説明

音楽信号伝送用ケーブル

【課題】 音楽信号に発生する混変調歪みを抑制して、音楽信号を正確かつ良好に伝送することができる音楽信号伝送用ケーブルを提供する。
【解決手段】 中心導体1、内部導体2及び外部導体3を有する3重同軸ケーブル10であって、入力側において、中心導体1と内部導体2とを接続し、出力側において、内部導体2を絶縁処理した音楽信号伝送用ケーブル10を構成する。中心導体1に信号電圧を印加し、外部導体3を接地することによって、中心導体1と内部導体2とは同電位となり、その間に静電容量は発生せず、中心導体1と外部導体3とは内部導体2によって電気的に遮蔽されているから、その間に静電容量は発生しない。これによって、混変調歪みのない音楽信号の伝送が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音楽信号伝送線路に発生する静電容量による音楽信号の混変調歪みを減少させ、音質を改善する音楽信号伝送ケーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、音楽信号伝送線路であるオーディオ機器内の配線、オーディオ機器間の接続ケーブル、スピーカーケーブルとして、シールド線、同軸ケーブル、平行線、撚り線等が使用されてきた。
【0003】
シールド線、同軸ケーブル等は、内部及び外部ノイズの影響を受け、信号音の音質が損なわれ易い。そこで、電気伝導性を向上し、内部ノイズの影響を除去するため、アルミニウムから成る単芯線を使用し、芯線とそれを囲繞する絶縁体との間に空気層を形成したケーブルが提案されている(特許文献1参照)。又、外部ノイズの影響を除去するため、マグネシウム金属箔からなるテープを螺旋状に巻き付けてシールド層を形成したケーブルが提案されている(特許文献2参照)。
【0004】
一方、シールド線、同軸ケーブル内で絶縁物による線路特性変化が起きる現象が知られているが、このような誘電体現象を減少させるため、2本のシールド線を平行に配置し、梯子型構造に接続したケーブルが提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−220797号公報
【特許文献2】特許第4282759号公報
【特許文献3】特許第3753431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、同軸ケーブルを使用して音楽信号の伝送を行うと、同軸ケーブルの線間、絶縁材、接続ソケット、接続プラグ等に静電容量が発生して、この静電容量が再生音に影響を与えることはよく知られている。
【0007】
以下、従来の同軸ケーブルを使用した際に生じる静電容量と、この静電容量による再生音への影響について、図面を参照して説明する。
図11は、従来の音楽信号伝送用ケーブルの一実施形態の構成図であり、図12は、その断面図である。
【0008】
従来の音楽信号伝送用ケーブル50は、中心導体51と外部導体52とを有する同軸ケーブルであって、中心導体51に信号電圧を印加し、外部導体52を接地するようになっている。
中心導体51と外部導体52とは互いに絶縁されており、同電位ではないから、その間に静電容量Cが発生することになる。そして、この静電容量Cは、ケーブルの長さに比例して大きくなる。
【0009】
図13は、中心導体51と外部導体52との間に信号電圧を印加して、流れる電流を測定し、その間のインピーダンスZを算出するための構成図である。
発振器53によって中心導体51と外部導体52との間に正弦波信号Vp−pを印加して、中心導体51に流れる電流Iを電流計54によって測定し、インピーダンスZを次式によって算出する。
【0010】
(数式1)
Z=V/I
ここで、Vは印加電圧値、Iは測定電流値である。
【0011】
長さ5mの音楽信号伝送用ケーブル50に発振器53より正弦波信号10kHz、20Vp−pを印加して、電流計54によって電流Iを測定したところ、電流測定値は0.00042Aであった。よって、上記数式1によりインピーダンスZを算出すると、47619Ωとなる。
中心導体51と外部導体52との間の静電容量Cは、次式によって算出される。
【0012】
(数式2)
C=1/2πfZ
ここで、fは入力周波数、Zはインピーダンスである。
【0013】
上記数式2にf=10(kHz)、Z=47619(Ω)を代入して算出すると、静電容量Cは、334pFとなった。
実際に、中心導体51と外部導体52との間の静電容量Cを静電容量測定器によって測定したところ、331pFであり、上記算出値と略一致した。
【0014】
図14は、上記で算出したインピーダンスZと同量の負荷抵抗55を中心導体51に接続し、静電容量Cと負荷抵抗55に流れる合成電流を測定するための構成図である。
【0015】
長さ5mの音楽信号伝送用ケーブル50の中心導体51に負荷抵抗55として47KΩを接続し、発振器53より正弦波信号10kHz、20Vp−pを印加して、電流計54によって電流を測定すると、静電容量Cに流れる電流ICと負荷抵抗55に流れる電流IRとの合成電流Iを測定することができる。
前記のインピーダンスZは47619Ωであり、負荷抵抗55は47KΩであるから、
静電容量Cに流れる電流IC≒負荷抵抗55に流れる電流IRとなる。
【0016】
図15は、図14に示すケーブル50の静電容量Cに流れる電流ICと負荷抵抗55に流れる電流IRとの合成電流Iの相関を示す図である。ここで、合成電流Iは二等辺三角形の斜辺になり、IC又はIRを21/2倍した値となる。
上記で測定した電流0.00042Aを21/2倍すると0.00059Aとなり、実際の電流計54による測定値は0.000598Aとなり、略等しい値となった。
【0017】
図16は、ケーブル50に複合波を入力し、出力波の混変調歪みを観測するための構成図である。ここで、市販のRCAケーブル(長さ5m、静電容量350pF)に複合波を入力し、波形観測により入力波形と出力波形の比較を行った。
複合器56に高周波数の波形FH及び低周波数の波形FLを入力して、複合波を発生させ、ケーブル50の中心導体51と外部導体52との間にこの複合波を印加し、復調器57によってケーブル50の出力波形から低周波数の波形FLを除き、復調された高周波数の波形FH1のみとした。
【0018】
図17は、複合器56から出力された複合波(上側の波形)と復調された高周波数の波形FH1(下側の波形)とを比較して示す観測図であり、図18は、複合器56から出力された高周波数の波形FH(下側の波形)と復調された高周波数の波形FH1(上側の波形)とを比較して示す観測図である。
これによって、FHの振幅(100mVp−p)レベルに対して、FH1の波形頭の振幅は±3%変化し、さらに、波形頭が変形し、±3°位相がずれ、混変調歪みが発生しているのがわかる。
【0019】
以上のように、従来の同軸ケーブルによって音楽信号の伝送を行うと、同軸ケーブルの線間、絶縁材、接続ソケット、接続プラグ等に静電容量が発生して、この静電容量が音楽信号に混変調歪みを発生させ、再生音の音質に悪影響を与えていた。
具体的に説明すれば、音楽信号は複合波で、主に、基本波と周波数が高く振幅の小さい倍音とから構成され、同軸ケーブルによって音楽信号を伝送すると、静電容量が信号の振幅の大きさと周波数に比例して発生する。そして、音楽信号伝送時には、静電容量に流れる電流ICと負荷抵抗(アンプ等の入力抵抗)に流れる電流IRとが重なって流れるが、静電容量に流れる電流ICは突入電流であるから、負荷抵抗に流れる電流IRが影響を受け、倍音は特に振幅が小さいので、倍音に混変調歪みが発生するのである。
【0020】
本発明は、このような問題点を解決するために為されたものであって、その目的とするところは、同軸ケーブルの静電容量により音楽信号に発生する混変調歪みを除去することによって、音楽信号を正確に伝送することができる音楽信号伝送用ケーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために、本発明は、中心導体、内部導体及び外部導体を有する3重同軸ケーブルであって、入力側において前記中心導体と前記内部導体とを接続し、出力側において前記内部導体を絶縁し、前記中心導体に信号電流を印加し、前記外部導体を接地するようにして、音楽信号伝送用ケーブルを構成したことを特徴とする。
【0022】
かかる構成によれば、中心導体と内部導体とは接続してあるから、同電位となり、その間に静電容量は発生せず、しかも、中心導体と外部導体とは内部導体によって電気的に遮蔽されているから、その間に静電容量は発生しない。
【0023】
入力側において、前記中心導体及び前記内部導体にバッファアンプを接続すれば、入力側の音楽信号を増幅することができ、ケーブルの長さを100mに延長しても、十分に音楽信号を伝送することが可能となる。
【0024】
前記音楽信号伝送用ケーブルにおいて、2重同軸構造プラグを入力側及び出力側に配置し、入力側において、前記音楽信号伝送用ケーブルの前記内部導体を接続した前記中心導体の線末端を前記2重同軸構造プラグの中心端子に接続し、前記ケーブルの前記外部導体の線末端を前記2重同軸構造プラグの外部導体に接続すると共に、出力側において、前記
音楽信号伝送用ケーブルの前記中心導体の線末端を前記2重同軸構造プラグの中心端子に接続し、前記ケーブルの前記外部導体の線末端を前記2重同軸構造プラグの前記外部導体に接続して、音楽信号伝送用ケーブルを構成してもよい。
【0025】
又、前記音楽信号伝送用ケーブルにおいて、3重同軸構造プラグを入力側に配置し、2重同軸構造プラグを出力側に配置し、入力側において、前記音楽信号伝送用ケーブルの前記中心導体の線末端を前記3重同軸構造プラグの中心端子に接続し、前記ケーブルの前記内部導体の線末端を前記3重同軸構造プラグの内部導体に接続し、前記ケーブルの前記外部導体の線末端を前記3重同軸構造プラグの外部導体に接続すると共に、出力側において、前記音楽信号伝送用ケーブルの前記中心導体の線末端を前記2重同軸構造プラグの中心端子に接続し、前記ケーブルの前記外部導体の線末端を前記2重同軸構造プラグの前記外部導体に接続して、音楽信号伝送用ケーブルを構成してもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の音楽信号伝送用ケーブルは、中心導体と内部導体とを接続して同電位とすると共に、中心導体と外部導体とを内部導体によって電気的に遮蔽して、その間に静電容量を発生させないようにしたから、音楽信号に発生する混変調歪みを大幅に抑制することができ、音楽信号を正確かつ良好に伝送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の音楽信号伝送用ケーブルの一実施形態の構成図である。
【図2】図1に示すケーブルの断面図である。
【図3】中心導体と外部導体との間に流れる電流を測定し、その間のインピーダンスZを算出するための構成図である。
【図4】インピーダンスZと同量の負荷抵抗を中心導体に接続し、静電容量Cと負荷抵抗に流れる合成電流を測定するための構成図である。
【図5】ケーブルに複合波を入力し、出力波の混変調歪みを観測するための構成図である。
【図6】複合器へ入力された高周波数の波形FH(下側の波形)と復調された高周波数の波形FH1(上側の波形)とを比較して示す観測図である。
【図7】本発明の音楽信号伝送用ケーブルであって、ケーブルの長さを100mに延長する場合の構成図である。
【図8】本発明の音楽信号伝送用ケーブルの両端にRCAピンプラグを装着する場合の構成図である。
【図9】本発明の音楽信号伝送用ケーブルの一端にトライアキシャルコネクタを、他端にRCAピンプラグを装着する場合の構成図である。
【図10】本発明の音楽信号伝送用ケーブルをオーディオ機器内における音楽信号伝送ケーブルとして使用する場合の概略構成図である。
【図11】従来の音楽信号伝送用ケーブルの一実施形態の構成図である。
【図12】図11に示すケーブルの断面図である。
【図13】中心導体と外部導体との間に流れる電流を測定し、その間のインピーダンスZを算出するための構成図である。
【図14】インピーダンスZと同量の負荷抵抗を中心導体に接続し、静電容量Cと負荷抵抗に流れる合成電流を測定するための構成図である。
【図15】ケーブルの静電容量Cに流れる電流ICと負荷抵抗に流れる電流IRとの合成電流Iの相関を示す図である。
【図16】ケーブルに複合波を入力し、出力波の混変調歪みを観測するための構成図である。
【図17】複合器から出力された複合波(上側の波形)と復調された高周波数の波形FH1(下側の波形)とを比較して示す観測図である。
【図18】複合器へ入力された高周波数の波形FH(下側の波形)と復調された高周波数の波形FH1(上側の波形)とを比較して示す観測図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の音楽信号伝送用ケーブルの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0029】
図1は、本発明の音楽信号伝送用ケーブル10の一実施形態の構成図であり、図2は、その断面図である。
【0030】
本発明の音楽信号伝送用ケーブル10は、中心導体1、内部導体2及び外部導体3を有する3重同軸ケーブルであって、入力側において、中心導体1と内部導体2とを接続し、出力側において、内部導体2を絶縁し、中心導体1に信号電圧を印加し、外部導体3を接地するようにしたものである。
【0031】
音楽信号伝送用ケーブル10では、中心導体1と内部導体2とを接続してあるから、同電位となり、その間に静電容量は発生しない。一方、内部導体2と外部導体とは接続していないから、同電位とならず、その間に静電容量Cが発生する。
しかし、中心導体1と外部導体3とは内部導体2によって電気的に遮蔽してあるから、その間に静電容量は発生しない。この電気的な遮蔽を確実にするため、内部導体2は外部導体3の両端より外方に所定長さ、例えば5mm程度、延長させてある。
【0032】
図3は、中心導体1と外部導体3との間に流れる電流を測定し、その間のインピーダンスZを算出するための構成図である。
発振器4によって中心導体1と外部導体3との間に正弦波信号10kHz、20Vp−pを印加して、中心導体1から内部導体2に流れる電流を電流計5によって測定したところ、電流の測定値は0Aであった。
上記数式1によってインピーダンスZを算出すれば、0pFである。
【0033】
上記のように、中心導体1と内部導体2とは接続してあるから、同電位となり、その間に静電容量は発生せず、しかも、中心導体1と外部導体3とは内部導体2によって電気的に遮蔽されているから、その間に静電容量は発生しない。
【0034】
図4は、インピーダンスZと同量の負荷抵抗6を中心導体1に接続し、静電容量Cと負荷抵抗6に流れる合成電流を測定するための構成図である。
中心導体1の出力側Bに負荷抵抗6として47KΩを接続し、発振器4により正弦波信号10kHz、20Vp−pを印加して、電流計5によって中心導体1に流れる電流を測定したところ、0.00043Aであった。
この時のインピーダンスZは、上記数式1によって46.5kΩであるから、音楽信号は負荷抵抗6のみに伝送されることがわかる。
【0035】
図5は、ケーブル10に複合波を入力し、出力波の混変調歪みを観測するための構成図である。
複合器7に高周波数の波形FH及び低周波数の波形FLを入力し、複合波を発生させ、ケーブル10の中心導体1と外部導体3との間にこの複合波を印加し、復調器8によってケーブル10の出力波形から低周波数の波形FLを除き、復調された高周波数の波形FH1のみとした。
【0036】
図6は、複合器7へ入力された高周波数の波形FH(下側の波形)と復調された高周波数の波形FH1(上側の波形)とを比較して示す観測図である。
高周波数の波形FH(下側の波形)と復調された高周波数の波形FH1(上側の波形)とを比較すれば、FH1の波形頭の振幅、波形頭の変形、位相のずれともに、従来のRCAケーブルのように大きくはなく、混変調歪みも小さいことがわかる。
【実施例2】
【0037】
図7は、本発明の音楽信号伝送用ケーブルであって、ケーブルをより長く、例えば100m程度にまで、延長する場合の構成図である。
【0038】
本発明の音楽信号伝送用ケーブル20は、入力側Aの中心導体1及び内部導体2にバッファアンプ21,22を接続したものであり、これによって、入力側Aの音楽信号を増幅することができて、ケーブル20の長さを100mに延長しても、十分に音楽信号を伝送することが可能となる。
【実施例3】
【0039】
図8は、本発明の音楽信号伝送用ケーブル10の両端にRCAピンプラグ30を装着する場合の構成図である。
【0040】
音楽信号伝送用ケーブル10のA側は、音楽信号入出力機器の出力側に接続する。内部導体2を接続した中心導体1の線末端11をRCAピンプラグ30の中心端子31に、外部導体3の線末端12を外部導体32に接続する。
音楽信号伝送用ケーブル10のB側は、音楽信号入出力機器の入力側に接続する。中心導体1の線末端13をRCAピンプラグ30の中心端子31に、外部導体3の線末端14を外部導体32に接続する。
【実施例4】
【0041】
図9は、本発明の音楽信号伝送用ケーブル10の一端にトライアキシャルコネクタ34を、他端にRCAピンプラグ30を装着する場合の構成図である。
【0042】
音楽信号伝送用ケーブル10のA側は、音楽信号入出力機器の出力側に接続する。中心導体1の線末端15をトライアキシャルコネクタ34の中心端子35に、内部導体2の線末端16を内部導体36に、外部導体3の線末端12を外部導体37に接続する。
音楽信号伝送用ケーブル10のB側は、音楽信号入出力機器の入力側に接続する。中心導体1の線末端13をRCAピンプラグ30の中心端子31に、外部導体3の線末端14を外部導体32に接続する。
【実施例5】
【0043】
図10は、本発明の音楽信号伝送用ケーブル10をオーディオ機器内における音楽信号伝送ケーブルとして使用する場合の概略構成図である。
ここで、オーディオ機器としてRCAジャツクを備えたものを例として説明する。
【0044】
オーディオ機器は、背面パネルに入力端子IN、出力端子OUTを備え、音楽信号の入出力を行うものが一般的である。入力端子INから入力された音楽信号は、オーディオ機器内で適宜信号処理を行い、出力端子OUTから出力される。
【0045】
入力端子INからオペアンプ40までの配線方法について説明する。入力端子INの中心端子31に音楽信号伝送用ケーブル10の中心導体1と内部導体2の線末端11を、外部導体32と外部導体3の線末端12を接続する。一方、オペアンプ40の入力端子41に音楽信号伝送用ケーブル10の中心導体1の線末端13を、オペアンプ40のグランド端子42に外部導体3の線末端14を接続する。又、上記の通り、内部導体2は外部導体3の両端より外方に5mm程度延長して、絶縁処理を施すようにする。
【0046】
オペアンプ44から出力端子OUTまでの配線方法について説明する。オペアンプ44の出力端子45に音楽信号伝送用ケーブル10の中心導体1と内部導体2の線末端11を、オペアンプ44のグランド端子46に外部導体3の線末端12を接続する。出力端子OUTの中心端子31に音楽信号伝送用ケーブル10の中心導体1の線末端13を、外部導体32と外部導体3の線末端14を接続する。同様に、内部導体2は外部導体3の両端より外方に5mm程度延長して、絶縁処理を施すようにする。
【0047】
以上説明した配線方法によれば、オーディオ機器内の入力回路、出力回路のケーブルの静電容量は0pFとなり、静電容量による混変調歪みの発生を抑えることが可能となる。
【符号の説明】
【0048】
1 中心導体
2 内部導体
3 外部導体
10 音楽信号伝送用ケーブル
11 線末端
12 線末端
13 線末端
14 線末端
15 線末端
16 線末端
21,22 バッファアンプ
30 2重同軸構造プラグ
31 中心端子
32 外部導体
34 3重同軸構造プラグ
35 中心端子
36 内部導体
37 外部導体
C 静電容量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心導体、内部導体及び外部導体を有する3重同軸ケーブルであって、入力側において前記中心導体と前記内部導体とを接続し、出力側において前記内部導体を絶縁し、前記中心導体に信号電圧を印加し、前記外部導体を接地するようにしたことを特徴とする音楽信号伝送用ケーブル。
【請求項2】
入力側において、前記中心導体及び前記内部導体にバッファアンプを接続したことを特徴とする請求項1に記載の音楽信号伝送用ケーブル。
【請求項3】
前記音楽信号伝送用ケーブルにおいて、2重同軸構造プラグを入力側及び出力側に配置し、入力側において、前記音楽信号伝送用ケーブルの前記内部導体を接続した前記中心導体の線末端を前記2重同軸構造プラグの中心端子に接続し、前記ケーブルの前記外部導体の線末端を前記2重同軸構造プラグの外部導体に接続すると共に、出力側において、前記音楽信号伝送用ケーブルの前記中心導体の線末端を前記2重同軸構造プラグの中心端子に接続し、前記ケーブルの前記外部導体の線末端を前記2重同軸構造プラグの前記外部導体に接続したことを特徴とする請求項1又は2に記載の音楽信号伝送用ケーブル。
【請求項4】
前記音楽信号伝送用ケーブルにおいて、3重同軸構造プラグを入力側に配置し、2重同軸構造プラグを出力側に配置し、入力側において、前記音楽信号伝送用ケーブルの前記中心導体の線末端を前記3重同軸構造プラグの中心端子に接続し、前記ケーブルの前記内部導体の線末端を前記3重同軸構造プラグの内部導体に接続し、前記ケーブルの前記外部導体の線末端を前記3重同軸構造プラグの外部導体に接続すると共に、出力側において、前記音楽信号伝送用ケーブルの前記中心導体の線末端を前記2重同軸構造プラグの中心端子に接続し、前記ケーブルの前記外部導体の線末端を前記2重同軸構造プラグの前記外部導体に接続したことを特徴とする請求項1又は2に記載の音楽信号伝送用ケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−76837(P2011−76837A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226459(P2009−226459)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(509273123)有限会社 長倉電機 (1)
【Fターム(参考)】