説明

音声入力式の楽曲検索機能と試聴機能を備えたカラオケ選曲予約装置

【課題】表示手段・操作入力手段・マイクロホン・スピーカー・ヘッドホンを備え、音声入力式の楽曲検索を行えるとともに検索した楽曲の一部を試聴することができるように構成されたカラオケ選曲予約装置に関する。カラオケ店における現実のカラオケ利用の現場においては、カラオケ演奏装置から大きな音がでている状況と、カラオケ演奏が中断されて静かになる状況とが頻繁に入れかわることと、カラオケ愛好者にはオーディオ機器の取り扱いに不慣れな人も多いことを考えると、選曲予約装置のスピーカーとヘッドホンの切り替え機構が一般のオーディオ機器と同じでは大いに不便である。
【解決手段】自動切替手段により、マイクロホンからの音声入力音量が基準以上である場合にスピーカーから音声出力させずにヘッドホンから音声出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カラオケ演奏装置の周辺装備品として使用されるカラオケ選曲予約装置に関し、具体的には、表示手段・操作入力手段・マイクロホン・スピーカー・ヘッドホンを備え、音声入力式の楽曲検索を行えるとともに検索した楽曲の一部を試聴することができるように構成されたカラオケ選曲予約装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
《特許第3599526号公報》《特許第4223277号公報》
カラオケ選曲予約装置にスピーカーやヘッドホンが付属しており、利用者が検索して選出した楽曲の一部を試聴することができる。
【0003】
《特許第4286446号公報》《特許第3602085号公報》
マイクロホンに向かってハミングやスキャット等で旋律を発声すると、声のピッチ推移に基づいて旋律片データが作成され、その旋律片データによって楽曲索引データベースが検索され、その旋律を含んだ1つ以上の楽曲が抽出されて曲名が表示され、その楽曲IDによりカラオケ演奏装置に予約される。
【0004】
《特開2003−178077号公報》
歌詞に含まれている語句をキーワードとして楽曲索引データベースから楽曲集合を抽出し、つぎに音声により旋律を入力し、その旋律データに符合する旋律を含んだ楽曲を前記の楽曲集合から抽出する。
【0005】
《特許第3482398号公報》
たとえば「フランク永井の有楽町で会いましょう」のように、歌いたい曲の歌手名と曲名をごく自然につなげて発話すると、発話音声が自動認識されてカラオケ楽曲索引データベースが検索され、該当楽曲のカラオケ予約用の楽曲IDが抽出され、カラオケ演奏装置に予約される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
音声入力式の楽曲検索を行えるとともに検索した楽曲の一部を試聴することができるように構成されたカラオケ選曲予約装置の利用シーンにおいては、つぎのような課題がある。カラオケ演奏装置の音響システムから大きな音がでていない状況下では、選曲予約装置のスピーカーを使って楽曲を試聴しながら選曲することにはとくに支障はない。しかし、カラオケ伴奏音楽と拡声された歌声が大きな音で響いている状況下では、選曲予約装置のスピーカーによる試聴は困難になる。
【0007】
そのためにヘッドホンが付属しており、選曲予約装置のスピーカーの代わりにヘッドホンでも試聴できるようになっている。一般のオーディオ機器の場合、ヘッドホンのコード先端のプラグを機器のジャックに挿入すると、スピーカーからの音が消えてヘッドホンから音がでる。また、スピーカーから音をだすかヘッドホンから音をだすのかを手動操作により切り替えられるオーディオ機器もある。
【0008】
カラオケ店における現実のカラオケ利用の現場においては、カラオケ演奏装置から大きな音がでている状況と、カラオケ演奏が中断されて静かになる状況とが頻繁に入れかわることと、カラオケ愛好者にはオーディオ機器の取り扱いに不慣れな人も多いことを考えると、選曲予約装置のスピーカーとヘッドホンの切り替え機構が一般のオーディオ機器と同じでは大いに不便である。そこでこの発明が創作された。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明にカラオケ選曲予約装置は、分説すると、つぎの事項(1)〜(6)により特定されるものである。
(1)表示手段と、操作入力手段と、マイクロホンと、スピーカーと、ヘッドホンを備え、楽曲索引データベースにアクセスするカラオケ選曲予約装置であること
(2)操作入力手段またはマイクロホンを用いた利用者からの検索入力に従って楽曲索引データベースから抽出した楽曲情報を表示する手段を備えること
(3)表示された楽曲情報に対して試聴要求の操作入力があった際、楽曲索引データベースから当該楽曲の試聴データを抽出・再生してスピーカーまたはヘッドホンから音声出力する手段を備えること
(4)表示された楽曲情報に対してリクエスト要求の操作入力があった際、当該楽曲の識別子を含んだ演奏予約電文をカラオケ装置に送信する手段を備えること
(5)操作入力手段による切替入力に応答してスピーカーから音声出力させるかヘッドホンから音声出力させるかを切り替える手動切替手段を備えること
(6)マイクロホンからの音声入力音量が基準以上である場合にスピーカーから音声出力させずにヘッドホンから音声出力させる自動切替手段を備えること
【発明の効果】
【0010】
カラオケ選曲予約装置により検索した楽曲を試聴しようとする際に、カラオケでだれかが歌っている最中で大きな音が響いている場合、自動的にヘッドホンに切り替わるので、オーディオ機器の取り扱いに不慣れな人でもとまどうことがなく、使い勝手がよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例におけるカラオケ演奏予約装置の外観図である。
【図2】実施例におけるカラオケ演奏予約装置の構成図である。
【図3】実施例における音響入出力システムの構成図である。
【実施例】
【0012】
===カラオケ選曲予約装置1の基本機能===
図1〜図3に示すように、この発明に係るカラオケ選曲予約装置1は、タッチパネル表示システム4を採用したタブレットコンピューターの応用機器である。この装置1の基本機能の多くは、カラオケ店において以前から普及しているものと同様であり、この分野の周知慣用技術についての説明は最小限に留める。
【0013】
カラオケ選曲予約装置1は、メインコンピューター2・記憶システム3・タッチパネル表示システム4・音響出力システム5・音響入力システム6・リモコン送信器7・クレイドル通信インタフェース8・旋律検索エンジン9・音声認識エンジン10・声紋分析エンジン11を備えており、メインコンピューター2が装置全体の動作を統括し制御する。記憶システム3には、楽曲索引データベースが格納されている。楽曲索引データベースは、曲名やアーティスト名など、楽曲ごとの各種の属性情報が含まれているとともに、各楽曲の印象的な旋律を奏でるための試聴データが含まれている。
【0014】
選曲の基本は、曲名検索やアーティスト名検索などの周知のキーワード検索である。キーワードの入力方式としては、タッチパネル表示システム4を用いたもっとも一般的な文字入力方式と、音響入力システム6および音声認識エンジン10を用いた音声入力方式とがある。音声入力モードにおいては、利用者が曲名やアーティスト名を発話すると、音響入力システム6のマイクロホン6aにより音声が採取され、音声認識エンジン10により認識されて文字データに変換され、検索キーワードが生成される。あとは文字入力方式と同じである。
【0015】
メインコンピューター2は、検索により楽曲索引データベースより抽出した1曲以上の楽曲に関し、曲名やアーティスト名などをタッチパネル表示システム4に表示するとともに、1つの曲名を特定した上で演奏予約または試聴要求の利用者入力を受け付け可能とする。演奏予約の利用者入力があった場合、特定された楽曲の識別子を含んだ演奏予約電文をリモコン送信器7から出力する。この演奏予約電文がカラオケ演奏装置50のリモコン受信器51で受信されると、当該楽曲識別子が演奏予約の待ち行列に登録される。
【0016】
また、試聴要求の利用者入力があった場合、メインコンピューター2は、該当曲の試聴データを楽曲索引データベースから抽出し、音響出力システム5のスピーカー5aまたはヘッドホン5bから放音させる。利用者はこれを聞いて演奏予約しようと思った場合、演奏予約の利用者入力を行えばよい。
【0017】
以上のとおり、この発明に係るカラオケ選曲予約装置1は、マイクロホン6aとスピーカー5a・ヘッドホン5bを備えている。マイクロホン6aで採取された周辺の音の信号は音声認識システム10と旋律認識エンジン9(後述)および声紋分析エンジン11(後述)の処理対象となる。スピーカー5aまたはヘッドホン5bにより、楽曲索引データベースから抽出した楽曲の一部を試聴することができる。図1に示すように、ヘッドホン5bは、非使用時にはカラオケ選曲装置1のハウジングに装着しておくことで邪魔にならないようにしてある。
【0018】
カラオケ選曲予約装置1は、図1(B)に示すように、クレイドル20に載置可能となっている。クレイドル20に載置された状態にては、カラオケ選曲予約装置1のクレイドル通信インタフェース8および電源ユニット(図示省略)のコネクタとクレイドル20のコネクタとが接続される。クレイドル20のコネクタはカラオケ演奏装置50のクレイドル通信インタフェース52と有線接続されている。
【0019】
この構成により、クレイドル20に載置された状態で、カラオケ選曲予約装置1とカラオケ演奏装置50とが通信可能に接続され、たとえば、カラオケ選曲予約装置1の楽曲索引データベースを更新する処理がカラオケ演奏装置50の主導により行われる。また、クレイドル20を介してカラオケ選曲予約装置1の電源電池が充電される。これら周知慣用技術については詳述しない。
【0020】
なお周知のように、カラオケ演奏装置50は、カラオケデータを配信する通信カラオケプロバイダーのホスト装置に専用線などを介して接続されている他、インターネット上のデータベースサーバーや情報提供サーバーに接続されており、カラオケ利用者向けに各種の情報を提供するサービスを実施している。カラオケ演奏装置50は、そうした外部のコンピューター(ホスト装置70)と通信網60を介して通信するための対外通信インタフェース53を備えている。
【0021】
カラオケ演奏装置50の全体を統括しているコンピューターは、周知のように、クレイドル通信インタフェース52を介してカラオケ選曲予約装置1と通信するとともに、対外通信インタフェース53を介してホスト装置70などと通信する。
【0022】
===発明の核心部分===
図3は、カラオケ選曲予約装置1の音響出力システム5と音響入力システム6の構成を示している。メインコンピューター2は、利用者が指定した楽曲の試聴音声を再生出力するにあたり、該当の試聴データをD/A変換器5eによりアナログ音声信号に変換させてアンプ5dで増幅させ、切替器5cを介してスピーカー5aまたはヘッドホン5bのいずれかから放音させる。
【0023】
カラオケ選曲予約装置1に電源が投入された際にメインコンピューター2は初期処理を行うところ、その一環として、切替器5cの制御モードとして自動切替モードを能動化する。この自動切替モードは、マイクロホン6aからの音声入力音量が基準以下である場合には切替器5cをスピーカー5a側に切り替え、マイクロホン6aからの音声入力音量が基準以上である場合には切替器5cをヘッドホン5b側に自動的に切り替える制御モードである。
【0024】
自動切替モードにおいては、マイクロホン6aから出力される音声信号はアンプ6bを経てA/D変換器6cに入力され、デジタル変換された音声信号がメインコンピューター2に取り込まれる。メインコンピューター2は、マイクロホン6aからの音声信号の振幅を所定時間にわたり移動平均して音量レベルを検出する割込処理をつねに行っている。
【0025】
メインコンピューター2は、移動平均処理により検出されるマイクロホン6aの入力音声の音量レベルとあらかじめ設定された基準レベルとを比較し、入力音量レベルが基準レベルを下回る場合は切替器5cをスピーカー5a側に切り替え、入力音量レベルが基準レベルを上回る場合は切替器5cをヘッドホン5b側に切り替える。
【0026】
自動切替モードによりスピーカー5aが選択されている場合、音がスピーカー5aから放音されるので問題ないが、ヘッドホン5bが選択されている場合は利用者が気づきにくいので、メインコンピューター2は、ヘッドホン5bに自動切り替えした際には、タッチパネル表示システム4に「ヘッドホンで聴いてください」とか「音はヘッドホンから」といった表示をして利用者に知らせる。
【0027】
前述したとおり、利用者が検索により楽曲を選出し、その楽曲についての試聴要求の操作入力を受け付ける場面においては、タッチパネル表示システム4に試聴要求ボタンとともに自動切替ボタン・スピーカーボタン・ヘッドホンボタンが表示され、初期処理により自動切替モードが設定されていることを表すように自動切替ボタンが明るく表示されている。利用者がスピーカーボタンとヘッドホンボタンに触れずに試聴要求ボタンに触れた場合、前述の自動切替モードの制御により試聴音声はスピーカー5aまたはヘッドホン5bから放音される。
【0028】
自動切替モードにおいて、ある曲の試聴音声をスピーカー5aから放音させている途中で周囲の音が大きくなり、メインコンピューター2がヘッドホン5bに切り替えると判断した場合、メインコンピューター2は、その曲の試聴音声の再生出力を中断するとともに最初から再生出力をやり直しし、試聴音声を最初からヘッドホン5bより放音させる。奏することにより、利用者は視聴音声を聴きもらすことがない。
【0029】
なお、タッチパネル表示システム4に試聴要求ボタンとともに自動切替ボタン・スピーカーボタン・ヘッドホンボタンが表示され、初期処理により自動切替モードが設定されていることを表すように自動切替ボタンが明るく表示されている状態において、利用者がスピーカーボタンに触れるとメインコンピューター2は自動切替モードを解除し、切替器5cをスピーカー5a側に切り替えるとともに、スピーカーボタンを明るく表示する。同様に、利用者がヘッドホンボタンに触れるとメインコンピューター2は自動切替モードを解除し、切替器5cをヘッドホン5b側に切り替えるとともに、ヘッドホンボタンを明るく表示する。
【0030】
以上が手動切替モードである。手動切替モードになっている状態で、利用者がタッチパネル表示システム4に表示された自動切替ボタンに触れると、メインコンピューター2は自動切替モードに復帰して自動切替ボタンを明るく表示する。
【符号の説明】
【0031】
5a…スピーカー
5b…ヘッドホン
6a…マイクロホン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段と、操作入力手段と、マイクロホンと、スピーカーと、ヘッドホンを備え、楽曲索引データベースにアクセスするカラオケ選曲予約装置であって、
操作入力手段またはマイクロホンを用いた利用者からの検索入力に従って楽曲索引データベースから抽出した楽曲情報を表示する手段と、
表示された楽曲情報に対して試聴要求の操作入力があった際、楽曲索引データベースから当該楽曲の試聴データを抽出・再生してスピーカーまたはヘッドホンから音声出力する手段と、
表示された楽曲情報に対してリクエスト要求の操作入力があった際、当該楽曲の識別子を含んだ演奏予約電文をカラオケ装置に送信する手段と、
操作入力手段による切替入力に応答してスピーカーから音声出力させるかヘッドホンから音声出力させるかを切り替える手動切替手段と、
マイクロホンからの音声入力音量が基準以上である場合にスピーカーから音声出力させずにヘッドホンから音声出力させる自動切替手段と、
を備えたカラオケ選曲予約装置。
【請求項2】
電源投入時の初期処理として前記自動切替手段を能動化させ、前記手動切替手段はスピーカーとヘッドホンの選択に加えて前記自動切替手段への復帰も選択可能である
請求項1に記載のカラオケ選曲予約装置。
【請求項3】
前記自動切替手段によりスピーカーからヘッドホンに切り替わる際、そのことが表示手段による表示によって利用者に報知される
請求項1または2に記載のカラオケ選曲予約装置。
【請求項4】
前記自動切替手段は、ある楽曲の試聴データを再生してスピーカーから音声出力している最中にヘッドホンに切り替える際、当該試聴データを最初から再生し直す
請求項1〜3のいずれかに記載のカラオケ選曲予約装置。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【公開番号】特開2011−215203(P2011−215203A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80654(P2010−80654)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】