説明

鞭毛細菌に対する免疫応答を強化する組成物および方法

fliCおよびCD154ポリペプチドを含むワクチン並びにfliCポリペプチドを含むサルモネラ・エンテリティディスワクチンが提供される。さらに、鞭毛細菌に対する免疫応答を強化する方法および鞭毛細菌による感染に付随する罹病性を低下させる方法もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連出願の相互引用)
本出願は、米国仮特許出願60/983803(2007年10月30日出願)(前記出願は参照によりその全体が本明細書に含まれる)に対し優先権を主張する。
(連邦政府の支援研究に関する記載)
本発明は、USDA/NRI Proposal#2007-01953により合衆国政府の部分的支援を受けて達成された。合衆国政府は本発明において一定の権利を有することができる。
【0002】
(緒言)
サルモネラ属(Salmonella)は依然として、食品によって媒介される世界的なヒトの感染の原因菌であり、家禽および家禽製品が重要なヒトの感染源であることは疫学的な証拠によって示されている。合衆国では、概算して140万のヒトサルモネラ症例が毎年報告されている。これらの症例のうち、S.エンテリカ(enterica)の血液型亜型エンテリティディス(Enteritidis)(SE)およびチフィムリウム(Typhimurium)(ST)がもっとも一般的に単離されるが、ただし他の多数の血液型亜型もまたヒトの腸炎を引き起こすことが示されている。
サルモネラ属はたまに明白な臨床症状を家禽群で引き起こす。しかしながら、いくつかのサルモネラ属単離株による雛の感染は、孵化後の最初の48時間以内で2%の死亡率、最初の5日以内では20%以内の罹病率をもたらす。したがって、家禽集団のサルモネラ属に対する抵抗性を高めることは、低レベル疾患の品質に対する影響を軽減するだけでなく、ヒト集団の健康への重大な懸念も同様に軽減するであろう。
【0003】
(概要)
第一のポリペプチドをコードするfliCポリヌクレオチド配列およびCD154ポリペプチドをコードする第二のポリヌクレオチド配列を含むワクチンが開示される。CD154ポリペプチドはCD40と結合することができ、50未満のアミノ酸を有し、さらに配列番号:8のアミノ酸140−149またはそのホモローグを含む。
別の特徴では、サルモネラ・エンテリティディス13Aの変種を含むワクチンが開示される。前記サルモネラはfliCポリペプチドをコードする第一のポリヌクレオチド配列を含む。
さらに別の特徴では、細菌を投与することにより鞭毛細菌に対する免疫応答を対象で強化する方法が提供される。前記細菌は、fliCポリペプチドをコードする第一のポリヌクレオチド配列およびCD154ポリペプチドをコードする第二のポリヌクレオチド配列を含む。CD154ポリペプチドはCD40と結合することができ、50未満のアミノ酸を有し、さらに配列番号:8のアミノ酸140−149またはそのホモローグを含む。前記細菌は鞭毛細菌に対する対象の免疫応答を強化するために有効な量で投与される。
さらに別の特徴では、サルモネラ・エンテリティディス13Aの変種を投与することにより鞭毛細菌に対する免疫応答を対象で強化する方法が提供される。前記サルモネラは、fliCポリペプチドをコードする第一のポリヌクレオチド配列およびCD154ポリペプチドをコードする第二のポリヌクレオチド配列を含む。前記サルモネラは鞭毛細菌に対する対象の免疫応答を強化するために有効な量で投与される。
さらに別の特徴では、細菌を投与することにより鞭毛細菌による感染に付随する罹病率を対象で低下させる方法が提供される。前記細菌は、fliCポリペプチドをコードする第一のポリヌクレオチド配列およびCD154ポリペプチドをコードする第二のポリヌクレオチド配列を含む。CD154ポリペプチドはCD40と結合することができ、50未満のアミノ酸を有し、さらに配列番号:8のアミノ酸140−149またはそのホモローグを含む。前記細菌は、鞭毛細菌による感染後に対象の罹病率を低下させるために有効な量で投与される。
別の特徴では、サルモネラ・エンテリティディス13Aの変種を投与することにより鞭毛細菌による感染の罹病率を対象で低下させる方法が提供される。前記サルモネラは、fliCポリペプチドをコードする第一のポリヌクレオチド配列を含む。前記サルモネラは、鞭毛細菌による感染後に対象の罹病率を低下させるために有効な量で投与される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】サルモネラ・エンテリティディスにおいて位置特異的変異を導入するための手順を示す。
【図2】lamBポリヌクレオチドのloop9へfliCおよびfliC-CD154を挿入するために用いられるオーバーラップ伸張PCR法の設計手順を示す。
【図3】最初の接種物と比較した、肝臓/脾臓および盲腸扁桃における表示細菌の接種後3日目のサルモネラ・エンテリティディスパーセント回収を示す棒グラフである。
【図4】最初の接種物と比較した、肝臓/脾臓および盲腸扁桃における表示細菌の接種後21日目のサルモネラ・エンテリティディスパーセント回収を示す棒グラフである。
【0005】
(発明を実施するための形態)
サルモネラ属に対するワクチン免疫は困難である。なぜならば、2000を超える血液型亜型が報告されていて、一般的には1つの血液型亜型に対する免疫は別個の血液型亜型に対する免疫を付与しないからである。ヒト、家禽および他の家畜を防御するワクチンの開発が希求される。複数の血液型亜型を防ぐことができるワクチンが最適であろう。fliC(有鞭毛サルモネラ属で見出される鞭毛性フィラメントタンパク質)の高度に保存された領域を含むワクチンが提供される。
組換えDNA技術は多くの細菌およびウイルスの種における比較的容易な操作を可能にする。いくつかの細菌およびウイルスは病原性が低いかまたは病原性をもたないが、強力な免疫応答を引き起こすことができる。これらの細菌およびウイルスは、抗原に対する免疫応答を誘引するための好ましいワクチンベクターを構成する。細菌およびウイルス性ワクチンベクターは自然感染を模倣し、強力で長期間持続する免疫をもたらすことができる。ワクチンベクターは、しばしば製造および投与において比較的安価である。さらにまた、そのようなベクターは2つ以上の抗原を保持することが可能であり、複数の感染因子に対する防御を提供することができる。
ある特徴では、fliCポリペプチドをコードする第一のポリヌクレオチド配列およびCD154ポリペプチド(CD40と結合することができる)をコードする第二のポリヌクレオチド配列を含むワクチンが提供される。別の特徴では、サルモネラ属および他の有鞭毛病原性細菌に対するワクチン免疫および免疫応答惹起のためのワクチンベクター(例えば細菌ベクター)の使用が開示される。細菌遺伝子を変異または弱毒化させて、感染したまたは免疫した対象に対して低病原性または非病原性であるが免疫原性を保持する細菌を作製することができるので、サルモネラ株は適切なワクチンベクターを構成する。
【0006】
大半のサルモネラ単離株が鞭毛(H)抗原、fliCおよびfliBをコードする2つの遺伝子を含む。前記2つの遺伝子は相変異メカニズムによって交互に発現される。一相はfliCによってコードされ、一方、fliBは二相抗原をコードする。fliC内の保存領域の実体が確認された。前記保存領域は、複数のサルモネラ属血液型亜型間において並びにfliCおよびfliB間においてほぼ100%の相同性を有する。fliCのこの保存領域は配列番号:1に示されてあり、実施例で述べるようにいくつかのワクチンベクターの作製に用いた。ワクチンベクターで使用可能な他のポリペプチドは配列番号:2(大腸菌(E. coli)におけるfliC類似領域)、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12に開示されている。fliCポリペプチドの免疫原性フラグメントもまたワクチンの作製に用いることができる。さらにまた、fliCのこの保存領域と他の細菌(例えば赤痢菌属および大腸菌)の鞭毛配列との間には顕著な相同性が存在し、その結果fliCを発現するワクチンベクターは一般的に有鞭毛細菌に対する免疫応答を強化することができる。したがって、サルモネラワクチンベクターの表面におけるこれら防御エピトープの発現は複数の血液型亜型菌に対する防御免疫を誘発し、全ての有鞭毛細菌に対する免疫を可能にすることができる。
【0007】
樹状細胞(DC)の関与は強力な免疫応答の開始のために必須である。なぜならば、それらはナイーヴT細胞を活性化しT細胞の増殖およびエフェクター細胞への分化を引き起こす固有の能力を有するからである。DC(身体の実質的に全ての組織で見出される抗原提示細胞(APC)である)の役割は、抗原を捕捉し、それらを関連する類リンパ組織へ運び、続いてそれらをナイーヴT細胞に提示することである。DCによる活性化時に、T細胞は増殖し、エフェクター細胞に分化し、二次免疫器官を出て抹消組織に入る。活性化細胞傷害性T細胞(CTL)は、ウイルス感染細胞、腫瘍細胞または細胞内寄生生物(例えばサルモネラ属)に感染したAPCさえも破壊することができ、ウイルス感染に対する防御において必須であることが示された。
CD40はTNF-レセプターファミリー分子のメンバーであり、多様な細胞タイプ(専門的抗原提示細胞(APC)、例えばDCおよびB細胞を含む)で発現される。CD40とそのリガンドCD154との相互作用は、液性および細胞性免疫の両方において極めて重要でそれらを刺激する。DCの表面で発現されるCD40を介するDCの刺激は抗CD40抗体によって刺激され得る。しかしながら身体では、前記事象は、活性化T細胞の表面で発現されるCD40の天然のリガンド(すなわちCD154)との相互作用により生じる。興味深いことには、CD145のCD40結合領域の実体が確認された。CD154のCD40結合領域は、ワクチンベクター(例えばサルモネラワクチンベクター)の表面で発現させることができ、一緒に発現されるペプチド配列に対する免疫応答の強化をもたらすことができる。
【0008】
サルモネラ属は宿主の胃腸管で生存し、粘膜免疫応答を立ち上げることができる。サルモネラベクターを用いる経口ワクチンは強力な粘膜免疫応答を生じ、動物および人間の両方に比較的容易に投与される。しかしながら、従来の弱毒化サルモネラワクチン株の多くは、よりヴィルレントなそれらの対応株と比較したとき、強力な防御免疫応答の発生において同じような有効性を示さない。ヴィルレント株は強力な免疫応答を提供するが、ワクチン接種動物に対して顕著な罹病性もまた引き起こし得る。有効な粘膜(例えば経口)ワクチン免疫に使用することが可能なサルモネラ株は、1つまたは2つ以上の病原性因子(例えば鞭毛細菌)に対して対象を容易にワクチン免疫するために使用し得るベクターを提供することとなろう。また別には、サルモネラワクチンベクターによって引き起こされる感染を限定する方法もまた有用であろう。本明細書で提供されるものは、サルモネラワクチンベクターを投与する工程およびfliCポリペプチドをコードする第一のポリヌクレオチド配列を含む第二のワクチンベクターを投与する工程によって、サルモネラワクチンベクターによって引き起こされる感染を限定する方法である。第二のワクチンベクターの投与はサルモネラに対する免疫応答を強化し、サルモネラワクチンベクターによって引き起こされる感染を限定する。第二のワクチンベクターは、サルモネラワクチンベクターの前に、前記と同じ時に、または前記の後で投与することができる。
【0009】
ワクチンベクターとして有用なサルモネラ・エンテリティディス株およびこの株を用いて作製される多様な組換えワクチンベクターが開示される。特に、外因性fliCポリペプチドを発現することができるサルモネラ・エンテリティディス13A(SE13A)が提供される。さらにまた、fliCポリペプチドをコードする第一のポリヌクレオチド配列およびCD40と結合できるCD154ポリペプチドまたはそのホモローグをコードする第二のポリヌクレオチド配列を含むワクチンベクター並びに前記ワクチンベクターを投与することによって対象で免疫応答を強化する方法が開示される。前記ワクチンベクターを用いて、サルモネラ属または別の有鞭毛細菌(例えば大腸菌または赤痢菌属)に対する免疫応答を強化するか、または前記を用いて有鞭毛細菌の感染に付随する罹病性を低下させることができる。
サルモネラ属の野生型単離株のサルモネラ・エンテリティディス13A(SE13A)(アメリカ菌培養収集所(ATCC)に2006年9月13日に寄託、寄託番号PTA-7871)を、ニワトリで粘膜上コロニー形成および粘膜下移転を引き起こすことができるその並外れた能力により選択した(前記能力は養鶏用ニワトリにおいて結合させた抗原またはエピトープの強力な提示を可能にする)。重要なことには、この野生型サルモネラ単離株は養鶏用ニワトリにおいて臨床的に検出され得る症状または品質低下を引き起こすことがなく、このことはこの野生型サルモネラには脊椎動物での発症潜在能力がほとんどないことを示している。
【0010】
SE13A単離株は、実験室外または製造条件外での細菌の複製を維持するために必要な少なくとも1つの遺伝子を不活化することによってさらに弱毒化することができる。ワクチンベクターとして用いることができるサルモネラ株は下記で述べる。SE13Aを用いて弱毒化サルモネラ株を作製し、ワクチンを開発または免疫応答を強化させた。SE13Aは家禽に対して侵襲性で非病原性であり、測定可能な罹病性をもたらさない。これらの特色は、非侵襲性細菌ベクターと比較して免疫応答の強化をもたらす。細菌の拡散能力を制限する遺伝子の変異によるSE13Aの弱毒化はワクチンの安全性を高めることができる。例えば、aroAおよび/またはhtrAに変異を有するSE13Aは免疫応答を生じさせる能力を保持するが、宿主での複製が限定された。したがって、前記弱毒化は免疫原性を損なうことなくワクチンベクターの安全性を高める。
変異は他のサルモネラ属の多様な遺伝子で実施することができる。前記遺伝子にはcya、crp、asd、cdt、phoP、phoQ、ompR、外膜タンパク質、dam、htrAまたは他のストレス関連遺伝子、aro、pur、およびguaが含まれるが、ただしこれらに限定されない。実施例で示すように、aroAおよびhtrAの変異はSE13Aを弱毒化することが見出された。aro遺伝子はシキミ酸合成経路またはアロマターゼ経路に必要な酵素であり、aro変異体は、芳香族アミノ酸のトリプトファン、チロシンおよびフェニルアラニンを必要とする栄養素要求株である。htrAは、異常なタンパク質を分解するペリプラズムプロテアーゼをコードするストレス応答遺伝子である。htrAの変異体もまた弱毒化され、過酸化水素に対する感受性の増加を示す。
【0011】
実施例で述べるaroAおよびhtrAの変異は欠失変異であるが、前記変異は多様な方法で実施することができる。適切な変異には欠失、倒置、挿入および置換が含まれる。ワクチンベクターは2つ以上の変異を含むことができる。例えば、ワクチンベクターはaroAおよびhtrAの両方に変異を含むことができる。そのような変異を導入する方法は当分野では周知である。
SE13Aまたは弱毒化SE13A変種をワクチンベクターとして用いることができる。fliCポリペプチド抗原および多数の病原生物由来の他の抗原をコードするポリヌクレオチドを前記細菌に挿入し、前記細菌によって発現させて抗原性ポリペプチドを生成することができる。前記ポリヌクレオチドは細菌の染色体に挿入するか、またはプラスミドもしくは他の染色体外DNAでコードさせることができる。適切には、fliC抗原をコードするポリヌクレオチドは、発現される細菌のポリヌクレオチドに挿入する。適切には、細菌のポリヌクレオチドはトランスメンブレンタンパク質をコードし、さらに、前記細菌の表面でfliC抗原が発現されるようにfliC抗原をコードするポリヌクレオチドを細菌のポリヌクレオチド配列に挿入する。例えば、fliCをコードするポリヌクレオチドを、トランスメンブレンタンパク質の外部ループ領域をコードする領域で前記細菌のポリヌクレオチドにイン-フレームで挿入し、それによって前記細菌のポリヌクレオチド配列はイン-フレームの状態を維持する。実施例1を参照されたい。
【0012】
また別には、fliC抗原をコードする第一のポリヌクレオチドは分泌されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに挿入することができる。fliC抗原をコードするポリヌクレオチドを極めて多様な細菌のポリヌクレオチドに挿入して、fliC抗原の発現および細菌性ワクチンベクターで処置される対象の免疫細胞へのfliC抗原の提示を提供し得ることは当業者には理解されよう。実施例では、fliC抗原をコードするポリヌクレオチドは、SE13AのlamB遺伝子のloop9に挿入された。fliC抗原をコードするポリヌクレオチドは、シングルコピーとしてまたは2つ以上のコピーとして挿入することができる。実施例では、lamBのloop9に挿入されたfliC抗原のシングルコピーを含む細菌性ワクチンベクターが記載されている。また別には、1つのエピトープの複数コピーが細菌性ワクチンベクターの2つ以上の位置に挿入されることがある。これらのポリヌクレオチドコピーは一緒に連結されても、またはリンカーによって別々に連結されてもよい。適切なリンカーは当業者には公知であり、反復アミノ酸(例えば1−10セリン残基)が含まれるが、ただし前記に限定されない。
【0013】
下記でより詳細に述べるように、ワクチンベクターはCD154ポリペプチドを含むことができる。前記CD154は、対象のCD40と結合し、ワクチンベクターおよびそれと結合した抗原に対する対象の応答を刺激することができる。上記で述べたように、これらのポリヌクレオチドはワクチンベクターの染色体に挿入されるか、または染色体外で維持され得る。これらのポリヌクレオチドは多様な内因性ポリヌクレオチドに挿入され、さらにワクチンベクターの種々の部分(例えば細胞壁)で発現されるか、または分泌され得ることは当業者には理解されよう。外来抗原に対する免疫応答を強化することができるCD154ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもまた外来抗原をコードできる。CD154ポリペプチドおよびfliC抗原がワクチンベクターの同じポリヌクレオチド上に存在することができるように、CD154ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをfliC抗原コードポリヌクレオチドと連結することができる。実施例では、CD40と結合することができるCD154のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドはまたfliC抗原をコードする。添付の配列表の配列番号:1、2、9、10および11を参照されたい。実施例では、fliC抗原をコードするポリヌクレオチドおよびCD154ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの両方がlamB遺伝子のloop9に挿入される。他のトランスメンブレンタンパク質をコードする細菌のポリヌクレオチドおよびlamB遺伝子の他のループもまた利用できることは当業者には理解されよう。
【0014】
SE13A細菌は、サルモネラ属に本来付随している完全長fliCポリペプチドの部分であるfliCポリペプチドをコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。適切には、fliCポリペプチドの部分または完全なfliCポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをワクチンベクターに挿入することができる。実施例では、7アミノ酸のポリペプチド(配列番号:1)がSE13Aに組み入れられた。適切には、ワクチンベクターに挿入されるfliCポリペプチドの部分は免疫原性フラグメントである。免疫原性フラグメントは、細胞性または液性免疫応答を誘引することができるペプチドまたはポリペプチドである。適切には、fliCの免疫原性フラグメントは、完全長のタンパク質配列の6つ以上のアミノ酸、10以上のアミノ酸、15以上のアミノ酸または20以上のアミノ酸であり得る。
fliCワクチンベクターに加えるために適切な他のエピトープには他の細菌のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが含まれるが、ただし前記に限定されない。多様な配列を他の任意の抗原と組み合わせて用いるか、免疫刺激性ペプチド(例えばCD154ポリペプチド)をコードするポリペプチドと組み合わせて用いることができることは当業者には理解されよう。
上記で考察したように、抗原に対する免疫応答を強化することができるCD154ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをワクチンベクターに加えることができる。適切には、CD154ポリペプチドは長さが50未満のアミノ酸、より適切には40未満、30未満または20未満のアミノ酸である。前記ポリペプチドは、長さが10から15アミノ酸、10から20アミノ酸、または10から25アミノ酸であり得る。CD154配列およびCD40結合領域は種々の種で高度に保存されているわけではない。ニワトリおよびヒトのCD154アミノ酸配列は、それぞれ配列番号:9および配列番号:8で提供される。
【0015】
CD154のCD40結合領域は多数の種(ヒト、ニワトリ、アヒル、マウスおよびウシを含む)で決定され、それぞれ配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7で示されている。CD40結合領域には種間で配列の変動性が存在するが、ヒトのCD154ポリペプチドはニワトリの免疫応答を強化することができた。したがって、種特異的CD154ポリペプチドまたは異種CD154ポリペプチドを用いて本発明を実施することができる。
実施例では、いくつかのSE13A組換え細菌が作製された。fliCおよびCD154ポリペプチドの両方をコードするポリヌクレオチドを含むSE13A株の各々において、fliCポリペプチドおよびCD154ポリペプチドは同じポリヌクレオチド上でコードされ、さらに互いにおよびサルモネラlamBポリヌクレオチド(fliCおよびCD154ポリペプチドがその中に挿入されている)とイン-フレームでコードされた。また別の実施態様では、CD154ポリペプチドおよびfliCポリペプチドを別個のポリヌクレオチドによってコードすることができる。SE13A aro htrA fliCはaroAおよびhtrAに欠失を含み、lamBのloop9に挿入されたfliCエピトープ(配列番号:1)および場合によってCD154ポリペプチド(配列番号:3)をコードする。
【0016】
弱毒化サルモネラ株および医薬的に許容できる担体を含む組成物もまた提供される。医薬的に許容できる担体はin vivo投与に適した任意の担体である。本組成物での使用に適した医薬的に許容できる担体の例には水、緩衝溶液、グルコース溶液または細菌培養液が含まれるが、ただしこれらに限定されない。本組成物のさらに別の成分には、適切には例えば賦形剤、例えば安定化剤、保存料、希釈剤、乳化剤および滑沢剤が含まれる。医薬的に許容できる担体または希釈剤の例には、安定化剤、例えば炭水化物(たとえばソルビトール、マンニトール、デンプン、シュクロース、グルコース、デキストラン)、タンパク質(例えばアルブミンまたはカゼイン)、タンパク質含有物質(例えばウシ血清または脱脂乳)および緩衝液(例えばリン酸緩衝液)が含まれる。特にそのような安定化剤が組成物に添加されるときは、前記組成物は凍結乾燥または噴霧乾燥に適している。
fliCポリペプチドおよびCD154ポリペプチド(CD40と結合してCD40を活性化することができる)を含むワクチンベクターを投与することによって対象で免疫応答を強化する方法もまた提供される。CD40と結合することができるCD154ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むワクチンベクターが、前記ワクチンに対する対象の免疫応答を強化するために有効な量で対象に投与される。適切には、前記ワクチンベクターは、ヒトCD154ポリペプチド(配列番号:8)のアミノ酸140−149またはそのホモローグを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。上記に特記し、さらに実施例で示したように、CD154のCD40結合領域は種間で保存されていないが、それでも異種CD154は免疫応答を強化することができた(すなわちヒト配列をニワトリで用いた)。したがって、ある種に由来するアミノ酸140−149のホモローグを用いて別個の種で免疫応答を刺激することができる。
【0017】
いくつかの適切なポリペプチドの実体が本明細書で確認される。適切には、前記ポリヌクレオチドは対象と同じ種に由来するCD154ポリペプチドをコードする。適切には、配列番号:3のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドがヒト対象で用いられ、配列番号:4のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドがニワトリで用いられ、配列番号:5のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドがアヒルで用いられ、配列番号:6のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドがマウスで用いられ、配列番号:7のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが乳牛で用いられる。実施例では、ヒトCD154ポリペプチド(配列番号:3)をニワトリワクチンベクターで用い、外来抗原に対して免疫応答を強化することを示した。したがって、CD154と対象との他の異種組合せも本発明の方法で有用であり得る。CD154ポリペプチドを用いて、fliCポリペプチドに加えてワクチンベクターに存在する任意の外来抗原または抗原性ポリペプチドに対して対象で免疫応答を強化することができる。CD154ポリペプチドを用いて、ワクチンベクターに存在する2つ以上の抗原性ポリペプチドに対する免疫応答を強化できることは当業者には理解されよう。
【0018】
CD154由来のポリペプチドは、少なくとも部分的にはそのレセプターであるCD40と結合することによって免疫応答を刺激する。本実施例は、対象の免疫細胞上で発現され、マクロファージおよび他の抗原提示細胞上のCD40レセプターと結合することができるCD154ポリペプチドと相同なポリペプチドを用いた。このリガンドレセプター複合体の結合はマクロファージ(およびマクロファージ系列細胞、例えば樹状細胞)を刺激して、食作用および抗原提示を強化し、一方、他の局所免疫細胞(例えばBリンパ球)を活性化することが知られているサイトカイン分泌を増加させる。したがって、CD154ペプチド結合分子は免疫応答および抗体産生増加のために優先的に誘導される。
本方法で使用される潜在的ワクチンベクターには、サルモネラ属(サルモネラ・エンテリティディス)、赤痢菌属、エシェリキア属(大腸菌)、エルジニア属(Yersinia)、ボルデテーラ属(Bordetella)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、ラクトバシルス属(Lactobacillus)、バシルス属(Bacillus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、ビブリオ属(Vibrio)(コレラ菌(Vibrio cholerae))、リステリア属(Listeria)、アデノウイルス、ポックスウイルス、ヘルペスウイルス、アルファウイルスおよびアデノ関連ウイルスが含まれるが、ただしこれらに限定されない。
【0019】
さらにまた、鞭毛細菌に対する免疫応答を強化する方法および鞭毛細菌感染後に付随する罹病性を低下させる方法が開示される。略記すれば、前記方法は、fliCポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含むワクチンベクターを有効な量で対象に投与することを含む。前記fliCポリペプチドは配列番号:1−2および10−12を含む。ワクチンベクターへのfliCポリペプチドの挿入は当業者に公知の多様な方法(スカーレス位置特異的変異導入システムが含まれるが前記に限定されない)で達成することができる。前記変異導入システムは以下に記載されている:BMC Biotechnol. 2007 Sept., 17:7(1):59, Scarless and Site-directed Mutagenesis in Salmonella enteritidis chromosome(前記文献は参照によりその全体が本明細書に含まれる)。ワクチンベクターはまた、上記で考察したように免疫応答を強化することができるポリヌクレオチド(例えば配列番号:8および配列番号:9)と一緒にfliCポリペプチドを発現させるために操作することができる。特に、CD40と結合することができるCD154ポリペプチドをワクチンベクターで発現させ、fliCポリペプチドに対する対象の免疫応答を強化することができる。場合によって、ワクチンベクターは細菌、例えばサルモネラ・エンテリティディスである。
【0020】
投与されるべきワクチンベクターの有用な用量は、対象の齢、体重および種、投与態様およびルート、並びに免疫応答を求める病原体のタイプにしたがって変動するであろう。組成物は免疫応答を惹起するために十分な任意の投与量で投与することができる。細菌ワクチンの場合、103から1010の細菌、104から109の細菌、105から107の細菌の範囲の投与量が適切であると考える。組成物は1回だけ投与するか、または免疫応答を高めるために2回以上投与できる。例えば、組成物は1週間、2週間または3週間以上離して2回以上投与することができる。細菌は適切には投与前に生存しているが、いくつかの実施態様では細菌は投与前に死滅させることができる。いくつかの実施態様では、細菌は対象内で複製することができるが、一方、他の実施態様では細菌は対象内で複製できない。
動物またはヒトへの投与の場合、組成物は多様な手段で投与することができる。前記手段には鼻内、粘膜、噴霧、皮内、非経口的、皮下、経口的、エーロゾル、または筋肉内投与が含まれるが、ただしこれらに限定されない。点眼投与または飲料水もしくは食品への添加もまた適切である。ニワトリの場合、組成物は卵に投与することができる。
【0021】
本発明のいくつかの実施態様は対象で免疫応答を強化する方法を提供する。適切な対象には脊椎動物、適切には哺乳動物(適切にはヒト)および家禽(例えばニワトリ)が含まれ得るが、ただしこれらに限定されない。免疫応答の強化には、対象の免疫系によって仲介される治療的または予防的効果の誘発が含まれるが、ただし前記に限定されない。特に、免疫応答の強化は、抗体産生の強化、抗体重鎖のクラスの切り替えの強化、抗原提示細胞の成熟、ヘルパーT細胞の刺激、細胞傷害性T細胞の刺激またはTおよびB細胞メモリーの誘発を含むことができる。
同じ病原体または異なる病原体に由来するいくつかのエピトープまたは抗原を単一ワクチン内で組み合わせて投与し、複数の抗原に対する免疫応答の強化を生じさせることができる。組換えワクチンベクターは複数の病原性微生物、ウイルスまたは腫瘍関連抗原に由来する抗原をコードすることができる。複数の抗原を発現することができるワクチンベクターの投与は、同時に2つ以上の疾患に対する免疫を誘引するという利点を有する。例えば、生弱毒化細菌、例えばサルモネラ・エンテリティディス13Aは、複数の抗原に対する免疫応答を誘引するために適切なワクチンベクターを提供する。
【0022】
細菌性ワクチンは抗原をコードする外因性ポリヌクレオチドを用いて構築することができる。前記ポリヌクレオチドは細菌ゲノムの非本質的な任意の部位に挿入できるが、また別には当分野で周知の方法を用いてプラスミド上で保持させてもよい。ポリヌクレオチドの挿入に適切な1つの部位はトランスメンブレンタンパク質の外部部分内に存在するが、または分泌経路のために外因性ポリヌクレオチドを誘導する配列と結合される。ポリヌクレオチドの挿入のために適切なトランスメンブレンタンパク質の一例はlamB遺伝子である。実施例では、fliCおよびCD154ポリヌクレオチドがlamB配列のloop9に挿入された。
外因性ポリヌクレオチドは病原性微生物またはウイルスから選択される抗原をコードするポリヌクレオチド(ただしこれらに限定されない)を含み、さらにワクチンベクターのポリヌクレオチドを含み、前記は有効な免疫応答を生じる態様で発現される。そのようなポリヌクレオチドは以下の病原性ウイルスから誘導することができる:例えばインフルエンザ(例えばM2e、ヘマグルチニンまたはノイラミニダーゼ)、ヘルペスウイルス(例えばヘルペスウイルスの構造タンパク質をコードする遺伝子)、レトロウイルス(例えばgp160エンベロープタンパク質)、アデノウイルス、パラミクソウイルス、コロナウイルスなど。外因性ポリヌクレオチドはまた、病原性細菌から、例えば細菌性タンパク質(例えば毒素)および外膜タンパク質をコードする遺伝子から入手することができる。さらにまた、寄生生物由来の外因性ポリヌクレオチドもワクチンベクターで使用するための重要な候補物である。
免疫系の開始に必要なポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもまた、ワクチンベクター(例えば生弱毒化サルモネラワクチン)に加えることができる。前記ポリヌクレオチドは、その刺激性作用が知られている免疫系分子(例えばインターロイキン、主要壊死因子またはインターフェロン)をコードすることができるが、前記ポリヌクレオチドは免疫調節に必要とされる別のヌクレオチドであってもよい。ワクチンベクターはまた、免疫応答を刺激することが知られているペプチド(例えば本明細書に記載のCD154ポリペプチド)をコードするポリヌクレオチドを含むことができる。
以下の実施例は単に例示することを意図し、本発明の範囲または添付の特許請求の範囲について制限しようとするものではない。
【0023】
実施例1:fliCおよびfliC/CD154挿入物の構築
株および培養条件:特段の記載がなければ、全てのプラスミドは最初TOP10大腸菌細胞(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)で維持された。サルモネラ・エンテリティディス13Aを変異導入に用いた。サルモネラ・エンテリティディス株13AはUSDA/APHIS/NVSLから入手することができる野外単離株であり、ATCCに寄託番号PTA-7871として寄託された。プラスミドpKD46を保持する細菌は30℃で増殖させた。他の細菌は37℃で増殖させた。プラスミドキュアリングは37℃で実施した。
Luria-Bertani(LB)培地を日常的な細胞増殖に用い、SOC培地(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)はエレクトロポレーション後の表現型発現に用いた。適切な場合には、以下の抗生物質を培地に添加した:100μg/mLのアンピシリン(Amp)、50μg/mLのカナマイシン(Km)および25μg/mLのクロラムフェニコール(Cm)。
プラスミド:プラスミドpKD46、pKD13、およびpBC-I-SceIは以前に記載した(Datsenko and Wanner, PNAS 2000, 97:6640-6645;およびKang et al. J Bacteriol 2004, 186:4921-4930、前記両文献は参照によりその全体が本明細書に含まれる)。プラスミドpKD46はRedリコンビナーゼ酵素をコードする(前記酵素は侵入する直鎖状DNAと染色体DNAとの相同組換えを仲介する)。このプラスミドはまたアンピシリン耐性遺伝子を含みさらに温度感受性であり、そのために細胞内での維持に30℃を要求する。プラスミドpKD13は、オーバーラップPCRで用いられるKm耐性(Kmr)遺伝子の増幅のための鋳型として機能する。プラスミドpBC-I-SceI(細胞内で37℃で維持される)はI-SceI酵素を産生する。前記酵素は以下の18塩基対(稀少認識配列)を切断する:5'-TAGGGATAACAGGGTAAT-3'(配列番号:13)。プラスミドpBC-I-SceIはまたクロラムフェニコール耐性(Cmr)遺伝子を含む。
PCR:PCRに用いた全てのプライマーは表1に列挙されている。典型的には、PCRは、50μLの全体積中にほぼ0.1μgの精製ゲノムDNA、プラスミドDNAまたはPCR生成DNA(Qiagen, Valencia, CA, USA)、1xのクローン化Pfuポリメラーゼ緩衝液、5UのPfuポリメラーゼ(Stratagene LaJolla, CA, USA)、1mMのdNTP(GE Healthcare Bio-Sciemces Corp., Piscataway, NJ)および1.2μMの各プライマーを用いて実施した。DNAエンジンサーマルサイクラー(Bio-Rad, Hercules, CA, USA)を以下の増幅条件で用いた:94℃で2分;1kbにつき94℃で30秒、58℃で60秒、72℃で90秒の30サイクル;および最終伸張に72℃で10分。各PCR生成物をゲル精製し(Qiagen, Valencia, CA, USA)、オーバーラップ伸張PCRで用いる鋳型の調製のためには25μLのEB緩衝液に溶出させるか、またはS.エンテリティディスへのエレクトロポレーションのためには50μLのEB緩衝液に溶出させて、エタノールで沈殿させ5μLのddH2Oに懸濁させた。
【0024】
【表1】

【0025】
表1ではイタリック体のヌクレオチドはlamB遺伝子loop9挿入部位(注釈付き参照配列としてネズミチフス菌(S. typhimurium)を用いるときヌクレオチド1257に対応する)のどちらかの側に対して相補性である。太字体のヌクレオチドはKm-fプライマー内のI-SceI認識部位を表す。
エレクトロポレーション:pKD46 によるS.エンテリティディスの形質転換は、その後に続く変異の組換えの仲介にRedリコンビナーゼを用いることができるように実施される第一の工程である。プラスミドpKD46を大腸菌BW25113(Datsenko and Wanner, PNAS 2000, 97:6640-6645)からプラスミド調製キット(Qiagen, Valencia, CA, USA)を用いて採集した。続いて、0.5μLのpKD46 DNAをエレクトロポレーション用に調製したS.エンテリティディス13Aの形質転換に用いた(Datsenko and Wanner, PNAS 2000, 97:6640-6645)。略記すれば、細胞を2xのYTブロス10−15mLに接種し、37℃で一晩増殖させた。続いて一晩培養の100μLを再度新しい2xのYTブロス10mLに37℃で3−4時間接種した。pKD46プラスミドで形質転換されるべき細胞を50℃で25分間加熱し、宿主の制限の不活化を促進させた。細胞を5回ddH2Oで洗浄し、60μLの10%グリセロールに再懸濁した。続いて細胞を2400−2450kVで1−6分パルスし、SOCにて2-3時間30℃でインキュベートし、適切な抗生物質を含むLB培地にプレートした。pKD46によるS.エンテリティディスの形質転換体を30℃で維持した。これらの形質転換体を更なるエレクトロポレーション反応のために調製する場合、全ての工程は同じであったが、ただし、洗浄1時間前にRedリコンビナーゼ酵素を誘発するために15%のアラビノースを添加し、さらに細胞を50℃の加熱工程に付すことはなかった。
Loop 9 up-I-SceI/Kmr-loop 9 down構築物:Kmr遺伝子とともにI-SceI酵素認識部位をlamB遺伝子のloop9へ導入する工程は、Redリコンビナーゼシステム(Datsenko and Wanner, PNAS 2000, 97:6640-6645;前記文献は参照によりその全体が本明細書に含まれる)およびオーバーラップPCR(Horton et al. BioTechniques 1990, 8:528-535;前記文献は参照によりその全体が本明細書に含まれる)を合体させることによって実施した。前記挿入部位は、注釈付き参照ゲノムとしてネズミチフス菌(S. typhimurium)LT2を用いるときlamB遺伝子のヌクレオチド1257に対応する。最初に、loop9の挿入部位に直接フランキングする上流領域および下流領域(それぞれループ9上部およびループ9下部)を別々に増幅させた。用いたプライマーは、ループ9上部についてはlam-up-fおよびlam-up-rであり、ループ9下部についてはlam-dn-fおよびlam-dn-rであった。続いてpKD13のKmr遺伝子をプライマーKm-fおよびKm-rを用いて増幅した。Km-fプライマーの5'末端に合成によりI-SceI酵素部位を付加し、続いてloop-up-rプライマーに相補的な領域を先行させた。同様に、loop-dn-fプライマーに相補的な領域をKm-rプライマーの5'末端に付加した。これら相補性領域は、1つのPCR反応で鋳型として用いたとき3つ全てのPCR生成物がアニールすることを可能にする。図2aはこの設計手順を示す。loop 9 up-I-SceI/Kmr-loop 9 down配列から成るPCRフラグメント(PCR-A)をS.エンテリティディス細胞(pKD46を保有する)にエレクトロポレーションによって注入し、アラビノースで誘発し、続いてKmを含むLB平板にプレートした。変異の正確な配列の向きを立証するために、Kan4F/lam3fおよびKan4R/lam3rプライマー対を用いてコロニーPCRを実施した(Kan4FおよびKan4RはKmr遺伝子特異的プライマーであり、lam3fおよびlam3rはlamBループ9領域の外側に配置されるプライマーである)。これらのPCRフラグメントをゲル精製し(Qiagen, Valencia, CA, USA)、DNAシークェンシングのために用いた。
【0026】
Loop 9 up-fliCもしくはCD154または組合せ配列-Loop 9 down構築物:最後のオーバーラップPCRフラグメント、PCR-Bは、loop 9 upおよびdown領域がフランキングされた付加fliC抗原(またはCD154配列との組合せ)を含んでいた(図2b)。組合せ配列は、配列番号:1を含むfliCポリヌクレオチドおよびCD154ポリヌクレオチド配列並びにスペーサー(例えばグリシン(Gly)またはセリン(Ser)残基)から成っていた。
次のフラグメントの構築のための工程数を少なくするために、fliCまたはfliC-CD154配列を合成によってlam-dn-fプライマーの5'末端に付加し、さらにloop-up-rプライマーに相補的な領域を先行させた。loop 9 upのために以前に用いたPCR生成物を新しく構築したPCR生成物(前記にはfliCまたはfliC-CD154がloop 9 downの5'末端に組み入れられていた)と一緒に用いて、最後のPCR反応を実施した。しかしながら、他の挿入物配列(組合せ配列と呼ぶ)の場合、loop-up-rプライマーに連結した挿入物配列に特異的な付加ヌクレオチドを有するloop 9 upを増幅するために(挿入物の配列が長いために)余分のPCR工程が必要であった。他の全てのアミノ酸配列と同様に、Gly(GGT)およびセリン(TCC)のためのコード配列は、大腸菌およびネズミチフス菌タンパク質でもっとも頻繁に用いられるコドンに関する編纂データを基準に選択した。プライマーの設計に関する更なる詳細については表1を参照されたい。
【0027】
I-SceI/KmrのfliCまたはfliC-CD154によるゲノム置換:S.エンテリティディスにPCR-B生成物をプラスミドpBC-I-SceIとともにほぼ40:1のモル比でエレクトロポレーションにより導入した(Kang et al. J Bacteriol 2004, 186:4921-4930、前記文献は参照によりその全体が本明細書に含まれる)。KmrコードPCR-A配列がPCR-Bで置換されたためにCmプレートで増殖するがKmプレートでは増殖しないその能力にしたがって、各PCR-B組換え変異のためのクローンを選別した。前記選別クローンの改変領域をPCRで増幅し、DNA配列をプライマーlam3fおよびlam3r(loop 9 downおよびup増幅領域の外側に位置する)を用いて決定した。
【0028】
I-SceI部位/Kmr挿入変異:第一の変異導入工程は、PCRフラグメント、PCR-Aの設計を必要とした(前記フラグメントは、lamB部位に挿入されるべきI-SceI部位/Kmrカセットの担体として機能するであろう)。PCR-Aは、Kmr遺伝子に隣接するI-SceI酵素認識部位から成り、その末端のそれぞれにlamBループ9挿入部位の上流および下流領域に相同な約200−300bpのフランキングDNA(それぞれloop 9 upおよびloop 9 down)を有していた。Redリコンビナーゼ酵素を発現しているS.エンテリティディス細胞に前記フラグメントを導入し、Kmrコロニーを選別した。数コロニーをコロニーPCRによってスクリーニングした後、所望のI-SceI部位/Kmr配列について陽性であるコロニーのシークェンシングを実施し、実体を検証した変異体を選別しSE164と称した。
【0029】
I-SceI/KmrのfliCまたはfliC-CD154によるゲノム置換:第二の変異導入工程はPCR-Bと称され図2Bに示すPCRフラグメントの構築を必要とした。前記フラグメントは最終的な挿入配列、fliCまたはfliC-CD154から成り、lamBに相同なフラグメントによりフランキングされている。PCR-Bアンプリコンは選別マーカーをもたず、置換後にSE164における先のI-SceI部位/Kmr変異導入についてゲノム対比選別を実施する必要がある。プラスミドpBC-I-SceIはCmr遺伝子およびI-SceI酵素(SE164のI-SceI部位で当該ゲノムを切断するであろう)をコードする。したがって、pBC-I-SceIをエレクトロポレーションによりPCR-BとともにSE164に導入した。PCR-Bの組換えによりPCR-Aを置換した後、Cm上では増殖するがKm上では増殖しないその能力を基準にして陽性クローンを選別した。変異体のDNAをシークェンシングしてPCR-Bの組換えが達成されたことを確認した後で、この株をfliC、fliC-cCD154およびfliC-hCD154と称した。fliCおよびfliC-CD154挿入のそれぞれについて任意の10クローンをlam 3fおよびlam 3rとともにPCRに用い、続いて各挿入配列について固有の制限酵素部位で消化し、消化により試験したクローンの100%が所望の変異導入配列について陽性であった。シークェンシングの結果は、fliCまたはfliC-CD154は、余分なヌクレオチドを付加することなくループ9領域に正確に挿入されたことを示した。
【0030】
実施例2:fliCまたはfliC-CD154変異体/挿入体の弱毒化
SE13Aの弱毒化はaroA遺伝子および/またはhtrA遺伝子の欠失変異によって実施された。aroA遺伝子(細菌のコリスミン酸経路の必須遺伝子)の変異は、7つの別個の生化学経路に影響を及ぼす重大な代謝の欠陥をもたらす。htrA遺伝子の変異は、低温および高温、低pH、並びに酸化剤およびDNA損傷剤への暴露に耐える細胞の能力を低下させ、細菌の病毒性を低下させる。
SE13Aの欠失変異を実施するために、S.エンテリティディスの細菌ゲノム中の前記標的遺伝子配列をKm耐性遺伝子配列で置き換えた。これはオーバーラップ伸張PCRおよび前記PCR生成物のエレクトロポレーションを上述のように用いて実施された。対象遺伝子(aroAまたはhtrA)と相同な200−300塩基対をKm耐性遺伝子にフランキングさせることによって、対象遺伝子を含むゲノム領域にKm耐性遺伝子を誘導した。いったんKm耐性変異体を得たら、aroAまたはhtrA欠失変異はDNAシークェンシングによって確認した。弱毒化株はまたクリアランス時間についてin vivoで検査した。弱毒化株の両方が野生型13A株よりも迅速なクリアランス時間を有するが、両株とも経口感染後のニワトリの肝臓、脾臓および盲腸扁桃でコロニーを形成することができた。さらにまた、aroAおよびhtrAの両方を欠く弱毒化株も単離された。
【0031】
実施例3:ニワトリのコロニー形成
孵化日の雛(1群に40羽)に約1x108 cfuの種々のサルモネラ単離株または食塩水コントロールを接種した。前記サルモネラ単離株には以下が含まれていた:wtSEはサルモネラ・エンテリティディス13A(SE13A)の最初の野外単離株である;fliCはlamBループ内(細胞表面)でfliCを発現する二重弱毒化(すなわちaroAおよびhtrA)野生型SE13Aである;fliC-CD154はfliCおよびニワトリCD154オリゴペプチドを同様に発現する二重弱毒化野生型SE13Aである。
ワクチン接種後3および21日目に、盲腸扁桃(CT)並びに肝臓および脾臓(L/S)を採取し、1群につき10羽のニワトリで標準的コロニー形成単位(cfu)アッセイによって細菌の回収を調べた。結果は図3(3日目)および図4(21日目)に示され、接種物と比較した回収cfu数で決定したwtSEパーセント回収として表されている。ワクチン接種後3日目および21日目の非チャレンジコントロール(コントロール)からも、ワクチン接種後21日目のfliC変異体接種ニワトリの肝臓または脾臓からもサルモネラは回収されなかった。これらの結果は、前記ニワトリは、野生型SE13Aよりも迅速にワクチン株を排除させる効果的なfliC抗原に対する免疫応答を発達させたことを示している。グラフ中の棒線上部の種々の文字はwtSEとの有意の相違(p<0.05)を示している。したがって、細菌表面でのfliCポリペプチドの発現はより強力な免疫応答を誘発する。同様な結果が、ヒトCD154オリゴペプチドをニワトリCD154ペプチドの代わりに用いたときに得られた。
接種ニワトリから血清を採集し、標準的方法を用いてELISAによってfliC特異抗体を測定した。fliC抗体の産生は、fliCまたはfliC-CD154含有SEでワクチン免疫したニワトリで有意には増加しなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
fliCポリペプチドをコードする第一のポリヌクレオチド配列およびCD154ポリペプチドをコードする第二のポリヌクレオチド配列を含むワクチンであって、前記CD154ポリペプチドがCD40と結合することができ、前記CD154ポリペプチドが50未満のアミノ酸を有しさらに配列番号:8のアミノ酸140−149またはそのホモローグを含む、前記ワクチン。
【請求項2】
fliCポリペプチドが配列番号:1、配列番号:2、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:1の免疫原性フラグメント、配列番号:2の免疫原性フラグメント、配列番号:10の免疫原性フラグメント、配列番号:11の免疫原性フラグメント、または配列番号:12の免疫原性フラグメントを含む、請求項1に記載のワクチン。
【請求項3】
CD154ポリペプチドが配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7を含む、請求項1または2に記載のワクチン。
【請求項4】
ワクチンが細菌性ワクチンである、請求項1−3のいずれかに記載のワクチン。
【請求項5】
細菌がfliCポリペプチドおよびCD154ポリペプチドの少なくとも1つをその表面に含む、請求項4に記載のワクチン。
【請求項6】
細菌が、サルモネラ属(Salmonella)の種、エシェリキア属(Escherichia)の種、バシルス属の種(Bacillus)およびラクトバシルス属(Lactobacillus)の種から成る群から選択される、請求項4または5に記載のワクチン。
【請求項7】
細菌がサルモネラ・エンテリティディス(Salmonella enteritidis)である、請求項6に記載のワクチン。
【請求項8】
細菌が、ACTT寄託番号PTA-7871、ACTT寄託番号PTA-7872、およびACTT寄託番号PTA-7873から成る群から選択されるサルモネラ・エンテリティディス13Aである、請求項7に記載のワクチン。
【請求項9】
第一のポリヌクレオチドおよび第二のポリヌクレオチドの少なくとも1つがトランスメンブレンタンパク質の外部部分をコードするポリヌクレオチド配列に挿入される、請求項1から8のいずれかに記載のワクチン。
【請求項10】
トランスメンブレンタンパク質がlamBである、請求項9に記載のワクチン。
【請求項11】
ワクチンが第一のポリヌクレオチド配列の2つ以上のコピーを含む、請求項1から10のいずれかに記載のワクチン。
【請求項12】
ワクチンが第二のポリヌクレオチド配列の2つ以上のコピーを含む、請求項1から11のいずれかに記載のワクチン。
【請求項13】
第一のポリヌクレオチド配列が第二のポリヌクレオチド配列とインフレームで連結される、請求項1から12のいずれかに記載のワクチン。
【請求項14】
サルモネラ・エンテリティディス13Aの変種を含むワクチンであって、前記サルモネラがfliCポリペプチドをコードする外因性の第一のポリヌクレオチド配列を含む、前記ワクチン。
【請求項15】
fliCポリペプチドが配列番号:1、配列番号:2、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:1の免疫原性フラグメント、配列番号:2の免疫原性フラグメント、配列番号:10の免疫原性フラグメント、配列番号:11の免疫原性フラグメント、または配列番号:12の免疫原性フラグメントを含む、請求項14に記載のワクチン。
【請求項16】
ワクチンが第一のポリヌクレオチド配列の2つ以上のコピーを含む、請求項14または15に記載のワクチン。
【請求項17】
第一のポリヌクレオチド配列が、トランスメンブレンタンパク質の外部部分をコードするポリヌクレオチド配列に挿入される、請求項14−16のいずれかに記載のワクチン。
【請求項18】
トランスメンブレンタンパク質がlamBである、請求項17に記載のワクチン。
【請求項19】
CD40と結合することができるCD154ポリペプチドをコードする第二のポリヌクレオチド配列をさらに含み、前記CD154ポリペプチドが50未満のアミノ酸を有しさらに配列番号:8のアミノ酸140−149またはそのホモローグを含む、請求項14−18のいずれかに記載のワクチン。
【請求項20】
CD154ポリペプチドが配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7を含む、請求項19に記載のワクチン。
【請求項21】
第一のポリヌクレオチド配列が第二のポリヌクレオチド配列とインフレームで連結される、請求項19−20のいずれかに記載のワクチン。
【請求項22】
第二のポリヌクレオチド配列が、トランスメンブレンタンパク質の外部部分をコードするポリヌクレオチド配列に挿入される、請求項19−21のいずれかに記載のワクチン。
【請求項23】
トランスメンブレンタンパク質がlamBである、請求項22に記載のワクチン。
【請求項24】
ワクチンが第二のポリヌクレオチド配列の2つ以上のコピーを含む、請求項19−23のいずれかに記載のワクチン。
【請求項25】
対象にワクチンベクターを投与する工程を含む、対象で鞭毛細菌に対して免疫応答を強化する方法であって、前記ワクチンベクターが、fliCポリペプチドをコードする第一のポリヌクレオチド配列およびCD154ポリペプチドをコードする第二のポリヌクレオチド配列を含み、前記CD154ポリペプチドがCD40と結合することができ、前記CD154ポリペプチドが50未満のアミノ酸を有しさらに配列番号:8のアミノ酸140−149またはそのホモローグを含み、さらに前記ワクチンベクターが前記鞭毛細菌に対する対象の免疫応答を強化するために有効な量で投与される、前記免疫応答を強化する方法。
【請求項26】
fliCポリペプチドが配列番号:1、配列番号:2、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:1の免疫原性フラグメント、配列番号:2の免疫原性フラグメント、配列番号:10の免疫原性フラグメント、配列番号:11の免疫原性フラグメント、または配列番号:12の免疫原性フラグメントを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
CD154ポリペプチドが配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7を含む、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
ワクチンベクターが細菌性ワクチンベクターである、請求項25−27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
細菌がfliCポリペプチドおよびCD154ポリペプチドの少なくとも1つをその表面に含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
細菌が、サルモネラ属の種、エシェリキア属の種、バシルス属の種およびラクトバシルス属の種から成る群から選択される、請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
細菌がサルモネラ・エンテリティディスである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
細菌が、ACTT寄託番号PTA-7871、ACTT寄託番号PTA-7872、およびACTT寄託番号PTA-7873から成る群から選択されるサルモネラ・エンテリティディス13Aである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
第一のポリヌクレオチドおよび第二のポリヌクレオチドの少なくとも1つがトランスメンブレンタンパク質の外部部分をコードするポリヌクレオチド配列に挿入される、請求項25−32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
トランスメンブレンタンパク質がlamBである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
ワクチンが第一のポリヌクレオチド配列の2つ以上のコピーを含む、請求項25−34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
ワクチンが第二のポリヌクレオチド配列の2つ以上のコピーを含む、請求項25−35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
第一のポリヌクレオチド配列が第二のポリヌクレオチド配列とインフレームで連結される、請求項25−36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
細菌が経口、鼻内。非経口および卵内から成る群から選択される方法によって投与される、請求項25−37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
免疫応答の強化が抗体応答の強化を含む、請求項25−38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
免疫応答の強化がT細胞応答の強化を含む、請求項25−39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
対象が家禽の種のメンバーである、請求項25−40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
家禽の種がニワトリである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
対象が哺乳動物である、請求項25−40のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
対象がヒトである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
約104から約109の細菌が対象に投与される、請求項25−44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
約105から約107の細菌が対象に投与される、請求項25−45のいずれかに記載の方法。
【請求項47】
対象に投与する前に細菌を死滅させる、請求項25−46のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
細菌が対象で複製することができない、請求項25−46のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
鞭毛細菌に対する免疫応答を対象で強化する方法であって、前記方法が、fliCポリペプチドをコードする外因性の第一のポリヌクレオチド配列を含むサルモネラ・エンテリティディス13Aの変種を、鞭毛細菌に対する対象の免疫応答を強化するために有効な量で投与する工程を含む、前記免疫応答を強化する方法。
【請求項50】
fliCポリペプチドが配列番号:1、配列番号:2、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:1の免疫原性フラグメント、配列番号:2の免疫原性フラグメント、配列番号:10の免疫原性フラグメント、配列番号:11の免疫原性フラグメント、または配列番号:12の免疫原性フラグメントを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
ワクチンが第一のポリヌクレオチド配列の2つ以上のコピーを含む、請求項49または50のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
第一のポリヌクレオチド配列がトランスメンブレンタンパク質の外部部分をコードするポリヌクレオチド配列に挿入される、請求項49−51のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
トランスメンブレンタンパク質がlamBである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
CD40と結合することができるCD154ポリペプチドをコードする第二のポリヌクレオチド配列をさらに含み、前記CD154ポリペプチドが50未満のアミノ酸を有しさらに配列番号:8のアミノ酸140−149またはそのホモローグを含む、請求項49−53のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
CD154ポリペプチドが配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
第一のポリヌクレオチド配列が第二のポリヌクレオチド配列とインフレームで連結される、請求項54−55のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
細菌が経口、鼻内。非経口および卵内から成る群から選択される方法によって投与される、請求項49−56のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
免疫応答の強化が抗体応答の強化を含む、請求項49−57のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
免疫応答の強化がT細胞応答の強化を含む、請求項49−58のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
対象が家禽の種のメンバーである、請求項49−59のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
家禽の種がニワトリである、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
対象が哺乳動物である、請求項49−59のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
対象がヒトである、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
約104から約109の細菌が対象に投与される、請求項49−63のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
対象に投与する前に細菌を死滅させる、請求項49−64のいずれかに記載の方法。
【請求項66】
細菌が対象で複製することができない、請求項49−64のいずれかに記載の方法。
【請求項67】
対象にワクチンベクターを投与する工程を含む、鞭毛細菌による感染に付随する罹病率を対象で低下させる方法であって、前記ワクチンベクターが、fliCポリペプチドをコードする第一のポリヌクレオチド配列およびCD154ポリペプチドをコードする第二のポリヌクレオチド配列を含み、前記CD154ポリペプチドがCD40と結合することができ、前記CD154ポリペプチドが50未満のアミノ酸を有しさらに配列番号:8のアミノ酸140−149またはそのホモローグを含み、さらに前記細菌が前記鞭毛細菌に対する対象の免疫応答を強化するために有効な量で投与される、前記罹病率を低下させる方法。
【請求項68】
鞭毛細菌による感染に付随する罹病率を対象で低下させる方法であって、前記方法が、fliCポリペプチドをコードする外因性の第一のポリヌクレオチド配列を含むサルモネラ・エンテリティディス13Aの変種を、鞭毛細菌に対する対象の免疫応答を強化するために有効な量で投与する工程を含む、前記罹病率を低下させる方法。
【請求項69】
サルモネラワクチンベクターを対象に投与する工程およびfliCポリペプチドをコードする第一のポリヌクレオチド配列を含む第二のワクチンベクターを投与する工程を含む、サルモネラワクチンベクターによって引き起こされる感染を限定する方法であって、前記第二のワクチンベクターがサルモネラ属に対する免疫応答を強化して前記サルモネラワクチンベクターによって引き起こされる感染を限定する、前記方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−502165(P2011−502165A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532246(P2010−532246)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/081813
【国際公開番号】WO2009/059018
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(500467264)ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ アーカンソー (10)
【出願人】(507191005)ザ テキサス エイ・アンド・エム ユニヴァーシティ システム (9)
【Fターム(参考)】