説明

音声エミュレーション機能を備えた電子書籍

【課題】様々なテキストから音声機能及び音声認識機能を有する、電子書籍を表示するためのビューアを提供することである。
【解決手段】このビューアは、ユーザが、表示された電子書籍においてテキストを選択し、対応する音声に変換することを可能にする。更に、ユーザは、表示された電子書籍の全体又は該電子書籍の特定のページに対するテキストから音声への変換をビューアに自動的に実行させることができる。また、このビューアは、ユーザが音声コマンドを入力することを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、1994年11月7日に出願された米国特許出願第08/336,247号である"Electronic Book Selection and Delivery System"と、1993年12月2日に出願された米国特許出願第08/160,194号である"Advanced Set-Top Terminal for Cable Television Delivery Systems"と、1997年8月5日に出願された米国特許出願第08/906,469号である"Reprogrammable Terminal for Suggesting Programs Offered on a Television Program Delivery System"との一部継続出願である。この最後の米国出願は、1993年12月2日に出願され1998年8月25日付けで米国特許第5,798,785号となった米国特許出願第08/160,281号である"Terminal for Suggesting Programs Offered on a Television Program Delivery System"の一部継続出願である。これら全ての米国特許出願は、本出願において援用する。
【0002】
また、本出願は、1999年1月27日に出願された米国特許出願第09/237,828号である"Electronic Book Electronic Links"と、1999年8月13日に出願された米国特許出願第09/289,957号である"Electronic Book Alternative Delivery Systems"と、1999年8月13日に出願された米国特許出願第09/289,956号である"Electronic Book Alternative Delivery Methods"と関連している。これら全ての米国特許出願は、本出願において援用する。
【0003】
本発明は、1又は複数の電子書籍を有する電子書籍ユニットに関する。更に詳しくは、本発明は、電子書籍に対してテキストから音声及び音声認識機能を提供する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
情報スーパーハイウェイの構想に示唆を受け、書籍の配布に革命が生じる。グーテンベルグによる可動なタイプセット印刷の発明以来、世界は、テキスト・マテリアルの配布においてこのような革命のきわに立ったことはない。「書籍」(book)という語の定義は、近い将来、劇的に変化する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
セキュリティ、便利さ、コスト、そしてそれ以外の技術的な問題などの理由により、書籍及び雑誌出版社は、現在、紙の形式でしか、その製品を配布することができない。しかし、本発明は、出版社が直面している問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による方法及び装置は、電子書籍に対してテキストから音声への変換及び音声認識機能を提供するという特徴を有している。ある実施例では、本発明による方法及び装置は、ビューワ上に電子書籍のページを表示し、前記ページはテキストを含む。次に本発明による方法及び装置は、音声に変換するために前記表示されたページ上のテキストの選択を受け取り、前記選択されたテキストの少なくとも一部を対応する音声に変換する。また、本発明による方法及び装置は、電子書籍の次のページを自動的に表示し、次のページのテキストの少なくとも一部を対応する音声に変換するか、又は、ユーザによる次のページの選択に基づいて変換を自動的に実行する。
【0007】
音声認識に関しては、本発明による方法及び装置は、ユーザからの音声を受け取り、その音声を対応する電子テキストに変換し、変換されたテキストを電子書籍の中に挿入する。
【0008】
音声又は可聴的なコマンドに関しては、本発明による方法及び装置は、電子書籍のある機能に関する可聴的なコマンドを受け取り、そのコマンドを対応する電子信号に変換し、その電子信号に応答して当該機能を実行する。
【0009】
音声セキュリティに関しては、本発明による方法及び装置は、ビューワ上に表示するために電子書籍を記憶する。次に、電子書籍のある機能に関する可聴的なコマンドをユーザから受け取り、そのコマンドを対応する電子信号に変換する。電子書籍に関するユーザからのコマンドは、電子信号が特定の基準を満足するときにだけ、実行される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】電子書籍選択及び配送システムの基本コンポーネントのブロック図である。
【図2】電子書籍選択及び配送システムの全体像を示す概観図である。
【図3a】電子書籍選択及び配送システムのための配送プランの概観図である。
【図3b】別の配送プランの概要である。
【図4】オペレーション・センタのブロック図である。
【図5】図5a及び図5bを含む。図5aは、オペレーション・センタとアップリンクとにおける処理の流れ図である。図5bは、アップリンク・サイトのためのハードウェア構成に関するブロック図である。
【図6a】4つの構成要素からなるホーム・サブシステムのためのハードウェア構成のブロック図である。
【図6b】2つのユニットからなるホーム・サブシステムの概観図である。
【図7】ビデオ・コネクタによって実行されるプロセスの流れ図である。
【図8】一例であるライブラリ・ユニットのためのブロック図である。
【図9】受信されたデータ・ストリームに対してライブラリによって実行されるプロセスのいくつかの流れ図である。
【図10】ビューワからの情報リクエストに対してライブラリ・ユニットによって実行されるプロセスの流れ図である。
【図11】一例であるビューワのための構成要素を示すブロック図である。
【図12】加入者からの情報リクエストに対してビューワによって実行されるプロセスのいくつかの流れ図である。
【図13】メニュ構造とメニュ・システムにおけるメニュの進行(シーケンシング)とを示す図である。
【図14a】導入メニュの概観図である。
【図14b】メイン・メニュの例を示す概観図である。
【図14c】サブメニュの例を示す概観図である。
【図14d】サブメニュの例を示す概観図である。
【図14e】サブメニュの例を示す概観図である。
【図14f】サブメニュの例を示す概観図である。
【図14g】サブメニュの例を示す概観図である。
【図14h】サブメニュの例を示す概観図である。
【図14i】サブメニュの例を示す概観図である。
【図14j】サブメニュの例を示す概観図である。
【図15】書店又は公共図書館のための電子書籍システムの概観図である。
【図16a】セットトップ・コンバータに対するハードウェア上の修正又は更新の概観図である。
【図16b】セットトップ・コンバータに対するハードウェア上の修正又は更新の概観図である。
【図17】データ受信機及びデータ送信機を含むセットトップ端末を示す概観図である。
【図18a】ブック・オン・デマンド・システムの概観図である。
【図18b】ブック・オン・デマンド・システムをサポートするオペレーション・センタの概観図である。
【図19】電子書籍のための音声エミュレーション・オプションをビューワ上に提供するメイン・メニュ・スクリーンの図である。
【図20】メイン・メニュ・ルーチンの流れ図である。
【図21】マニュアル式のテキストから音声ルーチンの流れ図である。
【図22】書籍メニュ・スクリーンの図である。
【図23】電子書籍のページの図である。
【図24】音声に変換されるように選択されたテキストを図解している電子書籍のページの図である。
【図25】自動ページめくり機能を備えた自動テキストから音声ルーチンの流れ図である。
【図26】マニュアル式のページめくり機能を備えた自動テキストから音声ルーチンの流れ図である。
【図27】設定ルーチンの流れ図である。
【図28】設定メニュの図である。
【図29】口述ルーチンの流れ図である。
【図30a】文字に起こされたテキストを含む電子書籍のページの図である。
【図30b】文字に起こされたテキストを提示するためのセクションを備えた電子書籍のページの図である。
【図31】書籍を見るルーチンの流れ図である。
【図32】書籍を見るスクリーンの図である。
【図33】音声コマンド・ルーチンの流れ図である。
【図34】音声セキュリティ・ルーチンの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
電子書籍選択及び配送システムは、書籍を書店、図書館、学校そして消費者に配布する新たな方法である。本発明の技術的なブレークスルーにより、選択された電子書籍を配送し支払いを受け取る信頼性の高い電子的なシステムが提供される。このシステムは、独特な特徴の組み合わせであり、消費者に、高度な技術的魅力を備えていながら同時に非常に実用的であって携帯可能で使用が容易な日常的で身近な電子書籍ユニットを提供する。
【0012】
本システムの明らかな効果は、紙の書籍やコンピュータ・メモリ装置などの物理的な対象の配布を、書籍又はテキストの配布システムから取り除いたことである。書籍の購入は、ペイパーリード(pay-per-readTM)な事柄となり、現在の書籍配布システムに付随しているオーバヘッド、「中間の人間」、印刷コスト、そして、時間的遅延を回避できる。大統領のスピーチ、新たな立法、堕胎に関する判決、OJシンプソンの証言などの出版されたマテリアル及びテキストを、最小の費用で、消費者に直ちに入手可能とすることができる。
【0013】
本発明のシステムは、テレビジョン、ケーブル、電話、そしてコンピュータ産業に関係する新たな技術の新規な組合せである。高帯域幅のデータ伝送、強力なセキュリティ保護方法、高度なデジタル・スイッチング、高解像度の視覚的表示、新規なコントロールズ、そして、ユーザ・フレンドリなインターフェース・ソフトウェアを用いる。
【0014】
このテキスト配送システムの基本コンポーネントは、テキストを信号経路上に配置するサブシステムと、信号経路上に配置されたテキストを受け取り選択するサブシステムとである。このシステムの好適実施例には、システムを強化する追加的なコンポーネントやオプションの機能が含まれる。このシステムは、書店、図書館、学校、そして消費者による使用に向くように構成することができる。
【0015】
消費者向けのシステムは、4つのサブシステムで構成される。すなわち、(1)オペレーション・センタ、(2)配布システム、(3)受信、選択、読書、商取引及び伝送機能を含むホーム・サブシステム、そして、(4)課金及び集金システム、である。
【0016】
オペレーション・センタは、複数の基本機能を実行する。すなわち、テキスト・データの処理(テキスト・データの受信、フォーマット化及び記憶を含む)、テキストのセキュリティ符号化、書籍のカタログ化、メッセージング・センタ機能の提供、そして、アップリンク機能の実行である。このシステムは、オペレーション・センタからのテキストを、適切な信号経路の中にデータを挿入することによって、消費者の自宅に配送する。テキストの挿入は、一般に、オペレーション・センタ内にある又はその近くにあるアップリンク・サイトでエンコーダによって実行される。信号経路がビデオ信号経路である場合には、このシステムは、垂直ブランキング期間(VBI)の複数のライン、アナログ・ビデオ信号のすべてのライン、又は、デジタル・ビデオ信号を用いてテキスト・データを送ることができる。VBI配送方法を用いると、トップの10又は20の書籍タイトルを、加入者のビデオ受信を妨げることなく、既存のケーブル又はブロードキャスト伝送能力を用いて、通常のプログラミングの間にビデオと共に送信することができる。ビデオ信号全体を用いると、数千冊の書籍を僅かに1時間の放送時間内に伝送できる。ほぼどのようなアナログ又はデジタル・ビデオ配布システムでも、テキストが含まれているビデオ信号を配送するのに用いることができる。
【0017】
テキスト・データは、ADSL接続など高速な接続を有する電話ネットワーク(例えば、公共交換型電話ネットワーク)を含む、それ以外の低速及び高速の信号経路を介して伝送することができる。また、上述の関係出願において開示されているように、これ以外の配送システムを用いることが可能である。
【0018】
ホーム・サブシステムは、4つの基本的な機能を実行する。すなわち、ビデオ配布システムへの接続、テキストの選択、テキストの記憶、そして、電話又はケーブル通信機構を通じた商取引である。ホーム・サブシステムのコンポーネントは、様々なハードウェア構成を有することができる。それぞれの機能は、別個のコンポーネントによって実行することができ、コンポーネントは統合することもでき、又は、既存のケーブル・セットトップ・コンバータ・ボックス及びテレビジョンの能力を用いることもできる。好ましくは、コネクタ、ライブラリ・ユニット、そして電子書籍ユニットすなわちビューワ・ユニットが用いられる。ホーム・サブシステムのコネクタ部分は、アナログ・ビデオ信号を受け取り、テキストをビデオから引き離す又は抽出する。ホーム・ライブラリは、テキスト信号を記憶し、システムへのユーザ・フレンドリなインターフェースを提供し、消費者の自宅で商取引(トランザクション)を処理する。ビューワは、テキスト又はメニュを見るためのスクリーンと、新規なユーザ・フレンドリなコントロールズ(操作装置)とを提供する。ビューワは、ホーム・サブシステムのすべての機能を内蔵することもできる。
【0019】
見るための装置は、好ましくは、1冊又は複数冊の電子書籍を読むために記憶しホーム・ライブラリ・ユニットと相互作用するスクリーンを提供する携帯型の書籍状のビューワである。高解像度のLCDディスプレイが、書籍を読むのとホーム・ライブラリ・ユニットとの相互作用との両方に用いられる。オプションの電話コネクタ又はリターン・パス・ケーブル接続が、電話コールを開始し、ライブラリの補助を得て必要なデータを伝送し、注文と消費者の商取引の課金部分とを終了する。ユーザ・フレンドリなコントロールズには、ブックマーク、現在の書籍、そしてページ繰りボタンが含まれる。課金及び集金システムは、トランザクションの管理、認証、集金、そして出版社への支払いを、電話システムを用いて自動的に実行する。また、上述の関連出願において開示されているように、これ以外の注文方法を用いることも可能である。
【0020】
一実施形態において、電子書籍選択及び配送システム200の基本コンポーネントは、図1に示されているように、エンコーダ204と、ビデオ配布システム208と、コネクタ212と、テキスト・セレクタ216とである。エンコーダ204は、テキスト・データをビデオ信号上に配置して複合ビデオ信号を形成する。この複合信号は、テキスト・データだけを含むこともあるが、通常は、ビデオ・データとテキスト・データとの両方を運ぶ。テキスト・データをビデオ信号上に符号化するのには、様々な装置及び方法を用いることができる。ビデオ配布システム208は、エンコーダ204のシングル・ポイントからの複合ビデオ信号を、コネクタ212を有する複数の場所に分配する。コネクタ212は、デジタル又はアナログ・ビデオ信号をビデオ配布システム208から受け取り、複合ビデオ信号から、テキスト・データを分離、引き離し又は抽出する。必要であれば、抽出されたテキスト・データは、デジタル・ビット・ストリームに変換される。テキスト・セレクタ216は、コネクタ212と共に機能して、テキストを選択する。
【0021】
コネクタ212とテキスト・セレクタ216との組合せを用いると、複合又はビデオ信号から希望するテキストを選択し検索する様々な方法が可能である。テキストは、予め選択する、受信時に選択する、又は、受信され記憶された後で選択することのいずれも可能である。好適な方法は、コネクタ212が、ビデオ信号からすべてのテキストを引き離し、テキスト・セレクタ216に、コネクタ212から受け取られたすべてのテキストをスクリーニングさせることである。テキスト・セレクタ216は、テキストが後述するスクリーニング・プロセスにパスした場合にだけ、そのテキストを長期又は恒久的なメモリに記憶する。
【0022】
電子書籍選択及び配送システム200の概要が、図2に示されている。システム200には、アップリンク・サイト254を含むオペレーション・センタ250と、ビデオ配布システム208と、ビデオ・コネクタ212を含むホーム・システム258と、ライブラリ262と、ビューワ266と、電話コネクタ270と、電話システム274と、インターネット・ウェブ・サイト279と、課金及び集金サブシステム278とが含まれる。やはり図2に示されているように、ホーム・システム258は、テレビジョン259とパーソナル・コンピュータ261とへの接続を含みうる。テレビジョン259とパーソナル・コンピュータ261とは、メニュ・スクリーン、電子書籍、電子ファイル、又は、配送システム200と関連する他の任意の情報を表示するのに用いることができる。更に、テレビジョン259とパーソナル・コンピュータ261とは、ビューワ266の機能を複写し補完する制御機能を提供することができる。
【0023】
オペレーション・センタ250は、出版社、新聞及びオンライン・サービスなどの外部ソース282からテキスト・マテリアルを受け取る。あるいは、外部ソースは、電子書籍をインターネット・ウェブ・サイト279に維持することもできる。外部ソース282は、テキスト及びグラフィクス・マテリアルを、デジタル・フォーマットに変換するか、又は、別のベンダにコンタクトしてこのサービスを提供することもできる。オペレーション・センタ250は、このテキスト及びグラフィクス・マテリアルを様々なデジタル・フォーマットで受け取り、記憶のために、それを標準的な圧縮されたフォーマットに変換する。そうする際に、オペレーション・センタ250は、ホーム・システム258に配送できるテキスト・マテリアルのプールを作成する。テキスト・マテリアルは、アクセスを容易にするために、書籍又はタイトル別にグループ分けすることができる。
【0024】
ここでは、「書籍」とは、任意の小説、百科事典、記事、雑誌、又はマニュアルなどに含まれているテキスト又はグラフィクス情報を意味する。「タイトル」という語は、著者によって書籍に割り当てられた実際のタイトルや、特定のグループ、部分、又はテキスト情報のカテゴリを指示する任意のそれ以外の指定を意味する。タイトルは、一連の関係のあるテキスト情報、一群のテキスト情報、又はテキスト・データの一部を指しうる。例えば、「最新のハーレクインロマンス」、「(10歳から12歳向けの)フォー・チャイルド・リーディング・ブックス(Four Child Reading Books)」、「ブリタニカ百科事典」、「大統領のスピーチ」、「インストラクション・マニュアル」、「7月4日のイベントの予定」、「ペット・ハンドブック」、「ロー対ウェード」、そして、「ジョイオブクッキング」などは、適切なタイトルである。また、タイトルは、グラフィカルなシンボル又はアイコンでもよい。従って、レンチの絵は修理本のタイトルになりうるし、コンピュータの絵はコンピュータ本のタイトルになりうるし、電話のグラフィカルなシンボルは電話帳のタイトルになりうるし、ダガーの絵はミステリ本のタイトルになりうるし、バットとボールの絵はスポーツ本のタイトルになりうるし、チッカーテープの絵はビジネス本のタイトルになりうる。「電子書籍」という語は、「書籍」に対応する電子的な対応物を意味する。
【0025】
オペレーション・センタ250は、テキストをビデオ信号上に配置しその複合ビデオ信号をビデオ配布システムに送るアップリンク・サイト254を含む。アップリンク・サイト254は、一般に、テキストをビデオ信号上に復号化するエンコーダ204(図2には示されていない)を含む。
【0026】
多くのアナログ及びデジタル・ビデオ配布システム208、又は、それ以外の通信システムを、配送システム200と共に用いることができる。例えば、ケーブル・テレビジョン配布システム、ブロードキャスト・テレビジョン配布システム、電話システムを介して配布されるビデオ、インターネットによる配布、直接衛星ブロードキャスト配布システム、そして、それ以外の有線及び無線の配布システムなどである。
【0027】
ホーム・システム258は、5つの基本機能を実行する。すなわち、(1)ビデオ配布システムとの接続、(2)データの選択、(3)データの記憶、(4)データの表示、そして、(5)商取引(トランザクション)の処理である。ホーム・システム258の重要なオプションの機能は、電話通信システム274を用いた通信である。ホーム・システム258は、基本的に4つの部分で構成されている。すなわち、ビデオ配布システム208と接続するためのビデオ・コネクタ212又は類似のタイプのコネクタと、記憶及び処理のためのライブラリ・ユニット262と、メニュ及びテキストを見るためのビューワ・ユニット266と、電話通信システム274と接続するための電話コネクタ270と、である。他の構成では、ビューワ266が、ホーム・システム258のすべての機能を含む場合もありうる。
【0028】
課金及び集金サブシステム278は、オペレーション・センタ250と同じ場所に配置されてもよいし、オペレーション・センタ250とは離れていてもよい。課金及び集金サブシステム278は、電話タイプの通信システム(例えば、274)を介して、ホーム・システム258と通信する。セルラ・システムなどの、任意の数の電話タイプの通信システムが、課金及び集金システム278と共に動作する。課金及び集金システム278は、加入者によって選択され注文された書籍又は一部のテキストを記録する。課金及び集金システム278は、加入者のクレジット口座に請求するか、加入者に課金する。更に、課金及び集金システム278は、テキスト・データ、又は、テキスト配送システム200を動作させるためのエア時間などそれ以外のサービスを提供した出版社又はそれ以外の外部ソース282が権利を有している金額をモニタする。
【0029】
電子書籍がインターネット・ウェブ・サイト279を介して提供されるときには、課金及び集金機能は、インターネット・ウェブ・サイト279に組み入れることができる。例えば、加入者は、クレジット・カード番号をインターネット・ウェブ・サイト279のページのデータ・フィールドに入力することによって、電子書籍選択に対する支払いをすることができる。この構成では、別個の課金及び集金システムは、不要である。
【0030】
図3aは、配送システム200のための配送プラン301の拡張された概観である。配送プラン301は、様々なタイプの加入者と様々なタイプの課金システムとをサポートする配送プランである。図3aには、出版社282がオペレーション・センタ250’へのテキスト転送302を提供し、課金及び集金システム278’から支払い306を受け取る様子が示されている。別個のチャネル・アップリンク・サイト254’がこの構成には示されており、オペレーション・センタ250’からデータ310を受け取っている。オペレーション・センタ250’は、3つの独立の部分(318、322、326)を有する。すなわち、テキストの受信、フォーマット化及び再エントリのための第1の部分318と、セキュリティ符号化のための第2の部分322と、カタログ及びメッセージ・センタ機能のための第3の部分326とである。
【0031】
示されている集金及び課金システム278’は、2つの部分(330及び334)を有する。第1に、商取引の管理、認証そして出版社への支払いを担当する部分330であり、第2に、顧客サービスを担当する部分334である。顧客サービス部分334は、データ・エントリと顧客の口座情報へのアクセスとを与える。商取引口座情報338は、クレジット・カード会社342に、課金及び集金システム278’の商取引管理部分330によって供給される。クレジット・カード会社342は、電子的に又は郵便で顧客に請求346を行う。
【0032】
加入者ベース348と課金及び集金システム278’との間の通信には3つの方法がある。すなわち、電話スイッチング350だけによるものと、セルラ・スイッチング354及び電話スイッチング350の組合せによるものと、ケーブル・システム358及び電話スイッチング350の使用によるものと、である。示されているシステムは、加入者との一方向362及び双方向366ケーブル通信をサポートする。書店374に加えて図書館及び学校370も、この配送システム301を用いることができる。
【0033】
公共図書館及び学校370は、ビューワ266をチェックアウト又は貸し出す一方、書店374がビューワ266を賃貸又は販売し電子書籍を販売することを可能にする修正されたシステムを有することができる。図書館及び学校370だけでなく書店374も、ケーブル378のサービスを受けられる。オプションの直接ブロードキャスト・システム(DBS)382は、システム200と共に用いることもできる。DBS382は、デジタル衛星技術を用いて電子書籍を提供することができる。その場合には、電子書籍は、例えば、バックヤード衛星アンテナを介して、受信される。
【0034】
図3bは、インターネットを用いた電子書籍選択及び配送を提供する別の配送プラン301’である。図3bでは、出版社282は、インターネット・ウェブ・サイト279にポストされるものとして電子書籍を与える。出版社は、テキスト及びグラフィクス・データをデジタル・フォーマットに変換し、そのデジタル・データを圧縮し、圧縮されたデジタル・データをインターネット・ウェブ・サイト279にアップロードする。あるいは、出版社282は、外部の変換機能283を用いて、テキスト及びグラフィクス・データをデジタル・フォーマットに変換する。変換機能283によって、デジタル・データをインターネット・ウェブ・サイト279に提供することができる。例えば、大型のオンライン書店は、様々な出版社から電子的な形式で出版物を集める、又は、ハードコピーの書籍を電子的な形式に変換してその電子書籍をインターネット・ウェブ・サイト279などにおいてインターネット上にポストすることができる。
【0035】
電子書籍は、次に、例えば、公共交換式電話ネットワーク(PSTN)を介して、直接に、加入者285、図書館286及び書店287に転送することができる。また、図書館286と書店287とは、電子書籍を加入者285に提供することもできる。
【0036】
I.オペレーション・センタ
図4は、アップリンク254を含むオペレーション・センタ250の概要である。オペレーション・センタ250は、受信し、フォーマット化し、記憶し、そして、符号化することによって、テキスト又は書籍を収集する。テキストを含むデータ・ストリーム302は、オペレーション・センタにおいて、データ受信機402によって受信される。データ受信機402は、プロセッサ404の制御の下にある。受信されると、データ・ストリームは、やはりプロセッサ404に制御されているフォーマット用のデジタル・ロジック406を用いてフォーマット化される。分配される信号にローカルに挿入するために、どのようなものであっても追加的なテキストがオペレーション・センタ250で発生される場合には、このテキスト発生は、データ受信機とキーボード(図示せず)とを含むテキスト発生器ハードウェア410を通じて扱われる。テキスト発生器410による処理の後では、追加的なテキストが、デジタル・ロジック回路(図示せず)を含む合成用のハードウェア414によって、受信されたテキストに更なるテキストを追加することができる。
【0037】
オペレーション・センタ250での処理は、命令メモリ416を用いるプロセッサ404によって制御される。プロセッサ404と命令メモリ416とは、パーソナル・コンピュータ又はミニコンピュータによって与えられる。カタログ及びメッセージング機能を実行するに、オペレーション・センタ250は、カタログ及びメッセージ・メモリ420と、必要であればテキスト発生器410とを用いる。
【0038】
テキスト、カタログ及びメッセージのデータ・ストリームは、好ましくは、アップリンク・モジュール254に送られる前に、セキュリティ符号化モジュールによって符号化される。様々な符号化技術を用いることができる。例えば、NSAの暗号化アルゴリズムの商業的なデリバティブ、データ暗号化システム(DES)、ゼネラル・インスツルメンツ社のデジサイファ(DigiCipher)IIなどが、セキュリティ符号化モジュール424によって用いられる。符号化の後では、符号化されたテキストは、アップリンク254に送られる前に、テキスト・メモリ428に記憶されうる。先入れ先出しテキスト・メモリ構成がプロセッサ404の制御の下で用いられるのが好ましい。RAMを含む様々なタイプのメモリを、テキスト・メモリ428に用いることができる。オペレーション・センタ250は、テキスト・メモリ428のためにファイル・サーバ技術を用いて、以下で説明するように、伝送する電子書籍をカタログ化しスプールする。
【0039】
テキスト・データ(すなわち、電子書籍)を伝送するために、配送システム208は、北米ブロードキャスト・テレテキスト・スタンダード(NABTS)や世界システム・テレテキスト(WST)標準が定義したような高帯域幅の伝送技術を用いる。WSTフォーマット(垂直ブランキング期間のそれぞれのラインが266データ・ビットを含む)を用いると、例えば、400ページの書籍を、1.6分でほぼ1冊の書籍の割合で、垂直ブランキング期間の4つのラインを用いて、プログラミングの間に伝送することができる(毎秒63840ビット)。あるいは、専用チャネルを用いて書籍を伝送することもできる。この場合には、プログラミングには割り込みがなされ、246ラインのビデオを用いて、1時間当たり約2250冊の書籍を伝送することができる(毎秒3.9メガビット)。テレテキスト・タイプのフォーマットは、このシステムと共に用いることができる最も単純ではあるがおそらく最も低速のテキスト・フォーマットである。いずれの場合にも、アップリンク・サイト254で、エンコーダ204を用いて、テキスト・データをアナログ・ビデオ信号の中に挿入する。多くの他の点では、テキスト情報の配送は、既存のケーブル・テレビジョン・プラント及び設備を用いてなされる。
【0040】
図5aは、出版社又はプロバイダ282からのテキストを処理することに関係する、オペレーション・センタ250で生じるステップの流れ図である。ブロック500に示されているように、出版社282は、書籍のテキストのデータ・ファイルを処理し、圧縮し、暗号化した上で、そのデータ・ファイルをオペレーション・センタ250又はアップリンク254に送る。ブロック504に示されているように、アップリンク254又はオペレーション・センタ250が、出版社282からのデータ・ストリームを受け取り、それを処理する。一般に、この処理の一部には、暗号化と誤り訂正とが含まれる。
【0041】
ブロック508に示されているように、ファイルは、より小さな情報のパケットに分割される。ヘッダ情報が、パケットに追加される。ビット・ストリームは、シリアルなデジタル・ビット・ストリームから、NTSCビデオ信号と互換性のあるアナログ・ビット・ストリームに変換される。ブロック512には、アナログ・データのビデオ信号のビデオ・ラインへのスイッチングが示されている。アナログ・データは、VBI又はアクティブなビデオ・ラインのいずれかに配置される。場合によっては、ビデオ・ラインではなく、帯域幅の未使用部分(5ないし40MHZ、70−75MHZ、100−109MHZ又はガード帯域など)を用いるのが好ましいこともある。
【0042】
図5bは、ブロック508及び512に対する機能のいくつかを実行するハードウェア構成の例である。ビデオ・フィード516が、同期ストリッパ520を介して受信されて処理される。ストリップされた同期信号532は、デジタル・ロジック制御524によって用いられる。デジタル・ロジック制御524は、同期信号532とシリアル・デジタル・ビット・ストリーム528とを処理のために受け取る。デジタル・ロジック制御524は、シリアル・デジタル・ビット・ストリームをデジタル・アナログ・コンバータ536に送り、ビデオ・スイッチ544のための制御信号540を出力する。ビデオ・スイッチ544は、ビデオ・フィード516とアナログ・データ・ストリーム548とをアナログ・データ信号が挿入されたビデオ・フィード552に統合する。
【0043】
ケーブル、衛星、ブロードキャスト、又はテレビジョン配送方法の代わりに、公共電話システムを用いて書籍を加入者に伝送することもできる。公共電話システムを介すると、平均的な電子書籍1冊は約7分で伝送される。電話システムを用いると、ビデオとテキストとを複合信号に合成することが不要である。ほとんどのそれ以外の点で、オペレーション・センタは、テキストの配送が電話によるかケーブルによるかと問わず同様なままである。(米国特許番号第5,262,875号のMincer et al.に与えられた"Audio/Video File Server Including Decompression/Playback Means"と、米国特許番号第5,218,695号のNoveck et al.に与えられた"File Server System Having High-Speed Write Execution "とに記載されているような)ファイル・サーバ技術(これらは共に本出願で援用する)が、電話システムによるテキスト配送方法と共にオペレーション・センタで用いられることが好ましい。
【0044】
ケーブル、テレビジョン、電話システムによる配送の代わりに、公共電話システムを用いて、インターネットにアクセスし、インターネット・ウェブ・サイト279にアクセスすることができる。電話システムを用いて、電子書籍を注文し、支払いを行い、インターネット・ウェブ・サイトから直接に配送することができる。
【0045】
電話システムを用いているどのような配送システムでも、高速のモデムや、ISDNコネクタ等の他の通信デバイスを組み込むことによって、又は、ADSLなどを用いることによって、個々の加入者は電子書籍の配送速度を増加させることが可能である。
【0046】
II.ホーム・システム
4コンポーネント型のホーム・システム258のためのハードウェア構成が、図6aに示されている。図6bは、2コンポーネントのホーム・システムを示している。ホーム・システム258は、データ及びビデオ伝送を受信する、データをビデオ信号からストリップ(又は、抽出)する、データをスクリーニングし記憶する、ユーザ・フレンドリなインターフェース・ソフトウェアを提供する、メニュ及びテキストを表示する、商取引(トランザクション)を処理する、電話コールを開始する、課金データを伝送するなど、複数の機能を実行する。様々なハードウェア構成を用いて、ホーム・システム258の希望する機能を達成することができる。例えば、図6bに示されているように、ホーム・システム258は、ケーブル・コンバータ・ボックス及びテレビジョン601の現在インストールされている加入者ベースの受信及びチャネル・チューニング能力を利用するように構成することができる。ホーム・システム258は、また、メニュ発生能力、電子メモリ及び電話モデムなどのセクションVにおいて後述する進歩型のセットトップ端末コンバータ・ボックスとして設計することもできる。
【0047】
ホーム・システム258を構成する電子コンポーネントは、様々な方法で構成することができる。図6aの4ユニット型システムでは、ビューワ266とライブラリ・ユニット262とを相互にワイヤで接続し、他方で、残りのコンポーネントは、RFトランシーバ604を介して通信する。ホーム・システム258の単純なバージョンでは、ライブラリ・ユニット262とビューワ266という2つのユニットだけが存在する。図6bには、いくらかのオプション機能を備えた2ユニット型のホーム・システム258が示されている。最後に、ホーム・システム258のすべての機能を、1つの電子書籍ユニット、すなわち、ビューワに組み入れることも可能である。
【0048】
ビューワ266は、一般的に、高解像度のビューイング領域602と、デジタル・ロジック(鍵605と、セキュリティ606と、マイクロプロセッサ621とを含む)と、ビデオ・グラフィクス制御及びメモリ607と、電源回路602(図示せず)と、オプションのバッテリ603と、オプションのRFトランシーバ604とを備えている。2ユニット型の構成では、ライブラリ・ユニット262は、ビデオ配送システム208へのコネクタ機能と、公共電話通信システムへのコネクタ機能と、メモリ600(取り外し可能な携帯型600’でもよい)とを含む。更に詳しくは、ライブラリ・ユニット262は、データ・ストリップ機能617と、デジタル・ロジック609と、メモリ・ストレージ600と、電源回路610と、オプションの電話接続部611(セルラ又はPCN611’を含む)と、オプションのバッテリ(図示せず)と、オプションのチューナ・モジュール613と、オプションのRFトランシーバ604とを含む。ビデオ・コネクタ212と公共電話システム接続部270とは、ライブラリ・ユニット262の取り外し可能な携帯型のメモリ・ユニット600と同じように、別個のコンポーネントに分けることもできる。(図6bには、取り外し可能なカートリッジ614を備えた取り外し可能な携帯型のハードディスク・メモリ600’が示されている。)最後に、ホーム・システム258は、付属のキーボード267又は無線のキーボード268を含む。付属したキーボード267と無線式のキーボード268とは、共に、ビューワ266(図示せず)又はライブラリ・ユニット262と通信するのに用いることができる。
【0049】
無線式のキーボード268は、例えば、無線周波数(RF)シグナリングを介して通信することができる。従って、ホーム・システム258は、相互に通信する別個のコンポーネントを最大で6つ有していることになる。ホーム・システム258を構成する2つ、3つ、4つ、5つ又は6つの別個のコンポーネントは、様々な方法で相互に通信することができる。これには、例えば、ハードワイアード接続615、RFトランシーバ604、そしてそれ以外の無線での方法などが含まれる。
【0050】
自宅(家庭、ホーム)ではRF通信が好ましいのであるが、その理由は、RF通信によって別々のコンポーネントを家のいたるところに制限なく配置できるからである。ユニットの間で通信されるデータは、セキュリティが保証されたデータであることが好ましい。更に、ライブラリ・ユニット262は、ハードワイアード接続615を介してビューワ266に電力を供給することができる。
【0051】
あるいは、単一型のユニットが、ホーム・システム258のすべての機能を実行することもできる。単一型ユニットは、軽量のバッテリを含めて軽量の材料を用いなければならない。単一型ユニットは、ユニット間で(外部的に)通信する必要がなくなる。単一型ユニットはより安価であり、重複する処理、メモリ・ストレージ及び電源回路が不要になる。
【0052】
消費者の自宅でデータを受信しビデオ信号から切り離す(ストリップする)には、ケーブル・インターフェース・デバイス又はケーブル・コネクタ212のいずれかが用いられる。ケーブル・コネクタ・デバイスはチューナ613を含み、それに対して、ケーブル・インターフェース・デバイスは、家庭にある既存の同調装置を利用する。どちらの構成でも、データは、ビデオ信号から切り離されてライブラリ・ユニット262における加入者の位置に記憶される。電話コネクタ270とモデム611とが電話コールを開始し、注文及び課金情報をオペレーション・センタ250又は課金及び集金システム278に伝送する。あるいは、電話コネクタ270とモデム611とを用いて、インターネットへのアクセスを提供し、電子書籍をインターネット・ウェブ・サイトに注文し受け取ることができる。ライブラリ・ユニット262は、ホーム・システムのインテリジェントなコンポーネントであり、テキスト・データを記憶し、メニュを発生し、購入の商取引を実現するのに必要なハードウェア及びソフトウェアを内蔵している。RFトランシーバ604に加えて、ライブラリ・ユニット262は、システムがビューワ266に接続されることを可能にするのに必要なジャック及び接続部を含む。図6bに示されているように、ライブラリ・ユニット262は、テキスト・データ(電子書籍)をビューワ266まで、復号化に鍵605を要する安全なフォーマットで通信する。テキストは、読まれる直前に、ページごとにだけ復号化されるのが一般的である。
【0053】
a.ビデオ・コネクタ
図7には、ビデオ・コネクタ212によって実行されるプロセスの流れが示されている。ビデオ・コネクタは、ビデオ信号608を受け取り、テキスト・データ612を含むチャネルに同調し、テキスト・データをビデオ信号616から引き離し、テキスト・データ・ストリームをライブラリ620におけるロジック・コンポーネントに通信する。
【0054】
ビデオ配布システムへの接続は、好ましくは、図6bに示されているように、ケーブル・テレビジョン配送システムへのケーブル・コネクタである。このケーブル・コネクタにはデータ・ストリッパ回路617が含まれており、これが、セットトップ・コンバータ、TV若しくはVCR601、又は、ケーブル・コネクタ212’を介してCATV信号を受け取るオプションのチューナ・ブロック613のいずれかからビデオ入力を受け取る。データ・ストリッパ回路617は、データをビデオから引き離し、デジタル・ビット・ストリームをライブラリ・ユニット262のデジタル・ロジック部分609に出力する。データは、ビデオ信号の垂直ブランキング期間又はアクティブ・ビデオ部分に暗号化され圧縮されたフォーマットで埋め込まれている。データ・ストリッパ回路617は、セットトップ・コンバータ・ボックス601、TV又はライブラリ・ユニットの内部に配置することができる。データ・ストリッパ回路617は、ライブラリのデジタル・ロジック609によって用いられるデジタル・ビット・ストリームを出力する。
【0055】
ビデオ・コネクタ212は、ビデオ・チャネル同調して、引き離されるデータを含むビデオへのアクセスを提供することができるチャネル・チューナ・モジュール613を含む。オプションのチューナ・モジュール613を用いると、セットトップ・コンバータ、VCR又はTVチューナは、ホーム・システムでは不要である。オプションのチューナ・モジュール613は、ケーブル・コネクタ212を介して直接にCATV信号を代わりに受信することができる。
【0056】
b.ライブラリ
2ユニット型のホーム・システムのためのライブラリ・ユニット262の実施例が、図6bと図8との両方に示されている。ここで示されている実施例には、次のようなオプションのパーツが含まれている。すなわち、取り外し可能な携帯型メモリ600’、マイクロプロセッサ628、命令メモリ・ユニット632、デジタル・ロジック636、そして、電源ユニット640に加えて、ビデオ・コネクタ212、電話コネクタ270、RFトランシーバ604、そして、バッテリ・パック624である。
【0057】
ライブラリ・ユニット262は、マイクロプロセッサ628とデジタル・ロジック636と命令メモリ・ユニット632とを含むデジタル・ロジック部609(図8には示されていない)を含んでいる。マイクロプロセッサ628は、好ましくは、モトローラ社から販売されているMotSC21などの信頼性の高いマイクロプロセッサである。デジタル・ロジック部609は、シリアル・デジタル・ビット・ストリームをデータ・ストリッパ回路617から受け取り、データを処理する。誤り訂正もデジタル・ロジック部609によって実行され、データは、適切なアドレスに関してチェックされる。データのアドレスが正しく、ライブラリ・ユニット262がそのデータを受け取ることが承認されている場合には、そのデータは、メモリ・ストレージ・ユニット600及び600’に転送される。データを受け取る承認は、ケーブル・ヘッドエンド又はそれ以外の配布点によって提供される。承認コードをシリアルなデジタル・ビット・ストリームにおいて送ることも可能である。デジタル・ロジック部609は、適切なテキスト及びグラフィクス・データをメモリ・ストレージ・ユニット600及び600’に送る。このデータは、圧縮され暗号化されたフォーマットで転送され、圧縮され暗号化されたフォーマットのままで記憶される。
【0058】
i.メモリ・ストレージ・ユニット
ライブラリのメモリ・ストレージ・ユニットは、取り外し可能な携帯型のメモリ・ユニット600’(図6a、図6b及び図8に示されている)でありうる。メモリ・ストレージには、様々なオプションを利用できる。すなわち、ハードディスク・ドライブ、取り外し可能なプラッタを有するハードディスク、CD−ROMなどである。図6bを参照すると、取り外し可能なプラッタを含むハードディスク・ドライブ・ユニット600’も利用できる。これによって、ライブラリは、ほぼ無制限な記憶容量を得ることになる。データ(すなわち、電子書籍ファイル)は、メモリ・ストレージ・ユニットに圧縮され暗号化されたフォーマットで記憶される。図6bに示されているように、データは、ビューワ266のID又は鍵と一致する鍵又は一意的なID番号を有している。一意的な鍵又はID番号のこのような一致により、メモリ・ストレージ・ユニットから未承認のビューワへ、テキスト・データが転送されることが防止される。スマート・カード、電子メモリ・カード又はPCMCIA(パーソナル・コンピュータ・メモリ・カード・インダストリ・アソシエーション)カード又はメモリ・スティックなどの小型のメモリ・デバイスを用いてデータを記憶することもできる。
【0059】
ii.電源回路
図6b及び図8に示されているように、ライブラリ・ユニット262は、ACの壁電源610、DC電源640又はオプションのバッテリ電源624のいずれかから電力を提供される。電源回路610及び640は、ライブラリにおける様々な回路に対してバッテリ624又はACユニットのいずれかからすべての必要な電圧を供給することが好ましい。好ましくは、電源回路610及び640は、ビューワ266に接続されると、単一のデータ・ケーブルを介してビューワに電力を提供する。電源回路610及び640は、動作中に、AC電源を用いてバッテリを再充電することもできる。オプションのバッテリ・ユニット624がインストールされると、ライブラリ・ユニット262は、携帯型のユニットとなり、電力をビューワ266に提供することができる。バッテリの寿命を長くするために、使用されないときにはメモリ・システムをシャットダウンするなど、電力節約策が講じられる。ビューワ266が用いられライブラリ回路が用いられていないときには、ほぼすべての電力が、ライブラリ・ユニット262に対して遮断される。
【0060】
iii.公共電話システムへの接続
電話システムへの接続は、好ましくは、モデム611によって提供される。様々な入手可能なモデムを用いて、この機能を実行することができる。図6bに示されているように、セルラ電話又はPCN電話接続611’も提供されうる。ホーム・システム258が最初に始動されるときに、モデムを用いて、消費者の氏名とクレジット・カード情報とが課金及び集金サブシステム278に転送される。電話接続270は、書籍が消費者に購入されるたびに用いられ、商取引を完了し記録する。電話接続270は、電子書籍をオペレーション・センタ250又はインターネット・ウェブ・サイトから受け取り、ビデオ配布システム208をバイパスする手段として用いられ得る。電話接続270は、図6bに示されているように、別個のユニットであってもよい。
【0061】
iv.ライブラリ処理
図9は、ライブラリ・ユニット262によってビデオ・コネクタ212又はストリッパ回路617から受け取られたデータ・ストリーム651に対して実行される基本的な処理の例を示している。第1に、データ・ストリーム651は、ブロック650によって誤り訂正に関してチェックがなされる。誤りが検出された場合には、ブロック654は、データをデインターリーブし、次いで、ブロック658がFEC(フォワード・エラー訂正)アルゴリズムを走らせる。ブロック650、654及び658の組合せが、データ・ストリームで必要な誤り訂正を実行する。誤り訂正が必要ない場合には、データはブロック662に進み、そこで、パケットがパケット・アドレスに関して個別的にチェックされる。
【0062】
アドレスが一意的なアドレスである場合には、ブロック666が、パケットのアドレスがライブラリ・ボックスのID番号と一致するかどうかをチェックする。ライブラリ・ボックスのID番号は、そのライブラリ・ユニット262と関連する一意的な番号であり、データのセキュリティを確認するために用いられる。ブロック670は、電子ファイルが既に開かれその中にデータ・パケットがセーブされているかどうかを判断する。データ・ファイルが開かれていない場合には、ブロック674は、そのパケットのために新たなデータ・ファイルを開く。電子ファイルが開かれている場合には、パケットがディスク上のその電子ファイルにブロック678においてセーブされる。次に、プロセスは、受信されている特定のテキスト・データ・ブロックに対する特定の書籍の最後のパケットであるかどうかをチェックする。それが情報の最後のパケットである場合には、電子ファイルは閉じられ、利用可能な電子ファイルのディレクトリは更新される(686)。ブロック682又は686のどちらかに続いて、プロセスは戻り(リターンし)、別のデータ・パケットを、データ・ストリッパ・ブロックから受け取られたデータ・ストリームから受け取る。
【0063】
パケット・アドレスがチェックされ、アドレスがブロードキャストされたアドレスであると判断されると、プロセスは、送られているメッセージのタイプを判断する(690)。メッセージは、書籍のタイトルのインデクス、メニュ(及びメニュ・グラフィクス)情報、告知、特別な申し出、ディスカウント、販促、プレビュー等でありうる。次に、メッセージは適切な電子メッセージ・ファイル694に記憶され、プロセスはブロック650に戻って別のデータ・パケットを受け取り、別のエラー・チェックを実行する。
【0064】
図9のプロセスを用いると、ライブラリ・ユニット262は、(与えられた書籍又は生成されたメニュにおける画像を示すのに用いることができる)テキスト・データ及びグラフィクス・データに関連するディレクトリを受け取り、記憶し、更新することができる。データのフォーマットとライブラリ・ユニット262のオペレーティング・システムとに応じて、プロセスの複数の変形が可能である。
【0065】
図10は、ライブラリ・ユニット262においてビューワ266からの情報リクエストを処理する例を示している。ビューワ266からの情報リクエストは、ビューワ266をライブラリ・ユニット262に接続するケーブルを介して、又は、RFなどの無線伝送を介して、受け取られる。ある実施例では、加入者のリクエストが、セットトップ・コンバータ・ボックス602から来ることもありうる(セクションVを参照)。
【0066】
ビューワ266から受け取られる情報リクエストは、一般に3つのカテゴリに属する。すなわち、(1)ライブラリ・ユニット262に記憶されている電子書籍のディレクトリ・データ、(2)システムにおいて利用可能なすべての電子書籍のインデクス、そして、(3)特定の電子書籍のリクエスト(ブロック700)である。プロセス・ブロック704は、ビューワ266に記憶されている電子書籍を示すデータのディレクトリに対するビューワ266からのリクエストに回答する。データのディレクトリはビューワ266に送られ、それによって、加入者に表示される。プロセス・ブロック708は、システムで利用可能なすべての電子書籍のインデクスに対するビューワ266からのリクエストを処理する。ライブラリ・ユニット262は、システムで利用可能なすべての電子書籍のインデクスを取得し、そのインデクスをプロセス712で伝送し、メニュ情報をビューワ266に与える。プロセス・ブロック716は、特定の電子書籍に関するビューワ266からのリクエストに応答する。ライブラリ・ユニット262は、ビューワ266によってリクエストされた特定の電子書籍の電子ファイルを開き、レコード又は情報をパケットごとにビューワに伝送する(720)。特定の電子書籍、レコード又はパケットをビューワ266に伝送するというこのプロセスは、最後のレコード又はパケットが送られる(724)まで継続する。
【0067】
特定の電子書籍に対するリクエストを処理する際の図10に示されたプロセスに加えて、ライブラリ・ユニット262は、また、ファイルを開くプロセス716に記載されているプロセスを用いて、オペレーション・センタ250に特定の電子書籍を注文し受け取る。ライブラリ・ユニット262に記憶されていない特定の電子書籍に対するリクエストがなされた場合には、ライブラリ・ユニット262は、当該電子書籍がビデオ配送システム208に存在する次の回を判断して、その電子書籍の受信及び記憶を確実にする(このプロセスは、図示されていない)。このプロセスを実行する際には、ライブラリ・ユニット262は、ビューワ266に、その電子書籍のテキスト・データをいつ取得するかに関する情報を伝送し、それによって、加入者が電子書籍を見ることができるようにする。タイミング情報に加えて、価格及びそれ以外の注文情報を、ライブラリ・ユニット262によって加入者に送ることができる。
【0068】
c.ビューワ(The Viewer)
図11は、ビューワ266のブロック図であり、その内部コンポーネントが示されている。図11のビューワ266は、図6bに示されているビューワ266と同じである。ビューワ266は、製本された書籍と物理的に類似するように設計されている。ビューワ266は、幾つかの基本コンポーネントと幾つかのオプションのコンポーネントとで構成されている。すなわち、(1)LCDディスプレイ602、(2)デジタル回路(図示せず)、(3)ビデオ・グラフィクス・コントローラ607’、(4)コントロールズ740、(5)書籍メモリ728、(6)オプションの電源回路736、(7)オプションのバッテリ603’、(8)オプションのRFトランシーバ604、(9)オプションのセルラ又はモバイル通信装置(608)、(10)オプションのキーボード267及び268、(11)スピーカ633、及び(12)マイクロフォン634である。
【0069】
(1)好ましくはVGAクオリティである高解像度のLCDスクリーン602が、テキスト及びグラフィクス・イメージを表示するのにビューワ266で用いられる。このスクリーンは、好ましくは、書籍の1ページのサイズである。2ページ型のスクリーンや2つのスクリーンをビューワ266において用いることも可能である。
【0070】
(2)信頼性の高いマイクロプロセッサ621、命令メモリ732及びデジタル・ロジックを含むデジタル回路である。データがビューワ266に転送される際は、圧縮され暗号化されたフォーマットを有する。信頼性の高いマイクロプロセッサ621は、ビューワ266のID番号を入力されてくるデータ・ストリームと比較し、ビューワ266のID番号がデータ・ストリーム内部のID番号と一致する場合には、テキスト・データだけを記憶する。ビューワ266がテキスト又はそれ以外のデータを出力せず、見るときにだけそして現に見られているページについてだけ解凍され復号化されるのが好ましい。このような措置が好ましい理由は、そうすることによって、データへの認証のないアクセスに対する追加的なセキュリティが提供されるからである。
【0071】
(3)VGAクオリティのテキスト及びグラフィクス・イメージを補助し表示することができるビデオ・グラフィクス・コントローラ607’が、ビューワ266に含まれている。グラフィクス・コントローラ607’は、上述のデジタル回路によって制御される。テキストは、複数のフォント・サイズで表示することができる。
【0072】
(4)図11のビューワ266は、タッチパネル式のコントロールズ(操作装置)740を有する。これらのユニークで新規なコントロールズ740を用いて、消費者は、記憶されている電子書籍とカタログにある電子書籍とを選択し、カーソルを移動させ、書籍の中のページをめくることが可能になる。典型的には、好ましいコントロールズ740は、次頁及び前頁ボタン742及び741と、カーソル移動のためのボール(又は、トラックボール)743と、1つ又は複数の選択ボタン745と、現在の書籍ボタン747と、ブックマーク・ボタン749(図14aを参照のこと)とを含む。
【0073】
コントロールズ740は、使用が容易であり便利な位置に配置されなければならない。図14aを参照すると、ビューワ266のためのコントロールズは、ビューワ266の下部のスクリーン602の下側に配置することができる。次頁ボタン742は最も用いられるボタン740であり、ページの右側エッジに近い位置に配置することができる。加入者は、コントロールズ、特に次頁ボタン741及び742を操作するのに右手の親指を用いる可能性が高い。従って、これらのボタンは、加入者の右手親指によって容易に操作できるように配置されるのが好ましい。一般的に、これは、図に向かって、ビューワ266の下側か、又は、ビューワ266の右側のマージンに沿って与えられる。現在の書籍のボタン747とブックマーク・ボタン749は、通常、コントロールズ740の中で最も使用頻度が低いボタンである。従って、示されている例では、これらのボタン747及び749は、ビューワ266のバインダに関して内部の領域に配置されている。
【0074】
ビューワ266の下側中央に位置するボール743又はそれ以外のカーソル移動デバイス(4つのポインタ矢印などであるが、図示されていない)の配置は、加入者による使用をより容易にし、ビューワ266の操作をより容易にする。カーソル745のための選択ボタンは、好ましくは、示されているように、ボールの左右の側にカーソル・ボール743の直径の半分だけ下側に配置されるのが好ましい。ポインタ矢印がカーソル移動のために用いられる場合には、選択ボタン745は、4つの矢印ボタン(図示せず)の中心に配置することができる。再び、最も用いられるコントロールズは、加入者の右手親指が通常おかれる位置に配置されるべきである。
【0075】
(5)少なくとも1冊の電子書籍又はより多くのテキストのための書籍メモリ728が、ビューワ266に含まれている。メモリ728は、テキストと、書籍中の写真を表す任意のグラフィクスとを記憶する。また、メモリ728は、メニュ・グラフィクス・データを記憶することもできる。ビューワ266では、2つの異なるメモリ・デバイス728を用いることができる。第1は、デジタル回路の中のマイクロプロセッサ621に対する命令用のものであり、第2は、書籍メモリ728(及び、グラフィクス)のために用いられ得るものである。ROM、RAM又は小型のハードディスクなど、市販されている様々なメモリ装置を用いることができる。1冊の書籍は約0.6メガバイトのストレージを必要とするので、約60メガバイトのストレージを提供する小型のハードディスクは、約100冊分の電子書籍のメモリを提供することができる。現在入手が可能な大型のハードディスクによれば、数千冊の電子書籍を記憶することが可能になる。
【0076】
書籍のテキストは様々なフォント・サイズで表示することができる。表示のために様々なフォントを与えるために、様々なフォントが命令又は書籍メモリ728に記憶されている。従って、より大きな又はより小さなフォントをメモリ621及び728から呼び出して、加入者の希望する表示を行うことができる。
【0077】
(6)ビューワ266における電源回路736は、AC電源、オプションのバッテリ603’又はライブラリ・ユニット262のいずれかから電力を受け取る。電源回路736は、ビューワ266内部の様々なシステムに必要な電圧を提供する。
【0078】
(7)オプションのバッテリ603’が、好適実施例では提供される。バッテリ603’は、AC電源が利用可能なときには自動的に再充電される。
(8)ビューワ266とホーム・システムの他のコンポーネントとの間の双方向のデータ・リンクを提供するオプションのRFトランシーバ604を、ビューワ266に含めることもできる。
【0079】
(9)また、ビューワ266は、移動通信のためのセルラ・トランシーバを含むこともありうる。
(10)オプションの有線(付属型)キーボード267と無線(例えば、RF)キーボード268(図6aを参照のこと)を、ビューワ266とともに用いて、加入者とビューワ266との間の通信を行うことができる。
【0080】
(11)及び(12)スピーカ633及びマイクロフォン634によって、ビューワ266は、オーディオ信号を加入者に提供することが可能になり、また、加入者がオーディオ(音声)入力を行うことが可能になる。スピーカ633及びマイクロフォン634は、セルラ・トランシーバ608又はそれ以外の通信装置と共に用いることによって、テレフォニ及びデータの送受信が得られる。
【0081】
図11のビューワ266は、ライブラリへの接続744、電子カード・メモリへの接続748、CD−ROM装置への接続752及び携帯用メモリ装置(図6bに示されている600’など)への接続756を提供することが可能なパーツを有する。PCMCIAなど、様々な電子メモリ・カードを、このビューワ266と共に用いることもできる。
【0082】
セキュリティと、低い電力消費と、優れた表示技術とが、ビューワ266の設計に求められている特徴である。ビューワ266は、軽量かつ携帯可能でなければならない。ビューワ266は、電子書籍を記憶し、読み、消去することを可能し、更に、書籍を注文し、それをシステム・オペレータが決めた所定の時間メモリに保持しておくという機能を含むソフトウェアであるオペレーティング・システムを含む。このソフトウェアは、ある期間(例えば、2週間)の間はその書籍を読むことが可能でその後には自動的に消去される、1回読めば消去される、又は、恒久的にメモリに保持できる、などのように構成することが可能である。各ビューワ266は、一意的な鍵605を有している。すべてのデータ・ストレージは個別のビューワ266のための鍵605を用いて暗号化され、複数のビューワ266が、テキスト・ファイル又は書籍ファイルにアクセスすることを防止している。
【0083】
図12は、ビューワ266によって実行されるプロセスの中のいくつかの流れ図である。一般に、ビューワ266は、タッチパネル式のコントロールズ740を介して、加入者からの入力を受け取る。あるいは、ビューワ266は、タッチスクリーン・ディスプレイ、付属キーボード267又は無線キーボード268からの入力を受け取る。そして、加入者の情報リクエストは、情報リクエスト・プロセス800を介してビューワ266によって処理される。
【0084】
加入者が利用可能な電子書籍のメニュをリクエストする場合には、利用可能書籍選択プロセス804が書籍メニュを選択する。ファイルを開くプロセス808は、利用可能な電子書籍をリスト化する電子ファイル(メニュにおけるトピックのカテゴリに関係する)を開き、利用可能な電子書籍の名前を備えたメニュを表示する。
【0085】
加入者が特定の読みたい電子書籍を選択すると、書籍を選択プロセス812がその選択を処理して、その特定の電子書籍を含む電子ファイルを決定する。ファイルを開くプロセス816は、その特定の書籍のファイルを開き、通常はその最初のページにアクセスする。(ポインタがその電子書籍のファイルの中に既にセットされている場合には、この処理によってデフォルトでそのページに到達する。)判定プロセス820は、次に、どのページが表示される必要があるかを決定する。判定プロセス820は、次ページか、前ページか、それともブックマークされたページのどれを表示すべきかを判断する。この電子ファイルへのポインタが正しい位置にない場合には、前ページ取得プロセス828は、ポインタを移動させ、記憶されているファイルから前ページのデータを取得する。そうでない場合には、次ページ取得プロセス824は、記憶されている電子ファイルから次ページのテキストを取得するのが通常である。復号化及び解凍プロセス832は、テキスト・データを復号化及び解凍し、そのデータをビデオ・ディスプレイに送る。ビデオ・ディスプレイは、一般に、それに関連したビデオ・ディスプレイ・メモリを有し、復号化及び解凍プロセス832は、データをこのビデオ・ディスプレイ・メモリに直接に送る。ディスプレイ用の回路によって、テキストのページを表示するというプロセスが完了する。
【0086】
加入者がコントロールズ740を介して電源をオフにするというリクエストをすると(情報リクエスト・プロセス800から)、電源をオフにするというプロセス836が開始される。ポインタ・セーブ・プロセス840は、ビューワ266が現に読んでいるその書籍におけるページ数へのポインタをメモリにセーブする。ファイルを閉じるプロセス844は、すべての電子ファイルを閉じ、電源回路にビューワ266の様々な回路への電力供給を遮断するように信号を送る。加入者は、また、コントロールズ740を用いて特定の電子ファイルに埋め込まれている電子リンクを用いている他の電子ファイルにアクセスすることもできる。電子リンク・システムについては、後で詳しく説明する。
【0087】
このような基本プロセスの例とともに、ビューワ266は、書籍の選択を表示し、それらの書籍からのテキストを表示することができる。
d.メニュ・システム
図13を参照すると、配送システム200は、この配送システム200から機能及び電子書籍を選択するメニュ・システム851を有している。メニュ・システム851に要求されるオペレーティング・ソフトウェアとメモリとは、ビューワ266に配置されている(例えば、命令メモリ732及び/又は書籍メモリ728)。しかし、ライブラリ・ユニット262(例えば、命令メモリ632)に配置されてもよいし、ライブラリ・ユニット262とビューワ266とがメニュ・システム851の動作に必要なソフトウェア及びメモリを共有することもできる。メニュはビューワ266上に表示されるのが通常であり、ビューワ266はライブラリ・ユニット262が存在しない場合でも動作が可能であることが好ましいため、メニュを作成するための基本ソフトウェア及びメモリは、ビューワ266に配置されている方がより便利である。
【0088】
メニュ・システム851は、複数のメニュの間でのシーケンシングが可能でありビューワ266のLCDディスプレイ602上などでのグラフィカル表示のためのメニュ・グラフィクスを提供するシステムである。セットトップ・コンバータを用いるシステムでは、これらのメニュは、テレビジョン・スクリーン上にも表示できる。最も単純な実施例では、メニュは、加入者がそこから選択ができる基本的なテキスト情報だけを提供する。より複雑な実施例では、メニュは、加入者を補助するグラフィクス及びアイコンを含む視覚的な表示を提供する。
【0089】
図13には、シーケンシングを備えたメニュ・システム851が示されている。このシステムにおける基本メニュは、導入メニュ850と、メイン・メニュ854と、複数のサブメニュ858とである。示されている実施例では、3つのレベルのサブメニュが存在する。場合によっては、加入者を選択又はリクエストされた情報に容易に導くのに、1又は2のサブメニュ858で十分な場合がある。しかし、3つ以上のサブメニュ858があれば加入者にとってより使いやすいユーザ・インターフェースが得られるような機能も存在する。サブメニュ858の各レベルは、表示のための様々なメニュによって構成されうる。表示される特定のメニュは、先に示されているメニュに関する加入者による選択に依存する。1つないし多くのメニュのこのツリー・シーケンスの例は、ヘルプ・サブメニュ887及び888である。リクエストされた特定のヘルプに応じて、加入者に、異なるレベルの2つのヘルプ・メニュが表示される。
【0090】
導入メニュ850の例が、図14aに示されている。一般に、導入メニュ850は、ビューワ266をシステムに導き、初期ガイダンス、告知(アナウンスメント)及び命令を提供する。導入メニュ850の次には、メイン・メニュ854が続くが、その例は図14bに示されている。メイン・メニュは、ビューワ266に、このシステムにおいて利用可能な基本的な選択又は機能を提供する。図14bは、メイン・メニュ854が多くの追加的な機能及びサブメニュ858を加入者に提供している例である。例えば、図14bには、ビューワ266が、ポイント・アンド・クリック法によって、以下の例を含む複数のオプションを選べることが示されている。すなわち、(1)無料(フリー)プレビュー、(2)注文できる書籍、(3)あなたのライブラリの書籍、(4)あなたの現在の書籍、(5)ヘルプ、(6)オンライン・サービス、そして(7)それ以外のシステム機能、である。メイン・メニュ854での選択の後には、対応するサブメニュ858が示される。
【0091】
図13には、13の利用可能な基本的なすなわち第1レベルのサブメニュが示されている。すなわち、(1)口座設定862、(2)無料のプレビュー866、(3)書籍推薦エントリ855、(4)あなたのライブラリの書籍872、(5)あなたが注文できる書籍878、(6)あなたの現在の書籍884、(7)ヘルプ887、(8)利用可能な機能890、(9)メッセージ893、(10)口座情報896、(11)送られる(出ていく、outgoing)メッセージのサブメニュ898、(12)リンク表示970、そして、(13)リンクの作成980である。図14cは、あなたのライブラリの書籍872という第1レベルのサブメニュの例である。この「あなたのライブラリの書籍」という例示的なサブメニュ872は、タイトルと著者別の6冊の利用可能な電子書籍を示しており、加入者が、異なる書棚874をチェックすること又はメイン・メニュ854に戻ることを可能にしている。図14d及び図14eは、「あなたが注文できる書籍」サブメニュ878を用いて注文できる電子書籍のための他のサブメニュ858を示している。
【0092】
図14fは、注文選択及び確認メニュ880’の例であり、電子書籍の注文をするのに加入者が用いるための「ソフト・キーボード」975を提供し、その加入者の注文を確認する。この特定の例では、加入者は、その注文を完了するのにPIN番号を入力することを求められる。「ソフト・キーボード」975は、完全な英数字キーボードとして構成でき、また、加入者が書籍の注文に関係する追加的な情報を追加するのにも用いることができる。英数字又はそれと類似のパスワードを用いて、その加入者が承認されている加入者であることが確認される。ある実施例では、加入者は、PIN又はパスワードを用いて注文を確認し、最終的な確認スクリーンを受け取る。最終的な確認スクリーンは、基本的にはテキストであり、次のように(又は、類似の内容が)書かれている。
【0093】
あなたの書籍注文はCABLEを介して処理されています。
あなたの書籍は翌日までに配送され、あなたのVISAの口座に2ドル95セントの請求がなされます。
【0094】
あなたの書籍は、あしたの東部標準時間で午前6時から読むことができます。次の点にご注意下さい。
1.あなたのライブラリ・ユニット及びケーブル接続ユニットが、今夜、アンテナを立てた状態でプラグ・インに差し込まれていること。そして、
2.あなたのケーブル・コンバータを「THE BOOK」チャネルにチューニングすること。TVセットは、オンである必要はありません。
【0095】
「口座設定メニュ」862と口座の設定に関係する別のサブメニュ858(指示と口座入力864とを与える)との例が、図14g及び図14hに示されている。これらのサブメニュ858によって、オペレーション・センタにおける口座の初期化や注文をクレジット・カードに課金することが可能になる。サブメニュ858には、あなたが希望するPIN番号又はパスワード、クレジット・カード及び電話番号などに関係するデータを入力できる能力が含まれている。確認メニュによって、所望のPIN又はパスワードとクレジット・カードとを用いて口座(勘定)が適切に設定されたことが確認できる。
【0096】
書籍の無料プレビュー866も、サブメニュ(868及び870)によって提供される。無料プレビュー・メニュの例は、図14i及び図14jに示されている。図14iは、プレビューができる複数の電子書籍を表示しているメニュを示している。電子書籍の選択に続いて、選択された電子書籍の表紙からの抜粋がその書籍に関する批評家の書評からの抜粋と共に提供されている。好適実施例では、特定の電子書籍に対するこのプレビュー・スクリーンによって、加入者は、著者に関する情報を与えてくれるサブメニュを選択することができる。この書籍プレビュー・サブメニュには、本の表紙や中身のシーンの静止画像やグラフィクスが含まれる。そのような静止画像又はグラフィクスの例が、図14jに示されており、そこには、著者に関するプレビュー・スクリーン870が示されている。この画像は、短い動画クリップとして、MPEGの規約に従って提供することもできる。そのようなクリップは、例えば、著者のインタビューなども可能である。著者のプレビュー・スクリーン870では、著者の写真が示され、短い伝記が与えられ、それを見て加入者がその著者の本を注文できるようになっている。その著者の様々な電子書籍を注文する価格も、メニュ上に示される。あるいは、プレビューを、電子リンク・システムを介して提供することもできる。これについては、後述する。
【0097】
無料プレビューに加えて、より高度な実施例では、配送システム200は、加入者に、電子書籍推薦機能(855を参照)を提供する。これは、メニュ・システム851と、ビューワ266、ライブラリ・ユニット262又は配布点(1020又は250)に位置する関連のメモリを備えているプロセッサとを用いて達成される。必要なときに、プログラム推薦機能のための情報が、複合又はビデオ信号のテキスト・データとしてホーム・システム258に送られる。この機能によると、書籍又は著者は、加入者に、その加入者の先の注文に関する履歴データ、加入者の人口学的データ又は傾向、それ以外のインジケータに基づいて提案されるか、テキスト・ワード・サーチによって提案されるか、又は、その双方によって提案される。
【0098】
書籍推薦に関する実施例では、プレビュー情報(本の表紙の説明、批評家の書評、著者の伝記など)、及び、書籍又はそれ以外のタイトルのテキストの一方又は双方のテキスト・ワード・サーチが、ライブラリ・ユニット262によって、ライブラリ・メモリ600に記憶されているデータベースを用いて、実行される。個別化された書籍又は著者の推薦は、その加入者の興味を示す加入者から得られた情報を得ることによって、加入者に対してなされる。加入者からのエントリは、好ましくは、電子書籍推薦エントリ・サブメニュ855を用いて整理される。このシステムは、これらの加入者からのエントリを直接又は間接に用いて、加入者に推薦すべき書籍又は著者をサーチする。
【0099】
一般的には、書籍推薦方法は、2つのカテゴリに分けられる。すなわち、応答性(responsive)の方法(一連の加入者のメニュ・エントリに応答する)と、インテリジェントな方法(データを分析して電子書籍を推薦する)とである。応答的又はインテリジェントな方法を用いて、配送システム200は、推薦されるタイトル又は著者のリストを決定し、第2又は第3のレベルのサブメニュ856及び857を作成し、それらのタイトルを加入者が選択するように提案する。
【0100】
タイトルを提案する応答性の方法には、例えば、傾向(ムード)に関する質問の利用、著者のサーチ、キーワード・サーチが含まれる。ビューワ266の命令メモリ732とメニュ発生ハードウェア(例えば、607)とを用いて、一連の傾向に関する質問をメニュ上に与え、特定の時期における加入者の興味を判断することができる。この方法では、オペレーション・センタ250のプロセッサ404と命令メモリ416とは、それぞれのタイトルに、軽い、深刻、乱暴、短い、長い、退屈、わくわくさせる、複雑、読みやすい、若者向けのテーマ、老人向けテーマ、冒険、ロマンス、ドラマ、フィクション、サイエンス・フィクションなどのグループの中から、傾向インジケータ(及び、サブインジケータ)を割り当てる。これらのインジケータは、テキスト・データと共にホーム・システム258に送られ、ライブラリ・メモリ600に記憶される。加入者のエントリに基づいて、プロセッサ404は、インジケータの組を加入者のリクエストを関連付け、インジケータが一致する電子書籍の組を見つけて、加入者に提案する。
【0101】
著者又はキーワード(加入者から提供されたサーチ・ワード)の応答性サーチは、一般的に、ライブラリ・メモリ600に記憶されているデータに関して、ライブラリ・プロセッサ628と命令メモリ632とによって実行される。例えば、加入者によって与えられたキーワードを、書評、批評家及びプレビュー・データベースを記憶しているライブラリ・メモリ600において一致を求めてサーチすることができる。このようにして、加入者が適切なサブメニュ上で「潜水艦」という語のエントリを提供している場合には、ライブラリ・プロセッサ628は、命令メモリ632の中のルーチンからの命令を用いて、「レッド・オクトーバをさがせ」("Hunt for Red October")というタイトルを見つけることができる。
【0102】
プログラムを提案するインテリジェントな方法には、加入者に関する個人的プロフィール・データ、及び、その加入者が以前に注文した書籍など加入者に関する履歴データ(又は、購入データ)の一方又は双方を分析することが含まれる。この方法は、書籍オンデマンド・システムでは好ましく、メモリ428に記憶されている加入者データベースを用いてオンサイト・プロセッサ404によって配布点又はオペレーション・センタ250で実行することができる。ホーム・システム258は、配布点やオペレーション・センタ250からのプログラム提案情報を含むテキスト・データを受け取り、同じテキスト・データの受信212と上述したビューワのメニュ発生ハードウェア(例えば、607、621)とを用いて、プログラム提案サブメニュ855及び856を発生する。命令メモリ(例えば、632、732)に記憶されているソフトウェア・ルーチン及びアルゴリズムは、履歴データと書籍注文データとを分析して当該加入者に提案する書籍の線を決定するのに用いられる。
【0103】
書籍や著者を加入者に推薦するというこの強力な機能のためのアルゴリズムは、1996年9月24日付けの米国特許第5,559,549号である"Reprogrammable Terminal for Suggesting Programs Offered on a Television Program Delivery System"に詳細に開示されている。この米国特許は、本出願において援用する。
【0104】
図13を参照すると、「あなたのライブラリの書籍」というサブメニュ872に関して複数のサブメニュ858が示されて、好ましくは、各本棚に対するサブメニュ874及び876と共に書棚番号に分割されている。「あなたが注文できる書籍」というサブメニュ858の上のサブメニュも、同じように、書棚880及び882によってサブメニュに分割されている。これらの書棚は、それぞれが、書籍のカテゴリ又はジャンルでありうる。電子書籍は、ベストセラー、小説、フィクション、ロマンスなどのカテゴリにグループ分けすることができる。図14dを参照のこと。
【0105】
図13を参照すると、「あなたの現在の書籍」884というサブメニュ858によって、加入者は、現在の書籍884を選択することができ、どのページを読むのかを決めることができる。この選択は、レベル2のサブメニュ885を用いて確認することができる。ヘルプ・サブメニュ887は、加入者に、追加的なヘルプ・スクリーン888を提供することができる。利用可能な機能890に対するサブメニュ858は、好ましくは、それぞれの機能に対する別個のサブメニュ891及び892のシーケンスに分割される。
【0106】
図13を参照すると、この配送システム200を用いて、メッセージを送ることもできる。レベル1のメッセージ・スクリーンは、加入者に、その加入者が有している様々なメッセージ893の中から選択することを可能にしている。次に、各メッセージが、別個のサブメニュ・スクリーン894及び895の上に示される。メッセージには、テキストとグラフィクスとを含めることができる。
【0107】
図13を参照すると、口座情報が、レベル1のサブメニュ896の上に示されており、それに続くサブメニュ858には、最近の注文とあなたの口座の差引勘定897とが示されている。入力スクリーン899として用いられる続きのサブメニュを有する送るためのメッセージ898に対するレベル1のサブメニュも存在している。
【0108】
図13と図14aないし図14jとに示されている特定の機能及びサブメニュに加えて、これ以外の多くの変形例や機能が可能である。書籍がスクリーン上で最終的に読むために選択されると、タイトルのページ886がスクリーン上に現れ、次にテキストのページが続く。
【0109】
III.課金及び集金システム
課金及び集金システム278(図2及び図3に示されている)は、電子商取引と電話交換における最新技術を用い、注文をトラッキングし、配送を認証し、消費者に課金して、出版社に自動的に代金を払い込む。電話コネクタ270によって開始された電話コールは課金及び集金システム278によって受信され、このシステムは、注文を受けて消費者のクレジット・カード口座に請求することによって、人間の介入なしに直ちにこれに応答する。データは周期的にコンパイルされ、出版社282は書籍の売り上げに応じて代金を受け取る。この課金及び集金システム278は、また、双方向のケーブル接続、セルラ又はそれ以外の通信手段を介して加入者と接続することもできる。
【0110】
課金及び集金システム278は、オペレーション・センタ250と通信して入手可能な書籍に関する変更をトラッキングし、オペレーション・センタ250に統計データを提供することが好ましい。
【0111】
IV.公共図書館、学校及び書店システム
本発明による電子書籍システムは、公共図書館、学校及び書店で用いられるように修正することが可能である。図15は、公共図書館、学校又は書店の位置に対するコンポーネントの可能性のある構成を示している。公共図書館、学校又は図書館におけるメイン・ユニットは、ファイル・サーバ900である。ファイル・サーバ900は、数千冊の書籍を記憶することができる大型の電子メモリ・ユニットである。ファイル・サーバには、ハードディスク、読み取り書き込み型のCD−ROM、読み取り専用のCD−ROMなど、様々な電子記憶手段を用いることができる。
【0112】
このシステムは、5つのコンポーネントで構成されている。すなわち、ファイル・サーバ900と、コンバータ又はビデオ・コネクタ904と、コントローラ908と、ビューワ912と、カタログ・プリンタ916と、である。システムを制御するソフトウェアは、基本的に、コントローラ908に配置されている。コンバータ又はビデオ・コネクタ904は、上述したものと類似している。この構成では、コントローラ・ユニット908は、コンバータ904によってファイル・サーバ900に転送されつつあるデータをモニタする。コントローラ908には、好ましくは、見るためのスクリーンと複数の制御ボタンとが備わっている。システムのより高度な制御を実行するためにより大きなスクリーンを有することが必要である場合には、ビューワ266をコントローラ908に接続して、ビューワ・スクリーンとコントロールズ(操作装置)740とを用いることができる。
【0113】
コントローラ908は、特定のファイル・サーバ900から書籍を受け取ることを認証された公共的なビューワ912にだけ書籍をダウンロードすることができる。セキュリティ上の理由で、公共的なビューワ912が複数のファイル・サーバ900にアクセスすることは好ましくない。このようにして、書籍のテキスト・データに関するセキュリティを維持することができる。公共的なビューワ912は、コントローラ908から一度に1冊又は2冊の書籍を受信できるというように制限されていることが好ましい。公共的なビューワ912の加入者は、新たな又は追加的な書籍を必要とするときには、ビューワ912を学校又は公共図書館に返還し、そこでコントローラ908から新たな電子書籍を受け取ることができる。
【0114】
ファイル・サーバ900で利用可能な書籍をトラッキングするために、利用可能な書籍のタイトルをカタログ・プリンタ916で印刷することが可能である。カタログ・プリンタ916はライブラリ・コントローラ908に接続されており、書籍のタイトルはカタログ・プリンタ916にダウンロードされる。どの書籍のコーディングされたテキストも、このシステムのコントローラ908とカタログ・プリンタ916とを用いて印刷することはできない。データに関するセキュリティを維持するためには、どのような書籍データも、プリンタ916にダウンロードすることは許されていない。利用可能な電子書籍タイトル、雑誌又はそれ以外のテキスト・マテリアルの完全なプリントアウトが完了すると、カタログ920のハードコピーを、ファイル・サーバ900に維持しておくことが可能である。
【0115】
示されているシステムは、書店で用いることもできる。書店は、公共的なビューワ912を顧客に賃貸して、1冊又は2冊の書籍のテキストをその公共的なビューワ912にロードすることができる。公共的なビューワ912には、自動タイムアウト・シーケンスを備えておくことができる。このタイムアウト・シーケンスは、例えば2週間程度のある期間が経過すると、書籍のテキスト・データを消去してしまう。2週間程度の期間が経過した時点でこの借りている者は公共ビューワ912を書店に返却し、読むための追加的な書籍を受け取ることが期待されている。このような構成を用いると、書店が常連客にビューワ912を(恒久的に)販売することも可能である。その場合には、常連客は、ときどき書店に立ち寄って書籍のテキスト・データを受け取り、それを彼自身のビューワ912上に恒久的に記憶できるのである。書店、学校及び公共図書館については、上述のファイル・サーバ900と公共ビューワ912とを用いるこれ以外の様々な構成も可能である。
【0116】
V.セットトップ・コンバータの使用
サイエンティフィック・アトランタ(Scientific Atlanta)社やゼネラル・インスツルメンツ(General Instruments)社によって作られているような既存のセットトップ・コンバータは、現時点では、本発明の配送システム200を扱えるようにはなっていない。ライブラリ機能を含むセットトップ・コンバータを作ることはできるのはあるが、既存のセットトップ・コンバータ技術と共に本発明の配送システム200を用いるためには、ハードウェアの修正が必要である。
【0117】
図16a及び図16bは、ハードウェアの修正又はアップグレードの例である。ポートを用いて、後述するハードウェア・アップグレードをセットトップ端末に付属させる。セットトップ・コンバータ601には、2つのアップグレードを行って、電子書籍を受け取り選択することの補助とすることが可能である。メニュ発生カードのアップグレード(図16a)と情報ダウンロード・ユニット(図16b)とである。これらのアップグレードは、それぞれ、アップグレード・ポートを介してセットトップ端末ユニットに接続することができる。4ワイヤ・ケーブル、リボン・ケーブル、IEEE1394ファイアワイヤ・インターフェース、USBインターフェースなどを用いて、アップグレードをセットトップ・コンバータ601に接続することができる。
【0118】
セットトップ・コンバータ601へのカードの追加950は、図16aに示されている。示されているカード950は、既存のセットトップ・コンバータ601技術を備えた書籍選択システムを用いるのに必要な追加的機能を提供する。カード950は、セットトップ端末のフレームの内側に差し込まれてセットトップ端末の一部、すなわち、進歩型のセットトップ端末になるように構成することができる。カード950がセットトップ・コンバータ601に追加する基本的な機能は、データ信号の解釈、メニュの発生、メニュのシーケンシング、そして、窮極的なものとして、テレビジョン又はビューワ912のいずれかを用いてビューワ912が書籍を選択できるようにする能力である。更に、カード950は、ケーブル・ヘッドエンドなどの遠隔位置が注文された書籍に関する情報を受け取る方法を提供する。電子書籍注文情報と制御コマンドとは、ケーブル・ヘッドエンドからカード950まで電話回線を用いて送ることができる。
【0119】
カード950の基本コンポーネントは、PCチップCPU952と、VGAグラフィクス・コントローラ954と、ビデオ・コンバイナ956と、論理回路958と、NTSCエンコーダ960と、受信機962と、復調器(図示せず)と、ダイアラ611’とである。カード950は、同軸ケーブルを介してケーブル・ヘッドエンドからデータ・テキスト信号を受け取ることによって動作する。カード950の論理回路958は、セットトップ・コンバータ601から、データ964と、赤外線コマンド966と、同期信号(図示せず)とを受け取る。リモコン上のビューワ912によってなされるメニュの選択は、セットトップ・コンバータ601のIR装置によって受信され、カード950に送られる。カード950は、IR信号を解釈し、加入者が選択した書籍(又はメニュ)を決定する。カード950は、IRコマンドを修正して、情報をセットトップ・コンバータ601に送る。修正されたIRコマンドは、セットトップ・コンバータ601が必要とするチャネル情報を含む。電話回線968とダイアラ611’とを用いると、カード950は、書籍注文情報をケーブル・ヘッドエンドに送ることができる。また、電話回線を介して書籍を受信し、ビデオ配布システムをバイパスすることも可能である。この実施例では、電話システムを用いて、インターネット・ウェブ・サイトへのアクセスを提供して、電子書籍を注文及び受信することができる。
【0120】
これらのコマンドは、セットトップ端末のマイクロプロセッサをハードウェア・アップグレードのマイクロプロセッサとリンクするインターフェースを介して送ることができる。このようにして、加入者の入力は、セットトップ端末のキーパッド又はリモコンを介して入力されるのであるが、任意のハードウェア・アップグレードに処理のために転送されることができ、そこで発生された応答は、表示のためにセットトップ端末に返送されることが可能になる。好適実施例では、IRコマンド966は、セットトップ端末601からハードウェア・アップグレードに転送される。
【0121】
ハードウェア・アップグレードは、マイクロプロセッサと、対話型ソフトウェアと、処理回路と、バブル・メモリと、長期メモリ・デバイスとを含むことができる。これらの基本コンポーネントに加えて、ハードウェア・アップグレードは、追加的な電話モデム又はCD−ROMデバイスを利用することもある。
【0122】
情報ダウンロード・ハードウェア・アップグレード1001(図16bに示されている)により、加入者は、セットトップ・コンバータ601を用いて、大量の情報を、オペレーション・センタ250又はケーブル・ヘッドエンドからダウンロードすることが可能になる。ハードウェア・アップグレード1001は、加入者が、書籍や雑誌などのデータをローカルなストレージにダウンロードすることを可能にする。基本的には、ハードウェア・アップグレード1001は、追加的なローカル・ストレージ・ユニット(例えば、ハードディスク、フロッピ、光ディスク又は磁気カートリッジであり、図16bに示されているように、マイクロプロセッサ1005、命令メモリ1007、そしてRAMを含む場合もある)である。好ましくは、小型の携帯用ビューワ266にもアップグレード1001が提供され、TVを用いなくともダウンロードしたテキストを読むことが可能となる。
【0123】
ダウンロード可能な情報は、オペレーション・センタ250又はケーブル・ヘッドエンドによって供給されるテキストやグラフィクスであってよい。このアップグレードを用いると、書籍をダウンロードして、携帯型リーダ266を用いれば、どこででも読むことができる。このアップグレードを用いると、書籍をダウンロードして、圧縮形式で記憶し、後で解凍することもできる。書籍は、見るときにだけ解凍する。公衆が直ちにアクセスすることを希望するような重要なテキストは、このシステムを用いれば利用可能になる。大統領のスピーチ、新たな法律、最高裁によってなされた最新の堕胎に関する判断などを、直ちに入手可能とすることができる。
【0124】
ある実施例では、電子書籍注文情報は、ポーリング・リクエスト・メッセージ・フォーマットを用いてケーブル・ヘッドエンドによってポーリングされるまで、それぞれのセットトップ端末に記憶される。ポーリング・リクエスト・メッセージ・フォーマットの例は、6つのフィールドで構成される。すなわち、(1)メッセージの開始における立ち上がりフラグ、(2)アドレス・フィールド、(3)加入者領域指定、(4)ポーリング・コマンド/応答(すなわち、P/F)ビットを含むセットトップ端末の識別子、(5)情報フィールド、そして、(6)メッセージの最後の立下りフラグである。ポーリング・リクエストに応答してセットトップ端末によってケーブル・ヘッドエンドまで通信される情報に対する同様の応答フレーム・フォーマットも用いることができる。
【0125】
図17には、データ受信機617’とデータ送信機1011とを含む好ましいセットトップ・コンバータが示されている。データ送信機は、セットトップ端末601とケーブル・ヘッドエンドとの間の登り(アップストリーム)のデータ通信能力を提供する。アップストリーム・データ伝送は、上述したポーリング・システムを用いて、そして更に、データ送信機1011を用いて達成される。受信機617’と送信機1011との両方を、セットトップ端末601自体に組み入れることもできるし、又は、アップグレード・モジュールを介して追加することもできる。特定のハードウェア構成とは関係なく、セットトップ端末のデータ伝送能力は、図17に示されているハードウェアを用いて達成されうる。
【0126】
図17には、データ受信機617’とチューナ613とが共同して機能することによって受信されるRF信号が示されている。これらの装置は、共に、マイクロプロセッサ1013とのインターフェースを有し、このマイクロプロセッサ1013は、セットトップ端末のキーパッド、リモコン又はビューワ912のいずれかを介して、加入者から入力1015を受け取る。加入者のTVで受信されることが意図されているすべてのケーブル信号は、チューナ613によってアクセスされ、その後で、処理回路1017によって処理される。この処理回路1017は、典型的には、スクランブル解除、復調、ボリューム制御、そして、チャネル3又は4のTVキャリア上への再変調のための追加的コンポーネント(図示せず)を含む。
【0127】
個々のセットトップ・コンバータに向けられたデータは、各セットトップ・コンバータの特定のアドレス又はIDに従って、データ受信機617’によって受信される。このようにして、それぞれのアドレス指定可能なセットトップ・コンバータは、それ自身のデータだけを受信する。データ受信機617’は、セットトップ・コンバータ601に特有のデータを、既に述べた信号フレームの情報フィールドにおいて、又は、入来スペクトルにおける適宜の周波数に配置された別個のデータ・キャリアの上で受信することができる。
【0128】
受信されたデータは、電子書籍と、選択のために利用可能なメニュとに関する情報を含む。加入者は、キーパッド又はリモコンを用いて一連のコマンド1015を入力し、チャネル又はプログラムを選ぶ。そのようなコマンドを受け取ると、マイクロプロセッサ1013は、チューナに、データを搬送しているチャネルの適切な周波数に同調するように命令し、次に、処理回路1017にこのデータのスクランブル解除を開始するように命令する。
【0129】
電子書籍を選択すると、マイクロプロセッサ1013は、ローカル・メモリ(図示せず)に何らかの選択情報を記憶し、後で、ケーブル・ヘッドエンドに向けてデータを返送する。マイクロプロセッサ1013は、すべてのCATV信号受信を調整し、更に、様々なアップストリーム・データ伝送コンポーネントと相互作用する。典型的には、データ送信機1011は、5から30MHZの帰還周波数帯域で動作する。別の実施例では、10から15MHZの周波数帯域が用いられる。しかし、用いられる周波数帯域とは関係なく、データ送信機1011は、情報を、既に述べた応答フレームの情報フィールドにおけるケーブル・ヘッドエンドに送る。当業者であれば、多数の変形例を考慮することが可能であり、上述したセットトップ端末のハードウェア・コンポーネントの組合せを用いて、アップストリームのデータ伝送を達成することができる。
【0130】
VI.書籍オンデマンド・システム(Book-On-Demand System)
この出願で説明している電子書籍システム200は、書籍オンデマンド・スタイルに構成することもできる。図18aは、書籍オンデマンド・システムのための構成の一例を示している。書籍オンデマンド・システムは、消費者の家庭、書店又は図書館とオペレーション・センタ250又はケーブル・ヘッドエンドなどの配布サイト1020のいずれかとの間に、より強力な双方向の通信を必要とする。このタイプの双方向通信は、図17に示されていており上述したハードウェアによって提供されうる。
【0131】
図18aを参照すると、書籍オンデマンド・システムでは、加入者は、電子書籍に関する入手可能なメニュからダウンロードする電子書籍を選択する(例えば、図14d及び14eを参照)。入手可能な書籍のメニュのためのデータは、通常、配布サイト1020によって加入者の位置まで送られる。加入者のメニュ選択の後で、加入者の選択(又はリクエスト)に関する情報は、配布点1020(ケーブル・ヘッドエンド又はインターネット・ウェブ・サイトなど)又はオペレーション・センタ250のいずれかに通信される。このリクエストを受け取ると、書籍のために必要とされるテキスト及びグラフィクス情報は、スプールされ、加入者に送られる。このようにして、書籍は、加入者によるリクエストがあったときにだけ送られ、かつ、書籍(又は、テキスト)に対する要求があると直ちに送られる。
【0132】
このような書籍オンデマンド・システムをサポートするためには、テキストの配送及び配布は、ビデオ・オンデマンド・ケーブルや電話テレビジョン・システム、インターネット・ウェブ・サイトなどの、強力なノード・アーキテクチャを有する(nodal architectured)配布システム上か、又は、公衆電話システムでの個別的な電話アクセスの使用を通じてなされなければならない。
【0133】
書籍オンデマンド・システムによると、加入者にとってはより広範囲な電子書籍の選択が可能になり、不要である又は望まれていない書籍データの通信量を制限することができる。また、電子書籍を加入者にはるかに迅速に提供することができる。
【0134】
より強力な配布システムに加えて、書籍オンデマンド・システムは、配布点1020が、テキスト情報にアクセスしスプールアウトするためのより高度な装置を備えていることを要求する。これは、書籍を記憶するファイル・サーバ技術1024、又は、テキスト情報を配布する電話タイプのスイッチング(図示せず)を用いると、達成できる。このような書籍オンデマンド・システムを構成するのに用いることができるファイル・サーバ1024と配布技術とは、既に引用した米国特許第5,262,875号及び第5,218,695号とに記載されている。
【0135】
図18aは、ファイル・サーバ技術を用いる書籍オンデマンド・システムの実施例を示している。電子書籍に加えて、図18aの実施例は、ほとんどどのようなデジタル・データの配布でもサポートしている。電子書籍又はテキスト・ファイルは、出版社282及びそれ以外のソースから、ローカル・フィード1032やATM1028を通じて、又は、衛星ディッシュ1036によって受信される。好ましくは、配布点1020は、加入者からのリクエストを受け取りテキストを双方向の通信システム(ビデオ・オンデマンド(VOD)1044など)を介して配送するケーブル・ヘッドエンドである。あるいは、インターネット・ウェブ・サイトが、配布点1020として機能することができる。
【0136】
ライブラリ・ユニット262は、基本的なプレミアム・タイプのサービス・ケーブル・システム1048、ニア・ビデオ・オンデマンド・タイプのケーブル・システム(又は、ペイパービュー(PPV)1052)、又は、ビデオ・オンデマンド・ケーブル・システム1044のいずれかに接続することができる。これら3つのシステムのいずれかと接続する際には、ライブラリ・ユニット262は、ケーブルに直接にアクセスすることができるし、又は、セットトップ端末601’、601’’、601’’’を介してシステムにアクセスすることもできる。
【0137】
双方向のビデオ・オンデマンド・システム1044を用いると、加入者は、特定の電子書籍タイトルをリクエストし、リクエストの直後にそのテキストを受け取ることができる。これを達成するには、配布点1020が、入手可能な書籍のリストをケーブル配送システムを介して、ライブラリ・ユニット262まで伝送する。ライブラリ・ユニット262は、入手可能な書籍のリストをメニュ又は類似のフォーマット上に表示する。先に述べたように、ライブラリ・ユニット262は入手可能な書籍のカテゴリをリスト化し配布点1020からのリクエストを形成するメニュを用いるのが好ましい。電子書籍を選択した後では、ライブラリ・ユニット262は、リクエスト信号を双方向の通信システム1044上を配布点1020まで送る。このリクエスト信号は、2つの方法で処理することができる。ライブラリ・ユニット262がリクエストを始動するか、又は、配布点1020が様々なライブラリを双方向システム1044上へポーリングするかのいずれかである。電子書籍タイトルに対するリクエストを受け取ると、その書籍タイトルと関連するテキストは、ライブラリ・ユニット262まで双方向のケーブル・システム1044を用いて伝送される。
【0138】
図18bは、地域的な又は全国的な書籍オンデマンド・システムをサポートする好適なオペレーション・センタ250の拡大図である。実際、示されているオペレーション・センタ250は、ほとんどすべての任意のデジタル・データの配布をサポートしている。オペレーション・センタ250は、テープ1060、1060’、ATM1028又は衛星1036によってデジタル情報を受け取る複数のフィードをサポートしている。情報は、入力MUX1064と小型のファイル・サーバ1068とを介して処理された後で、マスタ・ファイル・サーバ1072に到達する。出版社282から受け取った書籍などのデジタル・データは、マスタ・ファイル・サーバ1072に記憶される。デジタル・データは、MPEG2などの標準的なフォーマットで圧縮されて記憶されるのが好ましい。
【0139】
システム・コントローラ1076は、地域的又は全国的な書籍オンデマンド・システムに対する制御を行う。電子書籍はグループごとにパッケージングがなされ、様々なケーブル・ヘッドエンドへのフィードを提供することができる。更に、スケジューリングやマーケット・リサーチがオペレーション・センタ250で行われる。スケジューリングやマーケット・リサーチを処理するためには、電子書籍購入データが、マルチプレクサ1082を介してオペレーション・センタ250で受信される。電子書籍購入情報は、オペレーション・センタ250によって課金及び集金システム278に提供することができる。
【0140】
オペレーション・センタ250は、また、ファイル・サーバにメッセージや広告を挿入する機能も有している。これらのメッセージや広告は、最終的には、加入者によって受け取られる。
【0141】
マスタ・ファイル・サーバ1072は、出力マルチプレクサ1080とATM1028とを、デジタル・データを配布するための衛星接続点に加えて、用いる。好適実施例では、ケーブル・ヘッドエンドは、書籍に関するテキスト・データを、出力マルチプレクサ1028とATMシステム1028とを介してマスタ・ファイル・サーバ1080から受け取る。デジタル書籍データを受け取ると、ケーブル・ヘッドエンドは、その書籍をローカル・ファイル・サーバ1024に記憶する。図18Aの配布点1020は、ATMフックアップ1088又は衛星フックアップを介して図18bのオペレーション・センタ250からデータを受け取ることができるケーブル・ヘッドエンドの一例である。
【0142】
VII.電子書籍のための音声エミュレーション機能
図19は、ビューワ266上に、電子書籍のための音声エミュレーション・オプションを提供するメイン・メニュ・スクリーン1100の図である。メイン・メニュ1100は、ビューワ266上に表示され、ユーザが電子書籍における音声エミュレーションに関係する様々なオプションを選択することを可能にする。メイン・メニュ1100は、多数のセクションを有しており、ユーザは適切なセクションを選択することによってオプションを選択することが可能になる。セクションという用語は、スクリーンの定義可能な部分を意味し、セクションを選択するという行為は、例えば、トラックボール743を用いてカーソル又はポインタをそのセクションの上に配置し、選択ボタン745を押すことによりそのセクションの上をクリックすることを含む。周辺機器を含むそれ以外のカーソル制御装置を用いて、カーソルを配置し又は特定のコマンドを入力することによって、あるセクションを選択することができる。メイン・メニュ1100におけるセクションは、そして、それ以外の説明されているスクリーンは、異なる形状を有していることがあり、示されているものとは異なる構成で表示されることがあり得る。更に、スクリーンは、例えば、所望の機能又は表示された情報に応じて、より多くの又はより少ないセクションを有することがあり得る。また、メイン・メニュ1100やそれ以外の説明されているスクリーンは、ビューワ266上に表示されるために発生されたり、表示されるためにメモリから検索されたりする。これは、命令メモリ・ユニット632の中に存在するソフトウェア・モジュールの制御の下で動作するライブラリ・プロセッサ628によるか、命令メモリ732の中に存在するソフトウェアの制御の下で動作するビューワ・プロセッサ621によるか、又は、ハードウェア及びソフトウェア・モジュールの組合せによるか、である。キーボードをビューワと共に用い、キー・ストロークをコマンドのために用いることができる。あるいは、ソフト・キーボードをビューワ266上に表示して、コマンドを入力するのに用いることもできる。
【0143】
マニュアル(手作業)でのテキストから音声セクション1102によって、ユーザは、表示された電子書籍の中のテキストを対応する音声に変換するオプションを選択することが可能になる。「テキストから音声への」という表現は、電子形式のテキストから対応する音声への変換を意味する。自動ページめくり機能を備えている自動のテキストから音声セクション1104によると、ユーザは、ビューワに電子書籍のページからページへと連続的にテキストを音声に変換させるオプションを選択することが可能になる。マニュアルのページめくり機能を備えた自動のテキストから音声セクション1106によると、ユーザは、ビューワ266に表示されたテキストのページの全体を音声に自動的に変換させるオプションを選択することが可能になる。様々なテキストから音声への変換機能に対して、ビューワ266は、スピーカ/マイクロフォン608’を用いて、電子形式のテキストを対応する音声に変換することができる。
【0144】
書籍を見るセクション1108によると、ユーザは、電子書籍を見るオプションを選択することが可能になる。設定セクション1110によると、ユーザは、設定メニュを見て音声エミュレーション機能に関係する様々なパラメータを入力するオプションを選択することが可能になる。設定は、電子書籍の制御及び関連する機能に関係する様々なパラメータである。口述セクション1112によると、ユーザは、電子書籍の中への口述を実行するオプションを選択することが可能になる。口述という用語は、音声を、ビューワ又はそれ以外の表示装置上に表示することが可能な電子形式の対応するテキストに変換することを意味する。
【0145】
図20は、ユーザによってメイン・メニュ1100において選択されたオプションを処理するメイン・メニュ・プロセス1120の流れ図である。メイン・メニュ・プロセス1120は、ビューワ266、ライブラリ262又はその組合せの中で実現が可能である。例えば、そのプロセスは、命令メモリ・ユニット632の中に存在しライブラリ・プロセッサ628によって実行されるソフトウェア・モジュールか、命令メモリ732の中に存在しビューワ・プロセッサ621によって実行されるソフトウェア・モジュールか、又は、ハードウェア及びソフトウェア・モジュールの組合せによって、実現される。表示プロセス1122はビューワ266上にメイン・メニュ1100を表示し、選択プロセス1124はメイン・メニュ1100の中のユーザが選択したオプションを受け取る。決定プロセス1123は、音声セキュリティ機能がアクティブにされているかどうかを判断し、アクティブにされている場合には、メイン・メニュ・プロセスが、後述する音声セキュリティ・ルーチン1125を実行する。音声セキュリティは、特定の音声パターン又は特性を備えているユーザだけしか、ビューワ266のコンテンツ、すなわち、ビューワ266又はライブラリ262の中に記憶されている電子書籍へのアクセスが許されないようにする機能である。音声セキュリティ・ルーチン1125の結果として、承認ルーチン1127が、そのユーザがリクエストされた機能に対する承認を有するかどうかを判断する。
【0146】
ユーザが承認を有している場合には、オプション・プロセス1126が、選択されたオプションに対する処理を実行する。特に、ユーザがどのオプションを選択したかに応じて、様々なルーチンが実行される。ユーザがマニュアルのテキストから音声セクション1102を選択した場合には、音声プロセス1128は、マニュアルのテキストから音声ルーチン1130を実行する。ユーザが自動のテキストから音声セクション1104を選択した場合には、音声プロセス1132は、自動のテキストから音声(自動ページめくり)ルーチン1134を実行する。ユーザが自動テキストから音声セクション1106を選択した場合には、音声プロセス1136は、自動のテキストから音声(マニュアルでのぺーじめくり)ルーチン1138を実行する。ユーザが設定セクション1110を選択した場合には、設定プロセス1140が設定ルーチン1146を実行する。ユーザが書籍を見るセクション1108を選択した場合には、書籍を見るプロセス1148が、書籍を見るルーチン1150を実行する。
【0147】
図21は、マニュアルのテキストから音声ルーチン1130の流れ図である。マニュアルのテキストから音声ルーチン1130は、ビューワ266、ライブラリ262又は組合せの中に実現することができるが、例えば、ライブラリ・プロセッサ628によって実行される命令メモリ・ユニット632の中に存在するソフトウェア・モジュールか、ビューワ・プロセッサ621によって実行される命令メモリ732の中に存在するソフトウェア・モジュールか、ハードウェア・モジュールか、又は、ハードウェア及びソフトウェア・モジュールの組合せによって実現することができる。ルーチン1130では、表示プロセス1160が、書籍メニュを表示する。図22は、ビューワ266上に表示するための書籍メニュ・スクリーン1190と、ビューワ266上に表示する書籍メニュとを図解している。書籍メニュ・スクリーン1190は、記憶されている電子書籍を識別するセクション1192、1194及び1196を含む。選択プロセス1162は書籍メニュ・スクリーンからユーザが選択した電子書籍を受け取り、表示プロセス1164は選択された電子書籍をビューワ266上に表示する。ユーザは、カーソルを電子書籍を識別するセクションの上に配置してそのセクションを選択することによって、又は、特定のコマンドを入力することによって、電子書籍を選択することができる。音声コマンド・モードを用いる場合には、ユーザは、特定の電子書籍のタイトルか、又は、それ以外の識別用の情報を口に出して言うことによって、それを選択することができる。
【0148】
図23は、ビューワ266上に表示するテキスト・スクリーン1200と、表示する電子書籍のページとを図解している。テキスト・スクリーン1200は、また、ユーザがコマンドを入力するための様々なセクションを含む。特に、ユーザは、ページ・セクション1208を選択し、ページ番号をそのセクションに入力して、表示されている電子書籍の別のページにジャンプすることができる。ユーザは、ページめくりセクション1210及び1212を選択して、表示されている電子書籍の前のページ又は次のページにそれぞれ移動することができる。ユーザは、変換セクション1206を選択して選択されたテキストを音声に変換することができるし、ポーズ・セクション1202及び再開セクション1204を選択して、マニュアルでのページめくり変換を用いたテキストから音声への変換を中断及び再開することができる。定義セクション1207によれば、ユーザは、テキストの中の選択された語の定義を音声によって受け取ることができる。
【0149】
ページ表示プロセス1166は、例えば、ユーザがページ・セクション1208とページめくりセクション1210及び1212とを選択することによって、選択された電子書籍のページを表示する。指示プロセス1168は、ユーザによって選択された任意のテキストを指示する。図24は、テキスト・スクリーン1200の中の選択されたテキスト1214の例を図解している。選択されたテキストは、テキスト・スクリーン1200において影付きで示されているが、それ以外の方法で指示することも可能である。例えば、下線付きで、周囲のテキストとは異なる色で、反転表示で、周囲のテキストとは異なるフォントで、太字でなど、選択されたテキストを周囲のテキスト又は情報と区別する態様でそうすることが可能である。選択プロセス1170は、ユーザによる変換セクション1206の選択を受け取り、それに応答して、決定プロセス1172が、ユーザがテキストを選択したかどうかを判断する。テキストが選択されていない場合には、表示プロセス1174は、オプションであるが、このモードでは音声に変換するテキストを選択しなければならないということを示すエラー・メッセージを表示することができる。テキストが選択されている場合には、変換プロセス1176は、例えば、テキストから音声への変換プログラムを用いて、選択されたテキストを音声に変換する。テキストから音声への変換プログラムは、この技術において既知であり、以下の米国特許において開示されているプログラムがその例である。これらの米国特許は、本出願において援用する。すなわち、Speech Synthesis System and its Methodという名称の米国特許第5,848,390号、Text to Speech Systemという名称の米国特許第5,774,854号、Speech Synthesis Systemという名称の米国特許第5,682,501号、Speech Synthesis Apparatus and Methodという名称の米国特許第5,220,629号、Method and Apparatus for Altering Voice Characteristics of Synthesized Speechという名称の米国特許第5,113,449号、である。それ以外の例としては、AT&Tアドバンスト・スピーチ・プロダクツ・グループによって開発された製品がある。アドバンスト・スピーチ・プロダクツ・グループは、www.research.att.com/projects/watson/index.htmlにおいてアクセスすることが可能である。
【0150】
あるいは、テキストに結びつけられた潜在ポインタをテキストの予め記録され記憶されたオーディオ・バージョンのポインタに対応させ、リアルタイムでのテキストから音声への変換を不要にすることもできる。この例では、電子書籍ファイルは、テキストと、それに対応するオーディオ・ファイル又はそのようなファイルへのリンクとの両方を含むことができる。オーディオ・ファイル又はそのようなファイルへのリンクとは、それぞれの電子書籍に対するヘッダ・ファイルに記憶しておくことができる。ヘッダ・ファイルに含まれた情報は、表示やサーチなどの他の目的のために、それぞれの電子書籍を識別しカテゴリ化するのに用いられる。新たな電子書籍がビューワ266又はライブラリ・ユニット262上にロードされると、このヘッダ情報がヘッダ・ファイルから抽出され、ビューワ266又はライブラリ・ユニット262上に存在するメモリ600又は600’などのデータベースに記憶される。
【0151】
それぞれの電子書籍と関連するヘッダ情報には、典型的には、次に掲げる表1に示されている情報が含まれており、例えば、レコード又はそれ以外のデータベース構造に記憶することができる。ヘッダ・ファイルは、電子書籍におけるテキストに対応するオーディオ・ファイルを記憶するフィールドを含むことがあり、あるいは、そのようなオーディオ・ファイルへのリンクを識別するフィールドを含むこともある。オーディオ・ファイルは、電子書籍のテキスト全体又はその一部のオーディオ・バージョンを含むこともある。更に、電子書籍のテキストの離散的な構成要素又は部分に対して、複数のオーディオ・ファイルを用いることもあり、更に、複数のオーディオ・ファイルを、対応する音声すなわちオーディオに変換するようにユーザによって選択されたテキストに基づいて、潜在的に相互にリンクさせることもある。
【0152】
【表1】

【0153】
変換の間には、選択プロセス1178は、ユーザがポーズ・セクション1202を選択したかどうかを検出する。それに応答して、停止プロセス1180が、選択されたテキストのテキストから音声への変換を停止する。ユーザが再開セクション1204を選択したことを選択プロセス1182が検出すると、変換プロセス1176は、それが停止された位置において選択されたテキストのテキストから音声への変換を再開する。決定プロセス1184は、ユーザが表示された電子書籍を閉じたかどうかを判断して、そうである場合には、リターン・プロセス1186が、表示スクリーン1100のメイン・メニュに戻る。ユーザは、例えば、スクリーン上に表示されたアイコンを選択することによって、又は、キーボード又はそれ以外の装置を介して特定のコマンドを入力することによって、表示されている電子書籍を閉じることができる。
【0154】
更に、ユーザは、テキストの中の選択された語の定義を、音声形式でリクエストし受け取ることができる。選択プロセス1168において1又は複数の語を選択した後で、ユーザ選択プロセス1161が、定義セクション207のユーザの選択を受け取る。それに応答して、決定プロセス1163が、テキストが選択されたかどうかを判断し、選択されていない場合には、表示プロセス1174が、オプションのエラー・メッセージを表示する。テキストが選択された場合には、検索プロセス1165が電子辞書から選択された1又は複数の語に対する定義を検索し、変換プロセス1167が電子辞書からの定義を音声形式に変換する。電子辞書はこの技術分野において既知であり、一例は、Apparatus for Making and Editing Dictionary Entries in a Text to Speech Conversion Systemという名称の米国特許第4,831,654号に開示されているシステムを含む。この米国特許は、本出願において援用する。変換の間、ユーザはポーズ・セクション1202を選択することができ、選択プロセス1169によってそれが検出されると、それに応答して、停止プロセス1171が音声形式の定義を停止させることができる。ユーザが再開セクション1204を選択すると、選択プロセス1173によってそれが検出され、変換プロセス1167は、それが停止された位置で、選択された1又は複数の語の音声形式の定義を提供することを継続する。
【0155】
図25は、自動ページめくり機能を備えた自動のテキストから音声ルーチン1134の流れ図である。自動テキストから音声ルーチン1134は、ビューワ266、ライブラリ262又はその組合せの中に実現することができる。例えば、命令メモリ・ユニット632の中に存在してライブラリ・プロセッサ628によって実行されるソフトウェア・モジュールか、命令メモリ732の中に存在してビューワ・プロセッサ621によって実行されるソフトウェア・モジュールか、又は、ハードウェア及びソフトウェア・モジュールの組合せによって実現することができる。自動テキストから音声ルーチン1134では、表示プロセス1220は、書籍メニュ・スクリーン1190のような書籍メニュを表示する。選択プロセス1222は書籍メニュからユーザが選択した書籍を受け取り、それに応答して、表示プロセス1224は示されているテキスト・スクリーン1200のように選択された電子書籍を表示する。
【0156】
変換プロセス1226は、例えば、テキストから音声への変換プログラムを用いて、表示されている書籍において、ページからページへと継続的に、テキストを音声に変換する。更に、変換プロセス1226は、自動的にページをめくり、テキストから音声への変換が現に生じているページを表示する。テキストから音声への変換プログラムはこの技術において既知であり、その例としては、上述のテキストから音声への変換プログラムに関する米国特許において開示されているプログラムや、AT&Tアドバンスト・スピーチ・プロダクツ・グループによって開発された製品がある。あるいは、電子書籍に対するヘッダ・ファイルは、電子書籍のテキストのオーディオ・ファイルやそのようなファイルへのリンクを含んでおり、これらは、テキストを音声形式で提供するためのものである。変換の間は、ユーザは、ポーズ・セクション1202を選択することができ、選択プロセス1228によってそれが検出されると、それに応答して、停止プロセス1230がテキストから音声への変換を停止させることができる。ユーザが再開セクション1204を選択すると、選択プロセス1232によってそれが検出され、変換プロセス1226は、それが停止された位置から、テキストから音声への変換を再開する。電子書籍全体がいったん変換されてしまうと、又は、書籍を閉じるプロセス1227によって決定されるようにユーザが電子書籍を閉じると、リターン・プロセス1234がメイン・メニュに戻り、(図9に示されているように)メイン・メニュ・スクリーン1100を表示する。
【0157】
図26は、マニュアル式のページめくり機能を備えた自動テキストから音声ルーチン1138の流れ図である。自動テキストから音声ルーチン1138は、ビューワ266、ライブラリ262又はその組合せの中に実現することができる。例えば、命令メモリ・ユニット632の中に存在してライブラリ・プロセッサ628によって実行されるソフトウェア・モジュールか、命令メモリ732の中に存在してビューワ・プロセッサ621によって実行されるソフトウェア・モジュールか、又は、ハードウェア及びソフトウェア・モジュールの組合せによって実現することができる。自動テキストから音声ルーチン1138では、表示プロセス1240は、書籍メニュ・スクリーン1190のような書籍メニュを表示する。選択プロセス1242が書籍メニュからユーザが選択した書籍を受け取り、それに応答して、表示プロセス1244がテキスト・スクリーン1200のように選択された電子書籍を表示する。
【0158】
変換プロセス1246は、例えば、テキストから音声への変換プログラムを用いて、表示されている書籍において、表示されているページからのテキストを音声に連続的に変換する。テキストから音声への変換プログラムはこの技術において既知であり、その例としては、上述のテキストから音声への変換プログラムに関する米国特許において開示されているプログラムや、AT&Tアドバンスト・スピーチ・プロダクツ・グループによって開発された製品がある。あるいは、電子書籍に対するヘッダ・ファイルは、電子書籍のそれぞれのページのテキストの個別的なオーディオ・ファイルやそのようなファイルへのリンクを含んでおり、これらは、ユーザによって選択されたページのテキストを音声形式で提供するためのものである。決定プロセス1254がテキストから音声への変換が表示されているページの最後に到達したかどうかを判断し、まだ到達していない場合には、表示されているページに対する変換が継続する。変換の間は、ユーザは、ポーズ・セクション1202を選択することができ、選択プロセス1248によってそれが検出されると、それに応答して、停止プロセス1250がテキストから音声への変換を停止させることができる。ユーザが再開セクション1204を選択すると、選択プロセス1252によってそれが検出され、変換プロセス1246は、それが停止された位置で、テキストから音声への変換を再開する。
【0159】
表示されている電子書籍の現在のページのテキスト・コンテンツが変換され、決定プロセス1254によって判断されると、決定プロセス1256はその書籍の終わりが表示されているかどうかを判断する。電子書籍が表示すべきページを更に有している場合には、待機プロセス1258は、ユーザが別のページを選択するのを待機する。選択プロセス1260は、ユーザが選択した次のページを受け取り、それに応答して変換プロセス1246に戻り、例えば、この技術において既知であるテキストから音声への変換プログラムを用いて、又は、対応するオーディオ・ファイルを用いて、次の表示されているページに対するテキストから音声への変換を実行する。その書籍の終わりが表示され、決定プロセス1256によってそう判断されると、又は、ユーザが書籍を閉じ書籍を閉じるプロセス1253によって判定されると、リターン・プロセス1262はメイン・メニュに戻ってメイン・メニュ・スクリーン1100を表示する。
【0160】
図27は、設定ルーチン1142の流れ図である。設定ルーチン1142は、ビューワ266、ライブラリ262又はその組合せの中に実現することができる。例えば、命令メモリ・ユニット632の中に存在してライブラリ・プロセッサ628によって実行されるソフトウェア・モジュールか、命令メモリ732の中に存在してビューワ・プロセッサ621によって実行されるソフトウェア・モジュールか、又は、ハードウェア及びソフトウェア・モジュールの組合せによって実現することができる。設定ルーチン1142では、表示プロセス1270が、設定メニュを表示する。
【0161】
図28は、ビューワ266上に表示される設定メニュ・スクリーン1280の例を図解している。設定メニュ・スクリーン1280は、アクティブ化及び非アクティブ化セクション1284及び1286をそれぞれ選択することによって音声コマンドをアクティブ及び非アクティブにする音声コマンド・セクション1282を含んでいる。ユーザは、例えば、カーソルを所望のオプションの次の対応するセクションの上に配置して、そのセクションを選択することによって、又は、特定の入力キーを選択するなど様々なそれ以外のコマンドを入力することによって、アクティブ化又は非アクティブ化オプションを選択することができる。声による又は可聴的なコマンドを用いて、ビューワ266にユーザによって音声形式で提供されたコマンドに対応する機能を実行させることもできる。また、設定メニュ・スクリーン1280は、利用可能な音声コマンド・セクション1311を含み、これは、ユーザが利用可能な音声又は可聴的なコマンド及び以下のコマンドを実行するために必要な以下の例示の音声を識別する。すなわち、「次ページ」コマンド1303、「前ページ」コマンド1305、「書籍を開く」コマンド1307、そしてそれ以外の機能1309である。
【0162】
設定メニュ・スクリーン1280は、マーカ1290を操作しマーカを表示されたレート・スケールに沿って移動させることによって、テキストから音声への変換の速度(レート)を設定するレート・セクション1288を含む。ここでは、レートという用語は、テキストが対応する音声に変換される相対速度を意味する。機械による音声変換は先行して電子的に行うことができるのであるが、その音声は、ユーザが決定したあるペースで提供される。変換の速度を変更する機能を備えたテキストから音声への変換プログラムは、この技術分野において既知であり、その例としては、上述したテキストから音声への変換プログラムに関する米国特許や、AT&Tアドバンスト・スピーチ・プロダクツ・グループによって開発された製品がある。
【0163】
音声セキュリティ・セクション1287によると、ユーザは、セクション1289及び1291をそれぞれ選択することによって、音声セキュリティ機能をアクティブ及び非アクティブにすることが可能になる。音声セキュリティ機能は、特定の1又は複数のユーザからの音声コマンドだけに応答して、ビューワ266のアクティブ化と記憶されている電子書籍へのアクセスとを提供するものである。
【0164】
設定メニュ・スクリーン1280は、また、ユーザがテキストの変換に用いられる音声に対する様々なオプションを選択することを可能にする音声オプション・セクション1301を含む。これらのオプションには、例えば、男性の声1313、女性の声1315、子供の声1317、音声オプション1(1319)、音声オプションN(1321)が含まれる。ユーザは、例えば、カーソルを所望のオプションの次の対応するセクションの上に配置しそのセクションを選択することによって、又は、入力キーの特定の選択など様々なそれ以外のコマンドを入力することによって、これらのオプションの中から1つを選択することができる。それ以外のオプション1319及び1321は、ユーザの定義による声、特定の特性を備えている声、実際の著者の声など、それ以外のタイプの声を表すことができる。オプション1319及び1321としては、例えば、ジェームズ・アール・ジョーンズ(James Earl Jones)など有名人の声や、ジェームズ・アール・ジョーンズのイミテーションなどがある。様々なタイプの変換用の声を備えたテキストから音声への変換プログラムは、この技術分野において既知であり、その例としては、上述したテキストから音声への変換プログラムに関する米国特許や、AT&Tアドバンスト・スピーチ・プロダクツ・グループによって開発された製品がある。
【0165】
テキストから音声プロセスがビューワ266においていったん実行されると、ビューワは、静止画(JPEG)又は動画(MPEG2)のイメージを表示することができる。表示されるイメージは、ビューワ266によって、見られている電子書籍に関係する特定のデータベースから検索することができる。あるいは、ビューワは、電子的なリンクを用いてそのようなイメージにアクセスすることができる。電子書籍における電子的なリンクの使用については、1999年1月27日に出願された同時継続中のElectronic Books Electronic Linksという名称の米国特許出願第09/237,828号において詳細に記載されている。この米国特許出願の開示内容は、本出願において援用する。
【0166】
図27に示されているように、受取プロセス1272は、設定メニュ・スクリーン1280においてユーザが選択した設定を受け取る。それに応答して、セーブ・プロセス1274は、選択された設定を、後で、テキストから音声機能を提供する際に、又は、音声コマンドを受け取る際に用いるために、セーブする。設定は、テーブルや命令メモリ・ユニット632のそれ以外のデータ構造に、又は、命令メモリ732の中に、電子書籍に関係する機能を制御する際に用いるためにセーブされる。決定プロセス1276は、ユーザが設定メニュ・スクリーン1280を閉じるかどうかを判断し、閉じると判断する場合には、リターン・プロセス1278がメイン・メニュに戻り、メイン・メニュ・スクリーン1100を表示する。
【0167】
図29は、口述(ディクテーション)ルーチン1146の流れ図である。口述ルーチン1146は、ビューワ266、ライブラリ262又はその組合せの中に実現することができる。例えば、命令メモリ・ユニット632の中に存在してライブラリ・プロセッサ628によって実行されるソフトウェア・モジュールか、命令メモリ732の中に存在してビューワ・プロセッサ621によって実行されるソフトウェア・モジュールか、又は、ハードウェア及びソフトウェア・モジュールの組合せによって実現することができる。口述ルーチン1146では、表示プロセス1300が書籍メニュ・スクリーン1190などの書籍メニュを表示する。選択プロセス1302がユーザが選択した書籍を書籍メニュから受け取り、それに応答して、表示プロセス1304が選択された電子書籍を表示する。ページ表示プロセス1306は、ユーザによって選択された電子書籍のページを表示する。
【0168】
図30aは、ビューワ266上に表示され口述ルーチン1146と共に用いられるテキスト口述スクリーン1330を図解している。テキスト口述スクリーンは、ユーザがページ番号を入力しそのページを表示させることを可能にするページ・セクション1336を含んでいる。ページめくりセクション1338及び1340によって、ユーザが、表示された電子書籍において、ページを前進及び後退させることができる。口述開始セクション1332によると、ユーザは、音声からテキストへの変換(以下では、音声・テキスト変換とも称する)を開始することができ、口述終了セクション1334によると、ユーザは、音声・テキスト変換を終了することができる。テキスト口述スクリーン1330は、ユーザによって挿入位置が選択されると、表示されている電子書籍のページの中の例えば位置1341において、音声が直接にテキストに変換される。テキスト挿入位置は、ユーザが、カーソル1343をページ上の所望の位置に配置することによって、示すことができる。図30bは、テキスト口述スクリーン1330は特にユーザが挿入位置を特定しないときに音声から変換されたテキストを表示する別個のセクション1342を含みうることを図解している。
【0169】
選択プロセス1308は、ユーザがいつ口述開始セクション1332を選択したかを検出する。それに応答して、変換プロセス1310は、音声を受け取り、それを対応するテキストに変換する。このプロセスは、ユーザからの音声をスピーカ/マイクロフォン608’を介して受け取ることができる。音声からテキスト及び音声認識プログラムは、この技術において既知であり、その例としては、以下のような米国特許に開示されているようなプログラムがある。これらの米国特許は本出願において援用する。すなわち、Method and Apparatus for Error Correction in a Continuous Dictation Systemという名称の米国特許第5,864,805号、Speech Recognition System and Method using a Hidden Markov Modelという名称の米国特許第5,799,278号、Speech Recognition using Dynamic Featuresという名称の米国特許第5,615,299号、System and Method for Speech Synthesis Employing Improved Formant Compositionという名称の米国特許第5,325,462号、Method and Apparatus for Speech Analysis and Speech Recognitionという名称の米国特許第5,313,531号、Optimized Speech Recognition System and Methodという名称の米国特許第5,054,074号、Speech Recognition Methodという名称の米国特許第5,050,215号、Dictation/Transcription Method and Arrangementという名称の米国特許第4,430,726号である。それ以外の例としては、AT&Tアドバンスト・スピーチ・プロダクツ・グループによって開発された製品がある。
【0170】
決定プロセス1312は、ユーザがテキストに対する挿入位置を選択したかどうかを判断する。挿入位置は、カーソルを配置することによって指示することができる。ユーザが挿入位置を選択している場合には、挿入プロセス1316は、テキストをユーザが選択した位置に挿入する。そうでなく、ユーザが挿入位置を選択していない場合には、挿入プロセス1314は、テキストを別個の表示されている線1342に挿入する。決定プロセス1318は、ユーザが口述終了セクション1334を選択しているかどうかを判断する。ユーザが口述終了セクション1334を選択するまでは、変換プロセス1310は、音声からテキストへの変換を継続する。ユーザが口述終了セクション1334を選択すると、決定プロセス1320はユーザが書籍を閉じたかどうかを判断し、閉じていない場合には、口述ルーチン1146は、ページ表示プロセス1306に戻り、ユーザによってリクエストされたように、ページの表示と音声からテキストへの変換とを継続する。ユーザが書籍を閉じると、リターン・プロセス1322はメイン・メニュに戻り、メイン・メニュ・スクリーン1100を表示する。
【0171】
図31は、書籍を見るルーチン1150の流れ図である。書籍を見るルーチン1150は、ビューワ266、ライブラリ262又はその組合せの中に実現することができる。例えば、命令メモリ・ユニット632の中に存在してライブラリ・プロセッサ628によって実行されるソフトウェア・モジュールか、命令メモリ732の中に存在してビューワ・プロセッサ621によって実行されるソフトウェア・モジュールか、又は、ハードウェア及びソフトウェア・モジュールの組合せによって実現することができる。書籍を見るルーチン1150では、表示プロセス1350が書籍メニュ・スクリーン1190などの書籍メニュを表示する。選択プロセス1352がユーザが選択した書籍を書籍メニュから受け取り、それに応答して、表示プロセス1354が選択された電子書籍を表示する。
【0172】
図32は、ビューワ266上に選択された電子書籍のカバー・ページ1372を表示する書籍を見るスクリーン1370の例を図解している。書籍を見るスクリーン1370は、また、ページ後退セクション1374とページ前進セクション1376とを含んでおり、これらを用いて、ユーザは表示されている電子書籍においてページを後退及び前進させることができる。ページ表示プロセス1356は、ユーザによってリクエストされるように、選択された電子書籍のページを表示する。決定プロセス1358は、ユーザが表示されている電子書籍を閉じたかどうかを判断し、ユーザが書籍を閉じた場合には、リターン・プロセス1360がメイン・メニュに戻りメイン・メニュ・スクリーン1100を表示する。
【0173】
ビューワ266は、また、図13に示されているようなメニュ・システム851を介してユーザを導く音声変換及びテキスト認識機能を組み入れている。例えば、ビューワ266やそれ以外のホーム・システム258の構成要素に存在するソフトウェアを用いて、メニュ・ナビゲーションに関係するオーディオ・プロンプトを提供することができる。ユーザがメニュ・システム851をアクティブにしてメイン・メニュ854を与えられると、ビューワ266は、例えば、「こんにちは、ジョン。新しい本を注文しますか、それとも、すでにもっている本を読みますか。新しい本なのか、既にもっている本なのかを答えてください。」というようなオーディオ・プロンプトを提供する。ユーザの回答が「既にもっている本」である場合には、ビューワ266上で動作するソフトウェアは、「あなたのライブラリの書籍」のサブメニュ872を表示して更なるオーディオ・プロンプトを提供することができる。
【0174】
図33は、音声コマンド・ルーチン1380の流れ図である。音声コマンド・ルーチン1380は、ビューワ266、ライブラリ262又はその組合せの中に実現することができる。例えば、命令メモリ・ユニット632の中に存在してライブラリ・プロセッサ628によって実行されるソフトウェア・モジュールか、命令メモリ732の中に存在してビューワ・プロセッサ621によって実行されるソフトウェア・モジュールか、又は、ハードウェア及びソフトウェア・モジュールの組合せによって実現することができる。このルーチンによると、ユーザは、ビューワ・コントロールを操作してコマンドを入力するのではなく、音声を介してコマンドを入力することが可能になる。音声コマンド・ルーチン1380では、決定プロセス1382は、ユーザが音声コマンド・オプションをアクティブにしたかどうかを判断する。そのオプションがアクティブにされている場合には、受取プロセス1384は音声コマンドを受け、受取プロセス1384は、その音声コマンドをユーザからマイクロフォン634を介して受けることができる。
【0175】
変換プロセス1386は音声コマンドを対応する電子信号に変換し、判断プロセス1388はその電子信号を解析することによってリクエストされた機能を判断する。コマンドに対応する機能の例として、ビューワ266が表示されている電子書籍の次のページを表示するページ前進機能1390、ビューワ266が表示されている電子書籍の前のページを表示するページ後退機能1390、ビューワ266が特定の電子書籍を表示する書籍を開く機能1394などがある。リクエストされた機能を判断した後で、実行プロセス1398が、リクエストされた機能を実行する。ビューワ266は、ある時点でビューワ266によって作用された音声コマンドをユーザが理解するのを助けるのに利用可能な典型的な音声コマンド・オプションを表示することができる。判断プロセス1388は、その判断のために音声認識プログラムを用いることができる。そのようなプログラムは当業において既知であり、上述の音声からテキストへの変換及び音声認識に関する米国特許の例示システムや、AT&Tアドバンスト・スピーチ・プロダクツ・グループによって利用可能になった製品を含む。
【0176】
図34は、音声セキュリティ・ルーチン1125の流れ図である。音声セキュリティ・ルーチン1125は、ビューワ266、ライブラリ262又はその組合せの中に実現することができる。例えば、命令メモリ・ユニット632の中に存在してライブラリ・プロセッサ628によって実行されるソフトウェア・モジュールか、命令メモリ732の中に存在してビューワ・プロセッサ621によって実行されるソフトウェア・モジュールか、又は、ハードウェア及びソフトウェア・モジュールの組合せによって実現することができる。音声セキュリティ・ルーチン1125では、リクエスト・プロセス1404がセキュリティ目的での可聴信号をリクエストするのであるが、そのリクエストは、ビューワ266上のスクリーンを介して、又は、オーディオ形式で行うことができる。受取プロセス1405がマイクロフォン634を用いてリクエストされた可聴信号を受け取り、変換プロセス1406が可聴信号を対応する電子信号に変換する。比較プロセス1408は、その電子信号を記憶されている信号と比較し、決定プロセス1410は、その電子信号がリクエストされた機能に対する承認をユーザが有しているかどうかを判定するために、特定の基準を満足しているかどうかを判定する。
【0177】
決定プロセス1410は、この判断のための音声認識プログラムを用いることができ、そのようなプログラムは当業において既知であり、その例としては、上述の音声からテキストへの変換及び音声認識に関する米国特許の例示システムや、AT&Tアドバンスト・スピーチ・プロダクツ・グループによって利用可能になった製品を含む。基準が満足されていない場合には、拒否プロセス1412が、ユーザからのコマンドの実行を承認せず、基準が満足されている場合には、許可プロセス1414が、ユーザからのコマンドの実行を承認する。メイン・メニュ・プロセス1120は、この許可された又は拒否された状態を用いてユーザがリクエストした機能を実行するかどうかを判定する。
【0178】
ビューワ266は、ユーザの声の認識に基づいて、特定の電子書籍へのアクセスを制限するソフトウェアを含むこともある。例えば、ビューワ266は、特定のユーザが子供であると判定し、親がその子供に見るのを許している特定の電子書籍にアクセスを制限することがある。あるいは、ビューワは、親が指定した特定の電子書籍へのアクセスを禁止することもできる。同じアクセス制限ソフトウェアを用いて、2人又はそれより多くのユーザによるビューワ266又はホーム・システム258の中のコンテンツへのアクセスを制限することも可能である。例えば、同じビューワ266の2人の成人のユーザは、第1の成人ユーザだけが書籍1ないし10を見ることに同意し、第2の成人ユーザだけが書籍11ないし20を見ることに同意し、書籍21ないし30については両方の成人ユーザが観ることに同意することによって、アクセスを制限することもできる。
【0179】
上述の実施形態と共に本願発明を記載してきたが、当業者にとって様々な代替、修正及び変形が明らかであることは明白である。よって、上述の本願発明の実施形態は、一例にすぎないことが意図されている。特許請求の範囲の請求項に係る発明及びそれらの等価物範囲をそれることなく、様々な変形が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビューワ上に表示された電子書籍のためのテキスト・音声変換を提供する方法であって、
前記ビューワ上に電子書籍のページを表示するステップであって、前記ページはテキストを含む、ステップと、
音声に変換するために前記表示されたページ上のテキストの選択を受け取るステップと、
前記選択されたテキストの少なくとも一部を対応する音声に変換するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記テキストの変換を停止するステップを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法において、前記テキストの変換を再開するステップを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、前記テキストの中でユーザによって選択された語の定義を音声形式で提供するステップを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、前記ユーザが前記音声への変換速度を調整することを可能にするステップを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、前記対応する音声のために特定のタイプの声をユーザが選択することを可能にするステップを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
ビューワ上に表示された電子書籍のためのテキスト・音声変換を提供する方法であって、
前記ビューワ上に電子書籍のページを表示するステップであって、前記ページはテキストを含む、ステップと、
音声に変換するために前記表示されたページ上のテキストの選択を受け取るステップと、
前記選択されたテキストの少なくとも一部を対応する音声に変換するステップと、
を含んでおり、前記接続するステップは前記選択されたテキストに対応するオーディオ・ファイルを評価するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
ビューワ上に表示された電子書籍のためのテキスト・音声変換を提供する方法であって、
前記ビューワ上に電子書籍のページを表示するステップであって、前記ページはテキストを含む、ステップと、
前記電子書籍のテキスト・音声機能に関係する情報を受け取るステップと、
前記情報に基づいて、前記表示されたページ上の前記テキストの少なくとも一部を対応する音声に変換するステップと、
前記電子書籍の次のページを自動的に表示して、前記次のページのテキストの少なくとも一部を対応する音声に変換するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法において、前記テキストの変換を停止するステップを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法において、前記テキストの変換を再開するステップを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
ビューワ上に表示された電子書籍のためのテキスト・音声変換を提供する方法であって、
前記ビューワ上に電子書籍のページを表示するステップであって、前記ページはテキストを含む、ステップと、
前記電子書籍のテキスト・音声機能に関係する情報を受け取るステップと、
前記情報に基づいて、前記表示されたページ上の前記テキストの少なくとも一部を対応する音声に変換するステップと、
別のページの選択を受け取ることに基づいて、前記電子書籍の別のページ上のテキストの少なくとも一部を対応する音声に自動的に変換するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法において、前記テキストの変換を停止するステップを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法において、前記テキストの変換を再開するステップを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
ビューワ上に表示された電子書籍と関係する機能を実行するコマンドを受け取る方法であって、
ビューワ上に電子書籍のページを表示するステップと、
前記電子書籍の機能に関係する可聴的なコマンドを受け取るステップと、
前記可聴的なコマンドを対応する電子信号に変換するステップと、
前記電子信号に応答して前記機能を実行するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法において、前記受け取るステップはページめくりコマンドを受け取るステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項14記載の方法において、前記受け取るステップは書籍を開くコマンドを受け取るステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項14記載の方法において、利用可能な可聴的なコマンドの指示を表示するステップを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
ビューワ上に表示された電子書籍への口述を実行する方法であって、
ビューワ上に電子書籍のページを表示するステップと、
テキスト挿入位置のためのテキスト挿入カーソルを提供するステップと、
音声をユーザから受け取るステップと、
前記音声を対応する電子テキストに変換するステップと、
前記テキストを前記ビューワ上に表示するステップと、
前記テキストを前記電子書籍に挿入するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18記載の方法において、前記挿入するステップは、前記テキストをユーザが前記カーソルを用いて識別した位置において前記電子書籍に挿入するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
ビューワ上の表示に関して電子書籍へのアクセスを制限する方法であって、
ビューワ上に表示するために電子書籍を記憶するステップと、
前記電子書籍の機能に関する可聴的なコマンドをユーザから受け取るステップと、
前記可聴的なコマンドを対応する電子信号に変換するステップと、
前記電子信号が特定の基準を満足するばあいにだけ、ユーザからの前記電子書籍に関するコマンドを実行する承認を提供するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20記載の方法において、前記表示するステップは、前記電子信号を前記ユーザに関係する記憶されている電子信号と比較するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
ビューワ上に表示された電子書籍のためのテキスト・音声変換を提供する装置であって、
ビューワ上に電子書籍のページを表示するディスプレイであって、前記ページはテキストを含む、ディスプレイと、
音声に変換するために前記表示されたページ上のテキストの選択を受け取る選択モジュールと、
前記選択されたテキストの少なくとも一部を対応する音声に変換する変換モジュールと、
を備えていることを特徴とする装置。
【請求項23】
請求項22記載の装置において、前記テキストの変換を停止する停止モジュールを更に含むことを特徴とする装置。
【請求項24】
請求項23記載の装置において、前記テキストの変換を再開する再開モジュールを更に含むことを特徴とする装置。
【請求項25】
請求項22記載の装置において、前記テキストの中でユーザによって選択された語の定義を音声形式で提供する辞書モジュールを更に含むことを特徴とする装置。
【請求項26】
請求項22記載の装置において、前記ユーザが前記音声への変換速度を調整することを可能にする速度モジュールを更に含むことを特徴とする装置。
【請求項27】
請求項22記載の装置において、前記対応する音声のために特定のタイプの声をユーザが選択することを可能にする音声オプション・モジュールを更に含むことを特徴とする装置。
【請求項28】
ビューワ上に表示された電子書籍のためのテキスト・音声変換を提供する装置であって、
ビューワ上に電子書籍のページを表示するディスプレイであって、前記ページはテキストを含む、ディスプレイと、
音声に変換するために前記表示されたページ上のテキストの選択を受け取る選択モジュールと、
前記選択されたテキストの少なくとも一部を対応する音声に変換する変換モジュールと、
を含んでおり、前記変換モジュールは前記選択されたテキストに対応するオーディオ・ファイルを評価するオーディオ評価モジュールを含むことを特徴とする装置。
【請求項29】
ビューワ上に表示された電子書籍のためのテキスト・音声変換を提供する装置であって、
前記ビューワ上に電子書籍のページを表示する第1の変換ディスプレイであって、前記ページはテキストを含む、第1の変換ディスプレイと、
前記電子書籍のテキスト・音声機能に関係する情報を受け取るディスプレイ・モジュールと、
前記情報に基づいて、前記表示されたページ上の前記テキストの少なくとも一部を対応する音声に変換する第2の変換モジュールと、
前記電子書籍の次のページを自動的に表示するモジュールと、
前記次のページのテキストの少なくとも一部を対応する音声に変換するモジュールと、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項30】
請求項29記載の装置において、前記テキストの変換を停止する停止モジュールを更に含むことを特徴とする装置。
【請求項31】
請求項30記載の装置において、前記テキストの変換を再開する再開モジュールを更に含むことを特徴とする装置。
【請求項32】
ビューワ上に表示された電子書籍のためのテキスト・音声変換を提供する装置であって、
ビューワ上に電子書籍のページを表示するディスプレイであって、前記ページはテキストを含む、ディスプレイと、
前記電子書籍のテキスト・音声機能に関係する情報を受け取る受取モジュールと、
前記情報に基づいて、前記表示されたページ上の前記テキストの少なくとも一部を対応する音声に変換する変換モジュールと、
別のページの選択を受け取ることに基づいて、前記電子書籍の別のページ上のテキストの少なくとも一部を対応する音声に自動的に変換するディスプレイ・モジュールと、
を備えていることを特徴とする装置。
【請求項33】
請求項32記載の装置において、前記テキストの変換を停止する停止モジュールを更に含むことを特徴とする装置。
【請求項34】
請求項33記載の装置において、前記テキストの変換を再開する再開モジュールを更に含むことを特徴とする装置。
【請求項35】
ビューワ上に表示された電子書籍と関係する機能を実行するコマンドを受け取る装置であって、
ビューワ上に電子書籍のページを表示するディスプレイと、
前記電子書籍の機能に関係する可聴的なコマンドを受け取る受取モジュールと、
前記可聴的なコマンドを対応する電子信号に変換する変換モジュールと、
前記電子信号に応答して前記機能を実行する実行モジュールと、
を備えていることを特徴とする装置。
【請求項36】
請求項35記載の装置において、前記受取モジュールはページめくりコマンドを受け取るページめくりモジュールを含むことを特徴とする装置。
【請求項37】
請求項35記載の装置において、前記受取モジュールは書籍を開くコマンドを受け取る書籍を開くモジュールを含むことを特徴とする装置。
【請求項38】
請求項35記載の装置において、利用可能な可聴的なコマンドの指示を表示するコマンド表示モジュールを更に含むことを特徴とする装置。
【請求項39】
ビューワ上に表示された電子書籍への口述を実行する装置であって、
ビューワ上に電子書籍のページを表示するディスプレイと、
音声をユーザから受け取る受取モジュールと、
前記音声を対応する電子テキストに変換するコマンド・モジュールと、
前記テキストを前記電子書籍に挿入する挿入モジュールと、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項40】
請求項39記載の装置において、前記挿入モジュールは、前記テキストをユーザが識別した位置において前記電子書籍に挿入する挿入位置モジュールを含むことを特徴とする装置。
【請求項41】
ビューワ上の表示に関して電子書籍へのアクセスを制限する装置であって、
ビューワ上に表示するために電子書籍を記憶する記憶モジュールと、
前記電子書籍の機能に関する可聴的なコマンドをユーザから受け取る受取モジュールと、
前記可聴的なコマンドを対応する電子信号に変換する変換モジュールと、
前記電子信号が特定の基準を満足するばあいにだけ、ユーザからの前記電子書籍に関するコマンドを実行する承認を提供する承認モジュールと、
を備えていることを特徴とする装置。
【請求項42】
請求項41記載の装置において、前記表示モジュールは、
前記電子信号を前記ユーザに関係する記憶されている電子信号と比較する比較モジュールを含むことを特徴とする装置。
【請求項43】
ビューワ上に電子書籍のページを電子的に表示して、ユーザがテキスト音声機能をリクエストすることを可能にする方法であって、
スクリーンをビューワ上に表示するステップと、
電子書籍のページを前記スクリーンの中に表示するステップであって、前記ページはテキストを含む、ステップと、
前記スクリーンの中に表示された前記テキストの少なくとも一部をユーザが識別することを可能にするステップと、
前記スクリーンの中にセクションを表示して、前記識別されたテキストのテキスト・音声変換をユーザがリクエストすることを可能にするステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項44】
請求項43記載の方法において、セクションを表示して前記テキストにおいて識別された語の定義をユーザが音声形式でリクエストすることを可能にするステップを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項45】
請求項43記載の方法において、セクションを表示して前記テキスト・音声変換が停止されることをユーザがリクエストすることを可能にするステップを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項46】
請求項45記載の方法において、セクションを表示して前記テキスト・音声変換が再開されることをユーザがリクエストすることを可能にするステップを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項47】
請求項43記載の方法において、テキスト・音声変換が開始した後でイメージを前記スクリーン上に表示するステップを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項48】
請求項47記載の方法において、前記イメージはJPEGファイルとMPEG2ファイルとの一方であることを特徴とする方法。
【請求項49】
請求項43記載の方法において、前記ユーザによって受け取られたコマンドに基づいてテキストから音声への可聴的な応答の速度を調整するステップを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項50】
請求項43記載の方法において、
電子書籍のメニュ・システム・テキストを音声に変換するステップと、
メニュ・ナビゲーション・プロンプトを可聴的な信号として提供するステップと、
前記受け取られたプロントに基づいて前記ユーザから可聴的なコマンドを受け取るステップと、
を更に含むことを特徴とする方法。
【請求項51】
ビューワ上に電子書籍のページを電子的に表示して、ユーザがテキスト音声機能をリクエストすることを可能にするのに用いられるスクリーンであって、
ビューワ上に表示するためのスクリーンと、
電子書籍のページを前記スクリーンの中に表示するセクションであって、前記ページはテキストを含み、前記スクリーンの中に表示された前記テキストの少なくとも一部をユーザが識別することを可能にするセクションと、
前記識別されたテキストのテキスト・音声変換をユーザがリクエストすることを可能にする前記スクリーンの中の変換セクションと、
を備えていることを特徴とするスクリーン。
【請求項52】
請求項51記載のスクリーンにおいて、前記テキストにおいて識別された語の定義をユーザが音声形式でリクエストすることを可能にする定義セクションを更に含むことを特徴とするスクリーン。
【請求項53】
請求項51記載のスクリーンにおいて、前記テキスト・音声変換が停止されることをユーザがリクエストすることを可能にする停止セクションを更に含むことを特徴とするスクリーン。
【請求項54】
請求項53記載のスクリーンにおいて、前記テキスト・音声変換が再開されることをユーザがリクエストすることを可能にする再開セクションを更に含むことを特徴とするスクリーン。
【請求項55】
電子書籍のページをビューワ上に電子的に表示してユーザが音声・テキスト機能をリクエストすることを可能にする方法であって、
スクリーンをビューワ上に表示するステップと、
前記スクリーンの中に電子書籍のページを表示するステップと、
前記スクリーンの中にセクションを表示して、テキストを前記電子書籍の前記表示されたページの中に挿入するために音声・テキスト変換をユーザがリクエストすることを可能にするステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項56】
請求項55記載の方法において、ユーザが前記音声・テキスト変換を終了させるために前記スクリーンの中にセクションを表示するステップを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項57】
電子書籍のページをビューワ上に電子的に表示してユーザが音声・テキスト機能をリクエストすることを可能にするスクリーンであって、
ビューワ上に表示するスクリーンと、
電子書籍のページを表示するための前記スクリーンの中のセクションと、
テキストを前記電子書籍の前記表示されたページの中に挿入するために音声・
テキスト変換をユーザがリクエストすることを可能にする前記スクリーンの中の口述開始セクションと、
を備えていることを特徴とするスクリーン。
【請求項58】
請求項57記載のスクリーンにおいて、ユーザが前記音声・テキスト変換を終了させるための前記スクリーンの中の口述終了セクションを更に含むことを特徴とするスクリーン。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14a】
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【図14b】
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【図14c】
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【図14d】
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【図14e】
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【図14f】
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【図14g】
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【図14h】
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【図14i】
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【図14j】
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【図15】
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【図16a】
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【図16b】
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【図17】
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【図18a】
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【図18b】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30a】
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【図30b】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2011−237830(P2011−237830A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−179434(P2011−179434)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【分割の表示】特願2001−506518(P2001−506518)の分割
【原出願日】平成12年6月23日(2000.6.23)
【出願人】(511090431)アドレア エルエルシー (6)
【Fターム(参考)】