説明

音符学習用教材

【課題】音符を容易に習得できるようにする。
【解決手段】音符学習用教材1は、文字および画のうちの少なくとも一つの表示手段を用いて任意の単語を一つずつ表示した8種類の単語カード10a〜10hからなる第1カード群10と、2拍のリズムを異なる音符で一つずつ表示した8種類の音符カード11a〜11hからなる第2カード群11とを備えている。単語カード10a〜10hのそれぞれは、音符カード11a〜11hのいずれかに表示された音符に対応した音価の単語が表示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習用教材、特に、音楽の音符を学習するための教材に関する。
【背景技術】
【0002】
西洋音楽は、メロディー(旋律)、ハーモニー(和音)およびリズム(拍子)の三要素からなる。この三要素のうち、リズムは、楽曲の全体において繰り返される時間的な型であり、楽曲の印象を特徴付けるものである。例えば、楽曲は、ワルツ、ボレロ、ポルカ、サンバ、タンゴ、ロック等の名称で分類されることが多いが、このような分類は、基本的にリズムの違いに基づいている。
【0003】
音楽の学習においては、上記三要素の習得が必要であるが、メロディーおよびハーモニーは五線譜上に音符を配置することで視覚的に表現しやすいことから視覚を通じて学習しやすいものであるのに対し、リズムは音符が示す音価、すなわち、楽譜上の時間の長さに関係するものであることから、視覚に頼るよりも聴覚を利用した学習に馴染みやすい性質を有する。しかし、このような性質を有するリズムも、楽譜においては五線譜上で音符の組合せによって視覚的に表現されることになり、その読み取り(読符)が求められるため、結果的に個々の音符の音価を視覚的に理解する必要性がある。
【0004】
そこで、音楽の学習においては、聴覚および視覚の両感覚により音符の意義、特に音符の音価を学習する必要があり、そのための教育では、教育者が学習者に対して音符やその組合せを見せ、当該音符等の音価を手拍手や打楽器を鳴らしたりすることで表現する方法をとるのが一般的である(例えば、非特許文献1)。
【0005】
しかし、このような音符の学習方法は、学習者において、視覚的に認識した音符と、聴覚的に認識した当該音符との関係性を整理して記憶に定着させるのが困難であり、成果が得られにくい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】BIGLOBEなんでも相談室、[平成22年8月19日検索]、インターネット<URL:http://soudan1.biglobe.ne.jp/qa1189629.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、音符を容易に習得できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、人間が自然に備えた能力のうち、言葉に対する認識能力に着目した。特に、人間は、言葉の構成単位である単語を聴覚的に認識する場合において、単語を構成する個々の音の音価の微妙な違いの認識能力が高く、当該認識能力によって無数の単語を聴覚的に識別していることに着目した。そして、比較的単純な単語を発声したときの個々の音の音価を音符で表現した場合、表現された音符の音価を単語の発声に基づいて人間の記憶に定着させやすいことを見出し、本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明は、音符学習用教材に関するものであり、この教材は、文字および画のうちの少なくとも一つの表示手段を用いて任意の単語を一つずつ表示した複数の種類の単語カードからなる第1カード群と、2拍のリズムを異なる音符で一つずつ表示した複数の種類の音符カードからなる第2カード群とを備えている。ここで、単語カードのそれぞれは、音符カードのいずれかに表示された音符に対応した音価の単語が表示されている。
【0010】
本発明に係る音符学習用教材の一形態において、音符カードに表示された音符は、単一の色相からなり、音価が短いものよりも長いものの方が濃く表示されている。
【0011】
本発明に係る音符学習用教材は、通常、第1カード群および第2カード群を一体的に収容するための容器をさらに備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の音符学習用教材は、第1カード群から選択した単語カードに表示された単語の発声と、選択した単語カードに対応する第2カード群からの音符カードとを対照することで、単語の発声に基づいて音符カードに表示された音符の音価を記憶に定着させることができるため、学習者に容易に音符を習得させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の音符学習用教材の一形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照して、本発明の音符学習用教材の一形態を説明する。図において、音符学習用教材1は、第1カード群10と第2カード群11とを備えており、両カード群10、11は、通常、1つの容器、例えば、樹脂成形体製や紙製の箱(図示省略)内に一体的に収容されている。
【0015】
第1カード群10は、8種類の単語カード10a〜10hからなる。8種類の単語カード10a〜10hのそれぞれには、文字および画のうちの少なくとも一つの表示手段を用いて任意の単純な単語が一つずつ表示されている。この実施の形態において、より具体的には、8種類の単語カードは、「ニワトリ」の単語がその画で表示された第1単語カード10a、「ティーシャツ」の単語がその画で表示された第2単語カード10b、「スケート」の単語がスケートをしている女児の画で表示された第3単語カード10c、「りんご」の単語がその画で表示された第4単語カード10d、「ほーら」の単語がその文字と、何かを指差している男児の画との両方で表示された第5単語カード10e、「蚊(か)」の単語がその画で表示された第6単語カード10f、「星(ほし)」の単語がその画で表示された第7単語カード10g、および、「ワー」の単語がその文字と、叫んでいる男児の画との両方で表示された第8単語カード10hからなる。
【0016】
一方、第2カード群11は、8種類の音符カード11a〜11hからなる。8種類の音符カード10a〜10hのそれぞれには、2拍のリズムが異なる音符で一つずつ表示されている。この実施の形態において、より具体的には、8種類の音符カードは、8分音符の連符が2つ表示された第1音符カード11a、2分音符と8分音符の連符とがこの順に表示された第2音符カード11b、8分音符、4分音符および8分音符がこの順に表示された第3音符カード11c、8分音符の連符と4分音符とがこの順に表示された第4音符カード11d、付点4分音符と8分音符とがこの順で表示された第5音符カード11e、4分音符と4分休符とがこの順に表示された第6音符カード11f、4分音符が2つ表示された第7音符カード11g、および、2分音符が表示された第8音符カード11hからなる。
【0017】
音符カード11a〜11hは、音符の間隔および右の余白が音符の音価に応じて決められている。例えば、第3音符カード11cは、左端の8分音符と次の4分音符との間隔が8分音符の音価(半拍)に応じて狭く設定されており、4分音符と右端の8分音符との間隔が4分音符の音価(1拍)に応じて広く設定されている。また、第8音符カード11hは、2分音符が左端付近に表示されており、その右に2分音符の音価(2拍)に応じた広い余白が設けられている。
【0018】
第1カード群10の単語カード10a〜10hにそれぞれ表示された単語は、第2カード群11の音符カード11a〜11hにそれぞれ表示された音符と対応関係にある。すなわち、単語カード10a〜10hにそれぞれ表示された単語は、音符カード11a〜11hのいずれかに表示された音符に対応した音価で発声可能なものである。より具体的な対応関係は、次のとおりである。
【0019】
<第1単語カード10a>
このカードに表示された単語「ニワトリ」は、「ニ」、「ワ」、「ト」および「リ」の4音(半拍4音)で発声されることから、第1音符カード11aに対応する。
<第2単語カード10b>
このカードに表示された単語「ティーシャツ」は、「ティー」の音(1拍1音)と、「シャ」および「ツ」の2音(半拍2音)とで発声されることから、第2音符カード11bに対応する。
<第3単語カード10c>
このカードに表示された単語「スケート」は、「ス」の1音(半拍1音)、「ケー」の1音(1拍1音)および「ト」の1音(半拍1音)とで発声されることから、第3音符カード11cに対応する。
<第4単語カード10d>
このカードに表示された単語「りんご」は、「りん」の2音(半拍2音)と、「ご」の1音(1拍1音)とで発声されることから、第4音符カード11dに対応する。
<第5単語カード10e>
このカードに表示された単語「ほーら」は、「ほー」の1.5音(1.5拍1音)と、「ら」の1音(半拍1音)とで発声されることから、第5音符カード11eに対応する。
<第6単語カード10f>
このカードに表示された単語「か」は、「か」の1音(1拍1音)と、無音(1拍1無音)とで発声されることから、第6音符カード11fに対応する。
<第7単語カード10g>
このカードに表示された単語「ほし」は、「ほ」の1音(1拍1音)と、「し」の1音(1拍1音)とで発声されることから、第7音符カード11gに対応する。
<第8単語カード10h>
このカードに表示された単語「ワー」は、「ワー」の1音(2拍1音)で発声されることから、第8音符カード11hに対応する。
【0020】
音符学習用教材1を用いた音符の学習法は、幾つかの形態によることができる。最も単純な学習法の例では、例えば、指導者が第1カード群10の単語カード10a〜10hから任意の一枚を選択し、また、選択した単語カードに対応する音符カードを第2カード群11から抽出する。そして、選択した単語カードを学習者に提示しながら、当該単語カードに表示された単語を発声した後、当該単語カードに対応する音符カードを学習者に提示し、音符カードに表示された音符を左から右へ順に指さしながら、選択した単語カードに表示された単語を再度発声する。例えば、第1単語カード10aを選択した場合は、当該カードに表示された単語である「ニワトリ」を「ニ」、「ワ」、「ト」および「リ」の4音で発声した後、対応する第1音符カード11aに表示された音符を左から右へ順に指さしながら、再度「ニ」、「ワ」、「ト」および「リ」と発声する。これにより、学習者は、音符カードに表示された音符の音価を単語カードに表示された単語の発声と対照させることで記憶に定着させることができ、音符の習得が容易になる。
【0021】
特に、この学習法は、第1カード群10において単純な単語を画を中心に表示した単語カードを用いているため、識字できない1〜5歳の就学前の幼児に対しても適用が可能であり、このような幼児に対して遊び感覚或いはゲーム感覚で高い成果を挙げることができる。
【0022】
また、他の学習法の例としては、上述の単純な学習法の発展的方法が挙げられる。この学習法の例では、指導者が第1カード群10の単語カード10a〜10hから任意の一枚を選択して当該単語カードに記載の単語を発声し、学習者に第2カード群11の音符カード11a〜11hから発声した単語カードに対応するものを選ばせる。この学習法により、単語カードに表示された単語の発声と対応する音符カードに表示された音符との対応関係が強く印象付けられることになり、学習者において、音符毎の音価の記憶がより定着しやすくなる。
【0023】
上述の実施の形態では、8種類の単語カード10a〜10hからなる第1カード群10と、8種類の音符カード11a〜11hからなる第2カード群11とを用いたが、両カード群10、11におけるカードの種類は8種類未満であってもよいし、8種類を超えてもよい。後者の場合、音符カードにおいて、16分音符や32分音符等のより複雑な音符若しくは連符または休符を表示することもできる。
【0024】
また、上述の実施の形態等において、音符カードに表示される音符は、通常、単一の色相からなるものが好ましく、また、音価が短いものよりも長いものの方が濃く表示されているのが好ましい。例えば、上述の実施の形態における第2カード群11の音符カード11a〜11hにおいては、8分音符(連符を含む)、4分音符、付点4分音符および2分音符並びに4分休符の5種類の音符が表示されているが、これらの音符は、同じ色相(例えば、灰色または黒)で記載されており、かつ、8分音符から2分音符については音価が短いものから長いものにかけて段階的に淡い色(淡い灰色)から濃い色(黒)に変化を付けるのが好ましい。音符において、同じ色相で濃淡をつけておくと、淡い色は軽い印象を、また、濃い色は重い印象を学習者に対して視覚的に与えることができるため、各音符の音価をより効果的に学習者の記憶に定着させることができる。
【符号の説明】
【0025】
1 音符学習用教材
10 第1カード群
11 第2カード群
10a〜10h 単語カード
11a〜11h 音符カード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字および画のうちの少なくとも一つの表示手段を用いて任意の単語を一つずつ表示した複数の種類の単語カードからなる第1カード群と、
2拍のリズムを異なる音符で一つずつ表示した複数の種類の音符カードからなる第2カード群とを備え、
前記単語カードのそれぞれは、前記音符カードのいずれかに表示された音符に対応した音価の単語が表示されている、
音符学習用教材。
【請求項2】
前記音符は、単一の色相からなり、音価が短いものよりも長いものの方が濃く表示されている、請求項1に記載の音符学習用教材。
【請求項3】
前記第1カード群および前記第2カード群を一体的に収容するための容器をさらに備えている、請求項1または2に記載の音符学習用教材。

【図1】
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【公開番号】特開2012−78698(P2012−78698A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225713(P2010−225713)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(510266181)