる変形と差口部材31の各第1係合片314を小さく縮径させる変形といった第1及び第2係合片314,324の大きな変形が不要となり、差口部材31の各第1係合片314及び受口部材32の第2係合片324の裂傷などによる変形も生じることがなくなって、受口部材32と差口部材31との接合強度を安定して得ることができる。
【0049】
また、前記各第1係合片314の外周面が軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されている上、第2係合片324の内周面が軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されているので、受口部材32に対する差口部材31の挿通時に各第1係合片314のテーパ状の外周面が第2係合片324のテーパ状の内周面をスムーズに乗り越え、各第1係合片314を第2係合片324に無理なくスムーズに係合させることができる。
【0050】
次に、本発明の第3の実施の形態を図10〜図13に基づいて説明する。
この実施の形態では、接合部品の構成を変更している。なお、接合部品を除くその他の構成は、前記第1の実施の形態と同じであり、同一部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0051】
すなわち、本実施の形態では、図10に示すように、接合部品4は、第1小径鞘管111の一側端部に取り付けられた差口部分としての差口部材41と、第2小径鞘管112の他側端部に取り付けられた受口部分としての受口部材42とを備えている。この差口部材41及び受口部材42は、それぞれ硬質塩化ビニル樹脂を射出成形して形成される。また、前記差口部材41は、軸線方向一側(図10では左側)となる先端側部位412と、軸線方向他側(図10では右側)となる基端側部位411とからなる。そして、前記差口部材41の基端側部位411には、第1小径鞘管111の一側端部の外周面を挿通させる挿通孔413が設けられている。この挿通孔413に挿通された第1小径鞘管111の一側端部と差口部材41とは、スピンウェルドによる軸線回りの相対回転により融着されて一体的に接合されている。
【0052】
一方、前記受口部材42は、軸線方向一側(図10では左側)となる基端側部位421と、軸線方向他側(図10では右側)となる先端側部位422とからなる。そして、前記受口部材42の基端側部位421には、第2小径鞘管112の他側端部の外周面を挿通させる挿通孔423が設けられている。この挿通孔423に挿通された第2小径鞘管112の他側端部と受口部材42とは、スピンウェルドによる軸線回りの相対回転により融着されて一体的に接合されている。
【0053】
また、図11に示すように、前記差口部材41の先端側部位412の外周面には、その先端より軸線方向に所定長さ(例えば15mm程度)の奥行きをもって半径方向外方に突出する第1係合片414が設けられている。この第1係合片414は、前記差口部材41の外周面の周方向全域に亘って連続的に突出している。そして、前記第1係合片414の外周面は、軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されている。また、前記差口部材41の第1係合片414を除く先端側部位412の外周面は、前記基端側部位411の外周面よりも小径に形成され、軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されている。そして、前記第1係合片414の外周面とこの第1係合片414を除く先端側部位412の外周面とは、段差状に形成され、前記第1係合片414の軸線方向他側端の第1縦面415によって連結されている。また、前記基端側部位411の外周面と前記先端側部位412の外周面とは、段差状に形成され、前記基端側部位411の軸線方向一側端の第2縦面416によって連結されている。
【0054】
一方、図12及び図13に示すように、前記受口部材42の先端側部位422の内周面には、その中央部付近において軸線方向に所定長さ(例えば6mm〜7mm程度)の奥行きをもって半径方向内方に突出する第2係合片424が設けられている。この第2係合片424は、前記受口部材42の内周面の周方向所定間隔おきの4箇所において周方向に所定長さ(例えば8mm〜10mm程度)の幅をもってそれぞれ突出している。そして、前記第2係合片424は、その内周面の先端部(図12では右端部)が軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成され、その内周面の基端部となる軸線方向一側端部(図12では左端部)が最も半径方向内方に突出している。この場合、第1係合片414と各第2係合片424との係合を各小径鞘管11(第1及び第2小径鞘管111,112)の熱伸縮による荷重に耐え得るようにする上で、差口部材41の第1係合片414の軸線方向他側端の第1縦面415と各第2係合片424の軸線方向一側端の縦面420との係合高さ(半径方向での互いの重なり代)を1.2mmに設定している。
【0055】
また、前記受口部材42の第2係合片424を除く先端側部位422の内周面は、前記基端側部位421の内周面よりも大径に形成されている。そして、前記各第2係合片424よりも第2小径鞘管112側の先端側部位422の内周面と前記基端側部位421の内周面とは、前記各第2係合片424よりも半径方向内方に突出する突片425によって連結されている。この突片425の軸線方向他側端(図12では右端)の縦面425aは、差口部材41の第1係合片414の軸線方向他側端の第1縦面415が各第2係合片424の軸線方向一側端の縦面420に係合した際に受口部材42に対する差口部材41のそれ以上の挿通方向への移動を当接により規制するストッパとしての機能を有している。
【0056】
そして、前記受口部材42には、各第2係合片424の半径方向外方への弾性変形を許容する切欠部43が設けられている。この各切欠部43は、各第2係合片424の周方向両端を軸線方向に切り欠くスリット状の第1切欠溝431,431と、各第2係合片424の軸線方向他側端(図12では右端)を周方向に切り欠くスリット状の第2切欠溝432とを備え、この各第1切欠溝431と第2切欠溝432とによって外面視で略コの字状を呈している。前記各第1切欠溝431は、前記第2係合片424の先端より基端側部位421の近傍まで至り、前記各第2係合片424の半径方向外方への弾性変形を円滑に行えるようにしている。この場合、各第2係合片424は、第1係合片414との係合時に当該第1係合片414が乗り越えられるように切欠部43によって半径方向外方へ弾性変形し、その各第2係合片424の軸線方向一側端の縦面420に前記第1係合片414の軸線方向他側端の第1縦面415を係合させている。
【0057】
したがって、本実施の形態では、第1小径鞘管111の一側端部と第2小径鞘管112の他側端部とを接合するに当たり、第2小径鞘管112の他側端部をスピンウェルドにより融着して接合した受口部材42の先端側部位422の内周面に対し、第1小径鞘管111の一側端部をスピンウェルドにより融着して接合した差口部材41の先端側部位412の外周面を挿通させると、受口部材42の略コの字状の切欠部43、つまり各第2係合片424の周方向両端を軸線方向に切り欠くスリット状の第1切欠溝431,431と、各第2係合片424の軸線方向他側端を周方向に切り欠くスリット状の第2切欠溝432とによって、各第2係合片424の半径方向外方への弾性変形が許容される。このため、差口部材41の第1係合片414と受口部材42の各第2係合片424との係合を各小径鞘管11(第1及び第2小径鞘管111,112)の熱伸縮による荷重に耐え得るように第1及び第2係合片414,424の縦面415,420同士の係合高さ(半径方向での互いの重なり代)を1.2mmに設定していても、受口部材42に対し差口部材41を挿通させた際に各第2係合片424の半径方向外方への弾性変形によって第1係合片414の軸線方向他側端の第1縦面415が各第2係合片424を乗り越えて当該各第2係合片424の軸線方向一側端の縦面420に無理なくスムーズに係合する。
これにより、第1係合片414が各第2係合片424を乗り越える際に、受口部材42の各第2係合片424を大きく拡径させる変形と差口部材41の第1係合片414を小さく縮径させる変形といった第1及び第2係合片414,424の大きな変形が不要となり、差口部材41の第1係合片414及び受口部材42の各第2係合片424の裂傷などによる変形も生じることがなくなって、受口部材42と差口部材41との接合強度を安定して得ることができる。
【0058】
また、前記第1係合片414の外周面の先端部が軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されている上、各第2係合片424の内周面が軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されているので、受口部材42に対する差口部材41の挿通時に第1係合片414のテーパ状の外周面が各第2係合片424のテーパ状の内周面をスムーズに乗り越え、第1係合片414を各第2係合片424に無理なくスムーズに係合させることができる。
【0059】
次に、本発明の第4の実施の形態を図14〜図17に基づいて説明する。
この実施の形態では、接合部品の構成を変更している。なお、接合部品を除くその他の構成は、前記第1の実施の形態と同じであり、同一部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0060】
すなわち、本実施の形態では、図14に示すように、接合部品5は、第1小径鞘管111の一側端部に取り付けられた差口部分としての差口部材51と、第2小径鞘管112の他側端部に取り付けられた受口部分としての受口部材52とを備えている。この差口部材51及び受口部材52は、それぞれ硬質塩化ビニル樹脂を射出成形して形成される。また、前記差口部材51は、軸線方向一側(図14では左側)となる先端側部位512と、軸線方向他側(図14では右側)となる基端側部位511とからなる。そして、前記差口部材51の基端側部位511には、第1小径鞘管111の一側端部の外周面を挿通させる挿通孔513が設けられている。この挿通孔513に挿通された第1小径鞘管111の一側端部と差口部材51とは、スピンウェルドによる軸線回りの相対回転により融着されて一体的に接合されている。
【0061】
一方、前記受口部材52は、軸線方向一側となる基端側部位521と、軸線方向他側となる先端側部位522とからなる。そして、前記受口部材52の基端側部位521には、第2小径鞘管112の他側端部の外周面を挿通させる挿通孔523が設けられている。この挿通孔523に挿通された第2小径鞘管112の他側端部と受口部材52とは、スピンウェルドによる軸線回りの相対回転により融着されて一体的に接合されている。
【0062】
また、図15及び図16に示すように、前記差口部材51の先端側部位512の外周面には、その中央部付近において軸線方向に所定長さ(例えば6mm〜8mm程度)の奥行きをもって半径方向外方に突出する第1係合片514が設けられている。この第1係合片514は、前記差口部材51の内周面の周方向所定間隔おきの4箇所において周方向に所定長さ(例えば8mm〜10mm程度)の幅をもってそれぞれ半径方向外方に突出している。そして、前記各第1係合片514は、その外周面の先端側(図15では左側)が軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成され、その外周面の基端部となる軸線方向他側端部(図15では右端部)が最も半径方向外方に突出している。また、前記差口部材51の第1係合片514を除く先端側部位512の外周面は、前記基端側部位511の外周面よりも小径に形成されている。そして、前記第1係合片514の外周面とこの第1係合片514を除く先端側部位512の外周面とは、段差状に形成され、前記第1係合片514の軸線方向他側端の第1縦面515によって連結されている。また、前記基端側部位511の外周面と前記先端側部位512の外周面とは、段差状に形成され、前記基端側部位511の軸線方向一側端の第2縦面516によって連結されている。
【0063】
一方、図17に示すように、前記受口部材52の先端側部位522の内周面には、その先端部において軸線方向に所定長さ(例えば15mm程度)の奥行きをもって半径方向内方に突出する第2係合片524が設けられている。この第2係合片524は、前記受口部材52の内周面の周方向全域に亘って突出している。この場合、各第1係合片514と第2係合片524との係合を各小径鞘管11(第1及び第2小径鞘管111,112)の熱伸縮による荷重に耐え得るようにする上で、差口部材51の各第1係合片514の軸線方向他側端の第1縦面515と第2係合片524の軸線方向一側端の縦面520との係合高さ(半径方向での互いの重なり代)を1.2mmに設定している。
【0064】
また、前記受口部材52の第2係合片524を除く先端側部位522の内周面は、前記基端側部位521の内周面よりも大径に形成されている。そして、前記第2係合片524を除く先端側部位522の内周面と前記基端側部位521の内周面とは、前記第2係合片524よりも半径方向内方に突出する突片525によって連結されている。この突片525の軸線方向他側端(図17では右端)の縦面525aは、差口部材51の各第1係合片514の軸線方向他側端の第1縦面515が第2係合片524の軸線方向一側端の縦面520に係合した際に受口部材52に対する差口部材51のそれ以上の挿通方向への移動を当接により規制するストッパとしての機能を有している。
【0065】
そして、図15及び図16に示すように、前記差口部材51には、各第1係合片514の半径方向内方への弾性変形を許容する切欠部53が設けられている。この切欠部53は、各第1係合片514の周方向両端を軸線方向に切り欠くスリット状の第1切欠溝531,531と、各第1係合片514の軸線方向一側端を周方向に切り欠くスリット状の第2切欠溝532とを備え、この各第1切欠溝531と第2切欠溝532とによって外面視で略コの字状を呈している。また、各第1切欠溝531は、各第1係合片514の半径方向内方への弾性変形が許容されるように第2切欠溝532の両端より基端側部位511の近傍まで切り欠かれている。この場合、各第1係合片514は、第2係合片524との係合時に当該第2係合片524を乗り越えられるように切欠部53によって半径方向内方へ弾性変形し、その各第1係合片514の軸線方向他側端の第1縦面515を前記第2係合片524の軸線方向一側端の縦面520に係合させている。
【0066】
したがって、本実施の形態では、第1小径鞘管111の一側端部と第2小径鞘管112の他側端部とを接合するに当たり、第2小径鞘管112の他側端部をスピンウェルドにより融着して接合した受口部材52の先端側部位522の内周面に対し、第1小径鞘管111の一側端部をスピンウェルドにより融着して接合した差口部材51の先端側部位512の外周面を挿通させると、差口部材51の切欠部53、つまり各第1係合片514の周方向両端を軸線方向に切り欠くスリット状の第1切欠溝531,531と、各第1係合片514の軸線方向一側端を周方向に切り欠くスリット状の第2切欠溝532とによって、各第1係合片514の半径方向内方への弾性変形が許容される。このため、差口部材51の各第1係合片514と受口部材52の第2係合片524との係合を各小径鞘管11の熱伸縮による荷重に耐え得るように第1及び第2係合片514,524の縦面515,520同士の係合高さ(半径方向での互いの重なり代)を1.2mmに設定していても、受口部材52に対し差口部材51を挿通させた際に各第1係合片514の半径方向内方への弾性変形によって各第1係合片514の軸線方向他側端の第1縦面515が第2係合片524を乗り越えて当該第2係合片524の軸線方向一側端の縦面520に無理なくスムーズに係合する。
これにより、各第1係合片514が第2係合片524を乗り越える際に、受口部材52の第2係合片524を大きく拡径させる変形と差口部材51の各第1係合片514を小さく縮径させる変形といった第1及び第2係合片514,524の大きな変形が不要となり、差口部材51の各第1係合片514及び受口部材52の第2係合片524の裂傷などによる変形も生じることがなくなって、受口部材52と差口部材51との接合強度を安定して得ることができる。
【0067】
また、前記各第1係合片514の外周面が軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されている上、第2係合片524の内周面が軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されているので、受口部材52に対する差口部材51の挿通時に各第1係合片514のテーパ状の外周面が第2係合片524のテーパ状の内周面をスムーズに乗り越え、各第1係合片514を第2係合片524に無理なくスムーズに係合させることができる。
【0068】
次に、本発明の第5の実施の形態を図18〜図21に基づいて説明する。
この実施の形態では、接合部品の構成を変更している。なお、接合部品を除くその他の構成は、前記第1の実施の形態と同じであり、同一部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0069】
すなわち、本実施の形態では、図18に示すように、接合部品6は、第1小径鞘管111の一側端部に取り付けられた差口部分としての差口部材61と、第2小径鞘管112の他側端部に取り付けられた受口部分としての受口部材62とを備えている。この差口部材61及び受口部材62は、それぞれ硬質塩化ビニル樹脂を射出成形して形成される。また、前記差口部材61は、軸線方向一側(図18では左側)となる先端側部位612と、軸線方向他側(図18では右側)となる基端側部位611とからなる。そして、前記差口部材61の基端側部位611には、第1小径鞘管111の一側端部の外周面を挿通させる挿通孔613が設けられている。この挿通孔613に挿通された第1小径鞘管111の一側端部と差口部材61とは、スピンウェルドによる軸線回りの相対回転により融着されて一体的に接合されている。
【0070】
一方、前記受口部材62は、軸線方向一側(図18では左側)となる基端側部位621と、軸線方向他側(図18では右側)となる先端側部位622とからなる。そして、前記受口部材62の基端側部位621には、第2小径鞘管112の他側端部の外周面を挿通させる挿通孔623が設けられている。この挿通孔623に挿通された第2小径鞘管112の他側端部と受口部材62とは、スピンウェルドによる軸線回りの相対回転により融着されて一体的に接合されている。
【0071】
また、図19及び図20に示すように、前記差口部材61の先端側部位612の外周面には、その中央部付近において軸線方向に所定長さ(例えば15mm程度)の奥行きをもって半径方向外方に突出する第1係合片614が設けられている。この第1係合片614は、前記差口部材61の外周面の周方向所定間隔おきの4箇所において周方向に所定長さ(例えば8mm〜10mm程度)の幅をもってそれぞれ半径方向外方に突出している。そして、前記各第1係合片614は、その外周面が軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成され、その軸線方向他側端(図19では右端)が最も半径方向外方に突出している。また、前記差口部材61の各第1係合片614を除く先端側部位612の外周面は、前記基端側部位611の外周面よりも小径に形成されている。そして、前記各第1係合片614の外周面とこの各第1係合片614を除く先端側部位612の外周面とは、段差状に形成され、前記各第1係合片614の軸線方向他側端の第1縦面615によって連結されている。また、前記基端側部位611の外周面と前記先端側部位612の外周面とは、段差状に形成され、前記基端側部位611の軸線方向一側端の第2縦面616によって連結されている。
【0072】
一方、図21に示すように、前記受口部材62の先端側部位622の内周面には、その先端より軸線方向に所定長さ(例えば6mm〜7mm程度)の奥行きをもって半径方向内方に突出する第2係合片624が設けられている。この第2係合片624は、前記受口部材62の内周面の周方向全域に亘って半径方向内方に突出している。この場合、各第1係合片614と第2係合片624との係合を各小径鞘管11(第1及び第2小径鞘管111,112)の熱伸縮による荷重に耐え得るようにする上で、差口部材61の各第1係合片614の軸線方向他側端の第1縦面615と第2係合片624の軸線方向一側端の縦面620との係合高さ(半径方向での互いの重なり代)を1.2mmに設定している。
【0073】
また、前記受口部材62の第2係合片624を除く先端側部位622の内周面は、前記基端側部位621の内周面よりも大径に形成されている。そして、前記第2係合片624を除く先端側部位622の内周面と前記基端側部位621の内周面とは、前記第2係合片624よりも半径方向内方に突出する突片625によって連結されている。この突片625の軸線方向他側端(図21では右端)の縦面625aは、差口部材61の各第1係合片614の軸線方向他側端の第1縦面615が第2係合片624の軸線方向一側端の縦面620に係合した際に受口部材62に対する差口部材61のそれ以上の挿通方向への移動を当接により規制するストッパとしての機能を有している。
【0074】
そして、図19及び図20に示すように、前記差口部材61には、各第1係合片614の半径方向内方への弾性変形を許容する切欠部63が設けられている。この切欠部63は、各第1係合片614の周方向両端を軸線方向に切り欠くスリット状の第1切欠溝631,631と、各第1係合片614の軸線方向他側端(図19では右端)を周方向に切り欠くスリット状の第2切欠溝632とを備え、この各第1切欠溝631と第2切欠溝632とによって外面視で略コの字状を呈している。また、各第1切欠溝631は、各第1係合片614の半径方向内方への弾性変形が許容されるように第2切欠溝632の両端より先端側部位612の先端付近まで切り欠かれている。この場合、各第1係合片614は、第2係合片624との係合時に当該第2係合片624を乗り越えるように切欠部63によって半径方向内方へ弾性変形し、その各第1係合片614の軸線方向他側端の第1縦面615を前記第2係合片624の軸線方向一側端の縦面620に係合させている。
【0075】
したがって、本実施の形態では、第1小径鞘管111の一側端部と第2小径鞘管112の他側端部とを接合するに当たり、第2小径鞘管112の他側端部をスピンウェルドにより融着して接合した受口部材62の先端側部位622の内周面に対し、第1小径鞘管111の一側端部をスピンウェルドにより融着して接合した差口部材61の先端側部位612の外周面を挿通させると、受口部材62の略コの字状の切欠部63、つまり各第2係合片624の周方向両端を軸線方向に切り欠くスリット状の第1切欠溝631,631と、各第1係合片614の軸線方向他側端を周方向に切り欠くスリット状の第2切欠溝632とによって、各第1係合片614の半径方向内方への弾性変形が許容される。このため、差口部材61の各第1係合片614と受口部材62の第2係合片624との係合を各小径鞘管11(第1及び第2小径鞘管111,112)の熱伸縮による荷重に耐え得るように第1及び第2係合片614,624の縦面615,620同士の係合高さ(半径方向での互いの重なり代)を1.2mmに設定していても、受口部材62に対し差口部材61を挿通させた際に第1係合片614の半径方向内方への弾性変形によって各第1係合片614の軸線方向他側端の第1縦面615が第2係合片624を乗り越えて当該各第2係合片624の軸線方向一側端の縦面620に無理なくスムーズに係合する。
これにより、各第1係合片614が第2係合片624を乗り越える際に、受口部材62の各第2係合片624を大きく拡径させる変形と差口部材61の第1係合片614を小さく縮径させる変形といった第1及び第2係合片614,624の大きな変形が不要となり、差口部材61の各第1係合片614及び受口部材62の第2係合片624の裂傷などによる変形も生じることがなくなって、受口部材62と差口部材61との接合強度を安定して得ることができる。
【0076】
また、前記各第1係合片614の外周面が軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されているので、受口部材62に対する差口部材61の挿通時に各第1係合片614のテーパ状の外周面が第2係合片624の内周面をスムーズに乗り越え、各第1係合片614を第2係合片624に無理なく円滑に係合させることができる。
【0077】
次に、本発明の第6の実施の形態を図22〜図26に基づいて説明する。
この実施の形態では、接合部品の構成を変更している。なお、接合部品を除くその他の構成は、前記第1の実施の形態と同じであり、同一部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0078】
すなわち、本実施の形態では、図22に示すように、接合部品8は、第1小径鞘管111の一側端部に取り付けられた差口部分としての差口部材81と、第2小径鞘管112の他側端部に取り付けられた受口部分としての受口部材82とを備えている。この差口部材81及び受口部材82は、それぞれ硬質塩化ビニル樹脂を射出成形して形成される。
【0079】
前記差口部材81は、図23にも示すように、軸線方向一側(図23では左側)となる先端側部位812と、軸線方向他側(図23では右側)となる基端側部位811とからなる。そして、差口部材81の基端側部位811には、第1小径鞘管111の一側端部の外周面を挿通させる挿通孔813が設けられている。この挿通孔813に挿通された第1小径鞘管111の一側端部と差口部材81とは、スピンウェルドによる軸線回りの相対回転により融着されて一体的に接合されている。
【0080】
一方、図24に示すように、前記受口部材82は、軸線方向一側(図24では左側)となる基端側部位821と軸線方向他側(図24では右側)となる先端側部位822とからなる。そして、受口部材82の基端側部位821には、第2小径鞘管112の他側端部の外周面を挿通させる挿通孔823が設けられている。この挿通孔823に挿通された第2小径鞘管112の他側端部と受口部材82とは、スピンウェルドによる軸線回りの相対回転により融着されて一体的に接合されている。
【0081】
また、前記差口部材81の先端側部位812の外周面には、その先端より軸線方向に所定長さ(例えば8mm程度)の奥行きをもって半径方向外方に突出する第1係合片814が設けられている。この第1係合片814は、前記差口部材81の外周面の周方向全域に亘って連続的に突出している。そして、前記第1係合片814の外周面は、前記差口部材81の軸線方向一側(図23では左側)へ小径となるテーパ状に形成されている。また、差口部材81の第1係合片814を除く先端側部位812の外周面は、基端側部位811の外周面よりも小径に形成され、差口部材81の軸線方向一側へ小径となるテーパ状に形成されている。そして、第1係合片814の外周面とこの第1係合片814を除く先端側部位812の外周面とは、段差状に形成され、前記第1係合片814の軸線方向他側端(図23では右端)の第1縦面815によって連結されている。また、前記基端側部位811の外周面と先端側部位812の外周面とは、段差状に形成され、基端側部位811の軸線方向一側端の第2縦面816によって連結されている。
【0082】
一方、前記受口部材82の先端側部位822の内周面には、その中央部付近において軸線方向に所定長さ(例えば15mm程度)の奥行きをもって半径方向内方に突出する第2係合片824が設けられている。この第2係合片824は、前記受口部材82の内周面の周方向所定間隔おきの4箇所において周方向に所定長さ(例えば8mm〜10mm程度)の幅をもってそれぞれ突出している。そして、第2係合片824は、その内周面が受口部材82の軸線方向一側(図24では左側)へ小径となるテーパ状に形成され、その軸線方向一側端(図24では左端)が最も半径方向内方に突出している。この場合、差口部材81の第1係合片814の軸線方向他側端の第1縦面815と各第2係合片824の軸線方向一側端の縦面820との係合高さ(半径方向での互いの重なり代)を1.2mmに設定している。
【0083】
また、前記受口部材82の第2係合片824を除く先端側部位822の内周面は、前記基端側部位821の内周面よりも大径に形成されている。そして、前記第2係合片824を除く先端側部位822の内周面と前記基端側部位821の内周面とは、前記第2係合片824よりも半径方向内方に突出する突片825によって連結されている。この突片825の軸線方向他側端(図24では右端)の縦面825aは、差口部材821の第1係合片814の軸線方向他側端の第1縦面815が各第2係合片824の軸線方向一側端の縦面820に係合した際に受口部材82に対する差口部材81のそれ以上の挿通つまり挿通方向への移動を当接により規制するストッパとしての機能を有している。
【0084】
そして、図25にも示すように、前記差口部材81の先端側部位812の外周面の軸線方向他側の端部には、この軸線方向他側の端部の外径を半径方向外方に均一に拡径させた環状の拡径部83が一体的に設けられている。この拡径部83は、差口部材81の先端側部位812を受口部材82の先端側部位822に挿通させて接合した際に、その受口部材82の先端側部位822の内周面の軸線方向他側の端部を差口部材81の先端側部位812の外周面の軸線方向他側の端部に対し半径方向へ隙間なく嵌入させるようにしている。また、拡径部83の軸線方向一側には、当該拡径部83を差口部材81の外周面における軸線方向一側に向かうに従い縮径させるテーパ面831が一体的に設けられている。
【0085】
更に、図26に示すように、前記各第2係合片824の軸線方向一側の端部、つまり各第2係合片824の先端(軸線方向一側の端部)と突片825の軸線方向他側端の縦面825aとの間には、各第2係合片824の先端(端面)に沿って受口部分82の半径方向外方に貫通する貫通孔827が設けられている。この各貫通孔827は、硬質塩化ビニル樹脂を射出成形して前記受口部材82を形成する金型(図示せず)の4つのスライドコアK(図26では3つのみ示す)を半径方向外方にスライドさせるために供される。この場合、スライドコアKは、その内周端が各第2係合片824先端の内周端と当該各第2係合片824先端の外周端よりも外方位置との間でスライド移動する。
【0086】
したがって、本実施の形態では、差口部材81の先端側部位812を受口部材82の先端側部位822に挿通させて接合した際に、受口部材82の先端側部位822の内周面の軸線方向他側の端部が先端側部位812の外周面における軸線方向他側の端部に対し半径方向へ隙間なく嵌入される。このため、差口部材81の先端側部位812の外周面における軸線方向他側の端部と受口部材82の先端側部位822の内周面の軸線方向他側の端部との間にガタつきが発生することがない。これにより、曲がりのあるコーナー部で使用しても差口部材81と受口部材82との間で曲げによる段差が生じることがなく、内部に収容した通信ケーブルなどへの段差による損傷を防止することができる。
【0087】
また、拡径部83の軸線方向一側に、当該拡径部83を差口部材81の先端側部位の外周面において軸線方向一側に向かうに従い縮径させるテーパ面831が設けられている。このため、差口部材81を受口部材82に挿通させて接合する際に受口部材82の先端側部位822の内周面の軸線方向他側の端部が差口部材81の先端側部位812の外周面の拡径部83(軸線方向他側の端部)にテーパ面831に沿って円滑に案内される。これにより、差口部材81を受口部材82に挿通させて接合する際の作業をスムーズに行うことができる。
【0088】
更に、各第2係合片854の先端と突片855の軸線方向他側端の縦面855aとの間に、各第2係合片824の先端に沿って受口部分82の半径方向外方に貫通する貫通孔827が設けられているので、各第2係合片824を形成するに当たり、各貫通孔827を介して金型のスライドコアKを半径方向外方にスライドさせればよい。これにより、受口部材82の内周面を成形する型の構造を非常に簡単なものにすることができる。
【0089】
なお、本実施の形態では、差口部材81の先端側部位812の外周面の軸線方向他側の端部にその外径を半径方向外方に均一に拡径させた環状の拡径部83を設けたが、図27に示すように、差口部材81の先端側部位812の外周面の軸線方向他側の端部の周方向所定間隔置き(例えば120°置き)の3箇所においてそれぞれ軸線方向他側の端部の外径を半径方向外方に均一に拡径させた周方向に断続的に延びる拡径部84が設けられていてもよい。この場合、拡径部84は3箇所に限らず、周方向所定間隔置きの4箇所以上に設けられていてもよい。また、個々の拡径部の軸線方向一側に、当該各拡径部を差口部材の先端側部位の外周面において軸線方向一側に向かうに従い縮径させるテーパ面がそれぞれ設けられていてもよいのはいうまでもない。
【0090】
次に、本発明の第7の実施の形態を図28〜図31に基づいて説明する。
この実施の形態では、受口部材の構成を変更している。なお、受口部材を除くその他の構成は、前記第1の実施の形態と同じであり、同一部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0091】
すなわち、本実施の形態では、図28に示すように、受口部材85(受口部分)は、第2小径鞘管112の他側端部に取り付けられ、硬質塩化ビニル樹脂を射出成形して形成される。前記受口部材85は、軸線方向一側(図28では左側)となる基端側部位851と、軸線方向他側(図28では右側)となる先端側部位852とからなる。そして、前記受口部材85の基端側部位851には、第2小径鞘管112の他側端部の外周面を挿通させる挿通孔853が設けられている。この挿通孔853に挿通された第2小径鞘管112の他側端部と受口部材85とは、スピンウェルドによる軸線回りの相対回転により融着されて一体的に接合されている。
【0092】
また、前記受口部材85の先端側部位852の内周面には、その先端より軸線方向に所定長さ(例えば6mm〜7mm程度)の奥行きをもって半径方向内方に突出する第2係合片854が設けられている。この第2係合片854は、前記受口部材85の内周面の周方向所定間隔(略90°)置きの4箇所より半径方向内方に突出している。この場合、差口部材21の各第1係合片214と第2係合片854との係合を各小径鞘管11(第1及び第2小径鞘管111,112)の熱伸縮による荷重に耐え得るようにする上で、差口部材21の各第1係合片214の軸線方向他側端の第1縦面215と第2係合片854の軸線方向一側端の縦面850との係合高さ(半径方向での互いの重なり代)を1.2mmに設定している。
【0093】
前記受口部材85の第2係合片854を除く先端側部位852の内周面は、前記基端側部位851の内周面よりも大径に形成されている。そして、前記第2係合片854を除く先端側部位852の内周面と基端側部位851の内周面とは、第2係合片854よりも半径方向内方に突出する突片855によって連結されている。この突片855の軸線方向他側端(図28では右端)の縦面855aは、差口部材21の各第1係合片214の軸線方向他側端の第1縦面215が第2係合片854の軸線方向一側端の縦面854aに係合した際に受口部材85に対する差口部材21のそれ以上の挿通方向への移動を当接により規制するストッパとしての機能を有している。
【0094】
そして、図29にも示すように、前記各第2係合片854の外周面には、その周方向中央位置において先端(図28では左端)より受口部材85の軸線方向に延びる一条のリブ856が一体的に設けられている。このリブ856は、受口部材85の半径方向の高さが2mm以下で、かつ周方向の幅が3mm以下程度に設定されている。これは、埋設管10内での収容性及び差口部材21の挿入性を考慮して設定される。また、前記リブ856の軸線方向の長さは、第2係合片854の先端から基端(図28では右端)までの長さ以上に設定されている。そして、リブ856は、スピンウェルドによる第2小径鞘管112の他側端部との接合時に回転装置(図示せず)で固定し易いものとなり、回転装置との間での受口部材85の周方向への滑りが防止できる。なお、図30及び図31に示すように、小径鞘管11及び大径鞘管12は、リブ856による制約を可及的に抑えた状態で、大小大きさの異なる埋設管10,10´内にそれぞれ敷設されている。
【0095】
したがって、本実施の形態では、各第2係合片854の外周面に、その先端より受口部材85の軸線方向に延びるリブ856が一体的に設けられているので、各第2係合片854の剛性がリブ856によって向上し、受口部材85の座屈に対する強度を高めることができる。しかも、受口部材85を第2鞘管112の軸線方向他側の端部にスピンウェルドにより接合する際に回転装置に対する受口部材85の固定がリブ856を利用して円滑に行え、回転装置による受口部材85の固定を簡単に行うことができる。
【0096】
なお、本実施の形態では、各第2係合片854の外周面に、その周方向中央位置において先端より受口部材85の軸線方向に延びる一条のリブ856を設けたが、各第2係合片の外周面に、その先端より受口部材の軸線方向に延びる複数条のリブが設けられていてもよい。この場合には、各第2係合片854の剛性が複数条のリブによってさらに向上し、受口部材85の座屈に対する強度をより高めることが可能となる。
【0097】
また、本実施の形態では、外周面のリブ856によって4つの第2係合片854の剛性をそれぞれ向上させたが、各第2係合片の長さ及び周方向の長さ(幅)を最適に設定して当該第2係合片の剛性をそれぞれ向上させるようにしてもよい。
具体的には、先端側部位の周方向の長さから4つの第2係合片の周方向の長さとこの第2係合片の周方向両端の第1切欠溝231とを除いた部分の周方向の長さが、引張強度に寄与するため、各小径鞘管では30.7°以上の範囲で必要となり、各大径鞘管では26.7°以上の範囲で必要となる。このことから、安全性を配慮して、各小径鞘管では37°の範囲の周方向の長さが、各大径鞘管では42°の範囲の周方向の長さがそれぞれ確保されるように、各大径鞘管及び各小径鞘管の第2係合片の周方向の長さを39°の範囲に設定すればよい。また、各第2係合片の軸線方向の長さは、各第2係合片の周方向の長さの半分から各第2係合片の周方向の長さ以下に設定すればよい。
このように、各第2係合片の周方向の長さ及び軸線方向の長さを設定することで、引張荷重に抗しつつ受口部材85の座屈に対する強度を高めることが可能となる。
【0098】
次に、本発明の第8の実施の形態を図32に基づいて説明する。
この実施の形態では、差口部材及び受口部材を透明な硬質塩化ビニル樹脂により成形している。なお、差口部材及び受口部材を透明な硬質塩化ビニル樹脂により成形する以外の構成は、前記第1の実施の形態と同じであり、同一部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0099】
すなわち、本実施の形態では、図32に示すように、接合部品9は、透視可能な透明の硬質塩化ビニル樹脂よりなる差口部分としての差口部材91と、透視可能な透明の硬質塩化ビニル樹脂よりなる受口部分としての受口部材92とを備えている。前記差口部材91は、軸線方向一側(図32では左側)の先端側部位912と、軸線方向他側(図32では右側)の基端側部位911とからなる。一方、前記受口部材92は、軸線方向一側の基端側部位921と軸線方向他側の先端側部位922とからなる。また、第1及び第2小径鞘管111,112の内部に収容される複数の通信ケーブル(図示せず)などは、互いに異なる色に着色されており、第1及び第2小径鞘管111,112の内部に収容される通信ケーブル(図示せず)などが差口部材91及び受口部材92を介して透視されるようになっている。
【0100】
したがって、本実施の形態では、第1及び第2小径鞘管111,112の内部に収容される各色の通信ケーブルなどが差口部材91及び受口部材92を介して透視されるので、第1及び第2小径鞘管111,112の内部の通信ケーブルなどの視認性が確保され、通信ケーブル類の種別が簡単に確認でき、第1小径鞘管111の差口部材91と第2小径鞘管112の受口部材92との誤接続を確実に防止することができる。
【0101】
なお、本実施の形態では、差口部材91及び受口部材92を透明な硬質塩化ビニル樹脂により成形したが、図33に示すように、顔料を含む有色の硬質塩化ビニル樹脂によって、軸線方向一側(図33では左側)の先端側部位932と軸線方向他側(図33では右側)の基端側部位931とからなる差口部材93、及び軸線方向一側の基端側部位941と軸線方向他側の先端側部位942とからなる受口部材94をそれぞれ成形し、第1及び第2小径鞘管113,114が透明な硬質塩化ビニル樹脂により成形されていてもよい。この場合においても、第1及び第2小径鞘管113,114の内部の通信ケーブルなどの視認性が確保され、通信ケーブル類の種別が簡単に確認でき、第1小径鞘管113の差口部材93と第2小径鞘管114の受口部材94との誤接続を確実に防止することが可能となる。しかも、顔料を含む有色の硬質塩化ビニル樹脂によって差口部材93及び受口部材94が成形されているので、差口部材93及び受口部材94が表面の擦れなどによって色落ちすることがなく、第1小径鞘管113の差口部材93と第2小径鞘管114の受口部材94との誤接続を確実に防止する上で非常に有利なものとなる。
【0102】
また、図34に示すように、複数種類の第1及び第2小径鞘管111,112(図34では1種類のみ示す)をすべて同色の硬質塩化ビニル樹脂により成形し、互いに対をなして接合される差口部材95及び受口部材96が、それぞれ対をなして接合される他の差口部材及び受口部材とは異なる色の顔料を含む有色の硬質塩化ビニル樹脂により成形されていてもよい。この場合には、それぞれ対をなして接合される差口部材95及び受口部材96同士を色合わせするだけで的確に接続され、第1小径鞘管111の差口部材95と第2小径鞘管112の受口部材96との誤接続を確実に防止することが可能となる。
【0103】
また、図35に示すように、複数種類の第1及び第2小径鞘管111,112をすべて同色の硬質塩化ビニル樹脂により成形し、互いに対をなして接合される差口部材95及び受口部材96を、それぞれ対をなして接合される他の差口部材及び受口部材とは異なる色の顔料を含む有色の硬質塩化ビニル樹脂により成形するとともに、第1及び第2小径鞘管111,112にも差口部材95及び受口部材96と同色のカラーライン111a,112aを軸線方向に描いていてもよい。この場合には、それぞれ対をなして接合される差口部材95及び受口部材96の色合わせがカラーライン111a,112aによってよりスムーズに行われ、差口部材95及び受口部材96が的確に接続されて、第1小径鞘管111の差口部材95と第2小径鞘管112の受口部材96との誤接続をより確実に防止することが可能となる。
【0104】
また、図36に示すように、複数種類の第1及び第2小径鞘管111,112をすべて同色の硬質塩化ビニル樹脂により成形し、互いに対をなして接合される差口部材21及び受口部材22に、それぞれ対をなして接合される差口部材及び受口部材とは異なる色のマーク218,228が記されていてもよい。この場合には、それぞれ対をなして接合される差口部材21及び受口部材22が色ごとのマーク218,228を合わせするだけで簡単に接続され、第1小径鞘管111の差口部材21と第2小径鞘管112の受口部材22との誤接続を確実に防止することが可能となる。
【0105】
更に、図37ないし図39に示すように、複数種類の第1及び第2小径鞘管111,112をすべて同色の硬質塩化ビニル樹脂により成形し、この第1及び第2小径鞘管111,112とのスピンウェルドによる融着を行う際に回転装置97に固定されて回転する差口部材21及び受口部材22に、それぞれ対をなして接合される他の差口部材及び受口部材とは異なる色の周方向へのライン219,229がマーカーMにより記されるようにしてもよい。この場合には、それぞれ対をなして接合される差口部材21及び受口部材22が色ごとのライン219,229を合わせするだけで簡単に接続され、第1小径鞘管111の差口部材21と第2小径鞘管112の受口部材22との誤接続を確実に防止することが可能となる。しかも、差口部材21及び受口部材22に色ごとのライン219,229を、スピンウェルドにより第1及び第2小径鞘管111,112への融着を行う際に簡単に記すことができる。
【0106】
なお、本発明は、前記各実施の形態に限定されるものではなく、その他種々の変形例を本願している。例えば、前記第1の実施の形態では、第1係合片214の第1縦面215が各第2係合片224の縦面220に係合した際に突片225の軸線方向他側端の縦面225aによって差口部材21のそれ以上の挿通を規制したが、図40及び図41に示すように、受口部材22の内周面における突片225と切欠部23の第2切欠溝232との間に断面略半円弧状の環状凹部71を設け、この環状凹部71にゴム輪72を嵌入することで、第1係合片214の第1縦面215が各第2係合片224の縦面220に係合した際にその第1係合片214の先端(図40では左端)が前記ゴム輪72の露出部分721に圧接するシール状態で差口部材21のそれ以上の挿通方向への移動が規制されるようにしてもよい。この場合には、第1係合片214の先端と、受口部材22の内周面における突片225と切欠部23の第2切欠溝232との間が、ゴム輪72によりシールされ、接合部品2の水密性を確保することが可能となる。
そして、前記第2の実施の形態では、第1係合片314の第1縦面315が第2係合片324の縦面320に係合した際に突片325の斜面325aによって差口部材31のそれ以上の挿通方向への移動を規制したが、図42及び図43に示すように、差口部材21の外周面における切欠部33の各切欠溝331の軸線方向他側端と第2縦面316との間に断面略半円弧状の環状凹部73を設け、この環状凹部73にゴム輪74を嵌入することで、第1係合片314の第1縦面315が第2係合片324の縦面320に係合した際にその第2係合片324の内周面が前記ゴム輪74の露出部分741に圧接するシール状態で差口部材31のそれ以上の挿通方向への移動が規制されるようにしてもよい。
また、図44及び図45に示すように、第2係合片324の内周面の軸線方向他側端に断面略半円弧状の環状凹部75を設け、この環状凹部75にゴム輪74を嵌入することで、第1係合片314の第1縦面315が第2係合片324の縦面320に係合した際にその差口部材21の外周面における切欠部33の各切欠溝331の軸線方向他側端と第2縦面316との間が前記ゴム輪74の露出部分741に圧接するシール状態で差口部材31のそれ以上の挿通方向への移動が規制されるようにしてもよい。この場合には、第2係合片324の内周面と、差口部材21の外周面における切欠部33の各切欠溝331と第2縦面316との間がゴム輪74によりシールされ、接合部品3の水密性を確保することが可能となる。
【0107】
また、前記各実施の形態では、半径方向内方へ弾性変形可能な第1係合片314,514,614又は半径方向外方へ弾性変形可能な第2係合片224,424,824,854,924を周方向所定間隔おきの4箇所に設けたが、半径方向内方へ弾性変形可能な第1係合片又は半径方向外方へ弾性変形可能な第2係合片が周方向所定間隔おきの1〜3箇所又は5箇所以上に設けられていてもよいのはいうまでもない。
【0108】
また、前記各実施の形態では、差口部材21,31,41,51,61,81,91を第1小径鞘管111の一側端部に、受口部材22,32,42,52,62,82,85,92を第2小径鞘管112の他側端部にそれぞれスピンウェルドによる軸線回りの相対回転により融着して一体的に接合したが、差口部材を第1小径鞘管の一側端部に、受口部材を第2小径鞘管の他側端部にそれぞれ接着剤により接着して接合されるようにしたり、第1及び第2小径鞘管を射出成形した際に、差口部分が第1小径鞘管の一側端部に、受口部分が第2小径鞘管の他側端部にそれぞれ一体的に形成されるようにしてもよい。
【0109】
更に、前記各実施の形態では、第1係合片214,314,414,514,614,814の第1縦面215,315,415,515,615,815と、第2係合片224,324,424,524,624,824,854の縦面220,320,420,520,620,820,850との係合高さ(半径方向での互いの重なり代)を1.2mmに設定したが、これはあくまでも3300Nの引抜き力を必要とする上で設定した係合高さであり、実際には1mm以上の係合高さがあれば十分な接合力が得られる。また、鞘管のサイズや肉厚によっても、第1係合片の第1縦面と第2係合片の縦面との係合高さが十分な接合力を得る上で変更されるのは云うまでもない。
【符号の説明】
【0110】
111 第1小径鞘管(第1鞘管)
112 第2小径鞘管(第2鞘管)
2 接合部品
21 差口部材(差口部分)
214 第1係合片
22 受口部材(受口部分)
224 第2係合片
225a 縦面(ストッパ)
23 切欠部
3 接合部品
31 差口部材(差口部分)
314 第1係合片
32 受口部材(受口部分)
324 第2係合片
325a 斜面(ストッパ)
33 切欠部
4 接合部品
41 差口部材(差口部分)
414 第1係合片
42 受口部材(受口部分)
424 第2係合片
425a 縦面(ストッパ)
43 切欠部
5 接合部品
51 差口部材(差口部分)
514 第1係合片
52 受口部材(受口部分)
524 第2係合片
525a 縦面(ストッパ)
53 切欠部
6 接合部品
61 差口部材(差口部分)
614 第1係合片
62 受口部材(受口部分)
624 第2係合片
625a 縦面(ストッパ)
63 切欠部
8 接合部品
81 差口部材(差口部分)
814 第1係合片
82 受口部材(受口部分)
824 第2係合片
83 拡径部
831 テーパ面
84 拡径部
85 受口部材(受口部分)
854 第2係合片
827 貫通孔
9 接合部品
91 差口部材(差口部分)
92 受口部材(受口部分)
K スライドコア
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂よりなり、第1鞘管の軸線方向一側の端部に設けられた差口部分と、合成樹脂よりなり、第2鞘管の軸線方向他側の端部に設けられた受口部分とを備え、前記差口部分を前記受口部分に挿通させて当該差口部分と受口部分とを接合するようにした鞘管の接合構造であって、
前記差口部分の外周面には、半径方向外方に突出する第1係合片が設けられている一方、前記受口部分の内周面には、半径方向内方に突出する第2係合片が設けられていて、前記第1係合片が、前記受口部分に対する前記差口部分の挿通時に前記第2係合片を乗り越えて当該第2係合片に係合するようになっており、
前記差口部分及び前記受口部分のいずれか一方には、その一方に設けられる第1又は第2係合片の内外径方向への弾性変形を許容する切欠部が設けられていることを特徴とする鞘管の接合構造。
【請求項2】
前記第1係合片の外周面が、前記差口部分の軸線方向一側へ小径となるテーパ面に形成されている請求項1に記載の鞘管の接合構造。
【請求項3】
前記第2係合片の内周面が、前記受口部分の軸線方向一側へ小径となるテーパ面に形成されている請求項1又は請求項2に記載の鞘管の接合構造。
【請求項4】
前記第1係合片は、前記差口部分の軸線方向一側の端部に設けられている請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の鞘管の接合構造。
【請求項5】
前記差口部分が前記第1鞘管の軸線方向一側の端部に、前記受口部分が前記第2鞘管の軸線方向他側の端部に、それぞれスピンウェルドにより接合されている請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の鞘管の接合構造。
【請求項6】
前記受口部分には、前記第1係合片が前記第2係合片に係合した際に前記受口部分に対する前記差口部分のそれ以上の挿通を規制するストッパが設けられている請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の鞘管の接合構造。
【請求項7】
前記第2係合片の外周面には、前記受口部分の軸線方向に延びるリブが設けられている請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載の鞘管の接続構造。
【請求項8】
前記受口部分の内周面に挿通される前記差口部分の外周面における軸線方向他側の端部には、当該差口部分を前記受口部分に挿通させて接合した際にその受口部分の内周面を前記差口部分の外周面に対し半径方向へ隙間なく嵌入させる拡径部が設けられている請求項1〜請求項7のいずれか1つに記載の鞘管の接続構造。
【請求項9】
前記拡径部の軸線方向一側には、当該拡径部を前記差口部分の外周面における軸線方向一側に向かうに従い縮径させるテーパ面が設けられている請求項8に記載の鞘管の接続構造。
【請求項10】
互いに接合される前記第1鞘管の差口部分及び前記第2鞘管の受口部分と、当該差口部分に対応する第1鞘管及び受口部分に対応する第2鞘管との少なくとも一方は、内部を透視可能な透明の合成樹脂により成形されている請求項1〜請求項9のいずれか1つに記載の鞘管の接続構造。
【請求項11】
前記受口部分が射出成形により成形され、前記第2係合片の軸線方向一側の端部には、その端面に沿って前記受口部分の半径方向外方に貫通する貫通孔が設けられている請求項1〜請求項10のいずれか1つに記載の鞘管の接続構造。
【請求項12】
第1鞘管の軸線方向一側の端部に接合可能な合成樹脂よりなる差口部材と、前記第1鞘管と同一軸線上の第2鞘管の軸線方向他側の端部に接合可能な合成樹脂よりなる受口部材とを備え、前記差口部材を前記受口部材に挿通させて当該差口部材と受口部材とを接合するようにした接合部品であって、
前記差口部材の外周面には、半径方向外方に突出する第1係合片が設けられている一方、 前記受口部材の内周面には、半径方向内方に突出する第2係合片が設けられていて、前記第1係合片が、前記受口部材に対する前記差口部材の挿通時に前記第2係合片を乗り越えて当該第2係合片に係合するようになっており、
前記差口部材及び前記受口部材のいずれか一方には、その一方に設けられる第1又は第2係合片の内外径方向への弾性変形を許容する切欠部が設けられていることを特徴とする接合部品。
【請求項1】
合成樹脂よりなり、第1鞘管の軸線方向一側の端部に設けられた差口部分と、合成樹脂よりなり、第2鞘管の軸線方向他側の端部に設けられた受口部分とを備え、前記差口部分を前記受口部分に挿通させて当該差口部分と受口部分とを接合するようにした鞘管の接合構造であって、
前記差口部分の外周面には、半径方向外方に突出する第1係合片が設けられている一方、前記受口部分の内周面には、半径方向内方に突出する第2係合片が設けられていて、前記第1係合片が、前記受口部分に対する前記差口部分の挿通時に前記第2係合片を乗り越えて当該第2係合片に係合するようになっており、
前記差口部分及び前記受口部分のいずれか一方には、その一方に設けられる第1又は第2係合片の内外径方向への弾性変形を許容する切欠部が設けられていることを特徴とする鞘管の接合構造。
【請求項2】
前記第1係合片の外周面が、前記差口部分の軸線方向一側へ小径となるテーパ面に形成されている請求項1に記載の鞘管の接合構造。
【請求項3】
前記第2係合片の内周面が、前記受口部分の軸線方向一側へ小径となるテーパ面に形成されている請求項1又は請求項2に記載の鞘管の接合構造。
【請求項4】
前記第1係合片は、前記差口部分の軸線方向一側の端部に設けられている請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の鞘管の接合構造。
【請求項5】
前記差口部分が前記第1鞘管の軸線方向一側の端部に、前記受口部分が前記第2鞘管の軸線方向他側の端部に、それぞれスピンウェルドにより接合されている請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の鞘管の接合構造。
【請求項6】
前記受口部分には、前記第1係合片が前記第2係合片に係合した際に前記受口部分に対する前記差口部分のそれ以上の挿通を規制するストッパが設けられている請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の鞘管の接合構造。
【請求項7】
前記第2係合片の外周面には、前記受口部分の軸線方向に延びるリブが設けられている請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載の鞘管の接続構造。
【請求項8】
前記受口部分の内周面に挿通される前記差口部分の外周面における軸線方向他側の端部には、当該差口部分を前記受口部分に挿通させて接合した際にその受口部分の内周面を前記差口部分の外周面に対し半径方向へ隙間なく嵌入させる拡径部が設けられている請求項1〜請求項7のいずれか1つに記載の鞘管の接続構造。
【請求項9】
前記拡径部の軸線方向一側には、当該拡径部を前記差口部分の外周面における軸線方向一側に向かうに従い縮径させるテーパ面が設けられている請求項8に記載の鞘管の接続構造。
【請求項10】
互いに接合される前記第1鞘管の差口部分及び前記第2鞘管の受口部分と、当該差口部分に対応する第1鞘管及び受口部分に対応する第2鞘管との少なくとも一方は、内部を透視可能な透明の合成樹脂により成形されている請求項1〜請求項9のいずれか1つに記載の鞘管の接続構造。
【請求項11】
前記受口部分が射出成形により成形され、前記第2係合片の軸線方向一側の端部には、その端面に沿って前記受口部分の半径方向外方に貫通する貫通孔が設けられている請求項1〜請求項10のいずれか1つに記載の鞘管の接続構造。
【請求項12】
第1鞘管の軸線方向一側の端部に接合可能な合成樹脂よりなる差口部材と、前記第1鞘管と同一軸線上の第2鞘管の軸線方向他側の端部に接合可能な合成樹脂よりなる受口部材とを備え、前記差口部材を前記受口部材に挿通させて当該差口部材と受口部材とを接合するようにした接合部品であって、
前記差口部材の外周面には、半径方向外方に突出する第1係合片が設けられている一方、 前記受口部材の内周面には、半径方向内方に突出する第2係合片が設けられていて、前記第1係合片が、前記受口部材に対する前記差口部材の挿通時に前記第2係合片を乗り越えて当該第2係合片に係合するようになっており、
前記差口部材及び前記受口部材のいずれか一方には、その一方に設けられる第1又は第2係合片の内外径方向への弾性変形を許容する切欠部が設けられていることを特徴とする接合部品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【公開番号】特開2011−247415(P2011−247415A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101135(P2011−101135)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
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