説明

音楽コンテンツ格納送出装置、音楽コンテンツ格納送出方法、オーディオ信号再生装置および音漏れ低減方法

【課題】4極端子などの特殊な端子を用いることなく、簡単な信号処理により、第1および第2チャンネル間の音漏れの問題を軽減した音楽コンテンツ格納送出方法を提供する。
【解決手段】第1チャンネルオーディオ信号に、第1音響再生ユニットへの第2チャンネルオーディオ信号の音漏れ比率に応じて低減した第2チャンネルオーディオ信号を加算すると共に、第2チャンネルオーディオ信号に、第2音響再生ユニットへの第1チャンネルオーディオ信号の音漏れ比率に応じて低減した第1チャンネルオーディオ信号を加算して、音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータを生成する。生成された音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータを音楽コンテンツ格納部に格納する。格納工程で格納された音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータを音楽コンテンツ格納部から読み出して、3極端子201を備えるオーディオ信号再生装置に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば左右2チャンネルステレオオーディオ信号を、例えばヘッドフォンに出力して音響再生させるようにする音楽プレーヤなどのオーディオ信号再生装置において、特に、チャンネル間の音漏れを低減するようにする発明に関する。
【背景技術】
【0002】
音響再生手段としてヘッドフォンを用い、左右2チャンネルのステレオオーディオ信号を音響再生するようにする携帯型の音楽プレーヤが広く普及している。この場合に、音楽プレーヤと、ヘッドフォンとの接続は、3極端子を用いたジャックとプラグとを用いて行うのが一般的である。ここで、3極端子とは、左右2チャンネルステレオ信号の場合、左チャンネルオーディオ信号用の端子と、右チャンネルオーディオ信号用の端子と、左チャンネルおよび右チャンネルオーディオ信号に共通の接地端子(グラウンド)との3端子からなるものである。
【0003】
図19は、音楽プレーヤ200と、これに接続されるヘッドフォン100とを示すものである。ヘッドフォン100は、左チャンネル用のヘッドフォンユニット10Lと、右チャンネル用のヘッドフォンユニット10Rと、3極端子からなる接続プラグ101と、左チャンネル用のヘッドフォンユニット10Lおよび右チャンネル用のヘッドフォンユニット10Rと接続プラグ101との間を接続するケーブル102とからなる。
【0004】
ケーブル102は、左右チャンネル用ケーブルの連結部103を備え、この連結部103で、左右チャンネルのグラウンド側が共通に接続され、その共通接続点が接続プラグ101の共通接地端子COMに接続されている。
【0005】
接続プラグ101は、左チャンネル信号端子部L+と、右チャンネル信号端子部R+と、共通接地端子部COMとを備えている3極端子である。
【0006】
音楽プレーヤ200には、ヘッドフォン100の接続プラグ101に対応して、3極端子からなるヘッドフォンジャック201が設けられている。ヘッドフォン100の接続プラグ101を、音楽プレーヤ200のヘッドフォンジャック201に差し込むことで、音楽プレーヤ200から出力される2チャンネルステレオオーディオ信号が、ヘッドフォン100の左右チャンネル用のヘッドフォンユニット10Lおよび10Rで音響再生される。
【0007】
しかし、上述のような3極端子を用いる場合には、左右チャンネル間における音漏れの問題がある。この音漏れは、3極端子では左チャンネルおよび右チャンネルオーディオ信号に共通の接地端子を用いていることと、ヘッドフォン100のケーブル102などに含まれる抵抗成分や音楽プレーヤ200のアンプ特性との組み合わせによって生じるものであることが知られている。この音漏れの問題について、さらに説明をする。
【0008】
図20は、ヘッドフォン100の接続プラグ101が、音楽プレーヤ200のヘッドフォンジャック201に差し込まれた状態において、音漏れが生じることを説明するための等価的な接続回路図である。この図20では、左チャンネルオーディオ信号が右チャンネルに漏れる場合を説明するために、左チャンネルオーディオ信号が大振幅信号であり、かつ、右チャンネルは全くの無音であるとする。また、音楽プレーヤ200のアンプ部の利得は1と仮定する。
【0009】
図20に示すように、左チャンネル信号源1Lからの左チャンネルの大振幅オーディオ信号(アナログオーディオ信号とする)は、利得が1のアンプ2Lおよび抵抗3Lを通じて、ヘッドフォンジャック201の左チャンネルオーディオ信号出力端子4Lに供給される。
【0010】
また、右チャンネル信号源1Rからの右チャンネルの信号(アナログオーディオ信号とする)は、利得が1のアンプ2Rおよび抵抗3Rを通じて、ヘッドフォンジャック201の右チャンネルオーディオ信号出力端子4Rに供給される。
【0011】
図20で、音楽プレーヤ200において接地されている端子4Cは、ヘッドフォンジャック201の共通接地端子である。ヘッドフォンジャック201は、左チャンネルオーディオ信号出力端子4Lと、右チャンネルオーディオ信号出力端子4Rと、共通接地端子4Cとを備える3極端子の構成となっている。
【0012】
ヘッドフォンジャック201に、ヘッドフォン100の接続プラグ101が挿入されて接続されている状態では、図20に示すように、左チャンネルオーディオ信号出力端子4Lと共通接地端子4Cとの間には、左チャンネル用のヘッドフォンユニット10Lが接続され、また、右チャンネルオーディオ信号出力端子4Rと共通接地端子4Cとの間には、右チャンネル用のヘッドフォンユニット10Rが接続される状態となる。
【0013】
そして、図20に示すように、左チャンネルオーディオ信号出力端子4Lと左チャンネル用のヘッドフォンユニット10Lとの間には、ケーブル102の線路抵抗11Lが、右チャンネルオーディオ信号出力端子4Rと右チャンネル用のヘッドフォンユニット10Rとの間には、ケーブル102の線路抵抗11Rが、それぞれ存在し、また、左右チャンネルのグラウンド側の共通接続点13Cと、左チャンネル用のヘッドフォンユニット10Lおよび右チャンネル用のヘッドフォンユニット10Rとの間には、それぞれ線路抵抗12Lおよび12Rがそれぞれ存在し、共通接続点13Cと、共通接地端子4Cとの間には共通線路抵抗14Cが存在する状態となる。
【0014】
以上のような接続回路構成において、左チャンネルオーディオ信号出力端子4Lから出力された左チャンネルの大振幅オーディオ信号は、左チャンネル用ヘッドフォンユニット10Lを通過した後、共通接地端子4Cに接続されている共通接続点13Cに達し、共通接地端子4Cに流れる。
【0015】
しかし、共通接続点13Cは、右チャンネル用ヘッドフォンユニット10Rにも接続されており、共通線路抵抗14などの存在も相俟って、左チャンネルの大振幅オーディオ信号は、右チャンネル用ヘッドフォンユニット10Rにも漏れて供給されてしまう状態になる。この結果、図20では、右チャンネルのオーディオ信号は存在しない(ゼロである)はずであるのに、右チャンネル用ヘッドフォンユニット10Rからは、当該漏れて供給された左チャンネルのオーディオ信号による音波が発生してしまうことになる。
【0016】
以上の説明は、左チャンネルオーディオ信号が大振幅オーディオ信号で、右チャンネルは全くの無音とした場合であって、右チャンネル用ヘッドフォンユニット10Rへの左チャンネルオーディオ信号の音漏れについて説明したものであるが、右チャンネルオーディオ信号が大振幅オーディオ信号で、左チャンネルは全くの無音とした場合には、上述と同様にして、左チャンネル用ヘッドフォンユニット10Lへの右チャンネルオーディオ信号の音漏れが生じる。
【0017】
ここで、右チャンネル用ヘッドフォンユニット10Rに、漏れて供給される信号の大きさは、左チャンネルオーディオ信号の大きさALに、線路抵抗やヘッドフォン100の特性などに応じた係数1/M(ただしM>1)を乗じた大きさAL/Mとなる。また、左チャンネル用ヘッドフォンユニット10Lに、漏れて供給される信号の大きさは、右チャンネルオーディオ信号の大きさARに、線路抵抗やヘッドフォン100の特性などに応じた係数1/M(ただしM>1)を乗じた大きさAR/Mとなる。この明細書では、これらの係数1/Mおよび1/Mを、音漏れ比率と称する。
【0018】
なお、右チャンネルへの左チャンネルオーディオ信号の音漏れ比率1/Mと、左チャンネルへの右チャンネルオーディオ信号の音漏れ率1/Mとは、必ずしも同一ではない。
【0019】
従来、この左右チャンネル間の音漏れの問題を解消するために、図21および図22に示すように、4極端子を用いる手法が提供されている(後述の非特許文献1参照)。すなわち、図21に示すように、この例の場合のヘッドフォン100´は、3極端子からなる接続プラグ101に代えて、4極端子からなる接続プラグ104を備える。ヘッドフォン100´のその他の構成は、図19を用いて説明したヘッドフォン100と同様である。
【0020】
この場合、図21に示すように、接続プラグ104は、左チャンネル信号端子部L+と、右チャンネル信号端子部R+と、左チャンネル用接地端子部L−と、右チャンネル用接地端子部R−とを備えて、4極端子の構成とされている。
【0021】
図22は、ヘッドフォン100´の4極端子の接続プラグ104が、音楽プレーヤ200のヘッドフォンジャックに差し込まれた状態における等価的な接続回路図である。この図22においても、前述した図20と同様に、左チャンネルオーディオ信号が右チャンネルに漏れる場合を説明するために、左チャンネルオーディオ信号が大振幅信号であり、かつ、右チャンネルは全くの無音であるとする。また、音楽プレーヤ200のアンプ部の利得は1と仮定する。
【0022】
図22に示すように、この4極端子からなる接続プラグ104を用いる場合においては、接続プラグ104の左チャンネル用接地端子部L−と、ヘッドフォンジャック201の接地端子との接続点として、音楽プレーヤ200の左チャンネル用接地端子5Lが構成され、また、接続プラグ104の右チャンネル用接地端子部R−と、ヘッドフォンジャック201の接地端子との接続点として、音楽プレーヤ200のRチャンネル用接地端子5Rが構成される。
【0023】
したがって、この4極端子からなる接続プラグ104を用いる場合においては、前述の図20を用いて説明した3極端子の場合のような、共通接続点13Cや共通線路抵抗14Cは存在せず、左チャンネルの大振幅オーディオ信号は、左チャンネル用ヘッドフォンユニット10Lを通過した後、接地端子5Lに供給されるようになり、左チャンネルから右チャンネルへの音漏れの問題が回避される。
【0024】
この4極端子からなる接続プラグ104を用いる場合においては、右チャンネルから左チャンネルへの音漏れの問題も、同様にして、回避される。
【0025】
上記の非特許文献は、次の通りである。
【非特許文献1】SHARP “より原音に忠実な高音質を実現する「モバイル1ビットデジタルアンプ−H・A−」を搭載”、[online]、[平成18年1月30日検索]、インターネット<URL:http://www.sharp.co.jp/products/mdds700/text/1bit.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
上述のように、4極端子からなる接続プラグを用いる方法によれば、左右チャンネル間の音漏れの問題を回避することができる。しかしながら、4極端子からなる接続プラグは一般的なものではなく、特殊なものであり、ユーザに、当該特殊なヘッドフォンの購入を強いることになり好ましくない。
【0027】
なお、上述の説明は、左右2チャンネルステレオオーディオ信号の場合についてであったが、例えば左チャンネルを第1チャンネルに置き換えると共に、右チャンネルを第2チャンネルに置き換えた場合、これら第1チャンネルオーディオ信号および第2チャンネルオーディオ信号として、左右2チャンネルステレオ信号以外のオーディオ信号を音響再生する場合を考えた場合にも同様の問題が生じるものである。
【0028】
この発明は、上述のような特殊な4極端子を用いることなく、簡単な信号処理により、上述の第1および第2チャンネル間の音漏れの問題を軽減できる装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、
第1チャンネルオーディオ信号の出力端子と、第2チャンネルオーディオ信号の出力端子と、前記第1チャンネルオーディオ信号および第2チャンネルオーディオ信号に対して共通の接地端子とを備える3極端子であって、前記第1チャンネルオーディオ信号を音響再生する第1音響再生ユニットと、前記第2チャンネルオーディオ信号を音響再生する第2音響再生ユニットとが接続され、前記3極端子に対応する端子を備える外部端子が接続される3極端子を備えるオーディオ信号再生装置と接続する接続手段と、
前記第1チャンネルオーディオ信号および前記第2チャンネルオーディオ信号を含む音楽コンテンツデータを格納するための音楽コンテンツ格納部と、
前記第1チャンネルオーディオ信号に、前記第1音響再生ユニットへの前記第2チャンネルオーディオ信号の音漏れ比率に応じて低減した前記第2チャンネルオーディオ信号を加算すると共に、前記第2チャンネルオーディオ信号に、前記第2音響再生ユニットへの前記第1チャンネルオーディオ信号の音漏れ比率に応じて低減した前記第1チャンネルオーディオ信号を加算して、音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータを生成する音漏れ消去信号加算手段と、
前記音漏れ消去信号加算手段からの前記音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータを前記音楽コンテンツ格納部に格納する格納手段と、
前記格納手段により格納された前記音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータを、前記音楽コンテンツ格納部から読み出して前記接続手段により接続された前記オーディオ信号再生装置に供給する送出手段と、
を備える音楽コンテンツ格納送出装置を提供する。
【0030】
また、請求項3の発明は、
第1チャンネルオーディオ信号の出力端子と、第2チャンネルオーディオ信号の出力端子と、前記第1チャンネルオーディオ信号および第2チャンネルオーディオ信号に対して共通の接地端子とを備える3極端子であって、前記第1チャンネルオーディオ信号を音響再生する第1音響再生ユニットと、前記第2チャンネルオーディオ信号を音響再生する第2音響再生ユニットとが接続され、前記3極端子に対応する端子を備える外部端子が接続される3極端子を備えるオーディオ信号再生装置と接続する接続手段と、
第1チャンネルオーディオ信号および第2チャンネルオーディオ信号を含む音楽コンテンツデータを格納するための音楽コンテンツ格納部と、
前記音楽コンテンツ格納部から読み出された音楽コンテンツについて、前記第1チャンネルオーディオ信号に、前記第1音響再生ユニットへの前記第2チャンネルオーディオ信号の音漏れ比率に応じて低減した前記第2チャンネルオーディオ信号を加算すると共に、前記第2チャンネルオーディオ信号に、前記第2音響再生ユニットへの前記第1チャンネルオーディオ信号の音漏れ比率に応じて低減した前記第1チャンネルオーディオ信号を加算して、音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータを生成する音漏れ消去信号加算手段と、
前記音漏れ消去信号加算手段からの前記音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータを、前記接続手段により接続された前記オーディオ信号再生装置に供給する送出手段と、
を備える音楽コンテンツ格納送出装置を提供する。
【0031】
上述の構成の請求項1または請求項3の発明によれば、音楽コンテンツ格納送出装置からオーディオ信号再生装置に提供される音楽コンテンツデータにおいては、第1音響再生ユニットに第2チャンネルオーディオ信号側から到来する音漏れ成分に対応する第2チャンネルオーディオ信号成分が、予め、第1チャンネルオーディオ信号に加算され、同様に、第2音響再生ユニットに第1チャンネルオーディオ信号側から到来する音漏れ成分に対応する第1チャンネルオーディオ信号成分が、予め、第2チャンネルオーディオ信号に加算されている。
【0032】
このため、オーディオ信号再生装置における再生時には、第1音響再生ユニットでは、第1チャンネルオーディオ信号に加算された第2チャンネルオーディオ信号成分と、第2チャンネルオーディオ信号側から到来する音漏れ成分とが互いに打ち消し合って、音漏れ成分はキャンセルされる。
【0033】
同様に、第2音響再生ユニットでは、第2チャンネルオーディオ信号に加算された第1チャンネルオーディオ信号成分と、第1チャンネルオーディオ信号側から到来する音漏れ成分とが互いに打ち消し合って、音漏れ成分はキャンセルされる。
【発明の効果】
【0034】
この発明によれば、前述したような特殊な4極端子を用いることなく、音楽コンテンツデータに対して信号処理を加えることにより、第1および第2チャンネル間の音漏れの問題を軽減できる。
【0035】
特に、請求項1〜請求項12の発明によれば、オーディオ信号再生装置については、全く構成を変更することなく、第1および第2チャンネル間の音漏れの問題を軽減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
この発明による音楽コンテンツ格納送出装置および方法の実施形態について、まず、説明する。
【0037】
[音楽コンテンツ格納送出装置および方法の第1の実施形態]
図1は、この発明による音楽コンテンツ格納送出装置および方法の第1の実施形態を説明するためのシステム構成およびその主要部の概要を示すブロック図である。なお、以下の各実施形態では、左右2チャンネルのステレオオーディオ信号を再生する場合において、左右チャンネル間における音漏れを軽減するようにする例としてそれぞれ説明する。
【0038】
この第1の実施形態では、音楽コンテンツ格納送出装置の例としてのパーソナルコンピュータ300から、オーディオ信号再生装置の例としての、いわゆるヘッドフォン・ステレオと呼ばれる携帯型の音楽プレーヤ200に、音楽コンテンツデータが送出され、音楽プレーヤ200において、受け取った音楽コンテンツデータを格納して再生することができるようにされている。
【0039】
そして、この第1の実施形態では、パーソナルコンピュータ300から音楽プレーヤ200に送出される音楽コンテンツデータに、ヘッドフォン100における左右チャンネル間の音漏れが軽減されるようにする処理がなされている。
【0040】
この第1の実施形態においては、音楽プレーヤ200は、3極端子で構成されるヘッドフォンジャック201を備え、このヘッドフォンジャック201に、前述の図19に示したようなヘッドフォン100の、3極端子で構成される接続プラグ101が挿入されるように構成されている。
【0041】
そして、この例の音楽プレーヤ200は、例えばハードディスク装置や、半導体メモリあるいは光ディスクドライブなどからなり、音楽コンテンツのデータを格納する音楽コンテンツ格納部202を備えると共に、例えばマイクロコンピュータを用いて構成される制御部203を備える。
【0042】
さらに、この実施形態では、音楽プレーヤ200は、パーソナルコンピュータ300に接続して、このパーソナルコンピュータ300から送出されてくる音楽コンテンツのオーディオデータを取り込むようにするための接続手段として、この例では、USB(Universal Serial Bus)端子204を備えている。
【0043】
一方、パーソナルコンピュータ300は、例えばハードディスク装置からなる音楽コンテンツ格納部301と、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)からなる制御部の一部の機能として構成される送出制御部302と、音楽プレーヤ200などと接続するためのUSB端子303と、音漏れ消去信号加算部304とを備えている。
【0044】
そして、この実施形態のパーソナルコンピュータ300は、例えばインターネットなどのネットワークを介して取得した音楽コンテンツのデータや、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)から読み込んだ音楽コンテンツのデータなどの入力音楽データを、当該音楽コンテンツの識別情報やタイトル名などの付随情報と共に、音楽コンテンツ格納部301に格納するが、この際に、一つの音楽コンテンツについての音楽データとしては、音漏れ消去信号加算部304で、後で詳述するような音漏れ消去信号加算処理をした音楽データSaと、音漏れ消去信号加算処理をしない音楽データSoとの対を格納するようにする。
【0045】
この場合、音漏れ消去信号加算処理をした音楽データSaと、音漏れ消去信号加算処理をしない音楽データSoとの対は、一つの音楽コンテンツの識別情報により対応付けられて格納されると共に、この例では、音漏れ消去信号加算処理をした音楽データSaと、音漏れ消去信号加算処理をしない音楽データSoとのそれぞれには、音漏れ消去信号加算処理をしたか否かのフラグFGが付加情報として付加されて格納される。
【0046】
そして、パーソナルコンピュータ300のUSB端子303に、音楽プレーヤ200のUSB端子204が接続されると、パーソナルコンピュータ300は、USBインタフェースの機能に基づいて、USB端子303に3極端子を備える音楽プレーヤ200が接続されたことを認識する。
【0047】
そして、USB端子303に音楽プレーヤ200が接続されている状態において、ユーザは、パーソナルコンピュータ300において、図示を省略した操作部を通じて、音楽プレーヤ200に送出して格納させたい音楽コンテンツを選択指定し、当該選択指定した音楽コンテンツの送出指示をする。
【0048】
すると、パーソナルコンピュータ300の送出制御部302は、USB端子303に接続されている音楽プレーヤ200が3極端子を備えているものであることを認識していることに基づいて、送出すべき音楽データは、音漏れ消去信号加算処理をしたものであると認識する。
【0049】
そして、送出制御部302は、音楽コンテンツ格納部301の格納データから、ユーザにより選択指定された音楽コンテンツを検索し、さらに、当該音楽コンテンツの音楽データについての前記フラグFGを参照し、選択指定された音楽コンテンツの音漏れ消去信号加算処理をした音楽データSaを読み出す。そして、送出制御部302は、読み出した音漏れ消去信号加算処理をした音楽データSaを、USB端子303を通じて、音楽プレーヤ200に送出するようにする。このとき、パーソナルコンピュータ300の送出制御部302は、送出する音楽コンテンツの識別情報やタイトル名などの付随情報を併せて、音楽プレーヤ200に送出するようにする。
【0050】
音楽プレーヤ200の制御部203は、USB端子204を通じてパーソナルコンピュータ300からの音楽コンテンツの音楽データおよび付随情報を受け取ると、それを音楽コンテンツ格納部202に格納する。
【0051】
そして、音楽プレーヤ200のユーザが、図示を省略した操作部を通じて、音楽コンテンツを選択して再生指示をすると、制御部203は、その再生指示された音楽コンテンツの音楽データを読み出し、ヘッドフォン100に供給して音響再生させるようにする。このとき、ヘッドフォン100に供給されるオーディオ信号は、左右チャンネル間の音漏れ消去処理が施されたものであるので、後で詳述するようにして、左右チャンネル間の音漏れが軽減された音響再生がなされる。
【0052】
次に、パーソナルコンピュータ300および音楽プレーヤ200の構成および音漏れ消去信号加算処理、さらには、音漏れ軽減動作について、より詳細に説明する。
【0053】
[音楽コンテンツ送出格納装置の実施形態としてのパーソナルコンピュータ300の構成例]
図2は、この第1の実施形態におけるパーソナルコンピュータ300の詳細構成例を示すブロック図である。
【0054】
システムバス312に対してCPU311、ROM313、RAM314が接続されて制御部が構成される。送出制御部302は、この制御部の一部の機能とされる。
【0055】
システムバス312に対しては、キーボードやマウスなどの操作入力部319がインタフェース315を介して接続されると共に、USB端子320,321が、USBインタフェース316,317をそれぞれ介して接続されている。
【0056】
また、CDやDVDなどのディスク401に記録されているデータを読み込むためのディスクドライブ318がシステムバス312に接続されている。また、インターネットなどのネットワーク402を通じて音楽コンテンツのデータを取り込むために、ネットワーク402に接続するための通信インタフェース324が、システムバス312に接続されている。
【0057】
また、システムバス312に対してハードディスク装置(図ではHDDと表記)322が接続されている。この実施形態では、このハードディスク装置322の一部の記録領域が音楽コンテンツ格納部301とされる。この実施形態では、ハードディスク装置322の音楽コンテンツ格納部301には、音楽コンテンツの音楽データは、所定の圧縮方式でデータ圧縮されて記録される。なお、この実施形態では、音楽プレーヤ200の音楽コンテンツ格納部202に格納する音楽データも、この所定の圧縮方式でデータ圧縮されているものとする。
【0058】
そして、システムバス312には、さらに、格納音楽データエンコード・デコード部323と、音漏れ消去信号加算部304が接続される。
【0059】
格納音楽データエンコード・デコード部323は、入力音楽データを、ハードディスク装置322の音楽コンテンツ格納部301に格納するデータにエンコードする処理と、音楽コンテンツ格納部301から読み出したデータを、元にデコードする処理とを行う。
【0060】
この実施形態では、入力音楽データを音漏れ消去信号加算処理をせずにハードディスク装置322に記録すると共に、入力音楽データを音漏れ消去信号加算処理をしてハードディスク装置322に記録するようにする。
【0061】
このため、前者の場合(入力音楽データを音漏れ消去信号加算処理をせずにハードディスク装置322に記録する場合)には、格納音楽データエンコード・デコード部323は、USBインタフェース316、317、ディスクドライブ318、または、通信インタフェース324のいずれかを通じて取り込んだ音楽コンテンツの音楽データを、前記所定の圧縮方式でデータ圧縮すると共に、圧縮したデータを、ハードディスク装置322に記録する形式にエンコードする。そして、エンコードされた音楽データは、ハードディスク装置322の音楽コンテンツ格納部301に格納される。
【0062】
また、後者の場合(入力音楽データを音漏れ消去信号加算処理をしてハードディスク装置322に記録する場合)において、USBインタフェース316、317、ディスクドライブ318、または、通信インタフェース324のいずれかを通じて取り込んだ音楽コンテンツの音楽データが、データ圧縮されたものであるときには、格納音楽データエンコード・デコード部323は、圧縮されている音楽データを伸張してデコードし、2チャンネルデジタルオーディオ信号(PCMオーディオ信号)に戻し、音漏れ消去信号加算部304に供給するようにする。
【0063】
音漏れ消去信号加算部304は、格納音楽データエンコード・デコード部323からの2チャンネルデジタルオーディオ信号について、後述する音漏れ消去信号加算処理を行った後、その処理結果のデータを格納音楽データエンコード・デコード部322に供給するようにする。
【0064】
格納音楽データエンコード・デコード部322は、受け取った音漏れ消去信号加算処理がなされた2チャンネルデジタルオーディオ信号を、前記所定の圧縮方式でデータ圧縮すると共に、圧縮したデータを、ハードディスク装置322に記録する形式にエンコードして、ハードディスク装置322に転送するようにする。そして、エンコードされた音楽データが、ハードディスク装置322の音楽コンテンツ格納部301に格納される。
【0065】
前述したように、USB端子320または321に音楽プレーヤ200などのオーディオ機器が接続されている状態において、ユーザにより当該オーディオ機器に送出する音楽コンテンツが選択指定され、送出指示がなされたときには、CPU311は、USB端子に接続されたオーディオ機器を判別して、その判別結果に応じて、音漏れ消去信号加算処理を行った音楽データまたは音漏れ消去信号加算処理をしていない音楽データのいずれかを選択して音楽コンテンツ格納部301から読み出す。
【0066】
そして、CPU311は、読み出した音楽データを格納音楽データエンコード・デコード部323に供給して、ハードディスク装置に記録する形式を解除した状態の圧縮音楽データを得、その圧縮音楽データを、音楽プレーヤ200が接続されているUSB端子320または321を通じて前記音楽プレーヤ200に供給する。音楽プレーヤ200では、受け取った圧縮音楽データを、一緒に送られてくる付随情報と共に、音楽コンテンツ格納部202に格納する。
【0067】
[音漏れ消去信号加算部304の構成例]
この第1の実施形態のパーソナルコンピュータ300における音漏れ消去信号加算部304の詳細構成例を図3に示す。
【0068】
すなわち、この例の音漏れ消去信号加算部304においては、格納音楽データエンコード・デコード部323でデコードされた左右2チャンネルのデジタルオーディオ信号のうち、左チャンネルのデジタルオーディオ信号DLが、音漏れ比率分調整用の係数乗算部31Lを通じて加算部32Lに供給されると共に、前記左右2チャンネルのデジタルオーディオ信号のうち、右チャンネルのデジタルオーディオ信号DRが、音漏れ比率分調整用の係数乗算部31Rを通じて加算部32Rに供給される。
【0069】
そして、左チャンネルのデジタルオーディオ信号DLは、また、音漏れ消去信号生成用の係数乗算部33Lを通じて加算部32Rに供給されて、右チャンネルのデジタルオーディオ信号DRに加算される。
【0070】
また、右チャンネルのデジタルオーディオ信号DRは、また、音漏れ消去信号生成用の係数乗算部33Rを通じて加算部32Lに供給されて、左チャンネルのデジタルオーディオ信号に加算される。
【0071】
このとき、前述したように、右チャンネルへの左チャンネルオーディオ信号の音漏れ比率を1/M、また、左チャンネルへの右チャンネルオーディオ信号の音漏れ比率を1/Mとしたとき、係数乗算部33Lで乗算される係数は、1/M(ただしM>1)とされ、また、係数乗算部33Rで乗算される係数は、1/M(ただしM>1)とされる。なお、後述するように、係数1/Mおよび1/Mは、CPU311により、可変設定可能とすることができる。
【0072】
上記の構成により、係数乗算部33Lの出力信号DCLは、右チャンネルに漏れる左チャンネルのオーディオ信号の音漏れ消去信号となり、また、係数乗算部33Rの出力信号DCRは、左チャンネルに漏れる右チャンネルのオーディオ信号の音漏れ消去信号となるようにされる。
【0073】
そして、この例においては、加算部32Lおよび加算部32Rにおける加算によって、デジタル領域におけるオーバーフローを防止するため、係数乗算部31Lで乗算される係数は、1−1/Mとされ、係数乗算部31Rで乗算される係数は、1−1/Mとされる。
【0074】
以上のようにして、音漏れ消去信号がそれぞれ加算された左チャンネルのデジタルオーディオ信号DOLおよび右チャンネルのデジタルオーディオ信号DORは、音漏れ消去信号加算部304から格納音楽データエンコード・デコード部323に供給され、データ圧縮された後、ハードディスク装置322に格納される形式のデータにエンコードされて、ハードディスク装置322の音楽コンテンツ格納部301に格納される。
【0075】
図4は、図3の音漏れ消去信号加算部304のより詳細な構成例を示すものである。この図4に示すように、音漏れ消去信号加算部304は、デジタル積和演算部の構成である。
【0076】
図4に示すように、この例の音漏れ消去信号加算部304では、これに入力される左チャンネルのデジタルオーディオ信号DLおよび右チャンネルのデジタルオーディオ信号DRは、入力バッファレジスタ34Lおよび34Rに1サンプルずつ取り込まれる。そして、新たにデジタルオーディオサンプルデータが、入力バッファレジスタ34Lおよび34Rに取り込まれるごとに、前のデータは、この入力バッファレジスタ34Lおよび34Rから廃棄される。
【0077】
そして、入力バッファレジスタ34Lに取り込まれた左チャンネルのサンプルデータは、それぞれ乗算部35Lおよび37Lに供給され、それぞれ係数レジスタ36Lおよび係数レジスタ38Lに格納されている係数値が、それぞれのサンプルデータに乗算される。
【0078】
ここで、乗算部35Lと係数レジスタ36Lとにより、図3の係数乗算部31Lが構成され、乗算部37Lと係数レジスタ38Lとにより、図3の係数乗算部33Lが構成されるもので、係数レジスタ36Lには、1−1/Mが係数値として格納され、また、係数レジスタ38Lには、音漏れ比率1/Mが係数値として格納される。
【0079】
この例では、係数レジスタ36Lおよび38Lの係数値が、制御部301からの調整制御信号CTLにより可変される。あるいは、制御部301は、ユーザの音漏れ比率の調整操作入力に応じた係数値を生成し、生成した値を、係数レジスタ36Lおよび38Lにその係数値として供給する。
【0080】
そして、乗算部35Lからの乗算出力は、左チャンネルの加算部32Lに供給される。また、乗算部37Lからの乗算出力は、右チャンネルの加算部32Rに供給される。
【0081】
同様にして、入力バッファレジスタ34Rに取り込まれた右チャンネルのサンプルデータは、それぞれ乗算部35Rおよび37Rに供給され、それぞれ係数レジスタ36Rおよび係数レジスタ38Rに格納されている係数値が、それぞれのサンプルデータに乗算される。
【0082】
ここで、乗算部35Rと係数レジスタ36Rとにより、図3の係数乗算部31Rが構成され、乗算部37Rと係数レジスタ38Rとにより、図3の係数乗算部33Rが構成されるもので、係数レジスタ36Rには、1−1/Mが係数値として格納され、また、係数レジスタ38Rには、音漏れ比率1/Mが係数値として格納される。
【0083】
この例では、係数レジスタ36Rおよび38Rの係数値が、制御部301からの調整制御信号CTLにより可変される。あるいは、制御部301は、ユーザの音漏れ比率の調整操作入力に応じた係数値を生成し、生成した値を、係数レジスタ36Rおよび38Rにその係数値として供給する。
【0084】
そして、乗算部35Rからの乗算出力は、右チャンネルの加算部32Rに供給される。また、乗算部37Rからの乗算出力は、左チャンネルの加算部32Lに供給される。
【0085】
以上のことから、加算部32Lおよび32Rからは、音漏れ消去信号が加算された左右2チャンネルのデジタルオーディオ信号DOLおよびDORが得られる。そして、前述もしたように、左右2チャンネルのデジタルオーディオ信号DOLおよびDORは、音漏れ消去信号加算部304から格納音楽データエンコード・デコード部323に供給され、データ圧縮された後、ハードディスク装置322に格納される形式のデータにエンコードされて、ハードディスク装置322の音楽コンテンツ格納部301に格納される。
【0086】
図4の例は、デジタル信号処理部である音漏れ消去信号加算部304を、積和演算部からなるハードウエア構成とした場合であるが、この音漏れ消去信号加算部304は、格納音楽データエンコード・デコード部323からのデジタルオーディオデータDLおよびDRを1サンプルずつ取り込みながらソフトウエア処理として実行することもできる。
【0087】
この音漏れ消去信号加算部304の機能を備えるソフトウエアプログラムPGMは、その開発会社から、例えばパッケージソフトウエアとして、あるいは、インターネットなどを通じた配信ソフトウエアとして取得して、パーソナルコンピュータ300の例えばハードディスク装置322にインストールして用いることができる。
【0088】
図5は、そのようなソフトウエアプログラムPGMによる音漏れ消去信号加算処理とする場合の、処理手順を示すフローチャートである。この場合、この図5における各ステップの処理は、図2のCPU311が、ハードディスク装置322から前記ソフトウエアプログラムPGMを読み出し、そのプログラムにしたがって、RAM314をワークエリアとして使用して実行するものである。
【0089】
操作入力部319を通じて、所定の音楽コンテンツの音楽データの取り込み指示がなされたことを受けたCPU311は、図5の処理ルーチンを開始し、ユーザにより取り込みが指示された、USBインタフェース316、317、ディスクドライブ318、または、通信インタフェース324のいずれかを通じて音楽コンテンツの音楽データを取り込む(ステップS101)。
【0090】
そして、CPU311は、まず、音漏れ消去信号加算処理をせずに取り込んだ音楽データをハードディスク装置322の音楽コンテンツ格納部301に格納する処理を行う。すなわち、取り込んだ音楽データを格納音楽データエンコード・デコード部323に転送し、ハードディスク装置322に格納するためのエンコード処理を行わせる(ステップS102)。
【0091】
そして、格納音楽データエンコード・デコード部323から、エンコード処理終了のステータスを得るとCPU311は、エンコード処理された音楽データを、その音楽コンテンツの識別情報やタイトルなどの付随情報と共に、ハードディスク装置322の音楽コンテンツ格納部301に格納する(ステップS103)。このとき、格納した音楽データには、音漏れ消去信号加算処理をしたか否かを示すフラグFGとして、音漏れ消去信号加算処理をしていないことを示す、例えばFG=「0」を併せて格納するようにする。
【0092】
次に、CPU311は、取り込んだ音楽データを音漏れ消去信号加算処理をして、ハードディスク装置322の音楽コンテンツ格納部301に格納する処理を行う。すなわち、この例においては、CPU311は、音楽コンテンツ格納部301に格納した音楽データを読み出して、格納音楽データエンコード・デコード部323に転送し、左右2チャンネルのデジタルオーディオ信号DL,DRをデコードさせるようにする(ステップS104)。
【0093】
次に、CPU311は、図示を省略する係数レジスタに格納している係数1/M、1/M、1−1/M、1−1/Mを読み出す(ステップS105)。そして、CPU311は、格納音声データエンコード・デコード部323でデコードされた左右チャンネルのデジタルオーディオ信号DL,DRを、図示を省略したレジスタに取り込んで、
DOL=DL×(1−1/M)+DR×1/M
DOR=DR×(1−1/M)+DL×1/M
・・・(式A)
で表される積和演算処理を実行する(ステップS106)。
【0094】
次に、CPU311は、ステップS106で求めたデジタル信号DOLおよびDORを、格納音声データエンコード・デコード部323に供給して、ハードディスク装置322に格納するためのエンコード処理を行わせる(ステップS107)。
【0095】
そして、格納音楽データエンコード・デコード部323から、エンコード処理終了のステータスを得るとCPU311は、エンコード処理された音楽データを、その音楽コンテンツの識別情報やタイトルなどの付随情報に対応させて、ハードディスク装置322の音楽コンテンツ格納部301に格納する(ステップS108)。このとき、格納した音楽データには、音漏れ消去信号加算処理をしたか否かを示すフラグFGとして、音漏れ消去信号加算処理をしたことを示す、例えばFG=「1」を併せて格納するようにする。以上で、この音楽データ格納の処理ルーチンを終了する。
【0096】
以上のようなソフトウエア処理を行う場合には、上述の(式A)の積和演算を行うためのハードウエアが不要になるというメリットがある。
【0097】
[パーソナルコンピュータ300から音楽プレーヤ200への送出処理]
以上のようにして、ハードディスク装置322の音楽コンテンツ格納部301に格納された音楽コンテンツの音楽データは、USB端子320または321に音楽プレーヤ200、その他のオーディオ信号再生装置が接続された状態において、ユーザの音楽コンテンツの選択指定および送出指示に応じて読み出され、当該USB端子320または321に接続されたオーディオ信号再生装置に送出される。
【0098】
図6は、パーソナルコンピュータ300において、操作入力部319を通じて、ユーザから送出先の指定、送出する音楽コンテンツの選択指定および送出指示があったときのCPU311が行う音楽データ送出処理の例を説明するためのフローチャートである。
【0099】
CPU311は、まず、選択指定された音楽コンテンツを認識する(ステップS111)。次に、CPU311は、USB端子320または321に接続されたオーディオ信号再生装置を、USBインタフェースを通じて認識し、当該オーディオ信号再生装置が、3極端子をヘッドフォン端子とする音楽プレーヤ200などの、チャンネル間で音漏れの発生する端末であるか否かを判別する(ステップS112)。
【0100】
そして、このステップS112で、USB端子320または321に接続されたオーディオ信号再生装置が音漏れを発生する端末であると判別したときには、CPU311は、ハードディスク装置322の音楽コンテンツ格納部301から、選択指定された音楽コンテンツを検索し、検索したら、フラグFGを参照して、音漏れ消去信号加算処理をしている補正処理済みの音楽データを読み出す(ステップS113)。
【0101】
また、ステップS112で、USB端子320または321に接続されたオーディオ信号再生装置が音漏れを発生する端末ではないと判別したときには、CPU311は、ハードディスク装置322の音楽コンテンツ格納部301から、選択指定された音楽コンテンツを検索し、検索したら、フラグFGを参照して、音漏れ消去信号加算処理をしていない補正なしの音楽データを読み出す(ステップS114)。
【0102】
そして、CPU311は、ステップS113またはステップS114の後には、ステップS115に進み、読み出した音楽データを格納音楽データエンコード・デコード部323に転送して、送出する音楽データを、前述したように、ハードディスク装置322に格納する形式から、オーディオ信号再生装置に送出するデータの形式に変換する(ステップS115)。そして、その変換後の音楽データを、送出先として指定された端末に送出する(ステップS116)。
【0103】
以上で、パーソナルコンピュータ300における音楽コンテンツの音楽データの送出処理は終了である。
【0104】
[第1の実施形態の音楽プレーヤ200の構成例]
図7は、第1の実施形態における音楽プレーヤ200の構成例を示すブロック図である。この例の音楽プレーヤ200の音楽コンテンツ格納部202は、例えばハードディスク装置や、半導体メモリあるいは光ディスクドライブなどからなり、また、制御部203は、例えばマイクロコンピュータを用いて構成される。
【0105】
そして、この例の音楽プレーヤ200は、USB端子204がUSBインタフェース205を通じて制御部203に接続されると共に、操作入力部21がインタフェース206を通じて制御部203に接続される。
【0106】
また、格納音楽データエンコード部207が制御部203に接続されて設けられる。この格納音楽データエンコード部207は、USBインタフェース205を通じて取り込んだ音楽データを音楽コンテンツ格納部202に格納する際に、当該音楽コンテンツ格納部202に格納する形式のデータに変換するエンコード処理をする場合に用いられる。
【0107】
この実施形態の音楽プレーヤ200の、3極端子の構成のヘッドフォンジャック201は、左チャンネルオーディオ信号の出力端子26Lと、右チャンネルオーディオ信号の出力端子26Rと、共通接地端子26Cとを備える。このヘッドフォンジャック201に、前述した図19に示したようなヘッドフォン100の、3極端子で構成される接続プラグ101が挿入されるように構成されている。
【0108】
制御部203は、USB端子204およびUSBインタフェース205を通じて、パーソナルコンピュータ300から送られてくる音楽コンテンツの音楽データおよびその付随情報を受け取ると、当該受け取った音楽データおよび付随情報を音楽コンテンツ格納部202に格納する。
【0109】
そして、制御部203は、操作入力部21およびインタフェース206を通じたユーザの音楽コンテンツの選択入力およびその再生要求に応じて、音楽コンテンツ格納部202から、ユーザにより選択された音楽コンテンツを読み出すように制御する。
【0110】
音楽コンテンツ格納部202から読み出された音楽コンテンツの音楽データは、音楽データデコード部22に供給されてデコードされる。そして、この音楽データデコード部22から、左右2チャンネルのデジタルオーディオ信号(PCM(Pulse Code Modulation)オーディオ信号)DL,DRが出力される。
【0111】
このデジタルオーディオ信号DL,DRは、それぞれD/A変換器23L,23Rに供給されて、アナログオーディオ信号に変換された後、それぞれアナログアンプ24Lおよびアナログアンプ24Rに供給される。そして、このアナログアンプ24Lおよび24Rにより増幅された左右2チャンネルのアナログオーディオ信号は、抵抗25Lおよび抵抗25Rをそれぞれ通じて3極端子であるヘッドフォンジャック201の左チャンネルオーディオ信号出力端子26Lおよび右チャンネルオーディオ信号出力端子26Rのそれぞれに供給される。
【0112】
このとき、ヘッドフォン端子201の出力端子26Lおよび出力端子26Rのそれぞれに供給される左チャンネルオーディオ信号および右チャンネルオーディオ信号は、前述したように、パーソナルコンピュータ300において、音漏れ消去信号加算がなされているオーディオ信号であり、当該音漏れ消去信号加算処理がなされた左右チャンネルのオーディオ信号が、ヘッドフォン100に供給されることになる。
【0113】
[音漏れ低減処理動作について]
次に、この第1の実施形態において、ヘッドフォン100の接続プラグ101が、音楽プレーヤ200のヘッドフォンジャック201に差し込まれた状態において、音漏れ消去信号加算処理がなされた左右チャンネルのオーディオ信号が、ヘッドフォン100に供給されることにより、左右チャンネルのヘッドフォンユニット10L,10R間における音漏れがキャンセルされて軽減されることを説明する。
【0114】
図8は、左右チャンネルのヘッドフォンユニット10L,10R間における音漏れがキャンセルされて軽減されることを説明するための等価的な接続回路図である。この図8では、パーソナルコンピュータ300の音漏れ消去信号加算部304で前述したように音漏れ消去信号加算処理された左右2チャンネルのオーディオ信号が、音楽プレーヤ200で再生され、ヘッドフォン100により音響再生される様子を示すものである。
【0115】
そして、この図8では、音漏れのキャンセル効果を確認するため、左チャンネルオーディオ信号が大振幅信号であり、かつ、右チャンネルは全くの無音であるとした場合であっても、左チャンネルオーディオ信号の右チャンネルへの音漏れがキャンセルあるいは軽減される様子を示すものである。
【0116】
なお、信号源30Lは、音漏れ消去信号加算処理部304に入力される左チャンネルのデジタルオーディオ信号DLの信号源を示しており、また、信号源20Rは、音漏れ消去信号加算処理部304に入力される右チャンネルのデジタルオーディオ信号DLの信号源を示している。
【0117】
そして、図8に示すように、音漏れ消去信号加算処理部304の構成例は、図3に示した通りであり、音漏れ消去信号がそれぞれ加算された左チャンネルのデジタルオーディオ信号DOLおよび右チャンネルのデジタルオーディオ信号DORは、パーソナルコンピュータ300から音楽プレーヤ200のD/A変換器23Lおよび23Rにそれぞれ供給されて、アナログオーディオ信号に変換される。
【0118】
そして、変換後の左チャンネルおよび右チャンネルのアナログオーディオ信号が、アンプ24Lおよび24Rをそれぞれ通じ、抵抗25Lおよび抵抗25Rをそれぞれ通じて左チャンネルオーディオ信号出力端子26Lおよび右チャンネルオーディオ信号出力端子26Rに供給される。
【0119】
このようにして、音漏れ消去信号加算処理がなされた左右チャンネルのオーディオ信号がヘッドフォン100に供給される結果、この第1の実施形態においては、次に説明するようにして、音漏れ消去信号DCL,DCRにより、左右チャンネル間における音漏れ信号がキャンセルされて、音漏れが軽減される。
【0120】
すなわち、図8においても、前述した図20の場合と同様に、左チャンネルオーディオ信号出力端子26Lから出力された左チャンネルの大振幅オーディオ信号は、左チャンネル用ヘッドフォンユニット10Lを通過した後、共通接地端子26Cに接続されている共通接続点13Cに達し、共通接地端子26Cに流れる。
【0121】
そして、共通接続点13Cは、右チャンネル用ヘッドフォンユニット10Rにも接続されているので、共通線路抵抗14Cなどの存在も相俟って、左チャンネルの大振幅オーディオ信号は、右チャンネル用ヘッドフォンユニット10Rにも漏れて供給されてしまう状態になる。
【0122】
しかし、この第1の実施形態では、図8に示されるように、音漏れ消去信号加算部304において、左チャンネルオーディオ信号の右チャンネルへの漏れ分に相当する音漏れ消去信号DCLが加算部32Rにおいて右チャンネルのオーディオ信号に加算されている。図8では、右チャンネルのオーディオ信号は存在しない(ゼロである)としているため、加算部32Rからは、音漏れ消去信号DCLのみが出力され、この音漏れ消去信号DCLがD/A変換器23Rでアナログオーディオ信号に変換され、アンプ24Rを通じ、右チャンネルオーディオ信号出力端子26Rを通じて、右チャンネル用ヘッドフォンユニット10Rに供給される。
【0123】
この結果、右チャンネル用ヘッドフォンユニット10Rでは、共通接続点13Cを介して左チャンネル側から漏れてくる信号成分と、音漏れ消去信号DCLのアナログ信号とが互いに相殺されてキャンセルされ、右チャンネル用ヘッドフォンユニット10Rからは音漏れ信号による音波は発生しない、あるいは軽減される。
【0124】
図8は、上述したように、左チャンネルオーディオ信号が右チャンネルに漏れる場合についての説明であるが、右チャンネルオーディオ信号が左チャンネルに漏れる場合には、加算部32Lに加算された、音漏れ消去信号DCRにより、前記漏れ分が、左チャンネル用ヘッドフォンユニット10Lにおいて相殺されてキャンセルされ、右チャンネル用ヘッドフォンユニット10Rからは音漏れ信号による音波は発生しない、あるいは軽減されるものである。
【0125】
この結果、ヘッドフォン使用者に対して、左右チャンネルオーディオ信号が本来持っている情報を、ユーザに対して、より正確に伝えることができるようになり、いわゆるチャンネル間のセパレーションが向上する。
【0126】
[音漏れ比率の設定]
上述の実施の形態において、音漏れ比率1/Mおよび1/Mの値は、例えば音楽プレーヤ200にヘッドフォン100が付属されている場合のみを想定するときには、音楽プレーヤ200の出力オーディオ信号をヘッドフォン100で音楽聴取したときの音漏れ比率1/Mおよび1/Mを測定して、当該測定した音漏れ比率1/Mおよび1/Mを固定的に、音楽プレーヤ200に対応させてパーソナルコンピュータ300のメモリに記憶しておき、係数レジスタ36L、36R、38L、38Rに設定する係数として用いることができる。
【0127】
この場合に、音漏れ比率1/Mおよび1/Mは、ユーザが測定して設定するのではなく、前記音漏れ消去信号加算処理機能を備えるソフトウエアプログラムPGMを開発する側が、市場においてよく使用される音楽プレーヤとヘッドフォンとを複数個予測して、これら音楽プレーヤとヘッドフォンの組み合わせた場合の最適な音漏れ比率を予め測定調査して、前記ソフトウエアプログラム内にプルダウンメニューとして持っておくようにする。
【0128】
この場合、使用者が前記プルダウンメニューから、自分が使用する音楽プレーヤやヘッドフォンを、その型番などにより選択すると、自動的に、音漏れ消去信号加算処理において使用される音漏れ比率に基づく前記乗算係数が、所定のレジスタに設定される。これにより、ユーザは、簡単に、自分が使用する音楽プレーヤやヘッドフォンに最適と考えられる音漏れ比率を自動的に設定することができるので、非常に有益である。
【0129】
なお、音漏れ比率の提供方法としては、前記ソフトウエアプログラムに付属の説明書等に市場においてよく使用される音楽プレーヤとヘッドフォンの組み合わせた場合の推奨の音漏れ比率表を記載しておき、前記ソフトウエアプログラムによる入力指示に応じて、ユーザに、当該表から、自分が使用する音楽プレーヤやヘッドフォンに最適と考えられる音漏れ比率を入力してもらうようにしても良い。
【0130】
また、ユーザが、前記ソフトウエアプログラムの開発会社のホームページにインターネットからアクセスして、当該ホームページから、自分の音楽プレーおよびヘッドフォンについて推奨される音漏れ比率を取得する方法など、その他種々の音漏れ比率の取得方法が可能である。
【0131】
ところで、音楽プレーヤ個々の特性やヘッドフォン100個々の特性がすべて同一ではない場合があること、ユーザが音楽プレーヤ300に付属のヘッドフォン100のみを使用するとは限らないこと、などを考慮すると、音漏れ比率1/Mおよび1/Mの値を、前述のように固定的に設定するようにしたときには、音漏れ消去の効果として所期のものが得られない恐れがある。そのことを考慮した場合には、ユーザが実際に使用する音楽プレーヤおよびヘッドフォンの組み合わせごとに、音漏れ比率1/Mおよび1/Mを以下に説明する設定方法により、設定する方法が有効である。
【0132】
なお、以下に説明する音漏れ比率の設定方法の処理は、前記音漏れ消去信号処理を含むソフトウエアプログラムPGMに含まれているものとする。また、説明の簡単にするため、音漏れ比率1/Mと音漏れ比率1/Mとが等しいものとして、左チャンネルのオーディオ信号が右チャンネルのオーディオ信号に漏れる場合の音漏れ比率を設定する場合のみについて説明する。
【0133】
図9は、この例の音漏れ比率の設定方法において、パーソナルコンピュータ300で実行される処理を説明するためのフローチャートである。図10は、図9の一部の処理の詳細な処理手順を説明するためのフローチャートである。また、図11および図12は、この例の音漏れ比率の設定方法の手順の概要を説明するための概念図である。
【0134】
この例では、まず、パーソナルコンピュータ300は、ユーザの操作入力部319を通じた操作を受けて、音漏れ比率の調査設定用基準ファイルFを取り込む(図9のステップS201)。
【0135】
この例では、この基準ファイルFは、図11に示すように、左チャンネルのオーディオ信号DLが大振幅の信号とされ、右チャンネルのオーディオ信号が無音であるテスト用入力信号を含む。なお、この基準ファイルFの取り込み操作には、ソフトウエアプログラムPGM自身のダウンロードやインストールも含まれており、前記テスト用入力信号がソフトウエアプログラムPGMの一部として存在しても構わない。
【0136】
したがって、このテスト用入力信号を含む基準ファイルFは、ソフトウエアプログラムPGMが配信ソフトウエアであるときには、インターネットを通じて取り込まれ、パッケージソフトウエアであるときには、CDやDVDから取り込まれる。
【0137】
次に、ユーザは、ソフトウエアプログラムPGMによって、この基準ファイルFを開き、操作入力部319を通じた所定のボタン操作(図11の1番のボタン操作)によって、適当な音漏れ比率の範囲(音漏れ量を利得として表現するので、以下、この範囲を利得範囲という)nやテスト信号継続時間Tなどを設定するので、CPU311は、これを受け付ける(ステップS202)。
【0138】
ここで、利得範囲nは、予め定められた単位利得のステップを、何ステップ設けるかというステップ数nである。3極端子のヘッドフォンの具体的な音漏れ量は、25dB〜45dB近辺に数多く存在しているのが実測結果から判明しているので、これを考慮して、この例では、利得範囲nは、例えば、1dB/ステップで、n=20個程度、あるいは2dB/ステップで、n=10個程度とされる。
【0139】
次に、パーソナルコンピュータ300は、操作入力部319を通じた所定のボタン操作(図11の2番のボタン操作)を受けて、基準ファイルFの前述したテスト用入力信号から、N個のステップのそれぞれの利得(音漏れ比率)について、それぞれ図5のフローチャートに示したような音漏れ消去信号加算処理をして、各ステップについての左チャンネル信号DOLおよび右チャンネル信号DORからなるn個の調査設定用ファイルF0〜Fn−1を生成する(ステップS203)。
【0140】
このステップS203の処理は、例えば図10に示すようなものとなる。すなわち、まず、CPU311は、基準ファイルFを開く(ステップS211)。次に、最初の利得値(音漏れ比率)を設定し(ステップS212)、基準ファイルFからテスト用入力信号のバイト列を読み込む(ステップS213)。
【0141】
次に、CPU311は、読み込んだバイト列をPCMオーディオデータに変換する(ステップS214)。そして、設定された利得(音漏れ比率)に応じた乗算係数を設定して、前述した音漏れ消去信号加算処理を実行して、オーディオデータDOLおよびDORを生成する(ステップS215)。
【0142】
次に、CPU311は、PCMオーディオデータDOLおよびDORをバイト列に変換し(ステップS216)、変換後のバイト列を、調査設定用ファイルFi(i=0,1,2,・・・,n−1)に書き込む(ステップS217)。
【0143】
次に、CPU311は、ステップS213のバイト列の読み込み時点から、設定された時間Tに相当する時間長分のテスト用のオーディオデータの生成処理を終了したか否か判別し(ステップS218)、終了していなければステップS213に戻り、このステップS213以降の処理を繰り返す。また、ステップS218で、設定された時間Tに相当する時間長分のテスト用のオーディオデータの生成処理を終了したと判別したときには、バイト列の調査設定用ファイルFiへの書き込みを停止し、当該調査設定用ファイルFiを閉じる(ステップS219)。
【0144】
次に、CPU311は、n個のすべてのステップの利得について、調査設定用ファイルFiの生成を終了したか否か判別し(ステップS220)、終了していないと判別したときには、利得を1ステップ分変更して(ステップS221)、ステップS213に戻り、このステップS213以降の処理を繰り返すことにより、次のステップについての調査設定用ファイルの生成処理をする。
【0145】
ステップS220で、n個のすべての調査設定用ファイルの生成を終了したと判別したときには、CPU311は、この調査設定用ファイルの生成処理ルーチンを終了する。
【0146】
以上のようにして、ステップS203で、n個の調査設定用ファイルF0〜Fn−1を生成したら、CPU311は、さらに、ユーザによるボタン操作(図11の3番のボタン操作)を待って、生成した調査設定用ファイルF0〜Fn−1を、音楽プレーヤ200に転送(チェックアウト)する(ステップS204)。
【0147】
音楽プレーヤ200では、送られてきたn個の調査設定用ファイルF0〜Fn−1は、例えば音楽コンテンツ格納部202を経由して、あるいは音楽コンテンツ格納部202を経由することなく、デコードされて、ヘッドフォン100に出力され、音響再生される。
【0148】
音楽プレーヤ200のユーザは、図12に示すように、n個の調査設定用ファイルF0〜Fn−1のそれぞれの再生音声を、それぞれ時間長Tずつ、ヘッドフォン100にて受聴する。このとき、ユーザは、図12に示すように、右チャンネルのヘッドフォンユニット10Rからの音響再生出力のみを聴取して、再生音が最小あるいはゼロとなる最適調査設定用ファイルFiを選択するようにする。
【0149】
そして、音楽プレーヤ200のユーザは、パーソナルコンピュータ300に対して、選択した最適調査設定用ファイルFiの選択入力をするようにする。この例では、ユーザは、例えば最適調査設定用ファイルFiのファイルインデックスiを入力するようにする。図12の例では、最適調査設定用ファイルF2のときに最も音漏れが小さいとされたので、i=2が入力される。
【0150】
パーソナルコンピュータ300は、この最適調査設定用ファイルFiの選択入力を受け付ける(図9のステップS205)。そして、パーソナルコンピュータ300は、例えば図12に示すようにして、選択された最適調査設定用ファイルFiを白黒反転表示したり、選択された項目をハイライト化したり、色を変化させたり、録音された音声を再生するといった様々な方法で確認報知をする(ステップS206)。
【0151】
その後、当該選択された最適調査設定用ファイルFiのときの音漏れ比率(利得)を、例えばハードディスク装置322の所定の領域に格納して保存する(ステップS207)。なお、保存する領域としては、ハードディスク装置322だけでなく、電源が切れても再度読み込み可能な静的メモリ領域であってもよい。
【0152】
なお、上述した音漏れ比率の調査設定処理は、音楽プレーヤ200やヘッドフォン100を、使用者が買い換えた場合などに、再度行うことができるのはもちろんである。
【0153】
パーソナルコンピュータ300は、こうして設定された音漏れ比率に基づいた乗算係数を用いて、その後の音漏れ消去信号加算処理を実行する。
【0154】
なお、前述したように、上述の例の音漏れ比率の調査設定方法においては、音漏れ比率1/Mと音漏れ比率1/Mとが等しいものとして、片チャンネルについてのみの音漏れ比率を調査設定するようにしたが、他方のチャンネルについても、上述と全く同様にして、n個の調査設定用ファイルを生成して、音楽プレーヤ200に転送し、その調査設定用ファイルを用いて、当該他のチャンネルについても、上述と同様にして、音漏れ比率を設定するようにすることができる。
【0155】
以上の説明は、使用する音楽プレーヤ200が1台の場合を想定しているが、使用する音楽プレーヤが複数台であってもよい。その場合には、上述した音漏れ比率のデータは、それぞれの音楽プレーヤの識別情報に対応してパーソナルコンピュータ300に記憶しておき、かつ、音楽コンテンツ格納部322には、それぞれの音楽プレーヤ用の音漏れ比率を用いた音漏れ消去信号加算処理を施した音楽データを、それぞれの音楽プレーヤの識別情報に対応して格納しておくようにする。
【0156】
そして、パーソナルコンピュータ300から音楽プレーヤ200のそれぞれに音楽データを送出する際には、対応する音漏れ消去信号加算処理を施した音楽データを、音楽コンテンツ格納部322から読み出して、送出するようにすればよい。送出する音楽プレーヤがいずれの音楽プレーヤであるかは、USBインタフェースにより自動的に識別したり、ユーザが指定入力したりするようにすれば良い。
【0157】
なお、音楽プレーヤ200にも、音漏れ消去信号加算処理をした音楽コンテンツの音楽データのみではなく、音漏れ消去加算処理を施していない音楽データを転送し、音楽プレーヤ200において、ユーザがいずれを再生するかを選択するようにしてもよい。
【0158】
なお、上述の実施形態の説明においては、パーソナルコンピュータ300の音漏れ消去信号加算部304で使用する音漏れ比率を設定して、音漏れ消去信号の大きさを最適に設定することができるようにした。しかし、上記の実施形態では、音漏れ消去信号の位相については、考慮していない。すなわち、ヘッドフォンユニット10Lおよび10Rのそれぞれにおいて、音漏れ消去信号と、消去される対象となるチャンネルのオーディオ信号との位相が一致していないときには、良好なキャンセル効果が得られない場合がある。
【0159】
そこで、前述した音漏れ比率の調査設定方法により、音漏れ比率を設定した後に、同じテスト用信号を用いると共に、一方のチャンネルのオーディオ信号を音漏れ比率を乗算する前、または、乗算した後に、加算部35Lまたは35Rに供給する信号の位相を、例えばサンプル単位で移相させた複数個の信号を、上述の調査設定用ファイルと同様に、それぞれのファイルとして生成する。そして、生成した位相が異なるファイルの信号を音楽プレーヤに供給して、ヘッドフォンによりそれぞれ音響再生し、ユーザにより、音漏れが最小になる位相を選択させるようにする。
【0160】
これにより、音漏れが最小になる位相が設定されるので、それをパーソナルコンピュータ300に記憶し、音漏れ消去信号加算処理の際に、当該設定された位相分だけ音漏れ消去信号を移相させるようにする。これにより、より最適な音漏れ低減効果が期待できる。
【0161】
[音楽コンテンツ格納送出装置および方法の第2の実施形態]
図13は、この第2の実施形態説明するためのシステム構成およびその主要部の概要を示すブロック図である。上述の第1の実施形態では、パーソナルコンピュータ300において、音楽コンテンツの入力音楽データを音楽コンテンツ格納部301に格納する際に、音漏れ消去信号加算部304において音漏れ消去信号加算処理をするようにしたが、この第2の実施形態では、音楽コンテンツ格納部301には、音楽コンテンツの音楽データは音漏れ消去信号加算処理をせずに格納する。
【0162】
そして、この第2の実施形態では、USB端子303に、3極端子をヘッドフォン端子201として備える音楽プレーヤ200が接続され、当該音楽プレーヤ200に選択指定された音楽コンテンツの音楽データを送出する際には、送出制御部302は、音楽コンテンツ格納部301から前記選択指定された音楽コンテンツの音楽データを読み出して、音漏れ消去信号加算部304に供給する。そして、パーソナルコンピュータ300は、この音漏れ消去信号加算部304で音漏れ消去信号加算処理をした音楽データを、USB端子303を通じて音楽プレーヤ200に送出するようにする。
【0163】
この場合、パーソナルコンピュータ300のハードウエア構成例は、図2に示した第1の実施形態の場合と全く同様とすることができる。音漏れ消去信号加算部304の構成も、図3〜図5を用いた構成とすることができる。また、音楽プレーヤ200の構成は、第1の実施形態と全く同様でよい。
【0164】
また、音漏れ消去信号加算部304で用いる音漏れ比率の設定方法も、上述の第1の実施形態の場合と全く同様とすることができる。
【0165】
[パーソナルコンピュータ300から音楽プレーヤ200への送出処理]
図14は、この第2の実施形態において、図2に示した構成のパーソナルコンピュータ300で、操作入力部319を通じて、ユーザから送出先の指定、送出する音楽コンテンツの選択指定および送出指示があったときのCPU311が行う音楽データ送出処理の例を説明するためのフローチャートである。
【0166】
CPU311は、まず、選択指定された音楽コンテンツを認識する(ステップS301)。次に、CPU311は、音楽コンテンツ格納部322から、選択指定された音楽コンテンツを検索して読み出す(ステップS302)。
【0167】
次に、CPU311は、USB端子320または321に接続されたオーディオ信号再生装置を、USBインタフェースを通じて認識し、当該オーディオ信号再生装置が、3極端子をヘッドフォン端子とする音楽プレーヤ200などの、チャンネル間で音漏れの発生する端末であるか否かを判別する(ステップS303)。
【0168】
そして、このステップS303で、USB端子320または321に接続されたオーディオ信号再生装置が音漏れを発生する端末であると判別したときには、CPU311は、ハードディスク装置322の音楽コンテンツ格納部301から読み出した音楽データを格納音楽データエンコード・デコード部323に転送して、左右2チャンネルのデジタルオーディオ信号DL,DRをデコードさせるようにする(ステップS304)。
【0169】
次に、CPU311は、図示を省略する係数レジスタに格納している係数1/M、1/M、1−1/M、1−1/Mを読み出す(ステップS305)。そして、CPU311は、格納音声データエンコード・デコード部323でデコードされた左右チャンネルのデジタルオーディオ信号DL,DRを、図示を省略したレジスタに取り込んで、
DOL=DL×(1−1/M)+DR×1/M
DOR=DR×(1−1/M)+DL×1/M
・・・(式A)
で表される積和演算処理を実行する(ステップS306)。
【0170】
次に、CPU311は、ステップS306で求めたデジタル信号DOLおよびDORをエンコードして音楽コンテンツの音楽データを再生成する(ステップS307)。さらには、この音楽コンテンツの音楽データを、音楽プレーヤ200に送出するデータの形式に変換する(ステップS308)。そして、その変換後の音楽データを、送出先として指定された音楽プレーヤ200に送出する(ステップS309)。
【0171】
また、ステップS303で、USB端子320または321に接続されたオーディオ信号再生装置が音漏れを発生する端末ではないと判別したときには、CPU311は、ハードディスク装置322の音楽コンテンツ格納部301から読み出したデジタル音楽データを、オーディオ信号再生装置である音楽プレーヤ200に送出するデータの形式に変換する(ステップS308)。そして、その変換後の音楽データを、送出先として指定された音楽プレーヤ200に送出する(ステップS309)。
【0172】
以上で、この第2の実施形態におけるパーソナルコンピュータ300での音楽コンテンツの音楽データの送出処理は終了である。
【0173】
この第2の実施形態においては、音楽コンテンツ格納部301には、音漏れ消去信号加算処理をした音楽データを格納しておく必要は無く、音楽プレーヤ200がパーソナルコンピュータ300に接続されたときに、設定されている音漏れ比率や位相の情報を用いた音漏れ消去信号加算処理をして、当該音楽プレーヤ200に送出することができ、音楽コンテンツ格納部301にメモリ領域の利用効率が第1の実施形態に比べて優れている。
【0174】
また、パーソナルコンピュータ300に接続される音楽プレーヤ200が種々のものが想定される場合においても、音楽コンテンツ格納部301には、それぞれの音楽プレーヤ用の音漏れ消去信号加算処理済みの音楽データを格納しておく必要は無く、それらの音楽プレーヤ200のそれぞれについての音漏れ比率や位相を、それらの音楽プレーヤの識別情報に対応して記憶しておくことだけでよい。この場合、パーソナルコンピュータ300は、接続された音楽プレーヤに応じた音漏れ比率や位相を読み出して、音漏れ消去信号加算処理をして、それぞれの音楽プレーヤに送出すればよい。
【0175】
[音楽コンテンツ格納送出装置および方法の第3の実施形態(オーディオ信号再生装置の実施形態)]
この発明の音楽コンテンツ格納送出方法は、オーディオ信号再生装置にも適用可能である。
【0176】
図15は、この発明によるオーディオ信号再生装置の実施形態を用いた場合のシステム構成例を示すブロック図である。この図15に示すように、この実施形態におけるパーソナルコンピュータ300は、音漏れ消去信号加算部は備えず、音楽コンテンツ格納部301には、音漏れ消去信号加算処理した音楽コンテンツの音楽データを格納することはせず、通常のように入力音楽コンテンツの音楽データを、音楽コンテンツ格納部301に格納する形式に変換してそのまま格納する。
【0177】
そして、この実施形態のオーディオ信号再生装置が適用された音楽プレーヤ200に、音漏れ消去信号加算部208を設ける。そして、音楽プレーヤ200にパーソナルコンピュータ300からの音楽データの転送を受けたときに、受け取った音楽データに対して、この音漏れ消去信号加算部208で前述したような音漏れ消去信号加算処理をした後に、格納音楽データエンコード部207にてエンコード処理を行い、その後、音楽コンテンツ格納部202に格納するようにする。
【0178】
この実施形態の音楽プレーヤ200のハードウエア構成は、図16に示すようなものとなる。すなわち、この図16から分かるように、この実施形態の音楽プレーヤ200のハードウエア構成は、図7に示した第1の実施形態における音楽プレーヤ200の制御部203に対して音漏れ消去信号加算部208が接続された構成となる。そして、この例においては、制御部203は、取り込んだ音楽データを音楽データデコード部22に供給して、そのデコード出力信号DL,DRを音漏れ消去信号加算部208に供給するように構成される。
【0179】
この実施形態においても、音楽プレーヤ200の音楽コンテンツ格納部202に格納された音楽コンテンツの音楽データは、前述の第1および第2の実施形態と全く同様に、音漏れ消去信号加算処理がなされたものとなっている。
【0180】
したがって、音楽プレーヤ200のヘッドフォン端子101に接続されたヘッドフォン100によって音楽データが音響再生されたときには、前述の実施形態と全く同様にして、左右チャンネル間の音漏れが消去あるいは低減されるものである。
【0181】
この実施形態における音漏れ消去信号加算部208の構成は、図3および図4を用いたハードウエア構成とすることもできるし、制御部203が図5のフローチャートに示したような処理を実行するソフトウエア構成とすることもできる。また、前述したように、チャンネル間の遅延位相を考慮した構成とすることもできる。
【0182】
図17に、チャンネル間の遅延位相を考慮した音漏れ消去信号加算部208のハードウエア構成例を示す。この例は、音漏れ比率およびこの音漏れ消去信号の位相をユーザにより調整することができるようにした場合である。この図17において、図4に示した音漏れ消去信号加算部304と同一部分には、同一符号を付すことにする。
【0183】
すなわち、この例では、前述した音漏れ消去信号加算部304において、係数レジスタ36L,36Rおよび係数レジスタ38L,38Rに格納する係数の調整手段を設けるとともに、位相調整手段を設けるようにする。この場合、位相調整は、例えばデジタルオーディオデータのサンプル単位で行うようにする。
【0184】
図17の例においては、係数レジスタ36L,36Rおよび係数レジスタ38L,38Rに格納する係数は、後述するテスト信号を用いた音漏れ比率の設定調整方法によりユーザにより設定されることができるようにされている。
【0185】
また、この図17の例においては、図4の例の音漏れ消去信号加算部304の入力バッファレジスタ34Lおよび34Rの代わりに、m段(mは2以上の整数)のシフトレジスタ340Lおよび340Rが設けられる。このn段のシフトレジスタ340Lおよび340Rは、その各段の出力として、入力デジタルデータに対して、それぞれ0,1,2,・・・,m−1サンプル分遅延したデジタルデータを出力する。
【0186】
図17の例では、シフトレジスタ340Lおよび340Rの初段出力L[m−1]、R[m−1]が入力デジタルデータそのものであり、第j段目(j=0,1,2,・・・,m−1)の出力L[j]、R[j]のjの値が小さくなるほど、遅延量が大きくなり、出力L[0]、R[0]は、入力デジタルデータよりもn−1サンプル分遅延されたデータサンプルである。
【0187】
シフトレジスタ340Lおよび340Rの初段出力L[n−1]、R[n−1]は、それぞれ乗算部35Lおよび35Rにそれぞれ供給されて、係数レジスタ36Lおよび36Rに格納されている係数1−1/Mおよび1−1/Mと乗算される。そして乗算部35Lおよび35Rの乗算結果は、加算部32Lおよび32Rにそれぞれ供給される。
【0188】
一方、シフトレジスタ340Lおよび340Rの各段のレジスタ出力に対して、乗算部37L[0]、37L[1]、37L[2]、・・・、37L[m−1]および乗算部37R[0]、37R[1]、37R[2]、・・・、37R[m−1]がそれぞれ設けられる。
【0189】
そして、左チャンネル用の乗算部37L[0]、37L[1]、37L[2]、・・・、37L[m−1]のそれぞれにおいては、係数レジスタ38Lに格納されている係数1/Mと各段のレジスタ出力とが乗算され、その乗算結果が、セレクタ39Lに供給される。セレクタ39Lには、制御部203から、ユーザの操作入力部21を通じた操作入力に応じた選択制御信号SELLが供給される。セレクタ39Lからは、乗算部37L[0]、37L[1]、37L[2]、・・・、37L[m−1]の乗算結果のうち、選択制御信号SELLにより選択された一つの乗算結果が得られ、その選択された一つの乗算結果が、右チャンネルの信号との加算部32Rに供給される。
【0190】
また、右チャンネル用の乗算部37R[0]、37R[1]、37R[2]、・・・、37R[m−1]のそれぞれにおいては、係数レジスタ38Rに格納されている係数1/Mと各段のレジスタ出力とが乗算され、その乗算結果が、セレクタ39Rに供給される。セレクタ39Rには、制御部203から、ユーザの操作入力部21を通じた操作入力に応じた選択制御信号SELRが供給される。セレクタ39Rからは、乗算部37R[0]、37R[1]、37R[2]、・・・、37R[m−1]の乗算結果のうち、選択制御信号SELRにより選択された一つの乗算結果が得られ、その選択された一つの乗算結果が、左チャンネルの信号との加算部32Lに供給される。
【0191】
音漏れ消去信号加算部207が以上のように構成されるこの実施形態の音楽プレーヤ200においては、係数および位相の設定モードを設けると共に、後述するように、第1のテスト信号および第2のテスト信号を用いて、係数1/M、1/M、1−1/M、1−1/M設定ならびに位相調整を行うようにする。
【0192】
例えば、左チャンネルオーディオ信号が大振幅信号で、右チャンネルオーディオ信号がゼロの第1のテスト信号と、逆に、右チャンネルオーディオ信号が大振幅信号で、左チャンネルオーディオ信号がゼロの第2のテスト信号とを、それぞれ所定時間分ずつ出力するようにするテスト信号を、音楽プレーヤ200の音楽コンテンツ格納部に用意するようにしておくとよい。このテスト信号は、例えばインターネットを通じてパーソナルコンピュータで取得し、音楽プレーヤ200に転送しておくようにしても良い。
【0193】
そして、ユーザは、音楽プレーヤ200を係数および位相の設定モードにし、例えば最初は第1のテスト信号を再生する。そして、この第1のテスト信号が再生されている状態において、右チャンネルへの左チャンネルの信号の音漏れ量が最小となるように、係数1/Mを設定する。このとき、乗算部35Lに供給する係数は、乗算結果がオーバーフローしないような値とされる。
【0194】
そして、以上のようにして設定された係数1/Mを係数レジスタ38Lに格納する。また、係数1−1/Mを計算して、その計算結果を係数レジスタ36Rに格納する。
【0195】
次に、第1のテスト信号を引き続き再生し、右チャンネルへの左チャンネルの信号の音漏れ量が最小となるように、セレクタ39Lへの選択制御信号SELLを調整する。そして、その調整結果の選択制御信号SELLを、セレクタ39Lの選択制御信号SELLとして保持する。
【0196】
次に、再生するテスト信号を第2のテスト信号に変更して、以上と同様のことを右チャネルについて行う。すなわち、第2のテスト信号が再生されている状態において、左チャンネルへの右チャンネルの信号の音漏れ量が最小となるように、係数1/Mを設定する。このとき、乗算部35Rに供給する係数は、乗算結果がオーバーフローしないような値とされる。
【0197】
そして、以上のようにして設定された係数1/Mを係数レジスタ38Rに格納する。また、係数1−1/Mを計算して、その計算結果を係数レジスタ36Lに格納する。
【0198】
次に、第2のテスト信号を引き続き再生し、左チャンネルへの右チャンネルの信号の音漏れ量が最小となるように、セレクタ39Rへの選択制御信号SELRを調整する。そして、その調整結果の選択制御信号SELRを、セレクタ39Rの選択制御信号SELRとして保持する。
【0199】
なお、この音漏れ消去信号加算部207で音漏れ信号加算処理された結果の各チャンネルのオーディオデータDOLおよびDORは、格納音楽データエンコード部207で音楽コンテンツ格納部202に格納する形式の音楽データにエンコードされた後、音楽コンテンツ格納部202に格納される。
【0200】
図18に、この実施形態における音楽プレーヤ200における音楽データの格納処理例のフローチャートを示す。
【0201】
操作入力部21を通じて、所定の音楽コンテンツの音楽データの取り込み指示がなされたことを受けたCPU203は、図18の処理ルーチンを開始し、ユーザにより取り込みが指示された、USBインタフェース205を通じて音楽コンテンツの音楽データを取り込む(ステップS401)。
【0202】
そして、CPU203は、取り込んだ音楽データを音楽データデコード部22に転送し、左右2チャンネルのデジタルオーディオ信号DL,DRをデコードさせるようにする(ステップS402)。
【0203】
次に、CPU203は、図示を省略する係数レジスタに格納している係数1/M、1/M、1−1/M、1−1/Mを読み出す(ステップS403)。そして、CPU203は、音声データデコード部22でデコードされた左右チャンネルのデジタルオーディオ信号DL,DRを、図示を省略したレジスタに取り込んで、
DOL=DL×(1−1/M)+DR×1/M
DOR=DR×(1−1/M)+DL×1/M
・・・(式A)
で表される積和演算処理を実行する(ステップS404)。
【0204】
次に、CPU203は、ステップS404で求めたデジタル信号DOLおよびDORを、格納音声データエンコード部207に供給して、音楽コンテンツ格納部202に格納するためのエンコード処理を行わせる(ステップS405)。
【0205】
そして、格納音楽データエンコード部208から、エンコード処理終了のステータスを得るとCPU203は、エンコード処理された音楽データを、その音楽コンテンツの識別情報やタイトルなどの付随情報に対応させて、音楽コンテンツ格納部202に格納する(ステップS406)。
【0206】
以上で、この音楽データ格納の処理ルーチンを終了する。
【0207】
なお、この音楽プレーヤ200の実施形態においても、音漏れ消去信号加算処理をした音楽コンテンツの音楽データと、音漏れ消去信号加算処理をしない同一音楽コンテンツの音楽データとを、前述のようなフラグと共に記憶しておき、例えば選択スイッチ操作などにより、3極端子201にヘッドフォン100が接続されたときには、音漏れ消去信号加算処理をした音楽データを音楽コンテンツ格納部202から読み出して送出するようにし、また、3極端子201にチャンネル間音漏れが発生しないような装置が接続されたときには、音漏れ消去信号加算処理をしていない音楽データを音楽コンテンツ格納部202から読み出して送出するように構成しても良い。
【0208】
このようにすることにより、ヘッドフォンジャック28にヘッドフォン100の接続プラグ以外の接続プラグが接続されて、例えば、ヘッドジャック28からのオーディオ信号出力を2個の外部スピーカで再生したり、ヘッドジャック28からのオーディオ信号出力を他のオーディオ機器に送ったりする場合には、音漏れ消去信号が加算されていない元の左右チャンネルのオーディオ信号を出力することができる。
【0209】
[他の実施の形態または変形例]
上述の実施の形態は、左右2チャンネルのステレオオーディオ信号の場合を例に、音漏れ低減方法について説明したが、第1チャンネルオーディオ信号および第2チャンネルオーディオ信号は、ステレオオーディオ信号の左チャンネル信号と右チャンネル信号とに限られるものではないことは言うまでもない。
【0210】
また、オーディオ信号再生装置は、音楽プレーヤの場合としたが、音楽プレーヤに限らず、オーディオ信号出力端子が3極端子の構成を備えるものであれば、すべて、この発明が適用可能であることは言うまでもない。
【0211】
なお、上述の実施形態では、パーソナルコンピュータ300に格納された音楽データはデータ圧縮されていると共に、音楽プレーヤ200の音楽コンテンツ格納部に格納する音楽データのデータ圧縮方式と同じ圧縮方式であったので、データ圧縮したままの音楽データを音楽プレーヤ200に供給するようにしたが、音楽プレーヤに格納する音楽データが、デジタルオーディオ信号(PCMオーディオ信号)である場合には、パーソナルコンピュータ300から送出する音楽データは、圧縮を解凍(伸長デコード)して、音楽プレーヤに送出するようにすれば良い。
【0212】
また、パーソナルコンピュータ300の音楽コンテンツ格納部301に格納されている音楽データのデータ圧縮方式と、音楽プレーヤ200の音楽コンテンツ格納部202に格納される音楽データのデータ圧縮方式とが異なる場合には、パーソナルコンピュータ300で、音楽プレーヤ200でのデータ圧縮方式に送出する音楽データを再圧縮して送出するようにすれば良い。また、パーソナルコンピュータ300で音楽データを再圧縮するのではなく、音楽プレーヤ200で、受け取ったPCMオーディオ信号を自装置のデータ圧縮方式に適合するように処理するようにしても勿論よい。
【0213】
また、上述のオーディオ信号格納送出装置の第1および第2の実施形態では、パーソナルコンピュータ300は、USBインタフェースなど、これに接続された音楽プレーヤ200が何であるかを認識するものを用いて、接続されたオーディオ信号再生装置に対応して自動的に音漏れ消去信号加算処理をした音楽データを送出するか否かを決定するようにしたが、ユーザが選択指定するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0214】
【図1】この発明による音楽コンテンツ格納送出方法の第1の実施形態を説明するためのシステム構成図である。
【図2】この発明による音楽コンテンツ格納送出装置の第1の実施形態の構成例を示すブロック図である。
【図3】この発明による音楽コンテンツ格納送出装置の第1の実施形態の構成例における要部の構成例を説明するためのブロック図である。
【図4】この発明による音楽コンテンツ格納送出装置の第1の実施形態の構成例における要部の構成例を説明するためのブロック図である。
【図5】この発明による音楽コンテンツ格納送出装置の第1の実施形態の構成例における要部の構成例を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図6】この発明による音楽コンテンツ格納送出装置の第1の実施形態における処理動作例を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図7】この発明による音楽コンテンツ格納送出方法の第1の実施形態が適用されたシステムにおける音楽プレーヤの構成例を示すブロック図である。
【図8】この発明による音楽コンテンツ格納送出方法の第1の実施形態による音漏れ低減効果を説明するための等価的な回路接続図である。
【図9】この発明による音楽コンテンツ格納送出方法の第1の実施形態の要部を説明するために用いるフローチャートを示す図である。
【図10】この発明による音楽コンテンツ格納送出方法の第1の実施形態の要部を説明するために用いるフローチャートを示す図である。
【図11】この発明による音楽コンテンツ格納送出方法の第1の実施形態の要部を説明するために用いる図である。
【図12】この発明による音楽コンテンツ格納送出方法の第1の実施形態の要部を説明するために用いる図である。
【図13】この発明による音楽コンテンツ格納送出方法の第2の実施形態を説明するためのシステム構成図である。
【図14】この発明による音楽コンテンツ格納送出装置の第2の実施形態の構成例における要部の構成例を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図15】この発明による音楽コンテンツ格納送出方法の第3の実施形態を説明するためのシステム構成図である。
【図16】この発明による音楽コンテンツ格納送出方法の第3の実施形態に用いるオーディオ信号再生装置の構成例を示すブロック図である。
【図17】図16のオーディオ信号再生装置の構成例における要部の構成例を示すブロック図である。
【図18】図16のオーディオ信号再生装置の構成例における要部の処理動作を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図19】3極端子を備える装置を説明するための図である。
【図20】3極端子を用いる場合におけるチャンネル間の音漏れを説明するための図である。
【図21】チャンネル間の音漏れを低減するために4極端子を用いる装置を説明するための図である。
【図22】4極端子を用いる場合におけるチャンネル間の音漏れ低減を説明するための図である。
【符号の説明】
【0215】
100…ヘッドフォン、200…音楽プレーヤ、201…ヘッドフォンジャック、202…音楽コンテンツ格納部、208…音漏れ消去信号加算部、26L…左チャンネルオーディオ信号出力端子、26R…右チャンネルオーディオ信号出力端子、26C…共通接地端子、300…パーソナルコンピュータ、301…音楽コンテンツ格納部、304…音漏れ消去信号加算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1チャンネルオーディオ信号の出力端子と、第2チャンネルオーディオ信号の出力端子と、前記第1チャンネルオーディオ信号および第2チャンネルオーディオ信号に対して共通の接地端子とを備える3極端子であって、前記第1チャンネルオーディオ信号を音響再生する第1音響再生ユニットと、前記第2チャンネルオーディオ信号を音響再生する第2音響再生ユニットとが接続され、前記3極端子に対応する端子を備える外部端子が接続される3極端子を備えるオーディオ信号再生装置と接続する接続手段と、
前記第1チャンネルオーディオ信号および前記第2チャンネルオーディオ信号を含む音楽コンテンツデータを格納するための音楽コンテンツ格納部と、
前記第1チャンネルオーディオ信号に、前記第1音響再生ユニットへの前記第2チャンネルオーディオ信号の音漏れ比率に応じて低減した前記第2チャンネルオーディオ信号を加算すると共に、前記第2チャンネルオーディオ信号に、前記第2音響再生ユニットへの前記第1チャンネルオーディオ信号の音漏れ比率に応じて低減した前記第1チャンネルオーディオ信号を加算して、音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータを生成する音漏れ消去信号加算手段と、
前記音漏れ消去信号加算手段からの前記音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータを前記音楽コンテンツ格納部に格納する格納手段と、
前記格納手段により格納された前記音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータを、前記音楽コンテンツ格納部から読み出して前記接続手段により接続された前記オーディオ信号再生装置に供給する送出手段と、
を備える音楽コンテンツ格納送出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の音楽コンテンツ格納送出装置において、
前記接続手段により接続された装置が前記オーディオ信号再生装置であるか否かを判別する判別手段を備え、
前記格納手段は、同一の音楽コンテンツについて、前記音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータに加えて、前記音漏れ消去信号加算手段を経由しない音楽コンテンツデータを、前記音楽コンテンツ格納部に格納し、
前記判別手段で、前記接続手段により接続された装置が前記オーディオ信号再生装置であると判別したときには、前記送出手段は、前記音楽コンテンツ格納部から前記音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータを読み出して、前記オーディオ信号再生装置に供給する
ことを特徴とする音楽コンテンツ格納送出装置。
【請求項3】
第1チャンネルオーディオ信号の出力端子と、第2チャンネルオーディオ信号の出力端子と、前記第1チャンネルオーディオ信号および第2チャンネルオーディオ信号に対して共通の接地端子とを備える3極端子であって、前記第1チャンネルオーディオ信号を音響再生する第1音響再生ユニットと、前記第2チャンネルオーディオ信号を音響再生する第2音響再生ユニットとが接続され、前記3極端子に対応する端子を備える外部端子が接続される3極端子を備えるオーディオ信号再生装置と接続する接続手段と、
第1チャンネルオーディオ信号および第2チャンネルオーディオ信号を含む音楽コンテンツデータを格納するための音楽コンテンツ格納部と、
前記音楽コンテンツ格納部から読み出された音楽コンテンツについて、前記第1チャンネルオーディオ信号に、前記第1音響再生ユニットへの前記第2チャンネルオーディオ信号の音漏れ比率に応じて低減した前記第2チャンネルオーディオ信号を加算すると共に、前記第2チャンネルオーディオ信号に、前記第2音響再生ユニットへの前記第1チャンネルオーディオ信号の音漏れ比率に応じて低減した前記第1チャンネルオーディオ信号を加算して、音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータを生成する音漏れ消去信号加算手段と、
前記音漏れ消去信号加算手段からの前記音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータを、前記接続手段により接続された前記オーディオ信号再生装置に供給する送出手段と、
を備える音楽コンテンツ格納送出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の音楽コンテンツ格納送出装置において、
前記接続手段により接続された装置が前記オーディオ信号再生装置であるか否かを判別する判別手段を備え、
前記送出手段は、前記判別手段で前記接続手段に接続された装置が前記オーディオ信号再生装置であると判別したときに、前記音漏れ消去信号加算部からの前記音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータを前記オーディオ信号再生装置に供給する
ことを特徴とする音楽コンテンツ格納送出装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の音楽コンテンツ格納送出装置において、
前記音漏れ消去信号加算手段は、
デジタル信号である前記第2チャンネルオーディオ信号に、前記第1音響再生ユニットへの前記第2チャンネルオーディオ信号の音漏れ比率に応じた第1の低減比率を乗算した結果を、デジタル信号である前記第1チャンネルオーディオ信号に加算する手段と、
デジタル信号である前記第1チャンネルオーディオ信号に、前記第2音響再生ユニットへの前記第1チャンネルオーディオ信号の音漏れ比率に応じた第2の低減比率を乗算した結果を、デジタル信号である前記第2チャンネルオーディオ信号に加算する手段と、
を備えることを特徴とする音楽コンテンツ格納送出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の音楽コンテンツ格納送出装置において、
ユーザの操作入力を受けて、前記第1の低減比率および/または前記第2の低減比率を変更する手段を備える
ことを特徴とする音楽コンテンツ格納送出装置。
【請求項7】
請求項5に記載の音楽コンテンツ格納送出装置において、
前記音漏れ消去信号加算手段は、
デジタル信号である前記第2チャンネルオーディオ信号に前記第1の低減比率を乗算する前または乗算した後に、前記デジタル信号である第2チャンネルオーディオ信号を遅延する第1の遅延手段と、デジタル信号である前記第1チャンネルオーディオ信号に前記第2の低減比率を乗算する前または乗算した後に、前記デジタル信号である第1チャンネルオーディオ信号を遅延する第2の遅延手段とを備える
ことを特徴とする音楽コンテンツ格納送出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の音楽コンテンツ格納送出装置において、
前記第1の遅延手段および前記第2の遅延手段は可変遅延手段とされると共に、ユーザの操作入力を受けて、前記第1の遅延手段および/または前記第2の遅延手段の遅延量が可変制御される
ことを特徴とする音楽コンテンツ格納送出装置。
【請求項9】
第1チャンネルオーディオ信号の出力端子と、第2チャンネルオーディオ信号の出力端子と、前記第1チャンネルオーディオ信号および第2チャンネルオーディオ信号に対して共通の接地端子とを備える3極端子であって、前記第1チャンネルオーディオ信号を音響再生する第1音響再生ユニットと、前記第2チャンネルオーディオ信号を音響再生する第2音響再生ユニットとが接続され、前記3極端子に対応する端子を備える外部端子が接続される3極端子を備えるオーディオ信号再生装置に送出する、前記第1チャンネルオーディオ信号および前記第2チャンネルオーディオ信号を含む音楽コンテンツデータを格納し、送出する音楽コンテンツ格納送出方法において、
前記第1チャンネルオーディオ信号に、前記第1音響再生ユニットへの前記第2チャンネルオーディオ信号の音漏れ比率に応じて低減した前記第2チャンネルオーディオ信号を加算すると共に、前記第2チャンネルオーディオ信号に、前記第2音響再生ユニットへの前記第1チャンネルオーディオ信号の音漏れ比率に応じて低減した前記第1チャンネルオーディオ信号を加算して、音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータを生成する生成工程と、
前記生成工程で生成された前記音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータを音楽コンテンツ格納部に格納する格納工程と、
前記格納工程で格納された前記音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータを前記音楽コンテンツ格納部から読み出して、前記オーディオ信号再生装置に供給する送出工程と、
を備える音楽コンテンツ送出方法。
【請求項10】
請求項9に記載の音楽コンテンツ格納送出方法において、
前記格納工程においては、同一の音楽コンテンツについて、前記音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータに加えて、前記音漏れ消去信号加算工程を経由しない音楽コンテンツデータを、前記音楽コンテンツ格納部に格納するようにすると共に、
音楽コンテンツデータを送出する装置が前記オーディオ信号再生装置であるか否かを判別する判別工程を備え、
前記判別工程で前記送出する装置が前記オーディオ信号再生装置であると判別したときには、前記送出工程では、前記音楽コンテンツ格納部から前記音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータを読み出して、前記オーディオ信号再生装置に供給する
ことを特徴とする音楽コンテンツ格納送出方法。
【請求項11】
第1チャンネルオーディオ信号の出力端子と、第2チャンネルオーディオ信号の出力端子と、前記第1チャンネルオーディオ信号および第2チャンネルオーディオ信号に対して共通の接地端子とを備える3極端子であって、前記第1チャンネルオーディオ信号を音響再生する第1音響再生ユニットと、前記第2チャンネルオーディオ信号を音響再生する第2音響再生ユニットとが接続され、前記3極端子に対応する端子を備える外部端子が接続される3極端子を備えるオーディオ信号再生装置に送出する、前記第1チャンネルオーディオ信号および前記第2チャンネルオーディオ信号を含む音楽コンテンツデータを格納し、送出する音楽コンテンツ格納送出方法において、
第1チャンネルオーディオ信号および第2チャンネルオーディオ信号を含む音楽コンテンツデータを音楽コンテンツ格納部に格納する格納工程と、
前記音楽コンテンツ格納部から読み出された音楽コンテンツデータについて、前記第1チャンネルオーディオ信号に、前記第1音響再生ユニットへの前記第2チャンネルオーディオ信号の音漏れ比率に応じて低減した前記第2チャンネルオーディオ信号を加算すると共に、前記第2チャンネルオーディオ信号に、前記第2音響再生ユニットへの前記第1チャンネルオーディオ信号の音漏れ比率に応じて低減した前記第1チャンネルオーディオ信号を加算して、音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータを生成する生成工程と、
前記生成工程で生成された前記音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータを、前記オーディオ信号再生装置に供給する送出工程と、
を備える音楽コンテンツ送出方法。
【請求項12】
請求項11に記載の音楽コンテンツ格納送出方法において、
音楽コンテンツデータを送出する装置が前記オーディオ信号再生装置であるか否かを判別する判別工程を備え、
前記判別工程で前記送出する装置が前記オーディオ信号再生装置であると判別したときに、前記生成工程を行って、前記音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータを前記オーディオ信号再生装置に供給する
ことを特徴とする音楽コンテンツ格納送出方法。
【請求項13】
第1チャンネルオーディオ信号の出力端子と、第2チャンネルオーディオ信号の出力端子と、前記第1チャンネルオーディオ信号および第2チャンネルオーディオ信号に対して共通の接地端子とを備える3極端子であって、前記第1チャンネルオーディオ信号を音響再生する第1音響再生ユニットと、前記第2チャンネルオーディオ信号を音響再生する第2音響再生ユニットとが接続され、前記3極端子に対応する端子を備える外部端子が接続される3極端子と、
前記第1チャンネルオーディオ信号および前記第2チャンネルオーディオ信号を含む音楽コンテンツデータを格納するための音楽コンテンツ格納部と、
外部から送出されてくる前記音楽コンテンツデータを取り込む取り込み手段と、
前記取り込み手段により取り込まれた前記音楽コンテンツデータについて、前記第1チャンネルオーディオ信号に、前記第1音響再生ユニットへの前記第2チャンネルオーディオ信号の音漏れ比率に応じて低減した前記第2チャンネルオーディオ信号を加算すると共に、前記第2チャンネルオーディオ信号に、前記第2音響再生ユニットへの前記第1チャンネルオーディオ信号の音漏れ比率に応じて低減した前記第1チャンネルオーディオ信号を加算して、音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータを生成する音漏れ消去信号加算手段と、
前記音漏れ消去信号加算手段からの前記音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータを、前記音楽コンテンツ格納部に格納する格納手段と、
前記音楽コンテンツ格納部から読み出された前記音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータから再生された前記第1チャンネルオーディオ信号および前記第2チャンネルオーディオ信号を、前記3極端子の前記第1チャンネルオーディオ信号の出力端子および前記第2チャンネルオーディオ信号の出力端子に供給するようにする出力手段と、
を備えることを特徴とするオーディオ信号再生装置。
【請求項14】
請求項13に記載のオーディオ信号再生装置において、
前記格納手段は、同一の音楽コンテンツについて、前記音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータに加えて、前記音漏れ消去信号加算手段を経由しない音楽コンテンツデータを、前記音楽コンテンツ格納部に格納すると共に、
前記音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータと、前記音漏れ消去信号加算手段を経由しない音楽コンテンツデータとのいずれかを選択する選択操作手段を設け、
前記選択操作手段で、前記音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータが選択されたときに、前記出力手段は、前記音楽コンテンツ格納部から前記音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータを読み出して、前記3極端子から出力するオーディオ信号とする
ことを特徴とするオーディオ信号再生装置。
【請求項15】
請求項13または請求項14に記載のオーディオ信号再生装置において、
前記第1チャンネルオーディオ信号に加算する前記第2チャンネルオーディオ信号の低減量および前記第2チャンネルオーディオ信号に加算する前記第1チャンネルオーディオ信号低減量を、ユーザの操作入力に応じて可変制御する手段を備える
ことを特徴とするオーディオ信号再生装置。
【請求項16】
請求項13または請求項14に記載のオーディオ信号再生装置において、
前記音漏れ消去信号加算手段は、
前記第1チャンネルオーディオ信号に加算する前記第2チャンネルオーディオ信号を、前記低減する前または後で遅延させると共に、
前記第2チャンネルオーディオ信号に加算する前記第1チャンネルオーディオ信号を、前記低減する前または後で遅延させる手段を備える
ことを特徴とするオーディオ信号再生装置。
【請求項17】
請求項16に記載のオーディオ信号再生装置において、
前記第1チャンネルオーディオ信号に加算する前記第2チャンネルオーディオ信号の遅延量および/または前記第2チャンネルオーディオ信号に加算する前記第1チャンネルオーディオ信号の遅延量を、ユーザの操作入力に応じて可変制御する手段を備える
ことを特徴とするオーディオ信号再生装置。
【請求項18】
第1チャンネルオーディオ信号の出力端子と、第2チャンネルオーディオ信号の出力端子と、前記第1チャンネルオーディオ信号および第2チャンネルオーディオ信号に対して共通の接地端子とを備える3極端子に、前記3極端子に対応する外部端子が接続されたときに、前記外部端子に接続されている前記第1チャンネルオーディオ信号を音響再生する第1音響再生ユニットへの前記第2チャンネルオーディオ信号の音漏れ、および/または、前記第2チャンネルオーディオ信号を音響再生する第2音響再生ユニットへの前記第1チャンネルオーディオ信号の音漏れを、前記3極端子を備えるオーディオ信号再生装置における信号処理手段により低減する方法であって、
前記信号処理手段は、
外部から送出されてくる前記音楽コンテンツデータを取り込む取り込み工程と、
前記取り込み工程で取り込まれた前記音楽コンテンツデータについて、前記第1チャンネルオーディオ信号に、前記第1音響再生ユニットへの前記第2チャンネルオーディオ信号の音漏れ比率に応じて低減した前記第2チャンネルオーディオ信号を加算すると共に、前記第2チャンネルオーディオ信号に、前記第2音響再生ユニットへの前記第1チャンネルオーディオ信号の音漏れ比率に応じて低減した前記第1チャンネルオーディオ信号を加算して、音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータを生成する音漏れ消去信号加算工程と、
前記音漏れ消去信号加算工程で生成された前記音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータを、前記音楽コンテンツ格納部に格納する格納工程と、
前記音楽コンテンツ格納部から読み出した前記音漏れ消去信号加算音楽コンテンツデータから再生した前記第1チャンネルオーディオ信号および前記第2チャンネルオーディオ信号を、前記3極端子の前記第1チャンネルオーディオ信号の出力端子および前記第2チャンネルオーディオ信号の出力端子に供給するようにする出力工程と、
を実行することを特徴とする音漏れ低減方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2007−235670(P2007−235670A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−55943(P2006−55943)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】