説明

音声信号出力システム、音声信号出力方法、デジタル音声信号出力装置、デジタル音声信号出力方法、アナログ音声信号出力装置、アナログ音声信号出力方法

【課題】別筐体のディスクドライブから伝送されてくるデジタル音声信号を当該ディスクドライブの動作状態に併せて効率よく処理する。
【解決手段】記録媒体(光ディスク12)から音声情報を読み取るデータ読取部(RFアンプ16)、音声情報を出力するデジタル音声信号出力部(サーボLSI17)、音声信号の有効性を示す識別信号を出力する識別信号出力部(CPU11)を備えたデジタル音声信号出力装置(ディスクドライブ10)、デジタル音声信号を受信するデジタル音声信号受信部(システムコントローラ21)、デジタル音声信号をデコードするデコード部(デコーダ23)、識別信号出力部(CPU11)から出力された識別信号に基づいてデコード処理を制御するデコード処理制御部(システムコントローラ21)を備えたアナログ音声信号出力装置(マスターシステム20)を備える音声信号出力システム1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声信号出力システム、音声信号出力方法、デジタル音声信号出力装置、デジタル音声信号出力方法、アナログ音声信号出力装置、アナログ音声信号出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CD(Compact Disc),MD(Mini Disc),DVD(Digital Versatile Disc)などのディスク状記録媒体を回転駆動してアナログ音声信号を得る再生機器は、所定のデジタル音声信号を得る機能と、そのデジタル音声信号に対して所定のデコード処理およびD/A変換を行う機能とが渾然一体となって一つの筐体に組み込まれることが一般的である。しかしながら、これらの両者の機能をそれぞれ別筐体として構成する場合もある。別筐体として構成した場合に、それらの機器同士を接続する伝送路の特性などに起因してジッタ成分が発生し、このジッタ成分が混ざったクロック信号に基づいてデジタル音声信号のD/A変換処理が行われると、最終的に得られるアナログ音声信号の精度は悪化してしまうという課題があった。このような課題に対して、たとえばD/A変換機能を有する機器側にジッタ成分の影響を受けないクロック信号を生成する回路を独自に備えさせることで解消することができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−126401号公報(請求項1、図1など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
再生機器を機能毎に別筐体とした場合の課題には、上述した課題以外にも次のような課題がある。図9は、デジタル音声信号を出力するディスクドライブ50と、ディスクドライブ50から得られるデジタル音声信号をアナログ音声信号として出力するマスターシステム60とが伝送路L1,L2にて接続されている音声出力システム100のブロック構成を示す図である。
【0005】
この音声出力システム100は、CPU51、光ディスク52、スピンドルモータ53、光ピックアップ54、送りモータ55、RF(Radio Frequency)アンプ56、サーボLSI(Large Scale Integration)57、インタフェース58を有するディスクドライブ50と、システムコントローラ61、操作部62、デコーダ63、D/Aコンバータ64、アンプ65、スピーカ66、インタフェース67を有するマスターシステム60とから構成される。この音声出力システム100は、デジタル音声信号を伝送する伝送路L1,制御情報を伝送する伝送路L2によりマスターシステム60とディスクドライブ50が相互接続されている。そして、この音声出力システム100では、マスターシステム60のシステムコントローラ61の制御により楽曲再生処理を開始する。そして、ディスクドライブ50のCPU51は、伝送路L2を介してシステムコントローラ61からの楽曲再生処理命令を受信し、光ディスク52を回転駆動させてデジタル音声信号を生成する。そして、ディスクドライブ50のCPU51は、インタフェース67および伝送路L1を介してマスターシステム60側へデジタル音声信号を伝送する。そして、マスターシステム60のシステムコントローラ61は、伝送路L1およびインタフェース58を介して伝送されてきたデジタル音声信号のデコード処理およびD/A変換処理を行って音声信号を再生することができる。
【0006】
図10は、図9に示す音声出力システム100におけるディスクドライブ50の動作状態、マスターシステム60側に送信されるデジタル音声信号、マスターシステム60側のシステムコントローラ61が制御してデコーダ63が行うデコード処理内容の関係を説明するための図である。
【0007】
図10に示すように、ディスクドライブ50の動作状態は、システムコントローラ61からの指示により、たとえば再生状態、サーチ状態、ポーズ状態と遷移する。ここで、マスターシステム60側に伝送されるデジタル音声信号は、ディスクドライブ50の動作状態に関わらずインタフェース58および伝送路L1を介して伝送される。しかし、ディスクドライブ50の動作状態がサーチ状態またはポーズ状態となっている場合には、サーチ中やポーズ中の無音データ(図10中の「無効データ」に相当)がインタフェース58および伝送路L1を介して伝送される。したがって、実際に伝送路L1を介して伝送されるデジタル音声信号は、ディスクドライブ50の動作状態が再生中のときは光ディスク52から読み込まれたデジタル音声信号(図10中の「有効データ」に相当)が伝送され、ディスクドライブ50の動作状態がサーチ中やポーズ中のときは無効データが伝送される。しかしながら、システムコントローラ61は、これらのデジタル信号が有効データであるか無効データであるのかわからないため、すべてのデータを解析してデコード処理を行っている。そのため、システムコントローラ61側の処理が増え、システムコントローラ61のROM容量を圧迫したり、システムコントローラ61側から要求したデータと一致しているか否かの判定処理が発生することで、マスターシステム60側の負担が増えたり、無効データであるか否かの判断に時間がかかり、有効データの処理開始が遅れて必要な音声情報をマスターシステム60側に取り込めない場合がある。
【0008】
なお、システムコントローラ61は、ディスクドライブ50の動作状態についてインタフェース67および伝送路L2を介して把握することもできるが、インタフェース67および伝送路L2を介して伝送されてくるディスクドライブ50の動作状態と、伝送路L1およびインタフェース67を介して伝送されてくるデジタル音声信号が有効データであるか否かは、必ずしも一致しない。これは、実際にディスクドライブ50の動作状態が変更となったタイミングと無効データまたは有効データが伝送されてくるタイミングには数百ミリ秒単位のズレがあるからである。したがって、システムコントローラ60がディスクドライブ50の動作状態についてインタフェース67および伝送路L2を介して把握してデコード処理を制御する方法では、データ解析に遅れが生じ、有効データである一部のデコード処理ができずに音切れが発生する虞がある。すなわち、ディスクドライブ50との制御情報を伝送する伝送路L2を介してディスクドライブ50の動作状態を把握するようにして制御してもマスターシステム60側で正確にデコード処理を行うことは困難である。
【0009】
そこで、本発明は、上述した課題に鑑み、別筐体のディスクドライブから伝送されてくるデジタル音声信号を当該ディスクドライブの動作状態に併せて効率よく処理する音声信号出力システム、音声信号出力方法、デジタル音声信号出力装置、デジタル音声信号出力方法、アナログ音声信号出力装置、アナログ音声信号出力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面である音声信号出力システムは、記録媒体から音声情報を読み取るデータ読取部、音声情報をデジタル音声信号として出力するデジタル音声信号出力部、デジタル音声信号が有効であるか否かを示す識別信号を出力する識別信号出力部を少なくとも備えたデジタル音声信号出力装置と、デジタル音声信号を受信するデジタル音声信号受信部、デジタル音声信号をデコードするデコード部、識別信号出力部から出力された識別信号に基づいてデコード部のデコード処理を制御するデコード処理制御部を少なくとも備えたアナログ音声信号出力装置と、を備えるものである。
【0011】
また、本発明の一側面である音声信号出力システムは、上述した音声信号出力システムの構成に加えて、デジタル音声信号をデジタル音声信号出力装置からアナログ音声信号出力装置へ送信する第1の伝送路と、識別信号をデジタル音声信号出力装置からアナログ音声信号出力装置へ送信する第2の伝送路と、を備えることが好ましい。
【0012】
また、本発明の一側面である音声信号出力システムは、上述した音声信号出力システムのいずれかの構成に加えて、デジタル音声信号出力装置は、デジタル音声信号出力部が出力するデジタル音声信号と識別信号出力部が出力する識別信号とが入力され、これらの信号の論理積に基づいた値をアナログ音声信号出力装置へ出力するスイッチ回路を有することが好ましい。
【0013】
また、本発明の一側面である音声信号出力システムは、上述した音声信号出力システムのいずれかの構成に加えて、アナログ音声信号出力装置は、デジタル音声信号出力部から出力されるデジタル音声信号と識別信号出力部から出力される識別信号とが入力され、これらの信号の論理積に基づいた値をデコード処理制御部へ出力するスイッチ回路を有するものである。
【0014】
また、本発明の一側面であるデジタル音声信号出力装置は、アナログ音声信号出力装置からの要求により記録媒体に記録されている音声情報をデジタル音声信号として出力するデジタル音声信号出力装置であって、記録媒体から音声情報を読み取るデータ読取部と、音声情報をデジタル音声信号として出力するデジタル音声信号出力部と、デジタル音声信号が有効であるか否かを示す識別信号を出力する識別信号出力部と、を備えたものである。
【0015】
また、本発明の一側面であるデジタル音声信号出力装置は、上述したデジタル音声信号出力装置の構成に加えて、デジタル音声信号をアナログ音声信号出力装置へ送信する第1の通信インタフェースと、第1の通信インタフェースとは異なる通信インタフェースであり、識別信号をアナログ音声信号出力装置へ送信する第2の通信インタフェースと、を備えることが好ましい。
【0016】
また、本発明の一側面であるデジタル音声信号出力装置は、上述したデジタル音声信号出力装置のいずれかの構成に加えて、デジタル音声信号と識別信号とが入力され、これらの信号の論理積の値を出力するスイッチ回路を有することが好ましい。
【0017】
また、本発明の一側面であるアナログ音声信号出力装置は、デジタル音声信号出力装置から出力されるデジタル音声信号を受信し、アナログ音声信号として出力するアナログ音声信号出力装置であって、デジタル音声信号出力装置から出力されるデジタル音声信号を受信するデジタル音声信号受信部と、デジタル音声信号が有効であるか否かを示す識別信号を受信する識別信号受信部と、デジタル音声信号受信部で受信したデジタル音声信号を識別信号受信部で受信した識別信号に基づいてデコード処理を行うデコード処理部と、を有するものである。
【0018】
また、本発明の一側面であるアナログ音声信号出力装置は、上述したアナログ音声信号出力装置の構成に加えて、デジタル音声信号をデジタル音声信号出力装置から受信する第1の通信インタフェースと、第1の通信インタフェースとは異なる通信インタフェースであり、識別信号をデジタル音声信号出力装置から受信する第2の通信インタフェースと、を備えることが好ましい。
【0019】
また、本発明の一側面であるアナログ音声信号出力装置は、上述したアナログ音声信号出力装置のいずれかの構成に加えて、デジタル音声信号と識別信号とが入力され、これらの信号の論理積の値を出力するスイッチ回路を有することが好ましい。
【0020】
また、本発明の一側面である音声信号出力方法は、アナログ音声信号出力装置と、アナログ音声信号出力装置からの処理要求により記録媒体に記録されている音声情報をデジタル音声信号に変換して出力するデジタル音声信号出力装置とを少なくとも備えた音声信号出力システムに用いられる音声信号出力方法であって、記録媒体から音声情報を読み取るデータ読取ステップと、音声情報をデジタル音声信号としてデジタル音声信号出力装置からアナログ音声信号出力装置へ伝送する第1の伝送路を介して出力するデジタル音声信号出力ステップと、デジタル音声信号が有効であるか否かを示す識別信号を第1の伝送路とは異なる第2の伝送路を介してデジタル音声信号出力装置からアナログ音声信号出力装置へ出力する識別信号出力ステップと、第1の伝送路を介してデジタル音声信号出力装置から出力されたデジタル音声信号を受信するデジタル音声信号受信ステップと、識別信号出力ステップで出力された識別信号を第2の伝送路を介して受信する識別信号受信ステップと、デジタル音声信号受信ステップで受信したデジタル音声信号を識別信号受信ステップで受信した識別信号に基づいてデコード処理を行うデコード処理ステップと、を有するものである。
【0021】
また、本発明の一側面であるデジタル音声信号出力方法は、アナログ音声信号出力装置からの要求により記録媒体に記録されている音声情報をデジタル音声信号として出力するデジタル音声信号出力装置に用いられるデジタル音声信号出力方法であって、記録媒体から音声情報を読み取るデータ読取ステップと、音声情報をデジタル音声信号としてデジタル音声信号出力装置からアナログ音声信号出力装置へ伝送する第1の伝送路を介して出力するデジタル音声信号出力ステップと、デジタル音声信号が有効であるか否かを示す識別信号を第1の伝送路とは異なる第2の伝送路を介してデジタル音声信号出力装置からアナログ音声信号出力装置へ出力する識別信号出力ステップと、有するものである。
【0022】
また、本発明の一側面であるアナログ音声信号出力方法は、デジタル音声信号出力装置から出力されるデジタル音声信号を受信し、アナログ音声信号として出力するアナログ音声信号出力装置に用いられるアナログ音声信号出力方法であって、デジタル音声信号出力装置から出力されるデジタル音声信号を受信するデジタル音声信号受信ステップと、デジタル音声信号が有効であるか否かを示す識別信号を受信する識別信号受信ステップと、デジタル音声信号受信ステップで受信したデジタル音声信号を識別信号受信ステップで受信した識別信号に基づいてデコード処理を行うデコード処理ステップと、を有するものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、別筐体のディスクドライブから伝送されてくるデジタル音声信号を当該ディスクドライブの動作状態に併せて効率よく処理する音声信号出力システム、音声信号出力方法、デジタル音声信号出力装置、デジタル音声信号出力方法、アナログ音声信号出力装置、アナログ音声信号出力方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に係る音声出力システムを示すブロック図である。
【図2】図1に示す音声出力システムにおけるディスクドライブの動作状態、マスターシステム側に送信されるデジタル音声信号、マスターシステム側のCPUが制御して行うデコード処理内容の関係を説明するための図である。
【図3】図1に示すディスクドライブの動作を示すフローチャートである。
【図4】図1に示すマスターシステムの動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態に係る音声出力システムを示すブロック図である。
【図6】図5に示す音声出力システムにおけるディスクドライブの動作状態、マスターシステム側に送信されるデジタル音声信号、マスターシステム側のシステムコントローラが制御してデコーダが行うデコード処理内容の関係を説明するための図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る音声出力システムを示すブロック図である。
【図8】図7に示す音声出力システムにおけるディスクドライブの動作状態、マスターシステム側のシステムコントローラに供給されるデジタル音声信号、マスターシステム側のシステムコントローラが制御してデコーダが行うデコード処理内容の関係を説明するための図である。
【図9】デジタル音声信号を出力するディスクドライブおよび当該ディスクドライブから得られるデジタル音声信号をアナログ音声信号として出力するマスターシステムとが伝送路にて接続されている音声出力システムのブロック構成を示す図である。
【図10】図9に示す音声出力システムにおけるディスクドライブの動作状態、マスターシステム側に送信されるデジタル音声信号、マスターシステム側のシステムコントローラが制御してデコーダが行うデコード処理内容の関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0025】
まず、本発明の第1実施形態に係る音声出力システム1について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る音声出力システム1を示すブロック図である。この音声出力システム1は、CPU11、光ディスク12、スピンドルモータ13、光ピックアップ14、送りモータ15、RFアンプ16、サーボLSI17、インタフェース(I/F)18を有するディスクドライブ10と、システムコントローラ21、操作部22、デコーダ23、D/Aコンバータ24、アンプ25、スピーカ26、インタフェース27を有するマスターシステム20とから構成される。なお、ディスクドライブ10が請求項のデジタル音声信号出力装置に対応し、マスターシステム20が請求項のアナログ音声信号出力装置に対応している。
【0026】
また、この音声出力システム1は、デジタル音声信号を伝送する伝送路L1、制御情報を伝送する伝送路L2、伝送路L1で伝送するデジタル音声信号が有効であるか否かを示す識別信号を伝送する伝送路L3によりディスクドライブ10とマスターシステム20とが相互に接続されている。なお、伝送路L1が請求項の第1の伝送路に対応し、伝送路L3が請求項の第2の伝送路に対応している。
【0027】
ここで伝送路L1は、たとえばIIS(the Inter−IC Sound bus;I2Sともいう)フォーマットのデータバスなどのインタフェース18,27によって相互に接続されている。なお、IISフォーマットのデータバスは、時分割多重化された音声データ(Data)用のバス、LRチャンネルを選択するLRクロック(LR−Clock;以下、単に「LRCK」とする)用のバス、クロックパルスであるBitクロック(Bit−Clock;以下、単位「BCK」とする)用のバス、の3ラインの信号線により構成されるシリアルデータバスである。なお、伝送路L1を接続するインタフェース18,27は、請求項の第1の通信インタフェースに対応している。
【0028】
また、伝送路L2は、たとえばIIC(Inter−Intergrated Circuit;I2Cともいう)フォーマットのデータバスなどのインタフェース18,27によって相互に接続されている。IICフォーマットのデータバスは、クロック信号を伝送するSCL(Serial Clock Line)用のバスと、データ信号を伝送するSDA(Serial DAta Line)用のバスとの2ラインの信号線により構成されるシリアルデータバスである。なお、IICは、フィリップス社が提唱した通信方式であり、マスタ側とスレーブ側を明確に分け、マスタ側がスレーブ側も含めて制御の主導権を持ち、100kbps,400kbps,3.4Mbpsのいずれかの通信速度でシリアル通信を行うことができる通信方式である。本実施形態では、マスターシステム20がマスタ側として設定され、ディスクドライブ10側がスレーブ側として設定されている。
【0029】
伝送路L3は、伝送路L1で伝送されるデジタル音声信号が有効データであるか、無効データであるかを示す識別信号(たとえば無効データ:HIGH、有効データ:LOWとする)を伝送するものである。ここで、伝送路L3を接続するインタフェース18,27は、上述した無効データ、有効データの2値を判定できる情報をマスターシステム20側へ伝達できるものであれば、どのような通信規格のインタフェースを採用してもよい。なお、伝送路L3を接続するインタフェース18,27は、請求項の第2の通信インタフェースに対応している。
【0030】
続いて、デジタル音声信号出力装置としてのディスクドライブ10の各構成について説明する。CPU11は、ディスクドライブ10の各部を制御する。また、CPU11は、サーボLSI17から供給されるアドレス情報を利用して、光ピックアップ14の光ディスク12に対する読取位置を制御する。また、CPU11は、サーボLSI17から光ディスク12の動作状態についてインタフェース18および伝送路L3を介してマスターシステム20側へ伝送する。なお、CPU11は、請求項の識別信号出力部に対応している。
【0031】
記録媒体としての光ディスク12は、再生専用のCDである。光ディスク12のディスク表面には1本のトラックがディスクの中心に向かって螺旋状に形成されている。トラックには、TOC(Table Of Contents)情報が記録されたリードイン領域、音声データが記録されたデータ領域、音声データが記録された領域の終わりを示す情報が記録されたリードアウト領域が存在する。TOC情報には、音声データの記録順、曲名、曲ごとの記録時間等が含まれる。また、サブコードとして光ディスクの絶対時間情報を表すサブコードQ(以下SubQ情報)も記録されている。光ディスク12は、スピンドルモータ13により駆動され、再生時に光ピックアップ14によりレーザ光が照射される。
【0032】
スピンドルモータ13は、CPU11により線速度が一定となるように制御され、再生時に光ピックアップ14の位置に応じて光ディスク12を回転駆動する。光ピックアップ14は、レーザダイオードや偏光ビームスプリッタ、対物レンズ、反射光を検出するためのディテクタ等(何れも図示せず)を備え、再生時に光ディスク12にレーザ光を照射する。この光ピックアップ14は、ディスク径方向及び光ディスク12に接離する方向に変位可能に保持されており、サーボLSI17内によりその変位が制御される。また、光ピックアップ14は、送りモータ15により光ディスク12の半径方向に移動される。
【0033】
送りモータ15は、光ピックアップ14を光ディスク12の半径方向に移動させられる。データ読取部としてのRFアンプ16は、光ディスク12の再生時に光ピックアップ14から供給される情報を演算処理し、再生RF信号、トラッキングエラー信号、フォーカスエラー信号を抽出する。なお、RFアンプ16により抽出されたRF再生信号には、SubQ情報やデジタル音声信号などが含まれる。RFアンプ16により抽出されたRF再生信号、トラッキングエラー信号、フォーカスエラー信号は、サーボLSI17に供給される。
【0034】
デジタル音声信号出力部としてのサーボLSI17は、RFアンプ16から供給されたトラッキングエラー信号、フォーカスエラー信号、システムコントローラ21からのトラックジャンプ指令、アクセス指令、送りモータ15からのモータ回転速度検出情報等により、各種サーボ駆動信号を発生させ、送りモータ15及び光ピックアップ14を駆動制御し、フォーカス制御及びトラッキング制御を行う。また、サーボLSI17は、RFアンプ16から供給された再生RF信号を解析した後、SubQ情報とデジタル音声信号とを抽出する。また、サーボLSI17は、抽出したデジタル音声信号をI2Sフォーマットに変換してIIS信号を生成する。IIS信号は、インタフェース18および伝送路L1を介してマスターシステム20側に伝送される。また、サーボLSI17は、抽出したSubQ情報をIICフォーマットに変換してIIC信号を生成する。IIC信号は、インタフェース18および伝送路L2を介してマスターシステム20側に伝送される。
【0035】
続いて、アナログ音声信号出力装置としてのマスターシステム20の各構成について説明する。システムコントローラ21は、音声出力システム1の各部を制御するマイコンであり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備える(いずれも図示せず)。CPUは、操作部22から入力される指示に従ってROMに記憶された制御プログラムを読み出し、RAMのワークメモリに展開して当該制御プログラムに従った動作を実行し、マスターシステム20の各部を制御する。制御プログラムには再生処理プログラムや再生停止処理プログラムなどが含まれており、CPUはこれらのプログラムをROMから読み出して各処理を実行する。そして、システムコントローラ21は、インタフェース27および伝送路L2を介して各処理を実行するための制御信号をディスクドライブ10側へ伝送する。なお、システムコントローラ21は、請求項のデジタル音声信号受信部およびデコード処理制御部に対応する。
【0036】
操作部22は、たとえば再生キー、停止キー、サーチキー、タッチパネルなどの各種入力キーから構成され、その押下信号をシステムコントローラ21に供給する。なお、サーチキーは、「早送り」又は「巻き戻し」の動作指示を入力することができる。
【0037】
デコード部としてのデコーダ23は、インタフェース27および伝送路L1を介してIIS信号として送信されてきたデジタル音声信号をエラー訂正し、所定の伸張処理(デコード処理)を施すEFM(Eight to Fourteeen Modulation)デコーダである。デコーダ23は、デコード処理を施したデジタル音声信号をD/Aコンバータ24へ供給する。
【0038】
D/Aコンバータ24は、デコーダ23から供給されたデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換してアンプ25へ供給する。アンプ25は、D/Aコンバータ24から供給されたアナログ音声信号を所定の振幅に増幅させてスピーカ26から出力させる。
【0039】
図2は、図1に示す音声出力システム1におけるディスクドライブ10の動作状態、マスターシステム20側に送信されるデジタル音声信号、マスターシステム20側のシステムコントローラ21が制御して行うデコード処理内容の関係を説明するための図である。
【0040】
図2に示すように、ディスクドライブ10の動作状態は、たとえばシステムコントローラ21からの制御信号により、光ディスク12を再生中、サーチ中、ポーズ中と遷移する。その場合にインタフェース18および伝送路L1を介して伝送されるデジタル音声信号は、再生中のときは有効データ、サーチ中のときは無効データ、ポーズ中のときは無効データとなる。ここで、CPU11は、図2中のデジタル音声信号有効無効判別で示すように、ディスクドライブ10の動作状態が再生中であるときはインタフェース18および伝送路L3を介してLOWレベルの信号を出力する。一方、ディスクドライブ10の動作状態がサーチ中またはポーズ中であるときは、CPU11は、インタフェース18および伝送路L3を介してHIGHレベルの信号を出力する。システムコントローラ21は、伝送路L3およびインタフェース27を介して受信した信号を検出して、デコード処理の制御を行う。具体的には、図2中のデコーダ動作状態に示すように、システムコントローラ21は、伝送路L3およびインタフェース27を介して受信した信号がLOWレベルであることを検出したときはデコーダ23にデコード処理を行わせ、HIGHレベルであることを検出したときはデコーダ23にデコード処理を中止させる。その結果、デコーダ23は、有効データが送信されてくるとデコード処理を行うが、ディスクドライブ10の動作状態がサーチ中やポーズ中の場合には、システムコントローラ21の制御によりデコードを中止する。
【0041】
このようにディスクドライブ10は、インタフェース18および伝送路L3を介してディスクドライブ10の動作状態を瞬時にシステムコントローラ21に伝達することができる。また、伝送路L3を介して伝送される情報は、ディスクドライブ10の動作状態のみを出力する端子となっているため、伝送路L2と比較して、より正確にディスクドライブ10の動作状態を伝送することが可能となっている。そして、マスターシステム20は、インタフェース18および伝送路L3を介して出力される識別信号に基づいて、伝送路L1を介して送信されてくるデジタル音声信号が有効であるか否かを簡単に判別してデコード処理の制御を行うことができる。
【0042】
続いて、ディスクドライブ10側の動作について説明する。図3は、図1に示すディスクドライブ10の動作を示すフローチャートである。
【0043】
ディスクドライブ10のCPU11は、システムコントローラ21から何らかの要求処理が発生すると出力データ判別制御処理を開始する(START)。CPU11は、システムコントローラ21からの要求処理が光ディスク12の再生要求処理か否かを判定する(ステップS1)。CPU11は、システムコントローラ21からの要求処理が再生要求処理であった場合(ステップS1でYES)には、伝送路L3に出力する信号レベルをLOWに設定し(ステップS2)、出力データ判別制御処理を終了する(END)。一方、CPU11は、システムコントローラ21からの要求処理が再生処理以外であった場合、つまり停止処理またはサーチ処理であった場合(ステップS1でNO)には、伝送路L3に出力する信号レベルをHIGHに設定し(ステップS3)、出力データ判別制御処理を終了する(END)。なお、ステップS2およびステップS3においてLOWまたはHIGHに設定されるタイミングは、CPU11からの当該処理命令後であってサーボLSI17から出力される再生RF信号が伝送路L1へ供給されるタイミングに合わせて行われることが好ましい。
【0044】
続いて、マスターシステム20側の動作について説明する。図4は、図1に示すマスターシステム20の動作を示すフローチャートである。
【0045】
図4に示すように、システムコントローラ21は、操作部22から動作指示が発生するとデコード制御処理を開始する(START)。システムコントローラ21は、操作部22から動作指示に従った制御信号をディスクドライブ10側へ送信する(ステップS10)。具体的には、操作部22の再生キー、停止キー、サーチキーなどの押下信号がシステムコントローラ21に入力され、それぞれ再生処理要求信号、停止処理要求信号、サーチ処理要求信号がインタフェース27および伝送路L2を介してディスクドライブ10側へ伝送される。そして、システムコントローラ21は、伝送路L3およびインタフェース27を介して入力される信号レベルを監視し、当該信号レベルがLOWレベルであるか否かを判定する(ステップS11)。システムコントローラ21は、伝送路L3を介して出力される信号レベルがLOWレベルと検出された場合(ステップS11でYES)には、伝送路L1およびインタフェース27を介して入力されるデジタル音声信号は有効データであると判定して、デコード処理を行う(ステップS12)。一方、システムコントローラ21は、信号レベルがHIGHレベルと検出された場合(ステップS11でNO)には、伝送路L1およびインタフェース27を介して入力されるデジタル音声信号は無効データであると判定して、デコード処理を行わずにデータを破棄する(ステップS13)。このような制御判定により、システムコントローラ21は、伝送路L3を介して出力される信号がLOWレベルからHIGHレベルへ変化した場合にはデコード処理を中止し、HIGHレベルからLOWレベルへ出力信号が変化した場合には中止していたデコード処理を再開することができる。
【0046】
以上説明したように、音声出力システム1では、ディスクドライブ10の動作状態に伴ってデジタル音声信号が有効であるか否かを示す識別信号をマスターシステム20側に伝達することで、別筐体のディスクドライブ10側から伝送されてくるデジタル音声信号をディスクドライブ10の動作状態に併せて効率よく処理することが可能となる。また、伝送路L3においてディスクドライブ10の動作状態のうち,再生状態をHIGHとし、それ以外の動作状態(サーチ状態やポーズ状態)をLOWとなるように関連付けしたことで、ディスクドライブ10の変化に迅速に対応させることが可能となり、ディスクドライブ10の動作状態とデジタル音声信号の出力状態とのズレを低減し、音切れなどの問題やデジタル音声信号が有効であるか否かを受信したデジタル音声信号を逐一解析する必要がなくなる。
【実施例2】
【0047】
続いて、本発明の第2実施形態に係る音声出力システム1Aについて説明する。図5は、本発明の第2実施形態に係る音声出力システム1Aを示すブロック図である。音声出力システム1Aは、音声出力システム1の構成にあった伝送路L3はなく、ディスクドライブ10の動作状態により出力を切り替えるスイッチ回路19がディスクドライブ10側に備えられた構成となっている。なお、第1実施形態に係る音声出力システム1と同一の機能については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0048】
スイッチ回路19は、CPU11の制御により、ディスクドライブ10の動作状態に従って出力するデジタル音声信号のON/OFFを行うための回路である。このスイッチ回路19には、サーボLSI17から出力されるIIS信号としてのLRCKライン,BCKラインの各出力と、CPU11から出力されるデジタル音声信号が有効であるか否かを識別できる識別信号ラインS1の出力が入力される。図5に示すように、スイッチ回路19では、LRCKラインと識別信号ラインS1との信号がそれぞれ入力されると、これらの入力信号の論理積がLRCKラインの信号としてインタフェース18へ出力される。また、スイッチ回路19では、BCKラインと識別信号ラインS1との信号がそれぞれ入力されると、これらの入力信号の論理積がLRCKラインの信号としてインタフェース18へ出力される。
【0049】
CPU11は、ディスクドライブ10の動作状態が再生中の場合、LOWレベルの信号(1)が識別信号ラインS1を介してスイッチ回路19に入力する。一方、CPU11は、ディスクドライブ10の動作状態がサーチ状態またはポーズ状態の場合、HIGHレベルの信号(0)が識別信号ラインS1を介してスイッチ回路19に入力される。その結果、インタフェース18に供給されるLRCKライン,BCKラインの各出力は、識別信号ラインS1の出力がLOWレベルの信号(1)の場合には、サーボLSI17から出力されるIIS信号と変わらないが、識別信号ラインS1の出力がHIGHレベルの信号(0)の場合には、スイッチ回路19を経て出力されるLRCKライン,BCKラインの各出力はHIGHレベルの信号(0)に切り替えられる。なお、インタフェース18は、LRCKライン,BCKラインの各出力がHIGHレベルの信号(0)となった場合には、DATAラインのデータ出力をOFFにする。
【0050】
図6は、図5に示す音声出力システム1Aにおけるディスクドライブ10の動作状態、マスターシステム20側に送信されるデジタル音声信号、マスターシステム20側のシステムコントローラ21が制御してデコーダ23が行うデコード処理内容の関係を説明するための図である。
【0051】
図6に示すように、ディスクドライブ10の動作状態は、たとえばシステムコントローラ21からの制御信号により、光ディスク12を再生中、サーチ中、ポーズ中と遷移する。ここで、ディスクドライブ10のCPU11は、図6中のデジタル音声信号に示すように、再生中以外はマスターシステム20側との通信を停止する。具体的には、CPU11は、ディスクドライブ10の動作状態がサーチ中またはポーズ中である場合には、スイッチ回路19へHIGHレベルの信号(0)を入力する。そして、LRCKラインの出力およびBCKラインの出力すべてが0データとすると、DATAラインの出力、LRCKラインの出力およびBCKラインの出力がすべてOFFとなり、インタフェース18および伝送路L1でのマスターシステム20側との通信を停止する。その結果、マスターシステム20側のデコーダ23は、有効データが送信されてくるとデコード処理を行うが、ディスクドライブ10の動作状態がサーチ中やポーズ中の場合には、ディスクドライブ10との通信が停止するため、データ待ちの状態となる。このような制御によりマスターシステム20側へ必要のない無効データが伝送されることを防止すると共に、マスターシステム20側は、ディスクドライブ10側から伝送されてくる有効データのみを効率よくデコード処理を行うことが可能となる。
【0052】
なお、スイッチ回路19により演算された結果をそのままマスターシステム20側へ伝送されるように構成してもよい。具体的にはLOWレベルの信号(1)がスイッチ回路19に入力されるときは、インタフェース18は、LRCKラインおよびBCKラインの出力をそのままマスターシステム20側へ伝送されるように設定し、HIGHレベルの信号(0)がスイッチ回路19に入力されるときは、LRCKラインおよびBCKラインの出力はすべて0データとなってマスターシステム20側へ伝送するように設定してもよい。この場合、マスターシステム20側のシステムコントローラ21でLRCKラインおよびBCKラインで伝送される信号が0データである場合にはデコーダ23によるデコード処理を行わずにデータ破棄することが好ましい。
【0053】
また、上述したスイッチ回路19においては、LRCKラインの出力およびBCKラインの出力をスイッチ回路19に入力させる構成としたが、DATAラインの出力もスイッチ回路19に入力し、識別信号ラインS1の出力との論理積を求めてインタフェース18に供給するように構成してもよい。
【0054】
以上説明したように、音声出力システム1Aでは、ディスクドライブ10の動作状態に伴ってデジタル音声信号が有効であるか否かを示す識別信号をディスクドライブ10側にあるスイッチ回路19に入力して、ディスクドライブ10から出力されるデジタル音声信号を制御している。これにより別筐体のディスクドライブ10側から伝送されてくるデジタル音声信号をディスクドライブ10の動作状態に併せて効率よくデコード処理をすることが可能となる。また、ディスクドライブ10側でディスクドライブ10の動作状態によって出力を切り替えているため、デジタル音声信号の出力状態とのズレを低減し、音切れなどの問題やデジタル音声信号が有効であるか否かについてマスターシステム10側で逐一解析する必要がなくなる。
【実施例3】
【0055】
続いて、本発明の第3実施形態に係る音声出力システム1Bについて説明する。図7は、本発明の第3実施形態に係る音声出力システム1Bを示すブロック図である。第3実施形態に係る音声出力システム1Bは、第1実施形態の音声出力システム1および第2実施形態の音声出力システム1Aと異なり、ディスクドライブ10の動作状態により出力を切り替えるスイッチ回路28がマスターシステム20側に備えられた構成となっている。なお、第1実施形態に係る音声出力システム1および第2実施形態に係る音声出力システム1Aと同一の機能については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0056】
スイッチ回路28は、ディスクドライブ10の動作状態に従ってシステムコントローラ21へ出力するデジタル音声信号の出力を切り替えるための回路である。スイッチ回路28には、伝送路L1を介して伝送されたLRCKライン,BCKラインの各出力と、伝送路L3を介して出力されるデジタル音声信号が有効であるか否かを識別できる識別信号ラインS2の出力が入力される。図7に示すように、スイッチ回路28では、LRCKラインと識別信号ラインS2との信号がそれぞれ入力されると、これらの入力信号の論理積がLRCKラインの信号としてシステムコントローラ21へ出力される。また、スイッチ回路28では、BCKラインと識別信号ラインS2との信号がそれぞれ入力されると、これらの入力信号の論理積がLRCKラインの信号としてシステムコントローラ21へ出力される。
【0057】
CPU11は、ディスクドライブ10の動作状態が再生中の場合、LOWレベルの信号(1)が識別信号ラインS2を介してスイッチ回路28に入力する。一方、CPU11は、ディスクドライブ10の動作状態がサーチ状態またはポーズ状態の場合、HIGHレベルの信号(0)が識別信号ラインS2を介してスイッチ回路28に入力される。その結果、システムコントローラ21に供給されるLRCKライン,BCKラインの各出力は、識別信号ラインS2の出力がLOWレベルの信号(1)の場合には、サーボLSI17から出力されるIIS信号と変わらないが、識別信号ラインS2の出力がHIGHレベルの信号(0)の場合には、スイッチ回路28を経たLRCKライン,BCKラインの各出力は、HIGHレベルの信号(0)に切り替えられる。なお、システムコントローラ21は、LRCKライン,BCKラインの各出力がHIGHレベルの信号(0)となった場合には、DATAラインから出力されるデジタル音声信号を破棄してデコード処理を行わない制御をすることが好ましい。このような制御により、マスターシステム20では、別筐体のディスクドライブ10側から伝送されてくるデジタル音声信号をディスクドライブ10の動作状態に併せて効率よく処理することが可能となる。
【0058】
図8は、図7に示す音声出力システム1Bにおけるディスクドライブ10の動作状態、システムコントローラ21側に供給されるデジタル音声信号、マスターシステム20側のシステムコントローラ21が制御してデコーダ23が行うデコード処理内容の関係を説明するための図である。
【0059】
ディスクドライブ10の動作状態は、たとえばシステムコントローラ21からの制御信号により、光ディスク12を再生中、サーチ中、ポーズ中と遷移する。その場合にインタフェース18および伝送路L1を介して伝送されるデジタル音声信号は、再生中のときは有効データ、サーチ中のときは無効データ、ポーズ中のときは無効データとなる。ここで、CPU11は、ディスクドライブ10の動作状態が再生中であるときはインタフェース18および伝送路L3を介してLOWレベルの信号(1)をスイッチ回路28へ出力する。一方、ディスクドライブ10の動作状態がサーチ中またはポーズ中であるときは、CPU11は、インタフェース18および伝送路L3を介してHIGHレベルの信号(0)をスイッチ回路28へ出力する。
【0060】
スイッチ回路28からの出力を検出したシステムコントローラ21は、LRCKライン,BCKラインの各出力がLOWレベルの信号(1)である場合には、ディスクドライブの動作状態が再生中であると判定し、デコーダ23にデコード処理を行わせ、HIGHレベルの信号(0)である場合には、サーチ中やポーズ中の動作状態であると判定し、デコーダ23のデコード処理を中止させる。その結果、デコーダ23は、有効データが送信されてくるとデコード処理を行うが、ディスクドライブ10の動作状態がサーチ中やポーズ中の場合には、システムコントローラ21の制御によりデコードを中止する。このような制御によりデコーダ23へ必要のない無効データが供給されることを防止すると共に、ディスクドライブ10側から伝送されてくる有効データのみを効率よくデコード処理を行うことが可能となる。
【0061】
なお、上述したスイッチ回路28においては、LRCKラインの出力およびBCKラインの出力をスイッチ回路28に入力させる構成としたが、DATAラインの出力もスイッチ回路28に入力し、識別信号ラインS2の出力との論理積を求めてシステムコントローラ21に供給するように構成してもよい。
【0062】
以上説明したように、音声出力システム1Bでは、ディスクドライブ10の動作状態に伴ってデジタル音声信号が有効であるか否かを示す識別信号をマスターシステム20側にあるスイッチ回路28に入力して、ディスクドライブ10から出力されるデジタル音声信号を制御している。これにより別筐体のディスクドライブ10側から伝送されてくるデジタル音声信号をディスクドライブ10の動作状態に併せて効率よく処理することが可能となる。また、システムコントローラ21へデジタル音声信号が入力される前にスイッチ回路28でディスクドライブ10の動作状態によって出力を切り替えているため、デジタル音声信号の出力状態とのズレを低減し、音切れなどの問題やデジタル音声信号が有効であるか否かについてシステムコントローラ21で逐一解析する必要がなくなる。
【0063】
以上、音声出力システム1,1A,1Bを本発明の実施形態例として説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形や変更が可能である。たとえば、音声出力システム1,1A,1Bのディスクドライブ10は、CDを再生するものであるが、これをMD,DVD,BD(Blue−ray Disc),HD(Hard Disk)を再生するディスクドライブ10となるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0064】
1,1A,1B・・・音声出力システム、10・・・ディスクドライブ(デジタル音声信号出力装置)、11・・・CPU(識別信号出力部)、12・・・光ディスク、13・・・スピンドルモータ、14・・・光ピックアップ、15・・・送りモータ、16・・・RFアンプ(データ読取部)、17・・・サーボLSI(デジタル音声信号出力部)、18・・・インタフェース(第1の通信インタフェース、第2の通信インタフェース)、19・・・スイッチ回路、20・・・マスターシステム(アナログ音声信号出力装置)、21・・・システムコントローラ(デジタル音声信号受信部、デコード処理制御部)、22・・・操作部、23・・・デコーダ(デコード部)、24・・・D/Aコンバータ、25・・・アンプ、26・・・スピーカ、27・・・インタフェース(第1の通信インタフェース、第2の通信インタフェース)、28・・・スイッチ回路、50・・・マスターシステム、51・・・システムコントローラ、52・・・操作部、53・・・デコーダ、54・・・D/Aコンバータ、55・・・アンプ、56・・・スピーカ、60・・・ディスクドライブ、61・・・CPU、62・・・光ディスク、63・・・スピンドルモータ、64・・・光ピックアップ、65・・・送りモータ、66・・・RFアンプ、67・・・サーボLSI、100・・・音声出力システム、L1・・・伝送路(第1の伝送路)、L2・・・伝送路、L3・・・伝送路(第2の伝送路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体から音声情報を読み取るデータ読取部、上記音声情報をデジタル音声信号として出力するデジタル音声信号出力部、上記デジタル音声信号が有効であるか否かを示す識別信号を出力する識別信号出力部を少なくとも備えたデジタル音声信号出力装置と、
上記デジタル音声信号を受信するデジタル音声信号受信部、デジタル音声信号をデコードするデコード部、上記識別信号出力部から出力された識別信号に基づいて上記デコード部のデコード処理を制御するデコード処理制御部を少なくとも備えたアナログ音声信号出力装置と、
を備えることを特徴とする音声信号出力システム。
【請求項2】
請求項1に記載の音声信号出力システムであって、
前記デジタル音声信号を前記デジタル音声信号出力装置から前記アナログ音声信号出力装置へ送信する第1の伝送路と、
上記第1の伝送路とは異なる伝送路であり、前記識別信号を前記デジタル音声信号出力装置から前記アナログ音声信号出力装置へ送信する第2の伝送路と、
を有することを特徴とする音声信号出力システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の音声信号出力システムであって、
前記アナログ音声信号出力装置は、
前記デジタル音声信号と前記識別信号とが入力され、これらの信号の論理積の値を出力するスイッチ回路を有することを特徴とする音声信号出力システム。
【請求項4】
請求項1に記載の音声信号出力システムであって、
前記デジタル音声信号出力装置は、
前記デジタル音声信号と前記識別信号とが入力され、これらの信号の論理積の値を出力するスイッチ回路を有することを特徴とする音声信号出力システム。
【請求項5】
アナログ音声信号出力装置からの要求により記録媒体に記録されている音声情報をデジタル音声信号として出力するデジタル音声信号出力装置であって、
上記記録媒体から音声情報を読み取るデータ読取部と、
上記音声情報をデジタル音声信号として出力するデジタル音声信号出力部と、
上記デジタル音声信号が有効であるか否かを示す識別信号を出力する識別信号出力部と、
を備えたことを特徴とするデジタル音声信号出力装置。
【請求項6】
請求項5に記載のデジタル音声信号出力装置であって、
前記デジタル音声信号を前記アナログ音声信号出力装置へ送信する第1の通信インタフェースと、
上記第1の通信インタフェースとは異なる通信インタフェースであり、前記識別信号を前記アナログ音声信号出力装置へ送信する第2の通信インタフェースと、
を備えることを特徴とするデジタル音声出力装置。
【請求項7】
請求項5に記載のデジタル音声信号出力装置であって、
前記デジタル音声信号と前記識別信号とが入力され、これらの信号の論理積の値を出力するスイッチ回路を有することを特徴とするデジタル音声信号出力装置。
【請求項8】
デジタル音声信号出力装置から出力されるデジタル音声信号を受信し、アナログ音声信号として出力するアナログ音声信号出力装置であって、
上記デジタル音声信号出力装置から出力されるデジタル音声信号を受信するデジタル音声信号受信部と、
上記デジタル音声信号が有効であるか否かを示す識別信号を受信する識別信号受信部と、
上記デジタル音声信号受信部で受信したデジタル音声信号を上記識別信号受信部で受信した識別信号に基づいてデコード処理を行うデコード処理部と、
を有することを特徴とするアナログ音声信号出力装置。
【請求項9】
請求項8に記載のアナログ音声信号出力装置であって、
前記デジタル音声信号を前記デジタル音声信号出力装置から受信する第1の通信インタフェースと、
上記第1の通信インタフェースとは異なる通信インタフェースであり、前記識別信号を前記デジタル音声信号出力装置から受信する第2の通信インタフェースと、
を備えることを特徴とするアナログ音声信号出力装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載のアナログ音声信号出力装置であって、
前記デジタル音声信号と前記識別信号とが入力され、これらの信号の論理積の値を出力するスイッチ回路を有することを特徴とするアナログ音声信号出力装置。
【請求項11】
アナログ音声信号出力装置と、上記アナログ音声信号出力装置からの処理要求により記録媒体に記録されている音声情報をデジタル音声信号に変換して出力するデジタル音声信号出力装置とを少なくとも備えた音声信号出力システムに用いられる音声信号出力方法であって、
上記記録媒体から音声情報を読み取るデータ読取ステップと、
上記音声情報をデジタル音声信号として上記デジタル音声信号出力装置から上記アナログ音声信号出力装置へ伝送する第1の伝送路を介して出力するデジタル音声信号出力ステップと、
上記デジタル音声信号が有効であるか否かを示す識別信号を上記第1の伝送路とは異なる第2の伝送路を介して上記デジタル音声信号出力装置から上記アナログ音声信号出力装置へ出力する識別信号出力ステップと、
上記第1の伝送路を介して上記デジタル音声信号出力装置から出力された上記デジタル音声信号を受信するデジタル音声信号受信ステップと、
上記識別信号出力ステップで出力された識別信号を上記第2の伝送路を介して受信する識別信号受信ステップと、
上記デジタル音声信号受信ステップで受信したデジタル音声信号を上記識別信号受信ステップで受信した識別信号に基づいてデコード処理を行うデコード処理ステップと、
を有することを特徴とする音声信号出力方法。
【請求項12】
アナログ音声信号出力装置からの要求により記録媒体に記録されている音声情報をデジタル音声信号として出力するデジタル音声信号出力装置に用いられるデジタル音声信号出力方法であって、
上記記録媒体から音声情報を読み取るデータ読取ステップと、
上記音声情報をデジタル音声信号として上記デジタル音声信号出力装置から上記アナログ音声信号出力装置へ伝送する第1の伝送路を介して出力するデジタル音声信号出力ステップと、
上記デジタル音声信号が有効であるか否かを示す識別信号を上記第1の伝送路とは異なる第2の伝送路を介して上記デジタル音声信号出力装置から上記アナログ音声信号出力装置へ出力する識別信号出力ステップと、
を有することを特徴とするデジタル音声信号出力方法。
【請求項13】
デジタル音声信号出力装置から出力されるデジタル音声信号を受信し、アナログ音声信号として出力するアナログ音声信号出力装置に用いられるアナログ音声信号出力方法であって、
上記デジタル音声信号出力装置から出力されるデジタル音声信号を受信するデジタル音声信号受信ステップと、
上記デジタル音声信号が有効であるか否かを示す識別信号を受信する識別信号受信ステップと、
上記デジタル音声信号受信ステップで受信したデジタル音声信号を上記識別信号受信ステップで受信した識別信号に基づいてデコード処理を行うデコード処理ステップと、
を有することを特徴とするアナログ音声信号出力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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