説明

音楽試聴システム

【課題】会員に宣伝・紹介する楽曲を時間と場所の限定をできるだけ減らして自由なスタイルで試聴することを可能とすることで試聴機会を拡大し、音楽CD等の販売促進に貢献することができる音楽試聴システムの提供を目的とする。
【解決手段】音楽試聴システムを、会員がIDカードを提示して店舗から借り受ける携帯型音楽再生装置と、この装置が接続されると内蔵の音楽データの消去及び携帯型音楽再生装置に新規の音楽データを転送する音楽データ転送装置とから構成する。携帯型音楽再生装置は、音楽データの記録時点若しくは使用開始からの時間を計数するタイマー手段が設定されて、予め設定された時間経過後に携帯型音楽再生装置は内蔵している音楽データを消去若しくは再生不可能とし、さらに携帯型音楽再生装置を音楽データ転送装置に接続して音楽データの入れ替えを行うことでタイマー手段がリセットされて楽曲を再生可能とするリセット手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CDショップ、レコード店等の店舗における音楽CDを販売促進するための音楽試聴システムに関し、特に顧客に音楽CDを自由なスタイルで試聴させる機会を提供することで販売促進効果を上げることができる音楽試聴システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レコード会社等が発売する新しい音楽CDは、テレビやラジオの番組で演奏したり、インターネットのWebサイト上で試聴させたり、CDショップ、レンタルショップ、レコード店等に設置されCDを再生する試聴機にセットしたり、店内で演奏したりすることで顧客に対して宣伝することが行われている。しかし、テレビやラジオの番組での楽曲の演奏の機会は番組数が少なくて限定されていたり、楽曲そのものよりもDJの話に重点が置かれる番組構成であったりして、必ずしもプロモーション側の意図と一致しなかった。また、インターネットのWebサイト上での試聴は、不特定多数に対するシステムであることから、楽曲の一部しか聴けないことが多く、さらに例えばアルバムランキングとして企画してまとまったコンテンツとして試聴させることもほとんど存在していなかった。これに対し、店舗内に設置する試聴機による楽曲の試聴は、音楽CD等の販売に効果的に反映されることから積極的に利用されている。
【特許文献1】特開平6−119551号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前述した従来の試聴機による試聴方法では、顧客が店舗に行って利用することに限られ試聴機機会が限定されていることに加え、試聴機の面前で立ち止まったまま利用するのみであり、店内を歩きながら試聴する等の自由さを備えていなかった。また、1台で試聴できる音楽CDが数枚のものがほとんどであることから、試聴させる音楽CDを増やすためには。多くの試聴機を設置しなければならなく、これには費用と設置スペースが必要となるものであった。
【0004】
そこで本発明にあっては、これらの課題を解決すべく、会員に宣伝・紹介する楽曲を時間と場所の限定をできるだけ減らして自由なスタイルで試聴することを可能とすることで試聴機会を拡大し、音楽CD等の販売促進に貢献することができる音楽試聴システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の音楽試聴システムは、会員がIDカードを提示して店舗から借り受けて音楽試聴に使用する携帯型音楽再生装置と、該携帯型音楽再生装置が接続されると携帯型音楽再生装置に内蔵されている音楽データの消去及び携帯型音楽再生装置に新規の音楽データを転送する音楽データ転送装置とから構成され、前記会員が店舗から借り受ける前記携帯型音楽再生装置は、音楽データの記録時点若しくは使用開始からの時間を計数するタイマー手段が設定されて予め設定された時間経過後に前記携帯型音楽再生装置は内蔵している音楽データを消去若しくは再生不可能とし、さらに前記携帯型音楽再生装置を前記音楽データ転送装置に接続して音楽データの入れ替えを行うことで前記タイマー手段がリセットされて楽曲を再生可能とするリセット手段を備えることを特徴とする。
【0006】
また、携帯型音楽再生装置はハードディスク又は/及びフラッシュメモリーからなる記録手段を備えることを特徴とする。
【0007】
また、携帯型音楽再生装置は、著作権保護のための複製防止手段を備え、記録手段に記録した音楽データをデジタルデータで出力することを禁止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の音楽試聴システムによれば、店舗が会員に対して音楽試聴用の携帯型音楽再生装置を貸し出すことで、会員は試聴場所と時間を限定されずに自由なスタイルで音楽を試聴することができるので、音楽CD等の販売の拡大に結びつけることができるとともに、携帯型音楽再生装置に記録された楽曲の再生期間を有限とする著作権保護対策が適応されることで楽曲を提供する側にとっても不利益が生じないようにすることができる。
【0009】
また、携帯型音楽再生装置はハードディスク又は/及びフラッシュメモリーからなる記録手段を備えることで、記録可能な楽曲の量の増大化及び音楽データの移動の迅速化を可能とし、多彩なアプローチの仕方で楽曲紹介メニューを構成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本発明の音楽試聴システムの流れ図を示すものであり、まず前提としてCDショップ、レンタルショップ、レコード店等の店舗の会員は、クレジット決済機能付きの会員カード(IDカード)を作成し所有するものとする。これは、会員に貸与する携帯型音楽再生装置(後述)が高価であることから、トラブルが発生した場合の費用弁済を考慮して担保するためである。この会員は、店舗においてIDカードを提示して試聴サービスを申し込む。この試聴サービスとしては、その店舗に滞在する間のみ試聴することができる無料試聴サービスと、例えば1ヶ月間試聴サービスが受けられる有料試聴サービスとがあり、会員は何れかを選択する。
【0011】
そして、店舗においてIDカードの認証が済むと、携帯型音楽再生装置の貸出等を管理するサーバーに貸出データとして会員IDと試聴サービスが何れかであるかを記録して、会員に携帯型音楽再生装置を貸し出す。この携帯型音楽再生装置は、音楽データを記録する記録手段として大容量(例えば数十GB)のハードディスク又は/及びフラッシュメモリーを内蔵し、そこにAAC、MP3、WMA、ATRAC、ATRAC3、WAV等の圧縮されたファイル形式で音楽データを(コントローラーを接続することで)自在に消去・記録することができる。そして、1フォルダーに多数の楽曲を記録するのみならず、多彩なメニュー構成で楽曲をジャンル分け等して記録することもできる。そして液晶ディスプレー等の表示部と選曲等の操作をするための操作部を備え、表示部に表れるメニュー画面を見ながら操作部を操作して聴く曲を選択し、付属するヘッドホンで聴くものである。携帯型音楽再生装置は、無料試聴サービスと有料試聴サービスの何れの場合も機器として同じものであり、そこに内蔵されている記録手段には、例えば週替わりの楽曲が予め記録されていることとする。
【0012】
まず、無料試聴サービスを選択して携帯型音楽再生装置を借り受けた会員は、これを携帯し選曲してヘッドホンで試聴する。従来の設置型の試聴機ではないので店舗内を自由に試聴しながら移動することができる。店舗内にカフェが並設されていれば、そのままカフェでも試聴し続けることができ、また売り場コーナーごとに推奨楽曲をPOP掲示しつつ、これに対応する内容で携帯型音楽再生装置のメニューを構成することで売り場コーナーと試聴とを好適に連動させ、会員にとっては便宜であり、また店舗にとっても一層購買意欲を増大させることができるものである。
【0013】
そして、携帯型音楽再生装置で試聴し店舗での用事を済ませた会員が、借り受けた携帯型音楽再生装置を店舗に返却すると、店舗は携帯型音楽再生装置の管理サーバーの会員の貸出履歴に対し、装置が返却されたデータを追加して更新して、無料試聴レンタルは終了する。
【0014】
つぎに、有料試聴サービスを選択した会員は、その代金を決済して携帯型音楽再生装置を借り受け、例えば1ヶ月の期間、自由に使用することができる。ただし、携帯型音楽再生装置には、著作権保護のための複製防止手段を備えており、内蔵する記録手段に記録された音楽データをデータとして外部に取り出すことができない構成となっている。また、店舗には音楽データが保持されている音楽データ転送装置が設置されており、携帯型音楽再生装置を接続することで記録済みの音楽データを書き換えることができるものである。会員に提供する試聴音楽データが例えば週替わりで提供され、携帯型音楽再生装置を借り受けた会員が音楽データ転送装置に携帯型音楽再生装置を接続することで、携帯型音楽再生装置は新しい楽曲を取り込むことができ、会員は店舗に備え付けられた試聴機と同様に常に新しい楽曲を楽しむことができるものである。
【0015】
また、貸し出された携帯型音楽再生装置が例えば1ヶ月の有効期間内を過ぎると、予め内部に設定されたタイマー手段(音楽データの記録時点若しくは使用開始からの時間を計数するもので、ハードウェアかソフトウェアかは問わない)が期限切れを検知して、装置の楽曲再生機能を停止するとともに、有効期限切れであることを表示部に表示させることとする。これにより有効期限を過ぎての携帯型音楽再生装置の不正使用は不可能となるものであり、このタイマー手段を店舗においてリセット可能とすることで、返却後は通常使用が可能となるものである。
【0016】
さらに、会員に貸し出した携帯型音楽再生装置が、破損・盗難等の被害に遭った場合には、店舗は予め約定した貸出の契約に基づき会員に対しクレジット決済による弁済を申し出ることで精算することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の音楽試聴システムの流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
会員がIDカードを提示して店舗から借り受けて音楽試聴に使用する携帯型音楽再生装置と、該携帯型音楽再生装置が接続されると携帯型音楽再生装置に内蔵されている音楽データの消去及び携帯型音楽再生装置に新規の音楽データを転送する音楽データ転送装置とから構成され、前記会員が店舗から借り受ける前記携帯型音楽再生装置は、音楽データの記録時点若しくは使用開始からの時間を計数するタイマー手段が設定されて予め設定された時間経過後に前記携帯型音楽再生装置は内蔵している音楽データを消去若しくは再生不可能とし、さらに前記携帯型音楽再生装置を前記音楽データ転送装置に接続して音楽データの入れ替えを行うことで前記タイマー手段がリセットされて楽曲を再生可能とするリセット手段を備えることを特徴とする音楽試聴システム。
【請求項2】
携帯型音楽再生装置はハードディスク又は/及びフラッシュメモリーからなる記録手段を備えることを特徴とする請求項1記載の音楽試聴システム。
【請求項3】
携帯型音楽再生装置は、著作権保護のための複製防止手段を備え、記録手段に記録した音楽データをデジタルデータの出力を禁止することを特徴とする請求項1記載の音楽試聴システム。

【図1】
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【公開番号】特開2006−40467(P2006−40467A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221477(P2004−221477)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(390026376)カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】